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国有財産分科会(令和6年2月27日開催)議事録

 

財政制度等審議会 第60回国有財産分科会 議事録

令和6年2月27日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 第60回国有財産分科会 議事次第

 

令和6年2月27日(火) 14:00~15:25
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  1. 開会の辞
  2. 議事
  (1)庁舎等使用調整計画について
(2)令和6年能登半島地震への対応について
(3)国家公務員宿舎の整備について
(4)行政財産の有効活用に向けた取組について
 

3.

閉会の辞

 
配付資料
資料1-1 令和5年度庁舎等使用調整計画(追加議案)
資料1-2

令和5年度庁舎等使用調整計画について(追加議案)

資料2 令和6年能登半島地震への対応について
資料3 国家公務員宿舎の整備について
資料4 行政財産の有効活用に向けた取組について
出席者
委員 奥田 かつ枝
亀坂 安紀子
川口 有一郎
筒井 義信
若林 茂雄
臨時委員 大久保 恭子
川嶋 三恵子
佐谷 和江
滝澤 美帆
竹川 正記
松尾 弘
村木 美貴
持永 勇一
野城 智也
山内 弘隆
吉原 祥子
専門委員 津田 廣喜
財務省 瀬戸 財務大臣政務官
奥 理財局長
石田 理財局次長
坂口 理財局国有財産企画課長
梅野 理財局国有財産調整課長
川路 理財局国有財産業務課長
大島 理財局管理課長
中島 理財局国有財産企画課政府出資室長
上乗 理財局国有財産調整課国有財産有効活用室長
遠藤 理財局国有財産調整課国有財産監査室長
中野 理財局国有財産業務課国有財産審理室長
小林 理財局管理課国有財産情報室長兼国有財産企画官
河邊 理財局管理課電算システム室長

午後2時00分開会

 筒井分科会長  それでは、定刻でございますので、財政制度等審議会第60回国有財産分科会を開催いたします。

 なお、荒谷裕子委員におかれましては、先ほど御連絡がございまして、本日は御欠席となっております。

 報道関係者が入室をいたしますので、そのままお待ちいただきたいと存じます。

〔報道関係者入室〕

 筒井分科会長  それでは、開催に当たりまして、瀬戸財務大臣政務官から御挨拶を頂きます。お願いいたします。

〔 瀬戸財務大臣政務官 〕 財務大臣政務官の瀬戸隆一でございます。財政制度等審議会国有財産分科会の開催に当たりまして、一言御挨拶をさせていただきます。

 筒井分科会長をはじめ委員の皆様方におかれましては、御多用のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。

 本日は、諮問事項といたしまして庁舎等使用調整計画についての御審議のほか3つの報告事項を予定しているところでございます。

 委員の皆様方におかれましては何とぞ充実した御審議を賜りますようお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 筒井分科会長  ありがとうございました。

 それでは、報道関係者の方は御退室をお願いいたします。

〔報道関係者退室〕

 筒井分科会長  それでは、議事に入ります。

 庁舎等使用調整計画につきましては、資料1-1をもって財務大臣から財政制度等審議会に諮問がなされております。この諮問につきましては、財政制度等審議会令第6条第7項及び財政制度等審議会議事規則第8条第3項によりまして、当分科会の議決が財政制度等審議会の議決となります。

 初めに、事務局より説明をお願いいたします。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 国有財産調整課長の梅野と申します。どうぞよろしくお願いします。

 使用調整計画の議案について御説明をさせていただきたいと思います。今回、中央事案といたしまして中央合同庁舎6号館に関する計画が1件、地方事案としまして、札幌市、名古屋市に所在する庁舎に関する計画が2件、合計3件でございます。

 資料1-1と1-2がございますが、資料1-2のほうで説明させていただきたいと思います。

 まず、中央合同庁舎6号館の使用調整計画でございます。

 2ページ目をお願いします。真ん中に今回の使用調整の絵が描かれている資料を御覧ください。現在6号館に入居中の公正取引委員会につきましては、矢印①のとおり、虎ノ門再開発建物の権利床に移転し、その空きスペースに、矢印②のとおり、九段合同庁舎に入居している東京地方検察庁が移転することは過去の使用調整計画において既に決定されております。しかしながら、公正取引委員会の使用面積が約8,810平方メートルであるのに対しまして、東京地方検察庁の移転後の面積は約8,200平方メートルであることから、現在未調整となっている残りの約610平方メートルにつきまして今回使用調整計画を策定しようとするものでございます。

 6号館につきましては法務省関係官署を中心に入居しておりますが、その中でも出入国在留管理庁は、業務の急増により定員が増加している影響で、非常に狭あい度が高くなっているということでございます。仮に新たに民間ビルを借りるとなりますと賃料がかかりますし、組織が分散化することによって非効率な形となります。そこで、出入国在留管理庁の使用面積を拡充させることにより、少しでも狭あい状況の改善を図りたいとするものでございます。

 以上が6号館の使用調整計画案でございます。

 続きまして、4ページ、次は札幌第2合同庁舎の使用調整計画を御説明いたします。真ん中にあります青色の庁舎が札幌第2合同庁舎でございます。その左の矢印①と下の箱の①のところでございますが、この合同庁舎から北海道運輸局が令和8年2月に竣工予定の札幌第4合同庁舎に移転することになっております。この移転に伴い生じる空きスペース約2,190平方メートルを調整するものでございます。大きく2つの調整になります。

 1つ目でございますが、右上の黄色い箱②と矢印②の札幌国税局業務センターでございます。現在、国税庁では、全国的に各税務署の内部事務を集約化し、業務の効率化などを図るために、地域ごとに業務センターを設けることとしておりますが、今回、札幌国税局管内のうち11の税務署を対象とする業務センターにつきまして、今回生じましたスペースを使用し、北海道の道央部の11の税務署の内部事務を統合するものでございます。こちらが約1,620平方メートルでございます。

 2つ目の調整でございます。その下の黄色い箱③と矢印③の函館税関でございます。輸出入貨物の調査や貨物の申告審査を所掌しており、申告内容の事後調査や、悪質事件の場合には背後組織の調査を行っているわけですが、近年、札幌市及び近郊に所在する申告事業者の増加により、札幌市に所在する北海道警察本部等と連携する機会が増加しているということでございます。函館から札幌まではJRで約4時間もかかるということでございますので、函館税関のうち調査及び審理部門の一部を北海道警察本部等と近接する札幌第2合同庁舎へ移転することにより業務の効率化を図ろうとするものでございます。これが約570平方メートルでございます。

 以上が札幌第2合同庁舎の使用調整計画案でございます。

 続きまして、中部経済産業局庁舎でございます。真ん中にあります青色の庁舎が中部経済産業局庁舎でございます。その左の矢印①と箱①のところでございますが、中部経済産業局、中部近畿産業保安監督部及び中部地方環境事務所が令和7年12月に竣工予定の名古屋第4地方合同庁舎に移転することになっております。この移転に伴い生じるスペースのうち約2,110平方メートルを今回調整するものでございます。

 まず、耐震性能の適合という観点でございますが、国土交通省の基準におきまして、この官署はこれだけの耐震基準を満たす建物に入るべきというものがございます。例えば耐震性の強い建物に入居する必要がある官署はⅠ類の建物というように定められております。現在、東海農政局本局は、本来、Ⅰ類とされる強い耐震性能が必要とされているにも関わらず、耐震性能がⅢ類の名古屋農林総合庁舎に入居していることから、官署に求められる必要な耐震性能を満たしておりません。今回、耐震性能がⅠ類である名古屋第4地方合同庁舎に移転することにより耐震性能の適合を図ることとしております。

 そして、今回、矢印②と黄色い箱②に東海農政局関連の官署を列記しておりますが、耐震性能がⅢ類である部署としまして、現在、名古屋農林総合庁舎第1、第2号館に入居している土地改良技術事務所、そして、名古屋農林総合庁舎から少し離れたところに所在します東海農政局安田庁舎に入居しております愛知県拠点(地方参事官室)及び木曽川水系土地改良調査管理事務所について、名古屋第4地方合同庁舎に隣接する中部経済産業局庁舎に移転・集約することにより、東海農政局の分散解消を図ることとしております。これが約1,930平方メートルです。

 なお、今回の使用調整によりまして、名古屋農林総合庁舎第1、第2号館及び東海農政局安田庁舎は完全に空きますので、跡地については売却することになりますが、その売却収入は新設される名古屋第4地方合同庁舎の建設財源に充てられることになります。

 また、その下の矢印③と黄色い箱③のところでございますが、名古屋合同庁舎第2号館に入居しております東海北陸厚生局は狭あいでございますので、会議室等の一部を2号館に隣接しております今回の中部経済産業局庁舎へ入居させることにより、東海北陸厚生局の狭あい解消を図ることとしております。これが約180平方メートルでございます。

 以上が中部経済産業局庁舎の庁舎等使用調整計画でございます。

 ただいま申し上げました3件が今回の令和5年度庁舎等使用調整計画になります。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 筒井分科会長  ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御意見等ございましたら御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

〔 川口委員 〕 この調整計画について異議はありませんが、用語の定義を確認したいです。中央合同庁舎6号館については狭あいを改善するための拡充というところと、それから札幌は業務効率を図るという使い分けをされているのですけれども、これらの表現は、狭あい改善というのは非常に放置できないような状況なので改善しなくてはいけない。例えば、私も各省庁さんの窓口へ相談に行きますと本当にすごく狭あいだと思います。そういう改善と業務の効率、この辺はどのような違いがあるのでしょうか。なければ、ないで結構です。

 狭あいがあると、ストレスであるとか、特に最近はwell-beingといったことで働く環境と健康が働く人にとっては非常に重要だという認識が高まっています。そういう意味では、狭あい改善というところではストレスを含めた形で問題があると。一方で、効率化というのはもっと効率よくしよう。その辺のニュアンスといいますか、教えていただけますか。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 今御質問がありました拡充と業務の効率化の違いといいましょうか、もともと拡充すれば業務が効率化するという連関性もあるかと思うのですが、起点が何かによって使い分けをしております。拡充という言葉を使うときは、今ある庁舎のスペースをプラスアルファしてあげることで狭あい解消を図るというのが直接的な意味であります。一方、国税の場合は業務センターを設置することにより内部事務を集約化していこうというのが起点になったということでございます。また、函館税関の場合は、調査については札幌にいたほうがいい。そういう業務のやりやすさが起点となってこの使用調整計画は成り立っているということで、何が起点になったかというところに違いがあると思っております。

〔 川口委員 〕 ありがとうございます。

〔 竹川臨時委員 〕 私もこの計画自身には全然異論はないのですけれども、参考にお聞きできればと思います。耐震性がⅢ類だというので移転されるというのもあるみたいですけれども、能登半島地震とかを見ていると、こういう公の建物はそれなりに対応拠点になったり、その後の復興拠点になったりするので耐震性は大事だと思います。現状、参考にお聞かせいただければと思いますが、このⅢ類にあるものはもっといっぱいあるのでしょうか。全国的にどんな感じなのでしょうか。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 Ⅰ類、Ⅱ類、Ⅲ類というのは、地震に対してどれぐらい耐性が必要かどうかということですが、例えばこの財務省本省はⅠ類になります。財務省で言えば、各都道府県にあります財務事務所がⅡ類相当、税務署等々がⅢ類でございまして、災害が起きたときの危機管理業務をどう担うかというところからして分類がされている。これは国土交通省のほうで定められているところでございます。

〔 竹川臨時委員 〕 ありがとうございます。

 筒井分科会長  ほかによろしゅうございますか。

 それでは、庁舎等使用調整計画を了承することについて御異議はございますでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

 筒井分科会長  ありがとうございます。庁舎等使用調整計画について御異議等がございませんでしたので、当分科会として了承することといたします。

 続きまして、令和6年能登半島地震への対応について、事務局より説明をお願いいたします。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 続けて説明をさせていただきたいと思います。元日に発生いたしました能登半島地震に対する国有財産部局の対応について説明させていただくものでございます。

 御承知のとおり、元日に発生いたしましたマグニチュード7.6の地震により多数の人的被害が出たことに加えまして、石川県だけでも住家被害が約7万棟を超えるなど住宅被害が多数に上っておりまして、足元、一次避難所であったり、旅館・ホテルなどの二次避難所にはまだ数多くの方がおられる状況になっております。このような中で重要なことが避難場所の確保と応急的な住まいの確保となっており、こういった観点で国有財産部局として対応してきたところでございます。 

 1ページの最初の丸でございます。避難場所の確保につきましては、輪島地方合同庁舎、穴水地方合同庁舎、そして北陸財務局が入居しております金沢新神田合同庁舎において、発災時に地域住民の避難場所として開放し、受入れをしたところでございます。

 次の丸でございますが、応急的な住まいの確保等につきましては、北陸四県(石川、福井、富山、新潟)に所在する国家公務員宿舎は、財務局が管理している合同宿舎とともに各省庁が管理している省庁別宿舎も含んでおります。これに加えまして独立行政法人が所有する職員住宅について、すぐに提供可能な住戸を一元的に取りまとめまして、石川県の災害対策本部に対して情報提供を行っております。このうち、石川県内の合同宿舎105戸について石川県から要請を受けまして、県に対して使用許可をしており、足元、順次、被災者の入居が進んでいる状況でございます。また、応急仮設住宅用地やがれき置き場などとして提供可能な未利用国有地につきましても一元的に取りまとめ、県災害対策本部に情報提供をしております。

 ちなみに、※印のところでございますが、国家公務員宿舎につきましては、被災者の受入れを行う地方公共団体からの要請に基づき、地方公共団体に無償で使用許可をした上で、地方公共団体から被災者に貸与する、そういう仕組みになっております。

 2ページ目をお願いします。こうした国家公務員宿舎の提供については、1月25日に政府で取りまとめました、「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」に明記されているとともに、石川県知事からも感謝の意が述べられているところでございます。

 3ページ目をお願いします。これは内閣府防災担当が日々取りまとめている資料でございます。住まいの確保に向けた取組に関する資料でございますが、左上の「公営住宅等の空室提供」の中に、3番目にありますのが国家公務員宿舎の取組というのが位置づけられているということでございます。まさにこういった住まいを失った被災者の方に一日も早く応急的な住まいに移っていただくことが必要でありまして、公営住宅、国家公務員宿舎、民間賃貸住宅の空室活用とともに応急仮設住宅の建設が順次進められている状況でございます。

 御報告は以上でございます。

 筒井分科会長  それでは、ただいまの説明につきまして御意見等、いかがでございましょうか。

〔 川口委員 〕 御報告、ありがとうございます。

 国家公務員宿舎の災害時におけるこうした応急的な住まいの確保ですけれども、前回の東北の震災のときには東雲のところも貸し出された。あの場合には放射能の問題もありましてかなり厳しい状況で、この分科会でそういった状況を現地視察させていただいたときに、被災者の方が、応急的な住まいだけではなくて、今後の生活をどうしていくか。特に若い世代の方は、新しい生活に向けて、応急的な住まいだけではなくて、今後の生活再建を含めたことを検討する際の非常に重要な拠点になった。そういう印象を持ちましたので、本当はあってはならないことなのですけれども、今日本で起こっている地震というのは、何千年単位の、地形が変化するような非常に大きな災害が頻繁に起きていますので、国家公務員宿舎の一つの機能として、大規模災害における応急的な住まいプラス生活再建を検討する一時的な機能を提供する場としてもっと光を当ててもいいのかもしれないと、考えた次第です。

 以上、コメントです。

 筒井分科会長  何かコメントがありますか。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 御発言のとおり、3.11の東日本大震災のときは特に広域的な対応が求められたということがまず特徴的かと思います。最近では熊本地震のときも同様な形で対応させていただいて、当分科会にも同様の報告をさせていただいたということであります。そういう点からすると、広域的な対応を求められているとはいえ、東京というより、やはり地元にいたいという方も結構ニーズが高いと承知しております。また、国家公務員宿舎105戸といっても、この所在は金沢市が多いです。よって、どこに住戸を構えたいかということはまさに被災者のニーズもあろうかと思います。

〔 大久保臨時委員  大久保でございます。よろしくお願いいたします。

 3ページの資料で幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず、現在も1万人強の方々が避難所での暮らしをなさっておられると聞いておりますけれども、ここにありますような公営住宅、賃貸型応急住宅、建設型応急住宅のこの数でその1万人強の方々の住宅確保というのは、質的にとは申しませんが、まずは数的には足りるという計画値でありますでしょうか。

 それから、効率よく家を建てたり、早くに応急住宅を提供しようとしたらば、たしか平家だけではなくて、2階建ても効率がよいので建ててほしいという声もあるかというように聞いていますが、建て方等についてはどのような工夫がなされているか。

 それから、赤い部分が住宅の立地ということですが、この立地は基本的に国有地なのでしょうか。どういう土地なのかというのを教えていただければと思います。

 最後に、川口先生のほうから若い方々の再建というような話がありましたけれども、この地域は高齢化率が非常に高く、お年寄りがたくさん住んでおられるわけですけれども、高齢者はこの先、自主再建というようなことは非常に難しいことだろうと思います。これもこの地域特有の大きな課題だろうと思いますが、この先こういった課題をどう解決すべきかということについてお考えがあれば教えていただきたいと思います。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 まず1万人を超える避難者に対して全てカバーされるようなものなのかどうかという点については、内閣府防災担当であり、国土交通省住宅局でないとしっかりした答えができないと思いますので、そこは差し控えたいと思います。また、建て方の工夫についても、そこは承知をしていないところでございます。

 赤い部分の立地について国有地かどうかという点については、国有地であれば、今のところそういった相談はありませんので、これは国有地ではないと思います。私有地又は公有地であろうかと思っております。

 最後に、高齢者の自主再建がなかなか難しいのではないかという点についての政府の取組についても、詳細をお答えする立場にありませんが、1月25日に決定された、非常災害対策本部決定の「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」において多種多様な政府としてやるべき取組について順次、各省の立場で進めております。また、石川県からの御要望を受けてやっているところもございますので、そこは政府全体として取組を進めていこうということかと考えております。

 部分的な回答で恐縮ですが、よろしくお願いします。

〔 大久保臨時委員  どうもありがとうございます。

〔 川嶋臨時委員  御説明、ありがとうございます。

 この地域は山林が多くて非常に急峻な土地だと聞いておりまして、そもそも住宅用地がなかなか確保できないと聞いています。この未利用国有地について情報提供したということですが、実際に使用されている実績があるのかということを教えてください。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 今のところ足元ないというところがあります。一方で、能登半島にある学校敷地のグラウンドに仮設住宅を建てようという話があって、そこに少し国有地が介在しているものもありますので、完全にゼロということではないですけれども、能登半島のほうにも国有地がいっぱいあるわけではありませんので、そういう状況でございます。

〔 持永臨時委員 〕 今の1ページと3ページのやり取りですけれども、2ページに1月25日の災害対策本部による報告日付があり、これは現地での災害対策を総合して報告する、現地の状況を踏まえての対応ということで望ましいと思います。しかし、財務省と財務局等で提供可能な住居を一元的に取りまとめて提供されたタイミングはもっと早かったと思うのですが、このあたりのスピード感はいかがだったのでしょうか。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 具体的な日付は手元に資料はありませんが、大規模災害が起きたときは、熊本地震の時もそうですが、発災後、1週間以内には、北陸財務局所在の入居可能な宿舎については把握をしました。あと、省庁別宿舎あるいは独法の宿舎についても、各省に対して、すぐに提供できるような財産はないかということは1週間以内でその作業依頼をお願いさせていただいて刈り取って、その後、石川県のみならず、他の北陸三県についても提供したということでございます。

〔 奥田委員 〕 現状利用がないというところですが、すぐに提供可能という状況と、すぐ住めるのかどうなのかということは異なると思います。今後ほかの場所でも大きな地震が発生することは十分想定されるところですけれども、もしそこにギャップがあって、有意義に使ってもらうために何かしなければいけないことはないのか。コストがかかることになるとそれなりに対応が必要かと思うのですけれども、宝の持ち腐れになってしまうというのももったいないことですので、何かできることがあれば考えてもいいのかと思います。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 今の質問に対して少し補足したいのは、宿舎105戸を使用許可しているものについては、石川県ですでに募集をしています。毎日、石川県のホームページにどれだけ提供しているかというのが載っていまして、国家公務員宿舎については、今日の朝確認したら74戸提供可能となっていました。つまり、差引き31戸は提供済みと理解しています。ただし、実際の入居というのは申請からタイムラグがありますけれども、順次、入居は開始している状況です。

〔 奥田委員 〕 分かりました。ありがとうございます。

 全国のこういった空き状態については随時把握していらっしゃっていて、タイムリーに提供できる体制は整っているということでよろしいわけですね。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 全国ですね。

〔 奥田委員 〕 そうですね。地震は、日本の場合、どこで起こるか分かりませんので、全国に必要なのかなと思いますけれども。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 全国については、実際、もともとその時点でどこが空いているかどうかというのも日々変わってきますので、発災後に、まず空いているかどうかを確認することになります。また、ずっと空いている宿舎については、水回りも含めて住める状態かどうか分かりませんので、すぐに入っても生活する上で支障がないかという確認をしています。だから、空いているだけで提供できるわけにもいかないと思います。そういう意味で、すぐに提供可能だというのは、まさにすぐに入っても生活に支障がないかどうかというのを確認した上で提供しているものでございます。

 筒井分科会長  よろしゅうございますでしょうか。

 ほかに御意見がないようでしたら、次の議事に移りたいと存じます。

 続きまして、国家公務員宿舎の整備について、事務局より説明をお願いいたします。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 続きまして、説明をさせていただきたいと思います。資料3の国家公務員宿舎の整備につきましては、これまでも当分科会で御議論いただきましたけれども、今後、宿舎整備を行う場合には、その具体的な計画について本分科会に報告をさせていただくことになっておりますので、このたびこの時間を設けさせていただいた次第でございます。

 1ページでございます。そもそもおさらいでありますが、国家公務員宿舎が抱える課題が生じている背景といたしましては、平成2312月に策定されました国家公務員宿舎の削減計画におきまして、真に公務のために必要なものに限定をし、約21.8万戸から約16.3万戸まで戸数を削減してきたところでありまして、平成25年以降、合同宿舎の建設は抑制をしてきたということでございます。この資料の課題でございますが、その結果、既存宿舎の老朽化が著しく進んでいる。地域ごとの宿舎需給のミスマッチが生じており、特に東京23区内の国家公務員宿舎が不足をしている。独身者・単身者用宿舎が不足していること。それから、地方において、広大な敷地の中に多数の低層宿舎が立ち並び、敷地が低利用となっている宿舎があることなどがあります。

 こうした課題に対する対応の方向性といたしましては、すべからく建て替えるということではなく、個々の宿舎の状況に応じて長寿命化を図り、計画的、効率的に改修をしていくという対応に加えまして、宿舎が不足する地域におきましては、建設と借受のコスト比較を実施した上で、より経済的な方法で設置を検討するということでございます。また、建設に当たっては、若手職員を中心とする独身・単身者向け宿舎の整備を優先するほか、非効率な土地利用となっている宿舎は集約して建て替えることを検討することとしております。

 なお、整備財源につきましては、老朽度や立地条件を勘案して、今後廃止する宿舎の売却収入を充てることで、新たな国民負担が生じないように対応することとしております。

 その上で、昨年度、東京都葛飾区小菅に新たに合同宿舎を建設する計画につきましては御報告をさせていただいたところでございますが、本年度の新たな宿舎の整備案件について予算要求を行い、現在国会で審議中の令和6年度政府予算案に盛り込まれております。具体的には東京都北区、岡山市、静岡市の3事案になりますが、それぞれの建設計画の概要について御報告をさせていただきたいと思います。

 2ページ目をお願いします。まず、東京都北区桐ヶ丘の事案でございます。所在は都営地下鉄三田線の志村坂上駅の東方約0.9キロメートルに位置しておりますが、霞が関までの通勤時間は約50分となっております。周辺は都営住宅が立地しておりまして、本財産も、もともとは東京都に対して都営住宅敷地として貸し付けていたものが返還されまして、現在、未利用国有地となっておりますが、この土地に7階建て、110戸の宿舎を建設する計画であって、完成は令和10年度頃を予定しております。

 続きまして、3ページ目の岡山市の事案でございます。所在はJR岡山駅の北西方向約1.1キロメートルに位置し、周辺は岡山県総合グラウンド、認定こども園、戸建て住宅などが立地しております。資料右側の下の写真を御覧いただければと思いますが、現在は広大な敷地に2階建ての低層宿舎が立ち並んでおり、非効率な土地利用となっております。現在の宿舎敷地の範囲が、その上の写真の黄色で囲んでいるところになりまして、そのうち低層宿舎を赤枠の部分に集約いたしまして、9階建て、210戸の宿舎を建設する計画となっております。完成は令和11年度末頃の予定です。また、集約・建て替えにより生じた余剰地の未利用地につきましては、地域のニーズを踏まえて定期借地権による貸付により有効活用を図る予定でございます。なお、本件宿舎の建設により、岡山市における宿舎の需給のミスマッチは将来的に解消される見込みでございます。

 続きまして、4ページ目の静岡市の事案でございます。所在はJR東静岡駅の南方約1キロメートルに位置しまして、周辺は静岡県立大学短期大学部、病院、戸建て住宅などが立地しております。資料右側の写真を御覧いただければと思いますが、現在の宿舎敷地の範囲が黄色で囲っているところでございまして、これを赤枠の部分に集約いたしまして、6階建て、273戸の宿舎を建設する計画となっております。完成は令和9年度末頃の予定です。また、集約・建て替えにより生じた余剰地の未利用地につきましては、岡山市の事案と同様に、地域のニーズを踏まえて定期借地権による貸付により有効活用を図る予定でございます。なお、本件宿舎の建設によりまして静岡市における宿舎の需給のミスマッチは将来的に解消される見込みでございます。

 最後に、5ページ目でございます。東京都葛飾区小菅の計画については、昨年度の分科会において御報告しておりますが、御参考までに簡単に説明させていただきたいと思います。東京拘置所の東側には、黄色の部分でございますが、平成22年築の合同宿舎がございます。その反対側の西側、赤色の部分に整備をするものです。具体的には、航空写真の赤枠の敷地内の東京拘置所側にまずは法務省の刑務官用宿舎を建設いたしまして、その後、老朽化した法務省の宿舎を取り壊した上で、更地にした後に14階建て、446戸の合同宿舎を建設する予定となっております。現在は、葛飾区や足立区のほか、関係地権者などと協議、調整をしているところでございます。

 説明は以上でございます。

 筒井分科会長  ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御意見等いかがでございましょうか。御発言をお願いいたします。

 川嶋臨時委員  1ページ目の整備財源については今後廃止する宿舎の売却収入を充てるということになっています。これは簡単に言うとどういう仕組みなのかということです。例えば、一個一個の宿舎に対してどこどこの土地を売却すると定まっているものなのか、あるいはプールするような形で、宿舎の売却をこちら側に充てる、あちらにも充てる。そういうざっくりした仕組みなのかどうかを教えていただきたい。

 昨今いろいろな財源の確保をめぐって、未利用地とか国有財産を売却して財源に充てようという財源の奪い合いみたいなのが活発なのであえて伺うのですが、宿舎に関しては宿舎に充てるということがどこかの形ではっきりと決まっているのかどうかということを確認させてください。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 2点質問がございました。

 まず、宿舎の財源の仕組みというものですが、毎年度、特定国有財産整備計画というものをつくります。今回、令和6年度については3住宅について、それに対応して廃止する住宅についても、そこはきちっと特定した上でやります。よって、基本的に各年度ごとの特定国有財産整備計画の中で、どこの住宅を財源として予定するかというのは明記する形になります。

 あとは、財源の奪い合いというと……。

 川嶋臨時委員  要するに、ここにもう定まっているのだったらそれはそれで結構ですが、ただ、この財源だけで賄えない場合というのも生じるのですか。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 例えば、昨今建設費が上がっているという局面もありますので、多少多めに積んではいるのですが、財源が足りなくなるとなったときには財源を追加するという形は念頭に置いています。

 村木臨時委員  すみません。事前にもお願いしたのですけれども、私自身、需給のバランスが取れるということで、この整備計画は特に問題ないと思っているのですが、各地域を理解するために、その用途地域の規制の状況とかを資料に入れていただいたほうが理解しやすいので、お願いしたいと思います。これはお願いなので、今後そのような形で御対応いただけますとありがたいです。よろしくお願いいたします。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 委員から御指摘いただきました、用途地域については資料にきちんと明記をすべきということについては、今後はしっかり対応していきたいと思います。ありがとうございます。

〔 山内臨時委員 〕 この件で、1ページ目に「PFI事業者選定アドバイザリー業務等の」云々とあるのですが、これはPFIでやられるのですかということが1つ。

 もしそうだとすれば、宿舎についてはかなりPFIの経験があると思いますけれども、何か今回新しい工夫とか、あるいは事業の進め方とかがあるのかどうか伺いたいです。これは次の議題にも関係するのですけれども、もしありましたらお願いいたします。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 まず、PFIについて、これまでも宿舎については大体PFIで整備してきたということであるのですけれども、今後も原則は、宿舎を建設する場合にはPFIの手法を活用したいと考えております。

 また、工夫については、附帯事業としてどういうことを考えるかというところかと思いますが、今まではコンビニだとかクリーニングというところもありましたが、ほかの用途もいろいろ広がりがあるのかもしれません。あと、毛色は違うのかもしれませんけれども、官庁施設、宿舎も含めて施設を造る場合は、今後、木造化も図っていかないといけないという動きもありますので、それは新たな要素なのかなと思っております。

〔 野城臨時委員 〕 野城です。感想になってしまいますが、説明の中にございました公務員宿舎を一気に減らせという状況のときにも理財局の皆様と御一緒したことがございます。今日の御説明を聞いていますと、その当時、かなり感情的に公務員宿舎を減らせということで、公務員宿舎に適切な維持保全の処置もされなかったために今日の状況を生んでいるということですから、今日御説明がありましたように、できるところからPFIなどの手法を使って整備していくことは必要だと思います。

 これは、やはり国家公務員への大学生の入職者が減っている、あるいは優秀な人材から選ばれなくなっているということは紛れもない事実でございまして、そういった観点からも、十数年前の非常に感情的なエモーショナルな状況を反省しつつ、やはり霞が関や、あるいは様々な働いていただく方に適切な宿舎を提供できるようにお考えいただくことをこれから持続的にしていただきたいという感想とお願いでございます。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 大変貴重な御意見、誠にありがとうございました。来年以降も、当然、内部的にいろいろ検討している事案等もございますので、具体的に説明できる状況になった場合についてはまた本分科会におきまして御報告をさせていただきたいと思います。

〔 滝澤臨時委員 〕 御説明、ありがとうございます。

 先ほど質問された委員と重複する部分がございますけれども、特に異議とか質問ではないのですが、やはり整備財源について国民負担が生じないようにというところで、おっしゃったとおり、資材価格、工事費用等高騰している一方で、廃止する宿舎というのは概して需要が小さくて相対的に資産価値が高くない宿舎であるという印象がございますので、借り受けるべきか建設すべきかといった計画は当然ながら引き続き収支をよく確認して進めていく必要があるように感じております。

 私からは以上です。

〔 亀坂委員 〕 私が最初に国有財産分科会の委員になったときには、ひたすら削減目標に従って、とにかく国家公務員宿舎を削減しなくてはいけないという状況にありました。足元で特に若手の公務員の方々が、東京都内にも自費で住まいを確保することができなくて、神奈川県から通って、しかも長時間労働を行ってというようなお話を伺って、川口先生とかが集中的に、もうちょっと若手職員の待遇面も含めて、働き方も考えて、改めて需給のミスマッチも調査して、新たにこういった建設計画を建てようという、ものすごいたくさんの議論があってここまでやっとたどり着いた状態という印象を私は持っております。

 ですので、ちゃんと需給調査もして、長い議論を経てこういったところまでたどり着いたという資料も分かりやすく、一言二言でもいいのですけれども、資料に文言を追加するとかいったこともあってもいいのかなと思いました。ものすごい時間を割いてやっとここまでせっかく来たのですが、新しく就任された先生方は急にこういった話が出てきたのかなと思われてしまうのではないかと思いました。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 貴重な御意見、ありがとうございました。長い議論をたどったというところについてはまさにそのとおりでございまして、そこが分かるような形で今後の資料作りについては配意していきたいと考えております。

 佐谷臨時委員  建設コストをできるだけ抑えることも重要ですが、省エネルギー対策やネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの実現、また災害時に地域社会に貢献できる機能を備えた公務員宿舎の建設も同様に重要です。例えば、能登半島地震を考慮すると、関東でもいつ大地震が起こるか予測できません。このため、公務員宿舎を帰宅困難者の一時的な避難所として活用することが可能です。建設費が若干高くなるかもしれませんが、地球環境への配慮や地域への貢献を考えれば、その価値は計り知れません。これらの側面を踏まえた上での検討をお願いします。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 貴重な御意見、ありがとうございます。まさに省エネという点も、地域防災に資するかどうかというところについても配慮すべき事項だと思っておりますので、意見を踏まえて検討を進めていきたいと考えております。

 佐谷臨時委員  よろしくお願いします。

〔 川口委員 〕 今の御意見と関連しまして、当面はセルフファイナンシングでできる、要するに廃止しながらやっていくと。そうしますとPFIとも関連するのですけれども、今御意見が出たように、日本の今の一つの課題はエネルギーをどうやって確保するかということで、様々な試みがされています。化石燃料でやってきた企業が全部やめて地熱に移った。その社員はみんな今までの専門を変えて地熱発電に乗り出すといった例があります。不動産業界でもエネルギーをどうやってつくるかというのは経営者陣が大きな関心を寄せています。そういう意味では、霞が関が、歴史的に見れば、国そのものがある方向を目指していくときに、庁舎とか宿舎というのはそれを先導する形で方向づけをしていく役割が明治以来あったと思うのです。セルフファイナンシングでできるのであれば、宿舎についても再生エネルギーを率先的、実験的になるかも分かりませんけれども、そういうのを試みる余裕はないのでしょうかという質問です。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 一応、宿舎を建設するときというのは、いわゆるコスト比較をするということで、建設優位になったときに建設することになっておりますので、その範囲でどこまでできるかということかなと思っております。

〔 奥田委員 〕 念のための確認です。先ほども御質問があったのですが、この資料には、この場所の容積率とか建物の床面積とか入っていないので分からないのですけれども、この計画されている建物はそれぞれの土地に対して最有効というか、マックス可能な規模になっていらっしゃるのか。それとも、コストや戸数のほうから踏まえて必要なものだけを建てるような計画になっているのか。そこはどうでしょうか。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 使用容積をフルに使っているかどうかについては、そのようにはなっていないという答えになります。

 例えば、北区の事例については7階建てになっております。これは、北側に保育園がありまして、その日照を確保しないといけない。あと、周りに都営住宅があって、そういった周辺の調和というところで7階建てにしているということで、使用容積率も約140%になっております。

 次の岡山市の事例については、これは9階建てになっておりますが、こちらも北側にあります認定こども園の日照確保がございまして、9階建てを予定しているということであります。

 静岡市の事例については、高さ制限19メートルという制限がございまして、そうしますと6階までしか確保できない。そういった制限が課せられている状況でございます。

〔 奥田委員 〕 そういった日照――隣地に日照を十分確保しなければいけないというのは法規制なので、法規制に従った中でのマックスということでよろしいでしょうか。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 そのように御理解いただきたいと思います。

 筒井分科会長  いかがでございましょうか。

 私から1点。さっき川口委員がおっしゃったことですけれども、私どもでは、不動産を建設するときは、必ず省エネ、再エネ、緑化、こういった観点で配慮した建築をすることがほとんど責務になっておりますね。そういう観点からいくと、確かにそういうものを造るとコストがかかるところはあるのですけれども、初発の建設コストだけではなくて、その省エネ、再エネ、緑化計画が長期的にどのような効果を及ぼしてくるか。あるいは、建築コストだけではなくて少し包括的にコストみたいなものを捉えていくとか。なかなか国の予算の関係では難しいかもしれませんけれども、そのような考え方を導入して今世界が進んでいっている流れの中に公務員宿舎もやっぱり関わっていっているという姿を示すことは大事なような気がします。

〔 山内臨時委員 〕 さっき工夫をと言ったのは実はそういうことなのですけれども、これは国の公務員宿舎ですけれども、地方自治体、県がやっている県営住宅とか、そういうものをPFIでやるときは、今おっしゃったように再生可能エネルギーをかませて、それだけでも独立採算できるような仕組みを入れたりしています。国がやるのだったら、非常にやりやすいといいますか、可能だと思います。特に、最近、再生可能エネルギーは、太陽光について言えば適地がほとんど限られてしまって、これ以上増やせないというのはちょっと大げさですけれども、そういう状態にあります。国有財産をうまく使ってそれを進めるというやり方があると思っています。

 さらに、この宿舎で採算を取るだけではなくて、もうちょっと余剰地とかがあれば、それでもって発電をして、周辺の地域に、別に売電という形でもなくて、リダンダンシーも含めて提供するような形もあります。これは4番目の議題で言おうかと思ったのですけれども、特にPFIなんかを使うとそれがパッケージでできるので、やられたらいいのではないかと思っています。

 筒井分科会長  ありがとうございました。

 よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、続きまして、行政財産の有効活用に向けた取組について、事務局より御説明をお願いいたします。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 それでは、続きまして、行政財産の有効活用に向けた取組について、実績の御紹介と今後の取組の方向性につきまして御説明申し上げたいと思います。

 1ページ目をお願いします。行政財産の有効活用につきましては、当分科会の令和元年答申で頂いた提言を皮切りに、令和5年改定版のPPP/PFI推進アクションプラン、あるいは行政財産の未来像研究会報告書でも、さらなる有効活用に向けた情報発信の強化と取組の推進が求められているところでございます。これらの政府方針等を踏まえまして、理財局、各財務局では、各省各庁の協力を得つつ、使用許可による行政財産のさらなる有効活用を推進しているところでございます。

 2ページ目をお願いします。行政財産のさらなる有効活用を推進していくに当たっては、従来の使用許可が想定しているような職員の福利厚生に関連する飲料自動販売機、食堂・売店やインフラ関連設備に加えまして、政策課題に対応でき、社会貢献も志向した用途を模索したいと考えております。現在に至るまでの間、シェアサイクル、カーシェアリング、EV用充電器などの用途での使用許可実績がありまして、このうち、例えば5G基地局につきましては、昨年2月22日に行われた当分科会で報告させていただいた件数から24件増えておりまして62件となっているなど、取組を拡大しているところでございます。これらの取組につきましては、脱炭素社会の実現やデジタル改革の推進、働き方改革、財政貢献、地域貢献といった政策課題に対応していくものと考えておりまして、今後も引き続き推進していきたいと考えております。

 3ページ目をお願いします。今後の取組につきまして、まず1つ目といたしましては、政策課題への対応を志向した新たな用途の発掘について御説明したいと思います。足元、先ほど挙げました政策課題対応につながる新しい用途、さらには多様な政策課題への対応が可能な用途を模索すべく、民間事業者へのヒアリングを含めアイデアを集めて検討しているところでございます。一例といたしまして、物流問題対策に資するオープン型宅配ボックスがあろうかと思います。こうしたものの普及を促し、再配達を抑制することによりまして、物流基盤確保、人手不足対策に加えまして、CO排出量削減にも寄与するものと考えております。その他、災害対応力強化に資する可能性のあるモバイルバッテリーシェアであったり、学童保育など子ども・子育て支援に資する施設の導入も模索をしております。委員の皆様からもし御意見がありましたら参考にさせていただきたいと考えております。

 次に、4ページ目をお願いします。今後の取組の2つ目といたしまして情報発信の強化でございます。主な動きといたしましては、全国の庁舎の空きスペース、これは、庁舎の空いている事務室といった大きなものではなく、例えば入り口ロビーの壁際の一画であったり、敷地内にあるデッドスペースといった、使われていないスペースの有無を調査し、それらを公表しまして民間事業者の活用要望とマッチングさせることを考えております。この取組につきましては、まずは東京都23区に所在する財産を対象といたしまして既に先行的な取組を行っているところでございます。今後は、財務局と連携の上、全国展開を計画しているところでございます。

 オレンジの枠の中が先行的な取組について記載している部分でございますが、まずは東京都23区内の各省各庁の所管財産の中から事業性が高いと考えられる庁舎、これはアスタリスクにあるように、税務署、法務局、職業安定所、労働基準監督署といった一定の来訪者があるところでありますが、そうした庁舎を選定した上で空きスペースの把握のために現地調査を行った次第でございます。その上で、足元でやっている作業でございますが、活用可能性のある空きスペースの情報を資料にまとめ、公表を行うべく、各省各庁の調整を行っているところでありまして、この調整が完了次第、速やかに財産の情報を公表したいと考えております。この現地調査から公表までの流れを、今後はまず全国の都市部など事業性が高い地域の行政財産へと拡大していきたいと考えております。財産情報を公開した後も、空きスペースを持つ庁舎を所管している各省各庁とその空きスペースの活用を要望する民間事業者との間に財務省・財務局が入りまして調整役を担いたいと考えております。このほか、民間事業者に対しまして使用許可制度を分かりやすく周知するリーフレットを作成・公表することによりまして、民間事業者が国の行政財産を事業候補地の選択肢として検討しやすくなるような環境づくりに取り組んでいきたいと考えております。

 説明は以上でございます。

 筒井分科会長  それでは、ただいまの件につきまして御意見等、いかがでございましょうか。

〔 松尾臨時委員 〕 松尾でございます。

 行政財産の有効活用の方向性について、私も賛成でございます。公共空間をできるだけ効率的に活用していこうという土地政策の方向性とも合致していると思います。従来、私有地と公有地をはっきり分けて管理・利用してきたところを、両者の境界を超えて相互に利用調整することにより、全体としての利益を最大化するという方向性が現れていると考えています。例えば、私有地でも一部を公共開放することによって容積率を緩和する形で活用するとか、公有地を民間事業者にも占用許可することによって、公共財産を効率的に活用するなどの方法によって、相互の利用調整が進んでいると思います。しかし、その際には、当該私有地又は公有地それ自体の利用の効率化という視点だけではなくて、エリア全体の価値を高めていくような視点ですとか、公有地と私有地の管理・利用の調整を図るときのマクロ的な視点からの調整も重要であると考えます。そのような観点から、現在進んでいる行政財産の活用に際して、エリア全体の価値の最大化、あるいはマクロ的に見た行政財産の有効活用の指針というような枠組みは、どの程度できているか、あるいは今後そういう視点を展開していく予定があるかということについて、追加的にお話を伺えればと思います。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 御説明したのは、ある意味、ちょっとしたスペースといいましょうか、そういったものを念頭に置いているわけでございますが、委員から御指摘いただきましたマクロ的な視点という点からすると、我々、エリアマネジメントと称する取組を進めておりまして、当然、国有地もそうなのですけれども、自治体であれば公有地を持っているところもあろうかと思います。公有地と国有地を一体的にどう有効活用していくかというところについては、地域に協議会というものを設置して、いろいろコミュニケーションを取りながら、何ができるかというところを地域ごとに進めているところでございます。

〔 松尾臨時委員 〕 ありがとうございました。特に地域のコミュニティとのコミュニケーションというのは非常に重要な点だと思いますので、ぜひ地域の協議会の活用をお願いしたいと思います。

〔 大久保臨時委員 〕 2ページ目の有効活用についてですけれども、既にシェアサイクルは実績として8件ですが、今後もタクシー不足が割と問題になっているような状況でもありますので、旅行事業の支援という側面も含めて、このシェアサイクルというのはもっともっと推進していっていただけるといいのではないかなと思います。

 それから、次のページの新たな用途というところでいろいろなアイデアがこれから必要だということですけれども、今、決まった場所で仕事をするということではなく、自分の都合のいいときに都合のいい場所で仕事をする、いわゆるノマドワーカーが増えているようでございます。ですので、そういった人たちを対象としたワークスペースの提供というのも今後の政策課題につながっていくことでもありますので、そちらも推進していただければと考えます。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 御意見、ありがとうございます。もちろん、シェアサイクルにつきましても、今後いろいろ各地域で公募が進んでいるところもありますので、実績は伸びていくであろうと思っております。

 また、ワークスペースにつきましても、そこは部分的に、さいたま新都心の合同庁舎にもそういったワークスペースを作ったり、試行的な取組もしているところでありますが、意見を踏まえて取組を進めていきたいと考えております。

〔 吉原臨時委員 〕 ありがとうございます。こちらの資料の内容に異議はございません。

 4ページ目の行政財産の有効活用に向けた今後の取組というところで、「行政財産の空きスペースを調査・公表し」とございます。この空きスペースを有効に活用することの選択肢の1つとして、霞が関で働いていらっしゃる方々の環境の向上も一つの有効活用として選択肢に入れてもいいのではないかと思います。ちょっとしたスペースというところに民間事業者を誘致して、様々な政策の実現の一つのスペースとしていくことはもちろん大変重要なものであり、この資料に賛成いたします。

 それと同時に、本日も最初のほうの議題でございましたが、庁舎などの使用調整計画で狭あいの解消という課題があり、また、国家公務員宿舎の整備のところでも、若い方々の居住環境の整備をすることの大切さ、それがいい人材を霞が関に呼ぶ上でも大変重要であるという御指摘があったかと思います。そうしたことを考えますと、ちょっとしたスペースが空いているところを、ぜひそこで働く方々がより効率的に気持ちよく働けるようなことに活用することも行政財産の活用の在り方の1つではないかと。働く人たちが気持ちよく集中して働けるようになることで、また、十分なスペースの中で働けるようになることで、その成果は確実に国民に返ってくるわけですので、民間の事業者を呼ぶということも当然重要ですけれども、働いている方々のためにもなるような利用が進むとよりよいのではないかと感じた次第です。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 貴重な御意見、ありがとうございます。まさに空きスペースを活用するというのは行政財産の使用許可になるわけでございますが、当然のことながら、これは従来の国の事務事業の用途を妨げない。まさに執務環境が悪くなるまでやるわけにはいかない。そこは当然守らないといけないところでございます。その上で、これは特に各省各庁の賛同を得ないとなかなか難しいところがございますので、まさに働く場所を阻害することは当然ないでしょうし、また、セキュリティ面でなかなか難しいところも実際問題ございますので、あくまでも各省各庁の御理解を頂きながら、できるところを開放していくという思想でやっていきたいと考えております。

〔 亀坂委員 〕 3ページ目のオープン型宅配ボックスに今回特に興味を持ちまして、これはいいな、うちの近所にも欲しいなと思ったので、こういった需要があるか、きちんと需要の調査とかもしていただいた上で、物流問題が最近は本当に話題になっておりますので、こういった宅配ボックスとか普及していただければなと思います。

 あと、ここには挙がっていないのですけれども、先ほどの1つ前の議事に関係したことでもありますが、太陽光発電にも国有財産を利用していただいたりしていたということを過去に報告していただいたと思うのですけれども、そういった取組も併せて、国家公務員宿舎建設時だけではなくて、引き続き取り組んでいただけると災害対策にもなりますし、よろしいのではないかなと思いました。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 御質問、ありがとうございます。

 まず、オープン型宅配ボックスにつきましては、既に事業者ヒアリングもしているところでございますが、やはり事業者といたしましては住宅地に近いところが望ましいという話もありますので、まずは宿舎での設置を想定しているということでございます。事業者の中でも、若い人が多い宿舎が理想ではなかろうかと考えられているところもあります。また、道路沿いの視認性が高いといったもの、あるいは不特定多数の方の立入りが可能である、そういった観点も示されておりますので、そこはきちっと事業者の意見を聞きながらマッチングしていきたいと考えております。

 それから、これまでも宿舎における太陽光発電の議論がございます。こちらについては、もともと庁舎につきましては、いわゆる温室効果ガス排出削減の取組を定めた政府実行計画なるものがございます。これによりますと、2030年までに政府が保有する設置可能な建築物の約50%以上につきましては太陽光発電設備を設置しなさいということになっておりまして、その中でもPPAモデルと言われるものの活用も検討されているということでございます。当然ながら政府実行計画に基づき、各省各庁がその計画を定めていく。これは宿舎も当然対象であります。一方で、音頭を取っている環境省につきましても、国の施設におけるPPAのモデルケースとなるような案件の組成も検討していると伺っておりますので、そちらとも連携していきたいと考えております。

〔 佐谷臨時委員 〕 御説明、ありがとうございます。

 この有効活用自体は素晴らしいことだと思いますが、一方で、民間で行われている類似の活動との競合や民業の圧迫にならないかが懸念点です。

 また、私の知り合いがNPOでフードバンクという活動をしています。食品を集めて保管し、それを貧困世帯に配布するという活動ですが、倉庫代の負担が大きいと聞いています。例えば、財務省が低価格で貸し出すことができれば、直接的な収益は期待できないかもしれませんが、それも有効活用だと思います。そのため、公共性の高い事業に対して低価格で施設を貸し出すなどの選択肢も検討できるのではないかと考えています。この点について、どうお考えでしょうか。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 御質問、ありがとうございます。

 まずは民間との競合、民業圧迫という話がございましたが、こちらについては、確かに空きスペースを公表して民間事業者とマッチングするという説明をさせていただきましたけれども、実際、各省各庁が使用許可する場合には公募のプロセスを経ますので、そういったところで公平性を担保することを当然ながら予定しているところでございます。

 あと、フードバンクのお話がありましたが、いわゆる公共性があるものについてはプライスの面でどうにかできないかという質問でございますが、そもそも使用許可になりますと、当然、使用料をどう算出するかというのは通達に基づいた基準がございます。使用許可というのは行政処分でございまして、いつでも国の事情で関係が切れるという使用許可の特殊性があります。そこで0.7という調整率を乗じていることがございますので、一般に使用許可の使用料につきましては民間基準よりは低廉になっているという事情がございます。

〔 佐谷臨時委員 〕 そうすると、ある金額以上に低く貸すことはできないということですか。

〔 梅野国有財産調整課長 〕 そうですね。現行制度上はそういうことになっております。

〔 佐谷臨時委員 〕 そうですか。分かりました。だから、公共性の高い、1回地方自治体を通すのかもしれないですけど、有効活用というのがここで言っている財政貢献のものだけではない視点というのも重要かなと思っております。

〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、以上で本日予定しておりました議事は全て終了とさせていただきたいと存じます。

 最後に、事務局から連絡事項がございます。

〔 坂口国有財産企画課長 〕 事務局でございます。

 本日の資料に関しましては、この会議の後に速やかに財務省のホームページで公表させていただきたいと思っております。

 また、本日の議事録と議事要旨に関しましては、委員の先生方に御確認を頂いた上でホームページに公表させていただきたいと思っております。

 それから、今日の模様の記者レクにつきましては、この後、事務局のほうで対応させていただきます。

 以上です。

〔 筒井分科会長 〕 それでは、これをもちまして財政制度等審議会第60回国有財産分科会を終了いたします。御多用のところ御出席いただきまして、ありがとうございました。ウェブで御参加の委員は御退室いただきます。



午後3時25閉会