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日時 令和6年11月26日(火)16:00~17:00 |
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場所 中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室 |
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内容 ・本日は、「令和7年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について」を議題としているが、まずは、令和6年度補正予算への対応について、現在の検討状況をご共有したい。 ・資料1ページ目は先般閣議決定された経済対策の概要であるが、その財政規模は前年度並であり、この裏付けとなる補正予算が近いうちに閣議決定される見込み。 ・その中では、新規国債の追加発行が見込まれるが、この令和6年度補正予算への国債発行計画における対応に関し、「前倒債発行予定額の活用により対応可能であるとの見込みのもと、短期国債を含めてカレンダーベース市中発行額の増発はない」とする市場の見方があることを承知している。 ・他方、資料3ページ目のグラフに示したように、短期国債については、為替介入に伴い6月以降減額してきている一方で、需要面については、元々の投資家層に加えて、今年3月のマイナス金利政策解除以降、それまで投資を控えていた先が短期国債による運用を再開したこともあり、かなり需給が逼迫した状況にあると認識している。 ・補正予算における新規国債追加発行への対応においては、足もとの市場動向を踏まえて、短期国債市場の状況への手当てをすることも念頭に総合的に検討しているところ。 ・令和7年度国債発行計画の策定に向けた検討の現状として、まずは、「国の債務管理に関する研究会」における中長期的な議論についてご説明する。 ・資料4ページ目は6月の「議論の整理」の概要。資料5ページ目は「議論の整理」を踏まえ、左側に「今後の取組の方向性」を、右側に「現在の検討状況」を示す形でまとめ、10月の研究会においてご報告したものである。 ・まず、「各投資主体の国債保有の促進」について。銀行については、発行年限の短期化や変動利付国債の発行等、市中に供給する金利リスク量の縮減を図る対応も必要になっていくことが考えられるとされた。 ・発行年限に関しては、今後の市場動向や投資家等の意見も踏まえ、年限別の発行額を検討していく。変動利付国債に関しては、市場関係者等へのヒアリングを行い、短期金利に連動したものに対しては、市場環境次第で一定のニーズがあることを確認できたため、発行する場合の商品性等に関して検討中としている。 ・生保・年金については、生保の規制対応の進捗等を踏まえると、中長期的に生保の国債保有額が大幅に増加していくという展望は見込み難いことを踏まえ、これまで発行額を増額あるいは維持してきた超長期債について、実際の投資動向を注視しつつ、年限別の発行額を調整・検討していく。 ・個人投資家等の更なる保有については、有効な購入促進策や国債を組み込んだ投資信託の動向について情報収集を行い、今後の取組を検討していくとしているが、発行当局のみで実現できるものではないと考えており、国債を組み込んだ投資信託が今後増えていき、初めて購入促進策をどうするかということになるので、皆様方と今後の取組について腰を据えて検討していきたい。 ・また、非営利法人や個人経営的な未上場法人等において元本割れしない国債へのニーズがあるという声も聴いているところ。これを踏まえ、個人以外の主体も購入可能な元本割れしない国債を発行する場合の商品性等に関して検討中。 ・海外投資家については、6月のPD会合にて募集したクライメート・トランジション国債を含めた国債のIRに御協力いただける12社を「JGB・GXプロモーター」として7月末に公表している。各社と意見交換を実施の上、個別面談やセミナーといったIR活動を開始したところ。ご協力に感謝申し上げる。 ・国債先物取引が円滑に機能するよう、受渡適格銘柄の流動性に留意すべきといった御指摘も頂いたところ、流動性供給入札について、8月から残存5年超15.5年以下のゾーンの発行額を増額する形で調整しているほか、日本銀行金融市場局からも、10月16日に「チーペスト銘柄等に係る国債補完供給の要件緩和措置の継続について」という文書を発出して、対応いただいているところ。 ・以上が国の債務管理に関する研究会の議論の御説明となる。こうした中長期的な今後の取組の方向性のもとで、市場動向や投資家及び皆様の御意見を踏まえ、令和7年度国債発行計画における各年限の市中発行額をどのように調整していくのか、検討していきたいと考えている。 ・ご意見を伺うにあたり、令和7年度の国債発行総額は現時点では未定だが、参考として、資料6ページにおいて、「内閣府中長期試算に基づく国債発行額の将来推計」をお示ししている。 ・これは令和7年度国債発行計画上の数字と必ずしも対応するものではなく、また、令和6年度補正予算への対応によって変動し得るもの。このほか、発行総額が仮に一定だとしても、日銀の買入減額により、日銀以外の主体による実質的な市中消化・保有分は増加することに留意が必要である。 ・その上で、来年度発行計画策定にあたっての、現時点での当局としての基本的な認識を申し上げたい。 ・まず、超長期債については、研究会の取りまとめにもあるとおり、生保による規制対応の一巡等に伴い需要の減退が見られていることを踏まえ、発行量を調整していく必要があるのではないかと考えており、特に40年債については来年4月からの大きめの減額も視野に検討していきたいと考えている。 ・他方、10年以下の年限については、今後の利上げ見通し等に依存する部分はあるものの、総じて銀行等からの投資需要が期待でき、一定の増額余地があると捉えている。 ・流動性供給入札については、日銀による買入は減額方向ではあるものの、引き続きオフザラン銘柄の需給が逼迫しているとのご指摘もあり、各ゾーンの規模についてはカレント債とのバランスも踏まえながら、よく検討させていただきたいと考えている。 ・クライメート・トランジション利付国債については、令和6年度は総額1.4兆円を4回に分けて発行している。 ・令和7年度の発行総額に関しては、事前のアンケート及びヒアリングにてPDや投資家懇メンバーの皆様からは「若干の減額」或いは「今年度と同額」とすることで大宗の方からご支持いただいたところ。PDの皆様からのご意見としては「若干の減額」の方が多かったが、今後いただいたご意見を基に、GX関連予算の金額を踏まえ、どちらかと言えば減額する方向で検討していきたいと考えている。 ・現在、政府においてGX2040ビジョン、エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画等の策定・改定に向けた作業が行われており、来年度の初回発行月はそれらがいつ完了するかにもよるが、来年度も今年度と同様に4回に分けて発行すること、ただし後半2回の発行も含めてすべて新規発行とすることを基本に考えており、この点も多くの皆様からご支持いただいている。 ・当局からの説明は以上となるが、令和7年度国債発行計画における各年限の発行ロットについて、皆様からいただく御意見を踏まえ検討していくこととなるので、本日は活発に議論いただけると幸いである。 ・なお、資料p.8-34は参考資料である。適宜参照願いたい。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・最も減額余地がある年限は40年債。安定的に購入していた投資家ニーズが明らかに低下していることと、国内政治の不透明さがイールドカーブのスティープニングに影響を与えている。減額幅としては1回の入札当たり1,000億円、最大で2,000億円がよいのでは。また、減額のタイミングについては、昨年度の20年債のように1月から減額との意見が一部にあるかもしれないが、当社はそういった緊急性を感じていないので、来年度の4月以降でよい。 ・40年債の減額に併せて増額するのであれば、残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札について、今年8月から1回の入札当たり1,000億円減額したが、従前の発行額に戻した方がよい。 ・その他、今年度に減額した2年債、5年債、また残存1-5年ゾーンの流動性供給入札に増額余地がある。 ・T-Billについては、特に3か月物に大幅な増額余地がある。3か月物の金利水準は、一時より改善しているものの、政策金利対比で著しく低い状況という認識である。今年5月の3か月物発行額は1回の入札当たり5.8兆円だったので、同程度までの増額は可能。 ・その他、当社から2点提案したい。 ・1点目:足元のボラティリティの高まりにより、5年債がシングル・イシューとなる状況が継続していることで、流動性が低下するという状況に陥りやすくなっている。5年債についても、原則リオープン方式発行を検討してほしい。 ・2点目:40年債やクライメート・トランジション利付国債(CT債)のセカンダリー・マーケットでの値動きの不安定さを考えると、入札をダッチ方式としていることにより、価格発見機能が上手く機能していないように感じる。そこで、当該銘柄に対する入札をコンベンショナル方式に変更することを提案する。今後、発行額を減額するのであれば、入札方式の変更も同時に検討してほしい。 ・超長期ゾーン全般で減額が必要な状況。特に30年、40年ゾーンは生命保険会社の規制対応の進捗によって、投資家需要が大幅に減退している。イールドカーブのスティープニング傾向も続いており、両年限とも1回の入札当たり1,000~2,000億円の減額が適当。減額のタイミングは来年1月から前倒しでの実施も考えられる。 ・20年ゾーンも金利上昇が続く中、預金系金融機関の需要がその他のゾーンにシフトする形での減少が引き続き見られており、1回の入札当たり1,000億円程度の減額が適当。一方で、今年8月から超長期ゾーンの需給の緩みを理由に減額を実施した、残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札は強い入札結果が続いており、需要が確認できる。カレント銘柄の減額と併せて、発行額を元の隔月1回の入札当たり5,000億円に戻すべき。 ・10年以下のゾーンについても、日銀買入オペの減額計画のペースが緩やかになったことで、引き続き日本銀行の購入比率が高い状況。発行額は比較的柔軟に変更できると考えており、増額する場合には、海外投資家の需要が強いほか、金利上昇に伴い預金系金融機関の需要増が見込まれる2年債、5年債の順で増額する余地がある。 ・流動性供給入札については、市場の流動性機能の維持・向上のために、全ゾーンでの増額を希望。残存5-15.5年ゾーンについて、日銀買入オペの影響で市中残高が少なくなっており、残存5-10年の流動性を確保するため、1回の入札当たり500億円増額の毎月7,000億円での実施を希望する。残存1-5年ゾーンについても、日銀買入オペの影響で市中残高の少ない、残存2-4年の流動性を確保するために1回の入札当たり1,000億円増額の隔月6,000億円での実施を希望する。 ・物価連動債については、引き続き中期的に需給バランスを判断していくという点で現状維持として様子を見るべき。 ・超長期ゾーンの減額に関して、1回の入札当たり40年債で2,000億円、30年債で1,000億円が適当である。特に40年債への最終投資家需要の減退が顕著に現れているという認識のため、40年債を中心とした減額が適当。仮に、提案した規模の減額となるのであれば、減額のタイミングは基本的に来年度からで問題ない。 ・残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札の発行額を元に戻すことは検討に値するとは思うが、それには市場動向や投資家需要を踏まえるべき。 ・増額対象は基本的に中期ゾーンの2年債と5年債と中心になってくる。預金取扱金融機関の金利上昇時の需要増は今後期待できる。 ・T-Bill・3か月物の需給逼迫について、現状のイールドカーブの中では歪さが際立っている状況であり、1回の入札当たり5,000億円程度の増額は必要ではないか。 ・平均償還年限の観点から、どこまで短期化するかを考えた上で、もう少し長い年限での増額対象となると、10年債。ただし、金利リスク量や、今後の日銀買入オペ減額の影響等を考えると、増額の優先度は他年限対比で下がってくる。 ・流動性供給入札について、残存1-5年ゾーン、残存5-15.5年ゾーンのどちらも増額は可能。今までのイールドカーブ・コントロール政策を含めた大規模緩和により市中残高の少ない銘柄が多いゾーンで徐々にニーズが顕在化して発行されているところ。 ・CT債については、若干の減額、多い場合でも今年度と同様の金額がよいと考える。現状では同償還の通常の国債対比で高い利回りで推移しており、最低限の需要は確かに散見されているが、今後そういった需要も一巡してくると思われ、統合発行も含めて柔軟な発行方式を検討してほしい。 ・T-Billは全体的に増額余地があり、特に3か月物がその筆頭。今年の4月時点では1回の入札当たり5.8兆円のロットで発行されていて、無難に消化されていた状況を踏まえると十分に増額余地はある。足元、日本銀行の追加利上げ見通しによる金利先高観のある市場環境ではあるものの、先述の状況を踏まえると、5兆円程度まで増額しても問題ないだろう。6か月物は、3か月物の次に増額余地があり、1回の入札当たり4兆円程度までは増額可能。1年物は、発行額に対して需要が今ひとつ追いついておらず、増額余地は乏しい。 ・今年1月から20年債の発行額を1回の入札当たり1兆円に減額したところ、これによるイールドカーブの形状変化に着目すると、2年債に対しての5年債、10年債とのスプレッドの縮小、並びに20年債に対しての30年債、40年債とのスプレッドの拡大が見られており、各年限の需給環境が表れている。このような金利変動の要因は、日本銀行の政策変更の織り込み等もあるため、これだけで判断するものではないと思うが、一つの視点にはなると思う。以上の観点からすると40年債、30年債は、1回の入札当たり各1,000億円程度の減額が適当。 ・一方、発行ロットがやや小さめの5年債は、最優先で増額余地がある。 ・また、日本銀行の保有割合が高くなっている関係で、市中残高が少なくなっているゾーンにも配慮するならば、流動性供給入札の残存1-5年ゾーン、残存5-15年ゾーンについても多少増額余地はある。 ・全体的に発行額のリバランスは必要だが、急激に需給バランスを変化させて市場を混乱させないよう配慮は必要。全体的なバランスを見つつ、需給が緩みつつある超長期ゾーンを減額して、その分を中長期ゾーンに振り分けていくのが適当か。 ・30年債、40年債を中心とした超長期ゾーンの大幅減額には賛成。ただ、今年度は40年ゾーンについて、投資家は既発債の減損処理を行う必要があり、40年債は売り地合となっていたが、そのような特殊要因が無ければ、相対的に発行額が小さくそれなりにニーズがあることを踏まえると、毎月発行している30年債の減額を優先しても良いかもしれない。20年債は減額方向で異論なし。一方で、残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札は、毎回の入札でそれなりの需要を集めているため、是非とも今年8月の減額前の発行額である1回の入札当たり5,000億円まで戻してほしい。 ・2年債と5年債は、増額方向で異論なし。ただ、利付債のカレントの需給が必ずしも良いわけではないため、どちらかというと、残存1-5年ゾーン及び残存5-15.5年ゾーンの流動性供給入札の増額を優先すべき。 ・また、現状の残存5-8年ゾーンの流動性の低さを踏まえると、時限的措置でも構わないので、流動性供給入札のゾーンを10年で区切ってほしい。 ・物価連動債は、既発債が順次償還を迎えている中、市場を育成していくためにも、市中残高を維持することが肝要で、そろそろ1回の入札当たり3,000億円のロットに戻すべきと考えている。 ・CT債は、減額方向で異論無し。発行にあたって流動性プレミアムが乗っている状態もいかがなものかと思うので、統合発行とすることが今後の検討課題と考えている。 ・日銀買入オペの減額計画の状況も踏まえると、発行計画全般として、全年限とも減額すべきで、あるべき姿だが、減額の優先順位としては、30年債、40年債が筆頭。減額幅は1回の入札当たり40年債は1,000~2,000億円、30年債は1,000億円が適当か。減額時期については来年1月から前倒しですぐに減額すべきと考えている。 ・一方、増額の優先度としては、5年債、10年債、2年債の順。 ・流動性供給入札は基本的に据え置きで良い。増額は証券会社サイドとしてありがたいが、来年度以降、金利上昇が見込まれており、そこで投資家需要が出てきた時に、流動性供給入札よりもカレント債の方に需要が集まってしまう可能性がある。オフザラン銘柄への需要が恒常的に継続するとも言えないため、あえて流動性供給入札の増額を急ぐ必要はない。ただ、日本銀行が過去に買い入れた銘柄が順次償還を迎えて短期化が進む中で、残存1-5年といった短いゾーンの需給が逼迫しやすいという状況もあるため、過去と同様、2年債を減額しつつ、残存1-5年ゾーンの流動性供給入札を増額するという方法も有効かと思料。 ・T-Bill・3か月物は、非常に需給状況が逼迫した状態にあり、少なくとも1回の入札当たり5兆円程度のロットまで増額すべき。 ・T-Bill・6か月物は、新たな変動利付債の発行において、6か月物を参照金利とするのであれば、その発行時点までには6か月物の市中残高がある程度確保され、例えば同期間のOIS対比フラット程度の水準となるよう発行されるような状況を整えるべき。その上で6か月物の現時点の1回の入札当たり発行額のイメージとしては、4兆円程度のロットか。 ・新たな変動利付債の発行が開始されるまでに、T-Billのマーケット全体として発行量がいくら必要なのか、もしくは米国でやっているような、政府全体のファイナンスに対して何%程度T-Billが占めているべきなのか、といった情報整理についても併せて行ってほしい。 ・減額に関する優先順位として、物価連動債を除くと40年債が一番高い。生命保険会社の規制対応に伴うALMも終了し、購入の需要も30年の方に移っているため、減額余地がある。イールドカーブ上のバリュエーションにおいても、30-40年スプレッドは拡大傾向が継続している一方で、20年や30年に関してはバタフライ・スプレッドで20-30-40年や10-20-30年を見ると、20年、30年債が割高化しているように見え、需給構造としては40年の需給の悪さに引っ張られる形で10年超のイールドカーブのスティープ化が進行していると推察している。40年債を大きく減額し、需給バランスを改善することで、40年債だけではなく、超長期債全体の需給改善の寄与に期待できる。以上の理由から40年債は、1回の入札当たり2,000億円のやや大きめの減額が適切。タイミングとしては、2,000億円程度の減額であれば、来年度からで問題ないと考える。仮に少なめの1,000億円減額ということであれば、来年1月から減額する可能性も検討すべき。 ・他の年限の減額について、超長期ゾーンについては40年債より優先順位が落ちるが、順位をつけるなら、30年、続けて20年の順。生命保険会社の需要自体は減退傾向にあるが、現在、日本銀行が利上げサイクルに入っており、マクロ状況を確認しながらの段階的な利上げであるため、利上げのペース及びターミナルレートに対して不透明感が残っており、結果として逆ザヤとなるリスクの警戒から、消去法的に手前のゾーンではなく、キャリー目的で超長期債に対して需要が見られる。そういった観点から、20年債には一定の需要が期待できる上、実際に昨年度途中から発行減額した効果として在庫余剰感は弱いように見えるため、減額の優先度としては相対的に低いと思料。 ・10年以下については増額可能と考えているが、先ほどの議論から、どちらかといえば年限の長い、すなわち絶対的な金利水準が高い方から、需要が順番に見られていくのではないか。特に10年債は年限のある程度の短さと絶対金利の高さがバランス良く見えるので、安定した需要が今後期待できる。そういった意味で、増額は1回の入札当たり3,000億円程度まで対応可能か。 ・2年債、5年債については、日本銀行のターミナルレートが固まって、非常に織り込みが進めば、10年債と同額、またはそれ以上に許容度があるかと考えるが、足元は不透明感が強いので、相対的な増額優先度は下がる。 ・流動性供給入札について、市場機能度の回復の目的と、年度途中から発行額の調整弁としての役割から、全体的な増額が望ましいというふうに考えている。直近は米国を含めた海外のマクロ関係の不透明感が強く、日本銀行のターミナルレートも0.75%の場合もあれば米国次第で1%以上になる可能性もあり、見通しが立てづらい局面のため、調整弁としての流動性供給入札の役割は非常に重要。今年度は残存15.5-39年ゾーンの減額が年度後半の超長期ゾーンのスティープ化防止に寄与したと考えており、来年も類似の措置が必要となる可能性もあるため、超長期債が大きめの減額をされる場合に限り、残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札を5,000億円に戻すことを検討してほしい。 ・物価連動債について、BEIは海外インフレ期待の上昇に伴い復調しているが、絶対値としては日本銀行のインフレ目標である、2%から大きく乖離しており、需給の悪さによるプレミアムが乗っている状況が継続している。当社店頭を見る限り、投資家の裾野の広がり自体は、今年8月のショックを見てから保有が難しくなったという声もあり、あまり広がっていない状況という見解。従って、発行額で調整するなら1回の入札当たり500億円の減額、もしくは買入消却入札の増額で対応して当局としてのコミットメントを示すことが重要。 ・CT債について、需給の悪さの要因としては、日銀買入オペにおいて、買入比率が一定以上になると買入対象から除外されることが大きい。今後は日銀買入オペ減額によって、日銀によるCT債以外の保有比率も下がってくることを考えると、CT国債の1銘柄当たりの発行量を維持または増加して、通常の利付債との差異を少なくしていくことが需給改善の解決策の一つとなるのではないか。例えば、現在2つの年限で発行しているところを1つに統合することを検討してはどうか。また、現在5年債と10年債、2つの年限で発行があるが、どちらかといえば年限が短い方への需要が強いように見えるので、10年債でなく2年債の発行についても検討してほしい。 ・最終投資家の需要を鑑みると40年債及び30年債の減額がまずは妥当。減額幅はそれぞれ1回の入札当たり1,000億円、40年債は2,000億円程度も可能と推察。一方、減額時期については、昨年度の20年債ほどの緊急性は感じられないため、新年度からの減額で十分対応できる。20年債については、40年債、30年債ほど減額の優先順は高くないものの、今後の金利水準次第で投資家需要が一段と10年以内にシフトしていくことが考えられるため、全体のバランスの中では1回の入札当たり1,000億円程度の減額余地があると思料。 ・10年債以外の利付債について、金利水準上昇に従って預金取扱金融機関を中心に投資家のニーズを顕在化し始めていることや、高水準の日本銀行の買入が実施されていることから、減額という選択肢はないだろう。最低でも現状維持が望ましい。増額する場合、昨今の需給環境を鑑みるに、短期的には2年債、5年債どの年限でも可能だが、中長期的な財政を考えると、必要でない限りにおいては現状程度の発行維持が適正。 ・物価連動債について、投資家の裾野の広がりは十分ではないため、発行計画については現状維持とし、引き続き市場環境や投資ニーズを把握した上、四半期毎の本会合で発行額等を議論する現状の方式が望ましい。 ・流動性供給入札について、40年債及び30年債を減額する前提なら、今年度減額された残存15.5-39年ゾーンの発行額を5,000億に戻すことが自然と考えている。残存5-15.5年ゾーンの発行額については、日本銀行の保有額が高水準にあって、引き締まりが見られる年限をカバーするため、最低でも現状維持が望ましい。仮に、10年以下の年限の発行額が据え置かれるなら、このゾーンは1回の入札当たり1,000~2,000億円程度、一時的な増額も可能。また、現状のゾーン区分では真に引き締まっている銘柄が発行されにくいため、ゾーン区分の見直し等も検討されるべき。例えば今の3つの区分を残存1~5年、残存5~10年、残存10年超という形に変更することで、最も引き締まっているゾーンに対して適切な供給がなされると推察している。 ・T-Billについて、相当需給が逼迫している状況が続いている。特に逼迫している3か月物が 1回の入札当たり1.5兆円程度、年度当初から減額されているため増額してほしい。 ・減額余地について、30年、40年で、特に40年が主候補になる。減額幅としては1回の入札当たり1,000~2,000億円が妥当で、相応の減額余地がある。30年債は発行額としては多いが、生命保険会社の投資需要としては40年債より高いとみており、一旦、来年度は割安となる可能性はあるが、40年債を2,000億円減額した上でさらに30年債を1,000億円減額するかどうかという優先順位がよいのではないか。20年債は、既に今年1月から減額しており、引き続き銀行セクターから相応のアセット・スワップ需要があるため、日本銀行の利上げが継続される間、需要が維持され、現状維持が望ましい。 ・10年債について、コロナ対応に伴う国債発行額の増加と、日本銀行のイールドカーブ・コントロール及び大量の国債買い入れへの対応という面もあって発行額が5年債対比で多くなっているという背景があり、10年債より2年債と5年債で増額すべき。年度初からいきなり銀行セクターが買ってくるという状況は想定していないが、利上げが落ち着いてきたタイミングで需要は回復してくると予想しており、そこでカバーできる。優先順位としては2年債、5年債でもどちらでもよいので、等額で増額してはどうか。 ・物価連動債について、引き続き流動性が乏しいため、現時点で増額の必要はない。 ・流動性供給入札について、仮に40年債を1回の入札当たり2,000億円超減額する場合、残存15.5-39年ゾーンを1回の入札当たり1,000億円増額して5,000億にするのがよい。今年度はロークーポン銘柄を売却する流れが続いていたが、来年度は落ち着いてくると予想しているため、吸収できるのではないか。残存5-15.5年ゾーンは需給が逼迫しているため増額の余地があり、10年債を増額するより全体としてイールドカーブのバランスは良い。 ・T-Billについて、3か月物に需給の逼迫感があり、1回の入札当たり5兆円前後まで増額可能。足元、償還間近の銘柄と3か月物の新発債とで非常に歪んだイールドカーブの形成がされている。市場の流動性を回復させることが、T-Bill市場全体の流動性の活性化にも寄与する。 ・CT債は統合発行をうまく活用すべき。流動性プレミアムの上乗せが過ぎないようにするため、発行額を減らすことで金利低下を図ること、金額としては今年度の1.4兆円から減額するのであれば1.2兆円程度の発行とすることがよいのではないか。GX事業の予算次第という面もあると思うが、1.2~1.4兆円とすることが適当ではないか。また、流動性確保の観点から業者としては各回号の残高を増やすため、リオープン発行の方が何かあったときに助かる。 |
問い合わせ先
財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700
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