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たばこ事業等分科会(令和5年4月27日開催)議事録

財政制度等審議会
たばこ事業等分科会(第45回)

令和5年4月27日
財政制度等審議会

財政制度等審議会たばこ事業等分科会(第45回)議事次第

令和5年4月27日(木)9:57~11:44

財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.秋野財務副大臣挨拶

  • 3.各委員挨拶

  • 4.分科会長互選等

    • 1分科会長互選

    • 2分科会長挨拶

    • 3分科会長代理の指名

    • 4部会の設置及び部会委員・部会長の選任

    • 5分科会の運営等

  • 5.たばこ・塩を巡る最近の諸情勢について

    ・事務局説明

    ・質疑応答

  • 6.たばこ製造業の地球温暖化対策に係る取組について

    ・事務局説明、日本たばこ産業株式会社説明

    ・質疑応答

  • 7.塩業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組について

    ・事務局説明、全国塩業懇話会説明

    ・質疑応答

  • 8.閉会

  • 配付資料

    資料1 財政制度等審議会たばこ事業等分科会名簿
    資料2-1 財政制度等審議会令(抄)(平成12年6月7日政令第275号)
    資料2-2 財政制度等審議会関係法令等
    資料3 定価等部会の設置及び同部会に付託する事項(案)
    資料4 たばこ・塩を巡る最近の諸情勢について
    資料5-1 たばこ製造業の地球温暖化対策に係る取組について
    (事務局説明資料)
    資料5-2 たばこ製造業の地球温暖化対策に係る取組について
    (日本たばこ産業株式会社説明資料)
    資料6-1 塩業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組について
    (事務局説明資料)
    資料6-2 塩業界におけるカーボンニュートラル化に向けた取組について
    (全国塩業懇話会説明資料)
  • 出席者

    分科会長

    五十嵐

    秋野財務副大臣

    齋藤理財局長

    彦谷理財局次長

    柴田理財局総務課長

    蓼沼理財局たばこ塩事業室長

    関係団体

    日本たばこ産業(株)

           小倉執行役員

           妹川執行役員

    全国塩業懇話会

           山本会長

           阿部専務理事

    委員

    安藤光義

    宮島香澄

    臨時委員

    荒谷裕子

    国松麻季

    東條吉純

    長瀬隆英

    山下裕子

午前9時57分開会

蓼沼理財局たばこ塩事業室長おはようございます。本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。定刻の時刻よりも若干早くはございますけれども、皆様方そろいましたので、ただいまから財政制度等審議会たばこ事業等分科会を開会させていただきたいと思います。
 理財局総務課たばこ塩事業室長の蓼沼でございます。よろしくお願いいたします。
 皆様方におかれましては、ご多用のところご出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は4月1日付で財務大臣より任命させていただきました委員の皆様による初会合となります。分科会長選任までの間、事務局として私が議事進行を務めさせていただきますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 本日は秋野副大臣にご出席いただいております。開催に当たり、ご挨拶を頂戴いたしたいと思います。秋野副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

秋野財務副大臣皆様、おはようございます。ただいまご指名を頂きました財務副大臣の秋野公造でございます。
 財政制度等審議会たばこ事業等分科会の委員の選任後における初会合の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 まず、皆様方には、当分科会の委員への就任をお願いしましたところ、快くお引き受けを賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
 皆様ご案内のとおり、たばこは毎年、国、地方を合わせて2兆円程度の財源を生み出しており、財政収入の観点から大変重要でございます。あわせて、葉たばこ生産は山間地や離島などにおいて重要な役割を果たしており、全国約23万の小売業も含め、地域の活性化に寄与しているものと承知をしております。
 一方で、たばこが健康に及ぼす影響についても十分な注意を払っていかなくてはなりません。二十歳未満の者の喫煙防止や健康影響に関する注意を促す観点も踏まえ、一定の規制の下で適切に販売がなされる必要があります。
 また、塩は、人が生きていく上で必要不可欠であり、代替性のない物資であることから、塩事業が持続可能な発展を遂げていくことは我が国の国民生活の安定に資するものでございます。
 本日ご出席の各方面で深いご見識をお持ちの委員の先生方から忌憚のないご意見を賜りまして、たばこ・塩行政を適切に進めてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
 今日はどうぞよろしくお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長ありがとうございました。
 今回、テレビ会議システムを活用した開催となりましたので、まずは何点かお願いをご説明させていただきます。
 会議室にお集まりいただいている委員の皆様は、ご発言される際、テレビ会議システムの設定は変更せず、会議室のマイクをオンにしてからご発言をお願いいたします。
 テレビ会議システムを通じてご参加いただいている委員の皆様は、会議中はカメラをオンにしたまま、マイクはミュートの設定をお願いいたします。ご発言いただく際にはご自身でミュートを解除し、発言が終わりましたら再度ミュートの設定をお願いいたします。
 また、質疑の際、発言を希望される場合、「参加者一覧」の箇所に手のマークの「挙手ボタン」がございますので、そちらをクリックして意思表示をお願いいたします。また、ご都合により途中退出される場合は、「ミーティングから退出」のボタンを押してご退出ください。
 お願いは以上でございます。
 なお、当分科会において開催は2年ぶりとなり、テレビ会議システムを活用した開催は不慣れな点も多く、ご不便をおかけすることもあるかもしれませんが、あらかじめご容赦いただければ幸いでございます。会議中、不具合等がございましたら、事前に送付させていただいております事務方の連絡先までご連絡ください。
 それでは、委員をご紹介させていただきます。
 4月1日付で委員にご就任いただきました皆様は資料1の名簿のとおりでございます。私からご出席の委員の皆様を名簿順にご紹介させていただきますので、各委員におかれましては一言ずつご挨拶を頂ければと存じます。
 安藤光義委員でございます。

安藤委員東京大学の安藤と申します。専門は農業経済です。よろしくお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長五十嵐隆委員でございます。

五十嵐委員成育医療研究センターの五十嵐と申します。小児科医です。どうぞよろしくお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長宮島香澄委員でございます。

宮島委員宮島香澄でございます。日本テレビの報道局で主に経済全般と社会保障などの解説委員をしております。よろしくお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長荒谷裕子委員でございます。

荒谷委員法政大学の荒谷でございます。専門は会社法と金融商品取引法でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長国松麻季委員でございます。

国松委員おはようございます。中央大学国際経営学部の国松と申します。国際経済法あるいは国際取引法などを研究いたしております。よろしくお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長東條吉純委員でございます。

東條委員おはようございます。立教大学法学部の東條吉純です。専門は国際経済法、経済法でございます。よろしくお願いします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長長瀬隆英委員でございます。

長瀬委員ここにGOLD日本委員会とありますけれども、GOLDというのはたばこ病であるCOPDを啓発する組織でありまして、そこの理事です。3月まで東大におりました。専門は呼吸器内科学ですので、たばこに関してはアンチという立場であります。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長山下裕子委員でございます。

山下委員一橋大学の山下と申します。専門はマーケティングです。昨今、ウェルビーイングやギルティ(罪の意識)のような複雑な感情について研究が出ています。そういう観点から何らか貢献できればと思って参加させていただくことにしました。よろしくお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長どうもありがとうございました。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、資料2-1にありますとおり、財政制度等審議会令第6条第4項に基づきまして、分科会長の互選を行います。
 委員の皆様から分科会長の選任につきましてご意見がございましたらお願いいたします。
 宮島委員、お願いいたします。

宮島委員ありがとうございます。私は五十嵐隆委員を推薦いたします。ずっと長いことこの分科会でもやっていただいて、議論をリードしてきてくださいました。もちろん医学的な知見ですとか、たばこに関しても様々な知見をお持ちですので、私としては最適任だと思います。推薦させていただきます。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長宮島委員、ありがとうございます。
 そのほかご意見はございますでしょうか。荒谷委員、お願いいたします。

荒谷委員私も宮島委員のご提案に賛成でございます。私も以前からこの分科会に参加させていただいておりますが、五十嵐委員はその医学における非常に豊富なご経験や幅広いご見識からずっとこの会の議論をリードされてこられましたので、分科会長としてふさわしいと思いますので、ぜひお願いしたいと思っております。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長荒谷委員、ありがとうございました。
 ほかにご意見はございますでしょうか。
 それでは、ただいま宮島委員及び荒谷委員から頂きました五十嵐隆委員を分科会長に推薦する旨のご提案につきまして、皆様、ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

蓼沼理財局たばこ塩事業室長どうもありがとうございました。委員の皆様のご了解により、五十嵐委員が分科会長に再任されることとなりました。恐縮ですが、五十嵐委員、分科会長席へお願いいたします。

(五十嵐委員、分科会長席に着席)

蓼沼理財局たばこ塩事業室長それでは、五十嵐分科会長よりご挨拶を頂戴したいと思います。なお、この後の議事は五十嵐分科会長に進めていただきます。よろしくお願いいたします。

五十嵐分科会長どうもありがとうございます。
 分科会長に選出をしていただきました成育医療研究センターの五十嵐と申します。どうぞよろしくお願いいたします。委員の先生方のご協力をぜひお願いしたいと思います。
 皆さんご存じのように、私たちは今、人新世(ヒトシンセイあるいはジンシンセイ)という、英語ではAnthropoceneの時代にあります。我が国の二酸化炭素の排出量は世界第5位で、排出量の多い上位5か国だけで世界が排出する二酸化炭素の約6割を排出していると言われています。有限である地球ですので、その中で経済成長を無限に求めるということは恐らく不可能だと思います。人の活動をどのように調節して制限し、自然環境を維持していくのか。あるいは、人自身がこうしたことについて、ただ悩むだけではなくて、やはり決断して行動するということが現在も求められている時代ではないかと思います。
 今日は、たばこあるいは塩の製造時に排出される二酸化炭素あるいはカーボン、これを今後どのように削減するかという取組についてもお話を頂けると伺っております。大変期待しているところでございます。
 この会が実りのあるたばこ事業等分科会となることを願っております。皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事を進めさせていただきます。
 まず、財政制度等審議会令第6条第6項に基づきまして、分科会長に事故があるときは、分科会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するということになっております。そこで、分科会長の代理を指名させていただきたいと思います。
 代理は引き続き安藤委員にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

安藤委員ご指名ですのでお引き受けしたいと思います。代理として業務をすることがないことを祈っております。よろしくお願いいたします。

五十嵐分科会長先のことは分かりませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、部会の設置についてです。財政制度等審議会令第7条第1項の規定によりまして、分科会は、その定めるところにより、部会を置くことができるとされています。また、第7条第6項の規定によりまして、部会の議決をもって審議会の議決とすることができるとされております。つきましては、当分科会に定価等部会を設置することにつきましてここでお諮りしたいと思います。
 それでは、定価等部会について事務局からご説明をお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長それでは、事務局より定価等部会についてご説明させていただきます。資料3、定価等部会の設置及び同部会に付託する事項(案)をご覧ください。
 定価等部会に付託する事項は5点ございます。
 第1は、たばこ事業法施行令に定める事項でございます。これは、二以上の者から製造たばこの同一の品目につきまして異なる小売定価の認可の申請が行われた場合にご審議を頂くものでございます。
 第2は、年齢識別装置を装備した自動販売機に関するものでございます。自動販売機により製造たばこを販売する場合には、年齢識別装置を装備した自動販売機によることを製造たばこ小売販売業の許可の条件としており、本分科会におきまして年齢識別装置を装備した自動販売機への該当性の判定基準が定められております。新たな機種や方式が出てきた場合などに、この基準に該当するか否かについてご審議いただくものとなっております。
 第3から第5までにつきましては、たばこ事業者及び塩事業者が行う環境問題への取組に関し、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律などに基づきまして財務大臣が是正措置を命ずる場合には、あらかじめ審議会でご意見を伺うというものでございます。
 これらはいずれも技術的審議事項でございますので、機動的に対応すべく、これまでも定価等部会に付託してきたものでございます。
 以上でございます。

五十嵐分科会長ご説明、どうもありがとうございました。
 では、定価等部会を設置し、定価等部会の議決をもって当分科会の議決とすることについて、ご異議等ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

五十嵐分科会長ありがとうございます。それでは、そのようにしたいと思います。定価等部会を設置いたします。
 続きまして、財政制度等審議会令第7条第2項及び第3項に基づきまして、部会に属すべき委員等、それと、部会長につきましては分科会長が指名することとされておりますので、私のほうから指名をさせていただきます。
 まず、定価等部会につきましては安藤委員、荒谷委員、国松委員にお願いしたいと存じます。また、定価等部会の部会長につきましては引き続き安藤委員にお願いをしたいと思います。

安藤委員ご指名ですのでお引き受けしたいと思います。よろしくお願いいたします。

荒谷委員荒谷ですが、ご指名いただきましたので承りたいと存じます。よろしくお願いいたします。

国松委員国松でございます。ご指名、ありがとうございます。承ります。

五十嵐分科会長委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 続きまして、分科会の運営についてですが、分科会の招集、議事の公開など、資料2-2の関係法令に従いまして運営を行ってまいりたいと存じます。また、関係法令以外の議事の手続、その他分科会の運営については私にご一任を願えればと存じます。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

五十嵐分科会長ありがとうございます。
 それでは、次の議事に進みたいと思います。資料4をご覧ください。たばこ・塩を巡る最近の諸情勢について、事務局からご説明をお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長それでは、事務局より説明させていただきます。資料4、たばこ・塩を巡る最近の諸情勢についてでございます。
 1ページ目、たばこ事業法制の全体像でございます。たばこ事業法は、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的としてございます。我が国たばこ産業の健全な発展という観点から、国産葉たばこ全量買取ということは非常に重要な課題となっており、日本たばこ産業株式会社(JT)に国産葉たばこ全量買取を実質的に義務付けるとともに、国内製造たばこの製造独占権を付与してございます。また、その適切な業務を担保するため、政府は株式を保有することとなっております。さらに、製造独占の弊害を防止するという観点から小売定価の認可制が定められてございまして、こうした枠組みにより我が国のたばこ事業法制が構成されているところでございます。
 2ページ目、たばこ事業の全体像について記してございます。国内で生産された葉たばこ、また輸入された葉たばこを用いて国内でJTがたばこを製造しており、それが小売販売店に卸されております。一方、別の商流もございまして、フィリップモリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコといった会社が主要企業でございますが、海外で生産されたたばこを輸入し、これもまた小売販売店で販売されるといった商流となっております。
 3ページ目、製造たばこの種類について記してございます。製造たばこは大きく分けて、吸う(喫煙)用、かみ用、かぎ用のたばこに分類されております。そのうち、吸う用のたばこにつきましては5種類に分類されてございますが、その中で主要な品目としましては紙巻たばこ、加熱式たばこがございます。また、銘柄例のところに記載しておるように、葉巻たばこが価格帯が非常に高く独特の市場を形成しております。この葉巻たばこは現在供給不安が起きておりますので、後ほど最近のトピックとしてご紹介させていただきます。
 4ページ目、葉たばこ農家の作付面積、戸数等の推移でございます。葉たばこ農家の作付面積、農家戸数、生産額は、昭和60年の専売制廃止以降の数字を記載しておりますが、いずれも減少傾向が継続しております。一方で、1戸当たり生産額は農地の集約等の生産効率化により増加傾向にございまして、依然として地域において重要な作物となっております。
 5ページ目、JTについてでございます。JT法に基づき、政府は発行済株式総数の3分の1超を保有することとされております。JTの売上収益は約2.6兆円ですが、このうちたばこ事業が約9割を占めております。右下、クラスター別の売上収益でございますが、日本を含むアジア圏に比しまして西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、中近東、トルコ、そのような地域の売上収益が大きくなっていることが近年の特徴でございます。
 6ページ目、製造たばこの販売数量の推移と主な銘柄の価格でございます。我が国の製造たばこの販売数量は、平成8年度においては3,500億本を臨む程度でありましたが、以降減少傾向が続いており、令和3年度においては1,500億本程度となっております。一方で平成29年度からデータを示しておりますが、加熱式たばこについては近年拡大傾向にございまして、もともと平成29年度においては15%程度のシェアでありましたが、直近、令和3年度では30%まで拡大している傾向にあります。
 7ページ目、たばこ小売店数の推移等でございます。専売制度廃止以降、昭和60年度以降平成13年度まで増加傾向にありましたが、以降は減少傾向で、令和3年度においては23万店程度となっております。営業形態としましては、コンビニの割合が26.7%と最も高く、たばこ専業店におきましては12.7%という水準になっております。
 8ページ目、たばこ販売に係る年齢識別についてでございます。たばこを販売する際、二十歳未満の者に、自用に供するものであることを知って販売した場合には罰則がありますので、たばこを販売する場合には年齢確認が必要となっております。これはたばこを自動販売機で販売する場合も同様で、定価等部会で基準を満たすものとして判定を受けた年齢識別装置としてタスポカード、運転免許証・マイナンバーカード方式を記載してございますが、こうした装置を搭載した自動販売機で販売することとされております。なお、タスポカード方式につきましては令和8年3月末をもって終了することとなっており、今後は運転免許証・マイナンバーカード方式による年齢識別が中心になると想定されます。
 9ページ目、注意文言表示規制及び広告規制についてでございます。たばこを販売する際、喫煙と健康の関係に関する注意文言のパッケージへの表示を義務付けております。表示面積につきましては、令和元年に見直し、30%から50%に拡大しました。その文言の内容も、他者への影響に関する文言、また、二十歳未満の者の喫煙防止に関する文言を記載し、規制の強化を図ってきております。また、広告の規制につきましても、財務大臣による指針を示しており、これに示した範囲で広告をしていただいております。これに従わない場合は勧告をし、さらに従わない場合はその旨を公表するという矯正的措置が図られております。例えばテレビ、ラジオ等における広告は、二十歳以上の者のみを対象とすることが技術的に可能な場合を除き、行わないということが定められております。一方、業界の自主規準としまして、日本たばこ協会において、広告指針を上回る規制を設けていただいており、テレビ、ラジオ等での製品広告は、これを一切行わないという、より厳しい規制の下、広告がなされているところでございます。
 10ページ目、国際規制の動向についてでございます。先ほどの注意文言表示、広告といった規制の内容につきましては、WHOに置かれていますたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)に基づいて定めております。日本は2004年6月に条約を締結しております。直近では2021年11月に第9回締約国会議が開催されており、本年11月にはパナマで第10回会合が開催される予定であります。議題は未定となっておりますが、想定される内容としましては、国境を越える、すなわちSNS等上でのたばこの広告の在り方や、新興たばこ(加熱式たばこ・電子たばこ)の規制の在り方等が議論されるのではないかと想定されます。
 11ページ目、健康増進法の一部改正についてでございます。所管は厚生労働省でございますが、たばこを取り巻く環境として重要な事項でございますのでご紹介させていただきます。オリンピックイヤーでありました令和2年4月1日より改正健康増進法が全面施行されており、望まない受動喫煙の防止を図ることが徹底されております。例えば第一種施設は、この財務省の建物も当てはまりますところ、敷地内禁煙とした上で、屋外で一定の措置が取られた場所には喫煙設備を設置することができるとなっており、屋内は全面禁煙とされております。また、第二種施設、一般の飲食店等におきましても喫煙専用室を設けまして、屋内ではそこでのみ吸えるという取扱いがなされており、たばこを喫煙しない者が誤って入室して煙を吸うということがないよう、望まない受動喫煙の防止を図ることが徹底されております。
 12ページ目、喫煙者率についてでございます。こちらも厚生労働省で調査を行っており、令和2年、3年はコロナの影響により調査を中止しておりますため、令和元年が直近の数字となっております。我が国の喫煙者率は一貫して減少しており、直近では16.7%となっております。また、出典元は違いますが、諸外国の喫煙者率も載せており、G7とロシアを記載しておりますが、先進国と比べても日本は決して喫煙者率は高くない状況にございます。
 13ページ目、最近のトピックであります葉巻たばこを巡る事情についてご紹介させていただいております。
 まず、ページが前後して恐縮でございますが、14ページをご覧ください。葉巻たばこの種類についてご紹介させていただいております。葉巻たばこは、大きくプレミアムシガー、そしてドライシガーに分かれており、プレミアムシガーは人の手で巻かれるため、一定の温度及び湿度の管理を要し、取扱いが難しいものであります。一方でドライシガーは機械で巻かれ、乾燥しており、扱いが簡単であるということで広く取り扱われているものでございます。今回ご紹介させていただくのはこのプレミアムシガーについてでございます。
 ページをお戻りいただいて13ページでございます。近年、我が国において一部の葉巻たばこ、特にキューバ産のプレミアムシガーの入手が困難となっているという事情がございます。まず、我が国の葉巻たばこ市場の構造につきましては、我が国ではプレミアムシガーは生産されておらず、専ら輸入されております。この際、正規代理店または現地で買い付けた並行輸入業者が日本に輸入してくることになっており、同一の葉巻たばこ品目、銘柄が複数の事業者により取り扱われていることが特徴的でございます。
 その葉巻たばこの需給状況でございます。現在、主要生産国であるキューバからの供給量は著しく減少しております。特にアジア圏での需要の高まりによりまして世界的なレベルで入手困難化、また、その価格も高騰の一途を辿っており、オークションで取引される葉巻たばこも存在しております。その一方、我が国では小売定価制をしいておりますので、複数の事業者が取り扱う品目という場合でも1つの定価のみ設定されることとなります。例えば、事業者によっては高値であれば独自のルートで入手が可能という場合もございますが、設定された小売定価ではなかなか利益が出ない、逆ざやとなってしまう場合があり、輸入を断念するケースもあると承知しております。一部の事業者の方々からは、高騰した仕入価格に応じた定価を柔軟に設定できないかという相談も財務省は受けております。また、実際に価格を変更する場合でも、その手続が煩雑であり、負担になり、なかなか定価変更も進まないといった事情がございます。
 15ページ目、葉巻たばこの市場の状況に関する具体的なデータでございます。近年、プレミアムシガーの最大の輸入国であったキューバからの輸入が著しく減少しており、特に2020年、キューバはコロナの影響で観光産業が大打撃を受けたと承知しておりますが、この年から翌年の2021年にかけて供給量がおよそ3分の1に減少しているように極端に供給ショックが起きている状況であり、2022年においてもなお回復には至っていない状況でございます。また、財務省に申請がある輸入価格について見ましても、中にはこの2年間で2倍以上の高騰をしているものがございます。また、その影響を受けてドミニカ共和国産、ニカラグア産といった銘柄におきましても価格の上昇が見られる状況になっております。
 16ページ目、小売定価制度についてご紹介させていただいております。小売定価制度は、特に零細事業者を廉売競争から保護し、販路を確実に確保した上で、ひいては財政収入としてのたばこ税を確保するために設けられているものであり、業者及びその品目ごとに1つの小売定価を定める。また、価格がバッティングするような場合には、定価等部会にお諮りした上でその中から1つに決めるという手続を定めております。
 事務局といたしましては、このような小売定価制を昨今のプレミアムシガーについても引き続き維持すべきか、また、見直すべきかという論点は、まさにたばこ事業の重要事項になると考え、今後ご審議いただく意義は大きいものだと考えており、トピックとしてご紹介させていただいた次第でございます。
 たばこを巡る諸情勢についての説明は以上でございます。
 続きまして、17ページ目、塩事業の概要でございます。塩は、人間が生きていく上で必要不可欠であり、砂糖における人工甘味料といった代替品が存在しておりません。このため、もともと塩は財政物資として財政専売の対象となっておりましたが、大正8年に公益専売へ移行することに目的が切り替えられております。昭和60年にJTが発足いたしましたが、その後もしばらく塩専売制度は続いており、平成9年に塩専売制度が廃止され、市場構造が原則自由化となっております。以後、公的役割といたしましては緊急時の塩供給、また平時の備蓄といった役割に限定されております。
 18ページ目、塩事業の全体像でございます。我が国におきましては、天然の塩資源、岩塩ですとか天日塩といったものが存在しておりませんので、海水を濃縮して煮詰めて製造しております。こうした国産塩と輸入してきた原塩を基に精製された塩が製品化され、生活用、業務用、ソーダ工業用に需要されている状況でございます。また、別途のものとして塩事業センターの位置付けがございまして、塩の調査研究や緊急時に備えた備蓄等を実施しております。
 19ページ目、塩の需給状況でございます。塩の需要は概ね800万トン前後で推移しておりますが、大半はソーダ工業用で需要されており、8割方がソーダ工業用となっております。口に入るものという観点でございますと食品工業用、生活用で約80万トンの需要がありますが、このうち概ね8割程度を国産塩で賄えておりまして、安定的に需給されていると言えるのではないかと思われます。
 20ページ以降は参考資料になりますので、ここでの詳細な説明は割愛させていただきます。
 事務局からの説明は以上となります。

五十嵐分科会長どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきましてご意見、ご質問等がありましたらお願いしたいと思います。テレビ会議システムでご参加の方もいらっしゃいますので、ご意見等ありましたら「挙手ボタン」をクリックして意思表示をしていただきたいと思います。なお、進行上の観点から、初めに会議室にお集まりの委員の方からご指名をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは、安藤委員、お願いします。

安藤委員ありがとうございます。最近のトピックのところでご紹介がありました葉巻たばこを巡る事情ですけれども、たばこの価格が競合する場合に開催される定価等部会の部会長に指名されたということから申し上げます。この葉巻たばこの近年の状況は価格が競合するときに必ず1つの価格にするという価格の設定方法や、その1つの価格を決めるまでの手続が葉巻たばこの円滑な供給を行う上である種の支障となっていると思われるわけであります。
 そこで、現行の価格設定の在り方や手続について見直しが可能かどうかという点も含めまして一度分科会として検証してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
 取りあえず私からは以上でございます。

五十嵐分科会長ご意見、ありがとうございます。
 その点につきまして、どうぞ、宮島委員。

宮島委員ありがとうございます。私もキューバ産の葉巻たばこのお話などを聞いて、なるほど、こんなことになっているのだなと思いました。もともと一般の人の印象でも、極めて高価な葉巻たばこと普通に皆さんが吸っているものというのはちょっと性質が違うものかなと思ったんですけれども、今まさに供給に支障が出てきているということは、そのまま放ってはおけないと思います。
 それに、もともとたばこの事業を守っているところの国内の小売を守る。そのために行われている制度と、この極めて高価で海外から来ているたばこを全く同じ制度の中で同じように扱っていいかどうかというのは非常に悩ましいところだと思いますので、この点に関しましては一度検証するのがいいかと思います。

五十嵐分科会長ご意見、ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 どうぞ、山下委員。

山下委員定価に関しまして、今、葉巻たばこのお話があったのですが、そもそもたばこの葉自身の国内での供給量が減り輸入の比率が高くなっていますので、昨今のインフレであるとか価格がすごく変動している中で、本体のほうにもかなり影響が出てくる可能性が今後あるのではないかと思います。ご議論いただきますときにその辺も併せてご検討いただければと思います。国内で生産とチャネルと消費が閉じていれば固定定価での提供が可能ですが、そうではなくて、外のサプライチェーンと結びついたときに定価の問題がどうなるかという議論が必要なのかなと思います。

五十嵐分科会長ありがとうございます。
 それでは、オンラインでご参加の委員の方、いかがですか。
 東條委員、お願いいたします。

東條委員私も葉巻たばこについて一言申し上げたいと思います。ほかの委員の先生方からもご発言がありましたとおり、私の専門は規制と競争でございますので、そもそもたばこ事業法第33条の、当分の間、零細事業者を保護するという目的で定められた定価制度の適用対象として、このプレミアム葉巻たばこを対象とすることの合理的な理由というのは説明を聞いていて理解困難でしたので、ぜひ見直しをしていただければと存じます。

五十嵐分科会長ありがとうございます。
 どうぞ、長瀬委員。

長瀬委員まず、資料9ページですけれども、注意文言表示規制についてであります。

五十嵐分科会長ちょっと待ってください。その前に価格のことを。

長瀬委員価格ですね。失礼しました。では、後ほど。

五十嵐分科会長後でお願いしたいと思います。
 価格についてはよろしいですか。分科会で改めて別の機会に検討したいと思いますが。

長瀬委員では、価格についてでありますけれども、そうであれば、12ページの資料です。諸外国と喫煙者率が同等であるというご説明がありましたけれども、多くの場合、西欧諸国のたばこの価格というのは日本よりはるかに高いんですね。ということを考えると、喫煙者率が同じであれば西欧諸国の税収というのは恐らく日本よりも多いのではないかと思われるのですけれども、そういったデータとかはお持ちなんでしょうか。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長具体的な税収という観点で、税額というのは把握しておりませんが、たばこの代表銘柄の小売定価に占める税の割合をご紹介させていただきます。2021年のWHOのリポートを基にしておりますが、例えばイギリスでは79.3%、フランスですと83.2%、ドイツが63.5%、日本は61%という水準でございます。

長瀬委員では、やはり日本はさらに上げる。結局、上げたほうが消費が減るので、プラスとしてどうか分かりませんが、やはり上げてほしいというのが我々呼吸器科医あるいは学会としての立場であるということはここで申し上げさせていただきます。

五十嵐分科会長西ヨーロッパに比べると、価格を上げる余地がまだ日本はあると、そういうふうに……。

長瀬委員はるかにあります。カナダなどでしたら1本売りしていますよね。

五十嵐分科会長ありがとうございます。
 それでは、価格以外のことでご意見を頂きたい。
 どうぞ、山下委員、お願いします。

山下委員長瀬先生と同じカテゴリーの意見ですけれども、プライシングに関しましてほぼ同じ意見です。私は、国税庁のデータを見せていただいたときに、需要量というか、消費量が減っているにもかかわらず税収が戦後ほぼずっと一定であるというのは、これは恐らく価格弾力性であるとか、セグメント別の価格弾力性のようなデータを基に価格を決めてこられた実績がある上でこんなに税収が安定しているのではないかと思います。セグメントごとに価格の弾力性は違うとは思いますが、そのあたりの検証というのはこちらのほうでやられているのでしょうか。通貨の問題もあるでしょうが、オーストラリアとか今1箱5,000円ぐらいするらしいですし、シンガポールも恐らく1,000円以上しています。アジアの中でも非常に価格が安い国になってしまっているということで、ちょっと言い方はよくないかもしれませんけれども、国としてかなり後進的な感じがいたします。そのあたりの税収、どのぐらいソフトランディングしていけるかという見通しが、もしデータがあるのであればご開示いただければと思います。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長課税というと、理財局たばこ塩事業室の所管外となっておりますが、どのようなことお答えができるか、少し検討させていただきたいと思います。

山下委員外国ですと、価格コントロール、税収とヘルスコントロールという2つで、研究がされているようですので、よろしくお願いします。

五十嵐分科会長ご指摘、どうもありがとうございます。
 長瀬委員、いかがですか。

長瀬委員消費は減らしてほしいんです。私が価格を上げてほしいと言うのは、消費を減らしたいがためであって、しかし、それは結局、税収の増加につながるのであれば一石二鳥ですね。厚生労働省的な考え方からしても。

五十嵐分科会長ありがとうございます。
 そのほか何か。
 どうぞ、荒谷委員。

荒谷委員私は、11ページに関連してお願いしたいことがございます。喫煙場所を室内から室外に限定したまではいいのですが、かえってマナーが悪くなって、あちらこちらでポイ捨てですとか、歩きたばこをする人が目につくようになった気がいたします。また、タクシーに禁煙マークが貼ってあるにもかかわらず、運転手さんが、結構吸っていて、乗るとたまらない思いがするので、そういうところにも啓発活動をしていただきたいと思います。この点についてはどこに意見を申し上げてよいのか分かりませんので、ご一考いただければと存じます。よろしくお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長政府内でも、例えば総務省が、地方たばこ税の一部を喫煙所を設けるために使ってくださいという事務連絡を出しています。また、我々も政府内で問題を共有し、さらにはJTなどと意見交換をする場でも、頂きましたようなご意見を伝えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

五十嵐分科会長それでは、オンラインでご参加の国松委員からお願いいたします。

国松委員ありがとうございます。国松でございます。
 意見というより質問なのですが、10ページに関しまして、日本の国際的な枠組みの中での貢献などについてお伺いしたいと思います。FCTCはそろそろ20年も経つような機関になっておりますけれども、日本政府としてどのような立場で臨まれているのか。あるいは、どのような貢献をされているのかということを改めてお伺いしたいと思いました。特にご議論のあった教育啓蒙活動のような部分についても、何かあればお聞かせいただければと思います。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長我が国も健康の増進の取組を進めていくことは非常に大事な問題であり、適切に条約を担保するため、まさに財務省、厚生労働省、外務省一丸となって交渉等に参加しておりますし、条約を遵守しているところでございます。マナーですとか禁煙の啓発については、厚生労働省の所管となっておりますが、厚生労働省においても各種啓発活動に予算を計上し実施しているところでございます。また、財務省といたしましても、喫煙のリスクは非常に大きいと自覚しており、直近では令和元年に、まさに注意文言表示の規制を改正いたしまして規制を強化しております。今後とも政府、厚生労働省、財務省が協力いたしまして、きちんと分煙、禁煙が進むとともに、吸う方におかれましてもリスクを知って吸っていただくといった、健康増進の取組は進めていきたいと考えております。

五十嵐分科会長少し補足しますと、子供たちの保健体育の教科書にもたばこを吸うと肺がんになることを、肺がんの病理組織像まで示して教えています。子供の頃からたばこは有害である、特に肺がんになることを、写真つきで教育しています。文部科学省も教育面で協力しています。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。

長瀬委員価格以外でもよろしいですか。

五十嵐分科会長はい。価格以外のことで、どうぞ。

長瀬委員先生がまさに今おっしゃったことですけれども、9ページですが、注意文言表示規制について、令和元年に強化されたということでありますが、それでも50%。どうしてこれが50%なのか。それこそ諸外国のたばこのパッケージを見ますと全面ということが多いですよね。何も50%と限る必要もありませんし、今、分科会長がおっしゃったように、子供の教科書に肺がんの写真が出せるのであれば、どうしてたばこの表に出さないのか。実際出しているところもあります。例えばタイのたばこなどは結構おどろおどろしいのが出ています。これを見て買う人がいるかというぐらいのが出ていますよね。
 正直なところ、厚生労働省の話も出ましたが、健康日本21というのがありまして、今度第3次になりますけれども、目標にも禁煙に関して入っているわけですね。副大臣のキャリアから考えますとぜひ賛成していただけるのだと。しかもこれは政治の世界でもありますので、非常にいい副大臣がなられたというふうに大変心強く思っている次第であります。本当にまさしくご経歴としてのお考えの一貫性を考えて、ぜひともよろしくお願い申し上げます。お願いです。

秋野財務副大臣承りました。

五十嵐分科会長どうぞ、宮島委員。

宮島委員どうもありがとうございます。以前、喫煙者の委員の方がいらっしゃったんですけれども、その方がいらっしゃらなくなって、私はメディアなので、会議で常にバランスを取ろうと思ってしまう癖がありまして、ちょっとご質問したいと思います。
 私もたばこを吸いませんし、健康のためにもいろいろな対応、広告も含めてするべきだと思っています。また、子供の教育は、今若い人たちはたばこを「格好いいね」という感じはもうかなりなくなっているかなと思っているので、今も残っている吸うチャンスを子供のうちに得る人はどういう理由なのかと、そのうちもし調べる機会があったら知りたいと思います。全体としては「格好いいから吸う」というイメージは子供たちの中でも相当なくなっていると思います。
 一方で、困る側の方たちの状況がどうかということをご質問したいのですけれども、やはり葉たばこ農家の作付面積とか戸数がこれだけ減っておりまして、完全には看過できない。要するに、この人たちはただ死に絶えればいいというわけには政府としてもいかないと思っております。たった今、相当戸数も減りましたし、面積も減りましたけれども、現状どういう状況なのか。分かるところを教えていただけますでしょうか。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長お答えいたします。葉たばこは、他の農作物に比べまして収入が大きいということもあり、依然として、特に九州地方や東北地方、そのような地域で重要な産物となっておりますので、委員ご指摘のとおり、戸数、面積等減少しておりますが、いまだ地域農業における重要性という位置づけ自体は大きくは変わっていないものと認識しております。

五十嵐分科会長それでは、オンラインでご参加の東條委員、お願いいたします。

東條委員ありがとうございます。先ほど国松委員から少しFCTCの話が出ましたので、私も少しご質問させていただきたいのですけれども、我が国の法令上は、製造たばこというのは電子たばこを含まないことは承知しておりますが、国際的なディメンションで、加熱式たばこ、電子たばこといった新興たばこの取扱いについてCOP10で実質的な議論が行われるという記述がスライド10ページにございます。この議論の進捗状況を全く存じ上げないのですが、この議論の行方次第で国内法を改正するようなことも将来的にはあり得るのでしょうか。ちょっと状況を教えていただきたいと存じます。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長お答えいたします。新興たばこ(加熱式たばこ・電子たばこ)について申し上げますと、加熱式たばこは葉たばこを使用しているため、FCTC上も通常のたばこと同様に考えられており、むしろFCTC上で問題となっているのは、加熱式たばこに含有されている成分等をどう開示していくべきかという点に焦点が当たっているものと承知しております。
 一方で、電子たばこについて、これはFCTCでもまだ取扱いが全く決まっておりません。FCTC上のたばこの定義を申し上げますと、葉たばこを一部または全部として使用しているものをFCTC上たばことして認識しているということでございますが、電子たばこは葉たばこを使用しておりませんので、果たしてFCTCの枠組みで規制を議論するべきかどうか。そういった原始的なところから今まさに議論が開始されているところであり、たばこ事業法で申しますとまさにFCTCと同じ法体系になっておりますので、よく動向を見ながら検討を進めていくと認識しております。

東條委員承知しました。それに関連して、国内の規制上の分類において、電子たばこは医薬品として厚生労働省管轄だというふうに伺いましたけれども、これは個人が輸入する場合、あるいは、商業的な輸入を行う場合も医薬品としての規制がかかっているということで、国内でマーケットが形成されるということは、当面は現行の規制枠組み上は想定しなくてよろしいということでいいでしょうか。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長お答え申し上げます。まさにニコチン入りの電子たばこは我が国では医薬品となっており、販売する、製造するといった場合には薬機法という法律の下で許可等を得る必要があり、厚生労働省から聞いている話では、まだそのような許可等をしたことはないとのことで、商業ベースで流通する実態にはないものと承知しております。一方で、医薬品でございますが、個人使用のための輸入ということについては、一定の数量の範囲内においては規制されていないため、あくまでも個人使用に限られた使用にとどまっており、マーケットが形成されているところまでは至っていないのではないかと考えております。

東條委員なるほど、よく分かりました。ありがとうございます。

五十嵐分科会長そろそろ時間ですので、最後に山下委員、お願いいたします。

山下委員今の点ですけれども、12ページにあるデータを見ますと、日本は加熱式たばこ先進国といいますか、全体としては喫煙者率が下がっているのだけれども、加熱式たばこは非常に多くて、周りで見ていてもほとんど喫煙者の方は加熱式たばこです。周りの方への配慮ということもあると思うんですが、そこが実はあまり把握されていないというのはとても残念といいますか、実際の行動をどうやって把握できるのかということに関してもう少しご議論いただければと思いました。
 あと、そもそもですけれども、この12ページのデータですが、これはこちらで把握されているベストなデータなのでしょうか。というのは、上の表と下の表はデータのベースが違うので、喫煙者率のデータに相当乖離がある。下を見ると、Euromonitorのデータだと日本は少なく見えるのですけれども、上の国民健康・栄養調査のデータだと結構高いといいますか。データのベースを合わせて議論ができるのであれば、そのような検討をしていただけるとありがたいです。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長厚生労働省とどのようなデータが確認できるかを相談したいと思います。

五十嵐分科会長活発な意見を頂きまして、ありがとうございました。
 それでは、まず事務局からご提案のあった葉巻たばこに係る議論は改めて議論する機会を設けていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。これはよろしいですね、皆さん。

(「異議なし」の声あり)

五十嵐分科会長では、ご異議ないようですので、そのようにしたいと思います。
 それから、事務局におかれましては、葉巻たばこについて改めて議論する場を別途調整していただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。
 もし追加のご意見あるいはご質問がありましたら事務局のほうまで後ほどお寄せいただきたいと思います。
 それでは、次の議事に進みたいと思います。たばこ製造業の地球温暖化対策に係る取組につきまして、事務局と日本たばこ産業株式会社、以下「JT」と呼びますけれども、ご説明を頂きたいと思います。
 これからJTの関係者の方が入室されます。しばらくお待ちいただきたいと思います。

(関係団体入室・着席)

五十嵐分科会長それでは、初めに事務局から地球温暖化対策に係る背景の説明をお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長事務局から説明を申し上げます。資料5-1、地球温暖化対策計画についてご説明申し上げます。
 1ページ目をご覧ください。2020年以降の地球温暖化対策を定めましたパリ協定が平成27年に採択されたことなどを踏まえ、当初、平成28年5月に地球温暖化対策計画が閣議決定され、直近では令和3年10月に内容が見直されたものが閣議決定されております。その中で、我が国の中期目標といたしまして、2030年度において温室効果ガスを2013年度比46%削減することが目標とされ、さらに、50%の高みに向け挑戦を続けていくこととされております。
 この目標達成のための対策・施策といたしまして、1ページ目の下段に書いてございますが、産業界の各業種が低炭素社会実行計画を策定・実施し、定期的な評価・検証等を踏まえ随時見直しを行うこととされております。
 そして、次の2ページ目の一番下のところでございます。政府は、各業種により策定されました低炭素社会実行計画に基づいて実施する取組につきまして、関係審議会等により厳格かつ定期的な評価・検証及び計画の進め方の検討を実施することとされております。たばこ製造業につきましてはJTが国内で唯一の製造業者でございますので、本日は同社よりたばこ製造業界における地球温暖化対策、あわせて、事業に関する取組につきましてご案内を頂こうと考えております。
 以上でございます。

五十嵐分科会長どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、たばこ製造業の地球温暖化対策に係る取組につきまして、JTの小倉執行役員と妹川執行役員からご説明を頂きます。よろしくお願いいたします。

小倉執行役員おはようございます。ただいまご紹介にあずかりましたJTのコーポレートガバナンス及びコンプライアンス担当の執行役員を拝命しております小倉と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、平素より我が国たばこ産業並びに当社事業の様々な取組や活動にご理解とご関心を賜っておりますことに心より御礼申し上げます。
 また、本日は当社グループの地球温暖化対策の取組に関するご説明の機会を頂戴いたしまして、重ねて感謝申し上げます。
 当社は、長期的な事業成長を支えるサステナビリティへの取組を経営の中核と位置づけておりまして、地球温暖化対策の取組につきましてもその一環といたしまして強いコミットメントと責任を持って進めているところでございます。
 具体的な内容につきましては担当執行役員の妹川よりご説明させていただきたいと存じます。
 本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

妹川執行役員JTの妹川と申します。Chief Sustainability Officerを拝命しております。主に環境を含めサステナビリティに関わる取組全般について、経営の一員として対応を行っております。本日はご機会を賜り、ありがとうございます。
 それでは、お手元の資料5-2に即しましてご説明させていただきたいと思います。
 まず、2ページは本紙の構成となります。概要から各論、詳細について簡単にご案内させていただければと思います。
 それでは、3ページに移ります。まず、たばこ製造業界及び当社グループの概要でございます。さきにご案内賜りましたとおり、我が国におきましては、たばこ製品の製造に関しましては当社1社のみが行っております。なお、我々JTグループは、経営理念である4Sモデルの追求を通じまして、中長期にわたる持続的な利益成長の実現を目指しております。この4者のステークホルダーにとって共通利益となるベストのアプローチ、これがまさしく4Sモデルだと確信しておるところでございます。かかる理念の下、事業といたしましては、たばこ事業のほか医薬事業、それから加工食品事業を営んでおるところであり、およそ130以上の国と地域で製品を販売しているグループ企業でございます。
 4ページに移らせていただきます。当社グループは、JTグループサステナビリティ戦略を策定しており、その遂行を図っております。これは中長期的な事業成長を支えるサステナビリティへの取組を経営の中核と位置づけ、4Sモデルに基づき、マテリアリティ(重要課題)の分析を踏まえて策定しております。具体的には、グループ共通の3つの基盤、それから事業ごとに注力分野を定め、各々にKPIを設定してモニタリングあるいは開示を行っております。本日のテーマでございます、いわば環境負荷の軽減につきましてもサステナビリティ戦略における3つの基盤の重要な1つのテーマと位置づけているところでございます。
 続きまして、5ページに移らせていただきます。温室効果ガス削減に向けた取組としまして、いわばエグゼクティブサマリーを記載しております。当社グループも環境負荷低減の取組の必要性を認識しており、従前からの取組をさらに深化させるべく、まずは国際的なイニシアチブでありますSBTiによる推奨も踏まえ、世界の気温上昇を産業革命前と比べ1.5℃に抑えることにつきまして、この目標に向けて科学的根拠に基づいた目標設定を検討いたしました。昨年、2050年までにバリューチェーン全体でGHG排出量をネットゼロにすること、加えて、そのマイルストーンとして2030年までに当社グループ事業におけるカーボンニュートラル達成に向けた目標を設定しております。これらの目標の設定を踏まえ、この取組の加速化を図っているところでございます。これらの具体的な定量目標は下に記載のとおりでございます。
 そのサマリーを次のページにお示ししておりますので、6ページに移らせていただきます。温室効果ガス削減の各目標と2021年度実績でございますが、いずれの定量目標に対しても順調に推移しているというのが現時点の評価となっております。今後は、太陽光発電パネルの設置はもとより、電力会社が発行するグリーン電力証書の購入、その他供給元が発行している非化石証書の購入等の検討を進め、ネットゼロを目指していこうと考えておるところでございます。具体的には3つの目標がございます。
 まず、直接的温室効果ガスの排出量に関してでございます。いわゆるScope1、2に該当するものでございますが、2030年までに2019年比で47%削減という目標を持っております。これに対しまして21年度実績では12%削減まで達成したところでございます。
 続きまして、間接的温室効果ガス排出量、いわゆるScope3に該当するものでございます。こちらも購入する原材料ですとかサービスに由来する温室効果ガス排出量をターゲットにしておりますが、2030年までに19年比で28%削減していくというマイルストーンを持っております。こちらにつきましては21年度実績で25%の削減を達成したところでございます。
 加えて、再エネでございます。再生可能エネルギー電力の導入につきましても弊社はKPIを持ってモニタリングしております。2030年までに事業活動で使用する電力の半分、50%、さらには2050年までには100%、全て再生可能エネルギー由来へ置き換えると考えております。21年度の実績でございますが、全体のうち23%までを再エネが占めている現状でございます。
 以降、詳細のご案内に移らせていただきます。
 なお、7ページと8ページで記載しております単位でございますが、「CO2e」と記載しております。CO2 equivalentの略でございまして、様々な種類の温室効果ガスの量をCO2相当量に換算した数値で記載させていただいております。
 まず7ページでございますが、こちらは直接的温室効果ガスの排出量に関するデータとなっております。先ほどご説明申し上げたとおり、順調に削減が図られているところでございます。
 続きまして、8ページに移ります。間接的温室効果ガスの排出量に関するデータとなりますが、こちらも先ほどご説明のとおり順調に削減は図られていると見てとれると思います。なお、さきの直接的温室効果ガス排出量に比しまして、間接的温室効果ガスの排出量が当社サプライチェーンを含みます全体の総排出量の大宗を占めております。具体的には右側の円グラフに示しておりますが、およそScope1、2に対してScope3が1対9の割合で、全体の約9割はサプライチェーンでの排出量が占めているというのが弊社の排出量の構造となっております。このScope3のうち、その大宗がいわゆる上流、調達サイドに由来するものでございまして、具体的に言いますと、弊社はたばこ事業がメインでございますが、原料である葉たばこの耕作地で乾燥工程があります。その乾燥の際に、ボイラーを使う等の工程を挟んでおりますので、こちらで排出量の大宗を占めているというようにご理解いただいて結構かと思います。Scope3の削減につきましては、まずは上流にございます葉たばこ耕作地での乾燥工程の見直しを鋭意図っておるところとご理解賜れればと思っております。
 続きまして、9ページに移ります。再生可能エネルギー電力の導入割合をお示ししているものでございます。グループとしましては順調な推移かと思っております。なお、日本だけに絞りますと、再エネの導入比率に貢献できるのはこれからというタイミングであり、今後貢献が図れるものとご理解賜れればと思っております。いずれにしましても、グループのコミットとしましては現状順調に推移しているとご理解賜れればと思います。
 それから、最後になりますが、10ページ、11ページでございます。
 まずは10ページでございますが、具体的な施策や手段等につきましてその例示を幾つかお示しさせていただきました。当社グループの取組につきましては、これらも含めて積極的な開示を行っているところでございます。あくまでも例示ということでございますが、削減施策としましてはグリーン証書の購入や電気トラックの導入等、物流の面ではそのような取組を行っております。また、工場の従業員の作業着も含めてのウォームビズ等、いろいろな工夫も施して削減を図っているところでございます。加えて、先ほどの葉たばこの工程の話もいたしましたが、乾燥工程に関しましては、設備の導入やその支援を国内外問わず行っているのが現状でございます。
 11ページに移ります。その他、環境マネジメントとしましては、当社グループのたばこ工場でISO14001を、国内で100%、グローバルベースでも77%取得済みでございます。工場以外の事業所につきましてもこれらに準拠するシステム、マネジメントを図っているところでございます。また、対外コミュニケーションという意味では、先ほど私が申しましたとおり、環境に限らず、非財務に関する様々な実績や活動をホームページや統合報告書等で開示しております。弊社の取組や開示については、ESG評価機関等からの評価もいただいているところでございます。環境につきましても、外部評価としまして一つの例示でございますが、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)から最高評価であるAリスト企業にここ数年選定を頂いているところでございます。
 以上、駆け足でございますが、ご説明させていただきました。私どもとしましては、昨年から、新たにグローバルでコミットし、削減に向けて鋭意努力しているところでございます。まだ緒に就いたところではございますが、現時点では一定の効果が確認できていると思っております。
 本日は、お時間ありがとうございました。以上、私の説明とさせていただきます。

五十嵐分科会長どうもありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。
 どうぞ、安藤委員。

安藤委員ご説明、ありがとうございました。
 乾燥施設の導入の補助をしているというのは大変いいことだと思って聞いておりました。この乾燥施設は一定以上の戸数がまとまっているほうが効率的だと思います。そのような形の場合に補助金を支給する、例えば組合などをつくり、一定の生産量以上の組織を補助の対象とするような仕組みになっているのかどうかを確認させていただければと思います。
 そういう形で補助しているとすれば、たばこ作農家はどんどん減ってきており、それによって生まれる、ぽつんぽつんと存在しているようなたばこ作農家の葉たばこ乾燥には、この措置は使えないかもしれません。そこがCO2の排出の問題として残りそうな気がするのですが、そのあたりについて何かお考えがあれば教えていただければというのが私からの質問になります。よろしくお願いします。

小倉執行役員現在はコーポレートガバナンス担当ですが、以前に原料購買の担当役員を拝命したところもありましたので、私からご回答申し上げたいと存じます。
 いわゆる先進国の葉たばこ産地につきましては、機械による乾燥を行っております。もう少し申し上げますと、バーレー種と黄色種と2種類ございますが、バーレー種というのは自然乾燥、つまり吊るして乾燥いたしますが、黄色種は、機械乾燥を行っております。これら機械型の乾燥室は、アメリカや日本等で導入されております。一方、アフリカの黄色産国あるいはブラジル等の南半球の産地につきましては、国家経済がそれほど高い水準にないところもあり、木材による乾燥等を行っております。したがいまして、機械型の乾燥施設を農家の方々と一緒になって導入を図っていくというのは、現実的には先進国産地になるとういうのが現状でございます。
 少し話が横に逸れますが、アフリカ等の産地はまだこのような機械を導入する経済的な余力が農家さんにもないという事情がありますので、手造りで、土壁で造ったような乾燥室、そこに木をくべて焼くような仕組みになっておりますが、どういうような木の組み方をすれば最も燃やす木の本数が少なくて済むか等の産地指導や、あるいはマラウイやタンザニアといった大きなアフリカの産地国につきましては、森林の植林活動等で、森林資源が持続的になるような取組や支援活動を会社として行っております。
 ご質問のあった点につきましては、ご指摘のとおり、ある程度集積度の高い組合組織、組合でなくても多くの農家さんが共同出資できるような場所に導入しやすいところでございます。国内で申し上げますと、かつて昭和30年代頃は青森から沖縄に至るまで、東京と大阪を除けばほぼ全県に、葉たばこ農家さんが分布しておりましたが、今はご案内のとおり主に東北の5県、それから九州の数県プラス沖縄に分布しているという状況になっております。残念ながら農家さんの数は減っておりますが、それでも我々の事業活動の中で一定の集積度を保つような取組を耕作組合の皆様方と一緒に進めております。例えば、後継者がいるような産地です。一定の助成措置を設け、既存の乾燥施設から、より燃焼効率の高い乾燥施設に更新し、会社として助成を行う等の取組を展開してきております。
 アフリカのような国と先進国での取組というのは少し事情の違いがございますが、全体としては今ご説明申し上げた通り環境負荷の低減に努めているところでございます。

五十嵐分科会長ありがとうございました。
 そのほかよろしいでしょうか。
 もしご質問等ありましたら、事務局のほうにお願いしたいと思います。
 それでは、JTの小倉執行役員と妹川執行役員はここでご退席をされますので、どうもありがとうございました。

(関係団体退室)

五十嵐分科会長それでは、次の議題に移りたいと思います。塩業界におけるカーボンニュートラルに向けた取組につきまして、事務局と全国塩業懇話会からご説明を頂きたいと思います。
 これから全国塩業懇話会の関係者の方がご入室されます。しばらくお待ちいただきたいと思います。

(関係団体入室・着席)

五十嵐分科会長それでは、初めに、事務局から塩業界におけるカーボンニュートラルに係る背景の説明をお願いいたします。

蓼沼理財局たばこ塩事業室長事務局から説明を申し上げます。資料6-1をご覧ください。事務局からは分科会でご審議いただく趣旨についてご説明申し上げた上で、業界団体でございます全国塩業懇話会会長より、カーボンニュートラルに向けた現状及び今後の取組についてご説明いただきます。
 資料1ページでございます。日本で国産の塩を製造する大手塩製造業者は現在4社ございます。この4社で国産塩の99.9%を製造しております。工場は瀬戸内海に多く所在しており、全ての工場においてイオン交換膜製法という方法により塩の製造が行われております。なお、我が国の塩はイオン交換膜製法により製造される塩以外にも、輸入した原塩やそれを精製した加工塩がありますのでご紹介申し上げます。
 資料2ページ、イオン交換膜製法による塩の製造工程の概要でございます。諸外国では、岩塩、天日塩といった原塩を溶解して極めて塩分濃度の高い塩水を煮詰める方法で効率的に塩を製造しておりますが、我が国は岩塩資源がございませんので、歴史的に海水を煮詰めて塩を製造してきており、1970年代以降、現在のイオン交換膜製法が採用されております。左下のピンク掛け部分でございますが、イオン交換膜製法は大量の電力を必要とするため、塩製造業者は石炭により自家発電をしている状況でございます。
 資料3ページ目、イオン交換膜製法の原理を図示しておりますが、詳細な説明は割愛させていただきます。
 資料4ページでございます。輸入塩に対する競争力を強化し、国産塩の供給を確保するという観点から、平成24年度以降、石炭に係る石油石炭税の温暖化対策のための上乗せ部分について減免措置が認められてきております。具体的には、真ん中の表の一番下、石炭の行でございますが、本来、本則税率の700円に地球温暖化対策のための税率の特例670円が加算され、1トン当たり1,370円の税率となるところでございますが、この上乗せ部分670円が免除されております。
 資料5ページ、この減免措置は令和4年度末に期限を迎えることとなっておりましたが、今般の令和5年度税制改正大綱において3年間の延長が認められております。
 このように、今般、税制特例の延長を認めていただきましたが、資料6ページにございますとおり、中期目標として、2030年度において、温室効果ガスを2013年度比46%削減することが目標とされていることを踏まえると、今回の延長はカーボンニュートラルへ移行するための猶予期間とも言えるものと考えております。地球温暖化対策計画上、塩事業における自主目標値は設定されておりませんが、塩事業は石炭等の化石燃料を利用して塩製造を行っているCO2排出量の比較的多い産業でありまして、塩事業関係者におかれましても強い問題意識を持ってカーボンニュートラルに向けた取組について検討を進めていただいているものと承知しております。塩事業の持続可能な発展の観点からも、カーボンニュートラルに向けた取組は不可欠であると考えられますので、ぜひカーボンニュートラルの取組についてご聴取いただき、ご審議いただければと存じます。
 以上でございます。

五十嵐分科会長ご説明、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、塩業界のカーボンニュートラルに向けた取組につきまして、全国塩業懇話会の山本会長からご説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本会長ただいまご紹介にあずかりました全国塩業懇話会の山本でございます。
 それでは、お手元の資料に基づいて塩業界におけるカーボンニュートラル化に向けた取組についてご説明を申し上げます。
 まず、資料2ページをご覧ください。ここでは塩業界の現状を整理しておりますが、大変厳しいものがあります。塩の需要量は長年減少が続き、販売単価も伸び悩んでいる一方、エネルギーコストの急騰や物流経費等が増加していることに加えて、地球環境での環境対応やBCPの対応など、事業そのものを継続していくために必要な社会的コストもますます増加する見込みです。このように業界内外の課題が複雑化、広範囲化する中にあっては、製造、卸、物流といった複数の事業者団体が連携、協調して対応すべきではないかという声が高まり、2020年9月に全国塩業懇話会という部門横断型の組織を設立いたしました。以降、当懇話会内で検討を重ね、カーボンニュートラルへの対応については昨年3月に基本計画を策定いたしましたが、本日のご説明はその基本計画に従って実施してきた内容をアップデートしたものになります。
 次に、資料の3ページでございますが、カーボンニュートラル化実現の基本方針として3点を挙げております。
 1点目は、カーボンニュートラル化の目標についてですが、塩を製造し、ユーザーに届けるまでの一連の過程、すなわち製造過程と物流過程の両方から排出されるCO2を対象とし、今後の革新的技術の開発、実用化を前提として、2050年までに排出量実質ゼロを目指すことにしております。
 2点目ですが、このような革新的技術の開発には一定の期間が必要であり、すぐにできることではないと想定しています。したがって、そのような革新的技術が実装されるまでの間は、業界としては現有技術の応用や改善といったことを中心に積極的なCO2低減策に取り組んでいくこととしています。
 3点目には、特に製塩メーカーでは、研究開発や革新的技術を備えた設備投資に伴って今後は莫大な資金が必要となります。その手助けともすべく、当懇話会では、業界全体として中期的な収益力の向上に向けた課題にも取り組んでいるところであります。
 次に、資料4ページに移らせていただきます。ここでは、CO2排出量の現状として直近データである2021年度のデータを用いて整理しています。まず、塩業界全体としてのCO2の総排出量ですが、65万3,000トンとなっております。その内訳として円グラフに3つの区分でお示ししていますが、青色の部分はイオン交換膜製塩工場から排出されるCO2量を表しています。オレンジ色の部分はイオン交換膜製法以外の工場から排出されるCO2量を表しています。銀色の部分は物流工程で排出されるCO2量です。
 ここで少し用語の説明をいたしますが、円グラフの下の注1の記載のとおり、イオン交換膜製塩工場とは、既に事務局からご説明がございました国産塩の大手製造業者の4社5工場のことであります。1工場当たり年間で16万~17万トンもの塩を製造する、当業界の中におきましては大規模な工場でございます。その下の注2にある非イオン交換膜製塩工場とは、イオン交換膜製法以外の工場ですが、例えば輸入天日塩を海水に溶かして濃縮・再結晶させて塩を製造する工場などです。これらは1工場当たり年間数千~1万トンといった規模の工場が多く、イオン交換膜製塩工場に比べればかなり製造規模が小さくなっております。グラフでお示ししたとおり、青のイオン交換膜製塩工場からのCO2排出量が59万4,000トン、非イオン交換膜製塩工場からは2万2,000トン、物流工程からは3万7,000トンの排出量となっています。つまり、イオン交換膜製塩工場から排出されるCO2の量が業界全体の排出量の9割を占めているということで、業界全体で考えれば、イオン交換膜製塩工場からのCO2排出量をどのように削減するかが極めて重要になると認識しております。
 続きまして、資料5ページでございますが、ここではCO2排出量の過去の推移を示しています。一番左に2013年度の排出量が出ていますが、2013年度の排出量実績がカーボンニュートラル化の進捗を見る上で一つの基準とみなされていることもあり、お示ししたものです。そこから右に移って2018年度から2021年度まで整理いたしました。まず、2013年度から2021年度までの間で見れば、排出量は75万5,000トンから65万3,000トンとなり、約10万トン減少しています。その減少の一つの要因となっているのは、グラフの下の注2に記載しているとおり、イオン交換膜製法の1工場にて、2014年以降、先行的にボイラー用燃料を石炭からLNG・バイオマスに転換したことによるものです。
 続いて、資料6ページでございます。上半分はイオン交換膜製塩工場における現行の製塩方法ですが、事務局からも説明がございましたとおり、石炭ボイラーによって蒸気を発生させ、自家発電してイオン交換膜を稼働させ、蒸気によってさらに煮詰めて塩を作るといった、省エネに優れたコジェネレーションシステムを採用しています。とはいえ、ボイラーで石炭を燃焼する際に発生するCO2が全体CO2の主たる排出源となっているのも事実でありまして、カーボンニュートラル化を実現するに当たっては、石炭ボイラーの燃料転換が必須と考えているところであります。
 下半分はカーボンニュートラル化の想定技術を整理していますが、現時点で複数の選択肢があります。まず、重油や液化天然ガスへの燃料転換があります。重油、天然ガスとも石炭燃料よりもCO2の発生量が少なく、CO2削減に一定の効果が期待できます。次に、バイオマス燃料へ切り替えるという方法もあります。また、石炭アンモニア混焼という技術もあります。これは、ボイラーに使用する石炭燃料にアンモニアを混ぜることでCO2排出量を抑える技術ですが、アンモニアを混合した分だけCO2が減少することになります。現在様々な機関が研究していますが、まだ実用化には至っておりません。CO2排出量をゼロにするという究極的な技術としてはカーボンフリー燃料、すなわちアンモニアや水素など燃焼時にCO2を排出しない燃料に切り替えるといった方法があります。その技術もいまだ解決すべき課題が多く、実用化までに10年、20年といった期間がかかるのではないかと想定しています。また、その他の補完技術としてCO2の固定化・再利用や次世代イオン交換膜の導入拡大、高性能化といったことも想定しています。
 続いて、7ページでございますが、業界におけるCO2排出量の大部分を占めるイオン交換膜製塩工場におけるカーボンニュートラル化のロードマップをお示ししたものです。業界としては、2050年にCO2排出量実質ゼロを目標にしておりますが、2030年度までの対応とそれ以降2050年度までの対応の2つのステップで考えております。まず、これから2030年までには主に省エネ努力や現有技術の改善、応用で対応する予定でして、具体的にはここに記載のとおり、次世代イオン交換膜の導入拡大、生産設備のトップランナーへの更新、省エネ機器の導入などです。2030年度は、一応の目安であり前後するかもしれませんが、現行の石炭ボイラーから燃料転換の実施が見込まれています。LNG等への転換、あるいはアンモニア混焼などがその時点で実用化されているのであれば、そのような技術の導入も視野に入れた燃料転換を考えていますので、これによりCO2の排出量が大きく減少すると見込まれます。それ以降は次世代イオン交換膜の拡大やその他の対策を継続実施していくことになりますが、2050年度の時点ではCO2排出量の実質ゼロを目指して、水素、アンモニアなどカーボンフリー燃料への転換を実施することが見込まれています。なお、それまでにCO2の固定化・再利用等の実用化がなされていれば、当然そのような技術の取り込みもあり得ます。
 8ページ以降は参考としてカーボンニュートラル化の想定技術やイオン交換膜製塩工場におけるCO2の削減計画、そして非イオン交換膜製塩工場や物流におけるカーボンニュートラル化に向けたロードマップを添付しております。
 以上、塩業界におけるカーボンニュートラル化に向けた取組状況を説明いたしましたが、塩業界といたしましては、2050年の目標達成に向け、精いっぱいの努力をする所存でございますので、ご理解いただければ幸いでございます。
 以上でございます。

五十嵐分科会長どうもありがとうございました。
 それでは、何かご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。
 どうぞ、宮島委員。

宮島委員日本テレビの宮島です。
 今日改めて資料を拝見しまして、特に国内産の塩の大切さということも感じましたし、業界として大変な努力を今されているということがまず分かりました。
 その上で、私は経済を担当していますけれども、やはりカーボンニュートラル、エネルギー問題というのはここ数年最大の課題でありまして、特に状況が必ずしも見えていないところが大きいと思います。まずは、皆さん、石炭を使っていらっしゃるところ、この石炭への風当たりはもうご存じのように相当厳しいので、そこから脱却するというのが一番なのですけれども、次への転換としてはいろいろな選択肢、いろいろな状況が考えられると思います。まずは恐らくLNGへの転換を考えられるのでしょうけれども、LNGの安定性とともに、LNGはトランジションでの方策として、欧州などから見ると必ずしも評価をされておらず、もちろんアジアや日本にとって大事だということで、政府も交渉を国際的にもしてはいますけれども、どこの段階でどう変わるかということが分からない。一方で、水素やアンモニアなどは開発技術がまだ先行きが見通せないという難しいところがあると思っています。
 そんな中で工場を転換していくに当たっては、特に今までの機器がそのまま使えるのか使えないのか。例えばガス会社でも、個人のところをメタネーションなどで同じ機器を使えるようにするのか。それとも相当換えなければいけないのかというところで悩みもあるようでありまして、恐らく同じように、今から設備を換えるのだとすると、どこまでの段階で何が使える状況で、どこまで工場の設備を換えるのかというのは、いろいろな状況が複雑な中での見極めが必要なのではないかと思います。資料を拝見して、もちろんそうしたことも十分研究されて進んでいると思うのですけれども、目先いろいろ取材している立場として、本当に年によって言うことが変わったり、ウクライナが起こったら急にヨーロッパの言いぶりが変わったり、いろいろなことがありますので、今後ともそういうところも目配りをされながらよろしくお願いいたします。

五十嵐分科会長それでは、東條委員、お願いいたします。

東條委員ありがとうございます。なかなか難しい状況であるということは大変よく分かりました。
 私も今のご発言と似たような感想を持っていて、2030年度というのが閣議決定上はもちろん一つのマイルストーンになっているので、ここで第1段階の目標を立てて、さらに2050年のカーボンニュートラルを目指してということはロードマップとしては大変よく分かるのですけれども、なかなか設備投資の原資も確保できない中で、2030年にどのくらいの設備投資をしてトランジション技術であるLNGに移行するのかというのはかなり悩ましい経営判断であるというふうに理解しています。
 1点ご質問させていただきたいのは、製造原価ですけれども、国内のヤードスティックで横並びだと大体似たような製造原価になっているのだと思うのですが、海外の海水由来の製塩の原価と比較した場合にはどのくらいの差があるかを教えていただければと思います。

山本会長正式な金額というのは個社による、規模にもよりますので、100%同じコスト、原価というわけにはいかないと思います。一般的に言いますと、同じものを作ろうとすると、輸入塩も一度溶解して、もう一度たき直さないと同じ成分のものはできません。基本的には洗浄とか、あるいは粉砕とかいう工程を経て一般的な輸入塩は製品を作られます。それだけで言いますとそちらのほうが安い可能性があると思いますけれども、中に入っている夾雑物であるとか、そういうものを日本の塩と同じものにしようとすると今度は逆にコストが高くなる可能性もあると思います。
 日本の塩というのは、電気を起こすところから蒸気で炊くところまで一貫して生産をしておりますので、比較的価格競争力があるほうだと思います。ただ、やはり海水に含まれている資源というのは3%ぐらいが塩分でございますので、97%の水分を飛ばすエネルギーコストから考えますと、トータルでいって、どの程度の製品を作るかによって、当然塩そのものがあって、それを溶かすだけあるいは溶かすだけでは塩にはなりませんけれども、洗うだけという塩と比べると、どうしてもそちらのほうが安いというのは現実です。ただ、日本には、先ほどもご説明いただきましたように資源が全くございませんので、海水から取る以外にありません。
 ちょっと余談になってしまいますけれども、日本で塩が作れないことになりますと経済安保上もいかがなものかと思いますので、我々はコスト競争力も持った上で何とか国内製塩を続けていきたいということで、先ほど委員からもご説明がありましたように、うろうろしながら、特にLNGなどというのは、一度そちらへ乗り換えておいて次の革新的な技術にもう一度というような気持ちもあったのですが、どうもこの間のG7環境相会合等では、もうLNG自体をやめろというようなお話まで出たようで、逆に言うと非常に困惑しているところでございます。
 コストという面でお答えができたかどうか分かりませんけれども、具体的に申しますと、ちょっと違うものを比べていることになりますので、今の日本の非常に安全で安心な塩と同じものを作ろうとしたら輸入したものでもコスト的にはあまり変わらないというお答えでどうかという考えでございます。

東條委員ご説明、どうもありがとうございました。大変興味深い話を伺いました。国産塩に対する国内の消費者の信頼というのは非常に高いと思いますし、例えば同じ一次産業分野で日本の農作物のブランド力が高いのと同様、差別化された商品が製造されているのだと承りました。
 その上で、より詳細なマーケット分析のようなものがありますと、価格競争力との見合いでどのような革新技術を取り入れながら生き残っていくのかという事業計画の在り方が見えてくるような気がいたしますので、この審議会がどこまで何を議論するところかというのは私はよく存じておりませんけれども、ぜひ機会がありましたら教えていただければと思います。

五十嵐分科会長それでは、時間も押していますけれども、最後に山下委員、お願いいたします。

山下委員ありがとうございます。私は、日本の塩生産を少数で担っていらっしゃる方の重みある発言を伺ったのですけれども、その中でロードマップを考えられて、非常に感銘するところです。
 ただ、サステナビリティに関して、カーボンゼロに向けて大きなドライブがかかっているのは、基本的には責任ある投資原則というもので、金融的な指標というものが乗ってきている産業で、しかもグローバルサプライチェーンでそのプレッシャーが利いているところのインセンティブが強く、そこがまず動いてしまっている現状があると思います。そういう意味では、皆様のような会社は一番ドライブが利きにくい産業で、その中でどうやってインセンティブを保っていくのか。皆さんの気持ちは分かるのだけれども、具体的にどうやってドライブを回していくかというところ、インセンティブ設計が、先ほど東條先生がご指摘くださったマーケット分析とともに必要なことかなと思います。
 例えば、日本は消費者からのプレッシャーは非常に低い国で、PRI(責任ある投資原則)ができて、ようやく動いてきたところがあるので、そういうところから一番遠いといいますか、ちょっと失礼なのですけれども、遠い御団体にあってどんなドライブが必要なのかというのが非常に心配であるとともに気になるし、応援したいというか、変な話ですけれども。そういうことで言うと、例えば瀬戸内とか、もともと製塩業が発達しているところは今メガソーラー事業がすごく発達しているところで、もともと太陽光を使った、海と太陽の恵みというところで成り立ってきたところなので、発想を転換してメガソーラーと一緒に組むとか、何か日本の国土の中でできるサステナビリティへの取組という一環で戦略を立てられるとかということも可能なのではないでしょうか。素人的な門外漢的なもの言いで申し訳ないのですけれども、別のロジック、グローバルサプライチェーンの中のドライバーとは違うロジックで何か組み立てることはできないかという印象を持ちました。

山本会長貴重なご意見、ありがとうございます。確かにそうでございまして、我々、あまりこれは言いたくないのですが、塩だけの規模でいきますと1工場70億、80億円ぐらいの売上げなんですね。1つボイラーだけをとりましても100億円近い投資をする。大企業ですと、基本的には、一度失敗しても、ほかのチャレンジをして、そちらのほうがよければまたそちらへ資本を集中して投下することができると思いますけれども、我々、1回の失敗が命取りになってしまうということでございますので、先ほど大変ご示唆に富んだお話を頂きました。
 確かに私ども国内塩産業の発祥というのは塩田でございますので、比較的広大な土地をまだまだ保有しているところもあります。実際にソーラーが横についているところも、残念ながら違う事業者にお貸しになられているというのもありますけれども、そういうのを何かうまくミックスしてこの大きな難関を乗り越えたいと思います。実際に、先ほどのマーケティングの話もそうでございますけれども、何かいいお知恵がございましたら、何とか私ども日本の塩の灯を消さないように努力を精いっぱいするつもりでございますので、またこういう機会で叱咤激励を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

五十嵐分科会長どうもありがとうございました。
 それでは、山本会長はここでご退席いたします。どうもありがとうございました。

(関係団体退室)

五十嵐分科会長予定の時間を少し超過いたしてしまいました。大変申し訳ございません。
 本日の分科会はここまでとしたいと存じます。
 委員の皆様から頂きましたご意見等につきましては、事務局において、これらを踏まえつつ引き続き適切に事務を進めていただきたく、よろしくお願いいたします。
 また、追加のご意見、ご質問がありましたら事務局までお寄せいただきたいと思います。
 本日の会議資料につきましては、会議終了後、財務省のホームページに掲載をいたします。議事録につきましては、委員の皆様のご了解を頂いた後に財務省のホームページに掲載をする予定であります。
 本日は、大変お忙しいところをご出席いただきまして誠にありがとうございました。これにて閉会いたします。

午前11時44分閉会