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地震保険制度等研究会第5回 議事要旨

1.日時 令和3年6月1日(火)13:30~15:30

2.場所 オンライン

3.出席者
 (委員)佐藤主光(座長)、阿部美雪、荒川進、纐纈一起、清水香、中埜良昭、藤田友敬、堀田一吉、目黒公郎(敬称略)
 (オブザーバー)一般社団法人日本損害保険協会、一般社団法人外国損害保険協会、日本地震再保険株式会社、損害保険料率算出機構、金融庁監督局保険課
 (事務局)新川総括審議官、嶋田信用機構課長

4.議題
  •  第4回研究会における議論の概要について
  •  立地に応じた保険料の割増・割引(立地割増・立地割引)について
  •  建物と家財の被害に係る支払状況の研究の中間報告について
5.議事内容
    (第4回研究会における議論の概要について)
    •  事務局から第4回研究会における議論の概要について説明を行い、討議を行った。
    •  討議における委員からの主な発言は次のとおり。
      •  「第4回研究会における議論の概要」はこの内容でよいのではないか。
    (立地に応じた保険料の割増・割引(立地割増・立地割引)について)
    •  事務局から立地に応じた保険料の割増・割引(立地割増・立地割引)について説明を行い、討議を行った。
    •  討議における委員からの主な発言は次のとおり。
      •  近い将来全国的にデータが揃う可能性がある津波に着目して具体的な制度の検討を進めることについては賛成。
      •  消費者が納得できるデータに基づいている必要がある。
      •  津波浸水想定等は法律に基づいた指標であるため、客観性・妥当性があると言えるのではないか。
      •  今後、津波に着目して具体的な制度の検討を進める際には、どこで境界をひくのか、どの程度のリスクを想定して保険料率を設定するのが適当かということも議論する必要。
      •  特定の災害類型のリスクだけを保険料率に反映することについて、納得感の面で疑問を感じる。また、その場合、全ての災害類型についてリスクが反映できているわけではないということを十分に周知しなければ、立地割増の適用がない地域の保険契約者に対して、その地域は安全だという誤解を与えることになるのではないか。
      •  立地割増・立地割引の導入にあたっては、負担の公平性の観点とリスクに対するシグナルの観点のどちらを重視するのか整理する必要があるのではないか。
      •  立地割増・立地割引を導入する場合には、現行の等地区分が適切にリスクを反映できているかという検証も含め、料率体系全体の見直しと併せて行う必要があるのではないか。
      •  立地割増と立地割引はそれぞれ想定される効果が異なり、保険契約者の納得感を得やすいのは立地割引だが、リスクに対するシグナルの観点を重視するのであれば立地割増ではないか。いずれにせよ、規模的には大きいものを入れることは難しい。
      •  現行の地震保険料率には等地区分として料率差がすでに設けられているため、リスクアラートとしての機能を重視するのであれば、ごく少額の立地割増・立地割引を導入することもありうるのではないか。
      •  リスクの高い地域への居住を避けるべきなのは当然であるものの、資金面の制約や地縁による関係性等もある中で居住地を変えることは非常にハードルが高い。
      •  地震保険の契約は住宅購入時の手続きの最後に行うため、シグナル効果は限定的ではないか。また、誘導する効果を期待するのであればもっと詳細な情報を提供しないと保険料だけではわからないのではないか。
      •  消費者のリスク認識が不十分な中で立地割増・立地割引を導入すると、リスクの高い人を事実上排除することにつながり、被災者の生活の安定に寄与するという制度趣旨に反するのではないか。多くの人がなるべく安い保険料で加入できるという地震保険の仕組みを守る必要があるのではないか。
      •  将来的に目指す方向性として、地震保険にリスクコントロール機能を持たせ、我が国全体の災害リスクや被災者の減少へ貢献し、地震保険料の減額にも繋げていくべき。
      •  現在の地震保険制度のままでは、リスクの低い人が地震保険に加入しなくなるため、地震保険制度の持続可能性がないのではないか。
      •  国として立地抑制・移転誘導の政策を進めるということに理解を求めるということが重要なポイントであり、その政策の一環として立地割増・立地割引を導入するということではないか。
      •  地震保険の現状とあるべき方向が大きく乖離している状況であり、現状と将来の課題を区別し、時間軸でロードマップを描き検討を重ねていくことが重要。現状からただちにドラスティックに変えることは難しく、何らかの移行措置を検討する必要もあるのではないか。
    (建物と家財の被害に係る支払状況の研究の中間報告について)
    •  事務局からこれまでの経緯について説明を行い、損害保険料率算出機構から非木造の共同住宅における家財の支払状況に関するアンケート調査結果について報告を行った後、質疑応答を行った。
    •  討議における委員からの主な発言は次のとおり。
      •  アンケート調査結果Ⅴについて、居住階数ごとにサンプルを分けるのではなく、建物階数ごとにサンプルを分けた上で、どの階に住んでいたかで集計すると、上の階がより被害が出ているというような結論に変わる可能性もあるのではないか。
      •  建物と家財を別建ての保険にするという結論もありうるのではないか。家財の転倒防止措置にインセンティブを与えるために、被害の程度にかかわらず、震度に応じて家財の保険金を定額で支払うことも選択肢の一つではないか。
      •  ある程度のサンプル数を確保できる範囲で切り口を増やして分析することや、サンプル数を増やすことも検討してはどうか。

以上