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国有財産分科会(令和5年2月22日開催)議事録

 

財政制度等審議会 第56回国有財産分科会 議事録

令和5年2月22日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 第56回国有財産分科会 議事次第

 

令和5年2月22日(水)14:00~15:55
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  1. 開会の辞
  2. 議事
  (1)庁舎等使用調整計画について

  (2)「政府保有株式に係る株主議決権行使等の方針」の見直しについて
(3)地域貢献等に向けた国有財産の有効活用について
(4)国家公務員宿舎の整備について
(5)留保財産の取組状況及び利活用促進について
(6)千代田区大手町二丁目所在の信託中財産の処分について
 

3.

閉会の辞

 
配付資料
資料1-1 令和4年度庁舎等使用調整計画
資料1-2 令和4年度庁舎等使用調整計画について
資料2 「政府保有株式に係る株主議決権行使等の方針」の見直しについて
資料3 地域貢献等に向けた国有財産の有効活用について
資料4 国家公務員宿舎の整備について
資料5-1 留保財産の取組状況について
資料5-2 留保財産の利活用促進について
資料6 千代田区大手町二丁目所在の信託中財産の処分について
出席者

委員 奥田 かつ枝
亀坂 安紀子
川口 有一郎
小林 健
若林 茂雄
臨時委員 大久保 恭子
川嶋 三恵子
児玉 平生
佐谷 和江
滝澤 美帆
松尾 弘
持永 勇一
野城 智也
山内 弘隆
専門委員 津田 廣喜
財務省 秋野 財務副大臣
齋藤 理財局長
嶋田 理財局次長
柴田 理財局総務課長
藤﨑 理財局国有財産企画課長
木村 理財局国有財産調整課長
梅野 理財局国有財産業務課長
原田 理財局国有財産企画課政府出資室長

午後2時00分開会

 小林分科会長  それでは、定刻となりましたので、財政制度等審議会第56回国有財産分科会を開催いたします。

 報道関係者が入室しますので、そのままお待ちください。

〔報道関係者入室〕

 小林分科会長  それでは、開催に当たりまして、秋野財務副大臣から御挨拶を頂きます。よろしくお願いします。

〔 秋野財務副大臣 〕 財政制度等審議会国有財産分科会の開催に当たりまして一言御挨拶を申し上げたいと存じます。

 まず、小林分科会会長をはじめ国有財産分科会委員の皆様方におかれましては、御多用のところ御出席を賜り、心から御礼を申し上げたいと思います。

 当分科会は昨年5月以来の開催となりますが、この間、財務省としては令和元年6月の答申を踏まえた取組を進めるとともに、近年の経済対策に盛り込まれた脱炭素社会の実現等に向けた国有財産の活用に引き続き取り組んでまいりました。本日は、これまでの取組状況を御説明いたします。また、その中の留保財産制度につきましては、取組を進める中で明らかとなりました課題を乗り越えるため、さらなる利活用に関する方策を講じ、より一層国有財産の利用に努める必要があると考えております。

 本日は、諮問事項であります庁舎等使用調整計画に関する審議を含め6つの議事につきまして御説明を予定しております。委員の皆様方から頂いた御意見につきましては、今後の国有財産行政に積極的に生かしてまいりたいと存じますので、御指導賜りますようにお願いを申し上げまして御挨拶といたします。

 今日はどうぞよろしくお願いいたします。

 小林分科会長  どうもありがとうございました。

 それでは、報道関係の方は御退室をお願いいたします。

〔報道関係者退室〕

 小林分科会長  それでは、早速、議事に入ります。

 庁舎等使用調整計画については、資料1-1をもって財務大臣から財政制度等審議会に諮問がなされております。この諮問につきましては、当分科会の了承が財政制度等審議会の了承ということになります。

 まず初めに、事務局から説明を願います。

 木村国有財産調整課長  国有財産調整課長の木村でございます。よろしくお願いします。着座にて御説明させていただきます。

 令和4年度の庁舎等使用調整計画につきまして御説明をさせていただきます。今回は岡山市、徳島市、那覇市に所在します合同庁舎に関する3件の計画になります。

 最初に、岡山市にあります西古松合同庁舎の使用調整計画を御説明させていただきます。資料1-1と資料1-2とございます、資料1-2で説明させていただきたいと思います。

 資料1-2の1ページでございます。上の点線の囲みの中でございますけれども、この西古松合同庁舎につきましては、岡山市北区西古松にあります平成4年築、地上4階建ての合同庁舎でございます。多少複雑になりますので、具体的な調整計画案につきましては次の2ページで御説明させていただきます。

 真ん中にあります青色の庁舎が西古松合同庁舎でございます。その左側の①のところでございますけれども、この合同庁舎から岡山地方法務局岡山西出張所が令和7年に新設されます岡山地方法務局の庁舎に移転することになっております。この移転に伴いまして生じる空きスペース約2,050平米を今回使用調整するものでございます。大きく分けまして2種類の調整を行うことで考えております。

 右上の矢印と同じく右上の黄色い箱に②とありますが、ここに広島国税局業務センター(仮称)とございます。岡山市内の庁舎の状況を見ますと、特に狭隘が際立つというものはありません。他方で、今、国税局が進めております複数の税務署の内部事務管理部門を集約して事務を合理化するための業務センターをつくることにしておりますけれども、この設置場所がなかなか岡山市内に見つからないという状況です従いまして、新たな行政需要への対応といたしまして今回生じたスペースを使おうというものでございます。岡山県内の13の税務署及び鳥取県内の3つの税務署の内部事務をここに統合したいと考えております。これが1,440平米使いたいというものでございます。

 2つ目の調整でございますけれども、その下の矢印の箱に③とございます。民間ビルを借り受けている役所の借受解消を図ろうというものでございます。現在、岡山市内で民間ビルを借りている役所は7か所ございます。このうち、ハローワークのように特定の場所地域になければならないという現地性の高いものが4つあります。これを除きます3つの役所の借受解消を今回図りたいというものでございます。その3つがこちらに記載させていただいております岡山南土地改良建設事業所、雇用保険電子申請事務センター、労働基準部労災補償課分室でございます。借受料は、下の囲みを見ていただきますと、それぞれ年間約620万円、約360万円、約180万円となっておりまして、合計約1,160万円の借受料が節減されることになります。

 以上が岡山市の西古松合同庁舎の使用調整計画案でございます。

 続きまして、3ページでございます。徳島地方合同庁舎の使用調整計画案になります。3ページの上の箱でございますけれども、徳島市徳島町にあります昭和51年築、地上7階、地下1階建ての合同庁舎でございます。

 4ページの絵で御説明させていただきます。左上の矢印と箱の①でございますが、法務省の徳島地方法務局及び徳島保護観察所が令和7年に新設されます徳島法務総合庁舎に移転することになっております。それに伴い生じるスペースなどを合わせまして計3,380平米を今回使用調整するものでございます。右側の②の矢印と黄色い箱に幾つかの役所を列記しているところでございます。国交省の基準におきまして、この役所はこれだけの耐震基準を満たす建物に入るべきと定められております。例えば耐震性の強い建物に入居する必要がある場合はⅡ類の建物に入りましょうそうでない場合はⅢ類の建物でもいいというふうに定められているところでございます。徳島市内の庁舎事情を見ますと、それを満たしていない役所が幾つかございます。それがここの②の黄色い箱にございます徳島公共職業安定所、徳島第二地方合同庁舎の中にあります徳島財務事務所、徳島労働局の助成金センターなどで、今回使用調整対象となる徳島地方合同庁舎に移したいというものですが、これらは本来Ⅱ類とされる強い耐震性能が必要とされる庁舎に入りましょうとなっているにもかかわらず、それよりも弱いⅢ類に今入居している状況になっていますため、今回Ⅱ類の耐震性能を持つ青の徳島地方合同庁舎の空いたスペースに移そうというものでございます。

 もう一つの徳島市内の庁舎事情といたしましては、市内の中心部に老朽化、狭隘が著しい庁舎が存在するという点がございます。具体的には、青の囲みの下の③高松国税局徳島税務署とございます。ここは徳島市内の中心部にある築60年の庁舎でございまして、狭隘も非常に著しい状況になっております。そこで、合同庁舎が今回空きましたスペースに移しまして、老朽・狭隘を解消するとともに、この中心部の跡地の有効活用を図ろうというものでございます。

 また、古い建物といたしまして、こちらはちょっと面積が小さいので、今回の使用調整の対象ということではなく、財務局の権限に基づく調整になりますけれども、右上の青い点線の枠の中の④に中国四国農政局徳島県拠点とございます。現状、職員の減少によってこの中国四国農政局徳島市庁舎の面積に余剰が生じていることもございまして、ここはⅢ類の建物でもいいことになっていますので、玉突きで移転した徳島第二地方合同庁舎にここを移し、適正な規模の面積にすることを考えております。さらにここの跡地の有効活用を図っていきたいと考えております。

 最後、その下の④に自衛隊の徳島募集案内所とございます。こちらにつきましては特に現地性の低い借受庁舎になっておりますので、借受けを解消して年間約160万円分の解消を図りたいというふうに考えております。

 以上が徳島地方合同庁舎の使用調整計画案でございます。

 最後は、那覇港湾合同庁舎の使用調整計画案でございます。5ページでございます。点線の囲みのところでございますが、沖縄県那覇市港町にあります昭和54年築、地上8階建て、地下1階建ての合同庁舎でございます。

 6ページの絵で御説明させていただきたいと思います。真ん中の青が那覇港湾合同庁舎でございまして、その左側の①でございますけれども、沖縄地区税関が令和6年に新設されます那覇第2地方合同庁舎に移転することになっております。それに伴いまして生じるスペース及び庁舎内の入居フロアの調整を行う部分などを合わせて2,310平米を今回調整することになっております。

 右上の②でございますけれども、この箱に那覇海上保安部とございます。那覇市にある庁舎の状況を見ますと、海上保安関連の役所がとても狭隘な状況になっております。特に現在民間ビルを借りております那覇海上保安部というところですけれども、人員に比しまして基準とされる面積の6割程度の充足率にとどまっています。また、那覇市を見ますと、特に現地性に乏しい民間借受庁舎はここだけでございます。したがいまして、この那覇海上保安部を港湾合同庁舎に移すことで、海上保安部の狭隘を解消するとともに、今払っております約1,580万円の借受解消を図るという調整を行いたいと思います。

 その下の③でございますけれども、これは、今ちょっと離れたところにございますので、税関詰所を港に近い港湾合同庁舎に移転することで業務の効率化を図るものでございます。

 その下の二重線囲みの一番下でございますけれども、これは今の港湾合同庁舎内の既存の役所の面積及びフロアの調整でございます。狭隘度が高い第十一管区海上保安部について空いたスペースを充てたり、ほかの役所とのスペースの調整により狭隘解消を図って、業務の効率化を図るものでございます。

 以上が那覇港湾合同庁舎の庁舎等使用調整計画でございます。

 以上3件が今回の令和4年度庁舎等使用調整計画になります。よろしくお願いいたします。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明について、委員の皆様の御意見がございましたらよろしくお願いします。いかがでございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、庁舎等使用調整計画を了承することについて御異議ございませんでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

〔 小林分科会長 〕 それでは、庁舎等使用調整計画について御異議等ございませんでしたので、当分科会として了承ということにいたします。

 それでは、次の議事に移ります。「政府保有株式に係る株主議決権行使等の方針」の見直しについて、内容を事務局からまず説明を願います。

〔 原田政府出資室長 〕 政府出資室長の原田と申します。よろしくお願いいたします。着座にて失礼いたします。

 私からは、「政府保有株式に係る株主議決権行使等の方針」――以降、「方針」と単に呼称いたしますが、これの見直しについて資料2に基づきまして御説明いたします。現在の方針でございますけれども、これは、平成2912月、当時、独立行政法人日本貿易保険が株式会社化されたことに伴いまして、方針に追加することと併せまして、以降の法人の追加に関しましては財務省のホームページに掲載することをもって代えるといった変更をいたしておりますが、基本的には平成28年5月に当分科会におきまして御審議、御了承いただいたものになっております。この方針につきましては、まず、政府が出資している株式会社の基本的な位置づけを明確にした上で、議決権行使等の方針といたしまして、その基本的な考え方、それから個別議案に対する方針というものを掲げております。最後に、今回見直しをいたしますが、株主としての継続的な取組を書かせていただいているものでございます。

 それでは、ページをおめくりいただきまして1ページを御覧ください。こちらが今回見直しを考えております新旧対照表になります。右の旧となっておりますのは現行の方針、左の新というものが見直し案になっております。今回見直しますのは、特に継続的な取組のうちの①でございますが、特殊会社等の財務状況、事業戦略等を定期的に把握するとともに、政策的役割を果たしつつ、企業価値及び株式価値の向上等が促されるよう、会社と対話をするということを定めております。これを今回の見直しにおきましては、取組を明確にするという意味でも、まず①で会社の状況を把握する、②で対話をするというふうに分けて書かせていただいております。その上で、では、何を把握するんですかというのが今回の見直しの肝になる部分でございますが、特殊会社等の財務情報に加え、事業戦略や人的資本を含むサステナビリティに関する考え方及び取組など非財務情報についても定期的に把握するということを書かせていただいております。その上で、②のほうでは、サステナビリティの観点も十分に踏まえて会社と対話をするというふうに見直しを考えております。

 その背景に当たるものを次ページ以降で御説明したいと思います。ページをおめくりください。2ページでございます。こちらは、この方針を策定したときにも一部参考としております日本版スチュワードシップ・コードで、直近では令和2年3月に再改訂が行われておりますが、その抜粋になります。この令和2年の再改訂でどのような改訂が行われたかということでございますが、例えば原則1の指針1-1、アンダーラインを引いてございますけれども、運用戦略に応じたサステナビリティの考慮に基づく対話をする。それから、原則4の指針4-2、これは再改訂で新設された指針ですが、「サステナビリティを巡る課題に関する対話に当たっては、運用戦略と整合的で、中長期的な企業価値の向上や企業の持続的成長に結び付くものとなるよう意識すべきである。」、こういったことが追加されております。

 もう1ページおめくりいただきまして、3ページでございます。こちらは同じく背景になるものですが、国の動きといいますか、まず上の段では、昨年6月に閣議決定されております新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画の抜粋になります。それから、下の段が金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告の概要の抜粋になっておりまして、いずれも人的資本等の非財務情報の開示強化がうたわれております。特に有価証券報告書において人材育成の方針等の非財務情報の開示を進めるといったことが言われておりまして、これを受けまして金融庁では、今年1月31日に企業内容等の開示に関する内閣府令を改正いたしまして公布、施行したところでございます。

 さらにページをめくっていただきまして、4ページでございます。こちらは、現在方針が対象にしております会社30ございます。この30の開示状況は一体どうなっているのかというものを簡潔にお示ししたものでございます。特に御覧いただきたいのは、任意開示という項目名をつけております黒いチェックの入っている欄でございます。この任意開示のところでは、サステナビリティ関連情報を内容あるいは媒体を問わず何がしか公表しておればチェックを入れることをしております。そうしますと、いずれの会社におきましても何がしかの開示はしてあるという状況でございます。一方、その中身に着目いたしまして、ここでは人的資本ということで例示をさせていただいておりますが、例えば女性管理職比率等の指標あるいはその目標値を開示しているか。その数値が出ていますかというところに着目すると必ずしも開示が進んでいる状況ではないということで、開示内容あるいはその深さに関しましては結構ばらつきが見られるような状況がございます。今回の見直しでは、こういった状況も踏まえまして、方針の中にサステナビリティの考え方あるいは取組など非財務情報に係る株主としてどういった対応をするかということを明記することによりまして、各会社の開示に向けた取組を促していきたい。ひいては、中長期的な企業価値及び株主価値の向上につなげたいと考えております。

 説明は以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 ただいまの御説明によると、この方針の見直しとしては事業戦略等に加えてサステナビリティ等の非財務情報についての把握、それからそれに基づく対話、こういうところが要点になっておりますが、皆様から御意見、御質問がございましたらお願いします。

〔 持永臨時委員 〕 御説明、ありがとうございました。

 4ページの資料を拝見したときに実は個人的にも非常に驚いたんです。良い方に驚いたということですけれども、デジタルでお話し申し上げますと、今、任意開示の話が室長からございましたが、例えばTCFDの開示、ここで30社の中の13社ということは4割を超えます。ただ、4割は何なのというとなかなか分からないと思いますけれども、今、全世界でTCFDの開示に賛同している会社が約5,000社で、このうち日本企業と官公庁を合わせて1,200社。ということは、官公庁を抜きますと3,600社の中の1,100社ですから3割弱になります。いかに皆様のサステナビリティに前向きな感覚を持たれ非常に望ましい動向になっているかというのがこのTCFDの開示を見ても手に取るように分かったという感じでおりました。

 それを踏まえますと、1ページになりますけれども、今回の見直しで、従来に対して、(3)の①でサステナビリティ関係、さらには②のところで、「サステナビリティの観点も十分に踏まえ」とございます。2ページにありますとおり、最後は企業価値を向上させるということがありませんと、結局、サステナビリティを重要視しながらも企業が成長しない、付加価値が高まらないことになります。十分分かっておられると思います、それを考えますと、1ページで、「サステナビリティの観点も十分に踏まえ」というのは非常に冷静、客観的な言い回しで、前のめりになっていませんので、これは非常に望ましい見直しだというふうに思います。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 そのほか御意見はございませんでしょうか。オンライン挙手の方はいらっしゃいませんでしょうか

 それでは、本件、議決権行使の方針の見直しについて了承することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございます。それでは、「政府保有株式に係る株主議決権行使等の方針」の見直しについて、御異議ございませんでしたので、当分科会として了承ということにいたしたいと思います。

 続きまして、地域貢献等に向けた国有財産の有効活用について、内容を事務局から御説明願います。

〔 木村国有財産調整課長 〕 地域貢献等に向けた国有財産の有効活用につきまして御説明させていただきます。主に庁舎宿舎といった行政財産の使用許可に関するものでございます。資料3でございます。

 1ページでございますけれども、これまでの経緯等についてまとめてございます。一番上の黄色い箱でございますけれども、本分科会の令和元年答申におきまして、アンダーラインのところでございますが、「地域社会による更なる活用を促すことで、一層の有効活用を図り、更なる収益確保につながるよう、行政財産の最適利用を進めるべきである。」とされております。その下の箱ですが、一昨年の行政財産の未来像研究会報告書におきましても、「庁舎の駐車場等を民間事業者等に使用許可することで、電気自動車向け充電設備等の普及を後押しする。」とされております。さらにその下のPPP/PFI推進アクションプランにおきましても、「行政財産の目的外使用許可や、未利用国有地の暫定活用についての情報発信を強化し、更なる有効活用に取り組む。」とされているところでございます。これらを踏まえまして、自動販売機や電柱の敷地、食堂、売店といった従来の活用法に加えまして、より地域貢献につながるような活用をやっていこうと努めているところでございます。

 具体的な取組につきまして御紹介させていただきたいと思います。

 2ページでございます。一番上の箱でございますけれども、1つ目の丸で庁舎等を5G基地局の設置場所として活用しているところでございます。昨年末現在で38件の実績となっております。基地局の例を真ん中の左側に2つ載せておりますけれども、公務員宿舎でございますとか地方の役所につきましても活用しているところでございます。その右側でございますけれども、BOX型サテライトオフィスの設置場所として庁舎を活用しているところでございますが、これが今計7件の実績になっております。

 1枚おめくりいただきまして3ページでございますけれども、新型コロナウイルス対策関連でございます。上の箱の一番上の丸でございますけれども、ワクチン接種関係、医療従事者の滞在施設関係など計68件につきまして新型コロナ対策として活用させていただいているものでございます。その下の丸でございますけれども、これは直接のコロナ対策というものではございませんが、庁舎敷地の一部をキッチンカーの販売スペースとして活用している例がございます。写真の上のほうに岐阜合同庁舎の例を挙げておりますけれども、これによりまして新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた飲食業者を支援し、食堂のない庁舎に勤務する職員の利便性向上だけでなく、近隣住民の方々も利用可能とすることで地域貢献を図っている事例でございます。右下の写真が農林水産省の事例でございますけれども、こちらは、積極的に国産の食材を使用することなど、農林水産省が行う各種施策への協力を要件としてキッチンカーの公募を実施するといった取組も行われているところでございます。

 続きまして、4ページでございますけれども、カーボンニュートラルへの取組でございます。一番上の箱の1つ目の丸でございますけれども、行政財産の未来像研究会でも話がございました電気自動車の充電設備でございます。ただ、充電設備単体で役所の駐車場に設置することですと、事業者と話しても、なかなかペイしないということもあって、どういったやり方だと広まるかということで、事業者等々と議論を重ねてきたところでございます。そこで、2つ目の丸にございますけれども、単に電気自動車の充電設備を設置するだけでなく、その設置を条件としまして、役所の開庁時間だけでなくて土日の庁時間も含めて庁舎の駐車場全体をコインパーキングとして使用許可するということですと、充電設備の設置を後押しすることにつながるのではないか。なおかつ、土日も開放して地域にも貢献できるのではないかということ進めていこうとしております。実際に、写真に2つの合同庁舎の例を並べておりますけれども、既に駐車場全体をコインパーキングとして使用許可しておりました福岡合同庁舎と立川地方合同庁舎につきましてこのたび電気自動車の充電設備を設置したところでございます。ほかの地域でも、このロケーションだとうまくいく可能性があるという地域もございますので、こうした地域にも同様のモデルで今後広げていきたいというふうに考えております。

 5ページでございますけれども、こちらもカーボンニュートラル関係の事例ということで並べております。庁舎の駐車場などをカーシェアリングスペースやシェアサイクルポートとして活用しているところでございます。上の写真は公務員宿舎の駐車場をカーシェアリングのスペースとして活用している事例でございます。その下が、中心市街地回遊性の向上のために、熊本市が民間事業者と連携して行っているシェアサイクル実証実験事業に協力したものでございます。また、上の箱の中で、今後、事業者の意見も踏まえて、事業ニーズが高いと見込まれる財産の駐車場等の空き区画を活用予定とあります、先日、都内の公務員宿舎の駐車場4件、そのほか地方の駐車場何件かにつきましてカーシェアリングスペースとしての公募を始めたところでございます。その際に、その情報提供先として空き家・空き地バンクを運営する民間事業者のウェブサイトにも掲載していただくなどの新しい取組も行っているところでございます。

 続きまして、6ページでございますけれども、これは、以前、監査の事例で紹介したものでございます。現状について御説明いたします。筑波研究学園都市に所在します文部科学省の研究交流センターにつきまして、国有財産監査におきまして、非効率な庁舎の改善に向けて、研究交流センターの所在するつくば市がスタートアップ・エコシステム拠点都市に選定されていることなどにも着目いたしまして、こうした庁舎の立地条件を踏まえた地域の新たな行政需要に対応できないか、そういった有効活用を検討するように当方の監査で指摘したところでございます。その後、利用率が低調となっておりました会議室につきまして、つくば市とも連携の上これを公募しまして、スタートアップ企業向けのオフィスとして使用許可を行ったところでございます。現在既に3者の事業者が入居して事業を開始しております。

 7ページでございます。同じく地域活性化ということで、宿舎の事例を並べております。地方公共団体が実施している移住支援事業などにおきまして、住宅の確保に苦慮している場合、宿舎の居室を活用している事例でございます。上の写真でございますけれども、これは愛媛県大洲市が実施しております市外居住者の移住・定住支援を目的といたしましたお試し住宅事業の実施に当たりまして、短期間ではございますけれども、居住希望者を受け入れるために公務員宿舎の居室を活用したものでございます。その下の箱の事例でございますけれども、これは長崎県五島市が実施しております五島日本語学校の教職員用住宅として宿舎の居室を活用している事例でございます。その下の(※)です、このほか内閣人事局において試行的に実施しております合同サテライトオフィスにつきまして、さいたま新都心の合同庁舎1号館でございますとか大阪合同庁舎第4号館の一角をスペースとして活用するということを試行的にやっております。今後、ほかの庁舎におきましても、食堂運営事業者等の撤退した跡とかもございますので、そういったスペースを活用してこうした働き方改革のようなことにも使えないかと考えてまいりたいと思います。

 最後に、8ページでございます。黄色い囲みの上の事例でございますけれども、こちらが複数の財産に関しましていろいろな政策を組み合わせて多角的に対応した事例でございます。ちょっと細かくなって恐縮でございますけれども、右下の絵で御説明させていただきたいと思います。一番上のオレンジの①がございますけれども、ここは非効率な省庁別宿舎を合同宿舎にしたものでございます。もともと検察庁のe型という最も広い規格の宿舎が非効率な状態でここに建っていたものでございます。そこで、これを、検察だけでなくて、いろいろな人が入れる宿舎にしましょうということで合同宿舎にしました。さらに、神戸市につきましては独身者でありますとか単身赴任者用の宿舎が不足しておりましたので、その下の薄緑色の①でございますけれども、このe型宿舎を分割しまして、単身赴任者用に規格変更する形でリノベーションを実施したものでございます。さらに、その上の②の赤囲みに保育園として活用とございますけれども、この検察庁の宿舎敷地の中に検事正用の戸建て宿舎がございます。ここをもう使わないということで、神戸市が待機児童対策で非常に頭を悩ませている状況でございましたので、神戸市とも話をしまして、この戸建て宿舎を使用許可という形で保育として今活用しているものでございます。さらに、その横の図でございますけれども、北野天神の近くに一等地があるんですが、ここに省庁別宿舎が建っておりました。ここも古い宿舎でございましたので、先ほどリノベした検察の宿舎を活用することでそこに人も移ってもらって、この一等地に所在する宿舎は廃止。かなりの一等地でございますので、ここの宿舎を廃止して留保財産として今後有効活用を図る予定っております。こうした複数の財産を組み合わせてエリアとして最適な国有財産の使い方になるように、使用許可につきましても活用しているところでございます。下の箱ですが、そのほか宿舎の居室を活用した保育ママ事業なども引き続き行っているところでございます。

 令和元年の答申以降、従来の食堂とか自動販売機とか、そういったものに加えまして、より政策に貢献するような取組ということで様々やってきているつもりではございますけれども、まだいろいろやれることは数多くあると思いますので、引き続き知恵を振り絞りながら工夫ある取組を行っていきたいと思います。

 以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関して、皆様の御意見、御質問がございましたらお願いします。

〔 山内臨時委員 〕 山内でございます。御説明、ありがとうございました。

 この有効活用については非常に重要なことであるというふうに考えておりますが、特に最初に副大臣が御挨拶の中でおっしゃったようなGXの問題ですね。この問題については、国有財産がその推進に寄与する余地というのは非常に大きいものというふうに考えています。御承知のように、第6次エネルギー基本計画があって、その中で再生可能エネルギーは38%ぐらいまで増やすというふうなことを言っているんですけれども、それが基になって今回のGXのカーボンニュートラルが出てきている。その中で問題は、これから再生可能エネルギーを増やすのにも、いわゆるサイトですね。どこにどういうふうにそれを立地させるかというのが限界に近づいているという説もあります。御承知のように、洋上風力等で大規模な発電をするというのはありますけれども、特に太陽光発電については適切な立地ができないといいますか、余地が限られているのではないかという説があります。そのときに、国有財産、例えば庁舎や宿舎ですと、5ページの参考のところにPPAモデルへの対応とあります。環境省がやろうとしているという話ですけれども、こういう形で既存の施設、財産に太陽光を導入することは十分にあり得る。それは、恐らく今の太陽光発電のビジネスモデルからすると、その庁舎の自家消費に対する貢献等で光熱費等にもプラスの影響が出るというふうに考えておりますし、サステナビリティとかレジリエンス、そういった面からもすばらしいものではないかと思っています。ですので、ぜひともこういった庁舎とか宿舎等についてそれを進めていただくのがいいのかなと思っています。

 2つだけ事例を申し上げたいんですけれども、今週20日に成田空港と東京ガスが共同会社を設立するという発表がありました。それは、成田空港の敷地に180メガワットまでの太陽光発電を導入して、それによって空港自体の脱炭素と、それによって得られる電源で地産地消型電源を推進するということだったんですね。成田の周辺には、実は成田市と周辺市町村がやっている地産型の電力会社があるんですけれども、それとコラボすると完全にうまくいくだろうと思っています。さらに言うと、それをもうちょっと拡大すると空港周辺で水素を生産するとか、こういうようなことだって可能になるわけです。180メガワットの総投資額は恐らく1,000億円ぐらいになると思うんですけれども、まさにこれはGXにかなうものだと思っています。

 もう1つ細かいことで言うと、PPAモデルですけれども、私はこの間、神奈川県の県営住宅の再建築、再生といいますか、それのお仕事をさせていただいたんですけれども、PFIでやりました。そのPFI事業者さんが提案されてきたのは、県営住宅の貼れるところには太陽光パネルを貼って、PPA事業者に売電するんですね。自家消費分もありますけれども、売電することによって収入が得られる。そうすると、もちろん脱炭素になりますし、一方で、その県営住宅の管理費の一部を賄えるんじゃないかというような御提案があったんですね。非常にいい提案で、実はその提案された事業者さんが選出されたのですけれども、神奈川県はそのPPAのシステムを取らなかったんです。なぜかというと、県営住宅に住まわれる方は電気の購入先、要するに一般電気事業者を選択する自由があるはずで、PPAで全体を一括契約してしまうとそれに反するというのが理由だったんですけれども、そういうことはあるかなと思います。公営住宅なんかはそういうのがありますけれども、宿舎などだと恐らくはそういうこともないわけです。だから、ここに書いてあるようないろいろな制約を取り払ってやるといろいろなことができるのではないかと思っています。そんな面もあって、ぜひともGX対応の国有財産の活用を進めていただきたいというふうに思っています。

〔 野城臨時委員 〕 野城でございます。今、山内先生がおっしゃったこととも絡みますが、御紹介いただきましたこういった有効活用を進めていただければと思います。国有財産全国に散在しているという点でございますが、その散在していることの価値というものが今日出した事例の中に埋まっているかなと思います。電気自動車というのはバッテリーで走っていますけれども、どこかに充電場所がないと走れなくなってしまうので、充電場所がどこにあるかということが普及の一つのボトルネックになってきます。国有財産は全国に散在しておりますので、これが大きく広がっていくことがあるとよろしいかと思います。

 特に今いろいろな事業者がいろいろな工夫をしていますけれども、自分の家で充電するのとよそ様の発電したところで充電するのをお互いにバーターしていくようなクレジット制みたいなことをやって、アグリゲーションしていくような事業者も出てきております。散在しているけれども、散在しているものをまとめていくことで価値を出していくといった発想で考えていただきますと、山内先生が今おっしゃったような可能性はどんどん広がっていくかと思いますので、ぜひさらにいろいろな用途を開拓していただけたらと思います。

〔 奥田委員 〕 御説明いただいた有効活用につきましては、地域に貢献するいろいろなことが行われていて、非常にいい印象を受けました。

 基本的には暫定利用というような印象が強いわけですけれども、先ほど来お話が出ておりますように、例えば太陽光の再生可能エネルギー発電設備ですとか、こういったもので利用していただく場合に使用許可期間があって、それを複数回更新できるよう改正されているということがあるわけですが、ある程度事業者としては投下資本の回収を図ることがどうしても必要になってくるケースがあるかと思います。この期間が今利用を促すに当たって何か壁になっているようなことがもしあるのであれば、より利用を推進していくような方向に考えるというのもあり得るのではないかと感じました。

〔 小林分科会長 〕 今の利用期間のことはどうですか。

〔 木村国有財産調整課長 〕 奥田先生から頂いた利用期間ですけれども、使用許可につきましては、建物場合、通常5年ですけれども、最長だと10年になりまして、1回に限り更新可となっております。太陽光につきましては、それだとなかなか計画が立たない一旦設置してしまうと、PPAにつきましても何年か使うことになりますので、それだと今の使用許可期間の規定と現実と合わないのではないかというところもございましたので、これは複数回更新可ということで長くできることにしております。

 ほかの事例につきましては、今のところ使用許可期間がネックになっているという話は聞いておりませんけれども、山内先生からございましたように、太陽光の話とかいろいろなGXの話が出てくると思います。その上で期間についてもし柔軟にしなければいけないことがあれば、そこはよく考えてまいりたいと思います。というのは、令和元年答申の中にも、期間については柔軟に見直すべきといったことが書かれておりますので、そこは行政の利用用途に反しないでということになるかもしれませんけれども、できるだけGX等々に対応できるように柔軟に、勉強しながら見直してまいりたいと思います。今のところは、使用期間がネックとなっている太陽光発電設備については見直しを行ったというところでございます。

〔 亀坂委員 〕 私も太陽光発電とかカーボンニュートラルへの取組に非常に関心がありまして、全体として国有財産の有効活用を非常に進めていただいているなという印象を持ったんですが、ほかの先生方が御指摘されたような借受期間の問題とか、あとは再生可能エネルギーというのはもう国の政策としてどんどん導入していかなければいけない状況にあるので、もっともっと太陽光発電も含めて導入しやすいように環境を整えていただけたらと思っておりました。日本は災害大国で、地震とかもどこでいつ発生するか分からないような状況で、災害対策を考えてもそういった取組をさらに推し進めていただけたらなと思いました。

 もう1つは、2ページ目で、5Gの基地局の設置場所を提供していただいているようですが、私、今月2月9日に内閣府の研究所と一橋大学の研究所で共催された政策フォーラムにスピーカーとして参加させていただいたんです。私は自宅に高速回線を導入していて、一橋大学の先生方の参加も全く問題なかったのですけれども、内閣府の研究所長の挨拶で電波が悪くて途切れてしまって、大丈夫かなと。日本の内閣府の合同庁舎、多分8号館から参加されたのだと思いますけれども、足元の府省庁の電波状況とかDXの状況ももっと高めていただいたらよろしいんじゃないかとちょっと思ってしまいましたので、ぜひ進めていただければと思います。

〔 小林分科会長 〕 よろしくお願いします。

〔 山内臨時委員 〕 それは私も非常に感じています。仕事の関係でいろんな庁舎に行くのですけれども、大学とかそういうところと比べても、民間企業だったらもちろんだと思うのですが、お役所の庁舎の通信環境は非常に悪い。役所によっては、こうやって画像が出せないので、画像を全部消して会議をするケースがよくありますね。これは財務省の担当部局が違うかも分からないですけれども、いろいろ予算をつけてあげて、さらに安全で効率的な会議ができるようにしていただきたいというふうに思いますね。

〔 小林分科会長 〕 ほかはいかがですか。オンラインのほうはございませんようなので、よろしゅうございますか。

 いろいろアドバイス御意見を頂きまして、ありがとうございます。全体的に見て非常にきめ細かくやっていただいているところもありますが、きめ細かいだけではやはり大局を把握して進むことはなかなか難し地方での有効活用は当然やっていただくべきことであると私は思いますが、それ以上に今必要なこととして、先ほど皆様からお話があったGX、あるいは災害対策等を含めてさらに有効活用を展開していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、続きまして、国家公務員宿舎の整備について、内容を事務局から説明をお願いします。

〔 木村国有財産調整課長 〕 資料4になります。国家公務員宿舎の整備についてでございます。

 1ページでございます。上の箱でございますけれども、国家公務員宿舎につきましては、平成2312月に策定されました国家公務員宿舎の削減計画におきまして、真に公務のために必要なものに限定されておりまして、約21.8万戸から約16.3万戸まで戸数を削減してきたところでございます。また、平成25年以降、合同宿舎の建設を抑制してきたところでございます。

 そこで、現状、(1)からありますけれども、地域ごとの宿舎需給のミスマッチが著しく、特に東京23区内の宿舎が大幅に不足している、独身者・単身者用宿舎が特に不足している、既存宿舎の老朽化も著しく進んでいる、緊急参集要員のための宿舎を確保する必要があるといった課題につきまして、令和元年6月の答申などにおきまして指摘を頂いているところでございます。これを踏まえまして、個々の宿舎の取扱いなどについては今検討を随時進めているところでございます。その中で早急に東京23区内の独身者・単身者を中心とする宿舎を確保する必要がございます。そこで今回予算要求を行いまして、現在、国会で審議中の令和5年度政府予算案に新たな宿舎の整備事案が含まれておりますので、今回御報告をさせていただきたいと思います。

 建設計画の概要のところでございますけれども、場所は東京都葛飾区小菅でございます。小菅には東京拘置所がございます。その東側に平成22年築の合同宿舎が既にございますけれども、今回はその反対側、現在、拘置所の刑務官用の低層で老朽化が著しい法務省宿舎がずらっと並んでございますこれらを取り壊して新しい法務省の宿舎と国家公務員合同宿舎をPFIの手法により整備する計画でございます。合同庁舎につきましては、独身者用222戸、単身者用100戸、世帯者用124戸を現在のところ計画しております。令和5年度につきましては、PFIアドバイザリー経費約900万円(2か年国庫債務負担行為)を計上させていただいております。整備費用につきましては、見合いとなる既存宿舎を廃止して処分収入を充てることで、実質的な新たな国民負担を伴わないものとすることにしております。

 この宿舎1つで答申等々で頂いている課題が解決するものではありませんので、引き続きいろいろな施策を進めていきたいと思います。

 以上でございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 それでは、本件に関する御意見がございましたらお願いします。

〔 野城臨時委員 〕 これはぜひ進めていただけたらと思いますが、今の事業計画の中で実際に独身の方々の住居がこの東京地区での家賃の値上がり等々を考えても非常に厳しいということで、整備されるのはよろしいかと思います。公務員宿舎は1回建てますと80年、100年というスケールで使用することが期待されます。将来は、セル状に分かれた独身用の小さな住戸が要らないということも出てまいります。できれば、PFIの条件を出すときには、将来のニーズに合わせて住戸当たりの規模変更が、例えば2戸あったものを1戸にまとめて使うとかいったことを含めたような規模変更についてはフレキシビリティがあるようなことを要求条件として出してやっていただけると長い間使っていただけるのではないかと思いますので、そこは要望として申し上げておきたいと思います。

〔 小林分科会長 〕 今の御意見に対していかがですか。

〔 木村国有財産調整課長 〕 今回PFIアドバイザリー経費を計上させていただきまして、今後附帯施設をどうするか、具体的な配棟計画をどうするか、そういった要件をアドバイザーなどとも詰めていくことになりますので、今頂いた御意見につきましても、どこまでできるかどうか私も勉強していかなくてはいけませんけれども、PFI事業者などと話し合う中で対応できるものかどうかをよく考えていきたいと思います。

〔 山内臨時委員 〕 何度も発言して申し訳ありません。実は私、この小菅住宅の東側のPFI事業携わったんですけれども、竣工したのが12年ぐらい前ですね。お手伝いさせていただきました。そのとき見せていただいたし、それからいろいろな提案とか拝見して評価させていただくことをやったのですけれども、そのときに当時は附帯事業をうまく使いながらPFI事業自体をコスト圧縮する、こういうような発想がかなりあったんです。たしかここは大きなスーパーかなんか誘致することを当初は考えたんですけれども、周辺との関係性で今はコンビニが造られていると思うんです。周辺との関係性は十分に注意していただきたいというのが1つ。

 もう1つはさっきの話で、これは最初から仕込むので、GXとかいろいろ仕込めると思うんですね。特にPFIを使うと楽になると思うので、そういうことも十分に考え出していただいて。特に私、エネルギーの電気料金もいろいろ関係していますけれども、これだけ電気料金が上がっている中で不確実性があるものですから、太陽光パネルを貼ってPPAと結ぶというのはそれに対するリスクヘッジでもあると思うので、そういうことも考えていただきたいというふうに思っています。

 3つ目は、東側の事業者がいるわけですね。今回この入札に当たって、当然ですけれども、その東側やっている事業者さんとそのほかの事業者さんの入札の条件とか、そういったものについてうまく考慮されて、あまり有利不利がないように公平にやっていただければと思います。

〔 小林分科会長 〕 ただいまの話に関してはいかがですか。

〔 木村国有財産調整課長 〕 PFIの附帯事業につきましては、宿舎というのは地元に受け入れてもらわないといけないところが大事でございますので、地元の方々が望むと申しますか、そこに溶け込むような施設ということが一つ考え方の軸になってくると思います。なおかつ、例えば防災上どういう地区であるか、川の近くかどうか、ハザードマップに入る地域であるかどうかなど様々な観点からも考えて、その地域に一番合うような附帯施設を建てられるように事業者地元の方々とも話し合いをしていくことになるのかなと思っています。

 また、野城先生の話にもつながりますけれども、恐らく10年前のマンションといいますか、アパートと申しますか、集合住宅に求められるスペックというのは大分変わってきているんだと思います。GXの観点からもそうでしょうし、働き方改革の観点でいえば、例えば今の民間マンションだとコワーキングスペースといったものもあったりしますので、今の時代にどういう附帯施設あるいは建物が必要かというところは、これまでのPFIの経験にとらわれずによく勉強しながら対応していきたいと思います。

〔 大久保臨時委員 〕 大久保です。今回の小菅の宿舎建設は、宿舎不足の中においては非常によいことかと思いますけれども、令和2年9月の時点で独身者用が2,500戸、それから単身者用が1,000戸、計3,500戸ほどまだ不足しているというふうに伺っております。そういうことから考えますと、まだまだ不足は多いわけですので、可能な限り早くに不足分を供給できるように具体的に動いていただけるとよろしいんではないかというふうに思っております。宿舎というのは国家公務員の方々にとっては暮らしの器というものになります。この暮らしの器が充実していませんと仕事の質に影響することもあろうかと思いますので、宿舎の適正な供給をぜひ早く実現していっていただければと思います。

〔 滝澤臨時委員 〕 御指名、ありがとうございます。今、大久保先生がおっしゃったことと重複するのですが、全体としてどのくらい需給のバランスが取れていなくて、恐らくそれは割と動的な形で変化していくのではないかというふうに思うので、それを引き続きウッチしながら需要と供給のバランスがどうなっていくのか気をつけて見ながら、どのくらい供給すべきか、検討していくべきかなと思いました。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 ただいまのお二方の御意見に対してお願いします。

〔 木村国有財産調整課長 〕 滝澤先生から頂きました精緻にミスマッチを把握するところにつきましては、これは令和元年の答申の中でも、きちんと把握した上で宿舎行政を行っていくという形で御提言を頂いておりますので、折に触れ、どういう需給状況にあるのかということはきちんと把握に努めてまいりたいと思います。その上でどこに何を整備するかということをよく考えていきたいというふうに思います。

 大久保先生から頂きました、今回の小菅の宿舎整備によって答申などで頂いた4つの課題が解決するものでは到底ございませんので、そこはリノベーションとか、そういったことも含めまして様々な施策を今後も引き続き進めてまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。

 ほかはよろしゅうございますか。様々な御意見を頂きまして、ありがとうございます。

 これは私も覚えていますけれども、令和元年の答申で随分議論いたしました。基本的に足りないほか、それ以前に、都心部の宿舎の売却が随分進んでいる状況ありましたそのため、一朝の際にどこから職員駆けつけるのかということで、一フラット見直そうということになり、答申を出させていただきました。そのときの需給のアンバランスは非常に大きなもので、先ほど先生がおっしゃったように、一つ二つの宿舎整備ではもちろんとても補い切れないものなので、広く見て、やれるものから素早くやっていただきたいと思います。

 それでは、ほかに御意見がございませんでしたら次の議事に移りたいと思います。次の議事の留保財産の取組状況及び利活用促進について、内容を事務局から説明をお願いします。

〔 梅野国有財産業務課長 〕 国有財産業務課長の梅野と申します。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、資料5-1に沿って、取組状況について御説明させていただきたいと思います。

 1ページ目をおめくりください。令和元年6月の国有財産分科会の答申におきまして、有用性が高く希少な国有地については、留保財産として国が所有権を留保し、地域・社会のニーズを踏まえ、定期借地権による活用を図るとされたところでございます。4つ目の丸でございます。これまで取組を順次進めてきて、直近の令和5年1月末現在で計60件を留保財産として決定をし、うち25件について利用方針を策定している状況でございます。右下の表につきましては財務局ごとの内訳でございます。

 それでは、2ページ目以降、これは25件の利用方針の内容を1件別に整理しているものでございます。

 2ページ目、3ページ目が公的施設の整備を目的として利用方針を策定した財産8件ございまして、中ほどの「施設用途等」というを見ていただきますと、内容といたしましては庁舎敷地、介護、市営住宅、武道館用地なっております。

 それでは、4ページ目、5ページ目でございます。こちらについては公的施設と民間施設の複合施設の整備を目的として利用方針を策定した財産で、4件ございます。ちなみに、No.2の目黒区駒場については後ほど11ページで説明をいたします。その他の案件については、地方公共団体や民間事業者の意見を踏まえて、社会福祉施設と賃貸住宅といった民間施設の整備を目的とした利用方針という形になっております。

 それでは、6ページ目、7ページ目でございます。こちらについては、民間施設のみを目的として利用方針を策定した財産で、3件ございます。No.2とNo.3については同じ広島市の事例でございますけれども、広島市の中心で、都市機能誘導区域に指定されているということでございますので、御覧のとおり、導入すべき施設について種々多様な施設の整備を目的に利用方針を策定されております。

 それでは、8ページ目から10ページ目については、その他という形で利用方針を策定した財産で、10件でございます。こちらの財産については、利用方針策定後も改めて公的な借受要望の受付を実施することになりまして、要望があれば公共随意契約に移行しますし、要望がなければ二段階一般競争入札に移行するということでございます。ちなみに、No.2の事例については、公的借受要望を受け付けて介護施設という要望があった事例でございますし、次の9ページ目のNo.6の岡山市の事例についても公的借受要望を受け付けて学校施設が手を挙げたという事例でございます。こういう要望がないものについては、二段階一般競争入札に移行する形になります。なお、空欄の部分については、今後、公的借受要望を受け付けるという扱いでございます。

 それでは、11ページ目を御覧ください。こちらについては契約に至った目黒区駒場住宅跡地の事例でございます。本事例については、本分科会においても経過を報告させていただいている事例でございますが、地図を見ていただきますと、青色の北側の敷地約7,000平方メートルについては、令和3年9月に入札公示を行い、令和4年6月に落札者である住友商事株式会社との間で契約を締結しているところでございます。また、地図の赤色の南側の敷地約3,000平方メートルについては、今後見積り合せ等の手続を経て令和5年度中に契約締結の予定になっております。ちなみに、特別養護老人ホームとして利用することが決まっています

 引き続きまして、資料5-2で利活用促進の内容につきまして御説明させていただきたいと思います。

 それでは、1ページ目をお願いします。現状でございますが、留保財産の利用方針については、公用・公共用優先の考え方の下、マーケットサウンディング調査等により地域のニーズを調査した上で、まずは随意契約の対象となる公的施設の整備、または公的施設と随意契約の対象でない、いわゆる民間施設との複合施設の整備を優先的には検討し、地域の利活用の意見が民間施設の整備のみであった場合や利活用の意見がなかった場合には、将来の公的なニーズへの対応のため、貸付期間が比較的短い事業用定期借地契約に限り貸付けを行うことができるという取扱いとなっております。この「限り」というところについて少し緩和しようということでございます。

 2ページ目は、令和元年6月の答申でございますが、一番最後の段落に下線を引かせていただいています。先ほど現行の取扱いを説明いたしましたが、それに係る記載でございます。

 次に、3ページ目をお願いします。課題でございますが、先ほど御紹介したとおり、全国で60件の留保財産を選定し、うち25件について利用方針を策定している状況でございます。その他の財産についても、地方公共団体との議論をはじめ、利用方針の策定に向けた検討を進めているところでございますが、地方公共団体から公的施設の整備・誘導に関する積極的な意見がないといったものがあります。また、マーケットサウンディング調査において民間事業者から、地域特性等から居住系用途での活用が望ましいといった意見、あるいは事業採算性の面から50年超の借地期間が必要といった意見が多数寄せられていることがございますので、こういった現行の取扱いというのが利活用の隘路になっている事例が散見される状況でございます。

 ちなみに、下の黄色の部分については、その利用用途に関する意見、右側については借地期間に関する意見を列挙しております

 次に、4ページ目をおめくりください。見直しの内容でございます。まず一番最初の丸でございます。利活用の意見が民間のみの場合、あるいは利活用の意見がなかった場合については、事業用定期借地契約に限り貸付けを可能とするという現行の取扱いについては、公用・公共用優先の原則あるいは将来世代の地域・社会ニーズ等に対応するといった趣旨を踏まえたものであり、こうした考え方は引き続き尊重されるべきであるということでございますが、一方、こうした取扱いを背景といたしまして、利活用が図られない状態が長期化することは地域活性化の阻害要因となり得るものであり、また、国の管理コスト低減の観点からも適切ではないということから、当該取扱いは維持しつつも、留保財産の利活用の促進策として、次の3つの要件を満たす場合には長期(50年以上)の一般定期借地契約による活用も可能とする取扱いに改めたいというふうに考えておるところでございます。

 要件でございますが、①の要件は、一般定期借地契約による貸付けを可能とした場合であっても、将来の行政需要や地域・社会のニーズに対応した活用に影響がないと見込まれることでございます。影響がないという要件でございますが、逆に言えば、将来の活用について一定の計画があって、その計画について地方公共団体と合意形成が図られている場合はこの要件に合致しないいうことになろうかと思います。次の②の要件でございます。一般定期借地契約による貸付けを可能とすることにより、留保財産の最適利用が実現できると見込まれることでございます。この最適利用という点については、様々な地域ニーズがありますので、様々という点で複合的な用途であったり、あるいは高度利用が図られることをイメージしております。③の要件については、一般定期借地契約による貸付けを可能とすることについて地方公共団体の同意を得ていることという要件でございます。そこはまちづくりを担う主体であるということでございまして、地方公共団体との合意形成が必要かと思いますし、1つ目、2つ目の要件についても地方公共団体の同意手続きを通じて確認することになろうかと思います。

 ちなみに、その下の注意書きについては、利用方針の策定に当たっては、可能な限り、地方公共団体のみならず、地域住民の意見を確認するとともに、立地適正化計画といった都市計画マスタープラン等と整合するよう努める取扱いとする。これは、現場でも地域住民に深掘りして意見を確認することも実施されていますが、今回の制度改正に合わせてこうした旨について通達に明示することによって、改めて各財務局に地域住民の意見を可能な限り確認することについても確認的に周知したいというふうに考えております。

 それでは、5ページ目をおめくりください。5ページ、6ページで2つ事例を紹介いたしますが、こうした一般定期借地契約による活用を可能とすることで利活用が進むのではなかという事例について御説明させていただきます。

 最初は仙台市の事例でございます。これはKKRの病院跡地でございますが、土地面積が2万8,000平方メートルと広いものであります。下の特記事項に記載のとおり地方公共団体からは公的施設の整備・誘導をはじめ、本財産の利活用に関する意見はないという財産でございますが、マーケットサウンディング調査において民間事業者より、有料老人ホーム等の老人福祉施設が周辺住宅の世帯年齢等を鑑みて必要性があり、求められている施設であるという意見もあったところでございます。こういった形で、広い面積でございますし、老人ホームといった住居系用途も希望に出ているということでございますので、この案件については利活用が進むのではなかと考えております。

 最後、6ページの事例でございます。新潟市中央区万代の事例でございます。こちらは新潟伊勢丹、バスセンタービルが所在する商業地域でございまして、右側の中ほどにある「その他」というところでございますが、都市再生緊急整備地域にも指定されています。特記事項については、周辺エリアとの一体的な街づくりの観点で、新潟市と共同してサウンディング調査を実施しているところでございますが、その際、民間事業者のほうから、東京に比べてテナント賃料が低廉で、利益幅が小さいため、長期で安定した事業計画のほうが見込みを立てやすいといった意見があったわけであります。本財産については、まさに新潟地域のトップクラスの商業地域に立地するということでございますので、やはり複合用途、高度利用が求められる財産だろうと考えているところでございます。

 説明は以上でございます。よろしくお願いします。

 小林分科会長  ありがとうございました。

 それでは、本件に関する御意見、御質問がございましたらお願いします。

 松尾臨時委員  ありがとうございます。公共用地を定期借地の仕組みを使って有効活用しそれによって地域や社会のニーズに応え、地域貢献につなげていくという非常に重要な制度が活用され始めているということ、大変興味深く伺いました。

 その中で、地方公共団体から積極的に活用したいという意見が必ずしも多く寄せられていない印象受けるのです、その理由がどこにあるのか少し気になるところです。せっかく利用可能性の高い財産があるので、地方公共団体とも協力して、地域づくりのために有効活用されるのが望ましいと思うわけですが、地方公共団体にそういった積極的な反応が見られない理由が人手不足といった問題なのかあるいは財政的な問題なのか。そのあたりについて少し補足的な情報を賜ることができればと思います。

 そのこととも関連するわけです、留保財産をどのように活用していくかということについては、情報共有と意思決定の仕組みについてさらに充実させていく余地があるかもしれないとも思うところです。国有地をどのように使うかということについて、意見の交換と集約の場を充実させていき、場合によっては、市町村レベルよりももうちょっとミクロなレベルで、その留保財産が存在する地域コミュニティも含めて、あるいはNGOとかも含めて意見集約の場をつくっていく余地もあるのではないかなという印象を受けました。

 これは国有財産のケースですけれども、例えば民間の財産について、所有者不明の土地をどのよ活用するかということについても、地域の協議会を設置して考えていくという動きが出てきているところです。そこで、国有財産民間財産両方含めて、場合によっては公有地と私有地連携させた活用も図りながらかつ長期的な視点をもって、地域全体として土地をのように使っていくのかということについて継続的な意見集約や意思決定の場を創出することを工夫する余地があるのではないかと思います

 この問題は、先ほど資料3に出てきた行政財産の使用許可制度を用いた地域貢献にも若干絡む面もあるという気がいたします。先ほど行政財産の使用許可については、その情報について空き地・空き家バンクへの登録等によって情報発信しているという話もございました。これは、使用許可制度で期間が短い場合ですけれども、国有地定借の問題とも共通点があって、地域貢献に本当に活用していくためには、市町村レベルよりももう少しミクロなレベルでの利害関係者の意見を吸い上げ、意思決定を行うそのために制度ごとのアドホックな協議会というより、その受け皿となる継続的な場というようなものが考えられないかと思うところです。それは非常に長期的な観点からの将来の話ですけれども、ひとまず、地方公共団体からの意見がやや消極的だということについて、もし情報等あれば伺えればと思います。

 小林分科会長  今の意見に関してお願いします。

〔 梅野国有財産業務課長 〕 お答え申し上げます。

 まず、こういった財産について利活用に係る意見があまりないのが気になる、そういう御意見がございました。土地ごとの最適解が何かということはあろうかと思いますが、まず留保財産については、一定の要件に合致したものについて選定をしているということなので、必ずしも公的施設のニーズが存在するかどうかで選定しているものではないということがまず大前提になろうかと思います。また、意見があまりない背景については、宿舎跡地が多いものですから、都市計画上の用途地域が住専系の用途地域に存在するものが多いといったところで、地公体からするとプラン描きづらいところもあろうかと思います。

 一方で、資料のほうで御説明しますと、資料5-1の8ページ目以降に、「その他(地域の意見なし)」という形で利用方針を策定した財産が10件あるという話がありました。これはカテゴリー的に「地域の意見なし」としているわけですが、これについて少し解説いたしますと、例えばサウンディング調査をしたときに、その中で社会福祉施設といった公的施設として使えるのではないかという意見があるケースも当然あるわけですが、そうした場合に、③のカテゴリーの民間施設のみに特定した利用方針にしないほうがいいのではないか、民間のみということで決め打ちをしない形で、あえてその他という形の利用方針を策定している実態あります。先ほど申し上げました、例えば8ページのNo.2の事例、9ページのNo.6の事例については、「その他(地域の意見なし)」という利用方針を策定しましたが、その後、公的な借受要望の受付を実施し、実際に介護施設等として手が挙がったというものです。よって、全く意見がないというよりは、なかなか決め打ちできない形でその他にしているという事情もあります。

 それから、意見集約、特にそういったミクロレベルの意見を吸い上げるのが大事だという御指摘、まさにごもっともでございまして、基本的には地方公共団体と協議会を設置して協議していすが、そういったミクロレベルの意見集約が大事だという問題意識から、先ほど資料5-2の4ページ目の一番最後の注意書きを解説しましたが、可能な限り地域住民の意見を確認する、そういった取組も重要ではないかと考えています実際、財務局においてミクロレベルでの地域住民説明会やっているところもございますが、そういった取組をきちんと各財務局に浸透させなければいけないと思います。まさに松尾先生の御認識もごもっともでございますので、御意見を受け止めて、各財務局のほうにもしっかり周知させていただきたいというふうに考えております。

 御意見、ありがとうございます。

 松尾臨時委員  ありがとうございました。大変よく分かりました。

 川嶋臨時委員  ありがとうございました。今、松尾先生がおっしゃったことが全く私も方向性としては同じ感想なんです。先生がおっしゃったのは正面から大きな話だったんですけれども、私は細かいところになってしまうかもしれませんが、幾つか御質問させてください。

 この取扱いを改めることは、いろいろな面に配慮した内容だと思うのですが、この3つの要件をつけたことで手続としては非常に煩雑になるのではないかという印象を受けました。自治体とか地域住民の意見を確認するとか、将来の計画に影響がないと見込まれるとか、かなり煩雑で、むしろこれが円滑な土地利用の妨げになってしまうぐらい難しい手続になってしまわないかという印象を受けました。

 私もまだ理解し切れていないのですけれども、そもそもの問題として、有用性が高く希少な国有地であるのであれば、地域活性化につながるような土地利用が本来望ましくて、もちろん社会的ニーズが高いとはいえ、高齢者施設だけでなく何か新しく産業を興すようなものにより近いものが望ましいのではないかと。その用途に利用できる可能性がないのであれば、高齢者施設とか高齢者用住宅はもちろん選択肢としてはあるのですけれども、有用な土地であるからこそ地域の活性化につながるところを追求していただくことはできないのかなというふうに思いました。

 それとも関連するんですけれども、この条件を緩和してもなおその用途が見つからない場合は、そもそもこの土地というのは有用性が高く希少な土地とは言えないんじゃないかと私は思ってしまったのですけれども、その場合は例えば売却という方向性に行くのか。どういった展開が考えられるのかということを教えていただけますか。

〔 梅野国有財産業務課長 〕 御質問、ありがとうございます。

 まず、要件を課したことによって煩雑になるのではないかという御指摘でございます。こちらについては、例えば①の要件については影響がないと見込まれることとしており、逆に言えば、将来活用について一定の計画がある場合は要件に合致しないということですので、要件に合致するかしないかというのは比較的判断しやすいのではないかというふうに考えています

 ②の要件についても、最適利用というやや抽象的なワーディングかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、複合的な用途とか高度利用をイメージしているという説明をいたしましたが、より地域活性化に即した形でうまく活用が図れればということなので、そこまでハードルを上げた要件と考えておりません

 ③の要件についても、留保財産については選定されたときから地方公共団体に足を運んで、地方公共団体の意見なりも聞きたいという形でリレーションをつくっておりますので、同意プロセスについても、そこまではハードルにならないと思っておりますが、そこは、今後こういう形で運用させていただきたいと思っておりますので、改めて財務局側の運用状況をまずは見極めたいというところでございます。

 それから、2番目、高齢者施設より産業を興す分野が望ましいのではないかというような御指摘がございました。そこについては、地域ニーズ、土地の最適解というのはそれぞれございますので、そういったものを誘導したいという地公体の意向がある場合もありましょうし、先ほど御議論があったミクロレベルの意見を吸い上げるところをきちんと機能させることによって、そういうことでも高齢者施設がいいではないかという意見も当然あるでしょうし、複合用途、例えば高齢者施設に加えて、子育て商業施設とか、そういったニーズも寄せられるかと思います。いずれにしても、一般定借という形で制度改正をすることによって複合的な用途にも対応できるようになると思いますので、そこはミクロレベルでの意見をきちと聞いたで、まさに地域ニーズに沿った形でやっていきたいというふうに思います。

 3番目の質問でございます。制度改正してなおも進まない場合どうするかという点については、一応こういう形で制度改正でてこ入れをし、まずはこういう一般定借でもできるんだという形で、改めて地方公共団体との協議であったり、サウンディング調査をやっていただくということになると考えています。その後どうするかというについては、改めてその運用状況を見て、また必要な見直しを図ったほうがいいということであれば図らないといけないというふうに考えております。

 以上でございます。ありがとうございました。

 野城臨時委員  私、この趣旨としては本当に賛成でございますけれども、こういった地域で有効な活用の仕方を生み出していくためには、やはり一方通行の会話ではなくて、何度も何度もキャッチボールしていくうちに地域として非常にいい解が出てくるように考えます。あと、地方自治体の規模、基礎自治体の規模によって特定の土地に対するイマジネーションとか能力とか随分違ってまいりますので、自治体は非常に重要なプレーヤーですけれども、もしかしたら、この土地利用について構想をつくったり、あるいは事業をしてくれる形でもっと貢献してくれる他のステークホルダーがいるかもしれませんので、少し幅を広げたコミュニティをつくりながら有効活用の構想を練っていく仕組みをつくっていかれるとよろしいんじゃないかと思います。

 私は建築学科ですけれども、「何か欲しいものがありますか?」と言ってもなかなか要求条件が出てこないのですが、実際に図面を描いてお渡しすると、とんでもないと言って、そこで初めて本音が出てくることを考えますと、例えば今日事例に挙がった新潟にも、あるいは仙台にも建築系の学校があるんですけれども、そこの若い人たちに、このまちをどうしたらいいかという構想をつくっていただく。それを実現するわけではないんですけれども、それを見た瞬間にきっと眠っていた、それは違うだろうという意味で、いいサジェスチョンが出てきます。そういうように、何が貢献できるかということについて幅広いステークホルダーからのいろいろな意見とかアイデアが出てくるような仕掛けを、さらに今日の御提案されている仕組みの上に乗せてされていかれるといいんじゃないかと思いました。

 奥田委員  昨今、建物の耐用年数延びていますし、一方で建築コストは非常に上がっています。先ほどのお話にも関係しますが、建物になるとやはり投下資本の回収というのは非常に重要ですので、この50年超の一般定期借地を入れるというのはぜひやっていただく必要があろうかと思います。基本的に期間が満了したら更地返還が原則ですので、耐用年数が残っているものを更地にするというのはサステナブルの観点からも望ましくはないと思いますので、よろしいかと思います。事業用定借の場合に30年~50年という事業定借もあるのですけれども、その選択肢も入れてあげてもいいのかなと思うですが、これはどうして入っていないのかというのが分からなかったところではあります。

 あと、入札に当たって事業者を選定されると思うですが、そのときに、先ほど来お話のあるGXといったものも要件として入れていらっしゃるのかもしれませんが、今後この側面がより重要になってくるのではないかと思いました。

 小林分科会長  今の30年~50年の件、どうですか。

〔 梅野国有財産業務課長 〕 お答えさせていただきます。

 国有財産法上、一般定借は50年以上ということですが、その他の場合は30年以内となっておりまして、法律上は30年超50年未満の期間においては貸付けが制限されているというのが実態であります。その当時、恐らくそういったニーズが明確に確認できなかったということで法的な手当てがなされていないということかと思います。一方で、あくまで制度改正するためには法制上の手当てが必要でありますが3050年の期間についてどうするかについては、足元のニーズという点について、サウンディング調査での意見を拝見する限りは、長ければ長いほどいいという意見が大宗でございまして、3050年の期間を要望している意見はそこまでないと考えておりますが、今後定期借地権の利用状況をみて、そういったニーズがやっぱりあるということであれば、制度改正のタイミングに合わせて適切に対応したいというふうに考えております。

 あと、野城委員から多様なステークホルダーを巻き込んだらいいのではないかとの貴重な御意見を頂きました。まさにごもっともな意見で、学生という話がありますが、各財務局では地域連携ということで様々な地域の主体と連携をし、地域活性化に資する取組をしているということでございますので、改めて貴重な御意見という形で、そこはいろいろ工夫させていただきたいというふうに考えております。

 小林分科会長  ありがとうございました。

 ほかはよろしゅうございますか。オンラインの方はいらっしゃいませんので、いろいろ御意見、ありがとうございました。

 私、分科会長を拝命してから6年、今日で最後になりますけれども、いろいろありましたが、基本的には国有財産をどうするかに関しては、管理から活用いう方角に変わってきていると思います。したがって、活用に関しては、やはり今のみならず今後のニーズを捉えてやっていく必要があるので、当然のことながら、先生方がおっしゃったような点、それから期間もある程度柔軟に検討してもらうことは必要かと思います。

 それでは、本件、留保財産の利活用促進について、今の御意見を取り入れて検討してもらうことも含めて、当分科会としては了承ということにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

〔「異議なし」の声あり〕

〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、当分科会として本件了承ということにいたしたいと思います。

 それでは、最後の議事であります。千代田区大手町二丁目所在の信託中財産の処分について、この内容の説明、よろしくお願いします。

〔 梅野国有財産業務課長 〕 引き続き梅野から説明させていただきたいと思います。資料6でございますが、これは大手町プレイスの売却結果の報告をさせていただくものでございます。

 それでは、1ページ目をおめくりください。財産概要でございますが、大手町プレイスイーストタワーの事務所部分等に係る信託受益権でございます。2番目の丸でございますが、これは201012月に国立印刷局から国庫納付を受けた財産でございまして、国が再開発事業に参画し取得した権利床につきまして、2015年6月の財政制度等審議会国有財産分科会の答申を頂きました。この答申を踏まえまして、みずほ信託銀行に信託しているものでございます。その後、リーシング状況や不動産市況の需要動向を踏まえまして、202112月の同分科会におきまして売却を進めるという旨を報告させていただきました。その後、信託受託者たるみずほ信託銀行で入札を実施していただきまして、昨年11月に売買契約の締結に至ったということでございます。

 それでは、2ページ目をおめくりください。本財産の売却結果でございまして、売却代金については4,364億円でございます。入札については昨年9月、契約については昨年11月でございます。契約相手方につきましてはさくら橋特定目的会社でございますが、これはトーセイ・アセット・アドバイザーズが組成したSPCでございます。なお、括弧書きには、各者、プレスリリースを基にSPCの出資者の情報を記載させていただいております。

 下のほうで不動産マーケット記事ということで記事を掲載させていただいておりますが、左の週刊ダイヤモンドのものについては、国は、最高の条件を持つ不動産を、安定的な賃料を得られるようにして価値を高めたタイミングで売りに出しており、争奪戦となって売却価格の見立ても膨らんだという記事でございます。右側の日経については、競争入札で価格が上がりやすいという記事でございます。より多くの収入が得られる適切な方法とタイミングで売却できたものというふうに我々は受け止めております。

 簡単でございますが、以上でございます。

 小林分科会長  ありがとうございました。

 これは防衛財源のことでしょうか

〔 梅野国有財産業務課長 〕 はい、そのとおりでございまして、防衛財源として4,164億円計上されているものでございます。

 小林分科会長  それでは、本件に関しての御意見がございましたらお願いします。よろしゅうございますか。

 それでは、本件は報告として了承したいと思います。

 以上で議事は終了いたします。

 最後に事務局から御連絡がございます。どうぞ。

〔 藤﨑国有財産企画課長 〕 国有財産企画課長の藤﨑でございます。事務的な御連絡をさせていただきます。

 本日の議事録、議事要旨、それから資料につきましては、会議後に財務省のホームページに掲載することといたしております。それから、従前どおり、記者レクにつきましては、本日この後、事務局のほうで対応させていただきたいというふうに考えております。

 なお、今期の開催は今回が最後となりまして、委員の皆様方におかれましては、この2年間いろいろと御指導、御鞭撻を賜りまして、ありがとうございました。

 最後に、先ほど会長御自身からもお話がありましたが、小林会長から御挨拶を頂きたいと思います。

 小林分科会長  皆さん、本日もお忙しいところを御出席、ありがとうございました。

 ただいま課長からもお話がありましたように、本日の分科会は、令和3年度と4年度の2年間の任期である皆様も含めて今期最後の会議となります。私は本日の分科会を最後としまして会長を退任いたします。この2年間に限らず私は6年間やりましたので、簡単に振り返ってみたいと思います。

 いろいろなことがありましたが、平成29年度(2017年)に就任しました。その際は、森友問題を契機として、国有財産行政に対する信頼が非常に厳しく問われていた時期であります。私も民間会社から入りましていろいろ戸惑った部分もございました。本分科会においても、森友の土地取引を通じて明らかになった課題を踏まえて、管理処分手続の明確化、価格の客観性の確保、行政文書の適切な管理による説明責任の確保等々の観点から議論を重ねました。委員の皆様からも様々な御意見を頂きながら、相手方の同意の下で公表していた契約金額というものを全て公表するように変更するなど、透明性の向上に努めて、信頼回復に向けた取組を開始したところであります。国民の信頼は不断の努力によって保たれていくものでありますが、引き続き財務省の職員の皆さんには、国民の疑念を招くことのないように、透明性、公正性、効率性などに留意しながら国有財産の管理に努力をしていただきたいと思います。

 また、近年、少子高齢化の進展、地域活性化などの地域・社会のニーズの多様化、そういう社会経済情勢の変化、あるいは未利用の国有地のストックが減少している。こういう状況の変化を踏まえて、国有財産行政の見直しを行いました。未利用国有地のストックが減少している中で限られた国有地を有効に活用するという観点から、委員の皆様に熱心に御議論いただきまして、令和元年6月には、それまでの国有財産の売却を中心とした考え方から、有用性が高く希少な国有地は留保財産とする等、今日ご議論いただいた内容について、その基になる提言を取りまとめました。この提言で国有財産の最適利用を図るということで施策を実施することとしておりまして、留保財産制度の創設に加えて、地域・社会のニーズへの対応と収益確保の双方の観点から積極的に行政財産を活用するということ、あるいは、宿舎需要の変化への対応について取りまとめたところであります。提言の内容につきましては、本日の事務局からの報告を踏まえましても、着実に具体化を進めていただいていると承知しております。

 特に今日の議論で印象に残りましたのは、留保財産の活用の件で駒場の土地利用でございます。現地をよく知っておりますが、非常に難しい土地です。道路が狭く、前に電車のガードがあ、後背地もまた狭急坂であるというところで、どうするのかなと私は思っておりましたが、今日の説明によると非常にうまくさばけているなという印象がしました。私は別に去るに当たってというわけではありませんが、前面の道路に面している側をいわゆる商用地、それから居住地として民間に貸して開発させる。後背地を介護施設、高齢者施設に充てたということで、非常にうまいさばきをされたと思います。

 それから、昨年末から、今お話しさせていただきました防衛財源をめぐる議論が与野党を問わず活発になっております。報道では、国有財産も防衛財源を議論するに当たり考慮すべき事項として認識されているようでありますが、国有財産の管理の在り方について再び注目が集まっている状況であります。先ほどから申し上げている提言では、国有財産行政が、さらなる国有財産をめぐる状況の変化あるいは時代の要請に応えるべく、不断の最適活用に向けた取組を行っていくことを強く望む旨、述べております。財務省の皆さんには、これからも国有地の最適利用に向けて一層の取組を期待したいと思います。

 今後も国有財産行政は、時代のニーズを踏まえ、適切に対応していかなければなりません。諮問に応え、答申を行う国有財産分科会の使命はますます重要になってくるということを申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。

皆様、長い間ありがとうございました。

 それでは、これをもちまして財政制度等審議会第56回国有財産分科会を終了いたします。
 本日は、御多用のところ御出席いただきまして誠にありがとうございました。



午後3時55閉会