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国有財産分科会(令和5年6月13日開催)議事録

 

財政制度等審議会 第58回国有財産分科会 議事録

令和5年6月13日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 第58回国有財産分科会 議事次第

 

令和5年6月13日(火) 9:58~11:44
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  1. 開会の辞
  2. 議事
  (1)庁舎等使用調整計画について
  (2)国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策等について
(3)重要土地等調査法の施行に伴う国有財産行政の対応について
(4)令和4年度国有財産監査の結果について
(5)令和4年度第三者チェックの実施状況について
 

3.

閉会の辞

 
配付資料
資料1-1 令和5年度庁舎等使用調整計画
資料1-2 令和5年度庁舎等使用調整計画について
資料2 国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策等について
資料3 重要土地等調査法の施行に伴う国有財産行政の対応について
資料4 令和4年度国有財産監査結果報告及び監査指摘フォローアップ
資料4参考 令和4年度監査結果一覧表
資料5 第三者チェックの実施状況
出席者

委員 奥田 かつ枝
亀坂 安紀子
川口 有一郎
筒井 義信
若林 茂雄
臨時委員 大久保 恭子
川嶋 三恵子
佐谷 和江
竹川 正記
松尾 弘
村木 美貴
持永 勇一
山内 弘隆
吉原 祥子
専門委員 津田 廣喜
財務省 齋藤 理財局長
嶋田 理財局次長
柴田 理財局総務課長
藤﨑 理財局国有財産企画課長
木村 理財局国有財産調整課長
梅野 理財局国有財産業務課長
髙橋 理財局国有財産調整課国有財産監査室長
金ヶ﨑 理財局国有財産業務課国有財産審理室長

午前9時58分開会

〔 筒井分科会長 〕 おはようございます。定刻に近くなりましたので、財政制度等審議会第58回国有財産分科会を開催いたします。

 早速ですが、議事に入ります。

 まず、「庁舎等使用調整計画について」でございますが、これは、資料1-1をもって財務大臣から財政制度等審議会に諮問がなされております。この諮問につきましては、財政制度等審議会令第6条第7項及び財政制度等審議会議事規則第8条第3項によりまして、当分科会の議決が財政制度等審議会の議決ということになります。

 それでは初めに、事務局より説明をお願いいたします。

〔 木村国有財産調整課長 〕 国有財産調整課長の木村でございます。よろしくお願いします。着座にて御説明をさせていただきます。

 使用調整計画(案)を御説明させていただきます。

 今回対象となっておりますのは、中央合同庁舎第4号館、この財務省庁舎の横にある合同庁舎に関するものでございます。主に、第4号館に入居しております消費者庁に関するものでございます。

 資料1-2で御説明させていただきます。

 資料1-2を2枚おめくりいただきまして、真ん中に今回の使用調整の絵が描かれている資料でございます。

 上の水色の箱に記載しておりますが、感染症対応能力を強化するために、中央合同庁舎第5号館に入居しております厚生労働省において組織の見直しが行われることになっております。感染症関連の体制が強化される一方で、厚労省は非常に多岐な業務を所掌しておりますため、負担軽減の観点から、令和6年度に厚生労働省から消費者庁に食品衛生基準行政が業務移管されることが既に決定されております。業務移管に伴う関係法案も成立しているところでございます。これが1つでございます。また、令和6年度以降に、現在、同じく中央合同庁舎第4号館に入居しております、内閣府原子力被災者生活支援チームというものがございますが、こちらが業務上、経済産業省と関連性が深いことを踏まえまして、経済産業省庁舎別館に移転します。この2つの動きに伴う今回の使用調整ということになっております。

 具体的には、生活衛生・食品安全企画課国際食品室と食品基準審査課を第4号館に移転したいと思います。そして、①のところに記載しておりますが、移転に伴って必要となる空きスペースにつきましては、共用会議室を執務室に転用することで確保したいと思います。消費者庁はもともと非常に狭隘度が高くなっております。国土交通省が定めております庁舎の面積の基準と、実際の状況を比較した充足度を見ましても、大体各省庁の平均は81%ということになっておりますけれども、消費者庁は65%程度となっております。しかしながら、移管に伴い新たな民間ビルを借りるとなりますと、霞が関近辺ではなかなか高額な賃料がかかりますし、これまで行ってきた使用調整、民間借受け解消の動きにも逆行するということになります。また、消費者庁の組織が分散することにより、業務上非効率な形にもなるということで、ほかの入居官署にとっては多少不便を強いることにはなりますけれども、共用会議室を1つ転用しまして、消費者庁にここを使ってもらおうというものでございます。これが約340平米となっております。

 あわせて、②のところですが、内閣府原子力被災者生活支援チームが移転することに伴って生じる空きスペース、これも消費者庁が使用することにより、狭隘の解消を図るというものでございます。これが約170平米でございます。

 次のページでございますが、右上のところでございますが、以前の分科会で御説明させていただきました虎ノ門地区の再開発の概要を右上の①から③にまとめております。再開発により虎ノ門にできるビルに人事院が移り、玉突きで空いた第4号館の床の一部を消費者庁が取得するというものでございます。今回の取得調整と虎ノ門の再開発による玉突きで、最終的に消費者庁は、今の約4,200平米から約5,510平米まで面積が増えることになりまして、これでも充足率は75%程度にはとどまりますが、そこまでは改善するということになります。

 今回はこうした調整を行いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 筒井分科会長 〕 ただいまの説明につきまして、御意見等はいかがでございますか。御発言をお願いいたします。

 山内委員、どうぞ。

〔 山内臨時委員 〕 特に意見というわけではないですけど、これはいい計画だと思いますので、賛同したいと思います。

 筒井分科会長  ありがとうございます。

 オンラインから亀坂委員、いかがでしょうか。

〔 亀坂委員 〕 今回の御提案には賛成なんですが、1つ気になることがございまして、中央合同庁舎第4号館には以前は内閣府の研究所が入っていたので、結構私は頻繁に、一時期は行ったことがあったのですけれども、結構共用会議室の使用率が高かった記憶がありまして、財務省のこの会議とは別の外為審の会議とかも、財務省の会議であっても会議室が確保できなくて、この中央合同庁舎第4号館の共用会議室を使って開催されたこともあったと記憶しているのですが、今回の案は今回の案で進めていただくとして、会議室の不足の解消ということも別途考えていただいたほうがよろしいのではないかと思います。内閣府からの委託の形で開催されている研究会は、コロナ禍以降、実は100%オンラインで依然として開催されているのですが、そろそろ対面でという会議もあると思うんですね。ですので、コロナ禍以降、100%オンラインで開催されているような会議もできれば対面でということがあると、今以上に会議室が不足する可能性はあると思うんです。ですので、今回の案は今回の案で進めていただいて、例えば、ハイフレックス対応の会議室をどこかに、霞が関界隈でもっと確保していただくとか、そういったことも別途、今後考えていただいたほうがよろしいのではないかと思います。

 以上です。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。

 何かコメントはありますか。

 木村国有財産調整課長 〕 亀坂委員、ありがとうございます。御指摘のとおり、霞が関全般で共用会議室というのは大分不足している状況にございます。今回、それで、入居官署にも大分御迷惑をかけるのですけれども、消費者庁の狭隘度に鑑みて、こうするということにしております。ただ、第4号館もそうですけれども、ほかのところも霞が関の共用会議室はかなり不足しておりまして、そういったこともありまして、令和3年12月に答申を頂いた際には、隣の文化庁がある第7号館につきまして、文化庁の京都移転後のスペース、約900平米を共用会議室に転用したということもございますが、これでもまだ、委員がおっしゃるとおり、全然足りないという状況でございますので、今、具体策があるわけではございませんが、様々な機会を捉まえて共用会議室の確保というところもよく考えていきたいと思います。ありがとうございました。

 筒井分科会長 〕 ほかにいかがでございますか。

 川口委員、どうぞ。

 川口委員 〕 私も賛成です。共用部分が、3ページでは、令和8年度以降に向けて、令和4年度末に比べれば減少します。その一方で、消費者庁の狭隘は大きな問題であり、バランスの問題だと思いますが、組織改編に伴う狭隘解消の優先度が高いと判断し、賛成です。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、「庁舎等使用調整計画について」を了承することにつきまして、御異議はございませんでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。「庁舎等使用調整計画について」、御異議等がございませんでしたので、当分科会として了承することといたします。

 続きまして、「国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策等について」であります。よろしくお願いいたします。

〔 木村国有財産調整課長 〕 国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策等につきまして、前回、5月の本分科会でいろいろ御意見、コメント等をいただきまして、大変ありがとうございました。いただいた御意見、コメント等を踏まえまして修正案を今回作成いたしましたので、御説明をさせていただきます。

 18ページでございます。行政財産の有効活用に向けた取組みというところでございますけれども、前回、例えば、霞が関からは遠くても、近隣の教職員の方々などにとっては利便性が高い宿舎については、こういった方々に有効活用を図れないかという御意見をいただきました。そこで、これに近い事例、ここでは下の2つでございますけれども、長崎県五島市の事例でございますとか、和歌山県海南市の事例につきまして掲載させていただくとともに、こうした形での有効活用も図っていきたいというふうに考えております。

 続きまして、21ページでございます。宿舎のミスマッチ解消に向けた今後の取組み①というところでございます。

 一番上の丸のところの注書きでございますけれども、現在、東京都内で若い人が住宅を取得しづらい現状にあって、重要な問題として早急な対応が必要といった御意見でございますとか、東京の問題と地方の対応は切り離して対応すべきとの御意見、財産管理の話と人材育成の話をきちんと分けて考えるべきとの御意見、あるいは、遠隔地からの通勤を余儀なくされることによる機会費用なども踏まえて対応すべきとの意見もいただいております。これらを踏まえまして、宿舎が特に不足する東京都内の宿舎の整備につきましては、その趣旨、背景をしっかり記載しようということで、今回、記載させていただいております。具体的には、赤字のところでございますけれども、近年の東京都内の国家公務員の年齢構成の変化、不動産市況及び実際の居住実態を踏まえると、国家公務員の職務の能率性を確保するためには、国会対応、法案作成及び予算等の業務に当たる若手職員を中心とする宿舎の確保が急務となっており、早急な対応が必要としております。

 また、その下でございますけれども、東京圏外の宿舎についても、国有財産の有効活用及び集約化・建て替えを通じた需給調整の観点から、以下の宿舎については、集約化し、建て替えを検討とさせていただいているところでございます。ただし、これは、大きく宿舎が不足する東京以外でも、こうした要件が整えば、集約化の上、宿舎を整備しますということでございまして、仮に東京、あるいは千葉とか埼玉でこうした要件を満たすものがあれば、これらを排除するものではございません。

 続きまして、22ページでございます。上の赤字のところでございますけれども、省庁別宿舎や国立大学法人の宿舎を含め考えるべきものもあるのではないかといった御指摘を前回いただきました。古い国立大学法人の宿舎が隣接するケースも、実は結構数多くございます。一緒に対応を考えるべきところはやっていくと。例えば、リノベーションのノウハウを提供していくということも可能だと思いますので、こういったこともやっていきたいということで、注書きに記載させていただいているところでございます。

 その下でございますけど、PFIにつきましても、地域のニーズとして考えられるものを多少加えさせていただいております。

 下のその他でございますけれども、まず、2段目でございますが、宿舎のミスマッチ、需給の把握に当たりましては、将来の宿舎需要の変化なども踏まえるべきといった御意見がございました。今回、5月にできるだけ精緻に市町村単位で需給の状況の分析を行ってきたつもりでございますけれども、こうした取組みを一過性でなくて続けていくということで、こうした記載をさせていただいております。

 また、その下でございますけれども、より計画を具体的にしていくべきとの御意見をいただきました。現時点ではなかなか細かい計画というものは難しいということは前回も御説明をさせていただきましたけれども、そうした状況の中でもできるだけ具体的にいろいろ世の中にお示ししていきたいということで、宿舎の整備に関しましては個別にもできるだけ、需給への影響や時期といったことも含めて丁寧にお示しをさせていただきたいということで、この文章を記載させていただいているところでございます。

 23ページ、BCPのところでございます。

 一番上の緑の箱でございますけれども、BCP宿舎の確保につきましては様々な対策を講じることとしております。ただ、宿舎の整備など、時間がかかるものもございますが、範囲の変更でございますとか、住民の入替えといった早急にできることもございますので、できるものを早急にやっていくということで、10年間に約5,200戸程度とありますけれども、できる対策について早く講じていくということで、あえて記載させていただいているというところでございます。

 飛びまして、一番下の丸でございますけれども、距離の点について、前回、御意見をいただきましたが、そうした点も含めまして、BCP職員の指定方法などについても、防災担当を司る部署等とよく調整をする必要がございますので、その点について記載させていただいているところでございます。

 最後に、25ページでございます。上の箱につきましては、最初に御説明させていただいた有効活用の取組みでございます。

 真ん中の脱炭素のところでいろいろ書いておりますけれども、行政財産のオーナーとしての責任といった話を前回いただいたところでございます。その他、GXに関していろいろ意見をいただいております。宿舎だけでなくて、庁舎を含めた全体としてしっかり取り組む姿勢を示すという意味でも、今やっている取組みでございますとか、今後やっていこうと思っている取組みにつきまして、少し具体的に記載をさせていただいているところでございます。

 以上が前回の御意見、コメント等を踏まえた修正点でございます。いただいた御意見も踏まえて、今後も宿舎行政をできるだけ前に進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

 筒井分科会長 〕 ただいまの説明につきまして、御意見等はいかがでございますか。

 奥田委員、どうぞ。

〔 奥田委員 〕 23ページにBCP対応に向けた宿舎の確保ということで、10年以内に約5,200戸程度を確保することを目指すとあります。数字だけを見ますと非常に高いハードルのような印象を持っているのですが、必要性を踏まえた際に、やはりこれは必ず達成すべきだということであれば、別の形で、少し重点的にメリハリをつけて、ここの部分はというような対応をすべきではないのかなと思いました。

 以上です。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。

 ございますか。どうぞ。

〔 木村国有財産調整課長 〕 これだけ、約3,600戸は確保しているのですけれども、それで、そこに住んでいる全てがBCP職員ではないというところもございます。奥田委員がおっしゃいますように、いざ首都直下地震とかが起きたときに今の体制できちんと対応できるかというのは、非常にどうかというところがございますので、そこはしっかりと重点的に、宿舎は政策目標の中でもとても重要な分野だと思いますので、しっかり早急に、できることからきちんと対応させていただきたいと思います。ありがとうございます。

 筒井分科会長 〕 ほかにいかがでございますか。

 山内委員、どうぞ。

〔 山内臨時委員 〕 25ページに書いていただいた脱炭素の取組みについては、今回は宿舎の老朽化の話という中での論議ですので、こういうことかと思いますけども、先ほどおっしゃったような形で、これは宿舎だけの話ではなくて、庁舎、あるいは、もう少し広い意味での行政財産、国有財産、これで対応していくという、このメッセージが伝わればよろしいかというふうに思っております。ここに書いていただいてありがとうございました。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかにいかがでございますか。

 オンラインの亀坂委員、お願いします。

 亀坂委員 〕 私が前回質問させていただいたことに関して、早速御回答をいただきまして、ありがとうございます。日本語学校教職員用住宅として活用した事例とか、地元の市や警察署とか、あと、地元の緊急参集職員用住宅として、既に活用した事例があるとのことでしたら、今、実際に空きが出ている国家公務員宿舎に関しても、ぜひ地域の活性化とか、地方の緊急事態の職員参集用とか、あるいは、教職員確保とかに、今後もより積極的に活用していただければと思いました。現状、空いているのであれば、空きを発生させるよりも、収入が入ってきたほうがよろしいでしょうし、住宅は一般的に、空いた状態よりも、人が入っているほうが、風通しとか、よい状態に保たれるのではないかと思いますので、ぜひ今後も過去の事例も参考にしながら、より積極的に御活用いただければと思います。

 以上です。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。御意見として承らせていただきます。

 オンラインの村木委員、お願いいたします。

 村木臨時委員 〕 ありがとうございます。25ページで、可能であればお考えいただければと思ったのですが、現在、脱炭素社会のところで太陽光発電設備ということが書かれていますが、宿舎の場合、昼間はほとんど人がいらっしゃらないということもあると思いますので、蓄電池もできれば置かれるといいかもしれないと思いました。災害のときに周辺の住民の方も使えるという可能性もあるので、できればこういった行政財産のところに蓄電池もあると、災害のときにいいかなと思いましたので、御検討いただければと思います。

 以上です。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。

 何かありますか。

 木村国有財産調整課長 〕 ありがとうございます。ここでは、1つの事例として、政府実行計画にもございます太陽光等を入れておりますけれども、恐らくここに書いてあるものだけではなくて、委員がおっしゃったものでございますとか、あるいは、住宅ですので、断熱材の話とか、作り方とか、そういったところも工夫は可能だと思いますので、そこは、民間業者の事例等も勉強しながらしっかり取り組ませていただきたいと思います。

 筒井分科会長 〕 ほかに。

 川嶋委員、どうぞ。

〔 川嶋臨時委員 〕 ありがとうございます。かれこれ20年ぐらい、国家公務員の宿舎の問題というものが問題になって、改修も新築もつけられなかった状態が続いた中で、ここまでこうやってまとめられて、とても大きな一歩になったと思います。これまでの御苦労もあったかと思いますが、こうやって前に向かって進めるということは非常に意義があることだと個人的には受け止めております。国民の中にはいまだに、若干誤解もある、優遇されているのではないかという批判は常にあるわけで、やっぱり、これから宿舎の適正な管理と運用をきちんとしていくことは重要なことだと思います。新築とか改修をするというタイミングであるからこそ、今まで以上に適切な管理に努めていただければなと思いました。特にBCPに関しては、多くの国民がその必要性を認めるところだと思いますので、円滑に進めていただきたいと思うんですが、やはり、ここで付け足していただいたように、BCP職員を選ぶときに、その住居に入居している方にBCP担当をお願いするということは、民間企業でもやっていることだと思うので、参集できる方がBCP職員になるということの双方向の形も含めて、各省庁と連携を取ってやっていただきたいなと思いました。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。

 では、御意見として承らせていただきます。

 ほかにございますでしょうか。

 竹川委員ですね。お願いします。

 竹川臨時委員 〕 ごめんなさい、ちょっと参考にお聞きできればと思ったのですけど、BCP用宿舎の情報通信環境みたいなものはどういうふうに考えていらっしゃるのか。もちろん、これは参集するということは前提なんでしょうけど、実際にはいろいろ、災害によっては参集できない場合もあるでしょうし、そういうときに何かリモートで対応等ができるのかということとか、あるいは、宿舎自身が何らかの災害対策拠点みたいになるとか、どういうふうに考えていらっしゃるのかなと思って、ちょっとお聞きできればと思います。

 筒井分科会長 〕 お願いします。

 木村国有財産調整課長 〕 BCP用宿舎と、その前に、危機管理住宅というものがございまして、この辺から大体2キロ以内にある無料宿舎がございます。そこに関しましては、災害対応ということで必要な設備というものは整備させていただいているところでございますけれども、BCP用宿舎というのは、令和2年に普通の宿舎を、近くにあるところをBCP用宿舎とすると。まだそういう段階でございますので、特別な設備があるとか、そういったところはございませんけれども、先ほど川嶋委員からもございましたが、そういう設備の話とか、あるいは、BCP用宿舎に住むBCP要員にどういうオブリゲーションを課していくかとか、そういった話というのは今後重要な課題になっていくと思いますので、もちろん我々だけでは対応できませんので、対応する部局と共に、そこはよく議論していきたいと思います。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。

 川口委員、どうぞ。

 川口委員 〕 前回の私の意見も21ページに含めていただきこの点は非常にいいと思います。次の段階として一つコメントいたします。今後の働く場は、本社、サテライト、そして自宅の組合せという流れがあり、住居が仕事の一定割合を担うことになります。公務員宿舎のソフト面を含めた設備も検討することが必要だと思います。BCPにつきましても、最近は地震活動が活発化していて大震災のリスクは高まっているように思います。一方で、Jアラートの増加を考慮すると東京だけではなく地方でもBCP対応が可能な何らかの情報設備を備えた宿舎のニーズも出てくるのかもしれません。

〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございました。

 今後は次の段階として考えていこうということでよろしいですかね。ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、いろいろ御意見をいただきましたところでありまして、御意見をいろいろ踏まえまして、実際にこの方向で取り組んでいただきたいというふうにさせていただきたいと思います。

 それでは、「国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策等について」は以上といたします。

 続きまして、「重要土地等調査法の施行に伴う国有財産行政の対応について」でございます。

 この議事におきましては、議事録を公開することによって、率直な意見の交換が損なわれるおそれがございます。財政制度等審議会議事規則第6条第2項に、「会長は、」──この「会長」というのは「分科会長」と読み替えますけれども、「会長は、特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする」とされております。この規定に基づきまして、発言者名を伏せる形で、後日公開をいたします。

 それでは、事務局より説明をお願いいたします。

〔 事務局 〕 それでは、説明をさせていただきますが、まず、資料の説明に入ります前に、重要土地等調査法について御説明をいたします。

 法律の概要は、資料の末尾、8ページと9ページに添付をいたしております。

 重要土地等調査法でございますけれども、2年前の令和3年6月に成立いたしました。この法律は、自衛隊施設等の周辺のおおむね1キロや国境離島等の地域を指定し、その指定された区域内の土地について、施設や国境離島等の機能を阻害するような土地の利用を防止することを目的とするものでございます。区域を指定いたしまして、その区域内の土地の所有者等について、不動産登記簿に基づいて確認するとともに、土地の利用実態も調査・確認することとしております。また、施設の機能を阻害するような土地利用を行っている場合等には、内閣府から勧告または命令を発出することが可能ということになってございます。第1回の区域指定は昨年12月に行われておりまして、58か所が指定をされております。第2回は今年5月に、161か所について、案が今、公表されているところでございます。今後も順次指定は進み、最終的には全国で数百か所程度の区域が指定される予定というふうに聞いております。こうした指定区域内に国有地が存在し、また、今後指定される区域内にも存在することが想定されるため、売却や貸付けの方法について考え方をまとめるものでございます。

 それでは、資料に沿って御説明をいたします。

 1ページを御覧ください。これは、現在の国有財産の売却に係る取扱いについてでございます。法律上、庁舎、宿舎等の行政目的で使用されている財産につきましては、売却等の所有権を移転する行為は禁止されておりますが、未利用国有地等は売却等の所有権の移転が可能ということになってございます。

 こうした中、これまでの当分科会での御議論を踏まえまして、通達により、国境離島、有人国境離島地域離島、森林・水源地に所在する未利用国有地等については、原則として売却をしない取扱いとしてきているところでございます。

 2ページを御覧ください。重要土地等調査法の区域指定に伴う対応について、基本的な考え方をまとめております。冒頭、簡単に言及いたしましたけれども、法律に基づき、自衛隊施設、米軍施設という防衛関連施設、海上保安庁の施設、原子力発電所、空港といった生活関連施設の周辺のおおむね1キロと、国境離島等の区域が順次指定されることとなっております。指定地域につきましては、法律の国会審議の際にも議論となりましたが、例えば防衛省本省の市ヶ谷など、市外地等の経済活動が活発な地域を含む場合があるというふうに想定されております。

 その際の検討課題でございますけれども、法律の目的を踏まえますと、区域内に所在する未利用国有地等を重要施設等への影響を考慮せずに売却・貸付けを行うことは、施設の機能維持等の観点から問題が生じるおそれがございます。他方で、国有地を未利用のまま放置しておくことは望ましくなく、これまでも売却・貸付けを通じてまちづくりなどに貢献してきたことなどから、引き続き地域や社会のニーズに応じて売却・貸付けを行い、活用を行っていくことが必要と考えております。

 このため、指定区域内にある国有地の売却等につきましては、施設機能への影響に配慮するとともに、まちづくりや地域の経済活動に与える影響を踏まえたバランスの取れたものとすることが必要だというふうに考えてございます。

 3ページを御覧ください。3ページでございますけれども、国境離島に所在する未利用国有地等については、1ページで御説明したとおり、売却しない取扱いとなっておりまして、国境離島等の区域が指定された場合においても、これを継続してまいります。ここでは、国境離島等以外の指定区域内に所在する未利用国有地等の取扱いについて、バランスの取れたものにするということで、区域指定を受けて、3つの手続を新たに導入することを考えております。

 1つ目は、今後、原則として、施設所管省庁等、この場合、防衛省、国交省、海上保安庁、資源エネルギー庁、自衛隊あるいは米軍の施設ですと防衛省、空港ですと国土交通省、海上保安庁の施設は海保、それから、原発の場合は、電力会社が施設を持っていますけども、役所としては資源エネルギー庁ということになります。それと、法律の担当省庁である内閣府に対しまして、意見照会を行った上で、財務局等において管理処分方針を決定いたします。意見照会の詳細については後ほど御説明いたします。

 2つ目は、売却・貸付けをした結果は、施設所管省庁等及び内閣府、いわゆる関係省庁と情報共有を行うこととしたいと考えております。

 3つ目は、売却・貸付けに当たりまして、特約条項をつけます。具体的には、重要土地等調査法では、施設の機能を阻害する行為のために土地を利用している者に対しまして、機能阻害行為をやめるよう内閣府から命令を出すことができると規定しております。この法律に基づく命令が発せられた場合には、売却していた土地については買戻し、貸付けをしていた土地については契約解除ができる特約条項を付すこととしたいというふうに考えております。

 4ページを御覧ください。意見照会の具体的なプロセスを御説明いたします。法律に基づき区域が指定された場合には、まず、財務局において区域内にある未利用国有地等を一件一件洗い出しいたします。そのリストを基に、本省から施設所管省庁等に、原則、意見照会を行うことを考えております。照会内容は、土地を3段階にランクづけしてもらうこととなります。Aにつきましては、施設所管省庁等において、施設の機能維持の観点等から、自ら管理したい、または使用したいという場合になります。Bは、自ら管理するほどではございませんけれども、通常の処分の際に行っている一般競争入札は避けてほしいという場合になります。Cは、区域内に所在するけれども、様々な観点から総合的に考えて、通常の管理処分を行ったとしても生じる懸念は少ないという場合になります。このような施設所管省庁等によりますA、B、Cの評価を受けまして、内閣府にも結果を伝え、意見照会を行います。内閣府の意見照会結果を本省経由で財務局に伝え、財務局において管理処分方針を最終的に決定するということになります。施設所管省庁等及び内閣府という関係省庁がAと評価した場合には、関係省庁が自ら管理したいということでございますので、所管換、または使用承認という手続に入ります。Bと評価した場合には、地方公共団体等への公共随契という形で、限定された相手方に対する貸付け・売却か、相手方が限定されない場合には、一定期間後に国に土地が戻ってくる定期借地権等を活用した貸付けを行うこととしたいと考えております。Cと評価された場合には、Bと同様に、地方公共団体等への公共随契による貸付け・売却か、一定期間後に国に土地が戻ってくる定期借地権等を活用した貸付けを行うこととし、それでも貸付先などが見つからない場合には、一般競争入札による売却を行うこととしております。最後に一般競争入札に移行するか否かがBとCの違いということになっております。このように意見照会を踏まえた管理処分方針に基づき処分された結果につきましては、関係省庁と情報共有をすることとしております。以上が意見照会のプロセスでございます。

 5ページを御覧ください。続きまして、意見照会から除外する財産の取扱いについて御説明をいたします。これは、直ちに関係省庁に意見照会をせずに、財務局で管理処分方針を判断する未利用国有地等でございます。主に個人住宅や小規模店舗等での利用が念頭に置かれ、一般的には施設所管省庁等による直接の利用が想定されないものであるとともに、今後は、相続土地国庫帰属制度によって、小規模な土地の国庫帰属が多数見込まれておりまして、これらの土地が長期間未活用のままになりますとまちづくりに悪影響が生じることから、直ちに意見照会はせず、まずは財務局において管理処分方針を決定することとしたいと考えてございます。なお、物件情報は施設所管省庁等へ情報共有をいたしますので、施設所管省庁等が自ら利用したいという場合は、連絡をいただければ可能ということになります。具体的なものは2つでございます。1つ目は、面積の小さい物件(おおむね200平方メートル以下)のものでございます。これは、個人住宅用の土地となるものと想定をされております。2つ目は、一定の都市計画法上の制限を受ける物件、具体的には、第一種・第二種低層住居専用地域にある未利用国有地等でございます。この地域は高さ制限が設けられておりまして、建築物の高さが10メートルまたは12メートル以下に制限され、一般的に三階建てまでの建築物しか建てられないというような地域でございます。このような物件につきましては関係省庁に意見照会を行わないと。その上で、原則として、地方公共団体等への公共随契による貸付け・売却、または、民間への定期借地権等を活用した貸付けを実施したいと考えております。なお、長期間貸付けの要望がない場合等につきましては一般競争入札を実施することとし、その場合には、財務局限りで判断せず、本省による確認を実施したいというふうに考えてございます。その際、重要施設に隣接するなど、施設の機能維持の観点から関係省庁に意見照会をすることが適当と本省が判断した場合には、前のページでございますけれども、意見照会のプロセスに乗せることにしたいというふうに考えております。

 6ページを御覧ください。6ページは、今、4ページの意見照会のプロセスと、5ページの意見照会対象外の物件ということで御説明しましたことを1枚の紙にまとめたものでございます。御参照いただければと思います。

 続きまして、7ページでございます。これまでは未利用国有地等について対応策を御説明してまいりましたけれども、ほかに、貸付中財産というものもございます。未利用国有地等は貸付先または売却先は決まっておりませんけれども、貸付中財産は、既に借受人がおりまして、土地と借受人が結びついている状態となってございます。このような貸付中財産につきましては、通常、3年に1回貸付料を改定しておりまして、その際、必要に応じて貸付契約を一部変更する形で対応をしております。今回、そこで、まずは、区域指定後、貸付料の改定の機会を捉えまして、法律に基づき、内閣府から土地利用者に対して、機能阻害行為の用に供することをやめるよう命令が発せられた際には、貸付契約の解除ができる旨の特約条項を付することとしたいというふうに考えてございます。また、貸付中財産につきましては、現在、買受勧奨という形で、いわゆる買いませんかと勧めているところでございますけれども、指定区域内にある貸付中財産につきましては買受勧奨を停止いたします。その上で、貸付中財産は、原則として地方公共団体等への公共随契による売却以外は不可とし、貸付けによる運用を継続すると。その際、また経過措置と例外措置を設けたいと考えております。

 経過措置について御説明いたします。これまで借受人に対しましては買受勧奨を行ってきたことから、それまでの買受勧奨により、借受人がいつかは買えるという期待を持っている可能性があり、区域指定後、直ちに売らないということになりますと、その期待が損なわれたという事態が発生する可能性がございます。このため、一定期間、区域指定後10年間を想定しておりますけれども、その期間は、区域指定時の借受人とその相続については、買受けの申請を認めることとしたいというふうに考えております。具体的には、貸付料の改定の機会に、いつまでなら買受けの申請を受けますという形で、借受人には期限を連絡したいというふうに考えております。また、例外措置といたしまして、農地については、権利移転に農業委員会の許可が必要であることから、現に耕作がなされている場合には、農業委員会の許可を条件として売却を認めることとしたいと考えております。

 なお、貸付中財産を売却する際には、未利用国有地等を売却する場合と同様に、法律に基づく内閣府の命令が発せられた場合には、土地の買戻しができる特約条項を付すこととしたいと考えております。

 私のほうからの説明は以上でございます。ありがとうございます。

 分科会長 〕 ただいまの御説明について、御意見等はいかがでございますか。よろしくお願いします。

〔 委員 〕 6ページについて質問します。未利用国有地等の洗い出しで洗い出されたものは、この流れ図に沿って、漏れなく全て確認されたり判断されたり、漏れはないと理解しているのですが、私の読み方が悪く、何か漏れがあり得るとしたら、それは何かと考えていました。そういう可能性はあるのでしょうか。これが1つの質問です。まず、未利用国有地は意見照会対象とそうでない対象外の2つに分けられて、意見照会対象はA、B、Cに分けられて、もう1枚、別紙でありましたように、A、B、Cのそれぞれの流れで判断して、最終的に一般競争入札による売却に行き着く流れもある。一方で、意見照会対象外の小規模・個人、つまり、公的な利用がないとされるものについては、財務局で分類をして、更に、本省で確認をした上で、また意見照会に持っていくプロセスと一般競争入札による売却ということで、どこにも漏れがないように思います。

 もう1つは、今回の法律の対象外ですが、過去に大量の国有財産を売却した時期がございますが、そうした過去の国有財産の中に、今であれば照会すべきものがあるのかどうか。もし分かれば教えてください。

 以上2点です。

 分科会長 〕 2点、回答をお願いします。

 事務局 〕 ありがとうございます。まず、1点目の、未利用国有地等の洗い出しをした上で意見照会をする、あるいは、意見照会をせずに処分するということで、今回、手続を定めておりますけれども、これに漏れが生じ得るのかというところでございますが、これは、一応、今現在では、なるべく漏れが生じないように考えたところでございまして、洗い出しのところで、何かミスがあって抽出できなかったという場合には、その結果として、それが意見照会のプロセスなりに乗らないということが生じ得ますが、ただ、それも何らかの形で管理または処分ということに移行しようとした際には、地域を確認すれば、告示の対象地域内に入っていたということになりますので、事後的に追加といいますか、一度に大量にどんとやったもの以外として、追加という形で、多分このプロセスにまた乗っけて処理をしていくということになると思いますので、今のところ、漏れは生じないものというふうに思っているところでございます。

 それから、かつて処分をしたものについて、今回の現在の目から見れば、その照会の対象内に入るものがあるかということですが、これはすみません、そういった目で今回はまだ見ておりませんし、実際、まだ指定されているところが、第1回で58か所、第2回目の案も161か所ということでございますので、我々自体も、58か所のところは区域がかなり明確に公表されますので分かるのですけど、161か所、第2回のほうは、その区域自体もまだ明確には、地元の自治体には提示されておりますが、第三者である我々にはまだ情報として来ていないという状況でございますので、我々も正式に決まった後に洗い出しをしていくということになりますので、そういう意味では、現在のものもまだ、第2回のところは把握できておりませんが、そういった目で第1回、第2回が決まった後に眺めてみたときに、場合によっては、今、委員から御指摘いただいたように、何らかの形で、あのときに売ってしまったものがここに入っているのかということは起こり得ると思いますけれども、ちょっとまだ、今現在で承知はしていないところでございます。

 分科会長 〕 ほかにいかがでございますか。

〔 委員 〕 今の関係なんですけれども、今、告示されているもの、それから、第2回のものは161か所とおっしゃって、最初の説明の中で、これが全部告示になるのは数百とおっしゃったでしょうかね。そういうことだとすると、この手続を進めることによってどういう影響が出るのかということをある程度の頭の中で、──頭の中だけではなくて、行政的に言うと、シミュレーションして、その辺の効果を前提としないとなかなか議論をしづらいかなというふうに思っています。論理的にこうなればこうだということは分かるわけですけれども、程度の大きさによって、やはり、原理・原則の問題と、それから、それをどう運用するかという問題に分かれますが、その辺については、議論を詳細にするための情報が必要ではないかなと思います。仮に、今、こういうことを提示されたのであったらば、そういうことは既に行っているのではないかと思うんですけども、分かるような情報があれば教えていただきたいのですが。

 分科会長 〕 いかがでしょうか。

 事務局 〕 ありがとうございます。どういう影響が出るかといった場合に、これは、先ほどちょっと御説明しましたように、今、58か所のところは詳細な区域が確定していると。それから、残りのところの161か所は、何となくといいますか、地域はそれなりに案として公表されていて、それ以外のところはまだ公表されていないというような状況でございます。我々として今現在申し上げられますことは、58か所のところについて、指定をされた区域を見てみると、未利用国有地については3件ということが第1回で入っているところでございます。ただ、これは、第1回の58件自体が、いわゆるあまり議論の余地がないような、人里離れたようなところを中心にやったような感じがありますので、今後、どんどん市街地のところが指定をされてくるということだと思っております。そのときの影響がどうなるかということでございますけど、我々としてあらあら今考えておりますのは、未利用国有地全体は大体2,700件というふうに我々は認識しているのですが、そのうちの3桁には乗ってくるのではないかというところでございますけれども、3桁で、その中でどの程度になるかということは、数百か所を指定された後に見てみないと、正直言って、その数はまだ我々もよく分からないというところでございます。ただ、未利用国有地の大半を占めるということには多分ならないであろうと思っておりまして、ある一定規模ではあるけれどもというようなところなのかなと、今、考えているところでございます。

 委員 〕 ありがとうございます。

 続けていいですか。

 分科会長 〕 どうぞ。

 委員 〕 そういうことであれば、ある程度原理・原則を議論しておいた上で、実態に合わせて運用というものをいろいろ変えていく、変えていくということもおかしいですけれども、実態に合わせて運用するということも1つの手かなというふうに思いますが。

 あと、別の観点からすると、これは、洗い出しをして、施設所管省庁等への意見照会で、Aになると、Aはそのまま所管換というような形になるということですよね。これは、所管官庁からすると、自分のところが持っている財産が増えるということになるのですけれども、こういう流れが結構多いのではないかなというふうに予想するのですが、その辺はいかがなんでしょうかね。

 分科会長 〕 お願いします。

 事務局 〕 今、2点いただいて、1つ目の、どの程度指定されるかというところに関しては、指定をされた後を見まして、何件かということが出てまいると思いますので、それを見て実際に運用してみたならば、何らかの形で改善すべき点というものがあれば、それはまた柔軟に見直しを行っていきたいというふうに考えております。

 それから、A、B、Cをつけたときに、Aというのは、施設所管省庁等へ移管するということでございます。これは施設所管省庁のほうで管理したいということだと思いますけれども、管理するとなると、予算も彼らに伴うことになりますので、そこも含めて、正直、どの程度出てくるかというのは、やってみたときなのかなということが、今、我々として思っているところでございまして、この程度いくだろうみたいな、そういう予測はまだ立てられないところでございます。

 委員 〕 これを認めたからといって、予算もつけるというわけではないということですね。ありがとうございました。

 分科会長 〕 ありがとうございました。

〔 委員 〕 1点お尋ねですけれども、5ページのところで、指定区域とされた面積の小さい住宅ですとか個人店舗用の土地、これについて管理処分方針をということですけれども、実際、いわゆる一般的な国民の立場から見たときに、防衛施設ですとか、原発施設の周辺の土地、こういったところに住宅をあえて建てるとか、店舗を建設するとか、商売をするとか、そういう需要というものがどの程度あるのかなと。これからどのくらい出てくるかということはあるでしょうけれども、現実的にここはどのようになっていくのかなと。あまり取引が活発に行われるような地域にはなりにくいのではないかなというふうに勝手に想像するのですけれども、いかがでしょうか。

 分科会長 〕 お願いします。

 事務局 〕 ありがとうございます。面積の小さい物件ということで、個人用住宅を想定している、あるいは、個人小規模店舗と。これは、例えば自衛隊の施設とかでございますと、地方の都市に参りますと、都市の真ん中に自衛隊施設があったりして、周辺は住宅地というような例も結構ございますので、既に住宅地として形成されているところで、そこが今後、例えば、相続土地国庫帰属制度なり、あるいは相続人不存在なりで、また国に財産が回ってくることもあり得るというふうに我々は思っております。そういったところが住宅地の中であって、それをまたお返ししていくと言うと変ですけれども、個人用住宅として使えるように、国のほうからまたこういった形で地域に戻していくということができないかという、そういった例を想定しているところでございまして、それなりに数はあるのではないかというふうに思っているところでございます。

 分科会長 〕 ほかにいかがでございますか。

 委員 〕 この問題は非常に難しい、かつ重要な議論だと思っています。国としてどこまで危機感を持ってやっていくのか、一切問題は起こらないのではないかという前提でやっていくのか、そうではないのかということで、対応は大分変わってくるような気がしています。実際、海外の様々な国では、土地の取得を外国人に制限したりとか、重要施設の周辺の取引を制限するというところもあるわけですが、日本は従前、そういうものがほとんどないということで、今後対策を考えていくということは、きっかけになったと思います。昨今の状況も踏まえて厳しく見ていくのか、従前からこういうふうに使われていて問題もなかったから、このままでいこうという方針でいくのか。ここはある程度緊張感を持って考える必要も出てくると思っています。例えば、住宅関連施設といったときにも、原子力発電所と空港だけなのかなと。例えば、発電所もあるでしょうし、水道設備もあるでしょうし、いろんなものが考えられます。そういうものも全部含めていくのか。あるいは、指定区域も、現在は数十か所でしょうけれども、将来的に数百か所になるということを踏まえたときに、可能性のある土地まで今から対応していく必要があるのかということもあるでしょうし、どういうスタンスでそもそもいくのかというところを考えていく必要があると思いました。

 以上です。

 分科会長 〕 どうぞ。

〔 委員 〕 ありがとうございます。重要土地等調査法に基づく指定区域内の未利用国有地等をどういうふうに管理処分していくかということについて、今回、詳細なルールをつくっていただきました。基本的には、2ページの一番下にありますように、施設等の機能への影響に配慮する一方で、まちづくりや地域の経済活動に与える影響を踏まえたバランスの取れたものとするという基本方針に基づく詳細なルールが定められているというふうに思います。その点については、非常に慎重にルールづくりをしていただいているというふうに感じました。全体的にはこのルールについて賛成いたします。

 その上で、2点ほど細かな点で確認をさせていただきたいのですけども、事前説明をいただいたときにちょっと気がつかず、確認できなかったのですが、1つは、3ページの売却・貸付け後の対応ということで、重要土地等調査法に基づく命令が発せられた場合に、売却をした場合に買戻しの特約をつける、それから、貸付契約については解除の特約をつけるということですが、買戻しの場合は、10年間という制約がありますので、その点についてはどういうふうに考慮するか。また、登記も可能だと思うんですけども、10年間について登記をしておいて、その後転売等された場合にどういうふうな対応になるかという点について確認をさせていただきたいと思います。貸付契約のほうは3年ごとに賃料改定の機会があるというふうに先ほど御説明をいただきましたけれども、買戻しのほうについて確認をさせていただきたいと思います。

 それから、もう1点は、最終的に一般競争入札による売却に至るケースとして、2つ御説明をいただきました。1つは、4ページで、意見照会の結果、B、Cに当たるものについて、最終的にCですかね。一番右の点線の四角囲いの中の民間への定期借地権等を活用した貸付けについて、特に貸付先が見つからない場合には一般競争入札による売却に移行するという矢印がございますが、この見つからない場合の要件というか、ある程度の期間のようなことを想定しているのではないかと思いますが、それについて何らかの基準等のお考えがあれば、お伺いできればと思います。

 同様に、5ページです。意見照会対象外の財産について、これも、真ん中の大きな四角の中の黒ポツの2です。2の最後のなお書きのところで、例外的に、一般競争入札による売却を実施する場合は本省による確認を実施するとあります。この「例外的に」の意味について、先ほど6ページの図で御説明いただいたと思いますが、一番下の本省による確認の前のところの長期間貸付けの要望がない場合等、これが「例外的に」の意味であるというふうに理解しましたけども、この場合の長期間貸付けの要望がない場合等ということについても、何か具体的な期間等の方針がありましたら、追加的に御説明を賜ればと思います。

 以上です。

 分科会長 〕 数点あったと思いますが、回答をお願いします。

 事務局 〕 ありがとうございます。今、委員からお話をいただきました2点でございます。

 まず、買戻しの特約を付す場合に、10年間の制約ありと。登記しておくのかどうかも含めてということでございますけれども、我々の認識といたしましては、まず登記をして、これは第三者にも対抗できるということになりますので、10年以内に転売された場合も、それは対応可能ということだと思っています。ただ、現行の民法のルール上、買戻しの特約の効果が10年というのは、まだ乗り越えるすべというものが我々は見つけられておりませんで、したがって、そういう意味では、10年後のところについてどうやっていくかというのは、引き続きまだ検討課題というところだというふうに認識しております。そういう意味では、どういう方法があるのかということは、やりながら、まず考えていかざるを得ないところということだと思っております。

 それから、それに比較しまして、貸付けの場合には、貸付契約の期間中はこの特約というものは常に有効ということになりますので、何年であっても貸付けの場合は有効になるというふうに認識しております。

 それから、次に、最終的に一般競争入札の売却に至るケースとしてというものは2つあり得るというお話を頂戴いたしました。この期間、要件についてということでございますけれども、今、具体的に、例えば、貸付けの活動を何年したらば、この売却を一般競争入札に回すのかとか、そういうことをかっちりと決めたわけではございません。御承知のとおり、不動産につきましては個別性というものも非常に強うございますので、不動産の個々の特性を見て、Cがついた場合には、貸付けをやっていっても、全くないと。例えば、売却なら買うよというような申出がもしあれば、場合によっては売却するということもあると思いますので、ここのところで具体的に何か明確な基準を定めて、その期間はということではないというふうに考えております。

 それから、委員から、非常に難しい問題で、危機感を持って取り組んでいくべきではないのかというお話をいただきまして、我々としても、ここについては、2ページのところでまとめさせていただきましたけれども、これまであまり日本においては考慮されてこなかった部分がございますが、施設の機能維持の観点と、まちづくり、これを両立させるということで、緊張感を持ってやっていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 分科会長 〕 ほかにいかがでございますか。

 お願いします。

〔 委員 〕 ありがとうございます。私も、このルールづくりにつきましては、安全保障上重要な土地を注視していくことと、まちづくりなど面的な土地の活用ということのバランスを図っていくことが重要であるというこの2ページ目の記述はもっともだなと思っております。

 まちづくりという観点で、権利関係を集約していくときなどの契約手続を地域の人たちに分かりやすいように設計していくことも大事かなと思っておりまして、その観点で質問なのですが、先ほど買戻しの特約条項についてのお話がありましたが、例えば、地方公共団体に公共随契で土地が売却された後、その地方公共団体がその土地を、集約的にまちづくりをするために、まちづくり会社に売りましょうという話になったときに、地方公共団体から民間への売却に当たって、こうした特約条項はついていくようになるのでしょうか。その点を教えていただければと思いました。

 分科会長 〕 回答をお願いします。

 事務局 〕 土地の買戻しの特約につきましては、登記をするということでございますので、国から地方公共団体に対して売却した際に登記をすると。したがって、10年という範囲内で、それは現在、有効ということになりますので、地方公共団体が10年の中でまちづくり会社に売却した場合には、当然、いわゆる買い手の義務というものがそのまちづくり会社のほうにもかかっていくことになるというふうに考えております。一方で、10年を超えたときに、地方公共団体のほうがまた新たにそういう義務を課した上で売却をするかというところについては、まだそこまでは、我々も地方公共団体のほうにお願いをするところまでは至っていないというところでございます。

 分科会長 〕 お願いします。

 委員 〕 5ページですが、昨今、例えば、ドローン1つを飛ばしただけでも、防衛施設等であれば重大な影響があるという問題が起きている中で、200平米以下が妥当なのかという課題があると思っています。小規模の土地ではやむを得ないといえばそのとおりだとは思うんですが、財務局が全て管理処分方針を判断するということになっている理由というか、例えば、処理業務量が多すぎるから財務局が判断するということなのか、その辺の理由を教えていただければと思います。なぜかと申しますと、一般競争入札による売却を実施する場合は本省による確認を実施するということになっていまして、一般競争入札になった段階で本省に確認するということでは、若干遅い、何で本省がそこまで関わっていないのかということもあり得るのかなと思いました。当初から財務局において判断するというよりも、こういう重要な土地であるからこそ、本省による確認を実施してから管理処分方針を判断するということがあってもいいのかなと思いましたが、もしそれができないという事情があれば、教えていただければありがたいです。

 分科会長 〕 お願いします。

 事務局 〕 5ページでつくりました意見照会対象外ということで、個人用住宅ということと、一定の都市計画法上の制限を受ける地域というものは、財務局において判断してということでやっていくと。これは、1つは、今、委員からのお話にもあったように、事務量という観点も見て、全ての土地について関係省庁に意見照会をするわけにもいかないというところもございますので、そことの兼ね合い。それから、どういったものが機能阻害行為かというのは、今現在、内閣府のほうで基本方針というものを定めまして、やっておりますけれども、面積の小さい物件、あるいは高さ制限のある物件ということであれば、相対的にほかの物件に比べて機能阻害行為の用に供されるような構造物を構築されるリスクは低いということだと考えておりまして、そういった観点から、まずは財務局において取扱いをするということにしたところでございます。その方針も、地方公共団体等への公共随契による貸付け・売却、または定期借地権等を活用した貸付けということで、かなり財務局に委ねたとはいえ、範囲は限定的な中で財務局に委ねているというふうに我々としては考えているところでございます。

 分科会長 〕 よろしいでしょうか。

 ほかにいかがでございますか。

 どうぞ。

 委員 〕 2ページのバランスということが非常に重要であり、今回のご提案には問題はないと思います。国有財産を行政としてバランスを取っていくということは非常によくできていると思います。その一方で、先ほど危機意識というご示唆がありましたが、それによってはバランスの取り方が変わってくると思います。まちづくりとか地域経済の活動とのバランスについては、政府では、どのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。皆様の御意見を伺いながら具体的なイメージに落とし込んでみました。例えば、九州の熊本空港からバスで市内に向かう途中に自衛隊があります。熊本空港を自衛隊が一緒に使っているかどうかは分かりませんが、近いところにあります。その周辺は近隣のアジアの国の人々の土地所有が少なくないと聞いています。例えば、ゴルフ場などは、空港や自衛隊の近くにあります。そうした不動産所有は信託なのでよく分からない。例えば九州はそんな状況だと思います。こうした状況のもとで国はどのようにバランスを取ろうとしているのか、お分かりであれば教えていただければと思います。

 分科会長 〕 いかがでしょうか。

 事務局 〕 今、非常に難しい御質問をいただきまして、まず1つは、この法律、これは内閣府が所管している法律でございますが、重要土地等調査法においては、その土地の所有者について、調査を確認しますと。公簿なりと。したがって、法人の場合はというところまでは追っていくのだろうと。あと、どの程度動くのかというのは、これは内閣府のほうでやっていくということだと思いますので、今、委員のほうから御指摘いただいた信託を使ったパターンというのは、どの程度まで実質的な所有者というものをこの法律の下で解明できるかというのは、私の今現在お答えできる情報としては、ないというところでございます。その上で、地方経済との関係ということで言えば、政府としては当然地方創生ということも掲げておりますので、地域のまちづくり、あるいは、産業誘致というものについては積極的に支援をしていくというスタンスでやっているということでございますので、土地の利用というものもその方向に従ってやるということと、今、委員のお話にあった、例えば熊本でございますと、自衛隊の施設もあるということでございますので、安全保障上の要請なりとバランスを取ってやっていくということだと認識をしているところでございます。お答えになっているかどうかというところでございますが。

 分科会長 〕 ほかにいかがでございますか。

 委員 〕 ちょっと一言お願いであります。何人かの委員の方々から緊張感を持ってというお話がありました。何か戦略的なことをやろうとする場合は、やっぱり、現場にどのようにそれを徹底させていくかというガバナンスを、念頭に置くべきものだと思っています。ここで言いますと、やはり、大宗の実務を担っている財務局ですね。この方々への趣旨の徹底なり、使命感の共有というものについて、これは言わずもがなであり、これまでもやってこられていると思いますけれども、改めてこの点の趣旨の徹底、使命感の共有といったことをぜひお願いしておきたいなというふうに思います。

 分科会長 〕 よろしゅうございますか。

 それでは、御意見をいただきましてありがとうございました。御意見を踏まえながら、この方向で取り組んでいただくということをお願いしたいと思います。

 それでは、「重要土地等調査法の施行に伴う国有財産行政の対応について」につきましては以上といたします。

 続きまして、「令和4年度国有財産監査の結果について」、事務局より御説明をお願いいたします。

 髙橋国有財産監査室長 〕 国有財産監査室長の髙橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私からは、令和4年度の監査結果と、指摘後のフォローアップ状況について御報告させていただきます。資料に沿って御説明させていただきます。

 1ページを御覧ください。令和4年度の監査結果となります。

 下段の枠内、令和4年度は全国で436件の監査を実施しまして、74件の指摘を行いました。毎年度、優先して監査を行う重点対象財産を定めていますが、令和4年度は、庁舎等の使用実態と各省各庁所管普通財産の処理の進捗状況、この2点について重点対象としております。これらの財産の監査結果はその下にお示ししたとおりとなります。

 次に、令和4年度に監査指摘を行いました具体的な事例を御紹介いたします。

 2ページを御覧ください。北海道財務局が指摘を行いました、津波による被害が発生した場合においても防災拠点機能を発揮できるよう、庁舎機能を維持するための対策を求めた事例となります。昨年5月開催の分科会におきまして室蘭市内の同様の事例を御紹介させていただきましたが、今回は釧路市内の事例を御紹介させていただきます。災害応急対策を行う官署が入居する庁舎において電気機械設備等が浸水し、業務継続に支障が生じるおそれがある場合、先ほど御説明しました重点対象に加えまして、庁舎機能の維持といった観点からも監査を実施しており、電気機械設備の移設スペースの創出を行っています。

 3ページを御覧ください。釧路市内に所在する釧路地方合同庁舎、釧路港湾事務所はいずれも津波浸水想定区域内にあり、想定浸水は、釧路地方合同庁舎が6メートル、釧路港湾事務所が10メートルで、二階建ての庁舎が完全に水没することが想定されています。また、釧路地方合同庁舎は、1階に設置されている電気機械設備の浸水により、災害応急対策を行うこととなる釧路開発建設部などの業務継続に支障が見込まれます。監査の結果、庁舎内に約560平方メートルの余剰スペースを確認できたため、このスペースを活用しまして、機械設備の移設と釧路港湾事務所の移転を検討するよう指摘を行っております。なお、釧路港湾事務所の移転跡地については、港湾区域内に残す必要がある機能を除き、用途廃止をするよう指摘を行っています。北海道に限らず、全国的に津波や洪水等による被害に備える必要があることから、建物の構造等に係る技術的な知見を有する国土交通省官庁営繕部や地方整備局に協力を依頼しまして、今後、ほかの地域でも余剰スペースを活用したほうがより合理的な改修となり得る場合は、このような監査を実施していくこととしております。

 4ページを御覧ください。過去に指摘を行った事案のフォローアップ状況となります。

 上段の枠内を御覧ください。現行の監査方針に転換した平成23年度から令和3年度までに指摘した事案1,491件について、令和4年度末で73.4%に当たる1,095件の是正が完了しました。この是正に伴う国有財産の売却収入は累計で約70.5億円、節減された借受賃料は約8.2億円となっています。

 下段の表は指摘した年度ごとの進捗状況となります。令和4年度中に処理が完了した件数は、B欄の是正実績欄に括弧内書きで記載しておりまして、99件となります。このように処理は進んでおりますが、C欄の処理未済にありますとおり、指摘から長期間経過している事案も残っています。例えば、移転等に要する予算が措置されない、土地の境界が確定しないため処理を進められないといったものがあります。

 次に、令和4年度中にフォローアップが完了した事例を御紹介いたします。

 5ページを御覧ください。近畿財務局において平成26年度に指摘を行った庁舎の移転、移転跡地の用途廃止を求めたもので、是正が完了しまして、令和5年3月に茨木市に約2.7億円で売却しています。

 私からの説明は以上となります。

 資料4参考をつけておりますけども、こちらは令和4年度に指摘した事案の一覧となります。

 以上です。

 筒井分科会長 〕 ただいまの説明について御意見等はございますでしょうか。

 持永委員、どうぞ。

 持永臨時委員 〕 御説明ありがとうございました。

 前の議事のちょっと延長線になるところがございますけれども、資料4参考にございますとおり、国有財産は全国に点在しています。先ほど事務局の御説明にもありましたけれども、個別性、固有の状況を背負っているということかと思います。その中で、これも直前に他の委員からお話がございましたけれども、財務局のネットワークを使って監査をやっておられる中で、まず、ガバナンスといいますか、トップダウンで目線合わせ、レベル合わせの御苦労をされているのではないかというところで、そこの工夫等をちょっと教えていただきたい。

 2つ目になるのですけれども、資料の3ページのところです。要は、通常の単純な監査の指摘ということではなくて、よりよい方向を目指す改善的な指摘を上げておられます。そうなると、トップダウンでの目線合わせではなくて、ボトムアップでのこういうアイデアも各局から上がってきていると思うんですけれども、この共有ですとか、次回の監査に活かすとか、これもまた御苦労をされているのではないかと思うんですが、その辺について、2つ教えていただけますでしょうか。

 以上です。

 筒井分科会長 〕 回答をお願いします。

 髙橋国有財産監査室長 〕 まず、1点目の財務局との目線合わせということなんですけれども、我々は毎年度、監査方針を定めて、その着眼点などは共有しておりますが、そのほかに、財務局において、実地監査の前に、監査対象財産の問題点を把握しまして、把握した問題点や監査の着眼点を本省と共有するということにしています。まず、監査に行く前に本省と共有して、本省からも追加で確認が必要な点を伝えているといったところです。実地監査の後は、その結果を本省と共有して、指摘の要否とか内容について個別に検討を行っているということで、本省を介して、全国の財務局の目線合わせ、レベル感を合わせていくといった取組みを行っています。

 もう1点、ボトムアップで財務局から情報を上げて、よりよい方向に進めていけないかということで、その点はまさしくそうでございまして、我々本省としては、実際に監査に出向いて実地に確認しているわけではないので、各財務局からの情報を集約しまして、こうした会議の場で、事例を紹介して公表することによっても、財務局によって参考にしていくでしょうし、ほかの会議の場で共有しながら、どういった着眼点、新たな視点をどう見い出していくかというような検討をしているところでございます。

 以上です。

 持永臨時委員 〕 本省理財局、財務局としては、非常に司令塔としての機能、職務をきっちりと果たした中での監査が行われていることがよく分かりました。ありがとうございます。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございますか。

 吉原委員、お願いします。

〔 吉原臨時委員 〕 ありがとうございました。大変興味深く拝聴いたしました。

 現在、空き家、空き地、老朽マンションが大きな問題になっていますが、そうした問題は民間だけではなくて、国有財産でも同じなのだという感想を持ちました。この監査の結果を個別の指摘を受けた事例の改善につなげるだけではなく、今後余剰が発生していくであろう全国の国有財産の官舎などに予防策として共有をしていくことも大切かと思います。空き地や空き家の活用がなかなか進んでいないのと同じように、こうした官舎の余剰が生じても、利用を廃止しましょうとか、別の組織から一部を移転させましょうということもままならないところもこれからは増えてくるだろうと考えますと、いろんな方策を出し合って有効活用をしていくことも大切かと思います。前の議事で、行政財産の有効活用ではいろいろなアイデアが出ていることを拝聴しまして、カーシェアリングの事業のスペースとして使うとか、そうした取組事例をこうした監査の結果見えてきたことにも生かしながら、全体として国有財産の有効活用につなげていけるのではないかと思った次第です。

 ちょっと論点がずれてしまうかもしれませんが、地方公共団体も、地域の空き地や自治体の財産などの利活用に苦労をしていて、アイデアが出づらい状況があると伺っています。こうした各財務局が持っている知見や監査から見えてくる実態をぜひ地域に還元して、幅広く生かされるといいのではないかと思った次第です。ありがとうございます。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。

 何かございますか。大丈夫ですか。

 御意見として拝聴しておきます。

 ほかにいかがでございますか。よろしいでしょうか。

 次の議事に移らせていただきます。

 続きまして、「第三者チェックの実施状況について」、事務局より説明をお願いいたします。

 金ヶ﨑国有財産審理室長 〕 国有財産審理室長の金ヶ﨑と申します。どうぞよろしくお願いします。それでは、私のほうから、第三者チェックの実施状況につきまして、資料5により説明させていただきたいと思います。

 それでは、資料の1ページを御覧ください。初めに、制度の概要を御説明いたします。

 こちらは、平成30年1月の国有財産分科会で取りまとめられました「公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の見直しについて」において以下の2点の方向性が示されているところでございます。1点目につきましては、契約締結前に瑕疵が判明している場合は、地下埋設物の撤去費用等の見積りは民間精通者に行ってもらう。2点目としましては、地下埋設物などを原因とする価格の減価が大きい場合、こちらは、不動産鑑定士や弁護士などの外部の有識者、こちらによる第三者チェックを行うことにより、さらなる客観性の確保に努めるということでございます。こちらを受けまして第三者チェックに係る通達を制定しまして、平成30年から運用を開始しておりまして、毎年度、この時期の分科会に報告しているものでございます。

 具体的な第三者チェックの流れにつきましては、資料中段以降の事務フロー図を御覧いただければと思います。中段のほうには処分前というところがございますけれども、処分前におきましては、土地調査の段階と、次の鑑定評価の段階、こちらの2段階で第三者チェックを実施しているところでございます。

 まず、土地調査の段階でございますが、財務局で土地の利用履歴などを調査し、地下埋設物や土壌汚染が存在する蓋然性がある場合、こちらについては、専門業者等により地下埋設物の調査、それから、対策費用の見積り、こちらを依頼しております。そして、この調査内容、撤去費用、見積額などについて有識者に確認していただきまして、いただいた意見を踏まえて、場合によっては追加調査を実施した上で調査結果を確定するというところでございます。こちらが1つ目の第三者チェックでございます。

 次の鑑定評価の段階でございますが、先ほどの調査結果も公表した上で、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼するところでございますが、鑑定評価書のドラフト、こちらが提出された段階で改めて有識者の方に確認いただき、いただいた意見を鑑定士にお伝えして、鑑定評価の参考にしていただくと。こちらが2点目の第三者チェックでございます。

 また、資料下段の処分後のところでございますけども、国有地の売却後、契約時点で判明していなかった地下埋設物等が見つかった場合には、国有地を購入した者から損害賠償請求をなされるところがございます。この場合について、賠償額の適切性について有識者に確認いただくということで、こちらが3つ目の第三者チェックでございます。

 資料の2ページを御覧ください。まず、上段の第三者チェックの対象財産の選定基準でございますが、こちらは、①から③に書かれていますように、対策費用の見積額が3,000万円以上の財産などとなっております。

 下段のほうにつきましては、第三者チェックを依頼する有識者の選定でございますけれども、地下埋設物や土地取引に関する専門的知見を有する者ということで、不動産鑑定士、コンサルタント、工事業者、または、弁護士等の方を候補者として選定させていただき、事案の内容に応じまして、2、3名の有識者に御参加いただいているところでございます。

 3ページを御覧ください。第三者チェックの実施状況をまとめたものでございます。直近の令和4年度につきましては、太い青線で囲んでいるところでございますけれども、土地調査のほうは4件、鑑定評価は3件、損害賠償は4件、合計11件でございました。制度創設時は年間10件程度を見込んでおりましたので、これまでおおむね見込みどおりの件数で推移しているのではないかなというふうに評価しているところでございます。

 なお、土地の調査の件数欄の右側に、参考として「「鑑定評価」実施時期」という欄を設けてございます。こちらは、土地の処分に当たり、土地の調査と鑑定評価の2段階で第三者チェックを実施しているところでございまして、土地調査をしたものの鑑定評価がどの年度に実施されているかということを記載しているところでございます。令和4年度につきましては土地の調査の第三者チェックは4件となっているところでございますが、そのうち2件は同じ年度に実施しているところ、1件は令和5年度に実施予定、1件は、旧使用者が撤去費用を負担するため、実施不要となっているところでございます。

 資料の4ページを御覧ください。令和4年度に実施した実施内容とその結果を整理したものでございます。詳細の説明は割愛いたしますが、真ん中にあります実施理由につきましては、いずれも対策費用の見積額、あるいは、損害賠償請求額が3,000万円以上ということで選定しているところでございますし、実施結果につきまして、一番右側でございますけれども、いずれも合理的、あるいは妥当との意見をいただいているところでございます。

 最後に、5ページを御覧ください。令和4年度に土地の調査と鑑定評価の両方を実施した事例を参考事例として紹介します。対象財産の所在地は兵庫県西宮市、土地の面積は1,200平米で、従前は宿舎として使用されておりましたが、現在は更地となっているものでございます。

 第三者チェックを実施した理由につきましては、地下埋設物等の調査を実施したところ、コンクリートガラや基準を超えるヒ素等の有害物質が確認されているところで、その対策費用は3,000万円を超えるというところでございます。

 第三者チェックの結果でございますけども、土地の調査段階、鑑定評価段階、いずれも有識者から合理的との意見をいただいているところでございます。こちらの財産につきましては、今後、一般競争入札で売却予定となっているところでございます。

 私からの説明は以上でございます。

 筒井分科会長 〕 ただいまの説明につきまして、御意見等はいかがでございますか。

 持永委員、どうぞ。

 持永臨時委員 〕 御説明ありがとうございました。

 1ページにございますけれども、全般的な流れは分科会での議論どおりなんですが、2ページの3,000万円以上ですとか、概算評価額2,000万円といったときは、実はもうちょっと件数が増えるのではないかという、私が作業をするわけではないですけど、心配していたところがありました。ただ、3ページを見せていただいて、当然、先ほど10件というお話がございましたけれども、非常に合理的な数字が並んでいるだけではなくて、4ページで、それが合理的であるということですので、要は、まず、1ページでの枠組み、2ページでの金額基準の設定方法、さらには、3ページでの実際の運用、かつ、その結果として、4ページで合理的という結論までお聞かせいただきましたので、その意味では、この分科会での議論、さらには、運用として、非常に首尾一貫して、すばらしいルールの運用が行われているかなというふうに思いました。

 以上でございます。

 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 以上で本日予定の議事は全て終了とさせていただきます。

 最後に、事務局から連絡事項がございます。お願いします。

 藤﨑国有財産企画課長 〕 国有財産企画課長の藤﨑でございます。2点御連絡をさせていただきます。

 1点目でございます。今後の分科会で御審議をいただきたい事項について、1つ申し上げさせていただきたいと思います。内容につきましては、政府保有株式に関してであります。株式会社商工組合中央金庫に対しまして、政府は現在、発行済み株式の46.5%を保有しておりますけれども、今年の2月、経済産業省の検討会におきまして、新たなビジネスモデルの展開等に当たり、政府保有株式を全株売却すべきとの意見が取りまとめられております。これを受けまして、内閣提出の法案として商工中金法の改正法案が国会に提出され、現在、国会で審議中でございます。仮に成立いたしますと、政府として、改正法の公布日から2年以内に保有株式の全部を売却するよう努めるという内容が法案に規定をされるところでございます。したがいまして、現状、成立を条件にということになりますけれども、改正法案の成立後、なるべく早期に商工中金株式の売却について答申を頂戴する必要がございますので、分科会日程を含めまして、また改めて御相談をさせていただきたいというふうに考えております。

 また、2点目でございます。これは事務的な連絡でございますけれども、本日の議事録、議事要旨、資料につきましては、会議後に財務省ホームページに掲載することといたします。なお、議事の(3)につきましては、分科会長から御発言がありましたとおり、発言者名を伏せる形でホームページに掲載いたします。発言の内容につきましては、御発言をされました委員の皆様に後日内容を確認していただきますので、その際、併せて諸点について御確認をいただければと思います。また、記者レクにつきましては、本日、この後、事務局で対応させていただきます。

 私のほうからは以上でございます。

 筒井分科会長 〕 よろしいでしょうか。

 それでは、これをもちまして財政制度等審議会第58回国有財産分科会を終了いたします。本日は御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。ウェブで御参加の委員の皆様は御退室いただきたいと存じます。



午前11時44閉会