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日時 令和2年11月26日(木)16:00~17:20

場所 財務省 国際会議室 (オンライン開催)

内容

1. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
2. 令和3年度国債発行計画等の策定に向けた現状と課題について

○令和3年度国債発行計画等の策定に向けた現状と課題について、理財局から以下のように説明を行った。

・令和3年度国債発行計画等の策定に向けた現状と課題について、国の債務管理の在り方に関する懇談会の資料等を用いて説明し、11月4日に開催された国の債務管理の在り方に関する懇談会において委員からいただいた意見を紹介する。

(新型コロナ対応後の国債発行を取り巻く現状と課題)
・1次・2次補正で約100兆円の増額をしたことで、発行総額は約253兆円と過去最大規模となっている。その調達に当たっては、短期債を中心に増額を行ったところ。留意すべきこととしては、短期債は来年度に償還が到来するため、借り換える必要がある。

・イールドカーブは、コロナ前と比べると若干、ベアスティープ化している形。

・内閣府の中長期試算に基づいて国債発行額の将来推計を行っているが、令和3年度以降も令和2年度の2次補正後発行計画の年限構成割合を維持したものとして試算すると、来年度以降も、それなりの規模で短期債の発行が続いていくこととなり、その結果、今後も借換債の金額ひいては全体の発行総額が同程度の水準で続いていくという見込みになっている。

・したがって、今後、様々な経済状況などを見ながらではあるが、コロナが落ち着いて、発行総額を減少させていけるようなフェーズになった場合においては、今回、増額した短期債の減額を通じて、借換債発行額の抑制に努めながら、市場のニーズを踏まえた発行年限割合等を考えていく必要があると考えている。

・コスト・アット・リスク分析を行って、コロナ前とコロナ後の発行計画でコストとリスクにどのような変化があったかを見たところ、今回、100兆円規模の大増額をしたことにより、結果的にコストとリスクがともに増加するという結果になっている。ただ、短期債を中心に増額したことで、コストの平均値は思ったほど増えていない一方、借換えに伴う今後の金利変動リスクの方は大きく増えている、という格好になっている。

・基本的にはコストとリスクはトレードオフの関係にあるが、今回は両方とも増えている。これは、発行総額自体が大きく増えたことによるものであり、今後、増大したコストとリスクを両方とも縮小していくという観点からは、まずは国債発行総額全体を抑制していくことが大前提になる。その中で、市場ニーズを踏まえた発行年限を考えていくことが重要。

・前倒債の活用については、これまでリーマンショックや東日本大震災等、様々なショックがあったときには、短期的に国債を増額しなければならないことがあるわけだが、発行総額が急激に変化する状況においても、前倒債を活用することによって、カレンダーベース市中発行総額は急激に変化しないよう努めてきたところ。今後もこうした前倒債の機能を踏まえて国債発行を考えていく必要があると考えている。

・日本銀行の国債買入比率を見ると、イールドカーブ・コントロールの導入後、基本的に国債買入比率は低下傾向にあったが、足元では、特にイールドカーブ・コントロールの対象である10年以下の部分は、短期的に買入比率が増加しているのが見て取れる。他方、10年超の部分はそれほど大きな変化はなく、トレンドが維持されている。こうした日本銀行による金融政策、国債買入の考え方・スタンスが国債市場や金利に与える影響にも留意する必要がある。

・銀行は、近年、国債の保有比率を減らしてきたが、足元では下げ止まってきているように見え、直近では少し反転し増加している。これは、担保需要の増加が寄与していると考えられる。

・生命保険会社については、2025年のICS(国際資本基準)導入に向けて資産と負債のデュレーション・ギャップを埋める観点から、超長期債に対するニーズが一定程度存在すると考えられる。その中で、2025年に向けた買入ペースがどうなっていくのか、あるいは、2025年以前と以後で、どのようなニーズの変化が出てくるのかといった点も注視していく必要があると考えている。

・新型コロナ発生後、政府の緊急事態宣言に伴い、出勤制限やテレワーク等が行われたことや、投資家のリスク回避的な急激な動きが見られたことがあり、国債市場でも不確実な状況が見て取れた。今後も、今回のような異例な事態が起きることはあり得るということを前提にして、そうした状況下においても着実に国債の発行・消化ができるよう、それぞれの立場でBCP体制の強化を意識していく必要があるのではないかと考えている。

(国の債務管理の在り方に関する懇談会[11月4日]における主な意見)
・発行年限構成について、今後は、短期債に発行を寄せ過ぎている状況を平準化していくフェーズであるが、超長期ゾーンの発行に関しては、その需要は今後も拡大していくものの金利リスク量という点で十分な配慮が必要といった意見や、今後新規国債の発行が減少する中においては、今回大量発行した短期債の償還を進め、平均償還年限の長期化を進めることになると思われるといった意見をいただいた。

・財政規律について、国の競争力としての経常収支と財政規律という意識を官民ともに持つことが重要であり、今後の追加的な対応余地を持ち得るために、財政規律も含めたメッセージを市場からも発出していくことが重要であるといった意見や、国債発行に当たって市場のニーズも見ながら、発行に係るコストとリスクのバランスを取っていくことが望ましいが、同時に、財政規律に対する姿勢について国内外から誤解を招かないよう、丁寧なコミュニケーションを意識するべきといった意見をいただいた。

・その他、新型コロナに伴う緊急事態宣言の下で市場の不確実性が高まったことも受け、官民共にBCP体制の強化に取り組む必要があるというご意見をいただいた。

・今後、第3次補正予算が編成され、その規模次第では更なる市中増額の必要が生じる可能性があること、また、令和3年度では今年度増額した短期債の償還・借換が到来する分、借換債発行額が増大することも踏まえ、皆様と丁寧に対話を行いながら、国債発行計画の策定を行ってまいりたい。

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・超長期ゾーンの金利は少しずつ上昇している一方、日本銀行のイールドカーブ・コントロールの政策解除が見込めない中、10年債以下の金利はほとんど変動しないと考えている。
・海外の株高等のマクロ要因に日本国債は全体としてはあまり反応しておらず、かろうじて超長期ゾーンのみがイールドカーブ・コントロールの外ということで海外金利や株高に反応して上下しているというのが茲許の状況。
・来年度の国債発行計画に関しては、増額自体が読めない中で、大枠としては発行額が増えている6Mは需給が相当悪く、投資家層も薄いため、この部分の減額はマーケットのコンセンサスではないか。
・超長期ゾーンについて、銀行を中心に20年債への需要は旺盛にある。生損保等からは30年債・40年債双方に投資があるところ、以前に比べると40年債への投資が増えてきているというのが実感であり、現状のイールドカーブを見ても30年40年スプレッドが2bps程度しかなく、40年債がかなりタイトになっている状況。来年度の国債発行計画を考える際、20年債と40年債の増額は有力ではないか。
・また、今年度の国債発行増額時に議論に挙がっていなかった流動性供給入札については、証券会社サイドから考えるとニーズがあり、特に残存1年から5年までのセクターと残存15.5年から39年までのセクターに関しては、今回、国債発行総額が増えるのであれば、これらのゾーンの発行額を増やしていただきたい。

・茲許の状況として、海外では新型コロナや米大統領選の影響で振れている中で、日本国債はボラティリティが乏しい状況が続いており、引き続き、日本銀行のイールドカーブ・コントロール政策である日銀買入オペでの調整がうまく効いているという印象を持っている。
・来年度の発行計画については、40年債の流動性がかなり乏しいと感じている。特に、生保勢は金利水準に関わらずデュレーション・マッチングによる需要が旺盛に見受けられるため、発行増額するとしたら40年債が中心と考えている。
・イールドカーブの形状からみても、40年債は30年債とのスプレッドがかなり潰れているため、この辺は仮に発行増額でスプレッドが開いてきても、イールドカーブの形状に問題はないことから、40年債を中心に発行増額するのが望ましいと感じている。

・20年債以下については、日本銀行の強力なイールドカーブ・コントロールによって、極めて安定的に推移している。一部のオフザラン銘柄おいて、流動性が乏しいものもあるが、総じて安定的に推移している。短期ゾーンについては、担保需要や海外投資家の通貨スワップを絡めたドルベースでのニーズ、プラス金利である10年債から20年債については、投資家の売買量が減っているとはいえ、金融緩和の長期化および日本国債の低ボラティリティ、キャリー・ロールダウンに注目した戦略によるニーズが、国内投資家だけでなく海外投資家からも当社店頭でみられる。一方、30年債・40年債ついては、規制対応という一定の投資家ニーズがあるものの、増額や日銀買入オペのスタンスの影響もあってイールドの調整が起きており、これはイールドカーブの推移を見ても確認できる。その中で、30年債、40年債を比べれば、40年債の需要が大きく、デュレーションニーズおよび投資家層の拡がりを感じるところ。
・今後も、日本銀行の金融緩和の中でこの動きが続くと考えており、安定的な推移を見込む。ただし、発行額の多い新発債と既発債において、ゾーンによっては需給の差が見られているため、注意が必要。また、海外投資家のプレゼンスが高まってきている中、国外要因が国債に与える影響にも注意が必要。
・来年度国債発行計画について、超長期ゾーンのうちニーズのある年限は増額余地があり、T-Billについてはこれ以上の増額は厳しいと考えている。ただし、流動性供給入札については、残存1年-5年以下ゾーンにおいて、増額もしくは毎月発行してほしいと考えている。日銀買入オペの影響で市中残高が減少し、レポがタイト化しやすく、流動性が低下しやすい一方、海外投資家中心に需要が強いため、配慮をお願いしたい。

・足元の相場は、7月以降の発行増額など、諸々の新型コロナ関連の変化があったことから、本来であれば、ボラティリティの上昇も伴いながらイールドカーブの水準が上昇しても然るべき状況であるにもかかわらず、低位安定している。先行きも、イールドカーブ・コントロールが長期化するということであれば、引き続き、かなり安定した環境で推移するだろう。
・発行額の増減が必要な場合、減額については、T-Billで対応したらよいだろう。増額については、イールドカーブ・コントロールが効いている10年以下の利付債で対応すべきと考える。超長期ゾーンに関しては、7月以降のパフォーマンスからもわかる通り、30年債のこれ以上の増額は厳しい。基本的には20年債も40年債も据え置きが望ましいと考えるが、超長期ゾーンの中でも増額しなければならないということであれば、40年債、次いで20年債という順番で増額余地があると考える。

・足元の国債市場の状況について、非常に流動性の低い状況が継続している印象。非常に狭いレンジでの推移となっていることで、日々の出来高、売買高が非常に少ない。特にオフ・ザ・ラン銘柄の流動性が乏しいと感じており、今月の流動性供給入札が非常に好調な結果だったことが、こういった状況を顕著に表している。
・来月12月は大量償還月ということもあり、マーケット全体が動意づくことを期待しているが、まだこうした流動性が乏しい状況が継続するのではないかと感じている。
・来年度以降の国債発行計画について、当社の顧客である投資家は、発行増額によって金利が上昇すれば非常に望ましいと捉えている。当社店頭では、10年債、20年債といったところが軸となる顧客が多いが、特にこのゾーンの金利上昇を非常に好意的に受け取っているように感じている。30年債、40年債の発行増額によって、超長期ゾーンのセクター全体の金利上昇が起きれば投資意欲を促すことが期待できるが、40年債に関しては、他年限対比で流動性が低いので、当社の店頭を見ている限りは、ここは慎重にならざるを得ないと感じている。

・市場環境について、ボラティリティが極めて低いレベルで、現状ではさらに低下傾向にあり、膠着感が日々強まっている状況。現状では、外部環境の変化への反応が鈍くなっており、金利機能度の低下を感じるため、日銀買入オペの減額や回数を減らすなど、機能度の向上策が必要な段階に来ていると感じている。
・超長期ゾーンでは、20年債は銀行勢の強いプラス金利の投資ニーズに支えられている一方、30年債の余剰感は強く、スティープ化が進んでいる状況。こうした状況を踏まえ、来年度の国債発行計画については、超長期ゾーンでは、40年債について、今年度は生保の需要の強さが顕著であるが、来年度からは徐々に剥落していく方向と考えており、発行規模は維持が望ましい。30年債については、発行増額後に入札のテール拡大や、スティープ化の中心になっている年限であり、どちらかと言えば減額の方向と考えている。20年債については、銀行勢の需要が継続しており、少なくとも現状の発行額の維持が必要。仮に増額を考えるのであれば、銀行勢の需要の継続性について、慎重に検討すべきではないか。
・5年債、10年債については、日本銀行のイールドカーブ・コントロールで強くサポートされている年限であるため、増額、減額ともに可能と考えている。2年債については、将来の借換債の抑制を考えれば、方向としては減額が求められると考えている。
・流動性供給入札については、日銀買入オペの長期化により、既発債の流動性の低下が顕著であるため、少なくとも発行規模の維持を求めたい。

・直近の国債市場動向について、日本銀行のイールドカーブ・コントロール政策が効いており、ボラティリティが乏しい状況。また、10年債が若干のプラス金利で推移しているところ、プラスが大きくなると需要がある一方で、ゼロ%あるいはマイナス金利になると需要がほぼなくなってしまうことで、非常に安定的な状況になっている。金融政策の枠組みに大きな変化が見込めない中で、引き続き安定的な推移が続くのではないかとみている。
・来年度の国債発行計画について、発行増額の余地がある年限ということになると、現状は日銀買入オペが残存10年までのところに偏っており、超長期ゾーンのところは配慮していないに近い状況であるが、その中で直近はスティープニングしてきてはいるものの安定的に推移していることからすると、発行増額余地があるのは、超長期ゾーンではないか。30年債は、やや荷もたれ感があるため、発行増額余地があるのは20年債あるいは40年債になってくると考える。
・一方で中期、長期ゾーンについては、日銀買入オペを増減可能な年限であるため、発行増額あるいは発行減額どちらも対応可能と考える。
・T-Billについて、日本銀行によるコントロールが可能な年限という認識ではあるが、突発的な発行増額ということになると、金利の一時的な急上昇を招く可能性もある。海外投資家を含めた投資家需要によって、ある程度、裁定が働くことは想定されるが、マーケットが荒れる可能性があり、留意が必要と考えている。

・最近の国債市場の状況は、流動性が乏しいとは言え、金利は非常に安定しているため、特に問題はないと考えている。
・国債発行計画に関して、T-Billの減額には賛成。特に需要が強い10年債や20年債は需要が旺盛だと考えるため、増額には賛成。
・一方、40年債については、増額でもいいが、この点に関しては、落札している証券会社の意見を聞いて当局が決めればよいと考える。40年債に関しては、もう10年間以上ダッチ方式で入札・発行しており、発行額も増えているところ、さらに増額するのであれば、そろそろ毎月入札にした方が良いと考える。流動性が乏しいという意見はあるが、毎月入札を実施した方が流動性は増えると考える。その際、例えば、市場参加者の意見を聞いて、コンベンショナル方式に変更することも検討すればよいと考える。

・最近の国債市場の現状と見通しについて、流動性の薄さ、市場機能の低下は気になるところだが、グローバルに政府サイドの大規模な財政支援と中央銀行による金融緩和措置のポリシーミックスが機能することによって、日本においては、特に日本銀行によるイールドカーブ・コントロールが効くような形で20年債金利までは低位安定してきている。
・来年度の国債発行計画に関して、コスト・アット・リスクの考え方から見ても、今年度、発行を増やしたT-Billから減額を考えていくのが妥当と考えており、特にT-Bill・6か月物に関しては、月一回から二回に増やしたことが、明らかにマーケットの負担になっていると感じているので、利付債の2年債、5年債の減額というよりは、できる限りT-Billの減額で対応した方がよく、T-Billの中でも6か月物の月二回を一回に戻す形が最適ではないか。
・一方、増額する年限について、当社の店頭を見ていると、20年債に関しては、預金金融機関のみならず多くの業態から運用利回りの向上ということで着目されている年限であり、増額の余地は大きいと考えている。1回当たり1,000億円、2,000億円の増額でも十分に消化可能ではないか。
・続いて増額余地があるのは40年債と考えており、年を追うごとに投資家の裾野が広がっている印象を持っている。発行額に対して供給と需要のミスマッチが起きているからこそ、今のようなイールドカーブの形になっていると考えている。従って、40年債単体で見た場合、1回当たり1,000億円の増額余地はあると思っているが、一方で7月以降30年債を2,000億円増額したことによって、30年債はややモノ余り感が見え隠れするような形になっているため、30年債と40年債を合わせてみる形で検討するのが良いと考える。順序としては、20年債が一番投資家の裾野が広く、増額余地があると考えている。

・直近1ヶ月程度では、米大統領選や新型コロナへの治療法の進展により、株高、海外金利が上昇する中、円金利は落ち着いた動きをしており、安定している状況。
・来年度国債発行計画策定に向けた現状と課題について、超長期ゾーンについては、特に20年債は投資家層も厚く需給的にも増額が可能ではないか。30年債については、現状維持で問題ない。40年債については、特に流動性が増えているとは思えないが、投資家が徐々に増えてきていることを踏まえれば、増額も可能ではないか。
・5年債と10年債に関しては、現状維持で問題ないが、増額・減額共に可能ではないか。2年債については、入札時に相場が過熱することが多いことを考えれば、増額も可能ではないか。
・T-Billについて、1年物については需給的にも増額が可能ではないか。一方、6ヶ月物については、現状維持で問題ないのではないか。

・直近の日本国債市場は、マクロ経済情勢とそれほど相関も無く、安定的に推移している。これは、日本銀行によるイールドカーブ・コントロールの効果に加えて、7月からの国債発行増額による需給バランスの変化によって、特に10年債金利のマイナスサイドへの金利低下余地が限定的になったため、実質的なマーケットのレンジがタイト化したことが原因にあると見ている。その結果として、動意がないマーケットや低水準の外債金利を背景に、特に10年超から20年までのセクターのキャリー需要が増大し、日本国債の方に海外から資金が還流するという流れが続いている。
・一方で25年超に関しては、発行増額のインパクトにより、徐々に金利上昇傾向が続いているが、引き続き30年40年スプレッドは極めてタイトな状態が続いていることを踏まえると、全体的に超長期ゾーンに需要がないわけではないと考えている。
・今後について、新型コロナのワクチン開発が進んでおり、長期的に希望を持てる状況になってきてはいるが、足元では感染者数が増大しており予断を許さない状況が続いているため、しばらくは国債発行増額と金融緩和の両輪が強化されるのではないか。その結果として、債券市場の動意自体はかなり抑えられると見ており、国債発行額を増減したとしても、日本銀行のイールドカーブ・コントロールの範疇外である超長期金利ゾーンは、需給バランスの変化に伴い緩やかに変動、残りのゾーンは安定的な展開が継続することを想定している。
・来年度国債発行計画における新規国債と財投債の減少分については、今後の発行円滑化の観点から見れば、発行額が急増しているT-Billを中心に減額することが適切だと考えている。現状の国内金融機関及び日本銀行の保有状況を考えれば、T-Billは30兆円程度までであれば減額可能と考えている。ただし、国内参加者の担保需要や海外勢のアセットスワップ見合いの需要の変化に留意して、短期金利が大幅な変動を起こさないよう、慎重なオペレーションが必要。
・長期ゾーンに関しては、発行増額・減額双方に対して多少の余地があると考えている。
・超長期ゾーンについては、デュレーション・エクステンションにおける資金効率の良さから40年債が選択されるように感じており、40年債の増額余地があると考えている。20年債についても需要が拡大しているように見えるため、優先度は低いものの、増額余地はあると考えている。一方で、30年債は相対的に超長期ゾーンの中で需給が悪いと感じているため、増額余地は乏しいと考えており、どちらかといえば減額余地もあると考えている。ただし、超長期ゾーン全体は日本銀行のイールドカーブ・コントロールの範疇外であるため、大きな需給の変化は急激なマーケットの変化につながる可能性があるので、増減額は月1,000億円程度に抑えるべき。
・10年以下のセクターについては、マーケットの安定的な推移及び日本銀行のイールドカーブ・コントロールの範疇にあることを考えれば、10年債で最大4,000億円、5年債で3,000億円、2年債で6,000億円程度までであれば増額・減額双方について可能ではないか。

・これだけの増額があった割には、相場は極めて落ち着いた動きになっている。やはり、金融政策では担保が必要であるため、銀行が積極的に買っているというよりは、買わされている状況。先行きは、大きな変動はないと考えている。
・来年度以降の国債発行計画については、日本銀行の国債買入ペースが保たれるとの前提の下では、10年債以下のゾーンは、増額・減額ともに数千億円単位で可能。超長期ゾーンは、7月以降のイールドカーブの変化を見ると明白だが、30年債は需給バランスが明らかに壊れている。増額を考えるならば、30年債よりも40年債だろう。20年債は、イールドカーブ・コントロール下で長期金利のゼロ%近辺推移が変わらないという前提に立てば、来年度も増額可能だとは考えているが、その前提の下で銀行の需要が非常に強いから需給が支えられているということだとすれば、結構な発行額になってきているため、将来、イールドカーブ・コントロールがなくなった場合も念頭に入れて、これ以上の増額は危険な側面もあると認識してほしい。

・日本国債市場の見通しについて、日本銀行の金融政策が非常に強力に作用している中で、全般的に動きに乏しく、諸外国と比較しても変動に乏しいマーケット環境になっている。ただし、米国も少し長い目で見れば、新型コロナからの脱却も見えてきている中で、グローバルに少し金利上昇バイアスがかかっている。また、短期的な経済の落込みに対しては、日本では、財政出動等において、今の米国のような政治側の要因による対立は中々出てこないと考えられるので、日本市場に限って言えば、少なくとも金利低下方向への恐怖感というものは、以前と比較してもかなり小さくなっていると考えている。将来的に、もし金利が上昇する場合、日本銀行が各年限でどこまで金利上昇を許容するのかが焦点になると考えている。
・国債発行計画について、やはり需要に即した発行が望ましいと考えている。今年度、投資余力が最も増加したのは銀行セクターだと考えている。銀行に限らず、10年債から20年債といったところには旺盛な投資需要がしっかりと入ってきていると考えている。したがって、10年債、20年債においては、増額若しくは発行額全体を減額する場合でも維持というのが、非常に有力な候補であると考えられる。
・超長期セクターについて、様々な見方があるとは思うが、基本的には30年債金利が浮いておりモノが余っている状況、一方で、40年債はデュレーション需要がしっかりしていると考えている。したがって、例えば、30年債を減らしながら20年債、40年債を増やすことも十分検討できるのではないか。発行額全体については、TBの減少若しくは一時増加といった措置に留まると考えるが、少し長い目で見たときに留意しなければならないのは、結局、国債で発行したとしても日本銀行が購入するという形になると、統合政府部門で見れば、オーバーナイトの負債に置き換えていることになるので、借換リスクは確かに発行当局としては減ったように見えるかもしれないが、それが日本の国全体として見た時の債務の安定性につながるのかという観点では、少し留意が必要と考えている。

・マーケットに関しては、現状も今後も、全てはイールドカーブ・コントロール次第。世界経済が景気回復する中で米金利に上昇圧力がかかった場合、FRBが対応するであろうが、FRBの金融政策は日本銀行ほど強く作用していないので、多少利回りが上がることが想定される。この場合、日米連れ高という場面もあるとは考えるが、最終的には円金利についてはイールドカーブ・コントロールが作用するであろうから、来年末まで見通しても、10年債の変動は、日本銀行に容認されている変動幅の上限である0.2%あたりまでではないか。
・リスクがあるとすれば、株式市場においてワクチンの効果を非常に高く評価していること。もちろん製薬会社がそのことによって収益を得ているということはあるだろうが、マクロの観点からは、まずその効果はどうなのかと言うことに加えて、国民がどこまで接種するのかということも重要。特に、我が国では、新型コロナはこうした医薬的・医学的な終息と言うよりも、やはり社会的終息の方が可能性としては高いところ、その道筋が不透明であると考えている。
・国債発行計画に関して、三者二様であり、当局としてはもちろん金利を上げたくないであろうし、投資家としては金利が上がってきたら買いたいと考え、我々業者としてはボラティリティが欲しいと考える。したがって、投資家と業者は発行増額を望んでいるところ、当局の意思がどこにあるのかということにつきる。日本銀行のイールドカーブ・コントロールと金利のタームストラクチャーの存在によって、増額しても金利は大して上がらないと考えられ、超長期ゾーンで20年債と40年債には需要があり、そこを増額することが考えられる。ただし、7月の発行増額でも40年債の増額を避けたように、当局の意思として国債発行増額に歯止めをかけたいのであれば、前倒債・出納整理期間発行といった年度間調整を活用したり、市場が要求したものを必ずしも増額しないこととしたりする、というのも十分ありうべしではないか。発行増額した時のメッセージがどうマーケットに伝わるかという点は、長い目で見て考える必要がある。

・相場については、低位安定との見通しである。海外金利が上昇している中でも、10年債や20年債では特に金利上昇が見られず、30年債や40年債の金利上昇でのみ表現されていると理解している。これは、イールドカーブ・コントロールが効いているということに他ならない。
・こうした中で、かなり多くのトレードが、入札のタイミングに集中する現象が起きるようになっている。これは、投資家が、BCP体制下や在宅勤務下でトレードしているということがあるほか、入札に向けてポジションをショートにして、入札でロングにするという投資行動が海外勢から見られるようになってきていることが背景だと考える。こうした投資行動においては、平均落札価格で注文されがちであるため、入札当日についてはスクイーズが起きやすくなり、結果的にかなり高い価格で発行されるため、市中在庫として残ってしまいがちということが起きている。このため、平均落札価格での注文が増えているという現状に鑑みて、ダッチ方式への移行や、それが難しいとしても、例えば第Ⅰ非価格競争入札での発行額を増やしていくとか、そういった工夫が必要になると考えている。
・来年度の国債発行計画については、減額する場合には、基本的にT-Billで実施すべきと考えている。日銀買入が減るだけでも20兆円以上の減額余地があるほか、仮に新型コロナ関連の融資自体が減っていくのであれば、新型コロナオペも減り、担保需要も減ると見込まれるため、20兆円以上の減額も対応可能と考える。ただし、20兆円を大きく超えて減額していく際は、担保需要や海外からの需要については神経を立てて見極めていく必要がある。
・利付債については、超長期ゾーンに関しては、20年債、40年債に増額余地がある。20年債は、投資家層がかなり拡がってきているところであり、40年債については、30年債と40年債のスプレッドが2bps程度しかないという状況がずっと続いていることや、生保各社もより長い年限の債券を求めるようになってきていることを踏まえれば、40年債の増額余地も1回の入札あたり1,000億円程度は十分あるのではないかと考える。2年債から10年債については、日本銀行次第で増減ともに可能である。10年債については、日本銀行が増やさなくても投資家需要で十分に吸収されるのではないかというくらい、需給環境は好調であると理解している。逆に、減額する場合には、日本銀行が買入を減らしていくのであれば対応可能だが、10年債に関しては、イールドカーブ・コントロールの主要な対象ゾーンであり、また、過去の経緯からは減額対応は遅れがちになる傾向があるため、やや慎重に考えた方がよい。

・国債市場の流動性に関しては、引き続き、入札と日銀買入オペ以外では大きい金額をトレードするのが難しい。また、銘柄別には、各年限でカレント、オールドからダブルオールドくらいまでは、ある程度はトレードが可能だが、それ以上は、セカンダリーでも中々難しい。もっとも、これ自体は改善も悪化もしていない。
・相場動向については、10年債以下のゾーンに関しては、狭いレンジでの推移で、方向感が出ないといったところ。超長期ゾーンについても、海外金利が上昇したり、増額懸念が台頭し、一時的には金利が上昇しても、結局、旺盛な需要で踏みとどまる状況。日本銀行のサポートの差というものはもちろんあるが、大統領選後、財政の大幅な拡大期待が剥落している中で、米金利でも10年以上の債券が落ち着いていることや、グローバルに新型コロナの再拡大という懸念もあるため、海外金利も上がりにくい中、日本の超長期金利も上がりにくい状況。10年債が半年間、ゼロから0.05%という狭いレンジで推移している中、10年債以下について金利の上下どちらにもトレンドが出づらい。上方向に関してはイールドカーブ・コントロールが効いているということ、一方、下方向に関しても、去年あったようなマイナス金利の深堀り期待が後退していることから、どんどん下がるのも難しい。先行きは、第3次補正予算が報道通りの内容になったところで、多少ボラティリティは出るかもしれないが、イールドカーブ・コントロールの存在や海外金利の落ち着きを考えれば、一時的なものになると考える。
・国債発行計画に関しては、全体感としては、利付債増額が開始された7月よりも前から日銀買入自体が徐々に増加しているということはあったものの、利付債増額の量に比べて日銀買入はかなり緩やかなペースであったため、基本的には、入札に対する緊張感は以前よりも増していることから、これから大きく増やすというよりは、むしろ現状維持が適当と考える。
・増額がもし必要な場合には、2年債、20年債、40年債は可能だと考える。40年債に関しては、最終投資家の需要が旺盛であることや、レポ市場が一時期非常に締まっていたこともあり、月1,000億円程度の増額は可能と考えている。もっとも、個人的には、日本銀行の同ゾーンにおける国債買入を対象外にする方を先にしてもよいと考えているため、それは全体の増額とのバランスというところ。20年債については、基本的には10年債利回りがほぼゼロ%近傍の状態が続いている中、プラス利回りの需要ということで、かなり需要が浸みだしており、1回の入札当たり1,000億円規程度の増額が可能と考える。また、2年債に関しては、担保利用等の目的から、かなり安定した需要があるため、日本銀行の買入スタンスが不変という前提の下では、月間数千億円程度の増額は可能と考える。T-Billは、増額以降、日本銀行の国債買入のサポートがあったり、担保利用といったところで、かなり安定的ではあるが、一方で増額の量自体がかなり大きいことは事実であり、入札結果の良し悪しにより短期市場のボラティリティが上昇している面があるため、基本的には少しずつ減らしていく方向がよい。その際、まずは需給の悪化が著しい6か月を減らしていく方がよい。

・日本国債市場にはイールドカーブ・コントロールが効くというコンセンサスが、非常に強く浸透しており、特に日本銀行がしっかりと買入を行っている10年までのゾーンは本当に安定している。超長期ゾーンに関しては、7月以降の発行増額を受け金利が上昇したものの、月々のレンジは4~5bps程度であり、こちらも非常に安定している。
・セカンダリーの流動性に関しては、金融政策の変更等が望めない以上、あまり大きく手掛ける人がいないため、引き続き、あまり良好ではない。また、デリバティブ市場に関しては、LIBORの停止を見込むような形で投資家が殆ど動いていない状況であり、流動性が心配。
・今後、ワクチンが普及するような状況において、世界的に金利が上昇した場合に円金利が一緒に上昇するかという点については、当社としてはそれほど上昇しないと考えている。日本は他国対比で既に金利が上昇しているため、イールド・カーブの調整はあると考えるものの、変動は限定的と見ている。
・来年度の国債発行計画を考える上で、新型コロナの状況及び今後どのように世の中がダメージを受けるかという点が未だ不透明だと考えている。ワクチンによる心理的な楽観は増すだろうが、今後、支援金が切れるとか、クレジット市場がどうなるかといった点のほか、日本国民の特性を考えた場合、一気に景気が良くなるとも想定し難いため、税収の下振れも考慮しなければならない。こうした点を踏まえれば、利付債の増減額は、基本線としてあまり大きく行うべきではないと考えている。
・もし増額する場合、需給の観点からは、優先度が高いのは40年債である。日銀買入額が非常に小さく、市場に価格形成機能が委ねられている中でも、40年債の需要は相当強いと言える。次に、20年債は、コロナ禍において銀行の預貸構造の変化等もあって需要が高まっているため、入札当たり1,000億円程度の増額であれば可能と考える。また、流動性供給入札については、四半期に1回見直しができる為、特に残存3年あたりの物不足が深刻な、残存1-5年ゾーンは増額してほしい。
・減額する場合は、現在のT-Billの大きな発行額は年度末に向け不安な部分があるため、ここを優先して減額してほしい。もし、更に増額ということになれば、マーケットメイクをする証券会社としてはバランスシートや損益への影響を考えかなり気合を入れてやらなければならない。

・現在の相場は、日本銀行の強力なイールドカーブ・コントロール政策によって10年債はほぼゼロ%~マイナス0.05%の非常に狭いレンジでの動きになっている一方、20年超の金利については、第2次補正予算を受けた発行増額によって上昇しており、緩やかなスティープニングをしている。ただし、特別定額給付金等によって、銀行等の預金系金融機関の預金が大量に増えていることもあり、そうした投資家からプラス金利への需要が増加しているため、プラス圏にある10年債カレント銘柄から20年債にかけては、資金流入が継続しているところである。
・今後の見通しについては、来年度の国債発行計画で超長期ゾーンの増額余地があるかもしれないという話が拡がる中で、超長期金利の緩やかな上昇とスティープニングが続くと考えている。来年度の国債発行計画については、超長期ゾーン、特に需要の強い20年債と、生保等の旺盛な需要で需給が引き締まっている40年債について、若干の増額余地があるのではないかと考えている。
・流動性供給入札の残存1-5年のゾーンについては、海外投資家からのアセットスワップ需要があり、2年債及び5年債のオフザランの幅広い銘柄の需給が引き締まっており、レポ金利の低下も顕著であるため、発行額の4,000億円から5,000億円程度への増額が可能ではないかと考える。
・発行額が大幅に増えたT-Bill・6か月物に関しては、徐々に減額していくのが望ましい。

・国債市場は、イールドカーブ・コントロールが非常によく効いているおかげで安定しており、先行きもこれが続くと考えている。他のマーケットでは、全ての先進国が財政で緩和的な政策を採っているため、株式や金、暗号通貨が上昇する等、基本的に金余りが効いて相場を支えている。
・来年度の国債発行計画に関しては、減額するのであれば、T-Billを中心に行えばよい。増額する場合、対象としては20年債及び40年債が多くの市場参加者から指摘されているが、ただ増額するのみだと超長期ゾーンとしては需給の関係が壊れた30年債が更に安くなってしまうため、30年債の減額とセットで行うべき。
・そもそも増額するのであれば、中長期的には銀行預金が増えることになるため、銀行が投資しやすいゾーンが増額対象となるべきである。これは、現在では15年程度である。従って、流動性供給入札に関して、残存15年以下が含まれるゾーンは増額可能であると考える。

・国債市場は、引き続き狭いレンジでの動きを想定している。大統領選挙に絡んで米金利が上昇する場面にあっても、10年債や20年債を中心に日本国債の押し目買い需要が旺盛であり、今後も投資行動はしばらく不変と思われる。また、日本銀行のイールドカーブ・コントロール下の積極的な国債買入スタンスも当面変わらないとみられる。
・来年度の国債発行計画については、1次補正、2次補正でT-Billを中心に大きく増額したことから、T-Billの発行規模を抑えていくことが今後の課題であると認識している。その上で、国債発行年限の長期化は検討すべき課題であると考えている。具体的には、20年債と40年債は増額の余地があると考えている。20年債については、幅広い投資家層からの需要がみられるほか、3,000億円増額したにも関わらずイールドカーブ上では安定した状況が続いていることから、増額は可能と考えている。また、40年債に関しても、30年債と40年債のスプレッドが非常にタイトであることや、それにも関わらずデュレーションニーズから40年債を求める生保の需要が強いことを考えれば、増額の余地がある。

・本年7月から大幅な発行増となったが、発行額に徐々に市場が慣れてきたということと、10月以降は、米大統領選があったため、積極的なリスクテイクを控える動きが主流だったことで、相場の膠着感はじわじわと強まっていた。11月に入り、米大統領選後に欧米債金利が上昇した時にも円金利上昇はほとんどみられず、またワクチンの話が出てきて株高になった時もほとんど日本国債は売られなかったことで、相場としては非常に強いという印象を受けている。その要因としては、日本国債に限らず米大統領選前後で投資家のポジションが軽めになっていたことがあり、じわじわと金利低下していく中で、戻り売り圧力が今までより小さいことが考えられる。今月の日銀買入の前半の結果を見ても、やはり流れてテールが出るケースが非常に多かった印象。
・今月の日本国債のプライスアクションについて、欧米債の金利上昇でも金利上昇せず、株高でも金利上昇せずということで、様々な投資家の買い目線がじわじわと切り上がってきており、金利では切り下がってきている。上値を追って買うとまでは行かないが、金利水準の目線が下がってきている印象。株高によって、アセットアロケーションの観点から株売り債券買いというフローも見えており、様々な要因から今月は日本国債の非常に堅調な地合いが印象に残っている。
・今後の見通しについては、今月に入ってオーストラリア、イギリスで追加緩和が実施されており、来月ECB・FOMCでも追加緩和の期待がくすぶっているような状況であるため、供給面においてカレンダーベースでの大幅な発行増という材料や、需要面において本年2月まで行われていた日本銀行の買入弾力化の再開という材料がない限り、少なくとも年内に関しては非常に安定した推移になるのではないかと考えている。
・国債発行計画に関しては、T-Billについては減額できるのであれば減額した方がよい。ただし、タイミングによっては増額する必要性も出てくることを考えた時、T-Bill・6か月物よりは、T-Bill・1年物の方が増やす余地があると考えている。
・2年債、5年債、10年債に関しては、過去最高水準の発行になっているため、増額には慎重になるべきと考えている。
・超長期ゾーンについて、30年債については7月に9,000億円に増額以降、毎月一定量の買いが入っているにも関わらず、両サイドの20年債と40年債に対してアンダーパフォームし続けている状況であるため、増額は非常に難しい。20年債に関しては、既に9,000億円から7月に1.2兆円というサイズまで増額されており、7月の増額以降、安定的に消化されてはいるが、前提条件として10年債が非常に安定しているため、20年債も安定的に消化できているという要因が非常に大きいと考える。仮に市場ボラティリティが高まった際に、20年債をここから1,000~2,000億円増額した水準で安定的な消化ができるのかと言われると、非常に不透明な状況ではないか。歴史的に見ても、20年債の金利水準がここまで安定して動いている状況は、2017年に一度あった程度であるため、更なる増額には慎重になるべきではないかと考えている。
・40年債に関しては、当然、生保勢の規制対応を主因とするデュレーションニーズがある一方、30年債が毎月9,000億円、40年債が隔月5,000億円と非常にアンバランスな状況である。また、直近の流動性供給入札を見ても、毎回40年債が1,000~1,500億円発行されている状況であり、2、3年前と比較して40年債の投資家層の広がりが大きいことを考えると、1,000億円の増額余地はあると考えている。40年債を除く全年限で、発行額が7月以降大幅に増額された中で、日本銀行による超長期ゾーンの買入額は全く変わっていない状況であるため、超長期ゾーンでの複数年限での発行増額は避けるべきではないかと考えている。

 

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財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700