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国債市場特別参加者会合(第118回)議事要旨

 

日時 令和8年3月26日(木)16:00~16:55

場所 中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室

内容 
1. 令和8年度における利付債のリオープン方式について

〇令和8年度における利付債のリオープン方式について、理財局から以下のように説明を行った。

・利付債のリオープン方式については、毎年3月の本会合において議論し、皆様のご意見を踏まえて決定することとしている。

・事前にご意見をお伺いしたところ、基本的には各年限・商品共に現状維持を望む声が大多数あるいは全てだった。

・例えば、5年債・10年債について、一部の方から、足もとの金利水準とその変動幅を踏まえて、よりリオープン発行になるよう望む声が寄せられたものの、多くの方からは現状維持を望む声が寄せられた。

・30年債については、4月以降、発行額が毎月6,000億円に減額されることを踏まえて、流動性を確保する観点から、年間2銘柄でのリオープン方式に変更することを希望する声が一定程度寄せられた。

・一方で、
 ・30年債を保有する投資家や、入札で購入している投資家からは、「簿価分散等の観点から、銘柄数が多い方が望ましい」という声が寄せられたほか、
 ・過去の1銘柄あたりの発行量に鑑み、現状維持とすべきではないかとの声も寄せられ、
どちらかと言えば、年間4銘柄を希望する声が多かった。

・これらを踏まえた当局案は、P.3のとおり。令和8年度は、いずれの年限についても現状維持とすることを考えている。


〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当社において、本会合のアンケートについては一切触れずに、通常の営業活動の一環として海外の投資家中心に様々な質問を行い、その中でリオープン方式についても聞いたところ、ほとんどの年限について、これまでどおりで問題ないとのことであった。
・30年債のリオープンに関しては、全体として6対4で、年間4銘柄を希望する投資家が年間2銘柄を希望する投資家よりも多かった。加えて、今まで当社を通じて超長期ゾーンの入札に参加された投資家に限定すると7対3、更に超長期ゾーンの入札に複数回参加された投資家に限定すると8対2と、現状維持の年間4銘柄を希望する投資家の方が圧倒的に多かった。背景としては、当局から説明があったように色々な観点があると思うが、基本的には銘柄の選択肢が多い方がいいということだろう。そのため、当社は、30年債のリオープン方式について、顧客である投資家の意見を踏まえ、現状維持の年間4銘柄を希望する。

・利付債のリオープン方式について、2年債、5年債、10年債に関しては、現状のリオープン方式で問題ないと考えている。カレント銘柄周りでのレポの引き締まりが続くような動きは見られておらず、流動性や安定消化の観点から現行方式を変更する必要性は低いと考えている。
・超長期ゾーンに関しては、発行額の減額が続いていることに加えて、30年債については、生命保険会社のオフ・ザ・ランとカレント債を入れ替えるオペレーションや海外投資家の買いを背景にカレント債の需給が逼迫して、入札前に一時的に需給が引き締まる局面も見られていた。ただ、足元では入札通過後にはそのような状況は緩和されており、特定銘柄の流動性逼迫が継続する市場環境ではないと考えている。今後更に発行額の減額が進んだ場合には、そのときの需給環境を踏まえて、リオープン方式の見直しというものが必要になる可能性はあるが、現状においては、30年債を含めて、現行方式から変更する必要はないかと考えている。
・CT債や物価連動債に関しても、リオープン方式を理由とする安定消化に関する問題はないと見ているため、現状の発行方式を維持することが適当と考えている。

・当社は30年債を除いて、現行と同様のリオープン方式を支持する。
・30年債入札に関しては、従前から主張しているとおり、これまでの年間4銘柄から2銘柄にすることを希望する。1銘柄あたりの発行量を高水準に保つことでカレント債の過度な需給逼迫を防ぐことができるほか、2銘柄にすることで流動性の向上に資すると考えているが、先ほど当局からの説明にあったとおり、投資家が年間4銘柄を希望しており、最終的に年間4銘柄の方がトータルとして投資家からの需要が増えるのであれば、年間4銘柄のリオープン方式に反対するものではない。

・2年債、10年債、CT債、物価連動債のリオープン方式に関しては、現状維持を支持する。
・ 一方で、5年債のリオープン方式に関しては、市場実勢利回りと償還日が同じ銘柄の表面利率の乖離幅の基準を0.20%に広げることを検討してもよいのではないか。今年度において、「乖離幅が0.10%を超える場合を除き、リオープン方式」としたところであるが、その結果、米国相互関税政策の発表により金利が大きく変動する中、銘柄数の増加にはあまり繋がらなかったと考える。来年度については、既に将来の利上げをある程度織り込む形で金利水準が上昇している一方で、世界情勢は依然として不確実性が高く、今年度と同様に値幅を伴って金利変動が起こり得る環境が続くと考えている。発行銘柄が増えることにより同一償還日の銘柄の中で需給の偏りがあることは流動性の観点から好ましくないことから、乖離幅を0.20%に拡大することを検討してもよいのではないだろうか。
・超長期ゾーンのリオープン方式に関しては現状維持を支持するが、2銘柄にすることも理解できる。30年債のレポの状況を見ると、他の年限と同様に入札前の月初にタイトになる傾向があり、特にカレント債の流通量が最も少なくなる新発債発行の翌月の入札前のレポが深く締まる傾向があり、30年債をレポに出さない投資家が相当数いるためと考えている。一方で、入札後には元に戻るので、恒常的なものではないことから現状維持を支持する。ただ、来年度の発行額は減額方向であり、1銘柄あたりの発行量の減少や、それに伴う需給の偏りが生じやすくなることを考えれば、2銘柄にすることも理解できる。



2. 令和8年度における利付債の入札方式について

〇令和8年度における利付債の入札方式について、理財局から以下のように説明を行った。

・利付債の入札方式についても、毎年3月の本会合において議論し、皆様のご意見を踏まえて決定することとしている。

・事前に皆様のご意見をお伺いしたところ、基本的には各年限・商品において現状維持を望む声が大多数だった。

・その中で、例えば、20年債・30年債についてダッチ方式を望む声を一部からあったほか、40年債について、4月以降、発行額が1回当たり3,000億円に減額されることを踏まえて、市場実勢と乖離した水準で落札されるのではないかといった懸念からコンベンショナル方式への変更を求める声が一部の方から寄せられたが、いずれも多くの方からは現状維持を望む声が寄せられた。

・これらを踏まえた当局案は、P.5のとおり。令和8年度は、いずれの年限についても現状維持とすることを考えている。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案に対して特段のコメントはない。40年債入札について、以前からダッチ方式かコンベンショナル方式かという話があるが、発行額を減らしていく局面では買いやすい状態にしておくことがよいため、これまでどおりダッチ方式がよいと考える。

・入札方式については現状維持を支持。当社内部や投資家の一部からは、20年債、30年債、40年債の入札方式はダッチ方式の方がありがたいという意見もあったが、現行方式で特に問題なく入札を消化できている現状を踏まえると、現行どおり20年債、30年債はコンベンショナル方式、40年債はダッチ方式とすることを支持する。

・40年債とCT債以外の入札方式については、現状維持を支持。40年債とCT債の入札方式については、当社としては価格コンベンショナル方式への移行を希望している。発行額が減少しており、現行の利回りダッチ方式の下では、特に金利の低い方へセカンダリー市場の水準から乖離する傾向が強まると考えている。市場の価格発見機能を維持しつつ、ある程度流動性も担保するためには、入札結果の予見可能性を一定程度維持して、セカンダリー市場との極端な乖離は避けるような入札方式が望ましいのではないか。


3. 令和8年4-6月期における物価連動債の発行額等ついて

〇令和8年4-6月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債については、P.7に掲載のとおり、令和8年度発行計画において、「市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされているほか、買入消却についても、P.8に掲載のとおり、「市場の状況や市場参加者との意見を踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。

・令和8年1-3月期に実施した発行入札や買入消却入札の結果については、P.10-11に掲載している。この間、BEIは、1月下旬に1.9%を超える過去最高水準を記録し、その後下落したものの、資源価格の上昇を背景に再び上昇に転じている。

・こうしたBEIの動きや、物価連動債市場の育成を目的とした買入消却を平成28年(2016年)に開始して10年を迎えようとしていることなども踏まえて、事前に皆様のご意見をお伺いしたところ、「インフレに対する認識が日本でも定着しつつあり、一時期に比べ、物価連動債へのニーズの高まりが窺われることを踏まえ、市場の自律性の向上の観点から緩やかに正常化を図ってはどうか。」といった声が多く聞かれた。

・また、「物価連動債に関心はあるが、市中への供給量が少ないことも積極的に手がけづらい」といった投資家からの声も聞こえている。

・これらを踏まえた当局案は、P.13のとおり。発行額は現状維持としつつ、買入消却の金額をこれまでの毎月200億円、つまり四半期に600億円から300億円とすることを考えている。具体的には、5月に2,500億円の発行入札を行いつつ、入札のない4月・6月に150億円ずつの買入消却入札を行うことを想定している。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当局の提案に賛成。また、従前から主張しているが、第Ⅱ非価格競争入札の再開も併せて提案する。背景としては、足元のコアインフレ率が2%近傍となっており、過去数年の下限まで落ちてきているが、BEIは過去最高水準を更新し、物価連動債への投資家の需要増が明確に確認されている状況だと認識している。
・他方、コロナ禍の対応で買入消却が拡充されたことで、現状のネットの発行額は極めて少ない状況が続いていることや、また市場規模が小さいことによって、新規投資家の購入が抑制されているところがある。そのため、なるべく早く買入消却を減額しつつ、第Ⅱ非価格競争入札を復活させ、将来的には発行額の増額も検討してもらえればと考えている。

・当局の提案を支持する。BEIも底堅い動きが見られているが、入札では依然としてやや重さも見受けられ、落札結果についても依然として一部の参加者に偏っている状況だと認識している。セカンダリー市場での流動性についても、まとまった金額の売却には、日銀買入オペや買入消却を利用せざるを得ないという状況に大きな変化も見られていない印象。そのため、この部分については一定の改善の余地があるものと見ている。
・しかし、このままの現行の枠組みを継続して、改善していけるかというところにも再考の余地もあると思っており、足元のインフレへの注目度が高まっている中、またBEIも反発が見られている中で、これを好機と捉えて買入消却を一部減額して、市場流通量等の確保に向けた動きを進めていくというのも市場育成の観点から有意義な取組であると考えている。
・ただ、こういった状況でもあるため、現状の市場の厚みを踏まえると、減額のペースや市場への影響については、慎重な見極めが必要とも考えている。そのため、影響を丁寧にモニタリングしつつ、必要に応じて機動的に運営を見直す余地の確保もしながら取組を進めてもらうことが重要。
・なお、買入消却のスケジュールについても、当局の提案どおり、発行月を挟んで2回に分ける形で適当と考えている。

・現行の毎月200億円のバイバック、発行額の現状維持を提案する。当局の説明のとおり中東情勢を受けてインフレ懸念が高まっており、インフレ期待は長期的に追い風を受けていると思う一方で、短期的にはエネルギーの補助金や消費減税への期待感から逆に下がってきている。銘柄間についてもカレント債近辺は需要が高まっている一方で、償還が近い銘柄はネガティブキャリーを背景に持ちにくく、どちらかというと売り優勢になっている。テクニカル的にかなり難易度が高いマーケットになってきていると思っており、カレント債についても消費減税がされれば大きく値下がりしてしまう可能性があるため、投資家の裾野は広がりを見せていないように当社の店頭では見えている。
・現在の中東情勢を受けてマクロ情勢がかなり不安定な中で、物価連動債はリスクアセットとしての側面も強い。今後何かしらのショックが起きた場合、過去に見られたように大きな値下がりが起きる可能性が残っている。
・また、日銀買入オペの減額も既に段階的に行われているので、日銀と同時にバイバックの減額を早めに進めてしまうと、需給にかなりインパクトが出ると考えている。
・流動性の向上には発行とバイバックの両面を増やしていくのがベストではあるが、バイバックがあくまでも臨時的な措置ということは当社も認識している。段階的な縮小を検討することに反対しないが、現状は難しい局面であり、もう少し時間をかけるべきではないか。減額するとしても、当局の提案は少しペースが早すぎるように思われるので、例えば、毎月150億円の買入消却の実施とし、一回の買入消却入札当たり50億円の減額にする方が望ましい。また、更なる減額を進めていくのであれば、日銀買入オペのように計画を示す一方で、何かしら危機的な状況が起きた場合には増額等の対応の可能性を合わせて示すことで、市場の信認を得られやすくなるのではないか。

4. 令和8年4-6月期における流動性供給入札の実施額等について

〇令和8年4-6月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P.15に掲載のとおり、令和8年度発行計画において、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。

・令和8年1-3月期に実施した流動性供給入札の結果については、P.17-18のとおりである。

・事前に皆様のご意見をお伺いしたところ、
 ・超長期ゾーンの需給が緩いと言われている中で、1月以降は残存15年付近の売り圧力の強まる局面が見られている。
 ・需給が緩み割安化しているにも関わらず、流動性供給入札では残存15年付近が相当程度発行されている。
といった声が聞かれ、ほぼすべての方から、現在15.5年に設けられているゾーン区分の変更をご支持いただいた。

・P.19に掲載のとおり、実際、今年度の流動性供給入札の残存期間別の発行額をみても、残存5-15.5年ゾーンの発行額のうち、1/3程度が残存15年付近に集中し、その金額は約2兆5,000億円となっており、今年度の残存15.5-39年ゾーンの発行総額約2兆円をも上回っていることがわかる。

・これらを踏まえた当局案は、P.20のとおり。ゾーン毎のバランス等も踏まえ、これまで残存5-15.5年としていたゾーンは残存5-11年に、残存15.5-39年としていたゾーンは残存11-39年とし、ゾーンの区切りを11年とすることを考えている。

・そのうえで、各ゾーンの実施額については、一部の方から、ゾーン区分の変更に伴い、長期ゾーンを減額し短中期ゾーンや超長期ゾーンの増額を希望する声が寄せられた一方で、多くの方からは現状維持とするのが適切ではないかとの声が寄せられたことを踏まえ、これまでどおりとすることを考えている。

・具体的には、残存1-5年ゾーンは5月に7,000億円、残存5-11年ゾーンは毎月6,500億円、残存11-39年ゾーンは4月・6月に2,500億円ずつ実施することを想定している。

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・当社としては、流動性供給入札のゾーン区分の変更及び発行額について、全て当局の提案を支持する。今年に入って、更に残存15年ゾーンのロークーポン債の売り圧力が強く、同ゾーンの需給状況が緩くなっている一方で、買いは残存15年ゾーンではなく、残存10年以下のゾーンにシフトしている。こうした動きは金利が上昇してきたことによる構造的な需給の変化と考えており、ゾーン区分を残存15.5‐39年ゾーンから残存11-39年ゾーンとすることは、構造的な需給変化に対応する措置と考えており、この措置によって残存15年ゾーンの需給が安定し、更には超長期ゾーン全体の需給安定に繋がると思われる。

・反対することは何もなく、基本的に当局の提案に全て賛成する。当局から国債市場参加者へのアンケートが来たときに、流動性供給入札のゾーン区分の変更は一つの提案として良いものであると感じ、また、恐らく市場関係者はゾーン区分が変更されることを織り込んで動いている面がある。流動性供給入札の実施額等については3ヶ月おきに見直すことができるので、一旦は当局案で実施して良いと考えている。

・当社としてはゾーン区分の変更に関しては賛成。残存15年ゾーンの損出しの売りが1-3月期に特に活発化している一方で、1月や2月の残存5-15.5年ゾーンの流動性供給入札で、残存15年ゾーンの追加発行がされているのが確認されており、同ゾーンを中心とした流動性の低下が、超長期ゾーン全体に対する需給の悪化を招いたと認識している。この点において、需給を改善させ、市場機能度の改善を図る取り組みに関しては賛成。
・ただし、残存1-5年ゾーンの流動性供給入札の増額余地が高まっているという認識をもっていることや、また、残存5-11年ゾーンにおいてはチーペスト周辺銘柄の需給は緩和してきている状況であること、また残存11-39年ゾーンにおいては対象銘柄が拡大することから、発行額のバランスについては今後検討していく必要がある。
・残存7年ゾーンの割高さが完全に解消した訳ではないが、これまでの残存7年ゾーンの割高さが、残存6年ゾーンやチーペスト銘柄の需給の逼迫のみを原因とするものではなくなっていると考えている。大規模金融緩和の下、市中から大きく減ってしまった銘柄は、時間の経過とともに徐々に残存年限が短期化してきている状況。5年債のカレント銘柄とオフ・ザ・ランの同程度の残存年限の銘柄の需給の較差が徐々に大きくなっていることが、証券会社のバランス・シートにかけるストレスを少しずつ強めている状況となっており、これが徐々に残存7年ゾーンの割高さを解消させない要因となっている。今後ボラティリティが上昇する局面においては、容易に市場機能度の低下が起こる可能性があり、少し注意する必要があると考えている。
・超長期ゾーンに関して、レポの観点から言えば、足元において残存25年程度の30年債のオフ・ザ・ラン銘柄も徐々にタイト化してきていることが確認されている。当社としても、まず既発債の需給を改善させていくことが、超長期ゾーン全体の機能度を改善させることに繋がるという認識に変わりはないものの、一方で、超長期ゾーンにおいても徐々に個別銘柄の需給の較差が大きくなっており、それが局所的なカーブの歪みを発生させる可能性が高まっている。
・長期ゾーンについて、これまで日銀買入オペの減額が実施されてきたことや、それに伴い、残存6~7年ゾーンの流動性供給入札による追加発行も、ある程度緩やかかつ円滑に実施されてきている。市中残高が少しずつ回復していく状況下において、今後、時間の経過とともにチーペストになる銘柄に関して、中長期的に需給は緩和していくことは間違いない。
・流動性供給入札の実施額について、残存5‐11年ゾーンを1,000億円減額し、残存1-5年ゾーンと残存11-39年ゾーンを1,000億円ずつ増額することで、バランスするのではないかと考えている。今後に関しては、今お話した点を十分注視しつつ、各セクターの個別銘柄の需給動向をしっかりと把握しながら丁寧に点検してほしい。

・当社としては、現行のゾーン区分と実施額の据え置きを提案する。
・残存5-15.5年ゾーンの流動性供給入札においては、残存15年ゾーンの部分に大口の落札が固まるようなケースが散見されている。ディーラーが買えるような銘柄ではないものが大量に発行されているため、おそらく投資家からの大口の委託があったと推察しており、そういった需要が残存15年ゾーンには根強い。一方で、今年に入って特に1~2月に残存15年ゾーンで損出しの売りが多く見られたことは事実であるが、一旦損出しの売りが落ち着いた後は、流動性供給入札でもニーズはあり、セカンダリー市場でも残存15年ゾーンを買うようなフローも見えており、需給としては比較的バランスしてきているという印象。
・足元の状況下で、実施額は据え置きしつつ、流動性のゾーン区分を残存5-15.5年ゾーンから残存5-11年ゾーンに狭めた場合、現状、ただでさえ入札が流れやすい状況が続いている中、残存15年ゾーンの需要が剥落する分、よりテールしやすいことが見込まれる。また、残存10年ゾーン付近が多く発行されるような区分になることから、軟調な入札結果が最終的には長期金利の不安定化に繋がる可能性もあると思っており、当社としては大きく懸念している。
・残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札においては、40年債のオフ・ザ・ラン銘柄を中心として、現行の実施額であっても、買いたいのに買えないようなサイズ感と実施頻度が続いていると認識している。流動性の低い40年債のオフ・ザ・ランが同じ残存年限の30年債と需給が完全に乖離して、健全な価格形成が全く行われていないという事例が散見され、これは特に期末となる直近のマーケットでも顕著になっている。仮に、実施額は据え置きしつつ、ゾーン区分を残存11-39年ゾーンに拡大した場合、残存15.5年超のセクターに関して相対的にカバーできる機会が減少し、残存期間の長いオフ・ザ・ラン銘柄を中心に、健全な価格形成が損なわれる可能性が高く、深く懸念している。
・全体的な視点として、今年度実施された大幅な超長期ゾーンの発行減額の効果が出てきていると認識しており、超長期ゾーン全体の需給のインバランスの解消に一定の目処が立ちつつあるという認識を持っており、現状を踏まえて、現行のゾーン区分と実施額を維持することが適切と考えている。

・当局の提案に賛成する。当局の提案は、超長期ゾーンの供給を減らすことで、オフ・ザ・ラン銘柄の需給を改善させる方策の一つであると考えている。その上で、今後残存5-10年の残高の増加ペースは加速し、リスクプレミアム自体が超長期ゾーンから残存5-10年に移ってくると考えられる。この残存5-10年のセクターに関しては先物との連動性も非常に高いため、多少のプレミアムを織り込むとしても、それほど大きな影響があるとは考えていない。



5. 最近の国債市場の状況と今後の見通しについて

〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・最近の国債市場について、言うまでもなくイラン攻撃によって外部環境が大きく変化しており、リスクオフで利回りが低下する場面もあったが、原油高によるインフレ懸念から利回り上昇という流れになっている。ただ、日本の利回り上昇幅は欧米に比べて小さく、原油高の日本の景気への悪影響が相対的に強いということが指摘できる。
・日銀の利上げパスの市場の見方は大きく変化していないが、これは原油高の悪影響に加えて、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻後、供給サイドがインフレの主因であっても積極的に利上げしたFRBやECBに対して日銀は利上げを見送ったという過去や、政治的圧力が意識されていると思われる。
・補正予算の可能性など財政悪化懸念も存在するが、イールドカーブのスティープ化は極めて限定的。年度末が迫り、超長期ゾーンのロークーポン銘柄の処分売りが収まり、また、来年度からの超長期ゾーンの発行減額や、今日議論された流動性供給入札のゾーン区分変更の可能性など、需給面の後押しが影響しているところが大きい。ただし、イラン情勢の終結が見えず原油高が続くとなれば、利回り上昇やイールドカーブのスティープ化が今以上に進むのは必然と思われる。
・一方で、アメリカの戦力の圧倒的優位性を考えると、ホルムズ海峡の安全確保に誰もが不安を持っているものの、世界経済並びに各市場への長期的なインパクトは乏しいというのが基本線であり、また、トランプ大統領が妥協するのではないかという期待もある。このシナリオの場合、利回りは一旦低下するが、日銀が早期に利上げするとの見通しから、利回りの反転も早くイールドカーブはフラット化する可能性が高い。高市首相が利上げに慎重という報道は利上げのハードルとして意識されるかもしれないが、市場は4月の日銀利上げを6割以上見込んでおり、利上げ見送りが続くと円安が一段と進みやすい。その際に日米の金利が連れ高ということになれば、アメリカ政府やベッセント財務長官が日銀の利上げを後押しする可能性もあり、そのような流れとなれば、6月利上げを本命視してもいいと考えている。いずれにせよ、イラン情勢に伴う不透明感が強い。
・財政政策について、高市首相が補正予算の当初予算化や複数年度予算の導入を示しており、予算の見せ方によっては、2027年度当初予算が大きく膨らんで見えてしまうのではないかという懸念を持っている。骨太の方針が6~7月頃に公表されるが、予算の見せ方に工夫が必要なのではないか。

・投資家需給について、データを基に説明する。昨年以降の大きな変化として、これまで最も安定した超長期ゾーンの買い手であった生命保険会社が、足元はむしろ売り手となっている状況である。金利が大きく上昇している中、彼らの負債・デュレーションは極めて大きく、同時にコンベクシティも非常に大きい。結果として、デュレーションが早く短くなってしまい、会社によってはオーバーヘッジ状態になってしまったと理解している。
・日本公認会計士協会から、責任準備金対応債券について、満期保有目的債券と同様に、時価変動によって強制的に減損をしなくてはいけないルールを必ずしも適用しなくてよい方針が提示された。しかしながら、実際に決算を見ると、特に大手の生保を中心に責任準備金対応債券の保有を相応に減らしており、ルール変更がされることを理解した上で、低クーポンの債券を持ち続けることに合理性を感じず、他の銘柄やオルタナティブなどに投資するという行動になっている可能性がある。
・代わりに超長期ゾーンの買い手になっている主体は、年金勢と外国勢である。年金勢について、株高もしくは円安が続いてきたことのリバランスとして、兆円単位のホールカーブ買いが毎月見られ、超長期ゾーンにおいて存在感がかなり出ていた。ただ、今月に関しては、現在の投資方針に基づくリバランスを行うと純粋に仮定すると、むしろ売り手になりかねないのではと認識している。
・もう一方の主要な投資家になりつつある外国勢について、おそらくファストマネー系のヘッジファンドだけでなく、リアルマネーの投資家も参入してきている。恒常的にホールカーブで兆円単位の買いが続いており、超長期ゾーンについても買い越しが続いている。簡単に試算をしたところ、グローバルな年金基金では、日本の公的年金のように非常に多くの外債を買っているわけではないものの、資産総量は非常に大きく、グローバルに見て8,000兆円程度あり、その中の数%が日本国債に投資されるだけでも、何十兆単位の潜在的な需要があるということになる。このような海外のリアルマネーからの需要によって、超長期ゾーンはしばらくサポートされていく可能性がある。
・その上で、国内系金融機関のALMのような金利感応度の低い投資に比して、外国勢は金利感応度に敏感であり、また、日本の信用リスクについても厳しい目で見ていると思っている。以前に比べて海外投資家とのミーティングが増えてきているが、どのような財政政策が出てくるのか、例えば、消費減税するのかしないのかや、原油高を受けたガソリン補助金の財源はどうなっているのか、といったファンダメンタルズに関する質問が増えている。もし、日本が放漫財政であると見なされた場合、外国人投資家の目線は厳しくなっていくのではないか。
・利上げ局面が続いており、最終的に、今のイラン戦争の状況が落ち着いていけば、やがてイールドカーブがフラット化するビューには大きく同意する一方で、以前の極めてフラット化したカーブにはなかなか戻らないだろう。また、財政政策や金融政策において失策が起きてしまった場合には、非常に厳しい金利上昇が起きてしまうリスクがあると認識している。



6. 当局からの連絡事項(変動利付国債)について


・令和9年1月以降に発行を予定している新たな変動利付債について、令和6年12月にその商品性を公表したが、その後、内容に分かりづらさがあったことから複数の照会が寄せられたことを踏まえて、それらを明確化し更新したものを、P.22に記載のとおり、近日中に公表予定である。いずれも商品性を変更するものではなく、更新箇所は赤枠で囲んだ3箇所。
 ・発行価格が100円であることを明確化したほか
 ・日数計算については、T-billのみならず利付債も含めた国債と同様とする趣旨が明確に伝わるよう、「他の国債と同様」と表記を見直し、
 ・また、商品性公表後に証券コード協議会から変動利付国債の固有名コード及び国債名称コードに関する資料が公表されたことを紹介している。

・また、流通市場のインフラ各社からこの間、ガイダンスが公表されているので紹介したい。
 ・1つ目は、昨年12月に、JSCC(日本証券クリアリング機構)から、新たな変動利付債については15年変動利付国債と同様に国債店頭取引の清算対象とし、銘柄後決め現先取引では既存のバスケットのなかで取り扱う旨が公表されている。
 ・2つ目は、1月には、日本証券業協会から、「国債の発行日前取引に関するガイドライン」が改訂され、新たな変動利付債の発行日前取引における売買単価の計算式が公表されている。

・これらについては、社内の関係者や投資家の方々に適宜ご紹介いただけるとありがたい。

・変動利付国債については令和9年1月以降の発行に向けて、今後、本会合を含めて皆様のご意見を伺っていきたいと考えているので、引き続きのご協力をお願いしたい。

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