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日時 令和5年12月6日(水)16:30~17:45

場所 中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室

内容 
1.  クライメート・トランジション利付国債の令和5年度内の入札発行について

〇クライメート・トランジション利付国債の令和5年度内の入札発行について、理財局から以下のように説明を行った。

・クライメート・トランジション利付国債の令和5年度内(令和6年3月末まで)の入札発行について、皆様から事前に伺った御意見をもとに、発行条件等の案をまとめている。

・資料P.3に記載のとおり、GX経済移行債及びその借換債のうち、個別銘柄として発行する分は「クライメート・トランジション利付国債」と名付けられているが、この「クライメート・トランジション利付国債」の入札について、令和6年2月14日(水)に10年債、2月27日(火)に5年債、それぞれ8,000億円程度を発行予定額として実施することを考えている。

・P.4~5は、令和6年2月における国債等の入札予定の変更と、2月に入札発行するクライメート・トランジション利付国債の発行条件等についての案である。先程申し上げた点を除いては、基本的には本年11月8日に財務省ホームページで公表した「クライメート・トランジション利付国債の基本的設計案」のとおりとする予定。

・応札責任と落札責任は通常の国債と同様とし、クライメート・トランジション利付国債の落札ランキングも公表する予定であり、P.6~9のとおり国債市場特別参加者制度運営基本要領の改正を考えている。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案に対して賛成。
・入札形式については、これまで発行実績がない中、価格発見機能がどうなるか分からないということもあり、ダッチ形式での入札に賛成。
・一回の入札当たりの発行額を少なくした場合、需要が分散され、トランジションのプレミアムが入札ごとに振れやすくなる可能性がある事から、今回の提案のように、ある程度の金額規模で入札を行うことが望ましいと考えている。
・発行年限についても、当社の方では、5年、10年、20年とあるのではないかと検討していたところであるが、安定消化の観点から、提案のように5年・10年とすることでよいのではないか。

・入札タイミング、金額については、5年、10年、2年限の8,000億円をダッチ入札ということで、大きすぎず小さすぎず適度である。時期についても適切と考えている。
・当社として、重要なポイントの1つと考えているのは、日銀適格担保・国債買入の対象になるかどうかという点。この辺りは入札の安定消化の観点で非常に重要な点の1つである。
・来年2月の入札を皮切りに、日程や発行年限等は未定ながら、来年度以降もGX国債の発行は続いていく。相場環境や金利水準の変化も想定される中で、通常の利付債に限りなく近い商品性とすることは、安定消化と流動性確保の観点で非常に大きなポイントだろう。逆に言うと、こうした前提が先々にも続いていくことが望ましい。

・当局の提案を支持したい。発行が想定されていた4年限の内から中期の5年と長期の10年が選ばれており、年限の流動性等を鑑みると、違和感のないものと思料している。
・発行額は2つの年限で等分されており、適切であると思う。入札方式もイールドダッチ方式で異論はない。

・2年、5年、10年、20年と4年限の選択肢があった中で、20年は現状マーケット環境からすると厳しい。その点5年10年を年限としているのは適切であり、1.6兆円という金額を前提とするのであれば、8,000億円ということにも異論はない。また、その他応札責任等の変更についても異論はない。

2.  令和6年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について

〇令和6年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について、理財局から以下のように説明を行った。

・令和6年度国債発行計画の策定に向けた現状として、まずは、令和5年度補正後国債発行計画について説明する。

・令和5年度補正予算に伴い新規国債(建設国債・特例国債)は8.9兆円増加したが、財投債や借換債等の減額により、令和5年度の国債発行総額の増加は0.4兆円。

・補正予算の規模が不明である中対応を検討する必要があったため、カレンダーベース市中発行額の増額が必要となる場合に備え皆様から御意見を伺ったものの、結果的には、令和5年度のカレンダーベース市中発行額は変更せず、翌年度の歳入となる前倒債の発行減によって調整することとなった。

・国債発行総額の推移を見ると、令和5年度補正予算に伴う国債発行総額の増加は0.4兆円にとどまったものの、コロナ対応以降毎年度の国債発行総額が非常に大きくなっていることに変わりはない。

・このような多額の国債を消化するため、カレンダーベース市中発行額についても高い水準が続いてきた。

・過去の推移をみると、令和2年度には、新型コロナへの対応のため国債発行額が急増し、その増加分を円滑に発行するため、市場への影響が相対的に小さい短期債の発行割合が高まった。

・令和3年度以降は短期債の減額を行い、令和5年度国債発行計画においては、その割合はカレンダーベース市中発行額の3割以下にまで減少している。

・国債発行残高及び平均償還年限については、P.16、17のとおり。

・次に、令和6年度国債発行計画に関連した見通しについて、令和6年度の国債発行総額は現時点では未定だが、P.18において、「内閣府中長期試算に基づく国債発行額の将来推計」をお示ししている。

・推計対象は復興債及びGX経済移行債を除く普通国債であるなど、令和6年度国債発行計画上の数字と必ずしも対応するものではないものの、本推計上は、令和6年度は令和5年度より発行額が大幅に減少する見通し。

・こうした見通しの下で各年限の市中発行額をどのように調整していくのか、皆様の御意見を伺い、検討できればと考えている。

・御意見を伺うに先立って、改めて国債管理政策の基本的目標を振り返ると、①確実かつ円滑な発行により資金を確実に調達すること、②中長期的な調達コストを抑制すること、の2つである。

・当局としては、その実現のため、市場のニーズを十分に踏まえることは当然として、中長期的な需要動向も見極めながら、より安定的で透明性の高い国債発行を行っていくことが重要と考えている。

・金利の推移に目を向けると、一時は海外金利の上昇等に伴い円債市場でも金利上昇傾向にあったものの、足元では利上げ観測の後退による米金利低下等に伴い、円債市場でも一時よりは金利が低下している。他方、本邦では金融政策の更なる修正観測による不透明感が根強く、引き続き金利動向を注視する必要があると考えている。

・国債及びT-Billの保有者を見ると、令和5年6月時点での日本銀行の保有割合は約半分にあたる47.1%。対照的に、銀行等は保有割合を減らしてきており、令和5年6月時点の保有割合は13.0%となっている。

・投資家別に国債保有の動向を見ると、生命保険会社については、資産に占める国債の割合が近年増加傾向。ICS導入に備えた資産と負債とのデュレーション・ギャップの縮小は着実に進捗してきていると考えられるが、引き続き、一定の超長期債ニーズは存在するのではないかと思われる。

・銀行については、P.24に都市銀行、P.25に地方銀行の国債保有動向をお示ししている。近年、地方銀行を中心に残存10年超の国債保有額が増加傾向にあったが、昨今の金利上昇を受け、今後の金利上昇リスクを抑制しつつ利回りを確保できること、及び負債見合いでの年限選択の観点などから、中長期ゾーンへの投資年限短期化の動きも見られると承知しており、年限別も含めた需要の変化に留意していく必要があると考えている。

・こうした市場の状況や投資家動向を踏まえ、令和6年度国債発行計画について検討していくことになるが、現時点での当局の基本的な考え方として、先にお示しした推計のように、国債発行総額が相当規模で減少することになれば、年限別の需要動向も踏まえつつ、各年限について発行額を調整し、カレンダーベース市中発行額を減少させることを検討している。

・各年限の発行ロットについて、皆様からいただく御意見を踏まえ検討していくこととなるので、本日は活発に議論いただけると幸いである。

・なお、御意見をいただく対象について、2点補足させていただきたい。

・先ほど令和5年度内の発行予定について案をお示しした「クライメート・トランジション利付国債」については、12月に予定している令和6年度国債発行計画公表時点では同国債の初回発行が実施されていないこと等を踏まえ、具体的な年限別発行額や発行時期については令和6年3月の本会合及び国債投資家懇談会を経て決定する方針である。

・そのため、具体的な年限別発行額等については3月会合で御意見を伺えればと考えている。

・また、令和6年度国債発行計画で発行ロットを減額する場合、足元の市場環境や需給バランスの変化を踏まえ、一部の年限については令和5年度内から先行して減額することも検討している。この点について、減額対象や金額、減額開始時期など、御意見いただけると幸いである。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・来年度の発行計画について、結論としては30年、40年は据え置き、20年以下の年限については減額が望ましいのではないかと考えている。
・40年債に関しては、今年度に入っての大幅な金利上昇を受けて、投資家需要が旺盛になっていると認識。大幅な金利上昇およびボラティリティ上昇にもかかわらず、30年-40年のスプレッドは本年度に入って10bps台と非常に安定した推移となっており、特に発行額を調整する必要はないと考えている。
・30年債については、10月の入札で大幅なテールが発生したが、こちらは一時的な要因であり、9月末の大幅なフラット二ングやアセットスワップベースの大幅な割高化、同じタイミングで米国債の発行増によるタームプレミアムの上昇を受けたベアスティープニング基調等々、悪い材料が重なったためと考えている。20年-30年のスプレッドは20bps台前半で安定しており、40年債同様、金利上昇時においては、日銀買入に頼らずとも投資家需要でしっかりと支えられると認識しているため、発行額を調整する必要は特にないと考えている。
・20年債については、イールドカーブ・コントロール運用柔軟化の影響を1番受けているゾーンとの認識。昨年度まではイールドカーブ・コントロール政策により、10年債の金利上昇が抑制されていたため、特に銀行業態を中心に15年や20年ゾーンへの需要が高かったが、イールドカーブ・コントロール運用の柔軟化を受けて10年債が大幅な金利上昇し、イールドカーブ上での割高さが修正されたため、投資家層が10年ゾーンに移行しており、20年ゾーンの投資家はかなり減っている印象。7月のイールドカーブ・コントロール運用柔軟化以降、8月10月と立て続けに大幅なテール幅が入札で発生した。
・なお、20年債入札については、来年度からではなく、1月に前倒しする形で2,000億円程度の減額を実施するのが望ましいのではないかと考えている。
・10年債については、イールドカーブ・コントロール運用柔軟化を受けてカーブ上での割高さが解消され、金利上昇もあって投資家層の裾野が広がってきている状況。ただし、現状の発行額は、手厚い日銀買入オペを前提として成り立っている部分もあり、今後を考えると、1,000億円程度の減額が望ましいと考えている。
・中期や短期ゾーンについて、昨年度までは安定的なマイナス金利政策の下、日銀買入オペに支えられる形で非常に安定的に推移していたが、イールドカーブ・コントロール運用柔軟化による連続指値オペの廃止、また、マイナス金利政策解除観測と、今後の金融政策の不透明感が増している状況と考えており、国債の償還期間長期化の観点に加え、中期的な借換債発行抑制の観点からも5年、2年、更にT-billの各年限で2,000億円程度の減額余地があると考えている。T-billのうち6Mについては、コロナ禍の中でTBとしても発行されてきたが、現状は正常化に向かっている過程と認識しており、TBとしての発行は止め、FBのみに戻すのが自然と考えている。
・流動性供給入札について、残存5-15.5年以下のゾーンについて増額余地があると考えている。このゾーンは日銀買入の大きい影響が出ており、6年ゾーンの浮動玉が非常に少なくなっている。また、10年指値オペに入っている10年債の366回債から368回債について日銀保有が90%を超えている状況で、今後、チーペストになる銘柄であることを考えると、流動性に対する懸念が徐々に大きくなってきている。そのため、残存5-15.5年の流動性供給入札に関しては1回の入札当たり1,000億円~2,000億円の増額余地があるのではないかと考えている。

・これまで令和2年度の補正以降で大幅に増額されてきた中で、来年度の発行額が借換債中心に今年度対比大きく減額することを踏まえ、TBなど短期債中心に減額することが基本路線と考えているが、同様に増額されてきた利付債についても、金利上昇に伴う需要の減退やGX国債発行を見据えて一定程度の減額の余地があると考えている。
・まず減額の優先順位が一番高いのは20年債と考えており、その規模としては1回の入札当たり2,000億円前後と考えている。当該年限は超過収益狙いで購入する投資家が多い年限であったが、足元の入札では度々テールが観測されており、その背景としては、今年度に入ってからの金利上昇幅が大きく、20年債で超過収益を取りに行く必要が薄れていると思っている。
・続いて5年、10年債は、来年度もGX国債が5年、10年で発行されると推察しており、その場合、両年限とも、少なくとも1回の入札当たり1,000億円程度は減額可能と考えている。
・なお、足元の日本銀行の大規模買入により、日本銀行の保有比率が上がっている回号も多々あることから、流動性供給入札について残存5-15.5年のゾーンと共に残存1-5年のゾーンについて1回の入札当たり1,000億円増額する余地があると考えているが、この場合、5年債と10年債については、さらに1,000億円ずつ減額する余地もあると考えている。なお、日本銀行の保有比率が一定割合を超えると、流動性が低下するという指摘もあり、日銀保有比率の高い既発債を増発することで、市場流動性を回復することは、今後の国債発行の安定消化に資すると考えている。
・中短期については、2年債やT-billは相応の規模で減額可能と考えている。2年債は1回の入札当たり数千億円程度は減額可能と考えており、T-billも6Mを中心に減額可能だと思っている。6Mについては、TBからFBへの移行などを含めて対応することで、国債の発行額を減額できると考えている。
・減額時期については、特に足元の入札でテールが出やすい年限については、今年度の1-3月期からの減額も充分に視野に入ると考えている。

・本来は来年度の利付債の発行を据え置いても消化は可能と考えているが、今年度を通して見ると、円金利のボラティリティ、タームプレミアムが拡大し、特に20年債の発行には高いボラティリティが伴っているという傾向が見られ、20年債に関しては1回の入札当たり1,000~2,000億円の減額余地があると思う。
・5年債と10年債に関しても、今後発行されるクライメート・トランジション利付国債の年限を考慮すると1回の入札当たり1,000~2,000億円の減額余地があると思う。
・30年債と40年債に関しては、据え置きを希望する。主要投資家の2025年に向けたデュレーションミスマッチの修正は最終段階に来ているが、市場が落ち着き金利上昇する局面では、最終投資家の潜在需要はまだ根強いと考えている。
・流動性供給入札に関しては、残存5-15.5 年のゾーンで1回の入札当たり1,000億円の増額を希望する。SLFの利用残高が高止まりしていることからも分かるように、やはり恒常的にショートになりやすい銘柄が多く存在するので、増額することでマーケット・メイクが行いやすくなるし、市場流動性の改善に一部寄与するのでないかと考えている。
・当局から説明のあった、コロナ以降に増えた発行額を減らしていくにあたっては、基本的には日銀買入オペとの見合いを念頭に、市中に与える影響を限定的になるように減額していくことが適当ではないかと考えている。

・他の参加者と大きく意見に差はないかと思う。20兆円近い減額を前提とするのであれば、多くは短期債での対応が軸としつつ、その上で利付債の減額を検討することになる。これまでの意見にあったように流動性供給入札の増額にニーズがあることや、GX国債も出てくることに鑑みると、利付債を減額しなければ少し負荷がかかる展開になる。
・利付債の中で減額を最優先すべき年限は20年債という意見は他の参加者と同様。ただ、30年債も減額余地はあると思っており、今年、金利上昇局面の中でも超長期セクターの地合いは軟調で、デュレーションのミスマッチも基本的には殆ど埋まってきつつあると認識。従って、この先に更に金利が上昇した場合に需要が更に高まるとは言い切れず、反対に減少に転じるような金利水準となることも将来的には視野に入るかと思うので、超長期ゾーンの発行全般には減らす余地はあると思っている。そのため、超長期ゾーンでは20年債・30年債それぞれ減額余地があると見ている。
・5年債と10年債については、需給が非常に堅調ではあるものの、今後、金融政策の正常化の中で、10年の金利形成がより市場に委ねられるようになった際には金利上昇の可能性があるほか、GX国債の発行年限とも重なっていることもあり5年債・10年債については減額が妥当だろうと見ている。
・2年債も減額余地はあると思う一方で、短期債の減額の規模によっては、市場における担保玉の急激な減少を招くというところも同時に意識される。そのバランスを取る必要があるが、昨今の2年債の弱さを見ていると、減額されても仕方がないのかなと見ている。
・減額幅については、各年限、基本的にはあまり色をつける必要はないと思っており、1回の入札当たり1,000億円ずつといった減額で妥当ではないか。
・流動性供給入札については、1回の入札当たり500~1,000億円の規模で、残存5-15.5 年及び残存1-5年の双方について増額が妥当だと考えている。
・1-3月期からの減額の前倒しについて、確かに20年債の減額という声が大きいだろうな、というのはありつつ、足元ではむしろ金利低下の局面に入ってきている。ショートカバーニーズもあり、例年、年末・年度末にかけて超長期セクターはアウトパフォームしやすい地合いというのが散見されることを踏まえると、そこまで急いで減額する必要があるのか多少疑問に思う。むしろ、例えば1Yや6Mの来年度の発行が1兆円近く減るようなことが仮にあるのであれば、担保繰りの変化に備えて、こうした短期債の発行減を先行して1月からやってもよいのかなと考えている。

・大枠としては、コロナ前と比べ増額されている短期ゾーンを中心に減額すべきという他の参加者と同意見である。
・利付債は30年以下の年限でそれぞれ減額ができると考えており、その中でも重要性という意味では他の参加者と同じように20年債の減額が最も重要と思っている。20年債は投資家の減少が最も著しいゾーンであり、コロナ前と比べ1回の入札当たり3,000億円増額していることもある。往時は金融緩和が継続する中で、10年ゾーンから20年ゾーンへイールドハントの動きが長期化したこともあるが、現在は日本銀行が政策正常化へ踏み出す、まさに金利上昇の入口の局面にあり、今年起きた急激な需給の悪化は、来年にも再度起きる可能性が高いと考えている。減額については、来年度と言わず、1月早々にも行うのが妥当と考えている。
・減額の優先順位が2番目の年限は2年債。コロナ以降大きく増発されてきたゾーンだが、往時は金融緩和が長期間続くとの見通しや、担保ニーズを支えに、好調に入札が消化されてきたところだが、来年1月にも短期金利が上昇しうる中で、担保ニーズや運用ニーズは相対的にかなり落ちてくると考えており、ここの減額の優先順位も高い。
・こうした政策変更に応じて、機動的に発行サイドも調整することで、中長期的な発行コストの抑制に繋がると考えている。

・他の参加者の意見と同様。基本的な減額の方針としては今まで増えてきた短期国債を中心に減らすのが正しい。その観点からすると、2年債は担保玉という面で短期国債とも関連があるので、そこを見ながら必要であれば減らすという形になる。担保玉も、特に日本銀行の政策修正が今後行われた場合には需要が減ってくる可能性があるので、そういった意味では減らせないことはない。
・長期債は、入札における安定消化を目標とするのであれば、やはり入札の予見性、需要の予見性が大事。その点、特定のセクターで大量に減額することは避けた方が無難。基本的には1回の入札当たり1,000億円ずつの減額、もし必要なセクターがあれば1回の入札当たり2,000億円の減額、そのような形で減額を考えることが適切だろう。
・減額の優先度としては、他の参加者の意見と共通で、20年債が一番高い。今まで20年債を購入していた主体、例えば地銀なども10年以下に移ってきており、そういった流れは今後も続くと見ている。一方で、金利が仮にもっと上昇した場合には、生損保勢の需要が30年債・40年債から20年債に移ってくる可能性があるが、足元は、米国でも金利低下が警戒されるような状況になっていることを考えると、日本銀行の急速な緩和修正は必ずしも来年実現されない可能性がある。こうしたことを考えると、20年債は帯に短し襷に長しのセクターになる状況が暫く続く可能性が高く、1回の入札当たり1,000億円ないしは2,000億円の減額が可能と考えている。減額の時期については、例えば2,000億円の減額を行う場合では、段階的に減らしていく方が市場へのインパクトを避けられ、そういった場合は例えば1月から1回の入札当たり1,000億円減らし、4月からもう1,000億円を段階的に減らす方が適切と考えている。
・その次としては30年債。20年債の需給との兼ね合いもあり、仮に20年債を1回の入札当たり2,000億円減らす場合には、足元は減額を見送り、需要を確認する必要がある。仮に20年債を1回の入札当たり1,000億円の減額に抑えるのであれば、30年債・40年債のどちらかを減額可能と思われ、その場合は、40年債はこれまでの市場育成の結果、かなり投資家需要も増えており、アクティビティも増大しているので、30年債の減額の方が優先される。
・5年債・10年債については、先ほどからの意見の通り、GX国債を睨みながら、1回の入札当たり1,000億円程度の減額は可能と考えている。
・流動性供給入札についても他の参加者と同じで、残存5-15.5年、もしくは残存1-5年に増額余地はあると考えているが、来年の発行計画は、減額の量が大きいので、現状維持となっても、必ずしも大きな問題は起きないと考えている。

・概ね同様の意見だが、利付債の中で減額の優先順位が一番高いのは20年債。理由を付け加えるならば、例えば2019年に米中対立が始まり、コロナを経て、2021年までの期間に、例えば第一地銀だけで、超長期の累積買い越し額は5兆円を超えており、信連や第二地銀を合わせると恐らく1.6倍以上になると思われる。今後の金利上昇局面の中では、各社で対応の仕方も異なると思われ、実現損を出せない銀行はベアファンドを購入することも考えられるが、体力ある銀行は損切りをするという選択肢があることは確かであり、例えばその額が5分の1と仮定しても、地銀からだけでも1兆円近く潜在的な売りニーズが増えることを勘案すると、20年債の1回の入札当たり2,000億円程度の減額は無難だろう。
・時期に関して、現在は金利低下局面にあり、20年セクターは店頭のフローもかなりに売りに偏っている印象を受けるので、1月からの減額も可能であると考える。
・更に30年債に関して、金利上昇した場合は確かに生保から入替等を含めて、一定程度ニーズが高まってくるとは思うが、実際今期1.9%前後まで金利上昇していた時期に、生保の買い越しが圧倒的に増えたというわけではなかった。2025年の規制対応に向けてデュレーションの長期化が進捗してるという感触を持っており、30年債は1回の入札当たり1,000億円程度の減額は可能だろう。
・40年債について、昨年末対比、唯一超長期ゾーンでフラットニングしているのが30年-40年のスプレッドであり、需給の良さを象徴している。よって超長期セクターに関して、40年債だけは据え置きでよい。
・10年以下のゾーンについては、他の参加者の意見と全く同様である。

・概ね他の参加者の意見と一緒で、減額は幅広い年限で必要かと思うが、その際に市中での価格形成がどのようになされているかという点を特に注視している。30年債・40年債は、日銀買入比率が相対的にかなり低いセクターで、ほぼ市中消化で価格形成されているという観点から、減額候補としては優先度が一番低い。
・その点からすると、中期・長期・超長期の20年債は日銀買入比率がかなり高く、市中の需給による価格形成がかなり低い。今後日本銀行の金融政策正常化に伴い、買入れも減ることが予想され、日本銀行を代替する投資家のポテンシャルを考えると、5年債・10年債は、金利上昇時にかなり幅広い預金取扱系の投資家からニーズがあると考える。一方20年債は、金利低下局面において、イールドハントの動きで投資していた地銀・年金等のアペタイトが下がってしまい、日本銀行の代わりとなる受け皿が少ないと考えるので、20年債は減額の優先度が高い。
・但し、5年債や10年債も、今後GX国債が発行されることや、日本銀行の寄与度が下がってくるであろうことから、減額の対象として優先度はあると考えている。

3.  令和6年1-3月期における物価連動債の発行額等について

〇令和6年1-3月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債の発行額等については、P.33のとおり、令和5年度発行計画では、1回の入札当たり2,500億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。また、P.34のとおり、買入消却についても、「市場の状況や市場参加者との意見交換も踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。本日は、令和6年1-3月期における発行額等について、ご意見をお伺いするもの。

・令和5年10-12月期については、P.35のとおり、市場の状況や市場関係者との意見交換を踏まえ、11月に発行額2,500億円で入札を行う一方、買入消却入札を毎月200億円実施することとした。発行入札及び買入消却入札の結果はそれぞれP.36、P.37のとおりである。

・流通市場の状況については、P.38のとおりである。本邦のBEIは、足もと120~140bps程度のレンジで推移している。

・こうした中で、皆様から事前にご意見を伺ったところ、BEIは堅調に推移しているものの、物価連動債の流動性の改善や投資家層の裾野拡がりはなお限定的との声が多く聞かれ、全ての参加者から、令和6年1-3月期における発行額と買入消却額については、現状維持が望ましいとのご意見を頂戴した。

・また、コロナ禍以降実施を見合わせている第Ⅱ非価格競争入札の再開時期については、市場への大きな影響なく再開可能とのご意見があった一方で、需給環境を見極めた上で適切なタイミングを慎重に判断してほしい旨のご意見も頂いた。

・こうした経緯や皆様のご意見も踏まえ、P.39に当局の提案をお示ししている。令和6年1-3月期については、令和5年10-12月期と同様、2,500億円の発行入札を1回行うこととしつつ、毎月200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。また、第Ⅱ非価格競争入札の再開時期については、今後の入札等の状況や、市場動向、皆様のご意見を踏まえつつ、慎重に検討・判断していきたいと考えている

・なお、2・3月の買入消却の対象銘柄については、過去の取り扱いに倣い、3月に償還を迎える18回債を除くこととしたい。

・以上、物価連動債市場についての状況とそれを踏まえた当局案についてご説明した。当局としては、平成25年の発行再開から約10年が経過し、償還を迎える銘柄が出てくる中、今後の物価連動債市場の育成は、国債管理政策上の重要な課題と考えている。

・令和6年1-3月期における発行額等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしている。今後の物価連動債市場への見方を含めて、改めて皆様のご意見を頂戴したい。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・提案されている発行額や買入消却の頻度・金額等については支持する一方で、第Ⅱ非価格競争入札の再開については反対。
・投資家の裾野は引き続き広がりを見せてないように見えている。8月、11月入札は低調な結果となっており、ヒアリングベースではあるが、極めて一部の国債市場特別参加者に落札が偏っていると認識。
・足元、BEIは堅調に上昇基調をたどっており、1.3%台で推移しているが、上昇するにつれて、需要が低下している。
・仮に、足元の状況で第Ⅱ非価格競争入札を再開させた場合、来年度、最大で1,000億円程度の追加発行になるが、今の環境だと、その規模でも軽視できる量ではないと思っており、基本的に当面は足元までの発行と買入のバランスを維持してマーケットの育成に努めることが適当と考えている。
・一方、中長期的な目線では、1銘柄当たりの発行量の少なさが投資家の投資意欲を削いでいるという側面も一部の声としてはあるため、市場流通量を増やすという意味では発行量を増やしつつ、同時に買入消却額も増やすことも考えられる。その場合、第Ⅱ非価格競争入札は発行額が予測しづらいので、カレンダーベースで発行額を増やして、それに対応して買入消却や日銀買入も同時に増やすという予見性の高い方法が、市場の育成に繋がると考えている。

・現状維持を支持。
・8月、11月の入札はやや低調な結果だったが、BEIは比較的安定的に推移している。
・店頭フローを見ても、海外投資家・国内投資家含め、投資家の裾野が広がっているとは言えないが、現状、四半期2,500億円の発行に対して、日本銀行と当局の買入れで2,400億円となっており、市中に残る物価連動債の金額はほぼない状態であるため、第Ⅱ非価格競争入札を再開しても特段問題はないと考えている。
・来年3月から18回債が償還を迎えると、市中の物価連動債がどんどん減っていくという状況になる。来年度の国債発行計画の話になるが、発行額を3,000億円に戻す機は熟していると考えるため、その前段階として、第Ⅱ非価格競争入札を再開しても問題ないと考えている。

・現状維持の提案に概ね賛成ではあるが、第Ⅱ非価格競争入札の再開については慎重な姿勢を維持してほしい。
・これまで、オフ・ザ・ラン銘柄の需要が弱く、カレント銘柄へのニーズが強かったが、足元、CPIの高まりを受けて、手前のオフ・ザ・ラン銘柄に需要がシフトしており、カレント近辺については、一旦高止まったBEIを受けて需要自体は増えておらず、逆に減ってきているというのが現状と思っている。
・実際、11月になってから輪番オペや買入消却の応札倍率は増えている他、物価連動債の入札の結果自体はそこまで弱くはないが応札倍率は落ちている。また、日銀買入に入っている銘柄もカレントに近い銘柄が応札されるようになってきていることからもカレント近辺の需給悪化が客観的に観測されていると思っている。
・足元、高いCPIを背景に手前の方に需要が見られているが、海外に目を移すとグローバルのインフレは徐々にピークアウトしてきている状況であり、日本についても先日の東京CPI等で見られるとおり、徐々にピークアウトを迎えようとしている局面であることを踏まえると、今見られている手前の方の需要が今後も継続するかどうかは不明確であるため、物価連動債の発行増額については慎重な姿勢を維持するべきだと考えている。

4.  令和6年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について

〇令和6年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P.41のとおり、令和5年度発行計画では、
(1)令和4年度と同様残存1-5年ゾーンについては3.0兆円、残存5-15.5年ゾーンは6.0兆円、残存15.5-39年ゾーンについては3.0兆円とし、合計で年間12.0兆円を発行することを想定しつつ、
(2)最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。
これを受け、本日は、令和6年1-3月期におけるゾーン毎の発行額等について、ご意見をお伺いするもの。

・P.42のとおり、令和5年10-12月期においては、残存1-5年ゾーンについては、奇数月に5,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,000億円、残存15.5-39年ゾーンについては、偶数月に5,000億円の発行とした。これらの結果はP.43~P.45のとおり。

・こうした中で、令和6年1-3月期の流動性供給入札について、皆様から事前にご意見を伺ったところ、全ての参加者から現行の発行額等を維持することが適当であるとのご意見を頂戴した。

・これを受け、P.46にあるとおり、令和6年1-3月期における発行額の当局案を作成した。引き続き、残存1-5年ゾーンについては、奇数月に5,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,000億円、残存15.5-39年ゾーンについては、偶数月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。

・令和6年1-3月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様のご意見を頂戴したい。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・流動性供給入札は非常にニーズがあるため、引き続き現状維持、もしくは、他の参加者からは来年度の国債発行計画での増額希望があった程なので、1-3月は現状維持しつつ、4月以降に増額することを希望する。

・現状維持という当局の提案に賛成する。来年度の発行計画の話でも他の参加者から意見があったとおり、残存5-15.5年ゾーンについては日銀買入オペの影響で市中残高が少なく、需給のタイトな銘柄が多いことから、それに伴って強い入札結果が続いている状況である。ただし、発行総額が一定であるという制約の中で考えると、その他のゾーンとの需給調整が必要な段階ではないと考えるため、1-3月については現状維持で構わない。
・来年度については流動性供給入札の発行額の増額をぜひ検討してほしい。

5.  最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・イールドカーブ・コントロールの更なる柔軟化と米長期金利の上昇を受け、10年国債利回りが11月1日に0.97%と1%に迫ったことで、日本銀行の上限の目途を超える際、日本銀行がどう対応するのかが注目されたが、その後足元までの相場は多くの市場参加者の予想に反した展開となり、アメリカでは雇用統計やCPI等、10月の経済指標やFRB関係者の発言などを受けて、早期の利下げ転換という観測が広がり、米長期金利は昨日4.16%まで低下している。また早ければ年内、又は来年1月に日本銀行のマイナス金利政策を解除するといった見方も後退し、10年国債利回りは今日、0.62%まで低下している。このように相場環境が思わぬ方向に変化したため、先物のショートカバーや、現物でもショートデュレーションを埋めるといった動きとなり、需給が利回り低下を加速させた面もあったと思う。
・今後の見通しについて、依然、多くの市場関係者は、来年前半までに日本銀行がマイナス金利政策を解除すると見ているが、そのコンセンサスに沿っても米国経済がソフトランディングに成功し、FRBが来年3月に利下げ転換して、年末までに政策金利を1.25%~1.5%引き下げるというのが今の見込みであるので、米長期金利も相応に低下すると思う。その際、我が国の10年国債利回りが、日本銀行の上限とする1%を超えて、持続的に上昇するような展開にはならないと考えている。ただ、9月の本会合でも発言したが、個人的には未だに全く違う意見を持っており、FRBやECBの金融政策運営がリセッションを招き、結局、日本銀行は政策変更に踏み切れないのではないかと、現在も考えている。そういった予想外の環境が訪れると相場の動きは加速し、11月の相場は、その縮図だった可能性もないとは言えないと思っている。従って、これも世の中の予想と全く違うが、来年、10年国債利回りは0.25%を割り込んでいくと予想している。

・足元、10月、11月の頭ぐらいまでの金利は非常に上がっており、長期金利は1%まで迫っていたほか、イールドカーブ・コントロールについても長期金利の上限を徐々に引き上げてきたことで事実上の撤廃という感じもしていた。しかしながら、足元、米金利の低下がみられ、これは、ただのマーケットのショートカバーだけでなく、CPIもしっかりと下がりファンダメンタルズに則った部分もあると思っており、米国の早期利下げ観測が強まる中で、日本国債についても金利が下がっている。おそらくショートカバーは多少あるのだろうが、ある程度の金利低下は致し方なしと思っている。
・先行きに関して、FRBが11月に利上げをしなかった理由は、パウエルFRB議長の発言に見られるように、長期金利が上昇したことによって金融環境が引き締まったため、利上げの必要がなくなったことが大きかった。この点、このまま米金利が低下し続けると、FRBとしては喜んでいられない状況になりかねない。マーケット的には、来年3月の利下げが織り込まれているが、逆に言うと、マーケットが前のめりになればなるほど、実際にFRBが動ける時期が後ずれしてしまう可能性すらあると思う。
・11月の頭の時点の最も金利が上がったタイミングでは、マーケットは、日本銀行はマイナス金利政策を解除したあと、せいぜい頑張って年1回ペースでの利上げを続けると見込んでいたが、FRBの利上げのタイミングや、為替の動向次第では、日本銀行が来年2回以上利上げをしていく可能性すらあると考えている。その際には、中期ゾーンの金利が0.5%を大きく超え、中期ゾーン中心にベアフラット化するというリスクもあると思う。見通しの持ち方に対して極めて不確実性が多い。
・来年のFRBの見通しを含めて、幅広く様々なシナリオを考えていく必要があるのではないか、と考えている。

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700