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たばこ事業等分科会(令和7年5月28日開催)議事録

財政制度等審議会
たばこ事業等分科会(第47回)

令和7年5月28日
財政制度等審議会

財政制度等審議会たばこ事業等分科会(第47回)議事次第

令和7年5月28日(水)9:30~11:01

財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.各委員挨拶

  • 3.分科会長互選等

    •  1分科会長互選
    •  1分科会長挨拶
    •  1分科会長代理の指名
    •  1部会の設置及び部会委員・部会長の選任
    •  1分科会の運営等
    •  1理財局長挨拶
  • 4.たばこ・塩を巡る最近の諸情勢について

    ・事務局説明

    ・質疑応答

  • 5.たばこ製造業・塩業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組について

    ・事務局説明、日本たばこ産業株式会社説明、全国塩業懇話会説明

    ・質疑応答

  • 6.改正物流効率化法について

    ・国土交通省説明、事務局説明

    ・質疑応答

  • 7.閉会

  • 配付資料

    資料1-1 財政制度等審議会たばこ事業等分科会名簿
    資料1-2 財政制度等審議会令(抄)(平成12年6月7日政令第275号)
    資料1-3 財政制度等審議会関係法令等
    資料1-4 定価等部会の設置及び同部会に付託する事項(案)
    資料2 たばこ・塩を巡る最近の諸情勢について
    資料3-1 たばこ製造業・塩業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組について
    (事務局説明資料)
    資料3-2 たばこ製造業におけるカーボンニュートラルに向けた取組について
    (日本たばこ産業株式会社説明資料)
    資料3-3 塩業界におけるカーボンニュートラル化の取組状況
    (全国塩業懇話会説明資料)
    資料4-1 改正物流効率化法について(国土交通省説明資料)
    資料4-2 改正物流効率化法の施行に向けて(事務局説明資料)
  • 出席者

    分科会長

    安 藤 光 義

    窪田理財局長

    森田審議官

    坂口理財局総務課長

    菊地理財局たばこ塩事業室長

    関係団体

    日本たばこ産業株式会社

           小倉常務執行役員

           妹川執行役員

    全国塩業懇話会

           山本会長

    国土交通省
           紺野物流・自動車局物流政策課長

    委員

    三牧正和

    宮島香澄

    臨時委員

    国松麻季
    齊藤真紀

    東條吉純

    長瀬隆英

午前9時30分開会

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕予定の時間より少し早いですが、皆様お集まりですので、ただいまから財政制度等審議会たばこ事業等分科会を開催いたします。
 理財局総務課たばこ塩事業室の菊地でございます。皆様方におかれましては、ご多用のところ、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。

本日は、4月1日付で財務大臣より任命させていただきました委員の皆様による初会合となります。分科会長選任までの間、事務局として私が議事進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、委員をご紹介いたします。
 4月1日付で委員にご就任いただきました皆様は、資料1-1の名簿のとおりでございます。私からご出席の委員の皆様を名簿順にご紹介させていただきますので、各委員におかれましては、一言ずつご挨拶をいただければと思います。
 安藤光義委員でございます。

〔 安藤委員 〕 東京大学の安藤でございます。専門は農業経済、農政学でございます。よろしくお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 三牧正和委員でございます。

〔 三牧委員 〕 おはようございます。帝京大学医学部の三牧と申します。小児科医です。よろしくお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 宮島香澄委員でございます。

〔 宮島委員 〕 日本テレビの宮島香澄と申します。報道局の経済部で解説委員をしています。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 国松麻季委員でございます。

〔 国松委員 〕 おはようございます。オンラインで失礼いたしております。中央大学の国松麻季と申します。どうぞよろしくお願いいたします。国際経済法や国際取引法を専門にしております。ありがとうございます。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 齊藤真紀委員でございます。

〔 齊藤委員 〕 京都大学の齊藤でございます。専門は商法、会社法でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 東條吉純委員でございます。

〔 東條委員 〕 立教大学の東條吉純と申します。専門は経済法、国際経済法です。よろしくお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 長瀬隆英委員でございます。

〔 長瀬委員 〕 長瀬でございます。専門は呼吸器内科学で、特にCOPD、たばこ病と言われますけども、たばこに強い関心を持っております。よろしくお願いします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 どうもありがとうございました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、資料1-2にありますとおり、財政制度等審議会令第6条第4項に基づきまして、分科会長の互選を行います。委員の皆様から、分科会長の選任につきましてご意見がございましたらお願いいたします。
宮島委員、お願いします。

〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。私は、分科会長に安藤委員をご推薦したいと思います。安藤委員は、たばこをめぐる様々な環境、例えば、たばこ農家の経営ですとか、たばこの世の中の見られ方、いろいろなところで豊富なご知見をお持ちでいらっしゃいます。それからまた、長きにわたりまして、この分科会でも活躍されていらっしゃいまして、分科会長代理などをはじめ、いろいろな重いお役目を務められていらっしゃいます。安藤委員が最も分科会長にふさわしいと思いますので、お願いするのがよいかと推薦させていただきます。よろしくお願いします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 そのほかご意見は。
 国松委員、お願いいたします。

〔 国松委員 〕 ありがとうございます。私も宮島委員のご提案に賛成でございます。安藤委員の農業経営学における豊富なご知見あるいはご経験に鑑みまして、今後の当分科会におけるご議論をリードいただけるというふうに考えておりますので、ご多用とは思いますが、ぜひ分科会長をお願いできればと存じます。
 以上でございます。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 ほかにご意見ございますでしょうか。
 それでは、ただいま宮島委員及び国松委員からいただきました安藤光義委員を分科会長に推薦する旨のご提案につきまして、皆様、ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 どうもありがとうございました。委員の皆様のご了解により、安藤委員が分科会長に選任されました。恐縮ですが、安藤委員、分科会長席へお願いいたします。

(安藤委員、分科会長席に着席)

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 それでは、安藤分科会長よりご挨拶を頂戴したいと思います。なお、この後の議事は安藤分科会長に進めていただきます。よろしくお願いいたします。

〔 安藤分科会長 〕 東京大学の安藤でございます。分科会長を務めさせていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。
 まずは、財政制度審議会令第6条第6項に基づき、分科会長に事故があるときは、あらかじめ指名する者が、その職務を代理することとなっておりますので、分科会長代理を指名させていただきます。
 分科会長代理は、三牧委員にお願いしたいと存じます。三牧委員、よろしいでしょうか。

〔 三牧委員 〕 承知いたしました。ご指名ですので、お受けいたします。よろしくお願いいたします。

〔 安藤分科会長 〕 どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、部会の設置についてですが、財政制度等審議会令第7条第1項の規定により、分科会はその定めるところにより、部会を置くことができるとされております。また、第7条第6項の規定により、部会の議決をもって審議会の議決とすることができるとされております。つきましては、当分科会に定価等部会を設置することにつきまして、ここでお諮りしたいと思います。
 それでは、定価等部会につきまして、事務局より説明をお願いいたします。資料1-4になるかと思います。よろしくお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 資料4に基づきご説明いたします。
 たばこ事業等分科会に定価等部会を設置し、同分科会の調査審議事項のうち、以下の事項については、財政制度等審議会議事規則第9条第3項に基づき、定価等部会に付託する。当該調査審議事項に係る議決については、同条第4項に基づき、定価等部会の議決をもって、たばこ事業等分科会の議決とする。具体的な議決事項につきましては、下に1、2、3、4、5と列記させていただいているとおりでございます。
 簡単ですが、以上でございます。

〔 安藤分科会長 〕 ご説明ありがとうございました。
 では、定価等部会を設置し、定価等部会の議決をもって当分科会の議決とすることについて、ご異議等ございませんでしょうか。よろしいですかね。

(「異議なし」の声あり)

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございます。それでは、定価等部会を設置することといたします。
 次に、財政制度等審議会令第7条第2項、第3項に基づき、部会に属すべき委員等、それと部会長につきましては、分科会長が指名することとされておりますので、恐縮ですが、私のほうから指名させていただきます。
 定価等部会につきましては、宮島委員、国松委員、東條委員にお願いしたいと存じます。また、定価等部会の部会長につきましては、宮島委員にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 それでは、宮島委員、よろしいでしょうか。

〔 宮島委員 〕 はい。定価等部会の部会長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

〔 安藤分科会長 〕 続きまして、国松委員、よろしいでしょうか。

〔 国松委員 〕 はい。どうぞよろしくお願いいたします。承知いたしました。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございます。
 それでは、東條委員、よろしいでしょうか。

〔 東條委員 〕 はい。お引き受けいたします。よろしくお願いします。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございます。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、分科会の運営についてですが、分科会の招集、議事の公開など、資料1-3の関係法令に従いまして運営を行ってまいりたいと存じます。また、関係法令以外の議事の手続その他分科会の運営については、私にご一任願えればと存じます。よろしくお願いいたします。
 それではここで、窪田理財局長からご挨拶をお願いいたします。

〔 窪田理財局長 〕 おはようございます。理財局長の窪田です。本日は、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。委員の皆様方におかれましては、当分科会の委員への就任をお願いいたしましたところ、快くお引き受けいただきまして、厚く御礼申し上げます。また、各役職をお引き受けいただいた方々につきましては、厚く感謝申し上げます。
 本日は、たばこ・塩をめぐる諸情勢や、たばこ・塩業界のカーボンニュートラルに向けた取組状況、物流問題などについてご説明いたします。皆様方から忌憚のないご意見を賜り、ご指導いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、次の議事に進みたいと思います。資料2「たばこ・塩を巡る最近の諸情勢」につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 それでは、資料2「たばこ・塩を巡る最近の諸情勢」と表題された資料をご覧ください。
 本資料は、たばこと塩で、2部構成となってございます。まず、たばこについてご説明申し上げます。
 1ページをお開きください。たばこ事業法制の全体像が模式的に示されております。たばこ事業法の目的である、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを実現するため、資料左側の国産葉たばこの全量買取りをJTに義務づける一方、資料上の、JTによる国内製造たばこの製造独占となっています。さらに、製造独占の弊害を防止するため、右側にあるとおり、小売定価制等により小売マージンの確保を図っています。これらを実現するために、資料下にあるJTに、JT法に基づく特殊会社として、政府に株式保有義務を規定しており、この4つの項目を円循環のような形で示していますが、いわゆる積み木細工とも言われる関係性となっているところでございます。
 2ページをご覧ください。たばこ事業の全体像を示しております。上の四角囲いにあるとおり、我が国のたばこ事業は、国内製造につきましては、JTに国産葉たばこの実質的な全量買取り契約を求める一方、国内製造独占を認め、輸入業者、卸売業者は登録制、小売販売業の許可制、小売定価の認可制といった規制を課しているところです。
 たばこ産業の概観については、下の図に示されているとおりでございます。葉たばこ生産、製造、輸入、流通、小売というフローになっており、詳細については次ページ以降でご説明させていただきます。
 3ページをご覧ください。葉たばこ農家の作付面積や農家戸数の推移を左側に示させていただいております。昭和60年のJT設立を起点としたグラフとなっておりますが、いずれも減少傾向にございます。また、右のグラフからお分かりになるとおり、生産額も減少傾向にありますが、1戸当たりにいたしますと、生産効率化等の努力により、増加傾向にございます。
 4ページをお開きください。JTに関する情報を整理しております。JTは、JT法に基づき、発行済株式総数の3分の1を政府が保有しています。右側に示すとおり、令和6年度の売上収益は3.1兆円で、その9割がたばこ事業となっています。また、先日報道されたところでございますが、現在、JTは医薬事業の売却を進めているところでございます。
 5ページをお開きください。左側のグラフで示すとおり、製造たばこの販売数量につきましては、喫煙率の低下もあり、平成8年度をピークに減少傾向となっています。近年は加熱式たばこの伸長もあり、全体としてほぼ横ばいになっております。
 右側の表のとおり、小売店の数は減少傾向にあります。その営業形態の内訳は、コンビニが一定の割合を占めているところでございます。
 6ページでございます。注意表示と広告規制に関する説明となっています。たばこ事業法に基づき、製造たばこの消費と健康の観点から、注意表示と広告規制が実施されています。直近では、当分科会でのご意見も聞きつつ、制度改正がなされまして、令和2年4月から施行されています。
 7ページをお開きください。健康増進法に関する情報でございます。望まない受動喫煙の防止を図るため、一定の場所を除き喫煙を禁止する法体系となっており、令和2年から完全施行されているところでございます。
 8ページをご覧ください。たばこ規制をめぐる国際的な動向についてご説明いたします。英語の条約名からFCTCと略称されますが、たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約が採択され、日本も同条約を締結しております。たばこに関する規制等について国際的な議論がなされており、2年置きに開催される定期会合で決定した内容につきましては、国内の実情も踏まえ、我が国としても適切に対応しているところでございます。
 9ページ以降が塩の資料となります。塩は、右下で示しているとおり、長らく専売制を取っておりましたが、平成9年に自由化されております。一方で、人間が生きていく上で必要不可欠なものであることから、塩事業法に基づき、需給見通しの策定、塩の製造業者等の登録制度など、必要最小限の公的関与を行っているところでございます。
 10ページが塩事業の全体像となっております。我が国での供給は、海水から製造した国産塩と輸入した原塩、その原塩を加工したものから成っており、生活用、業務用、ソーダ工業用と用途が分かれて供給されているところでございます。国産塩は、主にイオン交換膜という装置を用いた大手製塩業者4社の5工場で生産されているところでございます。また、先ほど説明したとおり、塩は人間が生きていく上で必要不可欠ということから、右下にございますが、塩事業センターを財務大臣が指定しております。いざというときに備えた備蓄業務や生活用塩を全国あまねく供給する業務を行わせております。
 11ページをご覧ください。我が国の塩の需要は、ソーダ工業塩も含めて約800万トンとなっています。生活用塩、食品工業塩に占める国産塩の割合はおおむね8割ということが右側のグラフで示させていただいております。
 13ページ以降につきましては参考資料となっております。たばこ事業法における製造たばこの定義や、昨年末決定いたしましたたばこ税の見直し等について整理をさせていただいております。ご覧いただけますと幸いです。
 事務局からの説明は以上となります。

〔 安藤分科会長 〕 たばこから塩まで幅広い分野にわたるご説明、ありがとうございました。それでは、ただいまの説明にありました事項につきまして、ご意見、ご質問をいただきたいと思います。委員の皆様方、いかがでしょうか。
 宮島委員、お願いいたします。

〔 宮島委員 〕 ご説明どうもありがとうございます。このところずっとこうですけれども、作付面積などはずっと減っているというふうに思います。一方で、1戸当たりの生産額が上がっていることは望ましい方向かなと思っております。そもそもたばこの事業法には、たばこ産業の健全な発展、そして財政収入の安定確保というふうにありますので、減っていくというところをどう考えるかということなんですけれども、人口減少の中で様々な産業が、事業継承ですとか、継続させて人手を確保するのには苦労されていると思います。
 質問ですけれども、今の葉たばこ農家の状況は、需要が減っているという前提からすると、今のペースのこの状況というのが一定程度安定的に推移していると判断できるものなのか、あるいは、現場でかなり努力をされている、相当切迫感があるような状況なのか、その全体的な状況を教えていただけますでしょうか。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 ご質問ありがとうございます。ご説明いたします。
 資料2の14ページにありますとおり、こちらで喫煙率についてご説明させていただいております。説明自体は割愛させていただきましたが、資料を整理させていただいております。ご覧いただいて分かるとおり、喫煙率自体はかなり下がっているということで、製造たばこ全体の需要というものが全体的にやっぱり下がっていると、そういうことになるかと思います。そのような中で、当然、需要が減れば、供給も併せて対応していかなければならないということもあり、作付面積が減っているということは否めないことかなというふうに思います。一方で、農業全体として高齢化も進んでいるところではございますが、生産者におかれては様々な取組によって、後継者づくりとかもかなり進めておりますので、引き続き安定的に国内で製造できるような体制を、耕作者において取組を進めておられるというふうに思います。
 以上です。

〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。そうしますと、今の需要の減少、その他の環境のバランスからすると、一定程度の安定を持って進んでいるというふうに理解します。ありがとうございます。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。ほかの委員の先生方、いかがでしょう。
 それでは、長瀬委員、お願いいたします。

〔 長瀬委員 〕 呼吸器内科医としての立場でいつもお話を申し上げております。資料の14ページ、この資料は非常にいい資料だと思いますけれども、諸外国の喫煙者率というのを比べてみますと、日本より低いのがカナダやUKと。カナダ、UKというのは、ご存じのように、非常にたばこの値段が高いわけです。高いというのは税率が高いということを反映しているわけですけれども、いわゆる健康長寿という立場から言えば、言うまでもなく喫煙率を下げるということ、ゼロを目指すということが至上命題になっているわけでありますけれども、そういう意味においては日本のたばこはまだまだ安いということが言えるかと思います。ですので、この分科会から発信できるのであれば、健康長寿を目指すという意味からも、たばこの税率をどんどん上げてほしいということを切にお願いしたいと思います。
 あともう一点は、加熱式たばこの率が日本は高いわけです。紙巻たばこが低いと。加熱式たばこに関しては、より安全ではないかというような論調が一部に見受けられますけれど、医学の立場、呼吸器内科の立場で言いますと、結局時間がたってみないと分からないわけです。既に急性の症状としては加熱式たばこでも、急性好酸球性肺炎という病気がしっかりと報告されていますので、決して安全だとは言えないと、これは学会としての立場でもありますので、これも一言申し述べさせていただきます。ですから、加熱式たばこの税率も上げてほしい。同一の資料では段階的に上がっていくということですけれども、もっともっと上げてほしいということをお願いしたいと思います。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、事務局から、お願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 加熱式たばこの税率につきましては、資料2の16ページにございますとおり、年末の税制改正大綱に基づきまして、紙巻と加熱式たばこの税額については2段階で、令和8年4月と令和8年10月をもって2分の1ずつ上げていく形で解消するということになっておりますので、紙巻と加熱式の差については解消されると。先ほど長瀬委員からもご発言がございましたが、加熱式と紙巻の健康に対する影響については厚労省のほうで研究等なされていると承知しておりますが、確たるエビデンスはないというふうに聞いておりますので、そういった最新の科学知見をまた引き続き集積していくことが重要かなというふうに思っております。
 また、税率を上げるべきだということにつきましてでございますが、当室としては、たばこ産業の健全な発展という観点から、一定のバランスを持った感覚が重要と考えているところでございます。
 以上です。

〔 安藤分科会長 〕 長瀬委員、よろしいでしょうか。

〔 長瀬委員 〕 ご説明ありがとうございました。やはり医師としての立場から言うと、たばこはやめてほしいわけです。現場での感覚で言うと、どうしてもたばこがやめられない人はいます。どうやったらやめられるかと聞きましたら、やっぱり高くなったらやめるという意見が実際にあるんですね。恐らく日本は、高くなればもっと減るし、それが結果的には財政に結構資するのではないかと思います。

〔 安藤分科会長 〕 貴重な意見ありがとうございました。
 それでは、ほかの委員の先生方いかがでしょうか。
 三牧委員、手が挙がっておりました。よろしくお願いいたします。

〔 三牧委員 〕 よろしいでしょうか。先ほど健康増進法のご説明をいただいて、受動喫煙に対して様々な取組がされているということが理解できましたが、小児科医としては子供の受動喫煙がやはり見過ごせないと考えています。家庭内での喫煙というのは、子供は逃げ場がありませんので、子供の環境をしっかりと守っていくという視点が非常に大事だと思っています。また、やはり親が喫煙していると、子供がそれを模倣していくという可能性もあって、将来的に喫煙習慣の原因になると考えています。ですので、子供を守るという視点を社会全体でしっかり持つというのが必要だと強く感じています。
 たばこのパッケージの注意文言表示等で、そういった視点を持った検討をする必要があると思っていますけれども、この注意文言表示の改定といいますか、次に検討する機会というのはいつ頃になるかとか、スケジュールと併せて、子供の受動喫煙を防ぐという視点を持っていただくという点、お考えを聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、事務局から、よろしくお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 ありがとうございます。ご説明させていただきます。
 まず健康増進法につきましては、厚生労働省の所管の法律ですので、私のほうからあまりご説明するのもあれかなと思いますが、資料の7ページに示させていただいているとおりでございますが、下のところでございますが、屋外や家庭などにおきましては、喫煙を行う場合には周囲の状況に配慮をすると。特に、下のところに例ということで書いてありますが、子供や患者、特に配慮が必要な人が集まる場所では、近くにいる場所等で喫煙をしないように配慮するということとされておりますので、現状ではそのような形の整理になっているところかと思っております。
 また、注意表示の関係ですが、製造たばこのパッケージの50%の部分で記載をさせていただいております。6ページのところでご説明があろうかと思いますが、この資料には直接書いてはいないんですが、その注意表示の中で、「たばこの煙は、子供の健康にも悪影響を及ぼします。たばこの誤飲を防ぐため、乳幼児の手が届かない所に保管・廃棄を。」という形で記載すること、これはローテーションで決まっておりますので、同じ頻度で、紙巻たばこだと5個あるんですが、5個が同じ頻度程度で売られるようにというふうに製造業者、たばこを製造するところに命じられているところでございますが、こういった形で、たばこを購入する者に子供に対する影響がきちんと理解できるようにさせていただいているところでございます。
 今後、改正等につきましては、国際的な情勢とか、あと国内のこの制度は令和2年に見直しをしましたので、それを踏まえて、また必要な検討を、必要なタイミングで、適切なタイミングで実施していく。特に、先ほどもございましたが、FCTCなど国際的な議論もございますので、こういったものも踏まえながら検討していくことが重要かと思っております。
 以上です。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。三牧委員、よろしいでしょうか。

〔 三牧委員 〕 ご説明ありがとうございます。特に家庭での受動喫煙を防止していくという取組が非常に重要だと思います。よろしくお願いいたします。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。ほかの委員の先生方、いかがでしょう。
 それでは、齊藤委員、お願いいたします。

〔 齊藤委員 〕 齊藤でございます。日本たばこ産業株式会社の事業ポートフォリオについてご説明いただいたところでございまして、医薬事業部門の売却についてもご説明いただいたところでございますけれども、初歩的な質問で恐縮ですけれども、現在の日本たばこ産業株式会社の事業の範囲は一定の範囲に限定されているかと思いますけれども、加工食品事業部門や医療事業部門というのは、これまでどういった観点でたばこの製造・販売と関連づけてきたのでしょうか。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、事務局のほうからお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 JTにつきましては、JT法というものに基づきまして事業の範囲が定められております。JT法においては、JTの事業として、製造たばこの製造、販売及び輸入の事業、その事業に附帯する事業、さらに、それを除く、ほか会社の目的を達成するために必要な事業という形で、この3つ目のことを目的達成事業というふうに言わせていただいております。
 目的達成事業として、医薬事業だったり加工食品事業というものを行っております。目的達成事業を行うためには、財務大臣が認可をする、あらかじめ認可をする必要があるというふうに整理をさせていただいておりまして、医薬事業等につきましては、やはり健康とたばこの関係性がかなり強いので、医薬と親和性が強いのではないかということで、設立当初頃に医薬事業に取り組むというようなことを整理したというふうに承知をしているところでございます。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

〔 齊藤委員 〕 収益性とたばこ事業に関する規制目的とを両立するという観点から、適正な事業ポートフォリオについて今後もお考えいただければ幸いに存じます。
 以上でございます。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 続きまして、オンラインでご参加の国松委員からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔 国松委員 〕 どうもありがとうございます。手短に2点、お願いがございます。
 まず健康増進法についてですが、ぜひこの分科会でも理解を深めることができればと考えまして、次回以降いつになるか、年1回程度の開催だと伺っておりますが、こちらに厚生労働省からのご説明の機会があると大変ありがたいなと思います。今後ご検討いただければ幸いです。
 2点目は、パッケージの規制も含めまして、諸外国の規制、政策についてご検討、ご研究だと思います。そうした国際的な状況につきまして、国際条約のみならず、諸外国の情報を承知できるとありがたいと思っております。
 以上でございます。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。2点、国松委員からありましたが、事務局のほうからいかがでしょうか。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 次回以降の議事内容として検討させていただければと思います。ありがとうございます。

〔 安藤分科会長 〕 国松委員、よろしいですか。ありがとうございます。
 ほかの委員の先生方いかがでしょうか。
 それでは、ないようですので、本件につきましてはここまでで終了とさせていただきます。また追加のご意見、ご質問等がございましたら、随時受け付けておりますので、事務局までお寄せいただきますようお願いいたします。
 それでは、次の議事に進みたいと思います。たばこ製造業・塩業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組につきまして、事務局と日本たばこ産業株式会社、今後はJTと呼ばせていただきますが、また、全国塩業懇話会からご説明をいただきたいと思います。
 これから、JTと全国塩業懇話会の関係者の方が入室されます。そのまましばらくお待ちください。

(関係団体入室・着席)

〔 安藤分科会長 〕 初めに事務局より、たばこ製造業・塩業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組につきまして説明をお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 資料3-1「たばこ製造業・塩業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組」と表題された資料に基づき、ご説明をさせていただきます。
 1ページをお開きください。地球温暖化対策に係る政府の計画として、地球温暖化対策計画がございます。温室効果ガスについて、2030年度において2013年から46%削減という目標設定をしております。産業界においても、低炭素社会を目指した計画を策定・実施することとされており、政府としてもこれをフォローアップする必要がございます。そのため従前から、たばこ・塩に関する業界の取組については、たばこ事業等分科会で報告をしていただいたところでございます。
 1ページ飛ばしまして、3ページをご覧ください。たばこ・塩業界の取組については、JT及び塩業懇話会から詳細な説明があるかと思いますが、たばこ事業についてはJTが、塩事業につきましては、国内供給の塩の約8割を占めるイオン交換膜という装置を用いた塩の製造業者が多く二酸化炭素を排出しているところでございます。次ページ以降は参考資料として、イオン交換膜製塩の仕組みなどを整理させていただいております。ご高覧いただければ幸いです。
 簡単ではございますが、事務局からの説明は以上でございます。

〔 安藤分科会長 〕 ご説明ありがとうございました。
 続きまして、たばこ製造業におけるカーボンニュートラルに向けた取組につきまして、JTの小倉常務執行役員と妹川執行役員からご説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

〔 小倉常務執行役員 〕 おはようございます。ご紹介にあずかりました、JTにてコーポレートガバナンスを担当してございます小倉と申します。よろしくお願い申し上げます。
 まず冒頭、委員の皆様方におかれましては、平素より、我が国のたばこ産業並びに当社事業の様々な取組、活動にご理解とご関心を賜りまして誠にありがとうございます。
 人の暮らしや社会、あるいは企業の活動、あらゆる人の営みというものは、生態系を紡いでいく一部であると考えてございます。自然や社会が持続可能であって初めて、人の暮らしや企業の活動も持続可能となると、私どもJTグループはこうした考えの下で、自然、社会とその中に存在する当社グループ事業のサステナビリティ実現に向けた取組というものは、まさしく私どものグループ経営にとって根幹をなすものであると、このように認識しておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、私どもJTグループにおきましては、優先的に取り組むサステナビリティ関連の重要事項といたしまして、5本の柱から成るマテリアリティというものを特定いたしまして、その一つとして自然との共生というのを掲げてございます。自然環境に与える影響の改善に向けた取組を通じまして、自然と人や企業の健全な関係性を保っていくことに、事業経営を通じて努めているところでございます。
 本日は、この自然との共生にひもづく当社グループのカーボンニュートラルに向けた取組に関しましてご説明を申し上げるわけでございますが、まずもって、このような説明の機会を頂戴しましたこと、重ねて御礼申し上げます。具体的な内容につきましては、担当執行役員の妹川からご説明申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

〔 妹川執行役員 〕 改めまして、お時間ありがとうございます。CSOの妹川と申します。それでは、資料に即しまして、私からポイントだけをご案内させていただければと思います。
 1枚おめくりいただきまして、本資料は、まず当社グループの概要、それから2番目にカーボンニュートラルに係る目標設定と実績、3番目にその取組の事例等をご案内している構成になっております。
 次のページをお願いします。極めてシンプルなご案内で恐縮でございますが、たばこ製造業及び当社グループのご案内というところ、国内でのたばこ製造業といいますと、弊社1社になります。マーケットではいろいろな海外輸入メーカーと競合しておりますが、製造業という意味では1社ということでございます。売上規模も、JT単体では約5,000億円ということになります。ちなみに、円グラフのとおり、グループでの売上収益の構成割合でございますが、弊社もいろいろな事業にチャレンジしているところではあるものの、依然としてたばこ事業がメインであるという状況でございます。
 当社グループの経営理念とJT Group Purpose、この2つの軸が、我々の言わば羅針盤であり、向かうべき北極星といいましょうか、大きなビジョン、世の中でいうビジョン、ミッションに近いようなところでございます。経営理念と「心の豊かさを、もっと。」というパーパスを掲げて、今の事業、それから新しい事業への挑戦等々、邁進しているところでございます。
 では、次のページをお願いします。先ほど小倉のほうからご案内させていただきました、5つの柱と言いましたが、JTグループにおけますサステナビリティ戦略も、究極の目的は「心の豊かさを、もっと。」というパーパスの具現化、実現でございまして、それにまつわる優先的な課題として5つ掲げております。そのうち、一番左に記載のとおり、自然との共生という言葉を使わせてもらっています、ここがいわゆる環境周りのテーマでございまして、これら5つ、我々はマテリアリティと呼んでおりますが、マテリアリティに対して具体的なターゲットを設けております。
 次のページをお願いします。JT Group Sustainability Targetsというのは、今日時点では25項目設けておりまして、とりわけ自然との共生のうち、本日のテーマに関わるところとしましては、赤枠の2点になろうかと思っております。ほかいろいろなものもございますが、今日は詳細を割愛させていただきます。
 次のページをお願いします。本題に入りますが、カーボンニュートラルに係る目標設定と実績でございます。まず、カーボンニュートラルに係る当社グループの考えでございますが、記載のとおりでございますので、細かくは読み上げませんが、弊社の目標設定は、国際的なイニシアティブでございますSBTiの推奨に基づいて、ややハードルは高いですが、こちらのプランに沿って計画しております。具体的には、2050年までにはバリューチェーン全体、つまりScope1、2、3を含めて、温室効果ガス排出量をネットゼロにすること。そのマイルストーンとして、2030年までに、当社グループ事業、つまり、Scope1、2に係るカーボンニュートラルの達成という目標を掲げております。
 次のページをお願いします。こちらが、そのエグゼクティブサマリーでございます。目標と実績につきまして、2024年の実績が来月頃には見られるかと思いますので、23年の実績になっておりますが、まず、自社の温室効果ガス排出量につきまして、2030年までに2019年比から47%の削減というのを目標にしておりまして、現在は21%の削減まで達成しております。2024年は、まだ確定値でございませんが、その削減経路に沿った達成も見込めるところでございます。
 なお、バリューチェーン全体につきましてもご案内しますと、Scope3における、原材料・サービスに由来するものにつきましては28%削減というのを目標にしておりました。一定の削減が進んでおりましたが、2023年度、一時的に3%の増加をしております。24年においては、この増加分も含めまして、削減経路に沿った削減が見込まれる状況でございます。詳細は、また後ほどのページでご案内します。
 また、再エネ電力の導入につきましては、2030年までには50%ということで目標を掲げておりますが、2023年時点では26%まで来ておりまして、2024年は、まだ見込みでございますが、顕著に増加すると見込んでいるところでございます。
 次のページをお願いします。各ページを簡単にご案内します。
 まず、1点目です。Scope1、2における、先ほど申しました21%削減というのが削減目標の47%に対してどう見えているか、棒グラフで示しておりますとおり、基本は削減経路の下を継続的に進んでいるため、順調とご理解賜れればと思っております。
 次のページをお願いします。バリューチェーンにおけますScope3、そちらの原材料・サービスに由来する温室効果ガスの排出でございますが、2023年は、一時的であるものの、3%の増加がございましたが、こちらの要因を記載しております。事業量増加に加えて、気象影響等により、葉たばこの乾燥工程における再生可能な燃料源への転換に時間を要している国、具体的にはタンザニア等でございますが、これらの国からの調達量を一時的に増やさざるを得なかったということでございます。まだ過渡期でございまして、全ての農家さんのもとへ、このような再生可能な燃料源が入る過程の移行期でございまして、需要と供給のバランスによっては、仕方なくこういうところにお願いせざるを得なかったというのが現状でございますが、再生可能な燃料源というのも進んでおりますし、調達ラインの変更もございますので、2024年におきましては、前年の3%増加分の削減に加えまして、削減経路にまで達するであろうという見込みで進捗しております。
 次のページをお願いします。最後、再生可能エネルギーの導入割合でございますが、2030年までにグループ全体で50%の導入を目指しておりますが、2023年時点で26%ということで、2030年の目標に向けて順調に推移しております。とりわけ、まだ見込みでございますが、24年においては大分導入が進むものと期待しているところでございます。
 次のページをお願いします。こちらは簡単ではございますが、どんなことを削減の中身としてやっているのかを具体例としてお示しした資料でございます。基本的には、再エネ由来の電力プランへの切替えや、オフサイトPPAの導入、あるいは非化石証書、グリーン電力証書を活用したカーボンオフセットの活用、営業車や運送用トラックのEVへの切替え等になります。加えて、工場における生産設備の改善等も大分進みまして、簡素化とともに、機械設備も環境負荷が少ない設備の導入と切替えを順次進めているものとご理解賜れればと思っております。
 最後のページでございます。この取組等は、対外コミュニケーションでもしっかり、ウェブサイト、それから統合報告書でも都度公表しておるところでございますし、CDPの気候変動分野におきましては、6年連続7回目の最高評価でありますAリストをいただいており、権威のある外部機関からも弊社の取組につきましては評価をいただいているというのが現状でございます。
 以上でございますが、簡単ながら、私からのご案内とさせていただきました。

〔 安藤分科会長 〕 ご説明ありがとうございました。
 続きまして、塩業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組につきまして、全国塩業懇話会の山本会長からご説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

〔 山本会長 〕 ありがとうございます。ただいまご紹介をいただきました全国塩業懇話会会長の山本でございます。塩業界におけるカーボンニュートラル化の取組につきましては、2年前の分科会において、その実現に向けた取組やロードマップ等、塩業界の基本戦略について皆様方にご説明をさせていただきましたが、本日は、その後、業界がどのような対応を取ってきたか、その結果、CO2排出量がどう変わってきたのか、合わせて今後どういう計画を準備しているのかなどについてご説明をいたしますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、お手元の資料の2ページをご覧ください。塩業界の現状と課題に対する取組姿勢を書かせていただきました。塩は、生命維持、食品加工には不可欠な重要戦略物資と言うことができますが、製造コストやカーボンニュートラルをはじめとする社会的コストの増加という厳しい環境の中で、これらの課題に対応するために、業界内の連携・協調を高めようということで全国塩業懇話会を設立、その後に同会にて、本日ご説明するカーボンニュートラルへの基本計画を策定いたしました。燃料転換への挑戦と、塩の安定供給の完遂は、社会の一員としての私たちの責務と考え、事業活動を進めているところでございます。
 次のページに移らせていただきます。次のページのカーボンニュートラル化実現の基本方針については、今後の革新的技術の開発・実用化を前提として、2050年までに排出量実質ゼロを目指すとしているものですが、当該技術実装までの間は、現有技術の応用・改善に全力で取り組むこととしております。
 次の4ページをご覧ください。塩業界全体の排出量の9割を超えるイオン交換膜製塩工場でのカーボンニュートラル化を示したものでございます。岩塩も天日塩も我が国にはございません。製塩法の原理は塩田の時代から変わらず、濃い塩水を作り、その水を蒸発させるやり方で、私たちはこれをいかに効率化するかということに国と共に努力を重ねて、今日のイオン交換膜製塩法とコージェネレーションシステムにたどり着きました。ボイラーの燃料転換には、ボイラーに関する革新技術の開発、実用化までには相当の期間を要する技術も含まれていますので、そのような設備実装までの間は、現有技術の応用・改善、バイオマスなどの使用によってCO2排出量の低減に努めながら、アンモニア、水素等のカーボンフリー燃料の実用化を待ちたいと思います。
 それでは、5ページをご覧ください。前回のロードマップを実際の進捗状況に合わせて修正しております。ご覧のとおり、めどとして、2030年までは既存技術の応用・改善などによる削減が主体とならざるを得ませんが、生産設備のトップランナーへの更新や省エネ機器の導入などに加え、赤字で記載のとおり、イオン交換膜製塩工場5工場のうち、1工場はボイラー燃料を石油コークス焚きからバイオマス・LNG融合型に転換済みですし、他工場についてもバイオマスの混焼やタイヤチップ混焼など、近い将来の燃料転換に向けた様々な技術検索、試行実施を重ねているところでございます。
 革新的技術の実装については、その第1段階として、2030年をめどにアンモニア混焼等への転換が予想されましたが、アンモニア燃料の供給体制の問題もございまして、まだ実用化の段階ではございません。2050年に排出量実質ゼロを目指すには、革新的技術である水素、アンモニアなどカーボンフリー燃料への転換が必須であります。
 それでは、6ページに移っていただきます。ここでは、基準年である2013年度、及び2018年度以降2024年度までの塩業界全体のCO2排出量の推移を表したものであり、水色がイオン交換膜製塩工場4社の排出量です。このグラフでお分かりのとおり、基準年である2013年度以降は、1工場が既にバイオマス・LNG融合型の燃料転換を行ったこともあり、排出量が減少しておりますが、2022年度には一時的に排出量が増加しました。その要因は、2023年度に実施された値上げ前の駆け込み需要のための増産による石炭使用量増加であり、2023年度はその反動による大幅減、昨年の2024年度はその揺り戻しによる増加となっていますが、燃料転換の施行や省エネ等に取り組んだ結果、2013年と比較した場合、2024年度では排出量が57万7,000トン、割合で18%強の削減となっております。排出量は減少基調で推移しているところでございますが、排出量の削減においてはまだまだ少ない状況でございます。
 次の7ページでございます。今までの施策・実績と今後の計画について整理したものです。今後2030年に向けて、燃料転換に向けた技術探索、試行実験を継続させるとともに、2028年度には石炭ボイラーからバイオマス専焼への転換が1工場で予定されており、2050年のカーボンニュートラルに向けては、水素やアンモニア等のカーボンフリー燃料に期待するとともに、CO2の固定化、再利用技術の導入など、自らが主体的に取り組める活動の掘り起こしにも努めたいと思います。
 最後の8ページが塩業界としての取組の現状に関する総括をまとめております。CO2排出量の大幅削減は現時点では未達の状況ですが、当初計画のとおり、2030年をめどとした第1段階の燃料転換については、各工場の立地条件や製造規模、実行可能性などを考慮し、実情に応じた燃料転換を具体化させるべく、計画実行に移している段階にあります。
 ご参考までに、その次のページ以降でございますけれども、非イオン交換膜製塩工場及び物流関係のロードマップをつけさせていただいております。規模は小さいながらも、燃料転換や省エネ設備への切替え、共同輸送や業界挙げてのモーダルシフトの拡大などが今後の課題となります。
 いずれにしましても、カーボンニュートラルは社会の一員としての責務であります。塩の安定供給とともに、完遂に向け、引き続き努力を重ねてまいりますので、ご理解を賜りますようお願いを申し上げます。
 以上で私どもからの説明にさせていただきます。ありがとうございました。

〔 安藤分科会長 〕 ご説明ありがとうございました。
 それでは、事務局、JT、全国塩業懇話会からただいまご説明ありました事項につきまして、ご意見、ご質問いただきたいと思います。委員の先生方、いかがでしょうか。
 それでは、齊藤委員、お願いいたします。

〔 齊藤委員 〕 齊藤でございます。詳細なご説明をいただきまして、誠にありがとうございました。カーボンニュートラルに向けての取組につきまして、幾つか感想とコメントを差し上げたいと思います。
 まず、たばこ産業のほうにつきましては、CDPの外部評価を得られているということは、すばらしいことだと思いました。このようなサステナビリティに関する取組につきましては、PRあるいはSRの観点から、自社に都合のいい情報だけを出すということになりがちでございますが、このような外部評価を得ることを通じて、信頼性のある情報が市場や関係者に伝わるということがとても大事であると思います。
 また、一部の費用増加につきまして、タンザニアの事情などご説明いただいたところでございますけれども、一連の世界的なサステナビリティの潮流というのは、資本や事業活動の上流のほうに規制をかけることを通じて、そのサプライチェーンやインベストメントチェーンの下流にある国々までサステナビリティの精神が行き渡ることを目指しているといえまして、本日のお話は、そのような努力に適切な対価が払われ、タンザニアなどにおいてもサステナビリティの観点からの事業展開が推進されているということでございまして、コストは増えているけれども、その理念には即している経過ではないかと思われました。
 その上で2つ、コメントがございますけれども、まず、現在のところ全体として順調に削減がされているということではございますが、こういった削減の努力というのは、削減可能な幅が逓減していくのが通常でございまして、先になればなるほど効率化できる余地は少なくなっていくのではないかと思われ、直線的な右肩下がりではなく、最初たくさん下がって、その後だんだん下がり方が緩やかになるというものであろうかと思います。ですので、今は少し早めに削減が実現されているということではございますけれども、その先厳しい局面が待っていると思いますので、そのようなことも含めた事業計画を考えていただくのがよいのではないかと思います。
 また、こういったサステナビリティ関係につきましては、目的の達成のために事務作業が増えて、その観点からコストが増えるということも諸外国を含めて問題になっているところでございまして、事務作業の効率化という観点から、カーボンニュートラルの数値には表れないコスト削減の努力も必要になってくるのではないかと思われます。
 一方、塩業界につきまして、資本市場などの目があまり行き届かないところであるにもかかわらず、様々な取組がなされていることもすばらしいと思われました。革新的な事業の技術に左右される部分が多いということでございまして、この部分につきましては見通しがつきにくいところもあろうかと思いますので、その実現が遅れた場合の事業計画というのも考えておく必要があるのではないかと思いました。
 以上でございます。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。詳細なコメントありがとうございました。コメントですので、特にリプライを求めるものではございませんが、JTさん、それから全国塩業懇話会さんのほうから、何かありましたらお願いいたします。

〔 妹川執行役員 〕 貴重なご意見、ご示唆ありがとうございます。ご指摘のとおりでございまして、弊社もCO2削減は、まずは比較的関係の近しいところといいましょうか、やりやすいところからでもいいから実績をつくって、それを当たり前に会社として、グループとしてみんなが認識する方法を取ってきました。ですので、今はまだまだ削減の余地がありますが、幅がどんどん狭くなってくると、苦しい闘いというのは確かに見えてきます。それは弊社だけでなく、どの企業さんも一緒かと思っております。
 そうなると、どのような技術革新があり、我々グループ以外にどのようなインフラがあって、どのようなものを活用できるか、どのようなものをシェアできるようになるか等、単体事業ではなく、各業界を越えた取組は必須だと思っておりますし、今その予調や探索も併せて進めているところでございます。貴重なご示唆ありがとうございます。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、全国塩業懇話会の山本会長、いかがでしょうか。

〔 山本会長 〕 まず、貴重なご意見ありがとうございます。私どももおっしゃるとおりでございまして、新しい技術がいつになって実装できるのかというのがなかなか分からないところでございます。ただ我々、塩自体は、ある意味でいきますと代替性のない、非常に大事といいますと、自分でやりながらこういうことを申し上げるのはどうかと思いますけども、経済安保というような観点からも、国内の海水から取れるやり方というのは、今のところこのイオン交換膜しかないというのが実態でございます。
 ですから、何としてでも、28年度には2工場目のバイオマスの専焼の工場ができますので、業界全体としては少しずつそちらの、30年に46%という国のご方針に進んでいるところでございますので、この中にいろいろ書きましたけれども、少しずつでも新しい技術を取り入れて、最後に大きな燃料転換。単純にこれ、言い訳ではございませんので、これもちょっとご理解を賜りたいのですが、今のところ売上げが100億足らずなんですね、1工場。ボイラーを1つ替えるのに100億近くかかるんです。ですから、やっぱりその辺のことをうまく、だから混焼とかこういう形、何とか既存設備を生かしながらカーボンニュートラルのほうに向かえないかというのを模索しているところでございますので、それと、もう少し塩の価値を国民の皆様にご理解を賜って、もう少し価格を上げていただけると、そういう蓄えもできて投資もできるということも併せて我々懇話会としてはこれから実現をしていきたいと思っておりますので、何とかこの委員の皆様方にもご理解を賜りたいと思います。
 以上でございます。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。塩業界の詳細な実情もお話しいただきまして、ありがとうございました。
 齊藤委員、よろしいですか。ありがとうございました。
 時間の制約がございまして、大変恐縮ですが、本件についてはここまでで終了とさせていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議事に進みたいと思います。改正物流効率化法及びその施行に向けた取組につきまして、国土交通省と事務局からご説明をいただきたいと思います。
 これから国土交通省の関係者の方が入室されます。そのまましばらくお待ちください。

(関係団体入室・着席)

〔 安藤分科会長 〕 それでは初めに、改正物流効率化法につきまして、国土交通省の紺野課長から説明をお願いいたします。

〔 紺野物流政策課長 〕 国土交通省の紺野と申します。よろしくお願いいたします。資料4-1をご覧ください。
 まず1枚おめくりいただいて、1ページでございます。こちらは昨年成立いたしました流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律の概要紙でございます。背景といたしましては、物流は国民生活や経済を支えるインフラということでございますが、一方で、トラックドライバー中心に、物流産業を支える方々にとってはなかなか魅力ある職場になっていないと。例えば賃金がなかなか上がらないとか、労働時間が長いとか、そういった状況に加えて、昨年の4月から働き方改革関連法が適用されることになりまして、輸送力の不足が懸念されておりました。これがいわゆる物流の2024年問題でございまして、右側のほうに図が描いてありますけれども、24年には約14%、30年度には34%の輸送力が不足するという予測がございます。
 これに伴いまして、いわゆる物流事業者だけではなくて、荷主の方や一般消費者も含めて、物流の効率化や商慣習の見直し、それからそれぞれの行動変容を促すための仕組みということが考えられたということでございます。法案自体は、1ポツから3ポツまでの3本柱でございますけれども、本日ご説明いたしますのは赤い部分の、荷主と物流事業者に対する規制的措置の部分でございます。そのほか2と3はトラック法に関する改正でございますので、本日は割愛いたします。
 1ポツのところでございますが、まず、荷主、それから物流事業者に対しまして、物流効率化のために取り組むべき措置というものを法律上の努力義務ということで課しております。また、その措置については、国がどの程度やるべきなのかという判断基準を策定することとしております。これらについては、その国が定めた基準に基づいて指導・助言、あるいは調査・公表といった権限を付与するということでございます。また、この中で一定規模以上のものについては、特定事業者という位置づけを与えまして、中長期計画の作成や定期報告の義務づけを行い、その取組状況が不十分な場合は国が勧告や命令を行うという仕組みにしてございます。また、荷主については、特定荷主という位置づけになるんですけども、物流統括管理者の選任を義務づけると、そういった枠組みになってございます。
 次の2ページをご覧いただけますでしょうか。今私が申し上げた部分を拡大してご説明する資料になってございます。
 背景としては、先ほど冒頭で申し上げましたが、荷主が非常に物流のキーポイントになっておりまして、物流事業者だけでは、こういったいわゆる物流事業者、物流作業が抱える課題が解決できないということで、荷待ち・荷役時間の削減や積載効率の向上を図るために、こういった規制を導入するということでございます。内容は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、2ページの左下をご覧いただきたいのですが、過去のアンケート調査でも、いわゆるドライバーの1運行当たりの拘束時間の中で荷待ちと荷役が占める割合が3時間ということで、全体が12時間弱ですので、2割5分ぐらいがいわゆる運送以外の時間に充てられていると。これをなるべく減らして、ドライバーの方にはドライブに集中していただくということを目指すものでございます。
 また、先ほどの取り組むべき措置ということで、効率化に向けた取組を努力義務として課したということでございますけれども、真ん中の下の表にあります取り組むべき措置と判断基準という表をご覧いただきたいのですけども、3つありまして、1つは荷待ち時間の短縮、もう一つが荷役等時間の短縮、そしてもう一つが積載効率の向上ということでございます。このうち、例えば真ん中の荷役等時間の短縮については、いろいろ例を書いてございますけれども、パレット等の利用というものがございます。こちらは、さらに右の写真を見ていただくと、従来ばら積み・ばら降ろしということで、一つ一つ、いわゆる手荷役というか、人の手を介して積んだり降ろしたりという作業をしておったんですけれども、パレットという板を導入することで、フォークリフトを使って多くの物を同時に上げ下ろしすることができるということで、そういった物流効率化が期待される取組となっております。
 次に3ページをご覧ください。こうした法律の施行に当たっては、国土交通省だけではなくて、荷主を所管する経済産業省、それから農林水産省、3省の合同会議を開きまして、法律の運用の在り方について議論をいただいております。このページは、その中で、国が定める運送・荷役等の効率化に向けた基本方針の概要でございます。
 下のほうに参りますが、ポイントの(1)ということで、効率化の推進の意義・目標という柱がございます。ここでは、先ほど申し上げた物流の重要性に加えて、安全性の確保を前提に、荷主や物流事業者、それから施設管理者等が協力して、令和10年度までに2つの目標達成を目指すということを掲げております。1つは、5割の運行で、1運行当たりの荷待ち・荷役等時間を計2時間以内に削減すること。これは1人当たりに換算すると年間で125時間の短縮となります。また、1でございますが、5割の車両で積載効率50%を実現すること、これで計算しますと全体の車両で積載効率が44%に増えるということでございます。
 そのほか幾つか項目がございますけれども、例えば、下から2番目の(4)です。国民の理解の増進という項目がございますが、こちらは先ほど申し上げた荷主や物流事業者の取組だけではなくて、やはりサービスの受け手である消費者である国民についても理解を増進していただく必要があるということで、幾つか挙げてございます。例えば、右側にありますとおり、「送料無料」表示の見直しについても、やはり事業者のほうで表示について責任を持っていただくんですけども、そういった費用の負担とかをしっかり理解していただくということもここに掲げてございます。
 続きまして、4ページをご覧ください。こちらの判断基準のポイントということで、荷主と物流事業者がそれぞれどういった努力義務が課されているかという概要をお示ししたものになります。1から1は、先ほど真ん中下の表に掲げております3つの取組と全く同じ柱でございます。
 まず、1番の積載効率の向上については、幾つか例が書いてございますけれども、例えば複数の荷主の貨物の積み合わせであるとか、共同配送を行うことで、いわゆる1運行当たりの効率を上げていただく。また、1番の荷待ち時間の短縮については、トラック予約システムというものがございまして、トラックが何時に受け取ったらいいのかということを連絡するシステムでございますけども、こういったものを導入していただく。あるいは1番の荷役等時間の短縮につきましては、先ほどパレットのご紹介もいたしましたけども、例えば、その下に写真が出ておりますけれども、こういうユニット単位、箱単位で検品ができるようなタグを導入する、そういったものも例示として挙げてございます。こうした取組を判断基準としてつくります。
 それから、下のほうに行きますと、調査・公表という柱がございますけれども、荷主の判断基準については、物流事業者を対象にアンケートを行いまして、取組状況を把握するとともに、そういった点数の高い低い含めて公表していくといったことを考えてございます。
 次の5ページをご覧ください。この判断基準の中で、荷主の方にどういったことをやっていただきたいかということをお示ししたのが、このページになります。例えば積載効率の向上では、先ほど申し上げなかったものとして、実態に即した適切なリードタイムの確保、あるいは荷主間の連携に取り組むことということを挙げてございます。右側のほうにイラストがございますけれども、やはり短時間でオーダーされますと、運送事業者のほうもなかなか手配できませんので、それは注文する側も少し計画的に、ここでは1週間以内と書いてありますけれども、ある程度余裕を持たせることで積み合わせをしやすくすると、そういった取組をご紹介してございます。
 また、荷待ち時間の短縮については、先ほどトラック予約システムの話を申し上げましたけれども、その中でも混雑した時間を回避するような日時を指定することで、実際に取りに行くトラックの混雑といいますか、渋滞も避けられるという事例を挙げてございます。
 一番下の荷役等時間についても、先ほど幾つかご紹介はしましたが、例えば、一番下のバース等の荷さばき場については、量に応じて広さをしっかりと確保することで作業環境を整えるといったことも荷主にお願いしたいということでございます。
 以上が今年4月に施行された部分でございまして、次の6ページに行っていただけますでしょうか。6ページは来年4月から施行予定の部分でございます。先ほど冒頭で荷主の特定事業者というお話をさせていただきましたけれども、特定事業者の方々については、この3つ、荷主、倉庫事業者、それから貨物自動車運送事業者、それぞれについて上乗せで一定の義務をかけさせていただくということでございます。ここに書かれている数字は、いわゆる基準ということで、これを超えるものについては特定事業者ということで、上乗せのことをやっていただくということでございます。荷主に関しては、赤字で書いてありますけれども、取扱貨物の重量9万トン以上ということを予定しております。
 具体的に何をするかというのが真ん中でございまして、中長期計画と定期報告の作成・提出ということでございます。中長期計画につきましては、基本的には毎年度出していただきたいんですけれども、5年に一度ということを目安に、今後どういったことをやるのか、あるいは何をやるのか、また、その目標や実施時期について書いていただきます。また、定期報告については、右側のほうに参りますけれども、実際事業者の方がどういった判断基準を守っておられるのかということを、なるべく負担を軽くするという意味でチェックリスト形式で書いていただいたり、あるいは、書いていただいた内容の具体的な中身については自由記述をお願いしたりしております。また、荷待ち時間等の状況ということで、荷主に関してはどれぐらいの待ち時間になっているかということを書いていただくと、そういったものを定期報告の中で予定をしてございます。
 下のほうに行っていただきますと、物流統括管理者の業務内容が記載してございます。荷主のうち特定事業者については、特定荷主ということで、先ほど申し上げましたけれども、物流統括管理者を選任していただくという法律上の義務が今後課されることになります。その役割ということで書かせていただいておりますけれども、CLO、チーフロジスティクスオフィサーという略ですが、経営管理の視点からの役割も期待されておりますので、法律上の中長期計画の作成や定期報告の提出のほかにも、事業全体を見渡していただく必要がありますので、役員等の経営幹部から選んでいただくということを3省合同審議会の中では取りまとめをしてございます。下にいろいろポツがありますけども、報告や計画の作成以外にも、例えば一番下の部分、社内の関係部門との連携をやっていただきたいと、つまり物流だけではなくて、開発とか生産とか、そういったところとも連携いただきたいということでございます。
 次、7ページに行っていただけますでしょうか。7ページは、これまでのスケジュール、それから今後の予定をお示ししたものでございます。昨年5月に成立したものでございますが、その後、今年の4月に第1段階の法律の施行が既に行われてございます。今年の秋頃には、先ほど申し上げた判断基準の調査・公表というのを行う予定でございますし、今年度は、右側に赤字で書いておりますけれども、特定事業者の指定に向けまして、取扱貨物重量の把握をやっていただくということでございます。
 また、来年度につきましては、法律の第2段階の施行がございますけれども、その後4月末には、特定事業者の届出や指定の手続を行っていただき、10月末には中長期計画を提出していただくと。さらに秋頃には、2025年と同様に、調査・公表を行うということで、この年度に至っては、定期報告に向けた実施状況の把握や荷待ち時間等の計測をお願いするということでございます。最後、2027年7月には定期報告の提出と、こういった流れになってございます。
 私からの説明は以上でございます。

〔 安藤分科会長 〕 大変密度の高い説明でありました。ありがとうございました。
 続きまして、事務局から説明をお願いいたします。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 資料4-2の資料で説明させていただきます。
 1ページをお開きください。資料の右側でございますが、先ほど国土交通省からご説明があったとおり、改正後の物流効率化法に基づき、特定荷主の物流効率化の取組が不十分である場合の措置として、勧告、公表、命令、罰則が法定されております。たばこ・塩に関して命令を出す場合には、あらかじめ、流通をつかさどる観点から産業構造審議会、物品所管の観点から財政制度等審議会、すなわち当分科会の意見を聞くことが、現在パブリックコメントをかけられているところでございます。
 続いて、当分科会の所掌であります、たばこ・塩に関する流通形態についてご説明いたします。2ページをお開きください。
 まず、たばこに関する説明です。国産製造たばこについては、フロー図左側にあるとおり、国産葉たばこ、輸入葉たばこの両方をブレンドし、製造いたします。国内3か所の製造工場で製造された後は、JTの子会社であるTSネットワークの流通基地まで流通します。葉たばこからTSネットワークの流通基地までの流通はJTが、JTの子会社であるジェイティ物流に委託して流通し、TSネットワークの流通基地から小売店等までは、JTがTSネットワークに委託して流通します。外国産の製造たばこにつきましては、たばこ事業法で特定販売業者という輸入業者によって輸入されますが、TSネットワークの流通基地を経由して、多くのものが小売店等まで流通します。TSネットワークの流通基地までは、TSネットワークが他社に委託する形で流通し、TSネットワークの流通基地以降は、TSネットワークが自社物流するか、他社に委託して流通させています。たばこ関係で特定荷主に該当すると想定される者は、JT及びTSネットワークと想定されるところでございます。
 3ページをご覧ください。塩の流通は大きく3つになっております。国内製造の塩の流通、輸入塩の流通、塩事業センターによる生活用塩供給業務による流通となっております。国内製造の塩については、塩製造業者が卸売業者を経由または経由しないで、小売店、飲食店、食品加工業者、食品加工事業以外の事業者、道路管理者等に流通させています。輸入塩については、輸入した塩について、塩事業法で特定販売業者という輸入業者が卸売業者を経由または経由しないで、国内製造塩と同様に流通をさせているところでございます。塩事業センターによる塩の流通は、生活用塩を供給することを目的とするものでございまして、小売店、飲食店に供給するものです。同センターが塩を製造する能力がありませんので、塩製造業者に製造を委託すること等により調達をしています。その塩が同センターの倉庫に一旦とどめ置かれ、または置かれない形で、同センターが指定する卸売業者を経由して小売販売店や飲食店に流通させているところでございます。
 塩については、委託する事業者はケース・バイ・ケースということになっているところでございます。先ほどの議題3でも触れたところでございますが、イオン交換膜という装置を用いた塩製造業者の一部が特定荷主に当たる可能性があるというふうに想定されているところでございます。
 説明は以上です。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、国土交通省及び事務局からご説明ありました事項につきまして、ご意見、ご質問いただきたいと思います。委員の先生方、いかがでしょうか。
 それでは、宮島委員、お願いいたします。

〔 宮島委員 〕 いろいろな説明どうもありがとうございました。流通に関しましては、省エネやほかの観点からも、いろいろな議論を拝聴しておりました。現在、たばこや塩の業界でも、この法改正にのっとって進んでいるというふうに理解しております。
 先ほどのカーボンニュートラルもそうなんですけれども、今の現状で目標のラインの中でしっかりと進んでいることは、非常によいと思います。一方で、たった今、世の中全体としては、当初の想定よりも、例えば人口減少が進んでいること、あるいは物価の状況が変わっていること、あるいは国際的な情勢が変わっていることで、過去につくった目標どおりであっても、それが素直にフィットするかどうかというのは非常に分からない状況になっていると思います。ですので、もちろん気を緩めることはないとは思いますけれども、今後様々なそういう変化にも目を配りながら進めていただければと思います。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございました。コメントというか、アドバイスということで。

〔 宮島委員 〕 コメントです。大丈夫です。

〔 安藤分科会長 〕 ありがとうございます。

〔 菊地理財局たばこ塩事業室長 〕 今後の塩業界、たばこ業界の物流に関する指導については、今の宮島先生のご意見を踏まえながら、適切に対応してまいれればと思っております。ありがとうございました。

〔 安藤分科会長 〕 ほかいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。本件につきましては、ここまでで終了とさせていただきます。
 JTの小倉常務執行役員と妹川執行役員、全国塩業懇話会の山本会長、国土交通省の紺野課長はここでご退席されます。どうもありがとうございました。

(関係団体退室)

〔 安藤分科会長 〕 それでは、予定の時間となりましたので、本日の分科会はここまでとさせていただきます。委員の皆様方から頂戴いたしましたご意見等につきましては、事務局において、これらを踏まえつつ、引き続き適切に事務を進めていただきますようお願い申し上げます。また、追加のご意見、ご質問等がございましたら、随時受け付けておりますので、事務局まで遠慮なくお寄せください。
 また、本日の会議資料につきましては、会議終了後、財務省ホームページに掲載いたします。議事録及び議事要旨につきましては、委員の皆様方のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。
 本日は、ご多忙の中、ご出席賜りまして誠にありがとうございました。これにて閉会といたします。ありがとうございました。

午前11時01分閉会