財政制度等審議会
たばこ事業等分科会(第46回)
議事録
令和6年3月19日
財政制度等審議会
財政制度等審議会たばこ事業等分科会(第46回)議事次第
令和6年3月19日(火)10:03~11:48
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
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1.開会
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2.瀬戸財務大臣政務官挨拶
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3.プレミアムシガーに係る定価制度見直しについて
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(1)事務局からの説明
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(2)関係者へのヒアリング
全国たばこ販売協同組合連合会
加藤副会長
日本たばこ産業株式会社
藤原執行役員
一般社団法人グローカル政策研究所
川村代表理事
シガーバーシャドネイ
齋藤マネージャー
タン・タバコ・ジャパン合同会社
中根マネージングダイレクター
ダビドフ・オブ・ジュネーブ・ジャパン株式会社
坂田ジェネラルマネージャー
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4.閉会
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配付資料
資料1 プレミアムシガーに係る小売定価制度の在り方について 資料2 ヒアリング対象者一覧 -
出席者
分科会長
五十嵐隆
瀬戸財務大臣政務官
奥理財局長
湯下理財局次長
蓼沼理財局たばこ塩事業室長
ヒアリング対象者
全国たばこ販売協同組合連合会
加藤副会長
日本たばこ産業株式会社
藤原執行役員
一般社団法人グローカル政策研究所
川村代表理事
シガーバーシャドネイ
齋藤マネージャー
タン・タバコ・ジャパン合同会社
中根マネージングダイレクター
ダビドフ・オブ・ジュネーブ・ジャパン株式会社
坂田ジェネラルマネージャー委員
安藤光義
宮島香澄
臨時委員
国松麻季
東條吉純
長瀬隆英
山下裕子
〔五十嵐分科会長〕それでは、定刻になりましたので、ただいまから第46回財政制度等審議会たばこ事業等分科会を開会いたします。皆様にはお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、荒谷委員が御欠席の予定です。
本日は、プレミアムシガーに係る小売定価制度の在り方について、初めに事務局から説明をいただきます。その後で事業者等から御意見を伺いたいと思います。
また、本日は、瀬戸財務大臣政務官に御出席をいただいております。開催に当たりまして、財務大臣政務官から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〔瀬戸財務大臣政務官〕皆様、おはようございます。財務大臣政務官の瀬戸隆一でございます。財政制度等審議会たばこ事業等分科会の開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
まず、委員の皆様方におかれましては、御多用のところ分科会に御出席いただきまして、感謝申し上げます。
着座にてお話しさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、昨年4月に一度御議論をいただいたと承知しておりますが、本日はプレミアムシガーの小売定価制度の在り方について、委員の皆様にも事業者や消費者の方々のお考えを直接お聞きいただき、今後の議論、検討に活用していただきたいと考えております。
私自身、政策を進めていく上で現場の声を丁寧に拾っていくということは非常に重要であると考えております。本日のヒアリングが皆様の御議論の一助となり、我が国のたばこ事業の発展につながることを御祈念いたしまして、私の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔五十嵐分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、本日の資料とヒアリングの趣旨及び進め方につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
〔蓼沼理財局たばこ塩事業室長〕理財局総務課たばこ塩事業室長の蓼沼でございます。本日はよろしくお願いいたします。
それでは、本日のヒアリングの趣旨について、お手元の資料1に沿って御説明いたします。
資料1ページ目でございます。昨年4月27日に開催されましたたばこ事業等分科会におきまして、プレミアムシガーをめぐる事情について御紹介させていただいたところですが、改めて御説明いたします。
まず、1ポツ目でございますが、現状、我が国国内ではプレミアムシガーは製造されておらず、専ら輸入されている状況でございまして、正規代理店を含め、1つの品目につき複数の業者が輸入しているという市場構造となってございます。
その上で、2ポツ目となりますが、本件の端緒といたしまして、キューバ産のプレミアムシガーにつきましては、最近の状況といたしまして、キューバ本国からの供給が滞っている、一方で、アジア圏を中心に需要が高まっており、世界的に価格が高騰していること、そのような状況下で、我が国の業者が独自の輸入ルートにより高値で仕入れることができたとしても、我が国では小売定価制度がございまして、どの業者であっても1つの品目につき1つの定価でのみ販売するとされていることから、輸入して販売しようにも赤字になってしまうため、輸入そのものを断念してしまうことがあること、また、それを踏まえまして、一部の事業者からはプレミアムシガーについては、それぞれの仕入値に応じた柔軟な価格設定ができないか相談があることについて御紹介させていただきました。また、複数の事業者が同じ品目を取り扱っている場合、小売定価を変更する手続も煩雑になる旨も御紹介させていただきました。
資料2ページ目でございます。葉巻の大まかな分類について記載してございます。
本件の対象となっているプレミアムシガーは、資料の一番左側に記載されているものでございます。販路は主にシガーバーやたばこ専門店であること、また、価格が他のたばこに比べて高価であるといった特徴が記載されているところでございます。
資料3ページ目でございます。プレミアムシガーの主な生産国からの我が国への葉巻たばこの輸入量の推移及び我が国において小売定価の変更認可を受けたプレミアムシガーの輸入価格の推移を記載しております。
まず、キューバからの輸入を見ますと、2021年に輸入量が大幅に減少し、以後、戻しつつあるものの、まだ従前の水準まで回復していないということがうかがえます。
また、逆に代替需要といたしまして、ドミニカ共和国などからの輸入が大幅に増えている状況となってございます。
価格について見ますと、我が国への輸入価格においても、ここ2年で3倍近くにまで値上げしたものがあるなど、プレミアムシガーの価格が高騰しているということがうかがえる状況でございます。
資料4ページ目でございます。改めて、小売定価制度について御説明させていただきます。
小売定価制度は、専売時代において設けられていた定価制度を直ちに廃止すると、コンビニ・スーパー等による大量購入・大量販売を背景とした廉売競争により、市中の零細たばこ店が廃業に追い込まれ、製造たばこの流通に大きな影響を与えてしまうため、零細たばこ店を廉売競争から保護し、消費者が不便なく製造たばこを購入できる環境を維持することを目的として設けられているところでございます。
また、併せてプレミアムシガーの特徴を記載してございます。プレミアムシガーにつきましては、市中のたばこ店ではなく、シガーバー、たばこ専門店等で販売されているため、販路が限定的でございます。また、価格が高く、少量流通であるため、廉売競争が生じにくいという性質がございます。こうした消費者の購入利便性、廉売競争といった観点から考えますと、小売定価制度を設けた趣旨に必ずしもなじむものではない面があるのではないかと考えられるところでございます。
資料5ページ目でございます。小売定価制度に係る法令の構造について御説明いたします。
1ポツ目でございますが、法律であるたばこ事業法におきましては、特定販売業者は1つの品目につき1つの小売定価を定めて、財務大臣に認可の申請をするとされてございまして、法律レベルでは、1品目につき1つの小売定価とするというルールとはなってございません。
2ポツ目でございますが、政令であるたばこ事業法施行令におきまして、2つ以上の異なる小売定価の認可の申請が競合するといった場合には、財務大臣は財政制度等審議会の御意見をお聞きして、1つの小売定価のみ認可するとされているところでございます。このため、今般の課題である、輸入業者である特定販売業者ごとに、その仕入値に応じた定価設定を可能とするという観点からは、政令を改正し、法律の本則のみ適用されるようにすることによって、プレミアムシガーについては、業者ごとに1つの品目について1つの定価を定めることを可能とするといったことが、案として考えられるところでございます。
以上を踏まえまして、事務局といたしましては、本日、たばこ産業やプレミアムシガーの関係者から、この案についてどのようにお考えになるのか、委員の方々にもぜひ聞いていただき、プレミアムシガーについて小売定価制度を維持すべきかどうか、今後の検討の参考にしていただきたいとの趣旨でヒアリングを実施させていただく次第でございます。
以上が事務局からの本日のヒアリングの趣旨の説明でございます。
それでは、続きまして、ヒアリング対象の方々について御紹介いたします。資料2を御覧ください。
まず、小売定価制度が念頭に置いている零細たばこ販売店の方々に影響があるかないかをヒアリングするため、全国たばこ販売協同組合連合会の加藤副会長からお考えをお伺いいたします。
次に、我が国におけるたばこ製造に与える影響等についてヒアリングするため、日本たばこ産業株式会社の藤原執行役員からお考えをお伺いいたします。
次に、今般の見直しについて、消費者はどのようなお考えをお持ちなのかをヒアリングするため、愛煙家の立場として、前期まで財政制度等審議会たばこ事業等分科会の専門委員であられた、一般社団法人グローカル政策研究所の川村代表理事からお考えをお伺いいたします。
次に、プレミアムシガーを販売されている小売販売業者の方々が、どのようなお考えをお持ちであるかヒアリングするため、日本で長らくシガーバーを営まれている小売販売業者のシガーバーシャドネイの齋藤マネージャーからお考えをお伺いいたします。
最後に、プレミアムシガーの日本への輸入は、キューバ産とドミニカ共和国産が多い状況であることを踏まえ、それぞれのプレミアムシガーの需給に与える影響をヒアリングするため、キューバ産プレミアムシガーの正規輸入代理店であり、特定販売業者であられるタン・タバコ・ジャパン合同会社の中根マネージングダイレクターから、また、ドミニカ共和国産のプレミアムシガーのメーカーであるエッティンガー・ダビドフ社の子会社であり、特定販売業者のダビドフ・オブ・ジュネーブ・ジャパン株式会社の坂田ジェネラルマネージャーから、それぞれお考えをお伺いします。
委員の皆様におかれましては、まず、ヒアリング対象の方から今般の見直しについてどうお考えか、お話を聞いていただき、その上で、質疑応答をいただきたいと考えてございます。なお、ヒアリングの方法といたしましては、入替え制とし、議事次第に記載の順番で行ってまいります。
続きまして、今回も前回と同様に、テレビ会議システムを活用した開催となりましたので、何点かお願いを御説明させていただきます。
会議室にお集まりいただいている委員の皆様は、御発言される際、テレビ会議システムの設定を変更せず、会議室のマイクをオンにしてから御発言をお願いいたします。
テレビ会議システムを通じて御参加いただいている委員の方は、会議中はカメラをオンにしたままマイクはミュートに設定をお願いいたします。御発言いただく際には、御自身でミュートを解除し、御発言が終わりましたら、再度、ミュートの設定をお願いいたします。
また、質疑の際、御発言を希望される場合、参加者一覧の箇所に手のマークの「挙手」ボタンがございますので、そちらをクリックして意思表示をお願いいたします。
また、御都合により途中退室される場合は、「ミーティングから退室」のボタンを押して御退室ください。会議中不具合等がございましたら、事前に送付させていただいております事務方の連絡先まで御連絡ください。
事務局からの説明は以上となります。
〔五十嵐分科会長〕御説明ありがとうございました。
ここまでで、何か御質問等ございますか。よろしいですか。
それでは、ヒアリングを始めたいと思います。
それでは、1番目の御説明の方、加藤様がお入りになりますので、しばらくお待ちください。
(加藤副会長入室)
〔五十嵐分科会長〕御準備よろしいですか。
〔加藤副会長〕はい、よろしくお願いいたします。
〔五十嵐分科会長〕それでは、全国たばこ販売協同組合連合会の加藤副会長から、全国にある街のたばこ小売販売店への影響について、お考えをお伺いしたいと思います。加藤副会長から御説明をいただきまして、その後で委員の皆様から御意見、御質問をいただくことになります。
では、御説明をお願いいたします。
〔加藤副会長〕御紹介いただきましたたばこ販売組合の加藤でございます。本日はヒアリングの場を設けていただきまして、誠にありがとうございます。
では、着座にてお話しさせていただきます。
本日は、プレミアムシガーに係る小売定価制度の在り方についてということで、街のたばこ屋にとっての影響やいかにということでございます。
まず、キューバ産のプレミアムシガーとか、あるいはその他の産地であっても希少性の高いプレミアムシガーといったようなものにつきましては、いわゆる街のたばこ屋で取り扱う店というのは極めて限られた店でございます。これは、プレミアムシガーをたしなまれるお客様はそもそも数が少ないということがございますし、これをもし取り扱おうと思いますと、これは品質管理が非常に大事な商品でございますので、そのための専用設備が必要になってまいります。そのようなこともありまして、いわゆる街のたばこ屋において取り扱っているところは少ないというのが実態だと承知をしております。
もちろん一部、品揃え店といいますか、やはりたばこ屋をやっていて、たばこ屋の矜持といいますか、葉巻もそうですし、パイプ、紙、かぎ、いろいろなたばこがございますが、こうしたものはやっぱりたばこ屋としてしっかり扱わなければいけないという矜持を持って取り組まれている方も当然いらっしゃいます。そうしたところでは、こういうプレミアムシガーを取り扱っている店も僅かではございますが、ございます。
そういう意味で言いますと、そうした店に関して言えば、理屈だけで申し上げれば、一物一価ではなくて、一物二価、三価、場合によっては四価というようなことが起きると、対お客様という観点での混乱は、それは理屈上は生じ得るということかと思います。
ただ、冒頭申し上げましたように、極めて取扱いの店数は少ないというのが実態でございます。具体的に取り扱っている店数を今持ち合わせてはおりませんが、それが実態でございますので、トータル的に見れば、その影響は極めて限定的であるということになろうかと思います。
その上で、私ども組合としての意見といいますか、お願いといいますか、申し上げさせていただきたいと思います。
本日の財務省の資料の中にも記載が一部ございましたが、小売定価制というのは零細たばこ店の保護を目的として設けられたという経緯がございます。現在、私どものたばこ販売組合は、全国でおよそ3万人の組合員で運営をしておりますが、先生方御案内のとおり、たばこは非常に厳しい事業環境の中にございまして、廃業を余儀なくされる店も毎年毎年相次いでいるような状況がございます。そういう意味では、この制度制定当時と比べても、決して状況が良くなっているということではないと認識しておりまして、私どもといたしましては、今回のプレミアムシガーに関する取扱いが、それ以外のたばこに波及することのないようにお願い申し上げる次第でございます。
加えて申し上げますと、この小売定価制ですが、これ以外にも小売許可制という制度がございます。こうした制度は、日本のたばこ市場におきましては、零細小売店の保護という趣旨のみならず、非常に大切な社会的意義を有した制度だと思っております。
具体的には、例えば未成年者喫煙防止、未成年者といっても、今、20歳未満ということになりますが、未成年者の喫煙防止といった社会的な課題への対処のためにも非常に役立っているし、税収、たばこ税ですので、たばこ税収の適正かつ安定的な確保という観点からも、こうした制度は非常に重要な役割を果たしていると思っております。
こうした制度がきちんと徹底されることで、特に海外などでは、たまに話を聞かれることがあると思いますが、例えば密輸でありますとか、あるいは無許可販売みたいなことでありますとか、海外はあまり定価というものがないので若干考え方が違うかもしれませんが、定価外販売といいますか、密輸とも絡むのでしょうけれども、不当な廉売みたいなことでありますとか、あるいは1本売り、通常、日本なんかでもたばこは20本入りですが、これをばら売りするようなところがあるんです。これは非常に未成年者が買いやすくなるというようなこともあって、こういうのは駄目だということになっておりますが、現実にはそういうことが起こっている部分がある。
こういうことが、日本の場合、いろいろなたばこにまつわる制度が徹底されていることによって、こういう問題が、あまり耳にすることはないと思います。たばこというのはほかの商材と違いまして、喫煙と健康の観点でありますとか、あるいは未成年者喫煙の問題、さらには財政物資としての位置付けなど、極めてユニークな性格を持った商品であると思っております。そしてまた、大変議論の多い商品でございます。であるがゆえに、こうしたたばこにまつわる様々な制度、これによって秩序のあるたばこ市場が形成されること、このことの重要性というのは極めて高いと私ども思っております。
繰り返しになりますが、今回のプレミアムシガーに対する取扱いということにつきまして、これはあくまで特別な取扱いであって、その他のたばこの小売価格の取扱い、あるいは現行の各種たばこにまつわる制度、こうしたものに影響を及ぼすことがないように、重ねてお願いを申し上げまして、私どもたばこ販売組合としての御意見とさせていただきます。
ありがとうございました。
〔五十嵐分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、御説明につきまして、何か御質問、御意見ございましたらお願いしたいと思います。よろしいですか。
それでは、特段の御質問、御意見はないようですので、加藤副会長、どうもありがとうございました。ここで御退席いただきたいと思います。
〔加藤副会長〕どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
(加藤副会長退室)
〔五十嵐分科会長〕それでは、次の説明者、藤原執行役員にお入りいただきたいと思います。
(藤原執行役員入室)
〔五十嵐分科会長〕続きまして、日本たばこ産業株式会社藤原執行役員から、我が国におけるたばこ製造に与える影響について、お考えをお伺いしたいと思います。
御準備よろしいですか。
〔藤原執行役員〕はい。
〔五十嵐分科会長〕それでは、御説明をお願いいたします。
〔藤原執行役員〕ただいま御紹介いただきました藤原でございます。
今般、財務省からいただきましたプレミアムシガーに関わる小売定価制度の在り方というのを拝見しまして、私どもとして意見を述べさせていただきます。
まず、今回御提示いただきましたプレミアムシガーに関する議論につきましては、私どもJTグループとしては、該当するプレミアムシガーを取り扱っていないということから、基本的に意見を述べる立場にはないものと認識をしているところでございます。
ただし、国内のたばこ市場に関わる、私どもの立場からしますと、プレミアムシガーは販売代金ベースで国内たばこ市場の約0.03%程度という形となってございまして、国内のたばこを吸われるお客様への影響というものは極めて限定的と私ども考えていることから、JTグループとしては、基本的に今回の提案に関しまして、異論はございません。
国内のたばこ市場は、御存じのとおり、紙巻たばこと加熱式たばこと言われるものが販売代金ベースで市場全体の約96%を占めている状況でございます。紙巻たばこと加熱式たばこの供給という部分に関しましては、国産品は全て私どもJTグループが、輸入品に関しましては、大宗をフィリップモリスジャパン様、それとブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン様が供給をしてございます。こちらは、それぞれ各社が確固たる供給体制を有してございますので、プレミアムシガーで発生しているような今般の事情というものは起こり得ないと考えているところでございます。
そのほかの、パイプたばこなど、いわゆる特殊たばこと言われるものにつきましては、基本的には1つの製造元に対して、1つの特定販売業者様が市場供給を担ってございます。ですので、今回の議題となっておりますような、プレミアムシガーにおけるような事情というものは起き得ないと、私どもでは承知をしております。
私どもとしましては、たとえ高額であっても、それを入手して、喫煙を望まれるお客様が存在し、独自のルートで国内に輸入をしてまでも取り扱うだけの需要がある商品というのは、たばこにおいてはプレミアムシガーのみではないかと考えているところでございます。よって、今般の小売定価制度の見直しについて議論される範囲というものは、プレミアムシガーについてのみと限定されることで十分ではないかと考えている所存でございます。
また、私どもとしては、今回提示された案が、たばこ事業法における定価制度上の特例を定めるものと理解しているところでございます。小売定価制につきましては、専売改革当時におきまして、定価制を廃止した場合、一部の小売店における廉売が行われ、零細小売店が大きな打撃を被るなどの深刻な社会問題を巻き起こすようなおそれがあるために、この激変を回避するという観点から、当分の間、専売制が施行されていたときと同様に定価制をとるものとされたと理解しております。
現在におきましても、零細の小売店は数多く存在するために、この定価制そのものというのは、本来、先ほどの専売制当時にあった趣旨に照らして、当面の間、維持されるものと認識してございます。
加えて、この定価制度が存在することにより、不当廉売が起きず、安価に購入しづらいという観点では、20歳未満の喫煙防止というものにも寄与していると考えてございます。
また、一物一価という形で、全ての銘柄の値段が、誰にでも明らかであるというところからしまして、安価なまがいものが流通するようなことがない、不正品の流通の抑止と、その結果として、安定的な税収確保にも寄与しているものと考えております。
よって、先ほど申し上げましたような、専売改革当初の意義以外にも、小売定価制度が果たす役割は極めて大きいものと、私どもとしては考えているところでございます。
このような点から、今回の政令改正による措置につきましては、あくまでも小売定価制度の存続を前提とした上で、プレミアムシガーに限ることとして、その他のたばこ製品には拡大すべきものではないと私ども考えてございますので、その点何とぞ御理解いただければと思っております。
以上、私から意見を申し上げさせていただきました。ありがとうございます。
〔五十嵐分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問ありましたらお願いいたします。よろしいですか。
それでは、どうもありがとうございました。藤原執行役員には、ここで御退席いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
〔藤原執行役員〕ありがとうございました。失礼します。
(藤原執行役員退室)
〔五十嵐分科会長〕それでは、3番目の御意見を拝聴したいと思います。川村代表理事、どうぞお入りください。
(川村代表理事入室)
〔五十嵐分科会長〕それでは、愛煙家の立場として一般社団法人グローカル政策研究所川村代表理事から、現在の小売定価制度を維持するのが良いか、それとも、特定販売業者ごとに仕入価格に応じた定価を設定する制度に見直しするのが良いか、消費者としてどのようなお考えをお持ちなのかをお伺いしたいと思います。
御準備よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
〔川村代表理事〕御無沙汰しておりますといいますか、妙な気持ちですが、今日は、いただきました話題で、プレミアムシガーの流通というか、小売定価制度との絡み、どうかということで物申せということで、若干卑見を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、大きな前提といたしまして、私、プレミアムシガーというものと通常、日常的に吸っているたばこというものは、別物というような認識のほうが良いのではないかというのが、まず率直な印象であります。と申しますのは、プレミアムシガーというのは断然高級感がありますし、当然値段も高いわけであります。吸うというよりも、ふかしたり、くゆらすというのでしょうか、そういう性格のもので、通常のたばこですと1本吸うのに、個人差はありますが、大体2、3分からせいぜい数分、それで喫煙室から出てというようなことで終わるわけですが、プレミアムシガーの場合というのは、いわゆるくゆらす、1本に相当時間かかります。途中で消して、また後でみたいなこともあるわけでありまして、こう言うと語弊があるかもしれませんが、たばこを、どうでしょう、チューハイとか、あるいは発泡酒みたいなものだとすると、プレミアムシガーというのはかなり高級なブランデーだというような、あるいは超レアなモルトウイスキーみたいな、そんなイメージではないかと思います。したがって、たばこというのは1日、これまた個人差があるのですが、10本だ20本だ、人によっては30本だという非常に不健康な吸い方を恒常的にするわけでありまして、習慣性があるわけですが、プレミアムシガーをそんなに吸う人はもちろんいないわけで、せいぜい1、2本か。たばこ1本ということで考えると、値段的にも20円か30円、大分上がってきて、その程度でありますが、プレミアムシガーですと何千円というか何万円という、価格が2桁違う世界でありますので、そういうふうになると思います。
国内のたばこ全体の消費額というのは随分減ってきましたが、そうはいっても相当な兆円単位の額になります。最近で4兆ちょっとでしょうか。ところが、プレミアムシガーの場合は、直感的にその何百分の一、せいぜい100億とか200億のオーダーではないかと考えるわけでありまして、一方、税の負担率で考えますと、グラム当たり15円ちょっとだったということだと思いますが、当然プレミアムシガーだって何十キロあるわけではないので、その重さに対してというか、1本当たりの税の負担というのは、たばこに比べると大変低くなっていると思います。
このように、たばこというのは大量販売・大量消費の下に、物流と消費者の保護を図りながら、相応の財源を確保するという、そこからの流通制度でありますが、これに対しまして、プレミアムシガーの場合は、高価で、流通量も少ないですし、複雑性、個別性も大変高い。この両者を全く同じと考える必要はないのではないかと思うわけであります。
現状、たばこの流通に関しましては、業者ごと及びその品目ごとに、1つの小売定価を定めて、財務大臣の認可を受ける、これが法律上の義務になっていて、言ってみれば制度的な一物一価が徹底されている制度だと思います。
さらに、これまた小売定価、釈迦に説法でありますが、競合するような場合には、政令で大変複雑な手続が定められておりまして、特に、たばこ事業等分科会の定価等部会に諮らなければいけないという、非常に時間がかかり面倒だということが現状の制度だと思います。
何度も申し上げますように、プレミアムシガーというのは流通販路が非常に限定的で、通常の紙たばこ等とは異なっていると理解すべきですし、また、たばこと比べて、商品特性、価格、消費量等が極端に違う、大きく異なる。消費実態も、例えばたばこは喫煙所だとか、別室だとか、吸える空間でありますが、プレミアムシガーはシガーバーだとか、極めて限られたところ、また、吸うシチュエーションも違います。たばこはストレスでちょっと昼休みに吸いに行くとか、昼休みにプレミアムシガーを吸う人はほとんどいないと思います。
したがいまして、たばこのように制度的に厳密な、全国的な一物一価というものを維持する必要性には乏しいと思いますし、現行制度を一部緩和して、つまり、必ずしもたばこに適用されている、あるいは現在もプレミアムシガーに適用されている小売定価制というものにはなじまないのではないかと思いますものですから、具体的には、財務大臣の認可は存置しつつ、政令の縛りを解除して、1つの品目について輸入事業者ごとに1つの、それぞれの小売定価を定めるということを可能にしまして、この分科会の定価等部会における意見聴取を不要にしていいのではないか、かように考える次第であります。
以上であります。
〔五十嵐分科会長〕御意見どうもありがとうございました。
それでは、何か御質問等ございましたらお願いしたいと思います。よろしいですか。
それでは、川村代表理事、ありがとうございました。
〔川村代表理事〕どうも失礼いたしました。
〔五十嵐分科会長〕御退席をお願いいたします。
(川村代表理事退室)
〔五十嵐分科会長〕続きまして、次の御説明はテレビ会議システムを通じての御参加になります。説明者がテレビ会議システムに入室をいたしますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
(齋藤マネージャー入室)
〔五十嵐分科会長〕齋藤マネージャー、聞こえますか。
〔齋藤マネージャー〕はい、シガーバーシャドネイの齋藤です。よろしくお願いいたします。
〔五十嵐分科会長〕どうもありがとうございます。それでは、齋藤マネージャーから現在の小売定価制度や、今般の見直しにつきまして、プレミアムシガーを販売する小売販売業者として、どのようなお考えをお持ちなのかを御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〔齋藤マネージャー〕まず、状況説明になりますが、現在、日本国内のみならず、世界中でキューバ産シガーの需要割合が高くなっています。反面、キューバ本国からの出値の高騰、海外のインフレ、円安問題など、現行の定価制の価格では、並行輸入業者である特定販売業者からは、仕入れが行えなく、消費者への供給が追いついていない状況となっております。
当店のような小売販売店においては、仕入れが行えない、販売する商品がないことは死活問題でして、さらに、国内でキューバ産シガーを購入できない状況から、定価認可されていないシガーの販売や、定価を守らずに販売を行うといった違法行為も多々見受けられていることからも、現状の一定価制から、輸入業者による定価登録、多重化、定価制などの緩和化を促すことを強く希望いたします。
以上となります。
〔五十嵐分科会長〕御説明どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。よろしいですか。
〔山下委員〕それでは、質問させていただいてよろしいでしょうか。
〔五十嵐分科会長〕どうぞお願いします。
〔山下委員〕ありがとうございます。私、この世界のことはあまり詳しくないのですが、日本ですごく規制が厳しくて、入手経路が非常に限定的であるということを伺いました。危惧するというか、不思議と思っているのが、プレミアムシガーにおいて、模造品であるとかフェイクというようなものが、世界の中でどういう位置を占めているのかということでございます。今は限定的な輸入の構造をしているために、ある程度価格が限定されていることだけではなくて、模造品であるとか粗悪品であるとか密輸品であるというようなものが、防止できているということが副次的効果としてあるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。例えば諸外国で、固定価格のような制度がないところで、そういう純正のキューバ産とフェイク品が、どのような動きをしているのか、もし御存じでしたら教えていただけないでしょうか。
〔齋藤マネージャー〕フェイクに関しましては、現在の状況より以前、もう昔から、相当量出回っている状態になっています。ただ、今回の価格の問題だけではなくて、入手ができないから大量に出回っているとか、そういった問題ではなく、やはり模造品というのは多く存在しておりますので、今回の価格の問題とはまた別問題かと私は考えております。
〔山下委員〕もし入手が自由化されると、そういう正規品の入手可能性が広がるということに加えて、様々ある模造品といいますかフェイクのものも、副次的に入ってきやすくなるというようなことがありそうに思うのですが、その点については、どのようにお考えですか。
〔齋藤マネージャー〕消費者及び私たち販売店においても、相当の経験を積んでおりますので、フェイクというものがもし入ってきた場合、大体の確率で見分けることはできますので、その辺の心配もないとは思っております。
〔山下委員〕繰り返しの質問で恐縮ですが、私が念頭に置いているというかイメージとして持っているのが、シーシャなのです。あんなもの誰が吸うのかと、私の若いときには思っていたのですが、あっという間に若者の間でおしゃれなものとして普及してしまったということがあると思います。恐らく、齋藤様のような、あるいは伝統がおありになって、格式を持たれたバーみたいなところは、そういう目を持っていると思うのですが、もし自由化されて、シーシャみたいな感じで雨後の筍みたいに、たくさんの新入者が、新規のシガーバーみたいな、感じのものと一緒に出てきた場合には、正統性の概念は変化してしまうように思います。その辺はどのようにお考えですか。
〔齋藤マネージャー〕まず、特にキューバ産シガーに関しましては、やはり価格が、一般的な紙巻たばことか、そういったものに比べて、数倍の値段がする状況になっておりますので、例えば、新規参入で販売を行うところが増えたとしても、消費者のほうが判断できる状況だと思っております。例えば、安いからといって、フェイクを取り扱っているお店というのは、消費者のほうが離れていく状況になりますので、そういったお店自体も存続はしないと考えております。
〔山下委員〕ありがとうございます。聞きたいことはいっぱいあるのですが、私ばかりになると申し訳ないので、ここで置かせていただきます。ありがとうございます。
〔五十嵐分科会長〕どうもありがとうございます。
それでは、宮島委員、お願いいたします。
〔宮島委員〕日本テレビの宮島です。よろしくお願いいたします。
先ほどのお話の中で、まずは今のままですと十分に消費者に届かないということは非常に問題だと私も考えております。現状、今、違法行為も出ているとおっしゃったのですが、具体的に違法行為にどんなものがあるのか、シンプルに駄目なのに輸入しているという以外に何か、幾つか、違法行為にバラエティーがあるのかということと、違法行為の規模感といいますか、どのぐらい、現状出回っていると思われるのかということを教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〔齋藤マネージャー〕大手とか、そういった部分で違法行為をやっているところはないとは思いますが、個人だったりとか、個人店でのバーとかそういった飲食店ですか、そちらのほうが例えば海外、特にキューバに行って買い付けをして、それをそのまま持ち込んで、日本の場合、定価制、認可を受けないと販売できないものを、まだ認可されてない葉巻を個人とかお店独自の値付けをして、消費者に販売をしているという現状はあります。
また、見受けられるという、東京だけではなくて、やはり全国的にそういったお店というのは、よく耳にする状況ですが、店名まではやはり出せないので、この辺で御了承いただければ。
〔宮島委員〕分かりました。そこそこ全国的に見聞きできる状況にあるということですね。
〔齋藤マネージャー〕はい。
〔宮島委員〕ありがとうございます。
〔五十嵐分科会長〕どうもありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
どうぞ、安藤委員、お願いします。
〔安藤委員〕御説明ありがとうございました。輸入業者による定価登録という話がありました。輸入業者というのは、複数あって、互いに競い合っているような構造になっているのでしょうか。1つの国のものが、1つの業者によって輸入されているということになるのか、それとも、複数の業者が競い合っているかどうか、その辺りの業界の構造を教えていただければと思います。
〔齋藤マネージャー〕1つの業者が1ブランドの輸入というところもありますが、キューバ産シガーに関しましては、1社独占ではなく、複数の輸入業者が輸入している状況ですが、ただ、それを競い合っているまではいかない状況だと思います。
〔安藤委員〕ありがとうございました。
〔五十嵐分科会長〕よろしいですか。
それでは、東條委員、お願いします。
〔東條委員〕御説明ありがとうございました。東條です。
私、競争政策が専門で、先ほどから何人かの委員の方が御質問されているように、市場の状況はすごく関心があるのですが、これまで明らかになったこと以外で考えると、諸外国と日本の市場を比較したときに、プレミアムシガーの価格帯というのは、やはり日本のほうが高止まりをしている状況というのは、長年観察されているのかどうか。流通経路は複数の事業者が輸入をしているということは今伺いましたので、価格はどんな状況にあるのか、内外の価格差の問題を簡単に御説明いただければと思うのですが、日本の市場においては小売価格はかなり高止まりをしているのかどうかということを教えてください。
〔齋藤マネージャー〕今の日本の定価ですと、海外の価格の物によっては半分以下の状況になっているものもありますし、逆に、大体日本の定価と同じもの、同じ価格帯というものになっております。
ただ、同じような価格帯のものを輸入した場合、やはりそれぞれのコストとか、税金とか、そういった部分を含めますと、販売する時点ではもう既に海外の価格を超えている状況となっています。
〔東條委員〕今のお答えですと、要するに日本の価格のほうが、諸外国のマーケットの価格よりも、安い場合も結構あるということですか、銘柄によっては。
〔齋藤マネージャー〕キューバ産に関しましては、ほぼ安い状況になっています。
〔東條委員〕ありがとうございました。
〔五十嵐分科会長〕ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
もし追加で御質問等ございましたら、事務局までお寄せいただきたいと思います。
それでは、齋藤マネージャー、どうもありがとうございました。ここで御退席をいただきたいと思います。お忙しいところ、御説明をいただきまして、ありがとうございました。
〔齋藤マネージャー〕ありがとうございます。
(齋藤マネージャー退室)
〔五十嵐分科会長〕続きまして、中根マネージングダイレクターに御入室をいただきたいと思います。
(中根マネージングダイレクター入室)
〔五十嵐分科会長〕それでは、続きまして、キューバ産プレミアムシガーを輸入されている特定販売業者である、タン・タバコ・ジャパン合同会社中根マネージングダイレクターから、プレミアムシガーについて、現在の小売定価制度を維持するのが良いか、それとも、特定販売業者ごとに仕入価格に応じた定価を設定する制度に見直しするかについて、お考えをいただきたいと思います。御準備よろしいですか。
〔中根マネージングダイレクター〕はい、ありがとうございます。
〔五十嵐分科会長〕それでは、お願いいたします。
〔中根マネージングダイレクター〕おはようございます。本日はどうもありがとうございます。私、少し声がかれてしまっているものですから、社員の者に原稿を代読させていただきまして、その後質疑応答に関してはできるだけ私直接、御回答差し上げたいと思っております。お付き合いのほどよろしくお願いいたします。
〔代読者〕では、代読させていただきます。
議題に対する弊社の見解を申し上げます。弊社の結論から先に申し上げます。
プレミアムシガー製品の特性と現状のマーケットの観点から、現状の小売定価制度はプレミアムシガーに完全に適応するものとは言い難く、何らかの変更、政令の設置によって改善の余地があることに同意いたします。
一方で、特定販売業者ごとに仕入価格に応じた定価を設置する制度に見直すという案に関しては、現状、根本のたばこ事業法はそのままに、政令にて変更し得る最大限の方法であると理解しつつも、これだけでは抜本的な解決には至らないこと、実施、施行された場合のマーケットにおける混乱も見込まれることから、決定、施行には慎重であるべきだという考えです。
一でも二でもなくプレミアムシガーにおける定価制の完全撤廃が理想です。ただし、供給不足という問題に関しては、定価を自由化にしたところで、供給が安定する確証はないというのが前提です。
その根拠について、いただいた資料を基に幾つか申し上げます。
資料1ページ目、「葉巻たばこを巡る事情について」のページにおいての考察に関しましては、おおむね見解は一致いたします。
資料2ページ目、「葉巻たばこを巡る事情について(参考)」に関しましては、この定義づけはもっと明確であるべきであると考えます。製品の登録を受け付ける財務省側と業者側、ひいては消費者側から見ても、共通する一定の認識を確立できない限り、プレミアムシガーのみという区別ができないと理解しています。
資料3ページ目、「葉巻たばこを巡る事情について(参考)」にあります「1.主なプレミアムシガー生産国からの我が国の葉巻たばこの輸入量」に関してです。これは税関統計の数字であると理解しております。この統計は、実行関税率表上の品目コード240210000のカテゴリー、葉巻たばこ、シガリロをベースに、国番号321、キューバの指定で抽出されているものと推察いたします。これらの統計がプレミアムシガーのものだけであるか、いま一度御確認をいただけたらと思います。
議題そのものの根拠を示すはずの数字ですし、もし法令によって何らかの変更がなされた場合、その後の輸入の増減を確認し、効果の検証を行う必要があるものと理解しております。この数字が確実である証明ができて初めて、現状、我が国における供給不足の実態が分かるものと認識しております。
この数字が純粋にプレミアムシガーを指すものという前提だったとして、では何が現状の商品不足の最大の要因かと申し上げますと、一番の要因は、定価法そのものではなく、国内における製品の需要が、観光客を含め増大していることと、キューバにおける製品の製造の減少が最大要因であるというのが弊社の見解です。2021年には弊社の輸入量も著しく減少しているのは事実ですが、それは輸入価格や小売価格によるものではございませんでした。また、2021年以降は、年々輸入実績は上がっています。弊社の輸入実績と連動いたします。根本の理由であるキューバにおける生産量が増えれば、輸入も増えますし、そうでなければ減ります。
2の「キューバ産葉巻等の値上がり状況」に関しては、弊社以外、他社に関しての資料は持ちませんが、弊社における輸入価格が大きく上がっている見解で一致いたします。
4ページ目、「現行の小売定価制度」に関しては、プレミアムシガーの現状の特徴に関しては、プレミアムシガーの特徴内に「高価格で流通量が少ないため、廉売競争が生じにくい」とありますが、需要よりも供給が大きい、または、大体イコールのブランドや製品に関しては、廉売競争は十分に起こり得ると思います。キューバ産であっても需要と供給が逆転すれば当然廉売競争も起こり得るのがマーケットの当然の原理であり、ここで断言できるものではないと感じます。実際、10年前までは、インターネットによる個人輸入代行業を名のる企業がキューバ葉巻の廉売を行い、国内のマーケットで大きなシェアを占めておりました。
5ページ目は、具体的な定価制の見直しについての内容です。定価法自体は残したまま、1つの品目について輸入業者ごとに1つの小売定価を定めた場合、弊社としては、以下の事態を想定いたします。
一、1つの製品に対する定価が乱立し、それに対する小売販売店や出張販売店の帳簿義務が煩雑になり過ぎる。1製品に対し数百という定価が乱立する可能性もある。
二、プレミアムシガーは箱ではなく、ばら売りすることが一般的だが、箱がない状態で販売された場合、消費者から見たら、輸入業者の判別はつかず、定価の根拠となるものがない。
三、現在、特定販売業の申請は、小売免許とは違い、法人個人にかかわらず誰でも登録できる状態であるため、人気の製品に関しては、安易な輸入と卸売が増える可能性と、それに伴う高価な製品の偽物が市場に出回るリスク。
四、キューバ産に限って言えば、限られた製造量の希少でハイブランドの製品の買い付け競争が、さらなる輸入価格の上昇を招き、そのため国内定価の高騰を招くおそれ、それにより、消費者離れにより、むしろ輸入の減少を招く結果も起こり得る。
以上です。
キューバ産シガーの供給状況は長年にわたりドラマチックに移り変わっており、現況もまた、過渡期的なものと捉えております。定価制の変更に関しては、一度決定されれば半恒久的に、今後の我が国におけるプレミアムシガー市場に影響をしてくる要素と考え、何とぞ慎重な検証を基に、消費者、小売店、輸入業者、総合的な視点からの御決定をお願い申し上げます。
以上が、弊社の意見となります。ありがとうございました。
〔中根マネージングダイレクター〕ありがとうございました。
〔五十嵐分科会長〕どうもありがとうございました。
では、ただいまの御説明につきまして、御質問等ありましたらお願いいたします。
どうぞ、国松委員。
〔国松委員〕国松でございます。御説明どうもありがとうございました。
御社は他国のキューバ産葉巻の価格の情報などもお持ちではないかと思うのですが、日本はどの程度の位置に価格があるかということを御教示いただければ幸いです。
以上でございます。
〔中根マネージングダイレクター〕ありがとうございます。
キューバ葉巻においては、今までもマーケティング上で、価格を世界中で統一させるという感覚が全くなかったため、ばらつきが非常に多かったのですが、この2年間で、特にコロナが終わりまして、メーカーのほうで、プライスのマーケティングをするという通達が全世界にございます。特にハイエンドブランド、具体的に申し上げますと、コイーバ、トリニダッド、モンテクリストのリネア、ロメオリネア、つまりリネアという高級製品のブランドに関しまして、一定のプライスストラテジーというものが出ましたので、その中における、今の日本に関しましては、キューバ本国と、要は為替の具合によってしまいますので、それによって増減するにしても、15%から20%安くなってしまっているのが現状です。それ以外の葉巻に関しましては、各国自由に行っておりまして、アジア全体で言えば、同じか、物によっては少し安いものもあります。ヨーロッパ、特にスペインに比べると、少し日本のほうが高いものが多いのではないかなというふうに考えます。
〔国松委員〕どうもありがとうございました。
〔中根マネージングダイレクター〕ありがとうございます。
〔五十嵐分科会長〕御発言の中に、海外から来られた方が購入することもあるということをおっしゃっていましたけど、それは要するに、その国の値段と比べて日本だと安いので買うという、そういうことでございますか。
〔中根マネージングダイレクター〕はい。必ずしも価格によるものだけではなく、いわゆる在庫、あとは、日本は今のところ、きちんと輸入のときに管理が、ほかの国に比べるとやっぱりたばこのビジネスに対する透明性を評価されておりまして、そういった意味での偽物が少ない、これに対する信頼感というのが外国の観光客の方の購買意欲につながっているのではないかなと思われます。
〔五十嵐分科会長〕ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
〔山下委員〕それでは、山下ですけれども、質問よろしいでしょうか。
〔五十嵐分科会長〕どうぞお願いします。
〔山下委員〕今、偽物のお話があったんですけれど、諸外国で日本のような一物一価というような制度を持っていない国で、偽物が跋扈しているような状態があったとして、その際に消費者は、何を基準に本物とか偽物、あるいはクオリティーのシグナリングというか、そういうのはどういうふうに働いているんでしょうか。もし御存じでしたら教えていただけませんか。
〔中根マネージングダイレクター〕私どもの知る範囲で申し上げさせていただきます。偽物の見た目の判別が非常に難しいのが事実でございます。特にシガーはバンド、リングがついていることが多いんですが、これの本物の盗品の出回りですとか、そういったことがございます。あとはキューバ国内における偽物の製造、もしくはニカラグアやドミニカ共和国、別の国における偽物の製造、これが全く別物になっておりまして、キューバ国内で作られた偽物に対して本物のリングをつけられてしまった場合、消費者が判別することが非常に極めて難しい状態になっております。
ほかの国で作られた偽物に関しては、相当吸われている愛煙家の方が吸われることによって、味の判別で偽物であると。あとは、もう見るからに箱ですとかリングが偽物というものも存在しますが、これに関しては初心者の方ですと、いわゆる初めて購入された、誰かのためにお土産で購入される、こういう方にとっては判別は不可能という、要は知識というものがお持ちでない方にとっては判別不可能、知識をお持ちの方は、もう見て明らかにこれは偽物であるという判別ができる場合もございます。国によっても多種多様になりますので、今、偽物に関しては混乱を極めております。日本は国内で個人輸入されている方、よく最近は偽物が出回っていて、手元に来たのが偽物だったという情報がSNSで上げられていることも頻繁に私ども目にすることがございます。
〔山下委員〕お店のブランディングというか、昔からあるシガーバーというようなオーソリティーということで、このお店なら大丈夫だというようなタイプのシグナリングもあると思いますし、外部機関で、国の中で発達している制度みたいなものとか、幾つかクオリティーのシグナリングの制度がありそうなんですけど、もし御存じでしたら。
〔中根マネージングダイレクター〕ありがとうございます。非常にキューバ製品が人気であるため、ずっと追いかけっこをしている状態ではございますが、今、弊社、私どもアジアにおける、いわゆる代理店の一部になっております。当然アジアの一部、日本として代理店をしております。偽物が出回っていることを非常に私どもも憂えておりまして、外箱に関しましては、最近、NFCシステム、携帯電話を近づけますと、それがどこの出のものかという情報が出てくるもので、この箱に関しましては1本ずつ、葉巻はばら登録、1本当たりの単価が高いものですから、信頼できるお店で1本ずつ売って、空き箱が出た場合には、このNFCを破壊してください、破壊してから空き箱を捨ててくださいと、それによって偽物が作られることを防ぎます。また、このシールがついているものに関しては、正規代理店によって輸入が行われておりますので、本物であるということを証明いたしますというシール、ステッカーなどを行っております。
また、キューバにおいても、いわゆるハバノス、総販売元になりますが、こちらがギャランティー、ワランティーシール、ステッカーを箱に貼る、もしくはコイーバなんかだと、バンドにホログラムをつけるなど行っておりまして、あとは、それでも模造品、もしくはそのものを使い回しされてしまうことによって中身だけが偽物であるというものを防ぐためには、ホログラムですとかデザインに実は内緒で手を加えて、ディストリビューターだけにその情報が入ってくるというのもあるんですが、何といっても流通上、旧製品、新製品が混在することで、偽物を食い止める、ブランディングとして難しい追いかけっこになっております。
あとはマーケティングとして、ラ・カーサ・デル・ハバノ、コイーバ・アトモスフィアというハバノス直接のフランチャイズのお店、こちらに関する品質保証、もしくは正規代理店によるハバノススペシャリスト、ハバノスポイントという、いわゆる正規品が置いてありますというマーケティングなどは行っておりますが、それ以外に関しては、先ほど申し上げました、何をやっても追いかけっこになっているというのが実情です。
〔五十嵐分科会長〕ありがとうございます。
では、東條委員、お願いします。
〔東條委員〕御説明ありがとうございました。先ほどプレゼンテーションの中で、抜本的な解決というのは、もう定価制の撤廃だと。それと比較したときに、事業者ごとの定価制を維持するという政令改正で対応する場合には、場合によっては百を超えるような定価が並立するということになると。
この2つを比較した場合に、御説明の中で小売店の帳簿管理上の負担というお話がありましたが、それ以外の部分ではどういう違いがあるかというのを、もう少し詳しく説明いただけますでしょうか。
〔中根マネージングダイレクター〕その数百というドラマチックな数字を私が申し上げさせていただいたことには、まず事情がございます。1つの製品に関しましても、この文書にもございました、いわゆるビンテージの製品、ワインですとかウイスキーと同じような製品が存在するという記載がございましたが、これは非常にポイントになるかなと思います。つまり、ワインと比較したときに、ワインですとビンテージというのは、製造者のほうで既に意識してマーケティングされているものと理解しております。ですのでビンテージが存在し、その価格、価値というものを作り手のほうで保証するという、これがビンテージ。キューバ葉巻に関しては、そういったことは一切ございません。
と申し上げるのも、ハバノス、販売元自体が、経年によるビンテージ化というものはオフィシャルでは認めていないという姿勢を取っております。これはあくまでも消費者、もしくは小売店側、特にイギリス、何でもビンテージというものに対して文化が非常に深くいらっしゃるお国柄、そういったカルチャーから来ておりまして、愛好家の中でビンテージ化する、つまり経年させる、それに価値を見いだすということでいうと、製造元のほうがそれを意識して作っているものではないものですから、消費者側もしくは輸入元が価値を見いだす、自分たちで価値を見いだすということで言うと、要は、例えば1つの製品が、5年経つとビンテージ化なのか、10年経つとビンテージ化なのか、3年でもビンテージ化なのかというのは買う側の価値観によって変わってきます。また、輸入する側の価値観によって変わってくると思います。
そういたしますと、小売店から言い値で、これは2010年のものである、2024年のものである、これは価値が違うものだからこの価格だったらどうだという交渉が、輸入元と、それに売る立場の者との間で交渉が行われ、毎回毎回多分輸入価格が変わってくる。これを別の製品として、同じ製品だけども2010年、下手すると2010年の1月と2010年の5月ではまた価値が違うという価値基準というのは、あくまでも消費者がつけるものということになってきますと、同じ商品で年代によって別製品と捉える、なぜならインボイスが違うからという理由で、1業者が1製品を別の商品として別の定価で幾つでもつけられるというシステムが出来上がってしまった場合、1製品に関して数百の定価が乱立する、この可能性について、機会をいただいたので御説明申し上げました。
〔五十嵐分科会長〕よろしいですか。ほかはいかがでしょうか。
〔東條委員〕今の話から。
〔五十嵐分科会長〕どうぞ。
〔東條委員〕そうすると、定価制を撤廃しても、輸入業者側あるいは小売店側のビンテージ化というのは、もちろんブランディングなので、回避はできないわけですよね。そうすると、規制サイドから言うと数百の定価というのは管理可能性の観点から問題だというのは良く分かるんですけれども、マーケットということから言うと、事業者ごとの定価制と定価制をそもそも撤廃するというのは、ほぼほぼ変わりはないというふうに考えていいんですか。
〔中根マネージングダイレクター〕すみません、確認で、おっしゃることは消費者側の視点としてということでしょうか。
〔東條委員〕はい。
〔中根マネージングダイレクター〕消費者側の視点で言えば、例えば本来ビンテージ製品というのは、交渉というものが存在するかなと思うんですね。つまり、ワインでいうと1製品、人気が上がれば値段が上がります。同じ製品、例えば原価が一緒で仕入れたものを、これは価値が上がったので今すぐ値段を上げる、今もう飽和しているので価値を下げる、もしくは、ここに関しては葉巻とワイン、非常に似ていると思うんですけれども、いわゆる湿度管理、商品のクオリティー管理によって、ワインもそうだと思いますが、1回ちょっと温度が上がり過ぎてしまったので、商品のクオリティーとしての価値が下がったので安くできます、もしくは高く売ります、需要供給と、あとはクオリティーの問題で価値が上がったり下がったりするというのが定価法がないことの自由だと思うんですが、定価法がある以上、そういったことは加味されず、単純に決めた価格であることは、1商品に対して決めた価格が変わらないということが、果たしてワインと比較したときに消費者にとって公平なものかどうかということで言うと、それを公平と感じる消費者もいるかもしれませんが、お客様によっては、その価値が、今はもっと高いもの――高いものとおっしゃる消費者の方はあまりいらっしゃらないかもしれませんが、もっと本来安く売られるべきものなのではないか、このタイミングでこのクオリティーだったらというふうに考えられる方もいらっしゃるかなと。そこがちょっとワインと違う部分かなと、定価法の、その場で柔軟に価値によって変化が不可能であるというところが、ポイントとしてはまた議論の余地があるのかなというふうに考えます。
〔五十嵐分科会長〕ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
〔国松委員〕どうもありがとうございます。先ほど私の質問にお答えいただいたハイエンドブランドの価格ストラテジーについて、1点確認させていただきたいのですが、これはメーカー側が再販売価格を指定して、それに外れた場合には今後の取引を見合わせるといった形の圧力をかけているという理解でしょうか。
〔中根マネージングダイレクター〕ありがとうございます。まだまだ始まったばかりのストラテジーでして、今のところ具体的に圧力をかけられてコントロールされるということはないですが、この議題の根本であるコストプライスのほうが高ければ、圧力はなくても、実際のところ私どもが輸入して定価で販売することは不可能ということで、コストプライスでコントロールすることはメーカー側は可能だと思います。もうそれだったら出さない、出荷をしないよというような具体的な圧力を言葉で行うということは今のところしておりませんが、アロケーション、要は販売元がおりまして、いろいろな国にいろいろなディストリビューターがおります。そのアロケーションの具体的な方針、ミーティングで行われる方針以外に、裏で価格を守っているか守っていないかということが影響しているのかどうかというのは、これから先、私どものところで判定していくべきことかなと思います。
〔国松委員〕どうもありがとうございます。
〔中根マネージングダイレクター〕ありがとうございます。
〔五十嵐分科会長〕ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
宮島委員、どうぞお願いします。
〔宮島委員〕簡単な質問1つです。先ほど、今回の改正、慎重にすべきだという御意見の中で、今も廉売競争はあるというようなことをおっしゃったんですけれども、御提案の定価制を全部撤廃するということになった場合に、これはこれで廉売競争があり得るのではないかというポイント。さらに、先ほどからあるように、フェイクの可能性が増えるのではないかという点に関してはどのようにお考えか、もう一度確認したいと思います。よろしくお願いします。
〔中根マネージングダイレクター〕ありがとうございます。廉売競争が今もございますというふうに申し上げたのは、廉売競争そのものを否定しているわけではなく、日本においては自由な市場の下、価格競争が起こること自体は、消費者にとってもメリットですし、当然のことであると思います。そもそもいろいろな競争が行われる中で、廉売競争があったり、もしくは高いもの、貴重なものを取り合ったり、我先にと、いい価格をもって取り合ったりするのは、そもそも健全なマーケットの一つの、特に紙巻たばこというよりは、ワインですとかウイスキーに、全然違う部分があったとしても性質的に近いものであれば、そういったものを否定するつもりで廉売競争の言葉を出したつもりはございませんので、その辺りはもし誤解がございましたら申し訳ございません。
あともう一つ、フェイク品に関しましては、いずれにしても入ってくるものだとは思います。ただ一つ、税関の存在というものがございまして、税関が偽物かどうかということを見分ける知識的なもの、経験的なものをお持ちかというと、私から見ると、やっぱりなかなかそれは今のところ目をつけているものではないかなと思います。
あとは、すみません、少し話が外れるように聞こえるかもしれないですが、関税が何にかかってくるか、あとはたばこ税が何にかかってくるか。キューバから製品を持ってきたときに、当然キューバに領収書、インボイス、全てがついていて、それが正しい表記であれば正しい税収が行われると思うんですが、そうでないもの、いわゆるレシートを発行できない事情というのがキューバ側にある製品もございますので、これに関して日本に持ち込まれたときに、税関が何をもって関税もしくはたばこ税の方針を決めていくのかということは、一般論としてはもう既に存在するとは思うんですけれども、個別の税関職員による裁量が大きいものというふうに税関のほうからは聞いております。
そういったことを加味しても、フェイク品を止める、いずれにしても、定価法が完全に撤廃されても、今の案で進んだとしても、今までたばこ事業法によって健全に保たれている部分が、やっぱりちょっと事情が変わってくることによって、いずれにしても偽物が出回る可能性はどうしても、輸入する人が増えれば、その分どうしても入ってくる可能性が増えてしまうという一般論の下、いずれにしても、そういったことは事前に想定しておいて、検討する余地があるのではないかなという立場的には変わらないというのが私の見解です。
〔宮島委員〕ありがとうございます。つまり、確認ですが、価格競争と偽物の入り方に関しましては、今の事務局提案と全部定価制を撤廃するということは、差はないということですね。
〔中根マネージングダイレクター〕おっしゃるとおりです。
〔宮島委員〕ありがとうございます。
〔五十嵐分科会長〕どうもありがとうございました。いろいろなことを教えていただいたと思います。どうもありがとうございます。
それでは、ここで御質問は終了したいと思います。お忙しいところ、御説明いただきましてありがとうございました。中根マネージングダイレクターはここで退席となります。
〔中根マネージングダイレクター〕ありがとうございました。
(中根マネージングダイレクター退室)
〔五十嵐分科会長〕それでは、最後の説明者がお入りになりますので、少しお待ちいただきたいと思います。
(坂田ジェネラルマネージャー入室)
〔五十嵐分科会長〕それでは、最後になりますが、ドミニカ共和国産のプレミアムシガーのメーカーであるエッティンガー・ダビドフ社の子会社であり、特定販売業者のダビドフ・オブ・ジュネーブ・ジャパン株式会社の坂田ジェネラルマネージャーから、プレミアムシガーについて、現在の小売定価制度を維持するのが良いか、それとも特定販売業者ごとの仕入価格に応じた価格を設定する制度に見直しをするのが良いかについて、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕ダビドフ・オブ・ジュネーブ・ジャパンの坂田と申します。よろしくお願いいたします。このたびは機会をいただきましてありがとうございます。
まず、弊社の簡単な自己紹介からしたいと思います。我々ダビドフグループは、本社がスイスにありまして、ドミニカ共和国に、たばこの畑と葉巻の工場を持っております。本社の管理の下、グローバルにおいて種から消費者まで一貫して届けるという管理体制を行っております。そのため、品質と供給は十分に安定しております。ゆえに、ダビドフシガーは、単独のブランドとしてはグローバルでトップシェアを持っております。
弊社、ダビドフ・ジャパンというふうに改めますけれども、その子会社でございまして、グローバルの戦略に基づきまして日本の消費者に向けて、営業活動としては40年近く展開しております。弊社の役割としては、たばこ店とシガーバーへの卸売、及び弊社が直接運営している店舗での小売業者としての販売、そしてマーケティングになります。
それでは、本題のほうに入らせていただきます。弊社としては、規制緩和による自由競争は大いに歓迎したいと思っております。ただ、今回検討されているプレミアムシガーのみを対象とする制度変更、これについては反対の立場とさせていただきます。その理由と背景をこれから説明します。2点ほどございます。
まず1点目が、プレミアムシガー全体と、それから弊社のビジネスモデルについて、になります。この資料では、たばこ店はプレミアムシガーを扱っていないというような表現になっているかと思いますけれども、弊社では約300店のたばこ店にシガーを卸して、販売してもらっています。その販売をしていただくことによって、全国レベルで、より多くの消費者に届けることができております。その結果、弊社もたばこ店も売上げと利益を獲得できています。これが我々のビジネスモデルです。ですので、この点は再度御確認をいただきたいというふうに思います。
また、流通量に関しては、確かに紙巻たばこに比べると、流通量は相当低いですけれども、私どもの取り扱っている商品は高額な嗜好品でございます。消費者は嗜好品に対して、このシガーが価格に見合う品質と、それから味、これを提供できているかを常に、消費者に見られることになります。そして競合のシガーとも比較されます。ですので、並行輸入などを利用して、あるいは個人輸入を利用して、安価に、安く購入できるケースを探しているような消費者もいらっしゃることは事実です。ですので、嗜好品ならではの競争が存在しているというところを御認識いただきたいと思います。
2点目が、今回の議題であります特定販売業者ごとの仕入価格に応じての定価設定、これに対する影響についてです。確かに高騰した仕入価格に応じて定価を設定する場合には、それぞれの特定販売業者の利益が確保できることになりますので、これは有効だと思います。ただし一方で、並行輸入業者の話を先ほど言っていただきましたけれども、並行輸入業者においては自社流通のみで、直接販売することに重きを置き、たばこ店に卸さないなどして、かなり安い定価設定ができるような状況にもなっております。それも含めて、消費者が少しでも安く購入したいという意識、ここをうまくついて、安定して売れているシガーの小売定価を下回るような価格設定で申請をして、売上げを獲得するというようなケースが頻繁に発生することが想像されます。そのため、定価を下回る価格設定を複数の特定販売業者で進めるようなことになりますと、特定販売業者、それから小売業者にも弊害が発生するというふうに考えております。
まず、下回る価格でどんどん申請された場合に、特定販売業者にとっては、やはり価格競争になりますので、申請頻度を上げて、いろいろな負荷がかかる、事務作業に負荷がかかることになります。それから、価格競争しますので、利益率が下がってしまいます。利益率が下がることによって、弊社においても、残念ながら、たばこ店流通あるいはシガーバーへ卸さずに、自社店舗のみで展開する場合もあり得ます。なので、これは最終的には全体の流通量を下げてしまうということも懸念されます。これが特定販売業者における懸念点です。
小売販売店における懸念点ですけれども、見た目が同じ商品ながら、特定販売業者によって定価設定を変えた商品が複数店頭に並ぶということになりますので、いろいろ小売販売店において事務作業、それから説明責任などが発生します。なので、かなり負荷をかけてしまうということが想像されます。
また、価格に対する考え方ですけれども、一般的な商品のように小売販売店が最終的に提供価格を定めることができるという環境であれば、小売店においては事業運営の中で価格戦略を自社でコントロールできることになりますので、これは納得性が高いと思います。ですが、今回の御提案ですと、提案された価格設定に応じて対応することになりますので、消費者への最終提供価格を小売店で決めることができなくなります。つまり、たばこ店あるいはシガーバーにおいての事業戦略において、価格競争、価格戦略の部分に納得ができないまま運営せざるを得ないということになってしまいます。弊社は、たばこ店、あるいはシガーバーを重要な販売パートナーとして位置づけて営業させていただいておりますので、この特定販売業者ごとに仕入価格を設置することについては反対させていただくという立場になります。
それから最後にもう1点、お伝えさせてください。弊社のようなブランド企業においては、企業努力を積み重ねまして、シガーに対してブランディングをしております。そのブランディングの中で価格を設定させてもらっております。その価格に対して、並行輸入業者が下回る価格だけで、その販売戦略だけで市場を奪う、販売を奪ってしまうような行為に直面せざるを得ないことになってしまいます。たばこ製品ですので、広告ですとか販売促進で価格戦略に対抗することは難しいです。ほぼ不可能です。ですので我々も、その場合は価格戦略を取らざるを得ません。そうなると、少し先の話になるかもしれませんけれども、我々全体の事業運営に大きな影響を落としてしまい、残念ながら、日本市場に対する評価がグローバルレベルでは厳しくなってしまうということも懸念されます。その点もぜひ御理解いただけたらと思います。
以上でございます。
〔五十嵐分科会長〕どうも御意見ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明に、御質問、御意見ありましたらお願いしたいと思います。
では、まず国松委員、お願いいたします。
〔国松委員〕御説明どうもありがとうございました。御社が300店ものたばこ店に卸売をされているというのは非常に貴重な情報なので、それに関連して少しお伺いをさせていただきたい点があります。
この300店という取引先は、どのように今の店数になったのか。例えば急速に増えた時期があったのか、現在縮小傾向にあるか、維持している状況かという、店舗数、取引先数についてお伺いできればというのが1点目です。あわせまして、御社による直接小売と、たばこ店に卸されているのと、割合の推移なども教えていただければ幸いです。最後に、差し支えなければ、金額の情報も頂戴できればと思います。
以上でございます。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕承知しました。まず割合についてです。直営店と、それからシガーバー・たばこ店、これの2つに分類しますと、ほぼ50%がたばこ店とシガーバーになります。
それから、経緯でしょうか。たばこ店に広がっていくという経緯については、12年前から卸を拡大するという戦略に切り替えまして、そこから増えて、配荷店数だけで言えば、現在はほぼ上限まで達しているかもしれませんという状況です。この10年間で徐々に増えたというか、これが急速なのか徐々になのかは主観だと思いますけれども、増えてきたことは事実でございます。
それから、もう1点は何でしたっけ。
〔国松委員〕金額情報、よろしければ。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕金額ですね。
〔国松委員〕差し支えるようだったら、別に結構です。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕大丈夫です。昨年の売上げを公表しましょう。でも、これは議事録に載るんですかね。そうしましたら、小売価格に換算しまして、卸部門については卸価格で会社としては売上げを計上していますけれども、それを小売価格に換算をして、小売店、弊社直営店については小売価格で売上げを計上していますので、全てを小売価格で換算したという前提で御説明をしたいと思いますけれども、売上げは50%、50%になっています。全体の売上げでは約10億というふうに把握していただければよろしいかと思います。
〔国松委員〕どうもありがとうございました。
〔五十嵐分科会長〕そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
山下委員、手を挙げていらっしゃいますか。
〔山下委員〕こちら並行輸入業者が入ってきた場合の、広告のただ乗りというか、フリーライダー問題というのがブランド企業にはあると思うのですが、この場合、並行輸入業者の方というのは、海外で売られている御社の正規の製品を輸入してくるのか、それとももっと広範に、フェイク商品であるとかも入れてくるということもあり得るものなのか、教えていただけないでしょうか。
また、もしよければ、海外市場で、同じような、フリーライディング問題というか、並行輸入に伴うフリーライディング問題があったときに、どういう方策でそれを阻止といいますか、その問題に対応しているか、もし事例を御存じでしたら教えていただけないでしょうか。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕まず、フェイクについてです。会社の説明でもお話ししたとおり、弊社は畑からお店、店頭まで、消費者に渡るまで一貫で管理をしておりますので、フェイク商品が出回ることは、ダビドフ及び関連商品についてはほぼないというふうに認識をしております。というか、フェイク商品が堂々と流通しているようなことは、今まであまり認識はしておりません。実際にはどこかで誰かが何か作っているかもしれませんけども、それは認識はしておりません。
それから、海外における並行輸入業者の影響でしょうか。
〔山下委員〕あとその前に、ブランド企業の場合に並行輸入業者の方がいらっしゃると問題があるというお話をされたと思うのですが、並行輸入の業者が、この規制撤廃によって日本で生まれてくるとすると、その人たちはどこから商品を仕入れてくるのかという予想について教えてください。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕並行輸入の元についても、弊社は一貫管理をしておりますので、かなり流通もコントロールをしています。並行輸入は、ダビドフ及び関連商品ブランドについてはなかなか出にくいというふうに我々は認識をしております。ただ、プレミアムシガー及びシガー全体について言いますと、製造と輸入と販売と、それぞれ会社が違う場合がありますので、それぞれの会社の事情に応じて流通在庫がだぶついたりします。流通在庫がだぶつくと、安い価格で放出する場合がありますので、それを並行輸入業者が仕入れて安く流通させるということが可能であるというふうに思います。
繰り返しますけども、ダビドフにおいてこれが当てはまるかどうかというのは、かなり厳格に管理をしておりますので、なかなか当てはまりにくいことは事実だと思いますけれども、世間一般でもいろんな商材で並行輸入は出ていると思いますので、それと同じ状況かと思います。
〔山下委員〕ブランド内競争ではなくて、ブランド間にそういう問題が起こり得るというお話ですね。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕ごめんなさい、ブランド間に競争が起こるというのは、並行輸入の影響がブランド間で起きる。
〔山下委員〕ダビドフ社では管理できているんだけれども、ほかの企業ができていなかった場合に、秩序が乱れて、業界秩序が損なわれる可能性があるということですかね。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕はい、そういうことになります。
〔山下委員〕ありがとうございます。
海外の事例についてはいかがでしょうか。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕海外については、そもそも定価という概念がありませんので、まず定価に対して並行輸入が影響するということが、日本とはもう比較にならない次元になっているというふうに思います。詳しい情報までは今把握し切れておりませんけれども、定価の概念がないので影響は受けにくいという状況です。ただ、並行輸入が出回っているか出回っていないかで言いますと、ダビドフは少ないですけれども、ほかの競合ブランドについては、ヨーロッパ、アメリカにおいてもそれなりに出回っているというふうには伺っております。ただ、実際にどれぐらいで、どの程度の影響なのかということは把握し切れておりませんので、この場ではこれ以上のことはちょっと申し上げられないです。
〔山下委員〕ありがとうございました。
〔五十嵐分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、時間になりましたので、ここで質問は終わりにしたいと思います。坂田ジェネラルマネージャーにおかれましては、お忙しいところ、御説明いただきましてありがとうございました。ここで御退席いただきたいと思います。
〔坂田ジェネラルマネージャー〕ありがとうございました。
(坂田ジェネラルマネージャー退室)
〔五十嵐分科会長〕予定よりも少し遅れておりますけれども、ここで最後に何か委員の先生方、御発言ありましたら。
どうぞ、長瀬先生。
〔長瀬委員〕最後に。ヒアリングでは意見申し述べませんでしたが、例えば肺がん、あるいはCOPDにおいて、紙巻たばこが発症要因として圧倒的であるということ、これはもう世界共通の認識と言ってよろしいかと思います。ただ葉巻に関しては、これはいわゆる疫学的にも証明することが難しい。なぜならば、葉巻だけ吸っている人がどれだけオッズ比が高まるかということを見ないと分からないんですけども、シガーに関しては、いわゆるこの証明というのはできていない状況にあります。しかしながら、やはりたばこ関連製品というのは、特に呼吸器系の疾患に関しては重要な悪影響を及ぼすという認識に立ちますと、葉巻に関しましてもやはり価格は高いほうがいいだろうと、これは総論としての話です。
そしてまた、いつも申し上げておりますけれども、日本におけるたばこの消費量です、額ではありません、消費量を減らすためには、やはり価格を上げるべきだと。したがって、あくまで私の個人的な見解では、紙巻たばこが葉巻ぐらいの値段になれば、恐らく日本におけるたばこの消費量は減るだろうと。ただ、税収も上がって、かつ小売業者の方のマージンも増えればいいわけですから、そういう形を目指していければというふうに思います。総論としては、私はこの意見を申し述べるためにここにおりますので、委員長、よろしくお願いいたします。
〔五十嵐分科会長〕御意見ありがとうございました。ほかはよろしいですか。
それでは、本日の議論はここで終了したいと思います。事務局におかれましては、プレミアムシガーに関する定価制度について、本日様々な御意見いただきましたので、ヒアリング内容を踏まえまして整理・検討していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
次回の日程につきましては、調整の上、事務局から追って御連絡を差し上げます。
また、本日の会議資料につきましては、会議終了後に財務省のホームページに掲載いたします。議事録につきましても、委員の皆様の御了解をいただいた後に、同じく財務省のホームページに掲載をする予定であります。
今日の分科会、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。