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財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会
議事録

令和元年10月17日
財政制度等審議会歳出改革部会


財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会議事次第

令和元年10月17日(木)13:30~15:30
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)

1.開会

2.農林水産について

3.社会資本整備について

4.閉会

出席者
部会

増田寛也

藤川副大臣

宮島大臣政務官

太田主計局長

阪田次長

角田次長

阿久澤総務課長

日室司計課長

前田法規課長

斎須給与共済課長

森田調査課長

寺岡主計官

大久保主計官

佐藤主計官

渡邉主計官

吉沢主計官

関口主計官

八幡主計官

一松主計官

中澤主計官

中島主計官

岩佐主計官

井上主計企画官

坂口主計企画官

飯塚主計企画官

遠藤典子

武田洋子

中空麻奈

宮島香澄

臨時委

秋池玲子

河村小百合

木村

末澤豪謙

竹中ナミ

田近栄治

田中里沙

冨田俊基

広瀬道明

別所俊一郎

神子田章博

村岡彰敏

横田響子

オブザーバー

大槻奈那

黒川行治

平野信行


午後1時30分開会

増田部会長それでは、時間も参りましたので、ただいまから財政制度分科会の歳出改革部会を開催させていただきたいと思います。

初めに、カメラが入りますので、このままの形でお待ちをいただきたいと思います。

では、お願いします。

(報道カメラ入室)

増田部会長それでは、改めまして、ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会における歳出改革部会を開催いたします。

ご多用中のところ、ご出席をいただきまして、ありがとうございます。

当歳出改革部会では、より少ない人数で、各歳出分野における予算編成上の各論について集中的に議論いただき、財政制度分科会における建議につなげていきたいと、このように考えております。そして、本日は、農林水産、社会資本整備、この2つを議題としております。どうぞよろしくお願いいたします。

(報道カメラ退室)

増田部会長初めに、農林水産の審議に入ります。中澤主計官から説明をお願いしますが、今回もペーパーレスですので、もしパソコン等の調子が悪い場合には、お近くにいる職員のほうに申し出ていただきたいと思います。

それでは、中澤主計官、お願いします。

中澤主計官農林水産予算を担当しております中澤と申します。

本日は、皆様の貴重なお時間を1時間ほどいただきまして、農林水産関係予算についてご議論いただければと思います。全体の構成といたしましては、20分程度、資料に基づき説明をしたいと考えておりまして、その後、ご議論いただければと思います。

まず、1枚目をおめくりいただければと思います。本日の資料の構成になっております。農林、水産業ともに、後継者をいかに確保するかという問題に直面しているところでございます。そこで、本日は、農業と水産業を取り上げまして、若手を引きつける魅力のある産業となるにはどうしたらいいかという視点でご議論いただければということでございます。

1枚おめくりいただきたいと思います。2ページ目を御覧ください。まず、農業をめぐる環境を、食の需要というところからのぞいてみたいということでございます。

まず、グラフ1を御覧いただければと思います。日本の主食であります米の需要量を青線、価格を赤線でプロットしているところでございます。米の需要量を見ていただきますと、人口構成の高齢化、また、食卓が豊かになってきたことを反映し、右肩下がりであることを確認いただけるかと思います。まさに米の需要量の減少にどのように対処するかが、日本の農政の中心的な課題であったと。また、米だけ見ておりますと、農業は衰退すると、暗いものに見えてしまうところでございます。

なお、赤線の価格については、近年、60キロ1万5,000円台で安定的に推移しております。この点については、後ほど言及したいと思いますので、頭の片隅に置いていただければと思います。

一方、2.と3.を御覧いただきたいと思います。米から、日本もしくは世界の食卓に目を向けたものでございます。

まず、2.を御覧いただきたいと思いますが、こちらは日本の食料支出の総額、1人当たりの支出推計でございます。オレンジ色の線を御覧いただきますと、今後、共働きのさらなる進みを反映して、より付加価値の高いものが需要される、より増えていく絵が描かれているところでございます。

3.世界の飲食料市場規模を御覧いただきましても、新興国の所得の上昇、人口の増加から市場規模の拡大を見通しているところでございます。

また、4.と5.は、食の質で有機食品を代表例に挙げているところでございます。やはり健康長寿に対する志向を反映しておりまして、有機食品市場の規模も日本のみならず世界で拡大してきていることが確認できるところでございます。

1枚おめくりいただきまして、このように食に対して消費者ニーズが拡大している中で、日本の農業がどのように対処してきたかを3ページ目でご確認いただきたいと思います。

まず、1.を御覧ください。農業の総産出額の推移でございます。この中でも、オレンジ色のところをご確認いただきたいと思います。最近のピーク、平成6年に3.8兆円、米の生産額があったところでございますが、29年は1.7兆円、45%の水準に落ち込んでおります。まさに、先ほど申し上げた米の需要量の減を確認したところでございますが、生産調整を通して需要減にどのように対応していくかが、ここにあらわれているところでございます。この生産調整に、日本の農政の多くのエネルギーが使われてきたと思います。

日本の農政は米が中心だったということを、形を変えて確認したいと思います。2.を御覧いただきたいと思います。こちらは、一自営農家の時間当たりの所得を、統計を利用して算出してみたところでございます。米、野菜、果樹、米は米・麦・大豆といった水田作を考えておりますが、御覧いただきますと800円台になっているところでございます。ただ、水田作、野菜、果樹の中で大きな違いは、水田の括弧内を御覧いただきますと、補助金613円ということで、7割方、公的なものと説明ができるところでございます。野菜、果樹は、あまり税金が入っていないところでございます。

また、4.を御覧いただきたいと思います。227万平米の水田がどのように利用されているかでございます。やはり6割方が主食用米でございます。一方、その脇に2.2という数字がご確認いただけるかと思いますが、これは備蓄用米です。また、赤い枠で囲んでおります水田活用の直接支払交付金3,215億円の予算のもとで、主食用米に出回らないようにさまざまな取り組みがなされておりまして、たびたび財審でも取り上げている飼料用米というのはオレンジの8.0の部分でございます。

先ほど申し上げました時間当たり881円という所得は、ある意味、財政的な支援、さらには高い米価、消費者の負担と、2つによって演出されたものではないかということでございまして、若い人たちは政策的に演出された世界になかなか魅力を見出していないのかもしれないというところかと思います。

1枚おめくりいただきまして、4ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらは、現在、経営安定対策として財政的に支援が行われている施策を並べております。質疑の際に、必要に応じて活用できればと考えているところでございます。

続きまして、1ページおめくりいただきたいと思います。ここからが論点になります。

論点1といたしまして、新規就農を促すための環境整備でございます。現在、どのような人が農業に取り組んでいるかというところでございまして、まず1.を御覧いただきたいと思います。年齢別基幹的農業従事者数を140万人と見ておるところでございますが、一つ大きな特徴としては7割の人が65歳以上でございます。ゆえに、跡継ぎが必要だという声が聞かれ、これが大きな課題となっているところかと思います。

ここでは、若手の定義はいろいろあると思いますが、49歳以下を若手として定義させていただきたいと思いますが、実は毎年2万人程度、新規就農が図られているところでございます。ここには財政的な支援も入っておりますが、いずれにいたしましても大体2万人入ってきていると、頭の片隅に置いておいていただければと思います。

図表の3.を御覧いただきたいと思います。では、農業の世界に飛び込んでくる人はどのような形に飛び込んでくるのかを示しております。ここでは3つの類型がございまして、親から水田を引き継ぐ親族からの継承、土地を持たない人が農地を借りて、もしくは農地を買って新たに自営する、農業法人に就職する法人等に雇用という3つの類型があるところでございます。人数は後ほどご確認いただきたいと思いますが、新たな自営、法人等に雇用は若手が中心になっているところでございます。

それぞれの類型のもとで、どのような作物に取り組んでいるかを円グラフにまとめているところでございます。親族からの継承につきましては、49歳以下と50歳以上と2つに区分して見ております。2つ御覧いただきますと、やはり49歳以下は、稲作のみならず、野菜や果樹といったさまざまな取り組みが見られる。一方、50歳以上の人について見ますと、3分の2程度の人は稲作と、大きな違いはここで感じ取ることができる。また、先ほど、新たに自営、もしくは農業法人に勤める人のかなりの部分は若い人だと申し上げましたが、新たに自営の人を見てみると、左下でございますが、野菜や果樹が中心になっております。右下、農業法人が取り組んでいる作物を見ていただきますと、野菜、果樹、もちろん米も含めて複合的に取り組んでいます。

いずれにしましても、若手にとって魅力ある農業ということで考えてみますと、先ほど申し上げた政策的に演出された米づくりよりは、消費者ニーズを踏まえた稼げる農業ではないか、まさに国内外の消費者ニーズを踏まえたものではないか、そういう環境整備を推し進めて必要があるのではないかということでございます。

そこで、また1枚おめくりいただきたいと思います。稼げる農業というところを、もう一つ確認してみたいと思っております。1.を御覧いただきたいと思います。米、タマネギ、キャベツ、リンゴを、10アール当たりと一つ面積を固定しまして、それを所得にしたものがこの棒グラフでございます。米と野菜やリンゴの大きな違いは、単位面積当たりの所得が高い、右側のほうが比較的高いということをご確認いただけるかと思います。まさに稼げる農業ではないかと思っておるところでございます。

2.は、他産業と農業の立ち位置を比較したものでございます。横軸が時間当たりの労働時間、縦軸が時間当たりの所得というものでプロットしたものでございます。現在、野菜や果樹の立ち位置は右下のところでございます。やはり比較的手間、時間はかかる一方、所得はそこまで高くないかもしれません。

ただ、野菜、果樹といった分野は、今、まさに技術革新も進んでいる。さらには、皆、野菜、果樹にプロ化していく中で、より技術革新が進む可能性もあるだろうということで、機械化の試算をしておるところでございます。左下に少し細かい字で書いてございますので、ここの数字は後ほどご確認いただきたいと思いますが、大まかなところとしては右側のほうを御覧いただきたいと思います。今、右下の立ち位置である野菜、果樹の機械化を進めていく中で左上のほうになっていく。そうしますと、他産業と競争できるような、より競争的な分野になり得るのではないかというところでございます。

1枚おめくりをいただきたいと思います。論点1のまとめのページになるところでございます。まさに国内外の消費者ニーズを見た生産に移行していくと、これが令和時代の農業ではないかということで、こういう点をよく農林水産省とも議論しながら、予算面でも重点化を図っていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

具体的には、左下の黄緑のところにまとめておるところでございます。

まず、1点目でございます。農業の世界には、一次産品特有のリスクに対応いたしまして、セーフティーネットとして収入保険というものがございます。これは、今年1月から始まっておるものでございます。ある意味、セーフティーネットがあるということは、新たな挑戦を後押しできる環境にあると考えているところでございまして、この収入保険を軸に、消費者ニーズを踏まえたいろいろな取り組みを農政としても後押ししていく必要があるのではないかということでございます。

2番目でございます。先ほど3,215億円、水田活用の直接支払交付金と申し上げたところでございまして、現在、餌米を中心に活用されているところでございますが、ここは食の需要、内外のニーズを見た高収益作物への転換支援にシフトしていくことが必要ではないかと考えているところでございます。

3番目を御覧いただきたいと思います。農業農村整備事業という公共予算がございまして、例えば水田の畑地化、もしくは汎用化といった消費者ニーズに合った形に転換していくものを優先的に採択していく必要があるのではないかと考えているところでございます。

さらに、農業は土地を活用して行われているものでございます。右のほうを御覧いただきたいと思いますが、土地を農地だけに活用せずに、いろいろな取り組みがもしあれば、後押ししていくということではないかと考えているところでございます。

続きまして、8ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらは、収入保険を今までの既存施策と並べたものでございまして、財政的に節約となるということでございます。この点、もし御質問等あれば、またお答えしたいと思います。

続きまして、9ページ目を御覧いただきたいと思います。農地利用のあり方でございます。先ほど、飼料用米に8万ヘクタール使われていると申し上げたところでございます。この裏づけが食料・農業・農村基本計画でございます。これは、5年に一度改訂されておりまして、来年3月に改訂が予定されているところでございますので、ここでもご議論いただきたいと思っておるところでございます。

具体的には、1.を御覧いただきたいと思います。基本計画の中に自給率目標が定められているところでございまして、自給率を向上させる中で、飼料用米の作付がある意味、正当化されているという状況でございます。

一方、食料自給率を考える際、食料安全保障というものがおそらくその根幹にあると思いますが、食料安全保障を考えてみますと、自給力、1.の右側のオレンジのところが一つ鍵を握っているのではないか。要は、日本人の1億2,000万人の食を満たす、カロリーを満たす中で、今ある農地を、例えばイモを植えるなり活用すれば、実は今、十分満たすことができる状況ではないかということを、100を超える数字が表しているところでございます。そういう状況であれば、政策的に誘導して飼料用米をつくるのではなく、まさに国内外の消費者ニーズに合ったものをつくって、農地を活用していくことが大切ではないかと考えるところでございます。そういう視点で検討していただけないかというところでございます。

1枚おめくりをいただきたいと思います。一方、果樹、野菜など、先ほど稼げる農業という中で紹介したところは、農地の面積を必要としないものでございます。仮に、農地を維持するという視点に立つのであれば、右の2.で示しているような、例えば放牧という形で、飼料用米を育てるのではなくて牛に草を食べてもらうとか、ビオトープで自然環境を維持するような形で、あまりお金をかけずに維持できるようなやり方もあるのではないか。

また、3.に示してありますように農福連携、福祉との連携という大きなニーズがあるということを聞いておりますので、そういう形での活用。また、耕作放棄地を商売のネタにしているところもありますので、水田を飼料用米として活用することにとらわれずに、さまざまなニーズを見ながら活用することが必要ではないかというところでございます。

続いて、11ページを御覧いただきたいと思います。論点3に移ります。国際的な環境への対応でございます。

先日10月7日(現地時間)、日米貿易協定が署名されたところでございまして、国際的な競争環境が進展しておりますけれども、予算編成に当たりましては、真に競争力の強化に資するか、という視点を十分頭に置きながら取り組んでいく必要があるのではないかということでございます。

12ページ目を御覧いただきたいと思います。国際的な競争環境が整備され、内外の消費者ニーズに対応する中で、さまざまな消費が指摘されております。特に輸出のほうでは、検査でございますとか、衛生基準といういろいろな指摘がある中で、予算面につきましても消費者ニーズへ重点化しながら対応していく必要があるのではないかというところでございます。

1枚おめくりいただきたいと思います。次に、水産業のほうを少しお話しできればと思います。水産業を魅力ある産業としていくためにという点でございます。

14ページ目を御覧いただきたいと思います。まず、図表の1.を御覧いただきたいと思います。ここは、漁業、養殖業の生産量の推移でございます。赤線が世界でございます。世界は右肩上がりである一方、面グラフは日本の数字でございますが、御覧いただきますと、右肩下がりで、かつ低迷をしているといったところがご確認いただけるかと思います。

先進国の多くは、実はこの右肩上がりの背景には、資源管理という中でとる魚の量をコントロールし、魚が少なくならないような取り組みをしながら、おいしい魚を食卓に届けているところでございます。一方、日本は、過剰な漁獲による資源の枯渇、水産資源の枯渇が指摘されているところでございます。

1枚おめくりいただきまして、資源管理に取り組むノルウェーの事例をここでは取り上げております。資源管理に取り組むようになってどうなったか、右下のグラフを御覧いただきたいと思います。もともとノルウェーでは、水産業は補助金作業であったところでございますが、資源管理に取り組む中で、補助金をもらう産業から税金を納める産業に大きな転換が図られたところでございます。少ない魚でございますが、それをニーズのあるところに届けていく中で、このようになってきているところでございます。

16ページを御覧いただきたいと思います。昨年の財審でもご紹介したところでございますが、昨年12月に漁業法が改正され、日本でも資源管理に取り組むということでございます。まさに、令和2年度の予算編成に当たりましても、資源管理をするということであれば、そこに重点化を図っていく必要があるのではないか。例えば、データ収集が必要だということであれば、データ収集に重点化していく。また、科学的知見のもとで資源評価が必要だということであれば、しっかりそういうことをサポートしていく。あまり漫然とした予算ではなく、しっかり重点化を図っていく必要があるのではないかというところでございます。

17ページ目は、今、申し上げたことを字面としているところでございまして、お時間あるときに御覧いただきたいと思います。

最後に、中・長期的な話をしたいと思います。将来的な話ということで、19ページ目を御覧いただきたいと思います。

農業の投入要素というものは、人、土地、技術に加えて、実は水がございます。水は、日本は世界と比較すると、比較的恵まれているということを1.に示しているところでございます。一方、世界全体を見てみますと、砂漠化でございますとか、人口増加によりまして、農地が工業化しているところでございまして、農業を取り巻く環境は次第に悪化しているということでございます。

右の2.は、国連のFAOが農地のリスク、農業のリスクというものを出しておりまして、それを引用しているところでございますが、このプロットしてあるところが農業のリスクというものでございます。日本をご確認いただきますと、実は日本はプロットがないという意味で比較的恵まれた状況でござまして、消費者ニーズを踏まえた農業という中で、日本も実は農業先進国になる可能性があるのではないか。さらに、比較というわけではございませんが、耕地面積が狭いオランダも農業が輸出産業になっているところでございます。

最後に、20ページ目を御覧いただきたいと思います。現在、農業予算は、補助金などの措置が中心になっているところでございます。ただ、農業は、今までは米でございますが、消費者ニーズを踏まえた中で、世界的な比較の中でも成長産業化が可能ではないか。そうしますと、政策的な支援も、今までの補助金を中心としたところから金融的なところに移ってくる可能性もあるのではないか、中・長期的には財政再建にも随分貢献できるのではないかということでございます。

以上でございますが、ご議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。

増田部会長ありがとうございました。

まず、本日欠席の赤井委員、神津委員から意見書が提出されております。各委員の皆様のお手元に配付してありますので、お目通しをいただきたいと思います。

それでは、ただいまの農林水産業についてご意見やご質問等ございましたら、お願いしたいと思います。ネームプレートを立てて合図していただければと思います。

それでは、中空委員、冨田委員と、こういう形でお願いしていきたいと思います。

中空委員、お願いします。

中空委員ご説明ありがとうございました。

ご説明いただいたことに関しては、一つ一つそうだなと思ってお聞きしました。お話の中に、農業は稼げる産業になっていくとありますが、基本的には、日本においては、かなり成長産業になるのではないかと期待感もあり、話全体が補助金の見直しにウエートがかかっていることに違和感を持ちながら聞きました。ただし、経営の安定や機械化の導入等々は、本来はみずからがみずからの責任で考えてもらわなければいけないことなので、もう少し補助金のあり方、これをどうやってなくしていくかについて考えていかなければいけないと思います。

その中で、3ページの2.の表を見ると、お米をつくることに対してものすごくインセンティブが与えられていることがわかります。ですので、政策そのものが正しい方向に持っていこうということはよくわかるのですが、現実はかなり、今の現実をつくり出すのにふさわしい政策をしてしまったのではないかと感じた次第でございます。稼げる産業にもう少しなっていくと思うので、次の回にはさらにポジティブな面が出てくるように期待したいと思います。

以上です。

増田部会長ありがとうございます。

それでは、冨田委員、お願いします。

冨田委員ありがとうございます。

2点、申し上げたいと思うのですが、1点目は、行政に向いた農業から市場に向いた農業へということだと思うのです。それは、そのとおりだと思うのです。そして、その具体策として、7ページにお示しになったこともそのとおりだと思うのです。ただ、市場を向いた農業、もっと言えば政策的に演出された世界から市場を向いた農業、市場の中の農業ということだと思うのですけれども、そのための誘導策もやはり行政であり、ある意味では補助金によって誘導していく必要があると思うのです。7ページにお示しの3項目については、何かまだ総論的な感じがするのです。

去年は、具体的に水田活用の直接支払交付金について、飼料用米にあまりに過度なインセンティブをつけているので、それを削減しようという明確な方向で打ち出したと思うのですけれども、ここにあるような形でどれを訴えるかというか、それをお聞かせいただきたいと思うのです。やはり我々としては、全体の方向性は主計官のご指摘のとおりなので、具体的なものについてもう少し議論をしていったほうがいいかと思うのです。

もう一点は、一番最後の将来的な公的支援のあり方ということで、中小企業と農林水産の予算と財投計画を比べたものがございます。農業は、まだ補助金に依存した状況にある中で、将来を言うのだったら、財政投融資に依存する、つまり政治に依存するのではなしに、民間の資源配分、つまり民間銀行の融資で十分やっていけるようなものにしないとだめだと思うのです。

ここで、資金調達の円滑化について農業者の意見等というものが、他の審議会の資料で示されているのですけれども、最初のご意見、補助金よりも無利子融資の支援のほうがありがたいと感じていると。ありがたいと感じているという意味は当事者でないとわからないと思うのですけれども、財政投融資は基本的には償還確実なものを対象に、そして民業を圧迫しないことを前提に行うものなので、そう簡単にそれ行けどんどんというようなものでは決してないのです。そういうことも踏まえる必要があると思うのです。

それから、黄色で農業は金融と相性がよいと書いてあるのですが、そうなのでしょうか。アメリカの財政投融資を見ていますと、結局、州法銀行は自分の地域の農業者にしか融資できないのです。そうすると、気候変動が銀行経営にも影響を与えてしまうわけで、証券化によって他の州の融資についても投資できるようにしてきたというのが、アメリカの財政投融資なのです。だから、本来、農業は金融と相性がいいというのは、どういう意味で書かれているのかということもご説明いただきたい。

以上です。

増田部会長ありがとうございました。

今、2つ質問ありました。飼料用米の関係と、今、おっしゃった金融との関係について、ここで一度、主計官のほうに答えていただいて、次、武田委員のほうに行きたいと思いますので、お願いします。

中澤主計官ありがとうございます。

参考資料1の14ページを、御覧いただきたいと思います。14ページ目は米政策の変遷ということで、米をめぐる今までの政策的な状況をまとめたものでございます。戦時中に配給制が引かれていた。戦争に負け、食料が不足する中で、食糧管理というものがなされてきた。具体的には、国が米なり、主要なものを買い上げていく、それをまた消費者に届けていくという形で、まさに米は補助金なり財政的なものと切っても切り離せないというのが出発点でございます。ある意味、今までは国のもとで稲作なりが行われてきて、それが徐々に変わってきているところでございます。今、世代が変わる機会、先ほど説明しましたように7割の人が65歳以上、これから後継者が必要だという中で、新しい農業が、まさに代替わりするのにいいきっかけではないかと、ご議論いただければと、今回、説明したところでございます。

もちろん、ほかの産業を見てみましても、いろいろな転換を図る中で、補助金などはなかなかないというのは中空委員ご指摘のとおりでございますし、本来、インセンティブづけも財政の役割は限られたものだというのは、ほかの産業を見ればそうなのかなと。農政につきましては、まさに戦争というものが一つ大きく支配をして、そこから脱皮を図ってきていると思います。ある意味、国家で戦争し、そこから飢餓、貧しい状況が始まり、ようやく豊かな状況になって、今、代替わりが来ていると思っておるところでございます。

そういう中で、先ほどの説明資料のほうに戻っていただきまして、7ページ目でございます。インセンティブという形で、今ある現状からどうすれば次の状態に移行できるのかということを申し述べる際に、今、実際、水田を維持するという中で、3,215億円の水田活用の直接支払交付金が代表かと思いますが、そういうものを少しずつ、色を変えながら動かしていけないかというところが、本日申し上げたことでございます。冨田委員からもご指摘いただいた、行政の農業から市場の農業へということだと考えているところでございます。

冨田委員から、2点ほどご指摘をいただきました。今まで飼料用米について、財審のほうでいろいろご議論いただいたところでございます。具体的なものは、先ほどの参考資料1の14ページに戻るところでございますが、まさに国が水田を用いて1億2,000万人の食料を維持するという戦争期、その後の戦後の混乱期からの移行であり、では、どうすれば今、水田に向いている人がほかのほうに向くのか。そこは、よく農林水産省とも議論しながら、具体的な工程を考えていかないといけないのではないかというところでございます。

その中の一つは、飼料用米に対するインセンティブづけを下げていくとが大きな柱であることは疑いないと思います。ただ、ここは丁寧にやっていく必要があって、今まで国に向いている人を、どうすれば市場に向くようにできるのか。飼料用米の価格を下げるといったところは一つ大きな柱なのかもしれませんが、そういうものも含め、丁寧に説明をしていく必要があるのではないか。要は、飼料用米を削減したいから削減するわけではなく、市場を向いて稼げる農業が後継者問題の解決にもつながるのですと、そういうことを説明しながらやってく必要があるのではないかというところでございます。

最後、公的支援のところでございますが、こちらは今まであまり民間で行われてきていないことを前提に話をしているところでございます。公的金融の大前提としましては、もちろん民業圧迫にならないようにするのは大きなところだと思います。公的金融の活用については、そのときの状況によるのではないかということでございまして、公的金融が必要と言っているわけではございません。仮に民間がないということであれば、公的金融の出番もあるかもしれないということでございます。

以上でございます。

増田部会長それでは、とりあえずここまでとさせていただいて、次、武田委員、末澤委員とお願いします。

武田委員どうもありがとうございます。

私からは、意見として1点述べさせていただきます。私も稼げる農業を目指して新規就農を促すための環境整備の方向に進めていくということに賛成でございます。

実は、先週、新しい技術を取り入れて生産性を高め、さらには今後、グローバル市場も意識して、挑戦していこうという取り組みをされている農園にお邪魔しました。その経営者さんは大変意欲を持たれて取り組んでいらっしゃいまして、実際に目で見てみると、こうした農園を日本としてはもっと応援していったほうがいいのではないかと、肌感覚で感じたところでございます。

そうした観点で、日本として向かうべきは、飼料米などの転作補助金に偏り過ぎている部分を調整し、環境整備として稼げる農業にシフトしていく必要があるのではないか。将来的には、稼げる農業自体が自立的に稼げていかないと意味がないので、そこは大前提だと思いますけれども、過渡期として促す施策としては意義があるのではないかと感じます。

以上です。

増田部会長ありがとうございました。

末澤委員、お願いします。

末澤委員どうもありがとうございます。

私は、やはり農林水産業というのは、今後は持続可能性が最も重要になると思うのです。本来的には労働集約的な産業ですけれども、今後、少子高齢化が進むと。しかも、グローバル化も進んできますから、先ほどオランダの事例が出ましたけれども、オランダはEUの中で関税が免じられたところで、花だとか、野菜等を相当販売しているのではないかと推測しますが、やはりそれなりに持続性を持たせるためには特色、強みがないと無理だと思うのです。

私は、この農林業の話、6年間お伺いしているのですが、あまり持続可能性が上がったとは思いません。というのは、やはり補助金のウエートも全然変わっていませんし、少子高齢化はどんどん進んでいますから、ますます就業者の年齢も上がっていく。去年から水産業の話も出たのですが、多分、水産業も相当厳しくなっているので、去年あたりから議論の対象になっているのではないかと思っています。

かつて、日本が漁業大国だったころというのは、このウエートで見ると、青いところの遠洋漁業が相当大きいのです。これは、やはり相当、国際競争力あったと。本当に7つの海をまたいで、いろいろな魚をとっていたのだと思うのですが、実は遠洋漁業のウエートがほとんどなくなってきている。その次に競争力の高いと見られる沖合漁業も相当減ってきて、最近、いろいろ報道を聞く限りは、日本の船は小さくて海外は相当と大きいと。沿岸漁業は残っていますけれども、多分、かなり手工業的な体制でやられている。

そういう面で見ると、今後、可能性が高いのは一番下の養殖です。例えば、農業でも、やはり日本は相当手間をかけて、逆に高品質のものをつくるというところに特化しないと、現実的には世界と戦えないのではないか。先ほど、日本の農業の比較優位が19ページでありましたけれども、私はちょっと本当かなと思いました。なぜかというと、これは農業ですけれども、例えば世界の都市の自然災害リスク指数で見ると、日本はもう世界の10倍、100倍リスクが高いのです。これは、地震に加えて、先般の台風15号、19号、今後、地球温暖化するとなれば、この程度のレベルのスーパー台風は相当来ると見たほうがいいと思うのです。

そういうことも含めて、やはり持続可能性を相当上げていかないと、若い方が入っても無理だと、また出ていってしまう方が多いと思います。実は、私の知り合いでも、今、農業をやられていて、頑張っていらっしゃるのですけれども、やはりなかなか厳しいと。あと、農業法人を経営している方もいらっしゃるのですが、やはり従業員の雇用は5年間の補助金でやっている部分があって、これを越えたときにどうしようかと本当に心配されている方が多い。

要は、皆さん、本当に10年、20年、30年、この業についてやっていけるのかというのがやはり一番の心配のもとで、だから国として農業、水産業はもう絶対守ると、守るためには国際競争力を上げなければいけないのだけれども、10年、20年、30年後を見ても、日本が国際競争力を持てるような仕組みに変えていくということで、補助金の配分だとか、税制等も含めて対応したほうがいいのではないかと、私はそういうように思っております。

以上でございます。

増田部会長ありがとうございました。

それでは、木村委員、お願いします。

木村委員ご説明ありがとうございました。

ご説明の中で、農業ですけれども、飼料用米への誘導による米価維持というのですか、これは政策的演出で、新規就農を遠ざけているのではないかという分析がありましたけれども、私も確かにそのとおりだと同感しております。

この政策的演出に関して言いますと、米価維持の財政的な部分だけではなくて、関税もこれまで農政の中ではそうだったのではないか。つまり、財政と関税と両方の面で日本は政策的な農政を演出してきたと。ただ、政権として自由貿易も掲げていますから、そういう意味で関税をこれから引き下げていきますでしょうし、関税の面でも政策的演出をできるだけ下げていくことがこれからの日本の農業にとって重要だと考えております。

ただ、丸腰というわけにいかないでしょうから、そのときにどうやって農業を支援していくかというと、やはり関税よりは財政の役割のほうが重要ではないか。つまり、関税は農家を一律に守るような手段でありますけれども、財政は意欲のある農家にポイントを絞った支援ができるのではないかという意味で、財政のほうがよりこれから重要になるのではないかと考えています。ただ、財政は当然厳しいので、資料で挙げられたような予算の効率化、あるいは金融的手法による支援をより考えていく必要性があるということは私も賛成でございます。

それで、1点ちょっとお伺いしたいのですけれども、生産調整の廃止がありましたよね。まだ始まったばかりですけれども、あれが補助金に頼った農業をどう変えつつあるのか、あるいは公的支援に対してどのような影響を今、及ぼしているのか簡単なご説明で結構ですので、お教えいただければと思います。

以上です。

増田部会長そうしたら、河村委員までやって主計官に答えてもらいます。

では、河村委員、お願いします。

河村委員ご説明ありがとうございます。

新規就農の促進という論点の方向性に賛成でございます。全体的な方向性として、稼げる農業ということを主計官がおっしゃられて、本当にそのとおりだと思います。やはりそういう面からも、国内の自給率の問題、いろいろな経緯もあって、いろいろな数字を見ながらやっていかなければいけないことも事実ではありますが、やはり例の農産物輸出が1兆円に行きそうという話で、これだけこの国を支えてきた製造業がある意味、空洞化してきてしまっていて、この国、これからどうやっていけばいいのかと考えたときに、たかが1兆円なんていうことは決してないと思います。やはりそういった意味でも、そちらのほうに重点をもっと置く形でやっていってもいいのではないかと思います。

資料5ページのところでもご説明くださいましたけれども、新しくこの分野に入ってこられる方、新たに自営の方であるとか、それから法人として参入してこられる方は、やはり稼げる野菜であるとか、果物に入ってきていらっしゃると思います。そういった形で、やはり輸出をもっと後押ししていくことで、さらなる新規就農者の促進にもなるのではないかと思います。

その輸出促進のところで、資料にもお書きくださってはいたのですが、何が足りないかというと、やはり国全体の取り組みとしてちょっと足りないところがあるのではないかと思っております。12ページにもお書きくださってはいるのですが、何となく私たち国民の感覚に合わせるような形で、各地域でいろいろ頑張っていらっしゃる方があると思います。実際には輸出する国の相手先、参考資料1に出てきますけれども、やはりアジアが結構多いですよね。

参考資料1の31ページにグラフをつけてくださっていますけれども、香港だとか、中国だとか、やはり所得環境の面でもこれからさらなる伸びが期待できる国々で、高所得の方々が品質の高い日本のいろいろな農産物を買ってくださっていて、それが輸出促進につながっているところがありますので、ぜひ、そういうところへの輸出をもっと後押しできるように、ただ、国内目線でいくと、例でいいかわかりませんけれども、博多のあまおうとかいう感じで、日本人にはよくわかるんですけれども、海外の方から見たらどう見えるか。やはりもっとオールジャパンで、輸出促進していくような体制をもっと後押しする。

それから、やはり農産物の安全性の問題、いろいろ微妙な問題があって特に気にされている国があったり、なかなか規制を緩めてもらえない国があったりということも聞いております。そういったところを乗り越える意味でも、国際的に通用するような認証を各産地の農産物がとるように後押しする。ある意味、攻めの農業のところにもう少し予算を配分して、後押しをしていってもいいのではないかと思います。

意見、もう一点は、農地の利用のところであります。耕作放棄地の話であるとか、そういったあたりもご説明くださって、いろいろ厳しい状況になってきていることはわかりますけれども、やはりこれは土地のことだけを取り出して考えればいいわけでもなくて、農業の継承、新たな担い手が入ってきてくれるようになったときに、いかにうまくまとまった形で農地が手に入れられて参入していけるかということと一緒に取り組んでいくことが必要なのではないかと思っております。

参考資料1に、農地バンクのご説明の資料、グラフとかも入れてくださっているのですけれども、なかなかうまくいっていないという話も聞こえてきます。そういったあたりで、日本の農業を攻めの形で伸ばしていくために、財政、厳しい中ではありますけれども、どうやって後押しできるかを考えてやっていくことがいいのではないかと考えます。

以上です。

増田部会長それでは、減反の御質問に関して、主計官からお願いします。

中澤主計官御質問、御意見、ありがとうございます。

先ほどの参考資料1の14ページを、改めてご確認いただくような形になります。減反につきましては平成30年度から始まっておるところでございますが、ここに書いてありますが、転作作物への助成は水田フル活用の名目で継続という形で、行政サイドによる生産数量目標の配分は廃止と。ただ、予算という目で見ますと、ある意味それがそのまま継続している状況になっているところでございます。

増田部会長それでは、あと5名の方、札を挙げていらっしゃいます。向かい側のテーブルで、宮島委員、お願いしたいと思います。

宮島委員ありがとうございます。

これまでの方のお話にもあったように、新規就農の方が2万人ぐらいいらっしゃって、これは数としてまだ十分ではないと思いながらも、まさにこの方たちが魅力ある作物をつくり、国際ニーズをかなえようと頑張っているということは、データを見てもわかると思います。農業の状況を見たときに、今、日本でどの業種でも、今のままではだめだ、変わらなければいけないと、大きな組織も含めて、そういう意識のもとに変わろうとしているところが大きい。その中で、ストレスや衝突もあるのだろうと理解していますけれども、農業分野は、変わらなければいけない、変わろうとする人と、変化を求めない層との比率において、変化を求めない層を十分維持する方向に、まだインセンティブが働いてしまっているのではないかと思います。

その結果、補助金があるから、何とかなるから、そんなに農業をやる気はないけれども、何となく土地があるから親から引き継いでしまうという人たちが残り、その人たちが土地を放出せず、新規参入のデメリットにもなっているのではないかと思うので、国としては変化しようとしている人たちを応援しますというところを、まずは大きく打ち出すべきではないかと思います。

その上で、目標としては、新規就農に関しては学生にとっても、中小の製造業に勤めるのと同じような選択肢の一つとして、農業法人に勤めるということがあるべきだと思います。だけど、実情を見ると、農業大学にいる方々でも食品産業に勤めたりや、必ずしも農業そのものには行かない方が多く、もっとそこのハードルを下げる。そのためには、農業ゆえのリスク、収入保険とかがそうですけれども、製造業では安心なのに、農業だったら不安だということを若者に感じさせるような要素は、できるだけ排除していく方向が必要だと思います。

細かいことではありますけれども、例えば卸売市場のネットワーク改革が、最近、ようやく進みましたけれども、ネットワーク化にしても、情報の共有化にしても、IT化にしても相当遅れていると思います。

あと、これそのものは予算とは関係ありませんが、農村社会が、今、やはり若い女性を手放してしまっていると思うのです。私自身は、日本の人口減少下において若い女性を手放す人たちは、地域においても、産業においても、もう先はじり貧だと思っているわけです。まさに若い人たち、若い女性たちが参入しようと思うように、いろいろな面で変わるというところにお金をつけたり、促進をする必要があると思います。

この前、私は、酪農女子を中心とするネットワークの人たちと話をしたのですけれども、とにかく物の考え方が高齢の男性中心に進んでいて、そして変わろうとすることをものすごく阻んでいるというようなところですごく悩んでいましたので、予算づけにおいては、もちろん今までと急変できないところにはつけざるを得ないのですけれども、変化に向かっていく方向にお金をつけるのだということを、まず第一に進めるということではないかと思います。

 

増田部会長ありがとうございました。

それから、名札を挙げてくださった方ということで、こちら側の横田委員。最後に広瀬委員お願いします。

横田委員ありがとうございます。

今、宮島委員が非常にわかりやすくおっしゃっていただいて、本当に同感でございます。私からは、1点、確認と、意見を申し上げたいと思います。

確認は、私も新規就農促進というのは非常に大事だと思っております。今、5ページでも出していただいていますけれども、ちょっと検索をしたら、以前の農林水産省さんの資料で、40歳以下の新規就農者を平成35年、つまり令和5年、2023年までに40万人を目指すみたいな数値が出ていたのですけれども、現状、若手新規就農者の目標設定をどう置かれているのか。私が拝見した資料の前提に立って言うと、新規就農者2万人のうち40歳以下も限られているわけで、そこが大幅に外れている状況なのではないかと思っているので、ぜひ確認をさせていただきたいというのが1点、質問でございます。

2点目は、私自身は、女性の事業主、事業を立ち上げて継続していくための支援を本業としておるわけですけれども、幾つか農林水産省の案件で、頑張っている優良事業体の農業も拝見させていただいて、稼いでいるところもあるし、頑張っているところがたくさんあるから、ぜひと思うものの、やはり農業に新規参入するのはハードルが高いと思います。初期投資も大体800万円要るし、準備金は大体500万円、しかも先ほどあったように災害リスクもあったりする。

そういう中で、今、チャレンジされている方はとてもすばらしいと思うのですけれども、今の支援だけではもしかしたら足りないかもしれないし、リスキーで、始めたいと思うには相当ハードルが高いのではないか。例えば、長くやられている方から継承していくような支援だったり、もうちょっと後押しするような取り組みが必要なのではないかと思っております。

以上です。

増田部会長ありがとうございました。

それでは、次、黒川委員、お願いします。

黒川委員ありがとうございます。

私は、農家の、特に水田の問題ですけれども、まず資料で確認をさせていただきたくて、6ページを見ていただいて、左のほうの表で、時間当たり所得で水田は1,569円という数字が上がっていると思うのです。先ほどご説明された3ページのほうは、見ていただくと881円とある。そこで、今日、注意深くお聞きしていたら、3ページのほうは麦とか大豆を含んでいる金額で881円なので、私どもが今、議論している、特に水田ということであれば、6ページの1,569円のほうを考える、想定することでよろしいのかどうか。それと比較して、なおかつ1,569円の中に600円ぐらいの補助金があったのかということで、まず確認をしたいと思います。

それから、私も長年この問題をお聞きしていて、結局、イメージとして、相続の問題です。5ページを見ていただくと、新規の中で、65歳という区切りで言っていますけれども、これは65歳と49歳だから、真ん中のグレーゾーンの15歳ぐらい抜けているのですけれども、ここを見るとそこに40%ぐらいあるのですかね。ですから、65歳というよりも、私のイメージだともうちょっと、55歳とか、60歳ぐらいのところで何%あるのかということのほうがよりよかったのではないかと思うのです。

なぜかというと、これだけ見ると農業というのは、これだけ親族からの継承ということになると、ある意味で、変な定義ですけれども、有産階級ではないか。

お父さん、おじいさんがやっていたけれども、自分は農業を継いでいなかった。しかし、60歳ぐらいになって仕事をおやめになって、どうするかといったときに、身内に農家がいない場合であれば、そこで自分の力でどうにかしないといけないのですけれども、とりあえず自宅に戻ってくれば継げる、しかも時間当たりいくらかのお小遣いが入る。非常にひがみ根性で言うと、こういうようなイメージを持つのです。そういうイメージはいいのか。

そうすると、非常に社会構成上、分配の正義とかいうようなことからいって、日本の国に対して、あるいは国民に対して貢献している職業だから、相続してくれて本当にありがとうと。大きくするわけでもなく、そのままの規模が維持されて、前と同じような小規模の農家が維持され続ける。それは、先ほども言ったように国のためにありがとうと許せるのか。若者たちがこの数字を見たときに、時給当たり1,000円にならないような若者たちはいっぱいいるわけだけれども、本当にありがとうと言えるのかどうか。私が今、言ったようなイメージで理解していいかどうか、これを確認したいと思います。

増田部会長それでは、また後ほどお答えいただくことにして、平野委員、お願いいたします。

平野委員ありがとうございます。

皆様の話で、かなりテーマはカバーされているのではないかと思いますが、幾つか申し上げたいと思います。

最初に、日本の農業の競争力の強化、あるいは成長産業化は、日本の経済の将来に向けての成長力を底上げすると同時に、地域の活性化、それから食料安全保障、さらには財政負担の軽減に向けた大変重要なテーマであります。

まず、一つ明るい話題をご紹介したいと思います。先ほど武田委員からもお話があったのですけれども、私も先週、北海道の岩見沢というところで先端的な取り組みの事例を見る機会がありました。いわゆるスマート農業であります。5Gも活用した機械化、自動化、遠隔化によって、若いご夫婦がお二人で50ヘクタールという大規模な営農をしようとする試みであります。農業、産業、この場合はNTTですけれども、それから北海道大学、そして首長のリーダーシップのもとに、自治体が一体となって取り組んでいます。こういう意味で、将来の日本の農業の方向性と、あと可能性でしょうか、を示唆するものだと強く感じたところであります。

今日は財政の話でありますが、財政的な支援に関しては、先ほど極めて的確に宮島委員がご指摘になったとおりでありまして、例えば今の農業を将来の稼げる農業に向けて変えていこうという試みを積極的に支援する、これは極めて重要であると思います。しかしながら、我が国の財政には限界があるわけなので、何をすべきかといえばスクラップ・アンド・ビルドである。

となると、これは先ほどから皆さんがご紹介しておられるとおりで、3ページの極めてショッキングな事実からやはり目をそらすべきではないと思います。水田活用の直接支払交付金ということで、3,200億円という巨額の補助金が使われている。先ほど、これは丁寧に説明して、時間もかけてやらなければいけないのだというご説明が主計官からありましたけれども、もちろん明確な説明、政策を変えるのであればアカウンタビリティーが当然必要でありますが、やはり将来に向けてのピクチャーを明確に描いて、こういう形に農業を変えていくのだから、ここにはつけるけれども、こちらはやはり優先順位が落ちるのだということを国民に対して、納税者に対して明確に説明していくような努力が、私は必要だと思います。

それから、これに大きく絡んでいるのは、やはり食料安全保障の問題と思うのですけれども、これについても今回、的確な資料を出していただきました。もちろん、国が食料を自給できなくなったときに、イモだけ食べて生きるのかという話はあるのかもしれませんけれども、それはかなり極限的な状態なわけであって、食料の自給率とあわせて、自給力も加味しながら、この安全保障の問題をもう一回見直していく。そこに一体どれぐらいの国のリソースを投入するのかということを見直すべきではないかと思っております。

これも先ほどお話ございました、来年には5年ごとに見直している食料・農業・農村基本計画の見直しがありますので、先ほども申し上げたように、将来に向けてのビジョン、そして、それを具体的に実現するロードマップを策定した上で、財政であれ、農業政策を組み立てていくということに、ぜひとも取り組んでいただきたいと思っております。

以上です。

増田部会長ありがとうございます。

それでは、広瀬委員、よろしくお願いします。

広瀬委員ありがとうございます。

先ほどのご説明、あるいは皆様のご意見、私も賛成でございますけれども、全く違った観点で、1点、ちょっとお話しさせていただきますと、食料資源もエネルギー資源も言うまでもなく、国民生活というか、産業活動の根幹というか極めてベースです。今、ありましたけれども、安全保障という面でも、食料資源とエネルギー資源は非常に大事だと思っております。何となくこれらは別物というような感じもあるのですけれども、よく考えてみると、食料資源とエネルギー資源、結構リンケージしているのではないかと思っておりまして、最近、トウモロコシを食料として利用するのか、それともエネルギーとして利用するのか、大変難しい問題も出てきております。

たまたま、今はまだそういうコンフリクトの関係ですけれども、私は、いわゆる農産物がエネルギー問題といった課題を解決する一つの可能性も将来、特に農林のところにあるのではないか。逆に、農業をこれから効率的に行う中で、もちろん人的な面の投入量もありますけれども、先ほどお水の話がありました。農業には水も必要ですし、今、結構油も使っているし、電気も使っているし、相当エネルギーを使っているのではないか。あるいは、後ほどで出てきますけれども、社会資本、社会インフラといった面も農業にリンクしているということで、これから農業をそういう面でさらに発展させていくためには、投入するエネルギーをどれだけ少なくしてそういったものを生産していくのかというような視点も、私はこれから必要になってくるのではないか。

つまり、エネルギーをどうやって効率的に使った農業にするか。逆に言えば、エネルギー問題に相当貢献できる分野にこれからなっていく可能性もあるのではないかということで、いろいろ農業の可能性はありますけれども、そういうような視点でも農業というのはこれから非常に大事な分野ではないかと思いました。

以上です。

増田部会長ありがとうございます。

それでは、最後は主計官からお願いします。

中澤主計官ありがとうございます。

まず、横田委員からいただきました若手新規就農者数の目標の件でございますが、現在、49歳以下40万人という目標になっているところでございます。

2点目は、黒川委員から御質問いただいた点でございます。図表でいうと、6ページでしょうか、1,569円と881円の違いでございますが、881円というのは先ほど申し上げた米、麦、大豆、こちらのほうはその中から米と飼料用米を抜き出しているところでございます。確かに、米そのものには補助金は入っておりませんが、ここでは飼料用米であれば入っている。また、先ほど申し上げましたように、ある意味いろいろな生産調整中で今の米価がある。この1,569円という水準自身は、そういうもので成り立っていると思っておるところでございます。

有産階級、土地を持っているという視点につきましては、もともと農地法から始まった世界で、なかなか転用が難しいといったところがあり、農地自身の価値がどれぐらいあるのかというのはいろいろなご議論が必要なところかと思いますし、農地法にかなり、実は制度的な根幹部分かと思っておりますので、そこは別途ご議論が必要なところかと思っておるところでございます。

以上でございます。

増田部会長ありがとうございました。

それでは、次に、社会資本の議論に入っていきたいと思います。初めに、中島主計官から説明をお願いします。

中島主計官公共事業担当主計官、中島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。資料2でご説明をいたしたいと思います。

めくっていただいて、目次ですけれども、現状認識を申し上げて、御覧の3つの課題というか論点を申し上げたいと思います。

1ページ、御覧ください。現状認識でございます。左上ですが、国・地方の一般政府の総固定資本形成、いわば公共事業予算の主要先進国との比較でございます。赤い折れ線の日本は減少してまいりましたけれども、依然として主要先進国の中では高い水準であります。

その下、総人口のグラフですけれども、今後、人口は減少していく見通しでございますので、公共事業を増やして新しいものをどんどんつくっていくような状況ではないのではないだろうかということでございます。

右上、維持管理・更新費の見通しですけれども、新しいものをつくらなくても、今の水準でいっても維持・更新費がどんどん増えていく見通しになってございます。長寿命化などで維持・更新費を抑制した上で、限られた公費を維持・更新費にどうやって回していくのか考えていく必要があろうということでございます。

右下は、建設労働者の年齢構成ですけれども、今後も人手不足が見込まれるだろうということ。今でも人手不足と言われていますし、働き方改革もありますので、そういった人手不足をイノベーションの活用などで克服していく必要があるのではないだろうかといったような論点でございます。

2ページですけれども、課題1です。港湾だけが問題というわけではないのですが、もっと効果的な使い方を考えなければいけないのだろうかということを、港湾を一つの例として申し上げたいと思います。

左のグラフは、世界で一番大きなコンテナ船はどのくらいの大きさか、要は年々大きくなっているということを示しているものであります。18メートルとか、17メートルとか書いてありますが、大きくなればなるほど深い岸壁が必要だということであります。

右のブルーの棒グラフは、日本やアジアからの欧米基幹航路の便数です。特に、右の3つの塊の日本は減ってきていることがわかります。日本の基幹航路が減ってきているので、これを維持するために、大型船が寄港できる深い岸壁が必要ということ、あるいは船会社さんへのインセンティブ補助金みたいものが必要というようなご主張があるわけですけれども、赤い折れ線を見ていただきますと、日本のコンテナの量が伸び悩んでいることがそもそもの要因なのではないだろうか。ほかの国はぐんぐん伸びて、基幹航路が維持、ないし増えているという状況ですので、コンテナの量が大きな問題なのではないだろうかと認識しております。

3ページを御覧ください。ここは、大水深岸壁があっても大きなコンテナ船は寄港していないし、逆に大水深岸壁がなくても大きなコンテナ船は来ているのではないかという事例を見たいということです。

左側ですけれども、2008年、2012年、2017年の各年に、日本の最大水深岸壁は16メートル、16メートル、18メートルとあって、その深さで寄港できる船の大きさがブルーの網かけです。その年の最大水深岸壁に寄港した船の数ですけれども、例えば2017年のところを御覧いただきまして、18メートル、1万4,000個積みで、東アジア全体には5隻の船が走っているわけですけれども、日本には1隻も寄港していないことがわかります。日本の岸壁にほとんどの世界の船が寄港できるわけですけれども、それでも便数が減っている状況だということです。

右半分は、2003年時点の上海の事例です。そのときの上海は、14.2メートルの岸壁が一番深うございました。ですが、16メートルとか、15メートルの水深が必要な船が、赤い丸で囲ってあるように入ってきていた。それは、潮が満ちてくるのを待って入ってくるようなことをしていたわけですけれども、下の棒グラフを見ていただきますと、2003年時点の上海のコンテナ量というのは圧倒的な量を持っております。やはりコンテナの量があれば、多少無理してでも船は来るようでありますので、必ずしも岸壁が基幹航路の制約要因になっているわけではないのではないかと考えられます。

4ページを御覧いただきまして、上の四角の枠の1つ目の丸に書いてありますように、コンテナの取扱量を増加させるために、釜山港のようにハブ港としてコンテナを集めることはできるのかというと、左上の棒グラフ、コンテナの取り扱いコストを見たものですが、ちょっと古いデータですけれども、日本の港は釜山港にコスト面で劣っている。

それから、下のサービス水準を見ていただきますと、本船荷役の時間、つまりクレーンで船から岸壁におろすのは24時間対応しているわけですが、ゲートオープンの時間、つまり岸壁におろしたものをトラックに積み込むようなことは必ずしも24時間ではない。あるいは、荷役機械の自動化があまり進んでいないといったことで、コストを十分に落とし切れないところがあるのではないだろうか。

このことに対応して、右半分ですけれども、コスト、あるいはサービスの向上のためにいろいろなモデル事業を実施してまいりました。無人化だとか、24時間化だとか、情報共有といったことに取り組んできたわけですが、横展開があまりされていない。下2つは2018年に終わっていますので、これからなのかもしれませんけれども、このような状況だということです。

5ページを御覧いただきたいと思います。上の四角で囲った1つ目の丸に書いてありますように、アジア各国から日本に持ってくるほかに、日本そのものが荷主である荷物を増やすことはできるのかというと、左上の折れ線グラフを見ていただきますと、海外生産比率が増えている、要は生産拠点が海外に移っている。こういう産業構造の変化に直面している中で、荷物が増えるかどうかというのは港湾政策だけの問題ではなくて、やはり産業政策をちゃんと見ていかなければいけないのではないかということであります。

それから、右の地図は基幹航路ですが、基幹航路はあればあったほうがいいと思いますけれども、上半分は、日本から欧州への実際の基幹航路ですけれども、これは31日かかる。では、積みかえをしたら時間がかかるのかというと、その下も実際にある航路でありますけれども、シンガポールに1回運んで、シンガポールで積みかえて、そこからまたヨーロッパへの航路に載せても31日で行けるルートもありますので、こういった幅広いことを考えていく必要があるのではないだろうか。上の四角で囲ってあるところの3行目にあるように、ストックの量、つまり岸壁、あるいは基幹航路の数もそうかもしれませんけれども、そういった多寡だけではなくて、最小の公費で最大のストック効果を上げていくという使い方を、ちゃんとできているのかといったことを重視すべきということが問題提起であります。

6ページに行ってください。同じく、効果的な使い方ができないのかということの2つ目の事例として治水です。左側のグラフですけれども、今回の台風19号もそうですが、治水ダムや、堤防だとか、我々も当然、大事だと思っていますので、これまでも整備を進めてきたところであります。赤い面グラフで、金額ベースでの治水ストックが増えていることがわかります。赤い点々は堤防の延長で、これも増えてきている。赤い折れ線グラフはダムの治水容量ですけれども、これも増えてきており、いずれも増加をさせてきているわけです。

そうした効果もあって、青い折れ線ですが、宅地等の浸水面積は、ここで言うと1965年の時点から大幅に下がって、近年、横ばいのような状態にあるわけです。近年、ストックは増えているのですけれども、右の棒グラフにあるように、豪雨の回数が増えてきているというのも浸水面積が横ばいである一つの要因だろうと思います。

ですが、7ページを御覧いただきまして、上の四角で囲ってあるところにありますように、豪雨の回数も確かに増えてきているので、そういう要因なのかもしれませんけれども、土地利用の変化もやはり災害リスクを高めているのではないかと考えられるわけです。

左上のグラフは、15年ぐらい前の古い資料ですけれども、鶴見川の事例です。昭和33年から昭和57年までをプロットしたものです。横軸が総雨量で縦軸がピーク流量ですが、総雨量が少なくてもピーク流量が増えてしまうということを示しております。

何故こんなことになるかというと、右の絵を見ていただきますと、コンクリートでまちを固めてしまうと、川にどっと水が流れてきてしまうので、ちょっとの雨でも川の流量が増えてしまうということであります。これは15年前からも心配されていたわけですけれども、左下を見ていただきますと、最近でも例えば奈良県で議論されておりますけれども、市街化調整区域を開発すると浸水リスクが高まってしまうので、条例などでも規制をしていく必要性があるだろうと議論されております。実際、右の赤い棒グラフを見ていただきますと、市街化調整区域で開発が続いていることがわかります。

8ページを御覧いただきまして、開発で浸水リスクが高まっているということなのであれば、やはり土地利用のあり方を見直していく必要性があるのではないかと思っているわけです。

左側に3つ、横の棒グラフが並んでいて、ちょっと小さくて恐縮ですが、左側は災害危険区域を指定しているかどうか。赤い県名のところは、これは平成30年4月1日の時点ですけれども、指定がないところです。もちろん、安全なところばかりであればなくても構わないわけですが、温度差がひょっとしたらあるかもしれない。

真ん中の棒グラフは、土砂災害区域で、危ない地域があって、それをレッドかイエローかで塗ってください、区別してくださいということを求めているわけですけれども、まだグレーな部分が残っている県もある。

3つ目の棒グラフは、洪水ハザードマップで、薄いブルーはハザードマップを公表しているかどうか。これは大概、公表できているのですが、濃いブルーのところ、最大規模の降雨の場合のマップまでできているかというと、必ずしもそうではないので、地域によって温度差があることが見てとれます。

右上の円グラフですけれども、これは立地適正化計画、コンパクトなまちづくりをするための計画があるのですが、その中に居住誘導区域というものを設けます。その居住誘導区域の中に、先ほど御覧いただいた災害リスクがある地域が含まれている割合は、およそ9割。既に市街地になっていて、そこを居住誘導区域として含めなければいけないといった事情はあるのかもしれませんけれども、人口減少がこれから進んでいく中でコンパクトにしていく必要性があるわけですが、その中にわざわざ災害リスクのある地域を含む必要性があるかどうか、よく考えていただく必要があるだろうということであります。

9ページは、事業横断的な話です。ストックの再編とか、ストックを使った運営の再編であります。左側は、線路の上に古い橋がかかっている写真であります。通常であれば、これはかけかえを考えるわけですけれども、地図を見てもらいますと、近くにもう一本橋がありますので、この老朽化した橋を撤去することで維持コストを削減することを考えるべきではないか、そういった支援が何かできないかということを考えています。

それから、右側は運営のほうの再編ですけれども、重複区間を共同運行にすれば少しは赤字削減ができて、ネットワークの持続可能性が向上するのではないか。単に赤字だから補助するということではなくて、こういう連携をしていただければ補助するという制度に補助金の仕組みを変えていくことはできないかというような問題提起であります。

10ページを御覧ください。左側の塊は、市町村における長寿命化です。長寿命化は大事だと思っているわけですけれども、市町村で取り組みがややおくれているのかなと思っております。計画の策定状況も必ずしも高くはないですし、要因は青い折れ線にあるように市町村の技術者が減ってきていることもあろうかと思いますので、緑の枠で囲った下から3行目ですけれども、国の地方整備局のノウハウなり、人なりを活用する方策を考えていく必要性があるのではないかという問題提起であります。

右半分は交付金の話ですけれども、交付金は市町村、都道府県にとって自由度を高める重要な支援制度だとは思っているわけですけれども、やはり大規模なものだとか、国の事業と連携しなければいけないものが、必ずしもうまく進んでいないかなという課題があると思っています。ですので、引き続き個別補助金へのシフトを行うべきではないかといったようなことを問題提起しているものであります。

11ページを御覧ください。料金収入があるものについては、料金収入で整備していただいて、浮いた公費を、料金で賄えないような領域に重点化すべきではないかということです。

まず、高速道路です。上半分は、高速道路の6車線化とか4車線化です。これは、平成30年度や令和元年度でもやっておりますが、料金収入でやる世界ですので、こういったことを引き続き進めていくべきではないだろうかということが上半分。

下半分は中期的な課題ですけれども、左側のグラフは、要すれば今後、道路の維持管理費が膨らんでいくだろう。真ん中のところは、Society5.0みたいな、自動運転だとか新しいニーズに対応ということも歳出増圧力になるだろうと思われます。

右に、青い棒グラフが2本並んでいますが、2016年度と2030年度では税収が減収になってしまうかもしれない。燃費もよくなってきますので、ガソリン税収が落ちてくることが見込まれます。中期的な課題ですけれども、税制のあり方、あるいは高速道路の無料区間の有料化みたいな料金収入確保の仕方だとかを、中期的な課題として考えていくべきではないかという問題提起です。

12ページを御覧ください。料金の話の2つ目の例、下水道であります。下水道は、汚水と雨水の2つに分かれるわけですが、左上の折れ線グラフを見ていただきますと、オレンジが汚水の普及率、これは9割という高い水準にあります。一方で、雨水による浸水対策、ブルーの折れ線ですが、ここが課題だと思っております。

上の枠で囲ってある2つ目の丸の真ん中あたりに、雨水公費・汚水私費の原則と書いてあります。下水道の世界にはこういう大きな原則があって、雨水は誰の責任でもないので公費で見ていく。汚水は、汚染者ないしは受益者として私費で、使用料で見ていくということが大原則となっているわけですけれども、真ん中の円グラフを見ていただきますと、必ずしも料金だけで汚水の世界が賄えていないということがあります。汚水の世界は料金で賄うようにしていただいて、浮いた公費を雨水浸水対策に重点化していくことを考えるべきではないかという問題提起です。

それから、緑の枠で囲った2つ目の丸に新幹線の話を書いております。私どもも春の建議と同じことを考えておりますので、ここに書かせていただいております。

最後に、13ページですけれども、イノベーションの話であります。左上は建設業の労働生産性、左下は建設業の情報化投資、いずれも高い水準にはないということであります。右上ですけれども、新技術を活用しますと工期も採用人員も大幅に短縮できることはわかっていますので、こういった技術を使って担い手の減少を克服していくことが必要なのではないだろうかということで、まずは公共事業の世界で新技術の導入を推進していきたい。ただ、右下の折れ線グラフですけれども、足元、横ばいでありますので、これを少し増やすようなことを考えていく必要性があるかなと考えてございます。

私のほうからは以上です。

増田部会長ありがとうございました。

それでは、これから社会資本整備について質疑を行いたいと思います。こちらもネームプレートを立てていただいて、私のほうから指名をいたしますので、よろしくお願いいたします。

それでは、どうぞ、お願いいたします。秋池委員、よろしくお願いします。

秋池委員ありがとうございます。

長寿命化、それから維持コストというお話があったのですけれども、これからの日本において非常に重要なことだと思っています。人口が減る中で、インフラの質の高さが、必ずしもいろいろな評価にはっきりあらわれてくるわけではないのですけれども、日本の魅力であり、強みになっているところもございますので、この点、非常に重要だと思っております。

その際に、予見可能性が高まるということは、イノベーションを起こす上でも、人材を長期にわたって育成していく上でも非常に重要だと思っております。あわせて、平準的にアセットの更新が行われるということが見えてくると費用も下がっていく。山谷があると思うと、どうしてもピークに合わせて人手が不足したり、物資が足りないときの価格が高くなったりしてしまうところがございます。予見可能性と平準化を促すような政策があるとよいのではないかと思いました。

増田部会長ありがとうございます。

それでは、河村委員、お願いします。

河村委員ご説明ありがとうございます。

2つほど意見と、1つ質問があるのですが、まず意見ですけれども、今日のご説明で、維持管理費が大変上がっていく見通しであると1ページのところで言われて、この話は後のところでもいろいろ出てきますけれども、やはり人口がこれだけはっきり明確に減っていく中で、新設のほうとどれだけ資源配分、国の財政負担の配分をやっていったらいいかということは、よく考えていったほうがいいのではないかと思います。

もう一点は、11ページのところで、財政投融資の話もあって、利用者負担のあり方も含めて中期的な検討をということで、これは賛成であります。先ほどの維持・更新というところの方とも絡みますけれども、これは高速道路の利用料金の話もありますし、この会議のテーマではないと思いますが、自動車関係の税をどういう形でとっていくかというところにも関係すると思いますが、維持・更新がこれからどれだけ必要になるかということを考えると、やはり誰が負担するかというときに、どれだけ道路を損傷するというか、傷める走り方をしているのか。そういった見合った形での負担をもう少し考えていかないといけないのではないか。弊社でもいろいろ試算したりしているのですが、日本ではなかなか原則どおりに負担がいかないところがあって、でも、一度立ち返って、どういう形で誰が負担していくべきなのかということは考えていったほうがいいのではないかと思います。

最後の一つは質問ですけれども、10ページのところです。交付金のご説明をくださって、大規模な事業であるとか、国と直接かかわるところについてはなかなかうまく進まない例もあるというお話だったのですけれども、こういったあたり、地方分権の流れの中で一括交付金化ということで行われてきたことだと思うのですが、こうやって使途をあまり定めない形で渡すものは、別にこれに限らず、ほかの世界でもどこでも、運営費交付金も同じことだと思います。

お渡しして、それぞれのご判断で使っていただく、振り向けていただくことでいいと思うのですが、それが結果的にどういうように使われていったのか。交付金を渡しているのに、実は必要なところにお金が回っていなかったということだと本末転倒なのかなということもありますので、その辺のチェックはしていったほうがいいのではないかと思います。例えば、財務省であれば予算執行調査とかをやっていらっしゃると思うのですが、こういったあたりの調査はやっていらっしゃるかどうか、これはお尋ねさせていただければと思います。

以上です。

増田部会長それでは、木村委員、お願いします。

木村委員ご説明ありがとうございました。

この資料にも出ています治水の関係ですけれども、ストックの整備も重要ですけれども、やはりソフト面の対応の強化が大切だというのは私も賛成したいと思います。特に、今回の台風19号であちこちの堤防が決壊して、ハードの整備を求める声がどんどん大きくなるかもしれません。確かに必要ならハードの整備は大切だと思うのですけれども、今回の台風の特徴は、歴史的な豪雨と、かつてない広域な被害ですから、これをできるだけハードでカバーしようとなると、それこそ日本を要塞化しなければならないようなことになりまして、これは財政的に非常に困難だと思います。

こうしたかつてない豪雨や広域な被害だからこそ、ソフトもできるだけ生かしていくということが、むしろ重要性を増しているのではないかと思います。実際、今回の台風での浸水地域は、ハザードマップで予測されていた地域が多かったと聞いています。だから、ハザードマップに基づいて適切な避難ができていれば、被害もかなり抑えられたのではないかという指摘もあります。もちろん、これは高齢者とか、いろいろ情報の伝わり方が難しかった、ハザードマップがあっても情報の伝わり方が難しかったところがあったという問題も指摘されているので、むしろこうした手法の改善こそが大事かなと思われます。今回の台風で、そうしたソフトを活用されたケース、あるいは課題とかを丁寧に見ていくことが、今後の社会資本整備にとって重要になる気がしています。

以上です。

増田部会長ありがとうございました。

それでは、末澤委員、武田委員で1回区切ります。

末澤委員、お願いします。

末澤委員どうもありがとうございます。

社会資本整備は極めて重要だと思います。ただ、今、ある意味、三重苦にあると思うのです。1つは、1ページにありますように、維持管理・更新費がどんどん増えていく。新設しなくても、どんどん費用がかかります。一方で、災害の激甚化といいますか、今回、台風15号、19号ありましたが、2014年から18年までの過去5年間というのは、過去百数十年間の統計がある中の世界の平均気温の上位5位です。今年は、過去最高だった2016年を場合によっては、抜く可能性があるという状況ですから、多分、6番以内に入るのは間違いない。

今後は、海水面温度の上昇もあってスーパー台風、実は今回も台風19号ハギビスは11日ぐらいまではスーパー台風だったのです。その後、勢力が落ちて、最後、12日の18時過ぎに強い勢力、19時前に伊豆半島上陸ですから、数10分早ければ非常に強い勢力のまま上陸するという、ちょっと過去では考えられなかったような台風が増えてきている。多分、来年以降はもっとそうだと思います。現時点で、平年よりも海水面温度が1度から3度、日本近海は高いです。これは、多分、ずっと続きます。

そうすると、やはり大雨、洪水なども、ちょっと従来とは違う記録が普通に出てくる。一方で、先ほどもありましたが、全部スーパー堤防をつくれるのかというと、環境の問題もありますけれども、まず人手不足がある。これもやはり1ページにありますけれども、65歳以上の方が相当多くて、間もなく相当リタイアされるということですから、従来のように財源の問題どころか、多分、そういう工事を入札しても、入札不調が相当続く可能性がある。これは、選択と集中をするとともに、最終ページにありましたが、新技術ですね。今回もドローンの映像が相当活用されていましたけれども、やはり人手を使わないでいいようなところはIT化等でサポートする。

あと、実際の被害が起きるときのソフト面も、やはり従来と違う対応が必要だと思うのです。実は今、災害が多い関係で、日本全国で避難命令や避難指示、避難勧告が出ています。私も、5回台風が上陸したうちの1回、地域が避難勧告になったのですけれども、誰も避難していません。私は、そうはいってもまずいなと思って、高潮の警報だったのですけれども、これはホームページで見られますので、自分で見て、大丈夫だなということで逃げなかったんですが、今回はそのアクセスもできなかった地域がありますから、やはり百聞は一見にしかずで、まずは自分自身で映像を見れば相当危ないと思うわけですから、今はスマホで見られる状況ですので、そういったシステムにかけたほうが現実には相当効率性が高い、安全性も高いのではないかと思います。

そういう意味では、新技術とソフト面、あと選択と集中を従来とはちょっと違う次元で進めていかないと、全部やるというのは基本的に無理ですから、よりコストとリスク、安全を天秤にかけて整備していくことが必要ではないかと考えております。

以上でございます。

増田部会長ありがとうございます。

それでは、武田委員、お願いします。

武田委員どうもありがとうございます。私も2点、意見を申し上げたいと思います。

1点目ですけれども、他の委員からもございましたが、災害が想定外ではなくなったということで、それを前提に社会資本整備のあり方を考えていかなければいけない。その点では、昨年も申し上げたのですが、今後、ソフト面をより意識していく必要があると考えており、課題1の(2)でお示しいただいた土地利用のあり方の見直しは喫緊の課題であると思います。また、取り組んでいる地方自治体と取り組んでいない自治体がございますが、国としては、どの都道府県にも取り組んでいただくよう促していく必要があるのでないかと感じます。

2点目でございますが、1点目は喫緊の課題ということで申し上げたのですが、中・長期的にも国土のあり方を考えていくべきときに来ているのではないかと思っております。まず、災害の備えが今、申し上げた点であるわけですが、加えて人口減少、インフラの維持負担がこれから増すということ、3点目としては地域の持続可能性をどう考えるか。いずれも社会課題であることは見えている点ですので、それに対してコンパクト化、あるいは災害という観点から、住むのにふさわしいエリアをどう考えていくのか。あるいは、先ほど末澤委員からご発言がございましたけれども、インフラ維持に関して技術をどううまく活用していくのか。こうしたことをあわせて考えていく必要があると思います。

これらは一、二年でできるとは思えませんが、中・長期的な視点で、今から議論を進めて、明確な方針を早目に示して、そこに向かって動いていく。誘導もしていくということになれば時間がかかると思いますので、今から議論・方針が必要なのではないかと考えます。

以上です。

増田部会長ありがとうございました。

それでは、ここで主計官、先ほどの河村委員の一括交付金の関係についてお願いします。

中島主計官10ページの社会資本整備総合交付金や防災・安全交付金という交付金の個々のチェックはどうなっているのかというお尋ねかと思います。執行の段階に含まれますので、私ども財政当局で事細かに見ているかというと、必ずしもそうできていません。予算執行調査の中で、例えば電線の地中化みたいなものを拾ってみたりしたことはありますけれども、網羅的に見ているかと言えば、必ずしも見ている状況ではありません。こうした成果をどのように検証していくかというのは今後の引き続きの課題かと思っています。

増田部会長それでは、田中委員、どうぞお願いします。

田中(里)委員ありがとうございます。

まず、冒頭の担い手不足のところにつきまして、これから10年後に結構大変なことになるというグラフをお示しいただきましたけれども、国際競争の時代の中で、人材の思考は、就社するというよりも、自身の専門的能力を磨いて成長していくキャリアが主流になっています。例えばデータサイエンティストとか、ファンドマネジャーのような方が世界市場で活躍しているわけですけれども、この分野において、次世代の職人の姿的なところからスペシャリストを生み出して、成長させていくというような発想の転換があれば、人材育成面が活性化するのではと想像しています。

社会資本整備の領域では、i-Constructionをテーマに、生産性革命や働き方革命に力を入れて、現場が変わってきている、民間企業も共創している実情を取材をしたことがあります。実験的な取り組みは始まったばかりですが、現場で成果を出していくと同時に、i-Constructionの成果に数値目標をつけて、見える化していくことがそろそろ必要になっているかと思います。

2つ目は港湾についてですけれども、これもよく報道、ニュースなどで、輸送車がゲートにずらりと並んで、運転手の方が乗車したまま動かない、ひどいときは半日ぐらいトラックに乗ったまま過ごす映像が出され、とても効率が悪いということが見受けられます。ここは、多分、IT化も一部進んでいるのですけれども、ITのところと人的な仕事のつなぎ目のところの設計が不足していることも想像いたしますので、ぜひ運用の現場も入れたビジネスモデルの見直しをして、民と公で同じ方向は見て収益を上げるというような取り組みはできないのかどうかということを思ったりします。

社会資本整備は、よくB/Cで評価がかけられますけれども、インフラ整備とかの評価の機軸を、アウトカムのものは長期的に出てくるので難しいところもあるかもしれないのですけれども、もたらされる価値を、立体的に見て考えて見てはどうか。予算執行のときに、B/Cでが決定するときの要件ですとか、公と民で、公に頼らず、民間も最大限利用して、成果が出せそうなところを支援していくような仕組なども検討の余地があります。

あとは、やはり人材不足もありますけれども、土木工学とか、河川工学とか専門の知識を持つ方がたくさんいますので、インフラのハードのところだけではなくて、やはり知恵や知識などが適切な形で出していかれるような、そういうソフト面の充実も力を入れるということを発信いただいて、その中で成果が出ていくことを、ぜひ業界の知恵で取り組んでもらうことができるとよいのかなと思います。

増田部会長ありがとうございます。

それでは、冨田委員、お願いします。

冨田委員ありがとうございます。

まず、現状認識ですけれども、今回は社会資本整備のフローの規模は先進国に比べて引き続き高水準という指摘ですが、これまで我々は我が国の社会資本ストックは概成したという表現をしてきました。したがって、量から質へということが一つの方向性を示す言葉になり、人口減がやはり最大に考慮されるべき要素だという指摘をしてきました。今回、それから比べると、私の感じですけれども、ちょっと遠慮されているのかなという感じを受けたのですけれども、やはり基本認識はこれまでどおりで行くべきだと思うのです。

とりわけ今回、震災の後で、その中において極めて重要な指摘をされていると私は思うのです。課題1の治水の事例です。それは、ハードだけではなしにソフトが大事ですということは、よくテレビでコメンテーターも言われているのですけれども、その具体例として土地利用規制です。市街化調整区域にどんどん人を住めるようにしてしまった。その結果、浸水リスクが高まってしまった。この問題は、これから先の復旧を考える場合にも、あるいは復興を考える場合にも極めて重要な指摘だと思うので、この点はもっともっと主張して、ここで十分やっておられるわけですけれども、大事な問題だと思います。

それから、もう一点、高速道路の事例で料金の話をされました。下水道についても、まさに指摘がここでなされているのですけれども、問題は、経費回収率が低いということが全然、財政問題としてというか、地域の住民にも、地方公共団体にも認識されていないのではないか。それは、何回も地方財政のところで議論してきた問題ではあるのですけれども、要するに赤字になっても、交付税を何らかの形でつけて赤字を消してしまっているという問題があって、まず、そういう見える化をするとどうなるか。そういうものがやはりシグナルになって、コンパクト化のきっかけになると思うのです。

だから、何を言っているかというと、去年の建議で、下水道処理について集合処理から個別処理へ、そのほうがコストは安いですと指摘したわけで、それはそのとおりですけれども、そういうコンパクト化の方向を本格的に推進していくには、多くの方がやはりこの問題を理解しないと、ご自身の利害に絡んでくると、なかなかそういうことは聞いていただけないと思うので、これもやはりもっと強く主張されるべき問題かと思います。

以上です。

増田部会長ありがとうございます。

中空委員、お願いします。

中空委員ありがとうございます。

今回、8ページの2.に赤い文字で書いてあるところがあるのですが、ここは極めて重要な原理原則だと思っています。今後の社会資本整備に当たっては、将来の人口、交通需要の減少も見据えて、量をいたずらに拡大する状況にはなく、使い方を改善して既存ストックを最大限活用していくことが必要だと、もうこれが全てだと思います。

その上で、2点、意見を申し上げたいと思うのですが、1点目は港湾です。港湾については、ピークはもう来ないよねというようなエビデンスが中島主計官から結構出ていたと思うのですが、過去、日本では、例えばJALがピークに合わせてジャンボジェット機を入れて経営に失敗したとか、そういう経験もあるわけなので、やはりピークに合わせればいいわけではないという経験も生かして、量をいたずらに拡大するのではなく、質を求めましょうということで考えるべきかと思います。

2点目については、気候変動の話が出ています。最近、民間企業などでは、TCFDに署名をしなさいなんていう話があります。TCFDというのは、気候変動関連財務情報開示タスクフォースというものでして、いざというときに最大限想定されるシナリオが起きたときに、あなたの事業はサステーナブルですか、持続可能ですかということを聞くものですが、これをきちんとやりなさいと民間企業に言っているわけです。それを積極的に世界中の多くの民間企業がやり始めている状況の中で、これは国はやらなくてもいいのですけれども、では国がやったときにはどうなるのか。これ、中島主計官に聞いたことがあるのですが、そうしたら、普通にきちんとやったら数字は出るだろうけれども、異様な数字になるでしょうということで、それはそうだと思うのです。

数字を出すことより大事なのは、8ページの左上にあるような災害リスクのある地域の指定状況、大変危険なところがありますという指摘から、どこが特に重要で、例えば跨線橋にしても、治水にしても、橋にしても何でもいいのですが、ここが大変危険であるという優先順位を少し掲げながら、ハードは限られた財源を使っていく。それで、ほかの委員の方が再三おっしゃってきたソフトについて重視して、それこそ国としてのTCFDの役割を果たしていくことが必要なのではないかと思いました。

以上でございます。

増田部会長ありがとうございました。

それでは、神子田委員、どうぞお願いします。

神子田委員私も、このたびの災害に心を痛めている者の1人ですけれども、前からの委員のご指摘、もう既にありましたが、やはり異次元の災害ということになってくると、これまでのように幾らスーパー堤防をつくっても、結局、自然の猛威には追いつけないのではないかということかと思います。ここが危険というところに、科学的見地のもとに優先順位を持って、予算を配分して手当てをしていくということは必要だとは思うのですけれども、それでも予測の知れないところで浸水が起きるということが現実だと思います。やはり先ほどから出ていますけれども、人の命を守るということは、まずソフトの応用、私、個人的に、今回の台風の報道で見たのですけれども、テレビなどを見ていると世田谷区全域に避難とありましたが、実際には世田谷区の中でも避難しなければいけない人というのは限られているので、テレビで一報をつかんだときに、全国共通の、例えば避難とか入れると、自分の住んでいる市町村を入れると、何丁目の人とかいうことがわかるみたいな全国統一のアプリみたいなものができたらいいなと、予防的なこととしては一つ思いました。

それと、事後的な対応、今までも予備費とかではある程度組んでいるのですけれども、ちょっとこの額も今までとロットが違うようなものが求められるというか、事後的に予算が必要になるような災害が毎年のように起きていくことが想定されます。それに対する備えをどうやっていくかということについても、もしお考えがあったら伺えればと思います。

それと、今日の話とは直接関係ないのですけれども、本年度、消費税引き上げによって、公共事業においても景気を下支えするための予算が盛り込まれていますが、これが来年度にかけてどういうようになっているのかが一つの注目点なのですけれども、これについても、今の時点で何かお話しできることがあれば伺いたく思います。

増田部会長それでは、宮島委員、どうぞお願いします。

宮島委員ありがとうございます。

防災のためのソフト面の充実というのは、今まで多くの方がおっしゃったとおりだと思います。

そして、私は放送機関なので、毎日、放送されなかったものも含めて、映像をこの4日間見ておりますけれども、ちょっと見て、やはりここに住み続けるのは無理ではないかと思うようなところも、正直、あるわけです。個人の財産なので、大きく変更するのは難しいのですけれども、いろいろな方策をとって、ここは無理というところから人を守っていくような都市計画が必要ではないかと思います。特に、こうした災害の後に、自分のところを元通りにしてほしい、あるいは今よりももっと強靭化してほしいという声がいろいろなところから上がると思うのですけれども、私は将来的に、日本のどこにいても同じように安全で、同じように郵便が来て、同じようにエネルギー供給が来て、停電したらすぐに復活してみたいなことを維持するのは、もう無理なのではないかと思っています。

なので、スマートシティー構想などもありますけれども、ここから長期的には、もっと広い意味での都市計画、そして、みんなが今、負担できる範囲内で、みんながちゃんと安全に、健康に暮らせるような住まい方というのはどういう状況なのか。これはすぐに、1年や2年で動かせるものではないので、そういうことを見きわめながら復興を進めて、少なくとも今までどおりに戻すためにこれだけお金をくださいというところに、そのまま戻すようなことがない形での予算づけをお願いしたいと思います。

増田部会長ありがとうございました。

最後に、また中島主計官に戻しますので、とりあえずこちら側で札を立てていらっしゃる、私のほうに近い側からですが、平野委員、黒川委員、横田委員という順番でお願いします。

平野委員ありがとうございます。

皆さん、もう既にご指摘のとおりでありまして、やはりマクロ的に見ると、日本が戦後、復興を遂げ、高度成長を遂げ、人口が右肩上がりで増え、GDPが増えるという時代に、我々が社会インフラ、社会資本充実に向けて持っていたイメージを変える必要があるということだと思います。一言で言えば、量から質という言い方もありますが、私ども事業をやっている立場から言うと、これは最適化だろうと思います。すなわち、今後の日本の経済力、人口構成等を踏まえた既存のインフラをもう一回見直して、いかにオプティマイズできるかがテーマなのだろうと思っております。

そういう中で、やはり2つ鍵があると思っております。これは、もう既にご指摘いただいているとおりですけれども、一つはやはりコンパクト化ですよね。コンパクトシティー、スマートシティーという言い方もありますけれども、これを具体的にどう進めるのか。実は、国際会議の場などでよく実例が示されます。これは中国にあるし、アメリカにもヨーロッパにもありますが、残念ながら、まだ日本では本当にスマートシティー、あるいはコンパクトシティーをつくったケースというのはないのです。それをどうつくるかというようなテーマから具体的に説き起こして、コンパクト化というのは一体何なのかということに、本格的に取り組むべきではないかということが一つです。

もう一つは、やはりまさにデジタル化であります。デジタルガバメントも昨年の施策に入っていると思いますけれども、例えばの話、地方自治体、それぞれ地方自治がありますから、インフラのつくり方であるとか、もっと言えばデータの持ち方とか全部違うということなので、ここをいかに統一できるかということも極めて重要だと。要するに、データ基盤の整備であるとか、さまざまなルールの統一を、やはりこれは国がある程度主導してやっていく必要があるのではないか。こういうところであれば予算をつけたらいいのだと思うのです。これが新しい時代に向けての、まさに社会資本であり、インフラ投資だと私は思います。

最後に、それらを推し進めるに当たっても、今日はあまり指摘が出ていませんが、やはり民間の知恵を使うべきではないかと思っています。最近、空港で、さまざま課題は抱えつつも、関西についても、今、東北でも始まっていますけれども、民営化、コンセッション方式が機能し始めています。これは、間違いなく財政負担の軽減、あるいは地域の活性化につながることでもありますので、コンパクトシティーをつくる、それから政府のデジタル化を進めるといった面でも、ぜひ民間のノウハウを活用するような形で進めていっていただければと思っております。

いずれにいたしましても、これは時間がかかります。それから、当然、先ほどからもお話がありますが、一部に抵抗感もあるのは間違いありませんが、先ほども第1部で申し上げたとおり、全体最適化に向けたグランドデザインをしっかり描いて、住民自治体の理解を求めながら計画的に進めていく、これが重要だと思っております。

以上です。

増田部会長ありがとうございました。

それでは、黒川委員、お願いします。

黒川委員ありがとうございます。

私、先ほど宮島委員のときには品がないからと言ったのですが、今度は哲学的に少し高めたいと思うのですけれども、今から8年ちょっと前に東日本大震災がありました。同じような大災害で、私もちょっと見に行っています。そのときに、災害の跡をいっぱい写真に撮って、そこにいろいろコメントがあったのですけれども、津波は自然災害ではなく自然現象であるという言葉があった。これは、環境哲学でいくと、二元論的に、先ほど委員がおっしゃったような全てに対して自然を管理していくという発想ではなくて、自然とともに我々は生きていく。ディープなエコロジー思想のほうになって、一元論的な発想で、それを見たときに、そこまで書いていないですけれども、写真を撮りましたけれども、私もすごく心に響きました。だから、これからは自然とともに生きていくという発想を持たなくてはいけない。

しかし、どうするかというと、あの後、大防波堤をまたつくることになったのですけれども、本当にそれでいいのか。今までの繰り返しで、それを超えるような自然現象は幾度も来たわけで、それに対して我々はどう生きてきたのか。そうすると、やはり一番危ないところに住まないに尽きる。先ほどから各委員がおっしゃっているように、そういうときは逃げる。そのときも早く逃げなくてはいけないのですけれども、そういうことは大事ですけれども、まずは危ないところに住まない。

それから、溝ノ口というと、地方から教え子も大丈夫だったのですかと言うのですけれども、1キロぐらい離れていても、うちは全然大丈夫なのです。先ほどおっしゃったように、本当に地域ごとに違う。ちょっと高台であると、もう大丈夫なのです。ですから、これからは、地域ごとでも安全なところはわかるので、そこに住む。今、地名が変わってしまったのでわかりませんけれども、昔から何とか台みたいなところ貝塚があったり、いろいろなところがあって住んでいるのです。それが、危ないところにもどんどん、どんどん住み出したというところがある。

これは何かというと、我々の人口が増えたかもしれませんけれども、哲学的に言えば、自然と人間の境界を、我々がどんどん、どんどん自然に拡大していったのです。ここで一元論的に考えれば、我々はもう一回、自然に戻していく、お返ししていくという発想で都市設計をしていかないと、これはもう50年、100年の話かもしれませんけれども、発想の大転換をしていかないともう無理なのではないか、このように思いました。

以上です。

増田部会長ありがとうございます。

最後に、横田委員ですね。お願いします。

横田委員ありがとうございます。

先ほど、武田委員が中・長期視点でちゃんと誘導策だったりをということをおっしゃっていたので、ちょっと補足的にご紹介をさせていただきたんですけれども、総務省の地方制度調査会で7月に中間取りまとめをしていまして、各自治体で2040年を目途に、自分の地域はどうあるべきかを検討してほしいというメッセージ出しをしております。

その中でご紹介をさせていただいているのが、未来カルテという千葉大学の先生が開発したシステムです。自治体コードを入力すると、人口動態だったり、ストックの状況とかがデータで示されるようになっていて、そのもとに住民たちで議論をしてほしいということになっています。なので、地域地域での議論は進めていってほしいという期待もあるのですけれども、一方で地域だけで考えていること、先ほど出ていた方向性だったり、誘導だったり、みんなが好きな方向に行ってしまってもということもあるので、やはり国全体として示すべきところは示すということが、改めて必要なのではないかと思いました。ちょっと立地適正化計画のところで、災害リスクを含むところで計画がなされているのが大半だというデータにショックを受けましたから、やはりそういうところはきちんと指摘をしていく必要があると思いました。

以上でございます。

増田部会長ありがとうございました。

最後、私も社会資本整備のところに少し意見を言って、それでおしまいにしたいのですが、今回の災害の話が随分、各委員の皆さん方からもありました。東日本大震災でハードに頼った防災対策はもう限界があるということがはっきりして、ソフトが重要だと。この間、まだ8年ぐらいですが、気象の警戒レベルも5段階で非常にわかりやすくなりましたし、ハザードマップも、以前は市町村もあまり出していなかったのですが、みんなわかるような形で出るようになりました。ソフトのほうも仕組みが非常に整備されてきたと思います。

では、それがどういうようにそれぞれの行動につながっていくのかというと、例えば、実例を挙げると支障があるかもしれませんけれども、大企業でさえ、ソフト対策でいろいろ整備されたものを十分使い切れていない。

まして、個人の皆さん方に実際にどう動いていただくかということが大事。やはりこれから考えていかなければいけないのは、高齢者で単身の方が非常に多くて、今回も平屋で水がうんと上がってきて水死された方が、正確にはまだ把握されていませんが、やはり一定数含まれているので、そういった皆さん方にどのように避難を促すか。やはりソフトの中身は相当高度化していかなくてはいけない。これは、国ももちろんそうですけれども、かなり自治体がいろいろ考えていくべき。しかし、災害対策とか避難行動は行政主導で今までやっているのですけれども、それだとどうしても限界があるので、最後はそこをどう自発的な行動に変えていけるかというあたりが大事かと思います。

それと同時に、やはり今回、主計官から指摘されたように、今いる地域、そこにあるということを前提にこれまで議論していましたが、これからさらに、非常に深刻な災害になっていくときにハードだけでは守り切れない可能性があるということも念頭において、やはりそろそろ住まい方とか、住める地域をどう考えるかというところも議論していかないといけないのではないか。何人かの方がおっしゃっていたように、人口減の中で、そういう住まい方に議論の焦点を移していって、さまざまな議論をそこでしていく必要があるのではないかと、今日の資料を見て改めて思ったところです。

立地適正化計画ですが、私、前から問題にして、去年、国土交通省で通知を出したは出したのですが、先ほど最後、横田委員がお話になったように、270近くあるうちのかなりの部分が、災害でかなり危なっかしいところも入っていることを、私も前から問題だと思っていました。もう既成市街地化されているところに河川の氾濫地域があったりするのです。コンパクト化をしていくときにそこを除くというのは、基本的にそこで住んでいるときはあり得なくて、できる限り堤防で守るという選択肢しかないと思います。ただ、そのときに、高規格堤防もやはり現実には合いませんし、やはりいろいろな格好で守るのと同時に、避難をとにかく、大変な、広大な面積でどこに逃げるかという話があったりするのですが、しかし、そうした努力が必要。

地方の県庁所在地でも、スケールは小さいのですが、同じような問題があって、以前は土地利用の促進という言葉を随分使ったのですが、今は、土地についての適正な管理という概念だと思うのですが、やはり災害などについて、コンパクト化をして、住まい方をそろそろ考えていかなくてはいけないと思うのです。

それも容易ではなくて、個人の、それぞれの資産をお持ちになっている状況との見合いで考えていかなくてはいけなくて、基本的に危ないところは河川の沿線というか、付近に住まわれている方に限られると思うのですが、そういう方、一人一人の議論をしていくと、まちづくりの中で、非常に苦労してきておられます。昔から問題になっていたところは、やはり今回、水が出てきているのです。ちょっと長過ぎるので、もうやめますが、住まい方については、非常に重要な論点で、難しい問題ですが、やはりいろいろな方々が、今後、論点として考えていくべきと、主計官のこの資料もそうですけれども、そういうことはこれからやはり話題にしていくべきではないかと、私、思ったので、そのことだけ少し意見としてつけ加えさせていただきました。

中島主計官神子田委員からご質問があった件、お答えしておきたいと思います。

毎年、災害が起きているので、その都度その都度、対応していく状況でいいのかというようなことだったかと思いますけれども、6ページを見ていただきますと、左側の浸水面積のところ、でこぼこしている状況で、必ずしも大きな災害が毎年のように起きているわけではありませんし、そういうことを望んでいるわけでもありませんので、事前に大きな復旧費を計上しておくのではなく、その都度、復旧していくというのも一つ方法なのではないかと思います。ただ、何もしないわけではなくて、公共事業予算自体は6兆円の本体の予算がありますので、防災が必要とあらば、その中で防災のほうに重点化をしていく、優先づけをしていくということを、我々はまずやっていかなければいけないのではないかということが一つです。

それから、2点目、強靱化予算はどうなっているのかというお話でしたけれども、強靱化の上乗せ部分については、3年間ということで、30年度補正、令和元年度予算で予算づけをしてきました。そして、令和2年度予算、3年目をきちんと着実にやって対応していくという方向は、今でもそのとおりだと思っています。

以上です。

増田部会長ありがとうございました。

それでは、今日の議題は以上で終了とさせていただきたいと思います。

この後、私から記者会見で紹介させていただきますので、会議の個々の発言につきましては、皆様のほうから直接、報道機関等にお話しすることのないようよろしくお願いします。

次回ですが、10月23日、9時から、テーマは外交関係等、防衛、中小企業、エネルギー・環境を予定しております。歳出改革部会の開催ということで考えております。それでは、本日はこれにて閉会します。どうもありがとうございました。

午後3時30分閉会