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国の債務管理の在り方に関する懇談会(第37回)議事要旨

. 日時 平成27年6月16日(火)13:00~15:00

. 場所 財務省  第1特別会議室

.内容

(1)世界経済の動向と国債市場について(資料①(PDF:13965KB)

(2)国際金融規制(バーゼル規制)を巡る動き②(資料②(PDF:916KB)

(3)「議論の整理」フォローアップ(資料③(PDF:2247KB)

(4)今後の開催について




(1)末澤委員より世界経済の動向と国債市場について説明が行われ、その後自由に意見交換が行われた。


▶ メンバーから出された意見等の概要(当局においてとりまとめ、以下同)は以下のとおり。


・米連銀は金融政策の正常化に当たって、政策金利に対する不確実性を下げ、タームプレミアムの動きをコントロールすることにより、市場の動揺を避けようとしている印象。今後、利上げの局面で需給要因がどれだけイールドカーブに効いてくるのか気になる


・ECBの今後の金融政策について、独としては、少し金利を引き上げたい一方、ギリシャや南欧の件もあり、どう考えたらいいのか。


・世界的にマネーが拡大し、ゼロ金利になっている状況の中で、今回の独金利の変動が世界的にも色々と波及が大きかった点も含め、従来に比べて世界的な連動が随分大きくなっている印象を受ける。


・米国が金融政策を正常化する際に、新興国からの資金流出のリスクをどのようにみるか、それが翻って、日本の金融市場にどういうような影響をもたらすと考えているのか。



(2)金融庁より国際金融規制(バーゼル規制)を巡る動き②について説明が行われ、その後自由に意見交換が行われた。


▶ メンバーから出された意見等の概要は以下のとおり。


・コア預金については、すぐに引き下ろされるものではないとのことであるが、危機時と通常時ではコア預金に関する考え方は全く違ってくると思われるが、その点についてどう考えているか。


・金融規制については国債投資家に重大な影響がありえる。9月まではパブコメ期間となっているので、金融界としてもしっかりと意見発信をしたい。


・バーゼル規制の導入が米国の「出口」にぶつかる状況や、世界的な低金利下で大きな連動が生じている状況において、一柱案のような資本賦課となると、とりわけプロシクリカル的なものがより働きやすい状況になる。各国別の議論だけではなかなか予想しづらい状況も当然起こりうるので、より慎重な議論が望まれる局面。特に日本は間接金融機関に預金を通じてお金が集中しやすいので、日本の実情を踏まえるべき。


・金融緩和縮小の局面では、エマージングエコノミーでとりわけ価格変動が大きく出るが、(金利リスクを)吸収する者がいないと、市場の価格が振れすぎると思う。皆にリスクを取らないようにさせる議論だけで進むのはどうかと思うが、もう少しマーケットメイクを行う業者があって当然という議論をすべき。


・国債市場がこれだけ大きくなってきている中、国債のリスクに対する規制が強化される一方で、国債市場を守るという議論がバランスが取れてなされていないという問題意識がある。


・金融機関としては、預貸ギャップが大きいので、国債に投資せざるを得ない。しかし、昨今の規制強化により国債を保有しづらくなっている。


・市場への流動性供給はディーラーにとって重要な役割と考えるが、これが規制で制約されている状況は心配である。


・ここ一ヶ月の市場の一番のイベントは独国債の急落であり、多くの市場参加者にとって衝撃的な変化であった。各種規制が市場流動性を低下させている中で、米国は「出口」を迎える。こうした文脈で考えると、金利リスク規制が強化される影響も無視できない。特に日本は資金余剰下で先進国の中で先行してデフレに入ったという特殊な面もあり、世界最大のソブリンのマーケットになっている点も念頭に置くべき。



(3)財務省より、「議論の整理」フォローアップについて説明が行われ、出席した各メンバーから意見が述べられた。


▶ メンバーから出された意見等の概要は以下のとおり。


・フォローアップ文書については、本懇談会で、議論された内容を上手くまとめていただいている。


・バーゼル規制を巡る動きや日本銀行の金融政策といったことが国債市場に影響を与えかねない中で、色々と考えて行く課題が多いと感じている。


・バーゼル規制等も含めて、既存の金融機関が国債を保有しづらいなかで、個人を含め保有層の多様化をどのように図っていくかが重要。


・中央銀行の国債保有比率がより高まってきており、中央銀行ともよく連携していくことが重要。


・国債市場がきちっと機能を維持していくために、中長期的にどのような対応が必要かということを是非検討していただきたい。発行当局としてすぐにやるべきこと、できることは、この1年間に随分進展したと考える。


・発行当局と金融規制当局との間でよく意見交換していただきたい。


・国債の海外保有に関して、安定的な保有層を沢山育てていただきたい。


・金利上昇時の財政収支シミュレーションをきちっと作り、金融政策が変化した際どうすべきかというシナリオを考えていただきたい。


・国際会議で金融規制を議論する際には、日本やアジアの声を反映していただき、欧米主導にならないようにすべき。


・国債市場を取り巻く環境は、今後は4つの観点で、変化をもたらしうる要素があると思う。1つ目は、米国の金融政策の正常化。2つ目は、バーゼル規制も含めた(国際的な)金融規制の動向。3つ目として、日本のデフレ脱却とその後の金融政策の方向性。4つ目には、日本は少子高齢化が進む中で、家計の金融資産の保有行動も変わってくるという点。こうした点を踏まえ市場の信認が得られるような財政健全化計画をしっかり提示することが、今後、ますます重要となる。


・中国の経済成長が減速したときに、日本がその影響を遮断出来ているかというのが重要。中国を始め海外経済の減速の影響で、(日本経済が)減速する蓋然性が高まっていることを認識すべき。日本の経済に影響を与えないためには、実体経済や労働市場の改善がみられる状況で、財政健全化を進めていくことが重要。大きな流れの中で国債発行当局として工夫を重ねることは重要であるが、財政健全化についてはきちんと議論を進めてもらいたい。日本の経済を守るためには、相当の決意で適切な手順を踏んで財政健全化を進める必要がある。


(4)田中座長より、今後について秋以降も引き続き本懇談会を開催したい旨が述べられ、出席した各メンバーから同意が得られた。


(以上)



連絡・問合せ先:
 財務省 理財局 国債企画課 企画係
 電話 代表 03(3581)4111 内線 2565