財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会議事次第
令和元年10月23日(水)9:00~11:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
1.開会
2.外交関係等について
3.防衛について
4.中小企業、エネルギー・環境について
5.閉会
分科会長代理 | 増田寛也 | 遠山副大臣 藤川副大臣 井上大臣政務官 宮島大臣政務官 太田主計局長 阪田次長 角田次長 宇波次長 阿久澤総務課長 日室司計課長 前田法規課長 斎須給与共済課長 森田調査課長 西山官房参事官 寺岡主計官 大久保主計官 佐藤主計官 渡邉主計官 吉沢主計官 関口主計官 八幡主計官 中澤主計官 中島主計官 岩佐主計官 坂口主計企画官 井上主計企画官 飯塚主計企画官 | ||
委員 | 赤井伸郎 遠藤典子 武田洋子 中空麻奈 宮島香澄 | |||
臨時委員 | 上村敏之 河村小百合 木村旬 小林毅 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 田中里沙 冨田俊基 広瀬道明 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 横田響子 | |||
オブザーバー | 黒川行治 |
午前9時00分開会
〔増田部会長〕それでは、時間が参りましたので、開会させていただきますが、本日も冒頭でカメラが入りますので、このままで少しお待ちいただきたいと思います。
(報道カメラ入室)
〔増田部会長〕ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会における歳出改革部会を開催いたします。
ご多用中のところ、ご出席をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、議題を3つ行うこととしております。初めに外交関係等、2つ目が防衛関係、そして3つ目が中小企業、エネルギー・環境と、この3つの項目を議題として議論を行います。よろしくお願いいたします。
それでは、報道関係の方、ご退室をお願いします。
(報道カメラ退室)
〔増田部会長〕本日もペーパーレスで行いますので、もし、パソコンの調子が悪い方は、近くの係員のほうまでお申しつけをいただきたいと思います。
また、本日、欠席の神津委員から外交関係及び中小企業、エネルギー・環境について、進藤委員から防衛について意見書が提出されております。こちらについては、お手元にお配りをしておりますので、お目通しをいただきたいと思います。
それでは、第1番目、外交関係等について、佐藤主計官から説明をお願いします。
〔佐藤主計官〕おはようございます。外務及び内閣担当の佐藤でございます。
早速、始めさせていただきます。2ページ目を御覧くださいませ。我が国ODAの政策的意義につきましては、時代とともに刻まれてきた多様な側面がございまして、竹を割ったように、すぱっとした切り口で全体を評価することは非常に難しいのが実情でございます。このため、まず我が国のODAの歴史を簡単に振り返りたいと思っております。
我が国のODAは、1954年、コロンボ・プランへの加盟に始まりますが、同じ時期に、アジア諸国に対する戦時賠償と並行する形で、いわゆる準賠償と呼ばれる経済協力も行っております。
その後、1958年には、戦時賠償とは別に、輸出入銀行やOECFを通じた円借款が本格的に始まることになります。当時の日本は、復帰したばかりで、国際社会における地位の向上に向け、ODAや賠償問題の解決に積極的に取り組む必要がございました。とはいえ、当時の日本経済はまだ脆弱であったため、五、六十年代における日本のODAは、アジアにおける輸出市場の確保という側面が強く、実際、当時の援助のタイド率はほぼ100%という状況にございました。また、オイルショックを経て、中東地域への支援が大幅に拡充されるなど、総じてこの時期の援助は、日本自身の経済の安定的な発展という要素も色濃かったと言えると思います。
その後、70年代、国際社会における日本の地位が向上する中、タイド援助に対する批判や、東南アジアへの活発な経済進出に反発する大衆デモなどを受けまして、日本は、それまでの輸出市場や資源供給先の確保という面から、より途上国の立場に立った、相互依存を重視した協力姿勢へと改めるとともに、数次にわたる中間目標の策定を通じて量的拡充も行い、1989年にはトップドナーとなりました。
他方、国際的な援助の潮流は、経済成長優先から、教育や保健衛生など基礎生活分野に対する支援を重視する方向に進んでいました。日本も、経済成長路線に加えて、基礎生活分野に対する無償援助などにウイングを広めていきます。特に、冷戦期に両陣営による、いわゆる援助合戦が終結した後、国連を中心に今後の途上国支援のあり方を模索する動きが活発化する中、日本は、2000年のミレニアム開発目標の採択に向けて積極的に議論に参加していきます。1993年のTICADの開催や、改定ODA大綱での人間の安全保障という基本方針の提示も、そういった流れの中に位置づけられると考えられます。
なお、同じ時期、国連におきましては、安保理改革の機運が非常に高まっておりました。そういう意味では、日本が国際社会における幅広い支持を得ていく必要がある中で、展開された側面も大きかったのではないかと考えられます。
さらに、近年、我が国を取り巻く安全保障環境や、新興国の台頭などといった状況変化に応じて、ODAのあり方も新たな局面を迎えております。2015年に改定された開発協力大綱では、初めて「国益」という表現が用いられました。ODAは、国益追求手段として、刻々と変化する国際情勢を踏まえた戦略的、かつ機動的な対応がより求められるようになっています。
以上のように、ODAに期待される役割は多様化してきております。もちろん、我が国にとって外交は極めて重要でございますが、厳しい財政状況のもと、常にオントップでODA予算を増やしていくということは非現実的であります。これまで以上に質を重視し、それこそ戦略的に効率性の高い支援手法の組み合わせの追求が必要と考えます。
次に、3ページでございます。それでは、最初に、無償資金協力について御説明いたします。無償資金協力は、比較的所得の低い国を対象に、基礎インフラや教育、医療などの支援を行うもので、時々の国際情勢に応じて迅速、かつ機動的に対応するための有効な手段として、近年、1,600億円程度の予算となっているところでございます。
4ページでございます。無償協力予算の課題といたしまして、2つお示ししております。
1つ目は、予算の硬直化の防止です。青の棒グラフは、複数年契約を結んだことにより、今後、支払わなければならない将来債務の残額を示しております。ここ数年、債務は約2倍に増加しています。これと裏腹の関係ですが、折れ線グラフで示しました過去契約に係る当該年度支払い分、いわゆる歳出化経費も600億円程度に増加してきております。これらの背景には、質高インフラに代表されるような複数年にまたがる支援プロジェクトの増加などがあると考えられます。まだ致命的な状況にあるわけではございませんが、この傾向が続きますと、毎年度の予算が硬直化し、本来のメリットである機動性ある支援に支障をきしかねませんので、よくよく注意して管理を行っていく必要がございます。
2つ目の課題は、予算配分の大枠の明示についてです。無償資金協力につきましては、ただでさえ歳出圧力がかかりやすいことに加えまして、その時々の国際情勢を踏まえ、機動的に支援内容が決まっていくという性質上、あらかじめ個々の具体的な事業を積み上げることはなかなか困難でございます。このため、ともすると予算総額の議論に傾き、中身のめり張りづけの議論が不十分になりかねません。この課題を乗り越えていくため、個別の事業までは行かなくとも、例えば対象地域と支援分野のマトリックスといったような形で配分の大枠を設定し、これを土台にして、例えば翌年度の重要外交日程を想定した予算の「張り」の部分や、それらの財源を確保するための「めり」の部分として、例えば国際機関を通じた支援を重点的に行っている分野は、抑制的に阻止するといった議論をしていくことは必要と考えています。
次のページを御覧ください。5ページです。これは、配分の大枠のマトリックスの具体的なイメージとして、直近3年の支援実績を地域と分野で分けて記載したものでございます。例えば、右上の大洋州地域への支援は2018年度に大きく伸びているわけでございますが、この年は太平洋・島サミットの開催年に当たります。あるいは、右下のアフリカ諸国への支援につきましては、2016年のTICAD開催を機に重点的な支援が継続していることなどが見えてきます。予算段階で、ここまで詳細なマトリックスにできるのかについては、別途、議論もあるところですが、このような大枠を土台にして、翌年の重要外交日程などを踏まえつつ、何が「めり」であり、何が「張り」であるかといったこときちんと議論した上で、予算づけを行っていく必要があると考えております。
次に、在外公館でございます。7ページを御覧ください。我が国の在外公館数は、この5年で20館と高い伸びで増加しておりまして、既にイギリスやドイツを超え、量としては十分な水準に達しているものと考えられます。在外公館は、一旦設置いたしますと、後に廃止や格下げを行うのは非常に難しいという性質を持っております。したがいまして、仮に新たに設置をする場合には、あらかじめ設置目的と、それに対応した参照数値を設定し、事後的にその効果を検証し、改廃を含めた議論が可能になるようにしておくが必要です。
例えば、右側を御覧いただくと、平成19年からの3年間で16大使館を新設しております。これにより、職員数としては、全体の3%強のリソースを割いているところでございます。他方、これら16館における在留法人数やビザ発給件数は全体の0.2%程度であり、しかも、そのシェアは、ここ数年でさらに減少していることがわかります。在外公館の意義は、必ずしも数値だけで判断できるものではない面があることも承知してはおりますが、エビデンスベースでの議論も必須と考えているところでございます。
次に、9ページでございます。政府の情報システム予算についてでございます。本年6月のデジタル・ガバメント閣僚会議において、政府の情報システム予算調達の一元的管理の方向性が示され、今般の予算要求から、一部の情報システムについて、内閣官房のIT総合戦略室が一括要求を行っております。このため、内閣係を担当しております私より、今般の見直しの意義、目標について、簡単に御説明させていただきます。
政府の情報システム予算の規模でございますが、一般会計で4,000億円、特別会計を含む全体では7,000億円というオーダーになっておりまして、しかも近年、増加傾向にございます。
10ページを御覧ください。本来、デジタル化は、共通利用部分を集約化することで大幅な効率化を実現できる点にメリットがあるわけですが、現状では、府省ごとに個別にシステムを整備、運用しているため、重複投資などの無駄が生じております。この課題を克服するため、政府システムにおいて、民間で急速に普及が進んでおりますクラウドサービスの活用を強力に進めていくと、こういうことが今回の見直しの最大の眼目となっているところでございます。
11ページを御覧ください。具体的なイメージ図で御説明いたします。現状は、上にございますように、システムごとに、サーバー等のリース、保守、メンテナンス、セキュリティー対策などを契約するとともに、ピーク時の利用に備えた余剰なリソースを確保しております。このため、システムの数だけ保守費用等がかかる上、全体として使用されない大きなリソースを常に抱えることになります。他方、下の図でございますが、クラウドサービスを利用した場合は、物理的なサーバーのリースではなく、共通機能部分をサービスとして共同購入するという形になりますので、重複投資や過剰なリソースを削減することが可能となってきます。これを効率的に実現していくために、IT室に共通機能にかかわる予算を一括計上することとしたものでございます。
12ページを御覧ください。令和2年度には、人事システムや電子政府窓口など、各府省が共通で利用するシステムについて、合計約700億円程度の一括計上を行うこととしております。以降、順次、対象を拡大していく方針としておりまして、2025年度まで5年間にわたりまして、こういった取り組みを続けることで、運用、改修経費等の3割の削減を目標としております。
この政府の目標が確実に達成されるよう、きちんと取り組んでまいりたいと思いますし、その経過をきちんとウオッチしていくということで、ここでご紹介させていただきました。
以上、私からの御説明でございます。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
資料のタイトルもそうなっていますが、外交関係等と「等」がついているのは、外交の関係と同時に、今、後半で説明ございました情報システム関係がこの中に入っております。
それでは、この説明に対して、御意見等があったらお願いします。
それでは、富田委員からお願いします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。
最初に、ODAの歴史のところでありますけれども、我が国1人当たりのGDPで見ると、もう20番台の後半です。かつて、G3とか、G5とか、G7とか言われた時代とは大分様相を異にしていると思うのです。そうした認識を持って、やはりODAについても考えていく必要があろうかと思うのです。
本日、御説明いただいた中において、二国間ODAについて、バイの話がございました。そのときに、後年度負担をあまり考慮せずに契約を、予算を決めているのではないかという御指摘であります。実は、去年、JICAの執行について、後年度のことを考えずに、契約可能額を考えずに当該年度の予算をつくるようでは困る、だから、主務省はきちんと管理するようにということを建議で示したところであります。それと同じようなことが、本省というか、大使館のほうで、多分、いろいろ要請に基づいて、採択するプロジェクトについても起こっているということは、一体、全体のガバナンスはどうなっているのかということが問題かと思うのです。
したがって、ここにありますような、より詳細な、地域別、そして分野別の2国間ODAについての管理をきちんと進めていただいて、将来、予見可能なイベントにかかわる支出も、当然、主務省であれば把握できるはずだと思うのです。そういうこともやらずに、どんどん要求してくるのは、ちょっと納税者をばかにしているのではないかという感想を、やや大胆に言えば持った次第です。
同時に、バイだけではなしに、無償援助だけではなしに、テクニカルアシスタンスだとか、マルチだとか、さらには自助努力を涵養するための有償、円借ですね。これは、我が国がこれまで国際的に大きく貢献した分野だと私は思うのですけれども、そういうところと全体を見ながら、やはりバイについてもきちんと決めていくということは大事だと思います。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、田近委員お願いします。
〔田近委員〕御説明ありがとうございました。
前半の無償、有償のほうをちょっと触れたいのですけれども、実は、10月の1週、久しぶりにベトナムに行ってきて、ベトナムの高齢化プロジェクトをどう考えるかという仕事をしてきました。それとの関連でお話ししたいのですけれども、今、冨田委員もおっしゃった、無償協力の地域、分野のマトリックスをおつくりになったというのは、ものすごくいいことだと思います。
申し上げたいのはここからで、5ページを見ていくと、この中で日本はわからないですよね。具体的に言うと、ベトナムならベトナムで、社会保障分野で協力するときに何をするのか。1つは、ルーラーレイヤーのポバティーアリービエーション、貧困対策もあるし、都市分野の、今度は介護分野で日本がマーケットをつくってとっていくと、その戦略的なものもある。したがって、言いたいのは、このマトリックスをつくって戦略的に何をしたいのか。単にポバティーアリービエーションなのか、それ以上にマーケットをとるような仕事なのか。
それから、もう一つは無償だけではないと思うのです。無償と有償とのコネクションも重要だということで、申し上げたいのは、5ページの表をこれからどういうように、実際に目と鼻の見える、顔つきのわかる援助に仕上げていくことが仕事だと思いました。いずれにしても、ここからしっかりやっていただきたいと思います。
〔増田部会長〕ありがとうございます。
それでは、小林委員、どうぞ、お願いいたします。
〔小林(毅)委員〕今、田近委員もおっしゃいましたけれども、こういう無償をどういうようにして決めていくかという一つの方向性、それを考えるためのマトリックスというのは非常に有効であろうと思います。と同時に、そういうものを活用していくことも大事だと思うのですが、今の田近委員の話と少しかぶるかもしれませんけれども、これと在外公館数の関係を見てみますと、やはり非常に気になるのは、中国が非常に増えているということです。在外公館数を見ると、今、アメリカを抜いて1番です。これは、やはり各国へのプレゼンスが非常に高まってきていることの証明だと思うので、このあたりのところをうまく、ODAと在外公館数の統廃合をうまく組み合わせていくことによって、効果的な日本の国益にかなう、あるいは戦略的なものにかなう、こういった視点をちょっとつけ加えておいたほうがいいのではなかろうかと思います。
以上でございます。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕御説明ありがとうございます。
外交関係の在外公館のお話のところで、意見を申し上げたいと思います。私、これまで行革の行政事業レビューで、大分、外務省関係の事業にかかわってきたことがありまして、その経験をもとにお話しさせていただきますが、この在外公館の関係、主計官が御説明くださったように、外務省側としては非常に増やしたい、よその国はこれこれというようなことを言って増やしたい。ただ、一度増やすと、なかなか減らす方向とか、規模の縮小に行きにくいというのは、本当に御指摘のとおりですので、やはりきちんとそこは考えてやるべきではないかと思います。
現在、国の在外公館を抱えている課題として、やはり訪日外国人、ここ数年、急増しているという事情があって、査証関係の業務が、特にアジアの国々のようですが、もうパンク状態に近いと。査証発給システムの関係の改善とか、そういう投資もいろいろ外務省はやっていらっしゃいますが、どういう人に日本に来ていただいていいのかということを判断する業務だそうですので、システムだけで対応できるものでもないと。やはり実際に在外公館で申請されたご本人に会って、話を聞いてとかいうようなことが不可欠だと伺っています。そうすると、やはりどうしても人手がかかるという話があって、特にアジア各国の在外公館でそういう業務が完全にパンクしているような状態にあると。
にもかかわらず、ここで16公館を増やしたと。しかも、主計官の話では、そこに3%の人員が投入されているということなのですけれども、やはり国全体として見たときに、7ページに国の内訳が書いてありますけれども、こういうところで新たに在外公館を増やして人的パワーを投入することと、実際に目の前の業務がもう本当に山積みになって、せっかくこういうように訪日外国人が増えていくというトレンドの中で、それに追いついていかれないような状況が生まれている。では、どちらに、どれだけ人的資源を投入していったらいいのか、やはりきちんと考えてやっていくべきだということを、促していったほうがいいのではないかと思います。
あわせて、在外公館については、外務省はやはり国有化したいようなところがおありのようです。どうしても国有のものとして在外公館を持ちたいと。ただ、国によっては、在外公館をつくろうとしたときに、必ずしもそういう物件が見つかるかどうかわからないので、賃貸の形でやっているところもあるかと思いますが、やはり国によって、いろいろな意味で安全を確保する上での環境が違っているところのあるも思います。逆に、1回、国有の物件を入手してしまうと、同じ国でそこから別のところに移転するのが難しいこともあるでしょうから、そういったあたりをきちんと考えて、どちらでやっていくのがいいのか。長い目で見た財政面でのコスト、維持コストも考えた上で、ご判断いただくのがいいのではないかと思います。
あと、情報サービスの関係で、1点、意見を言わせていただきますと、12ページのところで御説明くださった、全府省で予算を一括計上する方向で、一元的な管理をしていかれるということで、この方向をぜひぜひお進めいただければと思います。12ページの資料の中でも出てくるのですけれども、上のところで、令和2年度の要求ではこれこれのシステムについて一括計上ということになっているのですが、ここに官庁会計システムというものも出てまいりました。
私、今年の夏の公開プロセスで財務省の事業担当だったこともありまして、そのときに伺った話ではあるのですが、官庁会計システムをきちんと統合して、さらに効率的な方向にしていくということももちろん必要だと思いますが、できることであれば、下の2.のところに関連サービスとの連携とあります。そこに入るかどうかちょっとわからないのですが、ぜひ民間との連携、特に予算執行のところだけではなくて、それに伴って国庫金の受けと払いの膨大な件数が発生している。民間のほうは、ここに来てやはり非常に収益環境、厳しくなっていることもあって、そこを何とか合理化できないかということで非常に努力をしているところです。
それに対して、政府側がそれを受けとめられるような体制、効率的な体制をつくれているのかどうか。官庁会計システムのところだけではなくて、実務面での国庫金の受けと払いのところでも、ぜひ民間も視野に入れて、うまく連携して、お互いに効率的に、正確な事務が行えるような体制にしていく、そういったこともぜひ視点に含めていただければありがたいと思います。
以上です。
〔増田部会長〕それでは、横田委員、お願いします。
〔横田委員〕ありがとうございます。
私も、情報システムの件についてです。今回、各府省のシステム関連で、自治体発注の件は入っていないという理解のもと、お話しさせていただきます。現在、総務省のほうでも自治体のデジタル化に関する議論が進んでおり、小規模自治体になると、発注能力が担保できないという懸念があり、今、発注の範囲や、個人情報の扱いについて議論しているところです。データの標準化が早急にされれば、その後のシステムの再構築にも対応しやすいので、早急なご対応が望まれることが1点でございます。
また最後に、3割削減することが目標とされ、金銭面について言及がなされていますが、データの標準化やデータ流通がしっかりなされることで、効能、効果が非常に出やすい分野だと理解しておりますので、そういったところも含めて御説明いただければと思います。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕私は質問ですけれども、最近、特に中東をめぐる情勢が複雑化してきて、イラン沖で日本のタンカーが攻撃されるようなことも起きていて、在外公館に関して、日本の在外公館、今までテロのターゲットに遭うことはあまりなかったのですけれども、やはりこれからのことを考えると、どの国の関係がどう変化したり、あるいは国に属さないテロリスト集団のターゲットに遭うかもしれないということで、これは予算が増えるほうの話で恐縮ですけれども、やはり在外公館をどう守るかという観点も必要ではないかと思います。その点で、何らか新たな議論が行われているかどうか、もし具体的な話があったら教えてください。
以上です。
〔増田部会長〕それでは、今の質問、後でまたお答えいただくことにして、少し進めていきたいと思います。次は、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございます。
私のほうから2点、先ほど皆様からも御指摘ございましたが、5ページの無償資金協力の地域別・分野別実績ということで、今回、こういう資料が出てきて、理解が深まったと思います。通常、民間の資料ですと、費用対効果ということで、これだけ予算をかければ、こちらはどういう結果が出たということが大体出るのですが、例えば国の数だとか、経済力だとか、人口だとか、そういうデータが右側にあると、よりわかりやすいと思いました。
もう一つ、情報システム予算関係ですが、今回、こちらの調達等を一括管理して、いろいろとシステムの統合化等をやることで費用の削減をすると、この方向性は、私は正しいと思うのですが、実は2015年にアメリカである大きな事件がありました。2015年の春に、アメリカのOPM、これは連邦の人事管理局ですが、ここのシステムがハッキングされまして、大体2,200万件の個人情報が海外に流出したと言われています。この中には、FBIだとか、CIAに応募した人の個人情報、つまり今、世界に広がっている米国のエージェントの情報も出たと言われて大騒動になりまして、OPM長官が辞任する結果になったのです。
情報を集めるということは、それが流出したときの被害も大きくなるということですので、一元化するのはいいのですけれども、当然、セキュリティーは2段、3段上のところを狙っていかないと、相当、悪影響も大きくなると思います。
以上でございます。
〔増田部会長〕ありがとうございます。
それでは、木村委員お願いします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。
資源が乏しく、圧倒的な軍事力もない日本にとって、対外援助というのはソフトパワーとして非常に重要だと思っています。御説明あったように厳しい財政状況ですから、その中で戦略的に取り組む必要があるというのは私も賛成です。その際、戦略性の中で大事なのは、日本の独自色を踏まえる必要があるのではないかという気もしています。国際情勢を見ると、中国は一帯一路を進めていますし、そこで借金漬けのような支援もあると聞いています。あるいは、アメリカは逆に、今まで国際秩序を担ってきたのが一国主義に傾いているということで、その中で、多国間主義とか、法の支配とか、これまで大事にされてきた国際秩序を改めて日本として、今も国是として打ち出していますけれども、そういうものをも踏まえた独自的な外交を、めり張りをつける土台の一つとして考えておく必要もあるのかなと考えています。
以上です。
〔増田部会長〕それでは、赤井委員、お願いします。
〔赤井委員〕外交に関して2点、まずODAについてですけれども、もう既に話があったように国益をどう考えるか。財政事情が厳しい中、また、中国との関係もありますので、日本にODAがいかに貢献しているのかという国益の視点、それと国益の評価ですね。どこまで国益を重視して、どのようにしているのか。なかなか難しいと思うのですけれども、政府として定量的にイメージして、それで国民の理解を得る必要があるということ。
それから、2つ目は在外公館についてですけれども、私も海外へ行ったときに公館でお世話になることもあるので、その国での日本の顔でもあり、外交上の意義は大きいと思われるのですが、外交公館がお互いに努力するというインセンティブも重要で、公開できる部分は限られるかもしれませんけれども、例えば内部情報でも外部有識者が評価するなど、お互いの公館がどのぐらい切磋琢磨しているのかという活動評価をして、それぞれの国の公館の存在意義を常に確認する仕組みをつくるべきだと思います。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、武田委員、お願いします。
〔武田委員〕御説明いただき、どうもありがとうございます。
本日は、我が国のODAの歴史も出していただいて、大変よく理解できました。日本の外交を取り巻く環境は、こちらに書かれていること以外でも、私は大きく変わってきていることがあると思います。1つは、経済力の視点、世界の経済大国であった時期と、世界第3位でいられている時期と、この先、世界第3位でもいられなくなる時期、こうした変化の中で外交を取り巻く環境は大きく変わってくると考えております。世界の情勢、米中の対立の問題、その他の地政学の問題等々を考えますと、2030年、その先50年を踏まえても、国際情勢は、日本にとって厳しい状況は続くだろうと、このように考えています。
もちろん財政が厳しい中で、めり張りをしっかりつけていくことは重要と理解しており、その点は賛成でございます。同時に、世界における日本のプレゼンス、あるいは国際秩序へのソフトパワーでの貢献、国益を守っていくことについて、どのように実現していくのかという戦略性は重要と思っております。例えば、重要な、国際的なルール形成などに貢献できるようなポストにしっかり戦略的に派遣する、あるいは、そういう人材が中・長期的に輩出されるように、若いころからそうした場への派遣を増やしていく。国として、中・長期的に日本の外交、国益をしっかり守るため、特に人材面での戦略性はますます重要になってくるのではないかと考えております。当然、こうした観点は含まれていると思うのですけれども、改めてその点についてお願いする次第です。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、神子田委員から質問ございましたので、佐藤主計官からお願いします。
〔佐藤主計官〕テロ等の危険についてでございますけれども、来年度、特別に何かということではなく、恒常的に来ている要求の中には、当然、テロ等の危険性がある在外公館に関しましては、いわゆる防弾車の装備だとか、具体的に人の命を守れるような物品の供給などを、毎年度の中で一応、措置している状況でございます。
〔増田部会長〕よろしいですか。
それでは、外交関係等については、一度ここで区切りをつけて、次の防衛のほうに審議を移りたいと思います。
それでは、岩佐主計官、お願いします。
〔岩佐主計官〕防衛担当主計官の岩佐です。
それでは、資料に沿って御説明します。まず、1ページ目、目次でありますけれども、本日は、防衛関係費をめぐる概括的な状況を簡単に整理した上で、予算編成等の課題についてお話しさせていただきたいと思います。
そこで、2ページです。我が国周辺の安全保障環境についてであります。時間もありませんので、詳細に申し上げるつもりはありませんけれども、最近では、北朝鮮が相当な頻度で弾道ミサイルを発射したり、あるいは中国において軍備増強がかなりハイペースで進んでいたりということでありまして、総じて言えば、安全保障環境はむしろ厳しさを増していると言わざるを得ない状況だと思っております。
そういう中で、どういうように防衛関係費を、防衛力の整備を図っていくかということで3ページであります。昨年末に、中期防衛力の整備計画、中期防と呼んでおりますけれども、これが策定されておりまして、令和5年度までの大枠は既に決定されております。宇宙、サイバー、電磁波といった、いわゆる新領域を含めて、真に実効的な防衛力、多次元統合防衛力と呼んでいますけれども、それを構築すべく、従来とは抜本的に異なる速度で防衛力を強化する一方で、厳しい財政事情等も踏まえまして、資源は柔軟かつ重点的に配分するといったことになっております。
その際、中段以下、経費の部分でありますけれども、防衛力整備の水準として、平成30年度価格で27兆4,700億円程度を目途とするとなっております。一方、各年度の予算編成に伴う防衛関係費は25兆5,000億円程度を目途とするということで、ここに約2兆円の差がございます。
この差に関しましては、下段の下線部分ですけれども、重要度の低下した装備品の運用停止や、費用対効果の低いプロジェクトの見直し、徹底したコスト管理・抑制等、いわゆる効率化、合理化努力を徹底しながら、実質的な財源確保を図るということになっております。
それから、新たな試みとして、これは昨年の建議も踏まえてのものですけれども、期間外の歳出も含みます、新たに必要となる事業に係る契約額についても17兆1,700億円程度とするということで、新たな枠を設けているということでございます。
次の4ページは、防衛関係費の推移です。棒グラフの青い部分が、中期防の対象経費でありまして、防衛力整備の基幹部分です。赤の線が、中期防対象経費の当初予算ベースの伸び率になります。現政権になって以降、プラスの伸びに転じまして、26中期防期間中、基本はプラス0.8%でありました。これに相当する01中期防の数字は1.1%であります。ただ、元年度は消費税の引き上げ分等の影響がありますので、ややイレギュラーですが、いずれにしても、そうした大枠の中でメリハリのある予算としていくことが第一であります。
5ページにお進みください。これは、防衛関係費の構造と、それから中期防の関係を図解したものです。太い黒枠で囲ったところが、いわゆる中期防の総額、先ほどの27兆5,000億円等に対応する部分です。それから、赤で囲ったものが物件費の契約総額17兆1,700億円に対応する部分であります。
防衛関係費、こうやって見ますと、構造自体、実はかなり硬直的でありまして、自由度がかなり限られているのが実情であります。令和元年度予算で見ますと、人件・糧食費が約2兆2,000億円、③の歳出化経費、過去の契約に基づき当年度にお支払いすると約束した分が1兆8,000億円程度でございまして、ともに極めて義務的性格の強いものであります。残りが②の一般物件費、1兆円弱ということになりますけれども、装備品の修理でありますとか、油代とか自衛隊の活動を支える部分ですので、大胆に手をつけにくい経費も含まれております。
こうした構造のもとで、各年度の予算編成を行っていくわけでありますけれども、いわゆる新規分の後年度負担を管理しませんと、後の年度の歳出化経費が膨らんで、ただでさえ硬直的な構造を、さらに硬直化させてしまうということがポイントになります。
そこで、次のページです。グラフの見方は、赤い折れ線が歳出化経費の水準、青や黄色い棒で出ている分が新規の後年度負担でありますけれども、26中期防以降、新規後年度負担が赤線の歳出化経費を上回って推移しておりまして、これが最近の歳出化経費を押し上げる構造になっているということでございます。現中期防の契約総額、約17兆円でございますけれども、これを単純に5で割りますと約3.4兆円ですが、2年度要求のところを見ますと、新規後年度負担が2.5兆円、それから下に行って一般物件費が1兆円強であります。もう既に計3.5兆円ということで、オーバーフローしているのが実情です。
変化の激しい時代に、スピード感を持って臨みたいという気持ちはわからなくはありませんけれども、あまり後先を考えずに巡航速度を超えて突っ込み過ぎますと、後に自分の首が絞まることになります。結局のところは、調達の効率化、合理化といった努力を徹底しながら、新規後年度負担をしっかり抑制していかなければいけないというのが編成上のビッグピクチャーになります。
前置きがやや長くなりましたけれども、結局のところは、調達改革を徹底して、良いものをより安く、当たり前のことを当たり前にやるということをしっかり根づかせることが最大の課題であり、それに尽きると思っています。
8ページにお進みください。ここ3年間の当審議会での議論のポイントをまとめたものです。要すれば装備品の取得方法の最適化、効率化、それから原価の適正化、プロジェクト管理の徹底等を通じまして、防衛産業を甘やかさないことが、実は防衛産業の強靭化、体力の強化にもつながるということだと思っています。この基本路線を変える必要は全くないと思いますし、むしろ深化させていくことが重要ではないかと思います。
そこで、若干具体的な例にも触れさせていただきたいと思います。9ページです。防衛省の要求を見てみますと、今年は航空機系のまとめ買い項目が結構目立ちます。ある程度まとめて買えば単価が下がるのは当たり前で、それ自体を否定するつもりはないのですけれども、結局、新規後年度負担を押し上げる構造等にもなりますので、安直に過ぎないかどうかは厳しく見なければいけないということです。過去の調達単価と比較しても、やはりまだ高止まりしているといったようなところが現状でありますので、徹底した単価の縮減に取り組むことがまとめ買いの大前提だろうと思います。
次のページ、これは実際、まとめ買いの要求が出ている項目、輸送ヘリ、救難ヘリでありますけれども、ライセンス国産方式での整備が前提となっております。価格を見ていただくと、輸入に比べると単価が高いことは明瞭です。実に両者とも、値段は米国価格の約3倍ということであります。何も潜水艦とか、戦闘機とか、ミサイルの類いまで、全部輸入に切りかえるべしとまで言うつもりは全くありませんが、こういった輸送ヘリ、救難ヘリは、運んだりとか、救助に行ける機能があればいいわけで、防衛省側にしてみれば、国内に何とか生産基盤を設けた方がいいということでありますけれども、現に海上保安庁、警察といったところは、回転翼に関してはもう相当程度、輸入品を入れているのが実情です。まとめ買いをする前に、まず相当、合理的な理由がないと、ライセンス国産方式の維持自体が正当化できないのではないかということであります。
それから、次の11ページです。装備品について、ライフサイクルを通じたプロジェクト管理を徹底すべしということをずっと言ってまいりました。厳格なコスト管理のもとで、PDCAサイクルをしっかり回すべしということは、当審議会でも何度も議論されてまいりましたけれども、現状は、あまりうまくいっていないですとか、管理の体制が不十分といった問題も提起してまいりましたが、本日の議論は、そもそも管理の対象が狭過ぎはしないかということであります。
右側の赤字の現行の基準でいいますと、300億円以上の研究開発段階の経費に照らしますと、2年度の実際の各種研究開発の予定のうち、ひっかかるのは下の黄色で囲ったごく一部ということでありまして、基準そのものをちゃんと見直すべきではないかということです。
それから、次が12ページ、これもプロジェクト管理に関連します。左下の表を見ていただきますと、ライフサイクルコストで見ると、実は運用維持段階で結構コストがかかっているところが見てとれるかと思います。かつ、当初想定したベースラインから、運用維持段階のコストが増えてしまっている例も結構見られます。
しかるに、左上の図、これは計画の見直し等に係る基準でありますけれども、ベースラインから一定程度を超えると、トリガーを引いて計画を見直すという構造になるのですが、現行、基準があるのはA、量産配備の段階と、量産配備に至るまでのBのところで、実は運用維持のところがすっぽり抜け落ちてしまっているのが実情でありまして、この穴はやはり塞ぐべきだと思っています。
それから、右側、運用維持段階のコストの縮減の手法として、いわゆるPBLというものがあります。現に、防衛省も部分的に導入を進めておりますけれども、さらに拡大できるのではないかと思います。米国の例を見ますと、例えばF-22の維持整備で相当の実績を上げておりまして、国防長官の表彰も受けております。我が国でも真面目に取り組んだ事例は、ぜひ防衛大臣に表彰してもらいたいものだと思います。
次の13ページです。入札段階も、しっかり目を向けておかないといけないということです。Remote Weapon Station、遠隔操作式の銃架であります。ある国内企業は、これは実例ですが、一者応札で落札いたしました。ただ、よく見ますと、右側の図のように契約条項にいろいろな条件をつけていまして、商社が代理店となったり、海外メーカーが直接契約者となることが、事実上、塞がれているといった事例も現に存在しています。国内外の企業間競争を阻害していないかという観点から、入札の方法等についても見直しを徹底する必要があるのではないかということです。
最後、将来戦闘機の話をしたいと思います。F-2の後継機となる将来戦闘機については、国際協力も視野に、我が国主導で開発に早期に着手するということに、中期防上、なっております。具体的にどういった枠組みで進めるかについては、まだ防衛省のほうで検討中ではありますけれども、過去の開発例を見ますと、左の開発コスト、開発期間ともに増大しているのが実情です。プロジェクト管理をしっかりやっていただくのが大前提でありますが、一方、ボーイング787にも採用された炭素繊維の素材などが特に有名でありますけれども、実は戦闘機開発を通じて民間部門に活用された技術というのはかなり多くあります。戦闘機開発は民間部門の裨益にもつながる話でありますので、官民がともに資金を出すような形で、いわば失敗しづらいコスト管理のインセンティブがきくような形で進めることが、実は重要ではないかと考えているということです。
私からは以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、以降、質疑に移ります。なお、冒頭言いましたように、防衛関係については進藤委員から意見書が出ています。
それでは、神子田委員からお願いしましょうか。
〔神子田委員〕ありがとうございました。
最初に説明のありました国際情勢、特に北朝鮮で次々と新しいミサイルが開発されるという中で、ある程度防衛にかける費用がかかってしまうのは仕方ないというか、かけなければいけないと考えております。ただ、今のお話を聞いても、前から言われていることですけれども、防衛省の武器調達等のコスト意識が甘いというよりも、そもそもそういうものがあるのかと疑いたいぐらいの調達をしているということで、まず予算を増やす前に、これまでの予算の中で、ここを削って、新たにこういうものを調達するということはかなりできそうな感じもしますので、そこは引き続き取り組んで、厳しく見ていっていただければと思います。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕御説明ありがとうございました。
この防衛の分野、やはりほかの歳出分野と違って、いろいろ御説明くださったように、歳出を抑制する努力、なかなかしにくい分野ではないかと思います。ライセンス国産であるとか、まとめ買いとかいうことをいたずらに進めるのではなくて、やはり絞るべきだとか、プロジェクト管理の対象を広げていくべきだとか、そういったあたり、本当に主計官の御指摘のとおりで、賛成です。
私がもう一点、申し上げたいのは、財政制度分科会、今年から参加させていただいたので、過去、取り上げられているのかもしれないのですが、一つ、行革のほうでのいろいろ経験とかも踏まえて言わせていただきますと、御説明くださった中で、防衛費の構造のところで、中期防衛力整備計画の構造のところで一般物件費というものが出てまいります。ここも、それなりのウエートがある。5ページのところだと思います。
この中で、基地周辺対策費というのが出てまいります。これ、今年の公開プロセスで担当した経験から見ますと、やはり防衛省、非常に真面目で、あと、基地周辺の方々から、やはりたくさんいろいろ苦情とかを直接受けられたりとかして、厳しいお立場の中で日々やっていらっしゃるのは非常によくわかるのです。ただ、この対策費の中身とかをいろいろ細かく見ますと随分甘いなと。
基地周辺の方々は、もちろん大変な負担を周囲の方々は負ってくださっているわけで、そのおかげで我々が暮らせているというところは本当にあると思いますので、それは私たち一般国民も重々承知した上で、やはりきちんと国費の負担でしかるべき対策費は出さなければいけない。それは私たちもすごくよく理解できるのですけれども、どうも中身を見ると必ずしもそうではない。いろいろ基地周辺の対策、学校とか病院のような公共施設であるとか、住宅向けの対策であるとか、いろいろ分けたものが行われてはおります。その中身を見ると、30年前、日本全体で空調のいろいろ設備、普及率が決して高くなかった時代の対策の枠組みを、そのまま維持してしまっていないか。
同じような対策で、基地ではないのですが、私、国土交通省関係の空港周辺対策のいろいろな事業にかかわったこともあって、いろいろこれまでの対策の経緯とか伺ったこともあるのですけれども、30年前、騒音対策が必要だというときに、設備をきちんとつくって、空調の設備をつくって、防音の二重窓になさったのは、国土交通省、当時の運輸省と防衛省と一緒です。そのころは、普及率もあまり高くなかったから、例えばエアコンだけ設置しても電気を通さなければ動かないわけです。だから、電気代の負担も国費でするのは当然だった。
ところが、その後、気候の変化もありますけれども、やはりこれだけ普及率が上がってきて、一般の家庭でも相当に普及率が上がってきて、みんな自腹でエアコンを回して暮らしているにもかかわらず、基地周辺だったら全額国費で負担するのがいいのか。国土交通省のほうで見ると、しばらく前から運営コストの負担はもう国費ではしない、設備の負担はするということでやっている。防衛省にいろいろ伺うと、そうではないんですね。まだ結構ずるずる出している部分がある。その予算規模を見ますと、基地周辺対策費の騒音対策のうちの大体1割はそういった経費が出ています。
ですから、そういったところも含めて、ぜひ一般国民の目から見て時代環境の変化に応じて、もちろんその対策費が必要になることは十分わかりますけれども、ほかの地域に住んでいる国民の目から見た上でも、現在の状況に即して国費として負担していくべき部分はどういったあたりであるのかということについて、ほかの省庁の類似の事業との比較とかも踏まえながら、どうも防衛省の視点がやや狭くなってしまっているところがあるようにも感じましたので、そういったところでの歳出の抑制につなげて、取り組みを促していくことも必要ではないかと思います。
以上です。
〔増田部会長〕それでは、冨田委員、どうぞ。
〔冨田委員〕ありがとうございます。
安全保障環境が厳しさを増して、防衛力の水準を強化しようということはそのとおりで、中期防が決まったわけですけれども、私、本日の御説明を聞いていても、防衛省は本当に防衛力強化をやる気があるのかということについて若干疑問です。調達コストを下げれば、防衛力の水準が上がるわけです。だけど、それをやっていない例がいっぱいある。
去年も、驚くようなプレゼンテーションを、この場で聞きました。ちょうど1年前ですけれども、民需の減少を防衛装備品の単価上昇で賄う構造、これを是正しようということをお示しになったわけです。期間費用の負担が防需に偏りがちとなり、民需の設備投資を防需が自主的に負担する構造となっているのではないか。本日の御説明におきましても、14ページの右側、将来戦闘機の開発のところで、そのような図がまさに示されているわけです。
だから、ここらについて、まだまだ改善の余地がある。また、先ほど来のライセンス国産による調達コストの割高の問題とか、非常に難しい問題はあるのですけれども、まだまだコスト面での改革の余地がある。ここのところのコスト管理の問題、先ほどインセンティブをどうやって見込んでおくかが大事だということが示されたのですけれども、やはり全体でもっと厳しい設定をしないと、去年も中期防の単価を示していただきたいということを建議いたしまして、そのとおり示されたのですけれども、その中期防の単価、9ページで御説明あったのですが、過去の予算単価よりも高いものが、また中期防の計画単価に設定されていたり、中期防の計画単価よりも来年度予算の要求単価が高いものがあったり、情報量が増えたことはいいのですけれども、積算根拠は何なのかということもきっちりとお示しいただかないと、ちょっとこれを見ていると、本当にコスト削減のインセンティブを高めて防衛力の水準を高めようというメカニズムが、まだうまく埋め込まれていないのではないかと思います。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、末澤委員、どうぞ。
〔末澤委員〕どうもありがとうございます。
今回、2ページ目に我が国周辺の安全保障環境が提示されていまして、近年、我が国周辺の地政学的リスクが相当高まっていると。しかも、かつての冷戦期と違って、世界が多極化していることで、逆に現実の紛争リスクが高まっている面がある。また、中国がかつてと違って、相当大きな軍事大国になっていることを考えると、このままいくと、どんどん防衛関係費は増えざるを得ない。しかも、最近、災害使途が増えていますから、そういう意味では広義の防衛関係費が増えると思うんです。一方で、先ほど6ページで示されましたが、後年度負担がどんどん増えているということになると、例えば通常の部隊運用、または訓練だとか、そういうところがどんどん削られて、本当にいざというときに大丈夫なのかと、私は相当心配しております。
そういう中で、やはり今後、防衛関係費をそんなに増やさずに実力を引き上げていくには、私は3つあると思っています。これは、近年、アメリカもずっと続いていますけれども、航空、宇宙関連は民生品を相当使う。先ほど主計官からもありましたけれども、例えば汎用のヘリコプターなどは、むしろ直接輸入したほうがいいのではないかと思います。
あと、FMSです。これは、本日、ちょっと御説明なかったですけれども、近年、増えております。実は、先週18日に、会計検査院からFMSに関する報告がちょっと出ております。近年、日本のFMSは、アメリカにおいても主要トップ3に入っています。カタール、サウジアラビアに次いで3位です。日本のFMSは、例えば2017年時点で、未納入件数及び未精算金額、お金を払っているけれども、物が来ていないものが85件、349億円ある。この中には10年ぐらい来ていないものがあって、単にコスト面だけではなくて、部隊運用、部品が足りないと飛行機が飛ばないという問題がある。
しかも、実はこれはアメリカで相当起きていて、今、F-35の稼働率がすごく下がっていまして10%を切っている。これは、やはり部品の納入不足だとか、システムも相当複雑化して、どんどんロールアップしていかないといけないのですけれども、この関係でF-35があまり飛んでいないのです。日本も相当調達しますので、FMSの管理を相当きっちりしていかないと、現実の部隊運用に相当大きな支障を来す可能性があると思います。
最後に、将来戦闘機ですけれども、日本の国産の戦闘機をつくりたいというお気持ちはもう重々わかります。進藤委員も、そういう意見書を出されています。ただ、現実面で見ると、私は相当厳しいと思うのです。30年前、アメリカの戦闘機メーカーは10社弱あったのですが、F-22の段階でロッキード・マーチンとボーイングの2社になりました。これは共同開発です。今のF-35ライトニングは1社です。
ヨーロッパも、現状はF-35か、ユーロファイターで大体やっているのですが、次の計画を見ると、フランス、ドイツ、スペインがFCAS(Future Combat Air System)という次の戦闘機システムの開発に乗り出す。一方で、イギリスはテンペストで、これにはスウェーデンと、今回、イタリアが加わるということで、1国でやる国は1つもないです。
かつてと違って、相当コストもかかるし、リスクも高い。しかも、ロシアに加えて中国も相当技術がアップしていますから、やはり現実には1国でできるような状況にはなくなってきているというのは、もう世界の趨勢だと思うのです。ですから、このあたりはより現実的に、自国で開発するにしても、やはり国際共同開発を本当にきちんとチェックしていくとかやらないと、お金だけかかって、実際、飛ばないというようなことになりかねない。そうすると、陸海空全体の部隊運用の大きなコストリスクになりますから、このあたりはもっと現実的に考えていったほうがよろしいのではないかと思っております。
以上でございます。
〔増田部会長〕それでは、中空委員、どうぞ。
〔中空委員〕ありがとうございます。
岩佐主計官がおっしゃった、より良いものをより安くということに関しては、もう異論のないところで、そのとおりだと思います。
末澤委員が最後に言っておられた自国一国だけではだめだという点についてです。ESGというファイナンスのあり方が、今、金融の世界では中心になろうとしています。その流れの中で、たとえば、武器をつくっていると投資対象ではなくなるということがよく言われています。いわば、民間のセクターの中でも、防衛関連のものをより小さく、ウエートを低くしていこうとしている。これは、もう今の流れでございます。
そうした変化を踏まえて今回の議論を見ると、例えば14ページに「民間部門にも裨益することは明らか」とあるのですが、本当にそうなのかということについて考えなくてはならないのではないでしょうか。多分、これから流れは変わっていってしまうと思うのです。そうすると、防衛関連の費用のあり方自体も変わってくる。民間にウエートをつけて支払ってもらうという考えよりは、国に必要なものはどこで、それについて国はどこまでお金を払うかということを、これは進藤委員も指摘されていますが、もう少し慎重であるべきだと考えます。防衛費を考えるとき、民間部門のファイナンスのあり方が変わってきているということを含み入れて、考えていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
防衛について、御意見や、御質問は以上でよろしいですか。
それでは、岩佐主計官、お願いします。
〔岩佐主計官〕いろいろ御指摘ありがとうございました。
コスト管理をしっかりして、もっと厳しくやれるのではないかといった御指摘がいろいろあったと思います。まさしくそのとおりだと思っていまして、防衛省の名誉のために一応申し上げますけれども、彼らも全く努力していないわけではない。少し前進はしていると思っているのですけれども、まだまだ足りないと思っていますので、その辺は厳しく見ていきたいと思いますというのが一つ。
それから、河村委員から御指摘のあった、いわゆる基地周辺対策です。確かに御指摘のとおりで、過去のものを引きずりながら、という部分も、多分、あるのだと思います。その辺も、しっかり精査させていただきたいと思います。
それから、末澤委員のおっしゃっていた民生品を使うとか、FMSの問題です。本日は、FMSは時間がなくて触れませんでしたけれども、いろいろ問題があることは事実です。ただ、これも防衛省のほうは政務レベルで相当動いていまして、価格の引き下げですとか、未納の問題とか、そういうところはアメリカに強く改善を求めておりますので、そういった努力は引き続きやってくべきだと思います。
将来戦闘機に関しては、御意見として受けとめさせていただきたいと思います。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、3番目です。本日、最後になりますが、中小企業、エネルギー・環境、こちらの審議に入りたいと思います。初めに、渡邉主計官から説明をお願いします。
〔渡邉主計官〕おはようございます。司法・警察、経済産業、環境担当の主計官の渡邉でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料3、中小企業、エネルギー・環境と書いているもので御説明したいと思います。
まず、中小企業です。2ページ、中小企業の概要ですが、中小企業は、事業者数で99.7%、従業員数で約7割、付加価値ベースで5割強を占めております。業種別で見ますと、事業者数、従業員数ともにサービス業が最多となっております。付加価値ベースでは、製造業とサービス業がともに2割強を占めております。
次の3ページと4ページは、中小企業を取り巻く環境の大きな構造変化、すなわち経営者の高齢化と人手不足についての説明でございます。
まず、経営者の高齢化からです。
3ページ上段の3つの図ですが、左から、中小企業の経営者の高齢化が進んでいること、2025年に平均引退年齢である70歳を超える中小企業の経営者の約半数で後継者が未定であること、そして経営者の高齢化は地方においてより進んでいることを示しております。
下段の3つの図は、左から、中小企業の数が小規模事業者を中心に減少傾向を強めていること、倒産件数は減少傾向を続けておりますが、休廃業、解散件数は年々増加傾向にあることを示しております。
次に、4ページです。人手不足についてでございます。企業の大小を問わず人手不足の状況にございますが、特に中小企業における人手不足は過去最高水準にございます。人手不足の中にあっては生産性の向上が急務ですが、中小企業の生産性は大企業と比較しても低くて、また、改善も見られていないという状況です。給与額についても、大企業とは大きな開きがございます。
右下の図、生産性向上に資するような設備投資が行われているかでございますが、足元では、設備の老朽化を背景とした維持・更新投資が中心という状況です。
次に、5ページございます。左上の表でございますが、中小企業の中にも生産性の高い企業が存在するわけでございまして、そうした企業では、設備投資やIT投資に積極的であり、従業員の賃金も高い傾向にあるということでございます。また、右上のグラフ図ですが、経営者の年齢が若いほど売上高が増加する傾向を見てとることができます。
以上から、中小企業の経営者の高齢化、それから人手不足という2つの課題に対応し、中小企業を活性化させるためには、事業承継、再編、創業等による中小企業の新陳代謝を促進する施策を集中的に実施する、生産性向上に意欲的な中小企業に予算面でも重点化する必要があると考えております。
次の6ページは、最近の主な中小企業支援策の全体像です。資金繰り支援、税制支援等については、多くの中小企業が利用してございます。図の真ん中にある補助金についてですが、企業のライフステージごとに企業活動全般を網羅する形で存在するわけでございますが、各補助金の利用件数を御覧いただきますと、補助金を利用している事業者は中小企業の一部に限られているということがお分かりいただけると思います。
ここからは、補助金について少し詳しく御説明していきたいと思います。次の7ページを御覧ください。独立した中小企業の自主的な努力が助長されることという中小企業基本法の理念を踏まえますと、中小企業向け補助金につきましても過剰な公的支援とならないものとすることが必要だと考えております。
こうした観点から、左側の棒グラフ、補助金の補助率ベース構成比を見ますと、近年、引き下げの方向で見直しを進めてきておりますが、依然、3分の2以上の補助率が大半を占めるという状況にございます。公立の補助金は、事業コストを大幅に引き下げる効果がございますが、モラルハザードを誘発し、投資が補助金依存となる、新陳代謝を阻害するといった弊害も懸念されるところでございます。
また、右の表ですが、中小企業向け補助金の成果目標(KPI)についても、政策効果を客観的に測定できないものが散見され、この見直しは必要と考えてございます。
次の8ページは、代表的な中小企業向け補助金である、ものづくり補助金の事例を載せております。この補助金は、中小企業の革新的なサービス開発、生産プロセスの改善等を行うための設備投資等を支援するためのものとして、近年、主に補正予算で措置されてきた補助金です。この補助金の成果目標(KPI)は、5年以内に事業化を達成した事業が半数を超えるというものです。
下の表のC.の欄、事業化達成事業者数のところを御覧いただきますと、KPIは達成されていることになりますが、そもそも開発された製品が1つ以上販売されていることが事業化の定義でございまして、こうしたKPIとすることが果たして妥当なのか。また、通常の補助率は2分の1ですが、大半の事業者がより高い3分の2の補助率で補助金を受けていることを踏まえれば、事業化率5割超という数値自体も適切ではないと考えております。例えば、補助金申請時に提出している事業計画を達成した企業数といった、より客観的なKPIの導入等を検討すべきと考えております。
ものづくり補助金を含めました中小企業向け補助金につきましては、冒頭に御説明した構造変化や、働き方改革など中小企業をめぐる環境の変化も踏まえて重点化した上で、適切なKPIの設定や、フォローアップ等の着実な実施により、より政策効果の高いものとしていく必要があると考えてございます。
次に、9ページでございますが、これは中小企業への資金繰り支援についてでございます。政策金融、信用補完ともに、財審の建議も踏まえまして見直しを行ってきたところでございますが、引き続き不断の見直しを実施していく必要があると考えております。
以上が、中小企業のパートでございます。
続きまして、エネルギー・環境に移りたいと思います。
11ページを御覧ください。パリ協定において、日本は2030年に温室効果ガスのマイナス26%との目標を掲げております。この目標と整合的なエネルギーミックスの達成のためには、右上のグラフに示されているようにオイルショック後並みのエネルギー消費効率の改善が必要とされております。
省エネ等の対策財源として石油石炭税がございますが、平成22年度と今年度を比較すると、温暖化対策税の導入もあり、2,000億円ほど財源が増えてございます。この財源も活用いたしまして、省エネ、再エネ対策に係る歳出を取り扱うエネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定の歳出も、経済産業省分、環境省分ともに、省エネ、再エネ技術の研究開発、機器の導入支援ということで、それぞれ1,000億円強増えているという状況でございます。
以下、主に環境省の事業を例にとりまして、研究開発予算と省エネ設備等の導入支援に係る補助金について御説明したいと思います。
12ページを御覧ください。研究開発予算でございます。研究開発予算は、地球温暖化対策税導入以後、大きく増加しておりますが、技術開発、実証段階から実用化、すなわち製品化や、普及、社会実装に至らない案件が多いという状況でございます。その理由といたしましては、研究開発の中間評価の評価結果が予算配分に反映されていないですとか、事業化の蓋然性を評価できるものが評価委員会に含まれていないといったことが考えられます。こうしたことから、評価に基づく予算配分のめり張りの徹底、事業化の見込みのないプロジェクトについて、事業の必要性も含めた精査、事業化の可能性を高めるための取り組みの強化といったことが必要と考えられます。
次に、13ページ、省エネ設備機器の導入支援についてでございます。省エネ政策におきましては、省エネ補助金等の予算措置を増額してきたところでございますが、近年の産業・業務部門のエネルギー消費の効率化は足踏み状態にあるという状況でございます。省エネ・省CO2政策においては、自主的な取り組み、それから規制的手法が重要ですので、補助金につきましても、こうした規制的手法とあわせまして、政策効果の高いものに重点化していく必要があると考えております。
スライドの中で、現状の補助金を幾つか例示しておりますが、CO2削減コスト、ここではCO2を1トン削減するために必要となっている補助金の額でございますが、同じ電源種別であっても、CO2削減コストの大きい、費用対効果の悪い事業が採択されている例もあり、また、横展開も不十分な例が見られるということでございます。各事業や、電源種別の特性も踏まえまして、設備等の価格低下を促すため、規制的手法との連携、CO2削減コストに上限を設定する、横展開を強化する、利子補給など、その他の政策支援への転換も検討すべきと考えております。
最後に、14ページです。省エネ機器導入支援への補助金の考え方の一つというのは、通常機器との価格差、掛増費用分を省エネによる運転コストの減で回収することが難しい場合に導入費用の一部を補助するというものですが、一部の事業では、補助金を加味すると、通常の機器よりも導入コストが低くなったり、投資回収期間が著しく短くなったりする例がございまして、こうした事例は過剰な支援ではないかと考えております。省エネ機器の導入支援の補助金については、価格動向等も踏まえまして、補助率の見直しとか、補助事業からの卒業も視野に入れつつ、適切な出口戦略を設けるべきではないかと考えております。
私からは以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、これから質疑に入りたいと思います。まず赤井委員からお願いします。
〔赤井委員〕ちょっと早退するので、先にコメントさせていただきます。
中小企業で1つと、あと両方に関して1つ、この分野は詳しくないので少し間違っているかもしれないのですが、まず、ここに書かれていますように、中小企業だと人材不足が大きな原因になっているけれども、人材は限られていますし、利益を上げるベンチャーにしろ、そういう能力を持った人も限られています。あと、中小企業ですと、規模が小さいので価格面での効率化は進まないこともあるので、財政分野でも議論になっている市町村合併や連携などのように、中小企業の合併や規模の拡大を促す、また連携するような形の補助金、もう既にあるのかもしれませんけれども、そういうもので規模の経済性のメリットを得ながら、もちろん中小企業には光る技術もあるでしょうから、そういう分野を探していくのもよいのではないかと思います。これは、海外進出に関しても同じことだと思います。
中小企業は、もちろんこれまでの歴史や経緯もあると思われるので、経営者の考えもあると思いますが、経営者も意識改革をしていくことが大事で、地方にそういうものは多いかもしれませんが、地方創生事業との連携も効果的だと思います。
もう一つの点ですが、中小企業にしろ、エネルギーにしろ、補助金の費用対効果というのは、ほかの分野に比べると、ある程度短期間で効果が出るものが多いと思いますので、売り上げや利益、それからCO2削減、これはCO2の価値をどう図るかということもありますけれども、そういうものがゴールになると思うので、ほかの分野よりも定量的評価は行いやすいと思うので、より厳密な費用対効果分析をそれぞれ求めるような形で検証していくことが大事だと思います。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、宮島委員からお願いしましょうか。
〔宮島委員〕ありがとうございます。何点かお話ししたいと思います。
まず、エネルギーに関しましては、一般国民にもわかるぐらい、以前と比べて輸入、輸出、需要国、供給国の世界的な情勢が変わってきているのとともに、中東から運ぶものに対し攻撃を受けたりとか、それを必ずしもアメリカが守ってくれるわけではないとか、さまざまな状況に変化が見られると思います。
省庁においても、資源エネルギー庁においても、それは今後、多様な戦略、むしろつき合う国を多くすることによる戦略を練っていると思うのですけれども、そこに関してはより進めていくという中で、どうしても歳出圧力が高まる部分が出てくると思います。例えば、今まで備蓄をだんだん減らしてきているさなかではありますけれども、減らすのを予定よりもやめようとか、国のエネルギー防衛に関してですので、必要な部分もあると思いますけれども、各国との連携においてより支出が抑えられるように、過剰な形での歳出を呼ばないような形にするということを促していくことが必要ではないかと思います。
資源開発に当たっても、間接的に公的な資金は出ていくわけですけれども、これに関しても、民と公的なお金がどのぐらいのリスクをとっていくのかを、決して安易な投資にならないように、もちろん大きな事業に関しては民だけでやっていけないものはあるとは思いますけれども、民と官の緊張感を保った状態で、過剰な投資にならないようなことをお願いしたいと思います。
次に、省エネについてですけれども、世の中は国際的に気候変動に対する意識がすごく高まっていると思います。これに関しては、日本は引き続き補助率とか、導入支援が必要なのはもちろんですけれども、省エネの必要性に対しての世の中への訴えかけが弱い状態のまま行っているのではないかと思います。つまり、国際的には気候変動に対してこれだけ意識が高まりながら、日本において世論ベースではそこまでではないということや、省エネに関しては、産業もそうですけれども、家計部門での省エネが進まないところが大きな問題なので、そこはお金を出すということだけではなくて、どのように働きかけていくかということも含めて戦略が必要なのではないかと思います。
環境省は、このたび、注目される大臣が来られたこともあり、これまでよりも国民へのアピールが少ししやすい部分も、うまくすればあるのではないかと思うので、補助率とか、お金のかけ方のみならず、国民へのコストを過重にしなくても効果的な働きかけを考えていくことを、財務当局としても促していく必要があるのではないかと思います。
中小企業に関しては、事業承継に関しては役割があったと思いますし、進んだと思います。ただ、全体として、もう何年も前から成長戦略のためにという旗を大きく掲げて、いろいろな税制、いろいろな補助金もやりましたけれども、それで一体どのぐらいいいことになったのかということが、いま一つよくわからないと思っております。もちろん、それぞれに対して不断の見直しをすることがベースであるし、KPIをしっかりフォローアップすることがディテールでできるなんことですけれども、やはり税制で施策をつくったり、あるいは補助金をやったからには、それは中小企業を維持するとかいうことではなくて、ちゃんと前に進んでいることを示せる状態にすることが大事だと思うので、そういった形での見直しを引き続きよろしくお願いします。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、広瀬委員、どうぞ。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。
まず、中小企業についてでございますけれども、中小企業に対する認識なり、方向性については、私は全く、今、御説明のとおりだと思います。今、お聞きして、キーワード的に申し上げると、やる気と挑戦ということだと、私、解釈したのですけれども、もちろんばらまき的なことではなくて、本当にやる気を持って経営している、あるいは挑戦的な事業者を国がサポートすると、こういうことだと思っておりまして、これはもうそのとおりだと思っております。
そういう観点からすると、ものづくり補助金というのは、まさにそういう考え方を具現化した制度だと思いますけれども、その中で、目標なり、評価が少し不明確というお話がありました。これは、いわゆる挑戦的な事業者、あるいは、やる気のある事業者も、目的なり、評価をはっきりしてもらったほうが、より挑戦的になりますし、やる気も出るので、これは両方必要だと私は思っているのです。むしろ、これは非常にテクニカル的な話ではないかと思いますので、ぜひ現場なり、事業者のこともいろいろヒアリングしていただきながら、いい評価制度をつくっていただきたい。ただ、あまり技術的に走りますと、どうしても使い勝手の悪い制度になりかねないので、その辺のバランスはぜひ実態を踏まえて検討していただければと思います。
それから、エネルギーについてですけれども、これはもう皆様ご承知のとおり、エネルギーというのは3EプラスS、供給の安定性、経済合理性、環境適合性、そして安全ということですけれども、経済性につきましては、今、自由化、マーケットメカニズムを使ってやっていこうと。これはいいのですけれども、問題は安定供給性と環境性です。これから供給の問題というのは、先ほどありましたけれども、今回のいろいろな自然災害を考えますと、どういうようにエネルギーインフラをつくっていくかという非常に大きな官民の問題になってくるのではないか。
特に、系統をどういうようにしていくか、あるいは電線の地中化をどうしていくか。これは、エネルギー事業者と国がどういうような考え方、あるいは、どういうような負担をしていくか、大変大きな問題になると思います。そのときに、単なるエネルギー政策ではなくて、もうちょっと広い観点、例えば住み方をどうするかとか、ユニバーサルサービスをどうするかとか、少し観点を広げていかないと、これはコストばかりかかることになりますので、ぜひ、そういう面から幅広い検討がこれから必要なのではないかと思います。
それから、環境性ですけれども、これはもう説明にありましたように、日本は今、省エネが相当進んでいる国と。これは、オイルショックの後、この30年、40年間、官と民が一緒になってきた成果だと思いますけれども、国が相当厳しい基準をつくる、それに対して予算的なサポートをすると、非常にうまくいってきたのではないかと思います。先ほどの安定性は事業者ですけれども、環境性、あるいは省エネを高めていくというのは、まさにユーザーに対する働きかけが成功したのではないかと思います。特に、産業分野は、ちょっと今、足踏みという話がありましたけれども、乾いた雑巾は相当絞っている状態であります。
今回、安倍総理が、環境と経済成長を両立させていくと、こういう方向を出されましたけれども、まさに環境だけでもなかなか難しいわけで、過去40年間やってきたというのは、そういう言葉は使っていないのですけれども、実質的には環境問題と経済成長をリンクさせながらやってきた成果だと。今回、改めてそういう考え方を出されたわけですから、ぜひ技術革新とか、そういうような民間の努力を政府がサポートする。ただし、これは非常に、短期間で成果が出るところもありますけれども、長期的な成果、あるいはトライ・アンド・エラーで全てうまくいくということはなかなか難しいので、その辺は、少し幅広い視点で見ていったほうがいいのではないかと思います。
以上でございます。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、冨田委員、お願いします。
〔冨田委員〕質問させていただきます。
中小企業の補助金ですが、『平成30年度予算の編成等に関する建議』において、我々は、中小企業向け補助金の補助率の見直し、そして補助事業の廃止、これは全部を言ったものではなくて、今、ご議論あったものづくり補助金について言ったわけです。本日、示していただいた表を見ると、30年度、補正でも800億円、31年度は50億円の予算がついています。これは、補助率を見直ししたものが出ているのかということが質問の第1。
それから、当時からKPIが不十分だという指摘を、ここの場でも議論がありまして、そのときに事務局より、自己負担の回収率、回収を始めた段階にある企業は何%あるかというようなお話を示していただきました。それが本日の表では出ていないのですけれども、どうなっているか。
だから、申し上げたい点は、モラルハザードを抑止しながら、真の意味で、先ほど委員おっしゃったようなものづくりを推進するための努力がやはり必要であって、それがそういう方向に向かっているかどうかということをお聞きしたい。最近の予算においてですね。そういうことであります。
〔増田部会長〕その点は、後ほど主計官から答えてもらいます。
それでは、次、田近委員、お願いします。
〔田近委員〕中小企業の御説明、ありがとうございました。
少し辛口の意見ですけれども、御説明の全体をどうやって構築するかということですけれども、中小企業の問題というのはいろいろな側面、本日やった側面もあれば、税制の面もあれば、いろいろなところがあって、財審で中小企業に対してどういうようにポリシーを構築するのか。具体的に申し上げていくと、中小企業を取り巻く環境の構造変化というのは、なかなかいろいろ参考になる図はあるのですけれども、例えば3ページの右上、60歳以上の経営者割合というのは赤いところが66%以上です。だから、ポリシーをどう構築するのか、この表から何を我々、財審として読み取るのか。
それから、皆様の意見を聞いてなるほどと思ったのは、6ページに最近の主な中小企業支援策という表があります。これは昔から、もういらっしゃいませんけれども、井堀先生が指摘していて、僕も聞いてそうかなと思ったのは、要するにどう中小企業のポリシーを構築するかということで、どこで市場が失敗しているのか、なぜ中小企業に対して政府が加入しなければいけないのか。例えば信用保証、これももうさんざんやってきたのですけれども、今、金利がこれだけ安くなってきて、ここで、市場自身が失敗してしまったのかもしれないですけれども、中小企業市場は失敗しなくなってしまったというか、皮肉ですけれども、ここなのかなと。だから、言っていることは一つなのですけれども、中小企業という分野で現状をどう把握して、予算としてどう介入しなければいけないのか。
ものづくり補助金についても、冨田委員が御指摘のとおり、さんざんここで議論してきたわけですよね。本日KPIも含めて、いろいろな事例を我々は議論してきたわけです。全ての予算がすばらしくやれればいいですけれども、いろいろな限界があることはわかるのですが、具体的になぜこの分野で国が関与して、どこでうまくいかないのか。
中小企業という分野で市場に任せていてはどこがいけないのか。そこをしっかり議論していただいて、その上で議論を組み立てていくというようなストラクチャーが必要だと。あまりにも最初からディテールに入り過ぎているというのが私の意見です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
それでは、上村委員、お願いします。
〔上村委員〕ご報告ありがとうございました。
私、2013年から行政事業レビューにかかわっていて、経済産業省と環境省の担当になるのですが、それで中小企業とか、エネルギーの事業を見てきました。その観点から4点です。
1つ目ですけれども、7ページにあるように、確かに十分なKPIになっていない事業が散見されることは間違いありません。なので、これは個々に改善していく必要があります。あわせて、補助金の中には地方自治体に対する補助金もありますので、例えば自治体の経済産業費とか、商工費で合算して支出されているものもあるということなので、甘いKPIであると、自治体への補助金も甘くなってくる可能性があるということです。先ほど田近委員が言われたように、どこまで国がやるべきなのか、どこまで地方に任せるべきなのかというところも整理して考えて、KPIについては、やはり生産性、収益性、付加価値というところで評価していくことが必要なのではないかというのが1点目です。
2つ目ですけれども、12ページ、こちらはエネルギーの研究開発ということになっていますけれども、経済産業省の事業でも技術開発ものについては実証事業が結構多いわけです。実証事業は、基本的に横展開とか、実用化することを目指しているわけですが、ただ、この資料の右下にあるように、中間評価の有識者会議が実証事業の評価を非常に甘くつけてしまうという構造はあると思います。なので、なかなかやめられないということです。やはり当初の段階で、実証事業の規模とか、そういうものは精査すべきだし、過去の実証事業のうまくいったものと、うまくいっていないものをきっちり反省して、今後に生かすということは非常に重要ではないかと思います。
次、13ページ目です。これはエネルギーですけれども、右下にあるように、CO2削減コストはおそらく全ての事業のレビューシートには入っているはずです。何年か前の行政事業レビューで、経済産業省と環境省の1トン当たりCO2削減コストの定義が違っていたということで、それを合わせていただいておると思いますので、今はよくなっています。なぜ重要なのかというと、要は比較可能性が非常に重要なので、どの事業のコストが安いのかが今は大分わかるようになってきているということです。なので、ぜひリストをつくっていただいて、効果が見込める事業から重点化していくということは、今後、必要だと。もちろん、短期コスト、長期コストがあるので、簡単ではないことは認識しております。
最後ですけれども、今、補助金の議論をずっとしているわけですが、やはり租税特別措置をどうするかということも非常に重要な点です。租税特別措置も同じように政策目的を持っていますので、補助金と租税特別措置とのすみ分け整理をして考えていくことが重要なのかと。
以上です。ありがとうございました。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
横田委員、お願いします。
〔横田委員〕中小企業支援策についてです。まず、廃業数が上がっているということであったのですが、おそらく諸外国と比べて開業率、廃業率がともに低目であることは変わらないのではないかと思うのですが、廃業率が4%前後から変化はあるか。廃業者も年齢が高くなって、自然減、自然増でとまっているのであれば、廃業率の中身を見ていくことが必要なのではないかと思っています。
また中小企業の生産性アップについては、IT投資、クラウド化が急務だと考えている。人材不足の中、人材のシェアリンクが、大事で、近隣中小企業で人を分け合うということ、起業する人材が一部の時間、中小企業で働き、安心して開業できるということもありうる、大都市圏の大企業による副業促進にもよるが、大都市圏との人材のシェアリングにもなりえ非常に肝かと思っています。
一方で、小規模企業のIT投資は、私の個人的経験で言うと、金額的にはさほどかからない。ただ、導入のハードルが高く、紙依存、業務プロセスの見える化ができていなくて、システムに業務をのせかえられないなど、専門人材による補助が非常に必要なところだと思っています。そこさえ手当てをすれば進むところがあり、人材もシェアし、場合によって企業が統合になっていく可能性もありますので、そういう線でつながるような施策をぜひ進めていただきたいと思います。
以上です。
〔増田部会長〕それでは、中空委員、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。
私は、エネルギー・環境のほうですが、先ほど防衛関連で民間の資金がなかなかつきにくくなるのではないかという話をさせていただいたのと相反するのですが、気候変動の話も、最近、話題になっていることもあり、民間の資金をもっと活用できる分野かなと思います。例えば、石油石炭税の話が出ていましたが、電気自動車が主流になってくると、それも入らなくなる可能性もあり、炭素税をもう一回、異論もたくさんあって、導入も難しいところではありますが、検討してみようとか、あるいは再エネの補助金のあり方を考える。もちろん、CO2削減コストに大きな違いが出るから、同種の支援でもこちらがいいよねと選んでいくのは当たり前なのですが、グリーンボンドとか、環境債などを買うときに投資家に対して免税をしてくれるとか、そういうファイナンスのあり方を少し工夫して、民間の資金をもっと持ってくることを考えるのも必要なのではないかと思います。
短期的にすぐできることではないかもしれないですが、中期的には必ずその資金がないとやっていけない分野でもありますので、エネルギー・環境分野でこういったところに風穴をあけていくということを少し考えていただきたいと思いました。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
田中委員、お願いします。
〔田中(里)委員〕
中小企業に関して、まず、全企業の99%を占める中小企業に光が当たるのは日本全体の活力になりますけれども、補助金がなくなったときに減速をするような施策は見直されるべきなのかと感じております。
5ページに、生産性の高い企業は設備投資やIT投資に積極的で、若い経営者は売上高が増加する傾向がありますけれども、多分、投資の前に、このような企業はビジネスモデルがよいのだと思われますし、若い経営者は柔軟で協力者も集まりやすいところがあります。まず成功の要因を分析して、そこからの対策を考えるとよいかと見ます。
また、6ページには、企業のライフサイクルに応じたきめ細かい支援が準備されているのですけれども、現代においては事業サイクルも規模や業種のビジネスモデルによってかなり異なりますので、手取り足取り的な支援の投入よりも、事業の持続的な成長を目指すような、収益を上げるマーケティング戦略のような考え方から、冒頭の環境認識を踏まえましたらば、今ある中小企業を潰さないという精神から、実効性ある対策が問われるのかなと考えます。
加えて、既に御指摘あるような、8ページ目のものづくり補助金のような出口のアウトカム指標が曖昧ですと、KPIも曖昧だというところから、最近、国ですぐれた民間企業や地域の団体を表彰する際にも、成果の部分はかなり丁寧に見る傾向が強まっている中、今後、公的資金の予算がつくような場合、配慮点を明確にすべきと考えます。1つは、目効き力をきかせる、評価基準をしっかりと入り口のところでそろえるということです。2つ目は、資金の支援だけではなく、アクセラレーターと呼ばれる支援者の存在、いろいろなアイデアやノウハウ、工夫等を指導していくような機能と役割を掲げて民間の力も投入していく。そこには、M&Aや承継者のマッチングなどもあると思いますけれども、かなり活発化していますので、先ほどのファイナンス面からも入れられないかと思います。
また、人材育成支援は、時間軸を決めて実効性を見ていかないと、能力を引き出す支援にならないと思います。その上で、支援を受ける際、形骸化されるのではなく、また複雑化のプロセスをとらなければいけない資料の簡素化や、その上でスピード感のある対応が待たれていると感じます。
最近、民間でも、例えば地方銀行の地銀発ベンチャーキャピタルなどが増えていまして、地方創生の観点から、圏域の地元企業とともに動くような活動にも期待が寄せられますので、ぜひ投資をして、成長支援もして、成功をともに持っていくような予算のつけ方を、民間がやっていることにプラスアルファで設計をすべきときが来ているのかなと思います。その上で、シンプルで活力を促すような支援が待たれるかと思いますので、今回、お示しいただいた方針は適切な形になっていると思うのですけれども、そのきめ細かい調整のところをしっかりと見ていく必要があるかと思っております。
以上です。
〔増田部会長〕それでは、末澤委員、お願いします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございます。
3ページですけれども、中小企業の問題というのは、前回ありました農林水産業ともわりと近いところがあって、私はやはり人口動態の変化が最大の課題だと思います。といいますのは、3ページの真ん中の下、企業規模別倒産件数で見ると、近年、倒産は全然ないにもかかわらず、企業数はどんどん減っている。なぜかというと、右側の休廃業・解散件数が増えているから。これは、左上の中小企業の経営者がどんどん高齢化して、次のページですけれども、人手不足の中で後継者難と。本来、人手不足であれば、合理化、省力化投資をするべきなのですが、4ページの右下の右から2つ目、省力化、合理化も投資も減っている。要は、自分の後継者がいないので、設備投資をやるインセンティブがあまり湧かない。
つまり、中小企業の問題は事業承継が最大の課題で、残す企業、残せない企業もあるかと思いますけれども、やはり日本経済全体に有益な企業は残す。残すためには、承継者対策をやっていかざるを得ない。私は、そこに重点的な取り組みをするしかないと、構造的な問題としてはそこだろうと考えています。
あと、エネルギーのところですが、これは環境政策ですね。この1カ月、欧米で選挙がありまして、ポーランドと新興国を除いて、オーストリア、スイス、カナダでございまして、いずれも緑の党は躍進しています。特に、比例代表のところは相当躍進しています。カナダは小選挙区なので、1議席が3議席になっただけで大したことはないのですけれども、やはり世界的に見ると環境問題に対する認識は深まった。これは、気候変動、最近のスーパー台風、スーパーハリケーン、猛暑、今年、パリは42度台ということで、ちょっと考えられないような暑さになったわけです。それが、もう本当に肌感覚として相当伝わってきているので、私は、これは来年、再来年にかけても引き続きブームになると思うのです。
ということは、やはり民間企業の方も、要は政府がやるのだからついてこいではなくて、むしろこれはビジネスチャンスになる、やっておかないと株価も下がるということで、側面支援をする形にしたほうが持続可能性は高いのではないかと思っております。中小企業もそうですけれども、やはり構造問題、マクロの環境の中でどういったサポートしていくかということを考えないと、結局、コストをかけても、なかなかリターンが得られないということになるのではないかと考えております。
以上でございます。
〔増田部会長〕それでは、木村委員、お願いします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。
私も、中小企業に関して申し上げたいのですが、今回の補助金に関しては、公的支援全体の中でどう位置づけるかということだと思うのです。要は、企業への支援ですから、あくまで政策金融、あるいは税制とかがまず優先的な課題であって、補助金というのは、本当に必要なところだけに絞って支給していくことが重要だと考えています。なおかつ、公的支援だけではなくて、企業の金融に関しては商業金融があって、既にもう日銀のほうで低金利をやっています。そういう意味で、環境はかなりよくなっていることに加えて、最近のネットに伴うクラウドファンディングですか、意欲的な企業とかはそういうところからも資金調達しているわけですから、いわゆる公的な支援、特に補助金の占める重要性はごく絞られていくのではないかと考えています。
その中で大事なのは、やはりターゲットを絞っていくことだと思っています。最近、若い人を中心に、AIとか、ロボットとかで、公的資金をあまり必要としないで、どんどん自分たちで起業して、産官学協働というのですか、そういうところで積極的にやっていくケースもよく目立っていますし、それが日本の低い開業率を少しずつ上げていく一つの原動力になるのかなという気もします。あるいは、それこそ従来型の中小企業でも、『下町ロケット』のような若い経営者の取り組みも少し出てきているようですから、そのところにターゲットを絞って、もし補助金が必要だったら支給していく。そういう方向性を、より明確に出していくことが重要かなと考えています。
以上です。
〔増田部会長〕それでは、遠藤委員、お願いします。
〔遠藤委員〕ありがとうございます。
経済産業省の関連予算に関する問題というのは、重要なテーマが山積しているのですけれども、エネルギー問題がエネ特の歳出に限られているのはちょっと寂しい限りかなと思っております。でも、その問題を今回、取り上げるということですので、それに関してですけれども、11ページあたりから始まるところでして、エネ特の歳出の中身が、やはり導入支援についても、技術開発についても細分化され過ぎというか、小さな事業規模のものが大きい、ばらまき過ぎという問題はこれまでの財審でもいろいろと議論がされてきて、その内容はあまり変わっていかないなという印象を持っています。もっと研究開発とか、導入支援の目標、ターゲットを柔軟化させてあげたらどうだろうかと思っています。例えばですけれども、エネルギー供給構造高度化法にのっとって、非化石電源の比率を死守するために、今の歳出先を振り向けるということですね。もうちょっと大きな構造的な議論が必要なのではないかと思っています。
その場合、地球温暖化対策税ですけれども、炭素税と名前を変えてもいいのですが、増税してもよいと私などは考えています。エネ特の中身を見ると、電源開発促進税も足りないので、そういう意味ではエネ特勘定を広げていってもいいのかなと思っています。例えば、研究開発でいけば、とりわけ蓄電池、これは家庭用もEVもそうですけれども、もっと上流を含めてあげるとか、非化石電源に振り向ける。先ほど防衛の議論の中で、次世代戦闘機の問題もありましたけれども、技術というのはつくり続けなければ枯れますし、それにかかわる将来人材が担保できなくなりますので、そういったようなことを踏まえながら、非化石電源に振り向けていくという柔軟化ですね。目的の明確化と柔軟化ということが、もう一度議論されるべきだと考えております。
以上です。
〔増田部会長〕ありがとうございました。
この分野の関係の御質問、以上でよろしいですか。それでは、小林委員、どうぞお願いします。
〔小林(毅)委員〕今、ちょっと表を見ていて思ったのですけれども、ものづくり補助金の実績で、C.のところにスポットライトが当たっていて、評価基準はどうかということはそのとおりだと思うのですけれども、E.のところです。付加価値の総額は、予算が1,000億円に対して8,000億円に伸びています。下の※、中小企業全体の付加価値額増加率が15.5%に対して、この分野は23.4%と。これ、ずっと右に見ていっても大きく上回っています。もし、ものづくり補助金に切り込んでいくのだとすると、この部分で実績が出ているではないかと言われたときに、どういうような考え方があるのか。つまり、E.の部分をどのように評価されているのかをちょっと教えていただければと思います。
〔増田部会長〕ちょっと私も最後に。今、皆様方から、特に中小企業について何人かの委員の方々から指摘、あるいは問題意識がご披露あったのですが、要は中小企業の財政的な措置について、他の政策とどう整合性をとるかというのはよく考えなければいけない。一方で、これについては、おそらく政治的な歳出圧力が一番大きい分野でもあって、ものづくり補助金も、今年度こそ当初になっていますが、一部、当初に入れられていますが、ずっと補正予算で、おそらく緊急性とか、必要性がそれぞれ説明されつつ、かなりの額を補正で対応してきたという部分です。だからこそ、各委員の皆様方が政策的な整合性のお話を御指摘されているのだろうと。租税特別措置のようなものは、まさに政治そのもので決まっていく話ですが、金融、それから税があって、最後に財政的な支援というものが、出番が回ってくるのだと思うのですが、その中で政策的な整合性をどう説明するかが問われていて、今度の建議のときにこの部分をどうするか、それに向けての一つ大きな御指摘だったのではないかと思っております。
ちょっと自治体などの経験がありまして、自治体の予算などはほとんど説明つかないような形で、国が大体措置するので、多分、自治体もこうするぐらいしかやらなくて、でも、これについては歳出圧力そのものということもあって、やはりそういう意味でも国の整合性みたいなものがうんと必要になってくるのではないかと、一方で思っております。
それでは、今、委員のほうからも幾つか質問ありましたので、それについて主計官から答えていただきたいと思います。
〔渡邉主計官〕ありがとうございます。
まず、冨田委員から御質問のあった、ものづくり補助金の補助率について建議を踏まえて見直したのかということだと思いますが、29年度補正のときから、その前までは3分の2だったのを2分の1にしているということですが、先ほど御説明しましたように、何らかの条件をつけて3分の2の補助金を受けている企業が多いということですので、本則は変えたけれども、例外が残ってしまって、そこが多いという状況でございます。
それから、自己負担分の回収がどれくらいかというのは、これは30年の建議のときにも御説明しておりますけれども、平成29年9月の集計分、前回御説明したものから統計としては変わっていないのですが、件数としては114件、金額としては約3.7億円ということで、平成24年から平成26年の補正事業を対象にしたものでございます。
それから、小林委員から御説明のあった、E.の付加価値額総計の増加分が中小企業全体の増加率から見てもいいので、これをどう評価するかということでございますが、結局、ものづくり補助金というのは、個別の中小企業に対する補助金でございますので、マクロで見るとこういう数字になっているということで、うまくいっているではないかという意見もあると思いますが、もう少し補助金を受けた企業について個別に見ていくことが必要ではないかと思っております。いい企業もあれば、うまくいっていない企業もあるはずで、そういったことについて情報を出すよう申し上げているのですが、まだちょっと出てこないということで、そこは中小企業庁とよく相談していきたいと思っております。
〔増田部会長〕よろしいですか。
それでは、中小企業、エネルギー・環境はこの程度にしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
それでは、時間が参りましたので、本日の議題は以上とさせていただきます。
次回ですが、11月1日、10時から、社会保障、それから文教・科学技術をテーマと、社会保障は前回、1回目をやりましたが、医療は除いておりますので、次回、もう一回、社会保障、それから文教・科学技術をテーマに、次回は分科会という形で開催します。
なお、建議の起草についても、従来どおり進めていきたいと思いますので、こちらもよろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれにて散会いたします。ありがとうございました。
午前11時00分閉会