1.日 時:令和6年3月12日(火)14:00~14:40
2.場 所:財務省本庁舎4階第3特別会議室
3.出 席 者:
【議 長】
奥 達雄 財務省 理財局長
【構成員】
茂呂 賢吾 内閣府 大臣官房審議官(経済財政運営担当) ※代理出席
猪原 誠司 警察庁 刑事局組織犯罪対策部長
若原 幸雄 金融庁 企画市場局参事官 ※代理出席
藤本 武士 消費者庁 政策立案総括審議官
冨安 泰一郎 デジタル庁 統括官(戦略・組織担当)
東 宣行 総務省 大臣官房企画課企画官 ※代理出席
玉田 康人 総務省 情報流通行政局郵政行政部長
竹内 努 法務省 民事局長
松下 裕子 法務省 刑事局長
緒方 健太郎 財務省 大臣官房審議官(国際局担当) ※代理出席
紀伊 洋一 厚生労働省 雇用環境・均等局勤労者生活課労働金庫業務室長 ※代理出席
村井 正親 農林水産省 経営局長
南 亮 経済産業省 大臣官房総括審議官 ※代理出席
清水 誠一 日本銀行 理事
【オブザーバー】
天田 弘人 公正取引委員会事務総局 経済取引局調整課長
山澄 克 個人情報保護委員会 事務局審議官
4.議 事:
各府省庁の所管行政において生じる「課題」について
5.議事要旨:
(経済産業省)
(内閣府)
(警察庁)
(金融庁)
(消費者庁)
(デジタル庁)
(総務省 大臣官房)
(総務省 情報流通行政局郵政行政部)
(法務省 民事局)
(法務省 刑事局)
(財務省 国際局)
(厚生労働省)
(農林水産省)
(日本銀行)
(議長(財務省 理財局))
2.場 所:財務省本庁舎4階第3特別会議室
3.出 席 者:
【議 長】
奥 達雄 財務省 理財局長
【構成員】
茂呂 賢吾 内閣府 大臣官房審議官(経済財政運営担当) ※代理出席
猪原 誠司 警察庁 刑事局組織犯罪対策部長
若原 幸雄 金融庁 企画市場局参事官 ※代理出席
藤本 武士 消費者庁 政策立案総括審議官
冨安 泰一郎 デジタル庁 統括官(戦略・組織担当)
東 宣行 総務省 大臣官房企画課企画官 ※代理出席
玉田 康人 総務省 情報流通行政局郵政行政部長
竹内 努 法務省 民事局長
松下 裕子 法務省 刑事局長
緒方 健太郎 財務省 大臣官房審議官(国際局担当) ※代理出席
紀伊 洋一 厚生労働省 雇用環境・均等局勤労者生活課労働金庫業務室長 ※代理出席
村井 正親 農林水産省 経営局長
南 亮 経済産業省 大臣官房総括審議官 ※代理出席
清水 誠一 日本銀行 理事
【オブザーバー】
天田 弘人 公正取引委員会事務総局 経済取引局調整課長
山澄 克 個人情報保護委員会 事務局審議官
4.議 事:
各府省庁の所管行政において生じる「課題」について
5.議事要旨:
(経済産業省)
- 既にキャッシュレス決済が民間ベースで普及している中、CBDCを導入する目的・意義や、CBDCの導入によってどのような社会を目指すのかについて、明確化して進めていくことが重要。
- その上で、CBDCの導入によって、既存の決済手段の利便性や既存の決済手段の抱える課題との関係など、既存の決済環境にどのようなメリットをもたらすことができるのか、また、民間ビジネスへの影響や既存インフラとの関係など、逆にデメリットが生じないのかについて、総合的に検討・議論していくことが重要。
- 今後検討が必要な課題としては、例えば、既存のキャッシュレス手段にどのような影響があるのか、クレジットカード事業者を含めた既存のキャッシュレス決済手段を提供する民間事業者が仲介機関となる際の要件やメリット・デメリットは何か、導入や対応によるコスト負担はどうなるのか、といったことが考えられる。
- CBDCの導入は、民間事業者や店舗、利用者に大きな影響を及ぼす可能性があるため、関係省庁と民間事業者の間での十分な議論が不可欠。
(内閣府)
- 「骨太方針2023」に示された検討方針に沿って、有識者会議の取りまとめや本連絡会議でCBDCの制度設計の大枠に関わる論点整理が進められていると理解。こうした議論の進捗を受けて、今年の骨太方針など、政府の方針においてどのような対応とすべきか、今後よく連携していきたい。
- マクロ経済運営の観点からは、仮にCBDCが導入された場合、特に金融仲介機能への影響に関心があるが、有識者会議の取りまとめにおいて、十分配慮がなされていると認識。引き続き連絡会議で意見交換をしていきたい。
(警察庁)
- 通貨偽造の取締りの観点から、CBDCの偽造・不正作出が困難であること、万一、偽造等が行われた際、偽造等か否かを判別できるよう証拠が残ることが望ましい。
- サイバー事案の取締りの観点から、不正アクセス等によるCBDCの流出が困難な仕組みであること、利用者を特定できること、万一、不正アクセス等で情報が流出した際にも痕跡を事後追跡できることが望ましい。
- 犯罪収益移転防止の観点から、CBDCの所有や移転において、利用者を特定し、追跡できることが望ましい。
- 警察が犯罪収益の剝奪・被害回復の手助けをするという観点から、CBDCの押収・没収保全・没収等の方法を検討する必要。
(金融庁)
- 金融・決済システムの安定の確保について、CBDCへの資金シフトによる預金の減少等が銀行等の金融仲介機能等に対してどのような影響を及ぼすか検討する必要。特に、デジタルユーロ等で想定されているセーフガード措置について検討が必要。
- 競争やイノベーションの維持・促進について、既存の民間事業者のビジネスを阻害しないよう、仲介機関に求められる業務の内容・範囲の選択肢を十分に提示し、仮に手数料が導入される場合は適正な水準に設定されることが必要。また、CBDCと既存の民間決済サービスとの相互運用性の確保も重要。幅広い民間事業者に追加サービスの提供を認めることで、民間の創意工夫を促すべき。
- AML/CFTについて、既存の民間決済サービスと同様に本人確認等の措置が行われることが必要。
- 仲介機関に対する規制・監督のあり方について、同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用する観点から、既存の同様なサービスを提供している金融機関等との規制のバランスを見ながら制度設計を行う必要。
- コスト負担について、CBDCが民間事業者のビジネスに及ぼす影響を十分に踏まえた上で、丁寧な検討が必要。
(消費者庁)
- CBDCに便乗した詐欺や悪質商法の発生が懸念される。全国各地の消費生活センターには、暗号資産など、新しい技術やサービスに伴った消費者トラブルの相談も寄せられている。仮にCBDCを導入する場合には、関係省庁が連携して注意喚起等の取組を検討・推進する必要。
(デジタル庁)
- 本人確認が重要となるが、デジタル技術との関係をどのように整理するか、海外の議論も踏まえる必要。
- CBDCにおいても、デジタルにより目指す社会としての「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」にも配慮する必要。
(総務省 大臣官房)
- 地方公共団体においては、公金として現金を取り扱っており、仮にCBDCが導入されれば、地方公共団体の事務においても何らか影響を及ぼし得る。今後、CBDCの検討が具体化される中で、地方行財政に関する課題を提示できるよう、議論を注視したい。
(総務省 情報流通行政局郵政行政部)
- 日本郵政・日本郵便は、郵便・貯金・保険の3事業を、利用者本位の方法で、郵便局で一体的に、かつ全国で公平に利用できるようにする責務を有している。
- 仮にCBDCが導入される場合、小規模局も含め、全国津々浦々に存在する郵便局において、3事業それぞれにおいて、あるいは複数の事業で横断的に利用する場合など、様々な利用シーンが考えられる。
- 日本郵便をはじめとする会社側では、他の業界と同様に、事務フローの整備や既存のデジタルサービスとの整合確保、システム対応等が必要と考える。
- 総務省としては、利用者第一という視点から、郵便局にはデジタル技術への馴染みが比較的薄い高齢の利用者も多いことを踏まえ、利用者利便・分かりやすさ、安心感・信頼感の確保という点も含め、課題や対応について、議論を注視しながら検討してまいりたい。
(法務省 民事局)
- 現金は有体物として所有権の客体となり、その所有は占有と一致するとされている。他方、有体物における「占有」に対応する事実状態を直ちには観念できないデジタルデータであることが想定されるCBDCの帰属や移転をいかに整理するかが問題となる。その際、CBDCに係る権利を物権・債権のいずれに準じて取り扱うかが重要な前提となる。
- CBDCについて、現金と同様、強制通用力を持つ通貨と位置づける場合、その移転は民法上における金銭債務の本旨弁済となり、合意によらずに発生する法定債権であっても、債権者が受領を拒むことができないことになるが、CBDCの利用環境の整備等との関係をいかに整理するかが問題となる。
- CBDCの帰属や移転の整理を前提とした上で、CBDCの不正取得等に対して、CBDCの高い流通性と損害を受ける利用者の救済の観点からいかに対応するかが課題となる。
- 債務者が保有するCBDCに対する差押え等について、どのように実施することが考えられるかが問題となる。
- こうした民事法制上の課題について、具体的な技術面のあり方や今後の技術面の進展がどのように影響するのかについても検討する必要。
(法務省 刑事局)
- 通貨偽造罪等のあり方について、現行刑法上では、有体物である「貨幣、紙幣又は銀行券」を客体としており、有体物でないCBDCを不正に作出するなどの行為については成立しないため、こうした行為に対する罰則のあり方を検討する必要。
- 民事実体法上の検討状況等も踏まえ、刑事実体法におけるCBDCの帰属や移転等について整理する必要。また、民事手続法上の検討状況等も踏まえ、CBDCに対する没収・追徴や没収保全・追徴保全の方法等について検討する必要。
(財務省 国際局)
- 既に途上国・新興国を含め、各国でCBDCの検討が進んでいる中で、課題やリスクに十分に対処できていないCBDCが国際的なスタンダードになることがないよう、我が国も国際的なスタンダードの整備・普及に貢献していくことが重要。同時に、我が国のCBDCもG7のCBDC原則等の国際的なスタンダードと十分に整合的な制度設計とする必要。
- 各国でもまずは国内向けの発行を前提に検討されているが、クロスボーダー決済への活用に関する国際的な動きに取り残されることがないよう、技術面における標準化等を通じた国際連携が重要。また、クロスボーダー決済の効率化について、G7やG20における議論も踏まえた検討が必要。
- 我が国はFATFにおいてAML/CFTやその軽減措置等の議論を主導している。CBDCについても、国内の検討状況をFATFに還元し、国際的な議論の発展に貢献することが重要。同時に、国内での制度設計も国際的な議論を反映していく必要。
- 将来的に非居住者との取引にCBDCが使用される場合にも、経済有事への対応や経済制裁措置の実効性確保など、外為法の法益を確保できる制度設計とする必要。
(厚生労働省)
- 仲介機関としての金融機関の課題は、金融庁と共管している労働金庫を含め、全金融機関共通の課題。CBDCの法的な課題や様々な論点等について、CBDCが具体化していく中で、金融庁と連携を図りながら進めていく必要。
(農林水産省)
- 農協・漁協といった系統金融機関とそれらのセーフティーネット制度となる農水産業協同組合貯金保険制度を所管。農協等は、民間金融機関という位置付けであるため、金融庁が指摘した課題が基本的に共通すると認識。なお、信用事業・金融業務は組合員を対象としていることから、実態的な利用者の特性の観点からは、郵便局と同じ課題・実態がある。
- 今後、CBDCの検討が具体化する中で、各省庁と連携を図りながら検討内容をフォローし、農漁協系統金融機関にどのような具体的な影響があるか見極めていきたい。
(日本銀行)
- CBDCを導入する場合、垂直的共存(日本銀行と仲介機関の役割分担)と水平的共存(CBDCと他の決済手段の役割分担)が適切に図られることが必要。垂直的共存については、仲介機関が日本銀行と利用者の間に立ち、利便性を向上させながら、CBDCの授受を仲立ちする「二層構造」が適当。また、水平的共存については、金融システム安定への悪影響を回避するため、セーフガード措置について制度面・技術面から検討を深めることが重要。保有額上限を設ける案を主軸に、平常時からセーフガード措置を講じつつ、経済・社会情勢に応じて内容を変更したり、金融ストレス時には追加的な措置を講じる可能性も含め検討することが望ましい。
- プライバシーの確保に関する国民の懸念にもしっかりと応えていく必要。日本銀行については、個別の利用者情報・取引情報を可能な限り取得することがないように制度設計していくことが基本であり、仮に取得する場合も匿名化などの措置を講じることが重要。
- 将来の技術革新に柔軟に対応できる制度設計とすべき。法制度が特定の技術・仕様を前提とし過ぎると、決済の安全性・効率性の向上にも資する技術の導入を将来制約することにもなりかねない点に留意する必要。
- システム開発・運用など導入・運営に要するコスト負担のあり方については、受益する各種の主体が負担するという考え方や、公的なインフラとして公的主体が負担するといった考え方が有識者会議で示されている。今後、制度設計の具体化が更に進んでいく中で、幅広い観点から検討が必要。
- 日米欧の7つの主要中央銀行からなる共同研究グループなどで、CBDCの制度設計や技術に関する国際的な検討・意見交換が行われている。こうした国際的な動向も踏まえて、国内での検討を進めることも重要。
(議長(財務省 理財局))
- 各府省において課題の抽出をしていただき、感謝申し上げる。本日の説明・意見に照らせば、仮にCBDCを導入するとした場合、我が国の社会・経済に対する影響は広範かつ重大なものとなるだろうことが、共通認識となった。
- 例えば、民事法上の整理の必要性については、CBDCの帰属・移転に関するルールの整理にとどまらず、差押えをどう実行するかなど、民事執行法上の取扱いなどの論点も含めた実務上の問題の所在もより明確となった。
- 犯罪の取締の実効性確保の観点から、利用者の特定や追跡可能性が強く要請される一方、プライバシーの確保にも十分配慮した制度・運用とすることも必須。このように両方とも必須でありながら時に相対立しかねない要請をいかに上手く両立させていくか、上手く両立させることができる見通しが立つことが、CBDCの導入の判断に当たって大事な前提となる可能性がある。
- CBDCが今後生まれるであろう新技術を取り入れつつ、急速な変化・進化を続けることが予見されるものであることを踏まえると、法制度上の取扱いも、将来の技術革新に柔軟に対応できるような制度設計が望ましいといった新たな検討の視点も示された。
- CBDCと既存の民間決済手段との関係について、いかに役割分担を図っていくかといった、根本的かつ解決することが難しい大事な課題についても、改めて浮き彫りになった。
- 今後、日本銀行や関係府省庁間において、所管する業界団体の意見等にも目を配りつつ、幅広い観点から丁寧に調整することが必要となるであろう課題・論点も少なからずあると見込まれる。そこで、次回の連絡会議において、本日の説明・意見も踏まえつつ、本連絡会議として「一定の整理」を行っておきたい。その上で、我が国の実情や利用者のニーズにマッチしたCBDCのあり方について、政府・日本銀行としての検討を更に進めていきたい。引き続き協力をお願い申し上げる。
問い合わせ先
財務省理財局国庫課(デジタル通貨担当)
電話:03-3581-4111(内線6475)
電話:03-3581-4111(内線6475)