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日時 令和2年3月23日(月) |
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場所 書面にて開催 |
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内容 1. 令和2年度における名目利付債のリオープン及び入札方式について ○令和2年度における名目利付債のリオープン及び入札方式について、理財局から以下のように説明を行った。 ・翌年度の名目利付債のリオープン及び入札方式については、毎年3月の本会合において議論し、皆様の御意見を踏まえて決定することとしている。本日は、令和2年度における名目利付債のリオープン及び入札方式について、P.3に、当局案をお示ししており、これについて皆様の御意見をお伺いするもの。 ・10年債については、平成27年度以降、償還日が同一の国債を発行する場合で、かつ、前回債の表面利率と入札日の市場実勢の乖離が概ね30bps以内の場合には、リオープン発行としている。 ・20年債・30年債・40年債のリオープン方式については、皆様から、現行方式を支持する御意見をいただいていることから、令和2年度においても、20年債・30年債は年間4銘柄、40年債は年間1銘柄でのリオープン発行(原則リオープン発行)としてはどうかと考えている。 ・次に、40年債の入札方式については、これまで当局としては、投資家層の拡がりが限定的で、他の年限と比較して遜色ない程度の流動性が見られていないなど、マーケットの成熟が確認されていないため、利回りダッチ方式の継続が適当ではないかとしてきたところ。 ・ 40年債の入札方式について事前に皆様から御意見をお伺いしたところ、価格コンベンショナル方式への移行を希望する御意見としては、投資家層が拡がりつつあり、安定した需要が見込めることや、入札前後の価格形成に不連続が生じていることを理由とする声が聞かれた。 ・一方、利回りダッチ方式を支持する御意見としては、40年債の利回りが低く、流動性が向上していないと見る向きがあることや、令和2年度の発行増額を踏まえ、利回りダッチ方式を継続して様子を見るべきとの御意見が聞かれたところ。また、米国の入札方式がダッチ方式であることから、ダッチ方式の方が米系の投資家を呼び込みやすいのではないかとする御意見もあった。 ・また、ボラティリティが高い時期の発行入札前後のヒアリングにおいては、利回りダッチ方式であることが市場参加者に一定の安心感を与えたという声が聞かれている。 ・以上のように、価格コンベンショナル方式に移行すべきという御意見も一定程度あったが、国債市場特別参加者の数・落札シェアのいずれでみても利回りダッチ方式を維持すべきという御意見が多数であった。 ・ここで改めて、足元の40年債のマーケットの成熟度を確認すると、40年債の流動性は徐々に高まっていると認識しているものの、例えば、P.4に示したグラフの通り、30年債の入札方式を価格コンベンショナル方式に移行した頃の業者間出来高を、現在の40年債はまだ超えていないことなどから、当局としては、未だ成熟しているとは言い難い状況であると認識している。 ・当局としては、これらの御意見や状況を踏まえ、発行計画上増額となる令和2年度において、P.4のとおり、利回りダッチ方式を維持することによって安定的な消化を図ることが望ましいのではないかと考えている。 ・令和2年度における名目利付債のリオープン及び入札方式については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。 ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・当局の提案に賛成する。日銀買入の規模を踏まえると、セカンダリー市場やレポ市場の流動性維持の観点からも、現行方式の維持が適当であると考える。また40年債は、令和2年度の発行増額や、足元の不安定な市場環境等を踏まえると、現状の利回りダッチ方式を維持することが安定消化に寄与すると考えている。 ・当局の提案を支持する。10年債については、現状の金融政策を踏まえれば、数ヶ月の間に30bps以上金利が変化することは難しい環境にあるため、実質的に足元の方式は原則リオープン発行に近いと考えている。同ゾーンにおける日銀買入が引き続き1ヵ月当たり1.4兆円のペースで行われており、1銘柄当たりの流動性を確保する観点から、現状維持を支持する。 ・当局の提案に賛成する。現在のリオープン方式でも流動性及びレポの面で特段悪影響はみられないため、これまで同様の対応でよいと考えている。 ・10年債、20年債及び30年債については現行のリオープン方式で問題ない。40年債については令和2年度から1回の入札当たりの発行額が4,000億円から5,000億円に1,000億円増額される影響の見極めが難しく、また、当局の説明の通り、マーケットの成熟度の観点からも、引き続き利回りダッチ方式での入札を希望する。 ・個別銘柄の流動性を十分に確保するという観点から、現行のリオープン方式を維持する事が適切と考える。 ・10年債だけ特別ルールを設ける必要はなく、年間4銘柄での原則リオープン発行でよいと考えているが、現在のイールドカーブ・コントロールの実施下ではほぼ確実にリオープン発行となるため、現状ルールのままで異論はない。 ・当局の提案に賛成する。40年債入札前後の価格形成については、利回りダッチ方式が影響しているというよりは、隔月発行による市場需給の偏りが影響していると考えている。今後、40年債市場がより成熟すれば、毎月発行の是非を含めて、検討すべきものと考える ・当局の提案に賛成する。今後については、超長期ゾーンの入札方式に関して、市場が成熟してきたら利回りダッチ方式から価格コンベンショナル方式へ移行するという固定観念を考え直してもよい時期ではないかと考える。ボラティリティが高い時期の発行入札前後のヒアリングにおいては、利回りダッチ方式であることが市場参加者に一定の安心感を与えた、という御意見に賛同する。更に、随一の流動性・機能性を有していると評される米国市場でもダッチ方式が採用されており、一概に価格コンベンショナル方式が利回りダッチ方式より優れているという評価は妥当ではないと思われる。仮に超長期ゾーンの入札方式を利回りダッチ方式に変更すれば、当該入札方式に慣れた米系の顧客からのプライマリー札の増加が見込まれ、長い目で見れば価格安定や発行コストの軽減にも繋がると考えている。 ・当局の提案に賛成する。引き続き日銀買入オペの影響が大きく、流動性を確保するためにも現状のリオープン方式を維持することを希望する。40年債については確かに投資家層の拡がりは感じるところではあるが、他の年限と比較すると、まだ流動性が十分という状況とはいえないと考えている。令和2年度に40年債の発行増額もあり、現状維持の利回りダッチ方式を支持する。ただし、将来的には価格コンベンショナル方式への移行の検討余地はあると考える。 ・リオープン方式については、現状維持が望ましいと考える。一方、40年債の入札方式については、令和2年度の利回りダッチ方式維持について異論はないものの、価格コンベンショナル方式導入の優位性についても共有しておきたい。40年1回債発行から10年以上が経ち、40年ゾーンのマーケットも足元では他年限同様の流動性が保たれている。現状の利回りダッチ方式では入札前後の価格形成に不連続が発生しており、投資家の利便性を鑑みても価格コンベンショナル方式を導入するタイミングを模索すべきと考える。投資家の導入希望の声も高まってきていることから、環境が整うことが前提とはなるが、令和3年度以降においては、価格コンベンショナル方式を導入し、更なる流動性向上のサポートをお願いしたい。 ・40年債では、高値入札と入札後の消化不良という傾向が散見されている。市場の価格発見機能の改善のためにも、引き続き完全な価格コンベンショナル方式への移行を希望する。その他の当局の提案については異論はない。 2. 令和2年4-6月期における物価連動債の発行額等について ○令和2年4-6月期における物価連動債の発行額について、理財局から以下のように説明を行った。 ・物価連動債については、P.6のとおり、令和2年度発行計画では、1回の入札当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。また、P.7のとおり、買入消却についても、「市場の状況や市場参加者との意見交換も踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。本日は、4-6月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。 ・1-3月期については、P.8のとおり、市場の状況や市場関係者との意見交換を踏まえ、2月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、物価連動債市場の需給の改善を図るために、買入消却入札を毎月200億円実施することとしたところ。P.9のとおり、2月の発行入札は、過去の発行入札と比べて遜色ない結果となった。 ・流通市場の状況については、P.11からP.13までのとおりである。P.11及びP.12は、従来からお示ししているグラフであるが、足元の動きは、日本においてのみならず、世界的に見て、トレンドから乖離した大きなものとなっている。 ・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うリスクオフ地合いに加え、原油価格の下落に伴って、グローバルに物価連動債が売られ、需給が大幅に悪化していることから、4-6月期における物価連動債の発行を減額ないし取止めとすること、あるいは、買入額を大きく増額することが望ましいとの御意見が多かった。 ・こうした状況を踏まえて、P.14に当局案をお示ししている。まず、3月中に、3,000億円の追加の買入を、買入最大価格較差の上限を設定した競争入札の形で1回実施したいと考えている。この上限の具体的な値は、オファー時に正式にお伝えすることとなるが、買入価格が100円となる水準とする。ただし、銘柄ごとに基準価格が異なることから、買入価格が100円とならない銘柄もある。なお、実施にあたっては、事務の関係上、結果公表時刻を通常の12時35分から14時に変更することとする。 ・以上、物価連動債市場についての状況とそれを踏まえた当局案について御説明した。 ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・足元、長期保有を目指した新発債の買い方は殆ど見られないことに加え、これまでの長期保有者が既発債に売りをみせている。こうした状況を踏まえ、当局が3月中に3,000 億円の買入を追加で1 回実施することを検討していることは、不安定なマーケットに早期に対応し、マーケットに安心感を醸成するだけでなく、健全な成長を促す意味でも強く支持する。 ・発行減額、買入増額といった当局の提案に賛成する。 ・3月中の3,000億円の追加買入の実施について賛成する。海外市場のBEIも同時に下がっている状況とはいえ、BEIはゼロ%を大きく割り込んでいる水準であり、直近の海外投資家を中心とした売り圧力も、このサイズであれば相当程度吸収されると考えている。価格の上限設定についても、妥当な水準だと考えている。 ・市場の維持、及び流動性の確保の観点から、当局の提案に賛成する。 ・1回の入札当たりの発行額は3,000億円に減額し、そしてアンダーパーである限り、買入額を500億円に増額することを希望する。また、100円の上限を設定した追加買入を検討してもらえるのであれば、こちらも希望する。 ・5月に3,000億円の発行、4-6月で各月500億円の買入を支持する。 ・当局の提案に賛成する。世界的なリスクオフが進む中、物価連動債にもアンワインドによる売却の動きによって、理論的に極めて安い水準まで価格は急落している。次回入札時に、果たして需要があるか不安定な状況である。一方で、マーケットを育成するには発行継続も必要と考える。当面、買入増額及び発行減額により、物価連動債の動向を確認しつつ、引き続き市場との対話をお願いしたい。 ・足元のBEIがマイナス圏となっていることや、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うグローバルな景気悪化懸念の高まり、国内物価動向を勘案すると今後の投資家需要は更に乏しくなることが想定されることから、発行を減額し買入を増額することが適当であると考えている。 ・一時的な需給悪化で発行取止めとすることは国債の商品性の多様化に逆行することから、発行減額及び買入増額で対応することが望ましいと考える。 ・3月中の追加買入3,000億円は、流動性低下によって不整合な水準にまで急落している物価連動債の需給改善に寄与すると考える。元本保証の付いている物価連動債をBEIでゼロ%以上というフェアな水準で推移させることは健全な市場育成のため必須だと考えているため、今後もBEIがマイナスで推移する状況では臨時買入実施や入札取止めを機動的に実施することが肝要であると考えている。 ・3月中の追加買入について、金額は当局の提案に賛成である一方、買入水準については、銘柄間の需給格差を勘案すると、価格よりもBEIに基準を設ける方が適切であると考える。 ・当局の提案に賛成する。現在、理論価格を大きく下回った水準でBEIが取引されていることを踏まえると、発行額減額と大幅な買入増加は妥当と考える。 ・発行減額及び通常の買入増額に関しては、当局の提案が適切と考える。 ・買入増額や、第Ⅱ非価格競争入札を当分の間実施しないとすることに関しては、当局の提案に賛成する。一方で、発行額については、引き続きアンダーパー状態が続くプライシングがされている場合には、発行を見送る選択肢も確保しておいた方がよいと考える。 ・ BEIの下落はグローバルな現象であり、日本特有の動きではない。むしろ直近の値動きを見る限り、日本のBEIの下落幅は他通貨対比かなり小さい。物価連動債という商品の裾野を広げるため、極度の相場下落に対して対策を取ることには賛成である。しかし、原油や他通貨のBEIが大きく売られている等、明確な外的理由が存在する中で、極端な需給改善策を取る必要性は現時点では乏しいと考えている。 3. 令和2年4-6月期における流動性供給入札について ○令和2年4-6月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。 ・流動性供給入札については、P.17のとおり、令和2年度発行計画では、 ・ P.18のとおり、1-3月期においては、令和元年度発行計画で想定されているのと同様、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の1月と3月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の2月に5,000億円の発行とした。 ・ P.19~21に、最近の流動性供給入札の結果を示している。明日実施予定の残存1-5年ゾーンの入札は資料に反映されていないが、これまでのところでは、各ゾーンにおいて、総じて安定した結果となっている。ただし、3月16日に実施した残存5-15.5年ゾーンについては、足元のボラティリティの拡大を受けて、テールが出る結果となったところ。 ・こうした中で、4-6月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、残存5-15.5年ゾーンについて令和2年度に毎月1,000億円の発行減額となっていることは妥当であるほか、それ以外のゾーンについては需給状況に大きな変化は見られていないことから、現状の発行額等を維持することが適当との御意見が多かった。 ・これを受け、P.22にあるとおり、4-6月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。残存1-5年ゾーンについては、奇数月の5月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、これまでより1回の入札当たり1,000億円減額して毎月5,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の4月と6月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。 ・4-6月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。 ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・これまでの議論でも流動性供給入札では残存5-15.5年ゾーンの減額を要望する声が多かったため、それにならう形での当局の提案に賛成する。また、令和2年度最初の四半期であり、議論の流れに沿った配分が好ましいため、残存1-5年ゾーン及び残存15.5年超ゾーンは発行額を変更させる必要もないと考える。 ・残存5-15.5年ゾーンは1,000億円の減額となったが、残存1-5年ゾーンは海外投資家からの需要が、残存15.5年超ゾーンについては国内投資家からの需要が、継続的に強い状況である。残存1-5年ゾーンは奇数月の5月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンは毎月5,000億円、残存15.5年超ゾーンは偶数月の4月と6月に5,000億円という当局の提案に賛成する。 ・当局の提案に賛成する。日銀買入において残存7年周辺銘柄が対象外になっていることから、国債先物の流動性は確保されていると考える。残存5-15.5年ゾーンにおいて1,000億円の減額が妥当である。 ・ボラティリティの高まりもあり、今月の残存5-15.5年ゾーンの流動性供給入札はテールが出る結果となっていることから、同ゾーンの減額は適当であると考えている。また、昨年末の本会合で市場参加者間での議論がなされ、支持された案であることからも同ゾーンの減額を支持する。 ・令和2年度最初の流動性供給入札であるので、特段大きな理由がない限りは国債発行計画通りに実施すべきであり、当局の提案に異論はない。 ・4-6月期については当局の提案に異論はない。ただし、引き続き流動性の希薄化が目立つのは残存3-5年ゾーンである一方で、残存5-15.5年ゾーンは日銀買入対象銘柄が減っていることもあり、先行きは減額可能であると考えている。 4.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・言うまでもなく、新型コロナウイルス感染症が最大の材料である。当初は世界的な景気悪化懸念と金利低下、株安などファンダメンタルズに沿って、3月9日に長期金利がマイナス0.2%まで低下するなど、日本国債も金利低下が進む場面があった。しかし、その後から足元は、益出しやリスク回避に起因するキャッシュ化の動きが止まらず、不安定な動きが続き、ファンダメンタルズ対比で金利が上振れて推移する状況が続いている。日銀買入は焼け石に水の感も強い。しかし、期末決算に目処がつくと、早ければ本日にもこうした動きが一服すると見込まれる。その際、今も存在しているが、経済対策に起因する国債増発や財政悪化の懸念がイールドカーブのベア・スティープ化に寄与するとの見方が強まりやすい。もっとも、各国の中央銀行の資産買入がその圧力を相殺するだろうし、何より、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が世界経済に及ぼす負の影響は現在の市場が暗に示しているコンセンサスよりかなり大きい可能性は否定できない。世界の人と物の動きがこれだけ止まったことを経験した市場関係者はいないに等しい。したがって、その後は中央銀行が更なる対応を迫られ、過去最低水準を更新した米金利・独金利はともかく、日本の長期金利がそこを抜けて低下する見通しは排除できない。日本銀行がマイナス金利深掘りに踏み込む公算が大きいと見ており、長期金利はマイナス0.35%まで低下すると予想している。また、同時に「谷深ければ山高し」に警戒すべきである。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束するのか、ワクチンや治療薬の開発に目処が立つのか、それとも、時間の経過がそうさせるのかは分からないが、やがて、世界の人と物の動きが回復して経済悪化の懸念が和らぐ時には大きく低下した長期金利が一気に上昇する展開になるだろう。 ・各社が新型コロナウイルス感染症への対応を続けるに従い、オフィス分離や在宅勤務などが進んだため、オペレーショナル・リスクが以前に増して大きくなっていると思われる。日本銀行をはじめとして各国の中央銀行が様々なオペを行うことで、流動性を提供しているが、例えば、インターバンクでのドル調達コストの高止まりや米国での格付けの低いCPのレートの高騰など、市場の隅々までオペの効果が浸透していないものも見受けられる。 ・海外市場の荒い値動きは円金利市場にも波及し、特にデリバティブでは顕著な変動につながっていた。こうした世界的な混乱の中でも、日本国債は残存7年近辺を除けば比較的落ち着いた推移を続けていた。この結果、長期金利が現在プラス圏にあるなど、年初来で日経平均が約30%も下落したことと整合的な状況とは言えない。良く捉えればイールドカーブ・コントロールがしっかりと機能していると評価されるが、悪く捉えれば市場が機能していないだけである ・欧米諸国での新型コロナウイルス感染症の感染が徐々に深刻化し、グローバル金融市場で流動性が大幅に低下し、リスクを削減する相場を通り越してポジションを清算する相場の様相となってきており、先週末までグローバルな株安・債券安が大幅に進行していた。 ・年明け以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大観測からグローバルに景気減速懸念が台頭しており、先行き見通しが非常に不安定な状況となっている。海外、国内ともにリスクオフムードが高まった後、足元では各市場間での相関が働かない全資産売りの様相が強くなっている。国内債券市場についてもボラティリティの高い状況が継続しているが、先週来、日銀買入が積極化しつつあり、時間を相応に要しながらも徐々に落ち着きを取り戻すものと想定している。ただし、FRBやECBと比べると、国債買入の量やスピードが共にやや劣後しており、今後の国債買入に対する日本銀行の強いコミットメントが国内債券市場正常化への大きな鍵になると考えている。 ・経験のない新型コロナウイルス感染症によるグローバルな混乱の影響で日本国債市場についても市場参加者のリスク許容度や国債の流動性は大きく低下している。 ・新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いグローバルな景気後退懸念が高まっている。一方で、各国の大規模な財政支出に伴う国債増発懸念や投資家のリスク削減の動きが強まる中、金利はグローバルに乱高下しており、日本国債も同様にボラティリティが高く、当面は金利が上下に振れる展開が継続すると考えている。 ・マーケットの流動性が著しく低下している中で、年度末を控え、更なる混乱が起きるリスクが残っている。新年度に入っても尚、落ち着く確証が得られないため、引き続き不安定な相場環境となりそうである。 ・新型コロナウイルス感染症の感染拡大に端を発した世界情勢の混乱による影響は大きく、日本国債市場においても流動性の大幅な低下がみられる。今後、各国の感染拡大状況の改善や新年度入りに伴う国内投資家のリスク許容度の改善等を期待するが、状況の改善にはしばらく時間がかかると思われる。 ・新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が流動性の低下という形で表れてきている。リーマンショック時もマーケットは短期間ではあったものの流動性が途切れており、これ以上環境が悪化するとなれば相応の影響が出る可能性も否定できないと考える。 ・年度末であり、新型コロナウイルス感染症への対策に伴うセパレート運営やマーケットのボラティリティ上昇により流動性が著しく低下しているが、新年度に入った後は状況の改善が可能となるのではないかと考えている。 ・足元では、グローバル債券市場でも問題となっている流動性低下懸念や年金勢のアロケーション変更に伴う売却懸念、財政出動に伴う国債増発懸念が円債市場の不透明要因となっている。しかし、中期的に見れば、日銀買入オペの増額余力や世界的な景気後退を背景に、徐々に円債市場も落ち着きを取り戻すと想定している。 5. 理財局からの連絡事項 ○理財局から以下のように説明を行った。 ・まず、利付国債の表面利率の下限引下げについてお知らせする。 ・次に、「分離適格振替国債の分離状況」等の公表頻度の見直しについてお知らせする。 |
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問い合わせ先
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700