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第2回CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する有識者会議 議事要旨

1.日時 令和5年5月24日(水)10:00~12:05

2.場所 財務省本庁舎4階第3特別会議室 / オンライン

3.出席者

(委員)
柳川範之委員(座長)、石井夏生利委員、井上聡委員、井上哲也委員、翁百合委員、長内智委員、國枝繁樹委員、河野康子委員、小早川周司委員

(オブザーバー)
日本銀行、金融庁

4.議事
(1)近年の資金決済制度の動きについて(金融庁説明)
(2)デジタル社会における中央銀行デジタル通貨(CBDC)の役割(小早川委員説明)

5.議事要旨
開会挨拶の後、金融庁及び小早川委員より、それぞれ資料1、2に沿って説明があった後、委員による意見交換を行ったところ、主な内容は以下のとおり。

○ CBDCを既に発行している国において、CBDCの流通高は紙幣・貨幣の流通高と比べると極めて低い水準にとどまっている。

○ CBDCについての民間との協調の具体例として、例えば、CBDCの流通に当たって利用者と中央銀行との間に民間の仲介機関が介在することや、条件付き決済サービス(お小遣いの支払い、自動車の名義変更時の支払いなど)等の付加サービスを民間が提供することが考えられるのではないか。

○ 利用者から見ると、日本では既に決済サービスが沢山ある。そこにCBDCが入ることで複雑化していくことはないのか。

○ 条件付き決済サービスについて言えば、既に民間のプラットフォーマーが提供しているものもあると承知しており、CBDCでしかできないとまでは言えないのではないか。

○ 日本では、幅広い決済手段が共存しながら利用者によって器用に使い分けられており、CBDCの導入によって利用者が決済手段を選択できる機会がさらに増える、と評価する余地もあるのではないか。

○ 条件付き決済サービスについては、どうしてCBDCを利用することで効率的になるのか。民間サービスでも同じようなサービスが提供できるようにも思う。

○ デジタル化が進展していく中で、為替取引の定義について、長い目で考えていく必要があるのではないか。

○ 相互運用性の観点等を踏まえ、既存の全銀システム等とCBDCがどのように関わっていくのか考える必要がある。

○ 条件付き決済サービスの利用に当たり、取引の安全性や安心を重視するような場合は、CBDCを利用するニーズが相対的に高い可能性があるほか、CBDCならではの用途の普遍性の高さは民間決済サービスに対する比較優位となり得るのではないか。

○ 条件付き決済サービスとしては、政府から国民、あるいは国民から政府への支払もユースケースとして考えられるのではないか。

○ CBDCを純粋な決済手段と位置付ければ流通高が少なくても有用さを発揮しうる。

○ CBDCを支払い指図などより広義の機能まで含めて捉える場合、中央銀行は民間事業者との協力によってCBDCの有用性を高めていくことになるのではないか。

○ 基本的には台帳を管理するコアの部分をCBDCシステムと捉えたうえで、そこに様々な外部のシステムがAPIなどを通じて連携していくことが、民間との協調の1つの姿となるだろう。

○ CBDCは、様々な民間ペイメントを繋ぐという役割を果たし得るのではないか。

○ 条件付き決済サービスについて、ステーブルコインとの対比でCBDCにはどういうメリットがありうるのか、考えていく必要。

○ 海外のステーブルコインについて近時判明したことは、どれだけ安全資産によりバックアップされていても、ひとたび強いストレスにさらされればステーブルではない場合もあるということであり、そうしたリスクが存在しないCBDCとの相違点は、はっきりしてきたとみている。

○ 我が国における資金決済サービスの在り方についてどのように考えるか。また、その中でCBDCが仮に発行された場合の役割をどう考えていくか。

○ 既にCBDCを導入している途上国においては、CBDCによって国際送金のコストが安くなるという期待もあるのではないか。

○ 利用者保護の面などについて、どういったメリット・デメリットがあるのかを現金(紙幣・貨幣)との比較で考えることも必要。

○ スウェーデンでは、民間決済サービスが広く個人間送金に利用されているため、個人間送金分野にCBDCの入る余地はないものと理解している。こうした点を踏まえれば、やはり先進国では民間との協調が重要となってくる。

○ 現金を補完する民間決済サービスが幅広く普及していても、何らかの理由で民間決済サービスが利用できなくなってしまった場合に備えた代替的な決済手段を用意しておかなくてよいか、という決済の冗長性(redundancy)の確保に着目した議論が、一部の先進国においてはCBDCを導入する意義として言及されている。

○ 最近は決済手段が非常に便利になり、手数料も安く、安心して使えるものが増えてきている認識である。

○ 消費者からすれば、決済サービスの手数料を極力負担しなくて済むようになって欲しいと考えており、そういう意味では、CBDCの導入によって利用者の負荷軽減につながるかどうかが大事なポイントの1つではないか。

○ 決済システムが発達し、様々な民間の決済手段がある中で、CBDCがなぜ必要かを考えていかなければならない。おそらく、民間の決済手段のみに頼っていて良いのかを考えていくことが1つのポイントではないか。

○ 条件付き決済サービス・スマートコントラクトについては、CBDCとは独立した議論であり、民間でも実現しうる話だと思う。CBDCならではの役割としてどのようなものがあるのかという点については、CBDCの具体像が明らかになっていく中で、あわせて考えていく必要がある。


問い合わせ先

財務省理財局国庫課(デジタル通貨担当)
電話:03-3581-4111(内線6475)