このページの本文へ移動

第6回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する有識者会議 議事要旨

1.日時 令和5年10月13日(金)9:55~12:05

2.場所 財務省本庁舎4階第3特別会議室 / オンライン

3.出席者

(委員)
柳川範之委員(座長)、石井夏生利委員、井上聡委員、井上哲也委員、長内智委員、國枝繁樹委員、河野康子委員、小早川周司委員

(オブザーバー)
日本銀行、金融庁

4.議事
論点整理③(セキュリティの確保と利用者情報の取扱い等)(事務局説明)

5.議事要旨
開会挨拶の後、事務局より、資料に沿って説明があった後、出席者による意見交換を行ったところ、主な内容は以下のとおり(当日欠席した委員からの意見を含む)。

(論点1:セキュリティの確保)
○ 中央銀行だけでなく、仲介機関、プロバイダー、エンドユーザーなどに求められるセキュリティ対策を整理すべき。CBDCの決済ネットワークのBCPを検討し、復元力をどう確保するかについても、あらかじめ考えておく必要。

○ システムだけではなく、利用者が使う端末・デバイスについても、セキュリティの確保が必要。

○ 万全の対策としては、極力事故が起こらないようにすることはもとより、起こった場合の事後的な復元力がより重要。そのため、BCPがきちんと機能するよう事前の訓練も重要。

○ サイバーリスク以外にも各種のリスクがある中、システム全体の堅牢性や冗長性をどう確保していくかは重要な視点。また、民間決済サービスが支障を来たした場合に、CBDCが補完・代替する役割を果たすのではないか。

(論点2:利用者情報・取引情報の取扱い)
○ 制度設計の段階から個人情報保護措置を事前に組み込むことで事後対応を減らすという「プライバシー・バイ・デザイン」という考え方が重要。一方、情報漏えいなどの事故が発生した場合には、報告・再発防止策の検討といった事後対応も重要。

○ 政府は、現在の仕組みと同様、間接的な形で情報を取り扱うことが想定される。政府と日銀それぞれについて個人情報保護に関する考え方を示した方がよいのではないか。

○ 政府は、平時においては情報を持たず、AML/CFT対策などの行政目的で必要となった場合に照会するという考え方ではないか。

○ 公的機関が行政目的で情報を利用する必要がある場合もあるが、国民の不安を払拭する観点から、その利用目的や対象を明確にしておくことが必要。

○ 政府・日銀の情報の取扱いについては、誤解を生まないように、丁寧に説明するべき。

○ 個人情報保護の観点には留意が必要であるが、現行の預貯金の取扱いと同様、AML/CFT対策だけでなく、他の行政目的での情報提供の視点も考慮する必要。

○ ユーザーの同意等が前提ではあるが、個人情報・取引情報を利活用する道を閉ざすのではなく、公益にも資する形で利用することも検討すべき。

○ 仲介機関による情報の利活用ニーズは、業種などによって異なる。また、匿名性のある情報も有用といった意見もある。こうした中で、個人情報保護とバランスを取りながら、利活用方法を探っていくべき。

○ 仲介機関が取引の流れを一定程度管理することになるが、どこまで情報を持つべきか考える必要。また、情報の利活用は社会的に受容される目的であれば広く活用されるべき。一方、商業利用であっても、社会的に正当と受け止められる目的である必要。

○ アクセスの階層化については、今後の国際的な動向も踏まえながら検討すべき。その際、簡素な仕組みとするよう留意が必要。

○ CBDCの利用は少額のリテール決済が中心となると想定されることから、取引額制限等を行った上で、相対的にプライバシーを重視できるのではないか。

○ アクセスの階層化については、現行のAML/CFT規制との関係で、仲介機関の実務が複雑になる可能性もある。このため、銀行などのステークホルダーの意見を踏まえながら検討する必要。

○ 仲介機関の投資負担の軽減も考えつつ、既存のAML/CFT対策の共同活用・高度化なども検討する必要がある。

○ 非居住者による利用は、海外旅行者などにメリットはあるが、本人確認リスクや、非居住者の本国におけるストレス時の通貨代替リスクが想定されるため、段階的に考える方向ではないか。

○ 海外旅行客など非居住者による利用は、インバウンド推進に資する面もあるが、最初から導入すべきかは疑問で、優先度は高くない。

○ 非居住者による利用について、インバウンド推進の観点からは積極的な考えもあろうが、クレジットカード以外の選択肢を増やすことの有用性がどこまであるかは疑問。少なくとも最初から非居住者による利用が必須とは言えない。

○ 非居住者による利用は、日本に一時的に滞在する海外旅行客とそれ以外の非居住者を区別した上で整理してはどうか。

(論点3:クロスボーダー決済)
○ クロスボーダー決済は、相手国との関係もあることから、協調していくことが必要。

○ クロスボーダー決済について、将来におけるCBDCの相互運用の可能性を踏まえて、国際的な議論についていくことが必要。

○ クロスボーダー決済の改善は、ホールセールの領域で重要。これまでの民間の取組はあまり進んでいないので、その理由も考えた上で対応すべき。

○ クロスボーダー決済には、越境データ移転の論点もある。

(論点4:法令面の対応の必要性)
○ CBDCの法貨としての位置付けは当然であり、全国において広く容易に利用される環境を用意すべき。エンドユーザーや零細事業者のデジタル・デバイドへの対応の検討も必要。

○ CBDCは、紙幣との互換性の観点から法貨と位置付けるべき。法貨の強制通用力は国民の権利義務を制約するため、法改正が必要。

○ 有識者会議等における制度設計面の検討と、各関係省庁における法令面の検討、日本銀行の技術面の検討は、足並みをそろえて進める必要。

(その他)
○ CBDCに固有の課題であるのか、それとも民間デジタル決済にも共通する課題であるのかを整理した上で、CBDCに固有の課題への対応を考えていく必要。

○ 国民との対話は重要な課題。国民にとってわかりやすく説明していくための工夫が必要。

○ 有識者会議の取りまとめについて、国民からどのように受け止められるかを考えつつ、丁寧な情報発信が必要。CBDCの導入目的・便益・リスクについて、可能な範囲で各種のステークホルダーの視点から示していくことも必要。

○ 利用者に対するメッセージとして、CBDCの導入によりどういう社会課題を解決できるかを示していく必要。

問い合わせ先

財務省理財局国庫課(デジタル通貨担当)
電話:03-3581-4111(内線6475)