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地震保険制度等研究会第7回 議事要旨

1.日時令和5年5月31日(水)14:00~16:00

2.場所財務省国際会議室(本庁舎4階)

3.出席者

(委員)佐藤主光(座長)、阿部美雪、纐纈一起、清水香、鈴木隆樹、堀田一吉(敬称略)

(オブザーバー)一般社団法人日本損害保険協会、一般社団法人外国損害保険協会、日本地震再保険株式会社、損害保険料率算出機構、金融庁監督局保険課

(事務局)奥総括審議官、福島信用機構課長

4.議題

  • 地震保険に関する最近の動き

  • 令和4年福島県沖を震源とする地震への対応

  • 足元の主要課題

  • 地震保険の加入促進について

(1)更なる加入促進に向けて

(2)地震保険制度の適切な運用確保に向けて

【1】自己申告方式に関する事後検証について

【2】保険申請サポートに関する注意喚起の取組

5.議事内容

(地震保険に関する最近の動き)

  • 日本損害保険協会から、令和4年福島県沖を震源とする地震への対応について説明を行った。また、事務局から、民間危険準備金残高の現状について報告を行った。

(更なる加入促進に向けて)

  • 事務局及び日本損害保険協会から、地震保険の更なる加入促進について説明を行い、討議を行った。

  • 討議における委員からの主な発言は次のとおり。

  • その地域における地震発生リスクや被害の大きさを、加入促進を行う上での考慮要素としてはどうか。

  • 地震保険と、地震による被害を保障する共済契約(以下「地震共済」という。)を合わせた世帯加入率が低い地域に対し、重点的な加入促進を行ってはどうか。

  • 加入促進にあたっては、エリアが広範な都道府県については、より細かに地域を分解したアプローチを検討する必要があるのではないか。

  • 所得別の地震保険加入率が分かれば、加入促進策の1つとして、所得層に応じた地震保険料の金額調整等のようなものも考えられるかもしれない。

  • 地震保険制度は、ノーロスノープロフィットであることや、国が再保険しているため巨大地震にも対応できることなどを強調して加入を促す方法もあるのではないか。

  • マンション共用部については、新築時でないと、事後的に住民の合意形成をして地震保険に加入するハードルは高くなる。中古のマンション共用部における加入をどのようにすれば増やせるか検討する必要がある。

  • 一般賃貸住宅以外では火災保険の加入が入居条件等として求められていないところもあると聞いており、このような場合に、地震保険の加入をいかに増やしていくか検討することも重要ではないか。

  • 消費者は、賃貸借契約時等において、損害保険代理店から最初に提示された内容のまま保険に加入することが多いように思うので、引き続き、損害保険代理店に対して、地震保険を付帯させた内容で消費者にお勧めするよう促していくことが効果的ではないか。

  • 賃貸物件についての地震保険付帯は、チラシ配布などの業界取組もあり、随分と消費者への周知が進んでいるように思う。

  • 地震共済との協力関係構築に加え、中長期的には共済と保険の補償内容の平仄を合わせる仕組みづくりも考えられるのではないか。

  • 地震共済の商品の仕組みや加入促進方法などを具体的に調べることで、地震保険の加入促進にも活かせるのではないか。

  • 現行の地震保険制度においては、加入促進策の成果は着実に現れていると思うが、抜本的な付帯率向上を図るためには、中長期的には、家財を定額払いにするなど、商品そのものの見直しも含めた検討を行う必要があるのではないか。

  • その他、日本損害保険協会から、次の発言があった。

  • 借家(家財)に対する地震保険付帯率が低いことについては、業界としても課題認識があり、消費者向けに地震保険の加入促進を行うのみならず、損害保険代理店にも働きかけて加入促進を行うよう要請している。

(地震保険制度の適切な運用確保に向けて)

  • 日本損害保険協会から、自己申告方式に関する事後検証及び保険申請サポートに関する注意喚起の取組について説明を行い、討議を行った。

  • 討議における委員からの主な発言は次のとおり。

  • 自己申告方式の運用改善にあたっては、デジタル化の推進等を図るという方向性で良いと思う。

  • デジタル化の際には、写真の偽造等を検知できるような仕組みを実装し、不正保険金請求防止に役立てるべき。

  • 今後、自己申告方式をオプションとしてではなく、主流で活用してはどうか。

  • どの業界においても人手不足が深刻化しており、今後は地震保険の立会調査においても人手不足が生じ、デジタル技術の活用がむしろ原則化する時代になるのではないか。

  • 申請のデジタル化が進めば、保険金支払の迅速化やより早い生活再建が期待できることに加え、保険申請サポート業者が入り込む余地を減らすことができるのではないか。

  • 契約者は、保険申請サポートトラブルの存在をそもそも認識していない可能性があり、契約締結時や更改時に注意喚起を行うことが必要。

  • 損害保険代理店から契約者へ請求勧奨を行う、いわゆるプッシュ型のアプローチをすることによって、契約者側から申請を行う必要が無くなり、自ずと保険申請サポート業者の介在する余地がなくなるのではないか。

  • その他、日本損害保険協会から、次の発言があった。

  • 自己申告方式のデジタル化にあたっては、画像に含まれるデータを使って不正請求を検知するような仕組み等を検討する予定。

  • 少なくとも現時点では、地震保険の損害認定は立会調査を原則としており、大規模地震発生時など立会要員が不足する事態において、立会調査を補完する手段として自己申告方式があると認識している。また、自己申告方式は、被災した契約者に負担をかける損害調査方法とも言える。よって、今後の自己申告方式の活用拡大については、契約者の利便性向上や損害調査の適切性確保、保険金支払の迅速性等を総合的に勘案し、関係者の皆様も含めた検討課題として受け止めたい。

  • 保険申請トラブルの注意喚起にあたっては、バナー広告やリスティング広告を活用し、保険金請求を行うためにインターネット検索をした契約者に対し効果的なアプローチを行っている。

  • 申請サポート業者トラブルについては、災害発生時など有事の際の注意喚起に加え、契約締結時や更改時など平時から注意喚起を行うことが非常に有効であると認識しており、チラシなどを活用した取組を行っている。

  • 災害が発生したにも関わらず保険金請求の無い契約者に対しては、損害保険会社から契約者へ請求を促す取組もある。

(以上)