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財政制度等審議会国家公務員共済組合分科会(令和6年11月27日開催)議事録

第35回
財政制度等審議会国家公務員共済組合分科会議事録

令和6年11月27日(水)
於:財務省本庁舎4階国際会議室

議題
1. 令和5年度の年金積立金運用に関する業務概況書について
2. 令和5年度の厚生年金積立金の管理運用状況に対する評価及び
   アセットオーナーをめぐる議論の状況について

午前9時58分開会

〔 加藤分科会長 〕 では、皆様おはようございます。ただいまから財政制度等審議会国家公務員共済組合分科会を開催いたします。
 皆様には御多用のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日の分科会は、対面とウェブ併用での開催となっており、希望いただいた委員の皆様には、テレビ会議システムを通じて御参加いただいております。
 本日は、国家公務員共済組合連合会より、令和5年度の年金積立金運用に関する業務概況書について説明いただいた後、事務局より、令和5年度の厚生年金積立金の管理運用状況に対する評価及びアセットオーナーをめぐる議論の状況について説明いただきます。その後、事務局から、共済組合制度に係る最近の動向を説明いただきます。
 議事に移ります前に、この夏、主計局の異動がございましたので、事務局から御紹介いただきたいと思います。

〔 山本給与共済課長 〕 給与共済課の山本でございます。改めましてよろしくお願いします。
 先生方におかれましては、大変お忙しいところ御参加いただきまして、ありがとうございます。
 改めて事務局を紹介させていただきます。こちらから、共済調査官の藤田です。

〔 藤田共済調査官 〕 藤田です。よろしくお願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 課長補佐の塩原です。

〔 塩原課長補佐 〕 塩原です。よろしくお願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 共済計理官の武井です。

〔 武井共済計理官 〕 武井です。よろしくお願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 予算実地監査官の逢澤です。

〔 逢澤予算実地監査官 〕 逢澤です。よろしくお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 また、本日は国家公務員共済組合連合会から、宇野専務理事。

〔 宇野専務理事 〕 お願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 小西資金運用部長。

〔 小西資金運用部長 〕 よろしくお願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 小林運用リスク管理室長にお越しいただいております。

〔 小林運用リスク管理室長 〕 お願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 なお、本日の資料1、資料2-1及び参考資料2については、現時点で未公開のデータが使用されていることから、議論の内容で市場に影響を及ぼす等のおそれもありますので、議事録と併せて、評価結果の公表日まで非公開とさせていただくことを提案させていただきたいと思います。また、配付させていただいた資料1、資料2-1及び参考資料2につきましては、12月下旬を予定しております公表日まで取扱いに注意をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

〔 加藤分科会長 〕 事務局より、資料の一部と議事録につきまして、評価結果の公表日までは非公開とするという御提案がありました。この点につきまして、御異議等ございませんか。

(「異議なし」の声あり)

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございます。それでは、御異議なしということですので、そのようにさせていただきます。
 それでは議題に入ります。初めに、国家公務員共済組合連合会より、1つ目の議題である令和5年度の年金積立金運用に関する業務概況書について御説明をお願いいたします。

〔 小西資金運用部長 〕 それでは、国家公務員共済組合連合会資金運用部長の小西から説明させていただきます。
 まず、資料でございますが、参考資料1-1となっている厚生年金の業務概況書について、例年との主な変更点について簡単に説明させていただきます。説明の中で使用するページは、全て資料の右下に記載されているページ番号になります。PC上のページ番号とずれている可能性がありますので、御留意ください。昨年に比べて2ページ増えました。4ページの令和5年度運用を振り返って、36ページの執行体制、この2ページを追加しております。我々の取組や我々自身について見える化を図るために追加したものです。
 改めて、この資料1-1、業務概況書の表紙をおめくりいただき、クリックしていただいて、4ページを御覧ください。令和5年度運用を振り返ってというところでございます。この4ページでは、4段落目、「運用受託機関の構成については」で始まる段落で、投資行動とその意図について説明しております。また、令和6年度に入ってからの投資活動も一部明らかにしております。
 5段落目では、PRI署名を行ったことを報告しております。
 少し飛びますが、26ページに飛んでください。一番下の2行、なお書きで、運用会社による事務過誤が発生したことを報告しております。事務過誤は従来から時折ありますが、こうしたことも開示することで、我々の業務の一端を垣間見ていただけることができるのではないかと思います。
 それでは、36ページまでまた飛んでいただけますでしょうか。ここでは、執行体制について開示しております。時折、共済組合は専門性が不足しているという趣旨の記事が掲載されること、また、アセットオーナー・プリンシプルでは、専門性を有する組織として他のアセットオーナーの参考となるようなことも求められておりますので、どういう職員が運用に携わっているのかを説明しております。併せて、人材育成の方針や女性職員の数についても紹介させていただいております。
 それでは、資料1をお開きいただけますでしょうか。ここからは、令和5年度業務概況書概要版に沿って令和5年度の報告をさせていただきますが、その前に、令和5年度の経済情勢について簡単に口頭で振り返りたいと思います。
 株式市場を期初と期末で比較しますと、日経平均は43.96%の大幅増加、ニューヨークダウも19.63%と日経平均には及びませんでしたが、大きく増加しました。金利は日米とも上昇しましたが、FRBによる金融引締めが継続したアメリカの金利が0.73ポイント上昇したのに対し、日本銀行が金融緩和政策を維持しつつも長期金利の上限を1%を目途に引き上げるという措置を行ったため、日本の金利は0.38ポイントの上昇にとどまりました。このように日米の金利差が拡大したことで、為替は期初1ドル133円だったものが、期末には1ドル151円まで円安が進みました。
 資料1の表紙ともう1ページめくっていただきまして、3ページとあるところを御覧ください。上のグラフ及び下の表は、政策ベンチマークの動きになります。ベンチマークとは、我々運用者が運用成果を測るために目安とする資料です。上のグラフのカラーの4本の線が、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の推移を円建てで表したグラフになります。対しまして、グレーの2本の点線は、外国債券と外国株式の現地通貨建てでの推移です。グレーの太い点線が青の外国債券の下に、細いグレーの点線が緑の外国株式の下に位置しています。左下の表の数値を御覧いただくと分かりやすいですが、現地通貨建てで外国債券が1.74%、外国株式が24.02%のプラスでしたが、円安の効果により、円建てでは外国債券が通期で15.27%のプラス、外国株式は40.63%のプラスになっております。
 表の左下にある、4資産を合計した複合ベンチマークは、22.62%のプラスです。金利上昇により2.2%下落した国内債券を除く3資産が大きく上昇した1年でありました。
 4ページ、こちらは、まず最初に、表の右端から2列目、令和5年度末の時価の列を御覧ください。一番下の合計欄に10785億円とありますのが令和5年度末の運用資産額になります。すぐ下の括弧内の数字は、仮に財投預託金を時価評価した場合の数字になります。初めて10兆円の大台を超えました。組合員数が約107万人ですので、組合員1人当たりに直しますと1,000万円に少し届かないぐらいの金額ということになります。我々は、この時価が4資産から均等に構成されるべく運用をしております。
 5ページの表の構成割合という欄あるいは円グラフを見ていただきますと、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の割合が24.08%から25.95%の範囲に収まっていることが御確認いただけるかと思います。基本ポートフォリオに沿った運用を行うため、令和5年度は各資産が25%に近づくよう、2回ほどリバランスを実施しました。
 続きまして6ページ、こちらは収益額、それから7ページ、こちらは収益率の表になります。実現収益額は、配当や利息に加え、リバランス等による保有資産の売却による損益の合計になります。また、総合収益額は、実現収益額に評価損益の増減を加えたものと御理解ください。令和5年度の実績を簿価で見た場合、6ページの表の右端に記載されているとおり、実現収益額は5,706億円になりました。ページが行ったり来たりで申し訳ありませんが、7ページの上の表の右端記載の実現収益率は8.44%になります。時価で評価した総合収益額は、6ページ下の表記載どおり1兆9,322億円、修正総合収益率は、7ページ記載の下の表にありますとおり、23.66%となりました。
 それでは、8ページをお願いします。8ページは、令和元年財政検証の結果求められる長期的な運用目標の達成度合いを示しております。上の表の3行目にあります実質的な運用利回りが長期的に1.7%を超えていることが求められるわけですが、5年、10年、15年の平均値を見ていただきますと、目標を上回っていることが御確認いただけるかと思います。下の表では、右端の令和5年単年度の欄を御覧いただきますと、十分な利回りを確保できているということも御確認いただけるかと思います。
 それでは9ページ。8ページまでは、年金運用として御心配はないということを御確認いただきましたが、こちら9ページは、我々が運用者としてどの程度頑張ったのかを示すため、ベンチマークとの比較を行っております。令和5年度通期の複合ベンチマークに対する我々の成績は1.2%のプラスとなり、ベンチマークを上回ることができました。令和4年度同様に、債券で勝ち、株では負けているということがお分かりいただけるかと思います。前年度同様、国内外の株式におけるアクティブ運用での負けを主に国内債券がカバーするという傾向は、令和5年度も継続しました。この状況を少しでも改善すべく、国内株式では2契約、外国株式でも2契約、この合計4契約を解約ないしは減額し、パッシブファンドに切り替えましたが、株式市場の上昇を追随するには至りませんでした。
 10ページでございます。こちらは、市場運用においては単年度では運用成績にばらつきがあるのは止むを得ないことであります。このグラフを見ていただきますと、長期的には多少の上下の変動を伴いながらも、順調に資産を伸ばしてきた様子がお分かりいただけるかと思います。
 ここまで、以上が厚生年金になります。
 これから12ページ、13ページ、14ページの3ページが退職等年金、新3階になります。運用資産は、短期資産を除けば国内債券100%です。基本ポートフォリオも国内債券100%になります。こちらは厚生年金とは異なりまして、時価評価は行っておらず、令和5年度末の運用資産額は9,363億円になります。13ページ、14ページは運用の実績になります。令和5年度の実現収益率は0.69%、我々が超えるべき0.2%の予定利率、0.05%の基準利率を上回っておりますので、運用としては特段の懸念はないと考えております。
 それでは、飛んでいただいて16ページ、17ページ、最後の2ページ、こちらが旧3階、経過的長期給付積立金になります。16ページ一番下の(3)に記載されていますとおり、令和4年12月に残高がゼロとなり、現在は地方公務員共済組合連合会様から拠出金を受け入れて年金の支給を行っております。令和5年度末の残高として26億円と記載されていますが、これは年金支給後の残差でありまして、年金支給を確実に行うためのキャッシュマネジメントの結果です。なお、この26億円は全額普通預金に預けられております。
 17ページ下の(2)記載のとおりですが、旧3階は、運用というものは行っておりませんので、運用利回りによる評価は、行っていないということでございます。
 それでは、資産運用に係るリスク管理に関する説明は、運用リスク管理室長の小林に交代させていただきます。

〔 小林運用リスク管理室長 〕 小林でございます。よろしくお願いします。
 それでは私からは、19ページ、20ページで運用リスク管理の状況を御説明申し上げます。
 まず、19ページでございます。資産運用事業全体のガバナンスとリスク管理の体制です。図の上に運営審議会、財務大臣とございます。運営審議会は、国家公務員共済組合法で設置が定められておりまして、委員は労使同数で構成されており、毎年度の事業計画、決算、その他重要事項について運営審議会の議を経た上で、財務大臣の認可、承認を受け、事業を行っていくこととされております。資産運用事業においても、年金積立金の次年度計画や年度の運用状況等について報告し、審議いただいております。
 また、図の右にございます資産運用委員会は、資産運用に関する有識者で構成されており、現在は8名の委員の方に専門的な知見による意見、助言をいただき運営を行っているところでございます。
 リスク管理状況については、四半期ごとに資産運用委員会へ報告しております。連合会内部では、この図の中央にございます運用リスク管理委員会を四半期ごとに、その下の運用リスク検討会議を毎月開催し、継続的に運用リスクに関するモニタリングを実施しております。
 次に、20ページでございます。モニタリングの具体的な内容をお示ししてございます。表の左側にリスク管理の項目を運用リスク管理要領として定めまして、月次でモニタリングを行っております。表の真ん中から右は、各積立金の状況をここで分かりやすく、丸、三角、バツという形で表記させていただくこととしていますが、実際には、詳細な数値分析を行った結果、令和5年度は厚生年金、退職等年金ともに問題ないということで、全て丸という結果となりました。
 資料には表記していませんが、主な事項について簡単に御説明させていただきます。
 厚生年金についてですが、表の一番上の行の基本ポートフォリオの妥当性の検証ということで、リターン、リスク、相関係数の状況を検証しています。これは、現行の基本ポートフォリオの運用開始後の各資産のベンチマークを基本ポートフォリオの策定時の前提と比較して行っております。まず、リターンにつきましては、国内債券は金利上昇により期待リターンを下回りましたが、運用リターンの中心となります内外株式が策定前提の期待リターンを大きく上回る状況となっております。また、外国債券につきましても、為替リターンの効果もあり、期待リターンを上回る結果となっております。
 次にリスクですが、各資産の標準偏差は令和2年度の策定前提を下回る状況で、相関係数につきましても許容範囲内で推移しており、問題ないことを確認しております。
 次に、管理の視点の2行目でございます。基本ポートフォリオからの乖離の管理でございます。各資産25%の中央値からどの程度乖離しているかということをチェックするものでございますが、いずれの資産も年度を通じてほぼ中央値の25%周辺で推移をしている状況でございます。
 令和5年度の運用及びリスク管理の状況につきましては、以上となります。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 続きまして、事務局より、2つ目の議題である令和5年度の厚生年金積立金の管理運用状況に対する評価及びアセットオーナーをめぐる議論の状況について説明をお願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 私から2点の資料を使って御説明させていただきます。1つ目が資料2-1になります。2点といいますのは、1つは、この分科会のミッションとして、ただいまのKKRの説明に対しまして、積立金の運用状況について評価をいただくという点が1つ目。もう1個の説明は、アセットオーナーをめぐる議論の状況についてお話ししまして、それについて御審議をいただければというものになります。
 それでは、資料2-1を御覧ください。KKRの説明に対しての評価になりますけれども、右下のページ番号1でいきますと、まず1、KKRの管理積立金の運用状況ですが、KKRから説明のあったとおり、運用の資産額は、総額10785億円となっております。
 それから、次のページ、2ページに行きまして、運用状況が年金財政に与える影響ですけれども、KKRの長期的な運用目標が1.7%である中、実質的な運用利回りは8.91%となっておりまして、年金財政上必要な運用利回りを確保しているという状況にあると考えております。
 3ページ目に行っていただきまして、基本ポートフォリオの策定及び遵守状況についてですが、御説明がありましたとおり、25%ずつのポートフォリオを組むことになっている中、(1)の真ん中の表にありますとおり、乖離幅がこちらのような数字となっておりまして、許容幅の範囲になっていると考えています。
 (2)運用のリスク管理についてですけれども、管理要領を制定して管理委員会を設置し、適切に運営をしていると考えております。また、一番最後の行ですが、運用受託機関及び資産管理機関の管理を適切に行っているものと考えております。
 次のページに行きまして、(3)ベンチマーク収益率の確保努力ですが、一番右側を御覧いただきますと、資産全体での収益率の数字が23%、22%、1%といったような数値となっておりまして、個々プラス・マイナスはありますものの、全体ではプラスの超過収益率となっておりまして、全体としてはベンチマーク収益率の確保に努めているものと考えます。
 (4)運用手法ですが、積立金基本指針、それからKKRの管理運用の方針の規定の範囲内の運用手法により運用を行っていると考えております。
 (5)その他ですが、KKRはコンプライアンスの推進や運用リスク管理の強化に取り組んでおりますし、また、ESG投資の利活用の検討も行っており、評価できるものと考えております。
 4、今後の課題ですけれども、以下の点が挙げられると考えております。引き続き中長期的な観点でベンチマーク収益率の確保に努めること。2つ目、KKRの今後の運用手法の高度化・多様化に資する調査研究について引き続き検討し、充実に努めること。3つ目、本年8月28日にKKRが公表した「アセットオーナー・プリンシプルの取組方針」に基づき、必要な取組みを行うこと。この取組方針については、また次の資料で御説明します。
 以上が1点目のトピックスになります。
 2点目ですけれども、資料2-2をお開きいただければと思います。こちらでは、昨年から今までの時点で変化があった議論、アセットオーナーの政策的な議論の状況について御紹介できればと思っております。
 まず、資料1ページですけれども、PRIへの署名について、こちらは、去年のこの分科会ではPRI署名を進めるようにといった御指摘をいただいていたところですけれども、その後、今年の3月15日に、KKRはPRIの署名機関となりました。
 次のページ、ページ2ですけれども、その後6月に、いわゆる骨太の方針や新資本の実行計画において次のような閣議決定がなされております。この2ページの(5)を御覧いただきますと、資産運用立国を進める観点から、アセットオーナー・プリンシプルを策定するようにという閣議決定がありました。
 次のページ、3ページに行きますと、これは新資本の実行計画と言われる、骨太の方針と同じ時期に閣議決定しているものですけれども、左側(1)では、アセットオーナー・プリンシプルの策定をするようにと。一番最後の段落ですけれども、このプリンシプルの策定後に、関係省庁において、所管するアセットオーナーへの周知を進め、その受入れの表明状況を公表するようにと。
 (2)に行きますと、主要な公的アセットオーナーは積極的にこういった取組をするようにということで、(2)の1段落目に書かれているような運用資産の多様化を推進する等の取組を進めるようにという中で、KKRもこの主要な公的アセットオーナーとなっています。また、最後の2段落ぐらいが、少しはみ出る部分になるかなと思っておりますけれども、サステナビリティ投資について進めるようにと。下から2段落目ぐらいを御覧いただきますと、その真ん中辺り、GPIF・共済組合連合会等が、投資に当たり、中長期的な投資収益の向上につながるという観点から、インパクトを含む非財務的要素を考慮することは、ESG考慮と同様、他事考慮に当たらないといったような閣議決定がなされております。
 次のページへ行っていただきまして、そういった中で、内閣官房が、4ページにあるようなアセットオーナー・プリンシプルを8月28日に決定しました。これを受けまして、次のページへ行きますと、同日にKKRは受入れを表明しました。私の認識ですと、いろんなアセットオーナーがいますけれども、いち早くその受入れを表明したのはKKRだと思っております。
 7ページに行きまして、ちょっとかいつまんでこのプリンシプルの取組方針、KKRが発表したものについて御説明をします。
 ページを少し飛ばしまして9ページに行っていただきますと、9ページにおいては、運用目的に合った目標及び運用方針ということで、KKRは、2つ目の黒丸ですけれども、投資原則を新たに策定し公表すると。また、既存の行動規範を改訂の上、公表するといったことを宣言しています。
 またページを飛ばしていただきまして12ページですけれども、こういったアセットオーナーには必要な人材を確保すべきだという議論がありまして、1つ目の黒丸ですが、専門人材の登用について、理事等の監督の下、CIOを設置するということや、次の黒丸、外部人材の活用、人材確保に努めるといったようなこと。それから、最後の黒丸ですけれども、運用手法など資金運用に関し不断の調査・研究を行うとしています。
 次のページ、13ページに行っていただきまして、KKRは、委託先の選定に当たってマネージャー・エントリー制を活用する。また、1つ目の黒丸の最後ですけども、規模や業歴に関する要件を撤廃するとしています。
 また飛ばしていただきまして15ページ目ですけれども、その一番上の黒丸、委託先への報酬を検討するに当たっては、付加価値に応じたものとすべきという考え方から、アクティブ運用において実績連動報酬を導入するといったようなこと。それから、その次の黒丸、コストとそれに対応する報酬設定や責任の所在の明確化を図りますと。それから、同じページの次の四角囲みですが、オルタナティブ投資について、1%から5%に拡大する。プライベートエクイティなどの投資対象の情報収集、調査・研究を行うとしています。
 少し飛ばさせていただいて17ページ、KKRは国家公務員が組合員であるところではありますけれども、社会的立場も踏まえて情報提供に努めるといった旨を示しております。
 18ページ目、スチュワードシップ活動等を進めるということで、ESG投資を進めるといった旨を記載しております。
 それから19ページ目以降は、若干サステナビリティ投資についての御紹介になります。先ほど御説明したように、サステナビリティ投資や、それからひいてはインパクト投資について進めていくべきというような議論がある関係から御紹介するものです。19ページにおいては、ポツの2つ目ですけれども、サステナブルファイナンスについて、経済・社会の成長・持続可能性を高めていくものであるのだといった意義が示されております。
 20ページ目、サステナビリティ投資ですが、近年はやや落ち着きを見せているようにお見受けします。
 21ページ目、サステナビリティ投資における日本のポーションですけれども、現在は4%程度となっております。
 22ページ目、インパクト投資についてですけれども、近年、インパクト投資については残高が大きく伸びております。
 こういった点から、23ページ目ですけれども、これはあくまでも論点例というか、この場で御議論いただくディスカッションのポイントとしてこういった論点があるかなと思っております。1つ目が、KKRは、このアセットオーナー・プリンシプルの取組方針を進めていく中で、どういった点に留意をしていくべきであろうか。それから2つ目の白丸ですけども、PRI署名後のサステナビリティ投資についてどういった取組を行っていくとよいのか、こういった点について、忌憚のない御意見を委員の方からいただければ幸いです。よろしくお願いします。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、質疑に入りたいと思います。ただいま説明のありました資料2-1の評価の結果につきましては、その妥当性について御議論いただくとともに、とりわけ資料2-2につきましては、皆様の御意見を踏まえたアドバイスなどもいただければ幸いです。それではよろしくお願いいたします。御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 それでは、寺井委員。

〔 寺井臨時委員 〕 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。ちょっと分からないところがあるので、質問させていただきます。
 オルタナティブ投資なんですけれども、基本ポートフォリオにカウントされる国内・国外債券、国内・国外株式に今はカウントされていると考えてよいでしょうか。まずそれが確認させていただきたいことの1つです。
 今後進めていくに当たって、オルタナティブ投資というのは、手法の多様化を図ることが目的だと思うんですけれども、この基本ポートフォリオの枠に収まり切るのか、そこら辺はどのように考えているのかということをお伺いしたいです。
 資料2-2で、オルタナティブ投資の上限引上げについて、今課長様が言及されましたけれども、今上限が1%で、資料によれば、現在0.17%でしょうか、1%の上限に遠く及ばないと。この上5%に上げて、現実的なところどういう利益があるのかというのは伺いたいところです。
 以上です。

〔 加藤分科会長 〕 ではお願いいたします。

〔 小西資金運用部長 〕 御質問ありがとうございます。オルタナティブ投資の現状のカウントの仕方というようなところでございますけども、オルタナティブに関しましては、4資産のどれかに入れるようにしておりますので、その内数に入っています。今現在やっております国内私募REIT、それから海外不動産、それから内外のインフラということになりますが、これらはいずれもコア戦略といいますか、賃料などをベースに安定した配当が得られるようなタイプのものをしておりますので、全額債券の扱いにしております。したがって、国内私募REITですと国内債券の中に入っていますし、海外不動産ですと海外債券のほうに入れる、このような計算の仕方になります。それからもう一つ、バンクローンというのもやっておりますので、こちらはもうローンですからそのまま、北米のものですので、海外債券の中に入れています。
 上限の引上げが1%から5%というお話ですが、これは10月1日付で5%に引き上げました。それから、他団体、GPIFもそうですし、地方公務員共済組合連合会も、過去から5%でしたので、引き上げるというよりは、他団体にそろえたというのが近いところでございます。今々足元0.2%ぐらいのウエートなんですけども、私どもはこれまで慎重にこの分野を扱ってきておりましたが、ほかの皆さんがそれなりにウエートが高まってきますと、割合と運用内容が乖離していくというのも、それはそれで1つ問題だと思っていますし、今までは金利がそれほどつかない世界でしたので、そういう中ではオルタナティブ投資の魅力というのもございます。
 さらには、運用対象を増やすことで分散を図り、それがリスクを低減していく部分もございますので、1%よりは5%のほうがいいのではないかと考えた次第であります。ただ、5%で分散になるかという問題もまたあろうかとは思いますけども、まずは、まだ0.2%しかありませんので、取りあえずの上限は5%と置かせていただきました。
 おっしゃるとおり、あえて今1から5にしなくても0.2ではないかという御指摘もあるかと思いますが、例えば、我々の場合それほど規模が大きくありませんので、少しやれば、1%に到達してしまって、1%を少し超えたらどうするんだというまた別の問題もありますので、5%ぐらいでちょうどいいのかなと今は思っているところでございます。よろしくお願いします。

〔 加藤分科会長 〕 よろしいですか。

〔 寺井臨時委員 〕 お答えいただいてありがとうございました。よく理解はしましたけれども、慎重にやってきて、それで0.2%足らずということですので、急に大きくするということは思い切ってやるということになるでしょうから、やはりそこら辺は、被保険者の利益を損なわないようなやり方を続けていただければと思いました。
 以上です。ありがとうございました。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございます。
 ウェブのほうから、小黒委員から御質問があるようですので、よろしくお願いいたします。

〔 小黒臨時委員 〕 丁寧な説明ありがとうございました。
 まず1点質問と、あと1点、お願いというか、感触というか、今後の方向性をお伺いしたいことがもう一つあります。
 最初の質問なんですけども、年金のポートフォリオの中では、当然その、海外に投資している部分というのがあるわけですけども、ここ最近すごく円安が進んだこともありますので、その効果というのがどれぐらい現実として貢献しているものなのかというのをお聞かせいただけないかなと。もし仮に今後また円高に戻っていくと、全体の金額も含めて収益率のところに影響を与えると思うんですけども、そこについて何か試算をされているのであれば、ちょっとお聞かせいただきたいというのが1つ目になります。
 それからもう一つは、これは結構大きな話なんですけども、厚生労働省が今、基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了ということで、1階と2階のマクロ経済スライドの調整期間が一致するということを今議論していると思うんですけども、2024年の1125日、まさに今週ですけども、社会保障制度審議会年金部会のほうで資料が出ていると思います。
 この中では、従来は基礎年金の拠出金の算定で頭割りということだったわけですけども、そこに対して、積立金に応じたような負担もするということが検討されているということで、厚生労働省が外に出している資料をちょっと見ますと、何ページだったかな、かなり後ろのほうで、年金部会に出ている資料の35ページに、マクロ経済スライドの調整期間の一致による財源と給付の変化というのがありまして、1階の基礎年金と2階のところで、財源と給付の変化というところで、これは共済年金と厚生年金は一体だと思いますけども、2階の部分、積立金が185兆円あるものが、長期的には120兆円になるということで、全体として給付が65兆円減って、積立金は65兆円減るということになっています。他方で1階のほうは、この関係で給付が135兆円増えて、国庫負担が70兆円増えて、積立金は65兆円増えるというような試算を示しているんですけども、これは過去30年投影ケースなんですが、これは共済年金がどういう影響を受けるのかということについて、まだ完全に決まっていないと思うんですけども、これもウオッチしていく必要があると思いますので、その辺御検討いただけないかと。もし何か今の時点で感触があるのであれば教えていただければと思います。

〔 加藤分科会長 〕 では、お願いします。

〔 小西資金運用部長 〕 それでは、今の1つ目の円安効果というところでございますが、先ほどの御説明でも触れさせていただいたとおり、外国債券と外国株式につきましては、株式では十五、六%、外国債券でも十四、五%といったようなところを円安によって引き上げられておりますから、それが全体の5割ぐらいを占めますので、15%ぐらいだとすると、全体では7%ぐらいでしょうか、半分の7.5とか、それぐらいが、円安で潤ったという言い方もなんでございますが、下駄を履かせていただいたような部分もあるかなと思っております。1点目については以上でございます。

〔 小黒臨時委員 〕 了解しました。

〔 山本給与共済課長 〕 2点目は、すみません、ちょっと準備が整っておりませんで、また後ほど回答させていただければと思います。

〔 塩原課長補佐 〕 課長補佐の塩原でございます。
 1点補足させていただきますと、私も年金部会を傍聴させていただいておりました。共済年金への影響という御質問でしたけれども、一応、被用者年金一元化後、既に2階部分は、我々も厚生年金の被保険者になっておりますので、1階、2階の調整という意味では、2階の厚生年金部分については我々も同じルールを適用されるという認識でございます。一方、いわゆる共済年金としては、新しい3階部分の年金は、この1・2階の調整の範囲外になりますので、別ルールになると。あと、旧3階については、もはやなくなりつつある経過措置としての年金でありますので、この1・2階の調整の範囲外である、そういう認識でございます。

〔 小黒臨時委員 〕 分かりました。一応まだ完全には決まっていないと思うんですけれども、拠出金のところは頭割りだったですけど、積立金に応じた負担というのがどういう意味なのかというところです。この辺、ちょっとまだ決まっていないと思うんですけども、今御説明いただいて少し分かりましたけれども、また何か動きがあれば御報告いただければと思います。よろしくお願いします。

〔 山本給与共済課長 〕 承知いたしました。

〔 加藤分科会長 〕 私の理解では、積立金は国民年金と厚生年金の1階と2階の調整なので、併せて運用している限りはあまり関係ないかなと思っていたんですけど、一応確認いろいろしていただいて、またインプットしていただければと思います。
 では、江夏委員お願いいたします。

〔 江夏臨時委員 〕 御説明いただきまして、ありがとうございました。私からは、資料2-2の一番最後の論点例に沿って意見を述べさせていただくとともに、御質問もさせていただければと思います。
 まず、始めに、KKRがPRI署名について大変御尽力されたことは認識しておりますが、アセットオーナー・プリンシプルにも御対応された点です。日本の金融市場の代表的なアセットオーナーの一つであるKKRの皆様が迅速かつ適切に御対応されたことは、金融市場全体のモメンタムにとってもポジティブに寄与すると考えており、金融市場関係者として感謝申し上げたいと思います。
 その上で、各論の中で、情報提供の見える化という点ですが、資料の17ページ目でも、双方向のコミュニケーションという言葉を掲げていらっしゃいました。対話、すなわちエンゲージメントが量的、そして質的・内容的にどのように充実化したのか、そうではないのかといった点をご教示いただければと思います。双方向のコミュニケーションで得られる効果としては、外部の方は客観的にKKRを見ているため、内部では気づくことができない視点を得られる可能性があるといった点が挙げられます。
 また、各論のPRI署名を踏まえた活用の在り方という箇所で、PRIは、署名したら最後というわけではなく、サステナビリティ投資の適切性を測る物差しの一つと考えられます。その意味で、KKRのお取組のペースメークとして御活用されるのがよいのではないかと思っております。
 加えて、インパクト投資について、仮にKKRが取り組むにしても、しっかりと情報収集、体制の確保を行うことが前提と考えています。日本に、インパクト投資が健全に浸透していくに当たってという観点からも、しっかりとIMM(インパクト・メジャーメント・アンド・マネジメント)を行うことが大切と言えます。
 さらに、資料の3ページ目に「他事考慮に当たらない」という表現がありましたが、そもそも、リスク調整後の市場リターンを上回るということが大前提ということが挙げられます。インパクト投資で世界的に存在感がある、グローバル・インパクト・インベスティング・ネットワーク(GIIN、ジーン)という団体が、世界の投資家に対してインパクト投資に関するアンケート調査を行っていますが、インパクト投資の投資家の中で約6割が、リスク調整後のリターンを上回る財務リターンを期待しているとの結果が明らかになっています。インパクトにプライオリティを置くがためにリスク・リターン対比のパフォーマンスを犠牲にするといったようなことがないように意識するとよいのではないかと思います。
 以上でございます。

〔 加藤分科会長 〕 ではお願いします。

〔 小西資金運用部長 〕 ありがとうございます。1点目、見える化のところでございます。双方向と言えるかどうかというところはまだ課題ではありますが、従来から組合員の方々には、いろいろ広報活動はしてきたつもりでございます。ただ、弱いところは、厚生年金をお預かりしている訳ですが、どうしても組合員のところに、あるいは受給されている元組合員の方々へのメッセージが中心だったものですから、ここは何とかやっていこうということでございまして、今具体的にというよりは、今後、ホームページを変えていくとか、そういうための予算のお願いをしているという状況でございまして、これからのところでございます。同じ双方向でも、広く国民にという以外に、運用会社あるいはマーケットとのコミュニケーションというのをもう一つ意識しています。これまで共済組合というのは、どちらかというと運用会社からのアプローチについても非常にコンサバティブな対応を取ってきていたのではないかと反省しているところもありまして、なるべく多くの方にできる限りアポイントの依頼があれば会うという、地道な改善をしていくということです。我々マネージャー・エントリー制というのを活用させていただいているのですが、今までは、業歴ですとか、規模ですとか、そういったところの要件を課していたわけですけども、そこは撤廃しましたので、多くの方にアプローチしていただきやすくなりました。
 それからもう一つ、適格機関投資家になろうということも併せて書かせていただいて、まだなっておりませんが、適格機関投資家になることによって、海外のマネージャーさんですとか、一任業ですとか金商業の免許はお持ちだとしても体制が不十分で、一般投資家を相手にせずに適格機関投資家のみで営業されているような方が、我々にアプローチするにも、適格機関投資家用の資料しかお持ちでないと、なかなか一般投資家用にアレンジするのは、コンプライアンスのところのチェックとかありますので、そこら辺が要らなくなるといいますか、適格機関投資家用の資料で我々にアプローチいただける、この辺りが金商法の勧誘行為になる、ならないという、そういうことを一々気にしていただかなければならないのですが、そのような負荷がなくなれば、我々としても情報が集まるのではないかと思っております。こういったところを少しずつ改善していきたいなと思っているところでございます。
 それから、最後のインパクト投資のところですが、インパクト投資は他事考慮に当たらないとかいう話をされていました。ESGもそうですけども、我々もまさにリスク調整後リターンといいますか、リターンが取れた上での、投資だというのが大前提でございます。一方で、我々が主にやっています例えば株式の投資というのは、ある種ゼロサムゲームのところがあって、セカンダリーの既発行の株式を売買しています。インパクト投資の場合は、恐らくプライマリーのものが多くなってくる訳でして、そういう意味では、オルタナティブ投資で何かこれからつくっていくようなものに近いものではないかと考えています。そういったものもインパクトの中にも入ってくるかもしれませんので、あまり狭く考えずに広く考えて、資金調達者の方に直接資金を供給できるような機会があるのであれば、それは広い意味でインパクト投資になっているということも考えられると思います。繰り返しになりますが、頭を固く、狭くせずに、広く考えていきたいなとは思っているということでございます。ありがとうございます。

〔 江夏臨時委員 〕 ありがとうございます。

〔 加藤分科会長 〕 よろしいですか。事務局は大丈夫ですか。

〔 山本給与共済課長 〕 大丈夫です。

〔 加藤分科会長 〕 今ウェブのほうで3名の委員から質問の手が挙がっていますので、時間の関係もありますので、まず3名の方に質問をいただいて、まとめて回答していただくということにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、川北委員からお願いいたします。

〔 川北臨時委員 〕 川北です。
 3点ありまして、1点は簡単な確認ですけれども、KKRさんの資料の16ページ目に、旧3階に関して、今、地共連から年度ごとに資金を受け入れているとありますが、確認したいのは、毎年どの程度の資金を受け入れられているのか。私自身、地共連の委員をしているものですから、教えていただければというのが1点です。
 それから2点目は、オルタナティブに関してですけれども、現在KKRさんはどのような運用体制を取られているのかということです。この質問の意味は、オルタナティブ自身、時価がマーケットでついておらず、かつ情報が非常に少ないということで、さらに言いますと、現在非常に人気化しているわけです。そうすると、質の悪いオルタナティブが出てくる可能性が非常に大きくなっていると私は理解しています。そういう意味で、今後オルタナティブでの運用を拡大されていくに当たりましては体制の強化が必要なわけですけれども、現状どのような体制で、今後どうされていくのか。ついでに言いますと、KKRさんの資産運用委員会でどのような議論をされているのか、それも含めて教えていただければと思っています。
 これに関連してですけれども、アセットオーナー・プリンシプルの要請により、オルタナティブを含めて人材が今後ますます重要になってくるわけですけれども、そうすると、オルタナティブの人気が非常に高い中においては、人材の取り合いになる可能性もあるし、それから、厚生年金の運用主体が今4つあるわけですけれども、そこが各自でオルタナティブの人材を確保していこうとすると、本当に優れた人を採れるのかどうかという問題が生じてくるのではと思います。そのときに、これはある有識者と議論をしていると、厚生年金に関して言うと、その4主体が、オルタナティブに関しては運用体制を一本化するというのも一つの策じゃないかという見解もありました。それに関してどのような御意見を持たれているのか。この場で聞くのも大変だとは思いますが、少し検討していただければと思います。
 それから3点目はPRIに関してなんですけれども、これは昨年も申し上げたと思いますが、署名されたからには、どのような効果があるのか、どのような情報もしくは運用に関するサジェスチョンをPRI自身から得られるのか、これは引き続き私からの要望なんですけれども、きちんと確認していただければと思います。署名することに意義があるわけではなくて、それを如何に使うのかということが本来の趣旨だと思いますので、この点よろしくお願いします。
 以上3点です。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。それでは、原委員から質問をお願いいたします。

〔 原臨時委員 〕 ありがとうございます。私からは、質問というよりは意見とコメントでよろしいでしょうか。

〔 加藤分科会長 〕 はい、どうぞ。

〔 原臨時委員 〕 まず、資料2-1の5ページの今後の課題というところですけども、これは引き続きということで、検討して努めることなど、いろいろありますが、これについては、やはり責任ある機関投資家としての姿勢を見せていくということで、引き続き必要であり、さらに求められると思いますので、引き続きこちらのほうはそのようにしていっていただきたいと思います。
 それから、今も何人かの委員の先生方からお話ありましたけども、資料2-2の論点例というところについて、幾つかコメントというか意見をさせていただきます。
 その中で、まず、今もおっしゃっていましたけども、オルタナティブ投資のところですが、この上限引上げについて初めにもう御質問がありましたけれども、こちらはやはり伝統的資産とは異なるリスク・リターン特性を有しているというもので、GPIFさんにおいても上限5%という形でやっておられるかと思います。ただ、1つは、上限5%といっても、すぐそこまでに上げるということではなくて、実際、GPIFさんでもなかなか良質な投資機会の発掘を適切に行うための時間を有するとか、そういう流動性の問題などもあったりするので、そういった意味では、今1%台で推移しているということで聞いております。ですので、上限が5%ということでも、一気に広げるということにはなかなかならないと思います。その辺りは、やはりリスク・リターンの評価・分析手法の確立とか、そういったものに向けた検証、もちろん人材対応ということも必要でしょうし、適切にリスク管理等を行っていくためにはどういう体制をつくっていくかということがまずは重要ではないかなと思います。パーセンテージというのは、5%をそろえるということですけども、すぐにそこまでということではないと思いますので、そのように、御承知のとおりかと思いますけれども、一応コメントさせていただきます。
 あと、情報の見える化についてですけれども、こちらについては、やはり組合員様に向けた情報提供の充実に努めるだけではなく、広く国民に向けた情報提供、情報発信も必要であると思います。やはりホームページといったところから、情報発信の強化ということで、ホームページコンテンツもそうですけれども、議論の透明性の向上もそうですが、いろいろ見える化していくということは、どういうことをしているのかというのが一般の方にも分かりやすくて理解も得られやすいと思います。また、そういったことにプラスして、組合員様・受益者様との双方向のコミュニケーションといったものも、これもどんどん図っていっていただければと思っております。
 最後にインパクト投資の話が出ておりましたので、少しコメントさせていただきます。インパクト投資については、ESG投資との相違点があると思います。手法についてですけども、そういったことに留意しつつ、組合員等の受益者の利益のためにも、中長期的な投資収益の向上を図るという観点から、このインパクト投資については調査等をまずしっかりとしていただいて、まずは検討といったことを進めていっていただければ、段階を踏んで行っていただければと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、工藤委員お願いいたします。

〔 工藤臨時委員 〕 御説明ありがとうございました。実は、川北委員と今の原委員とかなりかぶったところがございましたので、ごく手短にコメントさせていただきます。
 私も資料2-2の23ページにある論点について、幾つかコメントさせていただきたいんですが、今申し上げたとおり、既に川北委員と原委員とかぶっているところは最大限省略いたしまして、1点だけ、専門人材の育成というところについてコメントさせていただければと思います。資料の12ページを拝見しますと、先ほども御説明ありましたように、専門人材の登用とか育成その他いろいろとやっておられるということなんですが、やはりこれは、現在、業界の状況を考えると、非常に人材がそもそも逼迫しているのが実態だと認識をしております。ですので、必ずしも内部というよりは、外との連携とか、現在もやっておられるような専門家によるアドバイスなどが現実的なところかとは思うんですが、やはり中長期のことを考えると、内部人材の育成ということが非常に大事になりますので、その点では、ここでも書かれているように、大学院留学とか証券アナリストの資格取得の支援などを、ぜひ中長期にわたって計画的に実行していただけるとよいのではないかと思いますので、御検討いただければと思います。
 最後にもう1点だけ、今何人かの委員の先生方からも既にありました情報の見える化なんですが、やはり情報提供だけではなくて、こういった場合、なかなか難しいことは理解しておりますが、より説明責任を果たすという意味では、ぜひこの双方向というところを具体的にいろいろと取り組んでいただければと思います。
 あとはちょっと重複しますので、ここでは省略いたします。以上となります。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。共通したテーマもあったと思います。オルタナの体制であるとか、専門人材、PRIインパクト、情報の見える化等について御質問があったと思います。
 KKRから、お願いいたします。

〔 小西資金運用部長 〕 川北先生、原先生、工藤先生、どうもありがとうございました。
 まず、数字のところから、地共連から私どもへのいわゆる財政調整といいますか、金額は幾らかというところでございますけども、これは当然、年度によって違いますが、直近の令和5年度ですと1,600億円、ざっくり申し上げて1,500億円から2,000億円ぐらい年間出ていくのかなと計算しているところでございます。イメージそういう規模でございます。
 それからオルタナの体制、この辺りは皆さん共通してというところですが、今オルタナティブに直接携わっている人間は3名ということになります。オルタナティブの担当の課としては3名体制でやっておりまして、うち1人は、この4月に他の団体でもオルタナ投資をやっておられた方を課長として採用しています。それから私自身も、もともといたところでは、どちらかというとオルタナティブ専業の運用会社をやっていたとか、あるいはその親銀行がそういうものに割と好きなところというところでやっていましたので、そういう意味では、それなりに人はそろっているのかなと思います。ただ、若手2人はそのベテランの人について今やっている、こういう体制でやっております。
 あと、人材の奪い合いになるので、4主体で運用会社を一本化云々というところはありましたけども、なかなか我々だけで決められることでもないので、貴重な御意見として承りたいと思います。
 リスク管理につきましては、運用リスク管理室のほうで、オルタナティブの資産が入ってきたことによっていろいろ工夫は始めております。運用ツールをアラジンというものに替えてみたりというようなこともありまして、どちらかというと、今まで使っていたものよりもオルタナティブに強いものに取り替えたりというようなこともしております。どちらかというとリスク管理のほうが、先行して強化しているようなところがありますので、御安心いただいてもいいのかなと思います。体制整備には力を入れてやらせていただいているところでございます。
 それから、インパクト投資の関係あるいはPRIについてですけども、インパクト投資は先ほど申し上げましたとおり、やはり収益が取れてということで検討していきたいとは思います。
 それからPRIの署名とその効果でございますけども、10月に開かれたPRI in Person、昨年度は東京で開催されたんですけども、今年はカナダのトロントで開催されまして、私どもから3名ほど、サステナブルチームとか呼んでいますが、次長級の専門役を筆頭に3名で参加をさせていただいています。実際これからのところでございますので、今足元で何か署名したことで運用に効果があるかと言われれば、まだ出ておりませんが、いろいろこれから効果が出てくることを私自身も期待していますし、そのように努めて参りたいと考えております。
 それから人材育成についてもいただきました。これはもう私どもとしては永遠の課題だと思っております。私どもは運用だけではなくて、年金の支給ですとか決定、それから宿泊事業に病院事業というような多岐にわたる事業をやっておりまして、その中で職員をローテーションで充てたりということで、そういう中で一部、割と運用に長くいてくれて育ってくれているという人たちも若干おります。今年は、私どものプロパーの職員で証券アナリストジャーナルなどに論文を投稿させていただいて、賞までいただけるような人材も育っております。たくさんはおりませんが、少しずつそういうことで育ってはいますので、そのレベルまで全員が行くということは難しいとは思いますが、少しずつこういう地道にアナリストの勉強、それから職員全員にまずは一種証券外務員試験を取得させております。未経験者には、まず言葉から理解しようということで、ファーストステップは外務員から始まり、若手にはアナリストの勉強をしていただくというようなことで少しずつやっているところでございます。
 加えまして、先ほど紹介させていただいたオルタナティブの方を中途採用したと申し上げましたが、そのほかにも2人、今年の4月に採用しておりまして、経験者などを、あるいは民間の金融機関の出身者なども含めまして採用をして、少しずつ体制整備に努めているということでございます。
 私からの説明は以上でございます。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。川北委員、原委員、工藤委員、よろしいでしょうか。

〔 川北臨時委員 〕 大丈夫です。ありがとうございます。

〔 原臨時委員 〕 ありがとうございました。

〔 工藤臨時委員 〕 ありがとうございました。

〔 加藤分科会長 〕 それでは、松村委員お願いいたします。

〔 松村専門委員 〕 御説明ありがとうございました。私のほうからは、2-1、2-2それぞれについて幾つかコメントさせていただければと思います。
 2-1につきましては、厚生年金のほうも、あと退職等年金給付のほうも、いずれも単年度でも、中長期的に見ても目標を上回っている状況ということで、大変よい状況ということでお聞きいたしました。退職等年金給付のほうなんですけれども、こちらは共済組合の独自の制度ということでいらっしゃると思いますので、やっぱり給付のほうがあってこその運用ということだと思いますので、将来の給付に対して剰余がどの程度あるのかといったような積立て状況のようなものが補足いただけると、制度としての財政状況というのが分かりやすいのかなと思っております。
 2-2のほうについてですけれども、まず、アセットオーナー・プリンシプルのところで、前段ありましたけれども、即日受入れを公表されているというところで、今、企業年金のほうでは、各企業、各団体、受入れ公表に向けて検討ですとか準備とかをしているような状況で、そういう団体が多い状況でございますけれども、まさに他の団体の参考になる、公表されているということで、よい動きをされているんだなと感じております。
 関係しまして、見える化のところですけれども、資料の17ページのところに記載があったんですけれども、資金運用部門の担当者の取組などの見える化も進めていくということで記載されていまして、こちらも大変よい取組かなということでお聞きしておりました。取組ですとかの検討内容とか、そういうものを可能な範囲で広く開示いただけますと、受益者に向けてもですし、やはり他団体の比較ですとか参考という意味でも寄与するものかなと思います。
 最後ですけれども、オルタナティブ投資とかインパクト投資ということで、運用手法の高度化とか多様化に向けてということで話題に上がっているものと受け止めておりますけれども、体制などは皆様が、ほかの委員の方がおっしゃったとおりかと思うんですが、やはり目的があってのということだと思いますので、被保険者の利益のためにと、安全かつ効率的にという、そこの大原則のところがやはり大変重要かなと、軸になるものかなということで、改めてコメントさせていただきます。
 以上になります。

〔 加藤分科会長 〕 KKRから、何かありますか。ではお願いします。

〔 小西資金運用部長 〕 御質問という点では最初の退職等年金のところかなと思っておりまして、こちらの制度はいわゆるキャッシュバランス型ということですので、そういう意味では、万一足りなくなれば、給付を下げるか、掛金を上げるかというような仕組みでやっているということですので、そういう意味では、剰余が長い期間にわたって幾らあるかというような捉え方はしておりませんということでございます。ただ、5年ごとの財政再計算の中で、剰余がというか、パフォーマンスが基準利率、予定利率を上回っているような場合は、給付を加算するというような形で、還元するというような対応は取らせていただいております。

〔 小林運用リスク管理室長 〕 小西の説明は合っているのですけれども、掛金を上げるというのは、法律で簡単には上がらないというところで、その掛金の中の年金に充てる部分を上下させるという仕組に新3階はなっております。本筋の話とは違うのですが、補足させていただきます。

〔 松村専門委員 〕 ありがとうございます。ウェブサイトで財政検証の結果ですとか、再計算の結果というのを公表されていましたので、そこでちょっと今後の給付原価の数値とかというのも出されていたので、そういうものと比較して見られると、よりイメージがつくかなということでコメントさせていただきました。御説明ありがとうございます。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、ウェブのほうから関委員、お願いいたします。

〔 関委員 〕 これまでの御意見と重なるところもありますけれども、意見を述べさせていただきます。
 まず、運用目標、運用方針に照らした必要な人材確保、体制整備について、CIOなど外部人材としてよい方に来ていただくのは難しいというようなお話もありました。そうした中で、先ほど、現在内部の人材の専門性を高めていこうと、いろいろと工夫されているとのお話、とても心強くお伺いしました。KKRは、御説明いただいたとおり、運用以外の様々な業務を担っていらして、組織内で運用の専門職を育てるのは大変かなと、そういった状況にあるとは思いますが、引き続きKKR内部での証券アナリストなどの資格取得支援とか、大学院留学を後押しするなど、内部の職員の育成に力を入れていただければと思っております。
 次に、PRIの署名機関となった点は評価しております。PRI署名を踏まえて、これまでお話もありましたとおり活用していただければと思います。
 最後に、インパクト投資について、こちらもこれまでいろいろと御意見がありましたが、1つKKRならではの視点について意見を述べさせていただきたいと思います。御承知のとおり、公的年金制度は、私的年金とは異なり、100年間で互いを支え合う賦課方式を取っております。すると、私保険などと比べて、そうした支え合いの仕組みが可能となるような社会の構築、つまり、100年間の社会のサステナビリティを意識する必要がございます。そこで、ほかにも増してインパクト投資についても御検討いただければと思っております。
 以上です。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 KKRから、何かコメントありますか。よろしいですか。

〔 小西資金運用部長 〕 結構です。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございます。では事務局のほうから。

〔 山本給与共済課長 〕 すみません、ちょっと戻ってしまいますけども、川北先生から、これだけ人材が逼迫していると、一本化して運用したらというお話があったかと思います。KKRのほうからなかなか答えにくいところかなと思いまして。そういった御議論は、そんなに大きな声としてあるわけではないんですが、時々疑問として伺うことがありますけれども、その点については、差し当たりのお答えとしては、それぞれの職域、国家公務員であったり、地方公務員であったり、あるいは私学の先生だったり、そういった職域を前提に年金制度を組んでいくという制度の成り立ち柄、それぞれが運用していくという形になっているというのが現状でありまして、より違う次元で政策を考えたときに、そういう選択肢はひょっとしたらあるのかもしれませんけれども、これまでのところはそういった成り立ちになっているということがその経緯かと思います。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 時間も押して参りましたが、ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますか。川北委員、何かございますか。

〔 川北臨時委員 〕 今の一体化に関するお答えに関してなんですけれども、非常に難しいというか、制度的にいろいろ障害があるということは理解はしています。そうは言っても、資源がやはり限られている訳ですし、それから、今、公的年金にはスチュワードシップコードへの対応を含めていろいろ課題が課されているので、どうしても人材が不足するというか、ますます大きな人材が必要になってくる。
 そういう中で、オルタナに関しては、実際のところ、ゲートキーパーを利用して、そこが選択するという形を取っておられる訳なので、そのゲートキーパーの管理というんですか、そういうふうなものを公的年金が共同でつくるという、そういう形も取れるんじゃないかなと思いますし、そういう議論をしていますので、少し御考慮いただければと思います。
 少しコメントでした。

〔 山本給与共済課長 〕 御指摘ありがとうございます。

〔 加藤分科会長 〕 川北委員、ありがとうございました。
 私は、資産運用産業が産業として大きくなるという方向でいいかなと長期的には期待をしております。
 他によろしいですか。
 ちょっと私から一言だけコメントさせていただきたいと思います。今委員の方々からいろいろ御指摘、御質問ありましたけども、やはり人材の強化、体制の強化が非常に重要で、そこが根本にあるかなという感じがしました。特に日本の公的アセットオーナーは、資産規模に比べて明らかに人材が、体制が少ない。少ない人数でこれだけの規模の運用をしているというのは世界でも類を見ないのではないかと思います。ということで、今後ぜひ、その資産規模に見合う十分な体制を強化していくということが重要かなと思います。これはKKRさんに言っても詮無いことかもしれません。これはどちらかというと財務省さんにお願いするということかもしれませんけども、厚労省さんも含めて関係する官庁の皆様には、ぜひ人材、体制の強化というものを検討いただく必要があるかなと感じております。
 以上、私からコメントでございました。
 それでは、時間も押して参りましたので、続きまして、事務局よりお知らせがあるとのことですので、お願いいたします。

〔 山本給与共済課長 〕 本日、議題とまではしておりませんけれども、資料の一番最後に参考資料3を置かせていただいておりまして、こちらですけれども、本年12月に予定されています共済組合員証の原則の廃止、それから、最近は新聞をにぎわしておりますが、次期の通常国会に提出を予定されています次期年金制度改正法案、こういった法令改正が予定されますので、お知らせをさせていただきます。
 以上です。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 本日の内容全般にわたりまして、他に御発言等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 最後に、事務局のほうから何かあるでしょうか。

〔 山本給与共済課長 〕 本日は、専門的な見地から充実した御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。こういった御議論を踏まえまして、厚生年金保険法第79条の8第2項に基づく評価につきまして、12月下旬に財務省ホームページにて公表させていただきます。ありがとうございます。

〔 加藤分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、本日はこれにて終了させていただきたいと思います。御多用のところ、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

午前11時23分閉会