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地震保険制度等研究会第7回 議事録

令和5年5月31日(水)14:00~16:00
財務省国際会議室(本庁舎4階)

1.開会

2.地震保険に関する最近の動き

「令和4年福島県沖を震源とする地震への対応」

  • 日本地震再保険株式会社からの説明

3.足元の主要課題

「地震保険の加入促進について」

(1)更なる加入促進に向けて

  • 事務局からの説明

  • 日本損害保険協会からの説明

  • 討議

(2)地震保険制度の適切な運用確保に向けて

  • 事務局からの説明

  【1】自己申告方式に関する事後検証について

    • 日本損害保険協会からの説明

  【2】保険申請サポートに関する注意喚起の取組

    • 日本損害保険協会からの説明

  【1】~【2】について

    • 討議

4.閉会

出席者

委員

阿部美雪

纐纈一起

佐藤主光(座長)

清水香

鈴木隆樹

堀田一吉

(敬称略)

オブザーバー

一般社団法人日本損害保険協会

一般社団法人外国損害保険協会

日本地震再保険株式会社

損害保険料率算出機構

金融庁監督局保険課

事務局

奥総括審議官、福島信用機構課長

午後2時00分開会

○佐藤座長ちょっと早いですけれども、全員おそろいになりましたので始めたいと思います。ただいまより第7回地震保険制度等研究会を開催いたします。

本日は、初めに地震保険に関する最近の動きに関する説明、次に地震保険制度における足元の主要課題である地震保険の加入促進についての説明とご議論という流れで進めていきたいと思います。

議論に先立ち、事務局を代表いたしまして奥総括審議官からご挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○奥大臣官房総括審議官財務省大臣官房総括審議官の奥でございます。開会に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

今回、第7回地震保険制度等研究会ということで、3年ぶりに対面開催ということで、先生方や関係者の皆様方にはわざわざ足をお運びいただきまして、大変ご面倒をおかけしました。ありがとうございます。

今年は1923年の関東大震災から100年という年に当たります。この地震保険制度は1964年の新潟地震を契機に議論が活発化し、1966年に制度導入ということで、既に半世紀以上にわたって、制度改編を伴いながらその歴史を刻んできている制度でございます。国民の財産を守り、かつ被災をされた場合には生活再建を支えるという役割を官民協力して果たしてきたと考えております。

ごく最近だけでも、今月の上旬に、石川県の能登地方で震度6強、また、その後すぐに千葉県の南部で震度5強という、一定の地域において被害が生ずる規模の地震がいまだに頻発をしているという状況でありまして、やはり日本では、どこに住んでいても地震と無縁で生活をするということはできないのだという認識を新たにさせられたと思っております。

この制度をよりよい制度とし、また、よりよい運用を行っていくことができるように、本日、佐藤座長をはじめとしまして委員の先生方、また関係者の皆様方と一緒に、忌憚のないご意見を先生方から賜りながら活発に議論をさせていただければと願っている次第でございます。

簡単ではございますけれども、開会に当たりましての私からの挨拶といたします。どうかよろしくお願いいたします。

○佐藤座長ありがとうございました。

続きまして、研究会の運営及び配付資料につきまして、事務局から説明をよろしくお願いいたします。

○福島信用機構課長信用機構課長の福島でございます。本日はよろしくお願いいたします。

地震保険制度等研究会につきましては、委員の皆様のご協力のもと、これまで6回にわたって開催してきておりまして、これまで2度のとりまとめをしてきていると承知しております。今年は約3年半ぶりにこのように会場を設けての開催となりますので、メンバーの方、それからオブザーバーの方につきまして、まず簡単にご紹介させていただきたいと思います。

まずメンバーからでございますが、初めに本研究会の座長をお願いしております一橋大学の佐藤教授。

次に、五十音順で失礼いたしますが、全国消費生活相談員協会の阿部常務理事。

慶應義塾大学SFC研究所の纐纈上席所員。

ファイナンシャルプランナーで株式会社生活設計塾の清水取締役。

公認会計士の鈴木先生。

慶應義塾大学の堀田教授です。

なお、東京大学の中埜教授、藤田教授、目黒教授は、本日ご欠席のご連絡をいただいております。

続きまして、オブザーバーの方々をご紹介させていただきます。

まず、日本損害保険協会の工藤地震保険特別委員会委員長。

日本地震再保険株式会社の池田常務取締役。

金融庁の三浦保険課長です。

なお、外国損害保険協会の小野専務理事、損害保険料率算出機構の松本常務理事におかれましては、本日はオンラインでご参加されております。

続きまして、お手元の配付資料についてご確認をお願いいたします。

最初にございますのが議事次第、そして資料1の委員名簿でございます。資料2が令和4年福島県沖を震源とする地震への対応、資料3が地震保険の加入促進について、資料4が地震保険の加入促進、資料5が自己申告方式に関する事後検証について、資料6が保険申請サポートに関する注意喚起の取組、資料7が本日ご議論いただきたい事項、このようになっています。

また、地震保険制度等研究会の運営について、改めてご説明申し上げます。本研究会の議論につきましては、その概要については議事要旨を速やかに、それから議事録についてもできるだけ早く事務局において作成し、委員、オブザーバーの皆様にご確認いただいた上で、財務省のウェブサイトで公表することとしております。また、配付する資料につきましても、原則としてウェブサイトに掲載しております。

事務局からは以上でございます。座長、よろしくお願いします。

○佐藤座長ありがとうございます。

それでは、まず「地震保険に関する最近の動きについて」と題しまして、令和4年福島県沖を震源とする地震への対応につきまして、まずは日本損害保険協会よりご説明をお願いいたします。また、昨今の地震を受けた民間危険準備金残高の現状につきまして、こちらは事務局からも併せてご報告をお願いいたします。

では、まずは損保協会さん、よろしくお願いいたします。

○角倉火災新種損害調査PTリーダー日本損害保険協会の火災新種損害調査PTリーダーを務めております角倉と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。委員の先生方はじめ、ご参加の皆様方においては、地震保険制度の健全な運営に多大なるご支援を頂戴しておりまして、この場をお借りして御礼申し上げます。いつも本当にありがとうございます。

それでは、私のほうから令和4年福島県沖を震源とする地震への対応についてご説明いたします。資料2をご覧ください。

まず1ページ目でございますが、初めに地震の概要でございます。令和4年福島県沖を震源とする地震は2022年3月16日に発生し、地震の規模はマグニチュード7.4、最大震度は6強でございます。過去の地震との比較では、約1年前に発生しました2021年2月13日に発生しております令和3年福島県沖地震はマグニチュード7.3、最大震度6強であり、ほとんど同じ規模の地震であるということが言えるかと思います。両地震の震度の分布は下図のとおりでございます。

次に、2ページ目をご覧ください。こちらは令和4年福島県沖地震の保険金支払状況です。2023年3月末時点で建物・家財の保険目的別での支払件数は38万5,833件、保険金は2,654億円となっております。参考情報として、過去の地震との比較を下の表に記載しておりますが、令和4年福島県沖地震は支払件数で見ると東日本大震災に次いで過去2番目、保険金では東日本大震災、熊本地震に次いで過去3番目の規模となっております。

次に、3ページ目をご覧ください。こちらは保険金支払の進捗状況をグラフで表したものでございます。令和4年福島県沖地震の発災後約3か月、90日後の調査完了率を記載しておりまして、90.6%となっております。令和3年福島県沖地震では、3か月後の調査完了率が83.4%でございましたので、令和4年福島県沖地震に比べると少し進捗が遅かったということになります。これは昨年の研究会でもご報告差し上げましたが、令和3年福島県沖地震では、当時の新型コロナウイルスの感染状況及び緊急事態宣言などの状況を踏まえて自己申告方式を本格的に活用しております。自己申告方式を採用する場合、お客様からの申告書の返送待ち期間が生じたり、もしくは申告いただいた内容に不備もしくは保険会社が追加で照会する事項がある場合に、確認に時間を要するといった事情もございますので、令和3年福島県沖地震では調査完了率に影響が出たものと考えております。

説明は以上になります。

○福島信用機構課長続きまして、民間危険準備金残高につきましてのご報告でございますが、残高につきましては令和4年度末の時点で、速報値ではございますが約3,422億円となっております。令和3年度末の残高が約2,467億円でございましたので、この1年間で約954億円の増加となっております。令和2年度から特例配分を開始して間もなく、令和3年2月13日に令和3年福島県沖地震が発生し、また、令和4年3月16日に令和4年福島県沖地震が発生いたしましたので、ここ3年の積み上がりペースは当初予定したよりも遅れてはおりますが、特例配分につきましては民間危険準備金残高の回復に寄与していると考えております。

民間危険準備金残高の回復目安につきましては、第1回のとりまとめにおきまして約1兆円とされているところでございますので、引き続き現行の特例配分、「官対民、3対7」を継続してまいりたいと考えております。

事務局からは以上でございます。

○佐藤座長ありがとうございました。

それでは、続きまして「足元の主要課題「地震保険の加入促進について」」と題しまして、更なる加入促進に向けて、及び地震保険制度の適切な運用確保に向けてについてご説明いただきます。質疑応答はそれぞれ説明の後に設けさせていただければと思います。

それでは、初めに事務局より、議題設定の背景についてご説明をよろしくお願いいたします。

○福島信用機構課長平成28年の熊本地震以降、地震が頻発しておりまして、加入促進等を通じた地震保険制度の強靭性確保がより一層重要となっております。そこで今回の研究会においては、将来的なとりまとめも見据えつつ、まず足元の地域別、構造別の加入状況についてご報告させていただき、今後の加入促進策の方向性についてご議論いただきたいと考えております。加えて、加入促進を行うに当たりましては、地震保険制度に対する信頼性を確保することも重要な課題となっております。この観点から令和3年福島県沖地震において本格導入された自己申告方式の事後検証結果について損保協会からご報告いただくとともに、近年深刻化している保険申請サポート業者問題の現状についてもご報告いただき、今後の対応策等についてご議論いただきたいと考えております。

それでは、最初の「更なる加入促進に向けて」につきまして、事務局資料の説明をさせていただきたいと考えています。

資料3をご覧ください。地震保険の加入促進についてでございますけれども、おめくりいただきまして、1枚目でございます。地震保険に関する法律第1条では、「地震保険の普及を図り、もつて地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的とする」と規定されております。また、本研究会の令和2事務年度のとりまとめにおきましては、平時から付帯率の低い地域等に対し効果的な加入促進策を講ずることが重要とされております。

このような状況のもと、地震保険の足元の契約状況について見ますと、下の図のとおり、青い棒グラフで示している保有契約件数自体は増加しているものの、赤い折れ線で示しております保有契約件数の伸び率は緩やかになりつつあります。そこで、今後の巨大地震等に備え、地震保険制度の強靭性を一層確保していくためには、効果的な加入促進を図っていくことが重要と考えます。

資料をおめくりいただきまして、2枚目でございます。地域ごとの加入状況でございます。こちらのスライドでは、地震リスクへの備えの手段としまして、地震保険及び地震共済が都道府県ごとにどのような普及状況にあるのかを示しております。まず左の図1でございますが、青色部分が地震保険の加入率、その上に積み上げている黄色い部分が地震共済の加入率です。青色と黄色のそれぞれについて見ますと、地震保険と地震共済の加入状況には地域ごとにばらつきが見られます。例えば地震保険につきましては、主に東京、神奈川、愛知、大阪、福岡などの大都市圏ですとか、あるいは宮城、熊本といった最近大きな地震があった地域を中心として普及している一方で、地方では地震共済のほうが普及している県も多く見られます。

右の図2は、これまでの地震保険の付帯率を示しておりますけれども、この図2と先ほどの図1を見比べていただきますと、例えば大分県などでは、地震保険の付帯率だけを見ますと全国平均を超えておりますが、地震共済を合わせた加入率を見ますと全国平均を下回っているような例がございます。一方、佐賀県などは、付帯率は低くても地震共済と合わせた加入率については全国平均を超えているというような地域も確認できます。

こうしたことから、現在行っております地震保険付帯率下位5県への取組を強化するという、こういうアプローチのほかに、これは付帯率下位5県とかぶる部分も大きいところはあると思いますけれども、例えば、付帯率と保険・共済を合わせた世帯加入率の双方を考慮した下位5県に対して重点的に取り組むアプローチなどが、加入促進を行う観点からは重要と言えるのではないかと考えられます。

続きまして、3ページ目でございます。地震保険の構造別付帯状況ということでございまして、ここからは持ち家と借家のそれぞれについて、マンション・戸建ての構造別に地震保険の付帯状況を見ていきたいと思います。

まずは持ち家についてです。初めに図1でございますが、左の円グラフにございますように、住宅総数に占める割合は、持ち家は53%、借家が30%です。そして、右の円グラフを見ますと、持ち家全体のうちマンションは17%、戸建ては82%となっております。次に、下の図2でございますが、これは地震保険付帯率を指数化したものでございますが、マンションの専有部を100としますと、戸建ては107となっておりまして、両者の付帯率はおおむね同水準でございます。こうしたことから、持ち家におきましては、マンション・戸建ての構造の差異に関わらず、同程度、地震リスクへの備えがあることが分かります。しかしながら、図3をご覧いただきますと、同じマンションであっても専有部の付帯率が足元74.9%となっているのに対しまして、共用部分につきましては、順調に伸びてきてはいますけれども、足元49.0%ということで低い水準となっております。したがいまして、引き続き、マンション共用部の付帯率向上に資する取組を推進していくことが、重要と言えるのではないかと考えます。

続きまして、資料の4ページ目でございます。今度は借家における構造別付帯状況についてでございます。最初に補足いたしますと、地震保険契約は、持ち家につきましては建物と家財の両方が対象となっておりますけれども、借家につきましては建物の契約はできないことから家財のみが対象となっております。そのため、借家の付帯状況ということは、すなわち借家の家財における付帯状況ということになります。まず図1でございますと、住宅総数の30%を占める借家のうち、マンションが84%、戸建てが8%となっておりまして、圧倒的にマンションが多い状況でございます。そして、図2にございますように、指数化した数値で地震保険付帯率を比較しますと、借家の大宗を占めるマンションを100としたとき、戸建ては81となっております。次に、右の図3でございますが、こちらをご覧いただきますと、借家の家財に対する付帯率でございますが、地震保険全体、建物を含めた形の全体の付帯率と比べますと低くなっております。また、この約10年間の変化を見ますと、差につきましては、緑色とオレンジ色ですけれども、27.9%ポイントから23.2%ポイント、若干縮まってきております。しかしながら、水準変化を見ますと、地震保険全体の緑が48.1%から69.0%、約1.4倍になっている一方で、借家の家財のほうは20.2%から45.8%ということで約2.3倍となっておりまして、相当高い伸びを示しているということが言えるのではないかと思います。損害保険業界の取組等もございまして、このように借家の家財につきましては相対的に高い伸びを示していることが分かります。

なお、最後に参考まででございますが、地震保険1件当たりにおける平均保険金額につきましては、家財が217万円、建物が1,062万円と、建物のほうが大きな金額となっております。

事務局からは以上でございます。

○佐藤座長ありがとうございました。

続きまして、日本損害保険協会よりご説明のほう、よろしくお願いいたします。

○山口地震保険特別PTリーダー日本損害保険協会の地震保険特別PTリーダーを務めております山口です。よろしくお願いいたします。私からは「地震保険の加入促進(更なる加入促進に向けて)」と題しまして、地震保険の加入促進に向けた損保業界としての取組並びに大手4社の取組についてご説明いたします。資料4になります。

1ページ目をご覧ください。こちらは令和2事務年度とりまとめの概要であり、資料3の財務省作成資料と同様の内容を記載しております。業界といたしましては、とりまとめにおいて述べられておりますとおり、地震保険制度の強靭性に資するとの観点を踏まえ、平時から加入促進を図るべく継続的に取り組んでいるところでございます。

続きまして、2ページ目をご覧ください。日本損害保険協会における地震保険広報の基本的な考え方についてお示ししております。1つ目としましては、一般消費者に日本全国で地震による被害を受ける可能性があることをご認識いただく。2つ目としましては、一般消費者に地震への経済的な備えの手段として、地震保険加入の必要性を認識いただく。3つ目としまして、付帯率が低い地域または保険の対象(家財、マンション共用部分)など、ターゲットを絞った取組を実施する。以上3点となっております。

続きまして、3ページ目をご覧ください。2022年度の日本損害保険協会における取組のご報告となります。まずスペシャルWebムービーを一般エリア用、低付帯率エリア用、2022年度付帯率下位5都道府県用、以上3本を作成しております。なお、一般エリア用ムービーでは広く加入促進を訴求する観点から清水先生に、また、低付帯率エリア用及び付帯率下位5都道府県用ムービーには纐纈先生にご出演いただきまして、地震リスクの専門家として分かりやすく解説をいただきました。この場をお借りしまして改めて深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

続きまして、4ページ目をご覧ください。日本損害保険協会で作成したデジタルコンテンツを2つ掲載しております。1つ目、左手になりますけれども、地震保険の補償内容や都道府県別の地震リスク、過去に発生した地震被害を分かりやすく解説した「地震守備力テスト」、2つ目は都道府県別の過去の大地震や地震保険の付帯率、防災のポイントなどを分かりやすく解説した「47都道府県の地震のこと」となります。自ら住んでいる都道府県別のリスクを正確に知ることによって地震への備えを喚起する内容となっております。

続きまして、5ページ目をご覧ください。こちらでは日本損害保険協会で実施したテレビCMをご紹介しております。地震保険は生活再建のための経済的備えとなることを訴求した「生活再建と地震保険」編、地震による被害で損壊したとしても住宅ローン自体は残るケースもありますことから、地震保険で備えることの大切さを訴える「マイホームと地震保険」編、地震の被害は家財にも及ぶこと、賃貸住まいであっても生活再建のため地震保険の備えが必要であることを訴える「賃貸住まいと地震保険」編、以上3つを作成しております。

続きまして、6ページ目をご覧ください。日本損害保険協会で新たに作成したツールをご紹介しております。家財の地震保険加入の必要性を啓発するため、イラストを用いてストーリー仕立てとした地震保険家財チラシ「あなたの大事な家財には備えていますか? 地震保険」のご紹介となっております。

続きまして、7ページ目になります。付帯率に課題のあるマンション共用部分の加入促進を目的として、マンション管理組合、マンション管理会社向けに地震被害をきっかけに生じるトラブル事例を取り上げまして、地震保険による備えの重要性を訴える「マンション共用部分への地震の備え、できていますか?」チラシのご紹介となります。

続きまして、8ページから9ページにかけてご覧ください。ここからは損害保険各社によります地震保険の加入促進取組をご紹介しております。8ページから9ページにつきましては、地震リスクや地震保険の補償内容について分かりやすく解説したデジタルコンテンツのご紹介となります。ペーパーではなかなか訴求力も上がってまいりませんので、ご覧のように各社において創意工夫のもと、取組を進めております。

続きまして、10ページから11ページをご覧ください。地震を含めた自然災害リスク情報を提供することを目的としたデジタルコンテンツのご紹介となります。自社が持つ保険金支払データを加えた総合的な災害リスクマップの提供、あるいは地震のほか、台風、豪雨などの自然災害による被災建物数をリアルタイムで予測し公開するアプリなど、地震をはじめとする自然災害リスクのアナウンスメント効果を発揮すべく、様々な取組を行っているところでございます。

続きまして、12ページから14ページをご覧ください。こちらは損害保険各社によります地震保険パンフレットを紹介しております。いずれも小さくて恐縮ではありますけれども、ご覧のとおりイラスト仕立てのもの、近年発生した巨大地震を地図上にマッピングしまして、どこでも地震が発生し得ることを訴えたもの、地震保険の加入に当たって建物の耐震性に基づき設けられている割引制度をご紹介したもの、地震を含めた自然災害への備えを訴求するもの、各社、創意工夫のもと様々なツールを作成しまして、地震保険の加入促進に向け、日々活動を行っております。

最後になりますけれども、15ページをご覧ください。日本損害保険協会の2023年度の地震保険広報の取組方針をお示ししております。2022年度に引き続きまして、付帯率が低い地域や付帯率の低い保険の対象(家財、マンション共用部分)などターゲットを絞った取組を予定しております。

また、オンラインでの情報発信やデジタルコンテンツの活用など、時代の変化に即した媒体・手法による取組を推進する予定です。特に家財及びマンション共用部分における付帯を一層促進する観点から、家財に地震保険を付帯していない消費者やマンション管理組合の加入行動を喚起する予定としております。

マンション管理業協会などと連携しまして、マンション管理組合向けの普及促進に向けて、さらに取り組む予定としております。

以上、地震保険の加入促進に向けた業界の取組についてご説明いたしました。業界として、さらなる地震保険の加入促進に向け、引き続き取り組んでまいります。以上となります。

○佐藤座長ありがとうございました。

それでは、ここまでの説明を踏まえ、委員の皆様方からご意見、ご質問をお願いしたいと思います。それに先立ちまして、まずは事務局より、本日ご議論いただきたい事項について説明をお願いいたします。

○福島信用機構課長それでは、最初の議題でございます「地震保険の更なる加入促進に向けて」について、本日ご議論いただきたい事項につきまして、資料7に沿ってご説明させていただきたいと思います。資料7をご覧ください。資料7の1になります。

まず1点目でございますが、「足元では加入促進策として付帯率が低い地域(下位5県等)に対し重点的な取組を行っているが、今回、『付帯率』は全国平均以下であるが、『保険・共済を合わせた世帯加入率』は全国平均以上の地域もあることが明らかとなった。これを踏まえ、例えば、『付帯率』と『保険・共済を合わせた世帯加入率』がいずれも全国平均を下回る地域に対して加入促進を重点的に取り組むことなどが考えられるが、地域に着目した現状の加入促進策について、見直すべき点はあるか」です。

次に、2点目としましては、「地域に着目した加入促進以外にも、構造別、持ち家・借家別などの属性に応じた効果的な加入促進策としてどのようなものが考えられるか」とさせていただいております。

事務局からは以上でございます。

○佐藤座長ありがとうございました。

では、早速、委員の皆様方から質問、あるいはコメントをいただければと思います。論点は2つ、事務局から提示されておりますけれども、いずれでも構いませんし、あるいはほかの観点でもよろしいと思いますけれども、いかがでしょうか。どうぞ。

○鈴木委員まず1点目は、今回、地震保険と地震共済の世帯加入率も実際に分析されたということで、こちらも考慮されるというのは、確かにこれまでの地震保険の付帯率だけを見るよりもさらに効果的なのかなと思いますが、最終的には、日本というのはすごく地震大国だと思うので、どこでも地震が起こるリスクはあると思います。恐らく先ほどもあったように、地震のリスクが高い地域というのは、いろいろなところで国において把握されていると思うので、地震が起こるリスクが高い地域、特に被害が起こり得るリスクが高い地域をもう一つの考慮として織り込んだ上で促進されると、より近々でリスクが、地震被害が多いところに対しての加入促進が図れるのかなと個人的には思いました。

2点目は、地域に着目した加入促進以外というところで、これは全く国側の状況も分からないで、自分の個人的な思いで申し上げますけれども、例えば属性として所得層によって、保険というのはどうしても付加的なサービスになりますので、所得の階層によってはなかなか、地震保険に限らないと思いますけれども、特に地震保険というのはかなり追加的な位置づけになる保険だと思いますので、そこについて、例えば所得別の地震保険の加入率みたいなものをモニタリングして、さらに可能なのであれば所得階層ごとに、非常に低い所得の方に対しては補助金というか、保険料は基本的にリスクに応じて設定されるので、保険料を変えるのが無理であれば、国のほうで民間の保険会社さんに対して不足分を補填するような形になるのかもしれないですけれども、いずれにしろ、日本地震再保険株式会社が100%支出されるので、あまりそこも関係ないのかもしれないなと思いながら、何かしらそういう、所得層に応じた保険料のグレードというか、金額の調整みたいなものがあることが加入促進としては効果的なのかなと思いました。

○佐藤座長ありがとうございました。昔、損保協会さんがアンケート調査(※)か何かで、所得階層別とか住宅の耐震、古い住宅別、築年数別とか、何かアンケート調査をとっていたような気がしましたが、今この段階で加入者のオプションのところなんて分からないですよね。

○山口地震保険特別PTリーダー現段階では持ち合わせておりません。

○佐藤座長もしやろうと思ったらアンケート調査みたいなことを別途やる必要があるということだとは思いますけれども、ただ、大事な視点だと思います。

(※追記:損害保険料率算出機構において、地震保険加入状況と世帯年収等についてアンケート調査を実施している。「地震保険研究36『消費者の地震危険意識と住居建物属性の調査(2019年調査)』」)

たしか記憶だと、新潟県か何か、保険料の補助をやっていたということがあったと思います。保険料に自治体が補助をするというのが、たしか加入促進策としてありました。

清水さん、どうぞ。

○清水委員事務局の資料によれば、マンション共用部の加入率が目に見えて伸びています。伸びたのは新築物件においてでしょうか。また、賃貸住宅の加入促進についての資料によれば、借家の家財の加入率は45.8%と低めです。賃貸借契約をするときは、火災保険も同時に加入する方が多いので、そのとき火災保険を提供する不動産業者がどのような火災保険パッケージを提供するかで地震保険の付帯率は変わると考えられます。地震保険を標準パッケージとして付帯して提供すれば、賃貸住宅における付帯率も伸びると考えられます。低いとはいえ賃貸住宅の地震保険の付帯率が近年上がっているということは、地震保険を付帯したパッケージを提供する不動産業者が増えているということでしょうか。

一方で、一般賃貸住宅の火災保険は、現在は損保会社ではなく少額短期保険業者の提供する火災保険が少なくありません。少短には地震保険を付帯できないので、加入促進対象には含まれません。最近は賃貸向けのネット火災保険も提供されていますが、契約手続の手軽さが重視されるためおおむね型決めによる販売となっており、地震保険は付帯できません。よって賃貸向けネット火災保険も、加入促進対象からは外れます。今後加入促進を図るうえで、地震保険が付帯できない少額短期保険、賃貸借ネット火災の割合がどの程度なのかを知る必要があります。

また、一般賃貸住宅以外のUR賃貸住宅や公社住宅では、賃貸借契約時に火災保険の加入を求められないため、加入が低いと聞いています。こうした住宅への対応はどうするのかも検討する必要があります。

賃貸住宅は、持ち家と異なり資金リスクが低いですが、住宅が倒壊すれば移転を余儀なくされます。そのとき被災者生活再建支援制度からの支援金に加え、地震保険金があれば移転も進めやすくなるはずです。やはり地震保険は重要であり、賃貸住宅の居住者にも加入促進が必要と考えます。

○佐藤座長ありがとうございます。では、まずマンションの共用部が増えているところにつきまして、これは事務局、もし情報があれば、どういうマンションがということ、新築なのか、中古なのか。

○福島信用機構課長これは新規契約件数をとっていますので、もちろん新築も入っていると思いますが、新規契約なので、中古といいますか、既に建っているものもあると思います。そこについては分けてとっていないので、その点について情報は、申し訳ないです、今のところ手持ちにはございません。

○清水委員マンション入居後、新たに地震保険に加入するのはハードルが高いです。住民合意が必要だからで、中古マンションにおいては新たな加入は恐らく少ないのではないかと考えます。付帯率が伸びたのはおそらく、共用部分の火災保険に最初から地震保険がセットされていた新築住宅ではないかと。だとすると中古マンションでは、どうすれば地震保険に入りやすいのか、考える必要があると思います。

○福島信用機構課長清水先生、本当にありがとうございます、非常に分かりやすくお話をしてくださって。事務局の資料ではないですが、損保協会さんの資料4の一番最後のページの取組にあるように、マンション管理業協会とか組合とか、そのあたりと連携しながら行動喚起とありますので、もちろん新築のときにパッケージで入ってしまうのが一番早いと思いますけれども、それだけではなかなか既存のところに進まないので、こうした取組を2023年度もやっていくということだと理解しております。

○佐藤座長もう一つ、損保協会さんから、火災保険とネット販売、ネット保険も出てきているので、このあたりの対応についてお願いします。

○山口地震保険特別PTリーダー先ほどの借家のオーナーが保険を手配する場合など、ここについての情報は持ち合わせていないですけれども、さほど多くはないのではないかと思っています。入居される方が入居するときに火災保険を手配するというのが通常ですので、そのときに併せて地震保険をお勧めしているということかなと理解しております。

また、URなど公社の扱いについては、現時点情報を持ち合わせていません。

なお、少短につきましても、少短のほうでどの程度保有契約があるかというのは、私ども日本損害保険協会のほうでは把握できておりません。少短にて加入されている方が結構いらっしゃるということは認識していますけれども、どの程度の割合を占めるかについては、具体の情報を入手しておりません。

○佐藤座長よろしいですか。ありがとうございます。

では、阿部さん、お願いします。

○阿部委員今の賃貸のところで同じように、私もこの資料は大変興味深く拝見させていただきました。というのは、オーナーが保険を手配することがどうなっているかというところですけれども、私が相談を受けていたときは随分前ですけれども、オーナーのほうで、契約と同時に火災保険、要するに家財に入ってくださいということが多く出だした時期があります。その当時は、消費者から「なぜ入らなきゃいけないのか」だとか、「火災保険というのは、本当はオーナーが入るものでしょう」というようなご相談をよく受けました。今は、相談を受けている中では、統計をとっているわけではないですが、賃貸契約と同時に強制までいかないですけれども、条件のような形で火災、家財に入ってくださいというところが多くあります。それから、借りる側の消費者の方も、そういうものだと分かってきているというところはありまして、私がこれを非常に興味深く思ったのは、さらに地震の付帯率まで上がってきているというところで、本当に少し前とは随分違って、やはりいろいろなチラシを配っていただいているというところにおいて、消費者に周知がされてきているのかなということは非常に強く思ったところです。

それと同時に、今度はオーナーの方でも、賃貸物件に火災保険をどう付ければいいのかということを把握できていないことも多かったりして、火災保険というのは、オーナーが付けるのはどういうものなのか、借りる方が付けるのはどういうものなのかとか、そしてまさに強制のようにした場合に、消費者契約法といいますか、そういったものは大丈夫なのかというようなことでご相談を受けているところもありました。やはりこういったとことにおいては、ぜひチラシ等を配っていただいて、例えばオーナーの協会等にご案内して、そちらのほうと連携するということもございますので、そういったところにチラシを配布していただきたいと思います。私どもも、そういう相談を受けたときは火災保険、家財に入る意義というようなものもご説明しますので、チラシを配り、理解をしていただいて消費者に入ってもらうというところがよりできればばいいのかなと思って、私もこれは非常に興味深く見せていただきました。

それから、地震保険と地震共済を合わせたデータというところ、私は、これは非常によいのではないかと思っております。震災に遭った後の生活再建というのを考えますと、共済金というのはそんなに大きな金額でないとは思いますが、先ほどの少額短期等、賃貸のほうでもそんなに高い金額ではないですが、やはり地域に根ざした共済の良さといいますか組合員と共済の関係というのがあって、地方においては加入率が高いというのがこの表を見させていただいて感じたところでございますので、そこは一緒に考えていただいて、加入促進を進めていただけたらなと思っております。

○佐藤座長ありがとうございました。今のは、コメントということで、よろしくお願いします。

さっき清水委員からもう一つ、ネット保険の話もあったと思いますが、どちらかというと、あれもこの10年の大きな変化というような気もいたします。これは保険代理店を通した加入促進というイメージでこれまで議論して、ポスターの話も出ていますよね。今、皆さんネットで保険に入るというときに、こちらのほうはどのような状況ですかね。そちらでも一応、地震保険の付帯率は高いのか、代理店を通すケースとネットで買うケースで違いがあるのか。ネットはネット向けで何か広報戦略を打っていらっしゃるのか。

○山口地震保険特別PTリーダーネット保険への広報戦略は、日本損害保険協会として特段決めておりません。ネットで加入する場合であっても、一般的な代理店経由で加入する場合であっても、当然地震保険は原則付帯ではありますけれども、そこから先はお客さまがどう選択していくかということにはなろうかと思いますので、協会としてはしっかりお勧めしていくというところが大事なのかなと考えております。

○佐藤座長ありがとうございます。

ほか、いかがでしょうか。どうぞ、堀田先生。

○堀田委員最初に質問だけさせてください。資料2の「地震再保険金」と書いてありますけれども、これはどういう内容か確認させてください。ほかは「地震保険支払保険金」という言葉に統一されていますけれども、ここだけ「再保険」と記載していますが、特別の意味があるのでしょうか。

○佐藤座長これは損保さんのほうから、2ページのところで、確かに「支払再保険金の速報値」と書いてあって、これは「保険金」でいいのですかという質問だと思います。

○角倉火災新種損害調査PTリーダー地震保険に関しては、日本地震再保険株式会社に各保険会社から再保険を出再しておりますので、そちらのほうから回収される再保険金の金額でございます。「※」にもありますが、日本地震再保険株式会社調べによる支払再保険金の速報値ということで記載しております。

○池田常務取締役同じ数字でございます。

○堀田委員1つの資料の中に、最初のタイトルには「地震保険支払保険金」と書いてありますよね。ところが中に「再保険」という言葉を使っているのは、見られる方に対して無用な誤解を与えるのではないかと思います。

○池田常務取締役確かにそのとおりだと思いますので、言葉を合わせたほうがいいですね。同じ意味合いでございます。

○堀田委員保険会社と再保険会社のどちらから見るかの問題だと思いますが、見られる方の理解を混乱させないようにお願いします。

○池田常務取締役承知しました。表に出る資料なので、言葉を合わせるようにいたします。

○堀田委員私は今日のご説明を聞いて、率直な感想としては、加入率及び付帯率というのは順調に上昇しているなと思いました。皆さんのご努力の賜物かと思います。今回は、加入をどう促進していくかというのがテーマだというお話ですけれども、現行のものでの対策というのは着実に成果が現れていると思います。しかし、もっと根本的に加入なり、あるいは付帯率を上げるということになれば、商品そのものの見直しも含めて考える必要があるのではないかと思います。具体的に言うと、例えば今のお話の中であった家財の件です。持ち家の方もマンションの所有の方も、賃貸の方も必要性が高いわけですけれども、そこにおいて損害補償を基本とする現行の保険という枠組みを使うべきなのか、それともいわゆる定額補償的な保険制度に移行して、もっと迅速性、さらには耐震に対するインセンティブを与えるような仕組みを導入するということも考えられます。家財に関しては定額型の保険に移行していくことで加入促進されるかどうか分かりませんけれども、商品の部分で見直すことによって加入率なり、付帯率を上げていくことにつながるのではないか、そうした検討をいずれしていただけないかと思っています。それと関連して、今までの研究会でもずっと議論してきているわけですけれども、同じように、立地割増とか立地割引とかというような形での制度改正を加えることによって、より公平かつ適正な形で加入が促進できるのかどうかです。より根本的に付帯率などを上げたいということであれば、商品そのものの見直しも含めた検討を中長期的に考える必要があるのではないかなと思います。これが1点。

もう1点は、今回新たな資料として、共済の資料をいただいているのは非常にいいと思います。実は私は前から、共済の議論を外に置いておくというのはどういうことかなと思っていました。国全体で考えれば、地震保険も地震共済も合わせて国民を守っているわけです。その意味では、普及を進めるという意味においては共済との情報を交換するとか、あるいは協力できる体制をつくるとか、何かやれることがあるかなと思います。ただ、そのときに問題なのは、現状では、地震保険と地震共済の中身が違っていたり、あるいは国と共済、保険とのスタンスが違います。中長期的には、共済と保険の補償内容をできる限り平仄を合わせるような仕組みにすることも検討すべきではないかと考えています。現行の枠組みの根本的な見直しにつながる可能性が高いですが、そういうことをすることによって、今回のテーマであるところの加入促進とか、付帯率向上とかというところにもつながるのではないかなと思っています。

以上の2点です。

○佐藤座長ありがとうございます。立地割増、割引については、この研究会でも何回か議論が出てきたと思いますけれども、昔のまだプロジェクトチームのときかな、商品性についてもいろいろな議論があったと思います。つまり定額払みたいなのがあっていいんじゃないかとか、今は火災保険の半分ですけれども、保険料は高いけれども火災保険と同じだけ満額払ってあげますよ、という話であったり、幾つかそういう商品性のいろいろなバリエーションがあっていいのではないかという議論は随分前にも出ていたと記憶しています。

あと、共済の話はまた複雑でして、共済は担当が金融庁じゃないので、共済の金融事業というか、保険事業をこれからどうするかというのは全く違う話として考えておかなきゃいけない話なのだと思いますが、でも、確かに平仄を合わせる必要があるのではないかという議論は、そのとおりだなという気がします。

纐纈先生、お願いします。

○纐纈委員私も共済のことで、共済の加入件数がかなり多いというのは非常にびっくりしました。島根県などは地震保険より多いわけで、監督官庁が違っていても、どういう保険の仕組みでやられているかということと、どのように加入を勧誘されているかということは具体的にぜひ調べていただきたいなと思います。その結果が多分、地震保険の加入促進にいい結果を及ぼすと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

また、地震保険側で、もちろん地震の危険性を強調することで加入促進をするという、これまでのやり方も重要ですが、地震保険は保険会社さんがノープロフィットで、事務経費以外はある意味、ボランティアでやっているという点と、どんなに保険金支払の総額が巨額になっても、もちろん関東大震災レベルという上限はありますが、最後は国がバックアップするというシステムになっているということが地震保険のメリットなわけですので、それらを強調するという加入促進方法もあるのではないかと思いました。以上、コメントです。

○佐藤座長ありがとうございます。地震共済は、共済が地震を対象に独自に売っているわけではなくて、たしか共済の保険の中に入っているのですよね。つまり風水害と一緒に地震も保険金の対象になっています。だから、地方によっては、地震に入っていると考えるよりは、風水害で一般的に入っているのが地震もカバーされているという、そのような状況かなと。

○堀田委員そのとおりで、地震共済の場合には、主契約の中で自然災害の保障の1つとして予め地震保障も入っているということです。例えば、自賠責保険のような形で地震保険を外に出して、保険と共済が共通の地震保険を国が支えるような仕組みができれば、全く新しい地震保険システムの形になります。現在でも、地震保険だけ入りたいという人がいるわけですよね、ところが、今は火災保険に付帯しないと入れませんというような縛りをつけているわけです。地震保険の加入を促進したいとおっしゃいますが、現行では同時に火災保険にはいらなければなりません。仮に、地震保険を単独で加入することができるような仕組みを作れば、地震保険の普及にある程度効果があると思います。さらに地震保険を普及させたいということであるならば、現行の枠組みを見直すことを含めた検討も必要ではないかと考えています。

○佐藤座長ありがとうございました。

一通りご意見は伺っていますけれども、ほかにいかがですか。

○清水委員賃貸住宅の地震保険の付帯率が伸びた要因として、損保業界としてはどのような総括をされているのでしょうか。

○佐藤座長増えたという事実はあるけれども、理由が分からない。

○山口地震保険特別PTリーダー現時点そこまでは、まだ分析はできておりません。

○清水委員繰り返しになりますが、賃借人は賃貸借契約時に仲介する不動産業者で火災保険の手続をすることが多いと思います。このとき、勧められた火災保険に加入する賃借人が多いので、逆に不動産業者がどのような火災保険を提供するかで付帯率は変わってくると思います。

○山口地震保険特別PTリーダーそちらのほうは、地震保険どうこうというよりも、入居するときの火災保険とか、借家人の賠償責任保険とか、そういうところで不動産会社なり、不動産代理店がどうお勧めしていくかと、こういうところが論点になってくるのかなと思っていますので、各々の損害保険会社としては火災保険をお勧めするというのはもちろんありますけれども、付帯率の観点から、先ほどお話があった少短の影響なのか、あるいは共済なのかというところまでは、協会としては把握し切れていません。

○清水委員今申し上げたのは、あくまでも地震保険が付帯できる火災保険が勧められている場合の話です。賃貸住宅の地震保険の付帯率が伸びた背景に、たとえば不動産業者に地震保険付帯を強化するといった加入促進策があったのか知りたいと思いました。

○山口地震保険特別PTリーダーそこのところは、まさに借家に対する地震の付帯率が低いという課題認識がありましたので、地震保険の付帯を促進するというところは、お客さま向けであってもそうですし、代理店に対してもぜひお客さまにお勧めしてくださいということで取組を進めております。

○清水委員では、付帯率が増えたのはそういう取組の結果と捉えているということですか。

○山口地震保険特別PTリーダー業界としては、そう思っています。

○佐藤座長不動産屋さんに直接、広報上、例えばアピールするとかアプローチするということはあるのですか。

○山口地震保険特別PTリーダー不動産業者にというか、不動産業者が保険代理店を兼ねているときに地震保険をお勧めしているということだと思いますので、損害保険代理店に対して地震保険のセット推進を勧めているということでございます。

○佐藤座長4ページ、図3を見ていると、確かに幅は小さくなっているけれども、どちらかというとタイムトレンドを追いかけているだけのような気もするので、全体的に加入率が上がっているときに一緒に引きずられて借家のほうは伸びていますねというのが何となく答えのような気はしますが。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

私のほうからも1つ、確かに2ページの共済と地震保険を合わせた図は非常に面白くて、昔は内閣府が、防災担当でもそこで行ったことがございますが、多分2つポイントがあって、1つはそうはいっても埼玉、東京、千葉はなかなか伸びないねというか、2つ合わせても全国平均を下回っているねという。一番危ないところがやはり、東京は人口も多いのである程度やむを得ないのですけれども、なかなか伸びていないねというのは、もしこれから重点的にやれと言われたらこのあたりかなというのが1つと、あと、解釈が困るなと思ったのは、北海道と沖縄で妙に低く見えるのですが、何せ北海道は広いので、沖縄も海を入れればとても広いので、恐らく地震リスクが同じ県内で全然違うのだと思います。北海道は有名ですよね。そのため、北海道の低さとか沖縄の低さはもうちょっと分解して考えないと、ちょっとミスリーディングかもしれないなという気はしました。北海道の中にも地震があまりないところもあるので、十勝みたいに毎回起きるというところもありますし、似ているのは沖縄もそうですよね、たしか。そのため、ここは特別なエリアとして考えるべきことかなというのと、それでも説明がつかないのが長崎県でありまして、これは理由が全く謎ということになるのかなと思いますけれども。ただ、基本的に当面の対策は恐らく東京、千葉、埼玉あたりなのかなというのが、このあたりから読み取れるかと思います。

いかがでしょうか。大体予定したお時間になってきておりますので、もしご質問があれば、後でまた受け付けたいと思いますけれども、前半のほうの話はここまでとさせてください。

続きまして、「地震保険制度の適切な運用確保に向けて」につきまして、以前、委員の皆様方から必要性をご指摘いただいておりました自己申告方式の事後検証結果や保険申請サポート業者問題への取組について、それぞれご説明いただきます。

まず、資料説明に先立ち、議題設定の背景につきまして、まずは事務局から補足の説明をお願いいたします。

○福島信用機構課長自己申告方式につきましては、大規模地震発生時の損害査定オプションとなっております。しかしながら、顧客の申告不備等をいかに防いでいくかが課題となっております。現状、申告不備が見受けられる案件につきましては、立会調査への切り替えを含めた追加的な対応を行っておりますけれども、より効果的、効率的な方策を検討していく観点から、今回は自己申告方式の現状や今後の改善の方向性についてご議論いただければと考えております。

次に、保険申請サポートをめぐるトラブルについてでございますが、こちらは消費者問題にもなっております。この問題は、場合によっては地震保険制度に対する信頼を損なう事態を招くおそれもございますので、問題の現状及びこれらへの対応策についてご議論いただければと考えております。

事務局からは以上でございます。

○佐藤座長ありがとうございます。

それでは、まず自己申告方式に関する事後検証及び保険申請サポートに関する注意喚起の取組につきまして、日本損害保険協会よりご説明をよろしくお願いいたします。

○角倉火災新種損害調査PTリーダー改めまして、損保協会の角倉でございます。私のほうから自己申告方式に関する事後検証についてご説明申し上げます。資料5をご覧ください。

自己申告方式は、冒頭の議題でもご説明いたしましたが、令和3年福島県沖地震において初めて本格的に活用しておりまして、昨年の研究会でもご報告を申し上げております。その際に、委員の先生方から事後検証を実施してはどうかというご意見をいただいたことを受けまして、今回事後検証を実施しておりますので、結果をご報告申し上げます。

まず1ページ目でございますが、初めに自己申告方式の概要について改めてご説明いたします。自己申告方式は、お客様からご提出いただいた自己申告書と損傷箇所を撮影した写真に基づいて地震保険の損害調査を行う方式となります。自己申告方式は、立会調査と組み合わせて活用することで、立会調査の要員が不足するような大規模な地震が発生した場合でも地震保険制度全体として迅速かつ適切に保険金をお支払いする、ひいては被災者の生活の安定に寄与するということを目的として導入している制度になります。

また、自己申告方式は、立会調査と同様に、適正な損害認定が可能な事案に限定して運用しております。仮に一度お客様へ申告書をご案内した事案であっても、申告された損害状況が写真から確認できないようなケースにおいては、保険会社で立会調査に切替えをすることで認定の適切性を確保している、こういった運用をしております。

結果として、令和3年福島県沖地震において自己申告方式を活用した事案は、損害区分が一部損になった事案というものが大多数を占めているというのが確認できております。

続いて、2ページ目をご覧ください。事後検証の実施概要でございます。今回の事後検証では、令和3年福島県沖地震で自己申告方式を適用した事案を確認しておりまして、自己申告方式による認定が適切な精度を確保できているか、こういった観点で検証を実施しております。検証に当たっては、正確性・客観性・透明性を担保する観点から、公益社団法人日本損害鑑定協会に検証を委託しておりまして、第三者の目で検証を行っております。

検証の結果でございますが、一部の事案について損害調査書の作成もしくはお客様からの電話聴取内容の記録に関する事務的な不備はあったものの、適切な認定結果が得られているということを確認できております。

また、お客様の申告書の記入不備であったり、損害写真の提出漏れ、こういった事象も一定数確認されております。こうしたケースは保険会社からの電話連絡によって追加で損害状況をヒアリングしたり、もしくは損害写真の提出を追加でお願いすることによって認定の適切性を確保しておりますが、自己申告方式におけるお客様への分かりやすさ及び記入不備の未然防止、こういった観点からは、まだまだ改善の余地があるものと考えております。

続いて、3ページ目をお願いします。こちらは検証結果で確認された課題に対する今後の方針でございます。今回の検証結果では、自己申告方式において適切な認定精度が確保できている点については確認ができております。一方で、一部の事案で確認されております保険会社側の事務的な不備もしくはお客様による申告書の記入不備、写真の提出漏れ、こういった事象についてはお客様の分かりやすさ及び未然防止の観点から改善策を検討し、自己申告方式を活用した迅速かつ適正な保険金支払を実現していく必要があるものと考えております。具体的には、下の図にも記載をしておりますが、自己申告書などの書式の改訂と自己申告方式のWEB化を行うことで各課題に対して改善を図り、自己申告方式の運用改善や制度検証を実施していきたいと考えております。

続いて、4ページ目をご覧ください。ここからは具体的な改善策についてご説明いたします。まず書式・マニュアルの改訂についてです。1つ目の保険会社の事務手続に関する課題については、業界共同で作成している保険会社向けのマニュアルなどを拡充し、申告内容の確認に関する運用方法などを明確化することで、さらなる適正な損害認定を確保したいと考えております。また、損害調査書や関連ツールなど、こういったものを改善することで人為的なミスについても未然防止を図ってまいりたいと考えております。

続いて2つ目でございますが、お客様の分かりやすさに関する課題については、今回の検証以前に、令和3年福島県沖地震の保険会社向けアンケートを実施しております。このアンケートの中でも、お客様に分かりづらいのではないか、より良い方策があるのではないかという課題認識は持っておりましたので、2022年度中に申告書及び記入要領について明確化及び分かりやすさを向上する書式改訂を実施しておりまして、既に一定の改善を図っているという状況でございます。

次に、5ページ目をご覧ください。こちらは自己申告方式のWEB化に関するご説明です。現在の自己申告方式では、お客様と紙の申告書を郵送でやり取りをして対応しているというのが現状でございます。この紙ベースかつ郵送でのやり取りを、例えばスマートフォンやPCなどを使ってWEB上で申告できるようにするというのが、この自己申告方式のWEB化でございます。現在、自己申告方式のWEB化に向けた検討を業界共同で進めておりまして、システム会社の選定であったり、システムをどういった仕様にするか、こういった開発の検討を行っているのが現状でございます。

自己申告方式のWEB化を実現することで、お客様にとっては申告内容の入力や写真の提出のしやすさが大きく向上し、今回の検証で確認されたような申告不備であったり、写真の提出漏れ、こういったものを未然防止できると考えております。

保険会社にとっても、お客様の申告内容の確認を支援する機能を搭載したり、損害調査書の自動作成機能を搭載することによって、人為的な事務ミス、こういったものを防ぐことができるのではないかと考えております。あと、将来的には、日進月歩で発達しておりますデジタル技術を活用することで、例えば写真の解析であったり、震度状況などとひもづけたチェック等、こういったことが可能になるのではないかと考えておりまして、損害認定の適切性の向上を実現できるものと思っておりますので、システム開発の中ではそういったこともターゲットに入れて開発を進めているところでございます。

さらに、自己申告方式全体への効果として、WEB化によってデジタルデータが収集・蓄積できるようになります。これによって、今回の検証というのは紙ベースかつ目検、いわゆる昔ながらのやり方で事後検証を実施しておりますが、データを活用して、より多角的・効率的な検証が実現できると考えております。これによって適正認定のさらなる向上に大きな効果が期待できるものと考えております。

損保協会としては、今ご説明したような対応を行うことで自己申告方式のさらなる制度改善を図り、立会調査と併せて活用することで地震保険全体の迅速かつ適切な保険金のお支払いを推進してまいりたいと考えております。

ご説明は以上です。

○佐藤座長ありがとうございます。

続きまして、資料6のほうもお願いします。

○角倉火災新種損害調査PTリーダー続きまして、資料6をお願いします。保険申請サポートに関する注意喚起の取組についてご説明いたします。

まず1ページ目をご覧ください。保険申請サポートをめぐるトラブルについては、昨年の研究会でも複数の委員の先生方からご意見を頂戴しております。地震をはじめとして、台風や大雪、こういった自然災害の発生に乗じて、保険金請求をサポートするなどとうたって一般消費者を勧誘し、保険申請サポート契約を結ばせて高額な手数料を要求する、こういった業者トラブルが全国各地で発生しております。資料上でもグラフでお示ししておりますが、こうしたトラブルについて国民生活センターや全国の消費生活センターに寄せられる相談件数が、ここ数年で急増しております。5年前の約3倍に増えております。

資料の下のほうに主なトラブル事例を記載しておりますが、保険金の数十%といった高額の手数料もしくはキャンセル料が請求されたり、保険金請求のための調査と称して建物を故意に破損させられる、こういった事象というのも発生しております。

次に、2ページ目をご覧ください。保険申請サポートに関わるトラブルを防止するために、損害保険業界では行政機関とも連携した注意喚起の取組を行っております。

まず、損保協会の取組についてご紹介します。資料の右側に、注意喚起チラシのイラストを掲載しております。こちらのチラシは消費者庁、金融庁、警察庁、国民生活センターと連携して作成した注意喚起チラシになります。こちらのチラシを使って、全国の消費生活センターや保険会社を通じてお客様に幅広く注意喚起を行っているというのが現状でございます。

併せて、インターネットを通じた注意喚起も行っておりまして、損保協会のホームページに特設サイトを設置しております。こちらのホームページでは、保険申請サポートに関わる主なトラブル事例であったり、注意喚起動画を掲載しております。また、デジタル広告としてバナー広告であったり、リスティング広告、こちらを掲載することでインターネット上でも広く注意喚起を行っております。

また、保険申請サポート業者に関するトラブルの専用相談窓口を開設しておりまして、損保協会に保険金に関する災害便乗商法相談ダイヤルを設置しております。こちらでお客様からのご相談内容に応じた注意喚起や、適切なアドバイス、助言を行っております。

全国各地における取組としては、各地の自治体であったり、警察などと連携した共同チラシの作成やSNSなどを通じた情報発信、様々な注意喚起の取組を実施しております。

次に、3ページ目をご覧ください。資料に掲載しているイラスト図は、自然災害により建物や家財が損傷した場合の一般的な保険金請求手続の流れを示しております。保険申請サポートによるトラブルを防止するための取組においては、保険金請求はお客様ご自身で簡単に行うことができる、かつ手数料は一切かからない、ついては業者から無料で調査ができるというような勧誘を受けた場合であっても、すぐに契約をせずに、保険会社または代理店に連絡するように呼びかけております。

次に、4ページをご覧ください。こちらのページでは、他の団体と連携した取組をご紹介しております。まずお客様に最も近い存在である損害保険代理店、こちらを所管する日本損害保険代理業協会と連携しておりまして、自然災害で被災された地域のお客様向けに注意喚起メールを発信したり、各都道府県の代理業協会が主催する消費者向けイベント、こういったものでトラブル事例の情報提供及び注意喚起を行っております。また、全国信用金庫協会とも連携をしておりまして、火災保険や地震保険の大きな販売チャネルである各信用金庫に対して保険申請サポートによるトラブル事例を提供し、お客様への注意喚起を依頼しております。

なお、住宅リフォーム・紛争処理支援センターとも連携し、住まいに関する相談窓口である「住まいるダイヤル」のホームページに、悪質なリフォーム業者とのトラブルに関する注意喚起を掲載しております。

以上、損保協会としては引き続き様々な媒体、手法を活用して、保険申請サポートをめぐるトラブルを防止するための取組を行っていきたいと考えております。

私の説明は以上になります。

○佐藤座長ありがとうございました。

それでは、ここまでの説明を踏まえ、委員の皆様方からご意見、ご質問をお願いしたいと思いますが、まずは事務局より、本日ご議論いただきたい事項について、説明をお願いいたします。

○福島信用機構課長それでは、改めて資料7をご覧ください。今度は2ポツ目でございます。「地震保険制度の適切な運用確保に向けて」ということで、2点でございます。

まず1点目でございますが、「自己申告方式は大規模地震等発生時の損害査定オプションとして導入されているところ、保険金支払の迅速性や損害認定の適切性確保の観点から、引き続き運用改善などを実施していく必要があると考えられる。その方法としては、顧客による申告不備や損害保険会社等の担当者による事務的な不備を防ぐため、両者にとって分かりやすい書式・マニュアルへの改訂を進めるほか、将来的な技術革新を見据えたデジタル化の推進等を図るという方向性でよいか」です。

続きまして、2点目といたしましては、「保険申請サポートによるトラブル防止にあたっては、顧客に対し、保険金請求手続は顧客自身の手で簡単に行うことができ、まずは損害保険会社や損害保険代理店へ連絡・相談を行うよう促していくことが重要。そのためには、引き続き損害保険業界が行政や他団体と連携しながら注意喚起を行っていくという方向性でよいか」とさせていただいております。

事務局からは以上でございます。

○佐藤座長ありがとうございます。

では、委員の皆様方からご質問、ご意見があれば、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

○清水委員1つ目のポツについて、その方向性でよいと考えています。火災保険請求については昨今、デジタル化が進んでいて、LINEを入り口に保険会社の専用チャットで、即日請求もできるようになっています。地震はしばしば広域災害になり、多くの被害世帯が地震保険金の請求をすることになりますので、デジタル化で迅速に保険会社に連絡が取れれば、その分早く保険金も払われ、生活再建が早く進むということになります。ぜひ進めていただきたいですし、すぐに保険会社につながることができれば、申請サポート業者が保険金請求に入り込む余地を少なくでき、メリットがあると思います。

あと、「保険金に関する災害便乗商法相談ダイヤル」が最近設置されましたが、相談件数、あるいはどのような相談内容が寄せられているのか知りたいです。訪問業者だけではなく、ネット検索でも「火災保険」と検索すると、保険会社よりも多いぐらい申請サポート業者が多数ヒットします。なかには無料点検でポイント付加するなどのキャンペーンが行われていることもあり、ポイントに誘引されてしまう人もいると思います。訪問業者だけではなく、こういった勧誘への対策はいかがでしょうか。

○角倉火災新種損害調査PTリーダーご質問ありがとうございます。まず1点目でございますが、損保協会に設置している災害便乗商法相談ダイヤルでございますが、2022年9月に設置しております。毎月、一定数の相談が寄せられているという状況でございます。主な相談事例としては、業者から電話で勧誘があった、もしくは業者と契約してしまったが解約をしたい、どうしたらいいか、このような相談が寄せられている認識です。件数ですが、受付件数の合計は2022年9月16日から2023年4月30日受付分で163件ございます。内訳としては、申請サポートの勧誘及び契約内容に関する一般相談が163件中46件でございます。あとは、締結した申請サポート契約に関する相談が89件ございます。その他、保険会社に対する認定に関する質問であったり、保険上の有無責やお支払いできるかどうか、こういった一般相談が28件、合計163件でございます。

2点目でご質問いただいた、訪問業者だけではなく、最近インターネットでの業者勧誘が増えているところの対策についてですが、損保協会としてもインターネットで、例えばこういったものが無料で修理できます、この事例でいくらもらえました、こういった修理業者の広告を見るケースがございます。こちらに対しては、バナー広告で、いわゆる大規模災害が起きたような被災地域にこういった業者があってトラブルが増えていますということを注意喚起したり、例えば保険金の請求についてインターネット検索をするときに、こういうトラブル情報が出ていますというようなリスティング広告を積極的に活用しておりまして、いわゆる一般の消費者の方、保険金請求をこれからしようというときに検索をかけるところで注意喚起がしっかり効くように、最近、やはりインターネットの発達によって、保険金請求でどうしたらいいかというのはインターネットで調べるお客様も一定数いらっしゃる認識でございますので、こういった方がトラブルに巻き込まれないように注意喚起及び対策を講じている現状でございます。

○佐藤座長ありがとうございます。ほか、いかがでしょう。お願いします。

○鈴木委員自己申告方式の点ですけれども、デジタル化の推進というのは私も非常にいい方向だなと思いました。今回の検証結果で、たしか外部の日本損害鑑定協会さんのほうに検証業務を委託したということで、この検証業務のときに、少し気になったのは、もちろん地震保険制度の健全な運用ということは、契約者に対してちゃんと、保険事項に対して適切な保険金を払うというのはそうですけれども、払うべき保険契約者に適切な保険金を払うべきだと思うので、特にスマホで写真を撮って送った場合に、写真の偽造とか、いわゆる不正保険金請求というのは一定数あるので、そこら辺についての検証というのも今回行われたという理解でよろしいでしょうか。

○角倉火災新種損害調査PTリーダーご質問ありがとうございます。今回の検証は、実際に自己申告書でお支払いをした事案について、保険金請求を受けてお支払いをした際に使用した書類に基づき、机上で確認をしておりますので、その中で例えばその写真が本当に偽造されていないかという観点ではなかなか検証ができませんので、あくまで今回は自己申告書での認定精度に問題がなかったか否かという観点に着目をした検証を行っております。おっしゃるとおりの観点はございますが、今回においては、その点は検証の観点には含まれていないというのが現状でございます。

○鈴木委員ありがとうございます。今後、デジタル化していく場合に、恐らく写真とかをWEBに上げていくと思うので、その際には、設計上そういう偽造がちゃんと検知できるような工夫というのは恐らく検討されると思いますが、そこはぜひ織り込んでいただければと思いました。

2点目のサポートの、いわゆる不適切な保険金の支払を推奨するような業者の件ですけれども、私自身が別に保険事故に遭ったわけではないので、私自身は保険会社さんの監査をしていて、こういうことがありますという話を知っているので、こういうことがあると思うのですけれども、いろいろと損保協会さんとか取組をされても、一般の方は、ほとんどこういうトラブルを恐らくご存じないと思います。そこをどうされていくかということにすごく腐心されていると思いますが、例えば入り口のところで、契約締結とか更改のときに代理店さんがこういう説明をするとか、そういう取組をされていたりするのでしょうか。各保険会社さんということになるのかもしれませんけれども。

○角倉火災新種損害調査PTリーダーまず1点目の写真のところは、例えば使い回しを今後のシステムのところで検知したほうがいいというご意見と承りました。現在こちらに関しては、まさにシステム会社と仕様の検討をしているところでございますが、システム会社からの提案の中でも、現在の技術で、例えば地震が起きるよりも前に撮影した写真をアップしたら、データが持っている撮影日を使って検知できるような仕組みがあると聞いておりまして、システム化ならではの対策も今回のWEB化の中には実装していく予定でございます。ご意見ありがとうございます。

2点目の代理店を使った取組については、おっしゃるとおりでございまして、事故が起きたお客様にアプローチしていくというよりも、災害が起きる前からこういった業者トラブルがあって、特に保険加入をされている方、例えば新規で保険に加入される段階もしくは契約を更改される段階で注意喚起を行うというのが非常に有効であるというのも保険会社として認識はございます。そちらについては代理店などと連携をしておりまして、例えば新規のお客様であったり、更改のお客様にこういう事例がありますというのをチラシでご案内をして注意喚起をしております。保険会社により、やり方は異なりますが、被災地域、例えば関東がやられるような災害が起きたとすれば、その地域のご契約者向けに注意喚起を実施する、例えばメールなのか、紙なのかはケース・バイ・ケースでございますが、そういった注意喚起の取組もやっておりますので、平時の注意喚起及び有事の注意喚起、この両面でやっているのが現状でございます。

○鈴木委員よく分かりました。ありがとうございました。

○佐藤座長いかがですか。

○堀田委員この自己申告方式という、今後これをできれば推進していきたいという流れなのでしょうか。令和4年の場合、どのぐらいの割合で自己申告方式が利用されているのでしょうか。

○角倉火災新種損害調査PTリーダーご質問ありがとうございます。どのぐらいの割合という部分は、保険会社各社でシステムのデータの持ち方が様々でございまして、必ずしも精緻なデータではないという前提でご承知おきいただければと思いますが、令和4年福島県沖地震で自己申告を活用したのは約1割弱程度、令和3年が5割弱程度ということになろうかと思います。

○堀田委員その意味で、協会、あるいは業界としてということかもしれませんけれども、自己申告方式をできればメインにというか、積極的に活用していく方針で取り組んでいくこともあると思います。今回の調査で、クレームみたいなものがなくて、皆さん非常に満足度が高かったということであるなら、これからこの仕組みを軸にやっていくということなのかなと私は理解しましたが、そういうことではないのですか。あくまでも補助的な位置づけなのですか。

○角倉火災新種損害調査PTリーダーご質問の件に関しては、自己申告方式というのはあくまでオプションという扱いで考えておりまして、地震保険の損害調査は立会調査が原則であると考えております。自己申告を使うケースでございますが、大規模な地震が起きた場合に、例えば立会要員が不足して、早く調査したくても要員の関係でできないようなケースでオプションとして用意している方式でございますので、立会調査を補完する手段として自己申告があるという認識です。もう一方の観点で、自己申告方式というのはお客様にご負担をおかけする損害調査方法であるという言い方もできるかと思っております。実際に我々から申告書をお送りして、その申告書に基づいてお客様に被害物件の調査をしていただきます。そして、損害があった箇所の写真を撮影いただいて、それをプリントして保険会社に送っていただくことを、被災されたお客様にお願いする方式でございますので、お客様の利便性、ご負担の観点からも、あくまで立会調査が原則であり、自己申告が主とは今後もならない認識でございますので、あくまで立会調査を原則に、地震保険の調査においては考えております。

○佐藤座長ありがとうございます。一言だけコメントすると、立会人の人手不足がこれから恐らく課題になるわけで、どこでも人材不足、人手不足なので、となってくるとオンラインというか、こういうデジタル技術の活用というのがむしろ原則化していく時代になりますよ。というのは、これは医療もそうだし、介護も実はそうなので、立会調査ということは、人手が要るということだけは認識されたほうがいいのかなと思います。

いかがですか。阿部委員、お願いします。

○阿部委員私も自己申告方式に関しまして、その中のデジタル化を進めるということは大変有益なことだと思っております。今お話がありましたように、私もこれは大規模、大きな震災があったときに、やはり有効に使える手段として運営していくべきものではないかと思いますので、オプションというよりも、これからこちらの方向に、同じぐらいの規模、最初は半々であっても、その方向で進めていく方式でいいのかなと思っております。大きな地震が起きると、それだけの多くの人が集中することで、サーバーの容量によりつぶれてしまいましたとか、連絡もできない、そっちも入れないというようなことがないように、そういったところも十分考慮していただきたいと思います。立会も重要なことで、これはなくなるということはないと思いますけれども、そういう形で進めていっていただきたいなと思います。

このデジタル化はいつ頃を目途として今動いていらっしゃるのかというのをご質問させていただきます。

それと、申請サポートのほうですが、前回もお話ししましたけれども、大変トラブルが多くなっているということはそのとおりだったのですが、2022年度になって、私どもの相談室、それから消費生活センターにおいても、かなり激減と言っていいのかと思いますが、この相談が入ってきていません。こういった悪質業者というのは自分に不利益、例えば法律改正されたりとか、条例改正されたりとかで、すっと引いていくというところがあるのですが、注意喚起をしているというようなところでこれだけ効果があったのかなというところは、私たち相談員も非常に、少なくなったことにおいて、先ほどおっしゃったようなことが考えられているというのはあるのかと思います。あと1つに2022年度の10月に新設された建物の復旧義務ということにおいて、悪質業者が減った理由の1つかなというのはございます。これは、全然私どもでは分からないですが、そういったことが関係しているというのは、今回の説明にはなかったのですけれども、質問したいことは、この復旧義務が減少に関係する、そのようなことが各社ございますかということです。

あとは、先ほど相談窓口に163件という相談数が入っているということで、このような常設されたトラブルの窓口があるということは非常に重要なことでありまして、そこでのデータを基にこのような注意喚起がされているということはよろしいのかなと思いますので、ぜひこれは充実させて、続けていただきたいというところで、ご質問と意見です。

○角倉火災新種損害調査PTリーダーご意見、ご質問ありがとうございます。まず1点目の自己申告書をもうちょっと主流で活用したほうがよいのではないかという点に関して、先ほどもご説明申し上げましたが、地震保険においては現時点では少なくとも立会調査を原則としています。要員等の関係もあるので、WEB化を進めるというところに関しても、ご意見として承知しております。このあたりはお客様の利便性向上と、損害調査の適切性、保険金支払の迅速性、こういったところも含めて総合的に勘案をした上で、関係者の皆様も含めて今後協議していければと思います。要員が足りないだけの観点でもいけないですし、適切な認定があってこそでもありますし、適切な認定ばかりで時間がかかってもいけないと、こういったいろいろな要素がございますので、ご意見を踏まえて今後の検討課題ということで受け止めたいと思います。ありがとうございます。

続いて、2点目の復旧義務のところです、申請サポート業者がちょっと減った傾向にあると。復旧義務が各保険会社で新設されて、この影響があるのかというご質問と理解しております。復旧義務の特約は保険会社各社において任意で導入しておりますが、あくまで火災保険の領域でございまして、今回は地震保険ということになりますので、説明のところではあえて入れておりません。その上で、火災保険でも当然に、同様に申請サポート業者が存在している認識でございますので、我々としては復旧義務のところをお客様に適切に説明をした上で、お客様にご理解の上、ご請求いただくということになっているかと思います。1点補足で、先ほど復旧義務のところを保険会社が導入していると申し上げましたが、全社がやっているというよりは、一部、復旧義務の特約を入れていない火災保険を販売している会社というのはありますので、そこは念のため補足させていただきます。

あと、これも正確性がどうかという観点はございますが、こういった申請サポート業者の中には、自社で復旧をされる業者がある一方で、いわゆるコンサルティングのような、ここに被害があります、あそこにも被害があります、写真でまとめました、これを使ってというようなコンサルティングのみを行い、実際に修理をしない業者がいるというのも覚知しておりますので、復旧義務が入ることによって火災保険の分野において、そういった業者には一定程度効果が出てきているのかなというのは、肌感覚の部分で恐縮ではございますが、あるものと考えています。

あとは、自己申告のWEB化、デジタル化です。こちらは現時点で、どこのシステム会社を使って開発するか及びどういったシステム仕様にするか、先ほど申し上げたような写真の使い回しとか古い写真を検知するとか、どういった仕様にするか、こういったところの最終調整段階でございますので、今年度の下期からシステム開発を開始する予定で現在進めております。まだ、システム会社が確定していない中なので、確定的なことは申し上げられませんが、損保協会としては2024年度の後半から2025年度の早い時期にリリースしたいと考えております。

○山口地震保険特別PTリーダー1点補足させていただきます。不正請求の防止の取組のところですけれども、消費者からのお問い合わせの件数が減ったということで、業界としてはうれしく思っています。日本損害保険協会としましても、標準的な募集文書例を作成しておりまして、その中で不正請求の防止については文言を盛り込んで、各社に参考として提供しており、各社においても個社判断でパンフレットの中に取り込んでいると思いますので、平時からそういった注意喚起の取組は行なっております。

○阿部委員ありがとうございます。やはりそういった取組がかなり功を奏しているというところは私どもも、相談を受けている側でも感じているところです。悪質業者は一旦終息して、また盛り返すということをよくやりますので、ぜひこのまま続けていただけたらと思います。

あと、デジタル化については、何が何でも進めてくれというわけではなく、もちろん分かりやすいものや、セキュリティを強化していただくなりということは当たり前のことですけれども、それを踏まえてやっていただきたいということでございます。

○佐藤座長ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。

1点、私のほうから、申請サポートのトラブルのところですけれども、たしか損保さんでもやられていると思います、ある程度こうなってくると、申請だからいろいろなトラブルが起きるという面があって、プッシュ型と言うとあれですけれども、むしろ保険会社とか代理店のほうから、おたくは被害がありますよね、だから今度行きますよとか、そういう形でアプローチすれば申請しなくていいので、そうしたらそういう業者が介在する余地はないですよね。申請だからいろいろな問題が起きるというのは、別にいろいろなところで出てくる話。補助金の申請とか、よくありますよね。そのため、そこはこれから新しい技術という考え方で、政府もプッシュ型支援を進めようとしていますので、ある種プッシュ型で取り組むという、加入者に対してアプローチしていくというのがあっていいのかなと思いました。

○角倉火災新種損害調査PTリーダーご意見ありがとうございます。今の点に関して回答させていただくと、地震、もしくは風災も含めて、災害が発生した際に、保険会社の契約者で、事故が起きているのにご請求をいただいていない可能性が高いものと思われるお客様に対して、我々から保険金請求の勧奨ということで、ご請求いただいていませんが事故はないでしょうかという請求勧奨の取組を実施するケースもございます。ご指摘のとおり、申請をしていない方はまだもらえていないので、いわゆる申請サポート業者が訪問して、もしかしたら保険金がもらえますよという形で被害に遭ってしまう、こういったケースがございますが、保険会社側でも請求勧奨の取組によって、お客様に保険金を適切にお支払いするという取組も進めておりますので、補足で回答させていただきます。

○佐藤座長ありがとうございます。

いかがですか。前半のほうの議論も含めて、振り返りになりますけれども、何か追加でコメント、質問があれば、いかがでしょう。

よろしいですかね。実は大体予定の時間になりましたので、では、追加の質問、コメントがなければ、本日の議論はここまでとさせていただければと思います。

最後に、事務局から今後の予定について連絡をお願いいたします。

○福島信用機構課長今回の研究会における議事要旨、議事録につきましては、前回と同様にメール等を用いて委員の皆様方にご確認させていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

○佐藤座長ありがとうございます。

本日は皆様方、ご多忙の中、ご参集いただきましてありがとうございました。

では、これにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

午後4時00分閉会

※本研究会における委員の指摘を受け、研究会終了後、資料2の2ページ目について変更あり。
(「再保険金」を「保険金」へ変更。また、それに伴い、注の記載ぶりを変更。)