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地震保険制度等研究会第8回 議事録

令和7年5月23日(金)13:52~15:30
財務省国際会議室(本庁舎4階)

1.開会

2.地震保険に関する対応

  • 日本損害保険協会からの説明

3.民間危険準備金の現状

  • 日本地震再保険株式会社からの説明

4.南海トラフ地震臨時情報を受けた地震保険の対応

  • 事務局からの説明

  • 日本損害保険協会からの説明

5.地震保険の加入促進について

  • 事務局からの説明

  • 日本損害保険協会からの説明

6.討議

7.閉会

出席者

委員

纐纈一起

佐藤主光(座長)

清水香

鈴木隆樹

中埜良昭

堀田一吉

渡邊千穂

(敬称略)

オブザーバー

一般社団法人日本損害保険協会

一般社団法人外国損害保険協会

日本地震再保険株式会社

損害保険料率算出機構

金融庁監督局保険課

事務局

寺岡総括審議官、田中信用機構課長

午後1時52分開会

○佐藤座長では、定刻前というか、随分前なんですけれども、皆さんおそろいということでありますので、ただいまより第8回地震保険制度等研究会を開催いたします。

本日は、初めに保険金支払に関する対応についての説明、次に民間危険準備金残高の現状についての説明、続いて南海トラフ地震臨時情報を受けた地震保険の対応についてのご説明、最後に地震保険の加入促進についての説明とご議論という、こういう流れで進めていきたいと思います。

まずは、議論に先立ちまして、事務局を代表いたしまして寺岡総括審議官からご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○寺岡大臣官房総括審議官財務省大臣官房総括審議官の寺岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日、第8回目となります地震保険制度等研究会の開催に当たりまして、一言ご挨拶をさせていただきたいと存じます。

本研究会につきましては、東日本大震災以降の相次ぐ大規模地震の発生を受け課題となっております民間準備金残高をはじめとする制度の財務の状況、さらには南海トラフ地震に関する防災対応の強化を受けた地震保険制度の対応の在り方などの諸課題について、専門分野の皆様から様々なご意見を伺うため、開催させていただいております。ご多忙の中ご参集賜りました委員の皆様には、厚く御礼を申し上げたいと存じます。

地震保険制度は、地震等による被災者の皆様の生活の安定に寄与する重要な意義を有しておりまして、関係者のご尽力もありまして、迅速な保険金支払を実現する中で、制度への信頼を高め、国民の安心の拠り所となるよう、半世紀以上にわたってその役割を果たしてきました。

足元では、令和6年1月に最大震度7を記録する能登半島地震が発生し、また、同年8月には日向灘を震源とする地震を契機として南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が初めて発表され、改めて国民の皆様の防災への関心が非常に大きく高まっております。

その中で、本日は、民間準備金の回復状況についてご報告をいただくとともに、地震保険制度をよりよいものにしていくため、地震保険制度をめぐる諸課題につきまして委員の皆様からご知見、お知恵などを賜ることができればと考えてございます。

佐藤座長をはじめ、本日ご出席の皆様におかれましては、ぜひとも忌憚のないご意見を頂戴したいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤座長ありがとうございます。

では、引き続きまして、事務局の運営及び配付資料について、事務局から説明をお願いいたします。

○田中信用機構課長財務省大臣官房信用機構課長の田中と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本研究会につきましては、委員の皆様のご協力の下、これまでに7回にわたって開催し、今回は8回目となります。

前回ご出席されていた全国消費生活相談員協会の阿部委員が退任され、そのご後任として同協会の渡邊千穂参与が選任されました。渡邊委員、恐縮ですが、一言ご挨拶をお願いいたします。

○渡邊委員全国消費生活相談員協会の渡邊でございます。阿部委員に引き続きましてお世話になります。よろしくお願いいたします。

当協会は、既に説明しておりますとおり、消費生活相談を通して消費者の方と意見交換をしたり、それから啓発をしている組織です。特にこれから加入促進につきまして消費者にとっては関心の高いところでございますので、引き続き消費者目線でご意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田中信用機構課長渡邊委員、ありがとうございました。

これまでご参加いただいている委員の皆様におかれましては、時間の都合もあり、ご紹介は割愛させていただきます。お手元、資料1の委員名簿をご覧いただければと存じます。

なお、東京大学の藤田教授、目黒教授は本日ご欠席の連絡をいただいております。

また、本日もオブザーバーとして、これまでの研究会と同様に、日本損害保険協会、外国損害保険協会、日本地震再保険株式会社、損害保険料率算出機構、金融庁の方々にご出席いただいております。

それでは、お手元の配付資料についてご確認をお願いいたします。欠落などございましたら事務局にお知らせください。

まず議事次第、資料1「委員名簿」、資料2「保険金支払に関する対応」、資料3「民間準備金の現状」、資料4、こちらは財務省作成の資料で「南海トラフ地震臨時情報に関する地震保険の対応」、資料5、こちらは損保協会作成で同じ表題ですけれども「南海トラフ地震臨時情報に関する地震保険の対応」、資料6「地震保険の加入促進について」、資料7「日本損害保険協会の2024年度地震保険の加入促進取組」となっております。

続きまして、地震保険制度等研究会の運営についてご説明申し上げます。本研究会の議論につきましては、その概要について議事要旨を速やかに、その後、議事録についても事務局において作成し、委員、オブザーバーの皆様にご確認いただいた上で、財務省のウェブサイトに公表することとしております。また、配付する資料についても、会議後、原則としてウェブサイトに掲載しております。

また、引き続きまして、本日のご説明内容とご意見をいただきたい事項について概要をご説明させていただきます。議事次第をご覧ください。

まず、議事次第の2.として、保険金支払に関する対応について、日本損害保険協会からご説明をいただきます。令和6年元日に発生した能登半島地震への対応についてもご説明いただきます。

また、3.として、本研究会で回復の方策をとりまとめいただいた民間危険準備金の現状について、日本地震再保険株式会社からご説明をいただきます。

4.として、令和6年8月に南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されたことから、地震保険の対応について事務局と損保協会からご説明いたします。南海トラフ地震臨時情報への対応については、令和2事務年度に研究会としてとりまとめをいただいております。この点、実際の発出後の対応の状況についてご説明をいたします。

5.ですが、南海トラフ地震臨時情報についての令和2事務年度の研究会とりまとめにおいて、平時における加入促進を図ることが重要とされたこと、また、関係省庁等や金融機関、不動産関連の事業者や団体等と連携し、多様なチャネルを通じて幅広い層に普及を進めていくことが重要とされたことを踏まえつつ、地震保険の加入促進について事務局、損保協会からご説明をさせていただきます。

今回はこれらについてご意見を賜れればと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤座長ありがとうございました。

今回は、質問やご意見は最後にお願いしようと思っております。

それでは、まずは、保険金支払に関する対応について、日本損害保険協会よりご説明をお願いいたします。

○藤平火災新種損害サービス部会長日本損害保険協会火災新種損害サービス部会部会長を務めております藤平と申します。よろしくお願いいたします。

私のほうからは、資料2の保険金支払に関する対応についてご説明をさせていただければと思っております。

早速でございますが、1ページ目をご覧いただければと思います。初めに、発災から対応を行っておりました令和6年能登半島地震の概要をご説明させていただきます。2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の規模は、マグニチュード7.6、最大震度7となっており、過去の地震の規模をページの中段に掲載しておりますけれども、2016年熊本地震や2018年の北海道胆振東部地震とほぼ同規模の地震ということでございました。震度の分布につきましては、ページ下の図のとおり、最も被災規模が大きかった能登半島では震度6強から7を記録しているような地震でございます。

ページを進めまして、2ページ目をご覧ください。こちらのページでは、令和6年能登半島地震における保険金の支払状況につきましてご説明させていただきます。損保協会では、2025年3月末時点での建物・家財の保険目的別での支払件数、支払保険金の集計を行っております。支払件数につきましては合計12万6,698件、支払保険金は合計約1,048億円というふうになっております。下の図で、過去の地震と比較してみますと、2025年3月末時点で支払われた──これは再保険金ベースですけれども、6番目の保険金支払を記録しているというような地震でございます。

では、3ページのほうをお願いいたします。こちらのページでは、令和6年能登半島地震における保険金支払の進捗状況をグラフで示しております。発災後約3か月(90日)後の調査完了率は約89.8%、発災後約5か月(150日)後の調査完了率は約96.9%ということになっております。4年前ですけれども、令和3年福島県沖を震源とする地震の発災からの進捗を確認すると、約3か月後の調査完了率が約83.5%、翌年の令和4年福島県沖を震源とする地震の発災から約3か月後の調査完了率が約90.6%ということからも、過去の地震と比べて遜色なく迅速な保険金支払が実現できたものというふうに考えております。

では、次に進めます。4ページ目をご覧ください。こちらでは、保険金の支払迅速化の観点から今回の地震でも実施をいたしました損害状況申告方式についてご説明をさせていただきます。

まず、こちらの方式ですけれども、お客様から提出いただいた「自己申告書」と写真に基づいて損害調査を行うもので、立会調査と組み合わせて活用する方式でございます。

なお、本方式は、対象事案については、立会調査と同様に適正な損害認定が可能な事案に限定しており、事故受付時に自己申告書の提出をご案内した事案であっても、申告された損害状況が写真から確認できない等、立会調査が必要と判断する場合につきましては、立会調査に切り替え、認定の適切性を確保しているということでございます。

能登半島地震でも、交通インフラの断絶等による立会調査が困難な地域が発生していた事情を考慮いたしまして、限定的に本方式を利用しているということでございます。

次に、5ページをご覧ください。5ページから6ページにつきましては、先ほどご説明させていただきました損害状況申告方式と同様に、保険金支払迅速化の観点で今回の地震で実施をした共同調査についてご説明をさせていただきたいと思います。

まず、共同調査なんですけれども、損害保険会社の社員から成る業界の「共同調査団」を組成して、航空写真や衛星画像を用いて、損害程度を同じくする地域を街区単位で認定する仕組みでございます。

東日本大震災以降、能登半島地震が2回目の実施となる今回の取組では、火災による「焼失」、あとは津波による「流失」を、街区単位の構造物で全て焼失・流失している「全損地域」と街区内で焼失・流失している建造物が確認できるものの一部の建築物が残存している「一部全損地域」を認定しているということでございます。

下の表のとおり、これにより、全損地域に所在する地震保険の対象建物は、保険会社の個別の現場調査を省略して全損認定を可能としております。一部全損地域に所在する地震保険の対象建物につきましては、全壊を証明する「り災証明」をもって保険会社による個別の現場調査を省略して全損認定を可能としております。

さらに、今回の地震では、交通インフラの断絶によって「り災証明」の発行に時間を要するということが見込まれたことがありましたので、一部全損地域に所在する地震保険対象建物のうち、航空写真から完全に焼失・流失が確認できる建物を、建物単位で認定を行って、「り災証明」なく全損認定を可能としております。

次に、6ページ目をご覧いただければと思います。今回の地震では、交通インフラの断絶がございましたので、従来の共同調査のスキームを超えて、業界で初めて倒壊した建物を対象にした共同調査を実施しております。

本取組では、垂直方向(真上)から撮影された航空写真だけではなくて、斜め方向から撮影した航空写真も活用いたしまして、多角的に該当建物の損傷状況を確認して、街区単位ではなく建物単位で「全損建物」及び「全損の可能性が高い建物」を認定しております。

これによって、建物全体が損壊している等の被害が確認できる全損建物は、保険会社による個別の現場調査は省略して全損認定を可能としております。また、大きな傾斜、変形が航空写真から確認できた全損の可能性が高い建物につきましては、全壊が証明された「り災証明」をもって保険会社による個別の現場調査を省略して全損認定を可能としたものでございます。

では、次、7ページをご覧いただければと思います。7ページから9ページにつきましては、2025年3月に業界でリリースした損害状況申告方式のWEBシステムについてご説明をさせていただきます。

WEBシステムの検討につきましては、当研究会でのご意見等も踏まえて、紙帳票での損害状況申告方式において、郵送インフラが途絶えてしまった場合等、制度として機能しないという課題を受け、その対策として進めてきたものでございます。

WEBシステムにつきましては、2025年3月にシステムリリースしたため、まだ稼働実績自体はございませんけれども、現時点で保険会社10社が使用可能な状態となっております。残り2社も含め、利用希望会社12社が2025年度中に使用可能な状態となる予定でございます。

本件については、これまで本研究会でも好意的なご意見を頂戴しておりますので、郵送インフラに左右されない制度の安定性を確保するとともに、さらなる支払の迅速性やお客様の利便性向上を実現できるものと考えております。

では、8ページのほうをお願いいたします。こちらのページでは、開発したWEBシステム「地震損害申告サポート」で実現できる利便性向上のポイントについて整理をしております。

本システムは、お客様がスマートフォン等から損害状況の申告や写真登録を行う機能と、保険会社側がお客様の申告内容を基にWEB上で保険金請求に必要な書類を自動作成できる機能と、大きく2つの機能を実装しております。これによって、お客様においては、従来の紙帳票とは別に、写真の現像や書類の記入、郵送等の負担が軽減されることになります。保険会社側においては、必要書類の作成・郵送、事案管理等の負担が軽減されるということが期待されております。

ページの下部にWEBシステムを活用した場合の事故受付から保険金支払における具体的なフロー図をお示ししております。具体的な流れといたしましては、保険会社でお客様の利用意思の確認ができた事案につきましては、システム上、損害状況等の申告画面にログインするためのURL、パスワードをSMSですとかEメールでお客様のほうに通知をいたしまして、お客様が通知されたURLからシステムにログインをするという流れでございます。お客様は、自身の契約物件の損害状況やその他保険金請求に必要な情報について、システムを通じて保険会社のほうにご申告をいただいて、保険会社は、お客様から申告された情報を基にシステムが自動作成した各帳票類に基づいて損害認定を行うというのが支払対応を行う流れとなっております。

本システム化によって、お客様と保険会社双方の負担が軽減され、迅速な保険金支払が実現できるものと考えているということでございます。

最後になりますが、9ページ目をご覧いただければと思います。こちらのページでは、参考として、お客様のシステム上の申告の流れについて整理をしてございます。

保険会社による利用意思の確認後、お客様にメールまたはSMSでシステムにログインするためのURLを送信いたしまして、届いたURLからシステムにアクセスしていただき、ワンタイムパスワードを用いて本人認証の上、ログインしていただくという流れになっております。

申告のステップで、契約者情報の確認、建物・家財の損傷状況の入力、損傷箇所の写真登録、保険金振込先情報などの保険金請求情報の入力というような流れになっております。各ステップの指示に従って情報の入力・登録を行っていただいて、申告情報を送信していただくことで、WEB上での損害状況の申告手続を完結するというような仕様になってございます。

損保協会といたしましては、今回開発したWEBシステム「地震損害申告サポート」を活用した自己申告方式を立会調査と併せて活用することで、引き続き迅速かつ適切な地震保険のお支払を行っていきたいと考えております。

私のほうからのご説明は以上でございます。

○佐藤座長ありがとうございました。

では、続きましては、民間危険準備金の現状について、日本地震再保険株式会社よりご説明をお願いいたします。

○高山常務取締役日本地震再保険の高山です。よろしくお願いいたします。

私からは、資料3「民間準備金の現状」についてご説明させていただきます。

表紙をめくっていただきまして、皆様ご承知のとおり、東日本大震災以降の保険金支払等によって民間の危険準備金残高が激減したことを受け、2020年度より官民保険料配分における民間への配分を70%に変更し、民間危険準備金残高の早期回復を図る「再保険料配分の特例措置」を行っていただいております。

資料中段に直近3年度分の民間危険準備金残高の推移を記載しておりますが、2023年度は、令和6年能登半島地震による保険金支払及び支払備金の計上があったものの、特例措置による保険料増加により、期末残高は前年度末から972億円増え4,394億円となりました。2024年度も前年度末から1,595億円増え5,990億円となる見込みです。

なお、特例措置開始後の民間の危険準備金残高の推移につきましては、左下の表に記載しております。

また、右下の表には、特例措置開始以降に発生した主な地震の支払保険金を記載しておりますので、併せてご確認いただければと思います。

私からのご説明は以上です。

○佐藤座長ありがとうございました。

では、続きまして、南海トラフ地震臨時情報を受けた地震保険の対応について、事務局及び日本損害保険協会よりご説明をお願いいたします。

では、まずは事務局からご説明をお願いいたします。

○田中信用機構課長それでは、資料の4「南海トラフ地震臨時情報に関する地震保険の対応」について事務局からご説明いたします。

1枚おめくりいただき、1ページでございますが、上段のほうは、令和2事務年度(令和3年6月)の地震保険制度等研究会における議論のとりまとめのところですけれども、この中段の、「(中略)」の後になりますが、「臨時情報発表時には、厳密な地震発生リスクが不分明な中で加入申込みが大きく増加する懸念もある」というふうにご指摘をいただいていたところです。また、こういったことから平素から加入促進を図ることが重要というご指摘をいただいておりました。

その下の段、「(参考)」のところでございますが、これは令和6年8月8日に初めて臨時情報が出された際の政府の対応につきまして、令和6年8月8日の16時42分にマグニチュード7.1の地震が発生し、宮崎県日南市で震度6弱を観測しまして、同日の17時に南海トラフ地震臨時情報(調査中)を発表しました。その後、19時15分に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表して、政府として「特別な注意の呼びかけ」を開始し、これは15日の17時に終了したということになっております。

次のページはご参考でございますけれども、この南海トラフ地震の臨時情報の発表条件ということで、巨大地震注意というのは、監視領域内において、モーメントマグニチュード7.0以上の地震が発生した場合ということになっております。

この記載の対応について、次の資料5で損害保険協会さんのほうからご説明をお願いしたいと思います。

○佐藤座長ありがとうございました。

では、日本損害保険協会より、よろしくお願いいたします。

○土居崎地震保険特別委員会委員長日本損害保険協会地震保険特別委員長を拝命しております土居崎でございます。よろしくお願いいたします。

私のほうからは、今事務局よりご説明のありました臨時情報に関する地震保険の業界側の対応についてご説明をさせていただきます。

資料5、表紙をめくっていただきまして、文字情報のところになりますが、ご確認ください。

2024年8月、今ありました臨時情報が発表されました。平年であれば地震保険を中途で付帯する中途付帯件数は月三、四千件程度であるところ、2024年8月の地震保険の中途付帯件数は約5,000件ということで、増加が見られてございます。

矢羽根1つ目、記載のとおり、臨時情報の発表に従いまして、地震保険への関心が高まったものと考えられます。一方、こうした件数の増加はございましたが、損保各社においては、従来から大規模災害発生を見据えた体制整備を進めておりますことから、この契約受付に関しまして、特段の混乱は実務的には発生してございません。

また、矢羽根2つ目でございますが、2025年度からは、臨時情報なども意識をいたしまして、平時からの加入を促進するメッセージを広報媒体等に盛り込んでいくこととしてございます。詳細につきましては、次の議題で改めてご説明させていただきます。

業界といたしましては、引き続き南海トラフ地震による被害が見込まれる地域も含めまして、加入促進を推進し、地震保険の普及拡大に努めてまいりたいと考えてございます。

以上です。

○佐藤座長ありがとうございました。

では、最後に、「地震保険の加入促進について」に移りたいと思います。こちらにつきましては、事務局及び日本損害保険協会よりご説明いただきます。

では、まずは事務局からご説明をお願いいたします。

○田中信用機構課長それでは、資料6の「地震保険の加入促進について」、事務局よりご説明させていただきます。

一度資料4のほうに戻っていただいて、先ほどの南海トラフのところ(1ページ)の上段のほうですけれども、そちらを改めてご覧いただきますと、令和2事務年度に当研究会の議論のとりまとめとして、「(中略)」下の線の引いてあるところで、「平時に強靱性の一層の確保につながるような形で加入促進を図ることが重要」、また「地域に着目して加入促進を図ることや、関係省庁等や金融機関、不動産関連の事業者や団体等と連携し、多様なチャネルを通じて幅広い層に対して普及を進めていくことが重要」と、既にとりまとめをいただいております。

また、このほか、資料に記載ございませんけれども、国の防災基本計画においても、「国〔内閣府、財務省〕は(中略)地震保険への加入の促進に努めるものとする」、また、「国〔内閣府等〕、公共機関、地方自治体等は(中略)防災関連行事等を通じ、住民に対し、災害時のシミュレーション結果等を示しながらその危険性を周知するとともに、以下の事項について普及促進を図るものとする。(中略)保険・共済等の生活再建に向けた事前の備え等の家庭での予防・安全対策」とされております。

また、2024年6月のいわゆる骨太の方針、「経済財政運営と改革の基本方針2024」においても、「家計向け地震保険への加入促進等に取り組む」とされたところです。

これらを踏まえた実施状況として、資料6で最近の状況をご説明いたします。

まず、1枚目の地震保険の加入状況をご覧いただければと思います。左のグラフにおいて、赤の折れ線は世帯加入率、黒の折れ線は火災保険に対する地震保険付帯率を表しております。累次の震災以降、防災意識の高まりを受けて相当な上昇を見せております。他方で、上昇の角度をご覧いただきますと、数年前から上昇率が鈍化してきております。とりまとめ、政府決定や計画に基づいて、関係省庁、自治体含め、効果的な加入促進策を推進していくことが重要と考えております。

やや大部にわたりますので簡潔にご説明させていただきますが、飛んでいただきまして7ページのほう、「加入者層や地域別に見た地震保険の加入促進上の課題」となっております。

この左の上のほうですけれども、保険契約者の属性ごとの主な加入傾向と課題、右側のほうが地域単位の加入状況と主な課題を示しております。

左の持ち家、住居所有者のところですけれども、こちらにつきましては、詳しくは2ページのほうに記載がありまして、80年代以前の既存住宅の地震保険の加入率が低いということですので、国土交通省と協力をして、既存の住宅について、リフォームなどの機会における不動産業者を通じた加入促進を進めてはどうかと考えております。

その下の賃貸のところにつきましては、賃貸については家財のみが地震保険の対象ということになりますけれども、家財の損害については、消耗品であり大きな額にならないという誤解があるようですので、リスクに関する適切な説明を進めるということにしております。また、国土交通省と協力をして、賃貸の仲介業者や賃貸集合住宅のオーナーを通じた周知も進めていくことを検討中です。

その下、一番下のところのマンション管理組合、マンションの共用部分のところですけれども、マンションの共用部分については、管理組合が地震保険に加入するということになりますが、マンションの管理会社から提案を受けて加入するケースが多いということですので、こちらについても国土交通省と協力をして管理会社経由で加入促進を進めていこうとしています。なお、新築マンションにつきましては、以前、清水委員からもご指摘いただきましたので、国土交通省にもご対応いただきまして、平成28年3月の改定で管理規約のひな形に「地震保険」という言葉を入れていただきました。このため加入率も上がったとも聞いております。

右側の、地方部のところですけれども、地方自治体の影響が地方については相対的に大きいと考えられますので、地方自治体ですとか、財務省の支分部局の財務局、関係省庁などで連携をして、地域に合った加入促進を進めてはどうかとしております。

その下の都市部のところですけれども、都市部については、賃貸の比率が高いので、先ほどの賃貸についての加入促進に力を入れていくことを考えております。

あと、12ページのほうで、こちらは全体のまとめということになっております。

「従来の取組」ということで記載がございますが、財務省、損保業界と協力して加入促進の取組を進めてきまして、財務省においては、財務省ウェブサイト、SNS、政府全体の政府広報との連携といった取組に加えて、関東大震災100年(令和5年)の防災の日の閣議での当時の財務大臣からの加入促進の発言、あるいは新たに財務省名でチラシを作成する、また金融庁と協力して住宅ローンを供与する金融機関へ通知を行うという形で、加入促進を進めております。また、損保協会においては、ポスター、テレビCM、さらにデジタル媒体などを通じた新たな広報などに取り組んでいただいているところです。

これに加えて、新たな取組として、研究会のとりまとめ、政府の決定などに基づいて、関係府省、地方自治体、関係業界にも加入促進にご協力いただきながら、地震保険制度のさらなる加入促進を進めていきたいというふうに考えております。

具体例として10ページと11ページをご説明しますが、2つ検討中の案ということでありまして、10ページのほうが1つ目になりまして、国土交通省のリフォーム支援策との連携強化を検討しております。各種リフォームの支援策と併せて地震保険のメリットなども案内できるよう、連携を強化して効果的な加入促進を実施することを検討しております。

あと、11ページのほうが地方自治体との連携ということになりますが、こちらは、防災基本計画でも決められております「地方自治体等の防災関連行事等を通じた保険・共済等の生活再建に向けた事前の備え等」の普及啓発の促進に関して、財務省としましても、地方自治体との対話、財務局との連携などを通じながら、好取組をほかの地域にも共有・展開するなどして、地域の課題に応じた地震保険への加入促進策を検討して、地域における防災施策の推進への貢献を図るということを検討しております。

加入促進に関する事務局資料の説明は以上とさせていただきます。

○佐藤座長ありがとうございました。

では、損害保険協会よりご説明をよろしくお願いいたします。

○土居崎地震保険特別委員会委員長引き続き土居崎でございます。今ありました地震保険の加入促進に向けた損保業界としての取組についてご説明をさせていただきます。資料7になります。

まず、めくっていただきまして、基本的な考え方を示させていただいております。1つには、地震リスクに気づかれていない一般消費者の皆様に、「日本全国どこであったとしても地震等による被害を受ける可能性があるということ」をご認識いただくことが重要であるということ。2つ目、一般消費者に地震等への経済的な備えとしては「地震保険にご加入いただくことの必要性」、これをご理解いただくということが重要だと。具体的には、付帯率が低い地域等々、先ほどありましたとおり、ターゲットを絞った取組を実施していくということとしてございます。

めくっていただきまして、具体的な取組のご紹介になります。まず1点目、2024年度の取組の報告になりますが、防災イベントを行ってございます。阪神・淡路大震災から30年たった段階でございまして、「親子で学ぼう、地震への備え」ということで開催しております。このタイミングで開催したこのイベントでは、地震への備えにつきまして、親子で楽しみながら学べるコンテンツを多数用意いたしまして、多くの方に参加をいただきました。トークイベントでは、登壇いただいた皆様より被災された当時のお話をお伺いするといったことで、今後の地震への備えについて考えさせていただいたという中身でございます。

続きまして、次のページでございます。シンポジウムの開催でございます。こちらも阪神・淡路大震災から30年というタイミングで開催をさせていただきました。第一部は対談形式で、震災発生当時の状況、また同震災が社会に突きつけた課題、この30年で実現できたこと・できなかったこと、将来の日本の防災に向けての提言といったことを行いまして、また、第二部はパネルディスカッションという形で、災害に強いまちづくり、地域の防災力の高め方、防災・減災の今後について意見を交わしたといったことで、理解促進を進めてございます。

続きまして、次のページをご覧ください。「ぼうさいこくたい2024」への参画でございます。こちらは内閣府主催のイベントでございますが、こちらに参画をさせていただきました。日本損害保険協会主催としまして、「事前復興」をテーマとした基調講演とトークセッションを実施しております。

以上3つのイベントにご協力いただきました皆様には、この場をお借りいたしまして改めて深く御礼申し上げたいと考えます。ありがとうございました。

続きまして、5ページから6ページをご覧いただけますでしょうか。こちらは日本損害保険協会として実施をいたしましたテレビCMとウェブ動画をご紹介してございます。テレビCMは、地震保険は生活再建のための経済的備えとなることを訴求した内容として作成してございます。また、ウェブ動画は、地震による火災の被害が火災保険では補償されず地震保険で備える必要があるといったことを訴求したものとなってございます。賃貸のお住まいであったとしても、生活再建のための地震保険の備えが必要であるといったことを訴求したものとして、2つ作成をいたしました。

また、6ページの地震保険の必要性につきまして、スマートフォンで簡単に短時間で見ていただけるようなコンテンツもご用意をいたしました。特徴的には、縦型のショート動画で作成をしてございます。また、右下をご覧いただきますと、「北海道」とか「佐賀」書かせていただいておりますが、付帯率の低い地域向けに特性に合わせたバージョンも作成して訴求をしてございます。

続きまして、次のページをご覧いただけますでしょうか。各地域での防災連携取組のご紹介となります。地方自治体と連携をいたしまして、各地域でイベントへの出展やセミナーを開催し、消費者向けにリスク啓発と地震保険の加入促進取組を行ってございます。

また、8ページをご覧ください。損害保険ですので、代理店さんとの取組になります。代理店の募集活動を支援する取組としてご紹介をさせていただきます。各地の損害保険代理業協会等と連携いたしまして、全国6か所で代理店の皆様向けにセミナーを開催してございます。また、マンション管理業協会と連携をいたしまして、地震保険の特設サイトやチラシなどを同協会の会員の皆様に紹介することや、会員向けにセミナーの講師を派遣しまして、地震保険の概要やマンション共用部分への地震保険の備えの必要性についても研修を行ってございます。

続きまして、9ページをご覧ください。デジタルコンテンツのご紹介になります。2023年度に作成いたしましたデジタルコンテンツを2つ掲載してございます。1つ目、部屋の中の揺れや家財の被害状況のシミュレーションをVR動画でリアルに体感いただけるコンテンツ、「地震こわれる診断VR」、2つ目は、選択したマンションの耐震基準と免震構造に応じまして、震度7規模の地震が発生した場合のマンションを取り巻く様々なリスクを確認いただけるコンテンツ、「マンション管理組合向け地震リスク相談室」といったものを出してございます。いずれも地震等によるリスクを体感いただける内容となっております。

続きまして、10ページから12ページになります。ここからは損保各社の地震保険の加入促進取組をご紹介してございます。

11ページ目でございますが、地震リスクや地震への備えについて分かりやすく解説したデジタルコンテンツの紹介になります。

また、12ページになりますが、損保各社によるお客様への地震保険訴求ツールになります。いずれも小さくて恐縮ではございますが、ご覧のとおり、地震に関する補償の充実化を訴求するもの、近年発生しました巨大地震を地図上にプロットすることで地震が日本全国どこであっても発生し得ることを訴求したもの、また家財への備えを訴求するものなど、各社の創意工夫の下、様々なツールを作成し、加入促進に向け日々活動を行っている状況をご理解いただければと思っています。

最後のページになります。13ページをご覧ください。損保協会の2025年度の地震保険広報の取組方針をお示ししてございます。2024年度に続きまして、付帯率が低い地域などターゲットを絞った取組をする予定としています。また、オンラインでの情報発信、デジタルコンテンツの活用など、時代の変化を捉えまして、しっかり取組を進めていきたいと考えてございます。取組に当たりましては、冒頭、私もご説明させていただきましたが、南海トラフ地震臨時情報などを意識いたしまして、平時からの加入を促す目的で最下段の「(※)」のような記載を加えていくということで取り組んでまいりたいと考えてございます。

以上になります。

○佐藤座長ありがとうございました。

では、ここまでのご説明を踏まえまして、委員の皆様方からご意見、ご質問を受け付けたいと思います。いかがでしょうか。どのテーマからでも構いませんけれども、ご意見、ご質問をお願いできればと思います。どうぞ。

○清水委員ご説明ありがとうございました。資料6と7の加入促進の取組について2点ほどお話ししたいと思います。

現在の付帯率はおよそ7割で、鈍化しているとはいえ上がってきており、加入促進の取組が功を奏しているのかなとも思います。お取り組みいただきありがとうございます。

他方で少し心配な要素があり、その理由は2つです。まず、火災保険料が上がってきています。契約者負担が今後重くなる可能性があり、地震保険が付帯しにくくなるかもしれないということです。火災保険は現在、長期契約ができず、2015年に最長10年、2022年に最長5年に短縮しています。金利が高かった頃は、長期契約の保険料割引率も高く、保険料が抑えられましたが、現在は保険料率が上がっており、短期契約となり割引のメリットも縮小されたことから、支払う保険料が重くなっている実態があります。

私が調べた情報では、2009年契約の場合、保険金額約2,000万円で35年契約だと一括払保険料が約36万円で、1年当たりの保険料は大体1万円でした。これを現時点(2025年時点)で試算すると、建築費上昇を加味した再調達価額がおよそ3,000万円。保険期間5年の場合、一括払保険料は20万円ぐらいになります。1年当たりの保険料は4万円ぐらいとなると、かなり負担が増える感覚です。

現在、物価がかなり上がっており、家計に圧力がかかる状況があります。こうした中、複数の地方では、生協が提供する廉価な火災共済に、契約がかなり動いていると耳にしました。こちらは地震や水災の保障が少ない分、掛金も安くなります。もちろん、どの商品を選ぶかは消費者の自由ですが、補償(保障)内容がよく理解されているかというと、残念ながらそうではないところもあるのかなと思います。

もう1点、2015年以降の契約について、今年以降に続々と満期が到来する、業界でいうところの「2025年問題」があります。これへの対応として、更新手続の負荷軽減を図るDXを損保会社が進めており、新規契約を除き、今年の10月から順次スマホ等による更新手続きが契約者自身でできるようになると聞いています。ただ、火災保険料が上がっていることから、補償選択の適切な判断を契約者の方が必ずしもできないかもしれない、負担が重い補償を切り捨てる要素になりかねないとも感じます。

他方で、私が複数のネット火災保険の地震保険付帯率について調べたところによれば、付帯率は平均と同じぐらいか、平均より高いところもありました。つまり、契約者が自身で判断する場合であっても、保険料の安さを優先して、必要な補償を切り捨てたりはしない一面も感じます。地震保険制度の啓発活動などが功を奏して、地震保険は必要だとの意識は、それなりに醸成されているのではないかと感じました。

こうしたなかでも大切なことは、より丁寧に地震保険の必要性をお伝えする、居住地のリスクに応じた適切な保険への加入を促すなどの情報提供ではないかと感じています。

また加入促進に関して財務省と日本FP協会で連携し、協会の会員に向けた地震保険に関する情報提供を2024年度に行っていただいています。ありがとうございます。今後も、いま一歩踏み込んだ連携をお願いしたいと考えております。

FPはお金の専門家であり、生活設計と共に危機管理もセットで提案すべきと考えます。日本は誰でも被災者になり得ます。資産運用も大事ですが、危機管理を忘れてはなりません。私は日本FP協会の理事でもありますが、協会内にたとえば災害復興委員会をつくるとか、被災時に弁護士の方々が被災者への無料相談を実施しているように、生活やお金全般の相談ができるFP人材を育成するための仕組みをつくることが必要ではないかと考えているところです。

日本FP協会は会員が20万人以上おり、それぞれが多様なバックグラウンドを持っています。私のように金融商品を売らず独立系として活動するFPもいれば、金融機関や不動産業界などで活躍されるFPもいます。多数のFPが被災支援関連の知識のひとつとして地震保険の必要性を認識し、それが生活者にお伝えできれば、地震保険の加入促進にも大きな波及効果があるのではと考えていますので、検討いただければと思います。

以上です。ありがとうございます。

○佐藤座長貴重な情報のご紹介、ありがとうございました。もし損保協会のほうで何かコメント、感想があれば、お願いします。

○土居崎地震保険特別委員会委員長損保協会、土居崎でございます。

まず、ご指摘といいますか、アドバイス、ありがとうございます。より丁寧な対話が必要だという点、しっかり踏まえて対応してまいりたいと思います。

ご承知のとおり、火災保険の保険料につきましては、昨今のインフレに加えまして、自然災害の増加ということで高くなっているという実態がございます。そういった中で、保険期間の短期化ということがありまして、今年の10月以降に各会社、会員会社、満期を迎えられるということでございます。

そういった中で、これもご指摘ありましたとおり、デジタルを使ったよりご加入いただきやすいような、そんな仕組みを入れてございますが、1つ誤解のないように我々の思いだけ、考えていることだけお伝えさせていただきますと、デジタルで行うところは、手続を簡素化することでございまして、お客様へのご案内を省略するとか省くということでは全くございません。代理店さん含めまして事務手続を簡素化することで、それ以上にお客様への情報のご提供、対話を深めていただく、そのためのデジタルツールというふうに考えてございますので、ご指摘いただいた丁寧なといったところをしっかり進めていきたいというふうに思っています。

また、これもご承知のとおり、火災保険のご加入につきましては、地震保険の加入意思といいますか、地震保険にご加入されない場合の意思確認をしっかり取るプロセスがございます。そういったプロセスも踏まえまして、お客様への丁寧なアドバイスといいますか、対話をしっかり進めてまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。

○佐藤座長もし事務局からも何かあれば、お願いいたします。

○田中信用機構課長火災保険の関係につきまして、資料6の6ページにございますが、「地震保険制度加入のきっかけ」と題しまして、これは直近の2025年3月の資料ですけれども、一番上位は「火災保険とセットで契約したから」というのがございますので、引き続き火災保険の状況を十分に伺いながら、損保協会とも協力しながら進めていくということでやらせていただければと思っております。

2点目の日本FP協会との関係につきましても、8ページの下の欄ですが、「加入層(チャネル)に応じた加入促進」ということで、これまでの金融機関等を通じた説明だけではなく、専門家としてのファイナンシャルプランナーの方から消費者の方に客観的にご説明いただくというのも非常に重要な点ではないかと思っておりますので、清水委員のご紹介もいただきました日本FP協会にもご協力をいただきまして、FPジャーナルに地震保険に関する寄稿をさせていただくなど、FPの方々のお力も借りながら地震保険の加入促進をこれからも進めていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○佐藤座長ありがとうございました。

ちょっと所感になってしまいますが、今まさに、「潮目が変わった」と私たちはよく言うんですけれども、やっぱり金利と物価が上がってきているわけなので、これまで我々がこういう地震保険の議論をするときの前提条件が変わっているんですよね。だから、もともとこの研究会とかの目的は地震保険の強靱性を高めるというところで、例えば再保険料の配分の見直し、特例措置もその一環じゃないですか。だから、ある意味、こういう物価高騰、金利上昇の中において、地震保険の強靱性は担保されているのかどうかとか、こういったところについて、加入促進も含めて、検証が要るのかなという気がしました。我々の置かれている環境が大きく変わっているというのは事実だと思います。これは財政についても言えることですが。

いかがでしょうか。お願いします。

○中埜委員今の最初のご質問と少し関連するのですが、付帯率が少し鈍化してきており、直近だと能登の地震があったりするのでまた上がったのかもしれないですけれども、サチュレートしていくような様子が見えております。例えば付帯率の残り30%ぐらいについて、入っていないという、付帯していないという、そういう人たちのネガティブに思っている理由というのは何か特定できているでしょうか。

70点ぐらい、80点ぐらいになってきたら、あと残りを100点にしようと思うと非常に難しいところなのですけれども、残りの人たちをさらに上げていこうと思うと、ポジティブに思っている人には刺さるのだけど、結局その言葉が必ずしも残りの人たちには刺さらないということがあって、残っている人たちに刺さる言葉は何なのかということを考えようと思うと、ノーと言っている、嫌だと言っている、あるいは迷っている人たちの理由というのがはっきりしないとなかなか刺さる対策が取れないのではないかと思うのですけれども、そういうところというのは何かサーベイはできているのでしょうか。

○佐藤座長これは事務局のほうがいいですかね。

○田中信用機構課長確かに、地震保険の加入促進でなかなか難しいところは、昔、強制加入なども議論はあったところですが、国会の附帯決議で、契約者の判断を阻害しないような形で進めていく必要があると──正確に申しますと、「契約者の意思を尊重し、地震保険への加入は強制にわたることのないよう」というご指摘もいただいておりますので、財務省といたしましては、国民の皆様に地震のリスクを十分に理解していただいた上で加入を促していくことが1つの前提ということでございます。

その上で今の先生のご質問にお答えしますと、例えば資料6の3ページで、被害の内容が「消耗品なので保険に入らなくてもいい」とか、あるいは「預金が十分にあるので保険に入らなくてもいい」というような説明をされている方もいるようですので、そういう意味では、先ほど説明の中でも申しましたけれども、家財であってもかなりの金額の被害が生じうるということをきちんとご理解いただいて、リスクの内容について正しい理解を進めていただくというのが大事なことであろうと考えております。

○佐藤座長ありがとうございました。

随分前になりますけれども、損保協会のほうでもアンケートを取っていたことがあったような気がしましたが、加入していない人たちの属性について、大体は古い家に住んでいる人は入らないとか、それから、やっぱり入らない理由としては保険料が高過ぎる、何と比べて高いのかというのが問題ですけれども、何かやっぱり保険料が高いという印象があるとか。もちろん、明らかですけれども、自分は地震に遭わないという楽観論とか、そういったところが出てくるのかなと。私も自分でやったことがあるのですが、もう10年以上前の研究なんですけれども。何か最新の知見があればお願いします。

○伊藤地震保険特別PTリーダー地震保険特別PTリーダーの伊藤でございます。

今、座長からお話をいただいたとおり、協会のほうでやっている広報の効果測定の一環でアンケートは毎年取らせていただいておりまして、言っていただいたとおりですけれども、保険料が高いというご意見が最も多いのですが、それ以外には、必要性を感じないですとか、地震は来ないと思う、貯金で賄える、あとは補償が100%ではないということをおっしゃっていると思いますが、補償が十分ではない、あとは、手続論含めて分かりづらいという、こういったご意見がありました。過去から同じような傾向でご意見をいただいていると思っております。

我々としては、そのうち、必要性を感じないであるとか、あるいは地震は来ないと思う、こういったところにターゲットを絞って、今、加入勧奨ということで、周知をしているという趣旨でございます。

一旦以上でございます。

○中埜委員回答の割合は、経年ではあまり変化はないのですか。

○伊藤地震保険特別PTリーダー細かく分析はしていませんが、大体項目としては同じです。

○中埜委員似たようなものですか。ありがとうございました。

○佐藤座長ありがとうございます。

ほか、いかがですか。堀田先生、お願いします。

○堀田委員お聞きしたいのは、保険加入促進の問題との関係で、進展する高齢社会を見据えてどのような対応を考えていらっしゃるかということです。契約者が高齢化すると、住宅やマンションの老朽化などで地震保険の契約更新に支障がでる心配があります。商品説明に当たっては、高齢者のリテラシー(理解力)を意識した対応が求められます。あるいは、デジタル対応を進める際にも、高齢者とのやり取りは必ずしもスムーズにいかない面もあると思います。これからの地震保険の問題を考える上において、高齢社会を意識した対策を取り入れなければならないのではないかというのが私の印象です。

○佐藤座長ありがとうございます。老朽化マンション建て替えとか、色々と課題は多いのですけれども、確かにこれも高齢化社会の特徴かなと思うんです。

これは事務局のほうから、もしあればお願いします。

○田中信用機構課長今回の取組の中で、リフォームについての加入促進を行うと申し上げたんですけれども、リフォームされる方は、相対的に古い住宅に住まわれている傾向があります。古い住宅に住まわれている方が高齢の方と一致するかどうかというのは必ずしも確認していないですけれども、そういった方にもこの保険加入をお願いするということで、これまで新築の住宅については、新築住宅を売っている不動産業者等を通じた加入促進などを行っていましたが、そういった高齢の方への対応なども考慮しつつ、中古住宅、あるいはリフォームなどを通じた仲介の際の加入促進なども進めていこうと考えております。

あと、契約更新の際につきましては、毎年お知らせのメールやはがきなどを送っていると伺っております。

○堀田委員例えば、高齢者になっていけばいくほど年金生活が主体になって、ますます更新をするのに抵抗というのか、逡巡される方が増えていくのではないかなと思います。ですから、そういう方々にも進んで継続していただけるような何か促進策や優遇策みたいな、高齢者を意識した施策というのも考える余地があるのではないかと思います。保険加入が頭打ちになるというのは、高齢化が進展していることも1つの要因ではないかと思います。

○田中信用機構課長ご指摘を踏まえて検討させていただきます。

○佐藤座長ありがとうございます。確かに高齢社会における住宅再建というのはなかなか難しい問題だと思いますので、そこはやっぱり。これは半分国交省の議論、管轄でもあるのですけれども、高齢者の住まいの確保とか、彼らの家のリフォームをどう進めていくかという議論になるので。ただ、重要な課題かなと思いました。

鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員ありがとうございました。

先ほど損保協会のほうからご説明いただいた、未加入の理由として自分のところは大丈夫と考えている方に対しては啓蒙が大事だと思うのですが、所得水準と加入率の相関関係の分析というのはされたことはございますか。

○佐藤座長すみません。お願いします。

○伊藤地震保険特別PTリーダー協会ではございません。

○鈴木委員先ほどの質問とも恐らく若干オーバーラップすると思いますが、経済的理由で入っていない方というのは、逆に、地震があって家がなくなったときに、さらにバッドスパイラルに入ってしまう懸念はないでしょうか。もともと所得がないので地震保険に加入できない、それで家がなくなってしまうと、さらに貧困に陥っていくというスパイラルに入るのではないかと思います。高齢者はもちろん、就職氷河期に正社員になれなかったような方々も含めて、経済的な制約があると啓蒙しても地震保険には入れないという状況になるので、例えば地震保険に入るなら所得水準に応じて補助金を一定出すことの検討をされるのはいかがでしょうか。

○佐藤座長難しいです。事務局いかがですか。

○田中信用機構課長あくまで地震保険制度については、長期的に起きる地震のリスクの下に保険料を算定しまして、保険料に基づいて地震が発生した際に保険金の支払を行うという仕組みになっておりますので、補助金というのは検討しておりません。

他方で、税制上は控除の仕組みはございますので、それを用いて加入促進も行っているところでございます。

○鈴木委員保険料自体は、統計学に基づいて数理的に算定したものだと理解しておりますので難しい課題とは理解しておりますが、地震保険の加入を促進するのであれば、そういうマネタリーな補助をして地震保険に入れない人を救っていくことが必要ではないかと思いました。税制の補助があっても、その方々はもともと税制のメリットも受けられない状況かもしれないので難しいと思いました。

○田中信用機構課長地震保険の枠組みだけで今おっしゃったような課題に対応していくべきかどうかという点も含めて認識はしております。

○佐藤座長ありがとうございます。これも昔やった研究で実際そうでした。所得の低い人は入らないです。所得の高い人のほうが入りやすいというのはデータからもそうなんですけれども、ただ、やっぱり地震保険は自助の仕組みなので。ただ、自助できない方々のために共助や公助があるので、被災者生活再建支援金もありますし、被災後は復興住宅とかもありますので、多分ほかの施策のところでカバーしていくという対象になるのかもしれないというところでしょうか。

渡邊委員、お願いいたします。

○渡邊委員加入促進に関しまして、様々なチャネルを使ってご努力をしていただいて、私どもも非常に分かりやすくなってきましたし、いろいろなところで地震保険について目にする、耳にするようになってきてはおりますけれども、やはり個々の消費者の方、住民の方を見ると、何かのイベントにわざわざ出かけていっていろいろなものを見てみようとかというようなことができる方はよろしいですけれども、あるいは、スマートフォンやパソコンなどを見て自分で進んでそういうものについて知識を得ようというような方であれば良いのですけれども、それがかなわない方については、例えば高齢者の方の老人会の消費者問題の説明会とか行事とか、そういう非常に身近なところで行われているものに関して、一緒にそこで加入促進の案内をしていただけるとか、そういう細かいところのご努力が必要かと思います。リフォームの場合などは個別でやっていて、その事業者さんから声をかけられ、説明を受けて、なるほどと思って入られるというか、そういう方もまだまだたくさんいらっしゃるので、全体的にはとても促進が進んでいるというふうには思いますけれども、地域の方々に、高齢者も含めて、そういう保険制度についても自分から勉強していこうというところまで行かない方に対しても、自治体とか、そういうところで細かく手当てをしていただけるとよろしいかなと思います。

また、保険の代理店さん、地域に密着した諸事情についてご存じだと思いますので、代理店さんが保険の加入者さんに地震保険についてもしっかりと説明をする機会をつくっていただけると、より身近な地域の広がりを持っていけるかなというふうには思っています。

それから、今いろいろ負担の問題があり、それも確かに私どもも実感しておりまして、「今日の生活が」という人に「家が無くなるかもしれないから地震保険に入って」と言うのは、理屈としては理解していただけるのですけれども、やはりそこに何らかの補助なりということを考えていただけると、さらに入りやすい、あるいは考えやすいのかなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

○佐藤座長ありがとうございます。

もし何かあれば。

○田中信用機構課長ありがとうございます。

高齢者の方についてのご指摘、先ほどの堀田委員のご指摘にも重なるところがあると思いますが、地震保険としても、検討はしていこうというふうには考えております。あわせて、防災全体の説明との関係もあると思っておりまして、地方部などでは自治体の影響も大きいと聞いており、例えば資料6の11ページのところ、防災のイベントを開いている自治体などもございまして、こういったところで、防災についての取組、高齢者の方にご理解いただく中で、1つの要素としてこの地震保険などについてもご理解を深めていただくということ、ほかの自治体にも働きかけていくということは考えられるかなと思っております。

あと、代理店との関係につきましても、このイベントにも代理店の方が参加しているようですので、そういった形で、損保協会とも協力しながら、代理店のネットワークも生かして、地域、あるいは自治体に合った販売を考えていただくということも重要かなと思っております。

あと、負担の点については、先ほど申し上げたようなお答えにはなるかと思います。

○佐藤座長ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。纐纈委員、お願いします。

○纐纈委員頭打ちの要因として清水委員が指摘されていましたけれども、共済との競合はある程度はあると思います。それを踏まえて加入促進を促すとすると、地震保険というのは、ノープロフィットでやっているということと、最後は国が補償しているという、その2点をもう少し普及啓発活動の中で強調されることが必要ではないかなと、前の委員会のときも申し上げましたけれども、それはぜひやっていただきたいなと思います。

地震の予測というのは非常に難しくて、『通販生活』にも書かせていただきましたが、実は、先ほどどなたかおっしゃっていましたが、統計的に本当にきっちりしているかというと、かなり怪しい面があります。ですので、そういう意味でも、そういった説明は活動には加えられないとは思いますけれども、最後は国が補償するというのは実は重要なポイントなので、ぜひご検討いただけたらと思います。

○佐藤座長ありがとうございます。

何かあれば。

○田中信用機構課長ご指摘のとおりで、共済との関係、共済との比較のところで、地震保険につきましては、被災者の救済のために再保険制度を政府が提供するということになっているのに対しまして、共済のほうは組合員の相互扶助のための仕組みということで、かなり目的が異なっておりまして、財務省としては、地震保険法上、「地震保険の普及を図」るとされておりますので、そういった形で加入促進を進めていこうと考えております。その際、先ほどご指摘いただきましたような料率についてはノーロス・ノープロフィットの仕組みで行っていること、国が再保険を行っていることをお示ししながら、共済との違いについてもきちんと説明するという形で進めていければと思っております。

○佐藤座長政策的な観点からすると、別に共済でも地震保険でも何らかの保険に入っていただければそれは構わないと思います。ただ、先ほど清水委員からご指摘のあったとおり、きちんと中身を分かった上で入ってもらわないと、単に保険料が安いからと入られると、実はカバーしている範囲が地震保険に比べて狭かったというのが後から分かって大変ということもあります。きちんとメニューを分かった上でということですけれども、やっぱり共済か地震保険かどちらかに入っていただければ良いですし、たしか内閣府の防災担当で調べてもらったときに、結構、競合しているというよりは補完関係があって、地震保険の加入率が低いところ──地方部なんですけれども、例えば有名になったのは新潟ですけれども、あの辺りは共済のほうが多いとか。一応そういう地域性はあるので、2つ合わせると結構加入している世帯はいるんだよね、ということが分かります。必ずしも競争する必要はないのだと思うんですけれども、どちらかに入ってもらえればいいと。

一通りご意見を伺いましたけれども、ほか、2周目でお願いいたします。

○中埜委員簡単な質問、ちょっとテクニカルな話なんですけれども、共同調査をされたと、資料2にあって、今回は全壊の建物、あるいはそれに近いような建物について共同調査をされたというのがあったんですけれども、資料2の6ページのところに、いろいろ調査されて、航空写真などを見て、それで「全損」、あるいは「全損の可能性が高い建物」という2つのカテゴリーがありまして、2つ目の「全損の可能性が高い建物」というのは、最終的にはどのように判断されたのでしょうか。そのままで放っておくというわけではないですよね。

○藤平火災新種損害サービス部会長ありがとうございます。

まず、今ご質問いただいたのは6ページの倒壊建物を対象とした共同調査のことをおっしゃっていただいているかと思います。これは、建物単位で上からの航空写真と斜めからの写真を見て、いわゆる一目全損というような形で、誰が見ても全損だということについては「全損建物」というような認定をしております。ただ、かなり傾いているですとか、潰れかけているというような状況の建物については、一部全損、「全損の可能性が高い建物」ということで、カテゴリーとしては2つのカテゴリーになっております。

全損建物ということについては、保険のご加入をいただいていれば、調査を省略して、その認定をもってお支払手続をさせていただくというのが全損建物でございます。全損の可能性が高い建物については、あくまでこの段階では可能性が高いというだけなので、り災証明書による全壊の証明をもって保険会社側の調査を省略するということになっています。なので、あくまで可能性が高いということなので、「り災証明」をもって手続を簡素化するというのがその位置づけでございます。

○中埜委員最終的にそれがもしなかったらどうするのですか。

○藤平火災新種損害サービス部会長「り災証明」がなければ、保険会社のほうから立会をさせていただくというような形でございます。

○中埜委員立会して決めると。

○藤平火災新種損害サービス部会長そうですね。これだけでは決められないということになります。

○中埜委員分かりました。ありがとうございます。

○佐藤座長ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員4ページのところの自己申告、いわゆる契約者のほうで申告する制度で、右側の表では4つ過去の地震があって、そのうち2021年の福島県沖の件での利用割合が非常に高い一方で、他の案件は「1割未満」と書いてあります。この件は特殊な事情があったということなのでしょうか。

○藤平火災新種損害サービス部会長ありがとうございます。2021年福島県沖の地震は、これはまさにコロナ禍でございまして、感染状況が非常に拡大している状況でございましたので、対面接触を避けるというような形で、立会調査から大幅にこの自己申告をしたという、特殊な事情があったというようなところでございます。

○鈴木委員ありがとうございます。

こちらの左側の説明の上から2つ目のビュレットポイントのところで、立会調査と同様に適正な損害認定が可能な事案に限定しているということですが、コロナのときは適正な損害認定が可能な事案に限定しないで自己申告を受け入れていたということでしょうか。

○藤平火災新種損害サービス部会長2021年福島県沖の地震は、コロナ禍であったということが利用促進をした一番、最大の理由ではあるんですけれども、特にこの適切性については、踏み込んで対応したということよりは、よりこの自己申告について、お客様のご意向と、お客様の負荷というところを考慮して立会のほうを推進するということになっておりますので、適切性を置いて推進したということよりは、損害が大きくなるとかなり損害を申告しなければいけない箇所も増えてくるものですから、どちらかというと接触を避けるためにお客様の負荷をもお借りしながら自己申告を推進したということが正しいことかと思っております。

○鈴木委員ありがとうございます。そうすると、もしお客様のほうで写真を含め必要な書類を提出する場合には、立会をしなくても保険会社としては適宜対応するということでしょうか。

○藤平火災新種損害サービス部会長そうですね、基準上は全構造で、全損建物以外の基準についても自己申告方式というのはルール上は活用できることになっております。ただ、お客様のほうから申告の内容が漏れていたりですとか写真と突合が確認できなかったりすると、保険会社において書面でジャッジができないと、最終的には追加のヒアリングをしたりですとか、はたまた立会をさせていただくというような形で、ちょっとお客様のほうの負荷をかなりかけてしまうということがあるものですから、お客様の同意と事故受付時に事案を選別するということでは、やはり損壊の大きさというのは1つ大きな要素として判断させていただいているということでございます。

○鈴木委員分かりました。ありがとうございます。契約者側のベネフィットはもちろんですが、保険会社側にとっても、大きい地震が発生すると損害査定部ではない方も大勢現地に行かれて大変な負荷がかかっていると理解しておりますので、自己申告を積極的に活用できるのであれば保険会社の事務的な負荷もかなり下がるかと思い、質問させていただきましたが、不完全な書類を受領すると追加で負担が増えると理解しました。もっとデジタル化して負荷がなくなっていくと、お互い負担が減っていくということでしょうか。

○藤平火災新種損害サービス部会長ありがとうございます。

おっしゃるとおりで、ご説明させていただきました自己申告のWEB化は2025年の3月にリリースをさせていただいております。お客様のほうでは、写真を撮っていただくというような手間はありますが、それを現像して、申告書を紙で書いて郵送するというようなお手間は、利便性の観点ではWEB化をすることによってかなり効果は期待できるかなと思っております。

一方で、大前提としては、お客様の負荷を低減させることということと適正な損害認定を行うこと、あとは迅速に保険金をお支払いするということでございますので、やはり立会調査をベースにしつつ、適切、的確にWEB化をした自己申告方式を使用していくということかなと考えております。

○鈴木委員よく理解できました。ありがとうございます。

○佐藤座長ありがとうございました。

どうぞ。

○堀田委員資料でいきますと6でしたか、先ほど触れられた共済との協力関係についてです。保険と共済は、競合ではなくて補完的な関係が築かれるのが理想だと思うのですが、11ページのところに普及協議会というのを設置されている地域がありますが、これはいいなというふうに思います。やはりこの普及に当たっては、協会ごとの取組だけではなくて、横のつながりもできる範囲でやるということが、効率的であったり効果的であったりするのではないかなというような気がします。できる範囲でこういう取組を横に広げていけたらいいなと思うのです。現在、この4県ぐらいのところにとどまっているというのは何か理由でもあるのでしょうか。

○田中信用機構課長ご指摘のとおり、こういった協議会といいますか、地震を対象とする各種の共済とも、防災の一環として必要に応じ協力していきたいと考えております。今回この資料に入れて提示させていただきましたのも、こういった取組を各自治体にぜひ展開していきたいということで入れた資料でございます。

○堀田委員それをさらに全国的な組織にまで発展させれば、もっと県同士の協力関係もできるかもしれないとか、ちょっとそういうイメージを持ちました。

○田中信用機構課長ありがとうございます。先ほどもちょっとご紹介しましたけれども、防災基本計画という国の計画のところでも、国、公共機関、地方自治体等が防災関連行事等を通じて保険・共済等の事前の備え等の普及啓発を図るというような記載がございますので、そういったことも踏まえながら各地の自治体に働きかけをしていこうと考えております。

○佐藤座長ありがとうございます。よろしいですか。

私、地方財政の仕事もしているので、多分、自治体によってかなり意識の違いとキャパシティの違いがあり、新潟はやっぱり中越で地震があったので、かなりこの種の意識は高いのかなと思いますけれども、その辺りはかなり自治体ごとのキャラクターが出るのではないかというふうに思います。

ほか、いかがですか。

私から1点だけ。損保の先ほどの資料2で、先ほどのご質問にも関わるんですけれども、8ページのところで、システム化をやっているじゃないですか。これはどれくらい周知が進みそうなのかというか、どういう形で皆さんに周知するのかということと、自分だったらあったらいいなと思ったのは、模擬というか、いきなり地震が起きた後に「さあ、やってください」と言われても、他のことも色々あるわけなので無理ですよね。だから、1回ぐらいトライアルというか、訓練をしてみたいですよね。何かそういう取組はあるのでしょうか。

○藤平火災新種損害サービス部会長ありがとうございます。

まず、周知につきましては、2025年3月21日に協会としてはニュースリリースを出させていただいております。業界のシステムとして「地震損害申告サポート」というものを運用開始しましたということは、本日ご説明したものを1枚のペーパーにしてニュースリリースされているということで、公表しております。

模擬のテストについては、今のところは協会のほうで何かこれを想定しているということはございませんけれども、特にやはりWEB画面ではガイドを入れて入力を補助していくということなので、今までの紙で要領を見ながら記載をいただくということよりはユーザビリティーは上がっているのではないかということでございます。

今いただいた、いきなり本番で来たときにということはございますので、そういったご意見を踏まえて、ちょっと協会内のほうでも検討させていただきたいと思います。

○佐藤座長ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。

では、寺岡総括審議官からコメントいただければと思います。

○寺岡大臣官房総括審議官大変熱心なご議論を本当にいただきまして、ありがとうございました。恐らく、今日お伺いして思ったことは、相当経済・社会がここ数年でも大分変化してきていて、金利・物価の上昇、そういった中で所得水準がどうなっているとか、人々の関心がどっちに向かってどういうもののニーズがあるかとか、その辺が大分変化しているのだろうということの中で、この地震保険制度もやはり全体的に総合的に常に見直しというか手直しを考えていく必要があるんだなという感想を持ちました。

その前提で、特にご指摘いただいた、例えば高齢化層にどういうふうに対応していくのかとかアピールしていくのか、また、所得の水準のそれぞれにおいてどう対応していくのかというまず前提に、少しそういう変化を踏まえて、そういった属性に着目して、きちんと高齢化層がどういった家を持ち、どういうライフスタイルを希求し、さらに保険についてどう関心を持っているのか、まずそこが要るのだろうなということでしたので、これまでも例えば持ち家別ですとか、新たにリフォームみたいなことについてどう考えるかというのは中ではやっているのですけれども、今日のご指摘も踏まえて、まずそういう属性のきちんとしたベース、エビデンスをそろえた上でまたご議論させていただく必要があるんだなと思いました。

それから、保険加入についても相当ご熱心なご議論もいただきましたが、ご指摘の通り、この制度に対する国の最大の関与は、言わば一番大きなところのリスクを国で持っていて、ノープロフィットで、言ってみればそこのキャピタルコストみたいなものは国が負っているというか、リスクのことも負っているということなのだと思います。

それから、この地震保険制度というのがずっと存続するようにしないといけないと思いますし、1つは、まずは加入促進ということであれば、先ほど申し上げたように、一番、最も対応が必要なところの属性をきちんと調べた上で、そこは色々ご意見も踏まえながらきちんとやっていくのかなと、そう思いました。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

○佐藤座長ありがとうございます。既にとりまとめいただいている感じになっていますけれども、すみません、一応、座長とりまとめという段取りがあるものですから、そちらのほうに移らせていただければと思います。ご意見、大丈夫ですか。

○清水委員加入促進の前提の話にはなりますが、個々の家計を考える専門家の立場からみると、家計においてリスク認識が非常に偏っている現実があると考えています。

例えば、生命保険の業界団体が生命保険の加入実態に関する調査を定期的に実施しています。それによると、1世帯当たりの生命保険料は、年間30万円以上にもなります。それでもなお、充足感がなく加入意向を持つ方が一定程度います。他方で地震保険については、年間数万円でも「高い」と感じる方が少なくない実態があります。

医療保険の20代の加入率は現在100%です。しかし日本には国民皆保険制度があり、一般的な入院であれば高額療養費制度で自己負担が抑えられますので、そもそも医療保険が「必要」なのかを考えることが必要です。現在、終身医療保険が販売の主流になったこともあり、医療費負担が軽減される後期高齢者、ひいては90歳の人も加入しています。70歳を超える高齢者でも、平均年30万円以上の生命保険料を支払っているのが現状です。他方で、年間数万円の地震保険をなぜ、高いと感じるのか。

家計が抱えるリスクの認識が偏っていて、リスクが低く家計に与えるインパクトが少ないところに手厚く備え、他方で生活基盤を失うリスクには備えがたいと感じるのはどういうことなのか。家計全体でリスクを把握し、優先順位を検討すれば、地震保険は優先順位が高い保険となりますが、そもそも地震リスクへの認識が不十分ではないか。一人一人の生活者の方からすれば、地震は遭いたくないものですし、被災などできれば考えたくないものですから、地震リスクや地震保険への理解もいまだ不十分なのではないかと感じます。

地震保険料は、民間の地震補償と比べれば格段に安いものですが、比較する機会もあまりなく、正しい情報が行き渡っていない現状もあります。先ほど纐纈先生がおっしゃいましたけれども、保険金の支払いを国がバックアップするということはほぼ伝わっていないですし、地震保険が非営利の制度であり、保険金を出し渋る理由がないにもかかわらず、見当外れのクレームが出ることもあるようですが、それも地震保険のしくみが正しく伝わっていない現状があるからではないでしょうか。

生活者に地震保険制度を正しく理解をしていただけるような啓発活動、家計の被災リスクの認識とともに、たとえば地震保険の中身がなぜ4区分なのか、なぜ火災保険金額の50%までの補償になるのか、根拠とその意味がきちんと伝われば、制度をより正しく理解していただけて、それが加入にもつながっていくのではないでしょうか。

○佐藤座長ありがとうございます。リスク認知はやはり難しい。今、経済学でも行動経済学の分野が結構盛んで、リスク認知がやっぱり一番合理的な判断に欠くところだというのはよく知られていることで、ご指摘のとおりで、地震のリスクと健康のリスクといったときに、天秤にかけたときに妙に健康リスクのほうを取ってしまうけれども、確かに日本は国民皆保険があるので基本的には公的保険でカバーできるはずでしょうとか、そういったところもありますので、そこの辺りをどうやって正しく情報提供していくかというのは、我々は「ナッジ」という言葉を使いますけれども、何か一工夫要るかなという気はします。

あと、もちろん保険料は高いけれども、耐震性があれば最大で5割の割引があるわけなので、いい家に住んでいる限りにおいては保険料を抑えられているはずなので、その辺りについても正しく伝わっているのかなというのは確かにあります。もう10年以上こんなことを言っているような気がするんですが、なかなかここの部分は進まないですね。分かりました。ありがとうございます。

ほか、この際だからというのであれば。大丈夫ですかね。

では、とりまとめ案というか、ちょっとフォーマルなステートメントになってしまいますけれども、まず、とりまとめ案を読ませていただきます。

本日の研究会では、まず、保険金支払に関する対応についてご説明いただきました。こちらにつきましては、令和元年8月の研究会とりまとめにおいて、損害査定方法等の改善として、新しい技術や手法の活用などの検討が望ましいとされてきたところです。着実に努力が進められて、令和6年元日に発生した能登半島地震での被害に対する支払も的確に行われたとともに、新しく損害状況申告方式にWEB申告方式が順次導入されると理解しております。引き続き適正かつ迅速で効率的な支払を進めるための検討を進めていただければと思います。

第2に、民間危険準備金の現状についてご説明いただきました。こちらにつきましては、令和元年8月の研究会とりまとめにおいて提言いたしました特例配分が行われてきたところであります。民間危険準備金については、引き続きとりまとめでも記載しておりました1兆円程度を目指していくというご説明をいただきました。

第3に、南海トラフ地震の臨時情報について、令和6年8月の初の臨時情報の発令に対する対応についてご説明いただきました。令和3年6月の研究会とりまとめにおきましては、臨時情報発令時には厳密な地震発生リスクが不明確な中で加入申込みが大きく増加する懸念もあるとしていたところですが、今回の発令におきましては、保険会社の現場実務に特段の混乱は生じなかったというご説明をいただいております。

第4に、3点目の南海トラフ地震への準備として重要視されていた、平時からの地震保険の加入促進についてご報告いただきました。こちらにつきましても、令和3年6月の研究会とりまとめで、関係省庁や金融機関、不動産関係の事業者や団体等で連携し、多様なチャンネルを通じて幅広い層に対して普及を進めていくことが重要とされています。また、政府の防災基本計画や骨太方針2024でも地震保険加入促進について記載されています。今回、その具体化として、財務省、損保協会などのポスター、広告、SNS発信などの情報発信に加え、金融機関を所管する金融庁のご協力を得て財務省から金融機関を通じた住宅取得者への加入促進の呼びかけや、国交省のご協力を得て住宅・不動産業界との関係強化、財務省の地方支分部局である財務局や都道府県、また日本損害保険協会や日本地震再保険会社などの諸団体のご協力をいただいた多様なチャンネルを通じた取組について検討している旨、ご説明をいただきました。引き続き効果的な加入促進の実施を進めていただきたいと考えております。

地震保険のこの議論を初めてもう十何年以上たっていますけれども、この中におきまして、やはり一方では地震保険制度の強靱化が進められてきたと思います。保険料の特例配分の話もそうですし、リスクに応じて保険料も着実に調整することができてきたということもあると思います。他方で、今日ご指摘のあったとおり、新しい状況というのも生まれてきております。高齢者の方々への対応、あるいは低所得者の方々への対応、物価高の中においてどうやって適正な判断の下で地震保険に加入いただけるかどうかという、そういった新たな課題というのも出てきているということだと思いますので、この研究会としましては、その辺りの状況についても引き続き注視していくということが求められるかなというふうに思うところであります。

という感じのまとめですけれども、もしこれも付け加えてほしいというものがあれば、いかがですか。

では、特段意見がなければ、こちらでとりまとめということにさせていただければと思います。

では、最後に、事務局のほうから今後の進め方についてご説明をいただければと思います。

○田中信用機構課長ありがとうございます。

次回の研究会の開催につきましては、座長とご相談の上、また事務局よりお知らせさせていただきます。

なお、議事要旨、議事録につきましては、前回と同様にメールなどを用いて委員の皆様にご確認させていただきます。

○佐藤座長ありがとうございました。

本日は、ご多忙の中、誠にありがとうございました。

では、今回、閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

午後3時30分閉会