このページの本文へ移動

国の債務管理の在り方に関する懇談会(第36回)議事要旨

. 日時 平成27年4月17日(金)10:00~12:05

. 場所 財務省  第3特別会議室

.内容

(1)富田委員より国債管理政策史について(資料1(PDF:2060KB))説明が行われ、その後自由に意見交換が行われた。

(2)次に、日本銀行より国債市場の流動性等について(資料2(PDF:958KB))及び理財局より国債市場の流動性維持・向上のための取組みについて(資料3(PDF:604KB))、それぞれ説明が行われ、その後自由に意見交換が行われた。

(3)続いて、海外IR・国際会議等の現状報告(資料4-1(PDF:618KB)4-2(PDF:155KB))について、理財局より説明が行われ、その後自由に意見交換が行われた。




(1)国債管理政策史について


▶ メンバーから出された意見等の概要(当局においてとりまとめ、以下同)は以下のとおり。


・イギリスが100年近くかけて国債残高比率を徐々に減らしてきたという例があるが、こういったイギリスのやり方で、日本が学ぶようなことがあるのか。


・アメリカの財務省と連銀のアコード前の国債価格支持政策について、一般には連銀が大量の国債を買い支えていたと考えられているということだが、異なる評価はあるのか、また現代としてどう評価したらよいのか。


・高橋財政において、日本銀行が引受けた国債を市中売却していたのは、国債市場への流動性の供給が目的だったのか。


・アメリカの非市場性国債への交換は、市場で流通する政府債務が減少する点で、現在の非伝統的金融政策の下で中央銀行がオペで国債を買ってそれを持ち切ることと共通している。また、将来の税金がどれだけ政府債務の利払いに充てられるかという財政問題にも関係してくる。マクロ的な金融政策と財政政策の繋がりは非常に大事。


・歳出削減と増税のベストミックスを図っていくことが政治経済の問題。いくつかやり方があるが、1番目はこれ以上歳出はしないというキャップ、2番目は、オランダなどがやっているように、財政再建をチェックする独立機関を創設すること、3番目は、金利上昇を通じた市場のプレッシャー、4番目は、国民の理解。国債残高比率を安定させる、下げさせる目標を国民に理解してもらうことが必要。


・市場流動性と財政規律が国債管理政策上大事だというメッセージと受け止めた。歴史から学ぶことも多いが、当時と今で為替市場が変動相場制になっていることなど、変わっているところにも注意が必要である。



(2)国債市場の流動性等について


▶ メンバーから出された意見等の概要は以下のとおり。


・流動性についての分析は、銀行、年金、生保など投資家によって、異なると思うが、その点について分かれば教えてもらいたい。特に、銀行は金融規制の影響を受けると思うが、どうか。


・日銀の国債補完供給の最低品貸料は50bpだが、アメリカの場合は10bp程度で借りられる。一定のルールは必要だが、オーバーナイトでもタームでも構わないので、日本銀行からの借入れを行いやすくなれば、ほぼ全銘柄に渡ってスムーズなマーケットメイクができ、流動性も飛躍的に増大することになると思う。


・米国債売買との比較で、日本国債の売買においてフェイルの慣行が定着していないことが問題。日銀の国債補完供給とフェイル慣行の定着によって日本国債マーケットの流動性が飛躍的に増すと思う。


・流動性の有無については、様々な見方があると思うが、2013年の異次元緩和導入、昨年の追加緩和以降、流動性は低下しつつある。今後、もう一段低下する可能性が高い。


・債券先物の現状は、昨年、海外投資家のシェアが初めて5割超となり、国内投資家の売買が減っている。普段から板が薄くなっているが、そのような板が薄いところに大きな売り物が出ると、相場の変動を招いて、それがVARの拡大に繋がり、リスク量の削減を迫られるという連鎖になる可能性がある。


・日銀の大量の国債買入によって、流動性が低下するのはやむを得ないが、日銀の国債補完供給要件を緩和して、コストを下げることや、市場全体でフェイル慣行を定着させることが必要。


・日銀は国債買入額を明らかにしており、現状は買入れのタイミングや量が非常に明らかなプレーヤーが市場にいるという特別な状況。特別のプレーヤーがいる特別な政策下でも、市場機能を落とさないように、当局ができることを行うことは必要。


・日銀は、サーベイを見て市場の機能維持の面で懸念がないのか。15年度の市中からの吸収額がかなり巨額になるが、長期にわたって大量に買い入れることのリスクについてどのように認識して準備しているのか。



(3)海外IR・国際会議等の現状報告について


▶ メンバーから出された意見等の概要は以下のとおり。


・現状、特に欧州の金利低下によって、円金利の相対的な魅力が高まっている異例の状況のなか、海外投資家による日本国債への再評価が一部見られる。


・将来海外金利が先行して上昇して正常化した場合、どうやって日本国債を海外投資家にアピールしていくかについて、教えて頂きたい。


・日本国債がアジアのベンチマークとなればいいと思うが、どうすればよいか。アジアで日本に対して経常黒字になってきている国があるが、円債をたくさん買ってもらう方法を考えて頂きたい。


・イスラム教国向けに、コンソル債とかを考える必要があるのか、いまのままでもイスラム教国は購入可能か。


・来年からデリバティブの証拠金規制が開始されるが、適格担保における日本国債の取扱いに関して留意が必要。



(以上)



連絡・問合せ先:
 財務省 理財局 国債企画課 企画係
 電話 代表 03(3581)4111 内線 2565