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日時 令和7年6月23日(月)

場所 書面にて開催

内容 令和7年度国債発行計画の変更について

〇令和7年度国債発行計画の変更について、理財局から以下のように説明を行った。

・令和7年度国債発行計画は昨年末に策定したところだが、策定から約半年が経ち、この間、国債市場において大きな動きが見られたことを踏まえ、令和7年度国債発行計画の変更を検討してきたところ。

・特に超長期ゾーンについて、4月の相互関税ショック以降、他の年限に比して大きく金利上昇する動きが見られてきた。

・超長期ゾーンの売買動向については、日本証券業協会が公表している「公社債等店頭売買高」から、令和7年1月~2月を境に、国内投資家からの需要が顕著に減退したと承知している。

・こうした最近の状況は、種々の要因によって生じていると思われ、どこまでが一時的・短期的なものなのかは今しばらく見極める必要があるが、現下の状況に対しては、国債管理政策上の対応が必要。

・国債発行計画における対応の前に、まずは、国債管理政策の基本的目標について、改めて確認する。

・国債管理政策は、財政健全化を推進し、新規財源債の発行額を抑制することを前提としつつ、
① 確実かつ円滑な発行
② 中長期的な調達コストの抑制
という2つの基本的目標に基づき運営しており、国債発行計画はこの目標を達成するため、皆様とのこうした場も活用しながら、市場との対話を踏まえて策定・運営している。

・国債管理政策において、一時的・短期的な需要の変化に過度に対応することはないが、これは裏返せば、構造的・継続的な状況変化には必要な対応を取る余地があるということになる。市場参加者にとっての透明性・予見可能性確保と、中長期的な需要動向への対応のバランスを考えつつ、国債管理政策を行っていく必要があり、こうした考え方を念頭に置きつつ、国債市場特別参加者や投資家の皆様からいただいた御意見を踏まえ、令和7年度国債発行計画の変更案を策定した。

・国債市場特別参加者や投資家の皆様からいただいた御意見においては、この数カ月の市場の状況を踏まえ、超長期ゾーンの発行減額が必要との認識は概ね各社共通であったと認識。減額対象については、40年債・30年債・20年債のいずれも減額すべきとの意見が多く、特に20年債について、そうした声が聞かれた。また、見合いの増額対象としては、短中期ゾーンは相対的に需要が堅調といった御意見が多く見られた。加えて、流動性供給入札についても、超長期ゾーン分を減額し、中期ゾーン分に付け替えることが適当と御意見が多く見られた。

・このような国債市場特別参加者・投資家の皆様からいただいた御意見も勘案し、当局案においては、
 ・7月より直ちに、40年債・30年債を各1,000億円/回、20年債を2,000億円/回減額し、
 ・流動性供給入札についても超長期ゾーン分を1,000億円/回減額して中期ゾーン分に付け替え、
 ・超長期ゾーンの減額分は、2年債、短期国債の増額及び個人向け販売分の上振れ実績を反映すること等により対応
することとしている。

・最後に、オフ・ザ・ラン銘柄を対象とした買入消却については、国債市場特別参加者の皆様を中心に要望がある一方、市場の自律性の低下を招く観点から実施すべきでないという声もあると認識。買入消却は、制度上、実施できないわけではなく、今後の検討の可能性を否定するものではないが、国債管理政策におけるあり方や、その必要性、妥当性、流動性供給入札との関係の整理を含めてよく考えるべき課題。仮に実施するとしても、目的、手法、対象とする年限・銘柄等について検討する必要があり、その結果次第では、システムや予算における手当を行う必要がある可能性。直ちに実施できるものではないことから、今回の対応の対象外となることをご理解いただきたい。

・今回の国債発行計画の変更が、国債市場の安定と機能回復につながることを期待。今後も市場動向をよく注視し、必要があれば適切な国債管理政策上の対応を取る姿勢に変わりない旨を付言する。

〇提出された意見等の概要は以下のとおり。

・今回の発行計画の変更については、適切な対応がとられており、特段意見はない。
・今後も急激な金利上昇は地銀の保有国債や貸出金利に大きな影響を及ぼすため、財政政策運営においては、十分な市場との対話をしてほしい。

・当局の提案について、特段意見はない。
・今後も超長期債が大きく変動する場面があれば、同様に国債市場特別参加者会合や本懇談会を適宜開催するなど柔軟な対応をしてほしい。

・当局の提案は当社の方針と近く、行き過ぎたベアスティープを抑制する一定の効果を持つと思料。今後についても、投機による超長期金利の急激な上昇を抑制する観点で、買入消却の仕組みの柔軟化等を検討してほしい。

・超長期ゾーンにおける需給構造は、従来の生命保険会社等による規制対応目的の安定的需要が一巡しつつある中で、近年は構造的な変化が生じている。実際、一部の入札においては、アット・ザ・マネーでの応札が限られ、テールの拡大が頻発するなど、価格形成に不安定な側面が見られている。また、外国人投資家の比率は上昇しているが、投資スタンスの特性上、需給が短期的かつ変動的になりやすく、従来の国内投資家主導の市場構造とは性質が異なる。今回の発行減額は、こうした需給環境の変化を適切に踏まえた対応であり妥当な措置と考えている。
・一方で、現在の発行水準を前提とした運営を続けることには引き続きリスクが伴うため、今後も市場動向を注視し、必要に応じて追加的な減額も含めた柔軟な見直しを速やかに検討してほしい。 

・市場動向を踏まえた発行計画の変更と認識しており、市場とのコミュニケーションを図りながら確実かつ円滑な発行を進めていきたいという当局の姿勢が確認できるため、変更を支持する。
・しかし、発行を増額する年限が短いゾーンに集中しすぎると、借換リスクなどが意識され「確実かつ円滑な発行」と「中期的な調達コストの抑制」に悪影響を及ぼす可能性もあると認識している。
・また、既発債の買入消却について、当局として前向きなのかどうかなど方向性の明示を期待する。

・足元の超長期債の需給悪化が「主要投資家の不在」という構造的問題と考えられる点に鑑みれば、今回の20年、30年、40年債の減額案は同問題の解消に向けて一定程度の効果はあるとみられる。
・流動性供給入札の年限間の調整についても、新発債と同様に悪化しているオフ・ザ・ランの需給を改善させる効果があり、安定的な国債発行に資すると思料。
・しかし、20年債においては生命保険会社に加えて、銀行セクターも低金利環境下での主要投資家であったが、金利上昇局面で投資年限の短期化を図る傾向が見られ、同銀行セクターの需要減退も踏まえれば、20年債については1回の入札当たり3,000億円の減額が適切と考えている。
・見合いの増額については、今後累積的に短期債の発行ウェイトが高まった場合、将来の金利環境次第で急速な国債利払費の増加懸念が生じること、5年債や10年債において銀行等による旺盛な投資家需要が確認できることを踏まえると、同年限も利用も可能と思料。

・当局の提案について、賛同する。また、「構造的かつ継続的な状況変化に対して必要な対応を講じる」との考えを知り、安心した。
・併せて、今後とも財政プレミアムが市場に過度に織り込まれることのないよう、慎重な財政運営を継続するとともに、超長期債の投資家層の拡大に資する施策を検討してほしい。これにより、投資家が安心して国債を保有できる環境が整い、ひいては超長期債市場の安定化にも寄与するものと考えている。

・7月より減額を開始すること、超長期ゾーンの全年限を減額対象とすることについては、迅速且つ効果的な対応だと考えている。但し、ゾーン別では、20年債に加え40年債も1回の入札当たり2,000億円減額する方が、より構造的な需給変化の対応に即している。
・また、買入消却については、例えば対象銘柄を絞る、柔軟な買入金額設定等の工夫により、市場の自律性の低下を招くことなく実施できると考えており、継続的な検討を希望する。

・市場参加者の意見を踏まえた迅速な超長期債の発行減額については、非常に意義のある対応と認識している。
・一方、超長期ゾーンのオフ・ザ・ラン銘柄は、市場での自律的な需給調整では解消が難しい構造的な需給不均衡に陥る可能性もあると考えているため、とりわけ超長期ゾーンの買入消却に関しては、実施に時間を要する旨は重々理解しつつも、早期導入も見据えた準備・検討を引き続きお願いしたい。

・当局の提案を支持する。
・今後についても、日本銀行による国債買入や投資家需要動向等を踏まえ、国債需給に構造的な問題が懸念される場合には、今回のような迅速な対応を期待している。

・当局の提案に賛成する。
・発行計画における超長期債の需給緩和は、生命保険会社による規制対応が一巡したことに起因しており、これは一過性の要因ではなく構造的な変化と捉えている。規制対応前の国債需要の水準を勘案しても、当局が示す減額幅は現時点では妥当なものと評価している。
・日本銀行が利上げサイクルを継続している現状を踏まえれば、国債の増額に際しては短期年限を優先することが望ましく、2年債および短期国債の増額については妥当であると考えている。
・日本銀行に代わる国債の主要な消化主体としては、銀行を中心とする預金取扱金融機関が想定されることから、これらの機関の動向については、今後も慎重に注視していく必要がある。
・金利上昇を受け、私的年金における日本国債への資産配分を見直す動きが徐々に広がっているとの印象を持っている。
・生命保険会社はポートフォリオ全体の収益性を向上させるため、過去の低金利局面で購入した債券を売却し、利回りが比較的高い新発債などへの入れ替えを進めている。新発債と既発債の需要の乖離が市場の価格形成に歪みを生じさせ、結果として流動性の低下を引き起こす懸念があることから、買入消却の実施は市場の安定性確保の観点からも有効であり、賛成する。

・特段の意見なし。

・4 月以降、他の年限に比して大きく金利上昇する動きが見られ、需給悪化が懸念される超長期債の発行額見直しは適切と考えている。増額対象を2年債や短期国債とすることに違和感はない。なお、今後について本邦金融機関等からの需要も期待される5年債にも増額の余地があると見ている。
・加えて、国債市場は需給面の材料にやや脆弱になっており、国債市場特別参加者会合・本懇談会等の機会を通じた市場との対話が従前以上に重要になっていると考えている。

・当局の提案に対して、いずれも1回の入札当たりで20年債の減額幅を2,000億円から1,000億円へ縮小し、30年債の減額幅を2,000億円に拡大、代替発行は全額10年債の増額にて対応することを提案する。
・5月20日の20年債入札は大きくテールする結果となったものの、30年債、40年債を中心とした極端な流動性の低下により、入札でのリスクテイクを回避する動きが強まっていたことが主因。20年債はアセット・スワップの需要が断続的に観測される中、30年債、40年債と比較すると需給懸念が小さいセクターと見ており、2,000億円の減額は需給を過度に逼迫させる懸念がある。一方で、アセット・スワップによる需要が相対的に少なく、主たる投資家である生保業態の需要が見込めない30年債であれば、2,000億円の減額も妥当であり、直近の超長期需給の不安定さを払拭する観点から、より効果的である。
・また、生保業態による既発債売却の動きにより、マーケットが既発債ロング・新発債ショートのポジションに偏っていることが、入札前のセットアップのしにくさを助長し、入札前後での超長期セクターの極端な流動性低下を招いている主たる要因であると考えており、買入消却による既発債の需給バランスの是正についても、引き続き検討してほしい。
・一方で中長期セクターは、負債見合いの投資需要のある投資家の裾野が銀行業態を中心に幅広く存在する上、金利先高感から足元では積極的な投資を手控えている銀行が多いため、将来的に日本銀行の買入減額が進んでも、市場全体として最も投資余力が高いセクターである。市中に供給される金利リスク量が大幅に減少することのインパクトを防ぐ観点からも、代替での増額は全額10年債とすることが望ましい。

・当局の提案について、特段の意見はない。
・ただし、流動性供給入札の長期ゾーン及び超長期ゾーン分については、当社の購入ニーズがあることから、需給動向を見ながら、実施額の増額を提案する可能性もある。

・生命保険会社の新規制対応に伴う超長期債の追加的な需要が落ち着いたのであれば、超長期債については少なくとも新規制対応前の水準に戻すことが適切ではないか。
・また、超長期債に過度なプレミアムが発生しているのであれば、従前の発行規模を維持することは将来の国民に利払費増大という形で負担増加を強いることになる。市場における需要動向を踏まえ超長期債の発行を減額し、継続的な需要が見込める年限を中心に増額することが適切ではないか。
・今後は、プライマリー・バランスだけでなく利払費負担も含めて、財政の持続可能性を説得的に示していくことがより重要になると考えている。

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700