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第3回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する有識者会議 議事要旨

1.日時 令和5年6月16日(金)10:00~12:05

2.場所 財務省本庁舎4階国際会議室 / オンライン

3.出席者

(委員)
柳川範之委員(座長)、石井夏生利委員、井上聡委員、井上哲也委員、翁百合委員、長内智委員、國枝繁樹委員、河野康子委員

(オブザーバー)
日本銀行、金融庁

4.議事
(1)「国内決済インフラの高度化に向けた取組み」(全国銀行協会説明)
(2)「資金決済業(資金移動業者、前払式支払手段発行者)における決済の現状・仕組み及び利用者利便に向けた取組み」
   (日本資金決済業協会説明)
(3)「Fintech及びキャッシュレス動向について」(Fintech協会説明)
(4)「通貨システムの将来像と民間デジタル通貨の可能性」(デジタル通貨フォーラム説明)

5.議事要旨
開会挨拶の後、全国銀行協会、日本資金決済業協会、Fintech協会、デジタル通貨フォーラムより、それぞれ資料1、2、3、4に沿って説明があった後、出席者による意見交換を行ったところ、主な内容は以下のとおり。

○ デジタル通貨を民間として発行する場合、その信用や安心感といった面についてのCBDCとの違いについて、よく考えていく必要。

○ 民間デジタル通貨は、今後多くの金融機関が発行していくイメージか、それとも何らかの形で統合していくイメージか。

○ (※出席した団体からの回答)現在の銀行送金と同程度の安全性を確保しようという発想であり、いずれは複数の金融機関が参加できるプラットフォームに広げていきたいと考えている。

○ CBDCの導入の有無は別として、支払決済の高度化については、既存のインフラやサービスをうまく活用し、コスト効率性を高める工夫が大事である。

○ イノベーションの促進については、民間の力を活用するのが望ましい。支払・決済におけるネットワーク効果などの外部性や参入障壁を克服する上では、何らかの共通インフラを提供したうえで事業者間の競争環境を確保することが有用である。

○ 全銀システムやことらへの民間事業者の参加について、顧客を囲い込み利益を得ることを考える規模の大きい民間事業者にとっては、相互運用性の確保について後ろ向きな対応になる可能性も考えられるがどうか。

○ (※出席した団体からの回答)全銀システムやことらへの民間事業者の参加については、当団体も制度周知に努めているが、今後の全銀システムの改修も予定される中で、各事業者において費用対効果を見極めている状況であると承知。また、相互運用性の確保については、個社のビジネスの哲学に拠るように思う。

○ 民間金融機関が、預金保険制度上100%保護される決済用預金を裏付けとしてデジタル通貨の発行を行うという場合、その民間銀行に対する規律づけをどうしていくのか、考えていく必要がある。

○ 全銀ネットは、今まで一度も停止しておらず、レジリエンスが高いシステムと承知。CBDCの議論でも参考となる部分はある。

○ 若年層が比較的現金を利用しているが、学生はクレジットカードを持てないケースが多く、親が現金でお小遣いを渡している、などといったことが要因として考えられるのではないか。

○ (※出席した団体からの回答)クレジットカード業界の規律として高校生にはクレジットカードを発行しないことが一般的ではあるが、条件次第では高校生でも発行可能なものもある。若年層のクレジットカード利用が進まない要因としては、カードは怖いと一般的に認識されていることも考えられるように思う。

○ 金融機関にとって、決済に関するビジネスは、特に収益面から見て、どういう位置づけになっていくと考えるか。

○ (※出席した団体からの回答)決済領域は競争も激化しており、決済単体で十分な収益を確保するのは難しくなってきている。一方で、法人・個人の資金の流れを見て、事業者への与信やコンサルティング営業などに活用するという、決済の位置づけは変わらないと考えている。

○ 民間デジタル通貨という言い方について、いわゆる「通貨」と異なり「強制通用力」がなく、そういう面から見れば、「通貨」というよりは「決済サービス」という位置付けと考える。

○ キャッシュレス決済手段の利用が進むには、便利かどうか、お得かどうか、家計の把握ができるか、消費者に金融の知識があるかどうか、といった点が影響すると考える。

○ フィンテックとしての民間キャッシュレスサービスや民間デジタル通貨について、決済手段以上の付加価値の部分についても、利用者の安心の確保が必要。

○ 様々なインフラへのサイバー攻撃が高度化している中、決済システムについても、最新のリスクを把握し、対策を講じることが重要。

○ 民間デジタル通貨においても、データの利活用と個人のプライバシーの尊重の両立は重要。

○ 初回から今回までの議論において、網羅的に色々な論点が出てきた。今後は議論を深めていくために、一つずつ論点を絞って議論をしていくべき。

問い合わせ先

財務省理財局国庫課(デジタル通貨担当)
電話:03-3581-4111(内線6475)