財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会議事次第
令和2年10月19日(月)16:00~18:10
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
1.開会
2.議題
社会資本整備について
農林水産について
外交関係等について
3.閉会
部会長 | 増田寛也 | 中西副大臣 元榮大臣政務官 藤本政策立案総括審議官 矢野主計局長 角田次長 宇波次長 青木次長 中山総務課長 日室司計課長 森田法規課長 高田給与共済課長 有利調査課長 中島主計官 大久保主計官 飯塚主計官 渡邉主計官 関主計官 岩佐主計官 一松主計官 坂口主計官 波戸本主計官 藤﨑主計官 渡辺主計官 山川主計企画官 井上主計企画官 | ||
部会長代理 | 土居丈朗 | |||
委員 | 赤井伸郎 遠藤典子 佐藤主光 武田洋子 中空麻奈 宮島香澄 | |||
臨時委員 | 秋池玲子 上村敏之 葛西敬之 河村小百合 木村旬 権丈英子 小林毅 進藤孝生 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 田中里沙 冨田俊基 広瀬道明 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 村岡彰敏 横田響子 吉川洋 | |||
オブザーバー | 黒川行治 神津里季生 十河ひろ美 宇南山卓 平野信行 |
午後4時00分開会
〔土居部会長代理〕それでは、定刻になりましたので、財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会を始めます。
本日は、冒頭、カメラが入りますので、そのままお待ちください。
(報道カメラ入室)
〔土居部会長代理〕ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会における歳出改革部会を開催いたします。
皆様におかれましては、御多用の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
歳出改革部会におきましては、より少ない人数で、各歳出分野における予算編成上の各論について集中的に御議論いただき、財政制度分科会における建議につなげていきたいと考えております。
また、昨年に引き続き、歳出改革部会の議事進行につきましては、増田部会長に代わり、部会長代理として、私、土居が担当いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
なお、新型コロナウイルス対策のため、対面と遠隔の両立ての開催となっておりまして、御希望いただいた委員の皆様には、テレビ会議システムを通じて御参加いただいております。
本日は、社会資本整備、農林水産、外交関係等を議題といたします。
それでは、報道関係者の方は、これで御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔土居部会長代理〕それでは、まず、社会資本整備について審議を始めます。
藤﨑主計官から御説明をお願いいたします。
〔藤﨑主計官〕国土交通、公共事業総括担当の主計官の藤﨑でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料に沿って御説明いたします。
2ページを御覧ください。左側が、一般会計の公共事業関係費の推移でございます。バブル経済崩壊後の経済対策もあり、高い水準で推移しておりましたが、その後、縮減し、足元、令和2年度では約6.1兆円となっております。そこに、令和元年度と2年度は黄色部分が加算されております。これは、消費税率引上げに伴う需要変動に機動的に対応するため、臨時・特別の措置が当初予算で措置されましたが、公共事業もその一部とされ、令和2年度は約0.8兆円が加算されております。その結果、令和2年度は約6.9兆円となっております。今年度、1次補正、2次補正が計上されておりますが、公共事業関係費については補正予算では計上されておりません。
右側のグラフを御覧ください。国、地方を合わせた公共投資の対GDP比で各国を比較したグラフです。日本は、1990年代に高い水準から低下しましたが、主要先進国の中で相対的に高い水準を維持しております。
3ページを御覧ください。公共事業をめぐる現状でございます。まず、左上の表です。これは、令和元年度の当初予算に計上された公共事業関係費の執行状況と、その前の5年間、平成26年度から平成30年度までの5年間の平均とを比較した表でございます。3月末契約率を御覧いただきますと、両者ともに8割強で大きな差はないように見えますが、実際の支出率を見ますと、多少差があるように見えます。特に、臨時・特別の措置として計上した、3か年緊急対策の2か年目分の支出率で大きな差が生じております。
次は、上の段の真ん中の棒グラフです。公共事業の繰越額です。令和元年度3.9兆円となっており、平成26年度が1.8兆円であったことを考えると、近年、増加傾向が続いております。これらの要因は何かということは、よく考えていかなければならないと思っております。
右上のグラフでございます。建設業者の手持ち工事量です。大手50社、民間建設工事も含む数字でございますが、調査時点の未消化工事高を調査期日までの12か月平均で割った数値でございます。12か月のところで横線を引いておりますが、この横線より上になると手持ち工事量が増加しているということになります。御覧いただきますと、近年、手持ち工事量は増加し続けている状況になってございます。
左下のグラフです。求人倍率は、全産業が一番下、黒の実線で書いてあります。介護は、人の確保が難しいと言われておりますが、建設、土木関係の職についてはそれを上回る状況が続いております。
下の段、真ん中です。今年6月時点の調査ですが、中小を含めて人手不足を訴える声が大変多いという状況でございます。
右下は、業種別の労働生産性となります。建設業については、現在、全産業平均と比べて低い状況ですので、引き続き生産性向上のための取組を進めていく必要があると考えております。
4ページを御覧ください。次は、維持管理費についてです。人口は、減少すると見込まれています。
右側のグラフです。そうした中、維持管理費については増加することが見込まれています。赤い線は、予防保全を行った場合、予防保全とは小まめにメンテナンスを行った場合とお考えいただきたいと思います。青い線は、事後保全の場合です。事後保全は、何か問題が起きた場合に対応する場合でございます。維持更新費の増加は避けられないと考えられますが、予防保全のほうが増加幅を抑制できると考えられております。ただ、その場合でも、赤い折れ線グラフですが、1人当たり費用は2018年度と比べて2048年度には1.7倍になります。青い折れ線グラフの事後保全ですと、3.3倍と予測されております。
5ページを御覧ください。財政の規模の面から、OECD諸国を比較した表でございます。日本は赤い棒グラフ、米・独・仏・伊の主要先進国は濃い青の棒グラフで表しております。数字は、いずれも国、地方を合わせたものでございます。
一番左でございます。総支出は上から24番目であり、比較的小さい政府となります。
その中で、社会保障支出とそれ以外の支出に分けますと、左から2番目の表でございますが、社会保障支出は上から11番目、3番目の表ですが、社会保障以外の支出は下から2番目となります。社会保障以外の支出については、かなり小さな政府と言えると思います。
そうした中、公共投資に関する支出は社会保障以外の支出に含まれることになりますが、公共投資で比べてみると、左から4番目、右から2番目の表でございますが、真ん中ぐらいのレベルとなります。かなり小さい社会保障以外の経費の中で、全体の真ん中を占めるだけ支出がされているということは、これまで社会保障以外の経費の中で配慮されてきた結果と言えるのではないかと考えられます。
ちなみに、租税収入の比較は一番右でございます。
6ページを御覧ください。これまで御説明してきたことを踏まえまして、今後の社会資本整備の基本的方向性を示しております。
今後、人口減少等により、1人当たりの維持管理コストの増加が見込まれます。社会資本が概成する中で、むやみな新規投資や、老朽化の進展に伴う維持更新コストのさらなる増加は避けることが必要です。また、足元、建設労働需給が逼迫しており、今後も労働力の確保が困難である状況が続くと思われます。このため、建設業の生産性向上は必要です。国際的に見て小さな政府である中で、公共投資に関する財政支出は相対的に高い水準にあります。こうした点と、厳しい財政事情を踏まえれば、予算規模の量的拡大よりも、優先順位をつけて配分の重点化を推進することが重要であると考えます。
そうした中で、では何に重点化するのかということですが、維持更新コストの増加抑制に努める。その上で、現在、防災・減災としてハード整備を求める声が非常に強いですが、必要なハード整備を行うとして、ソフト対策と一体となった防災・減災対策を考える必要がある。また、コンパクト・プラス・ネットワークということでまちづくりを進めておりますが、その際、マイカー中心から、徒歩、公共交通機関中心へと転換を促す必要がある。それから、生産性向上に向けた取組を行っていく必要がある。こうしたことを踏まえて、重点化に取り組むのであろうと考えております。
続いて、各論点についてです。維持更新コストの増加に関する論点です。
9ページを御覧ください。右上の表です。地方公共団体が管理する橋梁において、点検で修繕等を行うべき状況と判定されたものに関し、赤枠で囲っておりますが、5年後でも半分が未着手のままです。
右下の表です。個別施設計画がつくられていますが、コスト縮減の具体的取組や費用縮減に関する記載が不十分な計画が多くあります。先ほど、予防保全、事後保全ということを申し上げましたが、インフラ全般について地方公共団体の老朽化対策を促す取組を進める必要があります。
10ページです。次は、新技術の活用についてです。国直轄事業では活用している例はございますが、地方公共団体では進んでおりません。右の表を御覧いただきますと、地方公共団体に新技術を活用していますかと聞くと、検討していない、知らなかったという答えが多い状況となっています。新技術は活用されなければ効果が出ませんので、地方公共団体における新技術の活用についても促す必要があると考えております。
次は、11ページで、都市計画税についてです。左側に説明をつけておりますが、市町村税であり、目的税でございます。都市計画事業や土地区画整理事業に充てるための税です。都市計画事業をするためには、市町村は都道府県から都市計画事業認可を取得する必要がございます。これまで事業認可を取るのは新規事業という状態が続いていましたが、今年6月に法改正が行われ、改修事業についても事業認可が取りやすくなりました。これにより、改修事業に対して都市計画税を充当することが容易になりました。
左下を御覧ください。近年、既に都市計画税を廃止した地方公共団体や、税率を引き下げた団体があります。今後、改修事業が増加せざるを得ないことを考えると、都市計画税を有効に活用していただきたいと考えております。
12ページを御覧ください。維持管理情報のデジタル化です。ここでは、下水道を例に取っております。維持管理情報を備えた台帳を備えた地方公共団体は少数でございます。特に、中小の都市でデジタル化は遅れているところでございます。将来、維持管理を行うに当たり、これまでの維持管理情報は不可欠でございます。維持管理情報のデジタル化を進めるとともに、国交省所管の下水道、農水省所管の農業集落排水、水産庁所管の漁業集落排水を併せたPFI、運営の広域化、新技術の導入を加速するべきではないかと考えております。
次は、13ページでございます。ハード・ソフト一体となった防災・減災対策です。
14ページを御覧ください。左側です。これまでハード整備を進めてまいりましたので、堤防の長さ、それからダムの洪水調節容量は増えてきております。一方で、浸水面積を御覧いただきますと、1980年代頃までは右下がりとなっておりますが、80年代以降はほぼ横ばいで、災害があると飛び跳ねるという状況です。こうした状況を考えますと、必要なハード整備を行っていく必要はございますが、今後の人口減少時代に合わせて、人の住み方も考えていく必要があるのではないかと考えております。
右側の表を御覧ください。これは、25年前の平成7年と5年前の平成27年とを比較したものですが、洪水浸水想定区域内に人口がむしろ集まってきてしまっているという現象が生じております。青の棒グラフは人口増減率、赤の棒グラフは洪水浸水想定区域内の人口増減率です。洪水浸水想定区域は、平成24年に指定されていた区域に基づいております。結果として、39の都道府県で洪水浸水想定区域内人口が増加しております。うち、28の道府県で、人口減少にもかかわらず洪水浸水想定区域内の人口が増加しています。また、7都県でも、人口増加率を上回って洪水浸水想定区域内の人口が増加しています。こうしたことを考えますと、人々に住み方を考えていただくに当たり、そのために何ができるのかということであると思っております。
15ページを御覧ください。まず、行政の取組として何をするかという観点からでございます。一番左側のグラフを御覧ください。洪水ハザードマップの公表状況です。まずは住民の皆様に危険性を認知してもらうことが重要となりますので、そのための情報提供が第一歩であると思われます。一番左下の注を御覧いただきますと、青の棒グラフの解説として、1000年に1度を前提としたハザードマップとありますが、5年前の法改正により、これを公表することが求められております。実際の公表状況ですが、表は今年1月1日現在のため少し古い情報でございますので、今はこれより進んでおりますが、まだ100%になっているわけではございません。
次は、規制に関する問題でございます。地方公共団体は、災害危険区域を指定し、開発規制を行うことができますが、指定面積、指定している市町村層を見ますと、全国的に十分に行われているのかということであると考えております。
次に、規制の種類です。一番右の表は、開発規制を行うレッドゾーンに関してです。土砂災害については法律で土砂災害特別警戒区域という指定区域がございますが、水害については存在いたしません。こうしたことを考えますと、水害ハザードマップの整備、災害危険区域等の指定を進めるとともに、水害リスクに基づく開発規制の導入を検討すべきではないかと考えております。
次、16ページでございます。続いて、行政による規制のほか、個人、企業等にインセンティブを通じて行動変容を促すことが考えられないかということでございます。
真ん中から右側を見ていただきますと、例えば住宅ローン金利の差をつけることはできないか。あるいは、火災保険で、今、幾つかの損害保険会社で、企業向けの保険として、浸水リスクに応じて保険料に差をつけることが行われておりますところ、こうした取組が個人向けを含めて拡大していくことはできないかと考えております。こうしたことを通じて、あなたのいる土地はこういう土地ですよという情報を伝えていくことができないかという問題意識でございます。
次、17ページでございます。国交省も、ハード整備だけではなく、土地の利用や、まちづくりも含めて総合的なマネジメントを目指すために、最近、流域治水という考え方を取り入れてきておりますので、御参考としてつけております。
18ページです。そうした中で、上流域については、利水ダムの治水活用で各省連携も進んでおります。中・下流域については、御覧のとおり関係者も非常に多く、これから取組をしていかなければならないと考えております。
19ページです。今後、流域での取組を進めていく中で、情報連携体制の強化が必要であると考えております。個別のダムの操作はそれぞれのダム管理者が行っておりますが、そこから出た水という観点で考えますと河川管理者との連携が必要となります。今、ダム管理者と河川管理者との間は、個別に電話、メール等で行っておりますが、ダムを効率的に活用するため、河川管理者が状況を一元的に把握できるよう情報網を構築し、水系全体で効果的、効率的な運用を行うべきであると考えております。
20ページを御覧ください。流域治水については、面的な取組が必要となります。国交省の交付金として、社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金、2つの交付金は合わせて1.5兆円ございます。これらの交付金は、様々な事業を組み合わせて実施することが期待されておりますが、左下を御覧いただきますと分かるとおり、メニュー数が1というものがほとんどとなっております。これは、道路、河川など単一の事業で計画がつくられているということでございます。今後、効果的に流域治水を進めるとなると、関係省庁の事業との連携を含め、これらの交付金を有効に活用していただくことが必要であると考えております。
21ページです。個別の話として、近年、建設されている公営住宅のほとんどは災害公営住宅となっておりますが、国が補助している住宅としてサービス付き高齢者向け住宅、セーフティネット住宅というものもございます。災害公営住宅を整備する際には、セーフティネット住宅等の空き部屋の有無も見て整備をしていただきたいと考えております。
次、22ページ、コンパクト・プラス・ネットワークの推進でございます。
23ページです。御参考でございますが、都市機能が拡散する中で、地域公共交通の利用者数が減少したという状況がございます。
24ページを御覧ください。地域公共交通機関の利便性を確保するための方策として、2つの事例を紹介してございます。1つ目は、姫路市の例でございます。これは、駅前と、それに続く通りの一部を一般車両進入禁止とし、公共交通機関の利用を促したことで、利用者の数が増加したという例でございます。次は、ロンドンの例を挙げてございますが、ロードプライシングでございます。一定エリアに入る際に課金するという仕組みで、車の流入抑制と交通機関の改善のために活用するというものでございます。
次に、25ページをお願いいたします。地域公共交通機関の利用を促すといたしましても、地域の公共交通機関の現状は利用者にとって最適かという問題がございます。そこは、地域でよく考えていただきたいということでございます。地域公共交通機関の経営効率等に留意し、持続可能性を高める方策を検討してもらう必要がございます。
26ページでございます。左側のグラフです。宅地面積は拡大を続けています。その供給元として、農地が大きな割合を占めております。都市のコンパクト化の観点から、農政部局と都市部局がきちんと連携することが必要でございます。
27ページをお願いします。これは、防災・減災という観点とコンパクト化の両面で考えていただきたいということで例を挙げてございます。
ある県の、ある市の事例でございます。上空から見た写真です。昭和40年代から宅地化が進み、昭和61年に、真ん中下から上に延びている高速道路のインターチェンジが整備されたことで、宅地化がさらに進みました。2年前の豪雨で、赤い線で示された地域でございますが、土石流氾濫が発生しております。災害発生後の12月に、土砂災害警戒区域が指定されました。これが黄色い線で示された区域でございます。その4か月後の平成31年3月に、今度はコンパクト化を進めるための立地適正化計画が公表されております。その際、緑の線で示された地域でございますが、コンパクト化を進めるために、皆様、ここに住んでくださいと促すための居住誘導区域として設定されております。その後、さらに9月になりまして、黄色のエリアの一部が、今回はお示ししておりませんが、開発規制が行われる土砂災害特別警戒区域に指定されて、居住誘導区域から除外をされております。
こうした例から、2つのことが言えると思います。1つは、土地の特性を見極めて、きちんと早期にハザードエリアの設定を行う必要があるということ、2つ目は、立地適正化計画の策定に当たっては、将来の災害リスクも踏まえて設定を行うべきものであるということでございます。
次は、29ページを御覧ください。北陸新幹線の金沢-敦賀間につきましては、現在、建設工事が続いております。2年前の平成30年に、工事費が1兆1,858億円から1兆4,121億円に2,300億円増加するということが見込まれまして、工事計画等が変更されております。こうした中、それ以降も入札で不調不落が多数発生しておりまして、結果として、予定価格の増額や、工期短縮策に伴う設計変更による費用増が生じていると見られております。具体的に申し上げますと、最終予定価格が当初の価格に比べて約4割増と大幅に高く、入札状況も1社応札かつ高落札率となっております。国土交通省において、早急に多角的な分析を行い、対外的な説明責任を果たすことが必要であると考えております。
30ページを御覧ください。右側の表でございます。整備新幹線については、現在、北海道の新函館北斗-札幌間、北陸の金沢-敦賀間、九州の武雄温泉-長崎間の3区間で整備が行われております。北陸と九州につきましては、平成30年の見直しで工事費が増加しております。この結果として、B/Cが当初の数字から低下しております。国交省の指針では、事業継続の検討に当たり、残事業のB/Cが1を超える場合には事業継続とされており、北陸、九州ともに残事業B/Cは1を超えるため事業が行われております。ただ、事後的に費用の大幅増が発生して1を割り込むということは、本来、不適切でございますので、事業費の上振れリスクをできる限り着工前に解消し、着工後も確実に1を上回るようにしていくべきであると考えております。
最後、31ページでございます。整備新幹線の財源は、まずはJRの受益の範囲内で貸付料を確保した上で、残り部分を国と地方が2対1で費用分担するということになってございます。貸付料は、30年定額でございます。ただ、過去の東海道新幹線の例では、大規模改良に着手したものは建設から50年後、また、各区間の費用便益分析におきましても50年間の便益が算出されております。こうしたことを踏まえますと、貸付料水準の最大化を図るのみならず、支払い期間の延長等についても具体的な検討を行っていくべきであると考えております。
私からの説明は以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見などをお伺いしたいと存じます。なお、本日、赤井委員、中空委員、神津委員より、本テーマに係る意見書を御提出いただいております。お手元にお配りしておりますので、お目通しいただければと存じます。
いつものように、御意見のある方はネームプレートを立てていただければ幸いです。また、テレビ会議システムを通じて御参加いただいている皆様には、御意見のある場合にはテレビ会議システムの挙手ボタンをクリックしていただきたく存じます。
システムの運営の便宜上、まず、会場におられる委員から先に指名いたします。なお、オンラインを含めて、今回も御出席いただいている人数が多く、限られている時間の中でできるだけ多くの委員の方々に御発言をいただきたいと存じますので、御発言の際はできるだけ手短にお願いいたします。
それでは、佐藤委員からお願いいたします。
〔佐藤委員〕御説明、ありがとうございました。
まず、資料の27ページに関わる話ですが、防災と立地適正化計画の関係についてということで、邪推するに、恐らく防災、つまり具体的には洪水ハザードマップを作ったり、災害危険区域を指定したりする部署と、それから立地適正化計画で居住誘導区域を設定する部署は違うと思います。いわゆる縦割り行政の弊害が出ていると思いますので、やはり全体最適を求めていく。これは地方公共団体の中で問題なので、地方公共団体の中でそうした全体最適を求めていくということであると思います。
同じことは、その前の26ページの農地の転用についても言えるわけです。本来、コンパクトシティーを目指していくのであれば、農地の転用には規制をかけるべきですが、恐らく判断している部署が違うのだろうということ。それから、転用を許可するのは知事であり、立地適正化計画の各種を作っているのは市町村ですので、その辺りの連携がうまくいっていないのかなと想像はつきます。
それから、12ページに関わる広域化の話ですが、今日、あまり議論になりませんでしたが、広域化を進めるに当たっては、まず料金設定の適正化をしなければ、補助金をたくさん入れているところは料金がどうしても安くなります。水道、上下水道ですね。料金の適正化と、コスト、財務情報の「見える化」の徹底をやらないといけないのかと思いました。
また、15ページ、16ページで、ハザードマップの公表や保険料の話がありますが、こうした情報の開示と保険料は実はすごく大事で、教科書的に言えば価格というのは情報ですから、そうしたリスクの「見える化」を保険料やハザードマップの公表で徹底していく必要があるかと思います。
最後、一言だけ。20ページで交付金の話がありましたが、一方で、財審では、交付金にしていくと地方公共団体が勝手に使ってしまうので、個別補助金化の話もしているわけです。なので、交付金の話と個別補助金化の話を整合的にするために、アウトカム指標の設定ということをきちんと言わなければいけないと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、私から向かって右側から順に御発言をいただきたいと存じますので、広瀬委員から順にお願いいたします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。
言うまでもなく、社会資本は、人々の暮らしや産業活動のベースで大事ですが、一方で、前回、少し申し上げましたが、コロナのリカバリー政策、グリーンリカバリー、レジリエンスリカバリー、デジタルリカバリーという面でも、今回、非常にその意義はあるのではないかと思います。
ただ、やみくもにやっていると、これは切りがありませんので、6ページの基本的方向性、これは非常にコンパクトにまとめられております。特に申し上げたいのは、先ほど説明がありましたが、これからコンパクトシティー、既にいろいろな動きがあるようですが、交通インフラ的にも、あるいは資源インフラ的にも野放図に都市が広がります。集中と分散のバランスを取って、これからのまちづくり、そのベースとなる人の暮らしづくりについて考えていただきたい。真っさらの状態からつくるのであれば可能ですが、既存のところを変えていくのは本当に何十年という時間がかかると思うので、ぜひ地道にやっていただきたい。
それから、最後に1つだけ。インフラについても、特に中央の大手企業だけではなくて、やはり地元の企業あるいは地元の人たちが参加するような形の整備をしていくべきではないかと思います。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、田中委員、お願いいたします。
〔田中委員〕田中です。ありがとうございます。
まず、3ページ目のところに、建設業は業界別の労働生産性が大変低いとあります。近年、i-コンストラクションの導入で、生産性革命や働き方革命に取り組みながらも、裾野が広い業界だけにIT化の遅れが結構大きいかと思います。また、未消化の工事もあるなどいろいろなギャップがあるのはなぜなのか。現場からのいろいろな要望や要請、また情報共有もなかなか難しい部分があるのかもしれませんが、明らかにできるといいかと思います。
14ページ目、洪水浸水想定区域に平成27年の時点でまだまだこんなにたくさんの人が住んでいる現実は、この後、もしかすると改善されていくのかもしれないですが、今回、お示しいただいた14ページ、流域での治水や防災というところにもあるように、国と地方公共団体の間での情報共有が困難な中にあっても、加えて民間とも縦割りをなくしていくといった連携に向けて、この辺りの情報をしっかり共有して行くことが大切かと思います。
また、18ページの図では、民間企業なども、先ほどの保険の仕組みも含んで参加できるきっかけが始まっています。流域治水やまちづくりにおいても民間の資源や力を有効に取り込みながら、ガバナンスの構図にイノベーションを入れて、予算の組み方ができるということの思想と流れが示されているので、それが実行できるように推進していければと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、竹中委員、お願いいたします。
〔竹中委員〕14ページ、洪水浸水想定区域のところの人口変化についてですが、私自身、神戸で阪神・淡路大震災を体験して、こうした災害、自然災害に非常に危機感を持っています。そうした中で、東日本大震災、大洪水などがあったにもかかわらず、洪水浸水想定区域に人口がこれだけどんどん流入していると。先ほども御質問があったように、直近の数字が少し変わっているかも分かりませんが、この表を見る限りでは非常に危険であると。
特に、日頃、障害のある方や高齢の方とともに活動していることを考えると、このような表になっていること自体の裏側に、その危険度が認知されていない状況があるのか、あるいは、危険地域であるから地価が安くて、もしかしたら危険地域と知らずに人が集中しているのか。そうした複雑な何かが絡んでいるのではないかと思って、もう少しこれは真剣に調査をしていただかないといけないと感じながらこの表を見ましたので、ぜひ財審からも、そうした調査について一言、言っていただければどうかと思います。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、武田委員、お願いいたします。
〔武田委員〕本日は分かりやすい御説明をどうもありがとうございました。
3点申し上げます。1点目は、災害にどう対応するかが喫緊の課題であると思います。14ページが一番ショックな情報で、中空委員もコメントされましたが、今、起きている現象と国民の行動がずれているようにみえます。ただ、国民が本当に災害リスクを恐れていないかといえば、当社で、居住地の選択で重視することを調査したところ理由のトップはコロナ禍ということもあって医療体制の充実でしたが、2番目は安全な場所でした。気候変動リスクや災害リスクを、国民も自分事化しています。そうすると、何が理由でこういう行動になっているのか。先ほど佐藤委員がご指摘された縦割り行政の結果なのか、それとも、ほかの理由によりこうしたことが起きているのか、予算の議論の段階でも理由を精査していただくことが今後につながると思います。
2点目は、技術の活用、データ連携、デジタル化を進めることが今後のインフラ維持管理コストを抑制する上で肝であると思いますが、どうすれば進められるのか。技術の活用を前提とした予算の配分に、そろそろかじを切っても良いのではないかと思います。
3点目は、コンパクト・プラス・ネットワークの重要性です。一部では、コロナ危機により、密集より分散という発想からコンパクト・プラス・ネットワークに否定的な声もございますが、密集を回避することと、中核都市にコンパクト化しネットワークをつなぐことは、決して矛盾しないと思います。人口減少という大きなトレンドは変わりませんので、中長期的なビジョンの下、地域がどう自立的に経済を維持していけるのかという視点で、この方針をしっかり進めていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、末澤委員、お願いいたします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございました。
私は、社会資本整備をめぐっては、我が国の場合、2つの大きな課題があると思います。1つは、やはり少子高齢化です。昨年、2019年、日本の出生数は86万5,000人ということで、2017年発表の将来推計人口より3年以上早く人口が減りそうな状況です。これは、もう10年、20年変わりませんから。3ページ目にありました人手不足、この分野については、恐らく、そう簡単に解消できない話であると。
もう1つは、気候変動の話です。今年、夏にラニーニャ現象というものが発生したとき、米、欧の気象当局が確認しておりますが、日本の場合、今のところ、少し残暑が長くなったとか、今年の冬は少し寒くなりそうであるという話で済んでいます。台風も上陸していません。
実は、同じ問題で、大西洋、アトランティックでは、ハリケーン等のトロピカルストームが今年は極めて増えていまして、先々週ですか、ルイジアナ辺りに上陸していたハリケーンのデルタとは男の子、女の子の名前ではないのです。つまり、アルファベットの名前が枯渇しまして、今年はアルファ、ベータ、ガンマ、デルタときています。ここまで使われているのは、2005年にハリケーン・カトリーナが上陸して大きな被害が出た年以来です。あのときも、実はラニーニャ現象が発生していました。つまり、世界的に見ると、相当、気候変動が、山火事の問題も含めて、どんどん本格化している。我が国も、昨年、一昨年、大きなスーパータイフーン、一時スーパー台風になった台風が上陸しました。ということは、恐らく、この問題も来年以降、変わらないどころか、もっと大変になってくる。
そうした2つのことを考えると、今日も御提案がありましたが、例えば10ページの新技術が小さい市町村でなかなか使われていない。これは、かつて文部科学省のIT化が進んでないという問題と同じであると思うのです。つまり、人手が足りないのでITが入れられない。だから、どんどんスパイラル的に仕事量が増えていく。こうしたところについては、やはり政府が本当に主体的にIT化等のインフラをつくって、それに慣れていただかないと、これはなかなからちが明かないと思います。
もう1つは、皆様から御指摘ありましたが、やはりハードからソフト、防災から減災に徐々に、一段とシフトしないと、恐らく、追いつかないということになりますので、先ほど申し上げました少子高齢化と気候変動の観点から、ぜひ社会資本整備についても見直すべきではないかと考えております。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、小林委員、お願いいたします。
〔小林委員〕どうもありがとうございました。
ハードだけでは追いつかないので、ソフト面との組合せが重要ということは、これまでも何度か財審でも提言してきましたが、今回の17ページからずっと書いてあります流域治水は、まさにその両方を組み合わせていこうという観点で見ると、少し別の見え方もするのかなと。つまり、これはハードが追いつかないのではなくて、実は既存のハードを十分に活用し切れてなかったのではないか。その既存のハードを十分に活用するために、様々なソフトもある。だから、その両方の側面から見ていく必要も、この指摘の中で出てくるのかなという気がいたしました。
18ページを見ると非常に分かりやすいですが、各省庁の縦割りの管理が既存のハードをきちんと十分に活用できなかった最大の理由であって、まず、そうしたところを取っ払って、その上で次のステップを考えていくという考え方をそろそろしていかないと、先ほどから指摘がありますが、スーパー台風ですとか、大きな災害が出てきていますが、それに新しいハードで対抗する、あるいは、ただ単にソフトを組み合わせるだけで対抗するのでなくて、ソフトを組み合わせることで、まず既存のハードを最大限活用することを考える。それにプラスして何ができるのか、それをもっともっと効果的にはどうするのか。そうした観点がそろそろ必要なのではないかという気が強くいたしました。
それと、縦割りということで言いますと、先ほど御指摘がありましたが、12ページの施設の維持管理情報のデジタル化、これもやはり結局、縦割りが解消されないとデジタル化のしようもないというところもありますので、その辺りが今回の予算編成において一つ大きな問題になるのかなと思いました。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、木村委員、お願いいたします。
〔木村委員〕御説明、ありがとうございました。
防災対策、ハード・ソフト一体の対策の方向性は、私も大変大事なことであると思います。特に、これは従来から言われてきたのですが、ましてコロナで効率的な予算編成が大事であるということになると、ますますハード・ソフト一体の重要性は重くなってくると思います。
その際、ソフトも短期と中長期の視点から考えるといいかと思っています。要は、大きな自然災害が常態化している中で、それこそ目先、取りあえず短期的なハードの整備が重要であるという声は随分強まってくると思いますが、ソフトでも短期で効果を出せるようなものも結構あるということを示していくことが大事なのではないかと思います。資料で挙げられている水害ハザードマップの整備などですと、効率的な避難の誘導などにも役立つでしょうし、既存のストックを活用した災害後の住まいの確保も割と時間がかからずにできるのではないか。そうしたことをいろいろ挙げていくことが、ハード・ソフトの一体的な防災対策を進める上で大事なことであると考えております。
また、整備新幹線のことですが、コロナで支出が膨らんでいる中で、効率的な整備はとても大事であると思います。特に、北陸、九州ともB/Cが1を切っているという状況では、今後、事業の優先順位は明確にする必要があると思いますので、ここはきちんと精査していただければと思っています。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、秋池委員、お願いいたします。
〔秋池委員〕大変充実した分析と御検討であったと思っております。その中で、デジタル化のお話がありました。本資料には排水関係についてのデジタル化が掲げられていますが、これは全てに共通することであると思っております。デジタル化は2種類あると思っていまして、1つは、こちらに記載いただいているような台帳や維持管理データのデジタル化でございます。これをやっていく中で気をつけていくべきことは、今、地方において様々なデータの取り方がなされていて、それが極めて加工しにくく、地域を越えると使いにくいということも起こっておりますが、本件がそのようにならないようにしていくということ。足したり、引いたりができないような、比較検討できないものにならないような方向づけがされていくことが必要であると思います。
それから、もう1つは、デジタル化で常時監視をしながらの予防保全のほうが費用はかからないというお話が先ほどありましたが、常時監視のような仕組みは、人口が減って人手がなくなる中で、より重要になってくると思います。ただ、それを今あるものに上乗せしていくと非常に費用がかかることになっていきますので、設備を更新する際にそうしたものを取り込むような効率的なやり方を検討していかれるように、御示唆いただけるとよろしいかと思いました。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、竹中委員、どうぞ。
〔竹中委員〕ごめんなさい、少し補足です。今、全体の話の中にデジタル化などがいろいろ出てきましたが、こうしたインフラや国土安全保全に、ドローンが非常に活用されてきていますが、ほとんど中国製です。昨日、やっと政府が国産ドローンを積極的に使うと方針転換しましたが、これからの国土保全にしろ、治水にしろ、いろいろなことに、人命救助も含めてですが、ドローンのような道具を使っていくのはもう当然の方向性なので、単にデジタル化などというより、国産のドローン等の機材なども使うといったことを、やはりこの会議の中でも、一言この中に入れておかれたほうがいいかと思いまして、よろしくお願いします。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、テレビ会議システムから挙手ボタンをクリックしていただいている委員は、赤井委員、上村委員、冨田委員、神子田委員と承知しております。ほかにも御発言を希望される委員がおられましたら、いま一度、挙手ボタンをクリックしていただければと存じます。
それでは、赤井委員から、順番に御発言をお願いいたします。
〔赤井委員〕赤井でございます。ありがとうございます。
今日、途中で抜けないといけないということもあって、資料を用意させていただいて、お手元にあるかと思います。それを読んでいただければと思いますが、1点だけ。立地適正化などは災害の関係で危険区域との調整が重要であるということ。それから、取捨選択が重要です。これからインフラを全て更新していくわけにはいかないので、選んでいくべきと。一番必要であると思うのは、今後、持続可能なための社会資本をどのようにしていくのかということを国民全体で考えるためにも、将来的にどのぐらいの財政コストがかかっていくのかということをしっかりと随時把握していくことが重要かと思います。資料の2ページ目のところで、シミュレーションした研究が掲載されておりますので、そうしたものを深めていくことが大事かと思います。
以上です。ありがとうございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、上村委員、お願いします。
〔上村委員〕上村です。ありがとうございます。簡単に申し上げます。
20ページですが、社会資本整備総合計画について、2つ以上の地方公共団体が集まって計画を作成することが認められていますので、このたび社会資本整備審議会で流域治水の概念を提示されたのであるならば、この流域治水における広域かつ複数の事業を組み合わせた総合的な計画づくりを推進して、そこに資金を投入するように持っていくべきであると思います。
国の事業については、行政事業レビューもやっていますので、徐々にですが、アウトカムを目標とする意識がついてきたかと思いますが、今後は、地方公共団体への浸透が重要であると思います。人口減少社会に入っていますので、広域で考えることと、複数の地方公共団体を巻き込んだ計画を策定して、アウトカムを重視していくことが大切であると思います。これは、治水に限らず、今日の話では、個別施設計画や下水道や災害対応にも当てはまると思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、冨田委員、お願いいたします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。
かつて高度成長期に、アーバンスプロールが問題になり、これが後々、大きな問題を引き起こすことも既に指摘されていましたが、今日、御説明の中にあったように、皆様が御指摘の14ページでは洪水浸水想定区域にたくさん人が住むようになったと。それから、26ページでは、農地転用で、さらに住宅地が2%も拡大したということまで指摘されております。だから、依然として人口減少下でもアーバンスプロール現象が続き、それが大きな災害の原因になっているように思われます。したがって、申し上げたい点は、人口減少、異常気象多発の時代にふさわしい人の住み方を前提とした社会資本整備を考える必要があるということです。
16ページに、都市再生特措法に関係して絵が描かれていますが、なかなか大事なことが今後の方向として書かれていると思います。災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制、災害ハザードエリアからの移転の促進、そしてレッドゾーンを居住誘導区域から原則として排除する。これらの規制がやはりきちんとこれから運用されることが大事であって、そのことがハード・ソフト一体となった防災・減災対策、そしてコンパクトシティー化にとっての基本であると思います。したがって、今年できた法律ですが、これによる規制について、よりきちんとした適用を、これからますます大事にしていく必要があると思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
神子田委員、お願いいたします。
〔神子田委員〕3ページ、公共事業の執行状況ですが、人手不足からか、かなり執行されない事業があって、まず、その年度にやることが必要であると認められた事業なのに、きちんと執行されていないという状況をどう考えるか。必要な事業だったら、これはやってもらわないといけないのではないかという観点が1つ。もう1つは、どうしても人手不足で前の年度からも事業は倒れてきているわけですから、できそうもないのだったら、その分、予算をつけずに、別の緊要な予算につけたほうが良いのではないかという点が1つです。
それと、6ページ目のソフトと一体となった防災対策という中で、ここに書いてある土地利用コントロールや金融インセンティブなど、長期的にこうしたことも必要であると思いますが、短期的には、ハザードマップの周知だけでなく、いざ災害が起きたときに、どうやってお年寄りなどの避難の難しい災害弱者などに早めに周知して、避難できるような体制をつくるか、そうした面でのソフト整備に予算を付けるようにしてはどうかと思います。
また、20ページの流域治水に向けた総合的なインフラ整備で、様々な事業を組み合わせることが期待されているものの大半は単一事業ですが、これはやはり政策の趣旨に沿っていない予算の使われ方を毎年、放置してよいのかという気がします。こうした政策を立案したのであれば、しっかりと地方公共団体においても執行されるようにきちんと見ていかないと、PDCAサイクルとありますが、良しとして立案した政策は必ず執行することを各省庁に求めていかないといけないのではないかと思いました。
最後に、整備新幹線ですが、九州の佐賀と長崎がつながらないと、結局、それまでやったものが無駄になってしまうというか、ネットワークは完結しないわけです。その辺、長崎が佐賀分を負担してはいけないという立てつけになってはいますが、佐賀にとっても、自分だけが福岡とつながっていれば良いという話ではなくて、佐賀を素通りして長崎に行ってしまう旅行客もいると思うので、やはり長崎、佐賀が一体となった観光資源開発が必要であると思います。その辺を視野に入れた対策も講じながら、ぜひ整備新幹線を完結していただきたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、黒川オブザーバーも挙げておられるので、手短に御発言をお願いいたします。
〔黒川オブザーバー〕黒川です。
3ページのグラフで、業種別の労働生産性について、会計学者の立場から気をつけたい点を1点だけお話しします。この労働生産性の指標の求め方、労働生産性を求める場合に、一般的には分子が付加価値で、分母が労働力、時間か人数ということになりますが、付加価値の中身は何かというと、営業利益と人件費と減価償却費のようなものです。ですから、一般的に労働集約型の産業は低くなる。それから、資本集約型の産業は労働生産性指標が高くなる傾向があります。そうした点も踏まえて、このグラフを見ないといけない。要するに、建設業の労働生産性が低い理由を、非効率という一言で言ってしまうのは危険かと。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、まだ議題が残っておりますので、次の農林水産に移ります。
農林水産につきましては、波戸本主計官から御説明をよろしくお願いいたします。
〔波戸本主計官〕農林水産担当主計官の波戸本でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、資料に沿いまして御説明いたします。
まず、資料の2ページを御覧ください。こちらは、農政改革に向けての大きな方向性については、平成25年及び令和2年に打ち出されてございます。いずれにおきましても、生産性の向上や輸出産業化といった産業政策、それと地域政策、この2つが重要な柱として打ち出されているところでございます。
1枚おめくりください。今回、3つの論点を示したいと思っておりますが、初めの2つが産業政策、残り1つが地域政策関連となってございます。
論点の1つ目に、大規模経営体の生産性・収益性向上へ向けた課題とありますが、本論点のポイントにつきましては、これまで農家の規模拡大に伴いまして、実は農家の所得の向上が見られておりますが、最も成果が期待されるはずの大規模経営体では、むしろこの生産性・収益性に問題が生じている面があるのではないかという問題提起でございます。
1枚おめくりいただきまして、4ページを御覧ください。農家の所得は低くて、成長から取り残されているといったイメージを持たれている向きもあろうかと思います。確かに、農家全体で見れば、農業所得の平均はここにありますように174万円でございますが、農業所得が所得の50%以上を占める、いわゆる主業農家という方々だけで見ますと、農業所得は世帯ベースで662万円となっております。右の3本の棒グラフを御覧いただきますと、これは主業農家の農業所得の推移を示しているものでございますが、この10年で約6割の伸びを見せているところでございます。括弧の中は補助金除きの農業所得ですが、それでも6割の伸びが見てとれます。
この背景としましては、近年の農政改革の中で、農業経営の規模拡大の進展などが大きく影響していると思われます。下の表にもありますように、この10年で、高齢化もあり主業農家数が3割減少する一方で、1主業農家当たりの耕地面積は4割増加している。一方で、給与所得につきましては、この10年で3%増にとどまっていることと比べますと、主業農家の所得の伸びは1つの成果として評価できるのではないかと、このように考えてございます。
1枚おめくりください。ただし、先ほど申しましたように、規模拡大の成果が最も期待されるはずの大規模経営体では、むしろ生産性・収益性に問題が生じているのではないかということでございます。お示ししているグラフですが、これは水田作における経営規模別の単位当たりの収益、費用のデータでございます。
この表から読み取れることとしては、まず、オレンジ色の棒グラフ、これはコストですが、規模拡大につれて、単位面積当たりのコストは低減するのですが、一定規模を超えると、例えばここでいうと15ヘクタール辺りから下げ止まりが見られます。さらに着目すべきと考えておりますのは、単位面積当たりの粗収益、これも規模拡大につれて顕著な低減が見られるといった状況にあるということでございます。また、粗収益に占める補助金の割合、これは折れ線グラフになっておりますが、これも大規模拡大につれて増加が顕著になっているといった点も見てとれると思います。この背景としましては、規模拡大につれまして、米の需要減少を受けた転作割合が大きくなっているのだろうということと、転作作物として収益性は低いものの補助金交付が多いものを選択する傾向にあることが考えられます。
1枚おめくりください。6ページ目ですが、こちらには露地野菜について同様のデータをお示ししてございます。水田作と同様、規模拡大につれて効率性が働き、単位面積当たりのコストは低減するといった状況が見られますが、これも一定程度で下げ止まりが見られます。また、単位面積当たりの粗収益も規模拡大につれて低減が見られます。この背景としましては、水田作のような転作といった影響ではなく、恐らく野菜栽培の労働集約性に由来するものではないかといったことが考えられます。なお、水田作との比較でいいますと、単位面積当たりの収益額は2、3倍ございまして、さらに補助金割合も規模を拡大しても低水準にとどまっています。
7ページ目を御覧ください。まず、大規模経営体でコスト低減が進まない背景でございますが、その1つとして、高齢化が進む中で農地の出し手の方が増えて、1経営体当たりの耕地面積は増加している。ただし、この出し手の方々の農地の所在が必ずしもまとまったものではないということもあり、下の2つの図にお示ししているように農地が分散したままの状況になっている。こうしたケースも見られ、非効率な経営となっていることもあろうかと思います。
8ページを御覧ください。平成26年に各都道府県に農地バンクを設置しまして、農地の集積・集約を進めてまいりましたが、現時点でいいますと、右下の第2ステージといった状況にとどまっておりまして、今後、さらに高齢化が進む中で、農地の出し手が増えてくるであろうと考えられるわけですが、この状況を十分に生かして、さらに第3番目のステージである集約化にいかに進めるかが、大規模経営体のコスト低減の鍵となっていると考えてございます。
1枚おめくりください。こちらは、水田作の大規模経営体の収益の増加に向けた論点でございます。真ん中の棒グラフにございますように、226万ヘクタールの水田のうち、主食用米が作付されているのはその6割にとどまっておりまして、約4分の1は転作作物に使われております。転作自体にはもちろん政策意義があると考えておりますが、棒グラフのさらに下、一番下の表にございますように、15ヘクタール以上の大規模経営体の転作地が全体の6割、10ヘクタール以上で見ますと実は7割を占めているということでございます。さらに、先ほどお示ししましたように、転作地で低収益の作物を作付しているということをどのように考えるかという論点があると思っております。
この点、大規模農家、大規模経営体は、経営能力や資金力においてチャレンジやリスクテイクができるプレーヤーですので、こうした方々の転作地を輸出基盤に生まれ変わらせるということが、今、政府全体で重要な目標となっております輸出5兆円目標達成に向けて重要になってくるのではないかと考えております。もちろん、これは言うは易しという面もありまして、その実現に向けては、丸の3つ目に書かせていただきましたように、海外マーケットで高収益を確保できるものを見つける。さらには、流通、小売まで含めたサプライチェーンを構築することが重要であり、農家からすれば実はかなりリスクのある課題です。しかし、であればこそ大規模経営体が、現状のいわゆるローリスク、ローリターンの農業経営から海外マーケットへの輸出経営に移行できないか。その能力が期待されるところでございまして、それに対する政策対応も必要ではないかといったことを考えてございます。
10ページ目を御覧ください。右側に輸出実績を示していますが、その下の果樹、野菜の主要品目を見ますと、リンゴ、ブドウ、ナガイモとなってございまして、実際、今、大規模経営体が参入する品目であるかというと、なかなか難しい状況になっております。ただし、右の輸出目標を御覧いただきますと、2019年の農産品の輸出は、オレンジ色の部分ですが、約6,000億円となっております。この中には、右の実績にありますとおり、実は加工食品が含まれておりまして、これを除く農産物は2,600億円という状況になっております。2030年の5兆円目標は、加工食品は外出しとなっておりまして、農産物だけで1.4兆円、つまり今後10年間で農産物について1兆円以上の輸出増額を図らなければいけないというかなりチャレンジングな目標になっております。こうした面からも、やはり大規模経営体のチャレンジは重要になっていくものと考えてございます。
1枚おめくりください。こうした課題への対応の1つの要素としましては、高収益作物を大規模化する必要がある。その大規模化に当たりましては、労働集約型の作業の機械化、スマート化を進めることで、省人化、省力化することが必要です。近時、技術革新の進展は目覚ましいところがあり、農業の世界でも、実際、ここ数年で自動走行の機械の導入が始まって、かなり進んできております。こうした機械化、スマート化が現実となっている今が、ある意味、チャンスではないかと考えております。
1枚おめくりください。12ページです。この点、大規模農業の先例であるアメリカですが、麦などでは100ヘクタール単位の規模感となっておりますが、野菜栽培はここにありますように平均20ヘクタールぐらいというデータがございます。これは、日本の農業でも、ある意味、可能な範囲なのではないかと考えており、アメリカのこの規模での機械化の状況が非常に参考になるのではないかと存じます。
加えまして、よく言われるオランダの例ですが、我が国との比較で、農地面積は半分以下ですが、農産物の輸出額は20倍です。もちろん、オランダはEU加盟国なので単純な比較はできないと思っておりますが、トマト、ジャガイモなどでしっかり稼いでいるといったようなスタイルは参考になるかもしれません。
こうした先行事例もございますので、高収益作物の大規模化や輸出産業化は必ずしも夢物語ではないであろうと。こうした認識の下で、大規模経営体に輸出プレーヤーに生まれ変わってもらうことを念頭に置いた現実的な輸出施策、こうしたことを検討していくことが重要であろうと考えております。
続きまして、14ページをお願いいたします。デジタル技術を活用したサプライチェーン全体での生産性向上についてです。これまで、農政は比較的、生産現場に焦点を置きがちであったものですが、真に農業の生産性、収益性を高めるためには、やはりバリューチェーン全体に焦点を当てなければいけないのではないかという問題意識でございます。
その1つの視点として、現状、目指すべき方向の図をお示ししておりますが、実は今、主業農家の方々を中心に、営農のIT化、ソフト管理が始まっており、普及が進んでいるという状況にございます。これを生かして、デジタル技術を生かしたサプライチェーンでの情報連携、この前提条件が整っていると考えられますので、こうしたことをしっかり進めていけるのではないかと考えます。
1枚おめくりください。全体でのデータ連携が実現した場合の効果の一例としまして、トレーサビリティーの確保というものが挙げられます。これは、大きな付加価値を生むことが期待できると考えております。①、②、③で記載しておりますとおり、1つ目には、商品の安全性、消費者の安心感の向上がある。2つ目には、産地偽装の防止など商品の付加価値の向上がある。3つ目ですが、海外市場の販路拡大というメリットがございます。特に、輸出に関しては、例えば農産品の各種国際規格でトレーサビリティーが既に要件とされておりますし、漁業、水産物につきましても、EU、アメリカでは、水産資源の管理の観点からも、既に輸入の際にトレーサビリティーを求めているという状況にございます。実際、事業者の方々からも、トレーサビリティーの重要性を指摘する声が上がってきておる状況でございます。
16ページを御覧ください。こうしたデータ連携につきましては、既に実際、取組は始まっているところでございます。ただ、現時点では、まず生産現場でのデータ連携ということで、クラウドを活用したデータプラットフォーム、これをWAGRIといいますが、そうしたものが既に構築されておりまして、2019年から農水省所管の研究開発法人が運用を始めているという状況にございます。
17ページを御覧ください。このプラットフォームを、さらに流通、消費まで拡大する取組に係る実証研究も始まっておりまして、この取組の成果は、いかに多くの生産者、流通業者、小売業者が、そのメリットを認識し、参加するかにかかっています。こうした観点などから、今後、さらなる検証を行って、社会実装に向けて進めていきたいということでございます。
次は、19ページ目に飛んでください。最後の論点、今後の中山間地域の農地管理の在り方でございます。中山間地域とは、赤い囲みにありますように、ある意味、山がち、あるいは山地といったところでございますが、日本の総面積の7割を占めるとともに、耕地面積ベースでいいますと4割を占めるところでございます。
1枚おめくりいただきまして、この地域は、とりわけ人口減少が早く進むことが予想されておりまして、今後20年で3割から4割の減少が見込まれております。右下にございますように、農村集落では総戸数が10戸を下回ると集落活動が急激に低下する傾向にあります。右上の赤枠にありますように、総戸数が9戸以下の集落は中山間地域で既に増加が始まっておりまして、今後の人口動態を踏まえますと、さらなる活動低下が懸念されるという状況にあります。
21ページ、お願いいたします。このような状況に鑑みますと、特に中山間地域につきましては、農産物の生産機能のみならず、水源涵養や防災、よく多面的機能と申し上げていますが、こうした機能の観点からも農地保全の取組は重要であるということで力を入れてきておるわけですが、全ての地域を従来どおりの農地として維持管理するのはやはり困難になってくると想定されるところでございます。こうした中で、将来的な人口動態を踏まえまして、農地が無計画に荒廃していかないように、どこまでを耕地として維持するのか、どこまでを粗放的管理に委ねるのかなどについて、維持管理コストや食料自給力の観点も考慮し、国、及び地方が連携しつつ、各地域で早く具体的な管理の在り方を検討していくべきではないかと考えてございます。
なお、粗放的管理ということですが、右の下の図にありますように、いざというときに農地に戻すことの容易性、困難性と、維持管理コストの大小のバランスを踏まえつつ、どの地域で、どのような管理形態が望ましいかと、こういうことも併せて検討を行う必要があるのではないかと考えてございます。
私からの説明は以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見などをいただきたいと思います。なお、本日、退席されました中空委員より、本テーマに係る意見書の御提出がございました。お手元にお配りしておりますので、お目通しいただければと思います。
先ほどと同様に、意見のある方は、会場にいらっしゃる方はネームプレート立てていただく。それから、テレビ会議システムを通じて御参加の方は挙手ボタンのクリックをお願いいたします。なお、時間も限られておりますので、御発言は可能な限り手短にお願いいたします。
それでは、今度は先ほどと逆の順番で、まずは秋池委員からお願いいたします。
〔秋池委員〕秋池です。貴重な分析、ありがとうございました。
10ページに、輸出5兆円を目指していくというお話がございました。非常に重要なお話であると思っております。輸出をしていって、日本の農産物の人気が出ると、その知財の保護といいますか、種苗であったたり、品質、品種を保護していくということが重要になると思います。これは、やはり個々の農家ではできないところもございますので、国として支援していく必要があるのではないかと思います。
また、同様に、海外に販売するとなりますと、個々の農家が個別に、例えば英語で契約書を作ってということではなくて、何らか中間に入ってくるのであると思いますが、やはり収益が実際に農家に行き渡るということも、やろうという気持ちになっていただくために重要なことと思います。
併せて、日本の農産物のブランドを維持していくということも個々にはやりにくいことで、フランスなどではブランド管理が非常に徹底しているという事例がたくさんあり、例えばカマンベール地方でないとカマンベールチーズと呼ばせないといった類いのことがございます。今、畜産の例になってしまいましたが、こうしたことは単独でできないこととして国を挙げて支援することも重要ではないかと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
小林委員、お願いいたします。
〔小林委員〕ありがとうございます。
1つ、これは少し疑問点といいますか、今、WAGRIの説明がありましたが、1年間で45の民間業者が参入、この45という数字が果たして多いのか、期待以上であると思われているのか、まだ足りないと思われているのか、そこの評価を少し聞かせていただければありがたいと思います。
次は、今、言及なかったですが、11ページのアンドファームの例の中で熟練したオペレーターが少ないとあります。いわゆるIT化といいますか、ICT化といいますか、そのときには必ずこの問題がついて回ります。先ほどの社会資本整備のところでも出てきた、要するに熟練している人が少ない、あるいは、それに対応できる人材が少ないということがよく出てきますが、これはそろそろ発想を変えて、作る側、つまり機械メーカーが誰でも使えるようなインターフェースの開発を促進するといったかじを切っていく必要があるのではなかろうか。そうでないと、必ずこの問題が出てきて、それがネックになって進展していかないということがどの分野にも見られるような気がします。これを農水省から提案されるかどうかは別として、そうした発想にそろそろ変えていかないと、デジタル化が政府の1つの大きな目標になっていますので、それは1つの良い機会ではないかと思いますので、御意見させていただきました。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。質問に関しては、後でまとめてお答えいただくことにしたいと思います。
それでは、佐藤委員、どうぞ。
〔佐藤委員〕では、手短に2点ほど。
まず、9ページの転作助成金について、例年、これが飼料用米に回ってしまって、例の業務用米が減って値段が上がっているという話があったと思いますが、業務用米については、今、どういう状況なのかという質問です。
それから、20ページ、一般論になりますが、やはり中山間地域においては特別な配慮が要ることは分かるのですが、そのことをもって平地や都市地域の農地まで同じように保護するのは少しおかしいと思います。農業には社会政策の側面と経済政策の側面があると思いますが、やはり平地、都市地域は集約化を含めて経済政策を徹底させるということ、中山間地域については機能性を考慮して社会政策という面を出すという農政のすみ分けが要るかと思いました。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、武田委員、お願いします。
〔武田委員〕丁寧な御説明、どうもありがとうございました。私からは2点です。
1点目は、先ほど秋池委員からもございましたが、輸出を増やすということは非常に重要であると思います。しかし、実際に増やそうとするならば、農業の知識だけでは難しく、技術、それから経営の視点、こうしたものが掛け算されていかなければなりません。それを個別農家さんだけでやっていくのは非効率でもありますし、難しいこともあろうかと思います。技術や経営視点をどう統合させるかということについて支援していく方法が必要ではないかと思います。
2点目は、トレーサビリティーです。これは世界的にもESGの観点からますます求められてくると思います。今はコロナで中断していますが、これからインバウンドやオリンピックでお客様を迎えようとするのであれば、HACCPなども20年6月から始まっておりますので、併せて進めていくべきことであると思います。ただ、日本で起こりがちなのは、実証実験をしたとしても、社会実装が民間レベルでなかなか進まないことですので、そこに向けての工夫、何が足りないのかはしっかり議論をして進めていただければと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、田近委員、お願いします。
〔田近委員〕田近です。私から1点、水田経営について質問と意見を申し述べたいと思います。
9ページ、非常に興味深い説明をいただいて、私の理解はこうだったのですが、今、佐藤委員から主食米の値段がどうなったかと。私の理解は、9ページの一番下、転作地を、規模経営の大きいところが多いのは当然であるとしても6割も持っていると。それから、5ページを見ていただくと、今度、規模別に見た経営はどうであるかというと、折れ線グラフが上がっていくのは補助金をどれだけもらっているか。今、言ったことを反映して、規模の大きい農家が補助金をいっぱいもらっている、その割にもうからないではないかというのが主計官の説明ですよね。
そのとおりで、結局、水田を転作させよう、主食米から飼料用米に移そう、そして補助金を上げた、実は大規模のほうがそちらに移ってしまった、ところが、もうからなくなってしまった。では、これを改めて、生産性の高い大規模農家に、どんどん遠慮することなく主食米を作ってくださいと。そうしたら、価格が下がるわけですよね。佐藤委員が言った視点は、先ほど言ったような構造で飼料用米を作らせてしまったので食べる御飯が少ない。大規模農家にちゃんと作ってもらうと下がってしまう。それでは困る。だから、これはもう日本の農業、水田で、体力・生産性が比較的低いところを救おうとしている限り構造的に下げられない。
今日、主計官は、いや、そうではないのだ、大規模農家はこんな良いこともある、あんな良いこともある、こんなにできると。私も賛成ですが、やはりお米に関して生産性が低いところをどうするのかと。そこの生産性を上げるのか、あるいは、良い意味で退出するのか。このままであると、結局、大規模農家に食べる御飯を作っていただけば下がってしまう。下がっても大規模農家はやれると思いますが、何かジレンマに陥っていると思うのです。そこをどうやって分かりやすく説明して、我々としてもそこを指摘していくのか、そろそろハードなところの議論をしても良いのではないか。今日の話を聞いてそう思いました。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、田中委員、お願いいたします。
〔田中委員〕御説明、ありがとうございます。
14ページの観点が、まさに生産性を向上させて、全てが幸せになる構図であると想像できますが、やはりここに行くまでには、かなりの時間を要し、また、4ページから9ページを見れば、先ほど御説明いただいたようなジレンマが出るのが実情であると思います。最近、株式会社の農業参入においては、農業を始める際に、顧客を探し、例えばどこかのメーカーに必ずこの分量だけは買ってもらうという契約をしてから入るといった動きも見られます。自然相手の仕事なので、農家さんが困らないようにということは担保しなければいけないと思いますが、今後、大規模農業に転換するときのインセンティブと、本当にマーケットベースの生産の在り方はどうなのかということを組んで、進めることができたらと思います。
あわせて10ページにある輸出、1兆円は行くのかなと見ていますが、2兆円も結構ハードルは高く、品目によっては輸出が困難なものもありますし、マーケットによってハラル認証などの問題で難しいものなどもありますので、戦略的にどの作物を作れば輸出5兆円に行くのかというモデルを、やはり生産者の方々と早くから共有できるようにした上で、この政策が投入できればと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
宮島委員、お願いいたします。
〔宮島委員〕ありがとうございます。
今後、農業としては、いよいよ米だけでやっていってはもう無理であるということをちゃんと見て、そして、本当に需要に即したものを作るという、製造業などではやっている普通のことにちゃんとドライブをかけて、それは輸出も含めてですが、さらに、それとともに、それぞれの地域の未来をどういうふうにつくっていくかということがとても重要なのではないかと思います。
なぜなら、先週出たデータですが、コロナの影響でまた米の需要が減って、米農家は、予定よりもさらに作るのを減らすか、値下がりを受け入れるか、あるいは本来の筋ではないですが、備蓄米をもっと増やすか、その3択しか方法がないぐらいに、今、需要が減ってしまっています。しかも、この需要は来年復活するか分からなくて、コロナであればオフィス街の人たちがお弁当を買わなくなったりしていて、もうどんどんお米の需要が減っているわけです。だから、そこのところはもう真っすぐに見て、一生懸命頑張ってお米を食べてとか、食料の安全保障とか言っても、もうお米は少なくともそこまでの需要はないというところからスタートしなければいけなくて、かつ思い切り、かなりドライブをかけて高収益の作物に移動してもらうことが大事だと思います。
ただ、難しいと思うのは、農業はどうして改革がうまく進まないのかと思うと、やはり高齢の方が多いのです。そうすると、どの産業もそうですが、自分があと10年やっていくには何とかもつだろう、だけど、その先、自分は子供に継がせるつもりはないので、そこで途絶えてしまっても良いぐらいのことを考えている人が結構多くて、その方々は、今の段階であれば米を作っているほうが安全であると思ってしまうので、なかなか別のことを思い切ってやるというドライブが利かないという感じが非常にあります。だから、そこは、その地域をどうしていくかも含めて、そのエリアの人たちに考えてもらって、20年後はこのままではもたないだろう、そのためには自分たちがどうするのか。仮に、自分や自分の子供はこれで農業を退出するとしても、このエリアはちゃんと生き残っていかなければいけないというところに、ちゃんと目を向けていってもらうことが非常に必要かと思います。
そうした意味では、今は補助金をもらえるから転作には応じるけれども、それは補助金をもらえるからそうしているだけで、その先の補助金からの出口というか、もっと稼げて、自分たちで自立できるというところまで見通せていないわけですよね。それを何とか見通せるように後押ししなければいけないし、補助金があるからこれをするという行動からは脱しないと、その地域の未来はないというところは、本当にちゃんと自覚してもらわなければいけないと思います。
若い人が入るためには、やはり農業法人が増える必要がある。大学生などの普通の就職先の一つとして農業法人があるようでないと、やはり若い人は行かないと思うのです。今の条件だと、やはり普通にサラリーマンになるのと同じ、選択肢の一つとして農業法人に行くというところまではまだ行っていなくて、それは未来の見え方やいわゆる近さも含めてほかの選択肢と同じ条件までにはなっていないと思うので、その辺りの差もどんどん整備して、普通に一つの選択肢として農業の会社に勤めるということが若い人にとってあるような状況にしないといけない。恐らく、コロナ禍で就活はきつくなるので、そこは若干、当面、少し誘導ができる部分かもしれません。そうした意味で、そのエリアをこの先どうしていくという計画も含めて、しっかり考えることが必要かと思います。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
テレビ会議システムから挙手ボタンをクリックしていただいている委員は、これから発言をお願いする順で、横田委員、神子田委員、冨田委員、上村委員と承知しております。ほかに御希望の方がおられましたら、早期に挙手ボタンを押していただければと思います。時間も押しておりますので、手短にお願いいたします。
〔横田委員〕横田です。よろしくお願いします。私からは2点あります。
昨年のこの会議でもありましたが、米の補助金は他の作物に比べて潤沢で、守られ過ぎているのではないか、新規就農の妨げになっているのではないかという話と、切り口は異なりますが、今年の話も同様と考えてお伺いしました。その中で、9ページ目、15ヘクタール以上の大規模米農家の補助金割合が非常に高いのは、経営者だから当然という考え方もありますが、完全に補助金が経営ポートフォリオの中に組み込まれている存在かと考えております。
その上で、2点あります。やはり補助金の振り向け方で転作や、高収益野菜へうまく振り分けていく、場合によって傾斜をつけて補助金の在り方を変えていくなど、かなり政策的にやっていく必要があるのではないかと考えたのが1点。また、先ほど宮島委員がおっしゃっていましたが、後継者の状況はどうなのか、15ヘクタール以上のところがきちんと次の世代に振り向けていくような状況になっているかということは、分析をしていく必要があると考えたのが2点目でございます。
2つ目の中山間地域の耕作放棄地に関してですが、非常に良い方向に、中長期的に考えるようになっているのは良いことであると思っています。おっしゃられていたメンテナンスコストも考えて、戦略的に計画立てをする必要があると思っています。これは、中山間地域だけに限定されたものではないと思いますが、以前、総務省の研究会で金沢大学の林直樹先生に伺ったところ、農地は放置しても、荒廃しても周りに悪い影響はない。ただし、再利用や有事のときに改めて使おうと思ったときに、放牧などでメンテナンスをしていると有効であるという話を伺ったことがあるので、放置するところをうまく利活用、再活用し、きちんとメリハリづけのある対応をぜひ計画立てるよう支援していただければと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
神子田委員は退出されましたので、次、冨田委員、お願いいたします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。
先ほど来、議論があります9ページの資料ですが、15ヘクタールのところで60%とありますのは、うち戦略作物助成ということで、昨年の建議でも飼料用米の作付に対する補助誘導によりまして、それは主食用米の価格を政策的に下支えするものであるという位置づけであると思います。
私が聞きたいことは2点あって、1点は、そのすぐ上の横の棒グラフの53.2万ha、これは直接支払交付金全体なので、他の作物にも補助金が出ていると思いますが、それはどれぐらいのウエートがあるのか、ほとんど全部、飼料用米なのかどうかという点が1点。もう1点は、最後のほうで御指摘なさった中山間地域におけます農地管理ですが、そこでは水田活用交付金というものは、例えば作付面積の減少に対してどのようにしているかということをお聞きしたい。
消費者ニーズに対応し、そして輸出需要を満たす、そのために技術も活用していこう、結果として、若者にとって稼げる農業にしようという全体の流れはそのとおりであると思いますが、やはり佐藤委員から御指摘あった問題は乗り越える必要があろうと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、上村委員、お願いいたします。
〔上村委員〕8ページ、農地中間管理機構についてですが、過去に農地を集約された農家を見学させていただいたことがあります。農地中間管理機構によって農地が集約化されていくことは好ましいわけですが、実際は地域ごとで進捗状況に非常にばらつきがあります。山地が多くて、地形が集約に合わない地域もありますが、それ以外の要因で集約ができていない地域の分析が必要になっています。以前、調べたところでは、地域でのコミュニケーションとか、話合いが不足しているとか、集約のための手続の情報不足や、手続が煩雑であるからもうやめたとか、そうした理由でなかなか集約が進まないという事例が多いと聞きました。市町村や農業委員会の話合いの設定とか、農地中間管理機構が話合いに積極的に参画するとか、そうした現場の調整と、丁寧な情報提供が非常に重要であると思います。また、集約協力金も出ているわけですが、それがちゃんと集約のインセンティブになっているかどうか、農業の生産性を高めるものになっているかどうかのチェックも必要であると思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、小林委員、佐藤委員、冨田委員から御質問がありましたので、主計官にお答えいただきたいと思います。
〔波戸本主計官〕まず、小林委員から御質問いただきました、今のWAGRIの参加事業者の数ですが、この点につきましては、どういう事業者かといいますと、いわゆるベンダーといいますか、例えばコンバインといった農業機器を売っている方々であると、まずお考えいただければと思います。あるいは、営農ソフトといったものも含まれるかもしれませんが、そうした中でいろいろな機器が連携していくようなシステムを、今、つくろうとしている段階でございまして、企業の規模感でいいますと、恐らく相当程度の数は行っているのではないかと思っております。もちろん、どこまで見るかという点はありますので、評価は難しいかもしれませんが、相当程度の規模感になるのではないかということです。
それから、佐藤委員から御質問ありました業務用米の話ですが、今、特に外食用につきまして需要が低減しているということもあり、価格が下がっている状況にあろうかと思います。
それから、冨田委員からの御質問ですが、参考資料の9ページに先ほどの53.2ヘクタールのさらに内訳をお示しした図がございます。9ページの赤い囲いのところで内訳が示されておりまして、いわゆる飼料用米やWCSとありますが、ホールクロップサイレージといいまして、稲そのものを早期に刈り取って飼料にするようなものも含めますと、例えば稲では、飼料用米やWCS用稲がある。それ以外に飼料作物もありますし、麦、大豆、野菜もこの図にあるような割合で植え付けられているといった状況にございます。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。それでは、最後の議題でございますが、外交関係等の議論に移らせていただきたいと思います。
飯塚主計官、御説明をよろしくお願いいたします。
〔飯塚主計官〕外務、内閣担当の主計官の飯塚と申します。よろしくお願いします。
1ページ目、お開きください。初めに外交関係について説明した後、昨年度に倣い、情報システムにアプローチいたします。
2ページ目を御覧ください。我が国経済を取り巻く課題ですが、下の点線の枠内に抜粋しました「骨太2020」にありますように、新型コロナウイルスが国内外で大きな影響を及ぼす中で、デジタル化、貿易・投資などのグローバルな課題について、リーダーシップを取って経済成長を下支えする環境をつくること。さらに、日本が掲げて、多くの国から支持されております自由で開かれたインド太平洋戦略、これを推進しまして、武漢での教訓も踏まえて在外邦人の保護を強化することがあります。
そうした課題に対応するために、左になりますが、外務省は令和3年度の予算要求に際しまして3本の外交政策の柱を掲げております。1点目は、コロナの克服、及びポストコロナを見据えた取組、2点目は、安保・経済両面で国際秩序の強化など力強い外交を進めていくこと、3点目は、グローバルな課題等について国際社会と連携・協力して取り組んでいくことです。そのために必要な予算としまして、令和3年度、8,000億円強の要求がなされておりまして、どのように優先順位をつけていくかが課題となっております。その大宗を占めるODA予算と在外公館について取り上げます。
3ページ目を御覧ください。左側の図ですが、一般会計のODA予算を示しております。経常収支黒字の還流などの流れがあり、90年代後半にかけて増加した後、減少してきておりまして、最近では横ばいから若干増加となっております。
右図に、実際に日本から被支援国に流れるODAの総量が示されております。下に黄色で示してあるのが当初予算でありまして、青いグラフで示してあるものが過去の円借款の回収金、真ん中にオレンジ色で示してあるものが財投やJICA債などを通じて調達した部分であり、その合計がODA事業総量となっております。足元では過去最大です。
日本が行う途上国支援としましては、ODA全体として見ていくことが必要であり、過去の円借款の回収金も高い水準が続くと見込まれる中で、一般会計ODA予算は真に必要な地域・分野に重点化すべきであると考えます。
4ページを御覧ください。ODAをめぐるやや長い動きとして、4点、紹介いたします。左上の図ですが、日本から開発途上国への資金の流れであり、赤が民間資金、青が公的資金です。2000年以降は、赤の民間資金が増えております。したがいまして、援助にも民間資金を導入していくという発想が重要です。
2番目です。その右ですが、2001年に合意されて、開発コミュニティーで目標とされてきた、ミレニアム開発目標の最大の目標である極度の貧困の削減、この半減を達成しまして、2015年に持続可能な開発目標(SDGs)に発展的に統合されております。そこでは、17の目標と開発の裾野が広がっております。したがいまして、単に物量だけではなくて、自らの強み、比較優位を見極めて、例えば防災や保健など目標を選択・集中して貢献していくことが求められます。
3番目、その左下ですが、ODAの取りまとめを行っているOECDのDACで、支援の受け手から見てより実態に沿った計上方式の議論が行われまして、2018年にネット方式からグロス方式、グラントに近ければ近いほど、よりウエートをかけて加重される計上方式とした結果、日本のODA実績は4割増えております。対GNI比で見ますと、日本のODAは、改定前はG7で下のほうでしたが、この改定で中位まで上がってきております。
最後の点です。賛否両論ありますが、援助の見直しの例としてイギリスの例を紹介します。御案内のように、イギリスは非常に援助に熱心で、その中でも国際開発省は世界の開発の議論を主導してきた存在ですが、コロナ禍の中で、より外交の視点を反映すべく外務・連邦省に統合されました。ODA予算も、GNI比で0.7%は維持するものの、イギリスの経済成長の鈍化に合わせて削減されることになりました。アメリカにつきましても、トランプ大統領がODA関係予算を削減しようとし、議会が逆に戻すという動きがありますが、ODA関係費は近年減少傾向にございます。
これらを踏まえますと、日本の財政事情が厳しい中、ODAをどんどん増やしていくことは現実的ではなくて、民間部門の経済活動を拡大するための触媒的機能を果たすことなどを重視し、効率的・効果的な在り方を絶えず見直していくことが求められます。
次に、5ページを御覧ください。無償資金協力、任意拠出金についてですが、今年はコロナへの危機対応を踏まえた内容としておりますことを御理解ください。
6ページ目、御覧ください。まず、当初予算で1,600億円ほどの措置がされている無償資金協力です。昨年度の建議では、中長期的な目標を持って執行管理をしていくことの重要性を確認しました。ところが、コロナ禍が発生して、まずは海外で蔓延したものが日本に入ってくることを防ぐという緊急な必要性から、病院や医療器具、医療車両などの海外の保健・医療体制の強化のための補正予算、これは500億円強の措置がなされました。こうしたものは迅速に執行しないと意味がありませんので、下に黒い矢印で示されていますように、通常であれば、日本の国内だけで10週間、さらに日本国内で決定した後に24週間と計8か月ぐらいかかるところを、外務省・財務省で緊密に連携しまして、赤い矢印で示されていますように4月末の補正予算可決から2か月強で執行しまして、本年8月の外務大臣東南アジア歴訪の際にも各国首脳等から謝意が示されております。
7ページを御覧ください。そうはいいましても、こうした短期的な対応につきましては効果的・効率的にできましたが、昨年の財審で指摘されました中長期的課題に変わりはございません。個別の事業の積み上げが難しくて、短期的に圧力がかかりやすく、複数年契約をしますので、非常に硬直的な支出が増えてきているということです。昨年、当初予算ベースで、対象地域と支援分野のマトリックスを作成していただいたところですので、こうした実績を積み上げていくことによりまして、メリハリが利いた、効率的で、より費用対効果の高い予算につなげていきたいと考えております。この課題は技術協力にも当てはまりますので、そちらも引き続き取り組んでまいります。
8ページを御覧ください。次に、国際機関への任意拠出金です。義務的で経済力の大きさ等に応じてフォーミュラで決められる分担金とは異なりまして、防災や保健など、日本が重視したい部分をピンポイントで、お金をつけて補強するというものであり、国際機関等のノウハウ、人員を利用して支援を行うために拠出をするものです。
任意拠出金につきましては、左側にありますように、これまでも財審で御議論いただいております。例えば、客観性・透明性の向上ですとか、評価を活用した拠出の重点化、邦人職員の採用を進めるべきなどの提案を行っていただいております。
左下ですが、外務省は評価基準を設けまして、これまで拠出金について評価を行ってきたのですが、今年につきましてはコロナ禍のために行われておりません。こうした中で、WHOの例など、コロナ禍の下ではトップマネジメントがきちんとしていないと仕事ができないという重要性が痛感されたところです。また、IMF・世銀やOECDなどは、コロナにもかかわらずペーパーは量産されまして、例えば大臣が出ているようなG20を支える議論は、幹部主導で滞りなく進められているところです。
そうした作業はテレワークで行われており、もともと国際機関というものはトップダウン、トップ主導で仕事をしますが、さらにトップマネジメントを含む幹部クラスの重要性が確認されたところです。もとより、国際機関における日本人職員は、立場上、公平・中立な存在ですが、我が国との橋渡し役として重要な役割を果たす存在であることから、幹部クラスに邦人をつけるべく、人材育成に係る長期的な方針などを作成していただき、拠出金の評価基準にも加えるべきであると考えております。
10ページまで飛んでください。次に、在外公館についてです。左図にありますが、在外公館の数は、2012年度末から、大使館で19、総領事館で5、政府代表部で2と増えてきておりまして、227とドイツを超える水準になっております。いきなり新設するのではなくて、事務所からの昇格の数が上回っているのですが、増やすばかりの一方通行ではなくて、必要性が薄れてきたものについては改廃すべきであると考えております。
右の図になりますが、新しく造られた公館は、在留邦人数や、ビジネス拠点、ビザ、貿易の増加への貢献が非常に限られております。地政学的意義などがメインの公館もあるのかもしれませんが、新設や昇格の際にはまず何を目指すのか目標を定めていただき、邦人やビジネスの関係が増えないなど目標が達せられない場合には、その廃止や降格も含めて検討するPDCAサイクルを回すべきであると考えております。また、むやみに在外公館を開設して、意義の薄れた公館の合理化、スクラップを怠った場合、他国に比べて政府の規模が小さく、公務員が少ない我が国の特性を考えると、1公館当たりの人員等は資源の低下につながり、十分な業務ができないといったおそれも出てくると思われます。
次に、11ページを御覧ください。政府の情報システム予算についてです。昨年6月のデジタルガバメント閣僚会議における決定で、令和2年度予算から一部の情報システムについて内閣官房のIT総合戦略室が一括計上を行ってきております。このため、内閣係担当の主計官の私から簡単に御説明いたします。
もう1ページおめくりください。政府の情報システム予算の規模ですが、一般会計、特別会計を合わせて8,000億円弱となっており、近年、増加傾向にございます。その下ですが、令和2年度から府省で共通に使われる主立った情報システムを内閣官房IT室が一括計上しております。その規模は、令和2年度で674億円、令和3年度の概算要求で829億円、システム数は34システムから41システムと、ネットで7システムが増えております。また、後で説明しますデジタル庁の設置、運営等に必要な経費と、マイナンバー制度、国、地方のデジタル基盤につきましては、現在、ワーキンググループで議論されておりまして、その検討結果に基づいて必要となる経費を予算編成過程で決める、いわゆる事項要求となっております。
次のページを御覧ください。予算の一括計上ということですが、各府省が共通で利用している府省共通システムにつきましては、御紹介したとおり、順次、内閣官房IT室の下で予算の一括計上を進めております。
その下ですが、各府省が持っているシステムについてですが、情報システムは中期的なサイクルで開発が行われまして、開発に要したコストはサンクコストとなって、その間に大きな変更を行うことは難しいという特性があるため、システムの更改のタイミングを踏まえて、順次、クラウド化を含むコスト削減をすることとしております。
その下ですが、中期の参加コストに伴う開発サイクルを踏まえますと、概算要求で初めて目にしたということでは遅過ぎますので、今年から、財務省、内閣官房IT室、行管、担当府省で、次期システムの開発の計画段階から、クラウド化、重複排除等の検証を通年で行う年間を通じたプロジェクト管理、これを実施してきております。
こうしたことを通じまして、2020年度の運用改修経費を5年間で3割削減することを目標としております。
その下に、このような一元的なプロジェクト管理の強化によって、中長期的なコスト削減を目指すことを書いてございます。また、新規にシステムを構築する際にも、人員削減ですとか、ワークストリームの合理化など、業務改革による効果も含めた投資対効果を高めることによって、行政の効率化の向上と歳出改革の両方を図っていくべきと考えております。
もう1ページおめくりください。行政のデジタル化に関する最近の動きということで、デジタル庁について内閣の一丁目一番地の施策となっておりまして、9月30日からデジタル庁準備室が設置されて、検討が急ピッチで進められております。
その関連で、総理の言葉を若干紹介させていただきます。9月16日の会見ですが、行政のデジタル化の鍵はマイナンバーカードです、その普及を急速に進めるため、複数の省庁に分かれて関連政策を取りまとめて、強力に進める体制としてデジタル庁を新設する、と御発言がありました。その下、23日のデジタル改革関係閣僚会議での発言ですが、行政の縦割りを打破し、大胆に規制改革を断行するための突破口としてデジタル庁を設置する。そこでは、国、地方の情報システムの標準共通化、マイナンバーカードのさらなる普及促進と活用、行政手続のオンライン化、民間、準公共部門のデジタル化の支援、オンライン化に向けた規制改革などが課題として言及されております。
また、時間軸としましては、年末には基本方針を定めて、次の通常国会に必要な法案を提出することとされております。
財務省としましては、前広にしっかりと議論させていただきまして、政府の情報システムの効率化と同時に、財政の健全化に資するように努めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
〔土居部会長代理〕御説明、ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、御意見などいただきたいと思います。なお、退出された中空委員、それから神津委員から、本テーマに係る意見書の御提出がございます。お手元にお配りしておりますので、お目通しをいただければと思います。
終わる時刻が18時で、10分を切っておりまして、再三のお願いになるので誠に恐縮ですが、御発言は可能な限り手短にお願いしたいと思います。会場におられる方はネームプレートをお立ていただき、テレビ会議システムを通じて御参加の方は挙手ボタンをお願いいたします。
それでは、今回は田近委員から順番にお願いいたします。
〔田近委員〕手短に、1点。
4ページ、今日、御説明いただいた中で私が一番関心を持った1つはSDGsの取組ですが、これは外交だけではなくて、今日のお話しいただいた社会資本、それから農水にも関係すると思いますが、SDGsの取組を、この財審を含めてもどう具体的に取り組むのか。時間がないので論点だけでやらせていただくと、例えばインフラ輸出がありますよね。それも、実は非常に重要なSDGsではないのか。また、今日、お話しいただいた社会資本や農水はSDGsの塊ですよね。だから、私の感覚が鈍かったのかもしれませんが、SDGsの取組がお題目ではなくて、日本経済、あるいは我々の生活にも本質的であるいう姿勢を、この財審でどう取り組むのかということが私は気になりました。
時間がないので、話せば切りがないですが、ここでやめます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございます。
それでは、武田委員、お願いいたします。
〔武田委員〕ありがとうございます。簡潔に申し上げます。
1点目、外交安全保障については、グローバルパワーバランスがより不安定化している中で、今後日本はどういった立ち位置で外交を実施していくのか、大局的な議論が必要と感じます。国際社会で日本が他国と協調や連携を進めていく上で、この場では資金の話題が多いわけですが、人材の観点、特に主要国際機関の幹部ポストに送れているのか、そうした観点が重要ではないかと思います。
2点目、デジタル化についてはしっかり進めていただければと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
末澤委員、お願いいたします。
〔末澤委員〕デジタル化について2点申し上げたいのですが、今年、マイナンバーカードが交付されて5年目になりまして、うちの家族は夏までに全員更新してきました。実は、発行5年後の更新は、別にカードの更新でなくて登録内容の更新ですが、まだ、やっていない方は多いのではないかと思います。5年間の私の経験では、カラーコピーを取って貼り付けて送ったことはありますが、カードとして使用したことは1度もなくて、では何のための更新なのかという疑問がございます。要は、デジタル化といっても、やはり目的がないと、別にカードをつくったり、システムをつくったりしても、それだけでは意味がない。むしろ、コストがかかり、リスクもある。
実は、リスクがあるということで、昨年の財審でも申し上げたと思いますが、アメリカのOPM、日本での人事院に相当する人事局が2015年にハッキングを受けまして、2,200万件の個人情報が盗まれた。これには、アメリカのFBIやCIAに応募してきた人たちの経歴もあって、要はアメリカのグローバルセキュリティーの大問題になって、OPMの長官も辞任に至った。これは、前のオバマ政権下の話ですが。
何が申し上げたいかというと、私はデジタル化の推進は極めて大賛成ですが、やはり目的をしっかりするということと、セキュリティーです。統合すれば統合するほどリスクも集中しますから、そこについてはもう本当に相当力を入れてやらないと、形だけでは全く意味がないというか、むしろリスク、コストは高まるだけであると申し上げたいと思います。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
佐藤委員、お願いいたします。
〔佐藤委員〕ありがとうございます。
規制改革推進会議で、デジタルガバメントワーキング・グループの仕事をしているものですから、やはりこのデジタル化をやるときに、今のところはそれぞれ更新のタイミングに合わせて統一をするということになっていますが、もう少し早めでやってもいいのかもしれません。場合によっては、更新を前倒しにて統一化を進める。逆に、もし統一システムがなかなかつくれないということであれば、更新を少し待ってもらうというやり方で、各省庁が独自にシステムを更新、あるいはオンライン化もそうですが、独自にオンライン化を進められると、結局、いろいろなシステムがまた併用されることになりますので、やはり統一性は絶対必要であると思います。
また、意外と忘れられがちなのは地方公共団体であり、国が幾らシステムを統一しても、1,700ある地方公共団体がばらばらでは話にならないので、その全てにおいてシステムの統一が必要であると思います。もちろん、デジタル化は手段であって目的ではないので、その目的は行政の効率化と、実はこれは働き方改革もありまして、公務員の労働時間の縮減にも寄与するかと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
小林委員、お願いいたします。
〔小林委員〕国際機関への任意拠出金の話ですが、これまで財審でもここのチェックをもう少しきちんとやれということを申し上げたいと思いますが、8ページの表を見る限りは、どこまでメリハリが利いて、ちゃんとやってくれているのかがよく分からないです。この結論から、数字を見ただけでは。この辺りのところは、少し厳しめに見たほうが良いと思います。
特に、今年はコロナの関係で、先ほど主計官からも言及がありましたが、WHOなど、非常に権威があると思われていた機関に対する疑念なども出ておりまして、国民の関心も非常に強くなっております。そうしたところに対して日本がどのように影響力を及ぼすのか、あるいは、もうトランプさんみたいに脱退と言ってしまうのか。そうしたことも含めて、いろいろと関心が高まっているところですので、ここのところはきちんと外務省からも、最近の結果だけ見ると、何が評価されているのかさっぱり分からない格好になっておりますので、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、葛西委員、お願いいたします。
〔葛西委員〕4ページですが、効率的で効果的なODA、これを常に意識において進めるということですが、現在の世界情勢を考えれば、効率的で効果的ということは、地政学的な意味で、あるいは安全保障という意味で、極めて意義があるという点が一つの尺度になると思います。そうした面で見て、1つは、バイのODA、それとマルチのODAを比べたときに、やはりバイのほうがより効果的であるという点を常に頭に置いておくべきではないかと思いますし、また、日米同盟という観点を考えれば、アメリカとの歩調を基本的に合わせておくということが大切だろう。それらを一つの尺度にして判断すべきかと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
では、平野オブザーバー、お願いいたします。
〔平野オブザーバー〕オブザーバーですが、発言させていただきます。
デジタル化についてです。今回、菅政権が行政のデジタル化を一丁目一番地に据えられた、当然のことであると思います。今回のコロナ危機の際にも、デジタル化の遅れから壮大な予算の無駄遣いが行われているのではないかと危惧しています。
ただ、何をやるかが非常に大事であり、先ほど佐藤委員も少し触れましたが、私が考えるのは、国、地方公共団体を連ねるデータの共通基盤をつくって、そのデータをどう活用するか、これが一番大事。その上で、システム的に言うと、国民台帳のような基盤システムをつくって、その上に医療、年金、教育、納税などのシステムを構築する、ないしは連携させていくということが目的であると思います。
体制としては、ここにも書いていただいていますが、我々の世界から見れば、今、各省庁がそれぞれエンドユーザーコンピューティングをやっているわけです。それをデジタル庁が一元的に開発、管理するという仕組みに持っていくべきであると私は思います。
地方公共団体も同じであって、1,700がばらばらにつくっているものを、地方公共団体のクラウドを再構築する、地方公共団体のクラウド上に再構築するというぐらいの構想が必要であると思っています。そうすることによって、単純に重複が排除できるだけではなくて、要因が集約される、プロ化される、したがってプロジェクト管理も高度化される、つまりシステム開発の質的な向上が進むということです。
その際に、留意すべき点を2つぐらい申し上げたいのですが、まず1つは、当たり前ですが、費用対効果の測定をしなければなりません。私ども、民間でシステムを開発するときは必ず、これをやれば、これだけ費用が節減できる、ないしは収益が上がるということをきっちり明示して承認を得ます。それが非常に重要であると思います。例えばの話、エストニアでは、デジタルガバメント化によってGDPの2%程度の行政コストを削減したと言われていますが、これが日本でそのままできるかどうかは知りません。ただ、やはり何らかの目標を設定して、その数値目標に向けてフォローアップをしていく、費用対効果を測定していく、これが1点。
2番目、ベンチマーキングです。そもそも8,000億円という数字を聞いて、私はややびっくりしました。私がふだん仕事している会社では、毎年、約2,000億円使います。1企業ですよ。私は、まだ不勉強なので、これが国の予算として十分かどうかよく分かりません。ただ、規模感や使い道、内容、生産性。生産性は、システム1単位当たりにかかる所要コスト、これもベンチマーキングできます。そうしたものをきちんとベンチマーキングして、最適化を図っていくという点が大事であると思います。
最後、1点だけ付け加えると、ここに書いてありませんが、デジタル化を進める上で重要であるのは人材です。日本は、やはりここが徹底的に枯渇している。ということであれば、人材育成のための予算をどうつけるか。当然、リカレントの教育も必要になるというところを、一言付け加えておきたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
予定の18時を回っておりますが、オンラインで、今のところ3名の委員の御発言ということで、発言順に、河村委員、冨田委員、黒川オブザーバーという形で御発言いただきたいと思います。これをもちまして、御発言は、この3人とさせていただきたいと思います。
それでは、河村委員、どうぞ。
〔河村委員〕すみません。私からは、外交分野で3点、手短に申し上げますます。
4ページのところ、ODAですが、効率的、効果的なODAとあり、本当にそのとおりであると思いますが、ぜひ担い手のことも考えていただきたいと思います。以前、外務省でこうした検討に関わったことがございますが、今までJICA経由でずるずる行ったようなところがあると思いますが、本当に相手国に我が国の顔が見えて、欲しいところ、かゆいところに手が届くような、彼らが必要としているところに手が届くような支援を誰ができるのかということを考えたときに、NGOなども含めた多様な担い手を経由するODAの支援ということも、考えていくのが良いのではないかと思います。
2点目は、6ページの国際機関への任意拠出金の件ですが、やはり評価軸をしっかり決めて、メリハリをつけてということ、これも外務省、本当にずるずる行ってしまうことが多いと思うのですが、そのとおりであると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
最後に、10ページのところ、在外公館ですが、本当に外務省はずるずる増やす、よその国と比べて足りないから増やすということで、中身を聞いてみると、今でもアメリカなどで増やすということもやっております。やはりこの御時世、この国の財政事情なども考えたときに、ここにありますように、増やすだけではなくて、降格や廃止、本当にスクラップ・アンド・ビルドという形でやっていくことを強く求めていくべきなのではないかと思っております。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
冨田委員、お願いいたします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。2点です。
1点目は、無償資金協力、7ページに表がございます。この表、サブサハラ・アフリカが各分野とも極めて大きな金額になっております。昨年度は、この表について、後年度負担を考慮して無償資金協力を行うという観点から作られましたが、ここにもありますように、技術協力、あるいは東アジアにおいて大きな効果を収めてきた我が国の有償ODA、有償資金、これらを含めた総合的な我が国の援助力ということで、この地域、サブサハラ・アフリカに対して協力を行っていくということが、戦略的なODAとしてより効果は出てくるものかと思います。
2点目は、大洋州地域です。この1つ前のページに、マーシャル共和国の話がありました。この地域も、戦略的な重要性を極めて増してきていると思いますが、1人当たりGDPといった面から見るとODAの対象にならない。しかしながら、国の規模が非常に小さいので、我が国が支援していく必要のある国がございます。そうした戦略的な重要性を踏まえますと、これらの国に対する支援や関与の在り方を具体的にどうしていくかということも考えることが必要かと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、黒川オブザーバー、お願いいたします。
〔黒川オブザーバー〕ありがとうございます。
私も、7ページの無償資金協力の表について、1点だけ発言させていただきます。この表自体をセグメントリポートと考えて、会計学の立場から評価いたしますと、分野として独立項目が4項目あり、それ以外のものはみんなその他と一括されていますが、このその他とされている金額が全体の40%以上になっている。特に、中東・北アフリカに至っては、60%以上その他というところに一括されてしまっておりますので、もう少し独立項目を増やして、その他の中の金額を明示しないと、本当にセグメント情報としてよく分からないのではないか。したがって、このその他の中身をもう少し分類して、詳細にディスクローズしていただきたい、そのようにお願いいたします。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、お時間を超過して誠に申し訳ございませんでしたが、以上で本日の議題は終了したいと思います。
本日の会議の内容につきましては、会議後、記者会見で御紹介いたします。会議の個々の発言につきましては、皆様から報道関係者等にお話しにならないよう御注意をお願い申し上げます。
次回は、10月26日の朝9時半から、文教・科学技術、中小企業、エネルギー・環境、防衛をテーマにいたしまして、引き続き歳出改革部会の開催を予定しております。よろしくお願い申し上げます。
それでは、お時間を超過して申し訳ございませんでした。本日は、これにて閉会といたします。御多用中、御出席ありがとうございました。
午後6時10分閉会