財政制度等審議会国有財産分科会
議事録
財政制度等審議会国有財産分科会議事次第
令和7年6月17日(火)9:59~11:42
第3特別会議室(本庁舎4階中412)
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1.開会
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2.議題
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(1)相続土地国庫帰属制度等に係る現状と課題
(2)留保財産の運用の円滑化に向けた取組
(3)庁舎行政の現状と課題
(4)国家公務員宿舎の現状と課題
(5)令和6年度国有財産監査結果報告等
(6)令和6年度処分価格等の客観性の確保に係る第三者チェックの実施状況
(7)株式会社商工組合中央金庫の株式の処分
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3.閉会
出席者 | ||
委員 | 亀坂 安紀子 | |
川口 有一郎 | ||
若林 茂雄 | ||
臨時委員 | 大久保 恭子 | |
滝澤 美帆 | ||
竹川 正記 | ||
松尾 弘 | ||
持永 勇一 | ||
野城 智也 | ||
吉原 祥子 | ||
専門委員 | 津田 廣喜 | |
財務省 | 石田 理財局次長 | |
坂口 理財局総務課長 | ||
尾﨑 理財局国有財産企画課長 | ||
梅野 理財局国有財産調整課長 | ||
川路 理財局国有財産業務課長 | ||
中島 理財局国有財産企画課政府出資室長 | ||
高木 理財局国有財産調整課国有財産有効活用室長 | ||
鈴木 理財局国有財産調整課国有財産監査室長 | ||
中野 理財局国有財産業務課国有財産審理室長 | ||
上乗 理財局管理課国有財産情報室長 | ||
河邊 理財局管理課電算システム室長 | ||
午前9時59分開会
〔 若林分科会長代理 〕 定刻にはまだ若干時間がございますが、皆さんおそろいでございますので、財政制度等審議会第66回国有財産分科会を開催いたします。
なお、本日は、筒井義信分科会長、奥田かつ枝委員、川嶋三恵子委員、村木美貴委員、山内弘隆委員におかれましては御欠席となります。
本日は7つの議題がございます。大きく3つのグループといいますか、固まりに分けて御審議をいただきます。その3つは、まず議事(1)と議事(2)、次が議事(3)と議事(4)、最後に議事(5)から議事(7)までの3つに分けて御審議をいただきます。各固まりごとに議事の説明、まとめての質疑応答を行うという形で進めてまいります。
それではまず、1つ目の固まり、議事(1)相続土地国庫帰属制度等に係る現状と課題について、事務局から御説明をお願いいたします。
〔 川路国有財産業務課長 〕 国有財産業務課長の川路でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
私のほうから、2つの議題がございまして、1つ目、まず、資料1でございます。「相続土地国庫帰属制度等に係る現状と課題」というものでございます。
資料の1ページ目でございますけれども、令和5年4月に、所有者不明土地対策ということで、相続土地国庫帰属制度の運用が開始されてございます。相続土地国庫帰属制度におきましては、国庫に帰属されました農用地、または森林以外の土地、例えば宅地であるとか、雑種地であるとか、そういった普通財産として、財務省、財務局において適切な管理・処分に取り組んでいるところでございます。既に運用開始後2年が経過いたしまして、財務局が管理・処分することになりました財産でございますけれども、右下のグラフでございますが、左側のほうが初年度、右側のほうが翌年度でございますけれども、約4倍ということで、全体は累計1,000件に近づくなど、帰属財産は急増しておるということでございまして、今後も、社会情勢を踏まえれば、さらに累増すると考えられているところでございます。
資料の2ページ目でございます。こちらは帰属財産の例でございますけれども、左側の傾斜地であるとか、あと、周りを宅地に囲まれました無道路地でございますとか、また、樹木に覆われた土地などの活用が困難な土地もございまして、こうしたものを見ますと、中長期にわたって管理を行っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
資料の3ページ目でございます。こちらも同様に帰属財産の例でございますけれども、それぞれの土地を単体で見れば、整形地であるために活用が期待されるように思われるものもございますが、俯瞰しますと、周りのところも同様の整形地であったり、空き地であったり、田畑であったりということでございますので、周辺環境も踏まえますと、活用が困難な土地もあるというものでございます。
4ページ目でございます。こちらは帰属財産の管理・処分のイメージを整理したものでございます。帰属財産の管理に当たりましては、左側のところでございますけれども、通常の管理といたしまして、看板を設置し、不法侵入であるとか、不法投棄であるとかを防ぐために柵を設置する。あとは、年に2回の草刈りでありますとか、それぞれの状況を巡回するということでございまして、こちらが通常の管理というところでございます。本制度でございますけれども、申請者につきましては、10年分の土地管理費の相当額として、原則20万円ということで、そうした負担金を頂いておるものでございますが、御覧いただきますように、管理業務でもそれぞれの一定のコストがかかるということでございます。さらに、これらの土地を活用するということを考えますと、右側のほうでございますけれども、まずは物件調書を作成し、あとは、適正価格を算出するという意味においての鑑定評価を行うことになります。さらには、必要に応じて、測量・境界確定協議であるとか、あと、地中埋設物調査等を実施することになります。下のほうでございますけれども、こちらは実際に帰属された土地でございますが、この図で見ますと、隣接地上の建物が越境している可能性が高い土地、こういうような土地でございますと、測量であるとか、境界確定協議が必要となる可能性が高いものでございます。さらに下でございますけれども、本制度によりますと、通常の管理または処分をするに当たって、過分の費用または労力を要する土地というものは申請できない、ないしは承認されないということではございますが、実際に帰属された土地を見ますと、御覧のとおり、コンクリート殻が発現した事例でございまして、こちらは、撤去するのにまた相当な費用がかかるということでございまして、もろもろの管理・処分に当たっても一定のコストがかかるという状況でございます。
5ページ目でございます。こちらでございますけれども、相続土地国庫帰属制度の施行以前から相続人不存在の場合、民法に基づきまして、所定の手続を経てもなお財産があれば、国庫に帰属することとされてございます。こうした財産でございますけれども、不動産の国庫帰属は増加傾向にございまして、右側のグラフでございますが、今後も累増することが予想されます。なお、相続人不存在の場合でございますけれども、先ほどの相続土地国庫帰属制度と異なりまして、田畑であるとか、山林についても財務局が管理・処分することとされているものでございます。
次に、6ページでございますけれども、こちらは相続人不存在の場合の具体例でございます。この場合、先ほどと違いまして、残余財産であれば、建物であるとか、土壌汚染があるとしても国庫に帰属されるというものでございますので、左側のほうでございますけれども、倒壊のおそれのある擁壁であるとか、右側のほうでございますが、残置された倉庫、事務所があるということで、なかなかその引取り手がなく、市場性が低い財産が多く含まれているということでございまして、これらの処理をするということにおきましても相応のコストが必要な状況でございます。
7ページでございます。こうして見ていきますと、人口減少と少子高齢化が進む中で、地方を中心に土地需要が減少している状況でございます。国有財産の中には、売れ残ったり、あとは、利用困難な財産があり、その件数は近年、趨勢的に増加傾向にございます。そうした中、所有者不明土地対策等の1つとして相続土地国庫帰属制度が運用開始をされてございますけれども、その性質を見ますと、引取り手がなく市場性が低い性質を有する傾向にあることを踏まえますと、中長期にわたって管理を行いながら、機会を捉えて活用していく必要があるということでございまして、さらに今後も累増していくことが考えられます。なお、相続人不存在のケースでも増加傾向にありますので、同様に累増することが予想されるものでございます。
8ページ目でございますけれども、こちらは今後の検討の基本的な考え方でございますが、このような市場性が低い財産につきましては、今後も累増することから、最適な管理・処分に向けた対応が急務であるというふうに考えてございます。国庫帰属財産でございますけれども、国民共有の貴重な財産でございますので、その特性を踏まえつつ、社会課題の解決や地域経済の活性化、地域社会への貢献と財政への貢献という役割を果たすことが求められていると。このため、先ほどの市場性が低い財産につきましても、こうした期待に応える必要があるというふうに考えてございます。地域社会への貢献でございますけれども、土地の現地性を踏まえますと、個々の財産の管理や処分に当たっては、地域の意向も踏まえながら方針を検討する必要があるということ。財政への貢献ですと、市場性が高い財産はより高い価格で売却・貸付けし、市場性が低い財産は管理・処分に係る費用を減らす必要があるというふうに考えてございます。そうした中、所有者不明土地等対策をより効果的なものとするためには、まずは、相続土地国庫帰属制度による帰属財産の最適な管理・処分に向けた対応の検討を進める必要があると。また、先ほどの相続人不存在も併せて同様の課題を抱えてございますので、本検討に併せて対応を進める必要があるというふうに考えてございます。なお、相続土地国庫帰属法に附則におきまして、政府は、法律施行後5年を経過した場合において、法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとされてございますので、こうした見直しに向けて関係省庁と議論をしてまいりたいというふうに考えております。
9ページでございます。帰属財産の管理・処分の現状と課題でございます。普通財産の管理・処分につきましては、取得、管理、活用という3つの段階に分解することができます。こうした3つの段階に着目しまして現状と課題を整理したものが以下でございます。
まず、取得でございますけれども、先ほど御覧いただきましたように、地下埋設物がある土地というのは制度上却下・不承認となりますが、実際に国庫に帰属する土地の中には、活用に当たりまして地下埋設物撤去工事などが必要なものとなるものもございます。そうしますと、管理や活用に追加コストが発生する場合もございます。
2つ目の管理でございます。活用の見込みが乏しい財産につきましては、管理に係る費用、すなわち、国による土地の管理コストの負担が中長期にわたって継続的に発生すると見込まれます。
3つ目の活用でございますけれども、活用に当たりましては、制度上、原則、「適正な対価」とされてございまして、また、不動産鑑定士による鑑定評価の手続を行う取扱いとしています。しかしながら、帰属財産は市場性が低いため、時価での売却・貸付けが困難な場合が多いほか、手続のために活用に至るまでに時間を要するなど、ほかの財産と同様の取扱いでは、帰属財産を活用したいという要望に応じる機会を逸する場合もあるというふうに考えているところでございます。
10ページ目でございます。こちら検討の方向性でございます。
まず、取得でございますけれども、現行制度でございますが、まず、所有者不明の土地を帰属する、そういうことを目的としている、最終形とされてございますが、先ほど述べましたように、帰属された土地を活用する、ないしは管理をしていくといった際には相応のコストがかかりますので、帰属ということでは終わるのではなく、その先の段階である活用であるとか、管理を見据えて、申請や承認に係る帰属財産の要件を見直すことができないかということが1つ目でございます。
2つ目の管理でございます。費用を減らしつつ中長期にわたる管理を行っていくに当たりましては、個々の財産の状況に応じてメリハリをつけて管理していく必要があるというふうに考えてございます。さらに、この際でございますけれども、帰属財産につきましては、地方公共団体が考えるそれぞれの地域における土地の在り方についても考慮する必要があるというふうに考えておりまして、活用の見込みが乏しい財産につきましては、当該財産が所在する地方公共団体の意向も踏まえ、協力も得ながら管理していくことができないかということが2つ目でございます。
3つ目の活用でございます。こうした市場性が低い土地を、従来の一定の需要があることを前提とした制度の中で対応することはなかなか難しいため、所有者不明土地等対策という政策目的の観点に絞って帰属財産の有効活用を図るため、価格の設定であるとか、手続等について、柔軟な取扱いとすることができないかということが活用の検討の方向性でございます。
こうしたことも踏まえまして、まずは、これから検討を行っていくということでございますけれども、そのために、まずは、以下のようなヒアリング等を通じまして実態把握を行うというふうに考えてございます。1つ目、効果的な活用に向けてでございますけれども、帰属財産の売却や貸付けなどを促進するための、売却や貸付け等に当たっての価格であるとか、手続、財産要件等に係る具体的ニーズに関するヒアリング。効率的な管理に向けましては、地方公共団体と連携して帰属財産をメリハリをつけて管理するための、地域における土地の適切な管理に向けた方針、取組内容に関するヒアリング等を行った上で実態把握を進めていきたいというふうに考えてございます。ちなみに、参考でございますけれども、こちらは、6月の初旬に所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議がございまして、そちらでの基本方針の抜粋でございます。その中で、帰属後の管理・処分を含めた運用状況を分析し、帰属土地の効果的な活用や効率的な管理に向けて、例えば、境界の考え方や処分の在り方といった制度の見直しを含めた検討を行うとされてございますので、そうしたことを踏まえまして対応していきたいというふうに考えております。
こちらが1つ目の資料の説明でございます。
続きまして、2つ目の資料でございます。「留保財産の運用の円滑化に向けた取組」でございます。留保財産につきましては、3月に行われました分科会で現状と課題について説明をさせていただき、ご議論いただきました。
資料でございますけれども、資料1ページから4ページ、こちらは前回の資料の再掲でございますので、恐縮でございますが、説明については割愛させていただきます。
5ページ目でございます。こちらは、その際に示されました課題と検討すべき事項を簡単にまとめたものでございます。
1つ目でございますけれども、選定された留保財産については、有用性・希少性が乏しい財産が確認されているということでございますので、選定に当たって、選定時に考慮すべき視点はなかったかということが1つ目でございます。
2つ目でございますけれども、留保財産は定期借地によって貸付けを行うというふうにしてございますが、その後の社会経済情勢の変化によりまして、貸付けが難しいという状況が発生しておりますので、定期借地権による貸付けのみとされているが、見直す点はないかということが2つ目でございます。
3つ目でございますけれども、留保財産の上に既存建物がありますときに解体撤去ということを国がやってございますが、事業の早期実現化が難しいケースがあるので、早期実現化のための方策はないのかということが3つ目の課題のところでございます。
以下はこれらについて検討した事項についてまとめてございますので、それぞれについて説明したいと思います。
まず、1つ目の、留保財産の選定時に考慮すべき視点でございます。7ページ目でございます。
まず、現行制度上の課題としまして、留保財産でございますけれども、将来世代における行政需要に備えて、地域・規模を目安としつつ、それぞれの地域や個々の土地の実情等の個別的な要因も考慮して総合的に判断し、留保財産を選定することとされたところでございますが、選定された留保財産について、用途地域や敷地形状等の理由により有用性・希少性が乏しい財産が確認されております。こうした状況が生じてございますのは、その際の将来世代における行政需要として想定する内容を明確にしていなかった、そういったことから、庁舎であるとか、宿舎等の施設の整備を前提としない臨時的な行政需要に備えることを念頭に留保財産として選定することも許容する取扱いとしていたということが原因と考えられます。
そうしたことも踏まえまして、今後の対応でございますけれども、留保財産につきましての選定でございますが、曖昧でありました将来の行政需要につきましては、庁舎・宿舎等の施設を原則とするということにしまして、そうした需要に確実に対応するため、庁舎・宿舎等の施設の整備に支障となる要因がない財産を原則に選定するものとしたいというふうに考えてございます。そのために、留保財産の選定時に特に考慮すべき要因としましては、例えば、用途地域であるとか、地区計画であるとか、都市計画等の法的規制が1つ目。あとは、災害区域の指定であるといったものの災害リスク。3つ目でございますけれども、敷地形状であるとか、高低差、あとは、前面道路の幅員、接道状況等の物件特性。4つ目でございますけれども、立地適正化計画や都市計画マスタープランといった財産の立地条件とするということにしたいというふうに考えてございます。これらの要因を考慮しまして財産を選定します。さらに、その後の選定した後の社会経済情勢が変化するということもございますので、これらの4つのような要因等で事情変更が生じた場合、有用性・希少性が喪失した場合には、留保財産から除外することとしたいというふうに考えてございます。なお、これまでに、留保財産制度が始まって5年がたちますけれども、選定している財産は63財産ございますので、そういった財産にも、先ほどの同じような目線に立ちまして、有用性であるとか、希少性というものを確認し、その際、有用性・希少性が喪失していると認められる場合には留保財産から除外するといった再精査を行いたいというふうに考えております。これが1つ目でございます。
次は2つ目の留保財産の活用策に係る見直しでございます。10ページでございます。
まず、現状と課題でございますけれども、留保財産につきましては、将来世代における行政需要に備えるとの観点から所有権を留保するものでございますので、法定更新が適用されない定期借地による貸付けによる活用を図ることとしています。しかしながら、その後の社会経済情勢の変化によりまして、なかなか定期借地による貸付けが難しいということで、留保し続けることによるコストが発生している状況でございます。具体的に申しますと、足元の建設資材価格や労務費の高騰等によりまして、ニーズが発現しないケース。あとは、留保財産が所在する周辺地域の開発状況等を注視する必要があるため、一定期間が契約に要すると見込まれるケース。3つ目でございますけれども、官公署が特に集積している地域であることから、将来の行政需要に備える必要性が特に高いということでございますが、周辺環境の理由により、定期借地契約のニーズが見込まれないケースがあるということでございます。
これらに対応するために、今後の対応といたしましては、一時貸付けということができるようにしたいというふうに考えてございます。ただ、現行でも、定期借地契約が不調となった場合に、不調の原因把握を含めた方策の再検討までの間はできるということになってございますけれども、今後につきましては、利用方針の策定または定期借地契約の締結までに相当の期間を要すると財務局長等が認める場合等には、当面の間、一時貸付け等による活用を可能としたいというふうに考えております。なお、利用方針を「地域における意見なし(その他)」として策定した場合には、将来の行政需要が発現するまでの間、一時貸付け等による活用を図ることとしたいというふうに考えてございます。一時貸付け等の促進に当たりましては、情報提供であるとか、ヒアリング等を積極的に行うというふうに考えております。こちらが2つ目の対応でございます。
3つ目でございますけれども、留保財産の早期活用に向けた方策でございます。資料は12ページでございます。
留保財産の利活用につきましては、更地での定期借地を前提としているということで、留保財産の上に、多くは、かつての宿舎の建物でございますけれども、国において既存建物の解体撤去が多くなっているところでございます。しかしながら、国において解体撤去を行いますため、必要となる予算措置であるとか、工事業者を選定といった手続等に一定の時間を要してございます。また、国が解体撤去を行う場合、施設整備内容を踏まえた解体撤去ができないほか、解体終了後に埋め戻しなどを行う必要があるため、貸付相手方が解体撤去から施設整備までを一貫して行う場合と比べまして効率的な工事を実施することができないという課題がございます。
こうしたことも含めて、特に留保財産につきましては、民間施設を含めた地域・社会のニーズに基づいて早期に有効活用される必要がございますので、こうした観点からも、可能な限り短期間かつ効率的な工事を実施することが重要であると考えますので、留保財産のうち、地域からより早期の活用が望まれる財産については、貸付相手方による建物解体義務を特約として付した定期借地契約を可能とすることにしたいと思っております。なお、万が一不測の地下埋設物等が発現した場合の契約不適合責任については、免責とした契約とすることを考えてございます。
以上が資料の2つ目の留保財産の運用の円滑化に向けた取組でございます。
以上、私から資料1と資料2の説明をさせていただきました。御議論のほうをよろしくお願いしたいと思います。
〔 若林分科会長代理 〕 それでは、ただいま説明がありました議事(1)及び議事(2)について、御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。御意見がある方全てに御発言をいただきたいので、御発言は2分程度におまとめくださるようにお願いいたします。会場の方で御発言を御希望される方は、ネームプレートを立ててお知らせください。オンラインで御参加の方は、御発言を希望される方は挙手ボタンでお知らせください。御発言の順序は、会場2名、オンライン2名といったような形で交互に指名をさせていただきます。
それではまず、会場に御参加の委員の方から御発言をお願いいたします。
それでは、大久保委員、お願いいたします。
〔 大久保臨時委員 〕 私のほうからは、議事(1)のほうで幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
議事(1)の10ページ目をお示しいただきますとありがたいです。ここにあります②の管理についてですけれども、活用が難しくて、場合によっては原野に近いようなどうしようもない土地を、御丁寧にかなりの管理コストをかけて管理なさるということは、やはり、状況的にも、コスト削減という観点でいくと、ちょっとやり過ぎではないかと感じます。場合によっては、周辺に悪影響を及ぼさない、リスクもないことが確認できたものは、極端な話、ほったらかしで、何年に1回とか、1年に1回とか、数年に1回ぐらい見回って状況を把握するというくらいの振れ幅で管理のコストについてはお考えいただくということも1つの方法ではないかと思います。
それから、3番目の活用というところですけれども、こちらも、どんなに価格を低くして売り出しても、絶対ニーズがない、ただでも嫌というふうな土地もたくさんあろうかと思いますが、それでも、地域の住民の方にとっては、場合によって、一般には思いつかないような活用方法を考えておられるところもあるかと思います。そういうところの方が手を挙げれば、場合によっては、ただで使っていいですよと。その代わり、周囲の迷惑にならないような管理はしてくださいねというふうな形でただで活用していただく。貸し出すのですかね。そういう方法もあるかと思います。それから、売却もですけれども、ものすごく安い値段でしか売れないようなものに対しても、事前に売り出すときには調査をなさるということが書かれていました。調査のコストも結構かかりますよというふうなことになっていましたけれども、一般の不動産の売買においては現状有姿というものがありまして、そのままの状態で売りますよと。そこに何があるかはリスクも含めてありますけれども、その分だけ値段はこのぐらい安いですよという形で売り出して、それで、買手が場合によってはいろいろ調査をするということもありますので、そういう一般の不動産の現状有姿みたいな形で売り出すということもある程度考えていただくといいのではないかなと思います。
以上です。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
会場からほかには。
吉原委員、お願いたします。
〔 吉原臨時委員 〕 詳細な御説明をありがとうございました。
私のほうからは、1つ目の相続土地国庫帰属制度についてコメントを申し上げたいと思います。
新たな制度ができたことで、国民にとって土地を手放せる手段の選択肢が1つ増えたと同時に、財務局にとって負担が増えたということは、今、御説明がありましたように、紛れもない事実であろうと考えます。国民のニーズに応えつつ、財務局の方々の御負担や財源の問題、すなわち、これは我々国民の税金の問題ですので、そのバランスを考えながら、いかに持続可能な制度をつくっていくかということが問われていると考えます。その背景として、国が国民から土地を受け取り保有することの意味や必要性が、大きく変容してきている。すなわち、国有財産管理が国土保全の性質を持ち始めているのだと考えます。そうしますと、この問題を財務省だけで考えることは到底困難であり、省庁連携、そして何より、官民連携で、新たな人口減少時代の土地の利用と管理のサイクルをつくっていく必要があろうと。そして、国庫帰属制度はその一部であるという発想に立って、この帰属制度だけで何とかバランスを取るということではなくて、全体として発展的な方向で制度の底上げを図っていくことが必要と考えます。
法務省によりますと、全国の法務局への相談件数が4月末現在で累計4万4,617件だそうです。しかし、実際の申請件数は3,732件ということで、相談件数に対する実際の申請件数は10分の1以下です。すなわち、国全体のニーズから見たら、まだまだこの制度に申請できている人というのはごく僅かです。既に土地の要件については非常に厳しく設定されていますので、今後の見直しにおいて、要件をこれ以上厳しくするということは、財務局にとっては望ましくても、国民のニーズに応えるという意味では反対方向になってしまうと思います。
それを考えますと、まず、①の取得に関する部分について、取得の前の段階の手当てが大変重要だと思います。4万件を超える相談に対して、多様な選択肢を国民に提示していくこと、これは、財務省というよりも、法務省、それから、国交省の関与もこれから必須だと思いますけれども、省庁連携でしっかり相談対応をし、選択肢を提示していくということ。それから、他方で、負担金については、物価高騰などを考えると、また、中長期で管理をしていくことの国民負担を考えると、もしかしたら、基本20万円というのは非常に安価なのかもしれない。ただし、仮に金額を見直すとしても、それに相応するだけの事前の選択肢の提示とセットで進めていく必要があると考えます。
それから、管理におきましては、今、委員からお話がありましたように、粗放的な管理というものも十分検討の余地があると思います。また、その際には、立地適正化計画など市町村の各種の計画や条例との整合を図りながら管理をしていくということが大変重要であると考えます。
そして、活用につきましては、まず、前回も申し上げましたが、民間による有償、無償の活用という多様な選択肢を増やしていくということと、処分につきましては、キーワードは、地域の潜在的なニーズの掘り起こしとマッチングだと考えております。実は、地域には潜在的な土地需要があるということが、この帰属制度を通して見えてきています。法務省によりますと、申請段階での取下げが4月末時点で604件あるのですが、そのうちの54%に当たる326件は、途中で有効活用の見込みが生じたために申請を取り下げたものだそうです。隣接する土地の所有者や近隣住民に、今回、こういう申請をするんですよということを話して、境界などの合意を取り付ける過程で、「わざわざ国にお金を払って帰属をさせるのなら、うちがただで引き取ってあげるよ」といった、そうしたマッチングが成立した件が複数出てきています。こうした地域の潜在的なニーズを掘り起こしていくことこそが、各地の財務局の方々が大変重要な役割を果たせるところではないかと思っております。その意味で、一般競争入札に様々なコストをかけるのではなくて、隣接所有者がもらってくれるのであれば、境界確定も不要になりますし、不動産鑑定については、例えば、国庫財産評価基準の簡易な評価を用いる。また、民間事業者によるマッチング、それから、旧法定外公共物における払下げなどの手法も準用しながら、隣接所有者への払下げを行うなど、随意契約も含め、柔軟な運用をしていくことで、様々な新しいシステムができるのではないかと考えております。
繰り返しになりますけども、受入件数を減らすといった消極的な解決策ではなくて、制度の底上げを図っていくという全体像を見渡した発展的な解決策が望まれると考えております。
以上です。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、会場がよろしければ、次に、オンラインから御参加の亀坂委員、お願いできますでしょうか。
〔 亀坂委員 〕 ありがとうございます。既にほかの委員の先生方から私の意見に近いことを発言されているので、なるべく重複を避けて発言させていただければと思います。
私も、既に御指摘があったように、20万円の負担で、相続土地国庫帰属制度等を利用して、不動産を国庫に帰属させるということにつきましても、20万円というのは、やっぱり非常に安いというか、本当に安価であるような気がします。私は母親所有の一軒家に、本当に小さな一軒家に住んでいるのですけれども、それでも、庭師さんを呼ぶと、今年だと、1回呼んで10万円かかりました。毎年10万円かかるとは限らないですけれども、それでも20万円という負担で国庫帰属させるというのは、やはりちょっと、もう少し御負担能力がある方には御負担いただくとか、あるいは、少し幅を持たせて、もう少し御負担いただける場合には御負担いただくとか、そういったことを考えたほうがよろしいのではないかと思いました。
あと、留保財産にも共通することなんですけれども、地方公共団体の御意向とかも踏まえてということで、もう少し柔軟な活用というか、運用をされるということにも賛成です。以前、この分科会で、国家公務員宿舎に宅配ボックスなどを設置しているというような事例を御紹介いただいたと記憶しているのですけれども、国家公務員宿舎に限らず、例えば、地方で、配送コスト削減とか、あるいは郵便物とかでもいいのですが、宅配ボックスなどを設置して、ドライバーの宅配業者の負担を軽減するとか、あるいは、ガソリンの燃料費の高騰に向けた対策をする。CO2排出量とか、環境負荷に考慮した宅配ボックスの設置とか、そういったいろいろな潜在的な需要があるのではないかと思います。ですので、ヒアリング等を今後もされるということでありますけれども、そういった柔軟な対応をされることに賛成です。
以上です。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、続きまして、オンラインから松尾委員、お願いできますでしょうか。
〔 松尾臨時委員 〕 ありがとうございます。私からも、議事(1)についてコメントをさせていただければと思います。
今回御用意いただいた資料は、現状分析と、今後の検討の方向性の双方について、非常に詳細、かつ、かゆいところに手が届くような資料を作っていただいたと考えております。特に検討の方向性について、令和2年度改正土地基本法に示された土地所有主体のあり方を踏まえて、取得、管理、活用のそれぞれの面から整理いただいたことに関して、私は全面的に賛成でございます。
そのことを踏まえた上で、まず、相続土地国庫帰属の要件である負担金の額に関しては、ただいま亀坂委員から、20万円は安いのではというお話がございましたけれども、私も検討していく必要があろうと思っております。他方で、最近は、相続土地国庫帰属法の要件を満たさない土地についての引取業者も現れていて登録制度を検討すべきではないかという動きも出ているようです。そういう社会的な反応も見つつ、この要件についてはさらに慎重に検討していく必要があるだろうと思います。
それから、国庫帰属の後で地中埋設物等が発見されたという報告がありました。本来ならば、承認申請や、承認の要件を満たしていないものであった案件については、賠償請求の可能性について、法律上の要件を満たさないことを知りながら申請したという要件はありますけれども、きちんとけじめをつけた対応を考えていくことも重要ではないかと考えます。
つぎに、管理に関しては、先ほど大久保委員から、特に、地域においては思いもつかないような活用方法があるのではないか、吉原委員からも、地域の潜在的なニーズの発掘というお話もあり、私もそれについて賛成です。吉原委員からもありました官民連携、省庁官連携と関連して、一番利害関係のある地域コミュニティとの連携を図って管理するということが重要だと思います。国土利用計画法に基づく第六次国土利用計画で、地域の管理構想が提示され、実際に地域コミュニティレベルで管理構想をつくっている例が少しずつ増えているようです。そういう地域管理構想の中で、国庫帰属した土地を把握し、それをどう活用していくのかということについても組み込んでもらうという地域との連携も積極的に考え、問題を共有していくことが重要であると思います。これは活用の面にも関わることです。やはり、地域で一番活用可能性のある形で管理し、活用するということが最も望ましい方法の1つではないかと考えます。いずれにしても、取得、管理、活用については時間をかけて、しっかり見ていく必要があると考えます。そのためにも、国庫帰属地について、地域との情報共有を制度的に可能にするような方法を工夫することに価値があると思われます。
私からは以上です。どうもありがとうございました。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、続きまして、オンラインから御参加の川口委員、お願いできますでしょうか。
〔 川口委員 〕
私は、資料の10ページ、11ページの実態把握を進めて頂くことをお願いしたい。この制度を国民のために本当に進めるべきかどうかということについて、制度設計の失敗という観点からヒアリングをしていただきたい。3つのポイントがあります。1つは、事務局の報告のとおり国有財産に係る赤字事業が行われているという問題です。
2つ目の制度設計の失敗は、土地政策との矛盾です。現在の土地政策では土地を所有している個人が管理をするということが原則になっているわけです。この制度はそれを例外的に認めようということなんだけれども、管理主体が個人から国庫帰属へという「ジャンプ」に問題があります。複数の委員の方が御指摘されているように、そうではなくて、その間に地方公共団体を入れる必要があります。つまり、個人、地域、そして国といったハイアラーキー構造の中でこの問題の解を探さなければいけないにもかかわらず、いきなり国庫帰属に直結するという制度設計の失敗。そこでヒアリングにおいては、地域連携というものをどのように入れることができるかということの実態調査をお願いしたい。これは、次の議事(2)の留保財産ところでも、将来の行政需要、庁舎とか宿舎に合わせた形で留保財産について柔軟化していくということとも関連します。地域のまちづくりニーズであるとか、様々なニーズがあると思いますので、個人、地域、および国の3層構造の中でどのように吸収できるかについてヒアリングをお願いしたい。
最後に、もっと大きな枠組みの中で相続人不在の帰属の問題を考えるべきです。例えば、現在、日本の無職の世帯、要するに、所得を得ていない世帯が37.9%。わが国の約4割の世帯には所得がないのです。年金生活者ということです。ほとんどの世帯に所得があることを前提にした過去のさまざまな制度が今ではほとんどは機能しない。全世帯の6割しか所得を得ていない状況下においてだれにどういうふうに土地を管理させるべきかという問題の解は、、相続人不在の土地という小さな一部の問題だけへの対応では解けないということです。これは皆さんが異口同音におっしゃっています。閣僚の皆さんにも含めてヒアリングを実施していただきたい。
以上3点です。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
発言を求めておられる委員の方はほかにおられますでしょうか。
吉原委員、お願いできますか。
〔 吉原臨時委員 〕 2回目となり申し訳ございません。
今の川口委員の御指摘は大変示唆に富むもので、重要であったと受け止めております。
まず、国民がなぜ土地を手放したいと思うようになったのかを実態把握することが重要であるというところかと思っております。これは、この制度ができた経緯でつまびらかになっているところで、繰り返しにはなってしまうと思うのですけれども、土地の所有・利用において経済合理性が働かなくなってきている局面が非常に増えていると。人口減少、高齢化、そして、今、委員がおっしゃいましたように、納税をする人が減っていく中で、土地という除却できない、しかし公共性の高い資産を次の世代にどのように適切に承継していくのかということ。適切というのは、物理的な管理と、それから、権利関係を明確にして承継していくということです。そのコストが、高度成長期の右肩上がりの経済を前提とした従来型の仕組みの中では成り立たなくなっているからこそ、多くの人がこれを手放したいと考えているわけです。そこで、やはり、これは、今、委員もおっしゃったように、大きな視点で考えていくことが重要です。そして、地方公共団体がまず入るべきではないかというところは全く私も同感です。それについては法制審議会でも議論がございまして、相続土地国庫帰属制度は、いきなり国庫に帰属させるのではなくて、まず地方公共団体にニーズがあるかどうかを聞く、それを前置条件として置いてはどうかという議論もなされました。しかしながら、地方公共団体では、ただでさえ業務がひっ迫しており、また、所有権の放棄により生じる土地の管理責任は国にあることなどから、その事務負担を地方公共団体に負わせるのはいかがなものかという声もありました。そうしたことからもこのような制度設計になっているというところがあります。そこで、国と連携しながら、地方公共団体もこの制度に関わっていただくということが重要になってくるのであろうと思っております。いずれにしろ、経済合理性が働かない問題にどのように国民がみんなで負担を担っていくのかという問題であると認識しております。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ほかに会場参加、オンライン参加の委員から御発言はございますか。
竹川委員、お願いします。
〔 竹川臨時委員 〕 私は意見だけですけど、基本的に、相続土地国庫帰属制度というのは、ビークルで土地をなかなか手放しにくいのだが、国にだったら渡せるということで、そういう形のスキームなので、それをうまく、その部分をあまり重く国のほうで管理したり、抱え込んだりせずに、地方公共団体にもっととか、民間業者にうまくつないでいくというか、そういう流れができればいいので、これ自身を国がいきなり持つのはおかしいとか、制度自身がおかしいとは私は思わないということです。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ほかに御発言がないようですので、ただいまの御意見に対して事務局から説明をお願いいたします。
〔 川路国有財産業務課長 〕 先生方、様々な御意見、御示唆を含めて、いろいろありがとうございました。
そもそもの制度の在り方もそうですし、国有財産の管理について、国有財産の管理だけでなく、国土保全も含めた考え方への転換が必要ではないかという御示唆もございました。また、取得のところでも様々な要件ございますけれども、事情を含めて絞る方向だけでなくて、様々な形で検討していく必要があるということ。管理についても、私どももいろいろ考えてございますけれども、通常の管理だけでなく、しっかりメリハリをつけて、場合によっては粗放的管理ということも必要だということの御示唆がございました。そこも含めて、私どもも特に地域としっかり連携をしてまいります。活用のところも、もっと地域における潜在的な需要も含めて掘り起こすべきではないかということもございましたし、まずは、いかに地域に使ってもらうかということで、その連携も必要だということの御示唆でございましたし、これまでの決まったような需要が一定存在するような従来の制度ではなく、もっと柔軟に、もっと様々な使い方ができるようにということを含めた御示唆であったというふうに考えてございます。特にこの制度につきましては、我々だけではなくて、特に法務省であったりとか、国土政策の関係ですと、国交省であったり、他省庁との連携も必要であろうと思いますし、そういったことで、閣僚会議のところでも、まずはその検討を進めていくべきということでございますので、私どもは、まずはその実態、2年がたちましたけれども、様々な課題、考えることがいろいろございます。さらに、今回いただきました御示唆も含めて、私どもは様々な情報を提供しつつ、特に、その情報提供するに当たっても、実態把握ということもしっかりやりながら、関係省庁と連携して、この制度、さらには、全体の国有財産の在り方も含めた制度設計について、これから検討を進めていきたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
〔 若林分科会長代理 〕 それでは、続きまして、2つ目の固まり、議事(3)及び議事(4)に移ります。
議事(3)庁舎行政の現状と課題及び議事(4)国家公務員宿舎の現状と課題について、事務局から説明をお願いいたします。
〔 髙木国有財産有効活用室長 〕 国有財産有効活用室長の髙木でございます。本日はよろしくお願いいたします。本日は、資料3を用いまして、庁舎行政の現状と課題につきまして御説明をさせていただきます。
まず、中央省庁に係る庁舎行政について御説明をさせていただきます。2ページを御覧ください。令和元年のいわゆる「最適利用答申」におきましては、中央省庁の庁舎に係る課題として、庁舎不足による民間借受の増加を挙げまして、新たに取得する権利床を庁舎として活用すべきとの提言がなされたところでございます。また、令和3年11月に取りまとめられた「行政財産の未来像研究会報告書」では、中央省庁におけるオフィス改革の推進による効率的な利用が推奨されたところでございます。財務省ではこうした提言を踏まえまして、権利床の取得及びオフィス改革につきまして着実に取組を進めてきたところでございます。
3ページを御覧ください。一方で、中央省庁におきましては、主に防災、安全保障、サイバーセキュリティといった分野を中心に、職員が10年で約5,000人増加している状況にございます。こうした中で、我々としても、狭隘・老朽化対策、民間借受庁舎の縮小等に向けた検討をさらに進めていくことが重要と認識してございます。
4ページは割愛させていただきまして、5ページを御覧ください。中央省庁の庁舎に関する今後の対応方針につきまして御説明をさせていただきます。まず、短期的には、令和元年答申等を踏まえました、これまでの取組のさらなる徹底を行ってまいりたいと考えております。一方で、継続的に各省庁の部署の再編、それから、拡大が行われている現状に鑑みれば、取得等調整・使用調整の中で、単なるスペースの多寡で判断するのではなく、職務遂行の能率性や継続性にも着目していく必要があると考えております。特に、安全保障等に係る部署につきましては、迅速・円滑な省庁間連携と、業務の機密性を守る堅牢なインフラが求められることから、今後、関係省庁との連携強化に資する複数省庁が入居する合同庁舎も検討していきたいと考えております。さらに、長期的な取組といたしまして、地方公共団体の民間資金を活用した庁舎整備も参考に、財政負担の在り方など、新たな庁舎整備の手法に関する調査・検討も進めてまいりたいと考えております。
次に、地方における庁舎等について御説明をさせていただきます。
7ページを御覧ください。令和元年答申では、庁舎の余剰スペース等に対する省庁横断的な入替調整のほか、地方公共団体のニーズを踏まえた国公有財産の最適利用の推進が提言されたところでございます。これを受け、政府においては、合築、地方公共団体の庁舎との相互入居などを含む、地域における国公有財産の最適利用、いわゆるエリアマネジメントの推進に努めるとともに、国の庁舎の余剰スペースを地域社会のニーズに応じて活用できるよう、使用許可制度を柔軟化し、民間事業者等に対する制度周知や空きスペース情報の公表などを行ってきたところでございます。
21ページ以降にこうした取組に係る資料を掲載させていただいておりますので、別途御覧いただければと思います。
8ページを御覧ください。一方で、国交省におきましては、令和元年以降、これまで以上に都市の防災機能の確保、コンパクト・プラス・ネットワークの取組の推進、また、いわゆるまちなか、中心市街地のにぎわいづくりといったものに重点が置かれたまちづくり政策、それから、庁舎政策が行われているところでございます。財務省としてもこうした取組と歩調を合わせつつ、中長期的視点から庁舎等の在り方、活用の高度化を図っていくことが重要と考えてございます。
次のページを御覧ください。こうした中、昨年来議論が進められてまいりました「地方創生2.0基本構想」におきましては、「安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生」が柱として掲げられ、石破総理の施政方針演説でも「官民連携による地域の拠点づくり」「地域における新たな人流の創出」が示されたことを踏まえまして、「地方の庁舎」につきましても、地域防災力向上、それから、新たな人流の創出のための拠点としての活用を進めていくことが、先週の13日に閣議決定されたところでございます。
具体的な内容につきましては10ページを御覧ください。これまでのエリアマネジメントや使用許可を、まちづくり政策の動向や地方創生2.0の考え方も取り込みつつステップアップさせ、「エリア価値向上に向けた国公有財産の戦略的マネジメント」、これを我々はいわゆる「エリマネぷらす」と呼びたいと思っておりますが、これを発展的に取り組んでまいります。この取組は、庁舎に限らず、エリア全体の国公有財産のまちづくりへの活用を主としたものでございますが、特に、地方に所在する合同庁舎につきましては、おおむね駅周辺や中心市街地に所在するという特性を生かし、庁舎の地域開放や、地域の防災力向上などに資する、「まちなか拠点合同庁舎」という形で活用していくことを想定してございます。我々としては、「まちなか拠点合同庁舎」を通じ、地域の魅力向上はもとより、住民の国の行政に対する理解向上にもつなげていければというふうに考えております。
なお、このイメージを11ページにおきまして図示させていただいております。それぞれ写真に掲載させていただいております取組は、これまでのエリマネや使用許可の取組の成果でございまして、参考資料の14ページ以降にそれぞれお示しをさせていただいております。今後は各地の合同庁舎でこうした取組を複合的に進めていければと考えてございます。
12ページを御覧ください。この方針は6月13日に閣議決定されました「骨太方針2025」で明記されたところでございまして、財務省といたしましても、本省庁間、それから、財務局とのさらなる連携、それから、我々も含めた体制強化も図りつつ、「エリアマネぷらす」という形で強力に推進してまいりたいと考えてございます。
庁舎行政につきましては以上でございます。
〔 梅野国有財産調整課長 〕 続きまして、資料4の「国家公務員宿舎の現状と課題」について御説明いたします。国有財産調整課長の梅野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
1ページ目をお願いします。まず、課題といたしましては、既存宿舎の老朽化の進展に加えまして、地域ごとの需給のミスマッチ、独身・単身者用宿舎の不足、また、地方においては、敷地が低利用の宿舎がある、さらには、BCP用宿舎の不足というものがあります。
こうした課題に対しましては、すべからく建て替えるということではなく、個々の宿舎の状況に応じて長寿命化を図っていくという対応に加えまして、宿舎が不足する地域においては、コスト比較で建設が優位であれば建設を検討することとし、また、建設に当たっては、若手職員を中心とする独身・単身者向け宿舎の整備を優先する。そのほか、非効率な土地利用になっている宿舎については集約や建替えを検討するということであります。なお、整備財源については、今後廃止する宿舎の売却収入を充てることとしております。また、BCP用宿舎については新たな指定や建設等により確保していくこととしております。
2ページ目をお願いします。合同宿舎の新規建設につきましては、これまでの分科会でも説明をしておりますが、令和5年度予算で措置した葛飾区小菅を皮切りに、令和6年度予算では3件、令和7年度予算では2件について必要経費を計上しております。
3ページ目をお願いします。3ページ目以降で、足元で顕在化している課題、背景について説明いたします。令和4年度以降、宿舎の需給状況について市町村単位で把握をしておりますが、東京23区で著しく不足しているほか、仙台や札幌などの地方拠点都市で不足している状況でございます。宿舎が不足する地域では、コスト比較を実施した上で、建設優位であれば建設を検討することとしておりますが、その整備財源は、今後廃止する宿舎の売却収入を充てるということにしており、限られた財源の中での新規建設には自ずと限界がありますので、真に必要な整備コストを精査するため、通勤時間など、統一的な基準によって宿舎の必要戸数を算出するなど、必要戸数の更なる精査に向けた需給調査を実施していきます。
資料の4ページをお願いします。BCP用宿舎の現状でございますが、まず、中央省庁の職員数は増加傾向にある中、BCP用宿舎戸数は年々増加しているものの、いまだ充足できていない状況にあることから、引き続き新たな指定やBCP用宿舎の建設等により確保していくということでございます。
資料の5ページ目をお願いします。近年、建設工事費が高騰しているほか、民間賃貸住宅の家賃相場も上昇し始めておりますが、このうち、地方の民間賃貸住宅は家賃相場の水準が相対的に低く、その上昇率も小幅であるため、地域によっては建設よりも借受けが経済的に優位となる可能性があると思っております。
次に、6ページ目をお願いします。今年3月の分科会でも御議論がございました人材確保の観点からの宿舎整備という論点でございますが、人事院が主催いたしました人事行政諮問会議の最終提言におきまして、人材確保の観点から「宿舎の建設・改修」が重要である旨が明記されております。
7ページ目をお願いします。若手職員の宿舎事情については、全国的に不足している中、不足分について、世帯用に居住することで対応しておりますが、世帯用の多くは老朽化が進んでいるということが実情でございます。
8ページ目をお願いします。令和5年の秋頃、若手職員を対象に宿舎行政の取組についての説明会を開催する機会がありましたが、それに併せてアンケート調査を実施しておりまして、その調査結果について紹介させていただきます。左下の重要視する宿舎機能といたしましては、水回り設備が非常に高く、構造であったり、広さなどが続いております。また、右側の追加してほしい宿舎設備といたしましては、独立トイレ、独立洗面台、24時間出せるごみ置場、宅配ボックスなどが上位となっております。
次、9ページ目をお願いします。若手職員向け宿舎の処遇改善につきましては、民間賃貸住宅と比較して劣っている居住環境を改善していくということが必要でございますが、居住室面積を比較すると、民間に比べて狭い状況にあることから、新規建設の際には、独身用の居住室面積を民間賃貸住宅並みに拡大し、結果的に、独立洗面台の設置や、収納スペースの拡大といったニーズに応えられるようにしていきたいというふうに考えております。
10ページ目をお願いします。以上を踏まえた今後の主な検討課題といたしましては、まず、令和5年度以降の新規建設案件の積み上がりや、今後精査する需給状況の結果等を踏まえた上で、今後、宿舎をどの程度整備していくべきか、整理・検討が必要ではないかという点。2点目、近年の建設工事費の高騰により、地域によっては建設よりも借受けが経済的に優位となる可能性があることを踏まえ、宿舎を整備する地域によって、整備方法、借受又は建設を検討する必要があるのではないかという点。最後に、特に、若手職員のニーズに応えるために何ができるのかということの検討を進めるべきではないかということがあろうかと思いますので、今後も検討を進めていきたいと考えております。
最後に、資料の11ページ以降で、リノベーションと脱炭素化の取組状況について説明いたします。リノベーションにつきましては、令和5年6月の国有財産分科会におきまして、水回り及びセキュリティに関する設備を中心に行う、また、当面、対象宿舎については築40年以上の宿舎など約8,500戸としており、特に東京23区を優先的に実施することとし、入居者が居住したまま工事が可能な範囲に限定するといった方針を説明しているところでございます。
12ページ目をお願いします。これまでの取組状況ですが、これまで約1,200戸が完了しておりますが、工事費高騰や人手不足を背景に、入札を複数回実施しなければ落札に至らない事例が発生し、予算繰越分が増加しているということとともに、東京23区で実施している居つき工事では想定以上に労力・時間を要しているという状況になっております。こうした課題はすぐに解消できるものではありませんが、業者が受注をしやすいように発注規模を見直すといった取組も進めていきたいと思います。なお、スケジュール感といたしましては、令和5年の分科会におきましては、おおむね10年間で8,500戸ぐらいはやっていきたいといった御説明をしているところでございますが、足元はこのような進捗でございますので、対象戸数の完了にはある程度期間を要すると考えておりますが、早期実施に向けて引き続き取組を進めていきたいというふうに考えております。
最後に、資料の13ページ目をお願いします。合同宿舎の新築時における脱炭素化の取組について説明いたします。政府方針に基づき、いわゆるZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)化を図るということです。原則ZEH-M Oriented以上とするということ。2点目は、木造化や内装の木質化により、木材の積極的な利用を図るということ。3点目は、原則、全ての住棟に太陽光発電設備を設置するとともに、全ての照明器具をLEDとするといった方針で取組を進めていきたいと考えております。
宿舎の説明については以上です。よろしくお願いします。
〔 若林分科会長代理 〕 それでは、ただいま御説明がありました2つの議事について、委員の皆様から御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。発言時間については、引き続き1人2分をめどに御協力をいただければと思います。御発言希望の方はネームプレート、あるいは挙手ボタンでお知らせください。今回はオンラインの委員の方から先に御発言をお願いしたいと思います。
それでは、川口委員、お願いできますでしょうか。
〔 川口委員 〕 川口です。
まず、安全・安心、防災と安保についてどんどん公に頼る部分が増えていて中央では人員が増加していますが、庁舎の増床に限りがある中で、語弊があるか分かりませんが、どうやってうまく詰め込んでいくか、そのような努力はされていると理解しました。一方で、地方のほうで「エリマネぷらす」ということで、庁舎をまちづくりや地域連携の中でエリア価値向上を目指すということは非常にいい方向だと思います。民間の不動産のうち、ホテルとか、倉庫とか、店舗というものはもともとオペレーショナル・アセットということで、箱物だけではなくて、誰がどうマネジメントするかによって価値が変わります。最近では、オフィスであってもオペレーショナル・アセット化ということが進んでいまして、例えば、人口が減る中でいい人材を集めるためには、箱だけのよさではなくて、それをどういうふうに、働く人の働き方であるとか、well-beingを高めていくかとか、DXを推進していくかというオペレーションが非常に重要になっている。キーワードはオペレーショナル・アセット化ですけども、国有財産についても、「エリマネぷらす」という国有財産の戦略的なマネジメントというのは、国有財産という庁舎、宿舎の単なる箱物としてだけではなくて、各地の財務の方が中心となって、地域連携をしながら地方の価値向上に進むということは望ましい方向です。
最後に、宿舎については、未来の行政財産というテーマで以前に検討をさせていただきました。8,500戸が目標ですが、実際は建設コスト等の上昇もあって、想定した以上に難しいのが現状であることを理解しました。リノベーションも1,200戸。検討した当時にはインフレがこれほど大きな形で影響するところは見込めていなかったところがあります。民間でも、東京都心であっても建設事業が単体では成り立たない。例えば、ビークル・ファイナンスが成り立たないということになっていまして、要するに、賃料収入だけでは建設コストを回収できないので、SPCではなくて、コーポレート・ファイナンス、つまり、事業の外部から資金を供給しないとやっていかないといけないという状況に立ち至っています。資料の10ページに関連して、今後に向けての御説明がありましたけども、急激な環境の変化に適応できるように宿舎全体の在り方について修正をしていく必要があると思います。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、続いて、オンラインから亀坂委員、お願いできますでしょうか。
〔 亀坂委員 〕 ありがとうございます。
私からはまず、庁舎行政についてなんですけれども、以前も指摘させていただいたことがあるかと思うんですが、私は、他の省庁とか、例えば内閣府でも、客員主任研究官としてwell-beingの研究とかをしたことがあるのですけれども、以前から、海外から有名な研究者が来るので、ちょっと打合せをさせていただけないかとか、いろんなお問合せをすると、会議室が確保できなくて、別の時間帯にしてもらえませんかと言われたことが何回かあったのです。ですので、もうちょっと余裕があるというか、会議室ももう少し、本来は確保したほうがよろしいのではないかと以前から思っていまして、特に、コロナ禍発生以降は非常に密な状態で、狭いところで会議をすることもちょっと気になっておりますし、今も、大学の中でも、本当に様々な感染症、胃腸炎の子から、今、インフルエンザにかかる子、コロナで休みますという連絡とか、いろいろ入ってきまして、もうちょっとスペース的に余裕があるようにしたほうが、本来はよろしいのではないかと思っています。ですので、以前もコメントをさせていただいたことではあるのですけれども、もう少し会議室等のスペースとかにも余裕を持たせてもよろしいのではないかと思っております。
次に、4番目の議事の国家公務員宿舎の現状と課題についてなんですけれども、こちらも、以前から、大分前から需給のミスマッチが発生しているということが複数の委員から指摘されておりまして、今回も職員数の変化をグラフでお示しいただいたのですが、引き続き、特に、若手の人材確保、東大の学生も公務員になりたがらなくなっているとか、優秀な人材を確保するのに苦労されているということではあるのですけれども、人材確保の観点からも、特に若手がもう少しよい環境で働けるようにしていただく必要があるように感じております。
それで、アンケートも取っていただいたということではあるのですが、アンケートもあの興味深く拝見させていただいたのですけれども、例えばですが、独立したトイレが欲しいとか、これは、住環境としてはかなり危機的な状況だと思います。特に、感染症の発生以降、例えば私は、家族がコロナに感染したとか、インフルエンザに感染したとか、かかったとか、そういったときに、家族の間でトイレを共有することも気になることがあるのですけれども、非常に重要なお仕事をされる方々が独立したトイレも確保できていなかったりすると、これは大変、住環境としては、それこそウェルビーイングな状態とは言えない状況ではないかと思います。
もう1つ気になっているのは、日本人全体として、特に都心部に住む人たちは通勤時間が長いと。通勤時間が長いがために、長く、プラス長時間労働をしているがために、日本人全体として睡眠不足の状態にあるということが問題視されていると思います。要するに日本人は、場合によっては小学生ぐらいから、あらゆる年齢が退職する、仕事をしなくなるぐらいまで睡眠負債を抱えているような状態で、これが健康問題とか、あるいは、精神上よくないということが指摘されております。ですので、そういった若者の優秀な人材確保とか、ウェルビーイングの国際比較の状況とかも勘案されて、国家公務員宿舎の抱える課題を少しずつでも解決していただければと思います。
以上です。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、続きまして、会場参加の大久保委員、お願いいたします。
〔 大久保臨時委員 〕 御説明ありがとうございました。
私のほうからは、国家公務員宿舎のほうの資料の10ページ目についてコメントをさせていただきたいと思います。
この中で、近年の建設工事費の高騰によりということで、今後はその借受、または建設を検討するとありますけれども、今後とも、工事に携わる、作業をする、大工さんもそうですが、そういった人たちの人手不足というのは非常に深刻です。さらには、何度か御指摘になっていましたけれども、建築資材等のコストの上昇、これも、この先もどんどんまだまだとどまるところを知らないという状況ではないかと思われます。ですので、地域によっては、やはり積極的に借受、これをもっともっと推進していかないと、なかなか宿舎の手当てということも難しくなってくるのではないかと実感しております。
それからもう1つ、若手職員のニーズというところですけれども、いろいろオフィス革命とかをやっておられますが、その手前のところの働き方改革というところでいきますと、まだまだリモートワーク、これの推進の余地は大きくあるのではないかと思います。リモートワークを推進することによって、長時間の通勤からも、長時間の労働からも解放されるということがありますので、若手職員の採用とか、そういったことを考えても、リモートワークの余地というのは非常にあるのだということは1つのポイントになろうかと思います。そうしますと、宿舎の中に、個室にゆとりを持ってリモートスペースというものを確保することはありがたいと思います。なかなか現実は難しいと思いますので、共有スペースとしてのリモートワークスペースというものを確保して、公務員のお仕事の業種、業種といいますか、職種といいますか、それによっては、積極的にリモートワークを推進していくということをお考えになることがもう必要かと思います。そうやってリモートワークを推進していきますと、庁舎のほうにも非常にゆとりが出てまいります。こんなに職員がいっぱいいるわけですが、スペースが少なくて済みます。ですので、さっき、会議室がとおっしゃっておりましたけれども、ゆとりある会議スペースを確保することもありますし、場合によっては、省庁の床面積を縮小して、コスト削減につながるといったようなこともあろうかと思います。私の身近なところでの事例で恐縮ですけれども、私が以前所属しておりましたリクルートという会社がございますが、そこは今、リモートワークが普通のことになっておりまして、メンバーは月に1回ぐらいしか出社いたしません。会長、社長を含む役員もほとんど会社には出てまいりません。役員会議もこういうリモートの会議でやっているということです。ですので、もともとスペースが10あったとしますと、今は3ぐらいのスペースで十分に回っているということを聞きまして、リモートワークというものがなかなか現実には浸透してきているなと思います。もちろん、リクルートという会社は人材を中心とした情報メディアの産業ですので、比較的リモートワークになじんでいるかと思いますけれども、国家公務員のお仕事の中にもそのような領域のものもあるかと思いますので、御検討いただくとよろしいのではないかなと思います。
以上です。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ほかに、会場、オンラインとも、御発言を御希望の委員の方はおられますでしょうか。
オンライン参加の滝澤委員からチャットで御発言があるというお申出がございました。音声がうまくつながらないというお話でございますので、事務局から滝澤委員の御発言を代読させていただきます。
〔 尾﨑国有財産企画課長 〕 今、御紹介にありましたとおり、滝澤委員には通信で大変御迷惑をおかけしまして申し訳ございません。事務局より御意見につきましてチャットでいただきましたので、代読をさせていただきます。
国家公務員宿舎の資料の13ページにつきまして、専門外ではありますが、脱炭素化の取組の重要性については当然のこととして理解しております。ただ、「原則全ての住棟に太陽光発電設備を設置するとともに、全ての照明器具をLEDとする」との方針につきましては、日照条件や屋根形状の違いによって太陽光発電の効率が著しく変わる可能性かある中で、また、本来、エネルギー効率や脱炭素の目標は、施設群全体、あるいは地域単位で最適化すべきと考えられるところ、単棟ごと、それぞれの棟ごとにゼロを達成すること自体がを目的化することには合理性があるのかというようなコメントを頂いております。
以上でございます。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ほかに御発言はございますでしょうか。
ないようですので、ただいま頂戴しました御意見について、事務局から御説明をお願いいたします。
〔 梅野国有財産調整課長 〕 宿舎の関係からコメントをさせていただきます。
いろいろ御意見をいただきましてありがとうございます。
まず、亀坂委員のほうから、若手の人材確保の観点というところで、しっかりやってほしいという、まさに、今回、人事院の最終提言も御紹介したとおり、我々も非常に重く受け止めておりますし、また、これまでの分科会でも、人材確保の観点から宿舎行政を考えるべきという御意見もいただいておりましたので、そういう観点で、特に若手に着目した形で取り組んでいきたいと思います。また、アンケートにおいて独立トイレを追加して欲しいといった意見がなぜあるのかといった話がありましたが、そこは、独身用宿舎がなくて、世帯に住んでいただいているという資料を説明しましたが、残念ながら、昭和40年代、50年代の宿舎にはなかなかそういう対応はできていないというところもありまして。ですから、平成10年以降はあるのですけども、独立トイレがないところにお住まいの人も結構いらっしゃるというところでありますので、そこについてもリノベーションという形で手当てをしたいと思います。一方、川口委員がおっしゃったとおり、リノベーションについては想定以上のインフレ見込みになっているという御指摘はそのとおりでございます。ただし、先ほど申し上げましたとおり、発注規模の見直しといった形で、業者も結構地場の業者さんでございますので、いろいろヒアリングをしながら、入札のタイミングというものも大事だと思いますので、事情を聞きながら丁寧にやっていきたいなというふうに思っております。
また、リモートワークの点はまさにおっしゃるとおりでございまして、リモートワークのニーズは当然あると思います。そういう点で、設備につきましては、光配線を設置する形で、Wi-Fiというか、そういった形で対応するということであります。
一方、宿舎の共用会議室においてリモートスペースを設けたらどうかというご意見がありましたが、実は試行的に令和5年頃に、ある合同宿舎の集会所に、リモートワークのスペースを設けて、やってみたということがあったのですが、結果的に、御利用いただく方があまりいらっしゃらなかったので、1年で試行期間を終えたということがあるのです。ただし、潜在的なニーズはあろうかと思いますので、その辺はいろいろ考えていきたいと思います。また、財務省自身の取組としましても、いわゆるテレワークをしやすい環境整備ということで、民間事業者のサテライトオフィスと契約をしておりまして、そちらも使えるような形になっております。そういった取組も大事だと思います。
あと、滝澤委員から、太陽光発電に関して、屋根の形状等によって違うとか、エネルギー効率の観点で地域単位で見ていくべきではないかという御意見がございましたが、確かにその視点は大事だと思います。なお、我々が太陽光発電を整備するのは、エレベーターの電力を賄うためのものでございます。
〔 髙木国有財産有効活用室長 〕 庁舎につきましても御意見をいただきありがとうございます。いずれも、中央の庁舎につきましては、やはり、特にオフィス改革みたいな形で、会議スペースであったり、1人当たりのスペースを増やしていくということにつきまして、同じような悩みを抱えていらっしゃる民間の方の事例も踏まえまして、我々は内閣人事局と一緒に旗を振らせていただいているところでございます。
資料の2ページのほうにも、内閣人事局の「オフィス改革ガイドブック」というものがございますが、いずれも、ペーパーレス化であったり、DX、それから、働き方改革、リモートも含むということでございますが、それを進めることで、1人当たりの面積や動線幅の拡大、それから、まさに会議ブースの創出等を進めておりまして、いずれも、このガイドブックで対象になりました3省庁とも、オフィス改革後、皆さんは非常に満足度が上がったということで、将来的には若手の採用、人材確保にもつながっていくものと認識しておりますので、我々としても引き続き強力に進めていきたいと思っております。
また、地方の庁舎につきまして川口委員から御意見をいただき、ありがとうございます。まさに同じように我々も、オペレーショナル・アセット化と言っていただきましたが、今まで、庁舎の有効活用として、空きスペースは使っているものの、機能的にどこまで活用できていたのかというところにつきましては今後の課題との認識でございます。地方でもオフィス改革を進めておりますが、今回の「エリマネぷらす」を通じて、まちづくり、それから、より活用の在り方を高度化させるという方向で、引き続き進めてまいりたいと思います。
御意見ありがとうございました。
〔 若林分科会長代理 〕 それでは、続きまして、3つ目の固まりに入ります。議事(5)令和6年度国有財産監査結果報告等、議事(6)令和6年度処分価格等の客観性の確保に係る第三者チェックの実施状況、議事(7)株式会社商工組合中央金庫の株式の処分について、事務局から順次御説明をお願いいたします。
〔 鈴木国有財産監査室長 〕 国有財産監査室長の鈴木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私から、令和6年度国有財産監査結果と指摘後のフォローアップ状況について御報告させていただきます。
1ページを御覧ください。上段の枠内の監査の概要でございますが、各財務局等は、国有財産の有効活用を促進するため、各省各庁の国有財産の管理状況や使用状況の監査を実施しておりますが、監査の実施に当たりましては、毎年度、重点的に監査を行う対象を定めております。重点対象とある部分の①「一定の地域の庁舎」または「特定の官署の庁舎」の使用実態等、②「各省各庁所管の普通財産」の有効活用に向けた処理の進捗状況、この2点に重点を置いた監査を令和6年度に実施いたしました。
その結果が下段でございます。全国で427件の監査を実施いたしまして、74件について問題点を指摘しております。指摘した事案の一覧は7ページ以降につけておりますが、詳細な説明は割愛させていただきます。
2ページ目を御覧ください。実際に監査指摘を行いました中国財務局の事例でございます。こちらは、鳥取県にございます米子地方合同庁舎に約100平米の余剰が確認されたため、近隣の民間ビルを借り受けておりました自衛隊鳥取地方協力本部米子地域事務所を移転させましょうという指摘を行っております。庁舎の非効率使用の改善とともに、年間約300万円の賃借料の節減にもつながるものでございます。
続きまして、3ページ目を御覧ください。過去に指摘を行った事案のフォローアップ状況となります。上段の枠内にありますとおり、令和5年度までの指摘件数累計が1,640件ございまして、そのうち、令和6年度までに是正されたものが1,300件、79.3%の進捗となっております。また、監査指摘によりまして得られた跡地の売却収入は約81.7億円、賃借料の節減も約10.2億円となっております。
下の表は指摘是正件数の年度別の内訳となっております。B欄の是正実績の括弧書きは、令和6年度の単年度で是正された件数となっております。
次のページ以降で是正された事例を御紹介させていただきます。
まずは4ページ目です。稼働率の低い研修施設、こちらを用途廃止しましょうという平成29年度の指摘でございます。その後の準備が進められまして、令和6年3月に用途廃止の上で財務省に引き継がれ、令和7年2月、一般競争入札によりまして、約2.4億円で売却しております。
続いて、5ページ目です。こちらは令和6年度の指摘と同じような内容ですが、合同庁舎の余剰スペースに、借受先から移転を求めた指摘が、①、②、③、それぞれの年度でございました。こちらは3件とも令和6年度中に移転が完了しまして、この3件のみで、約3,500万円の賃借料の節減が図られております。
続きまして、6ページ目です。最後に、令和7年度の監査指針について説明させていただきます。従来は、売却が可能となるような庁舎敷地の余剰スペースや、民間借受けの移転先となるような庁舎の余剰スペースの洗い出し、こういったものなど、国自らの利用を主眼に置いた監査を実施してまいりました。一方、近年では、先ほどもありましたとおり、政策課題に対応していくために、国以外の民間事業者や自治体にも庁舎の余剰スペースを有効に活用してもらいましょうという動きが推し進められております。そこで、令和7年度の監査指針につきましては、国のみならず、民間や自治体の需要にも応えられるスペースが庁舎敷地にないかという視点を持った現状把握ですとか、民間事業者、自治体とのニーズの把握に取り組んでいる総括部門をはじめとした関係部門との連携を強化して、情報や認識の共有を図りながら監査をしていきましょうということで、国有財産のさらなる有効活用に向けて取り組んでいくこととしております。
私からの報告は以上でございます。
〔 中野国有財産審理室長 〕 引き続きまして、議事(6)です。国有財産審理室長の中野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私からは、資料6に基づきまして、令和6年度処分価格等の客観性の確保に係る第三者チェックの実施状況について、ごく簡単に御紹介させていただきます。
1ページ目をお開きください。この第三者チェックですが、御案内のとおり、処分価格等の客観性の確保に資するため、平成30年10月から運用を開始しており、年に1度、当審議会において、その実施件数の実績を御報告させていただいているところでございます。この第三者チェックの対象財産は、土壌汚染対策費用、あるいは、地下埋設物対策費用の大きいもの、具体的には、対策費用の見積額が3,000万円以上、あるいは、土地の評価額が2,000万円以上で、かつ対策費用見積額が土地の評価額に対して50%以上、こういった場合を基本的な対象としているところでございまして、令和6年度では合計8件の第三者チェックを実施したところでございます。その内訳としては、青い範囲で示す処分前につきましては、土地の調査の段階では6回、鑑定評価の段階では2回のチェックを実施いたしました。赤い範囲で示す処分後の損害賠償請求の件でございますが、こちらは令和6年度はゼロでございました。この8回の開催に関する個別の内容は次ページにつけてございますが、説明は省略させていただきまして、いずれも専門的知見を有する有識者の皆様より合理的との意見をいただいておるところでございます。なお、このチェックの実施件数につきましては、おおよそ制度当初に想定した見込みどおり推移しております。
私からの説明は以上でございます。
〔 中島政府出資室長 〕 続きまして、議事(7)株式会社商工組合中央金庫の株式の処分について御報告いたします。政府出資室長の中島です。よろしくお願いいたします。
4月に3回目の入札を実施いたしまして、入札に付した全ての株式が落札されております。その後、売却手続等を進めまして、6月12日に名義の書換えが終了いたしまして、6月13日、資料のとおり公表いたしております。各回の入札の詳細については表のとおりでございます。この結果、3回の入札を通した売払株式数は、政府の保有している全ての株式10億1,600万株、売払総額は1,609億5,500万円であります。これをもちまして、法定期限内に全ての株式の売却に至りました。
以上でございます。
〔 若林分科会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がありました3つの議事につきまして、委員の御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。発言時間につきましては、引き続きお一人2分をめどに御協力をいただければと思います。御発言希望の方はネームプレート、あるいは挙手ボタンでお知らせください。今度は会場からの御発言を先に御指名させていただきます。
御発言は、竹川委員、お願いします。
〔 竹川臨時委員 〕 私のほうからは、商工中金の株式処分について、意見を言いたいと思います。
結局、9割を商工中金の自社株買いで売却したということで、準大手行並みの資産規模を持つ金融機関を、中小企業だけで売却ができると最初は見立てたのが、やっぱり、見立ての甘さがあったのではないか。制度設計の甘さがあったのではないかと思う。自社株買いしたことによって、商工中金の自己資本比率はその分低下したりするのでしょうけど、その辺りの影響を教えてほしい。あと、商工中金は、自社株買いをした分を金庫株のような形にして将来売ると言っていますが、今回の入札を見る限りにおいては、中小企業の中で売り裁くということは難しいと思うんですけど、商工中金法を廃止した場合は、上場等もあるということですか。これは想定の話なのですけど、その辺りをお聞かせ願えればと思います。
〔 若林分科会長代理 〕 それでは、ほかに御発言は、会場ではよろしいですか。
オンラインの委員の御発言はございますでしょうか。
ないようですので、それでは、事務局からお願いできますでしょうか。
〔 中島政府出資室長 〕 ありがとうございます。
まず、1点目の制度設計の件につきまして、経済産業省の中小企業庁において、改正法の国会審議において当時の西村大臣が御答弁しているとおりでありまして、もともと商工中金が取得した自己株式は消却することはせずに、随時中小企業組合等に売却していくことを想定している。そのため、商工中金が中小企業による中小企業のための金融機関としての位置づけを明確化して、事業再生支援を含めた様々な分野において役割を果たすなど、その魅力を示すことにより、組合員等に株式を保有してもらうよう努めることが重要だというように発言されております。それに当たりまして、中小企業の側からは、危機時に資金供給を行う役割ですとか、全国ネットワークを生かしたサービス提供などへの期待が寄せられている。経済産業省としては、こうした期待に寄り添いながら、法改正に伴う商工中金の機能をより効果的に発信してまいりたいというように発言しております。
次に、自己株取得後の自己資本比率の関係ですけど、ビジネスに影響はないのかということですが、こちらは中小企業庁から聞いておるのですが、自己株取得後でも自己資本比率は10%を超えているということでありますが、他方、CET1比率と言われるものが10%を割るということなんですけども、足元の金利上昇により金利収入等が増えているということもありまして、取得後3年程度で回復できる見通しであるというように聞いております。
それから、今後、上場するのかという点については、我々としては、中企庁から詳しく聞いておりません、今後議論されることだろうと思います。
以上でございます。
〔 若林分科会長代理 〕 それでは、ただいまの御説明で、この議事について、委員の御発言と事務局からの説明が終わりました。
本日の全体の会を通じまして、御発言がある方、委員の方はおられますでしょうか。ないですね。
御発言がないということですので、それでは、以上で本日予定しておりました議事は全て終了とさせていただきます。
最後に、事務局から連絡事項がございます。お願いします。
〔 尾﨑国有財産企画課長 〕 本日も、委員の各位におかれましては、活発な御議論を賜りまして誠にありがとうございました。
本日の議事録、議事要旨、資料につきましては、会議後に財務省ホームページに掲載することといたします。また、議事録、議事要旨につきましては、委員の皆様方の御確認を賜りまして上で公表をさせていただきたく存じます。記者レクにつきましては、本日、この後、事務局のほうで対応させていただきたく存じます。ありがとうございました。
〔 若林分科会長代理 〕 それでは、これをもちまして財政制度等審議会第66回国有財産分科会を終了いたします。本日は御多用のところ御出席くださいまして、誠にありがとうございました。ウェブで御参加の方は御退出ください。
午前11時42分閉会