このページの本文へ移動

第1回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する有識者会議 議事要旨

1.日時 令和5年4月21日(金)10:00~11:50

2.場所 財務省本庁舎4階第3特別会議室 / オンライン

3.出席者
(委員)
柳川範之委員(座長)、石井夏生利委員、井上聡委員、井上哲也委員、翁百合委員、長内智委員、國枝繁樹委員、河野康子委員、小早川周司委員
(オブザーバー)
日本銀行、金融庁

4.議事
(1)我が国の通貨と決済を巡る現状(事務局説明)
(2)中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する日本銀行の取り組み(日本銀行説明)

5.議事要旨
開会挨拶の後、事務局及び日本銀行より、それぞれ資料2、3に沿って説明があった後、委員による意見交換を行った。委員による主なご意見は以下のとおり。

○ CBDCの検討に当たっては、各国の戦略的観点や技術発展の動向を冷静に分析することが必要。昨今の技術発展はめざましく、仮に発行する場合には、そのスピードに負けないようにしていくことが大切。

○ 取引履歴の取扱いによりプライバシーリスクが生じる可能性があるが、一方で違法な取引リスク削減等に寄与する可能性もあり、そうした公益性とのバランスも考慮要素になる。少なくとも現在のキャッシュレス決済手段のシステムと比べて、セキュリティ面で遜色がないものにしないといけない。

○ 資料2の27ページについて、CBDCに対する国民の認知度はこの程度だが、一部では「デジタル円」という呼ばれ方もされているところ、そうした聞き方であれば認知度も違うかもしれない。

○ セーフガードの議論だが、CBDCの設計によっては、金融危機の際にあっという間に危機になるということに繋がりかねない部分もあり、今後の検討ではそうした点への配慮が必要。

○ ステークホルダーは多くいると考えられるが、CBDCの議論に当たっては、国民、日本銀行、金融機関、一般企業等の、それぞれの視点での想定されるメリットやリスクを明らかにしていく必要。

○ 中央銀行デジタル通貨が存在することの意味やそれが社会に実装された時の価値について、これを国民と共有するという視点を持って、この検討を始めていただきたい。

○ CBDCは発行それ自体が目的ではなく、国民経済の健全な発展のためのインフラであるという意識は大切。

○ CBDCの制度設計においては、情報の利活用にメリットがある一方で、個人情報やプライバシー保護をどう考えるか、といった点についてのトレードオフを考えていく必要。

○ 公的部門と民間部門の役割の分担を考える必要。

○ CBDCを仮に発行する場合、現金が有体物のみでなく無体物にもなるが、これは転換点。民間のキャッシュレスの場合、サービスを停止することは基本的にできる。一方、公的なものはなかなか止めることはできない。

○ 高齢化、災害多発という日本の特徴を踏まえる必要。例えば、災害の場合、キャッシュレス決済は災害時に使用できなくなると主張されることがあるが、現金も火事の場合は焼失リスクがある、などを踏まえる必要。現金が好きな国民ということもあり、現金ニーズがある限りしっかり現金を発行するということも示すことは重要。

○ 利用者の持つCBDCは金融機関のバランスシートには載らず、預金の場合の金融仲介機能と異なる姿を持つ。制度設計に当たり、預金からCBDCへのシフトによる金融システム・金融仲介機能への影響を勘案し、セーフガードについて議論していくことが重要。

○ 不正を防ぎつつ、どうプライバシーを確保していくのか、どうバランスを取っていくのかという点は重要な課題。CBDCは無体物ということで、現金と比べて、悪用された時に規模が大きくなることや容易に国境を越えることが起こり得る。

○ CBDCを検討する場合、決済システム全体として安定性、効率性の向上が期待できることなど、国民経済全体にとってのメリットを示せることが必要。

○ グローバルな視点から、各国との連携も視野に入る可能性があり、グローバルな動向を踏まえた議論が必要。

○ デジタル決済の分野における民間の競争状況を踏まえたうえで、CBDCを仮に発行することとなれば、民間イノベーションや競争状況を阻害せず、むしろイノベーションを進める方向にどう作用していくのかといったことが大事。民間事業者の見方をヒアリングしていく必要。

○ 民間主導で様々なキャッシュレスサービスが充実しているため、こうした決済事業者や民間セクターとの協力は非常に大切。

○ 国際的に見て、日本人は多様な決済手段を器用に使い分けており、こうした決済手段とCBDCの棲み分けを考える必要。

○ 制度設計次第ではあるが、コード決済事業者間の送金が可能となるような、いわゆるインターオペラビリティを高めるという点は、CBDCの果たす役割となり得る。民間に任せておいた時に市場の失敗が起きている可能性がある領域においては、CBDCが果たすべき役割があり得る。

○ CBDCは、まだ形があるものではなく、技術と制度設計によって形が変わってくるものであり、そうした点から議論が難しいもの。一方で、諸外国が議論をしている中にあって、日本としても議論しておく必要。

○ 難しいことではあるが、CBDCの議論に当たって、具体的なイメージを念頭に置いて議論していくことが考えられるのではないか。

問い合わせ先

財務省理財局国庫課(デジタル通貨担当)
電話:03-3581-4111(内線6475)