|
・ |
日時 令和7年11月27日(木)16:00~17:00 |
||
|
・ |
場所 中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室 |
||
|
・ |
内容 ・まず、超長期ゾーンについては、生保による規制対応の一巡等に伴い需要の減退が見られていることを踏まえ、発行量を調整していく必要があるのではないかと考えており、来年度からの減額も視野に検討していきたいと考えている。 ・他方、10年以下の年限については、今後の利上げ見通し等に依存する部分はあるものの、総じて銀行等からの投資需要が期待でき、一定の増額余地があると捉えている。 ・流動性供給入札については、日銀買入は減額方向ではあるものの、引き続きオフ・ザ・ラン銘柄の需給が逼迫しているとのご指摘もあり、各ゾーンの規模についてはカレント債とのバランスも踏まえながら、よく検討させていただきたいと考えている。 ・そのうえで、本日は、あわせて、令和7年度補正予算への対応について、現在の検討状況をご共有したい。 ・資料2ページ目は先般閣議決定された経済対策の概要であるが、その財政規模は前年度を上回る規模であり、この裏付けとなる補正予算が近いうちに閣議決定される見込み。 ・その中では、新規国債等の追加発行が見込まれるが、この令和7年度補正予算への国債発行計画における対応に関し、「前倒債発行予定額の活用や、短期債の発行により対応可能である」とする市場の見方があることは承知している。 ・他方、1年未満の短期債で対応した場合、翌年度の借換ニーズが急激に高まり、来年度の発行計画の額を押し上げる要因となることとなる。また、前倒債の発行は、翌年度に必要な借換債の調達を「前倒し」して行うものであり、この前倒債の減額は翌年度の借換債の発行が必要となるため、こちらも来年度の発行計画の額を押し上げる要因となることとなる。したがって、来年度の新規国債発行額について見通せない現段階において、市場での吸収が見込める分については、借換えが翌々年度以降となる利付債で調達することが適切と考えている。 ・なお、仮に利付債の増額を行う場合は、より短めの年限の国債に比較的増額の余地が見られるものと考えている。いずれにしても、補正予算における新規国債の追加発行への対応にあたっては、足元の市場動向を踏まえつつ、総合的に検討しているところ。 ・また、この機会を活用して、今月初め、第9回国の債務管理に関する研究会を開催したので、その内容について簡単にご報告したい。 ・今回の研究会においては、JPモルガン証券の山脇様、日本経済研究センターの左三川様、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚様の御三方より発表いただいた。 ・山脇様及び左三川様からは、日本銀行による国債保有減額が見込まれる中、今後、生保の超長期ゾーンに対する投資需要が以前ほど見込まれなくなること、また、銀行等においても規制対応等の影響を受けて投資余力がかつてほどは見込まれなくなる旨の説明をいただいた。 ・一方、大塚様からは、そのような中において、「国債の安定消化に向けた課題」と題し、今後、海外投資家や家計の取り込みが、従来以上に重要となってくる旨の説明がなされた。また、加えて、今後の安定消化に向けた国債発行計画の公表頻度と市場とのコミュニケーションの在り方について提案がなされた。具体的には、発行計画の公表頻度については予見可能性と柔軟性のトレードオフの関係にある中、各国の国債管理政策の運営事例等も示しつつ、我が国においても計画策定時点から半年を一つの目安に中間点検を定期的に行う機会を設けてはどうかという旨の提案がなされた。 ・この提案について、皆様からもご意見いただければ幸い。 ・クライメート・トランジション利付国債(CT債)については、今年度(令和7年度)は総額1.2兆円を4回に分けて発行している。 ・来年度(令和8年度)の発行総額に関しては、減額も視野に入れてPDや投資家懇メンバーの皆様からも意見を伺ってきたところ、事前のアンケート及びヒアリングでは「若干の減額」或いは「今年度と同額」とすることで大宗の方からご支持いただいた。一方で、最終的には令和7年度補正予算及び令和8年度当初予算におけるGX関連予算の金額に応じて決定される性質のものであるため、現時点で予断を持って申し上げる段階にはないが、いただいたご意見を参考にしつつ、検討を進めてまいりたい。 ・最後に、本日午前中に開催された(第98回)国債投資家懇談会において、参加者から出された主な意見についてご紹介したい。参加者の皆様からは、概ね以下のような意見があったところ。 ・超長期ゾーンについては、生保の規制対応の一巡等の影響もあり、絶対的な最終投資家のニーズが減退する中、現状においては、諸外国の国債利回り対比で割安と見た海外投資家の投資に支えられた、不安定な需給環境にあり、一層の発行減額が望ましい。 ・一方、2~10年といったゾーンにおいては、銀行等を始め、国内投資家においてニーズが認められ、需給環境も良好なことから、一定程度増額することは可能。 ・また、発行計画の見直しについても、予見可能性は計画的な国債投資を進める上で非常に重要である一方、市場とのコミュニケーションとのバランスを取る意味で、半年程度に一度の定期的な評価を行うという趣旨であれば、是非行ってほしい。
・令和8年度の国債発行計画にも絡むが、増額余地があるゾーンに関しては、T-Billの6ヶ月物・1年物は勿論、2年債・5年債・10年債も相応に増額の余地がある。 ・10年債に関しては、全ゾーンで見ても一番投資家層が厚く、金利が上昇すればしっかりと買い手が増えていくため、相応に増額可能。 ・5年債に関しては、2年債・10年債との発行額のバランスを考えると増額余地がある。 ・2年債に関しても、今年度期中に増額したが、5年債・10年債に対してリスク量が小さいので相応に増額可能。 ・一方、来年度の超長期ゾーンの発行について、当社としては引き続き発行を減額すべきと考えている。今年度初め、そして7月からの2度にわたって超長期債各ゾーンは減額されたものの、絶対な金利水準の上昇、イールドカーブのスティープニングは継続しており、国債発行額を減額した効果が最終投資家の需要減を相殺するまでには至っていないと認識している。 ・絶対的な金利水準が大幅に上昇し、過去最高水準を付けるゾーンもあるが、10年以下と違い金利上昇を好機と見た買いは乏しく、さらに今後金利が上昇していっても、そうした金利水準を好感した買いが増える見込みがないという状況は変わらないと見ている。 ・超長期ゾーンは現状年金のリバランス買いと、カーブのスティープ形状、割安化に着目した海外の買い手になんとか支えられている状況にあり、最終投資家の需要は引き続き薄いと見ている。構造的に超長期ゾーンの需給が軟化しており、今後、金利が上昇しても状況が回復する見込みが薄い中にあっては、減額すべき。 ・特に30年債を中心に減額すべきと考えている。30年カレント債に関してはオフ・ザ・ランからの入替ニーズで需給はしっかりとしているが、ゾーン全体で見ると入替えでの需要が大宗であって、20年債や40年債に比べて需給が軟化傾向にある。カーブ形状を見ても残存20-30年がスティープ形状にある一方で、残存30-40年がフラットニングしていることから、30年債を中心に減額すべき。額としては30年債を2,000億円、さらに減額が必要であれば、20年債・40年債も1,000億円程度は減額可能。 ・ただし、30年債のカレント需要に関しては引き続き一定程度あり、需給逼迫を避けるためにも、減額後はこれまで3ヶ月に1回ペースで年4銘柄の新発債発行としていたところを、6ヶ月に1回のペースで年2銘柄発行として流動性を保つのがよいのではないか。 ・国債発行計画の見直し頻度については、ダイナミックに需給感が変化していく中にあっては、半年に1回定期的に見直す機会があればマーケットにとっては好感されると考えているので、当社としては賛成する。 ・当局から提示された1-3月の利付債増発については賛同する。短期的な視点でだけで見れば年度間調整や短期ゾーンの増額だけで対応できたかもしれないが、少し長い目で見た場合には、当局による説明のとおり円滑な発行に支障をきたす可能性もあるため、今年度内の利付債増額は止むを得ないと考えている。1-3月の利付債増額を思わせるような報道もいくつかあったが、マーケットのリアクションを見ても大きなサプライズを与える事なく受け止められているという認識。 ・また、発行計画の見直し頻度増加に関しても、国債市場の流動性に資するものと捉えており、こちらについても賛同する。 ・来年度の国債発行計画に関して、超長期ゾーンについては、4月・7月の当局による一連の機動的な減額によって入札結果自体に目立った混乱は生じなかったこともあり、当社としては絶対に減額すべきという意見ではない。 ・残存10年超の年限間スプレッドについて見ても、スティープしているとはいえ概ね茲許のレンジの範囲内という理解でおり、過度な心配は不要。 ・当社の基本的なスタンスとしては、拡張的な財政政策を反映してベア・スティープする市場機能や、金利上昇に伴う投資家の裾野拡大、特に外国人、最近では個人による投資がようやく見られ始めており、その流れを大切にしたい。一方で、超長期ゾーンは減額すべきという声が相応にマーケットにあることも理解しており、既に減額が織り込まれていることから来年度減額しないと混乱が起こり得るという見方もあるようで、超長期ゾーンの減額に絶対反対という立場でもない。 ・そのうえで、減額するとすれば、30年債・20年債の順番で各1,000億円ずつの減額が可能と考えている。40年債については、利回りダッチ方式を継続して、現在の回数を維持した場合、減額余地はない。 ・増額するとすれば、これまでの増額の経緯や、最終投資家からのニーズを踏まえ、10年債・5年債・2年債の順に各1,000億円ずつ程度の増額は可能。 ・CT債については、基本的には今年度と同様の発行額・回数を希望する。ただし、金利が上昇する中で、我々の実感としては投資家の裾野は拡大している。日本銀行の気候変動オペ対象である点も市場から改めて再評価されている印象で、レポ市場改善に向けた動きも期待できる中で、5年債・10年債共に1回あたり500億円程度の増額余地はある。 ・流動性供給入札について、残存15.5-39年ゾーンについては、一部銘柄がスクイーズ気味に取引されている現状を鑑みると、1回の入札当たりの発行を少なくとも500億円は増額すべき。残存5-15.5年ゾーンについては据え置きを希望。残存1-5年ゾーンについてはこちらも恒常的にオフ・ザ・ラン銘柄へのカバーニーズ があり、一部銘柄で流動性が大きく低下している状況を鑑みると、1回の入札当たり3,500~4,500億円減額する一方で、年12回の発行へと頻度を増加させる方法がよい。 ・入札方式について、毎度申し上げていることではあるが、40年債について相応の減額が実施された中で、現行の利回りダッチ方式の下では、利回りがセカンダリー市場と比べて大きく下回る懸念が強まっている。発行額を据え置く又は減額するのであれば、価格コンベンショナル方式への移行が望ましい。 ・T-Billの発行については、需給を踏まえて1年物を1回あたり3.2兆円から2.8~3.1兆円へ減額、6ヶ月物を1回あたり3.5兆円から3.7~4.1兆円へ増額、3ヶ月物については4.3兆円据え置きを希望するが、こちらについては上下3,000億円程度の調整は可能。 ・補正予算にかかる国債発行計画の変更について、利付債の短い年限を優先して増額するという当局の提案に賛成である。ただし、足元では日本銀行の国債買入れ減額が進んでおり、中期ゾーンにおいても、需給というよりは価格発見機能が高まるような状況になってきている。また、チーペスト周辺銘柄の需給の緩和に伴い、先物のヘッジ機能も回復傾向にある中で、内部環境の変化に応じてターミナルレートの上昇という見方につながり、ひいては中期ゾーンの金利上昇としても反応しやすくなってきている。 ・中期ゾーンにおいて金利上昇した場合は、投資家需要がより短期化すると思われ、短中期ゾーンの増額余地があると考えられる一方で、長期及び超長期ゾーンの需給に悪影響を及ぼし、タームプレミアムが拡大することを助長しかねない点には注意が必要である。とはいえ、足元では長期ゾーン及び20年債においては投資家層が最も厚い状況であり、現状においては増額余地もあるのではないか。しかし、中長期的に考えた時に増額が可能かどうかは、投資家含めてより慎重に考えていくことが望ましい。 ・超長期ゾーンについて、足元では需給はバランスしてきている。直近は財政懸念によるスティープニング局面はあったが、これは市場の価格発見機能によるもので、今年の4~7月に見られたような超長期ゾーン個別の需給構造変化によるスティープニングとは異なる意味合いのものである。一方で、株高に伴うリバランスを背景とする需要等に支えられている面もあり、今後の環境や市場動向の変化によっては、やはり不安定な状況にあるという点は変わらないため、減額する場合は30年債で1,000億円程度の規模が妥当である。 ・40年債について、これまでの減額の効果がある程度見えており、これ以上の減額は市場規模そのものを縮小させる可能性があるため、現状のように30-40年スプレッドに大きな開きが見られない、または多少フラットニング傾向が見られるのであれば、据え置きが望ましい。 ・より長期的に考えると、オフ・ザ・ラン銘柄を中心に需給の緩みが見られているという状況で、例えば株価が下落したタイミング等では、需給上市場構造を阻害する、ひいては国債の安定消化を阻害する可能性もあるため、引き続きバイバックの検討も続けていく必要があると考える。 今年度の補正予算に伴い、短中期ゾーンを中心に増額するという当局の提案に賛成である。年限が短いほど増額しやすく、2年債においては、海外投資家の需要が強く、金利上昇に伴い預金取扱金融機関の需要増も見込め、増額余地が最も大きいと考えている。 ・5年債においては、ターミナルレートが固まり織り込みが進んでくれば最も増額余地がある年限と考えているが、現時点では2年債ほどの増額余地はない。 ・10年債においては、市場へのリスク供給量を考えると、超長期ゾーンの減額とセットで行う方が適当ではないか。 ・T-Billにおいても短い年限ほど増額余地があると考えており、T-Bill・6ヶ月物を増額して、FB・6ヶ月物をFB・3ヶ月物の発行に振り替えるという方法であれば、増額しても追加の需要が見込まれるため、消化しやすいか。 ・令和8年度国債発行計画について、超長期ゾーンの減額という当局の提案に賛成。今年度、生保業態からの需要が減退している超長期ゾーンの発行減額を行ったが、引き続き国債の安定消化を図っていくことを考えると、国債の引受手として期待される預金取扱金融機関の負債デュレーションに合わせて、発行デュレーションも短期化していくことを継続する必要がある。 ・具体的には、40年債は今年度3,000億円減額を実施しており、これ以上発行金額が小さくなりすぎると流動性の低下を招く可能性があるため、現状維持が適当である。仮に40年債を減額するのであれば、1回あたりの発行額が小さくなりすぎることで、ダッチ方式入札の弊害が発生する懸念もあるため、入札回数を四半期に1度に減らし、1回あたりの発行額を5,000億円に増額することで調整することが適当である。 ・30年債については、今年度2,000億円の減額を行っているが、引き続き割安さが残っている状況で、追加で1,000億円の減額が適当である。 ・20年債については、今年度の減額で需給は緩やかに改善方向と考えているが、1回あたり1,000億円程度であれば減額可能。 ・10年債については、金利上昇する度にカーブ上で割高化しており、幅広い投資家からの需要が見込まれるため、超長期ゾーンを減額する場合の見合いとして増額余地がある。 ・流動性供給入札について、残存15.5-39年ゾーンの増額を希望する。超長期ゾーンのオフ・ザ・ラン銘柄は流動性が低く、投資家需要と証券会社のショートカバーニーズがあり、今年度減額された後の最初の入札は非常に強い結果となっていた。流動性供給入札は、市場における売買機会として非常に重要なツールとなっている。20年債と30年債のカレント銘柄の発行減額に併せて、超長期ゾーンの需給の緩みを理由に10月から1,000億円減額していた当ゾーンの発行額を元に戻すことを希望する。なお、残存5-15.5年及び残存1-5年ゾーンについては、現状維持を希望する。 ・CT債については、発行減額が行われて日本銀行の保有比率も大幅に減少している。投資家の保有と業者の在庫で需給はバランスしているように見えており、通常国債よりも割安に発行されている現状は徐々に解消されてきている。金利上昇に伴い、発行される度に一定の投資家ニーズも生じていると見ており、今年度と同等レベルでの発行は可能だろう。 ・国債発行計画の見直しについて、国債市場の円滑な運営に資するもので、当局の提案に賛成する。今年度の期中に発行減額したことにより、その後の需給バランスが改善したことから分かるように、機動的な発行調整の効果が見られた。予見可能性と柔軟性のトレードオフの中で、6か月後に見直すタイミングを設けるというのはちょうどよい頃合いである。 ・補正予算に伴う利付国債の増額について、当局の提案に賛同する。短中期ゾーン中心の増額が健全性を担保する意味でも望ましいと考えている。 ・来年度の国債発行計画について、当社としては40年債、30年債にそれぞれ減額余地があると考えており、減額の優先順位としては40年・30年・20年の順番。 ・40年債については、当局説明のとおり生保勢の需要減退によるもの。30年債についても同様だが、オフ・ザ・ランとの入替による需要があることから、40年に比べて減額余地は少ない方だと考えている。 ・20年債についても同様に入替ニーズがあることに加え、トレーディングタッチでの取引もあるため、40年債・30年債に比べて減額の優位は劣後する。 ・増額可能な年限としては、10年・5年・2年の順番。 ・10年に関しては、幅広い投資家から買いイントが見られることから、今後の金利上昇で一定のニーズがあるものと考えている。 ・5年債に関しては、周辺対比の年限で発行額が少なく見えており、10年と同等に増額余地があると考えている。 ・流動性供給入札に関しては、残存15.5-39年ゾーンに増額余地があると考えている。2025年上期にマーケットが混乱したことで一時需要は減退したが、その後落ち着きを戻し、現在はロークーポン銘柄を中心に買う動きが見られる。これにより40年債のオフ・ザ・ラン銘柄を中心にイールドカーブが歪んだ状態になっているため、これを是正する意味でも増額を希望している。 ・残存1-5年ゾーンに関しても、海外投資家の潜在ニーズを強く感じており、増額余地があると考えている。 ・T-Billに関しては、特に3か月物に大きく増加余地があると考えている。レポレートやOIS対比で低金利状態が常態化している。特に海外の公的年金やリアルマネーからのお金の置き場としてのニーズが強い。社内規定で3か月以下や6か月以下しか置けないという話も聞いたことあり、常に需給が逼迫している状態であるため、相当増額余地があると考えている。 ・半期に一度の中間評価についても賛同である。諸外国の実例もあるため、全く違和感はない。 ・補正について、当局の提案に賛成。増額するということであれば、利付債も一部含め、短期ゾーンで対応するという点で賛成する。その中でも5年債よりは2年債で対応する方が望ましいと考えている。1月から3月は、日銀買入オペの減額のタイミングと重なり、日本銀行による金融政策の不透明感もくすぶる中であり、5年債はその影響を受けやすいゾーンのため、2年債を優先する形が望ましい。 ・令和8年度国債発行計画についても、全体的な考えに賛同しており、超長期ゾーンは減額余地がある。生保によるニーズや日本銀行の動きもあるため、30年債や20年債の発行において、1,000億円ずつの減額を優先することで、ネットでの発行のバランスもとれる。20年債や30年債が安定すると、残存10年ゾーンも同様に落ち着いてくると考えている。 ・物価連動債については、少額でもニーズが出てくると一方向に向きやすい状況。今後の日銀買入オペの方向性が不透明である中、現状維持、または減額の可能性が高まってくるということであれば、物価連動債の発行もどちらかといえば減額する方が望ましい。 ・発行額全体を増額する必要が出てきた際の優先順位としては、T-Billから増額することが適切で、基本的に短期ゾーンから順番に増額することがよいと考えている。 ・2年債については、引き続き入札も順調に消化しており、担保ニーズをはじめとする投資家の需要も確保されているゾーンであるため、増額余地がある。 ・5年債、10年債については、年限が短い順に金利上昇していくと思っており、注意が必要。こちらも日銀買入オペの減額の比重が大きいゾーンであるため、金利が上昇して、ターミナルレートの見通しや投資家の目線が合うといったところまで動けば、将来的には5年債や10年債の増額余地が生まれてくる。タイミングが早いと、一旦手が引いてしまうということも警戒されるため、マーケットでの消化状況を確認しながら、増額の計画を練っていくという形が望ましい。 ・その他のゾーンについては、当社が触るゾーンではないが、基本的には超長期ゾーンが落ち着くように調整することが望ましい。 ・国債発行計画の見直しの頻度については、半期に一度の見直しという点で日銀買入オペの減額ペースによるマーケットへの影響も確認しつつ見直すことができ、まさに安定消化に資するため、当社としては賛同する ・今年度の補正予算に係る発行計画に関して、当局案に賛同する。T-Billの発行のみでの対応も短期的には可能と認識しているが、来年度の借換債の規模を抑制するという観点からは、ある程度利付債に発行を振りわけることについて理解をしている。投資家の中には、年度内の発行規模などの需給を勘案して、年度の運用計画を立てている先も多いため、デュレーションベースであまりインパクトを与えることは望ましくない。そのため、2年債、5年債という優先順位で増額可能と考えている。 ・令和8年度国債発行計画に関して、20年債、30年債、40年債において、1回の入札当たり1,000億円ずつの減額は必須。その代わりに、10年債以下のゾーンを増額するという案を当社からは提案する。全体的な見方としては、生保の規制対応ニーズが終了し、世の中で根本的に超長期ゾーンのニーズが減っている中、当社としては、需給のインバランスがまだ解消されていないという問題意識を強く持っている。今年度においては、スティープニングが進行したところ、売買動向を見ていても、主要な買い手が国内の年金や海外投資家に偏っているが、長期的に持続可能なニーズではない。実際、今年度は株高の状況の下、リバランス買いに傾倒している中で、超長期ゾーンがこれほどスティープニングしていることは事実として重く受け止めている。リスク資産の逆回転や円高局面になった際に、逆に年金の方向性として超長期ゾーンを売りに回るケースがあれば、今の発行量に対する需要という意味では非常に脆弱な状況になっていることが想定される。そういった点に鑑みると、早急に超長期ゾーンを減額することが適切。 ・減額すべきセクターの優先順位としては、30年債に最も余地がある。足元、生保の入れ替え等により、30年債はセクター全体としての需給が緩い状態が継続している。カレント債に関しては海外勢がベンチマークとして買ったり、生保の入れ替えの足で買われたり、カレント債だけ見れば需給がバランスしているように思われるが、30年債セクター全体としては引き続き需給が緩い状況。長期的な視点に立てば、バイバック等が実現できない前提の場合、30年債のカレント債を減らしていくことで全体的な需給の安定に資すると考える。減額すべきセクターの2番目として、40年債に減額余地があると考えているところ、条件付きの減額が適切と思料。ダッチ入札方式を維持したまま、これ以上の発行減額を行うと、今後、市場実勢対比でかなり高い価格で入札が決着することも増えていくと思われる。そのため、価格コンベンショナル方式へ移行したうえで、1回の入札当たり3,000億円の減額、もしくは5,000億円に変更したうえで、四半期ごとに入札を行うことにするなど、トータルの発行量を減らしながら、1回の入札当たりの結果に対して、マーケットにストレスがかからないような施策を講じるべき。20年債についても減額をすべきだと考えているが、30年債や40年債に比べると、投資家のすそ野が広い状況。そのため、優先順位としては30年債や40年債対比で多少劣後する。しかし、当社としては、全体的に発行年限の短期化が喫緊の課題だと考えており、30年債や40年債だけでなく、20年債も減額をしていくことが現段階での対応としては望ましい。 ・反対に、増額が可能なセクターとしては、10年債、2年債、5年債の順番で優先順位をつけている。令和7年度の補正予算のパターンとは事情が変わってくると考えており、後ろを減らしていく振替先のセクターとしては投資家のすそ野が一番広い10年債が最も適切と思料。実際、対先物や対超長期ゾーンのバタフライスプレッドのような形でイールドカーブを見た際に、イールドカーブ・コントロールで日本銀行が10年債を大量に買い入れていたときと遜色ないくらい割高な水準で推移している局面も今年度みられた。そのため、投資家の需要が金利上昇に伴って根強いのは明白。来年度以降、このセクターに関しては増額していくことが可能。 ・2年債については、海外のアセットスワップの需要等で比較的消化されやすい構造。日本銀行の利上げのターミナルレートが見通せない状況においては、5年債は比較的アンダーパフォームしていく傾向があり、需給として2年債対比で脆弱な状況、そのため、足元の状況においては、2年債の方に増額余地があると考えている。 ・流動性供給入札に関しては、全体的な発行年限の短期化を当社としては強く要望。先ほど残存15.5-39ゾーンのオフ・ザ・ランの需給がタイトという話が他の参加者からあったが、減額措置は多少マーケットにストレスがかかるが、増額していくことによって発行年限が長期化していくことも望ましくないことから、残存15.5-39年ゾーンの流動性は据え置きを希望。残存5-15.5年ゾーンに関しては、減額措置の利用が進んだことにより、一時期に比べると需給が緩んでいるため、増額の必然性がない。実際、残存15年あたりのセクターが重点的に発行されるケースも散見されており、それが超長期セクター全体の重しとなる懸念があるため、発行年限短期化の観点からはこのセクターも増額すべきではない。残存1-5年ゾーンに関しては、実際足元増額された入札もあったが、まだタイト銘柄が散見されるため、このセクターに関してはあと1,000億程度の増額余地があると考えている。 ・CT債に関しては、現行の1回の入札当たりの発行量から1,000億円どちらにも変更が可能と考えている。基本的に流動性が非常に乏しいため、セカンダリーマーケットでの売買および投資家からの引き合いも相当限定的だが、プライマリーマーケットの結果を見ていると、今の規模感になった今年度から比較的入札がしっかりと決まるケースが見えてきており、投資家の中にもプライマリーマーケットで決まった量を手当てし、そのあとは保有し続ける投資家も増えている印象。現行の規模感であれば、ある程度投資家のニーズで足りてくるサイズかと思う。一方で、ディーラー的な観点からいうと、長期的にセカンダリーマーケットのフローが乏しい中で、保有するインセンティブがなかなか低い商品になってしまっているため、投資家のニーズ分の発行があれば、それで十分かと思う。そのため、1,000億円程度の減額は可能かと考える。 ・令和7年度の国債発行計画の変更について、当局の提案に賛成。5年債よりは先に2年債から増額するなど、短いゾーンから変更すべきと考えている。 ・発行計画の中間見直しについても当局の提案に賛成。こちらも市場の安定に資すると考えており、半年ごとに1回はやるべきと考えている。 ・令和8年度の国債発行計画についても当局の提案に賛同する。特に超長期ゾーンの減額というものは喫緊の課題だと考えている。 ・現状の課題として2つあると考えている。生命保険会社の需給減退に伴い、供給過多による超長期金利の大幅な上昇が起こっていることから、これらについて対策を何か示すべきだと考えている。もう1つは皆様方からもあったとおり、25年セクターなどのカーブのゆがみというところだと思われる。 ・優先順位としてはやはり、その最初の需要減退に対応するところだと思われるため、今は年金および海外投資家の買いによって支えられているが、これがなくなったときに利払費の抑制や現状の需給のことを考えると、システミック・リスクまで及ぶ可能性があると考えているため、マーケットに滞留する超長期ゾーンのストックを減らすことが急務だと考えている。 ・特に当社のリサーチチームの分析では、現状の発行ペースから20年債・30年債・40年債をそれぞれ1回の入札当たり1,000億円ずつ減額しても、超長期ゾーンのマーケットストックというものは、若干の減少にとどまりほぼ変わらないと試算している。 ・これは、ほとんどが超長期ゾーンの需要減退からきているものと考えており、この状況を考えると新発債発行の大幅減額が喫緊の課題だと思っており、40年債、30年債、20年債の順にそれぞれ1回の入札当たり2,000億円ずつの減額をすべきだと考えている。 ・40年債に関しては、皆様からもあったとおり、1回の入札当たりの発行額が少なくなることにより、イールドダッチの弊害が出てくると思われるため、四半期に1回の発行に移行することも考えるべきだと思っている。 ・また、カーブのゆがみへの対応で、バイバックの検討というのは引き続きやるべきだと思っており、これにより残存25年のゆがみを抑えていくことも市場の流動性の改善につながると思っている。 ・超長期ゾーンの減額に伴って増額する順位としては、手前から2年債、5年債、10年債の順だと考えている。特に2年債は金利上昇局面であっても、入札結果が堅調なことが多いため、ここに対しては増額余地がある。 ・10年債に関しては、手前から増やしていく方が安定消化につながると考えている。 ・最後に流動性供給入札に関して、これだけ大きな減額を提案すると、おそらくまた低クーポンボンドなどのところがスクイーズされているため、そちらの需給が悪化することが考えられる。茲許減額した残存15.5-39年ゾーンのところは500億円程度増額するのが望ましいと思われる。ただしこれは、2,000億円ずつの減額を前提としており、仮に減額幅がそこまでいかないのであれば据え置きとしている。 ・残存15.5-39年ゾーンを増額した分は茲許少し流れやすくなっている残存5-15年ゾーンを若干減額。残存1-5年ゾーンに関しては据え置きもしくは若干の増額が可能と思っている。 ・補正については既に決まっているものもあると思うため、特段意見なし。 ・来年度の計画については、皆様と同じで、超長期ゾーンの減額が必要だと考えている。優先順位としては、まず30年債。特に当社はバイバックが必要だと考えているが、それが入らないのであればオフ・ザ・ランが余るという意味で30年債の減額が優先されるべき。40年債と20年債についても、大きなイメージとして、それぞれ毎回の発行額で1,000億円ずつの減額余地があるだろうと考えている。ただ、40年債については、四半期に1回の入札頻度にして、毎回の発行額を1,000億円増やすといった調整も考えられる。その場合には、40年債入札あるいは残存15.5-39年ゾーンの流動性供給入札がある月と何もない月との間で、月によって出てくるデュレーションがかなりばらけることとなるため、そこの調整が必要になってくると考えている。増やす方でいくと、2年債、5年債、10年債それぞれに増額の余地があると当社としても考えている。優先順位としては、最初に5年債をあげたが、5年債と10年債との間で大きな差はないという形でみている。10年債は、現状需要がしっかりしているが、ただその一方で、現行の日本銀行の量的引き締め政策が続く中では、来年度の10年債セクターでの供給の増え方がかなり大きくなると考えているため、その点をどう見るのかというのがポイント。また、そもそも補正予算で2年債と5年債の増額ということが決定しているのであるならば、10年債をどこまで手をつけるべきなのかというのも出てくるのかと思う。ただ、2年債、5年債あたりの増額が決まった中において、後ろのゾーンを減らす、それともバランスの中で増やすとすれば、自然と10年債を増額することになるというイメージ。 ・T-Billについては、今までどおり調整弁としての役割があると思うため、かなりのところを今回の補正で使うことになると考えているが、その上で来年度も必要であれば、多少なりともそこの調整になるのだろうという見方をしている。 ・CT債についてはほぼ安定しているため、特段意見はない。ただ、通常の利付債よりも高い発行コストになっているということは事実であるため、そのプロダクトとしての使命をどう考えるのかという点は見直してもいいのではないか。 ・発行計画の見直しの頻度の変更ということに関しては、当社としても賛成。
・今後に関して、日本銀行の継続利上げというのは、そもそも市場のメインシナリオである。私個人として、本会合では全く起こっていないものの、ずっとアメリカのリセッションを想定して今後の金利予想をしてきたが、やはりコンセンサスは「一時的減速にとどまる」ということだから、その前提に立つと、やはり、我が国の財政悪化懸念の行方といったものが最大のポイントになってくる。今年度の補正予算の議論に終止符を打ったとしても、来年度予算の規模、さらに経済対策が継続して打ち出されるのか、などの不安は尽きない。少なくとも、こういった状況であれば、10年債の利回りが2.0%超えというのは必至とも見える。 ・前々回と前回の本会合では、「イールドカーブ・コントロールを脱し、国債市場の価格発見機能は回復、財政悪化に対する市場の警告が発せられるようになった。悪戯な金利高を招かぬよう、当局の警告の発信も望む」と申し上げたわけであるが、政権が交代して政策が大きく変化し、当局の立ち位置も今までとは違うものと考察するが、市場からの警告にしっかりと対応していくことの重要性は変わらない。具体的には、直近、「租税特別措置・補助金見直し担当室」が設置されたように、財源の発掘を含めた意味でのワイズ・スペンディングへの注力が望まれるということだと思っている。加えて、今まで以上に、国債市場特別参加者という、ある意味目先の市場の問題よりも大所高所から検討していく、「国の債務管理に関する研究会」の重要度が増したと思っている。 ・最後になるが、本会合の初回開催は2004年となるところ、当時の谷垣財務大臣は「国債の大量発行が続く中、国債の安定消化を図っていくためには、財政構造改革の推進により国債に対する信認を確保するとともに、市場との対話を通じ、市場のニーズ・動向などを十分に踏まえた国債発行を行っていくことが必要となる。」と挨拶された。いろいろと世界は変わったが、今日にも通じることだと、本日改めて認識した次第である。 |
||

