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国有財産分科会(令和元年5月22日開催)議事録

 

財政制度等審議会 第46回国有財産分科会 議事録
令和元年5月22日
財政制度等審議会

財政制度等審議会 第46回国有財産分科会 議事次第

 

令和元年5月22日(水)14:58~16:51
共用第1特別会議室(中央合同庁舎第4号館11階)
 1.開会の辞
2.財務副大臣挨拶
 3.議事
  (1)分科会長の互選について
  (2)分科会長代理の指名
  (3)分科会の運営方針について
(4)今後の国有財産の管理処分のあり方について
(5)平成30年度国有財産監査の結果について
 

4.

閉会の辞

 配付資料
 資料1財政制度等審議会国有財産分科会運営関係資料
 資料2今後の国有財産の管理処分のあり方について―国有財産の最適利用に向けて―(案)
資料3今後の国有財産の管理処分のあり方について―国有財産の最適利用に向けて―(概要)(案)
資料4

普通財産の管理処分に係る見直しについて(参考資料)(案)

 資料5行政財産の維持管理に係る見直しについて(参考資料)(案)
 資料6平成30年度国有財産監査の結果
(参考1)平成30年度監査結果一覧表
(参考2)平成23~29年度監査における指摘事項のフォローアップ状況等

 出席者

       委員

  亀坂 安紀子 

 

 

 

   川口 有一郎

 

 

           小林 健

 

    

   佐谷 和江

 

 

           横溝 髙至 

 

    

 

 

 

 
              臨時委員  大久保 恭子

 

   

 
                       緒方 瑞穂

 

   

 
           児玉 平生

 

  

 
   滝澤 美帆

 

 

 
    林田 晃雄

  

  

 
   持永 勇一

 

 

 
    野城 智也

  

  

    山内 弘隆

  

  

       専門委員  林 正和

 

 

 

 

 

 
        財務省    うえの 財務副大臣  

  

  

 
              可部  理財局長  

  

  

 
              富山  理財局次長  

  

  

 
    井口  理財局総務課長

 

    

 

   嶋田  理財局国有財産企画課長

 

 

 

              柴田  理財局国有財産調整課長 

  

  

 
   明瀬  理財局国有財産業務課長

 

 

 

   金森  理財局管理課長

 

 

 

   佐野  理財局国有財産企画課政府出資室長

 

 

 

   細田  理財局国有財産調整課国有財産有効活用室長

 

 

 

   木村  理財局国有財産業務課国有財産審理室長

 

 

 

   永井  理財局国有財産調整課国有財産監査室長

 

 

 

   三好  理財局管理課国有財産情報室長

 

 

 

   山家  理財局企画官

 

 

 

   瀬川  理財局国有財産企画官

 

 

 


午後2時58分開会

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 それでは、まだ定刻には時間がありますが、委員の皆様おそろいでございますので、ただいまから財政制度等審議会第46回国有財産分科会を開催いたします。

 本日は、御多用のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。

 本分科会の庶務を担当しております国有財産企画課長の嶋田でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、本分科会の会長の選任を行っていただきますが、分科会長選任までの間、私が議事の進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 分科会の開催に伴い、うえの財務副大臣から御挨拶をいただきます。よろしくお願いします。

〔 うえの財務副大臣 〕 皆さん、こんにちは。委員の皆さんにおかれましては、御多用のところ御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。

 平成29年の12月に諮問をされました今後の国有財産の管理処分のあり方につきましては、昨年9月以降、分科会及びワーキングチームで御検討を行っていただいたところでございます。本日の分科会では、これまでの検討の取りまとめとなる答申案につきまして御議論を頂戴したいというふうに思っております。また、このほか平成30年度の国有財産監査の結果についてもあわせて御説明をさせていただきたいと思います。

 皆様から忌憚のない御意見を頂戴いたしますようにお願い申し上げまして、簡単ですが、御挨拶といたします。

 本日はどうぞよろしくお願いいたします。

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 ありがとうございます。

 次に、分科会長の互選に先立ちまして、委員の皆様を御紹介させていただきます。

 平成31年4月1日付で国有財産分科会の委員に御就任いただきました皆様は、お手元の資料1の1ページの名簿のとおりでございます。

 私から、本日御出席の委員の皆様を、委員の皆様から見て右手から順に御紹介させていただきます。

 林正和委員でございます。

 野城智也委員でございます。

 林田晃雄委員でございます。

 児玉平生委員でございます。

 大久保恭子委員でございます。

 佐谷和江委員でございます。

 川口有一郎委員でございます。

 亀坂安紀子委員でございます。

 小林健委員でございます。

 横溝髙至委員でございます。

 緒方瑞穂委員でございます。

 滝澤美帆委員でございます。

 持永勇一委員でございます。

 山内弘隆委員でございます。

 ただいま御紹介申し上げました委員のうち、大久保委員、滝澤委員は今回初めての御就任でございます。よろしくお願いいたします。

 また、本日は御都合により御欠席されておりますが、法政大学の荒谷裕子法学部教授、立教大学の角紀代恵法学部教授が委員に就任されておりますので、御紹介申し上げます。

 なお、事務局の紹介は省略させていただきますので、配付しておりますお手元の配席表にて御確認をお願いいたします。

 それでは、議事を始めさせていただきます。

 初めに、分科会長の互選でございます。財政制度等審議会令第6条第4項におきまして、「分科会に、分科会長を置き、当該分科会に属する委員の互選により選任する」こととされております。

 分科会長の選任につきまして、御意見がございましたらお願いいたします。

〔 川口委員 〕 僣越ではございますけれども、小林委員は、経団連の副会長を歴任されるなど各方面で御活躍されている御実績もあること。また、これまで国有財産分科会長として今後の国有財産行政のあり方の検討を含め、この2年間、会の運営を円滑に進めていただいており、様々な課題について建設的な議論をリードしていただいていること。これらの2点から、引き続き継続した議論を進めるために、小林委員を国有財産分科会長に推薦したいと思います。

〔 緒方臨時委員 〕 私も川口委員と同様に、小林委員に分科会長をお願いするのがよいと思います。小林委員は、これまでの国有財産の管理処分をめぐる議論や経緯についても熟知されておられます。また、引き続き今後、国有財産の有効活用などの課題について検討を進めていく必要がございますし、長らく民間企業の舵取りを担われており、これらの知見や経験も大変豊富であることから小林委員が最適任だと思いますので、国有財産分科会長に推薦いたします。

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 ありがとうございました。ただいま、川口委員、緒方委員から小林委員を分科会長に推薦する旨の御提案がございましたが、皆様いかがでございますでしょうか。


〔「異議なし」の声あり〕


〔 嶋田国有財産企画課長 〕
 ありがとうございます。委員の皆様の御了解がございましたので、小林委員に国有財産分科会長に御就任いただくことが決定いたしました。

 小林委員は分科会長席にお願いいたします。


〔小林分科会長、分科会長席に着席〕


〔 嶋田国有財産企画課長 〕
 それでは、小林分科会長から御挨拶を頂戴したいと存じます。なお、この後の議事進行は小林分科会長に進めていただきます。それでは、分科会長、よろしくお願いいたします。

〔 小林分科会長 〕 ただいま皆様から御推挙いただきました小林でございます。国有財産分科会長を引き続き務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 国有財産行政に対する様々な要請を踏まえまして、今後の国有財産行政の方向性について、一昨年から皆様と積極的に議論してまいりました。答申の取りまとめを行うところまで参った次第であります。また、答申あるいはその成果を得た後も審議すべき様々な課題があろうかと思います。今後とも委員の皆様には活発な御議論をいただき、当分科会の運営に御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

 それでは、今後の議事進行は私が務めさせていただきます。

 まずは分科会長代理の指名であります。財政制度等審議会令第6条第6項に基づき、「分科会長に事故があるときは、当該分科会に属する委員及び臨時委員のうちから分科会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。」ということになっておりますので、分科会長代理を指名させていただきます。

 分科会長代理は、引き続き横溝委員にお願いしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

 次に、分科会の運営方針につきまして事務局から説明を願います。

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 それでは、分科会の運営方針について御説明申し上げます。当分科会の運営につきましては、お手元の資料1でございます。資料1は、分科会の委員の名簿のほか、分科会運営に関する規則等をまとめたものでございます。この中で情報公開等に関する部分を中心に御説明申し上げます。

 まず、資料9ページを御覧ください。資料9ページの議事規則第6条におきまして、「会議又は議事録を速やかに公開することを原則」としております。当分科会では、議事の公開につきましては、議事要旨及び議事録を会議後にインターネットに掲載することとさせていただきます。

 なお、議事録の公開に当たりましては、出席委員等の皆様には、事前に議事録の内容を確認していただきますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 また、資料14ページを御覧ください。資料14ページの「国有財産分科会の議事録等の公開について」にございますとおり、この第2段落ですね。配付資料につきましても、「分科会等の目的、任務に照らして議決により公開しないことを定めたもの、又は公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあるもの若しくは特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがあるもの」、こうしたものを除きまして、原則として公開することとされておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、資料15ページを御覧ください。平成29年12月に引き取り手のない不動産に関する問題など、社会・経済環境の変化に伴う国有財産行政の諸課題につきまして、専門的・技術的な事項を検討していただくため、国有財産分科会にワーキングチームを設置することとし、それ以降ワーキングチームにおいて活発な御議論を賜ってまいりました。

 今後とも機動的に専門的・技術的な事項について御検討を賜る必要もあろうかと思いますので、その存置を何とぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 ただいま事務局から説明のありましたとおり、引き続きワーキングチームを設けるということで、皆様、よろしゅうございますか。


〔「異議なし」の声あり〕


〔 小林分科会長 〕
 ありがとうございました。御異議ないようでございますので、引き続きワーキングチームを設けることにいたしたいと思います。

 次に、ワーキングチームの委員の中から座長を選出させていただきます。座長は引き続き緒方委員にお願い申し上げます。

 また、座長代理については、緒方座長から座長代理の指名をお願いできればと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

〔 緒方座長 〕 ただいまワーキングチームの座長に御指名をいただきました緒方でございます。ワーキングチームにおきまして様々な課題について専門的・技術的な検討を必要に応じて行ってまいりたいと存じますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 なお、ワーキングチームの座長代理には、これまで同様、引き続き川口委員にお願いしたいと存じますので、川口委員、何とぞよろしくお願い申し上げます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、ワーキングチームの座長には緒方委員、座長代理には川口委員ということで引き続きよろしくお願い申し上げます。

 それでは、議事を進めさせていただきます。

〔 林田臨時委員 〕 1点よろしいでしょうか。今、議事の公開についての原則、速やかな議事録の公開というのがありました。私、ほかにも幾つか審議会をやっておりますけれども、どうもこの国有の審議会の議事録の公開が遅いのです。ですので、いろいろとお忙しいとは思いますけれども、速やかにという原則を守っていただきたいというお願いでございます。

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 ありがとうございます。拳拳服膺してそのように努めたいと思います。よろしくお願いします。

〔 小林分科会長 〕 ちなみに、速やかというのはどれくらいのタイミングでしょう。

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 今、大体3カ月ぐらいですね。

〔 小林分科会長 〕 3カ月ですか。林田さんがおっしゃっている速やかというのはどの程度でしょう。

〔 林田臨時委員 〕 省庁にもよりますけれども、1カ月以内に出しているところも結構あります。速やかというと、イメージとしては1カ月ぐらいなのかなという気がするんですけれども、これは感じ方の問題と、あと事務量の問題もあって、働き方改革などもありますので、そこはお任せします。そんな感じです。

〔 小林分科会長 〕 御意見、ありがとうございます。それでは、そういうことで、3カ月をなるべく縮めて、1カ月に近づけるべく努力をするということで、ひとつよろしくお願い申し上げます。

 それでは、引き続きまして今後の国有財産の管理処分のあり方について、これは昨年9月以降、分科会及びワーキングチームを開催しまして検討を進めてまいりました。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、長期間にわたり御議論いただきまして、誠にありがとうございました。

 本日の分科会では、これまでの検討の取りまとめになる答申案について御議論をいただきたいと思います。

 それでは、事務局からまず説明をお願いします。

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 それでは、私から答申案の中身を、答申案そのものは資料2でございますが、大部にわたりますので、概要の資料3に沿って御説明申し上げたいと思います。資料3を御覧ください。

 まず、資料1枚目、「今後の国有財産の管理処分のあり方について」とタイトルに書かれた資料の上段の枠囲みを御覧ください。前回答申をお取りまとめいただいたのが平成18年でございます。それ以降、国有財産をめぐる状況が大きく変化しております。こうした点につきまして答申案でも冒頭で触れさせていただいているところでございます。

 具体的には、まず①ですが、社会経済情勢の変化がございます。人口減少や少子高齢化が一層進んだことにより、介護・保育の必要性の高まりや引き取り手のない不動産への対応といった新たな課題が顕在化しております。また、真ん中ですけれども、国民の価値観の多様化、働き方や家族のあり方等の変化も進んでまいりました。この結果、例えば地域活性化の一つをとりましても、各地域の置かれた状況によって中枢都市間の連携とか集落機能の維持、あるいはコンパクトシティ化といったように、その取組みも多様化してきております。したがって、国有財産に対する地域社会のニーズも多様化してきていると思われます。また、災害リスクへの備えの重要性が強く認識されるようになったということも大きな変化であろうと考えております。

 その一方で、この間、国有財産をめぐる状況も大きく変化してまいりました。まず、物納財産の減少や庁舎・宿舎の跡地処分の進展が進み、未利用国有地のストックが大きく減少しております。また、財政状況が厳しい中、庁舎の老朽化が進み、庁舎・宿舎に求められるニーズも大きく変化しております。

 こうした状況を踏まえ、分科会、それからワーキングチームにおきまして、今後の国有財産行政について積極的に御審議を賜ってまいりました。

 答申案では、見直しの大きな方向性を3つの観点から整理しております。これをまとめたものが資料の下段の囲みでございます。まず①でございますが、多様化する地域・社会のニーズにしっかりと対応すべく、国有財産の一層の有効活用を図っていくという点。次に、②として、行政目的で保有する国有財産につきましては、災害対応等の今日的な課題も念頭に必要性を見極め、的確に維持管理を行っていくべきという点。それから、③として、今の世代だけではなくて、将来世代にも裨益する形で収入を得、管理コストを効率化するとの国有財産管理の一層の効率化という点。こうした多面的な視点から国有財産の最適利用を進めていくというのが今回の答申案のキーメッセージだと思っております。

 それでは、資料を1枚おめくりください。これまで御議論いただきました内容につきまして、答申案では、それぞれの論点と見直し内容としてお示ししております。

 まず、普通財産についてでございます。資料左側の「国有財産の更なる有効活用」と書かれている囲みを御覧ください。まず御議論いただいてまいりました課題ですが、大きな点といたしまして、未利用国有地のストックが減少する中で、こうした財産を処分して現在世代のみのために費消し尽くすのではなく、将来の地域・社会のニーズに備えていく必要があるという点。それから、2つ目の白丸ですが、こうした課題に対応する方策として定期借地権の活用が考えられる。その用途は、現在、介護・保育等に限られておりますが、この用途につきまして地域・社会のニーズの多様化に対応していく必要があるという点。こうした点をお示ししております。

 こうした課題を踏まえた管理処分の見直しについて、そのエッセンス部分を下段の2.見直しの内容に記させていただいております。

 1点目が留保財産の選定についてでございます。まず、地域にとって有用性が高く希少な国有地は、これを留保財産として、国が所有権を留保した上で、地域や社会のニーズを踏まえて、定期借地権による貸付により活用を図ることとする。さらに、この留保財産の活用に当たっては、介護・保育といったぐあいに用途を限定することなく、民間へのヒアリング等を行い、しっかりと事前調査によってニーズをくみ上げるとともに、地方公共団体からも意見を聞いて利用方針を策定する。そういったことを掲げております。

 また、定期借地権による貸付の手続等についての見直し内容につきましては、留保財産以外の財産についても、介護・保育施設の整備促進の観点から、これらと他の施設の複合施設のための貸付も可能とすること。それから、公共随契の対象施設以外を含む施設整備の場合には、二段階一般競争入札により相手方を選定すること。

 それから、米印、若干字が小そうございますが、長期の期間リスクを国が負うことになることから、貸付相手方の事業の適切な運営確保のためのモニタリングを強化していく。こうした点を答申案において記させていただいております。

 次に、資料右側、「引き取り手のない不動産の発生の抑制に向けた対応」と書かれた枠囲みを御覧ください。課題でございますが、大きな点といたしまして、まず最初の白丸、所有権放棄といった所有者不明土地問題の検討が政府全体で進められる中で、引き取り手のない不動産への国有財産行政における当面の対応として寄附等が考えられる。こうした検討なり対応を行うに当たっては、国民負担やモラルハザードに留意する必要がある。また、引き取り手のない不動産を国が引き受けていく場合には、財産的価値の乏しい不動産のストックが増加し、管理に多額の費用を要する財産や売却困難な財産の増加が見込まれる。こうした点を答申案に盛り込ませていただいております。

 こうした課題に対する主な見直しの内容は、資料の下段でございます。まず、不動産の寄附につきましては、引き取り手のない不動産に関する問題として、一定の資産価値があり、売却容易な不動産で、適切に管理が行われているものについて寄附を可能とする。それから、相続人不存在の場合には、清算後の残余財産が国庫に帰属されることになるということでございますが、こうした財産が所有者不明の土地となることを回避するとともに、先行き国庫に帰属する可能性のある財産を把握していく。そうした観点から、一定の要件のもとで、相続人がいないと見込まれる方と死因贈与契約を結んでこうした不動産を引き受けていく仕組みを設ける。さらに、管理コストの削減のために、国が保有する必要のない財産について積極的に情報発信や買い手探索を行うといった売却促進を行う。また、保有している財産につきましても、貸付を進めたり、管理委託について受託者や対象財産の拡大を図ってコスト低減に取り組むといった点を盛り込ませていただいております。

 1枚おめくりください。次に、行政財産の維持管理に係る見直しについてでございます。

 まず、左側の枠囲みでございますが、行政財産の有効活用についての課題と見直しの内容でございます。

 課題でございます。行政財産を地域や住民に使っていただく使用許可の枠組みがございますが、現状、駐車場など比較的短期の限定的な利用にとどまっております。こうした点を改善して地域のニーズに応え、また国としても収入を得ていくことのために、主な見直し内容として、使用許可制度や活用可能な国有財産の情報を積極的に発信する。それから、使用許可期間を柔軟に設定できるように制度の見直しを行うといった提言を盛り込ませていただいております。

 次に、資料左下、庁舎でございます。答申案にございます主な課題は、まず地方に所在する庁舎につきましては、組織の統廃合で余剰スペースが存在する。その一方で、地方公共団体では、将来の人口減少などを見据えて様々なまちづくり計画を策定している。国有財産の最適利用の観点を踏まえまして、こうした取組みと連携していくこと。それから、中央官衙地区とその周辺においては、庁舎が不足し、民間借受けにより対応している。こうした課題を踏まえた見直しの内容といたしまして、地方の庁舎につきましては、入居官署に求められる耐震性能に着目することなどで的確に入れかえ調整を行うとともに、地方公共団体との間で情報共有を図り、相互の官署が相互の庁舎に入るなど、既存庁舎の徹底活用を図る。また、中央官衙地区周辺などについては、再開発により取得した権利床を庁舎として活用するといった点を答申案に盛り込ませていただいております。

 それから、上段の右側でございますが、国家公務員宿舎についてでございます。国家公務員宿舎は、平成23年度より実施された削減計画によりまして、28年度までに約5.6万戸、住宅数にして約半数にした上で、売却により復興財源などとして、当初予定されていた額1,700億円を大幅に上回る2,939億円の財源を確保し、計画が達成された状況にあるということでございます。その上で、足元の課題として、地域間で宿舎の需給のミスマッチがあること。さらに、都心部におきましては、災害時などにおけるBCP体制を確保するといった観点から適切に宿舎を確保する必要があること。また、独身用や単身用の宿舎が不足する一方で、世帯用宿舎に余剰が見られるといった規格のミスマッチが生じていると思われること。それから、宿舎の老朽化が進む一方で、予算が限られているために、専ら建築年次に着目した現行の改修方法のままでは将来使用可能な宿舎戸数の減少が見込まれるといった課題を答申案に記しております。

 こうした課題を踏まえての見直しの内容としては、宿舎需要の変化を見極めながら、地域間や規格間のミスマッチの解消、それから老朽化への対応を進めるといった方向性で検討を進めていくこととされております。具体的には、地域の需給のミスマッチの解消のために、趨勢的に宿舎が不足している地域では借受けまたは建設によりこれを確保するとともに、供給過多となっている地域では、残すべき宿舎を見極めた上で余剰となっている宿舎を廃止する。また、災害時などにおける初動体制確保のために、居住資格等を設けた上でBCP用宿舎の確保に向けた検討を進める。さらに、建築年次だけではなくて、立地や需要等の個々の宿舎の状況をきめ細かく見た上で、予算配分を行って、計画的、効率的に改修を進めていく。こういったことを答申案において含めさせていただいております。

 私からは以上でございますが、引き続き業務課長より、定期借地権に関連して留保すべき財産の基準について、実務を担う財務局に確認した結果、これまでの分科会等における御説明と異なる部分が出てまいりましたので、御説明申し上げます。よろしくお願いします。

〔 明瀬国有財産業務課長 〕 国有財産業務課長の明瀬でございます。私から留保財産に関する選定基準の考え方につきまして、先ほど嶋田課長から話がありましたが、財務局と意見を調整した中で、少し考え方を変えさせていただければと思っておりますので、その内容を説明させていただきます。

 参考資料の4と書いてございます、「普通財産の管理処分に係る見直しについて(案)」の21ページをお開きいただければと思います。21ページには、「留保財産の選定基準の考え方:規模」と書いてございます。具体的に「見直し内容(案)」とありますが、これは規模と地域も書いてございまして、下の丸に、「これらを踏まえ」として、東京23区等の人口集中地区については1,000平方メートル以上、その他の各地方の経済・行政の中心となる地域における人口集中地区については2,000平方メートル以上を留保財産として選定すべきであるとしております。

 地域基準に該当する各地方の経済・行政の中心となる都市につきましては、地方自治法において、政令指定都市でございますとか中核市というような考え方があると思われます。先般、分科会で御議論いただきましたときには、政令市についてはその一部を地域として選定していたり、また中核都市についても一部選定していたところでございました。政令市につきましては指定されている法令要件とか実質要件として既存指定市と遜色のない都市形態とか機能を備えていることとされておりますので、政令市については、財務局との議論の結果、全て選定してはどうかというようなお話がございました。

 次の22ページに具体的にございますけれども、政令市については、この中の考え方としては、全て入れることとさせていただければと思っているところでございます。また、北陸局と四国局と沖縄局には政令市がないということもございますので、そのような場合には地域の中心都市ということで、金沢市、高松市、松山市、那覇市などを挙げていただいたということでございます。

 さらに、22ページの下の米印にございますけれども、今回、DID地区という考え方を入れさせていただきました。これは、政令指定都市の中には、合併などにより、地区で見ると人口が少ないような地区もありましたので、人口集中地区(DID地区)も併せて地域の選定基準に含ませていただいたところでございます。

 また、規模について御議論いただいたときには、首都圏や近畿圏の周辺の都市には3,000平米以上の基準を設けていたのですが、該当するものがございませんでしたので、こちらは基準として示さないこととしております。

 なお、ここは地域・規模の目安でございますので、具体的に留保の財産につきましては、個別事情を勘案いたしまして、該当しても、例えば接道が悪いとか有効活用がなかなか難しい財産については留保するものから外すものもございます。一方で、個別状況の中でかなり有効活用できるような土地については、地域・規模の目安に入っていなくても選定するとさせていただいているところでございます。

 答申の具体的な記載につきまして、資料2の7ページをお開きいただければと思います。7ページの真ん中のところに該当する留保財産として書いてございます。先ほど申し上げましたけれども、東京23区等の人口集中地区においては1,000平米以上、政令指定都市の各地方の経済・行政の中心となる地域における人口集中地区においては2,000平方メートル以上とさせていただいたところでございます。

 私からは以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、議論に移りたいと思いますが、今の答申案の中身を説明していただいたものを2つに分けて、答申案の資料2あるいはこのレジュメを御覧になって、「はじめに」の部分から「第2 普通財産の管理処分について」、資料2の15ページまで、まずその部分についての議論をいただいて、その後、「行政財産の維持管理について」でまた御議論いただくことにいたしたいと思います。

 それでは、「第2 普通財産の管理処分について」、レジュメで言いますと最初の2枚でございますか。その部分の内容について御意見、御質問がございましたらお願いいたします。

 これは今朝の朝刊だったか、起き抜けに見てびっくりしました。この御説明で、もちろんワーキングチームでいろいろやっていただいてこういう案をつくっていただいたということがありますが、そのもとは、今の社会情勢、経済情勢の変化、それから国有財産、我々が今までいろいろ、主に売却をメーンにやってきた。そういうことで大分成果は上がっている。その2つの部分を総合して、やはりこれから先に国有財産の有効活用からいうと、どういう形が一番ふさわしいかというものの中で定借というアイデアが出てきた。これは前回までの審議会の流れで皆さん御記憶かと思いますが、そういう流れでこういう案が出てきたということです。ということで、中身的には相当コンテンポラリーといいますか、現状に即した対応にはなっていると思います。御専門のそれぞれの見地からただいまの中身についての御意見、御質問をぜひ賜りたいと思いますが、いかがでございましょうか。

〔 亀坂委員 〕 これまでワーキングチームでもいろいろ意見を述べさせていただいた中で大変恐縮です。

 これまでずっと売却、売却で、国有財産のメルマガ登録とかいった制度までつくって売却したんですけれども、幾ら売ろうとしても限界に来ているのはそれこそ明らかだと私は思うんですね。そのような中で、例えば国会で幼児教育の無償化とか議論されていて、かつ、大津の保育園の園児の列に車が突っ込んでしまって園児が亡くなるような事態が起きている。国有財産に関して議論できる立場の人間としては、園庭のない保育園に母親が子供を預けるだけでも、一億総活躍社会の実現とか、女性の社会進出とかを後押しする意味では、私だったら園庭のない保育園に預けるだけでも心配で、仕事をセーブしようかとか、園庭のある保育園に入れるまで仕事を本当に休もうかとか考えてしまうわけです。

 例えば国の今の政権が力を入れている政策ニーズがあったときに、保育ニーズ、幼児教育の無償化とか、保育園の充実とか、女性の活躍推進というような政策を推進するときに、保育園を建設する用地とかに国有財産を提供できないか。今の状況だと、地方公共団体さんからの申し出がなければ使っていただけないわけです。ただ、保育園なんかは特に収益性重視で話をされると母親として非常に抵抗があるわけで、安心して子供を預けて働くためには、国有財産とかを地方公共団体に、収入面というか、幾らで売れるのかというのにこだわって提供するとかいったことにも問題があるんじゃないかと感じています。

 このため、今、国有財産として保有している量が絶対的に減少している中で、何か政策ニーズがあったときに、土地を提供するとか、あるいは地方公共団体さんで使っていただく。そういったニーズに応える分というのは最低限保有しているべきだ。あとは災害が非常に気になっていまして、最近のどこで起きるかわからないような災害続きの日本で、何か災害があったときに一時的に被災者の方に使っていただくとか、あるいは防災対策をしていただく。これ以上、国有財産が減ると政策対応ができなくなるんじゃないかと危惧しております。

 ですので、今売れ残っている分だけだと既に足りないような状況の中で、貸付とかにもうちょっと力を入れて、財政的には貸し付けることで、とにかく全部売るというのから、売却収入を得るというのから大きな方向転換をして、政策ニーズに応えていくことがもともと必要なのではないか。介護や保育のニーズもそうですし、あるいは地方の土地でしたら、地方のコンパクトシティとかの構想、地方創生とかいった政策ニーズに応えるためにも、これ以上は売却、売却というふうにしないで、留保していくべきではないかと全体として考えております。

 ですので、介護・保育も引き続き、幼児教育無償化とかいった政策、そういったニーズに応えるという意味でも今後も有効活用を図っていただきたいですし、大きな方針転換には大賛成です。

〔 緒方臨時委員 〕 本日の答申案のまとめにつきましては、分科会やワーキングチームでの検討の内容が十分反映されていると思いますので、このまとめの方向について全く異存はございません。

 ただ、ちょっと小さいことですけど、表現について質問したいと思います。9ページですけれども、留保財産の利用方針を確定するに当たってということで、ちょうど真ん中あたり、なお書きがあります。④のちょっと上の方ですけれども、「最適利用を実現するにあたり……制限を緩和する方向で地区計画の策定を求める等」。当然、制限を緩和する方向になると思いますが、場合によっては制限緩和と併せて制限強化する、ということもあるかもしれないと考えます。

 例えば容積率の制限を緩和するかわりに建蔽率はちょっと強化する。そのことによって、今の敷地が幅員6メートルの道路に接面しているところ、建蔽率を強化することによって、敷地をセットバックしてその部分だけは幅員8メートルの道路に接道するようにできるとか。そういったことが行われるようにするためには、単に制限を緩和するだけではなくて、制限を変更するという表現は適切ではないかもしれませんが強化できるということも必要だろうと思っております。ここのところはもう一度事務的に検討できるのかどうか、お願いしたいと思います。

 それから、次の10ページですけれども、上の方の(ⅲ)のイのところです。ちょうど真ん中あたりで「基本的に利用用途の制限を設けず」とあります。当然そうだろうとは思うんですけれども、利用用途の制限を設けないということは、都市計画法上の用途地域の用途に合致していれば何でもいいということですよね。何でもいいという言い方はちょっと行き過ぎかもしれませんけれども。そうすると、事業遂行能力だけを審査するだけで十分なのかしらと思います。事業遂行能力だけではなくて、事業施行者の属性というものはどこで審査されるのでしょうか。一般競争入札を実施するという、ここで審査されるのかどうか。私、不明なものですから教えていただきたいと思います。

 事業遂行能力だけだとすると、用途地域に合致しているのであれば、その地域にスロット・パチンコとか、あるいは特殊なDVDとか、特殊な本を売ったりする書店ができたり、そういった事業をする人たちは当然事業遂行能力は持っていると思いますが、そういう事業者の属性というのはどこで審査されるのだろうかと思いました。

 最後ですけれども、12ページの寄附のところですね。下の方の(ⅰ)のaの「相続税の物納の要件を満たす」というところで、3行目に「敷地面積が小さい不動産」と書かれています。これは処分が容易でないと懸念されるということですけれども、この敷地面積の小ささというのは地域によって全然違います。高度商業地域と、田舎の駅前の商業地域とは面積規模の感覚が違います。近くの例で言えば、銀座の裏通りでは30平米でも処分できますし、新宿の駅前では50平米もあれば容易に処分できる大きさですので、この面積規模要件というのは地域によって考えなきゃいけない。そういった記述も必要ではないかと思いました。

 以上3点です。よろしくお願いします。

〔 明瀬国有財産業務課長 〕 御意見、どうもありがとうございます。

 まさに緒方先生がおっしゃった御意見を踏まえて、表現ぶりは整理をさせていただこうかと思います。確かに制限は、緩和だけでなくて、ほかの方向も考えられるところでございますので、そこのところは対応したいと思います。

 あと、事業者の属性につきましては、二段階、そもそも入札参加の要件とかも定めてございますので、事業遂行能力の前というんですかね。そういう形で、その地域での、例えば反社とか、そういうものについては制限できるようになってございますので、もし可能でしたらそこも工夫ができればと思います。

 それから、寄附のところの規模の小さいというのはまさにそのとおりでございまして、ある街区なり、ある地域だと、この面積だと非常に処分しにくいとか、まさに地域ごとに判断すべきことでございますので、そこも少し表現を工夫したいと思います。

 どうもありがとうございました。

〔 野城臨時委員 〕 私もこの答申案には賛成でございます。レジュメにも引用されております、本文の5ページの真ん中の「このため、今ある国有財産を現在世代のみのために費消し尽くすのではなく、将来の地域・社会のニーズに備えるため、地域に一定程度の国有財産を確保しておく」、これは非常に歴史的な文言でございます。本日の新聞記事を私も拝見しましたけれども、こういうニュアンスがあまりない記事だったんです。ぜひいろいろな機会を通じて強調していただければと思っております。

 といいますのは、非常に歴史的な文言だと思います。70年ほど前に戦争が終わった後、さらに1940年ぐらいに東京駅から15キロぐらいに、公的な土地、財産と大土地所有の人たちが合意してグリーンベルトをつくることになったんですけれども、戦後の農地開放と公有地を当時の財政状況として売り払ったために、結果的に環状8号線を通すのに50年以上かかったという教訓がございます。そういう意味では非常に歴史的に重要な文言だと思うので、強調しておくべきだと思います。

 それで、答申案そのものに書き込む必要はありませんが、2点、この点について留意すべきことがあるかと思います。

 1つは、今例を挙げましたような道路計画とか、かなり長期にかかる支障が見通せるような計画が各地域にあるわけではないので、地域に一定程度の公共財産を確保する意味としては、地域の自治体を含めた関係者とビジョンを共有することが必要だということは、議事録には残していただきたい。

 そういう意味で、もう1つは、用途によってはニーズが発生するのがかなり早期にやってくる可能性もあるということで、定期借地権の年数設定については、その事情に応じて柔軟に年限を設定すべきではないか。例えば30年に設定したら、実際ニーズは10年で発生しますということがないように、そこを合理的に考えるべきということは議事録ぐらいには残しておいていただいた方がよろしいかなということで、あえて申し上げておきたいと思います。

 

〔 うえの財務副大臣退室 〕

 

〔 川口委員 〕 資料2の3ページの最後の段落です。方向性というのが①から③、最後に最適利用という言葉がございます。私も答申案については賛成です。

 それで3点ほど申し上げたいんです。売却一辺倒から少し方向が変わる。一般には理解が難しいところがあるかもわかりませんけれども、基本的に、まず1点は、民間で考えた場合に、保有か売却かというのは、不動産経営の比較優位性があれば保有した方がいい。なぜなら、売却以上の、例えば貸付ができるのであれば、それは経済的には保全した方がいいから。そういうこともあって、昔は、国が管理しているものは民間に比べて効率性が低いと言われてきたんです。この10年ほど、20年ほどですか、そういったことを指摘されたこともあり、管理の効率化を進め、また最適利用に舵を切っているわけです。そういう意味では、民間に引けをとらないような取組みがなされてきたということだと考えています。申し上げたいことは、普通財産の保有、売却については、管理が効率的になされていれば、それを民間に売却する理由はほとんどない。

 1つあるのは、3ページにあります、野城先生から今ありました「歴史的な文言」。税外収入を獲得するためと言われてきたのですけれども、これはよくよく考えてみるとおかしなことです。土地を国有化している国は、それでもって財政が安定しているわけで、国の土地を売って財政の健全化に役立つというのは、私たちもちょっと見逃していた、誤解があったんではないかと。特にリーマン・ショック以降、セーフティアセットというものが非常に見直されてきまして、その中に土地があるんですね。そういうことを考えますと、世界的にも、この土地というもの、今回は希少性と呼んでいますけれども、そういう意味では大きな見直しの中で、これまでの取組みの経営の効率性を目指し、普通財産については最適利用をしていくということでもって、本当に売却すべきものは売却するけれども、そうでないものは保有し続けながら有効活用していく。このことをうまくPRといいますか、伝えていく努力はこの答申に基づいて必要だろう。

 それからもう1つ、今後の課題として感じていますのは、国有財産六法を読みましても、普通財産と行政財産、その中で私たちは議論してきたんです。今申し上げたことであるとか、それから留保財産の中に、先ほども議論がありましたけれども、規模が小さくても水資源等、そういう資源の観点からは保有すべきだろう。そうしますと、普通財産とか行政財産には入らない第三の国有財産のアセットクラスがどうもありそうだ。その一つの具体例が引き取り手のない不動産といったことで浮上していると思いますけれども、この点は今後の課題かと思われます。そういったものを全て包含した形で①、②、③になっているというんでしょうか。これをうまく国民の皆さんに伝える努力が必要だと感じます。

〔 横溝委員 〕 引き取り手のない不動産の関係で、資料2の12ページの表現です。不動産の寄附の関係で、従来、わずかながらではあるけれども、実績がある。しかしながら、こうなんだということですけれども、実際、引き取り手のない不動産が増加している。これについて、方向性としてはどういう方向で考えているのかがちょっと明確でないのかなと感じているわけです。その以降の書き方が、こういう制限を加える、こういう制限を加える。結局、引き取り手のない不動産は国が寄附を受けないんだという方向性に読まれてしまうという感じもしないでもないので、寄附は従来実績があった。今後、引き取り手のない不動産の問題を解決するためには、受ける方向でも検討の余地がある。ただ、こういう問題があるので、こういう要件を満たさないといけないんだというふうな持っていき方にしていった方が、もう少し国も考えていますよという姿勢が示せるのかなと思うんです。

〔 林田臨時委員 〕 私も、概要で説明があった、有用な国有財産については留保していくという方向性については賛成いたします。

 この本文の方ですけれども、やはり幅広い国民の方に読んでいただきたいと思っておりまして、そのためにちょっとお願いなんですが、政府の文書はどうしても一文の文章が長いんですね。非常に読みづらいなという感じがします。全部言っても始まらないので、例えば「はじめに」のところだけで申し上げますけれども、3パラ目、「国有財産に関する課題のうち」とあって、終わるのが6行下の「取りまとめを行った。」まで一文が続いております。これだと、読む方は胃もたれを起こしてしまうと思います。

 ですので、例えば「国会での質疑において様々な指摘がなされたほか」、「ほか」とかいうのは結構くせ者です。もう1つは、次のパラでいきますと、「方向性が示されたところであり……ところである」と、「ところであり」が2つある。こういう接続詞がいっぱいある文章というのは非常に読みにくいので、短文化をして読みやすくしていただけたらとお願いしたいと思います。

 もう1点、ついでながら申し上げます。今挙げました3パラ目のところの「大阪府豊中市所在の国有財産の処分事案」、これは森友学園のことでしょうか。であれば、森友学園のことだというのを一般の人にわかるように書かないと、何か当分科会が忖度をして森友学園の言及を避けているかのように思われてしまうのではないかという気がします。森友のものであるならば、それは一般の国民の方にわかるように、やはり一般の方が読むのだということを考えて書いていただけたらと思いました。

〔 滝澤臨時委員 〕 私、新参者ですので、既に十分に議論がなされていたら申し訳ないと思いますが、コメントと質問を1点ずつさせていただければと思います。私自身の専門はマクロ経済学ですので、マクロ経済学的な視点から少しコメントと質問をさせていただければと思います。

 今回、国有財産の更なる有効活用ということで、私自身は非常に新しい視点だと思いますし、望ましい方向性であると思います。コメントといたしましては、直近の日本銀行の金融システムレポートでも記載されておりますけれども、不動産業向けの貸出しの対GDP比が赤、つまり過熱方向でトレンドから乖離しているということがレポートされております。これというのは、個人による賃貸物件の建築が不動産投資をドライブしているということで、融資の対象としても非常に大きな存在になっているということだろうと思います。ですから、何を申し上げたいかというと、そういうことが将来的には大きなリスクになると考えられると思います。

 テレビCMなどで、土地の有効活用というのは非常に何か簡単なものであるような印象を受ける広告をしていますけれども、私自身、有効活用は望ましいとは思いますが、それは難易度を伴うものであると認識しておいた方がよいのではないかと思います。土地の利活用というのは御承知のとおり外部性がございますので、外部性を織り込んだ上で有効活用することが必要かと思いますし、そうした土地の利活用はどうあるべきか考える主体としてパブリックセクターの役割というのはやはり大きいと思います。ですから、外部性まで考慮してデシジョンを下せるというのは政府・財務省であろうと思いますから、非常に重い役割を担われているのではないかと思いました。

 非常に大きな質問で申し訳ないのですけれども、こうなってきますと、どうしたってアセットマネジメントという観点が入ってくるのではないかと思います。付加価値を生み出すための生産要素として土地は非常に重要なものであると考えられますので、どういうふうに最適配分していくかというのは今後の経済成長を占う上で重要なものだと思いますし、マクロ的な視点から将来を見越して、国有財産の利活用方法を検討しなければならないと思いますが、そうしたときに、どういった体制でアセットマネジメントされているのかというお話を伺えればと思います。例えば財務局は、もちろん各省庁とか地方公共団体と連携をとられていると思いますが、そうしたアセットのマネジメントという観点からどういうことを既に議論されているのか、あるいは御検討されているのか。簡単で結構ですので、お話しいただければと思います。

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 すみません。十分なお答えになっているかどうかというのは甚だ心もとないのですけれども、私なりの理解といたしましては、まず行政財産を効率的に使用することについては、地方公共団体との間でエリアマネジメントをしていこうと。それぞれの庁舎なりなんなりをつくる場合、別々に維持管理するのではなくて一緒にやっていきましょうといったことで、それぞれ協議会なりをつくり、両方ともこれはなかなか難しいんですけれども、それぞれの庁舎なりなんなりの建てかえの時期なりが合うものについては一緒にやっていきましょうというような話があります。

 それから、これは従来よりずっとやってきましたけれども、実際に普通財産を処分するときにも、まずは公用公共用優先で、そういったニーズに対してお伺いして、そういうのがあればそういう用途に用いられる方に処分するようなことをし、その上で一般競争入札をしております。それが本当にどっちが効率的なのか。一般競争入札によって民間セクターに渡る方が効率的だという考えももちろんあろうかと思いますけれども、現状では、貴重な国有財産について処分するときは、まずはパブリックセクターのニーズ、行政需要を聞こうということになっております。

 今、答申案に含めさせていただいております定期借地の活用につきましても、まずは地方公共団体さんなりと一緒に、その計画なりなんなりをつくって、その際には民間の方のニーズも一緒に調査した上でそういうものをつくって、行政目的のパブリックセクター、公共的なもののニーズがあれば、そちらで定期借地をしたい。だんだんレベルが下がっていって、最後に民間セクターしか手を挙げる人がいないことになった段階で民間セクターに委ねたい。

 そういう格好で今運営しているということですので、果たしてそれがマクロ的に見て最適なものかどうかというのは全く自信がないのですけれども、現状はそうなっておりまして、新たな定期借地においても同じような考え方でやっていきたいと考えております。

〔 小林分科会長 〕 大体御意見は出ましたですかね。ありがとうございました。

 これは、ここまで来るのは結構大変で、今までの委員の方の御苦労のことで言いますと、今までは売却一辺倒で来たわけですよね。それを今度、社会性も含めて国の政策とマッチするようにある程度舵を切ろうというのが1つ。それから、舵を切るということで、将来いろいろなことを見ていると、結局、最後は国がどうしても面倒を見なきゃいけない部分があるわけですね。これは民間ではないような部分が結構ある。そのことはこの紙背に宿っているわけですが、捨てる同然で不動産を国に預けてしまうような形で、もう使いようがないような不動産が全部集まってくる部分もあって、それをどう仕分けして、どうやっていくかということも一つ相当な工数を食うことになるわけですね。

 何が言いたいかというと、やはり時代のニーズと、それから政策にある程度マッチするように、処分一辺倒から活用、定借というものに舵を切ることが大前提で、その理由は、先ほどどなたかおっしゃったような、将来の我々の後輩に対しての道を残す、資産を残すというところで、そこから先のテクニカリティはまだここに入っていないわけですね。これから何年にするとか、どういう仕分けをするとか、あるいは相手をしてもらう業者の属性なんていうのは、我々はもう懲りているわけですから、属性は本当によく調べてもらいたいとか、いろいろやることはある。

 まずは、何のためにこういうことをやるか。1つは、これをつくったことに対するアピールを十分やっていただいて、それから、この後の議論にもなりますけれども、いわゆる使い道のない不動産が必然集まってくるわけですね。それをどういうふうに管理して、どういうふうにカテゴライズしていくか。これは我々あるいは財務省さんの大きな役割の1つであります。そういうことと、それから、まだいい土地が残っていて、それを将来のためにキープするんだということとは相当違う業務になってこざるを得ない。その後者の業務は民間ではやる人がいないものが入ってくる。それをどうやっていくか。これは経済合理性だけでは全く計算し尽くせないところなので、この辺が国がやることのゆえんになるかと思います。

 そのようなことで、皆さんからいただいた御意見はまたこの答申に反映して、よろしくお願いします。

 それでは、続きまして答申案の16ページ以降、「行政財産の維持管理について」以降に関しての御意見、御質問をお願いしたいと思います。

〔 山内臨時委員 〕 前回のこの会議で、行政財産の維持管理についてもより効率的なということで、私は民間の知恵とかいったものを使えるような方策を考えたらどうかと申し上げて、恐らくそれについては18ページの下から3つ目の段落ですか、そういったところに反映していただいたのかなと思っております。

 改めて今回のこの答申を読ませていただくと、私の関心、それから意見としては、BCP対応の宿舎のところが重要かなと思っています。言うまでもなく、最近、平成の時代にはとよく言いますけれども、災害とか震災とか、かなりの程度のものが起きまして、国全体のリスク管理を改めて考え直さなければならないという認識が一般的にあるというふうに思っております。その中で宿舎については、これまでかなりいろいろな沿革、いきさつがありましたけれども、実は国としてちゃんとした機能をそういった危機管理のために果たすためには宿舎の役割は非常に大きいと言えると思っております。今回それに対応するようにBCP対応の宿舎について改めて考え直すのだと示されたことは、非常に重要なことだと思っております。

 そこで、その内容は、具体的には23ページあたりにBCP対応の宿舎について記述があるわけであります。内容的にはこれで正しいし、この方向だというふうに思っておりますけれども、個人的な感覚といいますか、意見を言わせていただくと、もうちょっと緊急感があってもよいのかなと思っています。例えば2つ目の段落のところで「BCP用宿舎の確保に向けた検討を進めるべきである。」と書いてあるんです。検討を進めるというのは、お役所の用語で言うと、その方向で行くということだとよくわかるんですけれども、事態はもうちょっと緊急を要しているという感じを持っております。

 それから、その下の文章も、それをつくるに当たっていろいろな配慮といいますか、そういったことが書かれていて、これまでの宿舎の経緯からするとこういうことを書くことの必要性はよくわかるのでありますけれども、何度も言いますが、もう少しこういったものの緊急性といいますか、アージェントであるということをわかるような形で表現していただければよろしいかなと思っております。

〔 佐谷委員 〕 行政財産の有効活用、18ページのあたりですけれども、現在の都市計画では、プレイスメイキングとかパブリックスペースのマネジメントということで、道路、河川、公園などのパブリックスペースをもっと活用して、それをコミュニティの核にして地域活性化を図っていくためのいろいろな取組みがされています。そのために、占用許可の緩和や、公園の中にPFIをどんどん導入しようというPark-PFIも進められています。行政財産自体がどうしてもみんなのものということで考えられると、みんなのものは誰のものでもなくて、誰も使わなくなるようなことになりがちで、それを変えていこうというのが現在の流れだと思いますので、適切に管理とか、お金を生み出すとともに、コミュニティの核として、まちづくりの核として、道路、河川、公園などを使っていくかということも見据えながら有効活用を図っていってほしいと思っております。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 これは、もちろんBCP対応、あるいは近場で宿舎を確保するあれですから、前に写真を見せてもらって、相当ひどいのばかりだったですよ。あれ、どうするんですかね。改修予算配分の優先付けとかいろいろありますが、あれは相当優先的に改修作業をしていかないと、宿舎の確保だけでは、入る人がいなくなるようなことにもなりかねないので、その辺の状況は今どうですか。

〔 柴田国有財産調整課長 〕 いろいろ設備の陳腐化の関係につきましては厳しい御指摘を各委員の皆さんからいただいたところでございますけれども、会長から今お話があったとおり、予算の関係などもありますので、陳腐化部分だけを取り出してどんどん直していくのはなかなか難しい状況かと思っております。答申案の中でも老朽化への対応ということで一つの大きな枠組みとして載せさせていただいておりますけれども、その老朽化の対応の中で予算の重点配分を行う。長期的に使っていく宿舎、そうでない宿舎を見極めて、メリハリのある予算配分をしていくという流れの中で、今後引き続き長期的に使っていく宿舎につきましては、もちろん様々な改修などもやっていく必要がありますので、そういったものの中であわせてしっかり対応していくような考え方を今回お示しさせていただいているところでございます。

〔 野城臨時委員 〕 今のBCPに関しまして、22ページから23ページの記述は含みがあると思っています。それは、今おっしゃった、今保有している宿舎を確保するだけではなくて、選択肢としては、供給は少ないですが、借り上げも含めて確保するというように読めると理解しているのですけれども、それでよろしいのか。あるいは、場合によっては、そういう意味では借り上げも含めて確保する。「借り上げも含めて」という文言を入れるべきなのか。もしそういう意図があるのだったらば、陳腐化したものに対する投資よりも、場合によっては借り上げてしまった方が財政上有利な場合もあり得ますので、どうだったでしょうか。私は、含まれているというふうに理解しているんですが。

〔 柴田国有財産調整課長 〕 BCPに限らず、宿舎の確保が必要な場合のやり方として、建替であったりとかがあるわけですけれども、その中の一つの選択肢としてはもちろん借受もあります。コスト比較をやった上で、そちらの方のメリットが大きいということであれば借受もしっかり選択肢として考えていくことになります。

〔 持永臨時委員 〕 コメントだけになりますけれども、これまでの分科会、ワーキングチームを含めて、今までの議論を非常に論理明瞭に、かつ首尾一貫してまとめていただいたと考えております。

 その中で、これだけの数多くの、少なくなってきたとはいっても、やはり国として保有される国有財産の利活用を進める中で、キーワードとして環境の変化をとらまえながら個々の状況をよく見極めて柔軟にやられるということです。かつ、公共サービスや地域ニーズ等を酌み取られる等、非常に多要件を踏まえながら、しかも環境変化をとらまえてということで、実は答申案としては非常によくまとまっていると思うのですが、この後の運用は、それこそ言葉は悪いですが、イバラの道です。それをまた中央省庁、財務省さんとして束ねていかれるのは非常に大変だろうなと、逆に今まで議論させていただいて思うところはあります。

 そこで、1つだけ確認したいです。答申案として非常に背骨の通ったすばらしい案になっていると思うのですけれども、今後、環境変化が生じてしまって、実は平成30年から令和元年を含めて議論したものが、もしかしたらこの答申案自体も見直さないといけないような状況になった場合にはどのような対応をされるのか。念のため教えていただけますでしょうか。

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 いささか仮定的な御質問になると思いますけれども、まさに平成18年の答申というのは効率性答申と俗に言われている答申でございます。そこは、例えば国のバランスシートを圧縮する。あるいは、宿舎の使用料なり、宿舎なり庁舎の配置を見直すことでどんどん効率化する。効率化一辺倒でやっておりました。

ところが、時代状況が変わって、国有財産の未利用国有地の数というのは、毎年売っていた額よりもストックの額の方が少なくなってきたような状況になり、かつ、新たなニーズとして、そういったものについても介護・保育とかいうものに使えないかということがあって、実際問題としては、あるいは地域との連携、先ほど滝澤先生がおっしゃっていましたように、マクロ的な最適解を考えなければいけないこともあって、エリアマネジメントというようなこともある。

 そういう中で、実際の行政対応はどうなったかということですけれども、まず地域との連携、それはエリアマネジメントで始まった。それから、定期借地による貸出しも、介護・保育という大きな政策的要請がある中で、そういうものを用途として始まったということがあって、変更する場合に、それぞれの必要性に基づきましたパッチワーク的な対応はその都度なされてきて、それは分科会でも御説明し、御議論いただいている部分も多々あろうかと思います。

 ただ、今回のように大きく変わった場合には、やはりまた新たな答申について委員の皆様に御審議をいただく必要があろうかと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。

〔 川口委員 〕 こちらの資料3の最後のページ、行政財産は、ワーキングチームでいろいろ議論させていただいて、やっぱり難しいなと思ったのは、この1ページを見ますと右側にミスマッチ、ミスマッチ、ミスマッチという言葉が出て、左側に庁舎の不足、これは中央と地方のミスマッチですね。結局、行政財産のマネジメントに関する一番大きな問題はこのミスマッチということで、不動産はハードなものですから、ソフトの対応には限界がある。今、分科会長の御指摘にありましたけれども、老朽化といいますか、機能の陳腐化を含めて、現場ではこのミスマッチで非常にロスとかコストが発生しているのではないかということです。

 できましたら、このミスマッチによってどんなロスが発生しているのかということを、コスト換算でもいいですけれども、少ししていただければありがたい。ソフトで限界のところはもう手がないということになりがちなので、一体どれだけの損失があるかを見極めた上で次の具体策に入っていくことが必要。短期的にこのミスマッチを解消するのは難しいけれども、非常に重要な問題であるというふうに感じておりますので、ネクストステップといいますか、どんな形で解消に向けていくのか。宿舎については公務員になりたいという人の人事等の魅力とも関係があると思いますので、具体的な道筋みたいなことでミスマッチの解消策を引き続き御検討いただければと思います。

〔 小林分科会長 〕 ほかはいかがでしょうか。

 今出していただいた御意見は、ある程度もう一回ここで練り直して反映して、それをもう一回皆さんに出すんですね。

〔 嶋田国有財産企画課長 〕 はい、メールなりなんなりで。

〔 小林分科会長 〕 それでは、よろしゅうございますか。今の話で、事務局で今の御意見、その辺をまとめて、さらに長くならないように。スローガンという言葉はあれだけど、やっぱり見出しは、こういう方向で行くというのは明確に出した方がいいですね。お役所としてはなかなか出しにくいのかもしれないけれども、これだけの方向転換をしたのだから、何のためにしたのかということ。それから、いろんなことをするのだけども、その中でのプライオリティはこれだということですね。それは情勢認識も含めて、その辺をうまくメディアの方にもまず理解してもらって出してもらうことが必要でしょうね。その辺、もう一度これを見直していただいて、見直し後に皆さんにメールで出して確認をしていただきますので、そのときまたよろしくお願いします。

 それでは、次の議事に移らせていただきます。平成30年度国有財産監査の結果について、事務局から報告願います。

〔 永井国有財産監査室長 〕 国有財産監査室長の永井でございます。よろしくお願いいたします。

 国有財産の監査につきましては、毎年度、当分科会におきまして結果を報告させていただいているところでございます。平成30年度の監査の結果につきましては資料6でございますが、こちらで御説明をさせていただきます。

 1ページを御覧ください。国有財産の監査につきましては、上段の枠にございますけれども、財務省におきまして、国有財産法等の規定に基づき、各省各庁が所管する国有財産について監査を実施しております。

 具体的には、基本的な方針を財務大臣が毎年度定め、その監査方針に従いまして財務局が計画を策定し、実施しております。

 平成30年度の監査結果につきましては下段の枠に記載させていただきました。平成30年度におきましては、国有財産の有効活用の促進などに主眼を置き、一定の地域または官署を特定した庁舎や、研修施設といったものにつきまして実地監査を重点的に実施したところです。

 ちなみに、研修施設につきましては、注書きに書かせていただいておりますが、会計検査院による検査報告や、参議院の決算委員会における決算審査措置要求決議を踏まえまして平成29年度から重点的に実施をしているところでございます。

 監査の結果でございますが、「監査結果の概要」に記載をさせていただきました。全国で518件を実施しております。そのうち、具体的な問題点としましては、庁舎等の非効率使用の改善の余地があるとか、借受けの解消、不要な財産の用途廃止といった点につきまして指摘しておりまして、その件数が135件。指摘の割合としましては26.1%でございます。

 下の方に「対象財産別内訳」とありますが、庁舎等につきましては、464件のうち指摘件数110件で、内容につきましては非効率使用の改善、余剰のある庁舎への移転です。

 2つ目の研修施設につきましては、44件を実施しまして、指摘件数は23件。指摘の内容としましては、他府省への貸出しですとか、財産管理の不備に対する是正を求めるといった内容になっております。

 最後に、公共用財産、これは港湾施設とか道路になりますけれども、非効率使用部分の用途廃止を求めたものでございます。実施件数は10件、指摘件数は2件といった結果となっております。

 ちなみに、監査の実施件数と指摘件数につきまして平成29年度の数字を申し上げますと、521件の実施に対して135件ですので、ほぼ前年同様の数字となっております。

 続きまして、2ページ目を御覧ください。2ページ目は、監査の結果、問題点を指摘しました135件につきまして、有効活用や用途廃止などといった指摘がどのような内容であったかというものを示した表でございます。上段の円グラフの合計欄を御覧いただきますと4つ書いてございます。1つ目は庁舎等の有効活用を求めたものが60件、約44%の比率になっております。2つ目に庁舎等の借受けを解消すべしといった指摘をしたものが20件、約15%です。続きまして、財産管理の不備、これは台帳の記載が不十分、あるいは土地の境界が不明確といったようなものでございますけれども、それが31件、約23%。もう1つは不要な財産・土地の用途廃止をせよといったものが24件、約18%といった割合になっております。

 ちなみに、平成29年度との比較で申し上げますと、下段の表の右側の合計欄を御覧いただきますと、件数と割合のところにそれぞれ括弧書きで記載しておりますが、ほぼ同じような数字になっております。

 当局としましては、これら135件につきまして、財産を管理する各省各庁に対しまして、指摘の内容に沿った是正、改善に向けた取組みを促進するよう、フォローアップ、指導をしていくこととしております。

 続きまして、3ページ目を御覧ください。3ページ目から5ページ目までは平成30年度に指摘した135件の中から代表的な事例ということで取り上げましたが、その中でも特に代表的な事例ということで3ページ目の事例を御紹介させていただきます。この事例は中国財務局の事案でございまして、広島市内の庁舎等の監査指摘事例でございます。具体的な内容でございますが、恐縮ですが、右側の監査対象財産の概要という枠に目を移していただければと思います。この事案につきましては大きく2つ、指摘の内容がございます。

 1つ目は、耐震性能を有した庁舎の確保及び非効率使用の改善といった内容でございます。具体的には、監査の結果、一番右側の②、広島法務総合庁舎につきまして、これは耐震性能としてはⅢ類の庁舎でございますが、こちらで約1,390平米の余剰の創出が可能であることが確認されたということであります。一方、左側の①広島合同庁舎でございますが、広島市中区に1号館から4号館まで4つのビルが集中して配置されている合同庁舎です。そのうちの4号館、耐震性能はⅠ類庁舎なのですが、入居官署の一つに広島矯正管区が入ってございまして、これはⅢ類の官署という指定がされてございますので、耐震性能にミスマッチが生じているところであります。さらに、周辺を確認しますと、③中国地方整備局港湾空港部がございますが、これはⅠ類の官署という指定を受けておりますが、市内の民間ビルを借受けしているという状況が確認されました。

 これらを踏まえまして、中国財務局では、まず②の広島法務総合庁舎の空きスペースに①の広島合同庁舎の広島矯正管区が移っていただき、移転後の空きスペースには、民間ビルを借り受けている③の中国地方整備局に入居していただくということで、それぞれ官署の耐震性能と庁舎の耐震性能が適合することと、広島法務総合庁舎の余剰スペースの解消につながるよう指摘をいたしました。

 もう1つは、①の広島合同庁舎の1号館から4号館までのそれぞれの余剰スペースを積み上げますと、1,240平米の創出が可能であることが確認されました。一方、広島市内には、合同庁舎の入居官署の車庫や分室で、合同庁舎に入れないということで、借受けしているものが確認されました。具体的には、左側の対象口座の④から⑩の7件につきまして、広島合同庁舎の1号館から4号館の余剰スペースに入居していただくよう指摘をしたものでございます。これらによりまして非効率使用の改善や借受解消につながるものでございます。

 ちなみに、本事案の指摘内容に沿った措置が全部とられた場合ですが、庁舎の借受料の削減額といたしましては、平成30年度の賃料ベース、年額でいきますと約9,000万円でございます。

 あと、4ページ目と5ページ目は東北財務局と北海道財務局の事例ですが、お時間のあるときに見ていただければ幸いでございます。

 続きまして、資料6の参考1を御覧ください。これにつきましては、指摘をいたしました135件を一件別に記載したものでございます。内容が大部になりますので、こちらは時間の関係から説明は省略させていただきたいと思います。

 最後に、資料6の参考2、フォローアップ状況という資料を御覧ください。

 まず、1ページ目を御覧いただければと思います。監査につきましては、国有財産の有効活用促進を目的といたしまして、平成23年度以降、書面を中心とした監査から現地における深度ある監査へと運用を改めさせていただきまして以降、充実強化に取り組んでいるところでございます。この資料は、現在の運用を開始いたしました平成23年度から29年度まで、1年前に指摘したものまでの今年度末時点における進捗状況のフォローアップ状況を取りまとめたものでございます。

 まず、上の枠の方を御覧いただきますと、監査指摘した事案につきましては、各省各庁におきまして是正・改善に向けて取り組んでいただいているところであります。ただ、処理に当たりましては、予算措置ですとか改修工事の実施、あるいは用途廃止の手続のため一定の期間を要することがございます。例示といたしまして、借受庁舎から合同庁舎に移転していただく場合には、どのスペースに入居したらいいのかなど入居官署との調整ですとか、レイアウト変更を伴うのであれば、その移転のための経費あるいはその工事が必要となります。また、用途廃止の指摘をしたものにつきまして、土地測量が必要な場合につきましては同じように測量経費ですとか工期が必要となります。また、境界確定が不十分であれば隣接地主の同意が必要となります。特に隣接地主に相続が発生しているような場合には結構手間取るようなケースも考えられます。

 こうした状況を踏まえまして、当省は、指摘事案の処理促進を図るため、毎年度定期的に是正・改善に向けた進捗状況を把握する取組みをしております。特に予算措置が必要な事案も結構ございまして、そういったものにつきましては各省各庁の予算要求の状況や、予算措置がされたのかといったことまでを把握する取組みをして、少しでも進捗させるような努力をしているところでございます。

 そうした結果、現在の状況でございますけれども、下段の表を御覧いただきますと、平成23年度以降平成29年度までに指摘をさせていただきました事案は、平成30年度末累計(A)という欄がございます。こちらでちょうど1,000件でございまして、そのうち是正済み件数、処理が終わったものにつきましては658件。進捗率は、指摘件数に対する是正されたものの件数の割合としまして65.8%でございます。この率につきまして昨年度の進捗率との比較でまいりますと、昨年度が参考欄にございますが、61.3%でございましたので、本年度は、前年度と比べまして4.5%の改善となっております。

 平成30年度における売却と借受解消の実績につきましては、約6.9億円、23カ所の売却実績と約9,000万円、27カ所の借受解消が図られたところでございます。

 今後とも我々といたしましては早期の是正・改善に向けまして、財務局におきましては現地の部局との調整をしておりますけれども、それだけではなくて、本省間による調整に今も取り組んでいますので、引き続きこうした取組みをしていきたいと思っております。

 続きまして、2、3、4ページは、過去の指摘事案の是正されたものの御紹介の資料でございます。2ページ目を御紹介させていただきますと、これは埼玉県志木市に所在します財産でございます。法務省さいたま地方法務局志木出張所の第2駐車場でございます。左側の指摘内容に書いてございますけれども、来庁者の駐車待ちで前面道路が渋滞してしまうということで、それを解消するために取得された土地でございますが、登記の電算化で待ち時間が大幅に短縮され、利用状況を監査した結果、必要性が認められないということで、用途廃止するよう指摘したものでございます。是正状況としましては、平成27年3月に用途廃止されまして、売却につきましては平成30年6月、1億円で一般競争入札により売却に至った事案でございます。

 3ページ目は東海財務局、4ページ目は東北財務局の事案でございます。恐縮ですが、お時間のございますときに見ていただけますと幸いでございます。

 平成30年度の監査結果につきましては以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの監査結果についての御意見、御質問がございましたら、どうぞ。

〔 川口委員 〕 資料6と今のお話ですけれども、なかなか地道な監査とフォローアップだと思うんです。フォローアップの方は昨年よりも4.5%改善ということで、これは評価できる数字なのかどうか教えていただきたい。現場で地道にやっている方が頑張っても、評価されないとなかなかモチベーションがないと思いますので、この辺の数字の見方についてひとつ教えていただければいいと思います。

 それからもう1つ、先ほど申し上げた、要するに経営の効率性というのはこういうものの積み重ねだと思いますので、こうしたものの評価制度というのは重要なんじゃないかということで、数字の見方を教えていただければと思います。

〔 永井国有財産監査室長 〕 ありがとうございます。我々、地道に頑張っているところでございます。フォローアップの評価というところでございますが、究極なものは1,000件指摘して1,000件終わること。当然そうなんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、措置までにはどうしても一定の時間を要するものも中にはあるところで、その中でいかに速やかに、できるだけ早く是正していただくかということを我々はフォローアップしているところでございます。

 そうした中で、進捗率の61.3%、65.8%がどんな推移をたどっているか。数年さかのぼらせていただいて申し上げますと、これが果たして評価につながるのかどうかということですが、平成27年度末でいきますと54.8%の進捗率という状況でございました。それが平成28年度末は57.7%、平成29年度末が61.3%、平成30年度末が65.8%という数字になっております。この進捗率に関して改善が続いていると言えますので、この流れを切らないように、この数字をできるだけ上げていきたいというふうに思っております。

〔 大久保臨時委員 〕 初めてですので、ごく基本的な質問で恐縮ですけれども、是正等には一定の期間を要するという御説明で、確かにそうだなと思うのですが、例えば平成23年度に指摘されたもののうち是正未済件数が21件というのがあります。7年ぐらいたっているわけですけれども、大体こういったものはどういう状況で未済ということになるのでしょうか。

〔 永井国有財産監査室長 〕 ありがとうございます。我々、フォローアップが長期になっているものをいかに減らしていくかということで、各省各庁から個別にヒアリングをしているところでございます。実際に中身を確認していきますと、土地の境界確定で隣接地主に判を押していただけないとか、あるいは相続が発生してしまって相続人がどこに行っているのかわからないとかの理由があります。ただ一方で、境界でもめているものに関しては、筆界特定制度がございますので、そういう手続にかけるよう、財務局側から各省各庁へ指導しているものもあります。

 あと、中には社会経済情勢の変化によりまして果たして当時の指摘内容が時代に合っているのかということもございますので、そういう観点で再監査をするものも中にはございます。是正した件数の中にはそういう取組みをして、再監査の結果、指摘を取り消す、あるいは違う指摘に変えることで、こういった長期のものについて処理していく取組みもしているところでございます。要因については先ほど申し上げましたようなものが主なところでございます。

〔 亀坂委員 〕 資料6の1ページ目の研修施設のことがちょっと気になったんです。平成30年度における監査結果で、注のところで、各省各庁が保有する研修施設については、有効活用を求める措置要求決議がなされている。何かこれはちょっと重そうな感じがするんですけども、研修施設の稼働率を上げるとか、何か有効活用される御予定はあるのかどうか。

〔 永井国有財産監査室長 〕 ありがとうございます。国会の決議につきましては非常に重たいものでございまして、これは平成30年4月の決算委員会におきまして、政府としてこういったことをやってまいりますということは御報告を申し上げているところです。例えば政府において、こういう研修施設について利用可能であるということを定期的に、国の内部で稼働率を上げるという取組みの一つとして、横の情報共有があまり十分ではなかったという指摘内容がございましたので、内閣人事局で研修施設の利用可能なものの情報を取りまとめまして各省各庁に提供する取組みが1つでございます。

 もう1つは、我々監査の活用ということで、実態を確認して、どういう状況にあるのかと。極めて稼働率が低いものについては用途廃止をせよということで、昨年当分科会でも2件ほど事例を御紹介させていただいたのですが、最高裁の高松の研修施設はほとんど利用されていないということで、用途廃止するよう指摘をしました。平成29、30年度で特に稼働率が低いところについては監査を実施して、用途廃止ですとか稼働率の向上といった取組みをするよう指摘をさせていただいたところであります。

〔 緒方臨時委員 〕 低利用による用途廃止のフォローアップ状況、資料6の参考2の3ページです。処分されることに異存はございませんが、この黄色い部分を処分すると残された敷地はものすごく不整形になってしまいます。もし将来この残地全体が低利用で処分しなきゃいけないとなったときに、不整形地として処分困難土地になってしまうのではないかと心配です。この3ページの図が正しいのかどうかよくわかりませんけれども、この図を見る限りにおいては、処分前は全体としてほぼ長方形の形状ですけれども、この黄色い部分を売ってしまうと残された敷地は極めて不整形の土地になってしまって、将来ちょっと困ったことになる可能性はないのかなと思います。処分するときは、将来のことも考えながら処分していく。そういう観点も入れて見ていただきたいと思います。

〔 永井国有財産監査室長 〕 ありがとうございます。私も現地を直接見ているわけではございませんが、こちらの図示でいきますと不整形な形を生み出しているようなところはおっしゃるとおりだと思います。ただ、当時の監査におきまして、非常に低利用、敷地としてこれだけ持っている中で資材置き場の規模として過大ではないかといった観点から、相手省庁とも相談をした結果、こちらについてはもう使わないといったことで指摘をさせていただいたところでございます。当時もそうだったと思いますが、今後の監査におきましても、今の御指摘の観点、土地としての将来的な残し方も踏まえた指摘というものは引き続き考えて実施していきたいと思っております。

〔 小林分科会長 〕 ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、監査結果は御了承いただいたということで、以上をもちまして第46回国有財産分科会は終了ということにいたしたいと思います。

 次回の分科会の日程は事務局から御連絡いたします。

 また、本日の資料のうち答申に関する資料は、検討途中ということで公表は行いません。その他の資料、議事録及び議事要旨につきましては、会議後にインターネットに掲載することにさせていただきたいと思います。

 以上でよろしゅうございますでしょうか。

 それでは、本日は御多用のところ御出席ありがとうございました。

 次回は6月14日の17時、よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

午後4時51分閉会