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国有財産分科会(令和2年3月2日開催)議事録

 

財政制度等審議会 第48回国有財産分科会 議事録

令和2年3月2日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 第48回国有財産分科会 議事次第

 

令和2年3月2日(月)15:00~16:50
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
 1.開会の辞
 2.議事
  (1)「最適利用」答申等のフォローアップについて
  (2)庁舎等使用調整計画について
  

(3)所有者不明土地等に関する検討状況について

 

3.

閉会の辞

 配付資料
 資料1-1「最適利用」答申等を踏まえた制度改正等について
 資料1-2

「最適利用」答申を受けた留保財産等に係る取組みについて

資料2-1

令和元年度の庁舎等使用調整計画について(説明資料)

資料2-2

諮問文

 資料3所有者不明土地等に関する検討状況

 出席者

    委員

  亀坂 安紀子 

 

 

 

   川口 有一郎

 

 

           小林 健

 

    

           横溝 髙至

 

    

 

 

 

 
       臨時委員  大久保 恭子

 

   

 
           緒方 瑞穂

 

  

 
           児玉 平生

 

  

 
    滝澤 美帆

  

  

 
    持永 勇一

  

  

   野城 智也

 

 

  山内 弘隆 

 

 

  

 

 

専門委員  林 正和

 

 

 

 

 

 
         財務省     可部  理財局長  

  

  

 
              富山  理財局次長  

  

  

 
    嶋田  理財局総務課長

 

    

 

   辻   理財局国有財産企画課長

 

 

 

              波戸本 理財局国有財産調整課長  

  

  

 
   木村  理財局国有財産業務課長

 

 

 

   柳町  理財局管理課長

 

 

 


午後3時00分開会

〔 小林分科会長 〕 定刻になりましたので、財政制度等審議会国有財産分科会を開催いたします。

 本日は、皆様、御多用中のところ、ありがとうございました。

 本日はマスク着用でやらせていただきます。どうぞマスクの中からも御忌憚のない意見を頂戴したいと思います。

 それでは、分科会の開催に当たりまして、可部理財局長から御挨拶を申し上げます。

〔 可部理財局長 〕 理財局長の可部でございます。財政制度等審議会国有財産分科会を開催するに当たりまして、御挨拶を申し上げます。

 小林分科会長をはじめ、委員の皆様方には、御多忙のところ御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。

 また、今、分科会長からもお話がありましたけれども、本日の開催に当たりましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止という観点から、皆様方にマスクの御着用をお願いし、あるいは座席も腕を伸ばしても届かない距離ということで、ちょっとそういった御不便をおかけいたしておりますけれども、何とぞ御理解、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。

 本分科会は、国有財産の管理及び処分に関する基本方針その他国有財産に関する重要事項の調査審議をしていただいております。

 昨年の6月には、今後の国有財産行政の目指すべき方向性といたしまして、13年ぶりに答申をいただきました。最適利用に向けた国有財産の管理処分の見直しに係る具体的な方策について御提言をいただいたところでございます。

 これを受けまして、私ども理財局並びに財務局のほうで御方針に沿って国有財産行政、新しい方向性に向けた準備を進め、それに着手をさせていただいているところでございます。

 本日、いただいた答申のフォローアップといたしまして、通達の整備など、答申に基づいた取組みの状況について御説明をいたしますほか、分科会への諮問事項でございます庁舎等の使用調整計画につきましても、併せてお諮りをさせていただきたいと存じております。

 また、御答申を御審議いただいている段階では、まだ議論が緒に就いたばかりでございました所有者不明土地問題、これにつきまして、政府全体の閣僚会議の場、あるいは関係省庁の間でその後、議論が進められております。現在、その法制化に向けて政府全体で検討が進められ、またパブリックコメントも法務省において付されているという状況にございますので、その検討状況についても併せて御説明をさせていただきたいと存じます。

 委員の皆様方から忌憚のない御意見をいただき、さらなる国有財産行政の充実につなげてまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、議事に入ります。

 まず初めに、「最適利用」答申等のフォローアップについて、事務局から御説明願います。

〔 辻国有財産企画課長 〕 国有財産企画課長の辻でございます。

 それでは、お手元、「資料1-1」と書いてある資料のほうを御覧ください。お開きいただいて、1ページから御説明をさせていただきます。

 御覧いただいたとおり、資料は2段表の形式になっておりまして、向かって左側の欄、こちらに昨年6月に分科会からいただいた答申における主な提言を整理してございまして、右側の欄に、その提言を踏まえまして、私どもでこれまで対応してきたこと、今後の取組内容を整理させていただいております。

 では、順次説明させていただきます。

 まず、1ページから、普通財産の管理処分に係る見直しの内容を整理してございます。

 最初が何といってもこの答申の目玉の1つであります留保財産の選定に関するものでございます。

 左側のところにありますとおり、有用性が高く希少な国有地については、これまでのように売却ということではなくて、国が所有権を留保いたしまして、定期借地権による貸付けで活用を図っていくということを御提言いただいていたわけでございますが、これを受けまして、右側、1つ目の四角でございますが、留保財産の選定とか利用方針の策定、こういうものの具体的な手順等につきまして、通達を昨年の9月20日に制定をいたしております。

 この通達の内容につきまして、2つ目の四角にありますとおり、いろんなレベルで実際にその実施に当たります財務局・財務事務所への周知等を図っておりまして、これに基づきまして、3つ目の四角でございます。全ての財務局におきまして、留保財産の選定基準、これを各地方審議会のほうに相談の上、決定をいたしておりまして、それに基づきまして、これまで全国で47件の留保財産を決定しているという状況でございます。その具体的な中身等につきましては、この後、別の資料で説明をさせていただきます。

 次のページ、2ページを御覧ください。

 続きまして、引き取り手のない不動産の発生抑制に向けた対応といたしまして、引き取り手のない不動産について、適切な管理が行われているものについて、寄附を可能にすべきである。それから、2つ目の丸ですが、相続人不存在の不動産が所有者不明の土地になることを回避するために、一定の要件の下で死因贈与契約等で不動産を受ける仕組みを設ける、こういった御提言を頂戴していたわけでございますが、本件と密接に関係しております所有者不明土地の問題、これも後ほど御報告させていただきますが、政府全体の検討が今、途上にございますので、そちらのほうの状況を踏まえて検討するということで、まだ検討中ということでございます。

 続きまして、3ページでございます。

 引き取り手のない不動産が発生し、これが国庫に帰属をしていくような形になりますと、なかなか早期に売りにくい財産が増えていって、管理コストが高くなっていく可能性が高いということで、管理コストの低減に取り組むべきであるという御提言をいただいております。

 これを受けまして、右側でございますが、売残り財産に関して、その情報提供の充実をするとか、それから、LIFULL及びアットホーム運営の空き家・空き地バンク、ここにその物件情報を載せていただく。こういうような取組みで情報発信の充実をしていこうという取組みをやっております。これも後ほど詳しく説明させていただきます。

 それから、2つ目の四角ですが、そういう形で売却促進を図りつつ、すぐに売れないものについては、一時貸付けで有効活用を図っていこうということで、その一時貸付けの促進のための情報提供をするとか、それから、3年超の貸付けを可能とする等の制度の柔軟な運用による活用促進を図ることといたしております。

 それから、3つ目の四角でございますが、売残り財産の鑑定評価依頼時に、これまでの入札でなかなか落札しなかったような状況、こういうものを不動産鑑定士に提供するなどの取組みを通じて、市場の状況を踏まえた売却の促進を図っていこうという取組みをいたしております。

 それから、不動産鑑定評価につきましては、もう1つ、選定方法の見直しをしておりまして、ちょっと飛びますけれども、この資料の最後のページ、7ページでございますが、選定方法の見直しの通達を制定いたしております。

 具体的な中身ですが、上の箱にあるように、基本的な問題意識としては、不動産鑑定評価に一定の専門性、地域精通性を確保するということでございまして、具体的には左下のところにありますように、概算評価額が10億円以上の高い財産とか、高度な技術を必要とする財産、こういうものにつきましては、企画競争によりまして知識、経験のある業者さんを2社選定するというやり方で行うとともに、そこまで高くない財産につきましては、その下、エリアエキスパート選定方式等を使いまして、2,000万円以上の財産であれば、同一地域で地価公示の評価員をやられている実績がある方ですとか、そこまで高い財産でなくても、同一域内の鑑定評価実績等がある方といった資格要件を求めることで鑑定評価に専門性、地域精通性を確保していこうと、こういう取組みも始めているところでございます。

 資料のページをお戻りいただいて、4ページ。ここからは行政財産の維持管理に係る見直しでございます。

 行政財産につきましては、これも場所によって大分状況が異なってございまして、地方都市を中心に行革や職員数の削減等によりまして庁舎等の空きスペースが発生している状況でございまして、こういうものの有効活用を進めていくという観点で、答申でも、使用許可期間の設定を柔軟にする等の有効活用の検討を求められていたわけでございます。1つ目の四角でございますが、地方公共団体に対する情報提供をするとか、使用許可期間についても、これまでの原則1年以内から原則5年以内にするということで、柔軟な運用を可能にするような見直しを行ってございますし、2つ目の四角にありますとおり、財務局が各省の監査をするに当たりまして、国と地方公共団体の施設の空きスペースの相互活用、こういうものを促すような取組みもやっていこうと考えてございます。

 一方で、中央官衙地区等につきましては、逆に庁舎が不足するような状況もあるということで、3つ目のところにございますように、市街地再開発事業等で権利床が取得できるような場合には、これを庁舎として活用できるように、その手順等の明確化も図っているところでございます。

 次に、5ページ、公務員宿舎関係の見直しでございます。

 公務員宿舎関係につきましては、左のところ、上から順番に行きますと、地域ごとの需給のミスマッチがあると。具体的には、都心部等では宿舎が不足している一方で、地方では宿舎が余剰しているというミスマッチがあるということで、これを解消していくという御提言がなされていたわけでございます。ここについては、1つ目の四角でございますが、各財務局で地域ごとの宿舎の必要戸数等の現状把握、実態把握をするための作業を今やっておりまして、この作業結果も踏まえまして、これから対応を検討していくということでございます。

 それから、2つ目、災害発生時の初動体制確保のためのBCP宿舎の確保でございます。ここについても、今、各省各庁からヒアリングをやっておりまして、その結果も踏まえまして、あと内閣府の防災担当とも相談をさせていただいて、具体的な制度設計を検討しているところでございます。

 3つ目、住戸規格のミスマッチでございまして、独身用・単身用宿舎が不足している一方で、世帯用宿舎が余っているといったミスマッチがあり、その解消を御提言いただいていたわけでございますが、ここについても、世帯用宿舎の有効活用の促進という観点で、宿舎使用料の負担軽減の措置を検討いたしております。

 それから、宿舎について、老朽化が進展しているということへの対応でございますが、ここについても、来年度以降、長期使用の可否判定等の具体的な制度設計を検討しているということでございまして、宿舎全体について、まだ検討中のところもございますけれども、ここについてももう少し検討が煮詰まってきたところで改めて分科会のほうに御報告をさせていただきたいと考えております。

 最後、6ページでございます。今いろいろ申し上げてきたような見直しを受けて、通達もかなり全面的な見直しをいたしておりまして、その一覧表を載せてございます。

 資料1-1の説明、以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 では、次、どうぞ。

〔 木村国有財産業務課長 〕 国有財産業務課長の木村でございます。

 「最適利用」答申を受けました留保財産等に係る取組みについて御説明させていただきます。恐縮ではございますが、座って説明させていただきます。

 資料は1-2という資料でございます。

 1枚おめくりいただきまして、1ページでございます。

 上の枠でございますけれども、昨年6月14日の答申におきまして、有用性が高く希少な国有地につきましては、現在世代のみで費消し尽くすのではなく、将来世代にも裨益する観点から、留保財産として国が所有権を留保し、定期借地権による活用を図るべきとされたところでございます。

 留保財産となる対象財産につきましては、黄色い囲みの中段以下のアンダーラインの部分でございますけれども、将来世代に残しておくべき有用性が高く希少な土地としては、将来においてより多くの行政需要が生じる可能性があるとの観点から、人口の多い地域に所在し、一度手放すとその再取得が困難となるような土地とされておりまして、具体的には1ポツのところですが、東京23区等の人口集中地区においては1,000平米以上と、政令指定都市等の各地方の経済・行政の中心となる地域における人口集中地区において2,000平米以上とされているところでございます。

 この地域・規模を目安としつつ、また基準に該当しない地域も含めまして、それぞれの地域、個々の土地の実情等も考慮しまして、留保財産を総合的に判断し、決定すべきとされております。

 2ページに、具体的な地域・面積基準についてまとめております。

 1枚おめくりいただきまして、3ページでございますけれども、3ページが具体的な留保財産の選定に当たっての考え方でございます。

 最初の箱でございますけれども、今回、本省・財務局で網羅的な検討を行いまして、各地の国有財産地方審議会で審議の上、47の財産を第1弾の留保財産として選定させていただいております。

 選定のプロセスでございますけれども、最初のポツでございますが、地域・規模の基準に当てはまる財産を取り上げまして、それらの財産から既に国利用などの方針が決まって手続中のものでございますとか、形状や立地条件が悪いといったものなどを除いた財産を留保財産として取り上げております。

 それから、2つ目のポツですが、地域・規模の基準に当てはまらないものの、それぞれの地域や個々の土地の実情等の個別的要因を考慮しまして留保すべきと考えられる財産を選定しております。

 こうした作業プロセスを一つ一つの未利用国有地につきまして丁寧に行いまして、地方審議会でも御審議いただいた上で、留保財産としているところでございます。

 地域・面積基準を満たすものの留保財産としない場合、反対に、基準には該当しないものの留保財産とする場合につきましては、昨年6月の分科会答申の資料においてまとめられておりますけれども、この内容も踏まえまして、各地方審議会で留保財産の選定基準として設定した上で、具体的な個別財産の選定を行っております。

 具体的には2つ目の枠でございますけれども、土地の形状が路地状であるとか、あるいは道路幅員でございますとか接道の長さが大規模建築物等の建築に係る条例を満たしていないなど開発制限が大きい土地、あるいは、地域における活用が特に考えられず、地価も低いなど、将来取得の必要性が生じても、ほかの代替地の取得には支障がないといった土地などにつきましては、仮に地域・規模基準を満たしても留保財産とはしていないというものでございます。

 他方、次の枠でございますけれども、地域・規模基準を満たしていなくても、人口増加や再開発エリアに所在する財産、立地適正化計画における都市機能誘導区域内に位置する財産、公共交通機関のターミナル駅至近など立地条件が非常に優れているなどの財産につきましては、総合的に見てでございますけれども、希少性や有用性が高いものとして留保財産とさせていただいております。

 なお、一番下の米印でございますけれども、今回、第1弾としまして47の財産を留保財産としているところでございますけれども、今後さらに「各省庁から行政財産としての用途廃止が行われる財産」、「独立行政法人から不要財産として国庫納付される財産」、あるいは道路事業などの「都市計画事業の後に位置・面積が確定するような財産」などにつきましては、引継ぎが行われるなど状況が整い次第、地方審議会に諮問の上、留保財産としていくことが想定されているところでございます。

 続きまして、4ページ以降でございますけれども、これが今回の留保財産47のリストでございます。

 個別の財産につきまして、5ページ目以降でございますけれども、5ページ目が、これは北海道財務局の財産でございます。一番上の国家公務員共済組合斗南病院跡地というところですけれども、これは北海道庁のすぐ近く、札幌市の中心地にある財産でございまして、この財産など5件を今回、北海道の留保財産としております。

 その下が東北財務局でございますけれども、仙台市にあります病院跡地、これは2万8,000平米の広大な財産でございますけれども、これを含めまして2件を東北財務局の留保財産としております。

 1枚おめくりいただきまして、6ページと7ページが関東財務局の留保財産でございます。

 6ページと7ページの上のほうにございますけれども、東京23区内、1,000平米から2,000平米の財産が多くなっておりますけれども、23区内で10件の留保財産を選定しております。

 7ページの横浜市、相模原市、新潟市の財産も合わせて、関東財務局の留保財産は16件を選定しているところでございます。

 おめくりいただきまして、8ページが北陸財務局、東海財務局、近畿財務局の留保財産でございます。

 北陸財務局の福井県福井市、東海財務局の愛知県豊橋市といったところは、地域基準には該当しておりませんけれども、非常に有用性が高い、希少性が高いということで、留保財産に選定させていただいております。

 近畿財務局の上の欄ですが、これは大阪府が現在中之島の活性化に非常に力を入れておりますけれども、そのすぐ近くにある財産でございまして、隣接の府有地との一体開発も考えられるといったものでございます。

 9ページが中国財務局、四国財務局の留保財産でございます。

 中国財務局の上の3つは、いずれも広島市の行政機関が集中する、広島市の中心地区にある財産ということになっております。

 おめくりいただきまして、10ページが、これは九州財務局と福岡財務支局の留保財産でございます。

 上の2つでございますが、これは熊本城に隣接している熊本市の非常に中心部にあるといった財産になっております。

 福岡市につきましては、下から2番目でございますけれども、かつて公務員宿舎であった2万8,000平米余りの財産など、6件が福岡財務支局の留保財産ということになっております。

 以上が今回選ばせていただきました47件の留保財産でございまして、11ページでございますけれども、47の財産を用途地域別・面積別に分けたものでございます。第一種低層住居専用地域にある財産でございますとか、近隣商業地域、商業地域にある財産など幅広いものとなっておりまして、こういった近隣商業地域でございますとか商業地域にある広大な財産につきましては、複合的な利用も考えられるのではないかというふうに考えております。

 1枚おめくりいただきまして、12ページ以降が個別の財産の事例でございます。12ページが、まず駒場住宅跡地でございまして、京王井の頭線の駒場東大前駅の前に広がる約1ヘクタールの財産でございます。留保財産に指定する前から目黒区と国公有財産の情報連絡会を設置いたしまして、議論を重ねてきております。目黒区の方でも区民ヒアリング、民間のサウンディング調査を既に実施しておりまして、順調にいけば本年度にも利用方針の素案の策定、年内の利用方針の策定、決定になる可能性もあるというところでございます。現状では、社会福祉施設でございますとか、商業施設、地域コミュニティ施設などの複合施設としての活用が見込まれているといったところでございます。国、目黒区、周辺住民の方々ともに、地域活性化のための重要なプロジェクトとして捉えて積極的に議論を行っているというところでございます。

 13ページが、地方都市の中心部の財産の事例でございます。新潟市の中心部、万代エリアという新潟の中心部なんですが、ここにあります国交省の新潟総合庁舎の跡地でございます。地域の核となる再開発地域にございまして、地域活性化に貢献すべく、地元の期待、注目度も非常に高い財産でございます。

 14ページでございますけれども、地方の中規模クラスの財産でございまして、ある程度地域の課題も明確ではないかと思われる事例でございます。岡山市の財産なんですが、岡山市は平成31年4月現在、全国で第4番目に待機児童が多いといった自治体でございます。このため、保育施設の整備といったことが最大の課題になっておりますけれども、本財産はそうした用途に適した立地規模でございまして、現在、保育施設を有用化の方針の1つとして岡山市とも協議を詰めようとしているところでございます。

 続きまして、15ページでございますけれども、こちらは都心の比較的小規模な財産の2つの事例でございます。渋谷区の神宮前にございます、都心の中心部でございますけれども、2つの財産でございまして、保育施設、介護施設等々、様々な用途が考えられると思いますので、今後、渋谷区等ともよく議論をしながら考えていきたいと考えております。

 続きまして、16ページでございますけれども、こちらは地域基準には該当しておりませんけれども、財産の特性を考慮しまして留保財産とさせていただいた事例でございます。東京都昭島市の駅前にございます2万2,000平米の大きな財産でございます。本庁を含むこの辺一帯が旧立川陸軍飛行場跡地、いわゆる返還財産でございまして、都市計画決定に基づく大規模な土地区画整理事業が行われた後に、本地は駅周辺及び昭和記念公園のアクセスの動線にある立地を生かし地域の拠点となるべき地区と位置づけられているところでございます。

 最後の事例でございますけれども、17ページでございます。こちら、面積基準は満たしておりませんけれども、留保財産とさせていただいた事例でございます。札幌市の中心部、これは北海道庁に近接した財産でございますけれども、KKRの病院だったところでございます。規模は小さいんですが、かなり札幌市の中心部にあると、北海道庁も近いということで、横のKKRの駐車場もあるんですが、今後の議論次第ではこちらとの一体活用も見込まれる可能性もないこともないということで、今回、留保財産に選定させていただいたところでございます。

 以上が47の今回の留保財産でございますけれども、18ページ以降に留保財産選定後の今後の取組みについてまとめております。

 黄色い枠のアンダーラインの部分でございますけれども、答申におきまして、留保財産については、国が所有権を留保しつつ、最適利用を図っていくことが重要であり、これまで以上に広く地域のニーズを掘り起こす必要がある。また、留保財産の管理処分の方針を検討するに当たっては、地域・社会での利用のタイミングを考慮しつつ、期間を十分に取って、民間へのヒアリングなどを通じて多様なニーズの事前調査を行うとともに、必要に応じて協議会を設け、地方公共団体と活用方針について議論を行うとされております。

 これを受けまして、既に多くの自治体と利用方針策定のための協議を始めているところでございます。一部の財産につきましては、留保財産になることも見越しまして、早い段階から議論を進めているものもございまして、今後、引き続き積極的に協議を進めまして、民間ヒアリングなども行いまして、なるべく早くいい利用方針の策定につなげていきたいと考えているところでございます。

 参考までに、19ページは、今後のプロセスにつきまして図で示しているものでございます。

 20ページには、留保財産以外の財産となりました財産、今までとこれはほぼ同様でございますけれども、留保財産以外の財産の処分のプロセスを参考までに添付させていただいているものでございます。

 以上が留保財産でございますけれども、最後に、21ページでございます。留保財産ではございませんけれども、国有地の売却のための情報発信・買い手探索の関係でございます。

 下の左側の黄色い箱の中段でございますけれども、今回の答申におきまして、国有財産の管理コストの低減に向けて、国として保有する必要のない財産については、これまで以上に売却促進に取り組む必要があるとされておりまして、さらに、下のアンダーラインでございますけれども、「不動産情報サイトとの連携など、インターネットを活用した情報発信、入札で不調となり随意契約で売却される財産についての仲介業者の活用など、これまで以上に積極的な情報発信・買い手の探索に取り組む」とされているところでございます。

 この答申を受けまして、民間の不動産情報サイトでございます「全国版空き家・空き地バンク」を運営しておりますLIFULLHOME'Sというところとアットホーム株式会社というところに御協力いただきまして、この右側の下がアットホームの画面でございますけれども、この2社に御協力いただきまして、一般競争入札にかける国有地でございますとか、一般競争入札にかけて不調になった財産について、国有財産の情報につきまして、この2つのサイトに登録をさせていただきまして情報発信をしているところでございます。この2つのサイトに行くと、各財務局から登録された全国の財産について見ることができるといったような仕組みを御協力いただきましてやっているところでございます。

 また、上の枠の2つ目の丸でございますけれども、これに加えまして、宅地建物取引業者による媒介を活用しまして、入札で不調になった財産の買い手を探してもらうといった取組みも始めております。それには先ほどの空き家バンクのサイトでございますとか、この媒介を通じた取組みを通じての売却事例といったものもちらほらと出てきているところでございまして、引き続き今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 以上、簡単ではございますけれども、「最適利用」答申後の留保財産等々の取組みでございます。ありがとうございました。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明内容につきましての御意見、御質問あればお願いいたします。

〔 亀坂委員 〕 御説明ありがとうございました。

 ただいま御説明いただいた資料に関しまして、少し私、しまったかなと思うことがあって。どういうことかというと、特に資料1-2の12ページの留保財産の事例について思ったことですけれども、この財産はもともと公務員宿舎で、行政財産であったと。一応、各省庁に情報開示をして、使用申請がなかったためにこういった有効活用を考えているということだと理解しているのですけれども、東大の目の前のこの立地で、保育所はまだわかるのですけど、老人ホーム等公共施設に利用するというのは、何かちょっともったいない感じがするんですよね。

 これまで国有財産はとにかく売れ売れということだったので、財務省の理財局の方々から各省庁に積極的に活用方法をお伺いするとかいうことはなかったのではないかと思うのです。けれども、こういう形で検討しているというのを伺ってみて、やっぱりもうちょっとですね……。活用の御要望があるということや、有効活用のことを考えられたということはいいことだと思うのですけれども、公務員宿舎を今提案されているような施設にしてよかったのか悪かったのかよく分からなくなってきておりまして。それだったら、公務員宿舎を、海外からIT技術の専門家を呼んだり、東大にどなたか呼んだりする場合とか、あるいは先端技術を学びたい院生が住めるようにするとか、東大の目の前というか、線路を挟んで向かい側にある財産の活用なので、もうちょっと本当はこういった検討もしていただきたいかなというふうに感じました。

 答申が出されたのが去年の6月なわけですけれども、私、ちょうどその翌月の7月から経産省の産業構造審議会の安全保障貿易管理小委員会の委員もさせていただいていて、そこではもう専らIT関連とか、サイバー攻撃とか、軍事転用可能な技術の流出とか、そういう内容ばかり話していまして、大学からの技術流出とか、技術の水準の維持とか、国際競争で競争力を維持するにはどうするのかということばかり議論していたのですけれども、まさに学問的に研究所も日本の最高峰の東大の目の前で、例えば、せめてIT産業とか、IT技術とか、あるいはサイバー攻撃とか、そういうものの研究関連に使うような議論というのはしないのかなとか、いろんなことを考えまして。実際、アメリカなんかだと今、国の安全保障上重要な施設の周辺の土地まで規制しようとしているような状況にあるのに、東大の目の前のこれだけまとまった土地をこういった形で活用して、本当の意味で有効活用できるのかなというのをちょっと疑問に思ってまいりまして。

 私も答申作成の議論に関わりながら今さらこんなことを申し上げるのはよくないのかもしれないのですけれども、資料1-1の4ページを見ましても、最初の箇条書きなのですけれども、いきなり「各財務局が、地方公共団体に対して」というような感じになっていて、ほかの省庁にもお伺いを立てるとか相談するとかいうような、情報開示というか情報共有というのをもうちょっと強化してもらったほうがいいのではないかなというふうに思いました。本当の意味で行政財産を最も有効な形でというか、なるべく有効な形で活用していただくためには、各財務局に回す前の情報開示の在り方というのは、もう少し何とかならないのかと思いました。

 あと、このところ新型コロナのニュースばかりテレビで流れていて、私の一番下の子供も小学校が閉鎖になって、今日も子供を家に置いてきているような状況なのですけれども。それで、午前中出られなかったものですから国会中継を見ていたら、学童保育がぎゅうぎゅうなのにそこに子供たちを詰め込んで対策になるのかとかいうような質問が飛び交っていましてですね。

 思ったのですけれども、そもそも新型コロナの問題がなくても学童保育がぎゅうぎゅう詰めということは預ける側としては問題だと思っていて。だから、そういった形での活用とか、小規模な土地とかも、例えばですが、全然調べないで、今御説明いただいて当てずっぽうでコメントさせていただく格好にはなってしまうのですが、この駒場の財産の例の下にある、深沢宿舎というのですか、「周辺は区立小学校や住宅街」となっているのですけれども、例えばこういうところというのは小学生が使えるような施設とか造られないのかなとか、学童保育、ここら辺はぎゅうぎゅうじゃないのかなとか、いろんなことを思います。

 今、だから、新型コロナとかでいろいろ国会でも議論されているように、そもそも学童保育がぎゅうぎゅうだと。ぎゅうぎゅうであることが平常時よりも問題なので、地方公共団体さんにお伺いするにしても、そういった活用も検討いただくとかですね。

 あともう1つ気になったのが、新型コロナ関連で、財務省の研修施設に、下船者ですか、入っていただこうというような、ちょっと情報、正しくないかもしれないのですけれども、テレビ番組で流れているのをたまたま聞きまして。バス、トイレとか、そういうのが独立していないから、これだと感染予防にならないみたいなことをどなたかコメントされていて、あ、そうなんだと思いまして。

 節約、節約でこれまで来ていたのですけれども、何かあったときに使えないのだったら、汎用性を高める方法も考えていただいたほうがいいのかなと。新型コロナには間に合わないにしても、汎用性がない施設を持っているよりは、汎用性があるようにしていただいて、ゴージャスにするとかは駄目ですけれども、もちろん、それには反対なのですが、汎用性がない施設というのは有効活用できていない面があるのではないかと思いまして、そういったことも考えていただいたほうがいいのかなと思いました。

 以上です。

〔 小林分科会長 〕 いかがですか。

〔 木村国有財産業務課長 〕 最初の駒場の御指摘でございますけど、御指摘いろいろありがとうございます。恐らく留保財産にする前の未利用国有地全体の活用方針の話でございますけれども、先生おっしゃいますように、まずは公用・公共用優先でございますので、国利用を最優先とするという形になっておりまして、それで、国利用としないものを留保財産にするか、あるいは従来どおりのやり方でやるかといったところではございますけれども、恐らく国利用のところで我々、そのために総括権、国の財産の総合調整機能を有しておりまして、そこで国の庁舎需要でありますとか、そういったものを把握して、場合によっては未利用国有地を使う、あるいはこの後ありますけど、庁舎の使用調整をするといったことになりますけれども、恐らく先生の御指摘は、その総合調整に当たりまして、もっと積極的にと申しますか、能動的に情報提供を各省にするとか、そういったことだと思います。非常に重要な御指摘でございますので、そこはどうしたらできるかとか、やり方等々につきまして、勉強させていただきたいというふうに思います。

 2番目の保育施設等々でございますけれども、今回の留保財産の利用方針の策定に当たりまして、47の財産、いろいろございますけれども、例えば東京の23区につきましては、これ、かなり1,000平米から2,000平米といったところにもなっておりまして、先ほど御紹介させていただきました神宮前の財産とか、こういったものは規模とか立地とかから見ても、そうした保育関係とか、子供関係というのですかね、そういった施設に非常に適した財産もございますので、そこは担当の自治体の方としっかり利用方針の策定に当たりましては議論させていただきたいというふうに思います。御指摘ありがとうございました。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 すみません、調整課長の波戸本でございます。

 先ほどコロナの関係で研修施設を活用しているという件でございまして、初めに御指摘がありました、ある施設ではバスやトイレが共同なので感染が広がるのではないかという話。それ実は、武漢からチャーター便で帰ってこられた方々に入っていただくときに、財務省などが使っております研修所にまず入っていただいたのですけれども、そこで御指摘のような状況がございまして、対応が必要ではないかということで、いろんな研修施設を確認しました。その上で、現在は税務大学校を活用させていただいているのですけれども、そこではバス、トイレは個別の部屋についているということで、きちんと対策ができているのではないかということでございます。武漢から帰国された方であるとか、最近下船された方が今使われているところはそこになっております。

 それで、そういう意味で、各施設によって仕様がかなり違っております。ただ、その件については、いろいろ確認したのですけれども、統一的にどこがこういう仕様にしてくださいというふうに決めているわけではなくて、施設を所管する各省の判断でどういった仕様にするかが決められており、恐らく建った年代であるとか活用の形態によって様々だと思います。今後、こういった施設もいろんな形で活用するということを考えながら、どういう仕様にしていくのか検討していくのではないかと思います。

 以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 それでは、どうぞ。

〔 児玉臨時委員 〕 留保財産の選定、47か所というような説明を受けたわけですけれども、今後については、3ページの米印のところに、用途廃止が行われる行政財産等と書いてあるのですけど、これ以外にも、例えば立地条件がいいところが本当に来るのかどうかわかりませんけど、今度、寄附制度を設けたりして、新しい公有地というのができる可能性もあると思うのですけれども、そういったものに対しても、この留保財産の基準というのを今後適用していくというふうに考えておってよろしいのでしょうか。

〔 木村国有財産業務課長 〕 ありがとうございます。留保財産にするもともとの土台といたしましては、未利用国有地全般ということになりますので、その出どころにつきましては特に問わず、未利用国有地になったものからその基準に照らしてどうかという観点で──寄附で受けたものがそういうものが来るかどうかは分かりませんし、そういう性質のものが来るかどうかは分かりませんけれども、制度といたしましては、未利用国有地全体の中から基準に該当するものから選んでいくということになるかと思います。

〔 山内臨時委員 〕 先ほどの、資料1-2ですかね、12ページの駒場のところがありますけど、ここに、どういうふうに使うかというところで、関東財務局が目黒区と云々を設置して民間サウンディング調査等によりというふうにありますけれども、先ほどの各省各庁の協議もそうなのですけれども、やっぱりより多くの情報を入れる──これ、いい例だと思いますけれども、より多くの情報を入れることによって、その活用の方向性がいろいろ多様になってきていい方向に向くのではないかというふうに思いますので、これを強調していただきたいというふうに思っております。

 特にこの国有財産については、もともと公共目的ということで始まったわけでありますけれども、いろいろな情報を入れることによって新たな目的といいますか、そういったものが生まれるのではないかというふうに期待しております。

 その点でいうと、2つ目なのですけれども、今後これを指定するときに、今の形式要件だけではなくて、いろいろな情報を入れて、フィードバックといいますか、そういった形で指定していくというような態度も大事ではないかと、こんなふうに思っています。

 以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

〔 野城臨時委員 〕 この全体的な基準その他については、これでよろしいかと思いますし、この47件についてもいいと思います。

 それで、先ほどから話題に上っております駒場については、私の勤め先の真ん前ですので1つだけ申し上げておきますと、非常に難しいところです。要は、長期的に見ればこういうことには使える、しかしながら、短期的に考えると使えない事情がある土地です。具体的に言いますと、接道条件が非常に悪いということと、あと京王電鉄の鉄道の高架橋の下の入り口が非常に低くて、これは少し高くしないといけない。あるいは、ここに来るメインの淡島通りからの道を広げないと大きな開発はできないという事情を抱えているところです。

 そうすると、今日、慌てて基準に入れる必要はないとは思いますが、時間軸の概念を入れることを考えるべきです。時間軸というのは、この土地を使うとすれば、しばらくそういった条件になるまでは使えない、じゃあ、それでは短兵急に売却して民間マンションにしてしまうのかということは、あまりまちづくり上、得策ではないわけです。そうすると、短期的にどう使って、条件が整えばどう使うといったような、時間軸を見据えたような考え方というのが必要です。本日、たまたま非常に難しい事例が出てきてしまったのですけれども、今後の基準を有用なものにしていく意味では、むしろこうした事例のケーススタディにして検討していただいた上で、今回に盛り込む必要はないのですけれども、次回以降またこういった基準を改定していくときに、時間的な進行をどう考えるかといったことを検討していけばよいと思います。

 簡単に言えば、短期的に空き家にしておくのであれば当面こういう使い方ができるよという話と、長期的に見ればこういう構想がありますねという、そういう2段構えで取り組まねばならないような事例というのはこれからも出てくるかと思います。

 以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございます。

〔 川口委員 〕 資料1-2の18ページで、今後の取組みということの最初のアンダーラインの最適利用というところでいろいろ御意見が出されました。私自身も同じように考えています。この答申後に色々と考えました。選択基準とか今後の方針とかいうことには異存はありませんが、1つ強調したいことがあります。留保財産は希少な国有地で国民共有の財産なので、この最適利用の中には「財産価値を保全する」、そういう考え方が含まれている。

 先ほどの駒場の例でも、単に対象敷地だけではなくて、その周辺の地域を含めた地域財産というのでしょうかね、そういう意味での財産価値を保全することを選択肢として入れていくというようなことを今後の協議の中でも御検討いただければ幸いです。

 資料1-1の答申、本日は留保財産の選定ということですが、定借の貸付けにおきましても、米印で一番下のところに、国が「長期間のリスクを負うことを踏まえ」ということで、今、野城先生から御指摘がありました時間軸を入れるということにも関係ありますが、ここでも財産価値を保全するという考え方が重要だと思います。今後の取組みにおいて、そのようなことを御考慮いただければというふうに考えています。

 以上です。

〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。

〔 緒方臨時委員 〕 資料の1-1ですが、今日の御報告では、1ページ目の留保財産の選定や定借については、しっかりと検討が進んで、実行され、47の留保財産が選ばれたことは大変ありがたいと思います。

 次に考えなければいけないのが、この資料の2ページの寄附と、相続人不存在の不動産について、国庫帰属をどう受け入れるかということです。対象不動産の規模や形状といった個別的な条件が留保財産のときと同じようにあると思います。それについては、今、受け入れの条件等の検討はどのような状態にあるのでしょうか。お伺いします。

〔 木村国有財産業務課長 〕 昨年の答申でこの寄附と死因贈与ですかね、こちらも答申をいただきまして、通達を作るべく準備は進めているところではございますけれども、将来の引き取り手のない不動産の発生の抑制といった意味では、この所有権放棄という制度が今法務省を中心に政府全体として話し合われているところですので、どうしても制度と調整を図らなきゃいけないとか、そういうところが大分出てくると思いますので、そこの調整を図りながら今後やっていくということでございますので、今のところ、どの段階で出しますとか、どういった状況ですとか、申し訳ありませんが、今申し上げられる状況にはないというところでございます。

〔 緒方臨時委員 〕 分かりました。

〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。

〔 滝澤臨時委員 〕 短い質問1つと、マクロ経済学者として1つコメントさせていただければと思います。

 質問なのですけれども、資料1-1の3ページ目にあります空き家・空き地バンクに物件情報を掲載されているということですけれども、こちら、どのぐらい掲載されて、どのくらい応札があったかということ、大体の数字で結構ですので、教えていただければと思います。

 もう1つ、感想なのですけれども、こちらの資料1-1の3ページ辺りですね、普通財産の管理処分に係る見直しに関連することなのですけれども、御承知のとおり人口減少で、今後も引き取り手のない不動産が増えていくことが予想されておりますけれども、マクロの土地の取引件数を見てもやはり減少傾向にありますし、都市部であっても東京以外は取引件数は横ばいとなっている状況で、今後、GDPが急成長するとか、人口が増加するとかがなければ、東京以外の都市部でも減少の可能性があるではないかと思います。

 ですから、今後、情報発信とか売残り財産の再評価などもちろん大事になってくると思うのですけれども、売却の促進を図りたいということでしたら、需要がこういう状況ですので、需要者のインセンティブに働きかけるような、長期的にはインセンティブに働きかけるような取引のハードルを下げるような政策が必要になってくると思います。

 具体的には、人々がモノやサービスを需要するときはコストを考えますので、土地の場合も土地の資本コスト等を下げるような政策も検討していく必要があるのではないかなというふうに思いました。

 私からは以上です。

〔 小林分科会長 〕 ただいまの件に関していかがでしょうか。

〔 木村国有財産業務課長 〕 御質問いただきました空き家・空き地バンクに──掲載件数というのは、日々、大分登録しておりますので、ちょっと手元にないのですけれども、先週末確認いたしましたところ、既に3件がこのサイトを見て入札に参加して売れましたということになっている状況でございます。

 コストの件につきましては、またいろいろと、今後、所有権放棄の財産とかが出てくると思いますので、引き続きいろいろ勉強させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 いろいろありがとうございました。この答申に対するフォローアップ、各先生からいろいろな御意見を伺いましたが、これ、やはり案件がこれだけ出てきたということは結構なことなのだけど、ハイライティッドのところというのは大体皆さん興味を示されるところで、実は私もこの駒場はよく知っているのだけど、ガードは低くて、道は狭くて、どうしようもないところなのですよね。したがって、この宿舎を取り崩して大土木工事をやらないと、こういう複合施設はなかなか難しいと、これは私の感想ですけどね。

 ことほどさように、大きく言えば、やはり国の需要、国に裨益するということ、それが第一にあるべきだし、その次に地方公共体ということだと思うのですね。そうなったときの今度は横軸のグレードですね、福祉がいいのか、商業がいいのか、はたまた国策がいいのかね。その辺も御意見ございましたので、よく吟味しながらさらに進めていただくということで、よろしくお願いしたいと思います。

 このフォローアップに関しては、とりあえず本分科会としては了承いたしまして、さらに続けていただいて、また適当なタイミングで取りまとめて御報告いただくということにいたしたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。


〔「異議なし」の声あり〕


〔 小林分科会長 〕
 ありがとうございました。

 それでは、本日はここで5分間の休憩といたします。


〔休  憩〕


〔 小林分科会長 〕
 それでは、後半、始めます。

 続きまして、庁舎等使用調整計画についてであります。

 本日、資料2-2をもって財務大臣から財政制度等審議会に諮問がなされております。当分科会での了承をもって財政制度等審議会の了承がなされたものといたします。

 それでは、内容を事務局から説明願います。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 国有財産調整課長の波戸本でございます。よろしくお願いいたします。着座にて失礼します。

 それでは、私のほうから、資料2-1をもちまして庁舎等使用調整計画について御説明していきたいと思います。

 本使用調整計画につきましては、昨年3月28日及び6月14日開催の当分科会におきまして、平成31年度分、令和元年度分といたしまして、4件の事案を諮問して御了承いただいているところでございます。

 今回、本諮問に追加する形としまして、2件の議題として資料2-1を説明いたします。

 まず、表紙をおめくりいただきまして、資料の1ページ目をお願いいたします。

 1ページ目ですが、高松港湾空港工事事務所第二庁舎の使用調整計画でございます。

 こちらの庁舎につきましては、現在、高松港湾空港整備事務所──これはピンク色のところにございますが──が入居しております。

 ここにつきまして、今回、令和2年度に、本事務所が高松港湾空港合同庁舎、別のところに移転することになっておりまして、これに伴って空くスペースにつきまして、高松出入国在留管理局の審査部門、こちらを入居させるというものでございます。

 この黄色いところが期待しております行政効果でございます。本管理局につきましては、出入国管理及び難民認定法の改正に伴う外国人の受入れに関する在留管理・支援体制の強化等のために人員増を予定しておりまして、そのため、現行のままでは、既に狭隘なのですが、さらに狭隘になってしまうということが見込まれておりまして、この使用調整によりまして狭隘解消を図るといったものでございます。

 なお、当該庁舎につきましては、借受けしている土地の上に建つ国設の庁舎でございまして、この資料の左下の注2にございますように、平成28年2月に策定いたしました庁舎等使用調整計画におきまして、この高松港湾空港整備事務所がこの庁舎から移転することに伴って土地の借受けが解消になる見込みでございました。しかしながら、この管理局が当該庁舎に入居するといったことになりまして、この土地は引き続き借受けをすることになります。この点、平成28年2月に御了承いただきました使用調整計画の変更になるということでございます。

 この変更ということでございますが、この次のページの赤枠を御覧いただければと思いますが、今申し上げましたとおり、借受けを解消しないといったような形に変更になるということでございます。

 続きまして、3ページ目を御覧いただけますでしょうか。これは大阪合同庁舎(第1号館・第2号館・第4号館)の使用調整計画でございます。

 全体像について表したのですけれども、こちらは令和4年度に、この左側にあります大阪第6地方合同庁舎が竣工する予定でございまして、これに伴いまして、近隣の各合同庁舎に入居する各官署、これらが第6合庁に移転することに伴いまして各庁舎に空きスペースが生じることになるわけですが、これを有効活用するというものでございます。

 まず、第6合庁につきましては、これは新たに──ちょっと字が小さくて恐縮ですけれども、近畿地方整備局、近畿管区行政評価局、大阪航空局、近畿管区警察局、大阪法務局、近畿公安調査局の6官署が入居する予定になってございます。そのうち、近畿地方整備局でございますが、これは1号館から、近畿管区行政評価局が第2号館から、大阪航空局等が第4号館から移転することになりまして、そういった意味で、本使用調整の計画の対象となる庁舎が、これら第1号館、第2号館、第4号館となります。

 この1号館の空きスペースに、第2号館及び第4号館から移転する官署を含めまして、この赤い矢印、あるいは赤い文字で記載された各官署が入居する予定になっております。それから、第2号館の空きスペースに、この青い字で記載された各官署が入居すると。さらに、第4号館の空きスペースには、2号館から移転する官署を含めまして、緑の矢印で記載された官署を入居させるという案でございます。

 詳しくは、その次のページを御覧ください。第1号館の使用調整計画でございます。

 この赤いところにありますように、現在、第1号館に入居しておりますのが近畿地方整備局等なのですが、これらにつきまして、まず近畿地方整備局は第6合庁に移転しまして、近畿農政局につきましては、監査結果を踏まえて事務室を縮小するといったことでございまして、これらの結果、約7,180平方メートルの空きスペースが生じることになります。

 この空きスペースに大阪国税不服審判所及び大阪国税局の一部を移転させることによりまして、隣接する3号館に入居するこういった大阪国税局の狭隘解消を図ると。また、大阪矯正管区を第2号館等から、あるいは近畿経済産業局を第1号館第2別館から移転・集約させることによりまして、庁舎の分散解消を図ろうといったものでございます。加えて、一番下にあるのですけれども、近畿地方整備局、大阪港湾・空港整備事務所、これらが借受け庁舎から移転することになりまして、こういった面で借受け庁舎にかかる財政負担の軽減にもつながるといったものでございます。

 なお、下段の注で記載しておりますが、共用会議室(約2,820平方メートル)のうち約1,650平方メートルにつきましては、今後、第3号館の工事の仮庁舎として活用する予定でございます。

 続きまして、5ページを御覧ください。第2号館について御説明いたします。

 現在、第2号館に入居している近畿管区行政評価局が第6合庁へ移転することなどによりまして、約3,190平方メートルの空きスペースが生じることになります。

 この空きスペースに大阪労働局を借受け庁舎などから移転させることによって、借受け解消も図りますし、また、自衛隊の大阪地方協力本部を第2号館別館から移転することにより庁舎の分散解消を図ると。加えて、近畿中部防衛局につきまして、これは2号館の入居官署でして、事務室を拡張することで狭隘解消を図るといったようなものでございます。

 次の6ページを御覧ください。4号館についての御説明でございます。

 現在、第4号館に入居しております大阪航空局等が第6合庁に移転すると。あるいは、大阪矯正管区が第1号館へ移転するといったことによりまして、約3,150平方メートルの空きスペースが生じることとなります。

 この空きスペースに大阪労働局を借受け庁舎から移転させることによりまして借受け解消を図ると。また、近畿財務局等について、移転・集約化しまして、庁舎の分散解消を図ろうとするものでございます。さらに、大阪管区気象台につきまして、事務室を拡張することによりまして狭隘解消を図ると。加えて、大阪保護観察所等について、事務室拡張による狭隘解消や、ワンフロア化もうまくできまして、それにより業務の効率化を図るといったものを意図するものでございます。

 7ページ目以降は参考資料となりまして、8ページ目に今回の使用調整に伴います借受け解消などによる財政効果を表してございます。

 中ほどの合計(2事案:4庁舎)でございますが、ここにお示ししておりますとおり、借受け解消の取りやめとなってしまうところがございますので、この点につきましては年額で400万円の財政負担増となります一方で、借受け解消では2億7,400万円の負担減となるといったような全体像となってございます。

 この別冊になっております資料2-2が、会長からもありましたように、諮問の本体でございますが、内容につきましては、今2-1で御説明したとおりでございますので、説明は省略させていただきます。

 私からの説明は以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、本件に関しましての御意見、御質問あればお願いします。

〔 山内臨時委員 〕 すみません、全く質問がないようなので、事前通告済みの質問を確認させていただきますが、高松空港については、御承知のように、コンセッション事業ということで民間の運営に移管したわけでありまして、やっぱり運営ですので、この事務所、整備事務所ですから直接関係ないことはわかっているのですけれども、それも含めて、一般にコンセッション等によって民間に移管することによって、庁舎等、これについての空きスペースが出るのかどうか、そういう影響があるのかどうか、そんなことについて伺いたいと思います。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 ちょっと質問の趣旨が……。すみません。

〔 山内臨時委員 〕 この工事事務所の使用調整についてはこれで結構なのですけれども、コンセッション等によって国の事業が民間に移る、それによって庁舎等もスペースが影響を受けるのかどうかですね、そういったことについて御質問申し上げたいということであります。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 本事業について言いますと、コンセッションによって、今回の変更によって人員の変更等はございませんので、そういう意味で空きスペース等については影響はないと、そういうふうに承知しております。

〔 山内臨時委員 〕 ありがとうございました。

〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがですか。

〔 野城臨時委員 〕 この使用調整につきましては、もうこのとおりで私はいいと思います。

 事前説明にいらっしゃった事務局の方に申し上げたのですけど、ちょっと一応申し上げさせていただきます。毎回毎回、使用調整を拝見していると非常に大変で、数ある、また煩雑な業務をされているというように思っております。今、よくデジタルシティーだとか、ビルディング・インフォメーション・モデルなどといった言葉が聞かれるようになっております。簡単に言えば、図面情報と管理されている帳票類をリンクしてどちらかを変えれば図面情報も変わる、あるいは図面を変えれば帳票が変わるといったようなことが比較的オープン・ソフトウエアでできるようになってきております。また、この使っているスペースなどの状況も、今360度カメラが大変安価になってきておりますので、これをどこかのベンダーにお願いすると大変なお金になってしまいますけど、むしろ職員側の方々が360度カメラとオープンウエアを使って現状のデジタル画像を作成し共有することの現実感をかなり増してきております。中長期に、もう少し皆さんの業務改善、あるいは業務の効率化のためにも、また、非効率に使われているスペースをあぶり出すためにも、そういったデジタル化ツールを導入することを、検討願えたらということを、ちょっと今日は意見だけ申し上げます。すぐにというわけではございませんけれども、検討に上げていただけたらということで、あえて発言させていただきます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、ただいまの「庁舎等使用調整計画について」を了承することに御異議ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。


〔「異議なし」の声あり〕


〔 小林分科会長 〕
 それでは、御異議ございませんので、当分科会として了承とすることといたします。

 最後に、所有者不明土地等に関する検討状況について、事務局から説明を願います。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 引き続きまして、所有者不明土地等に関する検討状況について御説明いたします。

 資料の3を開いていただければと思います。

 まず、表紙をおめくりいただきまして、1ページ目を御覧いただければと思います。政府全体の取組みといたしまして、昨年6月に決定いたしました骨太の方針2019でございます。

 ここにおきまして、2020年までに必要な制度改正の実現を目指すなど、期限を区切って対策を推進するとなってございまして、下段にありますが、関係行政機関の緊密な連携の下、政府一体となって取り組んでいくため、これ、平成30年1月なのですけれども、関係閣僚会議が設置されまして、法務省、国土交通省、これは財務省も含まれますが、関係省庁により関係法制の整備、検討を行ってきている状況でございます。

 2ページ目をお願いいたします。こちら、今申し上げました骨太の方針の抜粋でございますので、説明は省略させていただきます。

 次に、3ページ目をお願いいたします。

 こちら、国土交通省、法務省における検討状況を記載しておりまして、まず、国土交通省につきましては、国土審土地政策分科会企画部会が昨年末に土地の適切な利用・管理促進策等に関する中間取りまとめを公表されております。その中で、人口減少に対応した土地基本法等の改正の内容、あるいは新たな土地政策の方向性というものを提示されておりまして、これを受けて、土地基本法の改正法案、これは今通常国会に提出されておりまして、今後、3月中をめどに御審議される予定だと聞いております。

 下段の法務省ですけれども、こちらは法制審議会民法・不動産登記法部会におきまして、本年1月10日なのですけれども、民法・不動産登記法改正に係る中間試案、こちらを公表されておりまして、3月10日を期限にパブリックコメントを受け付けているという状況でございます。その中では、相続登記の申請の義務化であるとか、一定の要件の下で土地所有権の放棄を可能とする制度、あるいは、長期間経過した場合に遺産分割を合理的に分割する制度の創設などが検討されているということでございます。今後の日程としましては、パブコメ終了後、さらに法制審のほうで議論を深めると。その上で、本年中に民法・不動産登記法の改正法案を国会に提出する予定になっております。

 4ページ目から8ページ目なのですけれども、これは本年1月31日に、持ち回り開催だったのですけれども、先ほど申し上げました関係閣僚会議に報告された資料になります。

 4ページ目が全体の対策推進のための工程表でございまして、ちょっと字が細かくて恐縮なのですが、一番右の2020年という欄がございまして、この欄に土地基本法であるとか、民事基本法制の見直しをこの2020年の中で実現するといったようなことが記載されております。

 5ページ目以降が、先ほど概略を御説明しました、国交省、法務省の取組みについての資料になります。

 5ページ目を御覧ください。こちらは国交省が提出した資料になります。

 5ページ目の上段につきましては、土地基本法の改正内容、下段につきましては国土調査法、併せて国会に提出されているわけですけれども、これらの法律の改正内容が記載されております。

 まず、土地基本法なのですけれども、これはバブル期の急激な土地高騰を背景にしまして平成元年に制定されました。当時は土地の登記抑制であるとか、適正かつ合理的な土地の利用の確保、これが重要課題だったわけですけれども、今は人口減少の進展であるとか土地利用ニーズの低下といったような状況の変化がございまして、これを背景とした所有者不明土地であるとか管理不全土地の増加への対応が喫緊の課題となっているという認識になっております。こうした問題に対応するために土地所有者等の土地の適正な「利用」「管理」に関する責務を明確化するといったような方向で土地基本法の改正が提案されているということでございます。

 下段は、国土調査法の改正なのですが、これまで土地の所有者の方が不在、不明な場合では、1筆ごとの土地の境界であるとか面積などの調査なのですが、この地籍調査というのが進まないという問題がございました。所有者が不明な場合でも地籍調査が円滑かつ迅速に行えるように、諸般の改正が検討されているところでございます。

 次に、6ページ目を御覧ください。こちらが国土審がまとめた新たな土地政策の方向性の概要になっております。

 ここでは、この枠の2つ目の丸にあるのですけれども、土地政策の全体像につきまして、地域の活性化を進める中で土地の需要の創出に努めることであるとか、所有者による適正な土地の管理を促すことなどによって、この土地政策の全体像を再構築する必要があるといったような指摘になっております。

 そういった観点から、この新たな土地政策の方向性について、マトリックスにありますように既に利用されている土地・不動産と、低未利用の土地・不動産、これを分けて、管理・利用・取引の形態に即してきめ細かく政策対応していこうといったような趣旨の提言がございます。

 続きまして、7ページ以降が、法務省によりまして、今パブリックコメントをかけられている民法・不動産登記法改正に係る中間試案についての資料になります。

 検討課題としては、先ほど御説明したとおりですけれども、例えば下段に、所有者不明土地の発生を予防するための仕組みといたしまして、相続登記の申請の義務化などに言及されておりますし、次の8ページ目を御覧いただきますと、土地の所有権の放棄、赤枠で囲っておりますけれども、そういった記載がございます。遺産分割の期間制限などもここで記載されております。

 もう1つの類型としましては、既に所有者不明となってしまった土地についても円滑・適正に利用するための仕組み、これが必要だということで、ここにありますように、共有関係にある場合の制度設計の見直し、あるいは財産管理制度の見直し、あるいは相隣関係の見直しといったような論点も掲げられているところでございます。

 続きまして、9ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらが法制審議会で取りまとめられた、先ほど来申し上げています、民法・不動産登記法等の改正に関する中間試案そのものと、あと、これと併せて公表されております法制審の事務局による補足説明の土地所有権放棄制度に関する部分についての概要説明となります。

 すみません、前段の中間試案というのは、かなり法律改正の、法律の条文に即したような形での取りまとめとなっておりまして、事務局のほうで、これについての補足説明ということで、議論の背景が説明されておりまして、併せて公表されていて、パブリックコメントの検討材料になっているということでございます。

 それで、まず、制度設計に当たっての考え方、一番上の箱なのですけれども、まず、土地所有権を放棄できるかということにつきまして、現行法上、民法上、必ずしも明らかではないと。このちょっと細かい米のところに、民法239条2項とあるんですが、所有者のいない不動産は国に帰属するとあるのですけれども、その土地の所有者が積極的に放棄できるかということについては現段階では明らかではないということになっております。

 そういう状況の下で、この赤字にあるのですけれども、現在適切に管理されている土地が将来管理不全状態になることを防止するであるとか、相続による所有者不明土地の発生を抑制するといったような政策的な観点からは、新たに土地所有権放棄制度を創設するといった方向で検討してはどうかということでございます。ただ、次に青字でありますように、もっとも、土地の所有権放棄ということにつきましては、本来所有者が負担するべき土地の管理コストの他者、あるいは国への転嫁であるとか、将来所有権を放棄するつもりで土地を適切に管理しなくなってしまうのではないかと、こういったモラルハザードが発生するおそれがあると。こういったおそれがあるため、一定の要件を満たす場合にのみ、土地の所有権の放棄を認める方向で検討すると、こういうふうにされております。

 この要件というのがその次の四角にありますとおり、法制審の中間試案に掲げられておりますが、この黄色で塗られている部分の①から⑤になります。

 1番目については、土地の権利の帰属に争いがなく筆界が特定されていると。この土地の権利関係が明確であるということです。

 2番目が、土地について第三者の使用収益権や担保権が設定されておらず、また土地所有者以外に土地を占有する者がいないと。こういった第三者の権利であるとか占有がないといったことが明確であるということ。

 3番目ですが、現状のままで土地を管理することが将来的にも容易な状態であること。例といたしまして、ここにありますが、例えば建物や土地の性質に応じた管理を阻害する有体物が存在しないことなどが挙げられております。

 4番目が、土地所有者が審査手数料及び土地の管理に係る一定の費用を負担することとなっております。

 5番目として、土地所有者が相当な努力が払われたと認められる方法により土地の譲渡等をしようとしてもなお譲渡等をすることができないこと。例として、民間市場で売却を試みたことなどが挙げられてございます。

 この資料にはないのですが、御参考までに、この土地所有権放棄につきましては、土地基本法の見直しに関連して国土審においても検討がなされておりますので、御紹介したいと思います。具体的には昨年12月の中間取りまとめの中に記載されているのですけれども、土地の適正な利用・管理を確保する観点からは、第一次的には所有者が一定の責務を果たすことが求められるのだと。したがって、所有権放棄というものは、必ずしもこういった観点から問題解決に資するものはない。ただ、所有者が責務を果たすのが困難な場合には、近隣住民、地域コミュニティ、行政がおのおの責務や役割を認識して、新たな主体による利用・管理に努めることが重要であるといったようなことが指摘されております。その上で、なお、新たな利用・管理主体が存在しないと、こういった場合については、土地の管理には国民負担が発生し得ることも踏まえつつ、一定の条件を満たす場合には、最終的に国が当該土地の所有権を取得する手続を設けるといったことを検討する必要があると、このような整理がされております。

 法制審の事務局補足説明には、この国土審の議論に言及しつつ、この中間試案においては、土地の管理コストの国への不当な転嫁やモラルハザード発生のおそれに鑑みて、試案に掲げる要件を全て満たすときに限って土地の所有権を放棄することができるとしておりますが、国土審の指摘は中間試案と同様の問題意識に基づくものと考えられると、このような整理がなされております。

 最後に、一番下のオレンジ色の部分において、所有権放棄の手続のイメージをお示ししてございます。

 まず、所有者のほうで土地を譲渡するなどの努力、一番左側なのですが、していただくと。それでもなお譲渡ができなかった場合に、公的審査機関に放棄の認可申請をしていただくということになっているわけでございます。その後、まず、審査機関がその土地に関する情報を地方公共団体や国の管理担当部局に提供すると。例えば地方公共団体がその土地が欲しい、使いたいといった場合には、所有者の方と直接贈与契約締結のために交渉していただくといったような機会を設けております。地公体がこの土地は要りませんということであれば、審査機関で要件を審査して、要件を満たしていれば当該土地は放棄が認められまして、結果として国庫帰属が行われると。その上で管理担当部局が管理していくことになるといった手続の流れが想定されております。

 以上のとおり、法務省、国交省を中心に所有者不明土地対策が検討されております。ただ、関係審議会には財務省としてもメンバーとして出席させていただいております。土地所有権放棄制度の創設を含めまして、我々としても、政府全体の検討に参加するとともに、政府全体の検討状況を踏まえて、さらに国有財産行政としてどのような対応をすべきか、することができるのかといった検討も進めてまいりたいと、そのように考えてございます。

 私からの説明は以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明につきましての御意見、御質問ございましたらどうぞ。

〔 川口委員 〕 詳しい説明、ありがとうございます。

 1つ質問です。9ページの最後のところです。こちらの審議会、国有財産分科会では、放棄する場合の要件で③の(例)のア、更地であれば受け取れる可能性があるということだと思うのです。答申との関連で考えますと、寄附で受けられるんじゃないかと思います。ただ、法制審のほうでは、土地所有権放棄というちょっと理解し難いことを定めようとしているので、その整合性を図るために、国有財産分科会では③の(例)アのようなものが出てくる。本来であれば寄附で全部済むと思っているのですけれども、受け入れる場合には、管理コストがかからないもの、そういう理解でよろしいのか、もっと積極的に考えなければいけないのかどうかということを教えていただければと思います。

 また、もう1つコメントです。もともと土地基本法というのは地価を抑制するために作ったもの。現在の問題は、財産を保全するというようなことを土地の所有者に義務づけない限り、国民が土地の資産価値を保全するようなことに向かわない。プロパティマネジメントするとか、そういうようなことを明確に打ち出していただいて、法務省のほうは、相続の登記に不備があるわけですから、その不備をなくせばこの問題は解消されると思います。

 したがって、我々としては、更地を寄附していただくというのが基本だと思います。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 御質問ありがとうございます。

 前段の御質問については、なかなか、ある意味悩ましい面もありまして、先ほど業務課長、木村のほうからも、まだその寄附受けについての、要件について、この放棄制度を見ながら設定していくという話がありました。そういう意味で、この制度とどういう関係にあるのかということについて、ちょっとよく検討していかなくてはいけないなと思います。そういう意味で、まさに委員御指摘の関係性について、まさに答えを出すのはこれからかなと思っております。

 2つ目の土地基本法なり、あるいは各省のその他の施策でいろいろやっているのではないかというところにつきましては、御指摘、実はごもっともな面があると思います。例えば国土審の議論では、資料5ページを御覧いただければと思うのですけれども、上段の土地基本法の改正のポイントのところで、先ほど私、黒丸の1つ目に焦点を当てて御説明しました。「『利用』『管理』に関する責務を明確化」とありますけれど、その2つ目の丸に、土地の適正な「利用」「管理」を促進する観点から国・地公体が講ずべき施策があるのだということで、実は、責務を、やってくれやってくれだけじゃなくて、国としても地公体としてもこういうことをやるということをセットで定めております。

 したがって、これがうまくかみ合っていけば、この放棄制度であるとかは本来要らないものかもしれません。それはまさに先ほどありました国土審の提言にありましたように、放棄というのは必ずしも国土管理には資さないのだという発想で大きな枠組みができております。ただ、現実としては、こういった責務を明確化して、さらに国や地公体がこれをしっかりとできるように支援するのだという施策を設けてもなお取りこぼれるところがあるのではないのかということを念頭に、言わばラストリゾートとして、放棄制度を設けるということで完結するのではないかということで全体像を捉えています。

 そういう意味で、法制審の議論も、例えば、相続の際に登記されなくなって2次相続、3次相続と進む中でさらに所有者が分からなくなってしまうということがありますので、特に相続の際には登記を義務化すると。その代わり、簡易な登記制度の創設であるとか、登記コストを軽減する方法とか、そういうのも考えていきましょうと、セットでやっておるのですけれども、やはりなおこぼれ落ちているところがあるのではないかということで、この制度が検討されていると。

 この制度というのは、所有者がきちんと自分が管理していくという制度を前提にしたラストリゾートであり、あるいは登記制度がしっかりと整っていくことを前提とした制度であるといったような位置づけだと理解しております。

 以上でございます。

〔 川口委員 〕 御回答ありがとうございます。

〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。

〔 大久保臨時委員 〕 ごく基本的な質問で恐縮なんですけれども、この9ページ目の④の審査手数料とありますけれども、これは具体的にどんな審査に関わる手数料なのか。

 それから、土地の管理に関わる一定の費用と、その一定の費用というのは具体的にどんな費用を指すのかというのを教えてください。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 お答えします。

 まず、この審査手数料ですが、これはこの公的審査機関が放棄の認可申請を受けてその審査を行うに当たってのコスト、手数料だと承知しております。

 この土地管理に関する一定の費用というのは、これは、実際、国庫帰属が起こった場合に、管理部局、国が負担するわけですけれども、その際に、所有者の放棄される方に、その方が本来負担していたはずである管理コストといいますか、それについて払っていただくと。ただ、実際どのぐらいになるかというのはまだこれからの議論かなと思っております。

〔 大久保臨時委員 〕 その際の管理というのは、例えば固定資産税とか、そういうことですか。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 そこのあたりもですね……。

〔 大久保臨時委員 〕 草刈りとか、そういうこと。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 それもあると思います。

〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。

〔 緒方臨時委員 〕 質問が遡って申し訳ないのですが、ちょっと説明をさせていただきたいと思います。

 資料1-1で寄附のことを質問して、今どういう検討状況なのかというのをお聞きしましたけど、私の質問の仕方が悪かったので真意が伝わらなかったと思います。寄附とか相続人不存在の土地の国庫帰属について、資料1-1の2ページで「政府全体の検討とあわせて、引き続き検討」と記載されていますので、政府の他の審議会、委員会あたりで議題の1つとして取り上げられて検討されているのですかと、お聞きしたかったのです。資料3の9ページを見ると、そうでもないようですね。川口先生が9ページ③のアが寄附で対応できるのではないかとおっしゃったので、法務省の審議会で寄附ということが検討されたのかなと思いましたが、そういうことは検討されていないということですか。

〔 波戸本国有財産調整課長 〕 それは特段ございません。

〔 緒方臨時委員 〕 ないということで承知いたしました。

 議長、続けてよろしいですか。

〔 小林分科会長 〕 どうぞ。

〔 緒方臨時委員 〕 この所有権の放棄制度というのは、法律的には重大なことだと思います。専門ではありませんので内容について意見を申し上げるのは差し控えますが、所有権放棄制度は今の時代にぜひとも必要な制度設計ではないかと考えます。高齢化が進む中で、現在適切に管理されている土地が相続などを機会に所有者不明となり管理不全に陥るということを防止するためにと、9ページの一番上の箱に書いてありますけれども、こういったことのために土地の所有権放棄制度を設けるということは、極めて重要な意義があると思います。

 最後に説明がございましたけれども、土地基本法の改正で、新たに今度明確化される土地の管理責任ですね。今までの土地基本法は、土地の適正利用だけをうたっていましたけれども、適正利用と併せて、適正利用と管理責任を新しく入れてくるようになりましたので、こういった土地の管理責任が土地の所有者にあるという考え方は、この所有権放棄制度を支える上でも、表裏一体となった制度設計になっているのではないかというふうに考えます。

 この観点から言えば、所有権放棄を認めるに当たって、9ページの一番上の箱のところとか、あるいは9ページの中の③に放棄の要件が書いてあります。所有者が本来負担すべき管理コストを国に転嫁させたり、あるいは所有者がリスクの高い土地の管理をしたくないから所有権放棄をするというふうな、モラルハザードに近いことを発生させないために、こういう厳しい要件をつけるというのは当然のことだと考えます。

 したがいまして、この法制審議会が取りまとめた中間試案は、所有権放棄制度というのはある意味画期的な制度であろうと思いますが、これは現代の社会的要請に対応するものとして、改正土地基本法でも新たに掲げられています土地所有者の管理責任とか、国民負担といった観点からも、極めてバランスが取れたいい制度設計になっているのではないかと考えます。

 私はもうこれをぜひ進めていただければ、土地の利用は公共の福祉が優先するという、そういう土地基本法の目的の1つが実現されていくのではないかと思います。よろしくお願いします。

〔 小林分科会長 〕 ほか、いかがでしょうか。

 いろいろありがとうございました。

 今の緒方先生がおっしゃったような、時代──この昔の法律ができたときは、本当にバブル防止でできたと私も思うのだけど、やっぱり相当土地を持った者がハッピーだという前提で来ているので、やっぱり今大分時代が変わりましたので、その辺を踏まえてこういう御審議をしていただくのは大変結構なことだと思います。

 我々の審議会としては、これはどっちかというと、この法律の行方を見ながら出てきた財産をどう扱うかということで、これ、やっぱり法律のまとめ方によってはいろんなものが出てくる可能性はあるわけですな。だから、その辺を踏まえて、一律フラットな、よき管理をされたものだけが出てくるとは限らないと。そういうときに今度我々の運用としてどうやっていくかということは、必ずこれは議題になりますよね。ですから、パッシブな立場ではあるのだけれども、その辺も注意して、こういうところに時々意見を言わせていただくということがよろしいのではないかと思います。

 それでは、いろいろ御意見ありがとうございました。ただいまの御意見等を踏まえまして、国有財産行政の充実に向けて取組みを進めていっていただきたいと思います。

 それでは、以上で議事を終了いたします。

 何かこの場で御意見、御質問ございましたら。よろしゅうございますか。

 本日は、長い間ありがとうございました。

 これをもちまして国有財産分科会、終了とさせていただきたいと思います。

 次回の財政制度等審議会国有財産分科会の議題等詳細は、事務局から御連絡させていただきます。

 なお、本日の議事録等につきましては、後日、財務省ホームページに掲載いたします。

 また、この後の記者レクは事務局にて対応いたします。

 本日は、御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

午後4時50分閉会