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国債市場特別参加者会合(第90回)議事要旨

 

日時 令和2年9月25日(金)

場所 書面にて開催

内容

1. 令和2年10-12月期における物価連動債の発行額等について

○令和2年10-12月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債については、P.3のとおり、令和2年度発行計画(2次補正後)では、1回の入札当たり2,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。また、P.4のとおり、買入消却についても、「市場の状況や市場参加者との意見交換も踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。本日は、10-12月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・P.5のとおり、7-9月期については、市場の状況や市場関係者との意見交換を踏まえ、8月に発行額2,000億円で入札を行うとともに、物価連動債市場の需給の改善を図るために、買入消却入札を毎月500億円実施することとしたところ。8月の発行入札の結果は、P.6のとおりである。 
 買入消却入札と日銀買入オペの結果については、P.7のとおりである。

・流通市場の状況については、P.8からP.10までのとおりである。3月から4月にかけて大幅に下落した、本邦を含む先進国のBEIは、総じて上昇傾向にある。もっとも、本邦BEIの動きを仔細にみると、前回会合以降概ねゼロ近傍で推移しているものの、9月入り以降、再び低下している。

・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、引き続き、既発債については需給が不安定な状況が継続しているほか、回復傾向にあったカレント債についても、先行きの物価動向に対する懸念も相まって再び需給が悪化していることから、10-12月期における物価連動債の発行額及び買入消却額については据え置きとすることが望ましいとの御意見が多かった。

・こうした状況を踏まえて、P.11に当局案をお示ししている。10-12月期については、7-9月期と同様、1回の入札当たりの発行額を2,000億円とし、毎月500億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。 
 市場環境等については引き続きしっかりとフォローし、状況に応じて、機動的かつ適切な対応を行う予定である。

・以上、物価連動債市場についての状況とそれを踏まえた10-12月期の発行額等の当局案について御説明した。物価連動債市場の育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、10-12月期における発行額等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。

○提出された意見等の概要は以下のとおり。

・物価連動債市場は、Go To Travelキャンペーンの影響から足元のインフレ率が下がっていることに加え、今後の携帯電話料金の引き下げ期待など新内閣の政策に対する思惑および足元のマクロのリスク・オフの動きを受けて、軟調になっており、カレント債のBEIもマイナス圏内に沈んでいる。現在の水準はフロアバリューを考えれば非常に割安な水準に見える。直近の日銀買入オペ・買入消却の結果についても軟調傾向が続いており、特にカレント債の落札割合が増大しているように見える。したがって、市場の在庫がオフ・ザ・ラン債からカレント債にシフトし、その量が増大してきているように見える。ここからは季節性から来る連動係数の低下、年末に向けたヘッジファンド等によるポジションのアンワインドを考慮すると、来年度頭にかけて現状の悪い需給環境が更に深刻化する可能性がある。したがって、当局の提案の通り、少なくとも現状の発行額・買入消却額を維持し、加えて上記の懸念が現実のものとなった際には臨時の買入消却を行う等の追加措置を行うことも検討することが適切だと考えている。

・直近入札(8月)が低調な結果であったことから、当該入札時の価格及びBEIでの投資家需要に乏しいことが窺える。加えて、既発銘柄へは持ち高調整とみられる売りが断続的に見られており、新発・既発共に需給環境に改善の兆しが見えない状況となっている。こうした状況に鑑み、発行、買入消却ともに現状維持の毎四半期2,000億円、及び毎月500億円を希望する。

・1回の入札当たり発行額2,000億円、買入消却額500億円で異論ない。 
 4月以降の買入消却や日銀買入オペの結果を見ると、既発債の売却ニーズは減ったように思われる。しかし、セカンダリー・マーケットが未熟な状態である事に変わりはないため、引き続き、手厚い買入消却を行うべきだと考える。

・現在の発行、買入消却ペースを維持してほしい。
 過度な需給不安は数か月かけて解消したが、発行を上回る買入サポートは当面必要だと考える。

・BEIプラス圏で実施された8月入札は軟調な結果に終わったものの、グローバル株高・原油高のトレンドを受け、カレント債は8月初旬以降、BEIプラス圏で取引されていた。ただし、今月に入っての米国BEI反落及び株・原油の下落を受け、再度BEIマイナス水準での取引に転じている。海外勢からの売りはピークを過ぎた感が有るが、直近ではカレント債に連れ高となっていた23回債や24回債への戻り売りが散見されている状況である。応募倍率も2,000億円の発行の割には低水準であり、10-12月期も引き続き、1回の入札当たりの発行額で2,000億円(11月)、買入消却で500億円(毎月)の現状維持を希望する。

・物価連動債については、2020年3月に見られた相場の調整局面以降、当局や日本銀行の対応にも拘わらず銘柄間の価格形成に歪みが見られる等、市場参加者にとっては厳しい局面が継続しているとの認識である。かかる状況に鑑みるに、当面は需給バランスを地道に改善させていくことでしか市場参加者に安心感を与えることは難しいと推察されるため、引き続き足元程度の発行額および買入消却額の継続を支持する。

・8月の入札以降、25回債対比割安だった既発債に見直し買いが入りBEIが修正される場面も見られたが、今月に入り需給は再び悪化傾向となっている。業者間の売買高も低調に推移するなど、物価連動債マーケットの流動性は依然として低い状況が続いているため、10-12月期の発行額・買入消却額については現状維持を希望する。

・当局の提案に賛成する。 
 足元のBEIがゼロ%近傍で推移する中、新型コロナウイルス感染拡大に伴うグローバル景気や国内物価動向に対する不透明感が高い状況と考えている。 
 かかる環境下では、投資家需要は乏しく、安定消化の観点からも現状規模の発行と買入消却の実施が適当と考える。

・6月以降の買入消却の倍率が3倍を超えていることから、引き続き、現状の発行額と買入消却額を希望する。25回債の需給引締まりも2回目の発行で解消し、一転してビッドがなくなりBEIも低下していることから、発行の増額にはまだ時間がかかるものと思われる。

・ALM対比での買いが見込めない商品が故、今後もバリューを壊して安くなる局面があると思われる。その際は機動的な買入消却の増額が必要と考える。

・11月の発行額は市場育成と継続性の観点から2,000億円を維持してほしい。
 ただし、CPIは大幅な下押し要因もあり、今後暫くマイナス圏内への低下傾向が予想されるため、物価連動債に対する投資家の需要は著しく乏しく、一方で既存の在庫処分を進めたい投資家の数は増加しているのが現状である。
 よって買入消却に関しては機動的な増額を希望する。具体的には、市場が期待していた日銀買入増額分に相当する月間400億円を増額として、毎月900億円の買入消却が適切と考える。

2. 令和2年10-12月期における流動性供給入札について

○令和2年10-12月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P.13のとおり、令和2年度発行計画(2次補正後)では、 
 @ 残存15.5年-39年ゾーン及び残存1-5年ゾーンについては、令和元年度と同様、それぞれ3.0兆円、2.4兆円とするほか、残存5-15.5年ゾーンについては令和元年度から1.2兆円減額して6.0兆円とし、合計で年間11.4兆円を発行することを想定しつつ、 
 A 最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。 
 これを受け、本日は、10-12月期におけるゾーン毎の発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・P.14のとおり、7-9月期においては、令和2年度発行計画で想定されているのと同様、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の7月と9月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては毎月5,000億円、残存15.5年-39年ゾーンについては、偶数月の8月に5,000億円の発行とした。

・P.15〜17に、最近の流動性供給入札の結果を示している。各ゾーンにおいて、総じて安定した結果となっている。

・こうした中で、10-12月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、いずれのゾーンについても需給状況に大きな変化はみられていないことから、殆どの方から、現状の発行額等を維持することが適当との御意見をいただいている。

・これを受け、P.18にあるとおり、10-12月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。残存1-5年ゾーンについては、奇数月の11月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月5,000億円、残存15.5年-39年ゾーンについては、偶数月の10月と12月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。

・10-12月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。

○提出された意見等の概要は以下のとおり。

・超長期ゾーンにおいても、特にオフ・ザ・ラン債に対する海外投資家からの需要が継続的にみられる。当局の提案通りの発行額で問題ないものと考える。

・流動性入札については特に問題なく、現状維持を希望する。

・当局の提案に賛成する。 
 各年限で金額がバランスよく配分されており、証券会社のショートカバーや投資家需要に支えられ安定的に消化できていることから、現状と同程度の配分が適当と考えている。

・現状の発行額で流動性の向上に寄与できていると思われるため、当局の提案の発行額を支持する。

・現在の発行額で問題ない。

・10-12月期も現状維持を希望する。本年7月の発行増額以降、30年債が毎月9,000億円発行、40年債が隔月5,000億円発行というバランスとなり、8月以降は30年債と40年債のスプレッドが1bps台での推移と、40年債需給の良好さが明確になってきている。そのため、10-12月期からは40年13回債も対象銘柄に加えてほしい、という要望もあり得る環境下だが、対象銘柄に加えたところで需給環境が大きく変化するとも思えず、当社としては当局の提案の対象銘柄で問題ないと考える。

・各年限の発行額・発行頻度は、現状の需給環境に概ね見合っていると思料しており、10-12月期の発行額についても現状維持を支持する。ただし、強いて言えば、残存1-5年については、需給が非常にタイトとなる銘柄が散見されており、増額の可能性についても検討してほしい。

・当局の提案に賛成する。 
 国債の大型発行増額が7月から開始され、追加の補正予算次第では更なる発行増額も予想される環境にあり、現段階で流動性供給入札の額を変更する必要性は低い。 
 ただし、残存3-4年ゾーンについては恒常的に債券が足りない状況と観察され、今後の増額発行の際はカレント債に加え残存1-5年の流動性供給入札の増額は検討すべきと考える。

・7月からの発行増額で新発債より既発債の方に人気があるように思える今、どのゾーンも流動性供給入札へのニーズが高まっているように思われる。今後、国債の発行を増額する際は新発債の増額だけでなく、流動性供給入札の増額もあればよいのでは、と考える。

・7-9月と同様の金額を希望する。流動性供給入札については、各ゾーンとも相応の需要が見られており、現時点で特段発行額の変更等の措置は必要ないとの認識である。ただし、7月からの国債発行の増額を受けて今後は徐々に新発債と既発債の流通バランスに偏りが出てくることが想定されるため、将来的には新発債の発行分を一部流動性供給入札での発行に移していくことも市場での適切なイールドカーブ形成に必要ではないかと考える。

・残存1-5年ゾーンにおいて、レポレート高止まりによる市場機能度の低下が確認される一方で、残存5-15.5年ゾーンにおいては日銀買入におけるチーペスト対策が功を奏しており、レポレートのタイト化が長期化する事例は見られなくなっている。従って、残存1-5年ゾーンの1回の入札当たり6,000億円への増額と残存5-15.5年ゾーンの1回の入札当たり4,000億円への減額を提案する。

3. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

○提出された意見等の概要は以下のとおり。

・国債発行増額による金利上昇が警戒されたものの、結局は低位安定の相場状況が継続している。海外要因や入札前の一時的な金利上昇時に、国内投資家の買い意欲は非常に強く、この傾向は今後も継続すると思われる。

・7月の国債の増額発行後、各年限ともに順調に発行を消化している。また、世界的な金利低位安定を背景に、国債市場は低ボラティリティのなか各ゾーンともに比較的狭いレンジでの推移となっている。今後も世界的に新型コロナウイルス感染症の影響は継続するものと考えられ、当面の間、円金利は現状レベルでの推移が予想される。

・米国での追加財政期待の後退、株高の一服と言った海外要因に加え、日本でのCPIの大幅低下や7月以降の発行増額を順調に消化していることなどが材料視され、円金利は低下基調が続いている。マクロ加算残高が増える中で、10年債金利が大きくマイナス金利に沈み込む可能性は低いとは考えているが、当面金利が上昇しづらい展開が続くと予想している。

・安倍首相の辞任発表に際しては市場でも多少の変動が認められたものの、菅首相の下でも財政政策と金融政策の基本方針が維持されるとの見方から、安定性を取り戻している。超長期ゾーンでは、需給軟化に伴い、緩やかなスティープ化傾向が続く公算が大きい。諸外国ではBEIが注目されているが、日本では来年年初のコアCPIが前年比マイナス1%へと落ち込む可能性があるなど、引き続き厳しい。

・7月からの国債増額は3か月を経過したが、市場は日銀買入オペの量と回数の強化によって極めて安定した環境にある。9月終盤となった現在では、ボラティリティが非常に低い状態で尚、低下傾向となるなど、市場機能の低下が感じられるため、残存10年以下の買入回数を再度、減らす必要があると考えている。

・世界的に金融緩和された状態にあり、今後も金利は低位安定し続けると考えている。

・7月以降の発行増額を経て、全体としては無難に消化されたという評価が一般的かと思われる。 
 ただし、20年債・30年債・40年債入札において財務総合政策研究所のディスカッション・ペーパーで論じられている「勝者の呪い」と定義される現象が特に、超長期ゾーンで目立ち始めており、今後の入札には注意が必要かと思う。 
 安定発行のため、引き続き超長期ゾーン入札のダッチ方式への移行を提案する。

・7月に開始された国債発行増額にもかかわらず、最近の国債市場は総じて安定して推移してきていると感じている。もっとも、今後の新型コロナウイルスの感染状況の推移や、それに伴うグローバルでの市場動向の変化、また国内では来年度の発行計画等、相場は大きく変動するリスクも孕んでおり、それに対する日本銀行の金融政策スタンスも注視していきたいと考えている。

・10年債利回りは、若干のプラスでのレンジ推移に留まっている。ただ、足元は新型コロナウイルスの世界的な感染再拡大懸念や、それも一因とする株式市場の下落などを受けてゼロ%に迫っている。それでも、ゼロ%は強いレジスタンスになっており、マイナス圏に突入して低下するモメンタムはまだ乏しいと映る。イールドカーブの過度のフラット化を避けたい日本銀行が、7月の国債発行増額以降も残存10年超の国債買入を増やしておらず、超長期ゾーンの利回りが高止まりしている。それが10年債の利回りも下がり難くしている。加えて、長期のレンジ相場がキャピタル狙いの市場参加者の意欲を削いでいると見られる。 
 今後については引き続き、新型コロナウイルスの感染状況次第の感は強い。世界的に年後半の景気回復は既定路線だが、欧州では感染の再拡大、米国では「財政の崖」の懸念など当初見込みより景気回復が鈍る蓋然性が低くない。さらに、株価の調整が深くなれば、リスクオフの動きに従い、円高が加速する公算も残る。したがって、来年3月末までを展望した場合、日本国債の利回りは低位安定を基本に10年債利回りがしばしマイナス圏で推移する展開が十分あろう。その際、投資家のイールドハンティングを通じて超長期ゾーンの利回りが相対的に低下しやすくなると見ている。世界経済の状況が悪化する前提なら、日本銀行がイールドカーブのフラット化の動きを止めるため買入減額を行うことは難しいだろう。

・発行大幅増額への懸念から7月初旬まではベアスティープニング基調であったが、各入札が堅調に消化されたことに加え、海外金利の大幅低下も相俟って、8月初旬には10年債金利は一時、ゼロ%近辺まで低下した。しかし、8月以降は海外市場の金利上昇に加え、リオープン発行ということもあり、殆どの入札が7月対比で弱めの結果となり、10年債が8月末に0.055%まで取引されるなど、発行増の影響が徐々に表れて来ていた印象である。 
 今月初旬からのグローバル株式市場の調整やドル安円高の影響を受け、9月第2週以降は金利低下基調に転じ、再度、10年債のゼロ%を窺う値動きとなっている。ただ7月後半や8月後半に見られたブルフラットニングの展開ではなく、今月は中期ゾーン・長期ゾーン主導での金利低下となっており、上期末を控えての超長期ゾーンの需給逼迫は感じられない状況である。 
 来月以降は新発債に切り替わる為、入札において一定量の需要は有りそうだが、米中情勢をはじめ、米大統領選挙、ワクチン承認、英・EU通商交渉と海外市場では材料が目白押しの状況であり、10月後半から年末に掛けては徐々にポジションを傾け辛くなることが予想され、非常にボラティリティの高い相場になると現時点では考えている。

・8月以降、入札が流れやすくなっており、セカンダリー市場でも流動性が低下気味であることを懸念している。今後も発行増額が続く可能性が高く、円滑な消化を促すために入札においてはダッチ方式への変更が望ましいと考える。

・国債の大幅発行増額も8月の入札まではあまり影響がなかったが、今月に入ってからは多少テールが出るような結果が続いている。入札結果を受けてマーケットが崩れるような状況ではないが、既発債と比較して新発債の需給が悪い状況が続いているため、今後の動向には注意が必要だと考えている。

・日本銀行による積極的な国債買入スタンスを背景に10年債金利はゼロ%程度での推移が継続すると考えているが、今後の更なる財政支出の増加も意識される中で今年度途中に大幅発行増額となった経緯もあり、超長期ゾーンを中心に金利上昇への警戒感が残ると見込んでいる。

・足元では米国の追加財政政策に対する不透明感が強く、以前ほどの金利上昇圧力は抜けてしまった。ECBによる追加緩和観測もあり、海外金利は低位安定、日本国債市場も10年債のゼロ%付近、30年債の0.60%前後が定着しつつある。国内では早期解散総選挙の観測もあるが、コロナ禍での選挙実施の不確実性は高く、市場はそのことを織り込むことはできていない。米国の追加財政や国内の解散総選挙に伴う追加財政への思惑などが台頭すれば金利上昇が見込まれる一方で、円高圧力に伴う利下げ観測も完全には排除できず、今後は上下共に動く可能性のある、不透明感の強い状態である。 
 顧客動向としては、入札前に発行セクターを売却してショートを作り、入札でロングに転じるという「入札トレード」が増えている。このトレード自体は短期間での収益を目的としたものであり、長期的な相場の方向性を作るものではない。但し、落札業者のオペレーショナル上には影響があり、入札当日に平均落札価格での注文が増えることで価格競争方式の入札での注文執行に難しさが出ている。 
 例えば、入札当日のショートカバーを不必要に引き起こし、応札における不確実性を増大させることも起きている。結果的に、入札に対する警戒感が長期保有を目的として入札に参加する最終顧客にまで広がってしまわないか懸念している。コロナ禍でリモートワークが進むとともに、入札での買入を行う顧客が増えていることからも、入札での注文執行をスムーズに行うことの重大性は極めて高くなっている。このことを踏まえ、注文執行を確実に行うことができるダッチ式入札を全年限で行うことを希望する。 
 ダッチ式入札は発行未達のテールリスクを抑えることが出来るという意味では、発行体にとってもメリットのある方式と考える。40年債入札などでは、入札当日の発行予想利回りよりも低位で発行することも確認されており、発行コストを抑えるという点でも理にかなっている可能性がある。また、米国がダッチ式入札であることから、海外投資家にとっては平均落札価格での注文が一般的になっており、日本国債市場における海外投資家のプレゼンスが高まっていることへの対応にもなると思われる。 
 入札の重要性が増している中でのダッチ式入札の導入は市場参加者と発行体にとって共に利すると考えており、検討をお願いしたい。

・政府による緊急事態宣言が解除されて以降、市場はアクティビティを徐々に取り戻し、流動性や機能度といった点で見れば改善を見せているとの認識である。7月から開始された国債発行増額については、現状大きな波乱なく吸収が出来ているように見受けられるが、1回毎の入札に対する警戒度は以前に比べ増していると見られ、国債買入を行っている日本銀行のコミュニケーション如何によっては再び、市場のボラティリティが上昇する可能性もあると思っている。この国難とも言える状況を乗り切るには当局、日本銀行、そして市場参加者が一体となって取り組んで行く必要があると感じているので、引き続き丁寧な連携と市場との密なコミュニケーションをとってもらいたい。

・7-9月の国債入札は概ね無難に消化され、大規模な発行増額による市場への影響は緩やかな超長期金利の上方調整で吸収されたように見受けられる。但し年末までには、本邦追加補正予算と解散総選挙の行方、米大統領選挙とBREXIT交渉期限というイベントに加え、底流に流れるコロナ禍における不況、LIBOR停止に向けたデリバティブ市場の流動性低下と、金利が上下に大きく変動する可能性を相応に孕んでいる。こうしたことから当局とプライマリーディーラー間のより緊密なコミュニケーションが必要な時期と考える。


  
 

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700

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