財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会
議事録
財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会 議事次第
令和元年5月16日(木)13:00~15:00
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
1.開会
2.文教・科学技術について
3.社会資本整備について
4.閉会
出席者
部会長 | 増田寛也 | 太田主計局長 神田次長 阪田次長 宇波次長 安出司計課長 阿久澤法規課長 中澤給与共済課長 一松調査課長 西山官房参事官 日室主計官 北尾主計官 斎須主計官 前田主計官 中島主計官 吉野主計官 関口主計官 森田主計官 岩佐主計官 内野主計官 渡邉主計企画官 佐藤主計企画官 |
部会長代理 | 土居丈朗 | |
委員 | 遠藤典子 佐藤主光 武田洋子 中空麻奈 宮島香澄 | |
臨時委員 | 上村敏之 河 村 小百合 木村 旬 小林 毅 進藤孝生 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 田中弥生 冨田俊基 別 所 俊一郎 堀真奈美 神子田 章 博 村岡彰敏 横田響子 | |
オブザーバー | 神 津 里季生 |
午後1時00分開会
〔 増田部会長 〕 時間になりましたので、これから会議を始めたいと思いますが、冒頭、本日はカメラが入るので、このままでちょっとお待ちいただきたいと思います。
(報道カメラ 入室)
〔 増田部会長 〕 ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会における歳出改革部会を開催します。
お忙しい中、御出席をいただきまして、ありがとうございます。
この歳出改革部会ですが、より少人数で、各歳出分野における予算編成上の各論について集中して議論いただくということで設けたものでございます。結構な人数でもありますが、しかし分科会よりは更に濃密な議論をするという趣旨で設けたものでありまして、ここでの議論を財政制度分科会での建議につなげていくということであります。本日は、第1回目ということになりますが、御案内のとおり、文教・科学技術、それから社会資本整備、この2つを議題としております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ここで、報道関係の皆様方は御退室をお願いします。
(報道カメラ 退室)
〔 増田部会長 〕 それでは初めに、議事運営の関係にかかわりますが、部会長代理の選任を行いたいと思います。
所属委員につきましては資料1にお名前を記載しているかと思いますが、部会長代理の選任につきましては、財政制度等審議会令の規定によりまして部会長が指名するということになっております。部会長代理は、土居委員にお願いしたいと思います。あわせて、今後の議事運営について、土居部会長代理にお願いしたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。
〔 土居部会長代理 〕 よろしくお願い申し上げます。
〔 増田部会長 〕 ありがとうございます。
それでは、土居委員におかれましては、こちらの部会長代理席にお移りをお願いします。
(土居委員、部会長代理席へ移動)
〔 増田部会長 〕 部会長代理が決まりましたので、議事運営はここから土居部会長代理に進行していただくことになります。どうぞよろしくお願いいたします。
〔 土居部会長代理 〕 改めまして、部会長代理を仰せつかりました土居でございます。これから、皆様とともに審議を深めてまいりたいと思いますので、御協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
それでは、早速ですけれども、文教・科学技術の審議に入りたいと思います。中島主計官より、御説明、お願いいたします。
〔 中島主計官 〕 文科主計官、中島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。資料2で御説明を申し上げます。
まず、2ページを御覧ください。ここで議論の計数のオーダーを御覧いただきたいと思います。次に、赤字で書いてありますように、インプットによりアウトカムを得るわけですが、必ずしも目指しているアウトカムが明確にされていないのではないだろうかという問題意識、そして、そのアウトカムがコストにきちんと見合っているのか、あるいは、そのアウトカムを得るには別の手段があるのではないかといったような問題意識で議論をしていきたいと思います。四角で囲ったような論点について、この後、御説明を申し上げたいと思います。
次に、3ページでございます。公財政教育支出対GDP比がOECDの中で低いと言われますけれども、子供1人当たりで見れば遜色ないということでございます。詳しい説明は省略をさせていただきます。
8ページを御覧ください。義務教育です。子供の観点とか、あるいは将来を考える観点から何が優先すべき課題なのかといったようなことでございます。
9ページを御覧ください。まず、教職員の数でございます。左のグラフ、ブルーのラインが子供の数ですが、平成に入ってこんなペースで減少してきてございます。一方、オレンジの教職員定数は、それほど減少していないということで、子供と同じペースで教職員定数が減じられていれば48万人ぐらいのところに来るわけですが、そこからすると平成に入ってから実質20万人の増になっているだろうという認識でございます。右は、主要先進国との比較でありますけれども、教員1人当たりの児童生徒数はG5の中では遜色ないということでございますので、更に教員の数を増加させる必要は乏しいのではないのかという認識でございます。
10ページを御覧ください。教員の業務でありますが、左側の棒グラフ、これは教員が持っている年間の授業時間数でございます。教員の持ち授業時間数は、G5の中では最小だというのが分かります。授業は教員の本務ですので、授業時数を減らすような必要性はないだろうと思っております。右の教員が負担感を有している業務というのを御覧いただきますと、小学校のほうで言えば要望等への対応とか、調査対応とか、事務みたいなもの。中学校で言うと、4番目のところにクラブ活動などがありますが、こういったものをきちんと削減していかないと、教員の皆様の負担感は減っていかないのではないかという認識でございます。
11ページを御覧ください。教員の皆様の業務の削減というのが最優先なわけですけれども、学校の設置管理者たる市町村にもよく考えていただく必要があるだろうということです。左側の、かなり原始的な話ではあるわけですが、留守番電話を置くと先生が業務に集中しやすくなるといったような議論がされているということ。
は、放課後とか、休み時間の間のコピーが集中しやすい時でも、コピー機が複数であればかち合わないという意味で教員の先生方の業務が円滑になる。そういったかなり原始的な議論が行われているような状態でありますので、まだまだ改善の余地はあるのではないだろうかということ。
は、交付税でみております市町村費負担事務職員というものがございます。積算上は、小・中を合わせて2.6万人ほどの財源があるわけですが、実際の配置を見ていきますと、小・中を合わせて7,000人ほどにとどまっていますので、事務に負担を感じているのに、事務職員を置いていない現状をどう考えるのかといったところを疑問に感じているところでございます。
12ページですが、子供のことを考えますと、教育上のデメリットがあると言われているにもかかわらず、小規模校のことを放っておくわけにいかないだろうと思っているわけです。実際、小規模校のデメリットということで、教育上、クラス替えができないとか、切磋琢磨できないとか、集団学習ができないといったようなことが指摘されているわけで、半分ぐらいの学校が小規模校になっている。そして、円グラフを見ていただきますと、地理的な障害が必ずしもあるところばかりではないので、こういった小規模校の解消に取り組んでいただくことが優先すべき課題なのではないだろうかということでございます。
13ページは、教員の採用倍率の話です。左側の青い棒グラフを御覧いただきますと、12.5倍と平成12年のころが直近のピークでございます。足元は3.2倍まで落ちてきておりますが、受験者数自体は、グレーのグラフを見ていただきますと、むしろ12年のころから比べて増えているような状況でございまして、倍率の減少は、オレンジのグラフ、採用者数が4倍まで膨らんだことによるものであることが見てとれるかと思います。採用者数の増は、右の青い折れ線グラフを見ていただきますと、年齢構成上、シニアのところでかなり大きく山が盛り上がっておりますけれども、この大量退職が続いておりまして、倍率の低下が起きている。このまま新卒者の採用を続けますと、また山をつくってしまうことになりますので、再任用でありますとか、中途採用といったことで年齢構成の平準化を図っていただく必要があるのではないだろうか。そして、中途採用するに当たっては、右下のところに免許制度の話を書いてございますけれども、教員養成課程を経て免許をとるという仕組みが中心的になっておりますが、このような教員養成システムの抜本的な見直しも、考えていただく必要があるのではないだろうかという問題意識を持ってございます。
15ページに飛んでいただきまして、ここは高等教育に関する経済的負担の軽減の話で、消費税率引上げの後、高等教育に係る負担軽減を行うこととしておりますけれども、更なる負担軽減が必要ではないかといったような一部意見がございます。
それをどう考えるかということでありますけれども、17ページを御覧ください。右のグラフ、所得階層別の進学率であります。そもそも進学率自体は世界トップクラスの水準にある中で、低いのは低所得者のところでございますので、支援は引き続き低所得者に重点化すべきだろうと考えてございます。
そして、21ページを御覧いただきたいと思いますけれども、これは6年制薬学部に入学した皆様が6年後にどういう状況になったかを見たものであります。濃いブルーのところが、6年間で卒業をして、薬剤師の国家試験に合格した皆様の割合です。ずらっと大学名が並んでおりまして、100%から19%まで、まちまちでございます。薄いブルーは、6年で卒業はしたけれども、必ずしも薬剤師の国家試験を得ていない皆様です。グレーは、6年間で卒業できていない皆様ですので、場合によっては7年目、8年目で薬剤師の国家試験に受かっておられる方々がいらっしゃるかもしれませんけれども、6年間というタームで見たときには濃いブルーのところがきちんと目的を果たした割合になっています。多くのお子様が高等教育に進学をするようになっているわけですけれども、例えば私立の薬学部であれば、おそらく年額二百数十万円お払いになるので、6年間で1,500万円近い授業料を払うことになると思います。そういった授業料を払って、なお稼ぐ力を養えないまま卒業してしまうといったような状況はやはり問題かと思いますので、きちんと教育の成果を問うことをしていく必要があるのではないかということが問題意識でございます。
23ページから私学助成でございます。
27ページを御覧ください。左側のグラフで、合計と書いてあるところに、学生1人当たりの私学助成、一般補助と特別補助とありますが、両方を合わせて15万円ほどの私学助成が入ってございます。そして、縦の列に定員充足率がずらっと並んでおりますが、定員充足率が割れるに従って特別補助の単価が上がっていることが見てとれます。定員割れをしているのに、1人当たりの特別補助が増えていくというのはやはり問題かと思いますので、定員割れ大学への補助の厳格化が必要ではないかという問題意識でございます。
そして、30ページを御覧ください。ここから国立大学の話です。左のブルーにありますように、税金を運営費交付金に充てたり、私学助成に充てたり、奨学金に充てたり、義務教育国庫負担金に充てたりするわけですけれども、運営費交付金が幾らなのかという総額ばかりが議論になる傾向がございます。しかしながら、運営費交付金をA国立大学、B国立大学とか、あるいはA学部、B学部、C学部とか、また、個々の先生方にどのように配分されているのかということが、本当は大事な課題なのではないだろうかと思っております。
31ページを御覧ください。まず、総額の話ですけれども、左の隅、令和元年度のところが1兆971億円、これが今年度の国立大学運営費交付金です。そして、平成16年度に国立大学法人化されましたけれども、そこと比べて、赤字にありますように、1,400億円ほど減少したということが常々言われてございます。しかしながら、平成16年度の数字をいろいろ見ていただきますと、病院の赤字補塡金584億円というものがございます。これは、附属病院が赤字である場合に補塡をしていたものですが、御努力をいただいて、診療報酬で賄えて黒字化をしていっているので、この補塡が不要になったということ。それから、国家公務員でございましたので、別途、退職手当を切り離して面倒を見てございます。そこが、退職者が安定化したということがあって、400億円ほど減じられているわけです。こうした特殊要因を除いたブルーのところの運営費交付金は、正味420億円ほどの減少にとどまっていると認識してございます。また、オレンジのところ、科研費等の補助金を加えますと、補助金は1,000億円ほど増えておりますので、400億円減っても1,000億円増えていますから、トータル600億円ほど増えているのではないかという認識を持っているわけであります。
それから、32ページを御覧ください。仮に減っていたとしても、日本の場合、国立大学に対して学生1人当たり200万円ほどの公費が入ってございます。2万ドルです。ほかのG5各国と比べてみたときに、米、独は150万円に満たない、英、仏は100万円にも満たないような水準でありますので、私ども日本の国立大学に対しては相当程度の公費を入れていると思ってございます。
33ページを御覧ください。世界のトップクラスの大学は、必ずしも運営費交付金だけに頼っているわけではないということがお分かりになろうかと思います。
今までが総額のところです。
34ページを御覧ください。ここからは大学間の配分の話で、私ども教育とか、研究の質に差があると思ってございますので、その差に応じて配る必要があるのではないかと思っているわけです。まず、教育の質の差について御覧をいただきたいと思いますが、これは各大学が公表しておりますシラバスのうち、英語だけを拾ったものですが、一番上、国立A教育大学の目的、赤字のところを見ていただきますと、大学入学時の英語力の維持を最低限の目標とするといったような教育がなされている。B教育大学を見ていただきますと、英検2級、これは高卒程度ということです。C教育大学は、英検準2級ということで、高校2年生程度かと思います。国立D大学の教科書は、「話すための中学英語」といったものをお使いになっております。国立E教育大学は、TOEICの目標スコア350点ということで、注にありますように英検3級、もしくは準2級ぐらいです。こういったレベルの英語の教育をされているということで、これをどう考えるかということかと思います。
35ページは研究面であります。大学を第1グループから第4グループまで分けております。トップ10%論文、引用度合いの高い上位10%の論文、質の高い論文という趣旨でありますが、第1グループはそれをいっぱい書けている大学、第4グループはそうでもない大学ということで、棒グラフを2つ見ていただきますと、教員のシェア、あるいは総事業費のシェアは、第1グループは10%前後になりますけれども、論文の数は36%書けておりますので、右側、生産性、つまり1人当たりだとか、あるいはコスト当たりで見たときの論文数は、第1と第4では10倍ぐらい差があり、教育面でも、研究面でもかなりの差があると考えられます。
36ページを御覧いただきますと、左の棒グラフ、1兆971億円の運営費交付金のうち基幹経費9,000億円は、原則、前年同額で各大学に配分されてまいりました。東京大学が昨年800億円であれば、今年も800億円というような配り方をされていたわけです。右の分布図を見ていただきますと、これは一つ一つのポツが一つ一つの大学ですけれども、平成16年度に8%だった大学は平成29年度にも8%ということで、シェアがほとんど動いてございません。これでは、説明責任にも果たし得ないと思いますし、質の向上のインセンティブも働かないのではないかと考えております。
37ページ以降は、各大学でどのようにマネジメントがなされているかということを見たものであります。まず、予算の管理、お金の管理ですが、上の塊ののところを御覧いただきますと、前年度配分額を基礎として、予算額の範囲で上部組織、すなわち本部が一律の調整、つまり一律で予算を減じたり、増やしたりという調整しかしていないというのが79%、ほとんどの大学でこういうような運営になっている。それから、下の塊は入札の割合を見たものですけれども、国立大学では随意契約が45.4%を占めておりますので、場合によってはお高い買い物をしておられる可能性があるということで、まだまだお金の使い方にも改善の余地があるのではないかと考えているところでございます。
38ページは人事の話であります。左側の帯グラフは、トップリサーチャー、つまり良い論文を書けている著者の割合を見たものです。40歳未満の若手が半分を占めておりますが、真ん中の表を見ていただきますと、教員の定年延長を例えば63歳から65歳までしてきてしまったとか、右の表は業績評価を雇用の判断にあまりお使いになられていないといったような現状が見てとれます。
その結果、39ページでありますけれども、左側の棒グラフは毎年の採用を見ております。オレンジのところは40歳以上のシニア層、ブルーのところは40歳未満の若手層ということで、シニア層の採用を増やしてきていることがお分かりかと思います。そして、真ん中のグラフですけれども、ストックベースの教員数は全体として増えてきておりますが、その中でもシニア層が増え、若手が減っている。右のグラフは、職位別に見ますと、教授、准教授が増えているということで、お金がなくて若手の処遇がなかなか大変だということも聞くわけですが、必ずしもそういうことではなくて、シニアの採用を増やしてきているような人事運営をされてきていることが要因ではないかと考えております。
40ページのところは、PDCAの仕組みは一応、あるにはあるわけですが、表を見ていただきますと、これは重点支援評価ということで、大学自身が目標設定し、そして評価をしていただいております。例えば、上から見ていきますと、会議の開催回数ですとか、混住型学生宿舎の整備数だとか、自習施設の面積だとか、AO入試の人数といったようなものを設定になられ、会議2回のところを1回でAといったような評価をしておられますが、なかなか自律的な評価・改善がなされるような仕組みになっているとは思えないということ。右の棒グラフは、外部・学科ごとの予算・決算の公表状況ですけれども、ほとんどの大学で公表されておりませんので、外部検証を行える仕組みにもなっていないのではないかと考えてございます。
41ページですけれども、こうしたこともございましたので、昨年度の当審議会におきまして、アウトカム指標に基づく配分を拡大すべしということを建議いただきました。その結果でありますけれども、棒グラフが2つ並んでおりますが、令和元年度の黄色い点線で囲ったところ、重点支援評価による配分295億円、これは前のページで見ましたインプット指標で評価しているものですが、ほぼ横ばいで残ってございます。そして、赤い点線で囲った成果指標による配分700億円というのが新しくつくったもので、295億円と700億円を合わせて、とにかく評価による配分は1,000億円ということをやっていただいているわけです。
そして、700億円の中身ですけれども、成果指標、かつ大学間共通にし、毎年度、きちんと評価をしていくということが大事なところです。具体的には、会計マネジメント改革ということで、ここで100億円配分をしてございます。学部ごとの予算・決算の状況が、どの程度開示されているかということです。
は、コスト当たりのトップ10%論文ということで、今は第3類型の大学に限っておりますが、100億円の配分をしております。トップ論文にすることによりまして、質的にも一定の配慮をしているつもりでございます。何でもかんでも論文が書ければいいということではなく、あるいは短期的な成果さえ求めればいいということではなくて、例えば10年努力をしてこられて、その結果、良い論文が書ければ、それを評価していきたいという趣旨でございます。それから、コスト当たりにすることによりまして、必ずしも大規模な大学だけが有利になるようにはしていないつもりでございます。
の若手研究者比率で150億円を配ってございます。
は、教員1人当たりの外部資金獲得実績ですけれども、ここは2つに分けていることがポイントでございまして、使途の特定された資金が多くとれているかどうかということで75億円の配分をしてございます。それから、使途の自由な資金がとれているかどうかということで155億円の配分をしてございます。これは、共同研究はやはり理系の大学、学部が獲得しやすいだろうということで、なかなかそこが難しい大学、学部についても一定の配慮をしたつもりでございます。特に、卒業生などから一般の寄附をどれだけいただけているかということも大事なことだろうと思っているわけでございます。
は、人事給与・施設マネジメント改革の状況120億円ですが、ここはややインプットの指標になってございますので、いずれ重点支援評価に切り替えていくということを考えてございます。
その次の丸で、赤字で「人件費にも充て得る」と書いてございます。これまでの重点支援評価、黄色い点線のところですが、これは使途が特定されておりまして、人件費には充て得ませんでしたので、国立大学の皆様方からは相当な御不満をいただいてございました。今回の7項目については人件費にも充て得るようにして、使途は自由にしてございます。
その下の丸、各大学から7%相当額ぐらいをお出しいただいて、それをプラスマイナス10%の範囲内で増減をする。プラスマイナス10%というのは少なく、今回は激変緩和的にしてございますが、改革工程表において、この増減率を拡大していただくことになってございますので、それをしっかりやっていただきたいということ。配分対象割合7%、700億円というのも、まだまだ足りないと思っておりますので、改革工程表上、これも拡大していただくことになっておりますが、抜本的にやっていただきたいということでございます。
43ページから科学技術です。
44ページを御覧いただきますと、科学技術予算は、2000年を100にして、日本はそんなに伸びていないということが言われますけれども、GDP比に直してみると、ほかの国と遜色ないような具合かと思います。
45ページは絶対水準ですが、ブルーが民生、グレーが軍事、オレンジが研究開発減税で、研究開発減税まで入れてみれば、実額も、GDP比も遜色はないと思っております。
しかしながら、46ページですが、左上、トップ10%論文を見ていただきますと、日本は4,000本です。下のグラフは、前のページの予算、公的支援の額を見ているものですけれども、ドイツと同じぐらいなのに、ドイツの半分しか論文は書けていない。それから、イギリス、フランスの倍ぐらいお金は使っているわけですが、イギリスの半分、フランスと同じぐらいの論文しか書けていないというのが問題だろう。そして、それを分母、分子で割り算した右側のグラフがコスト当たりのトップ10%論文ということですが、御覧のように生産性が低い状況が見てとれます。これは、民間、独立行政法人とか、大学を含めたものを見ております。
大学だけを取り出したのが47ページでありまして、同様の傾向が真ん中のグラフで見てとれます。そして、右側のカラフルなグラフは、イギリスの経産省に当たるようなところが出しているものでありますが、コスト当たりの被引用数を見ても、やはり日本は低い、低いままということは見てとれるかと思いますので、ある程度、国際的なコンセンサスもあることなのではないかと理解してございます。
48ページ、49ページは、昔から生産性の低さというのは、例えば大学の人事組織の硬直性、閉鎖性などにあるのではないかと言われているということを、いろいろ言葉で表現しているものでございます。
こうした結果、50ページですけれども、左側のグラフ、電気通信分野で、世界で例えばコンピューターとか、通信とか、信号処理の論文が伸びてきているときに、日本における論文のシェアはほとんど変わらないといったこととか、右側は工学分野の科研費の応募件数ですけれども、学科ごとの応募件数もほとんど変わらないというのが見てとれます。
51ページは、旧7帝大と東工大の工学部系の学生定員のシェアを見たものですけれども、昭和40年度、50年ぐらい前から見たものですけれども、ほとんどシェアが変わっていない。そして、学生定員の後ろには、おそらく講座制などを背景にする教員の人事、教員の数もついてございますので、教員人事が硬直的になったままなのではないかと推定されるわけであります。
52ページですけれども、ここから閉鎖性の話です。左側のカラフルなグラフは、論文を書くときに、なかなか1人では書けずに、だんだんチームで書くようになってきているということです。そして、国内で知恵が足りればいいわけですが、国内で足りない場合には、右のグラフにありますように海外からその知恵を借りてくる。グリーンとオレンジのところが海外との共著、ブルーのところが国内だけで書いている論文ということで、日本は海外との共著が少ないということで、なかなか海外との連携がうまくいっていないというような状況です。
次の53ページは、同じく閉鎖性の問題が「ネイチャー」だとか、あるいはOECDのところでも指摘をされているということでございます。
54ページですけれども、これは日米の論文の著者に、「あなたの論文は基礎原理の追求を大事にしましたか、現実の具体的な問題解決を大事にしましたか」と聞いたものであります。左の下、特に日本の一般の論文で、基礎原理でも、具体的な問題解決でもないグレーのところが41%とあり、どちらでもないとお答えになった人が相当程度多いということです。これは、いずれかでないと、なかなか世の中の人から関心を持ってもらえないので、引用度もそんなに高くないことになってしまいます。こういった状況をどのように改善していくかを考えなければいけないということかと思います。
55ページですけれども、こういった閉鎖性といいますか、硬直性を改善していく一つの手法としては、科研費と呼ばれるものがあると思っています。ピアレビューで評価をして、配っていく研究費でありますけれども、科研費を見たときにもまだまだ不十分なところがあるだろう。左の曲線のグラフを見ていただくと、新規採択率、応募して採択される割合が3割ぐらいということです。3割だと、学者の3割しか受け取れていないとお思いになるかもしれませんけれども、科研費は3年から5年の継続ということになっていますので、去年いただいていた方とか、一昨年にもらっていた人を含めれば、理論的には6割ぐらいの人たちがもらっているということになります。それは、研究代表者として6割もらっているということですが、右側で見ていただきますと、研究分担者として科研費をお受け取りになる方々もいらっしゃいますので、実際には6割をかなり上回る方々が研究費を受け取っておられるのではないかと思うわけでございます。
56ページですけれども、上の囲みの1つ目の丸に書いてありますように、「科研費のそれぞれの学問分野ごとの配分額は、それぞれの学問分野への応募件数と応募総額に比例して決まる」となってございます。具体的に申し上げますと、例えば教育社会学という分野があったときに、教育社会学の分野で応募件数と応募総額を見て、全体の1%ということになれば、100億円の1%、1億円がまず枠取りをされて、その中で30%の競争が起きるということです。これでは新陳代謝がなかなか起きないだろう。実際、この円グラフを見ていただきますと、大きな括りの分野ですが、これでもそんなに変化がないということです。例えば教育社会学であれば、ちょっと隣の経済学の分野から評価をしてもらうといった、審査区分の大括り化をしていく必要性があるのではないかということ。それから、少し若手の審査員の先生方も入っていただいて、今までと違った目でチェックをしていくということも必要なのではないかと思ってございます。そして、右側の散布図は、36ページで御覧いただいた国立大学の運営費交付金の散布図の上に、科研費等の補助金を乗せたものですけれども、これで見ても、少しばらつきは増えていますが、ほとんど変化をしておりません。常々、選択と集中が過ぎているということが言われておりますが、そこまでの選択と集中はできていないということで、新陳代謝を促していくような仕組みを、いろいろな形で更に織り込んでいく必要があるだろうというのが私どもの問題意識です。
私のほうからは以上です。ありがとうございました。
〔 土居部会長代理 〕 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。なお、欠席の赤井委員、広瀬委員より、本日の審議を通じて意見書を御提出いただいておりますので、お手元にお配りしております。これをお目通しいただければと思います。
いつものように、御意見などがございます方は、ネームプレートを立てていただければ幸いです。時間が限られておりますので、御発言は2分程度を目安にして、手短にお願いいたします。上村委員から順に時計回りで。
〔 上村委員 〕 御報告ありがとうございます。
全体的な流れとして、インプットではなくてアウトカムにしていくというのは、そのとおりだと思いますけれども、インプットからアウトカムに至るプロセスがきっちりうまくいっているかというチェックを、今後、していかないといけないかと思います。インパクトがどこまであるのか。非常にインパクトが弱いかもしれないので、そうすると効率的になっていない、有効性がないということなので、そういうことを今後、チェックしていくということ。
あと、気になったのは、11ページ目の学校の事務職員の配置の話です。要は、算定上、交付税でなっているけれども、実際に配置されていない。ここにどういう理由があるのかということまで分析はされているのでしょうか。これは質問です。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 質問は、後でまとめてお答えいただくということで。
それでは、河村委員。
〔 河村委員 〕 御説明ありがとうございます。高等教育と研究のところに絞って、意見を申し上げさせていただきます。
とりわけ国立大学法人のところだと思いますけれども、36ページでお示しいただいたところとか、56ページのところとか、各大学、各国立大学への配分が硬直的になっている。それを改善するために、41ページで御説明いただいたようなアウトカム指標を一部入れてということで、これは大変結構な、望ましい方向性だと思います。ただ、現状では、本日も御説明くださったように、客観的な指標というのは研究面のところにやや偏っているなと。やはり今後、教育のところ、これは日本の教育界というか、大学界全体の課題だと思いますけれども、そういうところをきちんと、何をもって評価してという指標をきちんとつかまえて、配分にも生かしていくことが必要なのではないかと思います。
そのときに問題なのは、今回の改革についても国立大学側からは大分不満が出たような、私どもがいろいろなメディアの報道とかを見ていても、いろいろ聞かれるところではありますけれども、やはり一つの大きな要因は、各大学によって、国立大学といえども、教育と研究の力の入れ方のウエートが結構さまざまなのではないか。それを一緒くたにして、一本でということになると、やはりこれはというような不満が出てくるのは分かるような気もいたします。
やはり根本的な問題は、国立大学法人法、現行法の問題であって、これは財審として物が言える範囲かどうか、少しそこを超えてしまうのかもしれないですけれども、区分経理ができていない。これは、独法と極めて対照的であって、幾つか大括りの業務があったときに、同じ方、同じ先生が複数のことを掛け持ちでなさるのは、当然、どこでもあると思うのです。民間でもありますよね。でも、それを言い訳にしないで、やはりきちんと区分経理してみせる。独法であれば、全部きれいに勘定ごとに分かれて見えるわけですし、やはり国立大学も学部ごとに分かればいいというだけではなくて、きちんと括っていったときに、現状、附属病院を持っているところは分けていらっしゃるとは思うんですけれども、やはりきちんと教育と研究を分けて、どれだけ使っているかということを大括りにして把握して、そこのところをきちんと評価して、国からも国費、運営費交付金を支出していくという体制にしていくべきなのではないかと思います。
あと、客観評価といっても、国立大学を一緒くたにして、こうやって財審で議論というのはやはり限界があると思いますので、個々の国立大学法人がきちんと、緊張感のある客観評価に晒されるような体制を整えるということを、今、国立大学の第3期中期目標期間の4年目ではないかと思いますけれども、次の中期目標期間が来る前ぐらいまでにきちんと法人法を立て直すというようなことを、やはり促すようなことを言っていくことも必要なのではないかと思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 木村委員、お願いします。
〔 木村委員 〕 丁寧な御説明、ありがとうございました。
冒頭におっしゃったように、インプットとアウトカムの関係を重視するというのは、私も非常に賛成です。ただ、一つ考えなければならないのは、やはり資源の乏しい日本にとって、教育つまり人への投資と科学技術への投資というのは非常に大事な要素だと思うのです。だから、単にインプット、アウトカムも大事ですが、それだけでこういうものに対する予算の配分というのが、国民一般の理解が得られるのか、あるいは、将来、日本に対してどのようなものが役割を果たしていくのかという説明をより丁寧にされると、こういうことはより理解を持って進められるのではないかという気がしました。
あと一つ、科研費の関連で、生産性が低い要素としていわゆる人事とか、組織、あるいは研究の効率性、及び閉鎖性を挙げられましたが、21世紀に入って日本人のノーベル賞受賞者が増えてきていますけれども、そうしたことは、過去、これまでの日本の科学界のそういう成果が生かされたものだと考えると、人事とか、研究の閉鎖性というのはある意味、昔からあったような気もしますが、そことの関係が、いま一つ十分説明し切れていないというか、私の理解が不十分なせいもあるかもしれないのですけれども、そことの関係をもう少し明確に分かるようにしていただければ、より分かりやすいかと思いました。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 御質問については、後ほどまとめてお答えさせていただきたいと思います。
神津委員、お願いします。
〔 神津委員 〕 各論で、2つ申し上げさせていただきたいと思います。
1つは、資料の9ページに当たりますけれども、教職員定数の問題です。ここにありますように、実質20万人の増という分析もあるわけですが、その背景にさまざまな環境変化があるということについても、是非加味をして御検討いただきたいと思います。
この点に関して、資料を提出させていただいています。グラフ等の資料ですが、年間の授業時間数も、時系列で見ますと、この10年間で5%ないし10%ぐらい増えているという事実があります。それから、1ページの真ん中ですが、この間、発達障害についての認知度がかなり進んできているという中で、このように特別支援学級に在籍する児童・生徒数も3倍から4倍に増えておるということであります。それから、御承知のように外国人の比率が大分増えている。外国人の児童・生徒数も、このように2倍近く、この20年間で増えておるということであります。それから、2ページに移っていただきまして、要保護、あるいは準要保護、貧困ですね。貧困の連鎖、格差の拡大の中で、このように1.6倍なり2倍に増えているということです。
こうした中で、教員の1人当たりの国際比較もありますが、これは教員の数だけの比較ということでありまして、これはアメリカ、イギリスに例をとっていますが、教員以外の専門スタッフ、事務職員のみならず、スクールカウンセラー、あるいはソーシャルワーカー、こういったところを含めての専門スタッフが、アメリカ、イギリスの場合は豊富に配置されているということも、背景として是非勘案いただきたいと思います。
そうした状況の中で、御承知のように学校現場では過労死、過労自殺が起きています。働き方改革が喫緊の課題ということで、今年の1月、中教審答申を受けて、いろいろな対策を打っていこうということになっています。いろいろな運営の仕組みを見直すことは、もちろんその中でやっていかなければいけませんが、やはり教職員定数の改善も一つの大きな要素であって、それがないとなかなか根本的な解決にはならないということは申し上げておきたいと思います。
もう一つですが、大学教育、高等教育のアクセス機会でありまして、今国会で法律が成立しました。これで低所得層の高等教育へのアクセス機会が改善されたことは大事な一歩だと思います。ただ、資料の最後、2ページの下を見ていただきたいのですが、中間所得層、年収400万円から800万円の層であっても、教育費、極めて重い負担だという方々が8割以上いらっしゃるという調査結果もあります。前回も申し上げましたが、残念ながら我が国に根深くある自己責任論、あるいは税負担への忌避感、これらが相まって社会の分断が助長されるようなことが懸念されます。そういう観点から、税負担への忌避感がかえって高まらないように、やはり中間層を含めた全ての子供に対象者を拡大していくことが必要ではないかと思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 では、小林委員。
〔 小林委員 〕 財審の発信力というか、そういうことを強化していきましょうということで、分かりやすく、あるいは国民が聞いてすっと入っていくようにということも一つの課題だったと思いますが、おそらく今回の最も重要なキーワードだと思われますアウトカムという言葉ですね。これが続いて出たときに、言い続けて建議等々で出たときに、果たして皆様、耳にすっと入って、すぐに理解できるのかなという懸念が若干あります。これを例えば「成果」と言いかえることが可能なのかどうか、もうちょっと踏み込んで「実質的な成果」という言い方をして可能なのかどうか、この辺りのところを少し検討していく必要もあろうかと。どうしてもアウトカムといいますと、ぼやっとしたイメージになって、明確にゾーンを切り結ぶほど、一般の国民の人たちに知れ渡っている言葉ではないという気がいたしますので、それを一つ御検討いただければと思います。
もう一つ、これは素朴な質問ですが、11ページ、交付税措置の事務職員が2.6万人となっていますが、それが0.7万人分の配置にとどまっていると。これは、どういう事情があってそういうようになっているのか。市町村の判断により、といいますけれども、どういう判断をされてそれだけ少なくなっているのか、これはもし分かればお答えいただければと思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 佐藤委員、どうぞ。
〔 佐藤委員 〕 まず、簡単な質問からです。去年の財審で、内閣府のSIPとかを例に、研究開発における官民の役割分担についての議論があったと思いますけれども、それは別の回でやるのか、今回は見送るのかということで、ただの質問です。
それから、義務教育関係ですけれども、今、私、自治体の仕事を結構やっていますけれども、やはり今、教育の問題、特に学校の再編成、少人数、小規模な学校、学級が増えているということですけれども、この問題は施設の問題と一体化して考えなければいけない。やはり老朽化していて、これから建て替えの時期を迎えるときにあわせて再編成というのが、多分、タイミングになってくると思うので、この種の小規模校、小規模学級問題については、個別施設計画との関係である種タイミングを見ていくということが、多分、必要かなと思います。これは結構大変ですが。
それから、実はそれと少しかかわるんですけれども、同じ市町村の中でも結構格差があって、つまり駅前はマンションができて、すごく人口が増えているので、結果的に学校が足りない。ところが、そこからちょっとそこから離れていくと、実は学級が余っている、部屋が余っているというケースが結構散見されて、東京都内でもあります。なので、これからまだ人口が増える、マンションとかできて人口が増える自治体もあるかもしれませんが、既存の学級、学校をどう使っていくのか。つまり、学校をつくらないで、既存の学校をどう活用していくか。これは学区の問題にかかわりますけれども、少し検討する必要があるかなということ。
それから、これは大きな話になりますけれども、義務教育であれ、あるいは大学であれ、これまで自治という名前で、ある種、仕事を丸抱えしてきたんですね。そのツケを、今、払っていると思ったほうが素直だと思うのです。人手も足りなくなってきているので。今、大学内でも業務はすごいですから。先ほど専門スタッフというお話もありましたけれども、やはりどうやって学校の中の業務をアウトソーシングしていくかということが問われる。それは、申し訳ないけれども、例えば問題児のカウンセリングの部分とか、経理であるとか、そういった瑣末なところも含めて、できるだけアウトソーシングしていくという体制を小学校から大学までつくっていかなければいけない。これは意外とできない。やはり仕事は全部、自分たちで丸抱えして、外から口を出させないというのが学校の自治だと皆様思っています。なので、この辺りのマインドセッティングを変えていくということが必要なのかなと思いました。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 進藤委員、お願いします。
〔 進藤委員 〕 私が申し上げたいのは、やや基本的なことですけれども、24、25、26ページで説明されているのは、要するに教育を受ける18歳人口が少なくなってきているのに、私立大学が増えて定員割れを起こしているということで、これはずっと言われていることですけれども、要するに需要と供給の関係が崩れているわけですよね。これを前提にして予算規模をどう減らしていくかということを検討するよりも、もっと大きな枠組みを変えることで、大きく削減できる面があると思うのです。したがって、私は、需給関係が崩れたときの供給側の再編を推し進める対策、これにお金を使うことがあっていいのではないかと思います。例えば、小学生の1学年1学級ぐらいの小規模校が非常に増えて、教育上、非常によくないという評価ですけれども、多分、そうなのでしょう。そうだとすれば、小規模の学校も統合、再編を進める必要があるということなのだと思います。これを推し進めるためにお金を使うというようなことが、私はあってもいいのではないかと思います。これが1点です。
それから、後ろのほうで人事、組織の硬直性、閉鎖性について、レポートや新聞記事からの引用が記述されています。若い人から聞く話そのもので、人事組織の硬直性、閉鎖性は極めて問題だと思います。ただ、そういうことで若い人をどんどん、どんどん重用していったときに、先生たちの雇用の維持というのはどのようになるのか。新しいことをやると、そこから大きな、また新しい問題が出てきますが、ここを両立させなければいけないと思います。
それから、先ほど情報システムがずっと伸びているのに、日本は伸びていないと言う御説明でしたけれども、工学部の中の学科の枠組みが維持されているということは、どの分野で技術革新が起きるか分からないという事を考えると、今の工学体系を維持していく事は、それはそれで一つの意味があるような気もするのです。ただし、そこを保ちながら、新しい流れに対応していかなければいけない。新しいことをやるのと古いことをやるのと、どちらかを1か、ゼロでやるということではないと思います。今回のようなアウトカムに着目するということも、全部を変えるわけではなくて試験的にやっていくのだと思いますけれども、こういうようなやり方で、古いもの、既存のものの中に新しいものを入れていくということなのだろうと思います。これが2つ目です。
それから、単純な質問ですけれども、33ページに東京大学と各大学の財源があります。「その他」と分類されている財源が、オックスフォード、ケンブリッジ、スタンフォードは極めて多いのです。ケンブリッジは42%です。これが何なのか、後で教えていただきたい。
これだけです。ありがとうございました。
〔 土居部会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、末澤委員。
〔 末澤委員 〕 私からは、3点、申し上げたいのですが、1つは、先ほど標語という話がございましたが、私は、やはり子供ファースト、ないし子供オリエンテッド、子供第一と、こういう観点で教育行政は語るべきだということ。もう一つは、やはり人口動態の変化等に、構造変化に対応した改革、3つ目が民間やビジネス界のサポート、この3つが必要だと思います。
私の親族も、今、就活をやっているのですけれども、やはり教員というのはどちらかというと、今、働き方改革がブームの中、ブラック職業の典型になっているのです。どういうことかというと、もう24時間、PTAの対応等を含めて相当働いている。では、それが子供のためになっているかというと、もう逆だと思います。やはり先ほどの分業が重要だし、先生はまず授業時間をきっちりやっていただくことが必要です。
なぜそうなっているかというと、先ほどのグラフにもありましたけれども、生徒の数が団塊の世代のときは1学年270万人いたわけです。昨年、2018年の人口動態、これは推計ですけれども、92万人と3分の1になってしまっている。3分の1でやると何が起こるかというと、1人当たりの生徒に対する教員の数は増えます。だけど、これはもうどんどん、どんどん効率化と逆の方向に行くわけです。先ほどの話で、どんどん小規模化が進む。例えば、中学校だと専門課程を持っていない方がやる。小学校は全部やりますけれども、中・高は専門別ですから、その教科がなくなるということも起きているのです。やはり人口動態が変化して3分の1になるのだったら、学校も3分の1に統合すべきだ。これができないのは、実は子供のためではなくて、地元の反対があると聞いています。だから、そこはやはり子供ファーストでやるということ。
もう一つは、欧米との比較で見ると、従来は生徒が多かった、先生も多かったことで、中で全部できた。今は、もう外部に協力していただくしかない。逆に増えているのはお年寄り、すごいノウハウを持ったお暇な方もいらっしゃる。そういった方に、どんどんボランティアだとか、部活動に参加していただいて、皆で支える。ですから、構造変化に対応したことをやれば、子供ファーストで、しかもウインウインの関係ができるのではないかと思っております。
以上でございます。
〔 土居部会長代理 〕 武田委員、お願いします。
〔 武田委員 〕 ありがとうございます。大変分かりやすく、また、熱意のこもった御説明をありがとうございました。
私も、アウトカムを重視する方針全体には賛成の立場ですけれども、他の委員もおっしゃったように人材、それから科学技術力は日本の将来を左右する資質ですので、質を上げるためには使うということも、あわせて訴えていくことは非常に重要なメッセージになると思っています。
その上で、どうしたらいいかということですが、1つ目は従来からの課題である新陳代謝です。先ほど進藤委員からも具体的にありましたけれども、しっかり進めるための仕組みづくりが要ると思います。
では、どう新陳代謝させるかですが、勉強させている大学かどうかはしっかり問うべきで、
1時間未満の勉強の方が6割以上という衝撃的なグラフについては皆様印象に残っていると思いますが、今回、さらに衝撃的だったのが21ページのグラフで、合格が最終的に20%を下回っている大学が一番右端にございます。また、34ページの教育大学にもかかわらず求めている英語レベル、教えている英語レベルが極めて低いなど、そうしたところをきちんと見える化して、教育の質の面を問う指標を見える化して、それを新陳代謝を促す材料にしていく段階、そろそろ語るだけではなく、実行に移していく段階にしていかなければいけないと思います。
2点目は、教員の負担感の議論です。アウトソースもあるでしょうし、ボランティアもあるかもしれませんが、テクノロジーを使うことも重要です。自治体でも、新しいテクノロジーを使って効率化を進める動きが出てきていますので、教育の現場レベルでももっと増やし、教育に集中できる環境をいかにつくっていくか。つまり、教育の質を求めるのであれば、その分、教員の事務負担も減らさないと両立はしないと思います。
3番目、かつて日本は科学技術立国と言われましたけれども、その力はどの指標で見ても落ちています。科学技術力を再び高めるために、私は質の向上につながるものについては予算を増やしていいと思っています。イノベーションを起こしていくために産官学連携を進める。そのためには、人材の流動性も高めていかなければいけないと思います。ドイツで産官学連携がうまくいっている一番の理由は、人が動くから自然に連携ができていくことが言われています。もう少し日本の雇用市場の硬直さを取って、スキルや成果がきちんと評価され、モビリティーが高まっていけば、イノベーション力の向上につながるのではないかと思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 まだ、それなりの人数の方が御発言をされたいということですので、何卒手短にお願いしたいと思います。
田近委員、お願いします。
〔 田近委員 〕 ありがとうございました。
37ページを開いてもらいたいのですけれども、やや広い視点にかかわるような議論をさせていただきたいと思っています。いろいろな分野にかかわりますけれども、一般的に公費が投入される事業で、どのような経営主体が運営するのか。それを前提にして、ガバナンスがどれだけきいているのか、それに対して財審がどうかかわって意見を述べるかというのもあると思うのです。一般論ではなくて、ここでも私の記憶している限り、国際協力の事業で、去年でしたか、独立行政法人のJICAの予算執行についてかなり議論した。それも、単なる執行だけではなくて、背後にガバナンスの問題もあるのではないかと、それを聞いていて私は思っていたのです。
37ページ、本日、中島主計官の説明をいただいたのですけれども、国立大学の一律・非効率的な予算運営ということで、これは大学にどう配分するではなくて、大学の予算配分は一律ではないかとか、随意契約が多いではないかと。これは、何も主計官に国立大学があれせい、これせいと言われるのではなくて、むしろなぜこういう問題が起きるのだろうか。国立大学を国立大学法人にした段階で、その次にガバナンスがきいているのかというのが本質的なイシューだと思いますけれども、主計官に中の運営について言われるなんていうのはおかしな話ですよね。
そうすると、大学におけるガイダンスで、オペレーションをやっている研究・教育サイドが協力、あるいは、良い意味で競合してやっているのか。やっていけないから、こういうことが起きているのだとすれば問題です。それでは、うちの大学は学長のほかに理事長を置きたいと。理事長を置いて、経営のほうは理事長が代表して、研究・教育のほうは学長が代表して、その両方が協力、ある意味で競合していく形もあっていいということで、何かもう一つ先の問題があるのではないか。
これが財審の課題でもあるのでしょうけれども、結果的に予算を配分しなければならないのが我々の結果であっても、やはり経営主体がどうあるべきか。それを独法なりに決めたときに、ガバナンスがどこまで強化されているのか。その点の議論も、国立大学だけではなくて、してもいいのかなというのが私の意見と感想です。
〔 土居部会長代理 〕 田中委員、お願いします。
〔 田中(弥)委員 〕 ありがとうございます。私は、2点、申し上げたいのですが、ページのほうは41ページを出していただければと思います。
まず、1点目ですが、先ほども委員で言及された方もいらっしゃいましたが、今国会で高等教育の無償化が可決されました。これによって7,600億円のお金が高等教育に導入されますけれども、うち3,000億円以上は大学に直接、授業と入学金という形で渡ります。私の見立てでは、相当の比率で私立大学に行くと思います。私立大学の私学助成金は3,000億円ですから、一挙に倍になるということです。したがいまして、今まで国立大学と私立大学のギャップがある、それゆえにという議論がありましたけれども、国公私立大学を含めた鳥瞰図が大きく変わりますので、先ほど供給側の再編というのがありましたけれども、大学セクター全体でこの問題をどうするのかということを考えるタイミングに来ているというのが1点目であります。
2点目ですが、41ページに基づいて説明したいのですが、今、大学のガバナンスに関して、主計官がいろいろ言うのは内政干渉ではないかという類いの御意見もあったと思います。ただ、私は、大学改革というのは、もちろん大学のガバナンスの改革は必要ですが、あわせて大学行政の改革というのも非常に必要になってきて、ここが大きな岩盤になってきたと理解しています。
この絵を見ていただきますと、運営費交付金の基幹経費とありますけれども、これは前年踏襲型といって前の年に係数を掛ける形で、明確な積算は国立大学が法人化されてからなされていません。したがいまして、明確なコストと生産性を合わせたような積算の方法を可及的速やかに開発するべきだと思います。
もう一つ、配分にかかわるところで、どうしても評価ということが出てきますが、これは一律の配分ではないかという問題意識がありましたが、そのとおりだと思います。なぜならば、大学の評価に関しては相対評価がほとんど行われていないからです。例えばですが、ここで重点支援分野、これは指標に基づいた評価をすることになったのですが、実際に大学から好きなだけ出してくださいということになった途端に、2,100個を超える指標で出てきてしまって、結果として相対評価がなされていないということです。ですから、昨年のように共通指標を7つ設けて、それで相対評価ができるように工夫されたと、私は理解しています。
ただ、これも突破口の入り口にしかすぎないと思っていまして、このほかにも国立大学法人評価というものが別にあって、共通指標に基づく評価が700億円、重点支援評価が300億円、このほかにも認証評価というものがあり、複数が並立している評価があることによって、先ほどの私学助成金の一般補助と特別補助のように、結局、差をつけたとしても、逃げ場をつくってしまっている状況になっていると思います。そういう意味で、大学に係る評価制度そのものを一つにまとめるなど、大改革をしないとだめな時期に来ているのではないかと思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 冨田委員、お願いします。
〔 冨田委員 〕 同じく国立大学の運営費交付金、及び科研費の配分についてですが、本日、お示しいただいた資料36ページ、56ページ、加えて51ページに学部の学科別の定員の変化、これは昭和の時代40年から平成に至るまで一定である。この3枚の資料は、日本型経済システムと言われるものの特徴を極めて端的に、つまり硬直性を端的に示すものだと思います。それは、予算で言えば、つまり資源配分で言えば、この間、全く変わっておらず、メリハリは全くついていない。メリがなければハリをつけられないわけでして、いわば国立大学行政というのは護送船団行政で、全体を持ち上げないと生産性の高いところをより高くできないという形になっていて、ものすごく大きな金額の予算が必要だということになります。
そこで、期待されて登場したのが総合科学技術会議のS、A、B、Cという評価等、先ほども田中委員がお話になった評価の問題ですけれども、この総合科学技術会議、21世紀になって始まりましたが、その評価もSとAが非常に多くて、当審議会はもっと厳しく評価すべきだということを何回も建議で申し上げたのですが、わずか10年ほどで、このS、A、B、Cの評価がやめになってしまいました。
そういう状態の中で何をなすべきかということですが、かつて公共事業予算が硬直的であるという批判が随分ございました。限界的な変化、つまり変化分の中のシェアの変動をとると大きいですが、なかなか全体をとると固定的だと。そのシェアを大きく変えることになったのが特定財源の一般財源化であったわけです。これらを踏まえて、国立大学の大学間の配分、つまり、よりイノベーティブなものに変えていくという観点から考えますと、41ページでご指摘のあったことをやっても、限界変化がわずか起こるだけです。700億円のうち、プラスマイナス10%をつけられるのはごくわずかな金額でして、まずは41ページの一番右下に書いてありますように、対象金額を拡大するし、変化幅を拡大していくということを、かなり長期間にわたって続けていくことをどう担保していくかということが必要だと思います。
加えて、公共事業の一般財源化によってシェアが大きく変動して、国民のニーズに対応できるようになったという観点から考えると、本日の資料の最後のページにさらっと書いてありますけれども、研究対象の評価対象を大括り化するということが書いてありまして、やはりそれが重要な点であろう。より高い観点から、広い視野でもって、より大きな対象をまとめて評価していくということが大事だと思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 申し訳ございません。時間が大分押しておりますので、以後、手短にお願いいたします。
中空委員、お願いします。
〔 中空委員 〕 手短にいきたいと思います。
田中委員がおっしゃった高等教育無償化の話、それが始まりましたということで、これから我が国は大枚をはたきます。それを鑑みて説明を聞いていた中で、学校のレベルが低いですというところが結構ありました。これは、あまりにも悲しい現実であるということを踏まえ、“能力も意思もあるのにそれができない子供”にお金が行くべき、あるいは、“良い教育をしているのにお金が足りない大学”にお金が行くべきという基本に戻って、河村委員がおっしゃいましたけれども、緊張感ある客観評価にさらされながらやってもらう必要があると考えます。ですので、運営費交付金は、極端なケース、ゼロでも仕方がない大学を認めざるを得ないのではないかと思ったりします。
2つ目としては、高等教育の進学率を高めることが本当にいいことかどうかということに私も疑問を持っていて、22歳とか23歳になって稼得能力もなく、急に世の中に晒されるほうがもよっぽどかわいそうだという気もしますので、どういうことをやるべきなのか、どこにお金を使うべきなのかというのは、根本から考え直す必要があるのではないかと、私は思っています。2つ目です。
3つ目としては、素朴な質問ですが、科学技術は一転してお金を入れて良い分野だと思いますが、54ページにあるアンケート調査は結構衝撃的で、基礎原理の追求でも、現実の問題解決でもないと思っている研究は、一体、何をやっているんだろうということです。その何をやっているのだろうというところも含め研究をする自由は当然あるわけですけれども、そこに税金からのお金を使うというのは違うのではないかと思います。そうすると、国としてどういうところに研究をしてくださいと言えるのか、言えないのか、が気になります。この分野の研究を進めてくださいという指針を立てていいのかどうか。ここはシンプルに、私は、こういうところの研究をしてくれて、進めてくれたらお金が出る、ということがあってもいいのかなと思いますけれども、その辺りはどうなのでしょうかということがお聞きしたい点です。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 神子田委員、お願いします。
〔 神子田委員 〕 ありがとうございます。本日は、土居部会長代理の就任お祝いということで、2分以内に終わらせていただきたいと思います。
全体としてはもちろん賛成ですけれども、私、去年、イタリアに財政の調査で行ったときに、割と財政規律は守っているなと思いましたけれども、大学に行ったときに先生が科学技術の予算が大幅に削られたということで将来を心配していたので、私もこれでイタリアの将来は暗いなと思って帰ってきたのですけれども、是非、お金の使い道だと思いますので、日本が科学技術立国でい続けられることを前提に、厳しく予算を見ていってもらいたいというのが一つです。
2つ目は、34ページの英語の問題ですけれども、確かに大学でこの目標でいいのかというのは、おっしゃるようによくないと思いますけれども、ただ、これが現実だから、こういうことをやっているのではないかと思います。いきなりTOEICの目標を上げても無理だという子たちが入ってきているのではないのですか。
〔 武田委員 〕 教職ですよ。
〔 神子田委員 〕 ああ、教職。失礼しました。教職を目指す子たちがね。でも、実際にそれが入ってきているのが現実なのではないかと私は思うのです。だから、こういう目標を立てているのではないか。先生たちだって、もっと高い目標を立てたいはずだと思うのです。そう考えると、やはり大学からというよりは、もっと下の段階から英語の教育をちゃんとやっていかないといけないのではないかということで、そういうトータルで国としての設計が必要ではないかという感じがしました。
最後に、教員の数が、確かに少子化なのに足りないというのはどういうことだと思いますけれども、やはり仕事が増えているのではないかと思うのです。だから、その部分は本当に、今、家族がPTAをやっていても、例えば学校行事で警察の許可証をとるみたいなことまでPTAの人がやっていますけれども、そんなこともできないほど先生は忙しいのか。それは、やはり業務がそもそも多過ぎるのではないかという感じがするのです。私は、小学校というのは、いろいろな子供がいて、手がかかる子もいるけれども、そういうのをすくい取っていくというのが初等教育の段階だと思うので、先生たちがそういうことをできるような、人間的な暮らしができるようにすることがまず先決だと思うので、そういう意味では、人を増やすといってもお金がないから、やはり業務を減らすということを、どうやったら要らない業務を減らしていけるのかと、そういうコンセンサスづくりをしていってもらったらいいかなと思います。
〔 土居部会長代理 〕 宮島委員、お願いします。
〔 宮島委員 〕 ありがとうございます。
高等教育に関しましては、多くの方がおっしゃったので、本当に一言だけ申し上げると、低所得者家庭の教育の無償化がいよいよ始まるので、これが定員割れ大学の延命装置にならないようにと。それから、普通の人が見て、大学に行きたくなさそうだったあのうちの坊ちゃんが行って、ただ遊んでいるというような状況が目の前で展開しないようにということを、本当に心から祈って、希望しております。
初等教育ですけれども、これはまさに未来のイノベーションのために、どう尖った人材を育てるかというようなところで、今、議論が進んでいます。その場合に、これは予算に関する会議なので、教員の数との関係で話し合うことになっているのは仕方がないとは思いますけれども、春の財審ということで少し先のことも含めて申し上げますと、人が多ければ教育はいいのかというのは小学校の様子を見て思います。別に、多くたってすごくしっかり指導できている先生もいれば、ごく少なくても全然教育がなっていない人もいるわけで、常に予算編成が子供と教員の比率で話し合われているということに関しては疑問を感じます。
更に言うと、教員が本当にやるべきことは何なのか。例えば、黒板に向かって書いていて、それを生徒が聞いているだけだったら、それはビデオでもいいのではないかという話ですよね。さらに、ITが進んでいるので、そういったことはもっと個別対応化、ITを使って個別化して、それをすくい上げたり、励ましたり、チーム化するとか、そういうところを育むのが教員の役割ではないかというようなところから考えると、事務作業だけではなく、教える部分に関しても、本来、教員がやられなければいけないことはどんなことで、そこにはどういう手当が必要なのかということをちゃんと考える段階だと思います。
更に言いますと、そのためにはどうしてもITというのは必要で、ITでかなり教員の負担を減らせることはあると思いますので、ここはお金を使ってもIT環境をきちんとする。しかも、単に配布して、そこで使われないということを避けるために、それをきちんと活用できるバックアップも含めて、ここだけは一刻も早くお金を使ってやらないと、本当に遅れてしまうのではないかと思います。資料で、留守番電話やコピー機が負担感改善になったというのはやはり驚きましたけれども、心配なのは、じゃあ皆で留守番電話を買いましょうとか、コピー機を増やしましょうという話になったら、多分、数年したら、それは全部、全く要らないものになるのではないかと思いますので、先を見通して、本来、必要なシステム配備を一刻も早く進める。そして、教員が本来やるべきコアの仕事をしていただくということにしていただきたいと思います。
〔 土居部会長代理 〕 それでは最後、横田委員、お願いします。
〔 横田委員 〕 横田です。
まず、全体としてアウトカム重視で、教育、研究の質向上と、引いては大学の再編につなげるということには大賛成でございます。
1点だけ、問題提起をさせていただきたいのが進学率にかかわるところです。16ページから18ページです。教育を提供する側の努力もそうですけれども、学生の多様性が足りないのも日本の大学の質を左右してるのでは。多様性というのは別に留学生だけではなくて、18歳でストレートに大学に行くことが是なのか。勉強して、そのまま何も考えずに大学に行く子ばかりが多いという受け取る側の成熟度みたいなものも、問題ではないかと思っています。
国際比較する上で、進学率を他国だと25歳未満の数値を拾っていたりとか、国によっては生涯進学率というのをとっていたり、フルタイムで学生をやっているパターンと、パートタイムで学生をやっているパターンと、結構ミックスしているケースなどもある中で、日本の大学生はかなり画一化しているのではないかという印象も持っています。そう思って検証していかないと、今回の高等教育の無償化なども、たしか高校を卒業して2年内が対象だったかと思いますが、つまり、その18歳進学固定化を促進してしまうものになっていたりするのではないかという懸念がありますので、その視点での検証も、実際のアウトプット、アウトカムが向上することにも影響するのではないかということでございます。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 どうもありがとうございました。
御質問を幾つかいただいておりますので、まとめて中島主計官、お願いします。
〔 中島主計官 〕 ありがとうございました。
まず、上村委員と小林委員から、11ページ、市町村費負担事務職員の交付税算定と実際の配置との乖離の理由についての話がございました。交付税ですので、配置しろというようなことを、我々、申し上げるつもりはありません。予算執行調査で、何故配置していないのかとお聞きしたところ、今の事務職員の数で業務を十分にこなせているというのが38%、それから共同で事務をやっているから、そこまで要らないというのが27%、交付税の算定基準とのバランスは考えていないと答えたのが15%といった状況でございます。
木村委員から、昔から閉鎖性というのはあったと思うが、その時の生産性との関係はどうなのかといったような御趣旨のことがございました。確かに、昔から閉鎖性はあったかもしれません。例えば、47ページを御覧いただきますと、右のカラフルなグラフですけれども、生産性は昔から、別に低下しているわけではなくて、変わっていないのだと思います。これは、所詮10年かそこらかしかないグラフですけれども、多分、生産性は変わっていなくて、人口も伸び、つまり研究者の数も増やせるような状況であり、経済成長もあるので投資もできるような状況の中で、物量作戦で論文を増やしてきたのではないかと思うのです。物量作戦で来た結果、生産性の向上を怠ってきた。しかし、もう人口もそんなに伸びない、経済成長もそれほど大きくないというような状況の中で、お金も、人もリソースは限られる中、新陳代謝をして生産性を上げて論文を増やしていかないといけないのに、今のままのことを続けていては論文は増えないのではないかというのが私どもの問題意識であります。
佐藤委員から、SIPなどにおける官民の役割分担の話がございました。今回、かなり絞り込んだ論点にいたしましたので、そこは入ってございませんが、大事なことだと思っていまして、研究分野においても官民の役割分担はしていかなければいけないとは当然に思ってございます。
進藤委員から、33ページ、世界の大学の「その他」のところの収入は何なのかという御質問がございました。例えば、ケンブリッジ英検という事業だとか、あるいは出版です。あとは、特許料収入みたいなものがその他のところに入って、いろいろなことで稼ごうと、ほかの大学はしているということです。
中空委員から、研究分野においてどういう研究をしていくべきなのかといったようなことを、国が絞り込んでいけないかというお尋ねがありました。それはそのとおりだと思いますし、例えば総合科学技術会議などでは、今はハリ、つまりプラスの分野しか出しておりませんが、昔はS、A、B、Cのようなことをやっておりましたので、新陳代謝を上から促していくといったようなことも大事なことだと思っております。
以上かと思います。
〔 土居部会長代理 〕 教育は、皆様、一家言をお持ちなので議論は尽きないですけれども、次の議題がございますので、誠に申し訳ありませんが、これまでとさせていただきます。
続きまして、社会資本整備の審議に入ります。岩佐主計官、よろしくお願いいたします。
〔 岩佐主計官 〕 それでは、テンポアップしてまいりたいと思います。資料3に沿いまして御説明します。
まず、1ページ目、目次でありますけれども、初めての方もいらっしゃると思いますので、最初に公共事業をめぐる概括的な状況と、最近の財審での議論や、その反映状況等について簡単に整理した上で、本日は主に中長期的な課題についてお話しさせていただければと思います。
早速、2ページでありますけれども、これは公共事業関係費の推移を見たものでありますが、当初予算ベースでは、ピーク時と比べて大体4割減、補正後ベースで見ても半減と、一般会計ベースでは相当程度抑制されている姿が見られるかと思います。一方、右側に参りますと、対GDP比で見ますと、先進国との比較では、引き続き日本はまだ高い水準の総固定資本形成の水準にあるというのも事実かと思います。
続きまして、3ページですが、各種ネットワークの整備状況につきまして、30年前、昭和最後の年と平成末の時点を比較してみたものです。御覧のとおり、社会資本整備の水準は大きく進展しているのは明らかだと思っておりますし、社会インフラは概成しつつあると考えています。いたずらに量を拡大する時代は終わったということかと思います。
一方、4ページでありますけれども、近年、気候変動等の影響も受けまして、災害が頻発化、激甚化している状況が見てとれるかと思います。国民の安全を守るために、必要な事業はしっかりやっていくことも重要ということかと思います。
その次、5ページ、これが昨年末の財審の建議のポイントでございます。キーワードで言えば、量から質へということで、防災・減災対策、それから日本の成長力を高めるような生産性の高い事業を厳選して、重点化をしっかりやっていくのだということが基本的な哲学かと思います。特に、黄色で色づけした部分の安全、安心向上の文脈では、例えばですけれども、従来、交付金の形で地方に自由度を与えていた自治体のインフラ事業について、真に必要な事業はもう個別補助化して重点的に支援すべきである。あるいは、ハード整備だけではなくて、ソフト対策も一体的にやはり進める必要があるので、自治体のソフト対策をしっかり後押しするような工夫も考えるべきといったような御提言もいただきました。生産性の向上の分野でも、既存ストック、民間資金、さらには新技術といったものをしっかり活用していくべきだというような方向性もお示しいただいたと思っております。
6ページは、今年度予算の概要ですので、大胆に省略したいと思いますけれども、先ほどの建議でお示しいただきました方針に沿って、例えば右下の箱の一番上の部分ですけれども、個別補助化への切り替え等に手をつけさせていただいたということであります。
7ページは、個別補助化の具体例を若干御紹介させていただきたいと思います。左側の図は道路整備の例でございますけれども、1桁国道などの重要物流道路と港湾などの物流拠点をつなぐ地方管理のアクセス道路の整備です。こういったところは、地方任せにせずに、個別補助で採択してスピード感を持って支援して、物流効率化、あるいは災害時の安定的な輸送の確保を図るといったような取組を進めております。右側は、老朽化の進んだ大規模な橋梁の修繕、更新の例でございます。
8ページ、今度は治水事業の例になります。左側、天竜川中流域の地すべり対策の例でありますけれども、役場や学校などの集積が進んだ平岡地区というところがございまして、ここが崖崩れしそうで危ない。そういったところを国の直轄でとって進めているわけですけれども、実は下流の福島地域といったところにも危険な箇所がございまして、ここで崩れて川が土砂で埋まってしまっては、結局、上流域にも影響が及ぶということで、全体を面で捉えて、福島地区の対策を地方任せにせずに補助事業としてしっかり拾って、流域全体の対策効果を上げるといったようなことをやっております。
こうした交付金から補助金への切り替え、実は今年度が初年度でございまして、国や地方での現場で無用な混乱を避けるという意味でも、事業間連携、今、御説明した例のように、誰が見ても個別補助で、スピード感を持ってやったほうがいいといったようなところを、いわばかために切り出したというのが実情かと思います。予算統制をしっかりきかせていくという意味でも、来年度以降も事業の中身を見ながら、しっかり切り出し範囲の拡大を進めていきたいと考えております。
次は、ソフト対策のインセンティブの例でございます。個別補助の切り出し後に残った交付金事業についても、例えば左側、浸水対策の例でありますけれども、一生懸命ハザードマップを作成していただいたり、地方単独で維持管理等にしっかり取り組んでいただいている自治体には、重点的に配分する仕組みを導入する。右側の例で言えば、砂防事業の例でありますけれども、地すべり対策をやるのであれば、当該地区をちゃんと土砂災害警戒区域として指定して、ここは危ないですと住民にしっかり分かっていただいた上で事業をやってくださいといったような、自治体のソフト対策を後押しする工夫を行ったところであります。
少しページは飛んでいただきまして、予算への反映状況等についてはこの辺りにとどめまして、中長期的な課題の話に移らせていただきたいと思います。11ページです。
長期的な社会資本整備を考えるに当たって、留意すべき視点をちょっと整理してみました。まずは、今後、人口減少が進みます。特に、地方部における人口密度の低下が予想される。さらには、既に相当程度インフラは積み上がっていますので、維持管理のコストをどう見るべきか。コスト削減につながるような新技術開発状況はどうか。それを取り巻く経済・財政状況はどうなのかといったような諸々の事情を、先々を不断にプロジェクションしながら考えていく必要があるということかと思っております。
次は12ページ、これは将来推計人口の話でありまして、生産年齢人口や世帯数が減少するのは避けられない見込みであるということで、特にそうした流れは、自然体では地方部において顕著となるということです。
13ページに行っていただきますと、これは人口密度で見た場合の推計でございます。1キロ平方メートルのメッシュで見た場合に、2050年には、現在、人が住んでいる地域の約半数の地域で人口が半減、50%以上減少する。2割弱の地域は、そもそも無居住化してしまう可能性があるということでございます。
次、14ページ、これは財源面で考えてみた場合ですけれども、社会資本整備は、インフラは資産として残って将来世代にも受益が及ぶということで4条公債を財源にしておりまして、60年償還ルールで償還していく形になってございます。言わば60年かけて、現在のインフラ整備に選択権のない子や孫の世代にも返済義務を負っていただくことになりますので、人口減少が今後も進む中で、建設国債ならどんどん発行して整備すればいいというわけにはいかないということは自明かと思います。
次、15ページでありますけれども、これはOECDの最新の分析の御紹介です。右上のグラフにありますように、人口の少ない地域で1人当たりの公的資本量が多い傾向にあります。当然、そうした地域では、1人当たりで見た維持管理コストが高くなるわけでございまして、特に地方部、今後、人口減少が想定されるところでは、社会資本水準の維持に当たって困難に直面することが見込まれるということかと思います。それから、公的なインフラには最適な運営規模があるということも事実かと思います。水道事業の例でありますけれども、供給人口が増えれば、そのスケールメリットが効いて単位コストが減少するということで、上下水道などにおいては、インフラの統合でありますとか、広域化をしっかり進めていくということは避けられないのではないかということであります。
16ページはメンテナンスの話です。事後保全、壊れたら直すというやり方と、予防保全、こまめに手入れしながら長寿命化させるというようなやり方を比較しますと、予防保全のほうがコスト優位にあることはもう明らかであります。
したがって、結論は予防保全をしっかりやるべしということでありますが、17ページ、左側の表でも明らかなように、問題は、予防保全をある程度やっても、今後、各種施設の老朽化が大分進んでいきますので、維持管理費のある程度の増加は避けられないということであります。1人当たりで見た場合は、さらに負担が増大してしまうということでありまして、新技術の活用等不断のコスト縮減の努力が必要ということかと思います。
18ページ、これは道路整備を考えた場合の話です。道路の総延長は着実に伸びてきておりますけれども、一方、既に距離当たりの交通量で見ますと低下してきているのが現状でございます。人口減少が見込まれる中で、交通量の見通しを精査すべきは不可避でありまして、必要な事業はしっかり厳選していく必要があるということかと思います。
次は、19ページ、道路の維持管理に関する話でございますが、地方を見てみますと、地方管理の橋梁が幾つも川にかかっていて、皆、老朽化が進んでしまって、危ないところは通行止めにしてしまっているというようなケースがあります。放置しているということで崩落の危険も高まるわけで、この際、使用されない橋梁は大胆に撤去しながら、本当に使用される橋梁の機能強化を図る、集約化を一体的にやっていくことも必要だろうと思っております。個別補助の優遇のような形で、財政的なインセンティブを与えていくことも考えるべきかというのが問題意識です。
20ページは下水道の話でございます。処理場や管渠の整備については順調に進んでまいりました。今後は更新が課題になります。一方、右側の絵にありますように、ある程度人口が集積しますれば、下水道処理のように集合処理が比較的優位でありますけれども、人口密度がどんと低下してきますと、そのときは下水道などよりも浄化槽のほうが1人当たりの処理コストが低下するということでありまして、将来の人口密度の予測のもとに更新の在り方をしっかり考えていく必要があるということかと思います。
21ページ、これは住宅政策と都市政策についてのインプリケーションであります。住宅総数が着実に増えてきた中で、今後は世帯数の減少が見込まれますので、左上のグラフでいいますと青と赤の差がいわゆる空き家ということになります。住宅総数を伸ばすというよりは、中古住宅の流通の促進でありますとか、空き家スペースの有効活用など、空き家対策をしっかりやっていくというのが帰結かと思います。都市政策の面で見ますと、人口密度が低下していくということであれば、やはりコンパクトシティ化を進めていく。それにあわせて、地域公共交通の在り方も再編しながら、コンパクト・プラス・ネットワークの取組をしっかり加速していくべきということになろうかと思います。しかし、進捗状況はどうかと言えば、特に公共交通の分野ではまだまだ芳しくないというのが実情かと思います。
残った時間で、その他の課題で、今度は若干、足元の課題も幾つか御紹介させていただければと思います。
まず、23ページ、防災・減災のソフト対策をまだまだやる余地があるというお話です。およそハード整備だけで災害の被害を完全に防ぐことができるかといえば、それは非現実的だと思っておりまして、万が一の場合はしっかり逃げてもらう必要があるということかと思います。ハザードマップをつくって、住民にあらかじめ危険を知っていただいて、あるいは水位をちゃんと測って、危険水位も設定して、危ない場合にはしっかり逃げていただくといったような、情報提供の充実をしっかりやっていく必要があるということかと思います。
24ページは、細かな論点なので時間の関係で飛ばします。
26ページまで飛んでいただきますと、次に生産性向上の分野であります。既存ストックを有効に使っていく方策として、これは昨年の秋にも触れましたけれども、高速道路の料金負担の在り方に関する論点でございます。地方部などに行きますと、有料・無料区間が混在しているところが結構あります。左下のイメージのように、無料区間から有料区間に切りかわるところで一般道に降りてしまって、一般国道のほうがなぜか渋滞してしまうというような弊害も出てきている中で、諸外国などを見てみますと、結構、無料化から有料化に切り替えていく動きも出てきております。道路の維持管理などを考えた場合に、有料、無料の整理区分にこだわらず、全体を有料化して広く、薄く料金をいただくといったような工夫も、そろそろ真剣に考えていいのではないかということであります。
27ページも道路の話でありますけれども、地方の暫定2車線区間を4車線化するという御要望、非常に強いわけですけれども、4車線化に対して無料から有料に切り替える例も徐々に出てきておりまして、こういった取組は、今後、もっと広がっていいのではないかと考えています。
28ページ、港湾の話です。コンテナ船は、順次、大型化しております。コンテナ基幹航路が日本を抜港してしまうという事態を避ける観点からは、18メートル級の大水深バースの整備は不可避であります。一方、そこら中に整備するわけにもまいりませんので、選択と集中を徹底する必要があるということです。東京港は、湾内に海底トンネルが通っていたりして、実は16メートルぐらいの船しか入ってこられないというような状況で、道路のネットワークの状況でありますとか、諸々の地理的な要因なども考えますと、最適地は横浜で、現在は横浜港を最先端のターミナルとすべく重点投資を行っているということであります。
28ページ、これも港湾の話ですけれども、クルーズ船対応です。非常に寄港数は伸びておりますけれども、容量の不足等で寄港をお断りしているようなケースも現に出ております。観光立国実現のために、知恵を出しながら受け入れ体制は整備していかなければいけない。その際のポイントは、クルーズ船社など民間の資金もうまく活用しながら、官民一体で工夫を凝らしつつ、コストを抑えながら、賢く整備していくということかと思います。
次に、30ページに飛んでいただいて、空港整備勘定の問題です。これは、もう昨年の秋もやりましたので細かくは申しませんけれども、自主財源が増えてきておりますので、その一層の充実を図りながら、一般会計からの繰入れを引き続き縮減して、空整勘定はもう独立採算化に持っていくべきだというのが基本的な考え方であります。
次に、32ページまで飛んでいただきまして、民間資金の活用のお話です。PPP/PFIをさらに活用すべきという論点でございます。空港は相応に進捗しておりまして、この4月から福岡空港でコンセッションが実際に始まったり、北海道では7空港一括で事業者の選定を進めております。下水道でも、須崎市が事業者公募を開始するといったような進展も見られます。政府の事業目標もございますので、その達成に向けて引き続き各種の取組を推進していくべきということかと思います。
33ページ以下で、若干、民間資金の活用例として面白いと思われるものを例示させていただきました。
33ページは、三重県多気町のスマートインターチェンジの話です。高速の脇に民間の複合施設みたいなものがありまして、その民間管理者の負担で高速道路とのアクセス道を整備いただくといったようなことです。まだ案件は少数でありますけれども、民間の発意と負担を取り込みながら、地域経済の活性化を図る取組としては面白いと思いますし、こういった動きはもっと広まっていいのではないかと思います。
次は34ページ、今度は公園の話であります。Park-PFIと一般に呼んでおりますけれども、飲食店とか、売店とか、民間施設にもうまく入っていただいて、その収益も使いながら公園設備の整備や改修等をやっていくといったような事例も、徐々に地方において広まってきております。こうした民間資金の活用事例は、もっといろいろ広がっていっていいのではないかということです。
次に、36ページ、新技術の活用の話です。新技術の活用に関して、例えばドローンによる測量でありますとか、ショベルを自動制御するようなICT建機などを組み合わせながらやるICT施工はかなり広まってきております。人手や作業時間を大幅に縮減する効果はもう既に確認されておりまして、とかく建設業は、働き方改革の推進でありますとか、担い手不足の解消といったような課題も言われるわけで、こうした新技術の活用を一層推進していくべきだと考えております。
次に、メンテナンスの話です。人海戦術で、すべからく目視、打音するといったような古いやり方ではなくて、最近は赤外線を飛ばしてスクリーニングするとか、下水道の音響データをAIと結びつけて異常探知、どこがおかしいかを分析するシステムなど、いろいろな技術が出てきております。こうした新技術を活用しながら、コストの縮減をさらに推進して、使えるものはどんどん横展開していくことが重要かと思います。
38ページは、海上保安庁の調達改革の話です。もう詳細は省きますけれども、各種発注方式の見直しなどで相応の成果は確認できておりますので、こうした取組は継続、強化すべきということかと思います。
最後、新幹線の話を若干御紹介させていただきたいと思いますけれども、40ページは基本的な整備新幹線の枠組みであります。上下分離方式といいまして、鉄道・運輸機構という独立行政法人が施設を整備、保有し、それをJRに貸して、JRからは貸付料をいただいて、その貸付料と国・地方の公共事業関係費をミックスして、新たな路線をつくるといったやり方です。その際、貸付料は、新幹線を建設した場合、建設しない場合の収益の差をとりまして、その範囲内でJRにお支払いいただくというのが基本的な枠組みです。
問題は、足元で何が起こっているかということで、41ページでありますけれども、事業費がいたずらに増加してしまったということです。現在建設中の北陸新幹線、九州新幹線、いずれも事業費が当初想定よりも大幅に増えまして、最新の数字の総事業B/Cは1を割ってしまったというのが実情です。コスト増の中身が問題でありまして、労務単価が上昇したとか、そういう外的な要因はさておき、右上の例に示したように、事前の見積もりが相当甘かったり、地元調整が手緩かったりと、そういったケースが散見されます。こういったところは、やはり真剣に反省いただく必要があると思っておりまして、事業費の上振れリスクを着工前にしっかり解消していくことを制度的に担保して、二度とこうしたことが起きないようにすべきだと考えています。一方、北海道新幹線については、速度が制限されている青函トンネル内等のスピードアップに力を入れて、むしろ整備効果を上げていただくことが必要かと思っております。
42ページ、最後にしますけれども、上下分離方式の中で建設自体のコスト意識が希薄化しているということであれば、諸外国の例のように民間資金も活用しながら、建設と運営、周辺の不動産事業等も含めて、一体的に実施していくというような方法も検討すべきではないかと思います。現にJRは、鉄道事業だけではなくて、駅ビル等の不動産でも相当稼いでおられるわけでありまして、現行の貸付料の設定も実は鉄道事業の収益だけで考えております。貸付料の算定方法そのものを柔軟に見直す余地はあると思いますし、支払い期間の延長でありますとか、施設のそもそもの売却といったような財源の確保策についても考えてしかるべきだと思っております。
43ページは、細かい論点なので飛ばします。
私からは以上です。
〔 土居部会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問がある方はネームプレートを立てていただければと思います。では、中空委員から順番に。
〔 中空委員 〕 ありがとうございます。
社会資本整備というのは、国にとってとても大事だと思います。思いますが、民間資金の活用というのは当然、必要になってくるであろうと考えます。私がお聞きしていて、大枠、どれもこれもそのとおりだと思って聞いていたのですが、一つ分かりにくかったと思っているのは地方自治体との切り分けです。国がやるべき事業なのか、地方自治体がやるべき事業なのか、役割分担として任せるべきなのか、それとも国は地方に任せた結果、それをアウトカムとしてまた見るのか。そういう切り分け、結局、穴があいて処理できなくて社会資本整備がままならなかったために、人命が失われるということは避けなければいけないと、そこは必要だと思うのですが、やる主体が多過ぎて、では、それをどう切り分けていくのか、きちんとした鳥瞰図が必要になってくるかと思います。
とりあえず以上です。
〔 土居部会長代理 〕 ありがとうございました。
田中委員、お願いします。
〔 田中(弥)委員 〕 私は、個別補助金に関して質問です。
質問は3つあるのですが、確認になりますが、個別補助金のもとの財源は何だったか。交付金に近いものであったのかどうかというのが1点目。
それから、なぜ前の財源の形だといろいろなマイナス点があったのか、どんなマイナス点があったのか。個別補助金に切り替えたということは、いろいろとマイナスの要因があったのだと思いますので、その要因を教えていただきたいということです。
3点目ですが、自治体はどういう反応をされたのかというところであります。私は、この辺りは増田部会長にも御意見を伺うことができたら幸いです。なぜならば、交付金であれば、使い方については裁量の幅がより広かったはずです。個別補助金になると限定されるはずなので、この辺りを自治体はどのように捉えるのかというところが聞きたかったところで、主計官だけではなく、自治体にお詳しい増田部会長にもお伺いできればと思います。
〔 増田部会長 〕 それでは後ほど。
〔 田中(弥)委員 〕 はい。
〔 土居部会長代理 〕 質問は、まとめて後ほどお答えいただくということで。
それでは、武田委員、お願いします。
〔 武田委員 〕 ありがとうございます。今回、中長期的な課題に重点を置いて御説明いただいたことは、非常によかったのではないかと考えております。
意見として2点。まず1つは、今、申し上げたように、長期的な視野に立った社会資本の在り方を真剣に考えていく時期に来ているのではないかと思います。よく言われることですが、人口減、高齢化、そして自然災害への備え、その3つを念頭に、コンパクト・アンド・ネットワークをうまく活用しつつ、国土の長期的な在り方についての議論を深める必要があると考えます。
2点目は、本日も御説明いただきましたけれども、技術の活用という点です。インフラの今までの考え方から、新しいインフラの活用といいますか、既存のストックをどう生かしていくかという視点に切り替えていく時期になっていると思います。パーツ、パーツの技術の事例はかなり増えてきています。先ほど、30%ぐらい施工日数を抑制しているお話をいただきましたけれども、それが横展開されれば、その技術自体の値段が下がるので、もっと効果が出るはずです。パーツ、パーツ取組を面展開、プラットフォーム化していくことが次の課題で、そうした新しい発想が必要と思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 末澤委員、お願いします。
〔 末澤委員 〕 平成の時代が終わりまして、令和に変わったわけですけれども、平成の総括で、この財審では財政状況が相当悪化したと。もう一つは、一般的にはやはり災害が多かったという評価が多いと思いますが、私は令和の時代のほうがもっと多くなるのではないかと。実は、南海地震、東南海地震、これは昭和20年代に発生していますけれども、結局、東海地震が発生しなかったせいですけれども、今年の段階で、南海トラフ地震の30年以内の発生確率は76%まで上がっています。また、首都直下型も70%ぐらいと。地球温暖化が進展したのは1990年代、ちょうど平成の時期です。つまり、今後は、大地震の発生確率に加えて、大型台風、大雨、洪水、このリスクはむしろ増すと見たほうがいいだろうと思います。
一方で、財政状況は相当悪化しているわけですから、やはり従来のように全国均一に対策をとるというのはほとんど不可能で、いろいろ地域分権との問題はありますけれども、防災・減災対策についてはむしろ中央主導でやるべきだと思います。先ほど、8ページで川の地すべり対策についての説明がありましたけれども、平岡地区は相当やっていた。ただし、下流域が全然進んでいないので、ここに個別補助金をつけるという話がありましたけれども、防災・減災は1カ所やっても、ほかが崩れれば同じなわけですから、ある面、国家安全保障、防衛、治安と同様に、防災・減災対策についてはもっと選択と集中をして、より効率的に戦略的な観点で、むしろ国主導でやるべきではないかと考えております。
以上でございます。
〔 土居部会長代理 〕 進藤委員、お願いします。
〔 進藤委員 〕 個別補助化の話でありますけれども、私も、大変良いことだと思っています。お金の使い方として、国が国の問題意識で、大きなプロジェクトを行うのでしょうけれども、地方自治体でこうした問題意識があるということで、その中間の使い方というのはあるような気がするのです。横展開できる共通の問題意識があって、しかし地方の自主性だけでは申告が出ていない、しかし、実際には、もう危ないという状況もあると思います。そういう意味で、新しい領域をつくるという視点で考えたお金の使い方というのはあるのではないかと思いますので、地方自治体とよく連携をとって進めていただきたいと思います。ただし、これがあまり膨らみますと、それに依存してしまうこともあるので、こういう場合に、こういう個別補助化をするのですという考え方は整理する必要があります。
2つ目ですけれども、予防保全の話が出てまいりました。これは企業も同じですけれども、プラントやインフラが古くなると、やはり保全というものの重要性が非常に増してまいります。点検も、相当、レベルを上げないと安全の信頼性が損なわれるということがあるわけで、37ページに出ていましたけれども、画像処理とか、AIとか、そういう新技術を存分に使って、点検の精度を上げるということを是非進めていただきたいと思います。
〔 土居部会長代理 〕 佐藤委員、お願いします。
〔 佐藤委員 〕 おそらく防災についても、上下水道のような大型インフラについても、これからキーワードになってくるのはやはり広域化でありまして、防災が典型的なのは、経済学的には外部性をもたらすものなので、1つの自治体では完結しないだろう。結果として、こういう個別補助金の活用というのはあり得る選択肢だと思いますが、もう一つ、私、繰り返しになりますけれども、いつも言っていますが、都道府県の役割をもう少し重点化、重視したほうがよろしいのではないかという気がします。
もう一つ、コンセッションですけれども、やはり空港にしても、地方空港にしても、上下水道にしても、出口はコンセッションだと思うのです。その割には、なかなか支持が広がらないというのは、1つは、これも何回も言われていますけれども、やはり受益と負担の連動がないので、今は安い価格で、公共料金は安く過ぎるわけですから、なかなかコンセッションしなければいけないという逼迫感が、切迫感が住民に伝わらないというのがあると思います。コストが見える化していない。
それから、水道に関して言うと、クオリティに対する懸念があるので、海外では第三者評価機関、例えばイギリスだとオフワット(Ofwat)というものがありますけれども、質を担保するような監視機関をちゃんとつくることによって、コンセッションに対する合意形成というか、安心感ですかね。そういったものを醸成していくということがあっていいのかなと思いました。
あと、長い目で見ると、結果的に人口は減っていくので、道路を含めて、あるいは橋梁を含めて、戦略的撤退というものをそろそろ考えなければいけない時期が来ていると思います。よく国や自治体はバランスシート上で資産をたくさん持っているから大丈夫という意見はありますが、あの資産はほとんどが更新費用を表しているわけですから、むしろ資産の圧縮という観点から見ても、やはり戦略的な撤退、特に道路関係は。そこの視点は長い目で見て、これはコンパクト・アンド・ネットワークにつながる話ではありますけれども、必要かなと思いました。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 神津委員、お願いします。
〔 神津委員 〕 1点だけですけれども、私も32ページのコンセッションのところです。PPP/PFIの推進そのものを否定するということではないですが、やはり上下水道など健康とか、命に直結する公共事業については、アクションプランで掲げた目標達成が目的化してしまうとか、そのことによって公共の福祉が置き去りになるというようなことがあってはならないと思います。住民自治、団体自治といった地方自治の2つの基本原則にのっとって、住民への正しい情報開示、そして丁寧な合意形成が必要だという点は申し述べておきたいと思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 木村委員、お願いします。
〔 木村委員 〕 御説明、ありがとうございました。
どれも大事なお話だと伺っていましたけれども、特に長期的な社会資本整備、これは極めて重要な観点かと思って聞いていました。挙げられている要素の中で、結局、ベクトルが異なる話が2つあって、1つは将来の総人口、総資産数が減っていく。これは、要するに社会資本整備を減らしていく、あるいは減らすべきだという要因だと思いますけれども、一方で社会資本の更新、いわゆる高度成長期に整備された社会資本、老朽化した社会資本の更新、これは増えていく要因。あるいは、ここは書いていないですけれども、最近の自然災害の多発を踏まえた防災事業の充実、これも増えていく要因だと思って、この増えていく要因をいかに効率化させて、全体として抑えていくか。そのバランスといいますか、効率化というか、そこが今、従来に比べて、より重要性を増しているのではないかと受けとめています。
その上で、考える上で大事な観点になるのは、今後、消費税が上がったり、国民負担が財政再建上、増えていく中で、国民に新たな負担を求めているわけですから、こういう社会資本整備においてはより効率的な資源配分が、従来にも増して必要になってくるかなと。国民の理解を得るためにも、そういうことが必要になってくるかなという気はしています。そうした観点で、今、事例で挙げていただいた新技術の活用とか、民間の活用というのが、なお一層、工夫として求められていくのかなと。そういう感じがしました。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 河村委員、お願いします。
〔 河村委員 〕 多岐にわたる御説明、ありがとうございました。1点だけ、ポイントを絞って意見を申し上げさせていただきます。
21ページのところで、住宅政策と都市政策の御説明がありましたが、この中で空き家の話です。空き家の話というと、何か地方の過疎化が進んだところでというような印象を、私たち一般的に持ってしまいがちですが、この御時世、必ずしもそうでもないかなと。戦後、これだけ都市部を中心にマンションがたくさん建てられて、例えば東京であれば、身近で見てもやはりマンションに住んでいる人は本当に多いと思いますけれども、そういったものが築後30年、40年、50年とたってくる中で、これはいわゆる民間資本ストックの部分ですから、本来、公共が手を出すところではないと思いますけれども、実はそれがかなり危ない状況になってきているのではないか。きちんと管理組合ができていて、きちんとメンテナンスができていて、維持ができていればいいのでしょうけれども、必ずしもそういうところだけではない。それが空き家になったかどうかというのは、一軒家でしたらその家からいなくなればということでしょうけれども、マンションでしたら全部で何十戸とかあるうちの、一体どれだけ残っていればいいのか。その辺りの判定が、今、新しくつくられた法律のネックになっているところとかもあるようです。
実は、この問題、やはり現場では深刻だと捉えられていて、住宅金融支援機構などを中心に、現場でいろいろかかわっておられる方々が、今、いろいろ取組の勉強会とか、始められているようではありますけれども、直接的には民間できちんとやっていくべきところですが、そこがやはりおざなりになってしまうと、本当にきちんとメンテナンスされていないような状態の民間資本ストックがあるもとで、例えば大災害が来たらどういうことになるかとか、結局は各地方公共団体の負担になり、それが回り回って国の負担になりというようなことにもなってしまいかねないと思います。このような辺りも、これから出てくる問題ではないかと思いますので、国としてもやはり目を配りつつ、きちんと民間資本ストックとしてのマンション、戦後、出てきたものですが、維持されていくように促していくことも必要なのではないかと思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 ありがとうございました。
それでは、まとめて岩佐主計官からお答えをいただいて、その後に増田部会長、お願いします。
〔 岩佐主計官 〕 個別補助化について御質問もいただいているかと思いますので、財源は基本的に交付金です。主に防災安全交付金、平成30年度予算でいいますと1兆円を超えたぐらいの水準でありまして、そこを中心に切り出してきているというのが現状です。
マイナス点といいますか、交付金化での弊害といいますか、そういったことに関して言いますと、縷々言われますけれども、やはり本当に大事なものが、優先順位をつけられないまま事業がしっかり進捗していないのではないか。国と地方の目線がずれている中で、国として本来やってほしいものが、地方公共団体にお任せした中でなかなか進んでいない現状もあったのではないかといったようなことがよく言われます。
端的な例で言いますと、これは決して私の考えというよりも、よく言われる話ですけれども、結局、ありとあらゆるいろいろな要望が寄せられる中で、なかなか自治体、都道府県などのほうで優先順位もつけられずに、結局、薄撒きにしてしまって、本来、スピード感を持ってやるべきものが、遅々として進まないという実態が結構あったといったような声が聞かれていたのも事実かと思います。
そういった中で、今回、1,500億円ほど切り出させていただいた中での自治体の反応ですけれども、地方自治に手を突っ込んでというような拒絶反応みたいなものは、今のところ、私の知る限り、聞こえてきておりません。市町村レベルの首長などからは、むしろこういうことをやってもらってよかった、優先順位がしっかりついて、こういうことがやっていけるということであれば、大変ありがたいといったような声もいただいています。いい気になり過ぎると失敗しますので、よくよくまた、いろいろな御意見も聞きながら、今後の進め方を考えていきたいと思います。
〔 土居部会長代理 〕 では、増田部会長。
〔 増田部会長 〕 御質問の関係ですが、今、主計官からお話がありましたが、基本的に建前で言うと、交付金と直轄、あるいは補助金と2つに分けると、直轄や補助金はもちろん国の視点が非常に色濃く出るわけですし、交付金は自治体です。当然、建前から言うと、そこは視点がずれています。それが当然なわけです。
自治体の視点で言うと、交付金をもらうと、当然、それを執行するときは議会で議論して通すと、こういうことです。議会の中には、いろいろな議員は必ずいますから、自分の選挙区に事業を誘導するという誘惑は当然、あるわけです。ですから、それを乗り越えてやっていかなくてはいけないということがあって、やはり自治体の視点というのは、そういう議会を乗り越えて首長が判断しなくてはいけないということがあります。
もう一つは、今のは建前ですが、財源がある程度、潤沢とまでは言えなくとも、それなりに余裕があるときはいろいろな機能が発揮されると思うのですが、現状、いずれにしても財源は非常に窮屈なわけです。窮屈な中でどう配分していくのかというときに、先ほどの7ページ、8ページ、特に7ページにいろいろ書いてある個別の事業は、私、あまり土地勘はないのですが、この財務省の資料の中でも集中的な支援と。要は、スピード感が必要だという判断ですが、スピード感を確保するには個別補助金でないとだめだと思います。それで集中投入して、どんどんやっていく。要は、全体が今、窮屈なわけだから、直轄事業だってかなりの地元負担金はあるのです。事業をやれば必ず地元に利益があるから、直轄事業だって地元はかなり負担金を払うけれども、いずれにしても今、必要なのは、多分、効率的に財源を集中投資する、早く完成に持っていくということが必要なので、それでこういう個別補助金みたいな話がまた出てきているのだろうと思います。
少し長くなってしまいますが、交付金の場合は、いろいろな配分をしていくのですが、要は公共事業、道路にしても、橋梁にしても単年度では終わらないわけです。ずっと過年度、複数年度でやっていきます。そうすると、交付金だって何年か続くと、かなり配分が固定化する。国の場合も公共事業、私も以前、建設省にいたので、そういうことばかりやっていましたけれども、分野がどんどん、どんどん固定化していくわけです。交付金だって、自治体に任せても、やはりだんだん、だんだん配分が決まっていって、やっと卒業して違うところと、どうしてもそういう形になる。繰り返しになりますが、やはりスピード感、効果をきちんと集中的にやっていくということは、交付金では、だんだん薄くなってくるという可能性はあると思います。
最後、自治体の評判はどうかというけれども、これだけ窮屈な中でいろいろやって、そんなに私は自治体が、これは分権に反するとか、今さらそんな建前で文句は言わないのではないかと一般に思いますが、先ほど主計官が言ったように、要は公共事業とかは、自分の選挙区とか、自分の自治体でやってもらえれば皆嬉しいし、隣は来るべきものが来なかった怨嗟の目でいろいろあれするから、スピード感とか、交付金が全くだめで、こちらがいいとか、あまり言い過ぎてしまうと、またバックフラッシュみたいになってしまうので、ほどほどに言い方を考えておいたほうがいいのではないかと思います。
以上です。
〔 土居部会長代理 〕 ありがとうございました。皆様に御協力をいただきまして、後半、うまく時間の帳尻が合いまして、お約束のお時間となりましたので、本日の議題はこれにて終了させていただきたいと思います。
本日の会議の内容につきましては、会議後、記者会見で御紹介させていただくことにさせていただきたいと思います。
今後の予定ですけれども、春の財審では、歳出改革部会の議論はこの程度にとどめまして、今後は親会議である財政制度分科会のほうに議論を戻してまいりまして、5月22日15時より分科会を開催する予定でございます。
それでは、本日はこれにて閉会いたします。御多用のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
午後3時00分閉会