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国の債務管理の在り方に関する懇談会(第48回)議事要旨

 

.日時 平成30年10月22日(月)13:00~14:45

.場所 財務省 第3特別会議室

.内容

 

1.日本銀行の金融政策資料①(PDF:527KB)

2.国債管理政策の現状(資料②(PDF:1939KB))(資料③(PDF:1413KB)

 

 

 
1.日本銀行の金融政策

 まず、日本銀行 中尾根審議役より、日本銀行の金融政策(資料①(PDF:527KB))について説明が行われ、意見交換が行われた。

▶ メンバーから出された意見等の概要(当局においてとりまとめ)は以下の通り。

   
高齢者には金融政策の効果が及びにくいので、高齢化が進むと、金融政策の有効性が落ち、ますます金
  融政策をやらないといけなくなるということにもなりかねないが、デモグラフィーの変化にどのよう
   に対応していく考えか。

(→日本銀行から説明)
    デフレからの脱却を万全とすることにより、我が国のマクロ経済上の問題に対して、潜在成長力を含め
   て、効果を期待しつつ、対応しているところ。

   
731日の政策変更では、長期金利の変動幅を広げる方向の見直しが行われたが、固定化されたところ
   からの変動ということになれば、当然、投機的な動きも出てくる。今後の政策の変更に際しては、「市
   場との対話」が、従来に増して重要になってきている。
    また、今回の政策変更で確かに市場機能が多少復活したという部分もあるが、長短金利操作付き量的・
   質的金融緩和は長期金利を政策金利と同様にコントロールするものであり、市場機能とは矛盾する面も
   ある。そういう観点からも今回の懇談会で日本銀行から説明を受けたことは非常に有意義だと思う。

    731日の政策変更により、一時、国債市場の機能が回復したのは事実だと思うが、最近あまり動かな
   くなってきており、プラスマイナス
0.2%の幅の上限に全く達していないのが実情。この背景には、スト
   ックベースで見ると日本銀行の国債の保有比率が足元で約
45%程度にまで達していることが理由として
   あげられる。
    一方で、アメリカの場合、国債を増発しつつ、FRBが国債保有を減らしているため、間もなく10%を割
   っていく状況。日米で経済環境が違うとはいえ、米国は次の経済のピークアウト等に備え、政策変更の
   余地を広げることができているという見方ができる。
    米国と比べれば今の我が国の金融政策は、硬直的であり、柔軟性が乏しいとも考えられるが、将来の
   様々なリスクに備えた対応の必要性についてどのように考えるか。

(→日本銀行から説明)
    硬直性があるのはご指摘の通り。ただし日本銀行としては、2%の物価安定の目標を達成することが最
   大の目標であり、そのために需給ギャップがプラスの状況を維持するということが一番の近道だと判断
   している。こうした状況下で、市場機能をできるだけ阻害しないやり方を模索しているが、前提となる
   目標の範囲内での対応を行っているところ。

    貸出スプレッドが非常に狭い状況で、マイナス金利を導入すると、収益を上げることが難しくなった地
   方銀行等がよりリスクを取らざるを得なくなり、結果として一種のモラルハザードが生じているとの見
   方があるが、日本銀行としてどのようにみているか。

(→日本銀行から説明)
    4月の金融システムレポートの中でも、貸出利鞘の縮小圧力が強まるもとで収益を確保するために、金
   融機関がミドルリスク企業向けの貸し出しを増やしているという分析を行っているところ。リスクの比
   較的高い企業に貸すのであれば、きちんとリスク管理をする必要があるが、必ずしもそういった管理が
   できているわけではないのではないかという分析を行っているところ。

   731日に政策変更を行ったことで、国債市場の機能がある程度回復したのは事実。ただし、長期金利の
   変動幅をゼロを挟んでプラスマイナスに
0.2%ずつに広げたといっても、多くは、金利を上げる方向の見
   直しが行われたことしか見ていないのが実情。その意味では、日本銀行の金融政策の運営とそれを捉え
   る側の間にずれがあると感じるところ。いま一度、上下両方に変動幅を広げるハイブリッド型の政策で
   あるということを、説明していくべきなのではないか。

2.国債管理政策の現状

 次に、理財局より、国債管理政策の現状(資料②(PDF:1939KB))(資料③(PDF:1413KB))について説明が行われ、意見交換が行われた。

▶ 当局からの説明概要は以下の通り。

(基本的な考え方)
    確実・円滑な国債発行と調達コスト抑制のため、市場のニーズに即した発行を行っていく必要がある
   が、一時的・短期的な需要の変化に過度に対応し、市場参加者の予見可能性を損なうことになれば、
   投資家から一定のリスクプレミアムを要求され、結果として調達コスト増につながってしまう面もあ
   る。
    今後とも大量発行が見込まれる日本においては、特に、中長期的な需要動向を見極め安定的な発行を目
   指すことが重要。

(国債の発行状況と今後の見通し)
    近年の債務の長期化の結果、発行残高が増えているにも関わらず、借換債の発行額は減少しており、国
   債発行総額も減少。また、30年度補正予算において、建設国債が0.7兆円増額され、今年度の歳入となる
   国債発行総額も同額増加しているが、併せて来年度の借換債の前倒し発行を同額減額することとしたた
   め、カレンダーベース市中発行額は変わらない。
    これまでの低金利環境の下で、中期債・短期債の発行額を減らし超長期債を増額してきたところ。この
   結果、残高ベースでみても、償還が少ない超長期債は残高が顕著に増加する一方、中期債の残高は減少
   傾向。
    国の債務はフロー・ストック両面で着実に長期化し、債務の平均償還年限は、年金による超長期債投資
   が盛んなイギリスを除き、主要国中、最も長くなっている。また、各国の状況を見ると、米・独は、更
   なる債務の長期化を図るというよりは、現在の平均償還年限の水準を安定化させる方針。一方、英・仏
   は、引き続き長期化を図っており、国によって対応は区々。
    国債の発行額の将来推計については、借換債は来年度も今年度とほぼ同額の101.3兆円、その後も100
   円程度で安定的に推移する見込み。また、30年度の年限構成を継続した場合、超長期債については相当
   規模のネット供給が継続する一方、中期債が償還超になるという傾向は継続し、当面は、着実に償還年
   限の長期化が続く見通し。

(投資家動向)
    銀行については、量的・質的金融緩和が始まった25年度以降、国債の保有残高は大きく低下。ただし、
   足元では残高減少が下げ止まりつつある状況。日本銀行も分析しているとおり、銀行は、担保等のため
   一定程度の国債を保有する必要があるとの指摘もあり、今後の中期・長期ゾーンの需給を考える上で、
   銀行の投資動向を見極めることが重要。
    生命保険会社については、平成20年度以降、残高を増やしつつ、中・長期債から超長期債への入れ替え
   を進め、資産を長期化。ただ、ここ2~3年、超長期債の残高増加を支えてきた生保の超長期債の残高
   増加が一服。この背景には、低金利下で負債とのマッチングを進めれば、逆ざやが固定化してしまうと
   いう事情があり、この意味では、金利が上がれば長期化も再開する可能性。一方、金融庁は、今後の人
   口構成の変化により、保険料収入の減少や新たな保険ニーズの出現の可能性を指摘。保険ニーズの変化
   は、生保の負債のデュレーションに一定の影響を与えることから、発行当局としても、今後、生保の負
   債が質・量両面でどう変化していくかを見極めていくことが重要。
・ マーケット全体における国債の運用原資の状況についての分析をしたところ、日本は間接金融のウェイ
   トが大きく、デュレーションの短い資金が相対的に多いことから、運用原資のデュレーションは6.2
   と米国の8.7年に比べ短くなっている。「運用原資」はあくまで「潜在的に国債投資に向かい得る資金」
   であり、単純に国債のデュレーションと比較すべきものではないが、日本は、アメリカに比べ短期の運
   用原資が多い中で、逆に国債の平均償還年限が長くなっているという点には留意が必要。

(国債市場の流動性の状況)
    投資家の国債取引高と回転率を見ると、投資家のアクティビティの低下が継続してきたが、足元では若
   干の改善も見られている。また、日本銀行のアンケート調査でも、市場機能は総じて低いという評価で
   はあるが、足元はやや改善。
  一方で、個別銘柄での取引可能性という、ミクロな意味の流動性は引き続き厳しい状況。GC-SCスプレッ
   ドは、昨年3月頃に顕著に上昇し、一旦落ち着いていたが、足下でまた上昇。日本銀行の補完供給オペ
   の落札額も足元、増加。
    こうした特定銘柄の需給ひっ迫は、市場への供給が10年債・5年債といったカレント債中心である一
   方、日本銀行は、それ以外のオフザラン銘柄も含んだ買入れを行っているため、銘柄によっては需給の
   偏りが出てしまうことが一因。そのため、オフザラン銘柄をニーズに応じて追加発行する流動性供給入
   の果たすべき役割は引き続き大きい。

(発行計画の見積もり)
    国債発行計画について、計画時点の見積もりと実績を比較すると、要調達額については、28年度のよう
   に、年度途中に経済対策があれば資金調達額が上振れるが、そうでなければ、計画時点で保守的な見積
   もりがなされるため、税収の上振れや歳出の不用等が生じ、実際に必要となる資金調達額は少なくて済
   むことが多い。また、消化方式別発行額については、「第Ⅱ非価格競争入札」と「個人向け販売分」
   は、実際に売れた分だけ発行するものであり、計画計上額はあくまで見積もり。これらも保守的に見積
   もられるため、計画時点に比べ上振れる傾向。「カレンダーベース市中発行額」については、マーケッ
   トの予見可能性を確保するため、減額せず、計画どおり発行する必要があることから、どうしても調達
   過剰となりやすい構造。
    その結果、前倒債の発行額は26年度末の28.8兆円から昨年度末の49.4兆円と3年間で約20兆円増加。消
   化方式別発行額については、見積もりの精緻化のための取組を進めているが、併せて、カレンダーベー
   ス市中発行額についても、前倒債を活用してある程度抑制していくことが必要。

▶ メンバーから出された意見等の概要(当局においてとりまとめ)は以下のとおり。

     国債の平均償還年限が、金融機関と生保等の負債のデュレーションに比べると若干長くなっているとい
   う点については、プルーデンスの視点からも見ていく必要がある。中小の金融機関、地方銀行などが、
   現状のような国債発行を続けていくことによって、影響を受ける可能性があるので、これから分析し
   て、考えていく必要がある。

    もともと前倒債は、景気循環によって税収が変動したり、景気対策が行われたりする結果、国債発行額
   に振れが出てくる中で、一定の国債発行額を維持して市場機能を維持するためのバッファーとして発行
   されるもの。
    そうした理由だけでは、説明しにくい程の規模になってきている面もあるが、その背景には、今の特殊
   な金融・財政状況があることを認識する必要がある。第一に、今の非伝統的で特殊な金融緩和の下で利
   払費も抑えられているが、出口の過程では、逆にマーケットに大きなショックが起こり得る。それに備
   えるバッファーが必要ということ。もう一つは、先進国の中でも異例な少子高齢化が加速している中
   で、人口動態に見合った税体系になっておらず、社会保障改革も進んでいないと考えられるため、財政[
   面でも大きなバッファーが必要になっているということ。
    また、これだけ発行できているのであれば、歳出をもっと増やせるのではないかという本末転倒の議論
   につながるリスクを心配している。そのため、前倒債の意義・必要性について、きちんと対外的に説明
   し、歳出増加につながらないように歯止めをかけておくことが重要。

     国債の保有主体である生保や銀行の需要動向を個別に丁寧に見ていくことも必要だが、マクロで現状ど
   うなっているのかが見えにくいと感じていたので、P16の資料は、大変意味がある。資産と負債のデ
   ュレーションのかい離は、将来、長期に影響してくるので、来年度の発行計画を考える上でも、この試
   算のような状況にあることを念頭におくことが大切。
前倒債については、バッファーが必要だということはその通りであるが、50兆円は行き過ぎであり、少
   し適正化していく必要。
    国債市場の流動性が少し改善に転じているということだが、個別に見ると、GCSCのレポレートに乖離
   がある状況。オペの際に、特定銘柄の需給の逼迫状況などについて、日本銀行としてどのように考えて
   いるのか。

(→日本銀行から説明)
     マクロで流動性が回復していても、個別、特に希少性の高い銘柄については不足が生じるのはご指摘の
   通り。日本銀行としても、国債補完供給という仕組みを用意しており、各機関の自助努力が大前提では
   ありつつ、どうしても調達できないときには、こうした仕組みで、対応してもらうことを想定。

     国債市場において、銀行の保有が大きい短中期ゾーンと、生保や一部年金が中心の超長期のゾーンで、
   市場分断が従来以上に強まった可能性があるのではないか。今後、発行計画を考える上でも、市場分断
   を踏まえた上で対応していく必要がある。
(資料②のP16について)日本の場合は、国債の平均償還年数とデュレーションを比べると、償還年
   数のほうが長い一方で、アメリカはその逆になっている。これは、日本が金利上昇に弱い構造になって
   いることを意味するものであり、従来の評価に合致。ただし、日本銀行がこれだけ国債を買う中で、状
   況が随分変わり、むしろ金利上昇リスクを一番負っているのは、日本銀行になっているのではないか。
    前倒債をこれだけ発行することができた背景には、この間の超低金利環境があるが、こうした恵まれた
   環境は未来永劫続くわけではないという点を良く認識し、財政規律を持って考えていく必要があるので
   はないか。

    平均償還年限が、現状で8年を超えてイギリスを除いて先進国で突出しており、更に今後10年近くになり
   うるという状況の中では、発行年限をどのようにグローバルスタンダードに沿う形に調整していくかが
   課題になる。バイバックで一気に調整するようなことは困難であり、結論としては、中期的に超長期債
   を減額し中短期債を増額するという政策をとらないと、調整できないのではないか。
    流動性という観点においては、日本銀行の政策のストック効果が非常に効いてしまっているのではない
   か。
     向こう5年間といった少し長い目で国債消化を考えると、海外の投資家を視野に入れた形で議論をして
   いくことが必要。イタリアはEUの財政規律を基にマーケットの評価を受けているが、我が国でも、そ
   ろそろ金融・財政のマクロポリシーの進捗を評価するベンチマークのようなものが必要なのではない
   か。

    前倒債については、足元で50兆円近くなっており、相当大きくなっていることは事実。その要因として
   は、歳出の不用等による赤字国債や財投債の減に加え、個人向け国債・第Ⅱ非価格競争入札の当初見積
   もりからの増、オーバーパー発行等がある。後者については最近理財局も色々取り組んでいるが、前者
   はそういう訳にもいかない。例えば、買入消却のような形で両建てで落とすというような工夫も考えて
   いくべきではないか。

    前倒債の発行残高について、50兆円という数字は、フローである発行額と比べると大きく見えるが、こ
   れをストックの数字と捉え、発行残高と比べれば大き過ぎるという訳でもないのではないか。

(→理財局から説明)
    前倒債については、一朝一夕に減らすわけにはいかないため、時間をかけて解決していかなければいけ
   ない課題。なお、前倒債は、制度上は翌年度と今年度の発行の平準化を図るためのものであることに留
   意が必要。

    日本銀行の金融政策が金利をターゲットにする以上、ある程度流動性が落ちるのは当然のこと。それに
   加えて、流動性を阻害する要因としては、一つは、フェイル慣行が定着していないことがある。また、
   米国では、連銀から制限なく物を借りることができ、イールドカーブの歪みを取りに行くようなトレー
   ドが活発に行われているが、JGBの場合はそうなっていないという印象。日本銀行がもっと自由に貸せる
   ようになれば、流動性が改善するのではないか。

    財政健全化の目標年度が2020年から2025年に後ろ倒しされるとともに、プライマリーバランスの黒字化
   が政府債務残高の安定的な引き下げと並列の目標となるなど、低金利の中で財政規律が後退している。
   前倒債の存在が規律の後退に繋がらないことを願っている。
    国債発行を、regular and predictableに行うというのが米国の目標という説明があったが、これはもっ
   と強いもので、むしろ原則とでも言うべきもの。これは、タクティカルに発行を見直しても、コストの
   削減につながらないという反省に立って、70年代半ばに採用されたもので、それが現在も続いている。
   また、この原則は、市場流動性を安定的に確保する上でも最適な手段である。日本においては、近年、
   日本銀行の国債大量買入れの下で流動性供給入札を拡充しているが、原則はregular and predictable
  
で対応していくことが望ましい。

    生命保険会社の需給を少し長期的な観点から見た場合、生産年齢人口が減少していくのは確かだが、そ
   の一方で、65歳以上の人口が増加し、寿命も85歳、90歳と伸びていく中で、20年、30年という老後の資
   産運用のニーズが出てくるという面もある。現に、従来、死亡保障する定期保険が売れていたが、こう
   した商品のニーズが低下する一方で、医療保険・介護保険や年金に対するニーズが高まっている。現状
   ではこうしたニーズの受け皿は外貨建ての保険であるが、30年国債の金利が上がっていけば、こうした
   状況が変わることが期待できる。
(資料②のP16について)今は運用原資全体に占める預金取扱機関の預貸ギャップの構成が大きくな
   っているが、中長期的には、高齢化に伴うニーズを取り込むことで生命保険のシェアが増えていく可能
   性があることを念頭に置いておくべきではないか。
    また、デュレーション・ギャップについては、日本銀行と政府を統合ベースで考えれば政府部門の調達
   は短期化することからむしろ金利リスクを負っているとも考えられるのではないか。

    前倒債の最適な水準については、将来世代への負担をどう考えるかということまで含めて考えないと答
   えが出ないのではないか。
    財政規律に関しては、国債残高に応じて税率を変えていくという考え方を用いれば、安定する。歳出と
   歳入を同次方程式で考えて議論していくべき。

    金利上昇が地銀経営に与える影響について議論があったが、地銀経営という点では、合併問題とそれに
   関する公正取引委員会の判断も重要。国債市場の需要構造にも影響を与え得るものであり、注目してい
   る。

 

 

 

 

 

(以上)

 


 

 

連絡・問合せ先:
 財務省 理財局 国債企画課 企画係
  電話 代表 03(3581)4111 内線 2565