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令和5年5月17日
財政制度等審議会
財政制度等審議会 第57回国有財産分科会 議事次第
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1. | 開会の辞 | |
2. | 議事 | |
(1)分科会長の互選について | ||
(2)分科会長代理の指名 | ||
(3)分科会の運営方針について | ||
(4)国有財産の現状について | ||
(5)国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策等について | ||
(6)「最適利用」答申のフォローアップ(不動産の寄附) | ||
3. |
閉会の辞 | |
配付資料 | ||
資料1 | 財政制度等審議会国有財産分科会委員名簿・運営方針等 | |
資料1参考 | 関係法令抜粋 | |
資料2 | 国有財産の現状 | |
資料3 | 国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策等について | |
資料4 | 「最適利用」答申のフォローアップ(不動産の寄附) | |
出席者 | ||
委員 | 奥田 かつ枝 | |
亀坂 安紀子 | ||
川口 有一郎 | ||
筒井 義信 | ||
若林 茂雄 | ||
臨時委員 | 荒谷 裕子 | |
大久保 恭子 | ||
川嶋 三恵子 | ||
佐谷 和江 | ||
滝澤 美帆 | ||
竹川 正記 | ||
持永 勇一 | ||
野城 智也 | ||
山内 弘隆 | ||
吉原 祥子 | ||
専門委員 | 津田 廣喜 | |
財務省 | 秋野 財務副大臣 | |
齋藤 理財局長 | ||
嶋田 理財局次長 | ||
柴田 理財局総務課長 | ||
藤﨑 理財局国有財産企画課長 | ||
木村 理財局国有財産調整課長 | ||
上乗 大臣官房専門調査官兼政府出資室長 |
午後1時58分開会 |
〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 若干時間前でございますけれども、皆様おそろいということでございますので、財政制度等審議会第57回国有財産分科会を開催いたします。 本分科会の庶務を担当いたします理財局国有財産企画課長の藤﨑でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 本日の分科会におきましては、会長を互選していただきたいと存じておりますけれども、それまでの間、私が議事を進行させていただきます。 それでは、最初に報道関係者が入室いたしますので、そのままでお待ちください。 〔報道関係者入室〕 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 開催に当たりまして、秋野財務副大臣から御挨拶をいたします。よろしくお願いします。 〔 秋野財務副大臣 〕 財政制度等審議会国有財産分科会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。 このたびは、委員への御就任を快くお引き受けいただきましたこと、厚く御礼を申し上げたいと存じます。また、本日は御多用のところ御出席を賜り、誠にありがとうございます。 最近の国有財産行政につきましては、令和元年に本分科会におきまして、「今後の国有財産の管理処分のあり方について」答申を取りまとめいただき、その具体化に向けた取組を進めてきたところでございます。 これまで、留保財産の利活用促進、地域貢献等に向けた国有財産の有効活用に取り組んでまいりました。また、国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策などの取組について検討を進めてきたところでございます。 さらに、先月27日に相続土地国庫帰属制度が施行され、社会的関心が寄せられているところですが、財務局においても、法務局の審査への調査協力など、制度に係る事務が円滑に遂行されるよう、必要な整備を図ってきたところでございます。 本日は、今後の国家公務員宿舎の整備の基本的な方向性をはじめといたしまして、3つの報告事項を予定しております。 委員の皆様には、更なる国有財産行政の発展に向けてご指導を賜りますようにお願いを申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。今日は、どうぞよろしくお願いいたします。 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 ありがとうございました。 それでは、報道関係の方は御退室をお願いします。 〔報道関係者退室〕 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 まず、会長の選任に先立ちまして、今回、令和5年4月1日付で本分科会の委員に就任された方々の御紹介をさせていただきます。 私のほうから、恐縮ながら、会場に御出席、オンラインにて御出席の方の順に、委員別・五十音順に御紹介をさせていただきます。資料1の委員名簿及び配席図も併せて御確認ください。 まず、会場に御出席いただいた方からでございます。 奥田かつ枝委員。 川口有一郎委員。 筒井義信委員。 若林茂雄委員。 荒谷裕子委員。 川嶋三恵子委員。 竹川正記委員。 山内弘隆委員。 吉原祥子委員。 津田廣喜委員。 次に、オンラインにて御出席をいただいている方でございます。 亀坂安紀子委員。 大久保恭子委員。 佐谷和江委員。 滝澤美帆委員。 持永勇一委員。 野城智也委員でございます。 本日御欠席ではございますが、松尾弘委員、村木美貴委員におかれましても、本分科会の委員に御就任されております。 また、今回新たに委員になられた方でございますけれども、筒井義信委員、竹川正記臨時委員、村木美責臨時委員、吉原祥子臨時委員でございます。 事務局の紹介につきましては、お手元の配席図の御確認にて代えさせていただきたく存じます。 それでは、議事の「分科会長の互選について」に移ります。 財政制度等審議会令により、分科会長は分科会委員の互選により選任することとされておりますが、分科会長の選任につきまして御意見がございましたらお願いいたします。 川口委員、よろしくお願いします。 〔 川口委員 〕 先ほど秋野副大臣からございましたように、令和元年に当分科会で取りまとめた答申の内容であります国有財産の最適利用を着実に進めていくためには、企業経営を通じて資産管理に精通し、豊富な御経験をお持ちの経済界出身である筒井委員を国有財産分科会長に推薦させていただきます。 筒井委員は、日本生命代表取締役会長として御活躍されておりまして、今月末には日本経団連副会長に就任される御予定であり、経済界を牽引されておられることから、適任であると考えます。 以上のことから推薦させていただきます。以上です。 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 ありがとうございます。 ほかにございますか。荒谷委員、よろしくお願いします。 〔 荒谷臨時委員 〕 私も、今お話がありましたように、経済全体に関する深い見識と長い経営の御経験をお持ちでいらっしゃいます筒井委員にお引き受けいただくのが適任ではないかと思っております。 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 ありがとうございます。 ただいま、川口委員、荒谷委員から筒井委員を分科会長に推薦する旨の御意見をいただきましたが、いかがでございますでしょうか。 〔「異議なし」の声あり〕 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 ありがとうございます。皆様御異議なしということでございまして、それでは、委員の互選によりまして、国有財産分科会長に筒井委員に御就任いただくことに決定をいたしました。 それでは、筒井委員は会長席にお移りください。 〔筒井分科会長、分科会長席に移動〕 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 初めに、筒井会長から御挨拶をお願いしたいと存じます。 その後の議事進行は、筒井会長に務めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 〔 筒井分科会長 〕 ただいま分科会長に御推挙いただきました筒井でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。今期の分科会長を務めさせていただきます。 国の将来を見据えまして、これまでの分科会と同様に国有財産行政の方向性を検討し、提言をしてまいりたいと考えております。委員の皆様方には活発な御議論をいただきまして、運営に御協力を賜りますようにお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。 それでは次に、「分科会長代理の指名」に移ります。 財政制度等審議会令により、会長代理は会長が指名することとされておりますので、分科会長代理を指名させていただきます。 分科会長代理は、引き続き若林茂雄委員にお願いいたしたいと思います。 続きまして、「分科会の運営方針について」の内容を事務局より説明をお願いいたします。 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 国有財産企画課長の藤﨑でございます。 分科会の運営方針について御説明をいたします。 当分科会の運営につきましては、お手元の資料1に沿って御説明申し上げます。資料1は、分科会の委員の名簿のほか、分科会運営に関する規則等をまとめたものでございます。この中で情報公開等に関する部分を中心に御説明申し上げます。 資料2ページの議事規則第6条におきまして、会議又は議事録を速やかに公開することを原則としております。当分科会では、議事の公開につきましては、議事要旨及び議事録を会議後に財務省のホームページに掲載することとしております。なお、議事録の公開に当たりましては、出席委員の皆様には事前に議事録の内容を確認していただきますので、よろしくお願いいたします。 また、資料6ページの「財政制度等審議会国有財産分科会の議事録等の公開について」にありますとおり、配付資料についても、分科会等の目的、任務に照らして議決により公開しないことを定めたもの、又は公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあるもの若しくは特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがあるものを除き、原則として、公開することとされております。 私からは以上でございます。 〔 筒井分科会長 〕 それでは、続きまして、「国有財産の現状について」の内容を事務局より説明をお願いいたします。 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 引き続き、藤﨑から御説明をさせていただきます。 2ページをまず御覧いただきたいと思います。まず初めに、国有財産の範囲について御説明したいと思います。国は、多種多様な財産を所有しておりますけれども、国有財産行政において対象とされている財産は、国有財産法上の国有財産、すなわち不動産、一部の動産、有価証券などを対象といたしております。下の図を御覧いただきますと、不動産のほか、船舶、航空機などの動産、特許権などの知的財産権、出資に伴う有価証券等が範囲となっている旨記載しております。 3ページを御覧ください。次に、国有財産の分類について御説明したいと思います。国有財産法においては、国有財産を行政財産と普通財産に分類しております。資料の左側でございますけれども、行政財産は、国の庁舎、宿舎、刑務所など国が自らの事務事業等のために利用する「公用財産」、国道・河川・港湾・公園など国において直接公共の用として提供する「公共用財産」、皇居等の「皇室用財産」、国有林野事業のための「森林経営用財産」に分類されており、これら行政財産は各省各庁の長が管理することとなっております。 資料の右側でございます。また、行政財産以外の財産として、例えば使用しなくなった庁舎などの跡地や物納された土地、あるいは地方公共団体等への貸付財産、独立行政法人等への出資財産について、普通財産として分類をしてございます。 4ページ、5ページにつきましては、今申し上げた国有財産の分類の例を写真で掲げております。 6ページを御覧いただければと思います。6ページ、7ページでは、国有財産の管理と処分の法律上の権限について御説明いたします。行政財産につきましては、法律により各省各庁の長が管理することとなっておりますが、ここで言う「各省各庁の長」は、行政のみならず、衆参両院議長、最高裁長官など、立法、司法も含むものとなっております。 7ページでございます。普通財産については、財務大臣が管理処分を行うこととしております。行政財産と比較いたしますと、財務大臣が原則管理すること、また処分ができることが異なっております。行政財産として不要になり、用途が廃止された場合は、各省各庁の長から財務大臣に引継ぎがなされ、財務大臣が処分することとなっております。 8ページを御覧ください。左側の円グラフでございます。国有地の面積です。道路、河川等を除いた分は、日本全国のおおよそ4分の1を占めております。 右側の円グラフでございます。国有地のうち、面積として大宗を森林経営用財産(国有林)が占めており、行政財産のうち、公用、公共用、皇室用財産と普通財産の面積の占める割合は、極めて小さなものとなっております。 9ページを御覧ください。次は評価額ベースの姿でございます。土地・建物等に限定しておりますけれども、国有財産の内訳でございます。土地については、相続税評価、路線価があれば路線価により、毎年度価格の見直しを行っているところでございます。 左側の円グラフでございます。土地・建物等の国有財産の合計は32.3兆円となります。うち行政財産が全体の約8割の26.0兆円、残りが普通財産6.2兆円となっております。 行政財産26.0兆円の内訳として、庁舎等として国が使用している公用財産が19.9兆円、公園等の公共用財産が0.8兆円。なお、ここでは、道路・河川等については、法律により国有財産台帳の適用外となっているため除外をしております。 下の(注)で記しておりますけれども、道路台帳、河川台帳等で別に管理されている道路・河川等は、評価額としては156兆円ということになってございます。 それから、円グラフに戻りまして、皇室用財産が0.7兆円、森林経営用財産が4.6兆円となってございます。 また、普通財産6.2兆円につきましては、円グラフの左側でございますけれども、在日米軍施設としての提供財産が2.8兆円、公園等の地方公共団体等への貸付財産2.0兆円となってございます。国有地で未利用と言われるもの、いわゆる未利用国有地は0.4兆円ということになってございます。 また、昨年11月に売却をした大手町プレイスにつきましては、この円グラフでは昨年3月末時点でございますので、その評価額は信託受益権0.2兆円の内数として計上されているところでございます。 資料右側の「土地の内訳」でございますけれども、行政財産で14.6兆円、普通財産で5.1兆円、合計で評価額19.8兆円となってございます。 10ページを御覧ください。行政財産の内訳となります。管理する省庁と主な例を示しております。最大規模は防衛省で、自衛隊基地等として使用しており、8.0兆円、2番目が農林水産省であり、国有林野等4.9兆円となってございます。 11ページでございます。未利用国有地のストックの推移になります。平成11年度(1999年度)からの推移を表したものでございます。平成11年度は、件数が赤の折れ線グラフで示しておりますとおり1.5万件程度、評価額は、黒の棒グラフで示しておりますとおり1.8兆円ございましたけれども、国有地の売却に注力してきた結果大きく減少し、令和3年度末(2021年度末)では約2,700件、4,841億円となってございます。 さらに、令和3年度の内訳を御覧いただきますと、黄色の国・地方公共団体等で利用が検討・予定されている財産が3,421億円、青色の一般競争入札で処分する予定の財産が290億円、ピンク色の土地区画整理事業等の区域内に所在したり、境界確定等が必要であったりという特殊事情があり、すぐに処分することが困難な財産が1,129億円となってございます。 12ページを御覧ください。未利用国有地のストックの内訳をもう少し詳細に申し上げます。先ほど御説明した黄色の部分、3,421億円の内訳でございます。上から2段目のところでございますけれども、令和元年度にそれまでの売却を中心とした処分方針を転換し、留保財産制度を創設したところでございます。 この留保財産が694億円、それから次に、国が庁舎等として自ら利用することを検討・予定している財産が756億円、地方公共団体が予算の手当てが整えば買うという意向を示しているものなど、地方公共団体等への売却を検討・予定している財産が358億円、地方公共団体等から借受け要望があり、契約に至るまでの過程のものなど、地方公共団体等へ貸付けなどを検討・予定している財産が1,612億円となっています。 一般競争入札予定の財産、青色の部分290億円につきましては、その内訳として入札未実施の財産が164億円でございますが、売れ残り財産も125億円となってございます。 特殊事情を有する財産は、前のページのピンク色の計数と同じ数字でございます。 13ページを御覧ください。未利用国有地の処分手続でございます。公用・公共用を優先としてまず国利用のニーズを確認し、その後、留保財産か否かということを判断いたしまして、留保財産以外とする財産は、地方公共団体や社会福祉法人、学校法人等のニーズを確認することとなります。 14ページでございます。一般会計の国有財産の売却収入と貸付収入の推移でございます。近年、売却収入は500億円程度、貸付収入は300億円程度で推移をしております。令和5年度につきましては、売却収入は予算で4,650億円となってございますけれども、そのうち4,164億円が、昨年11月に契約締結しました大手町プレイスの売却収入が令和5年度に国に入ってくることによるものとなってございます。 16ページを御覧いただきたいと思います。次に、国有財産の更なる活用として、定期借地権を利用した貸付けを御説明いたします。 まず、留保財産について御説明いたします。令和元年度(2019年度)に本分科会の答申を踏まえまして、留保財産制度を開始いたしました。政令指定都市などを中心として一定規模以上の国有地を目安としており、今年3月末で61か所の財産を留保財産として選定しております。 17ページを御覧ください。留保財産については、地元自治体との意見交換、それから広く民間のニーズの調査を行い、利用方針を決定しております。 18ページでございます。留保財産の活用事例でございます。東京・渋谷から少し西に参りました井の頭線駒場東大前駅の南側にあった公務員宿舎の跡地の活用事例でございます。地元の目黒区と意見交換しながら利用方針を策定し、駅に近い側にはスーパーマーケットや防災備蓄倉庫などを設置、南側には特別養護老人ホームを設置し、それぞれ定期借地権に基づく貸付けを行うこととしております。 19ページでございます。次に、留保財産以外の定期借地の貸付制度でございます。留保財産導入前の平成22年度から保育・介護の分野において国有地を活用するため、売却のほか定期借地制度を開始いたしました。制度導入後、保育・介護を含む複合施設などにも順次対象を拡大し、取り組んでおります。令和3年度末の貸付件数は約150件、契約金額は年40億円となってございます。 20ページでございます。留保財産以外の定期借地の最大の事例は、東京・九段下にございます旧九段会館の敷地を定期借地で貸付けを行った事例でございます。東日本大震災の際の天井崩落事故で九段会館が使用できなくなりましたけれども、敷地を民間事業者に定期借地として貸付けを行いました。昨年7月に新たな建物が完成し、年間22億円程度の貸付収入を得ているところでございます。 22ページを御覧ください。引き受け手のない不動産の発生抑制の一環として、相続土地国庫帰属制度が先月27日から開始されましたが、この制度開始以前から相続人が不存在の場合には、土地・建物等が国庫に帰属することとなっております。相続人不存在の場合、清算手続後の残余財産は国庫に帰属いたしますけれども、国庫帰属財産が趨勢的に増加するとともに、適切に管理されていない財産が増加するおそれがあることから通達を制定いたしまして、実態把握、管理コストの低減等に努めてきているところでございます。 23ページでございます。こうした中で、加えて相続土地国庫帰属制度が、先ほど申し上げましたように先月27日から開始されております。相続により取得した土地を手放し、国庫に帰属させることができる制度でございますけれども、通常の管理または処分するに当たり過分の費用または労力を要する土地は不可。10年分の管理費相当額の負担金の納付が必要というような要件が設けられております。制度開始によりまして、どの程度の申請と引受けがなされるのか、注視していく必要があると考えております。 24ページでございます。今説明いたしました相続人不存在による国庫帰属制度と相続土地国庫帰属制度の違いの1つをお示ししております。相続人不存在の場合は相続発生時に限られるのに対しまして、相続土地国庫帰属制度は、相続発生時に限らずいつでも申請可能な点で大きく異なっているところでございます。 続きまして、「庁舎の取得・使用調整について」でございます。 26ページを御覧ください。庁舎等の行政財産につきましては、行政財産の管理主体である各省各庁が管理をしております。行政財産の取得の際や効率化により余剰スペースが生じた場合などに財務省が効率的な活用のために協議を行い、行政庁舎の整備については国土交通省の官庁営繕部が担当しております。これら3者が連携を取りながら有効活用に取り組んできているところでございますけれども、27ページで実際の使用調整の最近の事例ということでお示ししてございます。 東京・虎ノ門地区の再開発の事例でございます。国立印刷局、虎の門病院等が所在していた地区につきまして、再開発事業が現在行われておりますけれども、国は再開発により権利床を取得する予定となっております。国が取得する床を庁舎として活用し、中央省庁の狭隘解消と民間借受けの解消を図ることといたしました。 具体的な移動は28ページに示しておりますけれども、複数の行政機関が玉突きで移動することとなってございます。 続きまして、29ページ以降でございます。行政が現在使用している庁舎等を活用している事例、あるいは国有地を処分するまでの間の暫定的に活用している取組などの御紹介をさせていただきます。 30ページでございます。法律において国の庁舎などは行政の用途を妨げない場合は、管理する官庁の許可によって使用を認めることができるとされております。主な例といたしましては、資料の左下でございますけれども、自動販売機、食堂、売店などがございまして、件数にして約1.5万件、金額で年50億円となってございます。 31ページでございます。近年では、現下の政策目的実現のため、5G基地局、BOX型サテライトオフィス、キッチンカーの販売、あるいはコインパーキングの設置と一体となった電気自動車用充電器の設置、カーシェアリング、シェアサイクル用での敷地の活用といったような新たな取組を開始してございます。 32ページには、つくば市におきまして既存の行政庁舎の会議室の利用が低調であったため、スタートアップ企業向けのオフィスとして提供した事例をお示ししております。 31、32ページで財務省としての取組を紹介いたしましたけれども、今後は各省にも横展開をしていきたいと考えております。 33ページでございます。32ページまでは行政が使用している庁舎等を活用した事例でございましたけれども、ここでは未利用国有地等について処分が決定されるまでの間における取組について御紹介いたします。工事関係、駐車場、駐輪場等への貸出しなどを行っておりまして、令和3年度で約200件、金額で4億円となってございます。 34ページでございます。さらに、貸付けできない場合であっても、管理コスト削減等の観点から、地元自治体などに管理委託を行っている例がございまして、ここでは、多目的広場、児童の遊び場などとして活用をされている例をお示ししております。 令和3年度末では約530件、2,600万平方メートル(2,600ヘクタール)というのが、管理コストの低減のための管理委託の実績となってございます。 私のほうからは以上でございます。 〔 筒井分科会長 〕 ただいまの説明につきまして、委員の皆様に御意見、御質問等ございましたら、御発言をお願いいたします。いかがでございましょうか。 よろしゅうございますか。御意見がないようでございますので、次の議事に移らせていただきます。 続きまして、「国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策等について」の内容を事務局より説明をお願いいたします。 〔 木村国有財産調整課長 〕 国有財産調整課長の木村でございます。着座にて御説明させていただきます。 国家公務員宿舎の需給調整及び老朽化対策等について御説明をいたします。 資料3でございます。昨年の分科会までの経緯、現状分析、今後の対応案という流れでまとめているところでございます。 まず、これまでの経緯でございますけれども、2枚おめくりいただきまして、1ページでございます。宿舎の概要でございます。真ん中ですけれども、総戸数は現在約16.2万戸、このうち合同宿舎が約7.1万戸、防衛省、法務省などの省庁別宿舎が約9.1万戸という数字になっております。 2ページでございます。地域別、省庁別のより詳しい内訳でございます。左下のところに規格別の内訳を書いておりますけれども、宿舎はa規格からe規格までございまして、a規格は独身者用、b規格は世帯用ですけれども、b規格のうち面積が小さいものの35平米ぐらいのものが単身赴任者用ということになっております。c規格が世帯用で、最も数が多くなっているところでございます。 3ページでございます。経年別の戸数でございます。古い順に並べておりますけれども、築50年を経過したものが約1万8,200戸となっておりまして、全体の約11%、築40年を経過したものが約29.3%ということになっております。右側が低くなっておりますけれども、ここ数年、新規建設を抑制しておりますので、新しいものが少なくなっているという状況でございます。 4ページでございます。平成23年に国家公務員宿舎の削減計画というものがございまして、その概要でございます。このときに宿舎に入居することが認められる職員の類型を定めまして、当時の宿舎戸数約21.8万戸から必要戸数の16.3万戸まで削減するといったことをやっております。この計画は既に達成しているところでございます。 一番下のアスタリスクでございますけれども、なお、計画達成後の売却金額を含めまして捻出した財源につきましては、令和3年度末現在で約3,488億円となっているところでございます。 5ページでございます。その後の流れでございますけれども、令和元年に本分科会の答申で4つの課題をいただいております。地域ごとのミスマッチの解消、住戸規格のミスマッチの解消、老朽化への対応、4番目ですが、緊急参集体制の確保という課題をいただいているところでございます。 6ページでございます。さらにその後、川口先生に座長をお引き受けいただきまして、行政財産の未来像研究会を開催いたしました。この報告書におきまして、真ん中ごろですけれども、若手職員を中心とした独身・単身赴任者向け宿舎やBCP用宿舎の確保などを行うことでございますとか、費用対効果の高い方法により、機動的に改修工事、リノベーション工事を行うことなどの提言をいただいているところでございます。 7ページ、8ページでございますけれども、それまでの流れを受け、昨年の分科会で御了承いただいている内容でございます。ポイントでございますけれども、一番上の青い矢印のところで、市町村単位で宿舎の必要戸数と設置戸数を比較して、より精緻に需要過多地域と供給過多地域に分類する。その需給の状況でございますとか、老朽度、立地条件、貸与率に応じまして、長期的にこれからも継続して使用する宿舎とそれ以外の宿舎に分けていきましょうというものでございます。 長期に使用する重要性の高いものにつきましては、効率的な方法で改修、リノベーションを行いまして、著しく宿舎が不足する地域につきましては、右下の黄色い囲みのところですけれども、新しくBCP用宿舎を考慮しつつ、若手職員を中心とした独身・単身者向け宿舎を優先し、建設を行う場合には、できる限り新たな国民負担とならないよう、コストをかけずに改修を留保する宿舎を廃止して財源とするといった形でやっていきましょうというものでございます。この方針に沿いまして、前回報告させていただきました新たな小菅の宿舎というものを進めているところでございます。 続きまして、「現在の課題」ということで9ページ以降にまとめております。 9ページでございますけれども、これまで都道府県単位で出してきました需給の状況をより細かく市町村単位で把握することにしておりますけれども、この表は、具体的なやり方のイメージを示しているものでございます。 左側に東京都の例を挙げておりますけれども、これまでは大きく東京都内に幾つ宿舎が必要ですかといったことを各省庁に聴取した数字と現存する宿舎戸数を比べて、その差を出しておったというものでございます。 その差といいますのが、ここでは左側のグレーの部分と赤の供給不足といったところの合計の部分を不足する数ということで出していたところでございます。グレーの部分につきましてはより分析を深めまして、東京都内には宿舎はないんですけれども、十分な通勤圏内、例えば埼玉県のある市の比較的新しい宿舎から通っている職員につきましては、ここで東京都内に通うのに十分ということになりますので、その市における供給で東京都内の必要となる宿舎を賄っているということにしております。そうすると、グレーの部分は特に不足をしているということにはなりませんので、ミスマッチの数は減るということになります。 これを全国津々浦々、ほかの都道府県についても市町村単位で行いまして、例えばほかの県でも県内で通勤可能なところとそうでないところがございます。こうした実際の宿舎の配置でございますとか勤務実態、通勤可能圏内を考慮した上で、市町村単位で可能な限り精緻に宿舎の需給の不均衡の情報を今回できるだけ把握したというところでございます。 その結果を10ページ、11ページでまとめております。改めて必要戸数に関しまして集計しましたところ、上の箱でございますけれども、各省庁の必要戸数の合計は約16.0万戸ということになっております。供給不足の地域が81、供給過多地域が33ということになっておりまして、東京都につきましては3,804戸の供給不足という数字になっているところでございます。 11ページでございますけれども、これは東京を取り上げております。上の段でございますけれども、3,800のうち規格別に見ますと、独身用の宿舎、あるいは単身赴任者用の宿舎の不足数が大きくなっているという状況でございます。 続きまして、12ページでございます。これは東京ではございませんで、どちらかというと地方の宿舎でございますけれども、老朽化した宿舎の事例で今回全国の宿舎を見た結果、こうしたケースが非常に多いといったものの事例を並べています。 地方の宿舎もこの10年ほどほとんど整備しておりませんので、立地的に重要性が高いものの、老朽化が著しく、容積率がうまく活用されないまま広大な宿舎の中に多数の低層な宿舎が並んでいると。土地の使い方としては非常に低利用な、もったいない使い方になっている宿舎が数多くございます。 左側の岡山の事例などにつきましては、ブロック造りの2階建ての宿舎が広大な敷地にあり、周りには既に高いマンションもあるといった状況がございます。こうした宿舎につきましては、集約化して跡地を有効活用すれば、国有地の有効活用というだけでなく、地域貢献にもつながる可能性もあるのではないかと考えられるところでございます。 13ページが老朽化した宿舎の事例でございまして、右上でございますけれども、いまだバランス釜を使用しているといった宿舎も数多くあるところでございます。 14ページでございます。これまでのリノベーションの試行結果です。この2年間試行的に宿舎のリノベーションということで工事を行ってまいりました。居住者のニーズでございますとかアンケート結果も踏まえまして、特に水回り、セキュリティに関する設備を中心として、壊れたらそのパーツだけ取り替えるということでなくて、ある程度の経年が来たら全体的に取り替えていくという工事をやっております。 その結果、一番下の箱でございますけれども、立地はよいものの、あまりに老朽化が著しくて貸与率が低い宿舎などにつきまして、この工事を行ったところ、貸与率が大分向上するといった結果も得られているところでございます。 続きまして、BCPの状況でございます。15ページでございます。BCP職員(緊急参集要員)の初動体制の確保に向けまして、令和2年に中央省庁のある霞が関または防衛省のある新宿区市ヶ谷からおおむね6キロ圏内の宿舎をBCP用宿舎としてBCP要員を優先的に入れるという制度を設けたところでございます。 右下の赤が霞が関から6キロ圏内。大体新宿駅とかそれぐらいの目安でございます。青が防衛省のある市ヶ谷から6キロ圏内というところでございます。令和4年9月現在でございますけれども、一番下の丸でございますけれども、BCP職員は各省庁合計で7,362人となっておりまして、宿舎は霞が関または市ヶ谷から6キロ圏内に5,005戸ありますけれども、そのうち3,686戸をBCP用宿舎として指定しているところでございます。 16ページにつきましては、前回の分科会で御報告させていただきました令和5年度予算で手当てさせていただきました新たな葛飾区小菅の宿舎について触れております。これは割愛させていただきます。 17ページでございます。整備する以外の工夫というところでございますけれども、行政財産の未来像研究会におきまして、上の箱でございますけれども、国民負担をできるだけ避ける観点から、既存の行政財産のストックを有効活用しながら、徹底したワイズスペンディングを実行していくことが重要とされておりまして、建てる以外にも様々な工夫をこのところ行っているところでございます。 真ん中ぐらいの例でございますけれども、これは近隣官舎の需要も考慮しまして、省庁別宿舎で未入居があったところを合同宿舎化してほかの省庁も入れるようにした。その需要に合わせて規格変更を伴う。この場合、世帯用を割って独身者用にするといったリノベーション工事も実施した事例でございます。 その下はさいたま市の事例でございますけれども、廃止が決定されていた合同宿舎についてリノベーション工事で復活させて再活用するとともに、その際に周辺に結構小規模で低利用な宿舎がありますので、これを集約化して土地の有効活用に努めるというものでございます。 一番下でございますけれども、廃止が決定された外務省の所管財産、これは在外公館に行かれた際にご子息が入られる子弟寮というのがあり、なかなか最近入らないということで廃止しようとしていたんですけれども、これをリノベーション工事を実施した上で、独身用の公務員宿舎として再活用するといった工夫等々をやっているところでございます。 18ページにつきましては、前回の分科会でも御紹介させていただきました空き部屋や駐車場の使用許可といったところは有効に活用していきましょうという取組をまとめております。 19ページですけれども、脱炭素に向けた取組ということで、公務員宿舎も例外ではございません。政府実行計画におきまして、設置可能な政府保有の建築物の約50%以上に太陽光発電設備を設置することを目指すとされております。また、既存設備を含めた政府全体のLED照明の導入の割合を2030年度までに100%とするとされており、宿舎についても取り組んでいく必要があるという状況に置かれているところでございます。 こうした現状を踏まえまして、従来の方針を若干進めるという形でまとめているのが「今後の取組み」ということで、20ページ以降でございます。 20ページは、この後出てくる内容をまとめたものでございますので、飛ばさせていただきます。 21ページ以降にまとめておりますけれども、「宿舎のミスマッチ解消に向けた今後の取組み」ということでまとめております。 上から申し上げます。宿舎の整備に当たっては、引き続き若手職員を中心とする独身・単身者用向け宿舎の整備を優先するなど、規格別のミスマッチを踏まえたものとする。 次でございますけれども、以下の(i)から(iii)までの宿舎につきましては集約化し、建て替えを検討するとしております。災害等緊急時対応職員用宿舎として重要性が高いものの、老朽化が著しく長期使用が困難である宿舎、都市部の広い敷地に複数の低層宿舎が建ち並ぶなど敷地が低利用となっている宿舎、容積率や周囲の環境から見て中高層の宿舎の整備が可能な地域に所在する宿舎、こういったところにつきましては、余剰容積率を有効に活用するとともに、集約化において創出された跡地について、その処分に当たって可能な限り地域貢献を図るとしてはどうかと考えております。 その下の「効率的な宿舎の確保」につきましては、従来からの方針ですけれども、宿舎が著しく不足している地域においては、借受けまたは建設のうち有利な方法による宿舎の確保を検討するとしています。 宿舎の整備に当たっては、既存の国有地を活用することで用地を確保するとともに、財源については特定国有財産整備計画により、改修を留保する宿舎の売却収入を充てることで、実質的に新たな国民負担が生じないようにするとしております。 供給過多である地域の老朽化した利便性の低い宿舎を廃止して、それらを財源として宿舎が不足する地域に宿舎を整備する。集約化する際にも、整備する戸数、規格につきましては、需給のミスマッチをならしていくように工夫した形でやっていけば、総戸数を保ちながら、宿舎のミスマッチというものをならしていけるのではないかと考えております。それをならしていけば、効率的な宿舎の配置ということがだんだん実現できるのではないかと考えております。 次のページでございますけれども、このほか、省庁別宿舎の合同宿舎化でございますとか、廃止予定の宿舎の再活用など、地域の実情に応じた工夫ある手法を引き続き積極的に活用してはどうかというところでございます。 次はPFIでございますけれども、PFI方式による民間知見を積極的に活用して、地域の意見をよく踏まえた上で、地域のオープンスペースや防災施設、保育施設や高齢者福祉施設等をより地域のニーズに合った附帯施設を整備する。これまで過去の事例ですと、コンビニエンスストアとか、クリーニング屋さんとか、そういったところはやってきたんですけど、もっと工夫ある附帯施設ができないかというところも考える。これは地元とよく話をした上でということになりますけれども、考えていきたいと思います。 23ページでございますけれども、BCP用宿舎の確保につきましては、ここにあります(i)から(iii)までの取組で入居を希望するBCP職員がBCP用宿舎に入居できるよう、約5,200戸程度のBCP用宿舎の確保を目指すこととしてはどうかとしております。5,200戸というのは、現在の緊急参集要員の数から自宅を保有しているという職員を除いた数でございます。 (i)ですけれども、中央省庁から6キロ近傍、6キロをちょっと超えたところにも合同宿舎はありますので、それをちょっと円を広げまして、こうした宿舎をBCP用宿舎に加えるというものでございます。 防衛省から6キロ圏内の宿舎に防衛省職員が入居して、当該増加分を防衛省のBCP用住宅とする。青の円には含まれて、赤には含まれていないところは、防衛省の職員の緊急参集用宿舎にはなりますので、そこは防衛省の職員を優先して入れた上で、職員の入替えを行うといったものでございます。 (iii)でございますけれども、BCP用宿舎に居住する非BCP用職員はまだおりますので、6キロ圏外の宿舎、例えば今回の小菅ができた後とかに、中にいるBCP要員でない方をそちらに移っていただいて、中のほうにBCP要員に入っていただくといった入替えを促進するということも考えております。 また、このほか、これで足りないこともありますので、BCP用宿舎として機能を最大限発揮できるような未利用国有地の利用が可能であれば、新たな宿舎の整備を検討するということにしているところでございます。 24ページでございますけれども、老朽化対策でございます。真ん中の箱ですけれども、引き続き居住者のニーズを踏まえて、水回り及びセキュリティに関する設備を中心にリノベーションを行ってはどうかとしております。当面のリノベーション対象宿舎につきましては、築40年以上の宿舎、あと築40年未満で陳腐化が著しい宿舎、または災害対策上必要な宿舎のうちリノベーションの実施により貸与率の向上が見込まれるものとしております。 東京23区内の宿舎を優先的に実施するとしております。東京23区内の宿舎は空きがないので、古いところにも入れているというところがございます。そういった事情もございまして、東京23区を優先にまずやっていきたいということを考えております。これをおおむね10年間で8,500戸ぐらいはやっていきたいということでまとめております。 最後、25ページでございますけれども、使用許可や行政財産の有効活用、脱炭素にも引き続き積極的に取り組むということでまとめているところでございます。 以上、駆け足でございましたけれども、これまでの経緯、現在の実情を踏まえた形で今後の宿舎行政の取組の案ということでまとめているところでございます。本日御議論いただいた上で、必要な修正を行った上で再度御報告をさせていただければと考えておりますので、御議論のほうをよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。 〔 筒井分科会長 〕 ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。いかがでございましょうか。 奥田委員、どうぞ。 〔 奥田委員 〕 宿舎の問題ですが、御存知のように、現在、不動産市場では非常に価格が上がっておりまして、若い方たちがなかなか持家を取得することができないというような状況になっています。従前からこの宿舎に関してはかなり深い議論をしていただいているので、方針としてはその形で進められていくのがよいと思いますけれども、ますます大きな問題になっているということを踏まえた上で、単身者、また家族世帯もなかなか住むところがないような一般社会になってきてしまっておりますので、ここを踏まえた対応をぜひお願いしたいと思っております。 以上です。 〔 筒井分科会長 〕 何かコメントございますか。 〔 木村国有財産調整課長 〕 奥田先生がおっしゃるように、最近の東京の不動産価格というのはものすごく高くなっておりまして、マンションとかもものすごく高いと。宿舎行政をやっておりまして、いろんな話を聞きますと、例えば財務省でも、ほかの役所もそうですけれども、結構地方の税務署とか、財務局とか、税関とかから職員が来ていただいているというところもあります。 では、東京に来たときに宿舎に入りたいけれども、提示されたところはもう古いとか、ボロとかで入れない。やむなく民間を借りるんですけれども、結構23区内の遠いところでも、普通のワンルームぐらいで9万円とかしますので、住宅手当も上限が今2万8,000円という形になっていますので、相当持ち出しが多いという形になっておりますし、例えば結婚して家を買うとしても、なかなかやっぱり苦しいですねと言った職員もおりますので、先生がおっしゃるように非常に切実な問題になってきていると思います。その点も踏まえまして、こういった方針もきちんと詰めていきたいと思いますので、ありがとうございました。 〔 筒井分科会長 〕 ほかにいかがでございましょうか。山内委員、どうぞ。 〔 山内臨時委員 〕 資料の20ページ以降に書かれている今後の方向性については全く異論がないといいますか、これは重要だなというふうに思っています。ただ、この中でいろいろ強調すべき点とか、さらに進めるべき点というのがちょっと感じたことがありますので、それについて申します。 全体的に宿舎全体を全体最適するという方向性で書かれているので、その方向は非常に重要だと思っております。私も前に国立大学におりまして、大学等なんかも一つの国有財産ですけれども、見ていると、やっぱり省庁別の宿舎とかそういったものについて全体をうまくシャッフルするといいますか、そういった必要性をすごく感じるところですね。 私どもの大学も宿舎がございまして、今、どういうふうに宿舎をするかということをいろいろ議論していますけれども、そのときにやっぱり大学だけの、あるいは文科省だけの視点ではなくて、全体的な視点というのを取り入れて、ここに書いてあるようにやるべきだというふうに思っております。17ページにありますし、22ページにそういうことが書かれておりますけれども、すごく重要な視点かというふうに思っています。 それから、PFI等民間活力についてですけれども、私、個人的には、国有財産、財務省の宿舎についてPFIをずっとやらせていただきましたけれども、これも先ほどおっしゃったように非常に重要で、地元とやっぱりうまく協議しながら、それで地元に適切な財産として宿舎をつくるという重要性があると思っています。 もう随分昔の話ですけれども、港区である宿舎をつくったときに、港区の規制と合わなくてちょっと問題になったことがありましたけれども、そういう問題だけではなくて、最近は、やっぱりエリアマネジメントというのは非常に重要視されておりますので、地域のそういったところも目配りされたらいいんじゃないかなというふうに思っています。 それで、駒場の住宅の跡地について財務省でやられてうまくいった例だと思いますけれども、あの例なんかは一つのベストプラクティスだと思いますけれども、さらに言うと、あそこにPFIみたいに企画段階から民間が入ってくると、民間の視点でいろんなこともできるのかなと、そういうようなこともちょっと考えたりするところであります。 それから、最後に脱炭素の話がありまして、これはとても重要だと思っています。政府の大きな方針の中で、GX、それからリノベーションとか、そういうような議論がありますけれども、これは宿舎だけじゃないんですけども、国有財産全体として、政府全体の目標を達成するようなことにいかに貢献していくかというその視点を入れていただきたいなと思っています。 例えば25ページのところで、宿舎についても太陽光発電を入れたり、LEDでやったりという話がありますけれども、これはもちろん必要だと思っています。東京都では新築について太陽光発電を義務付けるという方向があって、民間だけではなく、国もそれをちゃんと協力する必要があろうかと思いますけれども、これもさらにもう一歩進んでいけないかなというふうに思っています。 例えば、私が手伝ったある県の県営住宅なんかですと、太陽光発電を使って再生可能エネルギーをつくって、それによって、ある意味ではPPAといいますか、住宅と発電された再生可能エネルギーの供給を契約することによって、それで、公共側の負担もほとんどなくて、居住者との間の契約でもってそれが成り立つような、そんなシステムもありますので、そういうことも頭に置いてやられたらいいんじゃないかと思っています。 それで、ちょっとその辺を普遍すると、実はさっき資料の2のところで、国有財産のこれからの方向のところで、本当はそこで申し上げるべきだったと思うんですけれども、例えば最初の国有財産の分類の中で、行政財産のうちで公共用財産なんかで国道・河川・港湾・公園なんかもありますけれども、空港もそうだと思いますけど、そういったところで太陽光を――太陽光だけじゃないですね。再生可能エネルギーを導入できないかと思っていまして、実際に空港なんかですと、余剰地といいますか、空いているところに太陽光発電設備を設置して、それで大規模な発電をする。空港について、それを再生可能エネルギーで賄うだけではなくて、さらに地域にも再生可能エネルギーの供給をできるという、地域の電力会社みたいなものをつくる。そんなこともやっています。 私、エネルギーのこともちょっと専門なので申し上げると、日本で再生可能、脱炭素、カーボンニュートラルというときに、いろんな手段をうまく組み合わせないとできないと思っていまして、そういう意味では、国有財産や行政財産の中でも使えるところを使って協力していかないと、やっぱり今の政府の方針はできないんじゃないかと思っていますので、その辺もちょっと頭に置いていただければいいのかなというふうに思っております。 以上でございます。 〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。コメントがあれば、ちょっと後でお願いします。今、オンラインで手を挙げていただいている佐谷委員は間もなく退室されるとのことですので、少し優先してお願いしたいと思います。 佐谷委員、お願いします。 〔 佐谷臨時委員 〕 ありがとうございます。 公務員宿舎については、ここ数年、方針や今後の取組ということで御報告をいただいているんですが、私は計画をやっているものですから、方針レベルはいいとして、少しでも計画を作成して、具体のことに着手する、そういうフェーズに移行すべきではないかと思っております。その辺、御検討いただければと思っております。 〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。それでは、コメントをお願いします。 〔 木村国有財産調整課長 〕 佐谷先生、ありがとうございます。おっしゃるとおり、方針は令和元年に出ておりますので、例えば何戸建てて、何戸つぶす、ここを建てて、ここをつぶすといった具体的なものができればいいんですけれども、建てる際の予算措置とか、適地の見い出しとか、地元との調整とか、裏付けがないままそれはなかなか今のところはできていないというのが状況でございます。 ただ、この前、小菅に着手させていただきましたように、今回のいろいろ統計等も踏まえまして、具体的な動きというのは今後も続けていきたいと思いますので、その際にはこういう計画でやりますといったことは具体的に説明をさせていただきたいと思います。 今できることといたしましては、先ほど需給の不均衡の状況を御紹介いたしましたけれども、例えばこれで戸数を保ちながら、供給が若干不足しているところは若干しか不足していないので、そこは宿舎を建てないで借り上げで賄うとか、あるいは古い宿舎を集約化する際に、100戸つぶして120戸建てて、20の供給不足を賄おうとか、この数値を参考にしながら、具体的な個別の計画を立てていきたいと思いますので、結構個別の計画が積み重なっていろいろ具体化してくれば、また違う目標の立て方というのも見えてくるかもしれませんので、そこはできるだけ動きを具体化しながらというところは先生御指摘のように肝に銘じていきたいと思います。ありがとうございました。 〔 佐谷臨時委員 〕 ありがとうございます。 〔 筒井分科会長 〕 それでは、オンラインでお二方、手を挙げておられますので、まず亀坂委員、お願いします。 〔 亀坂委員 〕 私もカーボンニュートラルとかも気になってはいるんですが、重複しないところでとなりますと、資料の10ページの宿舎の現状の需給の状況のスライドが気になりました。主な供給過多地域の一覧表が特に気になったんですが、私は、大学院を修了して最初に勤めたのが大東文化大学というところで、東武東上線の東武練馬という駅からバスの専門キャンパスと、同じく東武東上線の高坂という駅からバスで通勤する教養のキャンパスの2か所に通っていたものですから、ほかの先生方は結構ふじみ野市とかに住んでいたんですね。 ふじみ野市は、例えば埼玉県で小・中学校の先生とか、埼玉県の地方公務員の方々が転勤されるに当たって無難というか、いろんな場所にアクセスがいい場所という印象があるので、例えばですが、今も小・中学校の先生のなり手が不足しているとか、教育関係者のブラックな職場とかが問題視されるようになっていて、私は以前、働き方改革関係とか、well-beingの論文も書いたことがあるんですが、そういった論文の内容が最近では民間の方々からも注目していただいて、働き方改革とか、あるいは通勤時間の削減とかいう観点から、今、霞が関からは遠いかもしれないけれども、ひょっとしたら地方公務員の方々にとってはいい場所と思えるような場所で供給過多が発生しているのではないかなと思ったので、そういった埼玉県に限らず、地方公共団体の方で社会情勢も結構変わってきておりますので、活用していただける道はないのかなと思いました。 質問に近いコメントです。以上です。 〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。何かございますか。 〔 木村国有財産調整課長 〕 亀坂先生、ありがとうございます。制度上は、おっしゃるとおり、国家公務員宿舎というのは、地方公共団体の職員にも提供することができるようになっております。前回の分科会でも御紹介させていただきましたけれども、例えば長崎県の五島市の国家公務員宿舎につきましては、余剰分を日本語学校の先生のために使用許可するといったこともやっております。したがって、そういう有効活用の道というのはあると思います。 あと、宿舎の置かれた状況で、例えば30戸宿舎があって、25戸余っていますと。古いですということであれば、ここは有効活用というよりも廃止して再建するということになると思いますけれども、まだ軀体ももって、例えば30戸のうち25戸は埋まっていますけど、あとは空いていますということであれば、学校の教職員の方に貸していく道もあるのかもしれませんし、そこは空き部屋にしているというのはもったいない状況ですので、そういった形の有効活用もできないかというのは十分検討していきたいと思います。ありがとうございます。 〔 筒井分科会長 〕 それでは、オンラインからもう一方ですね。大久保委員、お願いします。 〔 大久保臨時委員 〕 大久保です。よろしくお願いいたします。 今後の取組というところで、2点コメントさせていただきたいと思います。 まず1点目なんですけれども、公務員宿舎のミスマッチ、とりわけ住宅事情が厳しい23区は3,804戸のミスマッチがあるというふうな御説明をいただきましたけれども、今後の取組というところを見ていますと、ミスマッチ解消をいつまでに解消するというふうな時間軸が記載されていなかったと記憶しております。 先ほど、具体的な計画を立案して具体的に進めていけばいいのではないかという御意見もありましたけれども、私としましても、時間軸も含めていつまでにミスマッチを解消するというふうな視点で進めていただければと思います。前回も申し上げましたけれども、適切な住環境の確保は仕事の質に大きな影響を及ぼしますので、速やかなるミスマッチの解消をお願いしたいと思います。 もう一点なんですけれども、BCP用の宿舎の件です。BCPの職員の方たちは、災害時は3時間以内に初期対応をするべく、徒歩3時間圏内のところが住宅対象地域になるという御説明をいただきましたけれども、災害時は通常徒歩で3時間以内のところが多分倍かかったり、場合によっては3倍の時間がかかったりするかと思います。 そういう実態といいますか、実情を考えますと、6キロ圏というのがちょっと遠過ぎるような、災害時に駆けつけようとしたときに、6キロだと、3時間どころか4時間、5時間、6時間かかる可能性もあるので、もう少し近いところに距離圏を縮めていっていただくことも御検討いただければと思います。以上です。 〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。コメントをお願いします。 〔 木村国有財産調整課長 〕 いつまでにミスマッチを解消するというのは大事な話でもありますけれども、ちょっと今の段階ではなかなか見えないというところもあるかと思います。恐らく必要戸数自体も、今後のいろいろ働き方改革等々によって変わってくる可能性もございます。減る要因としては、転勤が減るとか、そういったこともある可能性もございますし、地方の役所の統廃合とかが進めば、その分必要戸数も減るということになってくるかと思います。 一方で、奥田先生からもございましたけれども、東京の不動産価格の問題とかを考えますと、まだ必要戸数が増える可能性もございまして、ここら辺も動いていく話ではございますけれども、ちょっと今、何年までにということはなかなか難しいかもしれませんけれども、この取組を進めながらできるだけ早く、そういった年限設定が可能であれば、いずれかの時点でそういうことも考えていくことにはなるかと思いますけれども、現時点ではなかなかちょっと乗り出したばかりで難しいという感じはいたしております。 BCPにつきましては、3時間で6キロでございますので、これは災害時に瓦れき等々があって、それでなかなか歩行が困難というところも加味してこういう基準にしているというのは認識しておりますけれども、その距離も含めてBCP用宿舎をいろいろ指定したりしていくと、BCP要員にどういうオブリゲーションを課していくか、どういう役割を課していきましょうかというところも話題になってきますので、そこを我々だけでは解決できないところもありますので、政府の防災関係の役所とともにいろんなことも含めて検討していきたいと思います。ありがとうございます。 〔 筒井分科会長 〕 オンラインからもう一方、滝澤委員、お願いします。 〔 滝澤臨時委員 〕 2点、意見を申し上げたいと思います。 21ページのところで、やはり将来の需要の変化を見据えるというところがポイントになってくるかなと思いました。現状のストックとしての宿舎の老朽化のスピードとともに、人口減少のスピードですとか、採用の計画、職員の離職とか、中途採用の程度によって、職員の方々の年齢構成とか、それに伴って宿舎の需要というのも変わると思いますので、5年、10年先を見据えて需要の変化を捉える必要があるというふうに思いました。 もう一点は、現状、宿舎が著しく不足している地域では、現状不足していながら、どちらかには居住されながら勤務をされているという認識でおるんですけれども、例えば現状著しく遠いところから通われているというふうに想定すると、交通費という費用プラス時間という機会費用もかかっていますので、その点も費用としてカウントしながら、適切に供給していくということが重要になるのではないかなというふうに思いました。以上です。 〔 筒井分科会長 〕 ほかに、会場のほうからいかがでしょうか。 川嶋委員、お願いします。 〔 川嶋臨時委員 〕 川嶋です。ありがとうございました。 意見です。1点だけ。この手続は丁寧に進めていただきたいということの一言に尽きるのですが、やっぱりこの話は、国有財産としての宿舎と、将来の国の国政を担う公務員の方、人材という意味の財産と2つの意味があるような気がしておりまして、人の要素と国有財産の要素がすごく複雑に絡むので、どこをどう整理するかが難しいなということを感じています。 釈迦に説法なんですけれども、国有財産の管理という部分と、人材を育成し、かつ国政遂行に必要な公務員の方々の住環境を整えるということは、切り離して議論をしたほうがいいのかなと思いました。というのは、国有財産の管理の部分がどうなっているのかを見える化していただくことがまずは大切で、その上で人材育成にもこのような意義があります、と説明していただくことが、国民の理解も進むのではないかなと思いました。以上です。 〔 筒井分科会長 〕 ほかにいかがでございましょうか。川口委員、お願いします。 〔 川口委員 〕 二つコメントさせて頂きます。一つは脱炭素、カーボンニュートラルに向けた建物の省エネ化の促進の動きについてです。ご案内のようにイギリスでは省エネ格付をAからBCDEFGの7ランクに分けてそのうち下二つF、Gは使用禁止となっています。日本でもいずれこうした規制が導入されることなると想定するビルのオーナーが少なくないようです。資料3ページにあるように、築50年・築40年といった古い宿舎がありますのでオーナーである政府としてもこうしたことへの配慮が近い将来必要になろうかと思います。 また、奥田先生のご指摘と関連して、東京都心で供給されるマンションの価格が高騰しています。港区では1坪2,000万、3,000万円といた高価格帯のものもあります。つまり、国家公務員の宿舎が足りないところでは住宅コストが非常に高くなっています。 また、若い世代を中心に「借金してでもマンションを買え。立地のよいマンションの価格は下がらない」といったマンション神話のようなものが芽生えています。そうした中で都内に国家公務員の宿舎を整備、あるいはどうリノベーションするかという課題には新たな局面も生じています。民間の事業者はすみ分けしていて、東京と東京以外の地域での住宅供給や住まいの整備の在り方はそれぞれ異なるビジネスモデルで対応しています。今ご説明頂いた案も基本的にはそうなっていますが、東京と地方での整備の在り方および予算については異なる尺度を導入する必要があると思います。 〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。何かコメントはございますか。 〔 木村国有財産調整課長 〕 東京と地方の違いと申しますか、そこは特徴を踏まえた形で要求とかいろいろやっていきたいと思います。貴重な情報をありがとうございます。 〔 筒井分科会長 〕 ほかにいかがでございましょうか。 よろしゅうございますか。それでは、次の議事に移りたいと思います。 続きまして、「「最適利用」答申のフォローアップについて」の内容を事務局より説明をお願いいたします。 〔 上乗大臣官房専門調査官 〕 大臣官房専門調査官の上乗と申します。どうぞよろしくお願いいたします。着座で説明させていただきます。 資料4になります。令和元年6月の「最適利用」答申において御提言いただきました不動産の寄附につきまして御説明をさせていただきます。 1ページ目でございます。資料の左側ですが、「最適利用」答申では、「引き取り手のない不動産に関する問題への当面の対応として、一定の資産価値があり、売却が容易であるとともに、適切な管理が行われている土地について、寄附を可能とする。」との御提言をいただいております。 この御提言への対応状況につきましては、資料の右側になりますが、これまで、所有者不明土地等に関する政府全体の検討とあわせて、引き続き検討すると御報告しておりましたが、本年4月27日に施行されました相続土地国庫帰属制度との整合性を考慮しつつ、御提言を踏まえまして、相続土地国庫帰属制度の承認申請に係る土地を対象に寄附受けを検討することとし、国にとって総合的に有益であると見込まれる財産について普通財産としての寄附受けを可能としたところでございます。 2ページ目でございます。所有者不明土地等に関する政府全体の検討の状況につきまして御説明いたします。この資料は、本年2月の関係閣僚会議で決定された対策推進の工程表になりますが、資料の一番左側に掲げられている課題に対して、法務省や国土交通省を中心に関係省庁におきまして様々な対策が進められております。 この中で資料の中央部分に赤線を付しておりますが、所有者不明土地の発生抑制策として、法務省の法制審議会における検討を経まして、相続土地国庫帰属制度が創設されたところでございます。 3ページ目でございます。相続土地国庫帰属制度の概要について御説明いたします。本制度は、相続等により取得した土地を手放して国庫に帰属させることができる制度となります。管理コストの国への転嫁や土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して一定の要件が設定されておりまして、法務大臣が要件の審査を実施することとされています。 要件の1つ目として、(1)の土地の要件ですが、通常の管理・処分をするに当たり過分の費用・労力を要する土地は国庫帰属できないこととされております。具体的には、次のページにあります。要件の2つ目ですが、10年分の土地管理費相当額の負担金の納付が必要とされております。 次に、本制度により国庫帰属した土地は、主に農用地や森林として利用されている土地は農林水産省、それ以外の土地は財務省の財務局が普通財産として管理・処分を行うことになります。 本制度におきましては、財務局が行う業務として、資料の真ん中の吹き出しで、上から2つ目のポツですが、法務局からの協力依頼を受けて調査業務を行うほか、赤のアンダーラインを付しておりますが、本制度の運用において、国や地方公共団体に対して、土地の寄附受けの要望確認をすることとされておりますので、財務局においては寄附受けの検討も行うこととなります。 4ページ目でございます。これは、先ほど申し上げました土地の要件の具体的な内容となっております。まず、資料上側の却下要件として、建物の存する土地、担保権や使用収益を目的とする権利が設定されている土地、他人による使用が予定されている土地などが定められております。 資料下側の不承認要件として、崖がある土地、管理・処分を阻害する有体物が地上や地下に存する土地、争訟によらなければ通常の管理・処分をすることができない土地などが定められております。 5ページ目でございます。次に、「最適利用」答申を踏まえた不動産の寄附に係る取組について御説明いたします。資料右側に答申の概要を記載しておりますが、不動産の寄附につきましては、相続土地国庫帰属制度との整合性を踏まえつつ、基本的に答申に沿った形での取組としております。 まず、資料左側の基本方針として、相続土地国庫帰属制度への影響を考慮するとともに、国にとって有益な財産について、国の取得を可能とし、かつ、国に譲渡したいとする承認申請者の意思を尊重する観点から、同制度の運用において寄附受けの要望確認に対応するため、同制度の承認申請に係る土地を対象に検討を行い、普通財産としての寄附受けを可能としたものでございます。 また、寄附受けは、当事者間の合意に基づく契約により行うものであり、寄附受けの可否については、所在地、形状、周辺環境等個々の財産の状況に照らして、財務局が個別に判断を行うこととしております。 参考となりますが、※印で、相続土地国庫帰属制度を実施するためには、財務局の体制整備が必要不可欠でございますので、令和3年度以降、所要の財務局定員の確保に努めているところでございます。 6ページ目です。寄附受けの対象財産につきましては、国にとって総合的に有益であると見込まれる財産、すなわち、国にとってのメリットがデメリットを明らかに上回るとともに、国庫帰属制度の負担金額を優に上回ると見込まれる財産としております。特にメリットにつきましては、寄附受けの条件として、①土地の状況や周辺環境等に照らし、売却等ができる蓋然性が高いと見込まれること、②財務省所管普通財産に隣接する土地で、国有地の資産価値の増加に寄与すると見込まれること、のいずれかに該当する土地としております。 最後に、透明性確保の観点から、寄附受けを行った土地については、所在地、面積、契約年月日、寄附受けの理由などを財務局のホームページにおいて公表することとしております。 次ページ以降は、令和元年の「最適利用」の答申の抜粋となっておりますので、説明は以上でございます。 〔 筒井分科会長 〕 今の御説明について、御意見、御質問等いかがでございましょうか。どうぞ。 〔 荒谷臨時委員 〕 お伺いしたいのですが、相続土地国庫帰属制度の中身はモラルハザードを防ぐという意味でかなり厳密になっているのですが、この要件をクリアして国庫帰属するという方がどの程度いると見込まれているのでしょうか。この制度ですと、ほとんど国庫帰属しないで売却してしまう。ほかに売却相手がいるのではないかと思いまして、その点、実効性がある制度なのかどうかかなり疑問なのですが、どのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。 〔 上乗大臣官房専門調査官 〕 実際、法務省法務局のほうで2月下旬から事前相談を行っておりまして、約2か月間で4,000件ほどの相談結果があったというふうに承知しております。要件はあると思いますが、ある程度の一定のニーズはあるのかなと思っております。申請としては相当の件数が出てくるのかなとは思っております。 〔 荒谷臨時委員 〕 4,000件ほど相談があったということですが、この詳しい内容を御存知の上で相談されているのでしょうか。かなり現実味がない制度だなと思ったので、その点をお伺いしたいと思います。 〔 嶋田理財局次長 〕 今の相続土地国庫帰属法について、背景を含めて私のほうからちょっと補足したいと思います。 この制度は、所有者不明土地というのが日本全国で九州ぐらいの面積はあるんじゃないかとか、しばらくしたら北海道ぐらいの面積が所有者不明になるんじゃないかというような議論があって、それでこういうことについて議論しなきゃいけないということで、相続土地国庫帰属法だけではなくて、所有者不明にならないように相続登記を義務化するとか、そういうものとパッケージとして議論されたものです。 さらに、その議論があって、この制度ができる前、令和2年でしょうか、土地基本法が改正されて、6条というところに、土地は所有するだけじゃなくて、所有者には管理する責務があるんですよという規定が入りました。よって、土地は所有している人がちゃんと管理する責任があるということになりました。 他方で、そうはいってもいろんな事情があって、相続したんだけれども、それを積極的に自分は土地利用をするつもりはないんですと。それにもかかわらず、管理の義務を負うのが酷な場合もあるという最後のバックストップとして、相続土地国庫帰属法というのを設けましょうという議論がありました。 その一方で、では、その相続土地というのは、相続財産を放棄したら全部、プラスの財産もマイナス財産も含めて放棄ということになるわけですが、相続土地国庫帰属制度では選択的に要らない土地だけは国庫に帰属していいですよという制度になっております。 こうした土地の所有権を一方的に国庫に帰属させるということは、その土地の所有に伴う義務とか、責任とか、あるいは管理コスト、もっと言えば、土地を持っていない人も含めて、国民の皆さんの負担としてそれをやっていかなきゃいけないということで、その両方のバランスをどう取るのかということで、ちゃんとした、管理が不全じゃない土地を、それでも自分は都会にいるので、田舎の土地の管理は難しいというような方に対して、最後に10年間の負担金をいただいて国が管理していきましょうという制度で、今、未利用国有地などの平均保有期間は40年ほどなものですから、国としてもどう管理していくかというのはチャレンジになっています。 そういうバランスの中で、ちゃんと管理しているものについて国が最後引き取れるようにしましょうというのが当時の法制審の議論であり、立法趣旨であったということですので、まずはマーケットで売れるものは恐らくマーケットで売られ、さらに、直ちに売れなくても、しばらくしたら売れるものはランドバンクに預けたりする可能性もあります。そうしたことがなかなか難しい土地をお持ちの方について、最後はちょっと自分ではできないからというのを国に帰属させる道を開いたというものなので、全部が一切合切使われるということを想定しているというよりも、最後のバックストップとして設けたというのが制度趣旨です。 恐らくは、4,000件なりの問合せの中には、この制度ではなく、マーケットの処分をお考えの方もいらっしゃると思います。本制度ではそうではなくて最後手放すという道を設けたということだと思います。 今回は、そういう手続というのは法務局でやって、財務局は要件審査に御協力をするという立場でそのプロセスに参加するわけですけれども、その中で、負担金とかいうことじゃなくて、資産価値のあるもので国に使ってくださいというような方がいらっしゃった場合には、そういうことではなくて寄附をお受けできるようにしたらどうかというようなお話として今回御報告申し上げていると、そういうものでございます。 〔 筒井分科会長 〕 よろしいですか。 〔 荒谷臨時委員 〕 問題になっているところは、例えば、崖地を相続したけれども、10年ほど保全するようなお金はない。この場合、例えば大雨が降って洪水になって被害者が出た場合も大きな問題となると思うのですが。 この場で言うことが適切かどうかわかりませんが、10年保全するお金はないけれど崖地を相続したような場合に、その崖地が崩れたことから被害を蒙った被害者をどう救済するかという点についても、災害対策の観点から併せて関係省庁で協力して考えていただきたいと思います。 〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございました。 ほかにいかがでございましょうか。川口委員、お願いします。 〔 川口委員 〕 今の御意見と関連しますが、国民に説明するときには、通常の不動産の流通市場に入ってこない物件が対象であると説明するという理解でいいでしょうか。通常の不動産売買では仲介によって手数料が収入になるので、仲介業者は一生懸命売り手と買い手を探す、これが流通市場です。 引き取り手がない物件はこうした流通市場に入らないから、今回の制度が創設されたのだと思います。しかし、ネット上では売れない土地を国が買ってくれる、といった誤解もあります。資料1ページの説明の引き取り手がないとは不動産の流通市場では仲介されないものということですね。教えていただければと思います。 〔 嶋田理財局次長 〕 実態的にはそういう不動産が多くなるのではないかと思います。ただ、もちろん、先ほど申し上げましたように、田舎の土地があって、自分が都会にいて、売却するための手間ひまが大変ということも含めてコストがかかるという場合は、本制度を使われるという方もいらっしゃると思います。他方で、価値があるということであれば寄附受けということもあり得ると思いますが、基本的には、多くはそうではない不動産に実態的にはなっていくのではないかと思っております。 〔 筒井分科会長 〕 よろしゅうございますでしょうか。どうぞ。 〔 吉原臨時委員 〕 コメントを申し上げたいと思います。 今回の相続土地国庫帰属制度については、今、御議論のありましたように、要件が厳し過ぎてほとんど機能しないのではないかという指摘は確かにあります。ただ、ここに至った経緯というのは、先ほど御説明があったとおりで、今、相続という自分の意思ではない事情によって土地を所有することになった人にとっての選択肢が非常に限られている状況があります。 マーケットベースに乗せられるものであれば流通できるけれども、そうでない土地の場合、ランドバンクもなかなか発展しておりませんし、市町村のほうも、そうした個人財産を行政目的がない中で受け取って責任を負い続けることに、財政的にも、マンパワーの面でも非常に消極的です。 そうした土地が放置され、相続登記も物理的な管理もされないままとなると、結果的に公共の面で土砂災害の遠因になったりすることがあることから、いろいろな選択肢を増やしていかなければいけない。その一歩として、今回こういう仕組みができたと理解しております。 そのときに、ではモラルハザードを防ぎながら国はどこまで土地を受け取るべきなのか。国が受け取るということは、10年分の負担金は申請者に負担してもらうわけですが、それ以上かかったコストについては、国民の税金で負担するわけです。そこで、個人の事情で手放した土地の管理コストをどこまでだったら国民の税金で見続けるのが妥当なのかということは、慎重に見極めていく必要がある。 そこで、今回、間口は狭くしてあるけれども、まずはこういう仕組みをつくり、今回の相続土地国庫帰属法には5年の見直し規定も入っていますので、まずは省庁連携で運用してみて、実態に応じて5年後に見直しをしていくということだと思います。 今後、全国50か所の財務局の方々の御負担は大きくなっていくと思いますので、先ほど人員拡充というお話もありましたけれども、そうした方々のお知恵、労力というものを結集していい制度に育てていくところであると思います。 また、承認申請の段階で国として寄附受けをしていくのは、国として有益な財産であればということですが、現実問題として受け取るケースというのはレアケースであろうと思われ、ここの段階で却下になる多くの件についてどうするのかが大事になってくると思います。 崖地だから駄目ですとなったときに、崖地であれば、国土交通省の土砂災害対策の補助金などで手当てすべきではないだろうかといった関連施策を自治体などに共有する、あるいは各法務局でそれをアドバイスできるような体制を省庁連携でつくっていくことが大事だと思います。 そして、財務局の観点では、受け取った土地をどう管理・処分していくのかがこれからの難問だと思います。相続土地国庫帰属制度は、行政目的のない普通財産として受け入れてきたこれまでの土地の事例とは性格、目的が大きく異なります。 私は正直言って、よくぞこの仕組みができたと思っています。法務省と財務省、関係各省の連携の賜物です。これをどうやってきちっと育て上げていくのかが大切であり、人口減少時代における土地の適正な利用・管理の新しいサイクルをつくっていくものであると思います。 そのサイクルの根幹は処分のところで、そこについては、財務局だけでは大変な労力がかかって難しいことだと思います。各地に点在していく小規模の国有財産化された土地をどう利活用するのか、民間の知恵も必要だと思います。 また、例えば国交省の地域福利増進事業など低未利用や所有者不明の土地の活用に関する施策もあり、しかしながら活用が進んでいないという課題もありますので、そうした類似のスキームを援用する形で省庁間で手続や要件の標準化をして、低未利用土地の利活用の効率化、合理化を図っていくことが今後の課題かと思っております。ありがとうございます。 〔 筒井分科会長 〕 大分御意見もいただいてまいりましたので、恐縮ですが、今、手が挙がっているお一方のみとさせていただきたいと思います。 オンラインから大久保委員、お願いいたします。 〔 大久保臨時委員 〕 ありがとうございます。大久保です。 この制度、国庫帰属制度及び寄附については、今のところ、対象は相続人を対象としているかと思いますけれども、これをもう少し遡って、被相続人が自分の家や土地は子供が引き継がないだろうというふうなことというのは事前に想定できるわけですので、例えば被相続人が自分の死後、国庫帰属でお願いしたいとか、寄附をお願いしたいということで申請することというのは考えられないのでしょうか。そのほうが空き家とかの対策には効果的だと思うのですが、いかがでしょうか。 〔 上乗大臣官房専門調査官 〕 今、被相続人ということでお話があったんですけれども、今回の寄附につきましては、あくまでも相続土地国庫帰属制度の中で寄附受けを国や地方自治体に法務局から確認がされるという背景として盛り込んでおりますので、まずは相続土地国庫帰属制度の中で寄附受けを認めるものとしています。 というのは、それ以外に寄附受けをしますと、寄附は、負担金とかはそもそも何も要らないものですから、国庫帰属制度と並立するような形になりますと、やはり相続土地国庫帰属制度に影響があるだろうということで、あくまでも現段階では相続土地国庫帰属制度に影響がないような中で寄附受けをまずは考えていくと、そういうことにさせていただいたところでございます。 〔 筒井分科会長 〕 ありがとうございます。それでは、よろしゅうございますでしょうか。 以上で本日予定をしておりました議事を全て終了にさせていただきたいと思います。 最後に、事務局から連絡事項がございます。 〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 事務的な連絡でございますけれども、本日の議事録、議事要旨、資料につきましては、会議後に財務省ホームページに掲載することといたします。記者レクにつきましては、本日この後、事務局で対応させていただきます。 〔 筒井分科会長 〕 これをもちまして財政制度等審議会第57回国有財産分科会を終了いたします。 今日は御多用のところ御出席いただきまして、本当にありがとうございました。ウェブで御参加の委員は御退室をお願いしたいと思います。 |
午後3時40分閉会 |