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国債投資家懇談会(第100回)議事要旨

 

日時 令和8年6月29日(月)16:0016:55

場所 中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室

内容 令和8年度年央ヒアリングについて

〇理財局から以下のように説明を行った。


・今年度より新たな取組として、市場環境の変化への柔軟性を高める観点から、策定から半年となるこの時期を目途として、今年度の発行計画について、定期点検の機会を導入することとしたところ。

・まず始めに、昨年末に今年度の発行計画を策定するに当たっての当局の考え方を今一度整理した上で、今回の年央ヒアリングに向けて事前に実施させていただいたヒアリングで出たご意見を簡単にご紹介させていただき、最後に、先日成立した今年度の補正予算につき、簡単にご紹介させていただく。

 

・まず、令和8年度当初発行計画策定時点の考え方については、超長期債について、生保による規制対応の一巡等に伴う需要の減退が見られていたことを踏まえ、超長期ゾーン(20~40年債)の発行量をそれぞれ毎月1,000億円減額することとし、一方で比較的需給環境の良好であった中・長期ゾーン(2~10年債)については、令和7年度補正後の規模を維持することとしたところ。

 

・次に、事前のヒアリングでいただいた意見としては、超長期ゾーンについては、昨年度からの継続的な発行減額により、新発債の需給環境は概ね改善傾向である一方、10年債においては、財政運営を始め、依然不確実性の高い環境下にあることから買いの手が止まっている状況にあるものの、潜在的なニーズは認められる、との声が聞かれた。また、短・中期ゾーンは、銀行勢の年限短期化の影響も見られており、引き続き需給環境は良好、との意見をいただいたところ。

 

・最後に、6月5日に、令和8年度補正予算が成立した。この補正予算において追加された特例公債については、令和7年度分の特例公債のうち、出納整理期間として今月までの発行が予定されている3兆円分について、税収・税外収入・歳出不用の見込みを踏まえると、実際には発行せずに済む見込みが立っていたため、国債発行予定額全体の中で調整を行うこととし、市中への発行総額を増やすことなく対応したところ。詳しくは添付の資料を参照いただきたい。

 

〇大槻奈那座長より、出席者に対して以下の質問があった。

・基本的な運用・投資方針に加えて、今後の見通しにおいて、警戒しているトリガーイベント、気にしている要素・ファクターは何があるのか。


〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

・全体的な需給としては、当局の説明と同様に当社は考えており、超長期ゾーンの減額はマーケットの需給に合わせた形で進められ、それを以って比較的良好に消化ができる状態になっていると理解している。一方で、短・中期ゾーンは増額の余地があると見ており、方向性として違和感がない。

・10年債はキーになる年限であり、その時々の状況によって警戒的な投資スタンスになることもある。ただ、原則的に消化に問題ないゾーンと見ており、当局の見通しに対して特に違和感はない。

・今年のトリガーイベントとして、日本銀行の金融政策は引き続き注目している。特に海外の中央銀行がやや利上げバイアスを持つような形で動いており、為替の動きも含めて、金融市場から日本銀行に利上げをより催促するような影響が大きく出ることを警戒している。

・当社の投資に関して、ALMの観点から引き続き超長期ゾーンが中心となっている。足元の需給状況について、当局の説明と認識している状況に概ね差異はない。

・短・中期ゾーン、物価連動債等については投資対象ではないため、意見は特段ない。

・超長期ゾーンについては、年金勢や海外勢の存在感が高まっていると見られる中、入札動向によって金利が大きく振れる局面があり、引き続き慎重な対応が必要と考えている。

・超長期ゾーンが逆イールドになっている状況については需給環境によるものと捉えているが、長期保有の観点からは順イールドである方が投資しやすく、注意して見ていく必要があると考えている。

・当社の投資対象としては、残存5-10年ゾーンを中心に考えている。中期ゾーンに関して需給は比較的良好であるが、市場としては、特に今後の10年ゾーンを中心とした増額がどの程度の規模になるかを非常に懸念しており、故に現状の需要が高まりづらいと認識している。

・一方で、ある程度フェアな水準まで金利上昇しているとも考えており、潜在的な需要が想定されうるが、足元株価が堅調であったり財政の拡張懸念があったりする中、国内投資家の需要が順調に盛り上がるというよりも、市場が落ち着いてからでなければ需要が戻ってこないのではないかと考えており、10年ゾーンを中心とした需給に関して、より配慮されたメッセージが当局から出されることを期待している。

・足元の需給環境について、残存20年超の超長期ゾーンは改善している。また、10年債近辺の長期ゾーンの需給は悪化しているが、投資家からの潜在需要があるとも思われるため、需給に問題はないと認識している。

・発行額の調整は不要と考えているが、万が一増額するのであれば、T-Billと考えている。付利金利の水準と比較すると、現在のT-Billの金利水準は低く、十分な増額余地があると見ているので、逆に増額して金利が上がれば投資しやすくなる。

・今後のトリガーイベントについて、中東紛争、財政悪化懸念、日本銀行の利上げ・ターミナルレートの3点を挙げたい。中東紛争については、どうにもできないので落ち着くことを前提に考えるしかない。財政悪化懸念について、様々な話を聞く限り、国債の増額はないと言っているものの、消費税減税、防衛費、秋の補正予算といったイベントが予定されている中、投資家の目線では増額せざるを得ない状況になるのではないかといった懸念がある。これらの見通しがある程度見えてこなければ、10年債の需給は安定しない。加えて、骨太の方針で日本銀行の金融政策に触れるような内容になると、利上げの牽制と受け止められてしまい、ビハインド・ザ・カーブに陥り、最終的に物価が上がる局面で超長期ゾーンを中心に金利上昇する懸念がある。財政政策及び国債の発行額について明確化されること、日本銀行の利上げがしっかりと行われること、これらが全て見えてきた段階で、投資家として10年債の投資を積極化できると考えている。

・当社の投資対象は2~10年債であり、今年度の発行計画が変わらなければ、需給による大きな問題や影響は生じないと考えている。よって、国債需給というより日米金融当局の政策金利の動向が大きなポイントになると思っている。

・来年度予算が非常に重要と考えており、「日本成長戦略」において実質毎年10兆円の追加歳出を行うという報道など、骨太の方針でどういった内容が出てくるかにも非常に注目している。現在のイールドカーブが長期・超長期ゾーンの需給悪化懸念をどの程度まで織り込んでいるかが気になるところ。

・足元円安がリスク要因となる中、政策金利の引き上げペースが今後上がってくる可能性があることや財政拡張懸念等を踏まえると、2~5年ゾーンや長期・超長期ゾーンの名目金利には上昇余地があると考えており、当社として引き続きディフェンシブに2年債中心に投資を行う予定。本来であれば、金利が上がりきった局面や上がりきる直前に、5~10年債の投資を再開したいと考えているが、現状すぐにはできないと考えている。

・超長期ゾーンは投資対象外であるものの、買い手が海外投資家中心である中、十分にフラットニングしている欧米のイールドカーブがこれ以上フラット化することは考えにくく、むしろ今後スティープ化することが懸念されるため、海外金利のイールドカーブに影響を受けた投資行動からくる需給を非常に心配している。10年債をよい水準で買いたいと考えているものの、このような超長期ゾーンの需給を踏まえると、長期金利が再び2.8%を超える可能性もあり、そのような状況下では積極的に投資対象にできないと考えている。

・投資対象については2年債、5年債、10年債が中心で、現在は2年債・5年債を軸に、償還再投資と積み上げを行っている。令和8年度国債発行計画に関して、当局の認識と概ねスタンスは変わらず、現状維持で大丈夫と思っている。

・気になるのは長期ゾーンであるが、今のところ潜在成長率+物価目標を踏まえた、よい水準まで金利上昇していると考えている。ただ、財政拡張への警戒等で大きく金利上昇する可能性もあるため、現状は少額の投資に抑えている状況。ターミナルレートの上限がある程度見えてきて市場が落ち着いた段階では、10年債の投資額を増やしていきたい。

・今後の市場のトリガーイベントとして注目している点は、日本銀行の利上げペース。円安進行でマーケットの想定よりも早いペースで利上げせざるを得ないことになると、マーケットのボラティリティが上昇する可能性もあり、そのような場合は投資を控えることになる。

・現下の状況を踏まえると、今年度の発行計画について、特に修正を加える必要があるとは現時点で考えていない。強いて言えば、流動性供給入札のゾーン区分の変更を行った残存11-39年ゾーンについては、当社が想定していた以上に需給環境が改善されているため、500億円増額してもよいと考えている。ただ、引き続きオフ・ザ・ラン銘柄も含めて需給環境を警戒するべきと考えており、全体としては修正の必要はない。

・今後の見通しとして、日本銀行の政策金利やターミナルレートは引き続き注意したい。米国ではコミュニケーションのやり方が改革されるという話もある中、日本銀行が市場関係者に対して発信や対話をどのように行うかなど、政策金利水準そのものに加え、コミュニケーションの不透明感も問題になってくると考えている。

・直近1年程度において銀行の預貸率の上昇や有価証券の保有体力が急激に注目されている状況と思っており、国債に限らず有価証券投資の体力がどの程度残っているかということについても、引き続き注意していきたい。

・利付債については、修正の必要はないと現状考えている。引き続き、市場機能自体はしっかり機能しており、逆に変更した場合には一時的に予見性が失われる可能性もあるので、修正なしでよい。

・物価連動債についても、修正は必要ない。足元ではインフレ環境を背景に投資家の需要も一定程度見られていると分析しているが、まだまだ市場という意味では育成段階にあり、仮に発行増額を行い、その際に投資家の買い控えが発生することになれば、中・長期的な市場育成に対してネガティブな反応をする可能性があるため、現状どおりが望ましい。

・今後のリスクとしては、行き過ぎた円安に警戒が必要と考えている。急激に更なる円安が進むと、リスクアペタイトへの影響が出てリスクが取りづらくなるため、注視している。

・当社の投資対象は、中期~長期ゾーン。足元、流動性という観点では問題ないが、日本銀行のターミナルレートの水準等が警戒され、投資需要は少ない。円金利はある程度フェアな水準に達していると考えているが、マーケットとして需要が盛り上がらないのは、10年債の需給が少し重いことが一つの要因と考えている。

・当社として、10年債の減額は一つの考え方だと思っている。負債サイドを見ると、定期預金において金利の競争が激しくなっており、そこまで顕著ではないが、デュレーションが少し短くなってきている面もあるため、そのような観点で資産サイドの需要が短期化することもありうる。

・これからのトリガーイベントについて、気になっているのは円安である。リスクアペタイトにも影響してくるため、急速・過度な円安が進むのは好ましくなく、また、日本銀行のターミナルレートにも影響してくるため、注視している。

・当社の主な投資対象となるのは、ALMに基づき大体30年債及び40年債である。今年度の入札は非常に強い結果になっているため、現時点での減額措置は必要ないだろう。

・一方で、当社の場合、単にデュレーションを合わせる運用のみならず、負債とのキャッシュフローをマッチングさせる運用に変わってきている。その上で、今年度のオペレーションとして、オフ・ザ・ラン銘柄の売買が非常に多くなっており、銘柄別の需給の強弱はまちまちな状況。そのような観点を踏まえ、当局には、流動性供給入札に関して、銘柄別の需給状況を注視してほしい。

・今後の金融環境について、日本銀行による利上げのペースアップが重要ではないかと考えている。日本銀行がターミナルレートの推計を出しており、また、短期ゾーン等から計算して推測を立てることはできるものの、現状市場には、利上げのペースアップは織り込まれていない。もしペースアップすることがあれば、円安の是正にもなり得るほか、長期金利の水準を示唆するものになるのではないかと考えている。

・超長期ゾーンの発行額については現状維持でよいと考える。今年度に入り、発行額が減額されたことで、需給環境がかなり改善していることが背景にある。長期ゾーンについては、発行額が最も大きい一方で、インフレ懸念や財政懸念等で買い手が慎重姿勢となっている。需給悪化が顕著なゾーンになっているものの、今後一定の需要はあるため、もう少し様子見してもよいと思われる。

・短期ゾーンについては、比較的需給環境が良好なため、増額の余地があると考えている。

・流動性供給入札について、今年度からゾーン区分に関して、残存15.5-39年ゾーンから残存11-39年ゾーンへと超長期ゾーンの年限を拡大したことにより、入札日のイールドカーブの形状によっては応札しづらいなど、当社の欲しい銘柄がなかなか確保できないことがある。そのような懸念があることは、当局にも理解してほしい。

・当社の主な投資対象は、基本的に超長期ゾーンが中心になるが、当社もキャッシュフローマッチングをしていかなければならず、従来とは異なり、今年度は中期ゾーンも投資対象として若干加えている。今のような金利上昇局面では、リスク資産から相対的に安全資産となる円金利に少しシフトする方針を採っている。

・今後の見通しとトリガーイベントについて、中東情勢に関する問題や財政政策のほか、今後の日本銀行の金融政策の先行きについて着目している。昨年度はターミナルレートの水準が全く定まっていなかったが、今は大分定まってきているのではないかと感じている。そのため、ここからどこまで水準を引き上げるのか、また、どの程度の期間で引き上げるのかという点が、今後の注目材料になると考えている。

・当社の投資対象は超長期ゾーンであるところ、発行減額によって当該ゾーンの需給は改善していると認識している。ただ、現在イールドカーブが逆イールドになっていることから、20年債や30年債については、入札自体は確かに無難な結果が多いものの、入札前には調整する動きも見られており、ボラティリティ抑制の観点からも減額の余地があるのではないかと考えている。

・他の年限については、特段意見はない。流動性供給入札についても、特段意見はない。

・今後のリスクについて、金融政策、財政政策、中東情勢、米国の金融環境を含めて注意しており、その中で、クレジットやリスク運用も合わせて注視している。

・NOMURA-BPI等の日本国債の市場ベンチマークに対して、超過リターンを確保するような運用しており、投資対象としては、T-Billから40年債までのホールカーブの国債を取引しており、ベンチマークに対して割高なゾーンを少なめに、割安なゾーンを多めに持つスタイルで運用している。

・直近3か月間で特に気になった点として、超長期ゾーンで局所的に逆イールドが発生していることである。残存30年ゾーンのカレント債や残存35年ゾーンの一部で、最近まで周辺銘柄に比して相対的に金利が低い形状になっており、その歪みが気になっている。発行額の調整等によりピンポイントで上手くカーブの歪みを修正することは難しいものの、需給の偏りが発生していると考えている。

・今後の円金利の見通しについて、イラン戦争に起因したインフレ圧力は徐々に落ち着くと見ている。一方で、国内では日本銀行の利上げ姿勢の堅持や財政要因から金利が大きく低下するイメージは持ちにくい。10年債を含めた長期・超長期ゾーンの日本国債について、フォワードレートも高まっているため割安感があるものの、デュレーションの積み増しは引き続き慎重に対応していく。

・全体として、昨年度に見られた超長期ゾーンの需給悪化局面と比較すると、足元の国債市場の需給は比較的安定していると思っており、現時点であえて発行額を大きく増減させる必要性は高くない。むしろ足元の一時的な需給だけで、発行計画を大きく変更することは、市場に不要なメッセージを与える可能性があるため、慎重に行うべきと考えている。

・超長期ゾーンについて、昨年度以降の複数回にわたる発行減額により、需給バランスは概ね改善してきている。この点については、当局の適切な対応に感謝している。一方で、構造的には依然として国内投資家の購入意欲は限定的であり、足元の需給は年金勢や海外投資家によって支えられている面があると認識している。しかし、年金勢や海外投資家は安定的な投資家ではなく、年金勢であれば年金資金や株価次第、海外投資家であればグローバルな金利の状況によっては、都度買い手から売り手に回ることがあるため、現状落ち着いてはいるものの、超長期ゾーンの需給が構造的に安定したと判断するのは時期尚早と思っている。

・財政に対する懸念や政策スタンスの変化によって、ここ数年積み上がっている海外勢のポジションが圧縮される局面となった場合、国内投資家が不在の中、超長期金利が大きく上昇するリスクがある。そのため、超長期ゾーンについては、引き続き発行額を減らしていく方向性が必要と考えている。

・また、残存11-39年ゾーンの流動性供給入札の発行額の増額という意見があるとは思うが、利付債の発行減額とセットで実施した方がよいと考えている。ネットで超長期ゾーンの供給量が増えると、市場に対して超長期ゾーンを再び増額するといった誤ったメッセージを与えることになりかねないため、十分に配慮してほしい。

・今後の政府の財政運営や政策スタンス次第では、ショック的に日本国債が大きく売り込まれる局面があると思っており、最も影響を受けやすいのは超長期ゾーンである。そのような場合には、年度途中であっても発行計画の柔軟な見直しや、必要に応じて買入消却を検討してほしい。

・10年債について、足元需給が必ずしも良好とは言えないが、発行額の問題よりも茲許の中東情勢を背景としたインフレ懸念やそれに伴う海外金利の上昇、日本銀行の利上げの遅れによるビハインド・ザ・カーブ懸念といった投資家の相場観が要因で需要が減っていると考えている。一方で、入札自体は色々な要因でしっかりとしており、本年度内に日本銀行が1~2回利上げを行えば政策金利が中立金利に近づいてくるため、金融政策を巡る不透明感は徐々に低下していき年度後半には需給が大きく改善することもあるのではないか。茲許の需給だけを見て発行額を減額し、需給が改善したから増額するというのは対応として望ましくない。

・10年債は日本国債市場の中心的なベンチマークでもあり、流動性の維持が非常に重要なため、現時点で発行減額の必要性はそこまで高くない。

・需給バランスは4月からの超長期ゾーンの発行減額があり、若干落ち着きが見られているが、構造的な問題として、国内の買い手が減ったことは全く変わっていない。市場のボラティリティ等を見ると、超長期ゾーンの円金利のボラティリティは米国よりも高い状況になっており、市場がリスクプレミアムを要求しやすい地合いが続いていると認識している。

・超長期ゾーンでは潜在的に国内需要対比で発行額が依然として多く、脆弱性が残ると思われるため、現在の超長期ゾーンの発行規模、年限選択が最適かどうかを再考する必要があると考えている。

・特に30年ゾーンでは終身保険の売り上げが今後伸びない可能性もあるため、30年債は発行減額の余地があると考えている。

・現在、超長期ゾーンのボラティリティは高まっていない状況ではあるが、何か起きた場合には、国債発行計画・国債管理政策の中での予見可能性と柔軟性のトレードオフがありつつも、柔軟性に重きを置く対応を行ってほしい。

・10年債において、最近金利が上がっている状況ではあるが、インフレ懸念を背景としており、中・長期的な適正水準においては潜在的な国内の需要があると思われるため、現段階で発行額を減額する必要は特にない。

・今後の見通し、トリガーポイントとしては、日本銀行の動向、財政政策に加え、マクロ的側面でインフレ動向がどうなっていくかが重要である。現在は、財政政策の影響でインフレが抑えられている状況ではあるが、PPI等をみると物価の上昇圧力が強まっているため、インフレ懸念が今後どのくらい上がるかが重要なポイントと思いながら運用をしている。


・足元の国債の需給環境については、全体として比較的良好であるため、発行計画を修正する必要はない。一方で、細かい点を見ると、今月の日本銀行の国債補完供給における最低品貸料の引き上げなどを受けて、短・中期ゾーンにおいて、市場流通量が少ない銘柄の一部に買いの需要が大きく集まるような場面が見られている。また、超長期ゾーンにおいても、40年債のオフ・ザ・ランなど、流通量が比較的限られている銘柄に買いが集中することで、イールドカーブに局所的な歪みが見られている。これらは金利水準の問題というよりは、特定銘柄における流動性が低く、市場在庫の偏在によって起きているものと考える。そのため、今年度より流動性供給入札のゾーン区分が変更されたことを踏まえ、各ゾーンの需給状況に応じて実施額を見直すことが、将来的な選択肢として検討に値すると考えており、これにより特定ゾーンに偏った需給の歪みが緩和され、国債市場全体の機能度の向上に繋がると思料する。

・今後のトリガーイベントについては、日本銀行のターミナルレートや財政政策が大きなポイントとなる。とりわけ財政に関して、消費減税や防衛費増額を巡る議論が挙がっているが、財源として追加的な国債発行に依存しないという政権のスタンスによって現状の金利やリスクプレミアムは一定程度抑えられている印象がある。その前提条件が崩れるような事態が生じた場合には、市場が大きく反応する可能性があり、その点を最も危惧している。

・現在、社会保障国民会議において食品の消費税率を巡る議論が行われている旨の報道があり、物価高に苦しむ国民生活への配慮は多くの方の理解を得られると思われる一方で、専門家からは消費税率の引き上げが物価高対策の手段として最適ではない可能性が極めて高いと言われている。

・仮に消費減税が実施された場合、年間5兆円程度の巨額の財源が必要になるとも言われているが、財源の裏付けが明示されていないまま実施されると、市場から財政規律の弛緩や将来的な国債増額の伏線と受け止められてしまい、財政リスクが市場において懸念材料になる可能性がある。

・市場は、日本銀行がデータに基づいて段階的に金融政策の正常化を進めるとともに、「金利のある世界」への移行というプロセスの中で、日本の財政の持続可能性を冷静に評価しようとしているのではないか。

・具体的な財源の裏付けを欠いたまま歳入を大きく棄損する動きが先行すると、市場においてインフレ懸念の放置や財政の持続可能性への不安が意識され、国債の金利上昇圧力を招くリスクもある。今後、安定した予算編成を行い、国債費を安定的に管理していくことや、国債の円滑な安定消化という観点から、望ましくない事態になることが懸念される。

・日本銀行の金融政策の正常化、金利の上昇局面という経済環境においては、日本銀行の独立性・自主性を尊重し、同時に市場からの財政規律への信頼を維持することが、国債市場にとって最大の安定剤になるのではないかと考える。

・力強い経済成長と国民生活の安定、そして国債市場の安定を両立させるために、政府当局が目先の議論や短期的な思惑に流されることなく、市場メカニズムへの深い理解、客観的なデータ、財政の持続可能性と国債市場への影響を冷静に見極める大局的な視点から、規律のある姿勢を示すことが、結果として市場を安心させ、持続的な投資環境の維持に繋がるのではないか。

・新たなメンバーが参加され、多面的な意見が聞けたことに大変感謝している。また、注目されるトリガーイベントも含めた意見は、大変参考となった。意見は比較的集約されており、日本銀行の金融政策については、ターミナルレートや利上げペースが注目されており、また、財政政策についても多面的な意見があったと認識している。

・足元の国債需給については比較的安定しているが今後に若干の不安が残るといった意見や、経済情勢が落ち着かないと長期ゾーンへの投資がしにくいといった意見も聞かれ、また、為替について、行き過ぎた円安が生じるとリスクアペタイトの関係から国債への投資が難しくなるという貴重な意見も聞かれた。

・債券価格の下落、金利急騰という観点について、株式市場が一時急騰した後に若干不安定化しているように見える中、過去の経験則で考えると、金利上昇自体がトリガーとなって、株式市場も含めた市場全体に動揺が起こりうることを個人的に気にしている。当面の動向として、このまま無事に金融市場全体が上昇トレンドのまま推移できるのか、それとも債券市場におけるショックが株式市場も巻き込んだ形に発展するのか、今年度後半において非常に大きな要素になるのではないかと思っている。

・当局においても、本日の様々な意見を参考にして、引き続き円滑かつ安定的な国債発行に尽力してほしい。

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