・ | 日時 令和元年6月24日(月)13:25~14:20 |
・ | 場所 中央合同庁舎第4号館 第1特別会議室 |
・ | 内容 |
1. 令和元年7-9月期における物価連動債の発行額等について ○令和元年7-9月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・物価連動債については、P.3のとおり、令和元年度発行計画では、1回の入札当たり4,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。本日は、7-9月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。 ・4-6月期については、P.4のとおり、5月に発行額4,000億円で入札を行うとともに、4月と6月に200億円の買入消却入札を実施したところ。 ・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、入札後の需給環境は、BEIが上昇するほど買い上がる傾向にはないほか、引き続き投資家層の拡がりが限定的であることについて懸念を示す声も聞かれるものの、足元を割安とみた買いが入っていることから、7-9月期における物価連動債の発行額と買入消却入札は、現状維持が望ましいとの意見が多かった。 ・こうした状況を踏まえて、P.8にお示ししているとおり、7-9月期については、4-6月期と同様、発行額を4,000億円とし、偶数月の8月に200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。また、「ただし書き」の文言のとおり、市場環境等について引き続きしっかりとフォローし、状況に応じて、発行当局として適切な対応を行いたいと考えている。 ・なお、本案については、先週金曜日の国債市場特別参加者会合でも御意見を伺っており、多くの参加者から御賛同いただいたところ。 ・当局としては、物価連動債の市場育成は国債管理政策上の重要な課題と考えており、そうした観点も踏まえ、7-9月期における発行額等について、皆様の御意見を承りたい。 ○令和元年7-9月期における物価連動債の発行額等については、当局の提案に異論はないとする意見が大宗だったが、以下のような意見もあった。 ・当局の提案に異論はない。ボラティリティにもよるが、物価連動債のフロア価値を15bps程度とみており、足元のBEIの水準であればダウンサイドリスクは限定的であるため、割安と考えている。また、海外のBEIともある程度は連動していると考えており、グローバルなBEI対比でも、日本の物価連動債に長期的な視野を持って投資することについては興味を持っている。 ・当局の提案に異論はない。物価連動債の流動性は必ずしも高くないが、入札における応募倍率等は市場実勢相応のレベルだと思っているため、現状維持で問題ないのではないか。BEIの水準は、相対的には割安になっていると感じているため、局面によっては、レラティブバリューの観点で投資を行う可能性はあると思う。 ・当局の提案に異論はない。BEIが20bps程度で推移する中、直近の入札では割安感から一定程度の需要がみられているほか、買入消却入札の結果についても相応な水準を維持している。一方で、セカンダリー市場における取引高の拡大まではみられていない中、今後、物価の見通しや海外のBEIの動向次第で需給に緩みが生じることも想定されるため、現状の発行額・買入消却額を維持することが適当と思料する。 ・当局の提案に異論はない。物価連動債について、現状はアロケーションの一部としてはいないが、今年に入ってから、BEIがかなり割安になってきているため、10年名目債からの入れ替えを行っている。 ・当局の提案に異論はない。インフレ期待が持続的に上昇していく見通しが描きづらい中、物価連動債への投資は難しい。一方で、BEI20bpsという水準が下限として意識される中、BEIの更なる低下は、下値が限定されるため、投資が可能になっていくと考えている。 ・当局の提案に異論はない。国内物価が大きく上昇するシナリオは立てづらい環境ではあるが、物価連動債が割安となった局面での投資家需要を満たすためにも現状維持で様子をみるのが良いのではないか。 ・当局の提案に異論はない。物価連動債については、商品性や流動性の観点から、ALM上の主要な投資商品として扱うのは難しいため、基本的にはBEIの水準をみながら限定的な投資を継続する。 ・現状のBEIは割安ではあるものの、安定的に推移しているため、現状維持に何ら異論はない。 ・当局の提案に異論はない。以前は物価連動債を保有していたが、物価の見通しに強気になれず、現在は残高がない。今後、更に割安になれば投資も考えるが、今のところ方針変更の予定はない。 ・当局の提案に特段異論はない。インフレに連動するような負債を持っていないことから、当面、物価連動債に対するニーズはない。 2. 令和元年7-9月期における流動性供給入札について ○令和元年7-9月期における流動性供給入札について、理財局から以下のように説明を行った。 ・流動性供給入札については、P.10のとおり、令和元年度発行計画では、 ・P.11のとおり、4-6月期においては、発行計画で想定されているのと同様、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の5月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の4月と6月に5,000億円の発行とした。 ・P.12以降に、最近の流動性供給入札の結果を示している。残存15.5年超ゾーンの入札は、テールが出て応募倍率が低い結果が散見されており、今後注視する必要があるものの、その他のゾーンについては、総じて、安定した結果となっている。 ・こうした中で、7-9月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、現状の発行額等を維持することが適当との意見が多かった。 ・これを受け、P.15にあるとおり、7-9月期におけるゾーン毎の発行額の当局案を作成した。4-6月期と同様に、残存1-5年ゾーンについては、奇数月の7月と9月に4,000億円、残存5-15.5年ゾーンについては、毎月6,000億円、残存15.5年超ゾーンについては、偶数月の8月に5,000億円の発行としてはどうかと考えている。 ・7-9月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の議論も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて御意見を頂戴したい。 ○令和元年7-9月期における流動性供給入札については、当局の提案に異論はないとする意見が大宗だったが、以下のような意見もあった。 ・足元で極端な需給の歪みが発生しているとは聞いておらず、当局の提案に異論はない。 ・残存15.5年超ゾーンにおいて多少のテールが出ることはあるかもしれないが、全体的な需給環境が歪められているとは思わないため、現状維持でよい。 ・ALM運用の観点から超長期ゾーンの需要が強いほか、相対的に流通量が少なく、投資コストも高いと考えられることから、残存15.5年超ゾーンの増額が望ましい。 ・残存15.5年超ゾーンの増額を希望。足元の金利低下局面において、特に超長期ゾーンの金利低下が著しい状況であるが、これは、金利がマイナスのゾーンからプラスのゾーンに需要が移っているためではないか。そのため、残存15.5年超のゾーンの発行を若干でも増額するのがよいのではないか。 ・当局の提案に異論はない。ただし、今月に入ってからの、超長期ゾーンを中心とした急速な金利低下局面では、投資家が「買いたい」と思った時にはかなり流動性が低下している。スワップでの金利低下ヘッジにも限度があり、デュレーションが長い負債を持った投資家は残存15.5年超ゾーンの増額を希望するのではないか。 3.最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについて ○出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・足元の低金利環境を踏まえれば、日本国債の投資年限の長期化のみならず、日本国債以外の円債投資や国際分散投資を行っていく必要があるだろう。先週のドラギECB総裁やパウエルFRB議長の発言以降、金利の水準がグローバルに変化してきているため、伝統的なキャリー重視の投資だけではなく、アセット・スワップを活用する等、工夫しながら投資を行わざるを得ないと考えている。 ・足元は、グローバルにイールド・ハンティングの状況にある。こうした中では、規制に則り、金利リスクを意識しつつ、投資年限の分散や日本国債以外の国内外の資産も考慮しながら運用せざるを得ないと考えている。 ・日本国債、地方債、財投債等について、より長い年限への投資が増えていることは事実だが、金利リスク量に係る規制等もあるため、際限なく増やせるわけではない。長期の年限に限界まで投資した後は、外国債券への投資のほか、インカムゲインだけでなく、キャピタルゲインも意識しながら投資していくことになるだろう。 ・過去に購入した中長期債が大量に償還を迎える中で、今後、20年債金利ですらマイナスに沈むようなもう一段の金利低下の備えとして、一定程度日本国債を買っていく必要があると考えている。ただし、マイナス金利の中長期債を大量に購入することは収益の観点から難しく、どうしてもプラス金利の20年債ゾーンを中心とした購入になるため、ラダーを組むことが難しくなっている。 ・足元では、プラス金利である長い年限の日本国債への投資や、デュレーションリスクを極力抑える形での地方債への投資のほか、国際分散投資を継続している。外債投資については、米国債だけでなく、欧州債、更に最近ではエマージング国債への投資を始めている。加えて、クレジットリスクを取った投資や、株式のインデックス投資も行っている。このように分散投資を行うことで、金利が上昇した時でも収益が確保できるよう、バランスよく投資を行っている。また、投資を行う際には市場流動性や資金流動性等について、様々なシナリオでストレステストを行い、確認している。 ・担保資産として保有している短期国債以外については、クレジットリスクやデュレーションをみながら、グローバルに割安なものを探すという投資行動になるのはやむを得ない。また、金利が低下した際に収益を確保できる資産がない場合、景気後退時にクレジット損失等をカバーできないため、投資の観点よりもALMの観点から、金利のある外債に一定程度投資せざるを得ない。しかしながら、足元はスペイン国債等も含めて大きく金利が低下しており、今までとは異なる他の何かに投資しなければならない状況に追い込まれている。 ・日本国債については、マイナス金利が長期化しているため投資残高が減少している上、プラス金利が残っている長い年限に投資せざるを得ないため、必然的にデュレーションの長期化が進んでいる。なお、投資方針としては、国内は超低金利が継続しているため、どのように国際分散投資を広げるかということに注力している。 ・負債については、金利が低下すると経済価値の観点から金利リスクを大きく抱えることになってしまうため、必要最低限は円金利資産を保有しなければならないことに変わりはない。 ・デュレーションギャップを抱えているため、資産の一定の長期化が必要。また、通貨や国を分散して国外にも投資しつつ、オルタナティブ投資等にも分散を図っていくことが当面必要な対応だと思っている。なお、低金利が長期化しているため、顧客に円に対応した商品を提供することが難しいことは切実な問題だと思っている。 ・超長期ゾーンの国債への投資は継続せざるを得ないと考えているが、最終的に、これが契約者への配当の低下等につながってしまうことを懸念している。一方で、足元の低金利環境では、超長期ゾーンの国債への投資だけでは厳しいため、今後、海外のクレジット商品等への投資も検討せざるを得ないと考えている。 ・長期間、極端に緩和的な金融政策が続いている結果として、国内投資家がヘッジ外債で投資することで、海外投資家にとっては投資妙味がある一方で、国内投資家にとっては投資妙味が乏しくなっている。今後の投資方針としては、デュレーションを伸ばして投資を行うというよりも、国際分散投資を進めており、具体的にはクレジット投資やオルタナティブ投資等の分野で、少しでも収益性が残っている資産を探して投資していく方針である。 ・資金支出が顧客からの払い込みを上回っている状況であるため、現状は、償還資金の再投資を大きく絞っている。基本的には、デュレーションリスク、クレジットリスク、流動性リスクを極力取らないようにして分散投資を行っており、そのような状況が当面は継続すると考えている。 ・円金利が大きく低下しており、運用環境は非常に厳しい。日本国債では残存14-15年くらいまでがマイナス金利となっている状況の中、プラス金利を求めて無理をしてデュレーションリスクをとるよりも、クレジットリスクをとることを志向している。最近、事業会社のハイブリッド債の発行もかなり増えてきており、プラス金利を確保できるという観点からは魅力が高いため、こうした商品への投資も行っている状況。 ・現状、低金利を続けることによって物価を上げていくという日本銀行による政策が続いている。今年4月に、フォワードガイダンスが強化され、当面この状況が続くことを前提として投資せざるを得ない。残存5-7年の債券は、担保にしてファンディングしても逆ザヤになる状況であるため、債券運用には全く使えない水準まで金利低下している。更に、欧米の利下げの織り込みが加速し、仏国債の10年債の金利がほぼゼロ%に近づく状況下では、デュレーションの長い負債を持つ国内投資家が日本国債に回帰したため、今月は急激に金利が低下してきたと考えている。そうした中では、マクロ環境をみながら、金利低下の行き過ぎたところを捉えることにより収益を上げるほかないように思う。当社では、国際分散投資によって収益を得ているが、円の期待リターンは相当落ちているため、円から他通貨へのシフトも考えざるを得ない。 ・日本国債の投資対象の長期化や、オープン外債とヘッジ付外債の組み合わせで、いかに収益を確保するかが課題。足元、円金利はグローバル金利に追随して低下しており、日本国債と他の先進国の債券は高い連動性を保っているものの、金利低下局面と上昇局面の内容をみると、非対称性があり、グローバルな金利低下局面では、ブルフラットニングする一方、金利上昇局面では、あまりスティープニングしないことが一層の超長期債の金利低下につながっている。足元の局面では、グローバルにキャリーが低下する中、日本国債の代替となるヘッジ外債が中々みつからず、日本国債に回帰していることも日本国債のフラットニングに寄与していると考えている。 4. 理財局からの説明事項 ○理財局から開催頻度の見直しについて、以下のように説明を行った。 ・これまで、本懇談会は、四半期ごと及び発行計画を議論する11月の年5回開催してきたところだが、出席者の皆様が、基本的には上期と下期に運用計画を策定していることを踏まえ、本年7月以降は、発行計画を議論する11月と、翌年度以降の入札方式等を議論する3月の年2回開催を基本としたいと考えている。 |
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