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地震保険制度等研究会第2回 議事録

令和元年5月29日(水)13:30~15:30
財務省第1会議室(本庁舎4階)

  • 1.事務局及び日本損害保険協会より説明

  • 2.討議

  • 3.ヒアリング

    • (1)内閣府(防災担当)

    • (2)損害保険料率算出機構

  • 4.質疑応答

出席者

委員

纐纈一起

佐藤主光(座長)

藤田友敬

堀田一吉

目黒公郎

(敬称略)

オブザーバー

一般社団法人日本損害保険協会

一般社団法人外国損害保険協会

日本地震再保険株式会社

損害保険料率算出機構

金融庁

外部有識者

内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(調査・企画担当)付古市企画官

事務局

茶谷総括審議官

中澤信用機構課長

西川信用機構課機構業務室長

午後1時30分開会

○佐藤座長ちょうど定刻になりましたので、ただいまから第2回の地震保険制度等研究会を開催させていただきます。

本日は、まずは民間準備金残高の回復と損害区分の変更にかかる検証、これは前回からの宿題です。これにつきまして、事務局及び日本損害保険協会からの報告を受けて、それから概ね30分程度、御議論をいただくということになります。その後、ヒアリングがあります。内閣府防災担当から、南海トラフで異常な現象が観測された際の新たな防災対応、南海トラフ地震対策についての御説明と、新聞報道にも出ていますけれども、損害保険料率算出機構さんから基準料率改定についての届出内容について説明いただくということになります。全体で2時間程になりますけれども、本日もよろしくお願いいたします。

まずは配付資料がいくつかありますので、事務局から確認をよろしくお願いします。

○中澤信用機構課長まず配付資料の確認の前に、本日、前回御欠席だった藤田先生に御参加いただいていますので、よろしくお願いします。

それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、お手元に議事次第がありまして、その後に資料1として「前回いただいたご意見」、資料2として横長のパワーポイントの「民間準備金残高の回復に向けて」という束、その下に資料3として「損害区分の変更にかかる検証」、資料4として今度は縦組みになりますけれども、「本日ご議論いただきたい事項」という1枚紙、その下に青い表紙になっていると思いますが、資料5として「南海トラフで異常な現象が観測された際の新たな防災対応について」の束、その下に資料6として「基準料率改定の届出」ということで、クリップ留めされていると思います。一番下に参考資料としまして、「警戒宣言発令時の引受制限に関する規定」の縦紙がございますが、ない方はいらっしゃいますでしょうか。

○佐藤座長では早速、前半の議事に入りたいと思います。

まずは事務局より民間準備金残高の回復につきまして、それから、日本損害保険協会より前回の宿題となっております損害区分の変更にかかる検証について、説明をお願いします。込み入った話なので、ゆっくりめでも構いませんので、お願いします。

○中澤信用機構課長まず、資料1と資料2を用いまして、民間準備金残高の回復の論点についての資料の説明をさせていただきます。

「前回いただいたご意見」という資料1がございますが、大まかに3つのグルーピングをさせていただいております。1つは、民間準備金残高の回復に向けての対応策として、制度安定をするために対策をするべきかどうかということについての御意見をいただいております。

2つ目の固まりとして、前回の議論で民間準備金残高の目標を定めるに当たって、官民が負担すべき地震規模の議論が必要なのではないかという御議論がありました。同時に、それはなかなか難しいという御議論もありまして、予測が難しいのであれば、支払額としての実績を活用するということも1つの考え方ではないかというような御意見をいただいているところであります。

3つ目の固まりとしては、前回、非常に粗いベースのシミュレーションをさせていただいておりましたが、支出がゼロになっていて、もうちょっと精緻なものであってくれというような御要望がありました。

順に対応するような形で説明をさせていただこうと思います。まず資料2の束ですけれども、1ページから3ページにつきましては、担当すべき地震の規模というもので何らかのグルーピングができないだろうかという御意見に対応して作ってみたものでございます。

1ページは前回も提示させていただいた資料でございまして、過去の地震保険金の支払状況でございます。一番は東日本大震災で、再保険金支払額が1兆3,000億円程度になってございます。その次が熊本地震で約3,800億円、その下に恐らく大阪府北部地震が来て、2019年3月31日時点で1,070億円程度。以下ずっと連なっているのですけれども、この実績を基にグルーピングするのはなかなか難しいのですが、1つ、敢えて誤解を恐れずに言えば、一番上の東日本大震災は支払額が1兆円を超えているのですけれども、これは第3レイヤーに相当する部分で皆さん御一致できると思うのですが、その下、熊本地震くらいのところは第2レイヤーで対応できる範囲かと思います。ただ、第1レイヤーの部分をどこに線引きするのかということは、この支払実績からはなかなか判定することが難しいかなというような状況にあると思います。

視点を変えまして、2ページ目でございますが、地震の規模別に予想される被害額というか、支払保険金額をプロットしてみて、一定の規模でレイヤーの分類に当てはめられないかということで作ってみました。地震本部が出す震源モデルは約40万通りあるわけですけれども、それに対応して料率機構さんで被害シミュレーションをされているのですが、それを用いて料率の計算がされています。横軸がマグニチュードになってございます。縦軸が予想支払保険金額の推移なのですが、強い地震であっても震源が海底の先にあるようなものについては、支払金額がゼロになったり、非常に少なくなったりしているものですから、このプロットをしたところで、一定のところで区分をするということは、ちょっとやってみましたけれども、これでは難しいかなという感じでございました。

3ページ目は、約40万の地震モデルの予想損失額を規模別に区切ってみて、その件数がどのくらいあるかというものを棒グラフにしてみたものです。約40万の地震モデルで、平均は341億円ということになります。341億円未満の予想支払保険金額になる地震が圧倒的に多いわけでございまして、全体の91.6%を占めているところでございます。徐々に予想支払保険金額が上がれば件数は少なくなっていって、1兆円以上の予想支払保険金額になるものは全体の0.8%、3,103件、5,000億円以上1兆円未満のところも0.8%ですので、上2つのカテゴリーで1.6%。逆に下は、341億円未満が91.6%というのは御説明したとおりですけれども、その上の1,000億円未満のところまで足してみても95.2%ということになってございます。

これを基に、なかなかこうだということは確かに難しいところでございまして、1つの考え方として申し上げれば、件数で全体の95%くらいのところについては、通常起こる地震ということで、基本的に民間ベースで全部対応すべき分野ということがひょっとしたら言えるのかもしれませんし、他方、全体の1%くらいの低リスクに当たるところについては政府が担当すべき分野ということで、5,000億円以上にするのか、1兆円以上になるのか、微妙なところではございますけれども、上の2つの部分については第3レイヤー相当部分ということがひょっとしたら考えられるかもしれないということが、このプロットでは何となく分かるかなという感じになったところでございます。

いずれにしましても、前回いただいた御意見でもありましたとおり、地震規模は予測が難しいということもありまして、どこまでが第3レイヤーで、どこまでが第1レイヤーかということを決めるのは、現実にはなかなか難しいかなと思われるところであります。ただ、1つの参考としまして、5,000億円以上の被害になるようなものは第3レイヤーと観念すれば、例えば、今、連続して2回の地震が起きても大丈夫なような民間準備金残高を積む形になっていると思いますけれども、1兆円あれば2回には耐えられるというようなことも、ひょっとしたら言えるかもしれないなと思っているところであります。以上がプロットの話でございます。

続きまして、シミュレーションについてでございます。4ページ目から最後のページまでシミュレーションの話が続くのですが、4ページにつきましては前回お示ししたとおりの資料でございます。民間準備金残高は東日本大震災直前で約1兆200億円ございましたが、30年度末の見込みでは2,273億円まで減っている。民間に入る再保険料収入割合については、東日本大震災直前までは50%を超える量が民間の方に配分されていましたが、現在は18.4%まで減少しているという図でございます。

5ページ、6ページにつきまして、前回お示しさせていただいたシミュレーションは、収入の方は2,000億円が続くという前提を置いていました。支出の方はゼロという形で置かせていただきましたけれども、支出ゼロの前提は非現実的なので、収入支出とも推計をさせていただいております。

収入の方でございますが、2019年度の再保険料収入は官民合わせて2,173億円でございました。このベースは、2段階引上げの後の料率をベースに算出されているものですから、それを出発点としまして、若干伸ばしていっているのですけれども、足元の普及率が上がっているということを勘案して、地震保険の証券件数を過去の平均増加数で当座10年間だけ伸ばして、収入が増えるという仮定を置いております。本日最後に報告があります3回目の保険料引上げについては、このシミュレーション上は勘案していませんけれども、その分を勘案していないだけ、若干収入の方は控えめに見ているということが言えると思います。

他方、支出は6ページですけれども、その前に7ページにある参考資料を御覧いただければと思います。前回示した資料を加工したものでございます。官民保険料支払額の推移を平成元年以降、棒グラフにしたものでございますけれども、単純に制度発足以降、年の平均の支出がどのくらいになるかを計算してみますと、左下の表のところでございますが、制度発足以降だと民間は255億円、平成元年以降だと450億円というような支出平均になっているところでございます。ただ、これだと、昔、加入率が少なかったときのケースをベースに平均を取るものですから、今後の予測をする上ではあまり適当ではないだろうということで、昔の支出額を、もし現在の普及率のときにどのくらいの損害があっただろうというように修正しまして、それで平均を取り直したものが右下の表でございます。制度発足以降の民間の支出の平均は445億円、平成元年以降の平均は779億円ということになってございまして、これを出発点として、足元の保険証券の伸びを勘案して、支出をシミュレーションしてみてはどうかと考えたところであります。

それが6ページにあるところでございますが、いろいろな線が入っているのですけれども、一番上の灰色の線は直近10年平均ですから、東日本大震災の影響が大きく出ているので、異常値ということで採用しませんでした。5年平均、10年平均とか、やってはいるのですけれども、振れが激しいので、ここでは先ほど説明しました制度発足以降の修正された平均支出額、平成元年以降の修正された平均支出額をベースにして、将来の保有保険金額の伸びを勘案して算出したシミュレーションであります。

制度発足以降平均をベースにして計算すれば、今後、450~500億円くらいの年間の平均支出が見込まれるだろう。平成以降平均を用いますと、850~900億円といったところが、今後、年間で平均して出てくるような支出になるのではないかと想定されるところであります。

これを用いまして、前回行いましたシミュレーションをやり直したのが8ページと9ページになります。まず8ページでございますが、線は緑、オレンジ、青と3本引いてございます。緑の線は、現行の配分である保険料収入が官8:民2のままを続けていったら、先ほど言った収入支出の見込みを勘案してシミュレーションするとどうなるかということですけれども、民間準備金は今のままのレベルをずっと維持するということになろうかと思います。400~500億円くらいの支出というものは、今後見込まれる収入の2割くらいに見合う額ですから、何もしなければ横ばいになるということは普通に計算されることかと思います。

オレンジの線は、官5:民5と、とりあえず半々に配分してシミュレーションするとどうなるかということでございます。これだと1兆円に達するまで12年間、2兆円に達するまで25年間ということになろうかと思います。

もうちょっと比率を上げて、今の官8:民2を、官3:民7にしたシミュレーションが青い線でございます。この根拠というか、考え方でございますけれども、今、予想される損害の期待値の比率によって官民の配分を決めているのですが、そうではなくて、当座、これまでの支出ベースの比率を使ってやったらどうかという発想になっているところでございます。1ページ戻っていただいて、7ページの表、左右両方ともでございますけれども、ここで民間と政府の支払額の平均の比率を取ってみますと、修正されない前の普通の実額ベースでいきますと、民間が2、政府が1といった支出ベースになっていると思われます。他方、修正をかけて計算した方にいきますと、ちょっと比率が変わりますけれども、民間が7、政府が3といった感じになりますので、これをベースにしてシミュレーションをしてみたものが8ページの青い線でございます。そうしますと、1兆円に達するのは7年後、2兆円に達するのが15年後、3兆円に達するのが24年後という計算になったところでございます。

前回、保険料収入2,000億円で計算したときのシミュレーションの数値を参考までに申しますと、1兆円に達するのが6年後でございました。2兆円に達するのが13年後、3兆円に達するのが20年後ということになっていましたので、今回やり直したシミュレーションだと、前回やった粗いシミュレーションよりも達成する期日は少しずつ後ろ倒しになっているということが分かるところでございます。

次に9ページですが、今度は支出を平成以降平均、年間800~900億円くらいを念頭に置いてシミュレーションしてみたらどうなるだろうかということをやったものでございます。現行のまま8:2だと、入ってくるのが400億円くらいで、出ていくのが800億円から900億円になりますから、準備金残高はどんどん減っていく。したがって、4~5年すると恐らくゼロになるということで、あとはどんどんマイナスの領域に落ちていくと思われるところであります。5:5の配分、あるいは3:7の配分でやった場合、積上がりのペースは遅くなりますので、民間に一番多く配分する官3:民7の青い線の場合であっても、1兆円に達するまでに11年間、2兆円に達するまでに23年間、5:5の場合は1兆円に達するまでに25年間かかるというような計算結果になります。これが前回やったシミュレーションを収入支出で直したものでございます。

以降は、仮に特定の目標まで積み上げたとしても、その後、考えなければいけないことがあるので、それを説明したものでございます。

10ページについては、現行レイヤーの考え方のおさらいでございます。今は、第1レイヤーの決め方は、民間保険料収入の2年分ということで積算しています。第2レイヤーは、第1と第2を合わせたところが連続した2回の地震に耐え得るということで、1と2を足したところがちょうど準備金残高の半分になるというような形で設定されているところであります。3rdレイヤーにつきましては、期間中の準備金増加見込額の1年分を薄く長く伸ばしているというような形になってございます。

11ページでございますが、仮に目標になる準備金残高を1兆円だとしまして、積み上げたときにこのレイヤーはどのように変わっていくだろうかということを考えたのがこのページでございます。上は、官8:民2のままでやっていたら、1兆円には全然達しないということがこれまでのシミュレーションで分かったということを示しているものでございます。

1兆円に達するまでに、官3:民7、あるいは官5:民5で配分したところでございますが、官3:民7で配分した場合には達成期間は7年間ということになります。このとき、8年後、純保険料として入ってくる推計額は約2,425億円ということでございまして、それをベースにして、今のレイヤーをその時点、1兆円に達したときにどうなるかということを観念して計算して、再保険料配分をしてみると、官民配分割合は、官66:民34ということになりまして、その時点での民間再保険料収入はおよそ830億円ということになります。官5:民5で配分した場合においても、達成期間は12年間で、13年後の保険料推計も2,500億円弱ということになりますけれども、レイヤーはほぼ同じような形になりまして、官民配分割合は官66:民34、このときの民間再保険料収入は850億円になるところでございます。

12ページは、特例期間中の官民保険料収入割合のイメージということで、参考でございますが、非常に技術的な話なので詳しい説明は省きますけれども、最終的に積み上げていって、左側は官8:民2の配分になるようなレイヤーになっているわけですが、8年後、準備金が1兆円に到達した場合には、下の箱の官66:民34になるような配分になると想定されます。そのときのレイヤーの形は、そこにお示ししているような感じの形になろうかと思います。

特例措置期間中はどうするかということですけれども、以降のシミュレーションを実はここまで精緻な形でやっていませんが、なるべく民間が、後々、政府の方に戻さなければいけない特例措置分を小さくする観点からは、特例措置額をストックの増加として第2レイヤー、第3レイヤーに加算するという形で、徐々に左下に近づけるというような措置をしていくことが適当ではないかと思われるところでございます。

考え方として、第1レイヤーの方に特例措置分も積んでしまうということもあるのですけれども、そうすると、そこからどんどん支出されるだけなので、あまり積み上がっていかないという事情もあるので、若干の工夫が必要かと思います。大事なことは、あまりに民間の負担が大きくなるような形にならずに、しかも徐々に積上げの効果が発揮できるようなレイヤーを設定することかと考えているところでございます。

13ページは、これを前提にして、とりあえず1兆円まで積み上がるまで、特例配分をするのですけれども、その後は、その時点のレイヤーに基づいて通常計算にして積み上げていったら、民間準備金の推移はどうなるだろうかというようなものをシミュレーションしたものでございます。これは現行のレイヤーの考え方を踏襲していて、民間準備金が5,000億円増加する場合にレイヤーを改定する。計算の便宜上、そのように簡単にしているのですけれども、その意味では、若干控えめな積上がり方になるかと思います。これも1兆円になった後、通常計算に戻すシミュレーションをしているのですけれども、仮に官3:民7で始めた場合に、1兆円になるのは7年後でありますが、通常計算に戻さずにずっと特例措置を続けていくと、青い点線の方で伸びていくのですけれども、1兆円に達した後、通常のレイヤーに基づいて官民配分をやっていった場合、緩やかに伸びていって、最終的に49年後、3兆円まで達するようなイメージになろうかと思います。

官5:民5のレイヤーでやった場合であっても、12年後には1兆円に達しまして、そこから通常レイヤー計算になりますので、青い官3:民7に比べてペースは遅いですけれども、徐々に積み上がっていくという計算になったところでございます。

続きまして14ページですが、支出を平成以降平均に基づいてシミュレーションしたものでございます。この場合、通常の計算に戻すと、そのときの民間収入が、11ページのところでお示ししたとおり、800~850億円になるものですから、入ってくる民間収入分と想定される平均支出がほぼ見合う形になりますので、1兆円に達した後、民間準備金は横ばいで推移するというような計算結果になるところでございます。これは青い線でもオレンジの線でも同じような形になるところであります。

最後に、もう1つシミュレーションしてございますのが、特例配分をした一定期間の後、仮に1兆円まで積み上げましたと。その特例配分した額を、政府の方に一定の額を返し続けるというか、その後は政府に多く配分するという形で、政府の方の収支相償を図るという施策をやらなければいけないかと思われるのですが、それをやった場合に、民間準備金残高はどのように変わるだろうかということをシミュレーションしたものでございます。

15ページは総括表なので飛ばさせていただきまして、まず16ページでございます。これは1兆円まで達した後、通常のレイヤーに基づいて計算します。準備金が5,000億円増加する場合にレイヤーを改定するというのは前回と同じでございます。ただ、再保険事業の長期的な収支相償を図るため、1兆円に達した後、民間再保険料収入の3割相当分を、期間終了後は政府の方に多めに配分するという措置を取った場合、どうなるかということでございます。

青い実線でずっと1兆円まで積み上がっていって、大きめの青い点線、水色の点線は、13ページにある青い実線と同じで、再調整をしなかった場合には徐々に積み上がっていくという形になります。ただ、特例期間終了後、3割相当分を政府の方に配分し直しますと、濃い青色の点線のような推移になることになります。特例措置の全体が約8,050億円になりますので、民間再保険料収入の3割相当分をずっと政府の方に上乗せして返していきますと、32年間、特例措置の再調整が続くことになりますので、その期間は民間の収入と支出がほぼイコールになりますので、民間準備金残高はずっと横ばいが続くということになりまして、再調整期間が終了する32年後に徐々に回復していくというような計算になります。

今度はBですが、17ページですけれども、支出を平成以降平均、800~900億円くらい出るというちょっときつめの想定を置いてシミュレーションしたものでございます。11年かかって民間の準備金残高が約1兆800億円まで積み上がるわけです。その後、青い太めの点線ですけれども、これは14ページにある青い実線と同じ形になっているところでございますが、3割相当分を政府の方に上乗せして、その後、返していくと、52年間かかるということで、その分だけどんどん民間準備金を食い尽くしていってしまうので、結果としてまたマイナスの領域に落ちてしまうという積算になるところでございます。

以上が基本のシミュレーションであります。

C、Dにつきましては、18ページ、19ページでございますが、特定の額を目標にするのではなく、特例という性格上、なるべく短く5年間に設定して計算してみたらどうだろうということでございます。Cは制度発足以降平均で計算していますので、年間の支出額が450~500億円ですけれども、これだとぎりぎり8,000億円くらいまで積み上がった後、何とか現状を25年間くらい維持することができて、その後、増やすことができるという形には一応できるかなという計算結果になりました。

19ページですが、これは平成以降平均ですので、年間予想支出額を800~900億円にした場合ですが、それだと支出が相当多くなって、再調整も効いてきますので、特例措置の再調整をやっている段階でマイナスの領域に落ちてしまうということで、積上げ不足の結果になったところでございます。

シミュレーションの最後、20ページですが、これは思い切って1.5兆円に到達するまで特例措置を実施した場合、長くやった場合ですけれども、1兆6,000億円くらいまでいっていますが、17年間かかって、特例措置全体で2兆500億円と、現在の政府の準備金より多い額を積み上げる形になるのですけれども、これをやると、確かに制度は安定するかなと思う反面、特例措置の再調整を3割相当分で返すというのは無理な数字になっていまして、辛うじて1兆5,000億円をずっと維持していくということを念頭に置けば、再保険料収入に上乗せするのは9%相当分になって、それが終わるのは229年後ということになりますので、シミュレーション上はあり得ない想定になったかなという感じになりました。

以上、資料2までの説明です。続いて、損保協会さんの方で資料3を説明していただいて、最後、討議いただきたい事項を私から再度説明させていただきたいと思います。

○山元火災新種損害調査PTリーダー日本損害保険協会の山元でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、資料3について御説明をさせていただきます。本資料は、前回の席上で寄せられました、損害区分を4区分に変更したことにより保険金の支払にどのような影響が出たかという御意見に基づいて、大阪府北部を震源とする地震における支払保険金データを整理したものでございます。なお、金額での集計等が困難であったことから、支払件数で示させていただいておりますので、その点、お含み置きください。

まず資料の1ページ目を御覧いただければと思いますが、本年5月末時点の全社合計の支払件数につきまして、本ページの上半分の表、支払件数のとおりでございます。損害区分の4区分化に伴い変更が生じた区分である、大半損、半損、小半損の件数がそれぞれ、616件、6,279件、9,188件となっております。大半損と小半損は、2017年1月以降の4区分の契約からということで、半損の件数はそれ以前の3区分のときの件数ということになっております。

今申し上げた件数は、建物と家財の合計の数値でございますので、その下の内訳のところに建物と家財の内訳を記載しております。例えば大半損であれば、建物269件、家財347件となってございます。

さて、本ページの下半分の表を御覧いただければと思いますが、今御覧いただいた上半分の表、支払件数の数値のうち、先ほど御説明をした大半損、半損、小半損の数値について、2016年12月31日以前始期契約が3区分のとき、2017年1月1日以降始期契約が4区分のときということで、縦に保険始期、横の項目を、建物、家財、建物と家財の合計額として並べ替えたものでございます。

まず先に、2017年1月1日以降始期契約の段のところを御覧ください。4区分化後の契約につきましては、それぞれ大半損、小半損の件数と割合を示すことができております。一番右の列の建物と家財の合計を御覧いただくと、大半損が616件で全体の6.3%、小半損が9,188件で93.7%となってございます。

下の表のタイトル行のところに、損害区分に応じて、括弧で地震保険金額に対する支払保険金の割合をそれぞれ記載しておりますが、現行の保険金の支払においては、例えば大半損となった場合は保険対象の保険金額の60%に相当する額を、小半損となった場合は30%に相当する額をお支払いしております。大阪府北部を震源とする地震においては、例えば大半損の場合は全体で616件の保険対象に保険金額の60%に相当する額を、小半損の場合は9,188件に30%に相当する額お支払をしているということでございます。仮に、現在も2017年1月1日以降始期契約、4区分のものが3区分のままであった場合には、今申し上げた616件と9,188件、合計の約1万件の保険対象に、3区分では半損の場合は50%でございますので、50%に相当する額の支払になっていたということになってまいります。

一方で、2016年12月31日以前の保険契約、つまり4区分化前の契約、3区分のところを御覧いただくと、半損の件数が、建物が2,950件、家財が3,329件、合計で6,279件となっておりますが、これらの数値を4区分化後に当てはめた場合、大半損、小半損に区分するには、個別事案の損害割合を元々データとして持っておりませんので、そこのデータが必要となってくるということでございます。

しかしながら、今申し上げたとおりデータを有しておりませんので、その点につきましては、2ページ目の資料が大阪府北部を震源とする地震の損保各社の調査結果から導いたものでございます。ただ、データ収集がシステム的に可能であった会社が1社でございましたので、全体1社分の2,495件の損害割合に基づいて、4区分の大半損、小半損に分類した結果を記載しております。2,495事案につきましては、同じく保険始期別に、建物、家財、建物と家財の合計をそれぞれの内訳で表でお示ししております。

先ほど1ページ目で分類できなかった3区分の半損に相当する2016年12月31日以前始期契約につきましては、この1社の契約が建物と家財の合計で1,210件ございまして、損害割合に基づいて、これを4区分の大半損、小半損に分類すると、53件の4.4%、1,157件の95.6%という結果になっております。4区分化後の件数の1,285件と合計しますと、右下に示すとおり、それぞれの割合は、大半損で3.8%、小半損で96.2%という結果になっております。

これまでに申し上げてきました数値割合を踏まえて、区分変更における支払保険金の影響につきましては、大阪府北部を震源とする地震においては、3区分時の半損に該当する案件の90%以上が現行の小半損に該当するという結果になっております。

最後に、本資料はあくまで大阪府の北部を震源とする地震の結果を記載しておるものでございまして、他の地震の保険金支払においてどういう結果になるかということは、それぞれの地震で算出・分析をしてみないと分からないという点につきましては、お含み置きをいただければと思います。

私からの説明は以上でございます。

○中澤信用機構課長それでは、資料4で「本日ご議論いただきたい事項」について、民間準備金残高の回復策のところだけ御説明させていただきます。

①でございますが、地震保険制度が本来の趣旨に沿った形で安定的に運営されていくために、民間準備金残高の回復を図ることは重要であり、このため、一時的に官民配分割合を変更して民間準備金残高を積み上げる措置を取ることが必要と考えているところでございますけれども、その点についてどのようにお考えになりますでしょうかというのが第一点でございます。

②は、仮に特例措置を導入したときに、いろいろシミュレーションさせていただきましたけれども、目標となる準備金残高の水準はどこら辺にあるべきかということでございます。

③ですが、特例措置を実施する期間はどの程度取るべきかということで、特例ですので短いことが望ましいのですけれども、最後にやったシミュレーションを見ると、短いと、その後の支出をどのように置くかにもよりますが、自律的に積上がりが期待される水準までには当然達しないということになってございました。他方、最後のページですが、極めて長い期間をやりますと、そもそも保険料の官民配分割合とリスク分担というものがずっと切り離されて、一体何なのだろうということになってしまうので、そのようなものを含めて、特例措置を実施する期間についてどのように考えるべきでしょうかということでございます。

④は、特例措置の再調整の方法でございます。今回のシミュレーションでは、特例措置の期間が終了した後に、再保険料の3割もしくは9%という一定率をもって機械的に計算する方法で調整をしたところでございますが、ものによってはその後の積上がりがマイナスになっているような計算もたくさんあったと思います。それ以外にも効果的な再調整の方法はないかどうかを御議論いただきたいと思います。

最後、レイヤーのあり方でございます。期間中のレイヤーもそうですけれども、前回の議論でもありましたが、どの主体がどのくらい分担すべきかをどうやって決めるのかということだと思います。今、準備金残高の水準を使って決めているところでございますけれども、果たしてそれで本当に良いのかどうか。それから、レイヤーの改定の頻度は今、大体2年に1回でやられているのですけれども、その辺についても今後どのように考えていくべきかということが、本日御議論いただきたい事項であります。

○佐藤座長ありがとうございました。

では、ここまでの事務局及び損保協会からの説明につきまして、御意見、御質問等々あれば、いかがでしょうか。どうぞ。

○堀田委員細かいシミュレーションを見て、何とかイメージが湧いているのですが、議論の順番として、恐らく目標の方が先に立つということで、それに合わせて何年までという話なのだろうと思います。ただ、その間にいろいろな不測の事態も発生し得るというわけですから、私が申し上げようと思うのは、特例期間中も新しい枠組みの中で動かす。仮にそこで何かが起こったとしても、それはまた措置を講ずる形で、できるだけ最終形を先に示した上で、今だとレイヤーが動く仕組みになっていますよね。そうではなくて、既に最終的な枠組みを決めた上で、特例期間を設けるということなのではないかなと思うのですけれども、いかがでしょうかということが1つ。

もう1つは、今日、民間の準備金の話をされていますけれども、政府準備金の方はこれに対してどういう積上がり方になるのか。そちらも大事なポイントかなと思うのですが、いかがでしょう。

○佐藤座長最初の点ですけれども、御指摘は、1つの提案として、特例期間中の官民の保険料収入割合を3:7にしようということですが、この期間中も、レイヤーについても3:7に合わせるという意向ですか。

○堀田委員レイヤーも先に最終形に合わせて、これが最終形ですと。そういうイメージをされているのかもしれませんけれども、今は少なくともレイヤーが伸縮するような仕組みになっていますよね。この制度を取り入れるときには、最終形を示して、それに向かって15年で積み上げます、それ以降は正常の形に移行しますというようなことまで含めて、将来の形を国民に示す、そういう意味です。

○中澤信用機構課長官の方の積立てですけれども、今、1兆5,000億円くらいあるのですが、これが仮にひっくり返ったとしても、2,000億円強あったやつが、600億円くらいずつ官に入ってくることになりますので、5年間くらいやれば、本来積み立てなければいけないのは支払限度額の十何兆円なので、それに比べれば少ない額でありますけれども、ある程度の積上がりは期待できるというような状況にあるかと思います。ただ、もし特例措置をしなければもっと積み上がるので、その意味では若干のマイナスにはなるかと思いますけれども、他方、すごい大災害があるということは、ないわけではないですけれども、これまでの一番の支払額は東日本大震災の1兆3,000億円ですから、それに対応できるものより大きな額は、特例措置をやったとしても、当分の間は何となく維持できるかなというような感じになるかと思います。

それから、レイヤーの方ですけれども、今回の計算上は、単純計算のためにレイヤーはあまり動かさない形で計算しています。途中、12ページで説明したのですけれども、第2レイヤーに乗る形で徐々に官民双方が負担するところを増やしていって、最終形に近づけるということが恐らく必要だと思っています。今、先生が御指摘の、いきなり最終形を決めてレイヤーを設定すると、ずっと昔から議論があった、空積みという部分の議論が出てきてしまうので、それは実現するのは難しいかもしれないので、徐々に近づけていくという策が必要かなと思います。最終的にこの額、どこにするかということはなかなか難しいのですけれども、あまり過剰な負担にならないように、でも同時に積上がりもできるようなレイヤーの工夫を事務的には議論していかなければいけないかなと思っています。

○佐藤座長12ページにあるとおり、最終形は8年後のイメージとして左下にあるとおりで、移行期間中がちょっと微妙な解釈ですけれども、今のままでいくのか、若干上乗せしていくのかというところですかね。それは後で出てきます特例措置の再調整との関わりだと思います。

○堀田委員確認ですけれども、移行期間中もレイヤーを動かしながら最終形に近づけていくという考え方ですか。

○中澤信用機構課長そのような形にしていった方が、急激に変わらないということになるのではないかと思います。同時に、座長からもありましたように、第2レイヤーを増やしていくということによって、調整額を減らすことができると思いますので、期間中に民間に配分される額が増えますので、そのような効果もあるかなと思います。

○堀田委員途中で大きな地震が起きたら、また変えるということですか。

○中澤信用機構課長そういうことになります。

○佐藤座長平成以降は結構高いですけれども、制度発足以来ですから、毎年の金額が大体445億円で計算していますので、12ページのところでいけば、今のレイヤーで、第1レイヤーで収まってしまっているので、第2レイヤー以降、動かしても、そこの部分の影響はないですよね。支出額に全く影響はないので。ただ、もちろん大きな地震が来れば、第2レイヤーを上乗せすると、その分だけ民間の支出が出ていくということになるので、今の比較的平均的な支出額を前提にする限り、12ページの右上のところの青とか緑とかありますけれども、ここをどう動かそうと、シミュレーション上は民間の支出額が変わることはないということになります。ただ、くどいようですけれども、大きな地震が来ると、ストーリーは変わるということです。

あと、国の方は、第1レイヤーで収まる限り、国の支出はないので、いずれにせよ、国の積立金は貯まっていくということ。伸び率は低くなりますけれども、貯まっていくということに変わりはない。減ることはないということ。ただ、これも大きな地震が来ると減るかもしれないということになります。

○堀田委員今のシミュレーションの範囲だと、政府は定常的に貯まっていくということしか考えていないということですよね。

○中澤信用機構課長平均支出額が計算されているので、それで減っていくことは減っていきますけれども、それを上回る額はあるという感じになっています。

○佐藤座長失礼、支出額はゼロではないですね。188億円が出ていく。ただ、保険料に対して金額的に少ないので、国の方は確実に貯まっていくということだと思います。

他、いかがでしょうか。

なければ、私、損保さんの説明に対する質問なのですが、2ページ目のところでなるほどなと思ったのですが、大阪府北部地震、金額が結構出ているなと思ったけれども、1つ、家財ですが、別に建物と家財を比較することにそこまでの意味はないのかもしれないですが、2017年以降の契約で見ると、家財の方が大半損が多いですよね。何が言いたいかというと、1ページを見た方が分かりやすいので、1ページの図を見ると、建物の大半損は全体の5.9%だけれども、家財は6.6%。統計的に微妙かなという気はするのですけれども、2ページ目を見ても、特に2017年以降のデータを見ると、家財が4.1%なので、大半損になりやすいのは家財の方ということですかね。これが結構金額的に効いているということですか。カバーしている家財の程度によりますけれども。

○山元火災新種損害調査PTリーダー細かいところまでは、データもないので検証もできないですけれども、この数字だけを見ると、そのようなことです。

○佐藤座長建物に比べて、カバーしている保険金はそんなに多くないので、ただ、そうは言っても、これまでここの議論は建物の話をしていたのですよね。耐震割引も全部含めて、建物の議論をしていたけれども、家財の話はあまりしてこなかったので、金額的に瑣末であるということだったら、量的には大きな問題ではないかもしれませんが、ただ、これから家財の加入率も上がってくるということを考えていくときに、もしかしたら半損の中でも大半損しやすいのは家財で、家財に耐震化というものはないので、意外と保険金が出るのは家財なのかなと思ったものですから。もし機会があったら、そういうシミュレーションをしてみたらいかがでしょう。

○堀田委員今の話に加えさせていただきたいのは、今回の改定によって、結局、支払保険金というのは増加したのか、あるいは減少したのか、その結果はいかがでしょう。

○山元火災新種損害調査PTリーダー大阪府の北部地震を見ていただくと、改定によって減少しております。

○堀田委員減少していますよね。つまり、前より支払が抑制されていると理解して良いのですか。

○山元火災新種損害調査PTリーダー全体として、事実として減少しているのは間違いないです。

○佐藤座長ここだけの話、そうなるように半損を分けていたというのは事実としてありますので、シミュレーション上も、減るという予定でやっていたのは事実ですね。

他、いかがでしょう。

事務局に対する質問になってしまうかもしれないですけれども、仮に特例措置を講じるとして、法律的に、あるいは行政的に、金額に目標は立てられるのですか。1兆円まで特例をしますという言い方ができるのか。普通、租税特別措置とかで期限を決めて、期間で決めているのですよね。結果的にいくら減税したかは関係なくて、R&D税制なんて典型例ですけれども、普通は向こう2年間とか3年間という期間を決めて、特例措置というのが普通だと思うのですが、結果的にやるとしたらそうなるのかどうか。思いとしては、1兆円までであれば、とりあえず7年間特例措置ですと言い切ってしまって、7年間経ってももし1兆円にならなかったら延長を考えるか。もし早くなってしまったら前倒しで止めるのを考えるのか。そういうストーリーになるのですかね。

○中澤信用機構課長金額で目標を立てることができないかというと、それはできると思いますけれども、ただ、今、座長が御指摘のように、この制度は基本的に年間予算でやるものですから、やり方としては、何兆円まで達したら止めるみたいなことはあるかと思いますし、逆に何年間ずっとやるという制度も、両方あると思います。目標何兆円と立てることもできないわけではないと思います。法律上、してはいけないとも書いていないし、そうしろとも書いていないと思いますので。

○佐藤座長いかがですか。

○目黒委員確認ですけれども、先ほど座長から話があった件で、資料3の最後のページで建物と家財を見て、2016年12月31日以前と翌年の1日以降で見てみると、建物の大半損が31棟だったのが19棟になっていますよね。これは言うなら本来のあるべき姿なのですね。分けたことによって、大半損の部分が減ることによって、支払金が減るというような姿ですよね。それからすると、家財はそこだけがちょっと増えているということを見ると、家財に関しては、分けたことで少し額を多く保険金を払わなければいけない部分が増えていますよという言い方がここからできるのですね。だとすると、先ほどちょっとお話があったように、家財に対しては耐震補強というか、倒れないようにとか、そういう条件は確認がなされていないので、ある揺れのレベルで言うと、建物の被害関数に比べて平均値が少し低めのところに壊れる分布が来ていると理解したら良いのでしょうか。

○佐藤座長どうでしょうかね。つまり問題は、家財が壊れやすいのか、あるいは、たまたま高額なものがカバーされるようになってきて、結果的に件数が出ているのか。

○目黒委員高額で不安定なんていうのもあるかもしれないけれども、私の質問の趣旨というのは、その辺が統計的に分かってくるのだとすると、料率を建物と家財で少し分けた方が良くなってくる可能性があるということです。

○佐藤座長すごく大事な指摘だと思います。

○大知地震保険特別委員会委員長ストレートに今の質問に答えられるかどうか自信はないのですけれども、まず1つ、考えておかなくてはいけないのは、御指摘のとおり、家財の脆弱性の方が、現在は箱物は丈夫になっているので、中でシェイクしますので、確かに危ないという可能性はあると思います。ですから、料率をもう少し精緻にするという検討方法は、もちろん道としてはあると思います。

もう1つ、御指摘をいただいた、全損、大半損、小半損、一部損の分布については、もう少し考えなくてはいけないところがありまして、建物はアイテムとしては1つなのですね。家財というのは複数ありますので、どういう分布がどのように出てくるのかということは、揺れの性質によってもかなり違ってくると思います。明らかに言えることは、家財は全てのものが壊れないと全損にならないので、なかなかなりづらい。どちらかというと、真ん中辺の半損、一部損のところに寄ってくるということは、傾向としてはあると思います。そういうものも把握しながら作っていかないといけないというのは、御指摘のとおりです。

今回、大半損と小半損を新たに作って、半損を2つに分けたことによってどういう効果が出たかというところで言うと、この地震についてはそうなのですが、もう少し母集団がないと言い切るのは相当難しくて、従来は、全損、半損、一部損という大きな3区分でしたので、さすがに一部損と言うにはお気の毒だというケースは全部、半損に寄っていたというのは間違いなくあると思うのですね。それがより精緻になったというのは事実だと思います。ただ、それが本当にどの程度どうなのかということは、もう少しサンプル数を取って言わないと危険な議論になってくると思いますので、そこだけ御理解いただければと思います。

○佐藤座長お時間ではあるのですけれども、議論するべきことに決め打ちというわけではないのですが、少し考えておかないといけないということですので、今のところ、事務局から出ているたたき台、何となく見れば分かると思いますが、目標1兆円、前提条件は制度発足以来の支出額をベースにすれば7年間で達成可能ということであります。

ただ、その後の話が厄介なのは、特例措置の再調整のところでありまして、そもそも再調整しなければいけないのかということは原理主義的な議論に関わるので、そういう話は主計局が納得しないから、やらなければいけないのかもしれないですけれども、やるにしても32年はいくら何でも、「きっと誰も覚えていないよね、ここにいる人」というか、「いないよね、僕たち」という話になってくるので、若い人に「覚えておいてね」と頼むしかないですよね。なので、何らかの再調整は必要だとしても、32年は現実的ではない。だから出てきた事務局の裏技が、12ページにあるように、多分ここには来ないだろうという見込みのもとに、レイヤーの方に少し上乗せしておいて、一応負担していますよというていを作っておいて、特例措置の再調整のところを抑えていくというイメージになるのかなと思います。

ただ、何点か考えなければいけないのは、まずシミュレーションとして、制度発足以降というのはもしかしたら楽観的かもしれないし、アウトライヤーリスクというのはいくらでもあり得るので、それが1つ。ただ、そうは言っても、何か決め打ちしないとシミュレーションできないので、1兆円という目標を立てたときに、それをベースに、期限を定めず1兆円まで頑張ると考えるのか、期限は定めた上で、1兆円を見据えながら延長ないし短縮を考えていくとするのかということ。あと、特例措置の再調整のところは、もう少し現実的な解を考えた方が良いのかなというところかなという気がするのですが。

何かあと追加でコメント等々あれば。どうぞ。

○纐纈委員地震の研究者としての意見を申し上げると、資料2の7ページ、普通に見ると、2010年以降は大きい支払額の現象が多く起きている。これが本当のトレンドなのかということは、前回申し上げたように分からないですが、例えば水害などは、地球温暖化という科学的にかなりはっきりした原因があるので、最近10年間を取った方が良いのではないかなという議論はできると思いますが、地震は前回と同じように、難しいというのが科学の方からの立場ですので、地震保険の制度というのが、2000年以前の地震が静かな時代にフィットしたように作られているというような問題で、それは結局、保険料をどう分けるかという配分比率と、レイヤー分けがマッチングしていないので、民間側の準備金ばかりどんどん減ってしまうということになっていると思うのですね。根本的に考えるなら、そこを何とかする必要があるかなと思いますが、自然現象としてはなかなか予測が難しいので、制度を作られる方がやりやすいようにやっていただくというのが一番良いかなと思います。

○佐藤座長確かに大きなリスクは官が大きく負担をするという仕組みですが、大きなリスクというのはなかなか起きないリスクなので、結果的には官の方にお金が貯まって、民の方が小さいリスクを全部カバーしているので、なかなか貯まらないという構造になってはいるのですが、そういうやり方で良いのかという議論は確かにあるかもしれませんが、他に名案がありませんというのが現状なのかと思います。

あと、イメージなのですけれども、3ページの図、私が事務局にお願いしてこのような図を作ったのですが、1兆円以上で0.8%という、この1兆円は何ですかというのは、答えが12ページにありまして、完成形のイメージになりますけれども、8,300億円までが第2レイヤーですよね。つまり、ざっくり言うと1兆円弱までが第2レイヤーになっていて、そこまでの段階での民間の責任分担金が5,000億円なのですね。つまり、2回起きれば1兆円ということになります。イメージとしては、仮に民間の準備金が1兆円あれば、このレイヤーを最終形とすれば、その1兆円規模のことが起きる確率は、過去の経験なので、今、纐纈先生が仰ったように、2000年以降のことを言われてしまうとまた分からないのですけれども、過去の全ての経験に基づけば、大体0.8%ということになりますので、リスクとしてはある程度抑えられるのではないのかなという建付けで、この数字が出てきていると思ってください。よろしいでしょうかね。

では、議論が収束したのかよく分からないですけれども、お時間ということになりましたので、今日この段階でのこの議論については、ここまでとさせてください。

続きまして、内閣府防災担当の調査・企画担当官でいらっしゃいます古市企画官より、「南海トラフで異常な現象が観測された際の新たな防災対応について」、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古市企画官ただいま御紹介をいただきました内閣府で防災の調査・企画を担当しております企画官の古市と申します。今日は途中から参加させていただきました。よろしくお願いいたします。

お手元の資料、青い表紙の資料でございます。「南海トラフで異常な現象が観測された際の新たな防災対応について」ということで、今般、ガイドラインとしてまとめさせていただきました、事後に起きると思われる巨大地震への対応について、今日、お時間をいただきまして、御説明をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

まずページをめくっていただきまして、1ページでございます。こちらはつかみの情報ということで、御存知の方がほとんどかと思います。過去の大地震における人的被害の要因ということで、大きな地震、主なものを並べさせていただいております。右から左に御覧いただければと思いますが、御存知のとおり、関東大震災では人的被害の主要因は火災であったということ、阪神・淡路のときには建物の倒壊によるものが大多数を占めていまして、あとは長田区とかの火災に伴うものが多かったということです。2011年の東日本大震災では、御存知のとおり、津波によってお亡くなりになった方が9割を超えているということで、こちらは地震の規模ですとか、位置ですとか、地震に伴って揺れの周期の違い等がありますので、それによって被害の形態は変わってくるわけでございます。

今般、南海トラフの地震に備えて、いろいろ被害想定等もしているわけでございますが、元々南海トラフが注目されましたきっかけといたしましては、2011年の東日本大震災で複数の震源帯がほぼ同時に動いたことで、大きなエネルギーとなって、広い範囲で津波による人的被害が出たというところを踏まえて、南海トラフ沿い、東海地震の相模トラフも含めました東西の広い震源域で同時に地震が発生し得る、または時間差で連続して発生し得るというところが着目されて、今、南海トラフ地震対策が鋭意進められているところでございますので、次のページ以降の御説明に入る前の前置きとして御説明をさせていただきました。

次に2ページをお願いいたします。このページで書いておりますのは、平成29年秋にとりまとめられました今後の防災対応についてということです。表題は大震法の取扱い及び今後の防災対応と書いてございますけれども、ポイントのみのお話をしますと、これまで大震法に基づく東海地震の確度の高い地震の予測を前提とした防災対策が、法的にも、あるいは各地方自治体、都県の対策の中でも組まれていたわけでございますけれども、東日本、その前の阪神・淡路等もありますが、なかなか確度の高い地震予測が難しいということから、現行の防災対応は改める必要がある。その上で、今後は異常な現象が観測された場合に、緊急的に実施する防災対応の基本的な方向性を整理する必要があるという方向性が示されたということです。

異常な現象とは何だということですけれども、具体的には2ページ目の下半分を御覧いただきたいと思います。東日本の地震発生を念頭に、最悪のケースとして南海トラフの東西の地震帯が全て動いた場合、いわゆる全割れと呼ばれるケースを基に想定しているわけでございますが、当然、過去の発災事例等を見ていますと、半割れ、いわゆる東半分、西半分といったような形で、地震が時間差で起きたようなケースもありまして、南海トラフは発生形態に多様性があるということでございます。この項目の3つ目の○の括弧書きにありますように、直近の東南海・南海地震では、東側の地震の2年後に西側で地震が起きておりますし、その前の江戸時代の地震では、32時間後に地震が発生しているということでございます。

そういった中で、今後、南海トラフの防災対策を考えていく上で、大きな地震の発生の前に、前震や地殻変動など様々な現象が捉えられる可能性があって、これらの観測情報などの科学的知見をどう防災対応に生かしていくのかという視点が重要であるということが、平成29年秋にとりまとめられているということでございます。そういった中で、典型的なケースを想定して、そのときにどのような緊急対応を取るのかというところを整理すべきということになりました。

次に3ページをお願いします。これを受けて、平成30年、昨年3月に中央防災会議の下に防災対応検討ワーキンググループというものを設けまして、先ほどのページでの方向性に加えて、それまで国や関係都府県等で検討していたものなども踏まえて、防災対応について検討を行ったところでございます。7回開催しまして、昨年の12月にとりまとめを行っているところでございます。右下にあるメンバーで、名古屋大学の福和先生に主査になっていただきまして、研究機関の方、財界の方、あと静岡・高知の知事にも入っていただいて、検討を進めてきたところでございます。

次の4ページをお願いいたします。ワーキングの結果については、資料は省略させていただいておりますが、ワーキングで出ました報告書を受けまして、ガイドラインと書いておりますが、これも資料を端折ってしまった関係で正式名称が載っておりませんが、「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン(第1版)」というものを今年3月に公表・策定いたしました。そのガイドラインに何が書いてあるかということを4ページに書かせていただいております。南海トラフ地震の発生可能性が相対的に高まったと評価された場合に、地方自治体、指定公共機関、企業等が取るべき防災対応を検討し、あらかじめ計画としてとりまとめるために参考となる事項を記載させていただいております。

発生可能性が高まったとは何かということなのですが、1発目の地震が起きたり、地震として揺れは体で感じなくとも、ゆっくりすべりと言われます地殻の異常な運動等が観測されたりしたときに、南海トラフのエリアの方に備えていただくというところを主眼に置いております。また、備えていただくための政府としての情報提供のやり方ですとか、情報伝達のやり方というところも、このガイドラインで書かせていただいているということでございます。それから、その情報に基づく避難を含めた地域防災計画等に基づいて、特に人的被害の軽減に繋げていくということが、このガイドラインで重きを置いているところでございます。

ガイドラインの構成は下半分に書いてあるようになっておりまして、それぞれ対象となる地域のそれぞれの主体において、法律に基づくどのような計画に、このガイドラインの対応を位置づけてもらう必要があるかというところを書かせていただいておりまして、3月の時点ではガイドラインを先行してとりまとめておりますけれども、現在、上位の計画であります防災基本計画ですとか南海トラフの推進基本計画に、このガイドラインの内容も位置づけるべく、今、調整をさせていただいているところでございます。

次の5ページを飛ばさせていただいて、先に6ページを御覧いただきたいと思います。このガイドラインに基づく、後ほど御説明します臨時情報と呼ばれる政府からの情報に基づいて、相対的に可能性が高まったと判断される事後の地震について、備えを取ってもらうケースはどういうときなのかということを6ページに書いております。

左半分がマグニチュード8以上、右上がマグニチュード7~8、右下がゆっくりすべり、被害なしと書いておりますけれども、大きなポイントとしては、マグニチュード7.0以上の有感地震が発生した場合は、南海トラフ震源域の一部が動いて地震が発生した可能性が高いということで、このガイドラインに定められた、あるいはガイドラインに基づき、今後、上位計画で定められることになります臨時情報の対応に入っていくことになるということでございます。

一方で、右下にありますゆっくりすべりの場合、国民の皆様には全く被害も出ていませんし、揺れも感じないということですけれども、フィリピンプレートと陸側のプレートのところで、震源域の近くで大きなひずみ等が観測された場合も、相対的には地震の可能性が高まっているということで、ゆっくりすべりの場合も、マグニチュード7~8の間のケースと似たような形で、国民に注意を呼びかけるというような形を考えているところでございます。そういった政府からの情報発信を踏まえて、それぞれの自治体さんですとか、企業さんですとか、そういったところで事前に避難やBCPの計画等を立てていただいて、それに基づき、社会生活、社会活動等は行いつつ、必要最小限の事前避難等の対応を取りながら、地震の可能性が高まっている間、備えていただいて、地震が発生したときには人的被害をできるだけ抑える、あるいは経済被害をできるだけ抑えるというような考え方に則っているものでございます。

1ページ戻っていただきまして、5ページです。一例といたしまして、プレート境界でマグニチュード8以上の地震が発生したときの枠組みを書かせていただいております。ここで想定しておりますのは、マグニチュード8より上ということで、東西に長い南海トラフの震源域の半分程度が動いた場合、半割れと我々は言っておりますけれども、それを想定しております。

どういう流れになるかと言いますと、上の黄色い枠のところを読ませていただきますが、地震発生から最短で2時間後に、後発地震発生の可能性が高いと評価された場合には、気象庁からその旨、政府に報告があるとともに、都府県・市町村、その他広く国民に情報提供がなされるということでございます。先立って、下の表も見ていただきたいと思いますが、地震発生直後は大津波警報等が先行して出ると思いますが、5分程度後から30分程度以内の間に、「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」というものがまず気象庁から直接発表されます。その後、評価検討会という有識者の会議が開かれて、最短で2時間、もうちょっとかかる可能性もありますが、後発地震について警戒が必要なのか、注意が必要なのか、対応は不要なのかといったようなところの発表を行うという形になっております。

上に戻ります。2つ目の○ですが、その上で、臨時情報が発令された場合は、地方公共団体に対してあらかじめ定めた防災対応を1週間取るべき旨を伝達いたします。そして、1週間経過後、防災対応は自動的に切り替わるわけですけれども、引き続き地震が発生する可能性があるということで、警戒を呼びかけるということになります。

分かりにくいのですが、先に言っておけば良かったですが、下の表は、上から下に向けてが時系列、左から右に向けてが政府から住民の皆さんや都府県・市町村に向けての情報伝達の方法ということで書かせていただいておりまして、真ん中の青いところは、今後、政府の様々な計画の中で正式に決めていくものでございますが、今はこのように考えているというところで、3月のガイドラインでは、左端と右側の部分についての進め方でありますとか、呼びかけの内容でありますとか、それを踏まえた日頃の備えについての検討のやり方ですとか、そういったところの内容が示されているところでございます。

7ページをお願いいたします。先に起きました地震の大きさに対応した臨時情報の内容と、その時系列の推移を示させていただいております。あくまで相対的に地震の可能性が平時よりも高まっている、必ずしも1週間以内に地震が発生するとは限らないけれども、確率としては高まっているということをしっかりお伝えした上で、向こう1週間程度は、例えばマグニチュード8以上のときは警戒対応ということで、下に書いてありますような3つの項目について国民の皆様に呼びかけをするということになっております。一番下のポツにありますように、地震発生後の避難では完了できないエリアの人たちには、事前の避難を呼びかけるという形になります。

マグニチュード8では、1週間経って地震が起きなかった場合は注意対応に切り替わりまして、避難等は解除になるのですけれども、引き続き自主的に備えてくださいという形になります。これはさらに1週間程度続きます。

その後、注意対応も解除されるわけですけれども、それでも地震が起きていなかったとしても、過去の地震から、当然ながら次の地震に備えて引き続き留意を呼びかけていくということになります。

マグニチュード7以上の場合、南海トラフの震源域の半分が動くというよりは、一部が動くくらいの規模でございますけれども、このときはマグニチュード8、半割れのときほど地震発生の可能性は高まっていないのですが、こちらも地震発生前よりは高まっているということで、先ほどお話をしました注意対応ということで臨時情報を発出しまして、各自、地震への備えを自主的に呼びかけるという形になります。こちらは1週間で通常の形に切り替わることを想定しております。

また、ゆっくりすべりについては、地震が起きていないので、いきなり調査中が出て、その後、注意対応が出るという形になりますけれども、こちらは1週間、2週間ということではなくて、ゆっくりすべりが収束したと評価されるまでの間、備えを再確認するようにということで、情報を発出することを考えております。

東海地震と違いまして、予測というよりは、相対的に可能性が高まっているので、念のためと言いますか、確実に逃げ遅れるであろう人は事前避難をしていただきたいですし、その他の人たちは社会活動、生活等を維持しながら、来るべき地震に備えてくださいというような形での防災対応となっているのが南海トラフの特徴でございます。

次に8ページをお願いいたします。1週間というのと、事前避難が必要というのは何なのかという話をここから御説明させていただきたいと思います。

まず相対的に可能性が高まったというのは何なのかという話なのですが、例えばマグニチュード8以上の半割れの地震が起きた場合、過去のそういった事例を調べましたところ、103事例中7事例で1週間以内に地震が連動して発生しているということで、これは30年以内に7~8割と言っております確率と比較しますと、100倍程度にオーダーが跳ね上がるということでございます。そういった中で、100倍というところを根拠に臨時情報を出して、皆さんには計画に基づいて防災対応を取っていただくということです。

1週間の事前避難というところについては、2つめくっていただいて10ページを御覧ください。膨大なエリア、膨大な人数の方々に避難していただくというよりは、対象となる方を絞り込んで避難していただくというようなことを考えております。ここで言いますと、今、防災対策の基本となっている設定として、浸水想定区域がありますけれども、それよりもっと絞り込んでいただいて、赤く色が塗ってあるところでございますが、その周辺に津波避難タワーがない、高台がないとかで、地震発生後の避難では間に合わない地区にお住まいの方に絞って、例えば避難勧告のエリアの場合は全ての住民の方、避難準備・高齢者等避難開始のエリアの場合は御高齢者など要配慮者の方といったような形で、絞り込んで高台の避難所に避難をしていただくようなことを想定しているところでございます。実際、マグニチュード8以上が起きている場合は、初発の地震で既に避難行動に入っている方も多数いらっしゃると思いますので、そういったところも踏まえながら、引き続き避難を呼びかけたり、新たな避難を呼びかけたりというところは、それぞれの地域の計画で今後組んでいただくということで考えております。

前後して申し訳ありません。9ページで、南海トラフの推進地域の指定ですとか、津波避難対策強化の地域を色づけしていますので、事前避難については右下の青いところの自治体がメインになろうかと思っておりますけれども、それ以外の自治体におきましても、津波だけによらずに臨時情報についてどう対処するのかということを今後考えていただくということになります。

ページが落ちておりますが、11ページは情報発信の流れということで、今、お話をさせていただいたものの焼直しになっております。ポイントとしては、30分程度までに調査中というのが出て、2時間後以降に警戒情報なり注意情報なりが出る。1週間後、2週間後と、レベルが落ちていく。その都度、国からの呼びかけですとか、気象庁からの記者発表等がなされるということでイメージしていただければと思います。

最後、12ページです。今後の予定ということで、御参考までに書かせていただいております。今年の3月に第1版のガイドラインを公表したというところまで先ほどお話をさせていただきましたが、その後、4月、対象地域を7ブロックに分けて、自治体、都府県向けの説明会を実施いたしまして、直接、これから計画を作っていただく皆様方に御説明とお願いをしております。これを受けて順次、地方公共団体等では地域防災計画への反映ということで、約1年かけて御検討を進めていただくということになっております。ただ、1回の説明会をもって、1年で作ってくださいねと言っても、なかなか濃淡が出てくると思いますので、引き続き政府といたしましては、モデル地域を2つ程度定めて、先行して国も一緒にサポートで入りながら検討を進めて、そこで課題や疑問が出るだろうなというところは、随時、自治体の皆様等には情報提供させていただきながら、早期の計画策定に向けて支援をしていきたいと思っております。今年度末を目途に、一定程度の防災計画が策定されて、国から臨時情報等が出たときに、適切に住民の皆さん、企業の皆さんが対応できるようにという体制を構築していくことができればと思っているところでございます。

以上、私からの御説明です。御清聴ありがとうございました。

○佐藤座長御説明ありがとうございました。

では、今の御説明に質問、御意見等々あれば、いかがでしょうか。

○目黒委員補足ですけれども、最初に、大正以降3回の大震災の死因の説明がありました。表面的にはそのとおりですけれども、実はこの背景には、建物の耐震性というものがすごく大きな影響を及ぼしているということは、地震保険を検討される皆様には御理解いただきたくて。最初の関東大震災も、建物の倒壊が主な火災の原因になっていまして、初期出火率と全壊率がきれいに比例するのですね。地震の後の火災は同時多発なので、公的な消防に期待できないから、小規模な火災なので市民の人たちが自分たちで対応すれば、ほぼ消せるのですよ。それが全壊になると、消せないとか、消すための人が下敷きになっているだとか、壊れた建物の中からの出火だとほとんど素人では対応できないとか、様々な理由から延焼確率が確実に高まるのですよ。なので、耐震性が高ければ、火災の延焼というものは大幅に減少させることができるということがメカニズムにあるということを御理解いただきたい。

それから、阪神・淡路大震災は家が倒れて亡くなっているのでそのままですが、東日本大震災に関して言うと、実は建物が倒壊しなかったことによって多くの方が逃げることができたということが背景にあって、地震が起こった瞬間に、その後、津波が押し寄せる津波浸水域に、当時、62万人が存在していたのですけれども、その人たちの中でお亡くなりになったのは3%なのですね。これは世界中の過去の大きな津波災害でずば抜けて良い成績なのですよ。それが達成できた大きな背景は、直後に建物の倒壊等によってトラップされている人がほぼいなかったことがものすごく大きなポイントになっています。神戸の地震で言うと、直後に被災地全体で4万5,000人から5万人くらいが閉じ込めの状態だったのですね。閉じ込めの状態で火災が襲ってきて亡くなったというのが、ここで言う12.8%の焼死なのですよ。この人たち、ほぼ100%トラップされているのですね。なので、直接的な死因は火災なのだけれども、その前に建物の耐震性が高ければ、この人たちは亡くならなくて済んだのですよ。ですので、その辺の隠されたメカニズムというか、因果関係をきちんと踏まえた理解をしておくことが非常に重要ですので、補足させていただきました。それが1点。

今、御説明を伺って、結局のところ、以前の東海地震のケースでは、あるステップに乗ると地震保険は買えなかったのですけれども、今回はどうなるのですか。

○中澤信用機構課長それをこれから考えなければいけないということで、今回来ていただいたのです。

○佐藤座長今回の御説明の趣旨は、引受制限の発動するタイミングについてということですか。

○中澤信用機構課長そもそもするかどうかということではあるのですが、参考資料として、現行の地震保険法、保険約款をつけています。大震法の警戒宣言が出たときに引受制限をすると書いてあって、それに基づいて約款が決められているのですけれども、今回、臨時情報というものが出るのですが、それが果たして性格的にこれと本当に類似するものなのかどうかということも含めて、どうするかを考えなければいけないなということだと思っています。

○佐藤座長いかがですかね。

○中澤信用機構課長1つ、内閣府防災担当さんにお伺いしたいのは、臨時情報が出た後、呼びかけという形で出るのですけれども、5ページの段々になっている対応のフローチャートみたいな中で、緊対本部で対応というのが政府の下の方にあって、ここで「事前の防災対応を取るべき旨、発表・伝達」と書いてあるのですが、これのことを指しているという理解でよろしいでしょうか。

○古市企画官今、ここを詰めているところですけれども、気象庁から政府・緊対本部に情報が入りましたら、緊対本部長である総理ですとか、官房長官でありますとか、そういったところから指示が出て、また、ぶら下がりのインタビュー、あるいは会見等で広く国民の方に呼びかけがなされるということを考えているところでございます。

○中澤信用機構課長その呼びかけというものは、緊対本部決定みたいなものになるのでしょうか。

○古市企画官そういう形になります。

○中澤信用機構課長続けて恐縮ですが、東海地震の警戒宣言と今回の臨時情報で、やることは同じなのか、全然違うレベル感のものなのかということが、御説明を聞いてもいま1つよく分からないので、その辺はどうなのでしょうか。

○古市企画官それはこれから自治体さんとか企業さんが立てられる計画によるところはあると思いますが、今、内閣府の担当として考えておりますのは、警戒宣言の場合は、社会活動を止めてでも対応するというようなトーンがきつかったと思いますが、今回の呼びかけというのは、可能な限り、国民生活、社会活動については維持をしつつ備えるというトーンで想定はしているところでございますので、厳密に言うと、大震法に基づく警戒宣言発令時の対応と、今回の臨時情報に基づく対応というのは、レベルが落ちるのかなと思っております。

○藤田委員質問なのですけれども、そもそも地震保険の引受制限がかかっている理由です。普通に考えると、逆選択の防止、つまりリスクが顕在化してから保険に入るようなことがあると困るということ、つまり、がんの診断を受けてから生命保険に入れないのと同じような話だとすると、今言われている違いというのは、あまり対応していないですよ。つまり、社会生活に変更を加えてでも損害防止のための措置を取ってもらうかという話だとすると、ポイントとなるのは、どのくらいの確度でリスクが高まったかというレベル感の違いがあるか、ないかだと思うのですけれども、それはあるのでしょうか。それとも、それはないのですか。

○古市企画官資料の中にも書いてございましたけれども、マグニチュード8レベルが起きた後の向こう1週間での発生確率が100倍程度上がるという過去の統計からの確率ですね。

○藤田委員半割れ、被害甚大ケースだと、リスクの顕在化というのは同レベルと間違いなく言えそうなのですが、ゆっくりすべり、被害なしケースみたいなものを含めて、そういうことなのかという質問です。

○古市企画官マグニチュード7、ゆっくりすべりの場合は、さらにもう1桁、確率が落ちるような感じになります。ですので、我々の方も事前避難までは求めませんし、各自、家具の固定がどうかとか、防災袋がどうかとか、備えの点検をというくらいの呼びかけになりますので、通常の確率より10倍上がった、100倍上がったということを国民の方がどう捉えられるか、あるいは、それが地震保険の加入に対してどういう影響を与えるのかというところは、我々も何とも言えませんけれども、恐らく保険制度の維持ということを念頭に考えられるときに、それは東海地震と同じく駆込みがあるかもしれないと思われれば、何らかの制限をというお話もあるかもしれませんし、私、そこはあまり迂闊に言えませんけれども、警戒宣言ほど、予知、予測というところのものではなくて、確率が1桁、2桁上がるということで御認識をいただければと思います。

○中澤信用機構課長もう1回、整理しないといけないので、次回以降の議論にしたいと思うのですけれども、1つだけ、損保協会さんに実務についてお聞きしたいのですが、今回、半割れのケースで、大規模地震のケースだと、既にマグニチュード8以上の大きな被害が出ているというときに、それで防災対応をされるわけですけれども、南海トラフだけではなくて、東日本大震災でも大きな地震がありました、東北地域ではないけれども、やっぱり備えなければいけないということで、関東地方でも北の方の人が地震保険に入りましょうといったときに、それはだめですよねというルールが決められたときに、執行できるものなのでしょうか。仮定に基づいた質問ですけれども。

○大知地震保険特別委員会委員長鋭い御指摘だと思います。実務の面ではすごく重要な問題でして、まず、お断りするというのは、何らかの根拠がないと公的な保険では無理で、今は約款に書いてある、地震保険法に書いてあるものを根拠にするしかないので、それ以外で軽々にお断りすることはしておりません。ただし、近隣で地震が起こった場合には、従来にも増して、既に損害が起きていないかどうかをきちんとチェックして引受けをするようにという代理店の指導はしておりますので、そこでやっているだけです。

逆に実務で考えますと、今、お話のあったような臨時情報が出た場合に、当然、マスコミ等で相当ワーッと流されますので、その際に、今、地震保険の認知度も相当高まっていますので、場合によっては番組の中で、今すぐ加入した方が良いですよみたいなことをやられると、実務は回らなくなると思います。藤田先生が御指摘のように、保険理論として、それで本当に契約者間の公平が保てるのかという問題は別にあるのですけれども、それ以外にも実務として回るか。当然、危ない地域からの申込みが多いと思いますので、代理店が全てに対応できるか、保険会社が全てに対応できるかという問題も、もう1つ考えておかないといけないと思います。

○佐藤座長他、いかがでしょう。

○目黒委員そもそも地震保険の設立の趣旨からすれば、被害を受けた人たちを救済することですよね。だとすると、より被害を受けやすい人たちにだめですよというのは、何となく言いにくいということは分かりますよね。だけど、一方で既に入っている方々からすると、公平の原則が担保されないということになるので、折衷案としては、どれくらいその数字が信用できるかどうか分かりませんけれども、6ページに書いてある、103事例中の7事例だとか、1,437事例中の6事例だとか、こういったところから何らかの確率をはじき出して、それを根拠にして、リスクの公平さを担保できるくらいに料率を変えて、納得できるところの数字で入ってもらうというようなことが、みんなが納得する数字なのかなという感じはします。

○佐藤座長直前に割増料金を取るということですか。

○目黒委員そういうこと。それは事前に決めておかなければいけないですよ。実務の人からしたら、「ちょっとやめてくれ」だとは思いますけれども。

○佐藤座長料金を変える暇もないのではないですかね。

○目黒委員頭の体操として、それくらいのことを。

○佐藤座長分かります。確かにそれは正しい指摘だと思います。

地震保険法においても、大規模地震対策特別措置法の中で、地震災害に対する警戒宣言というのがオフィシャルに出るわけですよね。それに対する対応なので、何らかの政府によるオフィシャルな対応があって、それがなければ損保さんとしてはノーとは言えないわけなので。

逆に質問すれば、7ページの巨大地震警戒対応であれ、注意対応であれ、どのくらいのオフィシャリティーというか、例えば、これが出されているからここに行っちゃいけないよという拘束力とか、避難勧告みたいなものですよね。どれくらい強制力があると思えば良いのですかね。あと、どれくらいオフィシャリティーがあるというか。

○古市企画官勧告レベルだと御理解いただければ良いと思いますので、そこまで強制力はないですね。

○藤田委員建付けがそもそもずれているのですね。問題が逆選択とか、保険契約者間の平等の話だと、本来強制力があるかどうかは関係ないはずです。元々建付けがずれているところを、性質が同じですかと議論するから、ますます話がずれていくことになります。だから、あまりそこの違いを強調するのはどうかなという気もします。それが1点目。

もう1点、契約の実務との関係で伺いたいのですが、この手の話に対処するにはもう1つの道具があって、それは引受拒絶ではなくて、地震の定義なのですね。2つ以上の地震があった場合には、たしか72時間で1つとみなす。1つとみなされたら、もう既に起きている事故なので、そこから後に入っても適用はない。一定の事故が出た後に起きた一連のものを一体とみなすことはできないでしょうか。約款の書き方だけですよね。約款には、72時間というのは法律上根拠があってやっているわけではないので、それを広げる方法もあり得るのかなと思ったのですが、それは難しいですか。

○中澤信用機構課長法律上、72時間と書いてあるので、なかなか難しい。

○佐藤座長第3条ですね。昔、議論したことがあるのですけれども、72時間ではなくてもう少し広げて、1回当たりというのを定義したらどうかと。

○藤田委員一括とみなすのが時間だけではなくて、この手のものと連動させるというのもあり得るかなと思いました。

○佐藤座長たしか東日本のときもそういうのがあったので、1週間とか、何かあったのです。

○藤田委員一定のものが出ている期間内は一体とみなすというわけですね。

○佐藤座長1つの地震とするということですね。

○目黒委員以前、余震の影響も全部考慮するという意味で議論したと思います。

○藤田委員それが実は引受制限と同じ機能を果たすのですね。

○佐藤座長つまり、引受制限をかけるという代わりに、1回の地震の定義の幅をもう少し広げるか、柔軟化する。南海トラフについては1週間だとか、できるのかな。

○藤田委員出ている期間に起きたものは一体とみなすので、形式判断ですよね。

○大知地震保険特別委員会委員長藤田先生が仰ることも、理論的には選択肢として取り得るかもしれないのですが、そこを十分に御加入になる契約者の方に御理解いただいてやらないと、「入ったのに何だ」という苦情トラブルが頻発すると、何のための制度だということになりかねないので、そこは慎重になるべきかなと。

○藤田委員入れてもらえない不安よりも、入ったのに払ってもらえない不満の方が大きい。端的に言えばそういうことでしょうか。

○大知地震保険特別委員会委員長今回の地震保険法自体が、大震法の追加で今御説明いただいたような臨時情報等の存在を想定していない法律の書き方なので、そうなったときにどうしましょうかというのが、今回御提起されたポイントだと思うのですけれども、契約者間の公平だとか、逆選択の防止というところをどこまで建前として持ってきて、どこで仕切るかということを何か決めておかないと、いろいろなトラブルが起きるだろうなと、漠然と業界側としては不安に思っていまして、何らかの決めを作っておかないといけないのだろうという問題意識は持っております。

○佐藤座長公平性も大事ですけれども、強靱性に関わる話でありますので、そもそも積立金が今の加入を前提にやっていますので、急に加入者が2倍になってしまったら、制度として対応できないということになりますので。

○目黒委員合わせて1イベントと考えると、限度額の問題も、南海トラフをどれくらいに見積もっているかにもよりますけれども、既に入っている人たちに急に制限を加える形のものになってしまいますよね。

○古市企画官1点、訂正をさせてください。マグニチュード7~8の間の場合は1桁落ちますという話をしましたけれども、もう少し落ちまして、マグニチュード7~8の間であれば通常の数倍程度、3~4倍程度であります。

もう1点、マグニチュード8以上の場合、1週間以内で100倍程度というお話をしましたが、これを3年以内で見ますと、103例中17事例ということになりまして、2.5倍くらいになるということも申し添えておきます。

○佐藤座長いかがでしょうか。

○纐纈委員私は常に強靱性が重要だなと思っていまして、そういう意味では、今ある地震保険法と保険約款をこれから始まる制度に読み替えられるか、あるいは改正が必要なのか、よく分からないですけれども、そうした方が良いのではないかなと思います。

○佐藤座長ここのところで出てきたアイデアは2つ。1つは、参考資料にあるとおり、東海地震に準じて、警戒宣言に応じる感じで引受制限、つまり警戒対応が出たことをもって引受制限をかけるという対応をするのか、あるいは、藤田先生とか目黒先生が御指摘になったとおり、72時間という1回当たりの地震の定義、このところを少し柔軟化するか、一律に広げるかですかね。そのあたりで対応するのか。ただ、いずれにしても、72時間自体は既に法律に書かれていることなので、法律改正マターになるということだと思います。そちらはいろいろと考えなければいけないことかなと思うのですけれども。

何かあと追加で御意見ありますかね。よろしいですかね。では、今回はとりあえず悩ましいなというところで話はおしまい。すみません。

続きまして、本日最後になりますけれども、損害保険料率算出機構さんから、「基準料率改定の届出」についての御説明をお願いいたします。

○市川常務理事損害保険料率算出機構の市川でございますが、私どもで昨日5月28日に金融庁に対して地震保険基準料率を変更するという届出を行いましたので、その概要について御説明申し上げます。

資料6を御覧いただきたいのですが、表紙の裏が、紙にしてA4横判1枚物の御説明資料になっておりまして、より詳細な内容を記載したA4縦判の数枚の資料も添付してございますが、A4横資料をベースにして御説明を申し上げます。

ページの左上、オレンジの部分ですが、太線枠内に今回の届出の概要を記載しております。まず基本料率ですけれども、全体平均で5.1%の引上げとなっています。都道府県別、建物の構造別の料率の改定率は区分ごとに異なりますが、最大の引上げ率で14.7%、最大の引下げ率で18.1%となっております。

この改定の背景をページの左下の枠内に記載しております。御承知の方も多いとは思いますけれども、基準料率の算出には基礎データとして、地震本部の確率論的地震動予測地図の震源データを用いております。これが東北地方太平洋沖地震を受けて、地震本部において2014年版予測地図を作成されたときに、その震源モデルの見直しによって、地震保険の基準料率を大きく引き上げる必要が生じました。この点について、当時開催されておりました地震保険制度に関するプロジェクトチームのフォローアップ会合の議論を踏まえて、必要な水準まで3段階に分けた改定を行うことにしたという経緯がございます。

ページの中央部にありますとおり、第1回の改定を2015年9月に私どもが届出、第2回を2017年6月に届出を行っています。この第2回の改定届出が今年の1月1日から実施されております。それを受けて、今回、第3回目の届出を行ったということでございます。

都道府県別・建物構造別の料率については、ページの右上に保険料例とある表の中で、三大都市圏や増減率が最大・最小の区分をお示ししておりますが、全ての区分の料率及び増減率については、別束の資料に記載しております。

各区分の料率につきましては、ページ左下の枠の中ほどに記載のとおり、3段階通算で50%を引上げ率の上限とするという段階改定当初からの算出方法を今回も踏襲しております。

なお、今回の改定は3段階改定の3回目ということでございますので、現時点で収支が相償する水準の料率として算出しておりますが、改定1回目、2回目は収支が相償する水準に至るまでに段階を踏んでいる途中の料率ですので、収入が不足する料率の算出、届出をしておりました。したがって、この間においては、収入不足が発生することになりまして、この点につきましては、フォローアップ会合でもアンカバーの問題として論議されたところでございますけれども、そこでの論議に基づきまして、この不足分については3段階改定の後で実施する改定において解消するということにしております。

最後に、これ以外の改定内容でございますが、2点ほどございまして、まず第一に、基本料率の改定の中で、ページ左上の太線枠内の3行目のなお書きにありますとおり、現在、基本料率に講じております経過措置がございまして、その解消に向けた見直しを行っております。簡単に御説明しますと、これは2009年に届出を行いました建物構造の判定基準の見直しの際に、従来、イ構造としていた建物が、ロ構造扱いとなるという一部の建物がございまして、保険料負担が大きく上がるということを受けて、イ構造の1.3倍の料率とする激変緩和措置を講じておりました。これを今回の改定で、本来のロ構造の料率にさらに近づける見直しを行っております。

もう1点は、長期係数の見直しです。地震保険は最長5年までの契約が可能でございますけれども、2年以上を長期契約と呼んでおりますが、その保険料を契約時に一括払いする場合の保険料計算に用いる係数が長期係数でございます。ページ右下の長期係数の表にありますように、近年の金利状況を踏まえて予定利率を見直したこと等によりまして、長期係数が若干上昇しておりまして、その結果、割引が若干少なくなるということになります。

簡単ではございますが、御説明は以上でございます。

○佐藤座長ありがとうございました。

今の御説明に何かもし質問があれば、いかがですか。大丈夫ですかね。

ちょうどお時間になりましたので、本日の議論はここで終了とさせてください。

では、今後のことにつきまして事務局から連絡をお願いいたします。

○中澤信用機構課長次回の研究会の予定につきましては、皆様の御予定を伺った上でまた御連絡をさせていただこうと思います。

なお、前回申し上げたことですけれども、この研究会は役所の事務年度ごとに議論のとりまとめみたいなものをしたいと思ってございまして、といってもそんなに仰々しいものではないのですが、恐らくお集まりいただいて議論をしていただくまでもないのだろうと思いますので、座長とも相談した上で、場合によっては書面協議みたいな形でやらせていただくかもしれません。いずれにしても、また御連絡を差し上げたいと思います。

○佐藤座長ありがとうございました。

では、本日は以上です。御多忙の中、御参集いただきましてありがとうございました。

午後3時30分閉会