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【公会計に関する基本的考え方】3.予算及び決算に関する基本的考え方/財政制度等審議会


)予算及び決算に関する基本的考え方
3.予算及び決算に関する基本的考え方

 公会計基本小委員会としては、公会計制度の充実を図る中で、国の予算の効率化・適正化を進めることが重要であるとの観点から、予算及び決算に関する基本的考え方について検討を行った。その結果は以下の通りである。


(1

 予算とは、議会による行政府に対する財政権(歳出に関する執行権限)の付与である。このため、我が国の予算書は、国会が行政府に対して歳出権を付与することを基本的な目的とし、適正な資源配分とその執行を管理するための書類である。このような予算について、我が国では、原則として、現金の授受の事実をもって歳入、歳出を計上するという意味において、現金ベースの管理が行われている。

 予算計上を現金ベースで行う理由としては、

i)国の財政活動の基本は、その活動に必要な財貨を取得し、これを適正に配分することにある。このため、予算は、当該年度の現金収入である歳入を、当該年度に配分するものとして、現金ベースの統制が重要であること、
ii)議会の事前統制の手段、あるいは、執行管理の手段として、客観性と確定性に基づく明確性と分かり易さが必要となるが、この点において、現金ベースで計算した予算額に対する歳出権付与が優れていること、
iii)国の歳入歳出を網羅的に捉えるべきとの観点からは、国の歳入、歳出には、投資的経費を始めとして発生主義に基づく企業会計的な収益と費用の認識では捉えきれない項目が多く存在すること、
などの点が上げられ、これについては、十分な合理性があり、国会による行政府に対する財政権の付与である予算は、現金ベースで行うこととなる。
 また、予算の執行結果を把握し、国会に報告するための決算については、予算と同一の作成基準に基づく予算に対応した書類が必要である。
(注)我が国の予算に発生主義を導入する場合には、発生主義的な会計処理の導入により、政策上の判断によって、恣意的に会計方針が変更されてしまう可能性を高めるおそれがあるという問題や、歳出権の事後的な付与が認められない予算制度の中で、あらかじめ想定されない年度途中の償却負担の発生にどのように対応するかという問題がある。


(2


)予算及び決算に関する諸論点
 事業に要する費用の総体を把握し、財政の効率化・適正化を図るという観点から、発生主義の考え方や将来推計といった手法を、予算編成や予算審議の中でいかに活用できるか幅広く検討を進めていくことが適当である。発生主義の考え方、将来推計あるいは間接費用の配賦といった手法を活用するべき対象としては、
i予算に関する将来情報として、社会保障の各分野における将来負担など、将来の費用負担を明示すべき事業に関するコスト情報、
ii予算に関する将来情報として、社会資本整備における維持管理コストを含むライフサイクルコストなどの事前情報、
iii個別事業における人件費等の間接費用を配賦したコスト情報(フルコスト)、
などの把握が考えられ、その具体的な活用方策について検討を進めるべきである。

 発生主義とは、そもそも、企業の損益や財務の状況を事後に把握することを目的とする企業会計において、期間に対応する損益を合理的に計算することを目的とし、経済的価値が変動した時点を捉えて収益及び費用を認識する考え方である。公共部門においても、事業コストの把握や資産・負債の実態把握といった有益な機能を持つと考えられる。
 このため、英国では、現金ベースの予算額と発生主義ベースの予算額(資源額)の両方が議決され、豪州やNZにおいては、一部の歳出項目について、発生主義に基づき計算された予算額が議決されている。
 この点について、各省庁のコミットする政策(アウトカム)毎に予算計上が行われるこれらの国において、発生主義の活用は、各国独自の行政組織の構造の中で、いわば政府(内閣)と各省庁との契約に伴う対価を表示するものとして、当該年度の政策毎のフルコストの明確化が目的であると考えられる。
 従って、議会と行政府との関係や、予算・財政に関する制度及び実情の異なる諸外国において、発生主義に基づく予算額(資源額)も議会の議決対象としている制度が採られていることの合理性は必ずしも否定されるものではないと考えられる。

 また、我が国の現行の予算書、決算書については、その表示科目が事業の内容とは必ずしも結びついておらず分かりにくい上、政策目的毎に区分されておらず、事後の評価になじみにくいという問題があり、現行のままでは、次に述べる財務報告についても透明性の高いものにはならないのが現状である。このため、公会計基本小委員会としては、予算の明確性の向上を図り、事後の評価を可能とする方向で、予算書、決算書の表示科目について、政府部内で早急に検討を進めるべきであると考える。

 なお、いわゆる複数年度予算については、国会による歳出権の付与である 予算を複数年にわたり策定することは我が国憲法の制約からして適当ではないと考える。しかしながら、予算編成に当たって、個々の事業、施策、政策の中長期的な見通しに関する情報を活用して作業を行うことは有効と考えられ、どのような分野にこのような手法を活用すべきか更に検討すべきである。
 
 
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