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日時 令和2年5月22日(金)

場所 書面にて開催

内容

1. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて
2. 令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更について

○令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更について、理財局から以下のように説明を行った。

・資料のとおり、5月14日の第34回新型コロナウイルス感染症対策本部にて総理から、先般の第1次補正予算を強化するため第2次補正予算の編成指示がなされ、5月27日を目途に概算決定が予定されている。
   第2次補正予算では、雇用調整助成金の拡充、中小・小規模事業者向けの家賃支援、中堅・大企業も対象とした資金繰り支援などが実施される予定であることから、財投債を含めた国債の追加発行額が相応の規模となった場合を想定の上、皆様から国債発行の増額について、ご意見を賜りたい。

○提出された意見等の概要は以下のとおり。

・市場が大きく荒れた3月に比べれば、国債市場は落ち着きを取り戻し、狭いレンジでの動きが続いている。ただし、証券会社・投資家共に今般の新型コロナウイルス感染症対応として在宅勤務と取引の取捨選択の傾向を強めた結果、特にデリバティブ市場では流動性が大幅に低下する一方で、現物市場では取引が比較的見られる状況である。今後、首都圏の緊急事態宣言が解除されれば、徐々に流動性も厚みを回復していくと考えられるが、そのスピードは当初は非常に緩慢で、引き続き流動性には不安な状況が継続することを想定している。こうした中、円金利の見通しとしては、6月は先進各国の経済活動再開本格化と7月以降の日本における国債の大幅な発行増額を見込み、金利上昇圧力が掛かりやすい地合いが継続すると考える。一方、グローバルで、①新型コロナウイルス感染症の感染再拡大、②6月末の英国の欧州連合離脱猶予期間の延長期限、③米中摩擦激化、④大手企業のクレジット動向、など金利低下を促す要因も想定される。
   令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更については、イールドカーブ全般を俯瞰し、T-Bill・6か月物は0.1~0.5兆円の増額で1回の入札当たり2.6~3.0兆円、T-Bill・1年物は据え置きで1回の入札当たり3.0兆円、2年債は0.3~0.6兆円の増額で1回の入札当たり2.7~3.0兆円、5年債は0.2~0.4兆円の増額で1回の入札当たり2.3~2.5兆円、10年債は0.1~0.3兆円の増額で1回の入札当たり2.4~2.6兆円、20年債は0.1~0.3兆円の増額で1回の入札当たり1.1~1.3兆円、30年債は0.1兆円の増額で1回の入札当たり0.9兆円、を提案したい。
   本日期間延長された日本銀行の新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの利用ニーズなどを背景に、金融機関の担保需要は厚い。T-Billは既に6月迄で大幅な発行増額となっているものの、海外からの根強い需要も鑑みると、引き続き2年債以下は安定的な需要が見込まれ、相応に増額余地が残るものと考える。T-Billの増額幅は全体を俯瞰しての判断が重要であり、バランスをとった配分をお願いしたい。5年債の投資家需要は依然として限定的であり、大幅な増額はイールドカーブを歪める要因となる。2年債の増額幅等を考慮した増額の検討が重要と考える。10年債はプラス金利での投資家需要は旺盛であり、20年債についても顧客の裾野が広いことから増額発行は可能と考える。30年債についても投資家の需要は相応にあると考える。ただし、5月の40年債の1,000億円の増額及び第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更における30年債の1,000億円の増額が既に決定されており、第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更においては、追加で1,000億円の増額に止めることを提案する。40年債については第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更後の増額の影響を見極めるためにも今回は据え置きを希望する。

・新年度に入り2か月近く経ったが、在宅勤務体制への移行による投資家売買頻度の減少と、日銀買入オペ日程の細分化及び買入増額によるボラティリティ低下で、流動性の低い状況が継続している。日本銀行が国債買入上限80兆円を撤廃し無制限とした追加緩和策を受け、一旦はイールドカーブ全体で金利低下したものの、大型連休明けには4月同様、10年債でマイナス0.01%~0.01%というレンジに戻ってきている。欧米の債券市場や株式・為替市場との相関も非常に薄く、引き続き国債発行入札や日銀買入といった需給面を睨みながらの展開が継続しそうな印象である。ただ、7月からの大幅な発行増額が見えており、その前後では日銀買入の内容変更等も見込まれることから、来月以降は日本国債市場のボラティリティが徐々に回復していくのではないかと考えている。
   令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更にかかる、各年限別の増額可能幅について、30年債は、日銀買入の回数及び額が共に限定的であり、40年債増額の影響も見極める必要があるため、30年債の更なる増額については慎重になるべきと考えており、増額後で1回の入札当たり8,000~9,000億円と考える。20年債は、日銀買入の回数及び額が共に限定的ではあるが、イールドカーブ・コントロール政策下において投資家需要が非常に旺盛なゾーンでもあり、1回の入札当たり1,000~2,000億円の増額は可能と考えており、増額後で1回の入札当たり11,000~12,000億円と考えている。10年債は、市場の状況を鑑みると、1回の入札当たり2,000~3,000億円程度の増額であれば可能と考えており、増額後で1回の入札当たり25,000~26,000億円と考えている。5年債は、市場の状況を鑑みると、1回の入札当たり3,000~4,000億円程度の増額であれば可能と考えており、増額後で1回の入札当たり24,000~25,000億円と考えている。2年債は、市場の状況を鑑みると、1回の入札当たり5,000~6,000億円程度の増額であれば可能と考えており、増額後で1回の入札当たり29,000~30,000億円と考えている。T-Bill・1年物は、1回の入札当たり3.5~4.0兆円、T-Bill・6か月物は、1回の入札当たり3.0~3.5兆円と考えている。足元では、新型コロナウイルス感染症対策金融支援特別オペなど、日銀買入オペに絡んで国内投資家からの担保需要が旺盛な状況であり、T-Bill・1年物で1回の入札当たり4.0兆円程度、T-Bill・6か月物では1回の入札当たり3.5兆円程度、1か月当たり7.0兆円までの増額は可能と考える。
   第1次補正分及び第2次補正分を7月から同時に増額すると、発行が大幅に増加することから、市場での調達を確実なものにするため、まずは短期ゾーン等での調達を中心とし、順次利付債に振り替えていく、という流れが適切ではないかと考えている。

・市場参加者の新型コロナウイルス感染症の感染拡大対応でスプリット勤務や在宅勤務による制約は感じられるが、懸念していたほどの流動性低下はなく、各国中央銀行の強力な資金供給・緩和姿勢にも支えられ、入札は安定的な結果で推移し、マーケットは落ち着いた動きとなっている。一方で、現物及び先物の売買高は低迷しており、市場の流動性が戻っているとは言えない状況でもある。今後も新型コロナウイルス感染症の影響次第だが、ある程度のオペレーションの制約は継続することを念頭に置く必要があると考えている。引き続き、市場参加者とのコミュニケーションをお願いしたい。
   令和2 年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更については、日本銀行の強力な緩和姿勢を前提に、優先順位としては、短中期ゾーン優先で、より発行増額が必要な場合には長期ゾーン、超長期ゾーンの順が好ましいと考えている。できるだけ早いタイミングから増額を開始して発行額を平準化することが望ましいと考える。具体的には、超長期ゾーンで増額するのであれば、30年債、40年債よりも投資家層の厚い20年債で、1回の入札当たり1,000億円程度の増額は可能。10年債については、金利がプラスかマイナスかで投資家需要が大きく変化するが、1回の入札当たり2,000億円程度の増額は可能。5年債については、現状、主要な投資家が少なく、中期ゾーンの中でも増額は慎重にするべきと考えているが、1回の入札当たり2,000億円程度なら増額は可能。2年債については、投資家の担保ニーズも高く、1回の入札当たり4,000億円程度の増額は可能。T-Billについては、国内投資家のニーズが拡大していることで、直近の増額については水準を調整することで無難に消化できており、今後も国内投資家の需要が喚起できるような水準であれば増額は可能と考えている。第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更で、既にT-Bill・1年物を5.4兆円、T-Bill・6か月物を10.0兆円増額しており、もし今回も同様の規模の増額となるのであれば、1年物を多く増額することが好ましく、年間でT-Bill・1年物を最大9.0兆円、T-Bill・6か月物を最大6.0兆円増額することは可能と考えている。

・日本銀行によるサポートもあり、国債市場は一見すると落ち着いた状況に見えるが、市場参加者のスプリット勤務等の物理的な制約を背景としたリスク許容度が低い環境に変化は見られていない。現物市場におけるオファーとビッドの乖離は広く、債券先物がヘッジツールとして機能していない等、流動性や機能度は注意を要する環境が続いているとの認識である。7月以降、国債発行の増額が実施されていく中、日本銀行が先立って積極的な国債買入れを実施することで国債市場の安心感が醸成されると考えており、その観点からも5月末に公表される「長期国債買入れ(利回り・価格入札方式)の月間予定」を始め、日本銀行からの情報発信がポイントになると思っている。
   令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大対策のための中小企業向けの給付金の充当等、主要な第2次補正予算編成事由が長期間にわたる資金支援には該当しないこと、また金額規模が不透明なこと等を踏まえ、増額分については5年債以内の年限での発行を希望する。現状の入札状況等から、5年債で1回の入札当たり1,000億円、2年債で同4,000億円程度の増額は可能と考える。また、T-Billについては、利払いが発生しないことから、担保の差入側・受入側の双方に好まれる傾向にあり、現時点での発行額を勘案しても未だ担保としての需要が相応に見込まれると考えているため、年間で20兆円程度の追加増額は可能であると考えている。特に、例年7月発行分以降のT-Bill・ 6か月物については、年末越えとなることから、海外向けの担保として需要が高まる傾向にある。従って、月間で1兆円から1.5兆円程度の増額であれば、大きな支障はないものと考えられる。ただし、いずれにしても国債全体の発行規模が大きく増大することから、円滑な発行環境維持には日本銀行の積極的かつ柔軟な国債買入が一層重要になると考えている。

・財政政策と金融政策のポリシーミックスがグローバルに実施される中、金融政策の下支えがあることや景気の急回復が期待出来ないこと、投資家の根強い投資需要があることから、イールドカーブ全般に低位安定が見込まれるが、実際に国債の追加発行が始まる7月以降は、日本銀行の買入姿勢がまだ見えてこないこともあり、不確実性が残る状況である。
   国債発行増額については、プラス金利の残る超長期ゾーンは多くの業態から投資需要のあるゾーンとなっており、20年債と30年債で合わせて、1回の入札当たり2,000億円の増額は十分に可能である。10年債以下については、日本銀行による積極的な買入オペ運営とイールドカーブ・コントロール政策によって、追加発行した国債を吸収可能であると想定するが、5年債については、10年債や2年債と比べると、市場参加者が使いづらい年限となっており、相対的に増額幅を抑えてほしい。具体的には、40年債は据置き、30年債は1回の入札当たり1,000億円の増額、20年債は2,000億円の増額が可能であるが、ただし、20年債を2,000億円増額する場合には、30年債の増額幅は抑制したほうがよい。10年債は1回の入札当たり2,000億円の増額、5年債は3,000億円の増額、2年債は6,000億円の増額が可能である。T-Bill・1年物は1か月当たり3兆円、T-Bill・6か月物は1か月当たり6兆円の発行が可能であると考えている。

・大型連休明けには市場参加者がある程度国債市場に復帰すると淡い期待を抱いていたが、そうはならず、緊急事態宣言は延長され、在宅勤務などが続いている。欧米では経済活動再開の道程が見え、日本でも緊急事態宣言が一部の都道県を除いて解除されたが、一部の国では新型コロナウイルス感染症の感染者が再び増加するなど、第2波、第3波の感染拡大の可能性が警戒されている。そのため、取引を手控える市場参加者は一段と増えたようであり、かえって値動きが小さくなったと感じている。
   第2次補正予算に伴う国債発行増額については、カレンダーベース市中発行額の増額幅は20兆円を超える公算があるが、短中期ゾーンの増額が中心であり、超長期ゾーンの増額はない、又は、極めて限定的であり、日本銀行が増額分を概ね吸収するため、市場への負の影響は乏しいと、市場では織り込まれていると考える。逆に言えば、こうした市場の織り込みとは違った国債発行増額の姿になるのであれば、その姿に沿って一旦、金利は反応するだろう。しかし、この場合でも、最終的にはイールドカーブ・コントロールの下、日本銀行が金利上昇を抑制するはずであり、超長期ゾーンの需給が相対的に悪化したとしても、期間構造の存在から超長期ゾーンの金利だけが一方的に上昇する展開は考えられず、最終投資家のイールド・ハンティングも待っているだろう。いずれにしても、日米欧ともに経済回復や国債発行増額に伴う金利上昇を中央銀行が抑え込む構図は変わらない。
   第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更については、追加発行額を第1次補正予算並みであることを前提とすると、日銀買入オペが手厚い短中期ゾーン中心の増額が望ましいと考える。増額時期は7月以降で、30年債と40年債は据え置き。30年債や40年債と比較して、10年債と20年債は幅広い投資家需要が見込めるため、1回の入札当たり1,000億円の増額となり、5年債は2,000億円の増額、2年債は4,000億円の増額、T-Bill・1年物は6,000億円の増額、T-Bill・6か月物は1か月当たり1兆円の増額となり、合計で21兆6,000億円の増額を見込んでいる。更なる増額が必要となる場合にはT-Bill・6か月物の増額で調整することになると考える。

・足元では新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペに対する担保需要が生じたため、5月に大幅なT-Bill発行増額を行ったものの、T-Billは堅調に推移している。新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペは満額応札で20兆円を超えると想定されるため、当該オペが続いている限りは、足元の国債増額分は十分吸収されると考えている。日銀によるT-Billの買入増加余地も最大の3兆円を超えておらず、1回の買入オペ当たり1兆円程度の増額余地があり、また本日導入された新たな資金供給手段に対する追加の担保需要も若干見込まれ、T-Bill・1年物と、T-Bill・6か月物はともに1回の入札当たり1兆円程度の増額余地がある。もっとも、1年物や6か月物はT-Billの中では市場リスクは高く、政府短期証券などによる調整を行い、市中発行総額は3か月物、6か月物、1年物の順番で増額することが望ましい。
   中期ゾーンについては、T-Billの担保需要や日銀買入の増額も期待でき、2年債で1回の入札当たり2.5~2.8兆円、5年債で1回の入札当たり2.3~2.5兆円といった発行でも大きな影響はないと考える。もっとも、日本銀行が買うから発行が吸収されるという姿勢を前面に出さず、市中での消化を念頭に増額を決めてほしい。10年債は金利がプラス圏に行けば需要は非常に高くなるため、1回の入札当たり2.5兆円程度の発行であっても十分に消化されると考える。20年債についても幅広い投資家層からの需要が見込まれるため、1回の入札当たり1.1~1.2兆円の発行でも問題なく消化されると考える。30年債についても、生保等の需要は強く、1回の入札当たり8,000~9,000億円の発行であれば問題なく消化されると考える。
   3月から4月に見られた相場の混乱は終息したように見えるが、足元ではボラティリティが急低下しており、この状況が続くと市場機能の低下、価格発見機能の喪失が懸念される。日本銀行の国債買入の問題でもあるが、低金利政策が長期間続くことが想定されるため、これらの副作用問題への配慮の重要度は上がっていると考える。

・大規模な財政支出に伴う国債増額懸念から生じる金利上昇圧力は幾分弱まっているものの、今後も財政支出の更なる増加が意識される中、引き続き金利上昇への懸念は残ると見込んでいる。一方で、日本銀行による積極的な国債買入スタンスを背景に、10年金利はゼロ%程度の推移が継続すると考えている。
   足元の市場流動性や日本銀行の国債買入スタンスを踏まえると、利付債の追加発行は中長期ゾーンを中心とすることが望ましいと考えている。また、T-Billについては需給構造の変化に留意が必要だが、大規模な増額に対応するため、T-Bill・3か月物も含めたバランスの取れた増額が望ましいと考えている。年限別には、40年債、30年債、20年債については現状維持、10年債は1回の入札当たり最大で2,000億円程度の増額、5年債は1回の入札当たり最大で4,000億円程度の増額、2年債は1回の入札当たり最大で6,000億円程度の増額、T-Bill・1年物は1回の入札当たり最大で1兆円程度の増額、T-Bill・6か月物は1回の入札当たり5,000億円、月間で最大1兆円程度の増額、がそれぞれ適当と考えている。

・新型コロナウイルス感染症をめぐる制約が継続する中、各国で経済活動の再開や出口を見据えた対策が検討される一方、第2波に対する警戒も高く、経済のV字回復は難しいと思われる。こうした中、市場は少しずつ落ち着きを取り戻しつつあり、ボラティリティが落ち着き、取引高も徐々に増え始めている。自宅勤務や分散勤務に伴うオペレーション上の制約が解消されるにはもう少し時間がかかると思われるが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の第2波を抑えられれば、そういった制約も徐々に解消し、市場のアクティビティも回復に向かうと考える。
   令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更については、第2次補正予算が10兆円を超える規模になる可能性や、カレンダーベースの発行増額も同程度となることを前提として考えると、各年限の増額配分は、30年債は1回の入札当たり1,000~2,000億円の増額で年間0.9~1.8兆円の増額、20年債は1回の入札当たり 1,000~2,000億円の増額で年間0.9~1.8兆円の増額、10年債は1回の入札当たり 2,000~3,000億円の増額で年間1.8~2.7兆円の増額、5年債は1回の入札当たり1,000~2,000億円の増額で年間0.9~1.8兆円の増額、2年債は1回の入札当たり1,000~3,000億円の増額で年間0.9~2.7兆円の増額、T-Bill・1年物は月間で1,000~2,000億円の増額で年間0.9~1.8兆円の増額、T-Bill・6か月物は月間で1,000~2,000億円の増額で年間0.9~1.8兆円の増額、が適当かと考える。
   なお、助成金等の一般会計で4兆円前後、日本政策金融公庫等の特別貸付・危機対応融資等の財投債で6兆円前後の規模を想定しており、前者は各年限で平準的に、後者については対応年限が10年未満となると思われることから、T-Billを含めた10年債以下の国債での調達が相応しいと考える。また、残存2年超での利付債での増額を第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更並みの9兆円前後と想定し、過不足分はT-Billで調整し、増額開始を7月からにするのが適当かと考える。10年債はプラス金利での投資家ニーズ、2年債は海外からの需要や担保ニーズに加え、両年限は日本銀行の買入比率も高く、増額余力が高い年限である。20年債はプラス金利への根強い需要があり、30年債は生保等の需要に加え、超長期ゾーンのベンチマークとしての位置づけから増額余力があると思われる。T-Billについては、足元急速に発行額を増やしており、前回並みの増額は難しいかと思われるが、1回の入札当たり2,000億円程度なら増額可能と考える。また、中期ゾーンのオフ・ザ・ランは恒常的に品薄となっており、流動性供給入札の残存1-5年ゾーンについても増額余力があると考える。

・新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、今後も不安定な状態が継続すると考えている。
   令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更については、30年債は更なる増額余地は限定的で1回の入札当たり8,000億円、20年債は30年債に比べ需給が安定していると考えており、増額余地があるため、1回の入札当たり1兆円、10年債はイールドカーブ・コントロール下でありプラス金利需要もあることから、増額余地があるため、1回の入札当たり2.4兆円、5年債はプラス金利でなく担保需要も乏しいため、増額余地は2年債よりは限定的で1回の入札当たり2.3兆円、2年債は担保需要などを背景に増額余地があり、1回の入札当たり2.6兆円、T-Bill・1年物はイールドカーブ・コントロール下であり、担保需要や海外投資家からの需要が強いため、増額可能で1回の入札当たり4.0兆円、T-Bill・6か月物は、1年物と同様の理由で、増額可能であり、1回の入札当たり4.0兆円、とそれぞれの最大発行額をイメージしている。

・国債市場は特段の大きな材料もなく、また、市場参加者の多くが在宅勤務を継続していることも要因となり、日々の取引量が大きく低下し、狭いレンジで推移している。そのような環境下においても、投資家の押し目買いはしっかりと確認できており、今後もこの流れは継続すると考えている。
   2年債と5年債については、当社の店頭では投資家需要が限られているものの、日本銀行の強力な下支えのもと、更なる大幅な増額は可能である。10年債については、手厚い日銀買入オペに加え、ゼロ%を超える金利水準では、投資家の実需もあるため、もう一段の増額は問題ない。超長期ゾーンについては、投資家層の裾野が広い20年債を大幅に増額しても市場への影響は軽微であるが、20年債と比べて流動性の劣る30年債及び40年債を大幅に増額することは回避するべきであり、30年債は微増程度、40年債は現状維持で留めるべきであると考える。具体的な増額可能幅については、1回の入札あたり2年債は2,000~4,000億円、5年債は2,000~3,000億円、10年債は1,000~3,000億円、20年債は1,000~2,000億円、30年債は500~1,000億円と考えている。
   T-Billについては、担保需要に加え、5月以降の日本銀行の買入姿勢からも、T-Bill・1年物は1回の入札当たり最大5,000億円程度、T-Bill・6か月物は1回の入札当たり最大5,000億円程度の増額が可能だと考えられる。

・国債消化については、いずれの年限においても、日本銀行のイールドカーブ・コントロールの影響を大きく受ける。特に、10年債までの年限への影響が強く、相当程度の発行増額が可能と考えている。また、令和2年度第2次補正予算の資金使途が短中期的なものと想定されることから、短中期ゾーンの増額が適当と考える。具体的には、2年債と5年債、10年債の3つの年限の合計で1回の入札当たり1兆円程度の増額が可能と考える。一方で、10年債までの金利がマイナスとなる中、プラス金利の超長期ゾーンへの投資需要も相当程度あり、幅広い投資家需要が期待できる。20年債と30年債の2つの年限の合計で1回の入札当たり2,000億円程度の増額が可能と考える。
   T-Bill・6か月物については、入札を月2回とした結果、T-Bill・3か月物と比較して1回の入札当たりの増額が抑えられていることを踏まえ、更なる増額が可能であり、1回の入札当たり5,000億円増額し、1か月当たり6兆円の発行とすることによって、市場の流動性の改善に寄与すると考える。
   足元、新型コロナウイルス感染症の感染状況は落ち着きを見せ始めているが、今後も警戒が必要な状況が継続する。こうした中、市場参加者のオペレーション上の制約が常態化することも予想される。最近、市場参加者から指摘されているが、国債の安定消化のために入札方式をダッチ方式とすることが有効であると考えており、入札方式を再検討してほしい。

・ イールドカーブ・コントロールが強力に作用する中、未曽有の経済状況下でも国債市場はしっかりと機能している。引き続き、金融政策の枠組みが変わらない限り、各年限で既往のレンジを逸脱する動きは想定しづらい。ただし、特に超長期ゾーンについては、発行増額による需給軟化の懸念が織り込まれやすい一方で、10年債については、金利がゼロ%付近で需要は強まり、投資家の行動も昨年度からやや変化していることが窺える。預金や融資の伸びが一段落した時点で、市場のテーマが再び変わる可能性がある。
   T-Billについては、7月以降に政府短期証券としての発行が減少することを前提に、その分を割引短期国債に振り向けることが可能である。既に発行残高は急増しており、T-Billの発行額が現在の想定以上に膨らむことは避けるべきである。利付債については、2年債と10年債、20年債は吸収余地が大きいとみられ、毎月1,000億円ずつの増額であれば、問題なく消化可能だろう。利付債での発行額を大きく増やす場合には、第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更と同様に、これらに加えて、各年限で1回の入札当たり1,000億円ずつの増額が目安になると考えられる。

・ 3月に、日銀買入オペが金額と回数ともに増えて、2か月経過した国債市場については、ボラティリティが低位で安定するとともに、5月入り後は動意が乏しくなっている。一方で、今週は、緊急事態宣言の全面解除が視野に入ったことで、スプリット勤務や出社比率の抑制によって大幅に減っていた市場参加者が多少回復に向かい始めたように思われる。
   国債発行増額については、7月からの増額を前提に、30年債については、今年度の生保の需要が明確に増えており、1回の入札当たり1,000億円の増額が可能である。20年債については、生保に加えて、銀行のプラス金利に対する投資需要が最も強いため、1,000~2,000億円の増額でも十分吸収可能である。10年債については、プラス金利とマイナス金利で大きく投資需要が増減する年限であるため、2,000億円の増額が限度である。5年債については、日銀買入オペ以外の需要はほとんどないため、2,000~3,000億円の増額が限度である。2年債については、第2次補正予算の内容を踏まえると、最も大幅な増額が求められるが、マイナス金利が深く、日銀買入オペの増額に頼らざるを得ないため、5,000~6,000億円の増額が限度であると考える。T-Billについても、日銀買入オペの増額を前提とするのであれば、T-Bill・1年物は4,000~5,000億円の増額、T-Bill・6か月物は1か月当たり8,000億円~1兆円の増額が可能であるが、翌年度の借換債が増えることに鑑みると、できるだけ抑制すべきと考える。
   第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更において、第1次補正予算のときと同規模の国債発行増額が必要となる状況に鑑み、入札方式を利回りダッチ方式へ変更することを改めて強く要望する。日本銀行が買入オペを増額してイールドカーブ・コントロールを強化しているとはいえ、市場参加者が極めて大規模な国債発行を一旦は受け止めなければならない。特にマイナス金利が深い短中期ゾーンについては、数回の日銀買入オペに依存せざるを得ないため、大規模に増額された国債入札の安定消化を期する上で、入札方式を利回りダッチ方式へ変更することが投資家の参加に一定の安心感を付与し、これを通じて国債市場特別参加者である証券会社の国債入札への参加とセカンダリー市場への流動性の提供の継続が展望できると考える。また、米国において経済対策の資金調達のために新たに発行された20年債の入札が好調となった一因として、入札方式がダッチ方式であることも挙げられると考える。

・足元の国債市場は非常に狭いレンジでの動きが続いている。引き続き、緊急事態宣言下で証券会社・投資家のアクティビティが乏しい中、10年債は概ねゼロ%程度で推移している。5月に入ってから、T-Billの発行が3か月物を中心に一段と増えたことで、一部需給の緩みを不安視する声が聞かれたが、これまでのところ日本銀行の積極的な買入れ姿勢も奏功し、需給の緩みやT-Billの増額によりイールドカーブ全体が不安定化するということもなく、落ち着いた動きが続いている。今後の国債市場は、しばらくは引き続き狭いレンジで落ち着いた動きが続きそうである。7月に入ると発行額が各ゾーンで増額され、需給に変化が生じることで、やや動きが出てくるものと思われる。
   令和2年度第2次補正予算に伴う国債発行計画の変更については、T-Bill及び中期から長期ゾーンの国債を中心に、超長期ゾーンも増額し、幅広い年限での増額対応が望まれる。超長期ゾーンについては、第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更による発行増額がアナウンスされた後も需要は根強く、イールドカーブ・絶対値の水準共にほとんど動きがないこと、引き続き、金利・デュレーションを求める動きは旺盛であることから、20年債については1回の入札当たり1,000~2,000億円、30年債についても1回の入札当たり1,000億円の増額は可能であると考えている。長期ゾーンについては、プラス金利でのニーズは強いことや、日本銀行の積極的な買入れ姿勢が相場を下支えすることから、1回の入札当たり3,000億円程度の増額は可能だと思う。中期ゾーンについても、日本銀行の積極的な買入れ姿勢がサポートとなることから、2年債、5年債それぞれ1回の入札当たり3,000~4,000億円の発行増額は可能であると思う。また、流動性供給入札については、かねてから残存1-5年ゾーンの増額を要望する声も多く、1回の入札当たり1,000億円程度の増額は可能であると思う。T-Billについては、総額で11兆円程度の増額で、T-Bill・6か月物については月2回入札となったことで月1回入札よりも安定性が増したと考えており、1回の入札当たり3.5~3.75兆円程度の発行は可能だと思う。

・ T-Billの発行残高が令和2年3月末から20兆円近く増加しているが、今のところ市場への影響は限られている。また、米国債市場なども安定しており、国債発行増額の議論がされているにもかかわらず、日本国債市場は非常に安定している。ただ、今後もT-Billの発行増額が継続することや、7月以降には利付債の発行が急増することも踏まえると、需給環境が一変するリスクは残っている。日本銀行が買入オペの増額等を通じて一定程度の影響を吸収することになると予想しているが、それでも今後の市場の流動性等には十分な警戒が必要だと考えている。
   超長期ゾーンについては、20年債と30年債は7月から1回の入札当たり1,000億円の増額が既に決定しているが、投資家別売買動向からも国内の生損保が日本国債に回帰する姿勢が見られることから、更に1,000億円の増額をしても、市場で十分吸収可能であると考えている。ただし、40年債は投資家層の拡がりが限定的であることを考慮すると、据え置きが妥当であると考えている。中長期ゾーンについては、日本銀行による大量買入の継続を前提とすれば、今回の国債増額の主力ゾーンになりうると考えている。各年限ともに1回の入札当たり3,000億円程度までの追加の増額は可能であると考えているが、特に10年債については、日本銀行の強力なイールドカーブ・コントロールの下、プラス金利の10年債が投資家の明確な投資対象となっており、2年債や5年債よりも増額の余地が大きいと考えている。また、流動性供給入札については、今後予想される日銀買入オペの増額により、個別銘柄で需給逼迫も起こりやすくなるため、今回の発行増額の対象に含めるべきと考えている。
   T-Billについては、直近の大幅な増額でも基本的に順調に消化していることに加え、安定した担保需要が下支えとなるので、T-Bill・6か月物とT-Bill・1年物を合わせて1か月当たり最大8,000億円程度まで増額することが可能であると考えている。

・最近の国債市場については、ボラティリティの低下が見られ、流動性は回復してきているように見えるが、各国の中央銀行による積極的な金融政策の結果としてマクロ環境に対する感応度が下がり、価格決定機能は失われてきているようにも見える。そのため、10年債金利は日本銀行のイールドカーブ・コントロールのターゲットであるゼロ%近傍で安定しており、日本銀行によるマイナス金利の深掘り観測が高まらない限り、この状況が継続しやすいと見ている。一方で、超長期ゾーンについては、市場の流動性低下に対する懸念と国債発行増額観測を背景に、金利上昇の動きが続いていたが、流動性が回復し、当面の国債発行増額の影響が既に織り込まれたと見ているため、新たな国債発行増額観測が見られない限り、これまでの金利上昇を戻す動きが徐々に見られるのではないか。
   国債発行増額については、日本銀行のイールドカーブ・コントロールが継続するという仮定の下では、10年債以下の年限の発行増額の余地が比較的大きいと見ており、1回の入札当たり最大で、T-Bill・6か月物は6,000億円、T-Bill・1年物は9,000億円、2年債は8,000億円、5年債は5,000億円、10年債は3,000億円の増額が可能であると考えている。残存10年超ゾーンについても、プラス金利に対する需要の堅調さを踏まえれば、20年債と30年債はそれぞれ1回の入札当たり最大で2,000億円の増額が可能と考えている。なお、T-Bill・1年物については、1回の入札当たりの発行額は1.75~3.5兆円程度が適切であり、発行額に応じて1か月当たりの入札回数を変更する方がよいと考えている。

・7月以降の国債発行増額に伴い、日本銀行がどれくらい買入オペの増額を行うかが注目であるが、強力なイールドカーブ・コントロール政策がある限り、金利に大きな動きはないと考えている。
   第2次補正予算に伴う国債発行増額の規模が、第1次補正予算に伴う国債発行増額と同程度である場合には、各年限について、前回と同様の増額幅がよいと考える。具体的には、40年債と30年債、20年債は1回の入札当たり1,000億円、10年債と5年債は2,000億円、2年債は4,000億円、T-Bill・1年物は6,000億円の増額が可能である。更なる増額が必要な場合には、T-Bill・6か月物の発行額で調整するとよい。

・海外金利の変動が落ち着いてきたことや、買入頻度の増加など積極的な日銀買入を背景に、最近の国債市場は安定的に推移している。一方で、国内では緊急事態宣言の下、証券会社のみならず、投資家も出社制限を行っている状況であり、不要不急の売買が手控えられ、必要な手当てはセカンダリー市場よりも入札で行われていることが、最近の各年限の新発債の入札がよい結果の一因になっていると感じている。今後の見通しについては、当局の国債発行増額の規模とその年限構成、それに対する日銀買入がどうバランスしていくかが鍵となる。特にマイナス金利となっている中長期ゾーンについては、トレーディングを除けば、国内投資家からの実質的な需要に乏しいため、日本銀行の買入姿勢によっては、一時的な金利上昇を招くリスクを孕んでいる。
   国債発行増額については、日銀買入の方針を踏まえ、10年債以下の年限での増額を中心とするのが望ましい。具体的には、2年債が1回の入札当たり3,000~4,000億円、5年債が3,000~4,000億円、10年債が1,000~2,000億円、20年債と30年債が1,000億円の増額が可能と考える。超長期ゾーンについては、日銀買入額が減少しているものの、生保等の需要は根強く、また、プラス金利への銀行等の需要も見られることから、20年債と30年債には増額余地があるが、投資家層が相対的に少ない40年債は増額余地に乏しいと考える。10年債はプラス金利では相応の需要が見込まれるが、マイナス金利では需要が減少するため、2年債や5年債と比較すると、増額余地は少ないと考える。なお、単に2年債や5年債を増額するよりも、その一部を残存1-5年ゾーンの流動性供給入札の発行増額とする方が、より需給の安定を図るためには好ましいと考える。また、足元の需給悪化から、物価連動債の増額は見送るべきと考える。
   T-Billについては、4月に公表された「当面の長期国債等の買い入れの運営について」において、日本銀行はT-Bill買入オペの1回当たりの最大買入額を3兆円程度と規定したため、日銀買入オペがT-Bill市場の安定にとって大きな支援材料になっている。日銀買入オペ直前のT-Bill発行額と日銀買入オペの買入額のバランスを考慮すると、1年物は最大で1回の入札当たり2,500億円、6か月物は最大で1回の入札当たり5,000億円の増額余地があると考える。

・国債の市中増額懸念を背景に、ロングエンドを中心に金利上昇圧力が加わりやすい状況だが、一方でインプライド・ボラティリティの低下が進んでいる。これは、多くの投資家が金利上昇過程での押し目買いの姿勢を続けているため、取引レンジの上限を上回るような金利上昇が実際には生じておらず、その結果、現在の金利水準から更にボラティリティの上昇を伴うような大幅な金利上昇が生じるとの見方が後退しているためと思われる。ボラティリティが低い中で、投資家はキャリーを重視した投資行動を強めると予想される。日本銀行が、金融機関向けの資金供給にプラス0.1%の付利を行い、実質的にマイナス金利政策からの副作用軽減に踏み出す中で、短中期ゾーンの金利低下余地は乏しく、最終的にはロングエンドに投資資金が向かいやすい構図にあると考えられ、これが増額懸念に伴う金利上昇バイアスを抑制すると考える。
   第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更からの増額可能幅については、2年債は、1回の入札当たり4,000億円、年度累計で3.6兆円まで増額可能で、投資家の担保ニーズ等で安定消化できるとは思うが、T-Billのヘッジにもなるゾーンであるため、仮にT-Billを大きく増額するのであれば、2年債のもう一段の増額は安定消化の妨げになるかもしれない。5年債は、1回の入札当たり2,000億円、年度累計で1.8兆円まで増発可能。ただし、特定の投資家がいない年限になるため、更なる増額の際に安定消化できるかには疑問が残る。10年債は、1回の入札当たり4,000億円、年度累計で3.6兆円まで増額可能。プラス金利での投資家需要は非常に強く、この金額であれば無難に消化することが可能と考える。20年債は、1回の入札当たり1,000億円、年度累計で9,000億円まで増額可能。預金金融機関や長期の負債を有する投資家への販売が見込めるが、日本銀行のサポートが薄いゾーンでもある。30年債は、1回の入札当たり1,000億円、年度累計で9,000億円まで増額可能。長期の負債を有する投資家への販売が見込めるが、日本銀行のサポートが薄いゾーンでもある。なお、20年債と30年債については、入札方式を利回りダッチ方式に変更することを希望する。T-Bill・1年物は、2年債によるヘッジも可能なため、第1次補正予算に伴う国債発行計画の変更後の発行額から、1回の入札当たり5,000億円、年間 4.5兆円の増額は可能だと思われる。T-Bill・6か月物は、現在の発行額を維持するのがよいと思われるが、1回の入札当たり5,000億円、年度累計9.0兆円まで増額可能ではないかと思われる。
   40年債は、投資家の裾野が広がっており、7月から1回の入札当たり6,000億円×5回の増額が可能と考えるが、利回りダッチ方式の継続が前提となる。物価連動債は、3月の混乱からやっと落ち着きを取り戻しつつある過程であり、現状維持を希望する。流動性供給入札は、対象ゾーンに属する利付債の増額にもよるが、3ゾーン共に1回の入札当たり1,000億円の増額が可能と考える。

・ 10年債以下については、イールドカーブ・コントロールの下で、日銀買入オペの増額が継続すると考えられるため、大幅な発行増額が可能である。一方、残存10年超ゾーンについては、これまで日銀買入額が増加していないことや、近い将来の動向も不透明であることから急なペースでの増額は難しいと考える。また、国債発行増額及び日銀買入オペ等に伴い、追加的な担保需要やデュレーション需要が生じると考えているが、これらが超長期ゾーンの需要増加にどの程度つながるかは、もう少し時間をかけて見極めた方がよい。一方で、残存10年超ゾーンの現在の金利はやや低すぎると考えており、中長期的には緩やかなペースで増額することを期待する。
   T-Billについては、T-Bill・3か月物の需給が緩み気味であるのに対して、T-Bill・6か月物の需要は一定程度強く、T-Bill・6か月物の大幅な増額が望ましいと考えている。

 

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財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700