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日時 令和4年3月22日(火)

場所 書面にて開催

内容
1.令和4年度における名目利付債のリオープン及び入札方式について

〇令和4年度における名目利付債のリオープン及び入札方式について、理財局から以下のように説明を行った。

・翌年度の名目利付債のリオープン及び入札方式については、毎年3月の本会合において議論し、皆様の御意見を踏まえて決定することとしている。本日は、令和4年度における名目利付債のリオープン及び入札方式について皆様の御意見をお伺いするもの。

・10年債については、平成27年度以降、償還日が同一の国債を発行する場合で、かつ、前回債の表面利率と入札日の市場実勢の乖離が概ね30bps以内の場合には、リオープン発行としている。
 この点につき、事前に皆様から御意見をお伺いしたところ、多くの参加者から、現行方式を支持する御意見を頂戴したが、複数の参加者から、10年債も原則リオープン方式に変更すべきとの御意見を頂戴した。
 当局としても、市場が大きく変動した場合には新発債として投資家需要を喚起する余地を残しつつ、そうでない平時にはリオープンとなることで市場の流動性を高めることができるとの考え方から、令和4年度においても、現行方式を維持してはどうかと考えている。

・20年債・30年債・40年債のリオープン方式については、令和3年度は、20年債・30年債は年間4銘柄、40年債は年間1銘柄でのリオープン発行(原則リオープン発行)としている。
 この点につき、事前に皆様から御意見をお伺いしたところ、現行方式を支持する御意見を全ての参加者から頂戴した。
 当局としても、市場の流動性を高めることができるとの考え方から、令和4年度においても、現行方式を維持してはどうかと考えている。

・次に、40年債の入札方式について、令和3年度は、発行増額を踏まえて利回りダッチ方式で様子を見るべきとの御意見や、依然他の年限と比較して遜色ない程度の流動性は見られていないとの御意見等を踏まえ、利回りダッチ方式を継続したところ。

 ・令和4年度の40年債の入札方式について事前に皆様から御意見をお伺いしたところ、複数の参加者から、令和4年度も発行増額となったことを踏まえ、市場の成熟度や今後の市場育成の観点から、価格コンベンショナル方式への移行を希望する御意見を頂戴した。

・もっとも、将来における価格コンベンショナル方式へ移行の必要性は認識しつつも、来年度も40年債の発行増額となるため入札結果の安定性や市場での消化状況を見極める必要があることや、高いボラティリティや超長期ゾーンの急速なスティープ化がみられる現在の市場環境にあっては利回りダッチ方式であることの安心感が大きいこと等から、多くの参加者からは、利回りダッチ方式を維持すべきとの御意見を頂戴した。

・以上のように、価格コンベンショナル方式に移行すべきという御意見は昨年度に比べても増加しているが、引き続き、参加者の数・落札シェアのいずれでみても利回りダッチ方式を維持すべきという御意見が多数であった。

・当局としては、これらの御意見等を踏まえ、発行計画上増額となる令和4年度において、P.3のとおり、利回りダッチ方式を維持することによって安定的な消化を図ることが望ましいのではないかと考えている。

 ・令和4年度における名目利付債のリオープン及び入札方式については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・現行方式の維持となる当局の提案に賛成する。40年債の入札方式については、来年度も超長期ゾーンのボラタイルな展開が予想され、かつ1,000億円増額の1回あたり7,000億円発行となる事から、利回りダッチ方式の継続を希望する。

・マーケットの流動性確保のために現行のリオープン方式を維持する当局の提案に賛成する。また40年債の入札方式については将来的には価格コンベンショナル方式への移行の議論は必要だと考えるが、現状ではまだ他年限対比流動性が低く、市場の安定性のために利回りダッチ方式を維持する当局の提案に賛成する。

・流動性維持の観点から現状通りのリオープン方式を支持する。

・リオープン方式については当局の提案が適切と考える。入札方式については引き続き価格を指定せず購入したいという需要が多い事から40年債だけではなく他の年限についても利回りダッチ方式が適切だと考える。

・今後も日本銀行による国債買入オペが相応には継続されることが予想される中、基本的にはリオープン発行となりやすい状況が望ましいと思料する。しかし一方で、10年債においては、金利変動が大きくなった際には、既発行保有の簿価との関係や、当該入札銘柄の大幅な単価変動により、一部の投資家にとって買いにくい状況となる可能性にも留意すべきと考える。超長期ゾーンについては、一部年限及び銘柄で需給格差が広がってきている。こうした年限間および銘柄間の需給格差を少しでも抑制するためにも引き続きリオープン発行が望ましいと考える。40年債においては、投資家のすそ野が広がりつつある一方、来年度からは増発も開始されることから、需給動向を注視すべきであり、安定消化のためには、当面利回りダッチ方式とすることが適当と思料する。

・10年債および20年債、30年債のリオープン方式は現行通りの案を支持する。特に超長期債についてはリオープンが確定していることで、レポが急速にタイト化する中にあっても現物債の流動性が保たれており、マーケット・メイクのしやすさにつながっていると考える。
 一方、40年債については、発行されて以来かなりの時間がたっていることや、茲許の増額で流動性が増してきている事を考慮すると、他ゾーンと同様に価格コンベンショナル方式へ移行する方が望ましいと考えている。

・当局の提案で問題ないが、将来的には5年債も含め原則リオープン方式に変更することを検討する必要があるのではないかと考える。

・40年債の入札方式は、価格コンベンショナル方式を支持する。
 投資家の裾野は拡がりを見せており、増額を控えているにも関わらず他年限対比のスプレッドは安定的に推移している。市場育成の観点においても他年限同様の価格コンベンショナル方式への移行が現時点で可能だと考えている。

・落札上位陣の意見に従う。

・例外を設けず、全ての名目利付債において原則リオープン発行、価格コンベンショナル方式での入札が望ましいと考える。

・CTD銘柄の発行額が少なくなる可能性を排除するため、原則リオープン方式が好ましいと思料する。ただし、国内投資家の要望に沿った制度が国債の安定消化に資するため、強い意見はない。

・10年債についても原則リオープンを希望する。10年債で1回または2回発行の銘柄ができてしまうと3年後にその銘柄が先物のチーペスト銘柄になった時の限月交代の際に発行量、市中残額が少ないが故にボラティリティが発生してしまいマーケットが不安定化する可能性がある。入札方式は現状と同じ方式でよい。

・日銀買入の規模を踏まえると、市場流動性維持の観点からも現状の発行方式を維持することが適当と考えている。

・40年債の利回りダッチ方式継続に賛成する。更に、利回りダッチ方式から価格競争に変更された後に発行額が増え続けている超長期ゾーンに関しても安定発行・安定消化の観点から、利回りダッチ方式への回帰を提案する。

・(10年債)グローバルに金利上昇圧力がかかる中、日本についても金利上昇懸念が燻っているものの、現在の金融政策(YCC)を踏まえれば、10年債が数か月の間に30bps以上金利が変化することは難しい環境にある為、実質的に足元の方式は原則リオープン発行に近いと考えている。同ゾーンは日本銀行の買入が1月あたり17,000億円のペースで行われており、1銘柄当たりの流動性を確保する観点から、現状維持を支持する。
 (超長期債)発行額については、引き続き1銘柄当たりの流動性を確保する観点から、現状維持を支持する。また、40年債については、入札の応札倍率が優位に上昇基調にあるとは言えず、引き続き投資家層が限定されていることもあり、現行通り利回りダッチ方式が望ましいと考える。

・10年債に関しては日本銀行の大規模な買入が当該年限で続いており、かつ、金融政策の操作目標である現状を踏まえるとカレント債には相応の流動性が求められる。その為にも日本銀行の操作目標である間、10年債は原則リオープン発行を希望する。


2.令和4年4-6月期における物価連動債の発行額等について

〇令和4年4-6月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債については、P.5のとおり、令和4年度発行計画では、補正後の令和3年度発行計画と同様、1回の入札当たり2,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。また、P.6のとおり、買入消却についても、「市場の状況や市場参加者との意見交換も踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。本日は、4-6月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・1-3月期については、P.7のとおり、市場の状況や市場関係者との意見交換を踏まえ、2月に発行額2,000億円で入札を行う一方、買入消却入札を従前の毎月500億円から毎月200億円へと大幅に減額して実施することとしたところ。発行入札及び買入消却入札の結果はそれぞれP.8、P.9のとおりである。
 
・流通市場の状況については、P.10、P.11のとおりである。この半年程度の推移をみると、BEIは振れを伴いつつも上昇しており、特にごく足元では、ウクライナをめぐる地政学リスクが高まるなか、原油価格高騰等も影響して一段と上昇している。また、銘柄別の動きをみても、バラつきは引き続き大きいものの、全ての銘柄でBEIが上昇している。
 
・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、ここ数か月間の物価連動債市場では、金融政策の転換への警戒感から売られる場面も見られた一方、原油価格等の影響からインフレ期待が高まっており、現状の発行額と買入消却額はバランスしていることから、殆どの参加者から、引き続き4-6月期における発行額と買入消却額については据え置きとすることが望ましいとの御意見が聞かれた。

・他方、ごく一部の参加者からは、発行入札の結果が非常に堅調であること等から、買入消却額を据え置きつつ、発行額を増額することが望ましいとの御意見も頂戴した。
 
・当局としては、物価連動債市場の育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、令和4年1-3月期の発行額及び大幅減額後の買入消却額は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とした市況の大幅な悪化を受けた異例・臨時の措置からの正常化の未だ途上であると認識している。こうした考えに沿って、昨年12月の会合においては、令和4年4-6月期以降についても正常化に向けた検討を行いたいと考えているが、その際はこれまで通り入札等の状況・市況や皆様の御意見も踏まえつつ、慎重に判断していきたい旨をお伝えしていたところ。

・こうした経緯や皆様の御意見も踏まえ、P.12に当局の提案をお示ししている。令和4年4-6月期については、1-3月期と同様、2,000億円の発行入札を1回行うこととしつつ、毎月200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。

・なお、買入消却の対象銘柄については、令和3年度はカレント銘柄が大量に落札されてしまうことを避ける観点から、年度前半はカレント銘柄を含めないこととしたが、実施額が従前よりは減額されていることや、現状一部のオフ・ザ・ラン銘柄に落札が集中することがあること等を踏まえ、令和4年度についてはカレント銘柄も含めた全銘柄とすることとしたい。
 
・また、令和4年度における物価連動債のリオープン及び入札方式については、令和3年度と同様、年間1銘柄でのリオープン、価格ダッチ方式での入札としてはどうかと考えている。

・以上、物価連動債市場についての状況とそれを踏まえた当局の提案について御説明した。
 4-6月期における発行額等及び令和4年度における発行入札方式等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。
 なお、当局としては、今回お示しした案は未だ正常化の途上であると認識している。令和4年7-9月期以降についても正常化に向けた検討を行いたいと考えているが、その際はこれまで通り入札等の状況・市況や皆様の御意見も踏まえつつ、慎重に判断していきたい考えである。

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・原油等のコモディティ価格上昇を背景にグローバルなインフレ上昇が継続しており、物価連動債もこうした環境にサポートされる形で底堅い動きが継続しているが、海外対比では割安な状況は解消されていないとの認識である。また、流動性については、セカンダリー市場において日中殆ど出合いを伴わないまま価格が形成されていることや、相応の金額を売却するには日銀買入オペ、買入消却を利用せざるを得ない状況であることを勘案するに引き続き脆弱であると考えている。かかる状況下、一時期に比べ投資家の裾野は回復傾向にあるとは思うが、発行・買入のバランスを変更することは市場にショックを与えることになりかねないと考えているので、現状程度の発行額・買入消却額の継続を支持する。

・直近の堅調な入札結果を背景に、発行額に増額の余地があると考えている。現在の発行量はコロナ・ショック中の緊急措置として行われた発行減によるものという理解だが、コロナのマーケットに対する影響は薄れてきており、物価連動債の需給も改善してきている。段階的に以前の水準まで戻すべく、5月は500億円増額の2,500億円が適当と考える。

・当局の提案に賛成する。買入消却入札にて新発27回債を含める点にも賛成する。

・買入消却の減額以降、買入消却入札・日銀買入オペは軟調なものの、物価連動債入札は堅調に消化され、BEIも外部環境等を見ながら安定的に推移。総じてみると需給はバランスしている状況であり、発行額等据え置きとなる当局の提案を支持する。カレント銘柄を買入消却の対象とすること・現行の年間1銘柄のリオープン・価格ダッチの入札方式を維持することについても当局の提案に賛成する。

・当局の提案に賛成する。商品価格の上昇やグローバルのインフレ警戒の高まりを受けて、物価連動債のブレーク・イーブン・インフレ率も足元堅調に推移しているものの、まだ今後想定される日本における物価指数の上昇と比較とするとマイルドであり、需給的にも需要超ではない状況に見える。したがって、現状はまだ年初からの買入消却減額の需給への影響を確認する段階と考えており、発行額・買入消却額については現状維持が適切と考えている。

・発行額・買入消却額共に現状維持となるP.12の当局の提案に賛成する。買入対象銘柄についても異論はない。

・今後、日本のCPIの回復に伴い市場環境の更なる好転が見込まれる局面では、発行額を3,000億円に戻すことも検討して良いと考える。

・現状維持を支持する。昨今の市場情勢から、日本のBEIが大きく下落する想定はしていないが、投資家層が十分に拡大しているのかは疑問である。さらなる正常化にはより慎重な判断が必要だと考えている。

・当局の提案に賛成する。

・最近入札結果も強いので、発行額を増額するなら今かもしれない。1回1,000億円程度の増額は可能かと思う。

・グローバルでインフレが主要なマーケットテーマとなっており相場は、上昇傾向が続いているものの、価格が大きく下落する場面も見られている。目先携帯料金値下げ影響剥落による物価上昇が見込まれる一方、その後の状況はウクライナ情勢含め不透明であり、しばらくは現状維持で様子を見るのが妥当と考える。また、銘柄間の需給格差を抑制するために現状通りリオープンが望ましいと思料、投資家層の裾野の広がりが感じられないため、安定消化のために現状通り価格ダッチを希望する。

・当局の提案で異論はない。

・現状の市場規模や流動性等を踏まえると、発行額・買入消却額ともに現状維持が適当と考えている。


3.令和4年4-6月期における流動性供給入札の実施額等について

〇令和4年4-6月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P.14のとおり、令和4年度発行計画では、
 (1)残存1-5年ゾーンについては令和3年度から0.6兆円の増額となる3.0兆円、
      残存5-15.5年ゾーン・残存15.5-39年ゾーンについては、令和3年度と同様それぞれ6.0兆円・3.0兆円とし、
    合計で年間12.0兆円を発行することを想定しつつ、
 (2)最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。
 これを受け、本日は、4-6月期におけるゾーン毎の発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・P.15のとおり、1-3月期においては、令和3年度発行計画で想定されていたとおり、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の1月と3月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,000億円、残存15.5-39年ゾーンについては、偶数月の2月に5,000億円の発行とした。これらの結果はP.16~P.18のとおり。
 
・こうした中で、4-6月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、全ての参加者から、要望が強かった残存1-5年ゾーンの発行増額を反映しつつ、残存5-15.5年ゾーン・残存15.5-39年ゾーンの発行額を維持することが適当であるとの御意見を頂戴した。

・これを受け、P.19にあるとおり、4-6月期におけるゾーン毎の発行額の当局の提案を作成した。残存1-5年ゾーンについては発行計画での増額をそのまま反映し、奇数月の5月に5,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,000億円、残存15.5年-39年ゾーンについては、偶数月の4月と6月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。

・4-6月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・来年度より残存1-5年ゾーンが増額となることは望ましいことであり、今後の状況を見守りたい。残存5-15.5年ゾーン・残存15.5-39年ゾーンの両年限については、発行額と市場の需要が概ね見合っており、現状維持が望ましいと考える。

・現状維持を支持する。すでに前回会合で意見が多かった残存1-5年ゾーンの増額に対応してもらっているので、さらなる変更は必要ないと考えている。

・各年限で金額がバランスよく配分されており、証券会社のショートカバーや投資家需要に支えられ安定的に消化できていることから、現状と同程度の配分が適当と考えている。

・当局の提案で異論はない。

・まずは当局の提案の残存1-5年ゾーンを1,000億円増額した形の3つのゾーンすべて5,000億円で実施するのがよいと考える。増額してもなお残存1-5年ゾーンのニーズが旺盛なことが確認されたのであれば、3つのゾーン間での発行額の調整を今後考えればよい。

・P.19の当局の提案に賛成する。

・当局の提案に賛成する。残存1-5年ゾーンについては隔月で1,000億円増額となっているが、需給でイールドカーブが歪むことも多く引き続き増額余地は大きいと考えている。

・当局の提案に賛成する。

・基本的には各ゾーンとも相応の需要が見込まれると考えられる中、短中期ゾーンは日本銀行保有比率が高いことからも、当局の提案の残存1-5年ゾーン増額(1回あたり1,000億円増額)を支持する(その他ゾーンは当局の提案の現状維持を支持する)。

・当局の提案に賛成する。


4.国債市場特別参加者制度(応札責任)について

〇国債市場特別参加者制度(応札責任)について、理財局から以下のように説明を行った。

・昨年11月の国債市場特別参加者会合(第96回)において、国債市場特別参加者の応札責任割合を「発行予定額の100/n%以上」に変更する旨お示しし、了承をいただいた。100/n%の端数処理について、事前に皆様から御意見をお伺いしたところ、殆どの参加者から、事務リスク低減の観点から1%単位が望ましい、との御意見があった。これを踏まえ、1%未満を切り上げることとする国債市場特別参加者制度運営基本要領(PD要領)の改訂案をP.21~23のとおり作成した。改訂案について、皆様の御意見を頂戴したい。 

・なお、PD要領の改訂は、令和4年3月31日を予定している。国債市場特別参加者の基準について定めた告示についても、同様の規定の整備を行う予定である。したがって、「発行予定額の100/n%以上」への変更は、令和4年4月1日以降に発行されるすべての国債から適用されることとなるので、御留意願いたい。

・応札責任割合については、PD要領の改訂日に皆様に通知させていただく。その後、国債市場特別参加者の異動があり、応札責任割合が変更となった際には、PD要領改訂案に記載のあるとおり、1ヶ月以内に皆様に通知する予定である。 

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・100/n%に1未満の端数があるときは、1未満の端数切り上げで問題ない。端数切り上げに伴う応札義務分の増加は限定的であり、投資家の応札スタンスに影響するものではないと考えている。

・安定消化の観点から、本件基本的に異論はないが、当該応札責任割合に変更があった際の通知については、変更初回入札時には直前のリマインドを行うなどの対応があると、ミスを未然に防ぐ観点から我々国債市場特別参加者としては助かる。

・当局の提案で異論はない。

・応札義務に関しては当局の提案に賛成するが、第Ⅰ非価格競争入札の見直しも提案する。国債市場特別参加者数が減少傾向にある中、応札責任割合の変更によって国債市場特別参加者の負担増が想定される。従って、第Ⅰ非価格競争入札の増額と言った措置を検討してもらうことを要望する。

・端数切り上げで問題ない。応札責任割合も基準落札係数のように都度連絡してほしい。

・P.21-23の改訂案について、特に異論はない。

・当局の提案に賛成する。

・大勢に影響はなく、計算を簡便にするためにも妥当であると考える。

・応札額に階段状の変化が生じてしまうため、発行額の大きさも踏まえると、好ましくない側面がある。小数点第一位まで応札責任割合とすることを希望する。

・当局の提案に賛成する。

・当局の提案に賛成する。


5.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・欧米金利の上昇に合わせて、日本国債市場では超長期ゾーンのボラティリティが大きく上昇し、イールドカーブはベアスティープ化。カーブ形状変化の背景は、主に金利上昇に伴う自然な変化だが、超長期ゾーンのボラティリティ上昇の背景は、ポートフォリオ毀損による投資家のリスク許容度の低下、年度末に伴う売買、さらには地政学リスクの発生、も要因であると考えている。よって、見通しのコンセンサス形成や、年度明けの投資家動向とともに市場は落ち着きを取り戻していくと想定している。

・年明け以降の海外市場での大幅な金利上昇を受け、日本でも5年債金利が2016年以来となるプラス圏に浮上、10年債金利は2月10日に0.230%を付け、2018年7月以来となる指値オペが発動された。10年債金利のレンジ大幅上方シフトにより、超長期ゾーンの適正水準が依然不透明な状況であり、特に2月以降は超長期ゾーンを中心に値動きの荒い展開が継続している。
 地政学的リスクの高まりがエネルギー価格の更なる高騰を招いており、グローバルでのインフレ率高止まりに寄与、年初から継続している各国中銀のタカ派姿勢が、暫く変わりそうには無い状況である。マイナス金利政策が導入されているECBにおいても、年内利上げを模索する動きが顕在化してきている。日本でもCPIが一時的に2%を超えて来る状況が予想される中、2023年春には総裁人事も控えており、金融政策正常化への懸念が燻り続けると考えている。
 YCC政策下であり、10年債の値動き自体は限定的になりそうな半面、10年債のレンジ上限近く(0.20%台)への金利上昇及び5年債のプラス金利水準定着を受け、従来の20年債への需要が10年債に、10年債への需要が5年債に、相当程度シフトしている印象であり、海外中銀のタカ派姿勢を受け「来年度は日本国債回帰」という声もゼロでは無いが、引き続き超長期ゾーンの需給悪化が懸念され得る相場環境との認識である。

・米国債市場を中心として金利上昇が続いており、日本国債もその影響を受けて荒い展開が続いている。10年債はYCCの影響で動きは限られるが、YCCの影響が及びづらい超長期ゾーンに関しては値が飛びやすくなったり、カーブの歪みが目立つことが増えている。国債投資家売買動向を見る限り、超長期ゾーンの需給が一気に崩れることはないとみられるが、超長期ゾーンの流動性低下が思わぬ動きに繋がる可能性もあるため、当局・市場参加者共に注意が必要になってきていると考えている。

・年明け以降、海外市場でのインフレ圧力に対する中央銀行スタンスの変化の影響でグローバルに金利上昇が発生し日本国債においても金利が大きく上昇している。今後も国内市場でも金融政策の方向性についての思惑から同様の現象が継続して発生する事が予想され、2022年はボラタイルな状況が続き、YCCのサポートを度々確認しにいく事になると考えている。

・全体感としては金利上昇傾向が続いている。要因として、海外の金利上昇や、日本銀行の政策正常化への思惑、期末を控えていることによる時期的要因等が挙げられる一方、日本銀行の10年25bps連続指値オペにより、カーブ形状への影響も注視する必要があると思われる。

・YCCが10年債利回りをしっかりと抑え込む状況が、当面は続くと想定される。しかしながら、市場では金利差を背景とした円安圧力も意識されており、日本銀行の金融政策変更の可能性を視野に、ここ数年よりもボラティリティの高い取引環境が続くと見られる。また、ECBの引き締めプロセスによって日本の政策金利水準が主要国の最低に転じ、資本フローに大きな変化が生じる可能性も意識される。

・3月の前半はリスクオフの流れで一時的に買われる時間帯があったものの、徐々に世界的な金利上昇の流れを受けて、国内金利も緩やかな上昇基調となっている。米国をはじめとする諸外国と日本銀行の金融政策の違いが大きく影響しており、しばらくは海外との金利差が拡大していくと考えている。

・FRBやECBもタカ派化する中で、日本銀行のみは政策正常化から離れた議論を続けており、金融政策の乖離が目立つようになった。そういった中で、茲許急速に円安ドル高が進行したのにもかかわらず、為替市場ではそのモメンタムは失われていない。仮に、今後モメンタムが減速したとしても、金融政策の乖離という構造的な問題が残る限りにおいて、円安ドル高という方向性は変わらないものと思われる。
 日本国債市場にとっては、急速な円安が進めば、金融政策の正常化という思惑がどうしても入るものと思われる。もちろん、指値オペなどで金利水準そのものは抑えられるだろうが、緩和的な措置を行えば更に為替市場では円安を加速させると思われるし、一旦は指値オペで金利上昇圧力が抑えられたとしても、為替市場に視線が集まれば再び金融政策正常化の思惑が出てくると思われる。金融政策が変わらない限りは、円安ドル高が繰り返され、金利も上限を試す展開が出てくると思われる。来年の黒田総裁の任期満了も相まって、金融政策との絡みで言えば、今後も金利は上値を試す展開になりやすいと考える。
 一方、来年度以降を見渡すと、コロナ融資やコロナオペの大部分が終了するに伴い、運用資金が日本国債へと流入することが想定される。これが、金融政策の思惑がある中でも日本国債への需要を高める要因となるのだと考える。
 このように、売り買いともに交錯しやすい環境にある中で、適正なマーケット・メイクを行い、円滑な市場の発展に寄与していきたいと考えている。当局ともそういった観点で、今後ともコミュニケーションを一層深めるように努めてまいりたい。

・海外中銀の金融政策スタンスの変更が、日本銀行の早期政策修正への思惑を増幅させており、急激かつ大幅な金利上昇に投資家も手を引いて様子を見ている。10年金利25bpsでの指値オペがオファーされたことでいったんは売りが落ち着くかと思われたが、かえって10年ゾーンのショートカバーを誘発してしまったことで、他ゾーン、特に超長期ゾーンが大きく売られる展開となった。海外金利が大きく上下する中にあっては、引き続き国内金利も振れの大きな展開が続くものと思われる。

・今年に入り、(1)日本銀行の金融政策変更の思惑、(2)米金利上昇&FRBの利上げ、(3)ウクライナ情勢、などを材料に利回り水準が切り上がった後、上下動した。ただ、2月14日に日本銀行が実施した指値オペは0.25%を超えての10年債利回りの上昇を防ぐ役割を現状、果たしている。超長期ゾーンを中心に投資家の押し目買いが散見される。もっとも、既に購入した部分で含み損を抱える向きも少なくなく、積極的な買いという感じではない。加えて、オフ・ザ・ラン銘柄を中心に流動性の回復は極めて限定的な状況と言える。
 今後に関し、4月以降、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は2%を超える可能性が高まっており、(1)の思惑は度々利回り上昇要因として認識されよう。(2)は日米金利の連れ高を想起させる。しかし、米国債のイールドカーブ変化はツイストを含めてフラット化が妥当と考えられる。したがって、10年債利回りは基本的に0.25%を超えることはないと予想する。(3)は引き続き不透明要因である。ロシアの経済制裁の長期化は世界経済にスタグフレーション的インパクトを与えやすい。なお、これに(2)、FRBの積極的利上げ及びバランスシート圧縮が重なれば、株価急落など一気にリスクオフが進む可能性も排除できない。
 10年債利回りは0.10~0.25%がコア・レンジと判断している。

・日本銀行の政策と当局の発行額次第で市場は動くので、ぜひ落札上位陣の意見を最優先していただきたいと思う。

・米国で利上げが開始、グローバルに金融正常化に向かう中、日本銀行の金融政策に対する先行き不透明感も意識され、国内債券市場は年初より超長期ゾーンを中心に、不安定な状況にある。かかる状況下、1回毎の入札に対する市場へのインパクトは従前以上に増していると見受けられ、日本銀行の国債買入スタンス次第では市場のボラティリティが一段と上昇するリスクもあると思っている。引き続き当局間での丁寧な連携と市場との密なコミュニケーションを継続してもらえれば幸いである。

・物価高を背景にした海外金利動向に沿って動意が出ていた日本国債市場であるが、日本銀行の指値オペによって特に金利上昇時の動意が急速に乏しくなりつつある。また今年も、ファンダメンタル等を反映することがほとんど出来ない日本国債市場という大変残念な状況が続いてしまうのかと憂慮している。

・前回会合時点では金利は低位で推移し需給の引き締まった状況となっていたが、海外金利の急上昇により日本債券市場もやや不安定な推移となっている。資源・食糧価格の上昇、円安による輸入物価上昇、国民生活への影響軽減のための追加経済対策と金利上昇要因が残り、引き続きボラティリティの高い状況が続くと見ている。今後はコロナ感染が収束し経済が正常化を果たしても成長率が上がらず、財政が健全化に向かわない場合、格下げの可能性が高まることを懸念している。

・海外の金利動向に比べて、国内の国債金利は比較的限定された動きになっている。しかし、超長期ゾーンを中心に変動幅は拡大しており、来年度増額される40年債など需要動向には注意したいと思う。

 

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財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700