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地震保険制度等研究会第2回 議事要旨

1.日時 令和元年5月29日(水)13:30~15:30

2.場所 財務省第1会議室(本庁舎4階)

3.出席者
 (委員)佐藤主光(座長)、纐纈一起、藤田友敬、堀田一吉、目黒公郎(敬称略)
 (オブザーバー)一般社団法人日本損害保険協会、一般社団法人外国損害保険協会、日本地震再保険株式会社、損害保険料率算出機構、金融庁
 (外部有識者)内閣府 政策統括官(防災担当)付 参事官(調査・企画担当)付 古市企画官
 (事務局)茶谷総括審議官、中澤信用機構課長、西川信用機構課機構業務室長

4.議事内容
  •  事務局より、民間準備金残高の回復に向けた方策について、(一社)日本損害保険協会より、損害区分の変更に係る検証について、それぞれ説明を行った後、事務局より、議論いただきたい事項についての説明を行い、討議を行った。
  •  続いて、内閣府(防災担当)より、南海トラフで異常な現象が観測された際の新たな防災対応について説明を行い、質疑応答を行った。
  •  その後、損害保険料率算出機構より、基準料率改定の届出について説明を行った。
    •  討議及び質疑応答における委員からの主な発言は以下の通り。
    • (民間準備金残高の回復について)
      •  特例措置により民間準備金が回復した場合に想定される官民負担割合をはじめに作成し、特例措置開始時からその負担割合を適用すべきではないか。
      •  政府の責任準備金残高は、どのような積み上がり方になるのか。
      •  2010年以降は保険金支払額の大きな地震が多く発生しているように見えるが、これが本当のトレンドとまで言えるかは科学の立場からは難しい。地震保険制度は2000年以前の大きな地震が比較的少なかった時代にフィットしていたものであり、官民での保険料配分と負担配分とがマッチしていない状況を解決する必要がある。
      •  事務局のシミュレーションによれば、民間準備金の積上げ目標を1兆円とした場合、保険料配分とリスク分担を切り離し特例措置を実施することで、制度発足以来の平均的な支出額が今後も続くと仮定した場合には、目標を7年間で達成するというものになっている。将来の支出額がどのようになるかはわからない等不確定要素が多く、金額と期限のどちらを目標とするのかということを考えなければならないが、いずれにせよ、制度の強靭性を保つために一定の期間、特例措置を行うことで民間危険準備金残高を回復することが適当である。
      •  特例措置期間終了後に(官の方に保険料を多く配分する)再調整を何らかの形で実施することになると思われるが、その期間を抑制するために、特例措置期間中に民間の負担割合に上乗せを行うことも含め、より現実的な形になるための解を考えるべきではないか。
      (損害区分の変更に係る検証について)
      •  検証結果を見る限り、家財の方が建物よりも大半損が多い。今後家財についても加入率が上昇することを想定し、家財の保険金支払額についてシミュレーションを行ってみてはどうか。
      •  仮に建物と家財とで被害の発生の仕方に違いがあることが統計的にわかれば、保険料率を建物と家財で分ける方がよいということになり得る。
      (南海トラフで異常な現象が観測された際の新たな防災対応について)
      •  建物の耐震性が高ければ、火災の初期消火を行える、避難を行うことができる等の理由により被害は抑制される。地震被害には建物の耐震性が大きな影響を及ぼしているということを理解することが重要。
      •  警戒宣言の発令時に地震保険の引受制限がかけられる理由は、逆選択の防止にある。したがって、南海トラフ地震臨時情報において引受制限がかけられるべきか否かという検討のポイントは、警戒宣言と臨時情報とで、どの程度の確度でリスクが高まったかというレベル感の違いがあるか否かによる。
      •  引受制限が実務上可能かどうかも、検討すべき課題の1つである。
      •  地震保険制度の趣旨からすれば、被害を受けやすい人の加入制限は行いにくい。他方、既に加入している人との公平性も重要である。折衷案として、臨時情報の発表時にはリスクの公平性を担保できる程度に保険料率を変えるということも頭の体操として考え得るのではないか。
      •  現在は72時間以内に発生した地震を「1回の地震」とみなしているが、この「1回の地震」とみなす条件を変更し、連続して起きる地震を含めることにできないか。
      • 引受制限の有無は、地震保険制度の公平性のみならず強靭性にも関わる。
      • 強靭性の確保のため、現在の制度を臨時情報にも適用できるようにすべきではないか。

    以上