このページの本文へ移動

財政制度等審議会国家公務員共済組合分科会(令和5年12月4日開催)議事録

第34回
財政制度等審議会国家公務員共済組合分科会議事録

令和5年12月4日(月)
於:財務省本庁舎4階第4会議室

議題
1. 分科会長の選任、分科会長代理の指名
2. 令和4年度の年金積立金運用に関する業務概況書について
3. 令和4年度の厚生年金積立金の管理運用状況に対する評価について
4. 年金積立金運用におけるESG投資等の対応状況について

午前12時55分開会
〔 山本給与共済課長 〕 定刻より少し早いですけれども、委員の皆様が既におそろいですので、始めさせていただければと思います。

 本日は、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから財政制度等審議会国家公務員共済組合分科会を開催いたします。給与共済課長の山本と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。また、皆様には、本年4月1日をもちまして委員に御就任いただき、誠にありがとうございます。本日、御就任いただいてから最初の分科会でございます。分科会長が選任されるまでの間、私が議事を進行させていただきます。まず、新たに委員になられた方もございますので、改めて、まず事務局を御紹介させていただきます。
 私が給与共済課長の山本です。よろしくお願いします。
 それから、続きまして、共済調査官の北原です。

〔 北原共済調査官 〕 北原でございます。よろしくお願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 課長補佐の藤田は今、席を外しています。
 共済計理官の土田です。

〔 土田共済計理官 〕 土田でございます。よろしくお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 予算実地監査官の塩原です。

〔 塩原予算実地監査官 〕 塩原です。よろしくお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 また、本日は、国家公務員共済組合連合会から、松村専務理事。

〔 松村専務理事 〕 松村でございます。よろしくお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 小西資金運用部長。

〔 小西資金運用部長 〕 よろしくお願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 小林運用リスク管理室長。

〔 小林運用リスク管理室長 〕 よろしくお願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 議事に移ります前に、資料1の1ページ目を御覧ください。
 今回新たに委員になられた方の御紹介をさせていただきます。
  小黒委員でございます。小黒委員、簡単に自己紹介お願いできますでしょうか。

〔 小黒臨時委員 〕 法政大学の小黒です。よろしくお願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 ありがとうございます。
 続きまして、吉田委員、簡単に自己紹介お願いできますでしょうか。

〔 吉田臨時委員 〕 衆議院共済組合衆議院管理部長の吉田と申します。よろしくお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 ありがとうございます。
 続きまして、松村委員、簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。

〔 松村専門委員 〕 第一生命の松村でございます。年金数理人をしております。よろしくお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 ありがとうございます。
 引き続き、委員の方々については、私のほうから御紹介をさせていただきます。
 京都先端科学大学教授、加藤委員。
 神奈川大学法学部教授、関委員。
 野村資本市場研究所野村サステナビリティ研究センター長、江夏委員。
 京都大学名誉教授、川北委員。
 中央大学法学部教授、工藤委員。
 慶應義塾大学経済学部教授、寺井委員。
 静岡大学学術院人文社会科学領域教授、鳥畑委員。
 TIM Consulting取締役、原委員。
 日本郵政共済組合、牧委員。
 全農林労働組合中央執行委員長、武藤委員。
 なお、本日欠席になりますが、防衛省共済組合の三貝委員も新たに委員になられており、東京大学名誉教授の井堀委員、日本郵政グループ労働組合中央執行委員長の石川委員は引き続きとなります。御承知いただけたらと思います。
 それから、御紹介遅れましたけれども、給与共済課担当の吉野次長になります。

〔 吉野主計局次長 〕 よろしくお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 もしよろしければ、御挨拶をお願いします。

〔 吉野主計局次長 〕 御紹介にあずかりました、次長をしております吉野でございます。先生方には、日頃から国家公務員共済組合の運営等に御指導いただいておりまして、改めて御礼申し上げます。
 私、前職は、この役所の秘書課長、要するに人事課長をしておりまして、民間でいう人事部長みたいなものですけど、職業柄、KKRももちろん関与がありましたし、給与課ないしは国家公務員制度全体の話を人事院なり内閣人事局とすることが非常に多かったものですから、国家公務員の人生全般に関わることが非常に多かったので、ある意味屋台骨であります国家公務員共済組合でありますので、運営も含めまして、しっかり持続可能なものでないと公務員も安心して働くことができませんので、そういう意味でも、改めて給与共済課担当の次長として関与することになりまして、先生方にいろいろお願いすることがあるかと思います。本日は予算編成中で、ちょっと中座させていただきますけれども、日頃の御指導に加えまして、今日はより充実した御審議をいただいて、今後のKKRの運営に反映させていければと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

〔 山本給与共済課長 〕 それでは、議事に移りたいと思います。
 まず1つ目の議題である、分科会長の選任、分科会長代理の指名でございます。
 資料1の3ページ目を御覧ください。3ページの下のほうの行でございますけれども、財政制度等審議会令第6条第4項により、分科会に分科会長を置き、当該分科会に属する委員の互選により選任することとされております。委員の皆様の互選で分科会長を選任していただきたいと思いますが、分科会長の選任につきまして御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。

〔 工藤臨時委員 〕 これまでの資産運用等、当該部会に関係する高い御見識と御経験から、加藤委員が適任だと思いますので、推薦させていただきたいと存じます。

〔 山本給与共済課長 〕 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

〔 原臨時委員 〕 私も同じ意見となりますけれども、平成27年より委員として御尽力いただいております加藤委員を推薦させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 ありがとうございます。ただいま加藤委員を推薦する御意見をお二人からいただきました。皆様、いかがでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

〔 山本給与共済課長 〕 加藤委員、よろしいでしょうか。
 それでは、御異議がないようですので、加藤委員に分科会長に御就任いただきたいと思います。
 それでは、加藤委員には、こちらの分科会長の席にお移りいただきまして、以後の進行をお願いしたいと思います。

 (加藤委員、分科会長席へ移動)

〔 山本給与共済課長 〕 それでは、加藤分科会長から一言御挨拶をいただきまして、これより後の議事進行をお願いいたします。よろしくお願いします。

〔 加藤分科会長 〕 加藤でございます。よろしくお願いいたします。微力でございますけども、分科会の運営に尽力したいと思います。よろしくお願いいたします。
 最初に、分科会長代理を指名することになっております。本日欠席となっておりますが、引き続き、井堀委員に御就任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。
 続きまして、分科会の運営方針でございますが、財政制度等審議会の議事規則及び運営方針は、お手元の資料1の5ページから7ページのとおりに定められております。この分科会におきましても、従来どおり、この議事規則及び運営方針に沿って運営していくことといたしまして、原則、議事録、会議資料をインターネットで公開することとします。
 この点につきましても特に御異議等ございませんでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

〔 加藤分科会長 〕 
ありがとうございます。それでは、御異議なしということですので、そのように進めさせていただきます。
 続きまして、2つ目の議題に移りたいと思います。令和4年度の年金積立運用に関する業務概況書についてです。まずは事務局から御提案です。


〔 山本給与共済課長 〕
 ありがとうございます。説明に先立ちまして、本日の資料2、3及び参考資料5については、現時点で未公開のデータが使用されていることから、議論の内容で市場に影響を及ぼす等のおそれがあるものでございますので、議事録と併せ、評価結果の公表日までは非公開とさせていただくことを提案させていただきたいと思います。また、配付させていただいた資料2、3及び参考資料5につきましては、12月下旬を予定しております公表日まで取扱いに注意していただきたいと思います。
 以上です。

〔 加藤分科会長 〕 
事務局より、資料の一部と議事録につきまして、評価結果の公表日までは非公開とする提案がございました。この点につきまして御異議等ございませんでしょうか。

 (「異議なし」の声あり)

〔 加藤分科会長 〕
 それでは、御異議なしということですので、そのように進めさせていただきます。
 それでは、令和4年度の年金積立金運用に関する業務概況書につきまして、KKRより説明をお願いいたします。


〔 小西資金運用部長 〕
 それでは、KKRより説明させていただきます。国家公務員共済組合連合会の小西と申します。今年6月より資金運用部長を務めております。
 まず初めに、おわびをさせていただきます。今年7月に公表した令和4年度の業務概況書を先週11月28日に訂正し、公表しております。皆様のお手元にあります参考資料2、業務概況書(厚生年金保険給付積立金)は既に訂正後のものとなっております。訂正した箇所は27ページ目、外国株式の議決権行使状況になります。
 外資系運用会社1社より、約6,000件の議決権行使の集計が漏れていたとの報告を受け、訂正したものでございます。昨年度も、やはり外資系の運用会社1社が時価評価を誤っていたということで訂正をしております。2年続けての業務概況書の訂正報告となりましたことを重ねておわびいたします。
 それでは、令和4年度の報告をさせていただきます。
 令和4年度を振り返りますと、まず株式市場を期初と期末で比較しますと、日経平均は0.79%の小幅増加、ニューヨークダウは4.05%下落しました。金利の動きはと申しますと、米国では令和4年3月の利上げを皮切りに、10回に及ぶFRBによる政策金利の利上げがあり、米金利は1.13ポイント上昇したのに対し、日本の金利は0.13ポイントの上昇にとどまりました。このように日米の金利差が拡大した結果、11.7円、9.65%ほど円安が進みました。そういう1年だったということを、振り返って思い出していただければと思います。
 それでは、資料2の表紙と、もう1ページおめくりいただき、3ページを御覧ください。
 上のグラフ及び左下の表は、政策ベンチマークの動きになります。ベンチマークとは、我々運用者が運用成果をはかるために目安とする指標です。上のグラフのカラーの4本の線が、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の推移を円建てで表したグラフになります。対してグレーの2本の点線、こちらは外国債券と外国株式の現地通貨建ての推移です。グレーの線が、青の外国債券、緑の外国株式の下に位置しています。現地通貨建てでは、総じて外国債券、外国株式は軟調に推移しましたが、円安の効果で、円建てでは外国株式が通期で1.88%のプラス、外国債券は0.5%のマイナスにとどまりました。左下の表の一番右の列に目を転じていただきますと、4資産を合計した複合ベンチマークは1.58%のプラスになっております。
 それでは、4ページを御覧ください。
 まず最初に、右端から2列目、令和4年度末の時価の列を御覧ください。一番下の合計欄に8兆3,637億円とありますのが令和4年度の運用資産額になります。すぐ下の括弧内の数字は、仮に財投預託金を時価評価した場合の数字になります。
 我々は、この時価が4資産から均等に構成されるべく運用をしております。5ページ目の表の構成割合という欄あるいは円グラフを見ていただきますと、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の割合がほぼ25%近傍であることが御確認いただけるかと思います。御存じのとおり、我々は基本ポートフォリオというのを定めておりまして、基本ポートフォリオでは、これら4資産を25%ずつ保有することとしております。とはいえ、日々変動する市場を相手に、ここまで基本ポートフォリオどおりに運用するということは珍しいわけでございまして、これは自然になったわけではありませんで、令和5年3月に各資産が25%に近づくようにリバランスを実施したためであります。
 6ページ目、7ページ目でございます。6ページ目は収益額、7ページ目は収益率の表になります。実現収益額は、配当や利息に加え、リバランス等による保有資産の売却による損益の合計になります。また、総合収益額は、実現収益額に評価損益の増減を加えたものと御理解ください。
 令和4年度の実績を簿価で見た場合、6ページ目、上の表の右端に記載されているとおり、実現収益額は3,583億円になりました。ページが行ったり来たりして申し訳ありませんが、実現収益率は7ページ目の上の表の右端記載の5.42%になります。時価で評価した総合収益額は、戻っていただいて6ページ目、下の表に記載のとおり1,682億円、修正総合収益率は、7ページ記載の下の表のとおり、2.05%となりました。
 8ページ目は、令和元年度財政検証の結果求められる長期的な運用目標の達成度合いを示しております。上の表の3行目にあります実質的な運用利回りが長期的に1.7%を超えることが求められておりますが、5年、10年、15年の平均値を見ていただくと、目標値を上回っていることが御確認いただけるかと思います。
 下の表に目を転じていただきますと、右端の令和4年度単年度が1.7%を下回っておりますが、令和2年度の大きな貯金もありますので、すぐに1.7%を下回る状況にはないと考えております。
 9ページを御覧ください。8ページまでは年金運用として御心配がないということを確認いただきましたが、9ページは、我々が運用者としてどの程度頑張ったのかを示すためのベンチマークとの比較を行っております。令和4年度通期の複合ベンチマークに対する我々の成績は、表の真ん中、超過収益率の欄にありますとおり、0.48%のプラス、すなわち僅かにベンチマークに勝ちましたということであります。各資産の超過収益率を御覧いただくと、債券で勝ち、株で負けたということがお分かりいただけるかと思います。表の右半分、超過収益率の要因分解で国内外株式の個別資産要因がマイナスになる一方、国内外の債券がプラスになっております。これは株式のアクティブ運用での負けを主として国内債券がカバーしたということであります。
 10ページ目でございますが、市場運用においては、単年度では運用実績にばらつきがあるのはやむを得ないところであります。10ページ目のこちらのグラフを御覧いただきますと、長期的には、多少の上下の変動を伴いながらも順調に資産を伸ばしてきたと、その様子がお分かりいただけるかと思います。
 以上が厚生年金でございます。
 12ページ、ここからは退職等年金、すなわち新3階になります。運用資産は、短期資産を除けば、国内債券100%です。基本ポートフォリオも債券100%になっております。御承知のとおり、国内債券の中には財投預託金と、令和3年度まで共済独自資産と言っておりました寄託資産も含みます。こちらは厚生年金と異なり、時価評価を行っておらず、令和4年度末の運用資産額は8,272億円になります。
 13ページ、14ページは運用実績になります。令和4年度の実現利回りは0.96%、我々が超えるべき0.2%の予定利率、あるいは0.01%の基準利率を上回っておりますので、運用としては特段の懸念はありません。令和5年度以降、寄託資産が順次買い取られていく予定ですので、今後は債券での運用比率が高まっていくものと考えております。
 16ページ、17ページ、最後の2ページが旧3階、経過的長期給付積立金になります。16ページ一番下の(3)記載のとおり、令和4年12月に残高がゼロとなり、現在、地方公務員共済組合連合会から拠出金を受け入れております。今後は地方公務員共済組合連合会から資金を受け入れて、年金の支給を行ってまいります。令和4年度末残高の8億円は年金支給後の残差であり、年金支給を確実に行うためのキャッシュマネジメントの結果です。なお、8億円は全額普通預金での運用になります。
 17ページの下、(2)に記載のとおり、旧3階は令和4年度中に残高がゼロになると見込まれておりましたので、運用利回りによる評価は行っておりません。
 それでは、「資産運用に係るリスク管理について」に関する説明は、運用リスク管理室長の小林に交代させていただきます。


〔 小林運用リスク管理室長 〕
 それでは、私から、19ページ、20ページ、運用リスク管理の状況を御説明申し上げます。
 まず、19ページでございます。資産運用事業全体のガバナンスとリスク管理の体制でございます。図の上のほうに運営審議会、それから財務大臣とございます。運営審議会は国家公務員共済組合法で設置が定められておりまして、委員は労使同数で構成されており、毎年度の事業計画、決算その他重要事項について、運営審議会の議を経た上で財務大臣の認可承認を受け、事業を行っていくこととされております。資産運用事業におきましては、3つの積立金の管理運用方針等の重要事項について審議をしております。
 また、図の右側にございます資産運用委員会でございますけれども、資産運用に関する有識者で構成されておりまして、現在は8名の委員の方に、専門的な知見による意見、助言をいただきまして運営を行っているところでございます。運用の専門分野につきましては、この資産運用委員会でチェックを受けております。
 連合会内部、表の真ん中になりますけれども、運用リスク管理委員会を四半期ごとに、その下の運用リスク検討会議を毎月開催し、継続的に運用リスクに関するモニタリングを実施しているところでございます。
 次に、20ページでございます。モニタリングの具体的な内容をお示ししてございます。表の左側にリスク管理の項目を運用リスク管理要領として定めまして、月次でモニタリングを行っております。表の真ん中から右は各積立金の状況を、ここでは分かりやすく、丸三角、バツという形で表示させていただいておりますが、実際には詳細な数値分析を行った結果、令和4年度は問題ないということで、全て丸という結果になっております。
 資料には表記がないですが、主な事項について簡単に御説明させていただきます。
 まず厚生年金についてですが、表の一番上の基本ポートフォリオの妥当性の検証ということで、リターン、リスク、相関係数の状況を検証しております。これは現行の基本ポートフォリオの運用開始後の各資産のベンチマークを、基本ポートフォリオ策定時の前提と比較して行っております。
 まずリターンですが、国内債券は、日銀の金利政策の影響により金利上昇となり、年度末においては期待リターンを下回ることとなりました。外国債券は、各国の金利上昇の影響があったものの、円安により期待リターンを上回ることとなりました。内外の株式はいずれも期待リターンを大きく上回り、その結果、ポート全体としては期待リターンを上回る状況となりました。
 次に、リスクでございます。こちらは、各資産の標準偏差は策定前提を下回る状況で、相関係数につきましても許容範囲内で推移していることであり、問題ないということを確認しております。
 次に、管理視点の2行目でございます。基本ポートフォリオからの乖離の管理でございます。こちらはいずれの資産も、年度を通じてほぼ中央値の25%周辺で推移している状況でございます。その他の項目につきましても、全て適切ないし許容範囲内であることを確認しているところでございます。
 右2つブロックの新旧3階の運用につきましては、適切に運用を実施しており、問題がないということで確認しております。
 令和4年度の運用及びリスク管理の状況につきましては以上となります。よろしくお願いいたします。


〔 加藤分科会長 〕 
ありがとうございました。
 続きまして、事務局より、3つ目の議題である令和4年度の厚生年金積立金の管理運用状況に対する評価について説明をお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕
 資料の3を御覧いただけますでしょうか。資料3は、ただいまKKRからあった運用状況に対しての評価です。具体的には、表題にありますように、厚生年金保険法第79条の8第2項、ここで各大臣が積立金の管理運用状況について評価をすべしと定められておりまして、当てはめれば、財務大臣が国家公務員共済組合連合会の運用状況について評価をすると、その評価結果の案がこちらになります。概要を御説明させていただきます。
 表紙をめくっていただきまして1ページ目ですけれども、今し方KKRから御説明がありましたように、収益率としては2.05%、収益額は1,682億円となっております。また、管理積立金の運用資産額は、一番下にありますように、簿価で7兆円、時価8兆4,000億円程度、評価損益1.4兆円となっております。
 ページをめくっていただきまして、こちらに対する評価について申し上げさせていただきます。被用者年金制度の一元化後の過去5年間の管理積立金の収益率は5.67%、賃金上昇率の平均は0.66%であることから、KKRの実質的な運用利回りは4.98%となっております。KKRの長期的な運用目標は1.7%でありますので、長期的な運用目標を上回っており、年金財政上の必要な運用利回りを確保していると言えるものと思います。この数字については、過去10年、15年の長期について見ましても、1.7%を上回る数字となっているものと思料いたします。
 ページめくっていただきまして、3ページになります。KKRの基本ポートフォリオの策定及び遵守状況についてですが、(1)におきまして、積立金基本指針に適合し、またモデルポートフォリオに即した基本ポートフォリオを策定しておりまして、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式それぞれ25%ということですけれども、そこからの乖離値が下の表の2段目、0.4%、マイナス0.1、マイナス0.3、マイナス・ゼロ%となっております。この数値は、表の一番下にありますプラス・マイナス15、プラス・マイナス10、プラス・マイナス15、プラス・マイナス10といった許容幅の範囲内にしっかり収まっているものとなっております。
 (2)ですけれども、運用リスク管理については、KKRが定めております運用ガイドラインや資産ガイドラインに適切に沿ったものとなっております。
 ページをめくっていただきまして、ベンチマーク収益率ですが、諸々要因はこちらの説明で書いているとおりです。単年度では市場動向等によりましてベンチマークの収益率に対してばらつきが生じておりますけれども、全体としてはベンチマーク収益率の確保に努めているものと評価できると考えております。
 運用手法、(4)ですけれども、積立金基本指針等の範囲内の運用手法により運用しております。
 (5)その他ですが、コンプライアンスの推進、運用リスク管理の強化に取り組んでいるというふうに評価できると考えております。
 これらを踏まえまして、最後の5ページになりますけれども、今後、以下のような課題が考えられると思っております。
 1つ目、引き続き中長期的な観点でベンチマーク収益率の確保に努めること。2つ目、KKRの今後の運用手法の高度化・多様化に資する調査研究について引き続き検討し、充実に努めること。3つ目、財政制度等審議会国家公務員共済組合分科会の議論を踏まえたESG投資の利活用――これはまた後ほど御説明しますけれども――について引き続き検討し、必要な取組を行うこと。その取組の中で、責任投資原則(PRI)について、署名に向けた作業を速やかに進めること、こういった課題があると考えております。
 私からは以上です。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。ただいまの資料2及び資料3の説明について御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 寺井委員、どうぞ。

〔 寺井臨時委員 〕
 ありがとうございます。質問でございます。
 資産全体でプラスの超過収益になったということで、これは非常によいことだなというふうに受け止めております。その理由の一つとして財投預託金が個別資産要因で大きくプラスに寄与したということで、詳しく制度のことは分からないですが、財投金利が影響しているのかな、ちょっとそこがよく分からないですけれど、昨年度の資料も見てみましたら、やはり昨年度もこの財投預託金がプラスに寄与したという文言がございまして、これは中長期的にベンチマークを超える収益ということで、中長期的な傾向なのか、それとも何か短期的な要因があったのかについてお伺いしたいと思います。
 以上です。


〔 加藤分科会長 〕
 それでは、ほかに御質問ございますか。
 どうぞ、鳥畑委員。

〔 鳥畑臨時委員 〕
 静岡大学の鳥畑ですが、先ほど小林管理室長さんのほうからガバナンスの点で説明がありました運営審議会について教えていただければと思います。評価のところの7ページには、先ほどの説明と同じですけども、重要事項については同数の労使代表から成る運営審議会の議を経ることが国家公務員共済組合法において規定されており、組織としての意思決定に際して、労使を含めた合議による議論を行っているというふうにあるわけです。ただ、この評価の結果のほうを見ますと、項目としてはありますけども、いつ、どういう形で審議が行われたのか、どういう方が委員なのか、そういう詳細が書かれていない。それから、KKRのホームページを見ましても、運用資産、資産運用の委員会のほうは表示がありますけども、この運営審議会については掲示がない、サイト内の検索をしてもそれに該当する部分が見えないと。
 それから、国共済法では組合が委員を指名するというふうに書かれていて、ところが定款のほうだと理事長が指名するという形になっていて、具体的にどういった方がどういう手続で、要するにそれなりの知識を持った方が委員に指名されて実質的な審議が行われる場が存在しているのかどうかについて確認させていただきたいと思います。


〔 加藤分科会長 〕 
ありがとうございます。ほかに御質問ありますか。
 小黒委員。

〔 小黒臨時委員 〕
 ありがとうございます。非常に積立金の収益率が高くなっているということで、それは大変すばらしいことだと思います。
 2019年の財政検証のとき、私はその経済前提の委員をさせていただいていたのですが、その関係で、今回の会議の議題とは直接は関係ない話ですけども、資産である積立金との見合いで、年金の純債務がどう変わっているのかについても確認した方がいいと思います。この関係で、もし可能であれば、共済関係の全体のバランスシートをお示しいただくことはできますでしょうか。2019年の財政検証では、高成長ケースで3つ、低成長ケースで3つと、全部で6ケースありましたけども、全部は難しいと思いますから、そのうちの例えばケースⅢぐらいで全体のバランスシートがどう変わったのかということを、もし可能であれば見せていただけると、全体の評価ができると思います。

〔 加藤分科会長 〕
 では、この辺でお答えいただきたいと思います。最初に寺井委員の御質問にありました財投の超過リターン、この理由につきまして、KKRさんから。

〔 小西資金運用部長 〕
 それでは、財投預託金がプラスにどう寄与したのかという御質問でございますが、もう極めて単純でございまして、財投預託金は簿価評価をしていますということでございます。資料上括弧内の数字は時価に洗い替えしておりますが収益率にしても、基本的には簿価ベースで算出しております。金利の上昇局面では債券価格が下がるわけですけども、こちらの価格はそのままということですので、そういう意味で財投預託が貢献したといいますか、寄与したということでございます。

〔 加藤分科会長 〕
 よろしいですか。

〔 寺井臨時委員 〕 
ありがとうございます。そうすると、今のお答えですと時価、簿価の扱いのせい、扱いが寄与しているということですが、そのことは評価にある、結果に財投預託金が貢献したという書き方とは、矛盾はないという解釈でよろしいでしょうか。

〔 小西資金運用部長 〕
 よろしいでしょうか。

〔 加藤分科会長 〕
 はい。

〔 小西資金運用部長 〕
 表現が適切かどうかということかと思いますけども、厳密に言えば時価評価したもので考えるべきとは思いますが、実際この財投預託金が時価で売買できるかというと、そういうものでもございませんし、解約をするにしてもペナルティーのようなものがかかってきますから、そういう意味では時価で財務省さんに買い取ってもらえるものでもございません。相当金利が下がる、ないしは簿価に近い形でという形になる、あるいは過去の金利分は差し引かれるとか、いろいろそういうルールがあったりしまして、事実上流動性はないものですから、私どもとしては、流動性がないので簿価で扱っている、したがって、寄与したという表現でもおかしくはないのかなと。結局、苦しいところではありますが、低流動ということで御理解いただければと思います。

〔 寺井臨時委員 〕
 ありがとうございます。お答え、理解できました。ちょっと引っかかる部分はあるけれども、そのとおりというふうに思っております。ありがとうございました。

〔 加藤分科会長 〕 
参考として、例えば国債のリターンを代わりに使ってみるなど参考値を出すことも可能かもしれないですね。

〔 小西資金運用部長 〕
 括弧内の数字が、まさに近い年限の国債だったと仮定した数字でございます。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございます。
 それでは、次の鳥畑委員の御質問、運営審議会につきまして、お願いします。

〔 小林運用リスク管理室長 〕 
どうも御質問ありがとうございます。運営審議会で一番大きいものは事業計画と決算となっております。私どもの運営は資金運用だけではなく、病院、宿泊等で、実はこの資金運用というのは、財務諸表でいうと、年金財政も含めたその中の厚生年金保険給付、退職等年金、経過的の財務諸表を説明するものが主な審議となっております。事業計画、決算におきましては、運営審議会は全ての共済事業の内容を御説明させていただいているという状況でございます。その中で我々、資金運用に関することも、今日御説明させていただいたような内容を御説明させていただいているという状況でございます。
 委員は各20共済組合ございますので、その中から代表を輪番で選んで、任期が確か2年だったと思うのですが、順番で入っていただく形になります。労働組合の代表の方にも同じように入っていただいて、それが労使という形で話合いをしております。運用に特化した話だけで運営審議会が回っているという状況ではないですが、御説明させていただいて、御質問があればお答えもして、そこで議を経るというステップを踏んだ上で、これを財務省に提出させていただいて認可を得るという形を取らせていただいていますので、委員の方々に、資産運用委員会の委員の方のように運用の専門者がいるかというと、個人の差はあるかもしれませんが、そこら辺まで踏み込んで議論するというのは、なかなか資産運用委員会のような形では取れないということですので、御説明させていただきましたが、資産運用委員会で専門的な御判断等をお願いしているという形で、資産運用委員会で出た結果を運営審議会にもかけている状況というふうに御理解いただければと思っております。

〔 鳥畑臨時委員 〕
 では、もうちょっと確認ですが、国共済法上9条で、3項、委員は、組合の代表者がその組合の組合員のうちから命ずるとある。さらに国共法の定款のところでは、理事長が組合員のうちから任命すると。そうすると、これは組合が推薦したものを理事長が正式に任命をするという形で理解してよろしいのか。

〔 小林運用リスク管理室長 〕 
そうですね。私どもは理事長から辞令をもって、各組合の方へ辞令を交付しているという形を取らせてとらせていただいているというふうに御理解いただければと思います。

〔 鳥畑臨時委員 〕
 すみません。これは議事録を作ることも定められているわけですが、例えばその議事録等の公開というのはされないのか。これは後でまた質問しようと思っていたのですが、例えばESGの取組なんかについて、こういう運営委員会のところで議題になって議論された経緯があるのかどうかというのを確認しようと思ったときに見えないものですから。

〔 小林運用リスク管理室長 〕
 過去の経緯でいって、今まで運審の中で委員の方から何かESGについてというのはなかったというふうに記憶しております。

〔 加藤分科会長 〕
 よろしいですか。はい、小黒先生のご質問について。

〔 土田共済計理官 〕
 すみません、小黒委員からのバランスシートの件でございますけれども、御指摘のバランスシートというのは、財政検証の際に、厚生年金全体であるとか国民年金について、給付の現価と保険料収入の現価、積立金をお示しするような形でのバランスシートという理解でよろしいでしょうか。
 各共済毎の財政見通しが示されておりますので、それから現価を計算をしたものをお示しすることは可能かなと思います。ただ一方で、厚生年金全体として財政調整が行われていまして、国共済の支出や収入には、厚生年金勘定からの厚生年金交付金や厚生年金勘定への厚生年金拠出金といった、公的年金全体の中でのやり取りが含まれておりますので、支出と収入がそれぞれ二重計上されているかのような、分かりにくい部分もあるかなと思いますので、少し検討させていただければと思います。

〔 小黒臨時委員 〕
 すみません、以前は共済のほうも、たしか財政検証で出していた部分もあったと思うのですけれども、厚生年金と共済が一元化になってからバランスシートが出なくなった部分があるので、特に積立金の部分は別に管理しているというふうに認識しています。なので、将来の給付との関係でどういう姿になっているかということについて、絶対というわけではないですけど、もし可能であれば確認のため、御検討いただけますと幸甚です。

〔 土田共済計理官 〕
 誤解を生じないものとしないといけないと認識しておりますので、その点については引き続き御指導いただきたいと思います。

〔 加藤分科会長 〕
 よろしいですか。ほかにございますか。
 では、松村委員。

〔 松村専門委員 〕
 御説明ありがとうございました。私からは退職等年金給付の部分について発言させていただきます。
 先ほど資料2の13ページ、14ページのところで、運用利回りが0.96%であったということで御説明いただきました。基準利率の実績が0.01%ということでしたので、制度の特性上、その差がおおむねダイレクトに財政上の剰余要因になるかということでお聞きしておりました。この3階部分は不足が出にくい制度、設計、運営になっているということだと思うのですけれども、運用利回り以外を要因とする剰余不足の分析などというのが毎年されているのかどうか教えていただきたいのと、もしされているようであれば、特筆すべきことがあれば教えていただきたいなと思っております。
 あと1点、今回この部分、財政再計算の時期ということかと思います。制度を振り返る一つのタイミングになると思うのですが、制度開始後8年程度たっているというところで見えている課題などありましたら教えていただきたいと思います。
 以上です。

〔 加藤分科会長 〕
 ほかに御質問ありますか。
 では、川北委員。

〔 川北臨時委員 〕
 1点教えていただきたいことがあります。KKRの評価に関しての今後の課題ということで、運用手法の高度化・多様化に資する調査研究とあるのですけれども、見落としているかもしれませんが、いわゆるオルタナティブに対する投資がどういうふうな状況になっているのか。もしあれば教えていただきたいと思います。それから、財政検証に関して何人かの方から質問が出たのですけれども、それに関して、今後基本ポートフォリオをどうするのかということが議論になると思いますが、そのときに、昨今の状況を見ていると、アメリカ株というか、海外の株式と日本の株式の相関性が非常に高まっている。そういう中で、今までと同じような内外の株式を区分してポートフォリオを考えるという手法をKKRさんとしてどういうふうに評価されているのか。
 その2点、お伺いしたいと思います。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございました。
 では、もう一問。原委員。

〔 原臨時委員 〕
 厚生年金保険給付の積立金の部分で、KKRさんの管理積立金の運用状況、その運用状況自体は長期的に見て、時間軸で見ることが大事だと思いますけれども、実質的な運用利回りということについては、運用実績が目標を上回っているということで、年金財政上必要な運用の利回りを確保しているということはよかったと思いますので、引き続き、長期的に継続していただきたいと思います。
 そして今、ご発言があったのですけども、課題のところにもありましたが、今後の運用手法の高度化・多様化についてということですけども、これもどこまで、どのようなものまで行っていくのかということについて、ここでは調査研究をしっかりして引き続き検討するとありますけども、そういうところも何かみえているものがあれば教えていただきたいと思います。
 今後の課題にあるので、ここでまとめて言ってしまいますと、やはりESGなどの投資の利活用とありますので、後でもあると思うのですが、その中でPRIの署名については今準備中ということであるかもしれませんけども、署名に向けた作業を速やかに進めるということで、これも責任ある機関投資家としてその姿勢を見せていくということは引き続き必要だと思います。ですので、そういったことをまた進めていっていただきたいということと、さらにいろいろと求められることがあると思いますが、前向きに行っていただきたいと思っております。
 以上でございます。

〔 加藤分科会長 〕 
ありがとうございました。時間も限られていますので、この辺で回答していただこうと思います。今のPRIの話はまた後ほど回答していただくということで。

〔 原臨時委員 〕
 お願いします。

〔 加藤分科会長 〕
 最初に松村委員の御質問にありました3階部分の不足等の分析をしているのかどうか等の御質問について。

〔 小西資金運用部長 〕
 どうもご質問ありがとうございます。3階部分につきましては、いわゆるキャッシュバランス型の年金制度ということもありまして、基本的には不足が出にくいといいますか、出ない仕組みになっている。要するに、給付ないしは掛金のほうで調整される仕組みかと思います。我々の課題としては、5年ごとの財政再計算の中で、予定利率ないしは基準利率、最終的には基準利率のほうだと思いますけども、こちらをクリアしていくということでございまして、5年の中でございますので、しかも今まではかなり、寄託資産の効果もあるのですけども、大幅に超えているということもございまして、何か心配をするようなことがあったかというと、それは全くないということでございます。したがいまして、それほど深く掘り下げて、心配して見て何か分析したかということはございません。したがって、特筆すべきことというのも今のところ幸いにしてないということでございます。

〔 松村専門委員 〕
 ありがとうございます。財政再計算のところでは何か。

〔 小西資金運用部長 〕 
財政再計算は今まさに行っているところということでございまして、私どもの中のセクションの話を少しさせていただくと、財政再計算は、年金財政を計算するところはまた別にございまして、私どもはそれを受けて、それが達成できる利回りを目指していくという立場でございますので、大本のところの議論を今しているということでございます。したがいまして、今日このタイミングで何か申し上げられることがないというのが正直なところです。

〔 松村専門委員 〕 
分かりました。ありがとうございます。給付の水準等は、制度はころころ見直すものではないと思うのですけれども、中長期的に留意して見ていくものかなというふうに思っておりまして、その辺りで何か気をつけていらっしゃることがあればお聞きしたいなと思ったのですが、状況、承知しました。ありがとうございます。

〔 加藤分科会長 〕 
ありがとうございます。それでは、川北委員の御質問、同時に原委員の御質問にありました資産運用の高度化等について、オルタナティブ資産運用の現状や今後の方針、基本ポートフォリオの見直し、あるいは内外株式の区分の話についてお願いします。

〔 小西資金運用部長 〕
 まず運用の多様化でございますが、その中のオルタナの状況でございます。こちらは業務概況書、参考資料のほうには載せているのですが、現在オルタナティブ投資、何をやっているかといいますと、バンクローンと、それから国内不動産の私募リート、足元ではバンクローンがおよそ50億で、私募リートが100億円ぐらいになります。したがいまして、かなり少ないということです。GPIFをはじめ、他の団体さんは厚生年金全体の5%を上限とされていますが、私どもは1%と、少なくなっています。足元でも0.2%を切るぐらいというような状況で、そんなにはしておりません。
 それから、これは令和5年度に入ってからではございますけれども、これから海外不動産と内外のインフラをやると決めておりまして、もう既にゲートキーパーは選定させていただいて、こちらはホームページなどでも公表しているところでございます。ただ、御承知のとおり、海外の不動産市場というのがなかなか苦しい状況ですので、ゲートキーパーのほうではまだ投資をしておらず、ちょっと様子見です。海外不動産の後に決めたインフラですけども、こちらのほうがもしかしたら先に進んでいくということになろうかと思います。今はそのような状況でございます。
 それから2つ目の、財政検証の際に株式の内外区分を、どうかというところかと思いますけども、こちらにつきましては、来年度に入ってからになりますが、次期、モデルポートフォリオという言い方をしますけども、それを決めてから我々自身の基本ポートフォリオを決めることになります。モデルポートフォリオについては4団体で議論していくことになるのですが、何分まだ1年以上前ということもありますので、その辺りの議論というのはまだ進んではおりません。
 ちょっと回答になっていなくて申し訳ないですが。

〔 川北臨時委員 〕
 分かりました。ありがとうございます。

〔 加藤分科会長 〕
 よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、本日の御議論を踏まえ、評価について事務局にて検討いただきます。今寄せられました御意見につきましては、できる限り反映させていただきたいと思いますが、難しいこともあるかと思います。いずれにいたしましても、基本的に事務局と会長に委ねさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、4つ目の議題であるESGに関する取組状況について、まずKKRから説明をお願いいたします。

〔 小西資金運用部長 〕
 それでは、資料4-1、ESGに関する取組状況を御覧ください。
 まず、令和4年度は、これまでの取組を継続した1年でありました。後半の部分で説明させていただきますが、今年度、令和5年度に入ってからPRI署名に向けた準備に入ると、これが大きな変化でございます。
 それでは、2ページ目を御覧ください。この2ページ目、3ページ目が厚生年金の委託運用に関する取組になります。2ページ目はアクティブ運用に関するものでして、国家公務員共済組合連合会では令和3年の4月から、全ての資産においてESGファンドのマネジャーエントリーというのを受け付けております。国内株式の運用では、実際にESGを企図したファンドを採用した実績があります。
 次に、2つ目の黒ポツですが、毎年、運用委託先より投資先とのエンゲージメントの状況を報告していただいております。また、一部の運用委託先とはスチュワードシップ活動に特化したミーティングを個別に行っており、その結果をスチュワードシップ活動の報告として取りまとめております。それをホームページで公表しているということは皆様よく御存じのことかと思います。事務局では毎年12月頃にこれらの作業を行っておりまして、年度末までに今年度の報告ができるよう鋭意進めているところでございます。
 3つ目のポツでございますけれども、毎年実施している個別ファンドの総合評価項目の中にESG要素の考慮状況というものを設けており、ファンドの選定時のみならず、採用後もESGに対する取組状況を確認し、評価を行っております。現在ESG指数に連動した運用は行っておりませんが、マネジャーの募集は継続しており、担当課において情報収集に鋭意努めているところでございます。
 3ページ目はパッシブ運用でございますが、こちらについてもESGの要素を考慮するよう要請しております。また、2つ目の黒ポツにありますとおり、アクティブ運用同様、エンゲージメントの状況についてもモニタリングしております。
 3つ目の黒ポツを御覧ください。WGBI(ウィグビー)という、各国の国債をベンチマークとするパッシブ運用については、国際機関の発行するグリーンボンド等に限り、ベンチマーク構成銘柄でなくても購入できるよう、令和3年に運用ガイドラインを変更しております。いわゆるオフベンチで運用していいですよということでございます。外国債券投資で保有しているグリーンボンドの状況は、御覧のとおり574億円、表の右下です。パッシブ運用で574億円になります。
 4ページ目は、自家運用で保有している国内債券になります。こちらは厚生年金ではなく、新3階、退職等年金給付積立金といいますが、国家公務員の方のための年金というところに関わるものでございます。ここでもグリーンボンドあるいはソーシャルボンドを前向きに購入しておりまして、表の最後の行にございますとおり、令和5年10月現在ですが、565億円ほど保有しております。
 では、5ページ目を御覧ください。①は、以前から報告させていただいていますとおり、私どもは令和3年にTCFDへの賛同を行っております。そして②、PRIへの関与でございますけども、こちらはまだ署名こそしていないものの、現在署名に向けた準備をしております。これまでも国家公務員共済組合連合会では、PRIに署名しているマネジャーのみを採用してまいりました。したがって、採用しているマネジャーは全てPRIに署名しているということですので、我々の投資活動はPRIの原則が貫徹したものになっていると考えております。しかしながら、国民的な関心も高いPRIですので、署名することで我々自身が当事者となって責任投資を進めていく時期が到来したものと判断し、署名に向けた準備をしているところでございます。
 最後に、参考として2つの事例を掲載させていただきました。いずれも現在進めているスチュワードシップ活動の中での事例になります。
 1つ目は、5ページ目にある気候変動関連の対話の好事例になります。こちらは国内株式のアクティブ運用を委託している外資系の運用会社の事例です。東証プライム市場に上場している機械メーカーに対し、TCFDに沿った開示を促した結果、企業がTCFDに賛同し、必要な開示を行ったことで、外部のESG評価機関からの評価が向上したという事例でございます。我々のヒアリングでは、これまでもこうした好事例を運用会社側から紹介してもらい、そのうちの幾つかを毎年作成しているスチュワードシップ活動の報告に掲載してまいりました。
 それに対して6ページ目は新しい取組であります。現在世間をにぎわせている旧ジャニーズ事務所あるいは宝塚歌劇団の事案を我々から取り上げることで、運用会社側の考え方や実際の行動様式を観察しようとするものです。どの社も成功事例は気持ちよくしゃべっていただけますが、ともすれば利害関係のある企業による現在進行中の事案において、日頃の威勢のよさをそのまま発揮いただけるのか、あるいは急に慎重な言い回しになるのか、各社各様の回答が返ってきております。旧ジャニーズ事務所は非上場企業ですし、問題が顕在化してから時間もたっておりますので、各社とも回答しやすい面はあったようですが、宝塚歌劇団は上場会社である阪急阪神ホールディングス株式会社の一員だということ、質問を送付した10月中旬は当事者が調査チームを立ち上げたばかりということもあり、回答内容にばらつきが見られました。また、まだヒアリングを終えていない運用会社もありますので、今後確認していきたいと思います。ただ、国内大手金融機関の中には、かなり踏み込んだ回答もあり、責任投資の考え方が浸透している様子が垣間見えたことは大変心強く思いました。
 このほかにも今年度は、運用会社自身のダイバーシティーに対する取組状況を確認するなど、例年とは視点を変えたヒアリングも実施しております。アセットオーナーとして、実効性のあるスチュワードシップ活動とは何か、何ができるのか、PRI署名をよい機会と捉え、日々の投資活動を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。

〔 加藤分科会長 〕 
ありがとうございました。
 続きまして、4つ目の議題について事務局より説明をお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 
ありがとうございます。私からは、ESG投資、あるいは少しESG投資からはみ出る部分があるかもしれませんが、最近のそういった政策の動向やトレンドについて、少し議論の土台として御説明をさせていただければと思っています。
 資料の1つ目の柱がESG投資に関わる政策の動向となっておりまして、資料3ページに参りますと、これは金融庁のサステナブルファイナンス有識者会議において、今年の6月にサステナブルファイナンスについての第三次報告書がまとまっておりまして、この中で市場機能が有効に発揮されるように、アセットオーナー、アセットマネジャーのESG投資等の知見共有・対話と有効性の向上、これが1つ目です。2つ目がESG投信の検証項目の明確化、それからESG評価機関の行動規範の最終化の重要性を指摘しております。
 1つずつ御紹介させていただきますと、4ページに行きまして、金融庁では今年3月に、総合的な監督指針の改正をしました。この中でESG投信の範囲が定められ、また、こういった信託の情報開示、それから体制整備についての項目が定められております。(1)を御覧いただきますと、意義として、グリーンウオッシング問題が指摘されている中で、市場の信頼性を確保していく必要があると。さらには、下の部分ですけれども、この監督指針の中で、ESGの範囲、開示、態勢整備をしっかりするようにというものが盛り込まれております。
 めくっていただきまして5ページですが、ESG評価・データ提供に係る行動規範を昨年12月に金融庁が定めております。また、この行動規範に対する受入れを表明した評価機関のリスト、これを本年7月に公表しているところです。
 さらにめくっていただきまして6ページですけれども、グリーントランスフォーメーション、GXに向けた取組を進めておりまして、今年2月に基本方針が閣議決定されておりますし、また、GXのための法律も政府として通しているところです。日本政府としてはトランジションボンドを発行してグリーントランスフォーメーションを進めていくというふうにしておりますが、これまで申し上げたようなサステナブルファイナンス等の推進について、こちらで記載されているような目線を示しているところです。
 7ページにいきまして、これはESGのさらに先にある世界になるだろうと思っております。昨今の世界的な議論や政府の議論では、さらにESG投資を超えて、社会的なインパクトがどういった程度あるかということを評価していかなければならないのではないかという議論が行われておりまして、今年9月に金融庁の審議会において報告書が提出されております。
 8ページを御覧いただきますと、インパクト投資に関しての基本指針を策定することや、それからコンソーシアムを立ち上げること、政策投資銀行などが投資の実績の蓄積を図っていくべきではないかということが提言されておりますし、9ページに参りますと、今年の9月には、このインパクト投資の基本指針案の概要が示されているところです。
 さらには、10ページにいきまして、これは政策というよりは民間の動向なのかもしれませんけれども、連合において労働者が拠出した資金をワーカーズキャピタルというふうに位置づけて、その運用に当たってESGを念頭に置くべきではないかという活動方針があります。また、11ページを御覧いただきますと、連合総研において、ディーセントワーク、働きがいのある人間らしい仕事に関する8指標を今年7月に提案しているというふうになっております。 
 それから、今申し上げたことに加えまして、実際に投資の実効性を高めるためにということで、2つ3つ御紹介させていただきますと、13ページ、今し方御報告がありましたように、PRIとTCFDに関連して御説明すると、世界的にPRIへの署名、あるいはTCFDへの賛同機関数は増加しております。14ページを御覧いただきますと、責任投資原則(PRI)署名については、今年の10月にPRI in Personというイベントが東京で行われまして、そこで岸田総理よりスピーチがありました。2段落目、代表的な公的年金基金、少なくとも7基金――ここにはKKRが入るわけですけれども――これらが新たにPRIの署名に向けた作業を進めるといったことを表明しております。KKRから説明があったように、既に委託先が署名をしているので間接的には実現できていたことですけれども、自ら署名をしていくということの作業を進めております。
 次の15ページへいきますと、さらに環境からより枠組みを広げて、自然関連財務情報開示タスクフォース、TNFDの最終提言が今年9月に公表されております。めくっていただきまして16ページになりますけれども、TNFDの開示の提言は、TCFDの柱立てにさらに3つの項目を加えた内容となっておりまして、両者同じような方向を見つつ、包含されたものになっているというふうに認識をしております。
 私からは以上です。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございました。それでは、質疑応答の時間に移らせていただきます。ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。
 では、江夏委員。

〔 江夏臨時委員 〕
 御説明いただきましてありがとうございました。野村資本市場研究所の江夏でございます。私からは2点発言させていただきたく思います。
 総括して、KKRにおいて着実にESG投資への対応が進化している印象を受けました。その上で、既に御発言の中にもありましたとおり、首相のPRI in Personの御発言も踏まえて、KKRを含めた公的年金基金がPRI署名に向けて早急に準備を進める必要があるというのが、最も重要な点だと思います。
 PRI署名について、署名すること自体がゴールではなくて、それをきっかけとして、どのようにESG運用をさらに高度化させていくかということが最も大切だと思っています。例えば、アセットオーナー等の署名機関は、年次で評価を受けることになっています。評価項目は、実際に運用を行うに当たってチェック項目につながり得るとみられます。その意味で、例えば毎年これから受けるスコアを通じて、どのような点で運用をさらに高度化する必要があるかを認識し、次への対応につなげるという形がよいのではないかと思っています。
 PRI署名について、大変御負担が重いものではあるかと思いますが、負担以上に、運用の高度化といったメリットを享受できるのではないかと期待しております。ですので、署名後のPDCAサイクルの下で、どのように効果的に活用できるかといった点も踏まえて、御準備を進めるとよいのではないかと考えています。
 2点目につきまして、ESGに関して取組をどのように効果的に進めるかということが論点かと思います。4-2の資料では、大変広範にわたって今の動きを御説明いただいたところです。例えばGX関連では、今年度中にGX経済移行債(クライメート・トランジション・ボンド)が発行予定ですし、非財務情報開示の観点では、既にKKRが御署名されているTCFDのほかにも、4-2の中にも言及がございましたTNFD、それからISSBといった形で、様々な動きがあります。インパクト投資については先月コンソーシアムが立ち上がり、進展が見られているところです。
 このように、ESG関連では話題も多岐にわたっている上、動きもかなり早い傾向にあります。そのような中、KKRが限られたリソースでESG対応を効果的に進めるという観点からは、優先づけが大切だと思っています。個人的には、今は、PRI署名が最も優先すべきことではないかと考えています。理由としては、PRI対応はESG投資の体制の土台をしっかりと固め、強化するということにつながり得ると考えているからです。
 以上、私からの発言とさせていただきます。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございました。
 では、鳥畑委員。

〔 鳥畑臨時委員 〕
 私も2点ほどお聞きしたいと思います。今、KKRさんがPRIの署名に向けて準備を進めておられると、その過程で人権等についてのエンゲージメントも取り組んでいるということで、その方向についてはぜひ進めていただければと思っております。
 それで、PRIというのは署名して終わりではなくて、それをきっかけにして、どういうESG重視の投資を深めていくかということで、例えばPRIのホームページなんかを見ますと、ESGを統合するといったときの指標の一つにスクリーニングがあります。スクリーニングの一つにネガティブスクリーニングがあって、その項目の中には、例えばギャンブル等、社会に有害なものは投資対象から排除するというふうに明示されているわけです。それで、例えば日本で言えば、アセットワンなんかがファンドの目的、特色として、ESGの観点による除外の例として、環境や社会に望ましくないと考えられるものは除外するということで、酒、たばこ、ギャンブル、化石燃料生産、武器の製造等は除外するというふうにされているわけです。そうすると、将来PRIに署名されて、KKRとしてどういった取組、特に例えばこういうネガティブスクリーニングなんかで社会的な有害な投資に対してどう向き合うのか、どういう考えであるのかというのをお聞きしたいということが1点です。
 それから、金融庁サステナブルファイナンス有識者会議の第三次報告書でも、やはりアセットオーナーの責任として、アセットマネジャーを育てていくということの重要性が言われていて、当然ESG投資をすると短期的にはリターンがやや弱まる事例というのはある。ただ、中長期的に持続可能といいますか、長期的に見れば受益者のリターンになるという意味では、本当のアセットオーナーといいますか、受益者の理解を深めていくというのが重要かなと思っています。
 そういった意味では、KKRの特性として、要するに運営審議会というものがあって、組合の代表者がそこに加わって重要事項に審議していけると。そういった機会を利用して、ESGといいますか、サステナブルファイナンスにおける公的年金の役割の重要性を議論として深めていくのが非常に重要かなと思っております。そういった意味で、もし運営審議会が形骸化しているのであれば、少しやはり実質的な組織につくり替えていくことが必要じゃないかなというふうに思っているということです。
 以上です。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございました。
 取りあえずここで、まずお答えいただきましょうか。PRIの署名をきっかけにして何をしていくのか等の質問について、よろしくお願いします。

〔 小西資金運用部長 〕
 御質問、御意見ありがとうございます。先生方おっしゃるとおり、PRI署名というのはゴールではなく、すなわち署名したら終わりではなくて、署名してからがスタートだと思っております。署名してからが大変で、実は手続としての署名だけであれば、それほど大変ではないというのも正直なところあります。
 私ども今何をしているかといいますと、兼務ではありますけども、3人ほど専門役という、次長級の人間を筆頭に3人切り出して、PRIに向けた調査をさせています。この3人は、どちらかというと署名後、何をしたらいいのか、それから、専ら委託運用のほうになりますが、そちらの投資活動にどういった影響があるのか、どういうモニタリングをしていかなければいけないのか、そういったことを調べております。もう一方で、資金管理課という、全体を見る課がありますが、こちらのほうで署名に向けた事務手続の準備に入っております。
 したがいまして、まだ調査中ということでございますので、署名してからどうしますかということに対して、まだこれといった回答は持ち合わせておりませんが、我々がこれまでマネジャーを見てきた目に加えて、新たな目線、視点からマネジャーを評価して選定していくことになるのだろうと思います。そういう意味では、それが運用の収益といいますか、リターンにマイナスにつながるようなことがあるのかというと、そういうことではなくて、あくまでも受託者責任といいますか、フィデューシャリーデューティーを果たしながらESGというものに取り組んでいくということですし、PRI自体もそうした発想でやっておられるというふうに理解をしております。
 それから、ネガティブスクリーニングの話がございました。ファイナンス理論的に言えば、分散の観点から、投資ユニバースが広いほうがいいということになりますので、ネガティブスクリーニングをして外していくのが一概にいいのかどうかという議論はあるのかなと思っています。ただ、反社会的といいますか、それですと企業としても成り立っていないと思いますので、入ってこないと思いますけども、極端な例を除けば、基本的にはネガティブスクリーニングについては、今この場で考えていきますというふうに申し上げられるかというと、そうでもなく、よく考えてみないといけないテーマだとは思っております。運営審議会のほうで検討ないしは啓蒙活動されてはということでございましたので、我々、資産運用部が運営審議会の事務局というわけではないものですから、そういうご意見をいただいたということを報告したいと思っております。
 以上でよろしいでしょうか。

〔 加藤分科会長 〕
 江夏さん、よろしいですか。

〔 江夏臨時委員 〕
 はい。ありがとうございます。

〔 加藤分科会長 〕 
では、小黒委員、どうぞ。

〔 小黒臨時委員 〕 
ありがとうございます。ESG投資については、基本的には必ずしも市場収益率が高いとは限らないと思うわけですけども、ただ、首相が10月3日におっしゃっているとおり、PRIにも署名するという形で、政府がこういったものに取り組んでいるところを示すというのは意味があると思っております。
 その関係で、長期的なものや短期的なもの等と、収益率にも幾つか指標があると思います。頂いている資料のESG、資料4-1の2ページ目と3ページ目と4ページ目に、それぞれグリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドが挙がっております。ESG投資の趣旨としては、短期的には収益率が厳しいかもしれないけども、長期的には違うかもしれないというところがあると思いますので、可能であれば、外に出さないとしても、実際これらの収益率がどうなっているかというところについて、内部で少し検証していただくと。例えば先ほど資料2の3ページ目のところにベンチマークインデックスの推移みたいなものがありましたけども、平均的な収益と比較して――平均的というのは、全体の資産の収益率と比較してどういう形になっているのかというのをトラッキングしていただくのは価値があるのかなと思います。

〔 加藤分科会長 〕 
ありがとうございました。よろしいですか。
 では、川北委員。

〔 川北臨時委員 〕
 PRIに関しまして政府が積極的に取り組むということなので、KKRとしても署名に向けて手続されていると、それは理解いたしました。
 そのときに、私もKKRから既に給付を受けている人間の一人として申し上げておきたいのは、やはり会費もかかりますし、それから先ほどの説明でも人を割いておられると。そういう意味では直接間接にいろいろコストがかかってくるわけなので、そのコストに見合うような活動なり指針なり、そういうふうなものをPRIが示してくれるのかどうか、もしくはそういう活動をPRIが率先してやってくれるのかどうか、ここはしっかりと費用対効果の確認をやっていただきたいと思っています。
 それが1点と、それからもう1点は、いずれにしてもESGの活動に関して、エンゲージメントをやっておられるし、当然これはこれからもやっていかないといけない問題だと思うのですけれども、そのときに、内外の株式に関していうと、やはり投資先の数が、特にパッシブに関しては違うと思います。数百社レベルの数のところから、日本の場合は2,000近くあるわけなので、本当にこの2,000を、アセットオーナーがアセットマネジメント会社に対してエンゲージメントしてくれ、どういう活動をやっているのか報告してくれと言ったところで、アセットマネジメント会社が2,000社もエンゲージメントしているとは到底思えないし、私の知っている限りでは、そういうことはやっていないと理解しています。
 そういう中で本当に、これはPRIの署名にも関係してくるんですけれども、彼らが言うことによって効果が生まれるのであれば、アセットオーナーとしてどういうふうな運用を特にパッシブに関してはやっていかないといけないのか、それによって適切なエンゲージメントができるのかどうか、そういうことも検討していかないといけない状況になっているのではないかと思います。この2点、よろしくお願いしたいと思います。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございました。それでは、お答えいただきたいと思います。

〔 小西資金運用部長 〕
 御質問、御意見ありがとうございます。
 まず最初に、ESGの収益性といいますか実績といいますか、そういう話をいただいたと思いますが、私どもこれまでもESG指数は幾つかフォローをしておりまして、そのリターンはずっとモニタリングをしています。反省するとすれば、リターンを中心に見ているだけで、その他の指標をあまり見てこなかったというところがありますので、PRIに署名するということでございますので、もう少しそこら辺は深掘りして見ていきたいと思います。
 それから、PRIに係るコストというところでございますけども、こちらについては、たしか署名すると年間9,000ポンド強の年会費に加えて、人件費等がかかります。それから、これはよしあしではありますけども、PRIの総会であったりセミナーであったり、無料のもの、有料のもの、場合によっては海外でということで、これらのコストを入れると、かなりのコストがかかると思います。それから毎年の報告負担も。今105問の質問項目がございまして、これらを英語で答えていかなければいけないというのもありますので、そういった意味では、今、財務省さんのほうに予算的なお願いはしているところでございます。
 コストに見合うかという点は、そういう意味では我々も心配はしていますけども、現状では、PRIから習うというか、教えていただくことで運用の高度化を図れるのではないかという期待を持っているところでございまして、まずはそちらに向けて活動していきたいと思いますが、費用対効果があまりにもないということであれば、署名の是非というのももちろん将来はあるのかなと思っていますので、署名するからにはリターンにつながるような形でやっていきたいと思っております。
 最後にエンゲージメントでございますけども、数が多過ぎると、それは運用会社のほうも当然人手が足らず回らないということは、小型株のアナリストがあまりいないというのと同じような現象が起きるかと思います。ただパッシブに関しましては、我々、GPIFに比べると規模も小さいですが、それなりに大きな、ユニバーサルオーナー的な側面を持っているかと思いますので、とはいえこういったエンゲージメント活動をマネジャーさんたちがしっかりやっていただくことで、日本の株式市場、日本企業の企業価値を引き上げてくれることが結果的には我々のリターンにつながるのではないかというふうにも思いますので、そこはできる範囲で頑張ってもらいたいと考えております。ただ、それがコストに跳ね返ってきて、報酬料率というところに跳ね返ってくるのだったら、それはそれで考えものかなと思いますけども、どこかに均衡点があるのかなとは思っています。いただいた御意見ごもっともかと思います。

〔 川北臨時委員 〕
 それを申し上げるのは、最後に言われたフィーの問題でして、アセットマネジメント会社自身は、表立ってはなかなか言えないのですが、エンゲージメントをもっとしろと言われてもフィーが安過ぎるという意見はかなりあるということだけ、申し上げておきます。
 以上です。

〔 加藤分科会長 〕
 よろしいですか、小黒委員。
 では、関委員、どうぞ。

〔 関委員 〕
 2点ございます。他の委員からもご指摘ありましたように、PRI署名に向けた作業を進めるということ、本審議会でのこれまでの議論からしましても好ましい方向性であると思っております。署名してから大変であるというお話が今ございましたが、予算や人の面でも、履行要件に応えられる体制が十分であるのか、今後も様子を見つつ体制を整えていっていただければと思っております。
 2点目となります。ESGに関する取組を進めて、TCFDに賛同するなど、ESGのEの環境を進める取組を進めているというお話や、性加害問題やダイバーシティーについてのヒアリングを行われているという事例、社会をできれば牽引していく、公的な年金基金としてはよい方向性であると思いながら伺いました。
 この点、Eに比べて、Sの社会やGのガバナンスは、これへの貢献を数値として評価しづらい上に、本日御説明いただいた旧ジャニーズ事務所の人権問題など、後から加害や被害がもたらすコストとが顕在化し、事前に取組を評価することがより難しい領域なのかもしれません。とはいえ、例えばSである社会については、従業員の満足度や労働者に優しい労働慣行と株価リターンの関係を分析した研究なども出てきている模様です。ぜひSやGを尊重した投資ができるよう研究しつつ、さらなる取組を進めていただければと思っております。
 以上です。

〔 加藤分科会長 〕
 それでは、御回答いただけますか。

〔 小西資金運用部長 〕
 ありがとうございます。おっしゃるとおり、実はEもSもGも、リターンとの関係の分析というのは、近年論文はたくさん出ておりますが、なかなか定説が定まらないと申しますか、効果があるという論文と、そうでもないという論文と分かれているというのは、まだ研究者の、ここにいらっしゃる皆様、アカデミアの方の研究結果を待ちたいなというところはありますが、そういう面はあるにせよ、明らかにGの部分、ガバナンスの部分なんかについては、やはりガバナンスがきっちりしているところとそうでないところでは、企業の業績にきっちり現れやすいところかと思います。なかなか事後的に検証しづらいかもしれませんが、割とはっきりしている、分かりやすい部分だろうと思います。
 ソーシャルの部分なんかは、事柄にもよりますけども、あまりにひどい場合は国からの撤退とか国際的な不買運動とかいろいろ考えられますので、株価とリターンの分析はどうしても事後的に、随分たってからやることになりますが、ここらは定性的に判断しやすい部分かなと思っています。環境のところは逆に、いろんな業種業態がございますので、一概に炭素をたくさん出しているからいいだとか悪いだとか、そういうことも言いにくい部分も、なかなか分析結果として出しにくいところもあるのかなと思ったりはしております。
 お答えになっているか分かりませんけども、いずれにしても、E、S、Gそれぞれの取組について、きっちりマネジャーと議論して投資活動を進めていきたいと思っております。

〔 加藤分科会長 〕
 よろしいですか。

〔 関委員 〕
 ありがとうございます。

〔 加藤分科会長 〕
 では、もうお一方ぐらいいらっしゃいますか。よろしいですか。
 分かりました。ありがとうございました。それでは、この辺で4つ目の議題についての質疑応答を終わりとさせていただきたいと思います。
 本日の議題内容全般にわたりまして、何か御発言等ございますでしょうか。

〔 小林運用リスク管理室長 〕
 すみません、よろしいですか。

〔 加藤分科会長 〕
 どうぞ。

〔 小林運用リスク管理室長 〕
 最初の鳥畑委員からの御質問の中で運営審議会のお話をされて、ちょっと私の説明が言葉足らずのところがあったと思うので、補足させていただきたいのですが、9条と35条の規定、法律のところですけども、鳥畑委員がおっしゃっていただいた9条の運営審議会のほうは、各共済組合の運営審議会を指しております。

〔 鳥畑臨時委員 〕
 また別にある。

〔 小林運用リスク管理室長 〕
 財務省なら財務省共済、経産省であれば経済産業省共済組合がありまして、9条はそのことをうたっておりまして、35条のところが連合会の運営審議会ということで、各共済組合、連合会に運営審議会があるという立てつけになっております。法律の区分だけ、御説明が足りなかったと思うので。

〔 鳥畑臨時委員 〕
 いえ、分かりました。こちらこそ準備確認不足でした。

〔 小林運用リスク管理室長 〕
 すみません。よろしくお願いします。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

〔 松村専務理事 〕
 では、一言よろしいでしょうか。

〔 加藤分科会長 〕
 どうぞ。

〔 松村専務理事 〕
 いろんな御意見ありがとうございました。私どもKKRは、PRI署名につきましてはもともと前向きに考えてはきて、したがって、自らやることの前に、まず運用委託会社に対して必ずPRI署名をしたところを使うという形で、言わば間接的な形でやっていた。それは、先ほど江夏委員からもありましたように、限られたリソースということで、我々の中でなかなか毎年、年次で評価を受けることに耐えられるかというところで、そこがうまくきちんとした対応をしない、レポートできない場合には、最悪の場合には除名になってしまうと。PRI署名について前向きにやっていたつもりが、逆の評価を得てしまうというような心配もあったものですから、二の足を踏むところがあったわけですけれども、さはさりながら、やはり事の重要性に鑑み、今回踏み切ろうということで、先ほど小西が申しましたように、そのためには定員や機構の要求をして、それをきちんと取り組んで、毎年毎年、これからがスタートですから、やっていく部局を、小なりといえどもつくって、そして予算も要求をすると。今、定員要求、機構要求、予算要求をしているというところで、GPIFなどの先例なども参考にしながら、きちんとした体制を組んでやっていこうと考えているところでございます。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

〔 山本給与共済課長 〕
 すみません、本日議題とするほどまでではなかったので、参考資料のほうで少し御紹介をさせていただいていることがありまして、参考資料1の一番最後のページに、国家公務員共済組合法令の改正が今後予定されているものがあります。いずれも政府全体の動きの中でそれを反映させていくというものですけれども、1つはマイナンバーカードの健康保険証の利用、これは令和6年の秋に健康保険証の原則廃止が予定されていますので、それに対応する改正があること。それから、本年6月13日に閣議決定された、こども未来戦略方針の施策、育児休業取得促進手当の創設を国共済のほうでもしてまいりますので、改めてお知らせをさせていただきたいと思います。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは最後に、事務局から何かあればお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕
 本日は、専門的な見地から様々な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。本日の御意見も踏まえまして、厚生年金保険法第79条の8第2項に基づく評価につきまして、12月下旬に財務省ホームページにて公表させていただきます。ありがとうございました。

〔 加藤分科会長 〕
 ありがとうございました。
 それでは、本日はこれで終了させていただきたいと思います。御多用のところ、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

午後2時45分閉会