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日時 令和3年11月29日(月)16:00~17:10

場所 財務省 国際会議室 / オンライン

内容 令和4年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について
○令和4年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について、理財局から以下のように説明を行った。

・11月26日に公表した令和3年度補正予算に伴う国債発行計画の見直しについて、新規国債の増加額は約22.1兆円となった一方で、財政融資資金の余裕金等を活用すること等により財投債を30兆円減額することとした結果、国債発行総額は11.6兆円、カレンダーベース市中発行額は9.2兆円、それぞれ減額することとした。

・令和3年度のカレンダーベース市中発行額は、短期債に大きく依存した形となっており、金利変動に対して脆弱な資金調達構造となっていることから、カレンダーベースの市中発行額の減額9.2兆円は短期債のうち6カ月物の減額に充てることとした。

・こうした見直しの結果、国債発行総額については、令和3年度当初の236兆円から、令和3年度補正では11.6兆円減の224.4兆円となっている。

・また、カレンダーベース市中発行額については、令和3年度当初の221.4兆円から、令和3年度補正では9.2兆円減の212.2兆円となっている。短期債の市中発行額に占める割合を見てみると、令和3年度当初の37.6%から34.9%に減少し、コロナ前との比較では依然として高い水準ではあるが、正常化への第一歩となったと考えている。

・国債発行残高の推移については、令和3年度補正予算に伴って国債発行総額は減額したものの、財投債を除く普通国債で見ると、新規国債の発行額が大きく増加した結果、普通国債の発行残高は令和3年度末の見込みで1,004.5兆円となった。

・国債の平均償還年限については、フローベースで見ると、令和2年度に新型コロナ対応で大幅に短期化したものの、その後徐々にその是正が図られてきている。ストックベースで見ると、令和2年度にやや短期化したものの、大きな変動は見られていない。

・ストックベースの平均償還年限について諸外国と比較してみると、イギリスを除けば、日本は主要先進国の中では比較的長い水準を維持している。

・現在の国債管理政策の課題について、まず、国債管理政策の基本的な考え方は、①確実かつ円滑な発行により資金を確実に調達すること、②中長期的な調達コストを抑制すること、の2つであり、そのために、市場との対話を丁寧に実施していくこととしているところ。こうした基本的な考え方は、今後も維持していく予定。

・内閣府の中長期試算に基づき、令和4年度以降も令和3年度の当初予算の発行計画の年限構成割合を維持したものとして、財投債や復興債を除き将来の国債発行額を試算すると、内閣府の中長期試算は今年7月の数字であり、今回の補正予算については含まれていない点に留意する必要があるが、来年度以降も高い水準で短期債の発行が続いていくこととなり、その結果、今後も借換債の金額、ひいては全体の発行総額が同程度の水準で続いていく、という見込みとなっている。

・したがって、今後様々な経済状況を見ながらではあるが、今回の補正予算のように発行総額を減少させていけるようなフェーズでは、増発した短期債の減額を通じて借換債の発行額の抑制に努めながら、市場のニーズを踏まえた発行年限割合を考えて行く必要があると考えている。

・現在の国債のイールドカーブの形状については、20年・30年の手前あたりで相対的にみるとやや需給の緩みが見られる形になっている。

・日銀による国債買入れの動向について、日銀の国債買入比率を見ると、イールドカーブ・コントロールの導入以降、特に10年超の国債買入比率は低下傾向にある一方で、1年超10年以下のゾーンでは依然6割程度を維持している。日銀の国債保有残高の対前年同月比を見ると、足元では日銀の国債保有残高は減少傾向にある。本年6月の国の債務の在り方に関する懇談会での議論にあるように、日銀の金融政策、国債買入れの考え方が国債市場や金利に与える影響にも留意する必要がある。

・日銀が国債保有割合を増加させてきた一方で、銀行等は近年国債保有割合を減らしてきたが、足元ではやや増加に転じている。これは担保需要の増加等が寄与していると考えられる。

・生命保険会社については、国債保有額は概ね横ばいで推移していたところ、足元では増加傾向にある。年限別にみると、負債側のデュレーションにあわせて残存10年超の国債保有額が多い状況。

・地方銀行については、国債保有額は減少傾向にあったものの、足元ではやや増加に転じている。年限別にみると、足元では残存10年超の国債の保有額が大きく増加している。

・個人投資家については、個人向け国債の2021年度の発行額は、前年からのコロナ禍の影響と、昨年10月から実施している手数料体系の見直しによる証券会社等のキャンペーン効果の減少で、発行額が減少している。一方、償還額については、前年度の発行額が減少したこと等により、中途換金額も減少しているが、満期償還額が対前年比で増加しており、償還額は増加。

・コスト・アット・リスク分析で、令和3年度当初計画の年限構成割合を基準に、ランダムに2,000パターンの利付債の年限構成を生成し、コスト・リスクの関係性について分析を行ったところ、令和3年度の当初計画を横置きした場合と比較して、①20年債、2年債については、発行割合を減少させた場合、コスト・リスクともに減少する傾向、②10年債については、発行割合を増加させた場合、コスト・リスクともに減少する傾向が見られた。

・今年度の国債発行計画について、現時点での当局の基本的な考え方は、今年6月の国の債務管理の在り方に関する懇談会での資料にある通りであるが、① 新型コロナ対応で短期債の市中発行割合は4割程度まで増加しており、安定的に発行・消化していく観点から今後短期債を減額していく予定であること、② 短期債の減額とあわせて利付債を増額するのではなく、国債発行総額を抑制することで短期債を減額していく予定であること、③ 40年債について、市場規模が相応に拡大してきている一方で、投資家層の拡大が課題、と考えており、投資家層の拡大が確認できて今後更に増額する場合には、毎月発行化やコンベンショナル方式への変更が課題、と考えていることが主なポイント。

・40年債市場と30年債市場の拡大の経緯について比較すると、40年債は2007年の発行開始から14年が経過し、市場規模が拡大するなど市場としての成熟度は高まってきたものの、未だ年6回の入札とする等、他の年限と異なる取り扱いを行っている。

・超長期ゾーンのスプレッドの推移について、40年-30年スプレッドについては、昨年度は2~3bps程度で概ね推移していたところ、今年度に入り一時的に9bps程度まで拡大したものの、足元では4~5bps程度で推移している。

・残存15.5年-39年ゾーンの流動性供給入札の状況について、2020年度以降の落札状況を見てみると、20年債、30年債、40年債のカレント銘柄に近い残存年限の落札が多い状況であり、例えば残存38年-39年については、1回平均600億円超の落札があるところ。

・流動性供給入札の応募倍率については、残存1年-5年ゾーンは、今年は4倍以上の水準で推移し足元では5倍超、残存5年-15.5年ゾーンも4倍前後の水準で推移している一方、残存15.5年-39年ゾーンは2倍に近い入札も存在しているところ。

・日銀の金融システムレポートによると、金融機関の円債投資にかかる金利リスク量は、既往のピークの水準となっており、新型コロナ感染症の拡大以降、財政支出の拡大等を背景とする預金流入の拡大もあって、いずれの業態も投資残高を増やしてきており、リスク量が増加している。金利リスク量の増加は金利急騰のリスクを伴いうることに留意する必要。

・国債市場特別参加者の応札責任の見直しについて、国債の確実かつ円滑な発行の観点から、現行の「発行予定額の5%以上」を「nを国債市場特別参加者の数とし発行予定額の100/n%以上」に変更することを提案したい。割り切れない場合の取扱いや周知期間等、制度の詳細について検討した後、令和4年度初めからの適用を予定している。


○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・来年度の発行計画について、当社としての意見は主に3点ある。1点目は、40年債について、今年度から隔月1,000億円発行額が増えているものの、依然として需給が逼迫している状況に変化がなく、マーケットにとって発行をさらに増やした方がよい状況にあると考えている。現状の2ヶ月に1回だと発行月と発行がない月でかなり流動性に偏りが生じているので、発行量がやや増えてしまうが、4,000億円×12回の毎月発行へと移行していくのが望ましいと考えている。
 2点目は、物価連動債について、世界的なインフレが高まる環境下において、物価連動債への投資拡大が世界的に見られている。現状の1回の入札当たり2,000億円というのはコロナ対応において減額されたもので、前回の入札を見ても茲許入札がかなりしっかりと決まっており、当社の店頭で見えている海外投資家からの需要を考えても来年度発行額を1回の入札当たり3,000億円に戻すことが適当だと考えている。
 3点目は、流動性供給入札について、現状の国債市場は、日本銀行の長期に渡る金融緩和によって、オフ・ザ・ラン銘柄中心に市場の流動性がやや低下してきていることを、日々日本国債を売買していると感じるところ。前年度も強く要望したが、来年度こそ流動性供給入札を増やしてもらいたいと考えている。特に残存1-5年以下の部分は当局の資料にもあるように応札倍率も非常に高く、なかなか思うように買えないという状況が続いているので、思い切って規模を増やしてもらいたい。さらに少し難しいこととは知っているが、流動性供給入札は3セクターに分かれて実施されているので、短いセクターと超長期のセクターは隔月入札となっているが、3セクターとも毎月入札にしてもらえると、より国債の流通市場にとっては望ましいと考えている。その分、2年債には減額の余地があると思うので、2年債のカレント銘柄の発行を減らして、流動性供給入札にもっと厚めに配分してもらえると国債市場の流動性向上にかなり役立つのではないかと考えている。

・主に1点伝えたい。来年度の発行計画に関しては、40年債の増額を希望する。1回の入札あたり6,000億円になった時に不透明感から一時スプレッドは拡大したが、結果として実際に発行されると、当局の資料を見ても非常に安定的に推移しているという状況である。加えて、隔月発行だとどうしても業者のカバーがしづらかったり、需給に偏りが見られるので、例えば30年債対比で流動性というのは少し欠けている状況になってしまっていると思うので、毎月発行で増額することが好ましいと思う。
 現状のイールド・ダッチ方式は、思わぬ高い値段で決まることが現状でもあると思うので、不必要なボラティリティを生むことが実際にあると思う。既に発行から期間がかなり経過している状況であるので、他年限同様、より市場全体の需要を反映できるような価格コンベンショナル方式への切替えを希望する。今までよりも流動性が高まりやすい環境を作っていけば、どうしても現状では、最終投資家の一部の需要に振らされている状況ではあるが、よりRVの投資家の参加など、30年債を主に投資している最終投資家のお客様も40年債への投資へ振り向けると考えているため、増額と毎月発行と価格コンベンショナル方式への移行を希望する。
 他年限に関しては、特段希望はないが、流動性に関しては同じく残存1-5年のところは国内・海外ともに強い需要があるので増額が可能だと考えている。

・従前の追加の経済対策による国債増額があるのかないのかという思惑もありながらここまで直近推移して来たわけだが、あるとしても短期債で一旦賄って、その後は短期債中心に減額していくということがメインストーリーとして、その中で利付債の部分に果たして増額余地があるのかどうかといったところ。
 大きく分けて、10年債以下と10年債超で違うというのが当社としての意見である。当局の資料にもあったが、10年債以下の年限に関しては、依然として日銀買入に強く依存しているという状況が続いているということである。したがって、本質的な需要と言うか、投資家が本当に需要があるのかといった観点で言うとやや10年債以下のところに関してはそういった本質的な需要に乏しいのではないかという意見である。
 一方、10年債超の部分は、かつては日銀買入がかなりあったが、段階的に減っていくという状況にあって、現状10年債以下と比べると非常に買入れの規模が小さい、その中でも安定的な推移が続いているということであるので、まず10年債以下と10年債超といった観点で言うと10年債超に増額余地があるといえると思う。その中で20年債、30年債、40年債の3年限を比較した場合、結論から言うと優先度は40年債だとの認識である。40年債のところは投資家の需要が旺盛であるということ、20年債、30年債、40年債は発行額がそれぞれで違うが、発行額対比での需要の強さが40年債にあると考え、したがって、40年を最優先すべきと考える。
 一方、20年債、30年債に関しては、20年債のところもヒストリカルで見ると例えば10年債対比のスプレッドというのはかなり縮小して来てはいるが、10年債以下の年限の利回りが非常に低いために消去法的に20年債を買っているという投資家が多く見られることから、このような状況が見られると思う。したがって、10年債の外部環境であったり、あるいは日銀買入のスタンスの変化によって金利が上がっていくという局面になってくると、仮に増額した場合、需給面で不安が出てくる可能性があると認識している。30年債に関しては、30年-40年と20年-30年のスプレッドの比較の表にもあったが、20年-30年についてはスプレッドが一定程度維持されているという状況にあるという状況かなと思う。それに対して、30年-40年はヒストリカルな推移で見ても縮小傾向にあるので、30年に関しては20年に対してのスプレッドがある程度確保されているという観点から需給の逼迫感は薄いということになる。結論としては、40年が最優先ということになる。
 1つの案としては、隔月で1,000億円の増額というところをまずやっていくという形なのかなと思う。ただ、当該年限における投資家の裾野の広がり、市場が成熟しつつあるといったことを鑑みて、これまでの隔月発行を毎月発行に移行するということになるのであれば、現状の隔月6,000億円をそのまま半分にして3,000億円ということになると、1回の入札あたりの発行額が少額過ぎるといったことによって安定消化に支障を来す可能性があると考えるので、適切ではなくて、やるのであれば毎月4,000億円と考えている。
 流動性供給入札について、全体感としては、発行額と頻度、それに対する市場のニーズは概ね見合っていると感じているが、一部残存1-5年に関しては、需給の逼迫が恒常化している銘柄も一部見られているという中で、直近の入札も非常に強い結果であったこともあり、このゾーンについては増額を希望したいと考えている。

・最近の市場環境を見ると、オミクロンという新しいタイプのウイルスが出てきて、比較的株価には大きな影響を及ぼしているが、金利に関してはそれほど大きな影響を及ぼさない、むしろボラティリティが低い状態が続いているというような状況で、外部環境への変化への反応も鈍く、金利の機能度という面では、低下している状態が変わっていないのではないかと考えている。
 こういった状況が、日本銀行が行うオペと国債の入札のタイミングでの売買が多くなっているということに影響を及ぼしているのではないかと考えている。
 今後の発行に関しての当社からの意見は主に3点ある。1点目としては、40年債の発行に関して、今の発行頻度とサイズでは少し流動性が低くて投資家の方からも必要量買えないというような意見を頂戴しており、どちらかというと押し目買いに徹しているというような感じで、前回の入札でも入札トレードが頻発することによって、入札でカバーしようとするとどうしても割高な入札になってしまう、場合によってはそれが在庫の増減にも結び付くということがあるので、もう少し40年債の発行を増やしていく方向に進んでいくのがいいのかなと考えている。
 直近では30年-40年スプレッドが4~5bps程度、この1年で見ても大体1~8bps程度ということで、20年-30年スプレッドが現状20bps程度であるが30~20bpsで推移していることを考えると、もう少し発行を増やすことによって、40年債の金利が上昇もしくは30年-40年のスプレッドが拡大し、投資意欲が増すことによって投資家層の拡がりを促すことができるのではないのかと考えている。とりあえず現状の隔月で6,000億円の発行から隔月で7,000億円、もしくは毎月の4,000億円への発行増というのを提案したい。
 2点目について、流動性供給入札、特に残存1-5年のゾーンについては、海外の投資家からのASWベースでのニーズも非常に高く、貸借市場においても非常にタイトな銘柄が多く、マイナス20~30bpsでトレードされている銘柄が非常に多くある。そういった銘柄を2か月に1回の頻度で買い戻しに行こうと思ってもなかなか買い戻しができないというような状況も頻発しているので、隔月で4,000億円とは言わずやはり隔月で5,000億円程度への増額が必要ではないのかなと考えている。
 最後に、物価連動債について、おそらく次の国債市場特別参加者会合で議題になるかと思うが、当局が買入消却で500億円程度ずつ毎月買っており、日銀買入オペもあることから、発行額に対して買入額が非常に大きな額になっている。日本銀行の国債補完供給オペにおいても、ほぼ毎日物価連動債が調達されるような状況が続いているので、ひとまず発行量を増やすということもあるが、とりあえず買入消却を減らしていくということが必要ではないのかなと考えている。

・国債発行計画について、40年債の増額を希望する。超長期ゾーンの中でも需給を考えると、30年-40年のスプレッドや20年-30年のスプレッドを考えても、やはり40年債のタイトさというのが目立っているというのが足元の状況であり、引き続き増額の余地があるのかなと考えている。
 具体的には、隔月6,000億円の発行から4,000億円の毎月の発行に切り替えていくタイミングなのかなと考えている。ただし、超長期債全体の需給に関してはやや緩んだ状態にあると認識しているので、40年債の増額を行うのであれば、30年債の減額も一考の余地があるのかなと考えている。

・40年債については、4,000億円の12回というのが望ましいと考えている。ただし、今の6,000億円の隔月発行というのも決していけないということではないと思う。と言うのは、当面については2025年までに向けてのICS対応により足元の生保の需要は旺盛だと思うが、その後も同じかどうかということが見極めにくいということなので、増やしてもいいけれども、どうしても増やした方がいいというほどではないと思われる。
 物価連動債等については、特にコメントはない。
 流動性供給入札についても、とりあえず今の発行額で需給がバランスしているという見方である。
 市場全体については、イールドカーブ・コントロールのために10年債がかなり抑えられていると同時に、10年債利回りが今の位置にあることで、日銀買入オペが少ない超長期ゾーンにおいても金利が抑えられている、或いは上昇するときも急に上がるというよりは少しずつ上がるというような形になっているのではないかと思う。リフレについて、日本はインフレ率が上がらないという見方の方が大勢であると思うが、ある種ペントアップCPIのようなものがあると思うので、そのあたりの時に市場が反応しやすいのはやはり10年債ではないかと思われるので、その時に需要が残っている超長期債の方の増額というのは、その点でも望ましいのかなと思う。

・増額の優先度が高いのは40年債で4,000億円×12回とすべきだと考えている。ただこれだけだと年間1.2兆円の増額となり需給がかなり軟化するリスクがあると思うし、その際に代わりに30年債を減らしたとしても、今度は30年債が足りなくなる可能性があると思う。また、どこに増額の影響が出るかというと15.5年超の流動性供給入札になるだろう。現状、流動性供給入札と40年債を両方合わせると、平均して毎月4,000億円程度発行されているペースだと思うが、これを40年債だけで毎月4,000億円ということにすると、残存15.5年超の流動性供給入札の既に低い応札倍率が一層下がって40年債と需要がとも食いになる可能性があり、40年債入札が毎月発行になると流動性供給入札と入札月が重なる場合が出てくると考えられるので、そのあたりの懸念が大きいのかなと考えている。したがって一気に年間1.2兆円増額するというよりはその分例えば隔月でやっている残存15.5年超の流動性供給入札の実施額を1,000億円減らして調整するといった方法が一つ考えられるのかなと思う。そしてその減らした分については、残存1-5年の流動性供給入札に充当することでセクター間の歪さを改善させることができるのではないかと思う。

・残存20年超の需給状況については、特に残存25年超について生損保勢の需要が強いため、毎月1,000億円程度の増額であれば問題ないと思う。40年債の入札頻度に関しては、残存15.5年超の流動性供給入札とのスケジュールの兼合いもあり、需給状況に偏りが生じてしまう場合もあるので、必ずしも毎月発行でなくてもいいのではないかと考えている。また入札方式については、コンベンショナル方式への移行の声もあったが、近年海外投資家を中心に必ず買いたいというオーダーが増加していることもあり、当社としては他の年限も含めダッチ方式が適切なのではないかと考えている。
 物価連動債については、今世の中ではインフレが旬なトピックであり、いずれは増額を検討する必要があると考えているし、年度途中から増額するという余地もあるのかなと考えているが、まずはバイバックを減少することが優先なのではないかと考えている。
 残存10年以下の年限についてはイールドカーブ・コントロールの影響下であり、ある程度の増額であれば問題なく消化できると思っている。日本銀行はイールドカーブ・コントロールの下、場合によっては国債の買入額を増やすという選択がなされる可能性があるので減額は適当でないと考えている。
 流動性供給入札については、残存1-5年ゾーンについては需給がタイトになることがあるので、増額が適切だと考えている。

・日本国債の状況については、海外金利対比イールドカーブ・コントロールがかなり効いている状況でこじっかりしている印象である。日本銀行が3月末に「当面の長期国債等の買入れの運営について」のアナウンスをしたことで、日本銀行が日本国債市場に想定外に介入する可能性について市場参加者が考える必要が薄れ、海外金利に素直についていくことが増えたという印象である。
 今後の日本国債市場の見通しについては、10年債は5~10bpsのレンジで推移するのではないか。今後の金利変動要因については海外金利の変動や、国内要因では発行計画がどのようなものになるかということが考えられる。2022年度の発行計画では、前倒債の削減や税収の増加により、あまり増額はないのではないかというのがマーケットのコンセンサスになっているかと思う。
 2022年度の発行計画について、国債市場特別参加者が20社まで減っており、2020年の国債発行増額以降、我々の視点では入札前時点で適切な水準でこなすことができるのか冷や冷やする入札があるのは事実で、実際にテールが出る入札も散見される。40年債については毎月入札の話が出ており、証券会社の立場からすると流動性の観点からやりづらいというのもあるのかもしれないが、40年債については増額を続けてきて応札倍率が上がっているかというと2倍程度で定着しているのが現状で、いきなり4,000億円×12回に増額したとして、入札後の投資家含め市場で吸収しきれるかは疑問が残るところ。我々としては金利が大きく変動すると困るし、40年債が崩れるとそれに合わせて30年債、20年債も崩れていく可能性が懸念されるので、慎重でもいいのではないかと感じている。今後コロナがどうなるかも不透明なわけであるし、一気に移行するというよりは、例えばまずダッチ方式をコンベンショナル方式に変更する等少しずつ移行していくのがいいのではないか。
 短期債については2021年度の発行計画において減額を行い、償還年限の長期化が一定程度果たされ、こちらについては中期的には進めていくべき事項であると考えている。一方でコロナが今後どうなるかにもよるが、現状としては担保ニーズがかなりあり、需給が逼迫し短期金利がかなり低下している。コロナが収束に向かい、オペの金額の変化であったり担保ニーズが緩んできてから短期債の減額を進めるという方法でもいいのかなと考えている。最近の短期債の発行量減額のペースがかなりきつい印象である。ただこの点については、様々な意見があるであろうし、どうしても短期債を減額しなければならないのであれば、流動性供給入札の1-5年ゾーンを増額するなどして調整を行うのがよいのではないか。

・国債発行計画について、業態上ALM的観点・リスク管理上の観点から超長期債へはなかなか手が出しづらいゾーンであり、一部20年債に投資・保有したりすることも勿論あるが、なかなか現状の環境ではそこまで大きく投資対象としにくいということで今のところは現状維持でもよいのかなと考えている。
 一方で中期、あるいは短期債については預金見合いという点からはマイナス金利を買っていくことは難しいものの、担保ニーズという点で一定の需要が継続していることもあり増額を希望しているが、一方でやはり国債の安定消化をこれから続けていくという点での長期化という点ではやむをえないことにはなっていくと思うので、そこの点を考慮して徐々に長期化する、短期債の発行減についても急に減らすのではなく、ゆっくりやっていくということでもよいのではと思う。
 流動性供給入札についても、使い勝手がいい形態だということで我々も活用しており、利付債の発行の増額よりも流動性供給入札の方を先に増額する方が好ましいのではないかと考えている。
 市場全般の状況について、これだけグローバルにインフレが話題になって海外金利が上昇を始めているというところでも日本国債の金利は非常に落ち着いており、やはり日本銀行の大規模な買いで量的・質的金融政策が効いていると認識している。金利水準そのものに効いているということもあるし、流動性という点でも発行時にハンドリングしやすいという点で日銀買入は非常に影響を及ぼしていると思うので、その点について足元では安心感がやはりあるが、この政策がいつまで続くのか、日銀総裁の任期も見えるところにきており、この動向について非常に気にして見ている。

・40年債の増額をほとんどの方が希望されており、それは全然いいと思うが、たくさん落札している方の意見を優先するべきであり、その方々がそれでいいというのであれば、ぜひ増やしたらいいのかなと思う。ただし、入札を最近見ても、イールド・ダッチ方式で入札を実施している物価連動債・40年債は、非常に強い結果が出てきており、イールド・ダッチ方式で実施しているから強いのではないかと思っているので、これを機に価格コンベンショナル方式に変えたらいいのではないかと強く思っている。
 流動性供給に関しては、他の市場参加者の意見を聞いているとすごくニーズがありそうであり、増額を希望するのは我々もそうであるので、ぜひ希望したい。
 残存10年以下に関しては、やはり日銀買入に依存しているので、増やされようが、減らされようが、市中での残りは日銀買入となると思うので、あまり影響ないのかなと思っている。

・我々からは流動性と40年債の2点言いたい。
 40年債については、昨年度来、当社店頭を見ていても国内外のリアルマネーのニーズが徐々に高まってきているということで投資家層が拡大している。それに伴ってカーブで取り組むような方々も参戦してくるということで、投資家層の幅・量・質ともに拡大傾向ということになっている。増額しても大丈夫ではないかと思っているが、増額の規模ということに関しては、いきなり毎月4,000億円というところよりは、隔月1,000億円の増額というところで様子を見るというほうがよいのではないのかなと考えている。今年度増額して1回スプレッドが拡大して、1回縮んできてというところであるので、課題としては、毎月発行化というところと価格コンベンショナル方式への移行ということがあると思うが、徐々にこなしていくということでよいのかなと考えている。
 流動性供給入札については、特に残存1-5年のニーズが非常に強く、残存5-15.5年に関してもニーズが高いと考えている。増額余地というところで言うと、流動性供給入札には増額余地が大きくあると考えている。一方でそこを増額した場合、トータルの金額を維持するのであれば、2年債なり5年債なりを減額しながら流動性供給入札を増額するということが、マーケットの安定消化、流動性の提供に資すると思っている。
 また、2ヶ月に1回だと、なかなかカバーが難しい状況であるので、難しいところではあるが全ての年限において流動性供給入札を毎月実施してもらうとマーケットの安定に資すると考えている。

・短期債の減額については賛成する。流動性供給入札については、残存1-5年の増額余地があると考えている。物価連動債については、発行増というよりは買入消却額の減額が先で、その後に発行増を考えるという意見である。
 超長期ゾーンについては、20年債、30年債、40年債据え置きでよいのではないかと思っている。昨年度とは異なり、海外市場ではテーパリング、早期利上げが模索されている状況で、今年度に入って日銀買入も超長期ゾーンは月1回まで減らされているような状況であるので、今年度は比較的安定しているが、いつどのタイミングで需給不安、相場がいつ大きく崩れてもおかしくない状況ということで、超長期ゾーンの増額については慎重に臨むべきではないかと思っている。
 今年度の相場を見ていると、40年債について、昨年度発行の13回債と今年度発行の14回債とのスプレッドがじわじわと拡大しつつあり、他の参加者の方からは40年債への需要は集まっているとの意見があったが、40年債のカレント銘柄は手前のオフ・ザ・ラン銘柄に対して割安化している状況で、昨年度は30-40年のスプレッドが2~3bpsで推移していたという当局の説明があったが、今年度については、13回債と14回債のスプレッドがもう1bps超えてくるような状況で、必ずしも40年債のカレント銘柄に需要が集まっているという状況ではないのかなと思っている。
 今年度の超長期ゾーンの流動性供給入札を見ると、4月は増額懸念で落札を手控えられた印象であったが、6月・8月・10月の流動性供給入札については、残存35-39年ゾーンが毎回1,500億円程度発行されていて、オフ・ザ・ラン銘柄には一定の需要が引き続き観測されているのかなと考えている。
 30年債は引き続き生保勢の主要投資先であり、30年債のオフ・ザ・ランの需給は緩んでいるけれども30年債のカレント銘柄は比較的強いと考えると投資家からの需要は強いのかなと思う。そうすると、今議論されている、40年を毎月発行、4,000億円×12ヶ月にする場合は超長期ゾーンの需給懸念というところで、30年債の減額か流動性供給入札の減額という意見が出てくると思うが、需要があるところを減らして、需要の薄い40年債のカレント銘柄を毎月発行、4,000億円×12ヶ月にすることは現状難しいのかなと思う。方向性については、毎月発行、コンベンショナル方式への移行は賛成ではあるが、現段階では増額を検討するとしても隔月7,000億円、1回の入札あたり1,000億円の増額に留めておいた方が今の需給環境においてはよいのではないかなと考えている。

・40年債の増額については要望していないし、流動性供給についても残存1-5年ではなく残存5-15.5年の増額を要望している。
 増額ということであれば、すごく乱暴なことを言うと残存10年までのところはイールドカーブ・コントロールがあるわけだから、ものすごく増やしたら日本銀行がものすごく買わなければいけないわけであり、ものすごく減らしたら日本銀行が買入をものすごく減らさなければいけないということで、ある意味全く問題ない。
 ただし、国債市場の育成とか最終投資家にしっかりはまるという本来の意味からすると全く違う議論になってくるのではないかなと思う。そういった意味では、当局の資料15ページの左側の「日銀による国債買入比率の推移」で、健全な市場というのは基本的に10年超しかない、ということが示されている。細かく20年債・30年債・40年債の需給にしか健全性がないというようなことなのかなと考えており、そこを重視するのであれば我々は40年債の増額を要望してないが、これだけ各国債市場特別参加者から40年債の増額の要望があるということであればここの増額が考えられるということなのかなと思う。
 それとここまで単純化するわけではないが、30年債が発行開始してからの毎月発行に至るまで15年度かかっている。40年債は今年度で発行してたぶん16年なので、そろそろ毎月発行なのかなという感じもするが、事を急いではという感じもするので、毎月発行の前に隔月で増やしておいてそこでダッチ方式から価格コンべンショナル方式にし、年度を変えて毎月発行というのが妥当なところだと思う。
 マーケットの動きに関しては、イールドカーブ・コントロールがあって残存10年までは守られている。さらに、超長期ゾーンについても、金利の期間構造、タームストラクチャーがあるわけで、残存10年までが固定されているのであれば超長期ゾーンまでの利回りが一方的に上がるわけはない。したがって、超長期ゾーンのところはそんなに心配なく増額しても、例えば40年債だけで1%になるということは今のカーブ上ではあり得ないわけだから、そういうところを懐深く考えるのであれば増額の余地があるのかなということだと思う。
 グローバルにインフレ懸念というのが生じているが、個人的には今こそ頂点であってこれから先というのは一定に供給制約というのは解消されていくのではないかなと思う。いくらイールドカーブに守られているといっても日米の長期金利の連動性というのは高いので、やっぱり米長期金利の先々が気になる。ただ、今の環境下で供給制約中心にインフレが長続きするのであれば成長率が落ちていくことになるので基本的にイールドカーブのツイストも含めたフラット化の中で吸収されるので、米長期金利のピークもそんなに高くないかなと思う。ただ気になるのは、実質金利が大幅にマイナスなのでこれから先テーパリングを終えて、発行も減っていくので当面は心配ないが、実質金利がゼロになるとそれだけでも1%上がる余地があるのでそこだけは不透明感が強いのではないかなと思う。ただ、それを踏まえた上でもイールドカーブ・コントロールが存在するということだと思う。
 我が国の物価は、来年4月には携帯電話料金の引下げの影響が剥落することによって上がってくるわけだが、それでも日本銀行の展望レポートを見ると1%に届かないと日本銀行自身も言っているわけであり、それを信じようかということだと思っている。

・40年債の発行増を希望する。その際に、40年債の発行は隔月から毎月発行に変更して、1回の入札当たりの発行額を半分にしてしまうと3,000億円になってしまうが増額と合わせて毎月4,000億の発行を検討してほしい。加えて、今までは毎年1銘柄でやっていたが、顧客のニーズの中にはより長い債券を欲しているという部分が強いので、よりデュレーションが長い債券を発行するという意味で半年1銘柄に変更するというのも1つ大きな課題になってくると考えている。
 超長期ゾーン全体の動きとしては、生保勢含めて買入額が増えていると考えており、40年債も今後購入額を増額する可能性が非常に高いと考えている。また、特徴的なのは今までは金利水準に応じて買入額が大きくなったり小さくなったりしていたが、足元では定例化しており、隔月で発行すると、発行があった月は市場流動性が高くなる、一方で発行がなかった月は需給が引き締まりマーケットが不安定になっているので、そういった意味では毎月発行にして投資家のニーズをしっかりと引き出すということが安定的な発行に繋がってくると考えており、毎月発行で需給の平準化を図り投資家に運用計画を立てやすい形で作ってあげるというのが大事であると考えている。
 流動性供給入札については、発行増を検討してほしい。特に、残存1-5年のところの需給に関しては、逼迫している時間が長すぎるということもあるので、1,000億円増ではなくて2,000億円増という形を希望している。そうした背景としては、金利が緩やかに上昇していくことによって日本国債回帰が進んでいくということと海外投資家のすそ野の広がりが投資家ニーズの多様化を生んでおり、足元新発債で発行されるカレンダーベース以外にもオフ・ザ・ランの債券もニーズが非常に高いという状況であるので、例えば2年債を減額して残存1-5年ゾーンの流動性供給入札を増額することで市中残高や市場流動性をならしながら安定的な発行に繋げていき、流動性供給をうまく活用していくことが今後の課題と考えている。
 物価連動債については、足元需給が良くて価格の上昇が続いており、いままで苦しんでいたのが嘘のような状況になっているが、一方ですそ野が広がっているのかと言われるとまだそこまでではないという認識で、すそ野が広がっていないということはショックに弱いということなので、増額で補うよりも買入額等を減額することによって市中の流動性をコントロールしていくことが市場の育成において重要と考えている。

 

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財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700