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地震保険制度等研究会第4回 議事要旨

1.日時 令和3年4月23日(金)10:00~12:00

2.場所 オンライン

3.出席者
 (委員)佐藤主光(座長)、阿部美雪、纐纈一起、清水香、藤田友敬、堀田一吉、目黒公郎(敬称略)
 (オブザーバー)一般社団法人日本損害保険協会、一般社団法人外国損害保険協会、日本地震再保険株式会社、損害保険料率算出機構、金融庁監督局保険課
 (事務局)新川総括審議官、嶋田信用機構課長

4.議題
  •  令和3年4月~6月の地震保険制度等研究会について
  •  南海トラフ地震臨時情報に対する地震保険の対応について
  •  地震保険におけるデジタル化の取組状況について
5.議事内容
    (令和3年4月~6月の地震保険制度等研究会について)
    •  事務局から令和3年4月~6月の地震保険制度等研究会について説明を行った。
    (南海トラフ地震臨時情報に対する地震保険の対応について)
    •  事務局から南海トラフ地震臨時情報に対する地震保険の対応について説明を行い、討議を行った。
    •  討議における委員からの主な発言は次のとおり。
      •  臨時情報の目的が国民の注意を促すことにあるとするならば、臨時情報発表を機に保険を含めて地震への備えをすることは前向きに捉えることができるため、加入制限をすることは極力控えるべき。
      •  臨時情報は警戒宣言とは明らかに性質が異なり、大きな地震の後に余震に注意するのと同程度のレベル感だと捉えているが、そうであるならば加入制限を行う根拠にはならないのではないか。むしろ、臨時情報による加入制限を行うことは、地震保険制度の趣旨にそぐわないため、加入制限はすべきでない。
      •  臨時情報のレベル感は大したものではないが、臨時情報が発表された時に多くの駆込み加入が生じる可能性はあるため、それに備える必要があるのではないか。
      •  臨時情報発表時に限らず、大規模地震が発生した後は多くの駆込み加入者が発生する可能性があるが、保険会社の対応が追い付かない場合、制度としては加入が可能であるにもかかわらず、実際上は加入できないといった問題が生じる可能性がある。こうした実務上の問題がないか、あらかじめ検討しておく必要がある。
      •  加入時の審査において、消費者が納得できるような丁寧な確認や説明をしてほしい。その際には、契約者間の公平性も担保してほしい。
      •  加入申請の急増は必ずしも臨時情報発表時に限られるわけではないと思うが、臨時情報発表時に地震保険への駆込み加入が深刻になる程度にはリスクがあると言えるのか。そうであるならば、臨時情報発表時の加入申込みを減らすためにこの地域の平時における加入促進のために、リソースを割く必要が生じるのでこういった議論となるが、臨時情報はその程度まで有用な情報なのか。
      •  地震保険の認知度はまだ低いため、平時から地道に認知度を上げる必要があることから、付帯率に地域差はあるものの、どの地域でも同じように広報活動を進めてほしい。また、テレビやSNS等のツールも活用してほしい。
      •  加入促進については代理店が熱心に活動しているため、保険会社だけでなく代理店とも平時から意識を共有して進める必要がある。
      •  住宅ローンを組んでいる人にリスクを認識してもらうことや、自治体や地域を巻き込んだ形で普及の取組みを進めることが必要ではないか。また、マンション共用部分の地震保険への加入は増えてきているが、まだ不十分であるため、マンション管理会社との連携を強化していくことも重要。
      •  臨時情報による加入制限を行うことについて、好ましいとする委員意見はなかった。地震発生前の事前策として、駆込み加入を抑制する観点からもあらかじめ加入してもらうことが理想であることから、平時における加入促進が重要。他方で、地震発生後の事後策として、何らかの理由で多くの加入申込みが生じた場合に、公平・適正・迅速な対応が可能かということについて、オペレーションの問題が起きないように検討しておく必要がある。
    (地震保険におけるデジタル化の取組状況について)
    •  事務局から政府のデジタル化の方針について説明を行い、日本損害保険協会から地震保険におけるデジタル化の取組状況について説明を行った後、討議を行った。
    •  討議における委員からの主な発言は次のとおり。
      •  損害状況申告(自己申告)方式はまだ紙ベースで行っているが、デジタル化をするならば、オンライン完結できるとよいのではないか。
      •  デジタル化にあたっては、消費者が理解できるような形で進めてほしい。損害状況申告(自己申告)方式の利用割合が伸びているが、これまでは消費者が気づかない点も現地で損害保険会社がサポートしていると承知しているが、非対面の場合、写真を撮る箇所の例示等、手続きの不備が生じないような対応はなされているのか。
      •  個社の優良事例を他の保険会社で採用する動きはあるのか。
      •  消防団員等がルールに則って写真を撮り、被災地外の専門家がそれを評価しデータベース化することにより、作業効率を数十分の一にしなければ、大規模災害には対応できない。今後こうした点も検討してほしい。また、被災直後に自治体や保険会社等が似た調査をするが、共通した項目もあるため、全体で実施できるものは実施してシェアするといった合理的な対応ができるように進めてほしい。
      •  デジタル化は最終的にはデータの共有である。例えばドローンの活用によって面的に調査を行うことが可能となるため、自治体との連携や保険会社間での共同調査に活用する余地が出てくるのではないか。

以上