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日時 令和2年3月24日(火)

場所 書面にて開催

内容

1. 令和2年度における名目利付債のリオープン及び入札方式について

○令和2年度における名目利付債のリオープン及び入札方式について、理財局から以下のように説明を行った。

・翌年度の名目利付債のリオープン及び入札方式については、毎年3月の本懇談会において議論し、皆様の御意見を踏まえて決定することとしている。本日は、令和2年度における名目利付債のリオープン及び入札方式について、P.3に、当局案をお示ししており、これについて皆様の御意見をお伺いするもの。

・10年債については、平成27年度以降、償還日が同一の国債を発行する場合で、かつ、前回債の表面利率と入札日の市場実勢の乖離が概ね30bps以内の場合には、リオープン発行としている。
   事前に皆様から御意見をお伺いしたところでは、現行方式を支持する御意見がほとんどであったため、10年債のリオープン方式については、令和元年度と同様、令和2年度においても、現行方式を維持してはどうかと考えている。

・20年債・30年債・40年債のリオープン方式についても、現行方式を支持する御意見がほとんどであったため、令和2年度においても、20年債・30年債は年間4銘柄、40年債は年間1銘柄でのリオープン発行(原則リオープン発行)としてはどうかと考えている。

・次に、40年債の入札方式については、これまで当局としては、投資家層の拡がりが限定的で、他の年限と比較して遜色ない程度の流動性が見られていないなど、マーケットの成熟が確認されていないため、利回りダッチ方式の継続が適当ではないかとしてきたところ。

・ 40年債の入札方式について事前に皆様から御意見をお伺いしたところ、価格コンベンショナル方式への移行を希望する御意見としては、投資家層が拡がりつつあり、安定した需要が見込めることや、入札前後の価格形成に不連続が生じていることを理由とする声が聞かれた。

・一方、利回りダッチ方式を支持する御意見としては、40年債の利回りが低く、流動性が向上していないと見る向きがあることや、イールドカーブの端であり価格が変動しやすいことから、利回りダッチ方式とすべきとの御意見が聞かれたところ。
   さらに、一時的な需給の不均衡がみられると、入札で大きくテールが出る可能性があることを踏まえ、利回りダッチ方式を維持すべきとの声もあった。

・また、ボラティリティが高い時期の発行入札前後のヒアリングにおいては、利回りダッチ方式であることが市場参加者に一定の安心感を与えたという声が聞かれている。

・以上のように、価格コンベンショナル方式に移行すべきという御意見も一定程度あったが、利回りダッチ方式を維持すべきという御意見が多数であった。

・ここで改めて、足元の40年債のマーケットの成熟度を確認すると、40年債の流動性は徐々に高まっていると認識しているものの、例えば、P.4に示したグラフの通り、30年債の入札方式を価格コンベンショナル方式に移行した頃の業者間出来高を、現在の40年債はまだ超えていないことなどから、当局としては、未だ成熟しているとは言い難い状況であると認識している。

・当局としては、これらの御意見や状況を踏まえ、発行計画上増額となる令和2年度において、P.4のとおり、利回りダッチ方式を維持することによって安定的な消化を図ることが望ましいのではないかと考えている。

・なお、本案については、昨日の国債市場特別参加者会合でも御意見を伺っており、多くの参加者から賛同いただいたところ。

・令和2年度における名目利付債のリオープン及び入札方式については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。

○提出された意見等の概要は以下のとおり。

・1銘柄当たりの市中残高を確保し流動性を向上させるという観点から、引き続き現行のリオープン発行が望ましいと思う。
   40年債については、以前と比べ市場の流動性は徐々に向上しているものの、他の年限と比べれば投資家層は限られており、イールドカーブの端であることによって価格が変動しやすいこともあり、国債の安定消化といった観点から、入札方式は現状の利回りダッチ方式を支持する。

・当局の提案に賛成する。日銀買入の規模を踏まえると、セカンダリー市場やレポ市場の流動性維持の観点からも、現行方式の維持が適当であると考える。
   また、40年債は、令和2年度における発行増額や、足元の不安定な市場環境等を踏まえると、現状の利回りダッチ方式を維持することが安定消化に寄与すると考える。

・当局の提案を支持する。現状の金融政策の下、セカンダリー市場やレポ市場の流動性を維持するという観点から、現行方式の維持が適当であると考えている。

・現状の方式で、セカンダリー市場・レポ市場での流動性に悪影響は見られていないため、特に問題はない。

・10~40年債のリオープン方式については、当局の提案に賛成する。
   40年債の入札方式に関しても、当局の提案に賛成する。40年債の流動性が低いことや投資家層が限られることを踏まえると、安定消化に向け、利回りダッチ方式が引き続き望ましいと考える。一方で、足元、40年債への買い需要が高い中で、今後、利回りダッチ方式における入札結果が市場実勢よりも強く乖離することが散見されるようであれば、発行計画の見直し(年度途中を含む)の一環として価格コンベンショナル方式へ変更することを検討する余地があると考える。

・当局の提案に賛成する。10年債についても、原則リオープン発行が望ましいが、現在の環境を考えると現状維持で問題ない。

・10年債についても他年限と同様に、年間4銘柄でのリオープン発行とすることを支持する。日本銀行の現行の金融政策の下では、30bps以上の乖離が発生することは極めて稀であるものの、シングル・イシューとなる銘柄が発生した場合には、日銀買入が進捗するにつれ流動性に格差が生まれ、市場に歪みを生じさせやすいと考えられることから、年間4銘柄でのリオープン発行がよいと考えられる。
   また、40年債の入札方式について、投資家層は徐々に拡がりつつあるものの、引き続き投資家層が限定的な年限であるため、価格コンベンショナル方式にした場合には、投資家需要が確認できる証券会社と、確認できない証券会社とで応札姿勢に乖離が出ると考えている。そういった中では、入札がより流れやすくなることに加え、デュレーションが長い年限であることも考慮すると証券会社の体力消耗に繋がりやすいことから、利回りダッチ方式を支持する。

・10年債は、金利急変時にも一定量の市中流通残高を維持できることや、他年限(20年債・30年債・40年債)との平仄の観点からも、原則リオープン発行が望ましいと考える。一方、他年限(20年債・30年債・40年債)については現状維持が望ましい。

・10年債のリオープン方式については、当局の提案に異論はない。
   20年債及び30年債のリオープン方式については、10年債と同様に、一定の条件下で市場実勢に応じたクーポン設定が可能な枠組みとする方が、将来、金利が急変動した場合においても、投資家のニーズを維持できると考える。
   40年債については、超長期ゾーンの負債構造を有する中で、金利リスク管理を一層精緻に取り組む必要性が生じていることから、現行の年間1銘柄から複数銘柄への拡大を希望する。また、安定的な消化を図る観点から、入札方式は利回りダッチ方式を継続することが望ましいと考える。

・10~40年債のリオープン方式については、現状維持を支持する。
   40年債の入札方式については、価格コンベンショナル方式への移行が望ましいと考える。40年債は、発行開始から10年以上経過し市場も成熟してきたことから、他の年限と同様の価格コンベンショナル方式に移行する時期に差し掛かっているものと考える。

・足元、金利のボラティリティが上昇しているが、日本銀行の現行の金融政策の下では日銀買入により需給がひっ迫しやすく、特に金利変動時にはカレント銘柄へ取引が集中することから、流動性確保の観点から現行のリオープン及び入札方式が望ましい。ただし、40年債については、流動性の向上や投資家層の拡がりがみられることから、価格コンベンショナル方式へ移行してもよいのではないか。

・名目利付債のリオープン方式については、銘柄単位の流動性向上の観点から、現状維持とする当局の提案に賛成する。
   40年債の入札方式については、マーケット水準対比、高値での入札になりやすいため、価格コンベンショナル方式への移行を希望する。

2. 令和2年4-6月期における物価連動債の発行額等について

○令和2年4-6月期における物価連動債の発行額について、理財局から以下のように説明を行った。

・物価連動債については、P.6のとおり、令和2年度発行計画では、1回の入札当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。また、P.7のとおり、買入消却についても、「市場の状況や市場参加者との意見交換も踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。本日は、4-6月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・1-3月期については、P.8のとおり、市場の状況や市場関係者との意見交換を踏まえ、2月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、物価連動債市場の需給の改善を図るために、買入消却入札を毎月200億円実施することとしたところ。P.9のとおり、2月の発行入札は、過去の発行入札と比べて遜色ない結果となった。
   買入消却入札と日銀買入オペの結果については、P.10のとおりである。3月4日までに実施した買入消却入札については、応募倍率には振れがみられつつも、概ね市場実勢に即した結果となった。一方、日銀買入オペについては、特に足元で前日引値対比大幅な安値での決着がみられているところ。

・流通市場の状況については、P.11からP.13までのとおりである。P.11及びP.12は、従来からお示ししているグラフであるが、足元の動きは、日本においてのみならず、世界的に見て、トレンドから乖離した大きなものとなっている。
   詳しくはP.13のとおりで、年末年始においては、BEIは0.2%程度で安定的に推移していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるリスクオフの地合いが高まった2月以降、名目債の金利低下に追随できず、BEIがゼロ%近傍まで低下した。
   その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大及び原油価格の下落に伴って、欧米のBEIが大きく低下。日本のBEIも、それに続いて大幅に下落し、足元では▲0.15%前後となっている。

・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うリスクオフ地合いに加え、原油価格の下落に伴って、グローバルに物価連動債が売られ、需給が大幅に悪化していることから、4-6月期における物価連動債の発行を減額すること、あるいは、買入額を大きく増額することが望ましいとの御意見が聞かれた。
   一方、第Ⅱ非価格競争入札については、需給環境を踏まえると取止めが市場に与える影響は限定的であるという御意見や、第Ⅱ非価格競争入札での落札が多額になると、市場心理に悪影響を及ぼす可能性があり、取止めによって需給改善に寄与するのではないかという御意見等、多くの先から取止めに賛成との声が聞かれた。

・こうした状況を踏まえて、P.14に当局案をお示ししている。まず、3月中に、3,000億円の追加の買入を、買入最大価格較差の上限を設定した競争入札の形で1回実施したいと考えている。この上限の具体的な値は、オファー時に正式にお伝えすることとなるが、買入価格が100円となる水準とする。ただし、銘柄ごとに基準価格が異なることから、買入価格が100円とならない銘柄もある。なお、実施にあたっては、事務の関係上、結果公表時刻を通常の12時35分から14時に変更することとする。
   さらに、4-6月期については、1回の入札当たりの発行額をこれまでの4,000億円から1,000億円減額し、3,000億円とし、毎月500億円の買入入札を行うこととしてはどうかと考えている。
   また、令和2年度においては、令和元年度と同様、年間1銘柄でのリオープン、価格ダッチ方式での入札とし、第Ⅱ非価格競争入札については、当分の間実施しないこととしてはどうかと考えている。第Ⅱ非価格競争入札取止めについては、P.15に「国債市場特別参加者制度運営基本要領」の変更案を示しており、本年4月に、所要の改正を行う予定である。
   市場環境等については引き続きしっかりとフォローし、状況に応じて、機動的かつ適切な対応を行う予定である。

・なお、本案については、昨日の国債市場特別参加者会合でも御意見を伺っており、多くの参加者から賛同いただいたところ。

・以上、物価連動債市場についての状況とそれを踏まえた当局案について御説明した。
   物価連動債市場の育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、令和2年3月の追加買入、4-6月期における発行額等及び令和2年度におけるリオープン方式等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。

○提出された意見等の概要は以下のとおり。

・足元、BEIはマイナス圏で推移しており、発行額を3,000億円に減額することが適当であると考える。一旦発行を止めてしまうと、再開することが困難となるため、発行減額に留めるべきと考える。物価連動債は市場での売却が困難なため、売却手段確保の観点からも買入入札を実施することが望ましいと考える。

・足元のBEIがマイナス圏となっていることや、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うグローバルな景気悪化懸念の高まり、国内物価動向を勘案すると、今後の投資家需要は更に乏しくなることが想定されることから、発行を減額し、買入を増額することが適当であると考えている。

・発行額を減額し、買入額を増加させるという当局の提案に賛成する。

・原油価格の急落等を背景にBEIは大きく低下しており、需給環境に緩みが生じている。日本銀行が3月18日に買入オペを増額して対応したものの、2,000億円を超える応札があり、正常化には至っていない。足元の市場環境が落ち着くまでは発行減額及び買入による需給の下支えを行い、物価連動債市場の安定化を図るべきである。

・足元でBEIはマイナスに沈むなど不安定な状況が続いている。このような状況下、物価連動債の育成の観点から発行は継続すべきと考えているものの、需給面での不安感は否めないことから、発行減額及び買入増額を支持する。
   また、第Ⅱ非価格競争入札の取止めについても、異論はない。

・発行額については1回の入札当たり3,000億円、買入額については毎月500億円が望ましいと考えている。市場流動性の低下は著しく、フロア価格を下回る水準への価格下落が起こっており、発行減額及び買入増額を通じ、需給の改善を図る対応が望ましいと考えている。3月中の3,000 億円の追加買入については、少額の売りで価格が大きく下落する恐怖感が緩和されるなど、心理面の改善にも寄与すると思う。

・当局の提案に賛成する。足元では、リスク・リダクションの動きからグローバルに物価連動債の売却の動きがみられ、日本の物価連動債の市場規模が大きくないことからBEIがゼロ%を下回る水準まで価格が下落している。極端な価格変動に対して、当局が発行減額等によりサポートすることは、物価連動債の安定性向上に資すると思われる。一方、投資家サイドとしては、割安化した局面は投資機会と捉えており、新規の投資家需要を喚起することも見込まれる中、過剰な市場介入は長期的な物価連動債市場の発展を阻害する可能性もあるため、当局には市場との対話の継続をお願いしたい。また、当局が引き続き、物価連動債市場育成を放棄しない姿勢を市場に示すことも肝要であると考える。

・足元、BEIが低位で推移し、物価連動債は割安であるとの認識である。そのような観点から、3月の追加買入案も含めて、当局の提案に賛成する。
   7-9月期以降については、市場環境を踏まえて改めて柔軟に議論されるべきかと考える。

・当社は物価連動債への投資は行っておらず、現時点では投資の予定もないが、現状は国債市場の流動性の著しい低下や海外投資家のリスク許容度の低下等、物価連動債が発行中止となったリーマンショック時と市場環境が酷似しており、市場環境が回復するまで、発行減額や買入増額等の需給緩和策がとられることが望ましい。

・物価連動債については、各種政策判断の前提となりうるBEI等の指標計測の継続性確保という観点も踏まえた上で、市場環境等を勘案しつつ、入札方式及び発行額を柔軟に調整していくことが望ましいと考えられる。

・物価連動債は、経済情勢が変化した場合に、大きく振れる傾向がある。その理由は、インフレ期待に影響される部分があるほか、海外投資家の比率が高いからであるのか。また、価格が100円を割り込んでも、国内投資家の買いが入りにくい背景には、物価連動債がリスク商品として分類されているため、キャピタルロスを計上しなければならないという理由からではないかと思うが、物価連動債の価格が下落した際には、需要が増えるマーケット・メカニズムを構築できるように、制度の改善が必要ではないか。

3. 令和2年4-6月期における流動性供給入札について

○令和2年4-6月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。

・流動性供給入札については、P.17のとおり、令和2年度発行計画では、
   ①残存15.5年超ゾーン及び残存1-5年ゾーンについては、令和元年度と同様、それぞれ3.0兆円、2.4兆円とするほか、残存5-15.5年ゾーンについては令和元年度から1.2兆円減額して6.0兆円とし、合計で年間11.4兆円を発行することを想定しつつ、
   ②最終的には「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整」することとされている。
   これを受け、本日は、4-6月期におけるゾーン毎の発行額等について、御意見をお伺いするもの。

・ P.18のとおり、1-3月期においては、令和元年度発行計画で想定されているのと同様、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の1月と3月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の2月に5,000億円の発行とした。

・P.19~21に、最近の流動性供給入札の結果を示している。本日実施の残存1-5年ゾーンの入札は資料に反映されていないが、これまでのところでは、各ゾーンにおいて、総じて安定した結果となっている。ただし、3月16日に実施した残存5-15.5年ゾーンについては、足元のボラティリティの拡大を受けて、テールが出る結果となったところ。

・こうした中で、4-6月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、残存5-15.5年ゾーンについて令和2年度に毎月1,000億円の発行減額となっていることは妥当であるほか、それ以外のゾーンについては需給状況に大きな変化は見られていないことから、現状の発行額等を維持することが適当との御意見が多かった。

・これを受け、P.22にあるとおり、4-6月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。残存1-5年ゾーンについては、奇数月の5月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、これまでより1回の入札当たり1,000億円減額して毎月5,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の4月と6月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。

・なお、本案については、昨日の国債市場特別参加者会合でも御意見を伺っており、多くの参加者から賛同いただいたところ。

・4-6月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。

○提出された意見等の概要は以下のとおり。

・ボラティリティの高まりもあり、今月に実施された残存5-15.5年ゾーンの流動性供給入札はテールが出る結果となっていることや、昨年の本懇談会で市場参加者間での議論がなされ、支持された案であることから、同ゾーンの減額は適当であると考えている。

・発行額については、残存1-5年ゾーンは5月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンは4-6月に各月5,000億円、残存15.5年超ゾーンは4月と6月に5,000億円が望ましいと思っている。レポレートが特別な動きになっている銘柄は引き続き見られるものの、特定のゾーンに集中しているわけではないこと等から、当局の提案で問題ないと考えている。

・昨年の本懇談会での議論を踏まえ、令和2年度発行計画では、残存5-15.5年ゾーンを減額し、その他の2ゾーンを現状維持とすることとなっており、当局の提案に異論はない。

・新年度に入ると資金需給への期待があることから、4月にデュレーションが大きめである当局の提案で異論はない。

・3月16日に実施された流動性供給入札の結果は、テールは大きくなったものの、ボラティリティが高い中で行われたこともあり、需給環境が過度に引き締まった状況を示す内容ではない。一部の銘柄でレポが締まっている状況はあるものの、残存5-15.5年ゾーンについては減額も可能であると思われる。

・超長期の負債構造を有する投資家にとっては、ALMやERM上、残存期間に応じた国債のニーズは非常に高いと認識している。現在の国債市場において、相対的に流通量が少なく取引コストが高い超長期ゾーンについては、流動性供給入札を通じて市場の流通量を増やしてほしいことから、同ゾーンの増額を希望する。

・プラス金利である超長期ゾーンは、投資家から、ALM目的をはじめ、様々なニーズが集まり、今後、需給がますますタイトになっていくと考えられることから、残存15.5年超ゾーンについては、隔月5,500億円の発行とすることが望ましいと考える。

・経済価値ベースのソルベンシー規制導入に向けて、生保の超長期ゾーンへの投資ニーズは継続的に強い状況にあり、超長期ゾーンのオフ・ザ・ラン銘柄の供給量を増やすことを希望する。

・日本銀行による国債補完供給の要件緩和等の対応によってチーペスト銘柄近辺の流動性が相対的に改善していると思われること等を踏まえ、残存5-15.5年ゾーンを昨年度対比で減額する当局の提案に賛成する。ALM上の長期化ニーズを背景に生保を中心として超長期ゾーンへの需要は高いと思われる。加えて、長期金利がゼロ%付近で推移する中、その他の投資家からもイールドハント等の観点から超長期ゾーンへの投資ニーズは高まっていると認識しており、超長期ゾーンの流動性は引き続き極めて低い状況にあると考えている。中でも30年債と40年債のスプレッドは極めて狭い状況にある上、40年債金利が30年債金利よりも低くなっている日も見受けられており、40年債への強い需要があると認識している。また、40年債は持ち切りで買う投資家が多いことから、イールドカーブ全体のフラット化を牽引させやすい存在であると認識している。このような観点から、今後、残存15.5年超ゾーンについて増額を検討する余地があると考えている。

・投資家需要の強い残存期間の長いオフ・ザ・ラン銘柄の流動性が乏しく、購入が困難であるため、残存20年超ゾーンのオフ・ザ・ラン銘柄を重点的に発行してほしい。その一つの案として残存15.5年超ゾーンの発行額5,000億円を、残存15.5-20年ゾーンに1,000億円、残存20年超ゾーンに4,000億円に分けることを検討してほしい。加えて、現状の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による相場変動及び日本銀行の短期間での国債買入額の大幅な増加による流動性の低下に対応するため、4-6月期の流動性供給入札の減額を見合わせてほしい。

4. 最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて

○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・長期金利が再びプラス圏に浮上しているが、期末要因等により積極的にポジションを取れる証券会社や投資家が少なく、ボラティリティが高い状況が続いている。4月に入り、年度替わりすれば、ポジションを取りやすくなる投資家が増えるため、金利上昇は抑制されやすいと考えており、リスクバランスを考慮しながらプラス金利となっている国債の購入を積極的に検討していく。

・新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う投資家のリスク許容度の低下や資産間の相関の低下を受けて、市場の流動性が著しく低下している。加えて、足元では大規模な補正予算編成に伴う国債増発への警戒も高まりやすく、ボラティリティの高い状況が継続すると考えている。プラス金利となっている国債については、外貨需要がある銀行の担保需要など相応の需要があると考えており、当社も各種規制等を考慮しながら、投資を継続していく。

・市場の流動性と投資家のリスク許容度が大きく低下しており、市場が落ち着きを取り戻すには、もう少し時間が必要であると見ている。このような中、今後の運用見通しについては、プラス金利となっている10年債を購入していくスタンスを継続する。また、プラス金利となっている中期ゾーンの政府保証債や地方債についても同様のスタンスを継続する。

・新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、各国の市場とも大きく変動している状況にある。日本の国債市場においては、イールドカーブ・コントロール政策の効果もあり、円金利はやや上昇しているものの、レンジ内での推移が続いている。当社としては、引き続き、円金利リスクコントロールの観点から長期ゾーンや超長期ゾーンを中心に一定水準の購入を進めていく方針である。

・新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延に伴うグローバルの金融市場の大混乱により、日本の国債市場も流動性が極端に低下し、投資家が通常の売買ができない異常な状況に陥っている。しかし、各国政府及び中央銀行が対応を打ち始めており、金融市場の混乱は時間の経過とともに冷静さを取り戻し、その後は世界的に一層の低金利の環境が続くと考える。

・足元、積極的な日銀買入オペにより、キャッシュ化目的の債券売却や割高な国債先物の価格修正の動きとそれに伴う金利上昇は落ち着きつつある。目先は新型コロナウイルス感染症への対応として各国の財政出動が見込まれているが、各国の積極的な金融緩和策により、国債増発がグローバルに大幅な金利上昇を及ぼす展開にはなり難いと見ており、ボラティリティが落ち着けば、基本的には金利は低位安定すると見ている。

・国債市場の状況については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いグローバルな景気後退懸念が高まっている一方で、各国の大規模な財政支出に伴う国債増発懸念や投資家のリスク削減の動きが強まる中、グローバルに金利は乱高下しており、日本国債も同様にボラティリティが高く、当面は金利が上下に振れる展開が継続すると考えている。今後の運用見通しについては、グローバルの景気の先行きが極めて不透明な環境であるが、リスク資産価格や海外金利の動向に留意しつつ、日本国債については、現行の日本銀行によるイールドカーブ・コントロール政策の長期化を見込み、金利水準を見極めつつ運用する計画である。

・新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、日本の国債市場のみならず、グローバルに金融市場の流動性が極端に低下する中、各国の国債管理政策の重要度がこれまで以上に増していると考える。今後は各国の国債管理政策及び金融財政政策等の方針を見極めながら運用方針を決定していくことになる。

・新型コロナウイルス感染症の感染拡大からグローバルに景気後退懸念が高まり、先行きの不透明感が強まっている。また、グローバルに流動性が低下しており、日本国債市場についても市場参加者のリスク許容度や流動性が著しく低下する中で、ボラティリティの高い状況が継続している。当面は、新型コロナウイルス感染症による実体経済への影響や市場の流動性を注視し、日本銀行のイールドカーブ・コントロールの下、ポートフォリオの状況にも留意した上で、割安化した局面では日本国債にも慎重に投資を行っていく。

・新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い市場センチメントがリスクオフに傾き、世界中で多くの投資家が運用を手控え、市場の流動性が極端に低下していることから、ヘッドラインに応じて国債金利の振れ幅が大きくなりやすい状況が継続していると考えられる。このような状況下においても、ALMやERMの観点から国債をベースとする運用スタンスは継続すると考えている。ただし、現下の超低金利等の市場環境に改善が見られない場合には、契約者の負託に応えるためにも、ポートフォリオの収益性の維持・向上の観点から資金の振り向け方について改めて検討せざるを得ないと考えている。

・今年2月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を背景に市場が不安定な動きを続ける中、足元、国債の流動性は極めて低い状況にあると認識している。背景としては円金利スワップや国債先物等のボラティリティが上昇している中、証券会社等のリスク許容度が低下していることも一因であると考えている。特に、超長期ゾーンの流動性の低下が顕著であると認識している。同ゾーンではビッドやオファーがないことや、仮にあったとしても少額であることが多い印象を持っている。ただし、このように流動性が低下している中であっても、40年債への需要が引き続き強いため、40年債金利が30年債金利よりも低くなることが散見されることにつながっていると認識している。また、市場が一定程度落ち着いた後も、イールドハントや生保を中心としたALM上の長期化ニーズを背景として、超長期ゾーンの流動性は低い状況が続く可能性が高いと考えている。今後の運用見通しについては、現状の金利水準では負債見合いで本格的な投資をする状況にはないものの、ALM上の観点から超長期ゾーンへのニーズがあり、令和2年度に関しても一定の投資を実施していく計画である。

・リスク資産を中心としたボラティリティの著しい上昇や各国の債券市場での相対価値の崩壊等が観測され、国債市場の流動性が低下している。短期金融市場の流動性は十分であり、金融危機の状況にはないことから、観測される種々の異常値は、今後数週間から数か月で収まる可能性があるものの、新型コロナウイルス感染症の感染が沈静化した後も、人口動態など構造問題も踏まえると、中長期的には金利が上昇しにくい環境が続くと考えている。グローバルな低金利状況や日本銀行の金融緩和の長期化が想定される中、超長期ゾーンについては、ALM対応等国内投資家の裾野の拡がりとともに、海外投資家の買いニーズも出てきており、需給がひっ迫しやすい状況が続くと認識している。相場動向を見つつ、今後も日本国債の購入及び保有を継続する予定である。

・当面は流動性が枯渇し、銘柄間やセクター間の歪みが大きくなり、レポ市場も不安定な状態が続くと見ている。抑制的な運用を続け、流動性の回復を待ってから投資を開始する方針である。

・投資家も証券会社もスプリット運営が浸透し、ポジションのリスク許容度の低下から、国債の流動性も低下傾向にある。足元は株価との逆相関が保たれており、正常な市場動向と言えるが、今後、パニック的な株売りや債券売りが起こる懸念も残っている。そのような危機時には発行計画についても柔軟な対応を希望する。

・FRBによる連日の相次ぐ対応により、昨日、ドルLIBORと米国の長期金利が低下し、また、金の価格が上昇するなど、金融資本市場は正常化に向けた糸口を見出し始めた気がしている。

・新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大やそれに伴う各国の経済活動への影響を注視しつつ、感染拡大の防止及び社会・経済活動の支援を目的とした大規模な財政支出等とそれに伴う大規模な国債発行等が予定される場合には、市場の安定や国債の円滑な発行のために、当局と市場との対話の頻度を高めることも必要になるかもしれない。

5. 理財局からの連絡事項

○理財局から以下のように説明を行った。

・まず、利付国債の表面利率の下限引下げについてお知らせする。
   令和2年度発行計画において、利付債の表面利率の下限を0.1%から引き下げる予定としているが、この表面利率の下限については、システムの対応状況を鑑み、0.005%とすることとしたい。
   なお、実施時期については、各社の対応準備状況等も踏まえつつ、本年10月以降の実施を目指す。

・次に、「分離適格振替国債の分離状況」等の公表頻度の見直しについてお知らせする。
   現在、毎月10日をメドに「分離適格振替国債の分離状況」「分離元本振替国債の現在高」「分離利息振替国債の現在高」の公表を行っているところ、近年においては分離状況等に大きな異同が見られない状況が続いている。
   こうした状況に鑑み、公表頻度を現在の「毎月」から「四半期毎」に見直すことについて、皆様から事前に御意見を伺ったところ、現状の金利環境及び顧客ニーズを鑑みれば、公表頻度を引き下げても問題ない、公表頻度引下げによる市場や実務への影響はないと思われる等、賛成する御意見が多く聞かれた。
   これらの御意見を踏まえ、令和2年4月公表分(3月実績分)以降、公表頻度を四半期毎に変更することとしたい。なお、今後、現在高に大きな異同が継続して見られる等の状況になれば、再度公表頻度を見直すことも検討する。

 

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問い合わせ先

財務省 理財局 国債業務課 市場総括係
電話 代表 03-3581-4111 内線 5700