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第5回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する有識者会議 議事要旨

1.日時 令和5年9月26日(火)10:00~12:00

2.場所 財務省本庁舎4階第3特別会議室 / オンライン

3.出席者

(委員)
柳川範之委員(座長)、井上聡委員、井上哲也委員、翁百合委員、長内智委員、國枝繁樹委員、河野康子委員、小早川周司委員

(オブザーバー)
日本銀行、金融庁

4.議事
論点整理②(水平的共存)(事務局説明)

5.議事要旨
開会挨拶の後、事務局より、資料に沿って説明があった後、出席者による意見交換を行ったところ、主な内容は以下のとおり(当日欠席した委員からの意見を含む)。

(論点1:相互運用性)
○ 他の決済手段との円滑な交換について、仲介機関に対する義務付けとインセンティブ付けのいずれで対応するかといった論点がある。また、システムについては、技術的な標準化が望ましい。

○ システムについては、技術やコスト、社会実装までの期間について考えていく必要。

(論点2:現金との共存・役割分担)
○ CBDCが導入された場合であっても、現金の供給が継続することは、国民にとって好ましい。

○ 口座振替を含むキャッシュレス決済比率はある民間シンクタンクのアンケート調査・分析によれば、最近5年間で5割から7割程度まで増加している。CBDCが導入されれば、現金の需要は更に低下する可能性があり、これまで同様、現金にコストをかけるべきか考える必要。

○ 現金の供給がいつまで続くかが不透明であることは、仲介機関・店舗にとってはコスト面で負担となるのではないか。

○ CBDCの導入をきっかけとした「現金お断り」の店舗が出てくる可能性があり、店舗における現金の受取をどのように担保するかは課題。

○ 「現金お断り」については、現在、民間キャッシュレス決済が普及する中で既に起きている。

○ CBDCは、現金との互換性を確保するため、日銀券と同様に「法貨」として位置づけるべき。

○ オフライン機能や匿名性について、その必要性とリスクを洗い出して検討を進めるべき。一方、CBDCにはデジタルならではの長所を活かすことで、決済手段の幅を広げるという考え方を取っていくべきではないか。

○ オフライン機能は、支払い側だけでなく受け取り側もオフラインか、どこまでオフラインのまま転々流通を認めるかによって、その内容が変わる。我が国の置かれた状況を踏まえた上で、オフライン機能の内容を考えていくべき。

○ オフライン機能は強靭性の観点から有用であるが、二重使用などのリスクがあることから、CBDC導入当初から搭載する必要はないのではないか。

○ 個人情報保護の観点から、CBDCが現状のデジタル決済手段よりも多くの情報を収集することや、情報利用の用途を大幅に拡大するものとならないように留意する必要。

○ CBDCの利用の中心は少額決済であると考えれば、多額決済にも用いられる銀行預金よりは匿名性を認める方がよいのではないか。

○ CBDCのAML/CFT対策を万全にした場合、不正目的での現金の利用をむしろ助長するのではないか。

(論点3:銀行預金との共存・役割分担)
○ CBDCは、銀行預金と異なり、決済手段としての役割に限定されることについて、社会全体に理解してもらうことが必要。

○ セーフガード措置については、価格(手数料)に基づくものでは金融危機のような有事には機能しない可能性が高いと考えられるため、保有額制限の方が適切。

○ セーフガード措置については、何のために、どの程度行うかがポイント。平時は自由度を認めつつ金融ストレス時には厳しい制限を設けるのか、定常的に行うのか。定常的に低く設定すれば、AML/CFT対策にもなると考えられる。

○ 欧州・英国と同様、CBDCに利子は必要でない。

○ 利用者が送金を受けた場合、意図せざる保有上限額の超過も想定されるので、ウォーターフォール機能が必要。セーフガード措置以外の視点からも、CBDCの設計として付利について考えなくてよいかという論点はあるのではないか。

○ ウォーターフォール機能は必要だが、銀行口座などの民間マネー口座を持たない利用者にCBDCへのアクセスを制限する可能性があることに留意が必要。

○ 保有額制限については、銀行預金からの資金シフトに関するセーフガード措置としてだけではなく、他の決済手段との競合を避ける観点もあるのではないか。

(論点4:その他の決済手段との共存・役割分担)
○ CBDCは共通インフラとしての役割を明確化することで、民間マネーの競争を促進しうる。

○ 民間の決済プラットフォームの乱立や寡占への対応として、CBDCを導入することが考えられるが、その際、CBDCが民間ビジネスに対抗する関係にならないよう工夫が必要。

○ 主要国では、民間マネーの「橋渡し」として、異なる資金移動業者の電子マネーや銀行預金をCBDCによって繋ぐ考え方が提示されている。CBDCという公共財を提供することで、相互運用性の向上と利便性の向上を図ることが考えられる。

○ 民間事業者のビジネスモデルに影響するため、関係省庁や関係事業者の間で合意が必要。また、国民という重要なステークホルダーが存在していることに留意する必要がある。

○ CBDCと他の決済手段の適切な競争環境の確保の観点から、CBDCを導入した場合に店舗に課される手数料などについて議論してはどうか。

○ CBDCの意義は、中央銀行が発行することによる信頼・信用にある。

問い合わせ先

財務省理財局国庫課(デジタル通貨担当)
電話:03-3581-4111(内線6475)