財政制度等審議会財政制度分科会 歳出改革部会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会議事次第
令和4年11月14日(月)13:30~15:45
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
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1.開会
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2.議題
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財政総論(補足)
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文教・科学技術について
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外交、デジタルについて
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3.閉会
部会長代理 |
土居丈朗 |
井上副大臣 青木大臣官房長 新川主計局長 寺岡次長 中村次長 前田次長 小野主計企画官 大久保司計課長 渡邉法規課長 尾崎給与共済課長 松本調査課長 一松主計官 三原主計官 佐久間主計官 有利主計官 小澤主計官 寺﨑主計官 大沢主計官 端本主計官 河口主計官 坂本主計官 渡辺主計官 内之倉主計監査官 山岸予算執行企画室長 鈴木主計企画官 園田公会計室長 |
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委員 |
赤井伸郎 遠藤典子 佐藤主光 武田洋子 中空麻奈 宮島香澄 安永竜夫 |
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臨時委員 |
秋池玲子 上村敏之 河村小百合 木村旬 熊谷亮丸 小林毅 末澤豪謙 竹中ナミ 田近栄治 田中里沙 冨田俊基 福田慎一 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 村岡彰敏 米良はるか 横田響子 吉川洋 |
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オブザーバー |
小林慶一郎 十河ひろ美 平野信行 藤谷武史 芳野友子 |
午後1時30分開会
〔土居部会長代理〕それでは、お時間になりましたので、ただいまより財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会を開催いたします。
本日は冒頭からカメラが入りますので、そのままお待ちください。
(報道カメラ入室)
〔土居部会長代理〕ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会における歳出改革部会を開催いたします。
皆様は、御多用中のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。
本日は冒頭から井上副大臣にお越しいただいております。誠にありがとうございます。
本日の議題は、財政総論(補足)と文教・科学技術、外交、デジタルとしております。
それでは、報道関係者の方は御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔土居部会長代理〕それでは、事務局の説明に入ります。
まずは、財政総論(補足)につきまして、松本調査課長、小野主計企画官、中村次長から簡潔に御説明をお願いいたします。
〔松本調査課長〕主計局調査課長の松本でございます。財政総論の補足の資料、資料1でございます。御覧ください。1ページ目のとおり、3点簡単に報告をいたします。私からは1点目のイギリスの状況についてアップデートをさせていただきます。
2ページです。9月末の市場の混乱を受けまして、10月以降、減税提案の撤回やエネルギー高騰対策の見直しが表明をされておりまして、トラス首相も辞任となったという経緯でございます。
3ページ目でございます。スナク首相の就任演説、ハント財務大臣の議会スピーチなどを載せております。財政健全化への決意が示されております。また、一番下のところですが、11月17日に中期財政計画が公表予定でございます。増税あるいは歳出削減が盛り込まれると報じられております。
4ページはこの間の経緯をまとめたものでございます。
私からは以上です。
〔小野主計企画官〕主計局企画官の小野です。予算のPDCAについて報告いたします。
6ページです。各省庁が自ら行う「行政事業レビュー」と財務省の「予算執行調査」は、PDCAの観点から非常に大切な取組です。
7ページです。行政事業レビューシートは順次改善が行われており、予算査定のプラットフォームとして活用することとされています。しっかりと予算編成に組み込んでいく必要があります。
先週、行革推進本部で恒例の秋の公開レビューが行われ、財務省からも各主計官が出席しました。レビューの指摘をきちんと反映し、予算の質の向上に結びつけ、年末に公表いたします。
私からは以上です。
〔中村次長〕3点目、フューチャーデザインについて御報告いたします。
10ページ目ですが、こちらは秋の第1回で小林慶一郎委員から御紹介のありましたフューチャーデザインという日本の岩手県の小さな町の取組がフォーリン・アフェアーズの巻頭論文に載ったというものでございます。
フューチャーデザインについては11ページ載っておりますが、将来世代の声というのを見える化して議論の中に取り込んでいこうという取組でございます。財審のこの取組とも、将来世代の視点を明確化するとか、あるいは霞が関や永田町だけではなくて潜在的に関心を持っている国民にも広く議論を喚起していく、あるいは教育と一方方向ではなくて議論を通じてインタラクティブに意見を集約していくというようなところは、財政の今後の在り方にも通ずるところがあるのではないかと思っております。
御意見を賜ればありがたく存じます。以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
続きまして、文教・科学技術につきまして寺﨑主計官から簡潔に御説明をお願いいたします。
〔寺﨑主計官〕文部科学担当主計官の寺﨑でございます。よろしくお願いいたします。文教・科学技術の資料について御説明します。
まず最初の表紙でございますが、義務教育、高等教育、科学技術、文化、この項目について御説明いたします。
まず義務教育についてでございます。2ページ目です。教職員の定数につきましては、児童生徒数の減少幅ほど減少していないということでございまして、教員一人当たりの児童生徒数で御覧いただきますと減少傾向にあるということ、その結果といたしまして教員の量的充実については相当程度進んできておりまして、法律の基準によらない加配定数の更なる充実については、財政状況を踏まえて慎重に対応する必要があるだろうと考えているところでございます。
次のページ、3ページ目でございます。教員の質の確保についてでございますが、大量退職に伴う採用者数の増加などによりまして、下のグラフを御覧いただきますと、教員の採用倍率は大幅に低下してきております。直近で申し上げますと、小学校2.5倍と、質の高い教員の確保が困難になりつつあるということで、優秀な成り手の確保が喫緊の課題になっているということでございます。
少し飛ばさせていただきまして、6ページでございます。優秀な成り手を確保するためには、やはり魅力ある職場というものを実現しなければいけないということで、働き方改革を進める必要があるということです。
具体的な取組といたしまして、この6ページには外部人材の活用、それから1枚めくっていただいて、7ページ目には地域と学校の連携・協働、コミュニティースクールといった取組について紹介させていただいております。
一方で、こうした取組自体はそれぞれ教員の皆様が生徒に向き合う時間をしっかり確保するという観点から重要な取組であると認識しておりますが、一方で、このページの右下を御覧いただければと思いますが、例えばこのコミュニティースクールの取組にしましても、かえって時間外勤務の増につながったというような例も指摘されておりまして、やはり運用の改善が望まれるところでございます。
次のページ、8ページ目でございます。こうした外部人材の活用やコミュニティースクールに限らず、働き方改革を進めていただくためには服務監督者である市町村にイニシアティブをとっていただく必要があると考えております。
一方で、左下の図を御覧いただければと思いますが、民間企業と異なりまして教職員制度の場合、費用を負担している者と服務監督をしている者が別々になっているということで、両者が同一である民間企業と比べますと、そのままでは働き方改革のインセンティブがわきにくい構造になっているということが言えると思います。
こうした観点から一つ御提案をさせていただいておりますのが、四角囲みの下のほうですが、国が行う一定の補助事業について学校ごと、あるいは市町村ごともあると思いますが、働き方改革の取組を公表することを補助の要件としてはどうかということを提案させていただいてございます。
1ページ飛ばさせていただきまして、優秀な成り手の確保という観点から見ますと、多様な人材を確保する必要もあるのだろうと思っております。今後さらに若者が減少するということが見込まれる中で、潜在的に教員になり得る若者の範囲を拡大していくことも大切だろうということでございまして、こうした観点から、既存の制度として特別非常勤講師制度や特別免許状制度という制度がございますが、左下の表にございますとおり、活用状況は非常に低調であるということで、こうした制度をさらに活性化していくということも必要であると考えています。
さらに進めますと、枠囲いの中の下のところですが、官と民の間で人材が流動的に行き来する仕組み、これはリボルビングドア制度と呼ばれることもありますが、こうした制度の導入など免許制度・採用方法についても新たな仕組みや見直しも検討するべきではないかと考えております。
次に、高等教育についてでございます。14ページです。高等教育につきましても、やはり18歳人口、若者の減少ということを前提に考える必要があるだろうと考えております。
下のグラフを御覧いただければと思いますが、私立大学の入学定員充足率が低下傾向にございまして、足もとでは100%近傍になっている。それから下のグラフですが、定員割れの大学も増加を続けておりまして、足もとでは5割程度となっているということでございますので、特に私立大学には他大学との連携や教育改革・学部転換を含めて、より戦略的な経営判断をしていくことが求められているのだろうと考えております。
こうした観点から、15ページ以降に教育改革に関する資料を3枚ほど入れさせていただいております。例えば16ページでございますが、日本の大学は国際化が進展していないということで、国際競争の中で大学の教育力の向上を実現していく環境をつくるべきであるという御提案、それから17ページでございますが、大学教育の質が高まっていく環境づくりとして、学生の能力向上に係る取組状況などを比較可能な形で発信していただくということで、こうした取組について国としても各種支援策や要件設置等の方法によって後押ししていく必要があるのではないかという問題意識を書かせていただいています。
次に18ページでございます。このような教育改革の取組につきましては、各種の補助金で後押しすることももちろん考えられるわけですが、大きな固まりの予算として国大の運営費交付金、私学助成というものがございますので、こうした予算をメリハリある配分によって誘導していくということが考えられるわけでございます。
左の図を御覧いただければと思います。国大の運営費交付金につきましては総額1.1兆円ございますが、そのうち1,000億円が共通指標に基づく配分ということで、各大学に共通した指標の達成具合に応じてメリハリある配分を実現するという制度になっております。一方で、右側のグラフで御覧いただければと思いますが、現実問題としてはそれほどメリハリが利いていないということでございます。
そこで19ページです。このような状況を踏まえまして、一つ御提案させていただいておりますのが、右上の黄色と緑の表のところでございます。先ほど申し上げました共通指標に基づく配分でございますが、中には8割超や9割超の、ほとんどの大学が達成できている指標がございまして、こうした指標については、メリハリをむしろキャンセルアウトするような効果が見られますので、こうした指標について代替指標を検討するとか、要件の厳格化を行うとか、こうしたことを検討するべきであると考えております。
さらに次のページ、私学助成についてでございます。私学助成につきましては定員割れの度合いに応じた減額措置というものを導入しておりまして、それによってメリハリの実現を図っているわけでございます。20ページをお願いします。一方で、右側のグラフを御覧いただければと思いますが、一人当たりの補助額で見ると、必ずしも定員割れの度合いに応じたメリハリが利いていないという状況でございます。
こうしたことを踏まえ、次のページ、21ページでございますが、私学助成についてもメリハリを強化する必要があるということで、メリハリをキャンセルアウトしているような制度については見直しを行っていく必要があるということです。具体的には、やや技術的ではございますが、左側にございますような学部ごとの不交付判定の例外や、右側にございます定員割れ大学への補助額が多い特別補助、こうしたものについては要件の見直しや厳格化などを進める必要があるであろうと考えております。
22ページは理系転換の補助、それから23ページについては奨学金の見直し、やや個別の制度になりますので詳細な説明は割愛いたしますが、制度の本質や財源確保の必要性などを踏まえて適切な制度運用にすべきであると考えております。
次に、科学技術についてでございます。26ページです。科学技術予算につきましては、左上のグラフにございますとおり、対GDP比で見て、その量については諸外国に比べて遜色のない水準であるということが言えるかと思います。一方で、右側のグラフでございますが、研究開発総額当たりのトップ10%論文数で見ますと、必ずしも日本の研究開発投資の生産性が高いということは言えないということでございまして、研究開発投資の生産性を向上させる取組が必要になっているということでございます。
その生産性を向上させるための取組として、28ページを1例として挙げたいと思います。研究活動の国際化が進んでいないという課題でございまして、右下のNature誌掲載論文における指摘というところを御覧いただければと思います。「日本は、主要国の中で最も国際化していない国の一つであり、このことがパフォーマンスの妨げになっている可能性がある」という御指摘。実際に右上のグラフを御覧いただければと思いますが、研究者の国際移動についてはアウトバウンド・インバウンドともに低調であるということでございます。
四角囲みの下に書かせていただいておりますが、国際化を促す取組といたしましては、特定の国際共同研究事業で補助金を活用するということもあるわけですが、むしろ科研費のような研究費助成事業は大きな固まりでございますので、こうした事業についてはやはり国際化の取組を進めていなければなかなかもらいにくいというような制度にするということも含めて、全体として国際化にドライブをかけていく必要があるのではないかと考えております。
科学技術についてはあと1枚、31ページを御紹介したいと思います。「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」というところで、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発の推進、こうしたものについて関係府省が連携する新たな仕組みを構築することについて議論が行われているということで、直近の資料を下につけさせていただいておりますので、お時間のあるときにお読みいただければと思います。
飛ばしていただきまして、最後に文化でございます。34ページです。文化事業につきましては、国指定の文化財件数は左のグラフにあるとおり年々増加しておりまして、それに伴って保存修理、公開活用のための補助金額も増えてきているという状況でございます。
そうした中、35ページでございますが、やはり多様な資金調達を行っていただく必要があるということで、左の下、青森県黒石市の例を取り上げさせていただいておりますが、こうしたクラウドファンディングによって保存修理のための費用を賄ったというような例もございますので、こうした取組を国としても是非後押ししていきたいと思っている次第でございます。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
最後に、外交、デジタルにつきまして、佐久間主計官から簡潔に御説明をお願いいたします。
〔佐久間主計官〕担当主計官の佐久間です。資料3、外交・デジタルについて御説明いたします。2ページを御覧ください。ODAの量について、直近の事業量データでは先進国第3位、経済規模を勘案しても平均を上回っている事実があります。
3ページです。経済規模が相対的に低下し、債務残高対GDPが世界最悪の水準にある中、ODAは「物量」に頼るのではなく質に着目すべきではないかとの観点です。
4ページです。イギリスが、コロナ禍の債務残高急増を受け、ODAを削減していることを示しています。
5ページ、国内世論についてです。開発協力について、現状維持を望む声が過半数、また右側、国連に対する厳しい評価を踏まえ、国際協力の内容の精査、また説明責任を果たすことが重要と考えられます。
6ページです。ODAがマクロ的に見て必ず経済成長を促進するとのコンセンサスが得られていないことを示すものです。
7ページです。日本の個別事業で成果が出ていない事例です。事例1は建設した魚市場が遠過ぎて使われていない無償事業、②はクレーンを事業対象外にしてコンテナ貨物の取扱量のないコンテナ港を造ってしまった円借款事業です。
8ページは無償・技協の執行状況です。無償は8割、技協は5割が遅延、技協は8割近くが事業費が増加しています。左下にありますが、総合評価の算出に、援助の前提でありほぼ最高評価がつく妥当性の項目があり、文部科学でも指摘がありました、こうした評価が適当なのかという点を記しています。
9ページです。昨年御指摘いただいたJICAの滞留金問題です。御指摘を受け、足もとでは技術協力の運営費交付金を含め、執行を早めています。しかし依然として多額の資金があり、未執行という点では新規予算と同じわけですが、年度ごとの執行能力を勘案しつつ、全体として有効活用する取組を進めていくべきではないかと考えています。
10ページです。財審のこれまでのメッセージでもありますが、国際社会の変化に適応し、ODAの分野や地域の重点化を含めた戦略的・効率的活用を図るべきという点を記しています。
なお、右下の表は議論の御参考に、国連総会でのロシア非難等の決議に賛成・反対した国の数と、反対国に対し今年度に入って新規決定した無償の額をまとめたものです。
11ページ、マルチ援助についてです。左にあるとおり、金額の大きな拠出への評価はSとAに偏っています。また、総合評価の要素の一つである右側、日本人職員の状況につき、3分の1以上の拠出金は評価を実施しておらず、また日本人職員0.2%でS評価の事例もあります。評価の改善、日本への裨益も含めた拠出金の戦略的活用が必要と考えられます。
12ページです。民間資金もODAも途上国にとって同じ資金ですが、日本は過半数が民間資金で、合わせると右にあるとおり世界第2の存在感です。来年前半を目途として新たな開発協力大綱の策定が予定されていますが、ODAの質とあわせて、この民間資金の存在と動員の視点が重要と考えます。
13ページ、重要な外交ツールである在外公館です。未設置の国も他国の公館が担当しているわけですが、10年で28公館純増し、231公館となっております。くわえて、円安等で日本の納税者目線では足もとのコストは増加しています。公電文化や会計事務等の改革により、外交官の能力を最大限に発揮することが重要ではないかと考えられます。
14ページです。コロナ禍で広がったオンライン国際会議についてです。外交官から有用との声もあり、対面外交との使い分けが重要と考えられます。
15ページです。関連して、海外出張時の旅費の状況です。定額となっている宿泊料については、円安や物価高を受け、一部地域では定額では不足する状況です。この点、旅費法で規定する協議を経て実費の支給が可能であり、外務省はじめ各省庁と対応しているところです。今後、右下にあるとおり手続の更なる簡素化や事務の効率化等、運用・制度の在り方についても検討を深めたいと考えております。
続きましてデジタル関係、17ページでございます。情報システム関係予算は、左にあるとおり8,600億円程度、また右にあるとおり、令和4年度より財源等の関係で支障のないものは原則としてデジタル庁一括計上とし調整できる仕組みが予算面から整えられています。
18ページです。運用・保守経費の削減関係について、昨年3割削減に向けた進め方を具体化すべきとの財審の指摘を受けまして、本年6月の閣議決定を経て順次各府省で計画を策定しています。
19ページです。平成25年にも運用等経費3割削減を閣議決定しておりまして、右下のとおり、既存システムについては達成したことになっています。しかし、右を御覧いただくと総額は増額していっているところでございます。このようなことを繰り返さないよう、デジタル庁が情報システム予算の総額コントロールを徹底することが重要と考えられます。
20ページです。削減の有効な方策は、ベンダーロックインとオンプレミス型開発から、ソフトも含めたクラウド移行を図ることです。その際、右にあるとおり、削減効果の高いシステムから手をつけること、また財源を確保して実施することが重要と考えます。
21ページです。他府省のシステムだけでなく、デジタル庁管理のシステムも改革が必要です。マイナンバーカード管理システムと公的個人認証システムは独法のJ-LISへの補助金が令和4年度で290億円計上されています。今後さらに利用増等を見据え、時期を失することなく民間並みコストに下げていく、膨らまないようにしていくという観点が必要です。
最後になりますが、22ページでございます。右下の補助金申請のように、一部にシステム要素が含まれているものも含め、非デジタル予算がデジタル化によって効率化されても、それを可視化する仕組みが現行ございません。予算全体の効率化等のため、デジタル庁においてしっかりと特定すべきと考えます。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
本日は、広瀬委員より意見書の御提出がございます。お手元にお配りしておりますので、お目通しください。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、委員の皆様から御意見・御質問を頂戴したいと存じます。これまでと同様、御意見・御質問がある場合はネームプレートを立てていただく、もしくは「挙手する」ボタンをクリックすることでお願いいたします。
御指名順もこれまでと同様に、会場5名、テレビ会議システム5名という順に行います。マイクのオン・オフ、テレビ会議システムのミュート操作につきましては、どうぞよろしくお願いいたします。
なお今回も御出席いただいている委員の方の人数が多いため御発言は3分以内でお願いいたします。
それではまず、会場で挙手されている中空委員から順に御発言をお願いしたいと思います。どうぞ。
〔中空委員〕ありがとうございます。まず、EBPMの御説明をいただいたと思うのですが、その注文ではないのですが、行政事業レビューを今年やっていて思ったことを申し上げます。多年度財政というのをよいことに、一つ一つのプロジェクトで必ずしも数字が入らないものがあり得るということなのです。多年度財政はいいこと、ですが、多年度財政というのを言い訳にするようなことが起きてはならないので、是非EBPM・PDCAがきちんと回るように管理していただきたいと思います。これは意見です。
それから文教のほうに移りますが、働き方改革を求めるのであれば、自助努力をしたのかということについては見ていく必要があるし、どういう努力をしたか、工夫をしたかということを明らかにしてもらう必要があると思います。
それからもう一つ、この二つは質問になってしまうと思うのですが、今のところ私が聞いてきた限りでは、多くのお財布が文教にあると思っています。もちろん国立大学運営費交付金・私学助成金のみならず、国際卓越大学資金とか、スーパーグローバル大学とか、いろいろあると思います。もちろんそれは使う場所が違うとか、使う先が違うということはあると思いますが、基本的にはたくさんのお財布がある中でどういう整理がなされているのか、それを御説明いただけたらというのが質問になります。
もう一つの質問は、科学技術のところです。トップ10%論文ですが、結構長い間トップ10%論文という観点を私たちは説明され続けていると思うのです。その割には毎回毎回成績が上がらないという状況なのですが、これは指標が間違っているという可能性はあるのでしょうか。あるとすれば、これ以外のもので何が考えられるのか、そのお考えがあれば教えていただきたい。
最後に、もう1個、追加で質問させてください。外交・デジタルのほうで民間資金等も含めた日本から途上国への開発資金というものがありました。今年はそれこそスリランカがデフォルトをして、日本に助けてほしいというような話もあったかと思います。必ずこうした西側諸国のお金と違うラインで中国のお金が出ているはずです。こうした取り扱いというのはどうあるべきなのでしょうか、どういう考えでお金を出していくべきなのか、そこについてのお考えを教えていただきたいと思っています。
その流れの中でよいのですが、例えば今、COP27をやっていますが、先進国から新興国に向けてお金を流せ、という話が再三出てくると思うのですが、これも同じ流れなのでしょうか。この枠で出していくものなのでしょうか。
質問が多くなりましたが、以上です。ありがとうございます。
〔土居部会長代理〕質問への御回答は後でまとめてでよろしいですか。
それでは、木村委員お願いします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。
日本は資源が乏しくて人口も減っているわけですから、優れた人材や技術をたくさん育てていくということは喫緊の課題ですから、そうした意味で教育とか、科学技術の重要性は論をまたないと思います。一方で財政状況が厳しいので、予算をいかに効率的に配分していくかが問われていると思っています。
その意味で、資料の4ページにあるように、この教員の量と質の関係は重要な指摘であると思っています。要するに加配定数の合理化による財源を教員の質向上に活用していくことも考えられるのではないかという提案というのは、予算のメリハリをつける上で極めて大切な指摘であると考えております。
それから、また高等教育と科学技術に関して、国立大学の運営費交付金に関してのコメントですが、要は最近日本は研究力の低下が問題視されていて、その要因の一つとして、運営費交付金が削られて若手の研究者の雇用が不安定になったり、基礎研究がおろそかになったりしているのではないかという問題も指摘されているようですが、今日配付された参考資料の27ページを拝見しますと、運営費交付金は減っているかもしれませんが、補助金等を含めると国立大学への公的支援の全体額が増えているというお話ですね。
これはあまり知られていないような気がするのですが、そうすると、公的支援が増えているのになぜ研究力が下がっているのか、研究力の低下の要因というのは何なのか、それについてもう少し踏み込んだ分析が今後必要になるのではないかという気がしました。
それからデジタル関連で、政府情報システムの運用経費3割削減の目標は達成されたが、単純比較でむしろ増加しているというのは、やむを得ない面があるかもしれませんが、残念な結果であると思います。司令塔となるデジタル庁が発足して1年余りですが、官民の混成に伴う組織上の問題が指摘されてきたので、そうした問題が経費の削減に影響を及しているとすればすごく残念なので、デジタル庁の組織改革や意識変革が急務であると思いますので、これは促していただければと思います。
最後に短く、フューチャーデザインの関連です。経済が右肩上がりの時代でしたら現在世代と将来世代の対立というのはなかなか起こりにくいのでしょうが、今は人口が減少して高い経済成長も望みにくいので、現在世代と将来世代が限られた利益をいかに公平に分かち合うかが課題ということで、そうした意味でフューチャーデザインというのは、経済や財政の持続可能性の観点からすごく意義あるものと考えておりますし、今後矢巾町のような住民参加の活用事例がもっと広まることは期待しております。
その上で、今後活用される上で望みたいのは、予算編成上の選択肢は国民の負担を増やすだけではなくて、ほかの事業、特に優先度の低い事業を見直した上で財源を確保するという手法もあり得るでしょうから、そうした様々な幅広い観点からのフューチャーデザインというのを検討していただければということが一つと、また、政治の役割です。本来将来を見据えて幅広い観点から高度な判断を行って、必要であれば改革に伴う痛みの受け入れも国民に説得していくということは、最終的に政治の役割であると思います。住民参加というのは非常に重要ですが、これはあくまで補完的な役割であると思いますので、政治というものをきちんと押さえた上でフューチャーデザインということを考えることが大切ではないかと思っています。以上です。
〔土居部会長代理〕それでは米良委員、どうぞ御発言ください。
〔米良委員〕本日は、よろしくお願いいたします。すみません。事務局の御説明をしていただいた後に入ってきてしまいましたので、もしかしたら私の解釈が間違っているところがあるのかもしれないと思うのですが、文化のテーマについて1点だけお話しさせていただければと思います。
資料にも書いていただいているとおり、文化財の保存修理などに関連する、この資料にあるとおりですが、私はREADYFORというクラウドファンディングの事業をやらせていただいておりまして、特にコロナ禍以降、文化財保全に関連するクラウドファンディングというものをたくさん事例としてやらせていただいております。そうしたときにテーマによく挙がってくるのが、クラウドファンディングを活用して国民の広くからお金、寄附を集めた場合には、それ自体がその文化財がほかでも資金調達をできる力があるから、あまり国のお金というものを予算として割り当てないようにするのではないかという懸念から、結局クラウドファンディングはあまり使わないというような空気になってしまうということが懸念で上がっておりました。
今日の資料にも、そうした民間の資金調達を広く活用していくことをしっかり開示していくべきではないかと書かれているのですが、この考え方に関して非常に私も賛同しておりまして、やはり文化財、それこそインバウンドであったり、また、そもそもウェルビーイングのようなものに関連しても非常に重要な役割を果たすと考えておりますが、どうしても国の交付金頼りというような形が今まで大きかったのではないかと思っています。なので、民間でも積極的に資金調達をしているところに対して、むしろインセンティブをきちんと厚くしていくという考え方になっていく必要があるのではないかと思っております。
そのときに、全体として「予算が減らされていくのだ」というような感覚になってしまうと、いろいろな人たちがトライアルチャレンジをしなくなってしまうのではないかとも思っておりますので、民間で積極的に様々な形で資金調達にトライしているところに対しては、むしろしっかりお金がついてくるというような形で、予算の割り当ての仕方を検討いただけるのがよいのではないかと思っています。
徐々にそうした空気になっていく必要があると思いますので、いきなり0・1の議論というよりは、少しずつそうした良い事例をほかの文化財にも「しっかりこうしたふうにして自立してきていますよ」というような事例を出していくことによって徐々に移行していくという移行期間もきちんと設けることも重要なのではないかと思っております。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕御説明ありがとうございました。私からは4点です。一つは文教・科学技術の中の10ページの多様な人材の確保というところで、実は私は中学・高校の教員免状を持っているのですが、同じ大学から出て旅行会社を勤め終えた人間がこの春から高校の教師になったということで非常に充実しているという話があったのですが、ただ、私も教育実習などをやっていると、当たり前ですが、相手は生身の人間ですから非常に大変だし責任も重いのです。なので、いろいろな企業から有意な人材を受け入れると言っても、いきなり一人前の教員になってというのは少し荷が重いというか、そうしたところがありますので、そうした人たちでも受け入れられるような、高齢化してからの仕事は何でもそうですが、やはりフルタイムというのは厳しいところがあって、週2日とか、3日とか、そうしたものをいろいろな人材で組み合わせてやっていくという仕組みがあると思いますし、また、やはりやたらな人に教員になってもらいたくないというか、ある程度の資格を見極めるような仕組みも必要ではないかと思いました。
それから外交ですが、7ページのODAの話に非常に心を痛めておりまして、魚市場とか、コンテナ港に10億円、112億円を使って役に立っていないとはどういうことかと思います。ここに、なぜ使われていないのかという理由は書いてあるのですが、なぜ使われないようなところに造ったのかという理由がなくて、やはりこの意思決定のプロセスを、それこそワイズ・スペンディングGメンではないですが、何でこうした使い方をしたのかということを過去に遡ってきちんとただしていかなければ、いつまでも直らないのではないかと思っております。ここは重要であると思いました。
それからデジタル化に関しては、国の情報システムを一元化するということで、ちょうどコロナが発生したときに支援をピンポイントで所得の低い人にというところをやろうとしたら、なかなかそれはシステム上、すぐに見つけるのは難しくて時間がかかりますという話で、今回も総合対策の中にそうした一律かどうかというような議論があったときに、何か2年たっても同じ問題が残っているなと思ったわけですが、ただ、よく考えてみると、やはりこのシステムを一元化するというのは大変な作業で、何年もかかるということは理解しておかないといけない。その上で、今後、この間係の人に聞いたら「15年くらいはかかるのです」と言われましたが、では15年の間にどういうシステムを、つまり私たちの暮らしにどう関わるようなシステムを、いつまでにどう変えていくのかというようなロードマップをしっかりと示して、遅れたときにはきちんと遅れた理由を説明するとか、そうしたことを国民とよくコミュニケーションをとりながらやってもらいたいと思います。
急いでやってもらいたいと思うと同時に、やはり個人情報の問題ですとか、慎重にやらなければいけないものもあるので、そうしたロードマップを示しながらしっかりと示してもらいたいと思います。
最後のフューチャーデザインの話ですが、私はアベノミクスというのは、今生きている私たちの世代が雇用も増えたり、経済的にはそんなに困窮もせずにこの何年かやってこられたというのは、非常に成果の上がった政策ではあったと思うのですが、未来の世代に対して何を残したかというと、財政も含めて課題はいろいろ残していると思うのですが、そうしたことを子供たちにどう語っていくかというのは、我々親世代としては重要ではないかと思いまして、それは逆に子供たちが親に問うような子供にしていくということも重要ではないかと思っております。
今、この財政教育の話もこの資料に書いてありますが、自分たちが使っている公共サービスにはお金がかかるのであるという認識から始めて、では、そのお金を出しているのが私たちが払っている税金、あるいは国債という政府の借金で賄われているという、そうした感覚を身につけてもらって、将来に残るようなものを何か親たちの世代はしてくれたのかとか、あるいはワイズ・スペンディングで今の現役世代がきちんとやっているのかというような視点を子供が持って育つことが、将来においてこの国が変わっていく大きな要因になっていくと思うので、こうした視点も是非大事にしながら財政の問題を考えていってもらいたいと思います。以上です。
〔土居部会長代理〕末澤委員、お願いいたします。
〔末澤委員〕どうもありがとうございました。まず文教とデジタルについて1点ずつ申し上げたいのですが、文教については2ページ目です。これはもうここ8年、9年同じことを申し上げているのですが、児童・生徒数が減っていますと、ただし教職員定数はそんなに減っていませんと、一方でブラックと言われるくらい、今、教職員の働き方改革が進んでいなくて、もう応募率が過去最低になっていると、これはある面当然なのです。なぜかというと、昔、私の頃は一クラスで小学校が40人弱、中学校であると45人くらいいました。これが今、半分になる。半分になると、結局規模の不利益、つまり一人の教員が見る人数は減るが、全体は増えるわけです。貴重な教員数。つまり過去であれば例えば副担任に置く人数を正担任にしなければいけない。つまり全体としての管理をする、ないしは例えばいろいろ課外活動を見るというようなところ、そして報告、ここでどんどん忙しくなっているわけです。結局これを楽にするには、もう統廃合とアウトソーシングとICT化しかないのです。つまり今、二クラスしかない小学校を統合して4クラスとか、5クラスにすれば、校長の数が一人減って3分の1で済むわけです。そして例えば専門教員も置ける。結果的に人口がどんどん減っていくという中で従来の改革であると、もうこれは追いつかない。そして実際、恐らく今年の日本における日本人の出生数は80万人を切る可能性が極めて高くなっている。これは将来推計人口よりも8年、9年前倒しになっている。つまりこのプランというのはもう去年、今年、一昨年、この3年間のパンデミックで、ほぼ崩壊しかけているわけです。つまりもう一度、先ほどありましたが、将来の推計人口と照らして、今のこの学校教育が持つのかと。
私はやはり、繰り返しになりますが、申し訳ないが、地方などでは小学校の数を統合していただく。私が昔、通っていた小学校は、今では、3校が1校に統合されています。それによって全体のクラスを増やすことで、例えばいじめの問題も解決できますし、専門教員を置くこともできる。管理職の数も減らすことができる。一方でICT化によって手作業を減らす。そしてアウトソーシングです。アウトソーシングというのは、課外活動等を町村やボランティアに物貸しするだけではなくて、先ほどもありましたが、外部から来ていただくと。やはりこの閉じられた世界、クローズドな学校生活ではおかしいと思うことを、恐らく外部の方は御指摘されると思うのです。それによって、昔から何十年、40年も続いている変な慣行、例えば私も金融機関ですが、今は労基法違反ですが、30年40年前はサービス残業が当たり前だったのです。ただ、今はもうそうしたことはない。つまり本来ならおかしいことを指摘していただくためにも、やはり外部人材をもっと入れて、民間との交流が必要であると。これをやらないと、今の人口減には完全に持たない。特に義務教育はそうだし、その後遅れて中・高等教育にもどんどん上がってきますから、そうしたことは人口減、人口動態変化に対応した改革をスピードアップすることが必要になってきます。
また、デジタルについてですが、これも実は去年も御指摘させていただいたのですが、政府はデジタル、DXを進めると、一方でデジタル予算3割減と、この関係はどうなっているのだと御指摘したら、今日の御説明でも結局3割減というのは既存のシステムで3割減、新しいシステムは関係ないと。これはもう当然なのですよ。古いものを捨てて新しいものにすればよいから、もう3割減でも4割減でもできる。そんなことは実は民間ではあり得ないわけで、民間ではシステム予算全体で何割減になっているかと。しかも減らした上で効率化を上げていると。この評価が重要なわけですから、デジタルの評価も従来とは違うメルクマールを作っていかないと、最終的にマイナンバーを入れたが、国民生活はどれだけ便利になったのか、日本の潜在成長率を向上させるのにどれだけ役に立ったのか、そうした指標を入れていかないと、このDX、これからGXも推進するに当たっても、単に予算をつけただけということになりかねないので、先ほどの人口動態の変化とか、いろいろなICT化とか、そうしたことを含めた新たな指標を学校教育においても、デジタルについても、私は入れていかないといけないと思います。
それで、2ページで質問ですが、もしあれば、この2ページの右側の、資料2の文科のほうです。学級規模と教員一人当たり児童生徒数の国際比較、これは毎回見るのですが、学校規模の比較というのがあるのかと思います。どういうことかというと、実は医療の世界でもあるのですが、日本の場合、小さいクリニックが多い。例えばイギリスやアメリカは大病院が多い。だからこれでパンデミック対応ができたと。つまり学校の規模が大きければいろいろな対応できるわけです。そのかわりスクールバスも必要になるでしょう。つまり学校規模の比較というのを1度、来年も再来年でも結構ですので、この国際比較の表を作っていただくとありがたいと思います。以上でございます。
〔土居部会長代理〕それでは、ここからテレビ会議システムで挙手されている方に移りたいと思います。
赤井委員、小林慶一郎委員、田中委員、上村委員、堀委員の順に御発言をお願いしたいと思います。
では赤井委員、お願いいたします。
〔赤井委員〕まず総論のPDCAのところですが、この提示していただいた以外にも総務省の行政評価局調査とか、財務省の予算執行調査、それからまだ知られていませんが、理財局で事業別フルコスト情報など、いろいろ事業を検証するような試みが行われていますので、より連携すれば、より大きな効果が得られるのではないかと思いました。
それから、文教のほうで少し。まず私学助成のところですが、今後も人口減少は続きますので、私学の定員割れは今後も広がっていくと思うのです。実際在籍している学生とか、これから入る学生に対して教育の質が落ちないように、より強い形で適正化というか、私学の在り方を見直すような制度作りをするのが良いと思いました。
それから22ページ、理工系への外部再編というところなのですが、骨太で理工系の人材をこれから育成していきましょうというような議論がなされているのですが、突き詰めると少子化する中でどのような教育体制・人材育成していくのかという理念というか、方向性、それがエビデンスに基づいた形であまり行われていないような気もするので、こうした方向性を決めるのはエビデンス、理工系を増やすことで日本がどういう方向に向かっていけるのか、それを検討してから行っていくべきではないかと思います。
それから23ページ、これも2年後をめどに就学支援制度ということで、こちらは先ほどの学部再編とは違って、学部再編のほうは効率性の話ですが、こちらは公平性ということで、多子世帯や理工農系学生の中間所得層に、より就学支援、奨学金を増やしていこうということですが、これもエビデンスの観点からすると、多子世帯は公平性の観点から分かるのですが、なぜ理工農系の学生を増やすことが公平性の観点から重要なのかというところを突き詰めると、なかなかあまり整理されていないような気もするので、学費が高いというイメージがあるので、それで補助ということかもしれませんが、実際、医学部とか、ほかでも学費が高いところもあるわけなので、学費を下げれば定員割れしているような理工農系に学生が増えるということになるのですが、これは公平性の面だけで理工農系になっているのか、その辺りも整理してしっかり議論していくべきだろうと。実際私もここに少し関わっているので、しっかり考えていきたいと思います。
最後に35ページの文化財予算のところ。READYFORの米良さんも言われていたように、READYFORの試みはいつも拝見してすばらしいと思うのですが、文化を守ることに対してお金を出してもよいと、税金を払うのは嫌だが文化を守るなら払ってよいと言う人は実際多くいると思うのです。そうした価値があるものにお金を出してもよいと言う人からお金を出してもらうというのは、文化財保護の意味でも、財政再建の意味でも物すごく価値のあることだし、まだまだポテンシャルがあると思うので、そうしたより多くの収入を別の方法で得るという努力を文化財保護に関わっている人にしてもらうと、そうした努力をした上で、集まらなければお金をあげるというのが、努力をするということを応援するとか、努力をするということをある程度条件化するとか、そのように頑張ってもらって、頑張ってもらえるような制度、米良さんが言われたように、それを応援するような制度を作っていくのは大事かと思います。
最後にインバウンドもこれから増えていくので、インバウンドの人もお金を是非払ってでも見たいという人も多いと思うので、そうした人にも文化財保護に貢献してもらう意味で、そうした人からお金を取る、資料に書かれていますが、そうしたことも積極的にやっていくべきであると思います。以上です。
〔土居部会長代理〕小林慶一郎委員、お願いします。
〔小林(慶)委員〕ありがとうございます。お先に失礼いたしますので、順番を配慮いただきましてありがとうございます。
私からはフューチャーデザインについて御紹介しましたので、補足的に説明をしたいと思います。フューチャーデザインの実験というのは、30年先とか50年先の未来の人間になったつもりになって、現在の我々がやっている政策を振り返って、あたかも過去のことを振り返るかのように評価する、こうした実験をやろうということです。その結果として、実際に矢巾町では水道料金の値上げという意思決定が変化したということが知られていると。でも重要なことは、この経験の意味するところというのは、今生きている私たちの政策は将来世代に何らかの形で承認されるというか、評価されるのであるということを私たちは実感する、そこに意義があるのだろうと思います。
財政総論の資料の中で紹介された「歴史の始まり」という題のフォーリン・アフェアーズの巻頭論文ですが、このタイトルは当然フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」へのオマージュになっているわけです。フクヤマの議論のエッセンスというのは、人間の歴史の原動力になっている欲望というのは、人に自分を認めてもらいたいという承認要求だという主張であると言われております。これはヘーゲル哲学からフクヤマが取ったと言っておりますが、フクヤマは他人も自分も対等に認め合う社会、つまり承認要求が最大限に認められる社会が冷戦後の自由民主主義社会であるから、そこが歴史の終着点なのだと言ったわけです。
しかしフクヤマの議論の中では、同じ時代を生きている我々同士、現在世代同士の間での承認欲求の話をしているのに対して、それでは足りないのであるということを言っているのが、このフューチャーデザインという考え方なのだろうと思います。
要するに同時代の人間の間だけでの相互の承認というだけでは人々の承認は閉じていないということであって、現在の世代は必ず最終的に将来世代によって承認される、そして評価される、承認と言っても是認なのか否認されるのか、そこは分からないわけですが、それを自分が将来世代の役割を演じて、現在の自分たちに対して「ありがとう」とか、あるいは「なぜそんなことをしたのか」というような、過去に送るかのようなメッセージを送るという経験から、自分たちはそれを実感できるということなのであると思います。
私たちが将来世代から承認される立場にあるのであるという意識をはっきり持つことによって、初めて世代を超えた時間軸で物事を考える動機というものを人々は内面化できるということであると思います。その最たる問題というのが、この財政の持続性という問題であると思います。
したがって多くの世代、多くの国民の皆様がフューチャーデザインの実験のような経験をすることによって、自分たちが将来世代から評価され、承認される存在であるということを実感することというのが、財政健全化の議論を国民の皆様が自分事として考えるようになるために非常に有益な経験なのではないかと思います。
ですので、財務省におかれては、ぜひ具体的な何かアクションに結びつけていただければ幸いであると思います。今のところ、自治体での住民討論でいろいろな政策が変わったという話は実際出ておりますが、ほかにも企業の幹部研修でフューチャーデザインが取り入れられたということとか、あるいは中央省庁の中でもフューチャーデザインの実験をやったという経験も幾つかあります。そうしたことが社会のいろいろな面で定着していくということが必要なのではないかと考えております。以上です。
〔土居部会長代理〕田中委員、お願いいたします。
〔田中委員〕田中です。御説明ありがとうございました。私からも2点プラスアルファくらい発言をさせていただきます。
まず一つ目の文教のところの高等教育で、19ページで指標の見直しをお示しいただきましたが、配分のメリハリというのは当然のことで、継続してこれまでも指摘されているのですが、教育機関で減額になったところが、どうしても減らされた、減額イコールどうやって来期運営すればよいのかという発想に固執しがちなのではないかと見ています。
ベースとして中長期計画もそれぞれで作成されていますから、その計画を遂行して成果を出すと、大学経営の視点で運営費交付金とか、補助金を使うのみならず生かすというような実践に転換する機会に切り替えを促すことができたらと思います。
産官学連携や外部資金の獲得にも今大学は力を入れていますが、マイナス面を補うという発想ではなくて、やはり人への投資政策において現在の政権が力を入れているところも、手厚い支援がある中ですので、価値を生み出すような高等教育機関の役割ということが実感されるようなシフト、指標作りが必要かと感じています。
二つ目はほかの先生方も御指摘だったのですが、総論のフューチャーデザインについて、私はコミュニケーションの促進の観点から注目をしているのですが、財政当局の問題意識を正確に理解してもらおうと、今、試行錯誤を常にやっていただいているし、私たちもそうした意識でいますが、なかなか理解が直ちには進まないという心配はあるわけで、その中でフューチャーデザインというのは自分自身の生活に関わる課題を共有した上で理想の未来を考えて、ロールプレイングで体験・体感できるということが特徴で有効、大いに参考になるものと見ています。
やはり持続可能な社会と言われて、誰かの役に立つ生き方とか、そうしたことに若い世代も年配の世代も関心を寄せていますので、その持続可能な社会に自分はどう関わることができるのかとか、自分は今、何を情報として知らないのかということを知るとか、他者と自分との関わりを知るとか、地域ひいては社会の問題を自分のこととして考えるということを通して、やはり自分の力が将来世代や人の役に立てるのであるという実感が生きがいやモチベーションにつながるということを身をもって体験していくということが、本当に理解を促進する一番有効な手だてであろうと思いますので、先ほども小林先生からもお話があったように、矢巾町の水道事業を見直して今後に向けた水道料金の引き上げということを全体で結論を出したということですので、ここで住民の納得感と自分自身が受益者でもあり負担者でもあるという、自分自身の中でのバランスの理解ということも進んで行動ができたという事例であると思います。
全体として財政の課題をというのは、一人一人今直ちに難しいかもしれないのですが、各領域において地域で優先課題というのがあって、ここにできればやはり行政がきちんと入って、未来への責任を勘案しながら結論を出すということの筋道が立っていけば、本当に大きい前進になるのではないかと見ております。
同時に、この流れの中で教員、小中学校の先生の成り手というところですが、先日、防災教育等を通じていろいろな地域での復興や防災についての活動をしてきている学生さんと話す機会がありましたら、大学生でありつつNPOの理事長をしているという学生さんたちがいまして、それはやはり地域活動を通して地域で語り継いでいかなければいけないことがあるとか、あるいはそれのために教育というのはすごく重要であるということを考えて、大学で教育学部を選んで、そして教員を目指していますというお話を聞きました。
教育学というのは本当にいろいろな入り口がありますので、多様な人材の確保の面からも、地域の中での課題解決に小さい頃から入り、学生の頃から入り検討していくと、これも少しフューチャーデザインに近いところがあるかと思いますが、ここが本当に検討・研究を広げる価値があるところで、実効性が出てくるものではないかと思っております。
よろしくお願いいたします。
〔土居部会長代理〕上村委員、お願いいたします。
〔上村委員〕上村です。御報告ありがとうございました。
行政事業レビュー予算編成プロセスにおける活用についてですが、レビューシートを予算編成に活用することは望ましいことですので、是非とも進めていただければと思います。
先週実施された秋のレビューですが、試行版レビューシートを128作成したということで、国の事業は5,000ありますので、この取組を一層進めていただきたいということでコメントいたします。
第1に、事務事業の中にうまくアウトカム指標を設定できないものが多少なりとも存在します。今回作成された試行版レビューシートはある程度アウトカム指標が設定しやすい事業が選ばれている可能性があると思います。これを5,000事業に広げていくと問題が生じる事業が出てくる可能性があります。その場合にどのように対応するかを検討しておく必要があります。
第2に、どう工夫してもアウトカム指標が設定できない事業はどうするか、考えておく必要がありそうです。そうした事業は原則的にスクラップしてしまうという方針もあり得ると思います。なぜなら検証が不可能だからです。国民生活に大きな影響がないと判断できると、スクラップを原則するということを考えて良いと思いますし、そうした方針を提示することで、事業担当課は真剣に新しいレビューシートの作成に向き合うのではないかと思います。
第3に、アウトカム指標と目標が設定された事業について事業実施後に目標がクリアできなかった場合に、その事業を原則的にスクラップするということを事前に決めておくことが必要であると思います。うまくいかない事業でもなかなかスクラップできないということを私はずっと見てきたわけですが、事業名を変えたり、手段を変えたりして残ることが多いわけです。しかし当初の目標がクリアできなければそれは失敗であると認めて、事業をスクラップするということを原則にできればと思います。
第4に、好事例をいかに共有するかが重要です。したがって新しい行政事業レビューシートやPDCAサイクル、EBPMの作成といった観点から、ベストプラクティスになるような事業を選んで、それを目指すということが重要です。
第5に、こうした国の取組を地方自治体に浸透させることも重要です。行政事業レビューシートを国は全事業整備したわけですが、こうしたシートを持っていない自治体もかなりありますし、持っていても公開しない、事業評価に使わない、予算編成に活用しないという自治体が多いわけで、少なくとも国の事業の中で自治体との協働で行う事業については、レビューシートやPDCAサイクルを意識したような行政経営ができるような工夫があればいいと思います。
最後に、行政事業レビューですが、コロナ禍前は地方開催などもやっていましたので、この地方開催などを復活させて、例えばフューチャーデザインの観点から実施してみるなどというのも面白いアイデアかなと思いました。以上です。
〔土居部会長代理〕堀委員、お願いいたします。
〔堀委員〕報告ありがとうございました。財政総論について、予算の効率化に向けたPDCAサイクルを回すというのは非常にすばらしいと思いますので、ぜひ実施していただきたいです。また、ワイズスペンディングのインセンティブを付けることが重要だと思いますが、そもそも何をもってワイズとするかという価値判断の設定は非常に難しいところがあると思います。
したがいまして、評価指標、ストラクチャー指標、プロセス指標、アウトカム指標というものの整備が必要であると思うのですが、上村委員がおっしゃるように、アウトカムが必ずしも明確にできないもの、価値判断によってアウトカムの評価が変わるものもあり、その辺をどのようにしていくのかというのを事前に考えていく必要があるのではないかと思いました。
イギリスではナショナルオーディットオフィスという、日本の会計検査院とは少し違うのですが、政策決定過程における費用対効果などを検証しているところもありますので、日本の検査院にその機能が現在あるかどうかは少し疑問もありますが、公費の有効性・経済性・合規性の観点から検証もされていると思いますので、機能強化した上で、評価検証を行う上で連携を図ると良いのではないかと思いました。
それから予算は単年度主義であると思いますが、評価に関しては複数年度必要になるものもありますので、その辺をどのようにするかの検討が必要であると思うことと、フューチャーデザイン、これも小林慶一郎委員の説明でよく分かったのですが、これを具体的に現場で取り入れるためにはどうすればよいのかという、その辺のマニュアルではないですが、実装化を促進する何かがないと現場ではなかなか進まない、特に大きな規模の自治体であると難しいのではないかと思いました。非常に良いアイデアであると思うのですが、具体的にどうするのかというところ、横展開のための情報が必要であると思います。
それから文教について、4ページのところで、既に別の委員の方が指摘されていますが、量と質を両方考えると、やはり人口減少のスピードに合わせて学校の数そのものも減らしていかないと、医療における資源分散型ではないですが、資源分散型の教育になってしまって、結果学校は、学生数に応じて教員の数が増えたとしても個々で見ていくと偏在が生じると思います。偏在というのは、例えばICTに対応できる人材が日本全国同じようにいるかと言うといません。そうした意味では学校の統廃合とICTの活用の両方を進めない限り、この量と質のところの両方のバランスをとることは難しいのではないかと思います。
また5ページから8ページ、学校における働き方改革のところで、ここに書かれていることそのものは全く異論はないのですが、では、ここの内容でアウトカム指標のものを作るとしたら何なのかと考えると、非常に難しいと思います。例えば「教員が子供に向き合う時間に集中できる業務体制の見直しが必要」、「多様な外部人材が必要、地域と学校が協働した活動が必要」、これらはまさにそのとおりであると思います。ここの記載どおり、仮に学校現場で皆が一生懸命頑張ったとします。そうすると8ページにあるような印刷が減る、配布と集計、提出状況の把握、保護者との電話対応時間が減るというようになるとは正直思えないので、何が言いたいかと言うと、ここに書かれていることそのものは全く問題ないと思うのですが、このワイズ・スペンディングを推奨するための指標と、そのためのストラクチャーとプロセスがどうなっているのかという、この3者のつながりが分かるようにしないと、現場では一生懸命やるが、やったが、それが結果につながらない、それでその結果、ワイズなスペンディングではないと言われても、自分たちは一生懸命頑張ったというふうになってしまうと思うので、そこのところを検証できるようになるとよいのではないかと思いました。
それから高等教育の16ページ、こちらも、ここに書かれていることそのものには全く賛同しているのですが、インバウンドのことを言っているのかアウトバウンドか、どちらを目指していくのか正直分からないというのがあって、例えば英語による授業を実施する大学が多ければよいのか、あるいは外国人教員が多ければ良いのか、本当にそれをすればするほど日本の教育力と研究力が上がるのかというエビデンスがあるのかどうか。むしろこれを本当に進めるならば、大学以前の義務教育の段階から英語による授業であるとか、外国人による教育がされていれば、高等教育のほうでは自然にそれに応じた形で大学の教育をしなければならないので、大学だけにこの英語による授業を、いきなり大学で英語による授業と外国人教員による授業をすれば、大学の人材競争力が上がるかどうか、正直どうなのかと思います。
トータルに目指している方向について反対しているわけではないのですが、ここに書かれていることが指標化されたとしても、では英語の授業を増やす、外国人教員を増やすとすれば、本当に日本の国力は上がるのかどうか現状では分からないので、エビデンスベースの指標が蓄積されると良いのではないかと思いました。
また私学の助成について、メリハリというのも全く異論はないですが、こちらも国公立も同じですが、人口減少する中で今の大学数そのものが本当に適正なのかどうかも含めて検討していかない限り、教育力・研究力の底上げというのは非常に難しいのではないかと思いました。以上です。
〔土居部会長代理〕それでは会場のほうに戻りまして、田近委員、お願いします。
〔田近委員〕田近です。私からは文教・科学技術の中の義務教育について何点か、論点を議論させていただきたいと思います。
12ページを開いていただきたいのですが、これは義務教育に関する論点ですが、非常に分かりやすいというか、議論を我々皆で共有する場を作ってくれたと思っています。これに基づいて3点質問を、やや意見ですが、質問のような形で申し上げたいと思います。
まず、この12ページで論点ですが、これはもう昔、財審からずっと議論しているように、重要なのは量の拡充だけではない、質が大切であると。その次に優秀な成り手を増やすことが重要であると。それから3点、働き方改革ということでは外部人材等が重要であると。そしてある意味で今日の主計官からの目玉だったのでしょうが、学校ごとに働き方改革の取組を公表するようにすべきであると、私もそう思います。それから4点には、多様な人が教職員になれるような仕組みを進めるべきであると。
私の意見というか、質問なのですが、だからこうした意味で論点を共有できたので非常に重要であると思いますが、この論点に漏れはないのか。私が思う1点は、2点目の優秀な成り手を増やすということですが、いろいろ外部人材とか、多様な人を雇うのは大切であるとしても、肝腎要の教員自身の専門性をどう高めるのか、それがもっと重要ではないかと。というのは、私も大学にいたときに政策大学院というものを修士課程で作ったのです。それはこうした公共政策の分野で働く人たちの質を高めることを目指したかった。そのやり方はいろいろあるのでしょうが、私が一つ気になっているのは、先生方も例えば修士号を取るくらいは前提になると。そしてあるいは働きながらも大学院に通っていろいろ事例を大学院に持っていって大学と協働的にする。
したがって、第1点はこの重要な論点整理に漏れはないのか。それからこの4点は羅列なのか、それとも構造化されているというか、構想化されているのかと。どういう形で全体を把握して動かしていこうとしているのか。第3点はそれに関係しますが、それぞれをどう実現していくのか。その点で重要なのは、まずはこの論点を多くの人にシェアしてもらって具体的にフィードバックをもらうことであると思うのです。既得の既にこの分野に深く関わっている先生方、それから文科省も含めてフィードバックをもらう。そしてそれをどう実現するかということで、だから今日見せていただいて論点整理という形で出してもらったので、皆で議論を共有できる。
私の質問というか意見は、論点に漏れはないのか、それから論点全体がどう構想されるのか、そしてフィードバックを含めてどう実現するのかということで、さらにこの論点を深めて、財審でもこれがシェアできるような形で進めていっていただきたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕秋池委員、お願いします。
〔秋池委員〕三、四点ございます。まず一つ目はフューチャーデザインですが、将来世代の目線で身近なテーマで議論をするというのは非常に良いことであると思いました。これは将来世代の目を入れるということもございますし、それから国民一人一人が当事者意識を持って予算について考えるということ。ただ批評するのではなくて、自分ならどうであるとか、自分の子供たちはどうであると、頭で分かっていても、この議論に加わることで、それが実際の経験、自分の疑似的経験になるということは非常に重要であると思います。
高校でも財政の授業をしているというお話がございましたが、実は大人になってこのような機会はあまりなくて、そうしたことをあまり知らないままに社会人として過ごしている人というのは、ある一定の世代分いるわけですので、そうしたほうにも広げていかれるとよろしいのかと思いました。
それから2点目は文化財の保護の保全修理のことなのですが、クラウドファンディングも非常にすばらしい取組であると思っていますが、やはりクラウドファンディングのようなものでお金が集まりやすいものと集まりにくいものというのがあると思いますので、そこは両面から、やはり積み上げからいけるものと、それから国として全体を俯瞰したときに重要なものということで、予算なりをお考えいただけるとよろしいかと思います。
それから三つ目、中空さんも言っていましたが、論文数が少ないというお話が毎回あるのですが、これは長期で言えば、『ネイチャー』に指摘されているように、流動性とか言語の壁を変えていくというのはあるわけですが、今いる優れた研究者たちが突然国際化できるわけでもないというようなところもあったりするのではないかと推察しております。お金の使い方として例えば成果につながるような使い方、アメリカの大学などでも洗練された文章を書くための英語のエディターの方などがおられたりしますが、そうしたちょっとした投資によってリターンがすごく大きくなるという領域があるのであれば、もしかしたら既に大学によってはやられていることかもしれませんが、考えてみてもよろしいのではないかと思いました。
そして最後にODAについてですが、本当に各国の発展のために資しているということは非常に重要な取組であると思っております。一方で同時に、陰徳を積むだけではなくて、日本のソフトパワーであったり、技術力というものが評価されるということも大事なので、そうした、ある種の認知を高める活動も重要かと思います。そうした視点を入れていくと、本日例示いただきましたようなお金の使い方というのは減っていくのではないかというようにも思います。以上でございます。
〔土居部会長代理〕熊谷委員、お願いいたします。
〔熊谷委員〕熊谷でございます。御説明、誠にありがとうございました。
まず、教育に関する最大のキーワードは教育の質の向上です。我が国の教育が抱える問題の本質は教育の質であり、決して量ではございません。義務教育に関しては、3ページにございますとおり、教員の採用倍率が大幅に低下しており危機的な状況でございますので、働き方改革や免許制度、採用方法に関する新たな仕組みの検討等を通じた教員の質の向上が喫緊の課題となります。
8ページにございますとおり、働き方改革については構造的にインセンティブが働きにくい状況でございますので、御提案いただいた国が行う一定の補助事業について学校ごとに働き方改革の取組を公表することを要件とする仕組みなどは、是非とも導入していただきたいと思います。
次に高等教育に関しては、学生の能力向上の見える化などを通じて大学にアウトカムに対する徹底的な説明責任を求めて、PDCAサイクルを確立し、EBPMを推進する必要性が最も高い分野の一つであると考えます。特に大学における国際化の遅れは深刻であり、教育の質を高めるためには国立大学運営交付金や私学助成についても、引き続きメリハリの強化や執行の改善などが不可欠です。
科学技術に関しては、大学のガバナンス改革や国際化への取組などを促す政策誘導を強化することにくわえて、研究人材の流動性向上が極めて重要です。産学連携の推進はイノベーションを起こすことにつながりますし、いわゆるポスドクのライフコースの多様化などを通じて、我が国でもシリコンバレーのようなエコシステムが形成され、産業競争力強化に向けた好循環が起きることが期待されます。
くわえて本日御説明いただいたとおり、我が国では総合的な防衛体制の強化が求められる中、縦割りを打破して科学技術政策の優先順位づけや整理を行うことが喫緊の課題であることは言うまでもありません。
外交分野に関しても国民の血税を使用するわけですから、量ありきではなく、費用対効果等を踏まえた質的な改善が不可欠です。具体的には、ODAについてはマクロ的な物量に頼ったインプットありきのものではなく、ミクロ的な個別プロジェクトのアウトカムをデータで丁寧に検証していくことが求められますし、国際機関等への拠出も我が国の中長期的な国益などに照らしたメリハリ付けが不可欠です。
デジタルに関しては、民間ではクラウドを導入するのは当たり前のことでございますので、デジタル庁には司令塔としての責任と自覚を持ってクラウドへの移行や縦割りの打破などを推進するとともに、デジタル化によって効率化する経費をしっかりと特定した上で、新たなメルクマールを導入すること等を通じて運用等経費総額の抑制に取り組んでいただきたいと思います。
最後にフューチャーデザインでございますが、本当にすばらしい取組でございますので、小林委員等からも御指摘があったように、ぜひとも具体的なアクションにつなげていただきたいと考えます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
〔土居部会長代理〕武田委員、お願いいたします。
〔武田委員〕ありがとうございます。私からは3点申し上げたいと思います。
1点目、総論ですが、フューチャーデザインの取組、行政事業レビューシートの見直しや予算編成プロセスでのプラットフォームとしての活用、この2点については大変良い取組と考えております。
ただ、EBPMプロセス導入はとてもすばらしいのですが、運用の段階で形骸化しないように、財務省におかれましても、補助金給付や政策減税について、EBPMのプラットフォームに乗せてしっかりレビューしていくことを是非お願いしたいと思います。
2点目、文教・科学技術でございます。研究活動の国際化について、本日2名の委員からもコメントがございました。国際化の取組を推進するには、そうしたことができる人材の層を厚くしていく必要があろうかと思います。また、それができる人材を、もっと社会として評価していかなければならないと思います。日本の社会では、留学や、海外で研究の経験をしても、日本に戻ると処遇に差がないということを繰り返しています。それではトップ10%の論文が生まれるとは思えません。研究活動の国際化の必要性は共感しますが、それを目的にするならば、できていないということを言い続けるより、できるようにするためにはどうしたらよいかということを、もう少し社会全体として考えなければいけないと思います。そうした視点がこの場でも重要ではないかと考えます。
3点目、外交に関してです。メリハリは必要ですが、国際情勢が非常に厳しくなる中で、質の高い外交戦略がますます求められていると思います。
本日事例でお示ししてくださった魚市場の事例などは当然論外ですので、先ほど他の委員からもございましたとおり、なぜそのようなことになっているのか見直しは必要と思います。
ただ、先ほども申し上げたように質の高い外交戦略が求められる現状において、国民に対し使途について説明責任を果たすべきというのはおっしゃるとおりですが、例えば5ページの右側のような、国連に対する世論が低い、好意的という数字が低い、という結果によって税収の使途として駄目な使い方であると結論づけるのではなく、それが本当に正しいのかを考える必要があるように思います。
むしろ国際情勢や日本が現在国際的に置かれている立ち位置への国としての関心の低さ、危機感の低さ、を表している可能性があります。「自国の利益に従うべき」が50で、「他国の利益を考慮すべき」を上回っていますが、他国の利益を考慮しながら他国との協力や連携、あるいは外交上の駆け引きもあり、最終的にはそれが自国の利益に返ってくる、といった視点も重要で、大局的な視点が求められている中では、やや誤解を生むような図表になっていないかと感じました。以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、安永委員、お願いいたします。安永委員までで、次はテレビ会議システムの方に移ります。
〔安永委員〕ありがとうございます。まず教育に関してですが、他の委員も御指摘のとおり、ビジネスの経験のある企業人を教員にするルートを抜本的に拡充していく方策はあるかということをぜひ検討すべきではないかと思います。これを通じて多様性や国際性、それから特にITを中心とした専門性を教育現場に導入することがまさに急務であると思います。
これに関連して、高専や大学においても、これからまさに日本国内でグリーン・デジタルに対する投資をより活性化させようという中で、実はグリーンやデジタルに関連する新卒の理系人材が払底している、取り合いになっている。やはり教育現場において、こうした成長分野に興味を持たせる、この分野のジュニアエンジニアをいかに高専・大学で育てるかというのが2050年に向けてのとても大事なステップになると思います。カーボンニュートラルに向けての大事なステップになると思います。
次に科学技術に関して1点だけ。総合的な防衛力強化に資する研究開発の推進については賛成なのですが、防衛の際も述べましたように、民間との協力関係、民需とのデュアルユース、民生用にも波及すること、その効果を考えた上で、さらには海外との連携・分担をどのようにやっていくか、そうした観点からどういう技術をどういう機関でどういうフォーメーションで開発していくか、こうした長期ビジョンが必要であると感じます。
それから外交ですが、今まさに武田委員がおっしゃったとおりなのですが、現下の国際情勢では外交の果たすべき役割が大きく、その中で開発協力が日本外交の最も重要なツールの一つであることは論をまたないと思います。さらにはこれが結果として経済安全保障の確保につながってくると。そうした意味では防衛と外交は両軸であるべきで、魚市場のような事例は論外なのですが、成果の上がっていない案件については精査いただくという一方で、成果が上がっていて「日本にお願いしてよかった」、「日本からの援助を受けてよかった」という案件もあまたあって、そうしたものが我々民間企業が海外で仕事をする上でのベースになっているということもやはりきちんと、これは外務省さんの役割であると思いますが、宣伝していくべきであると思います。
とはいえ、将来にわたってこの開発協力が同じように箱中心・土木中心でよいわけがなく、よりデジタルやGX、グリーン、それから人材育成、医療衛生といった日本が得意とする人間の安全保障につながっている方向にスコープを変えていくことは必要であると感じます。
最後にデジタルですが、もうマイナンバーカードを徹底的に利活用するための方策を作っていくべきであると思います。そのためには、いろいろ議論もあろうと思いますが、預金口座に全てマイナカードが直結するような仕組みをどうしたら作っていけるか、それによってきちんと税収も含めて捕捉をしていくことが何より重要であると思います。以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、テレビ会議システムで挙手をされている方に移ります。十河委員、宮島委員、冨田委員、横田委員、河村委員の順にお願いいたします。時間が少し押しておりますので、3分以内に簡潔にお願いいたします。
それでは、十河委員、お願いいたします。
〔十河委員〕十河です。よろしくお願いいたします。ほかの委員の先生方と重なる部分もございますが、3点ほど申し上げたいと思います。
まず一つ、フューチャーデザインについては、私もかねてより、やはり若い世代の未来ということを非常に懸念・危惧しておりましたので、こうした取組については深く賛同して、これからに期待したいと思っております。将来世代の立場になってという視点が、どうしても最近目の前の現実課題に終始されがちですので、意図的にこちらに注力し、そうした取組を広く議論していただけるように発信していく必要があるのではないかと思いました。
また、未来を担う若い世代においては、今年から導入された授業の公共を通して、参考に今出ております静岡の高校での財政プログラムとか、こうした活動を地道に、けれどもスピード感を持って全国に広げていただけたらと思いました。
それから教育に関しましては、ほかの先生方と同じなのですが、やはり質の高さというところが、特に教育においては何よりも大切であるということであり、それは今こそ改善していくための道筋をつけていく必要があるのではないかと思いました。
同時に学歴偏重社会というのが今終わりつつあり、学歴よりも何を学んできたか、何が自身の武器になるか、これを前提に教育の在り方ということも考え直していく必要があるのではないかと思います。
そして10ページの多様な人材確保という部分ですが、特別非常勤講師に関しては、むしろ年齢にかかわらず義務教育だからこそ、この時期に経験値の高い多種多様な人材を幅広く採用して児童たちの未来の可能性を広げていくことが必要ではないかと思います。
それで最後に文化ですが、文化財の補修、保存処理。私もクラウドファンディングは非常に有効で今話題にもなっていて、とても喜ばしいことであると思いますが、それに加えて、民間企業による支援というものをより日本でも活発化できないものかと思いました。例えば海外のファッションブランドの活動を見ておりますと、自国の世界遺産など、地元の文化財などに多大なる支援をしておりまして、それをそのブランドがアピールすることでカスタマーを広げたりしております。
特に若い世代には、そうした活動がその企業ブランドを知り商品購入のきっかけになっているような実態もございますので、言うまでもなく文化財は文字どおり我々のかけがえのない財産でございますので、このような取組における財政面でのインセンティブなども検討するなどして、幅広い支援をしていく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
〔土居部会長代理〕宮島委員、お願いいたします。
〔宮島委員〕宮島です。ありがとうございます。多くの方が御発言されたことと同じところもありますので、少し角度の違うところだけ申し上げたいと思います。
まずフューチャーデザインに関しては、とても良い取組であると思います。普通に考えて、大人が議論するときでも次の世代のことも考えても当然の態度だろうとは思うものの、これは委員の皆様はそう思っていると思うのですが、実際に今その視点が弱くなっているのだなということを感じます。改めて次の世代、その先に残していくものということを大人たちが自覚するために、こうした取組を広げていきたいと思います。
この資料の中の後段の高校生の財政教育などはもちろん必要であると思いますし、進めたいと思います。でも本当に今すぐ変わるべきは、一番未来に無責任な大人たちではないかと思います。というのは、財政に関心がある高校生などと話しても、自分たちがいくら勉強してもすぐに投票できない虚しさということを言います。それから20代の大変しっかりした人と話すと、投票率が低いという自分たちの問題もあるが、恐らく皆が全力でかかっても、もう人口比率はどうにもならないという虚しさを感じると言っています。
やはり今の人口の比率では、そうしたことを感じさせてしまう現実もありますので、大人たちが責任ある視点を取り戻すということが一番大事であると思うので、このフューチャーデザインやそのほかの取組で、大人たちがまず自分たちだけでなく未来のことを当然のように考える土壌をつくりたいと思います。
次に文部科学です。これも多くの方と意見が一緒で、教員の働き方の改善ももちろんしっかりしていくべきであると思います。少しだけ心配しておりますのは、外の意見がまだ入らないうちに教員の意見だけで働き方改革を進めると、必ずしもそれが社会や企業の意識と一緒にならないと言うか、子供たちに完全にためになる働き方改革にならないこともあるのではないかという心配をしております。
例えばテック、EdTechなどは活用して、AIなどで進度を見ながら生徒に指導するというAIのほうが得意な部分と、子供にやる気を出させたり、迷いに答えるような支える部分と、これはもう先生しかできないと思って有効活用をすれば、働き方改革にもなると思うのですが、実際現場では今までどおりやりたい教員の間でなかなか進まないというような現実があります。
ですので、働き方改革を進めて魅力を増やすということももちろんですが、その働き方改革をする上で十分に外の視点が入るように、先ほど安永委員もおっしゃいましたが、外の目、いろいろな立場が教育現場に入りやすくするにはどうしたらよいのか、教育の質をどうやって上げるのかということを非常にすぐに働き方改革と並行してというか、それよりも前のめりくらいでやらないと、何か変な働き方改革になると嫌だなと思っております。
また、デジタル庁に関しては、時間がたってそろそろ現状をある程度総括したい気持ちも持っています。まだ前年と比べて経費がどうかということよりも、本当に瞬間的にはお金がかかってもトータルでプラスマイナスが効率的になれば、それはそれでよいと思うので、発足以降の成果を皆で見ていきたいと思うのですが、私の立場でも全貌がよく分かっていないという状況があります。ここは私たちの努力として、デジタル庁の状況は見ていきたいと思います。以上です。
〔土居部会長代理〕冨田委員、お願いいたします。
〔冨田委員〕2点手短に、外交、ODAについて申し上げます。一つは有償資金を含めて、ODAを事業量で見るのが適切という指摘が2ページでなされております。それはそのとおりであると思います。
これとの関係で、6ページには援助の受け入れ国から見たとき、ODAの受け入れによる経済成長への寄与は財政の健全度、貿易開放度、インフレなどの受け入れ国の政策の質によらずに効果は見出せないというインパクトのある研究の紹介がございます。無償援助の場合にはこれが成り立つと理解できるのですが、質問は、この部分に有償資金援助、我が国から見ますと円借款も援助の中に含まれているのかどうかをお聞きしたいということです。
それは、日本の有償援助は例えばインフラプロジェクトへの融資というのは厳格な融資審査を通じて、それがうまく活用できる場合には受け入れ国の政策の質の高まりにも寄与できるでしょうし、成長をもたらす可能性もあります。結果的に利用者からの料金収入などによって回収が図られる例がほとんどです。もちろん今日、7ページには例外も示されておりますが、有償資金援助がこの6ページの分析の中に含まれているかどうかをお聞きしたいと思います。
2点目は10ページにあるODAの戦略的活用という資料に関係してです。太平洋の島嶼諸国についてです。この地域は安全保障上の戦略的重要性が増してきております。しかし一人当たりのGDPといった面からDACのODAの対象にならない国もあります。しかし、国の規模が小さいので我が国が支援していく必要もある国もあると思います。戦略的な重要性を踏まえますと、これらの国に対する関与や支援の在り方を具体的にどうしていくのがよいのかということも考える必要があると思います。以上です。
〔土居部会長代理〕横田委員、お願いいたします。
〔横田委員〕ありがとうございます。横田です。私からは、まずフューチャーデザインについては2回ほど前の会議で関連コメントを申し上げましたので、本日は割愛して3点に絞って質問と意見を申し上げます。
まずODAについてです。皆様も触れられていましたが、今回挙げていただいた4事例は非常にがっかりする案件です。毎回上手にピックアップしていただいていて少しびっくりしていますが、この点でまず質問になります。この事業自体は評価としてはどのような評価、次のページでもJICAで評価の仕組みがあるというように、評価自体をどのようになされているのかというのを、もしお分かりになればお伺いしたいと思います。
というのは、短期的に見たら公共事業として現地に喜ばれているが、中長期ではもう全くお役に立てていないという事例の四つであると思います。無償協力は、現地のに短期的なところで歓迎されるのかもしれませんが、そうしたところを、評価の中で見えてこない初期のマーケティング調査などの要件でしっかり精査をしていくべきなのか、もしくは事後でもこうしたものを見える化していくことが必要なのかも含めて検討する必要があるかなと思いました。もしお分かりになれば教えていただきたいと思います。
あと2点は主に意見となるのですが、初等教育における教員の働き方改革と質の確保に関する件です。こちらは、そもそも教員の在り方自体を議論する時期になっているのだろうと思います。採用方法や免許に関する御提案もありましたので、その点をお話ししたいのですが、神子田委員がおっしゃっていたように、柔軟な働き方ができる教員というのも非常に重要な視点であると思いますし、先ほど宮島委員もおっしゃっていましたが、デジタルツールの活用によって個別最適化された学習が進むなど教員の在り方にも変化が起こってくると想像いたします。生徒と向き合う時間をしっかり確保するというのは大前提に、授業を含め生徒との向き合い方、教員の在り方をどうしていくべきかというのを議論していくべきであると思います。
最後に行政事業レビューについてです。行政事業レビューのレビューシートを予算編成プロセスにおいて活用していくのは本当に重要なことであると思います。くわえて、私が総務省の政策評価審議会にも参加しておりますので、そちらの動向も共有をさせていただきます。現在政策評価と行政事業レビューの一体化も含めて、どうやってEBPMの推進をしていくかということを議論しているところです。きちんとアウトカムを設定してデータで判断していくというのは、口では簡単に言えるのですが、データの取り方などで、やはりデータをそろえていくのにも実は非常にお金がかかる、職員の時間か民間データを買うなどでお金がかかってくるところだろうと思っています。今、具体事例含めてどういうアウトカム設定でどのようなデータを取っていくか、地域別でどんな分析ができるかということを具体的に検証もしているところですので、是非そちらの動きも注視していただければ幸いです。以上です。
〔土居部会長代理〕河村委員、お願いいたします。
〔河村委員〕御指名ありがとうございます。御説明ありがとうございます。私からは、総論のイギリスとPDCAのところで1点ずつと、それから文教の高等教育のところで意見を言わせていただければと思います。
まず総論のイギリスのところですが、今回御説明くださった経緯を見ていると、イギリスの場合、市場のプレッシャーというものをもろに受けて首相の交代というような形になった、その上で、これから中期財政計画が今週の17日に出てくるということであると思いますが、どのようにスナク政権が出していくかというところが非常に注目されると思います。
日本としてはやはり謙虚にこの事例を受け止めて、このトラス政権が9月に打ち出した財源なき予算規模というのは1,050億ポンドだったのです。これは日本円に換算すると18兆円弱くらいです。これに対して、今回岸田政権が打ち出している補正予算の規模はもっと大きいですね。29兆円で、財源は財務省で本当にいろいろ用意してくださったと思うのですが全然足りなくて、そのうち23兆円弱くらいが赤字国債です。では日本で何も起こらないから日本が平気かと言うと、そんなことは決してなくて、そこはやはり金利に対する中央銀行の考え方がBOEと日銀で大分違うところがありますから、そこは慢心せずにというか、逆にまた為替相場というのが日本に対して警告を発していると受け止めることもすべきなのではないかと思いますし、日本としてもやはり謙虚に、しっかり地に足の着いた財源を確保した政策運営をやっていけるようにということを考えていくべきなのではないかと思っております。
それからPDCAのところは行政事業レビュー、レビューシートの改善などもあって、是非反映していただきたいと思います。ただ、この行政事業レビューも、秋のレビューで取り上げられるのも本当にごく僅か、夏の公開プロセスで取り上げられるのもごく僅かなのです。私は夏、内閣府のレビューに行きましたが、義務的経費だからと言って最大規模の予算規模の事業が取り上げてもらえないことが分かって、後から意見まで付けたのですが、それでも覆ること、追加してもらえることはなかったのですが、児童手当のところなのですが、そうした例もあったりしますので、さわってほしくない事業から逃げてしまうことにはならないように、やはりこうした行政事業レビューシートなども活用して、しっかり予算編成プロセスの中にも入れてやっていただけたらと思います。
それから文教のところで高等教育ですが、国立大学のほうも私学助成のほうもメリハリを強化してという方向で、本当に賛成です。ただ、やはり定員のことを、これだけ少子化が進んでいる中で、よくよく考えなければいけないと思います。これは単に私学だけの問題ではなくて、用意した定員が埋まらないから要するにペナルティーということではなく、教育の質に関係してくる大きな影響を及ぼす重要なファクターであるということを考えて、そこにしっかり取り組んでいくことを促すような政策運営が必要なのではないかと思います。
それは決して私学だけではなく、国立大学のほうもそうですよね。18歳人口、要するに出生人口が200万人だった時代から、今はもう本当に減ってきていて100万人を切ってくるような時代で、でもほとんど定員が変わっていない。それで入学者の質が維持できるのか、ひいてはそれで研究の質が維持できるのかということもありますので、そうしたところをきちんと、まずやはり国立大学に、何か目をそらしたような雰囲気もなくもないのですが、しっかり目を向けていただく必要があるのではないかと思います。
それから教育や研究についても、やはりきちんと評価していくことが必要であると思います。17ページにも書いてくださっていますが、高等教育の場合は学生が具体的に説明できるようにということも必要なのですが、それは義務教育や高校までと違うのは、やはり社会に出て活躍できるための能力を身に付けてもらう、エンプロイアビリティーを身に付けてもらうということが大事ですので、大学の学内だけの評価ではなく、社会からの評価、ほかの国で私も調べたことがありますが、本当に卒業生の年収の水準などもきちんと調査してやっている国もありますので、そうしたところをきちんと客観評価、各大学に評価指標を作らせる、アンケートさせるのではなくて、客観的な機関にやってもらうような枠組みを作ってもらうことを促すように、財務省としてもやっていくのが良いのではないかと思います。
それからシニア教員のところですが、19ページの機能していない指標の例の3番目のところにありますが、これなども指標の設定が少し甘くて、シニア教員に対して何らかの給与施策をオプションとして出していれば一応オーケーということになって、だから8割も達成しているという話であると思うのですが、私は国立大学の補助金などに少し関わってきたのでいろいろ承知していますが、この世界は本当であれば業績評価を徹底して年俸制100%でしかるべきところが、承継教員への年俸制の適用が全然進んでいないのです。4割くらい進んでいれば良いほうではないかというところがあって、そうしたところを厳格にきちんと評価するような指標を入れて、それこそ競争しなければいけない相手方、中国なり欧米主要国なりと遜色しないような業績評価の基盤を整えて、教育・研究の両面で成果を上げられるように促していくのがよいのではないかと思います。以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、会場のほうに戻ります。
大変お待たせしました。遠藤委員、お願いいたします。
〔遠藤委員〕科技について2点ございます。1点目は大学ファンドです。
第6次科学技術基本計画の策定と、それを受けて引き続き大学ファンドについて話し合う会議体に私も参加していたので責任を感じているのですが、最初の目的は世界トップレベルの大学を創出するための枠組みだったはずなのですが、その目的の解釈がどんどん広がっていって、校数も最初は数校と言っていたのですが、それが1桁台の後半になったと思ったら、最終的に逆L字で薄くではありますが、ほとんどの大学に配られるという結論に落ち着いてしまいました。
ファンドの運用パフォーマンスについてはかなり検証されると思いますが、研究のパフォーマンスについてもしっかり検証をしていくプロセスを導入していただきたい、配っただけ、渡しただけのお金にならないようにしていただきたいと思っております。
2点目が、この間議論になっております防衛予算、科学技術予算の話でございます。何回も申し上げたのですが、装備庁に、安全保障技術研究推進制度というのがありまして、年間100億円の予算がついています。これを大学がもし取ろうものなら、取っているのですが、だんだん校数が減っている状況です。なぜかと言うと、一旦取ると、防衛に係る研究は許されないと一部の組織から圧力をかけられる状況にあります。この状況が抜本的に変わらないと、デュアル研究などできるはずがありません。
それでも、科学技術のほうに防衛予算を振り向けていくことになると、しっかりデュアルをやる組織、体制を作らなくてはならないわけです。防衛省には、今、海のような中に埋もれている技術を見出す目利きの能力は備えていません。ですので、そうした司令塔になるような主体がいるということと、大学がそこに絡むのであれば、「デュアルに貢献する研究が明示され、そこに資金が用意されるのであって、やらないならば資金は要りませんよね」という話になるのであると思います。科学技術予算の振り分けも、そうしたもう一方方向の、これまで渡していた部分を減らすような側面もないと、真剣なデュアルが始まらないと思っております。
そうした意味では31ページの資料も主語がはっきりしません。「関係省庁が」とか、「関係府省会議において」と書かれてあるだけなので、では一体誰がこれを責任を持ってやるのか、その辺りをしっかり定めていただかないと全体的なその防衛力の向上、安全保障の確保につながらないと考えます。以上です。
〔土居部会長代理〕小林毅委員、お願いいたします。
〔小林(毅)委員〕もう既に何人かの方からお話が出たものもありますので、そうしたものは省きます。
先ほど一人、どなたかがおっしゃっていましたが、ODAの5ページの国際協力と世論についての関係ですが、ここにある書きぶりを見ると、何か自国の利益になっていないから日本の好意的というのが少ないというような読まれ方をしても当然のような書きぶりになっているのですが、これは恐らくそうしたことだけではなくて、国際機関が設立された当時の設立目的に資した機能をきちんと発揮しているのかどうかということに対する意味合いもあると思うのです。だから、自国の利益になっているかどうかというだけでそう言うのは、そのような受け取られ方をしないような書きぶりにしないとまずいかなと思いました。
それからフューチャーデザインなのですが、これは是非取り入れるべきであるという人が多いのですが、興味深いのは興味深いですし、自分が自分の孫になったとして考えるということになると、やはり自分の我が事として考えるし、ある種の切実さを伴うリアリティーを持って考えるということで、それでよいと思うのですが、ここで質問です。これは参加している人たちが未来をイメージするときに、何かある一定の条件を設けるのですか。それともそれぞれの方々がそれぞれ思い描いた未来をベースにして話をするのでしょうか。
もし何か一定の条件、あるいはよりリアリティーなと言うか、それを与えるとすると、設定される条件の仕方によって大分中身が変わってくるのではないかと。下手をすると、自分たちの都合の良いように政策誘導するような条件を設定するのではないかというような批判が出てくる可能性もあると思うのです。
では、自由に設定すると、それをどうやってまとめるのだろうというのがあるので、この辺りのところをもう少しクリアにしていかないと、みんなが「はい、そうですか」とは広がっていかないのではないかという気がいたしましたので、もし教えていただければお願いいたします。
〔土居部会長代理〕平野委員、お願いいたします。
〔平野委員〕ありがとうございます。私からは財政総論について1点と、これまでの議論の中で特に賛成したい点について触れます。
まずは財政総論のPDCAの体制整備についてです。この財源が限られる中で、GX、防衛、子育てなどの財政出動を伴う新たな国家の施策に対応するためには、もちろん第1にはEBPMによって個々の施策の有効性を高めること、第2に政策の優先順位付けに基づいてスクラップ・アンド・ビルドを行い、国家的な資源配分を見直すこと、これが不可欠なわけですが、こうした財政運営の構造改革を行う上での基盤になるのが、施策の効果の評価・検証であることは論をまちません。
今回、これまで不十分だった検証体制を改善するのは大賛成ですし、行政事業レビューのフォーマットを改めるのも良いことなのですが、結局のところ、新たな資料作りで担当者が疲れ果てるだけということになったのでは意味がありません。
そこで、有効なKPIをどう設定するか、これは先ほどアウトカム指標をどう設定すべきかという議論が上村さんや堀さんからありましたが、そうした課題以外に、この制度の実効性を高める上でのポイントを三つ申し上げたいと思います。
一つ目は牽制機能です。現在、各府省による自己評価を総務省が取りまとめ、財務省も予算執行調査などで関与するということになっているのですが、これが本当に機能しているのかということを、まず問うべきであると思います。民間企業の内部統制・内部管理では、いわゆる三線構造がベストプラクティスになっています。すなわち第一線である現場の自己評価、それから第二線である独立的な組織によるチェック、さらに第三線としての監査という構造です。
国の場合、恐らく第三線に関しては、会計検査院がその機能を担うことが期待されているわけですが、必ずしも政策評価が十分にできているかは疑問に思います。ただ、今日の話の脈絡で言うのであれば、問題は第二線がはっきりしていないことではないかと思われます。
総務省と財務省がもし第二線になるのであるということであれば、その機能を強化する必要があるし、特に財務省の場合は自分自身で予算を承認したということもあるので、もしそれが難しいということであれば、何らかの形で独立的な政策評価組織を設けることを考える必要があるのではないかと思います。これだけの無駄が横行する中でワイズ・スペンディングを徹底していくためには、それくらいのリソースを新たに割いてもよいのではないかと思います。
二つ目は、制度を使う人の意識の問題です。幾らよい仕組みができても、活用する気がなければ何の役にも立ちません。よいチェックができても、本気でアクトする気がなければ、レビューの作業は徒労に終わるし、制度も無用の長物に終わるということです。
もっと言うと、最近、民間の内部管理、内部統制の鍵と言われるようになってきたカルチャーの問題があるのではないかということです。私のように民間企業で仕事を長らくしてきた人間にとって非常に不可解なのは、予算には全精力を使いながら決算はおざなりという財政運営の姿です。これは別に財務省のこと言っているのではなくて、各省庁も議会も同じです。カルチャーを変えるのに最も重要なのはもちろんトップの姿勢ですが、それが簡単でないと言うのであれば、先ほど申し上げた機関設計など、仕組みで対応するしかないのではないかという感じもします。
三つ目、人材の育成です。政策評価には、政策の立論とは違うエキスパティーズ、すなわちスキルが必要であると言われています。ただ、現実にはそうした人材が、先ほどの会計検査院も含めてあまりいないとも言われています。もちろん担当者の研修によるスキルアップは必要なのですが、要となるようなポジションや先ほど申し上げた第二線あるいは第三線に配置する専門人材を育成することも必要になるのではないかと思います。
これが私の財政総務に関する意見です。
また、皆様が活発に議論された中で特に私が賛成したいことを3点申し上げます。まずは、フューチャーデザインについてです。先日の小林さんの問題提起以来、非常に活発に議論が行われています。これは将来世代と現在の世代との利益の衝突を防ぐためのツールであると思います。
しかし、これを実際に具体化させることは簡単ではないと思います。今回、海外の制度を調べてみましたが、スウェーデンでは将来大臣、ウエールズには将来世代コミッショナーという制度があるということは分かりましたが、一部にみられる程度に留まっており、なかなか難しいことがうかがえます。ただ、ここはぜひ、具体的にどうするのかということを掘り下げていっていただきたい、ということは先ほど小林さんがおっしゃったとおりです。
2点目は、国際協力についての世論に関する5ページに関しまして、これも先ほどから複数の方が触れられましたが、最初に触れられた武田さん、それから安永さんの意見に賛成です。財務省では無駄を省くということに焦点が当てられており、これが重要な使命になっていますが、誤解を恐れずに言えば、同時に本来あるべき姿を言わば規範的な判断の軸として財務省には持っていただく必要があると思います。
それから最後にもう1点賛成したいのは、マイナンバーに関する安永さんの意見です。現に証券口座には全部付番されています。これから応能負担が重要になってくるということを以前何度か申し上げましたが、そのためには所得の把握に加えて、資産の把握も必要になってきます。それを実現するには銀行口座への付番という方法が最短距離であり、最適であると思われます。
これは政治的に非常に難しい面があることも分かっていますが、この点が財務省におけるマイナンバーあるいはデジタル化に関する最大の宿題ではないかと思います。もし付番ができないのなら、それに代わる制度を何とか考えるくらいのつもりで頑張っていただきたいと思います。以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、テレビ会議システムはあとお二方、福田委員、吉野委員、大変長らくお待たせしまして申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
福田委員、お願いいたします。
〔福田委員〕手短に、主として文教の高等教育に関して1点だけコメントさせていただきたいと思います。
基本的な御提案はそのとおりであると思います。ただ、大学というのは少し複雑な組織で、研究と教育、両方やるというのが大学の課された課題なのですが、それにはある種のトレードオフがあるという問題は少し御理解いただきたいと思います。すなわち研究が優れた教員が必ずしも教育でも優れているとは限らないし、逆もまた真なりという問題があることが難しいということであると思います。
その結果として例えば、不十分であるという御意見はあるかもしれませんが、最近は大学は教育にかなり力を入れている大学も増え始めているのですが、そうすると研究業績はあるが教育があまりうまくないのでなかなか仕事が見つからないという若手研究者なども少しで出てきていまして、ある私の知っている先生の学生が、非常に優秀で研究業績はあったのですがなかなか就職が決まらなくて、ある大学の先生に「なぜこの人は決まらないのか」と聞いてみたら、やはり「教え方が下手だ。だから採用しなかった」と、そうした問題もあります。
あるいは、ある私立大学の先生で研究業績は物すごくあるが、やはり教育が下手で大学の中で非常に不遇な目に遭っているという先生もいらっしゃいまして、そうした意味では教育も研究も両方大事であるという大学の中で、教育を主としてやる大学と研究を主としてやる大学のうまいすみ分け、あるいは人材のすみ分けという仕組みを少し工夫していただく必要というのはあるのではないかとは思います。
それから研究費に関して、金額の割には研究成果が上がっていないという御指摘はそのとおりであるとは思いますが、研究によって物すごくお金のかかる研究とそんなにお金のかからない研究というのがあって、それでも論文1本は1本であるという問題はございます。
私はたまたま今、クロスアポイントメントで理系の組織にも所属していますが、経済学部とは桁が全く違う研究費が飛び交っているような組織ですが、もちろん実際に無駄遣いしているというのは、1本論文を書くのに何億円、あるいは何十億円という研究費が必要であるという分野もあれば、そうではない分野もある。そうした中で、研究費当たりの論文数という議論は、もう少し分野別に細かく見ていただいたほうが、より成果を評価する上では大事であると思いますし、文科系などは研究費はそんなには要らないが、ないと困るという分野もありますので、そうした意味では分野ごとの考察ももう少し深めていただくというのはありがたいと思います。以上でございます。
〔土居部会長代理〕芳野委員、お願いいたします。
〔芳野委員〕ありがとうございます。初めに文教について2点申し述べたいと思います。
1点目は義務教育における教員の量的・質的な課題についてです。教員の量的充実度は先進国の中でも高い水準にあり、加配定数の更なる充実には慎重に対応すべきとありますが、教員一人当たりの業務負担は諸外国と比べて過大である点に留意するべきであると思います。事実、全国の教員が長時間勤務の実態にありまして、教育現場は限界の状況にあります。加配定数の合理化による財源を教員の質を向上させるために活用していくとありますが、まずは教職員の負担軽減に資する財源を確保し、学校の働き方改革を前進させることが魅力ある職場への変革による質の確保につながることを強調しておきたいと思います。
なお、新しい免許制度や採用方法によって成り手の発掘、育成に取り組むべきとありますが、現行の特別非常勤講師制度や特別免許状制度になぜ応募がないのかの検証も必要と考えます。
2点目は高等教育における修学支援制度についてです。地域や家庭間の経済格差が教育格差につながっており、奨学金などの制度検討に当たっては全ての子供の教育機会を保障することを前提に、社会全体の子供たちの学びを支えるという考えに立つことが重要です。修学支援制度の対象となる学生の一層の拡大と、大学院のみを対象としている所得連動返還制度の大学への導入も検討していただきたいと思います。
次に、外交について触れたいと思います。我が国のODAはGNI比0.34%にすぎず、OECDの求めている水準の半分にすぎません。ODAの精査も重要ですが、G7の一員として、戦略的活用を通じた予算拡充に取り組み、開発援助分野における国際的な責任を果たすべきと考えます。
最後になりますが、デジタルについて2点申し上げたいと思います。まずマイナンバーについてです。システム構成の見直しによって経費を抑えていくことも必要ですが、その前にマイナンバーカードの普及を図ることが先決です。個人情報管理体制の強化と安全性の周知を推進し、いまだ根強く残るマイナンバーカードへの不安や誤解の払拭に努めていただきたいと思います。
次に情報システム経費削減の方策としてのクラウドサービスへの移行についてです。データ主権、システム主権、運用主権など、経済安全保障の観点からも、コスト削減ありきではなく、慎重な検討をお願いしたいと思います。また、デジタル庁のホームページによると、現行のクラウドは全て外国製であり、国産のクラウドサービスの採用や人材育成の支援についても検討を加速していただきたいと思います。以上でございます。
〔土居部会長代理〕多くの委員の方から御意見を頂きまして誠にありがとうございました。
御質問も頂いておりますので、寺﨑主計官、佐久間主計官、中村次長の順でお答えを頂きたいと思います。手短にお願いいたします。
〔寺﨑主計官〕お時間もありますので、一言ずつお答えしたいと思います。
中空委員から、大学の支援について様々な財布があるが、どう整理されているのかという御質問がありました。おっしゃるとおりでございまして、様々な支援についてはそれぞれの趣旨が当然あるわけでございますが、一方で、それぞれどういう特徴の大学にどの程度の規模の支援が実際に行っているのかということについては、やや見えないような状態になっておりますので、この見える化、それから実際のメリハリづけについて、今後よく検討していきたいと思っております。
それから、トップ10%論文のほかに指標があるのかという御質問がございましたが、これも引き続き勉強したいと思いますが、一方でなぜ研究力がいつまでも向上しないのか、同様の問題意識は木村委員や秋池委員からもお示しされたと思いますが、これは、すみません、やや個人的な意見になってしまいますが、今日の資料に書かせていただいているとおり、やはり研究主体の体質があまり変わっていないということがあるのではないかと思っています。例えば人事が硬直化しているとか、民間資金の獲得も小規模な事業にとどまっているとか、そうした体質を変えていくことを予算でドライブしていくということも必要ではないかと思います。
それから田近委員からややお答えしにくい御質問がございましたが、論点に漏れはないかということでございましたが、本日もいろいろな意見を頂いていますので、論点に漏れがないとはさすがに言えないと思っております。
一方で、今回ある程度関連性の強い論点については示させていただけたと思っていますので、より肉づけをしていきたいと思っております。一方で、それをどう実現していくかということなのですが、今回お示しした話の中でも、例えば働き方改革とか、研修の充実のような話については予算のメリハリをつけやすいということで財務省から言っていきやすい話ではあるのですが、一方で資格や採用の見直しになりますと、今この瞬間、どうやって予算措置していくのかということは今のところ念頭にないということですので、全体としてどういう絵を描いて実現していくか、これもよく議論していきたいと思っております。
〔佐久間主計官〕続けて佐久間でございます。まず、中空委員から途上国の債務問題の御質問がありました。スリランカのハンバントタ港等で有名な債務のわな問題の関係もございますが、議論が深まっていったのは、コロナになって途上国の債務が大変であるということになりまして、最初は財務トラックで債務支払猶予イニシアチブというものを2年前に作りまして、でもやはり再編まで必要だろうということで、去年、いわゆるパリクラブに入っていない新興国も含めて共通枠組、コモンフレームワークを作ったところです。
しかしながら、実際チャド等でやってみると、G20で合意したスキームなのですが、実施してこない主要な国があるということで、姿勢・態度は多少変わっているものの、なかなかうまくいっていないというのが現状でございますので、引き続きそこはパリクラブに入っていない国を含めて、どのように途上国のためにやっていくかというのをIMF等とも連携してやっていくことが課題になっております。
COPでも同じようなことが言えるわけでございますが、少し離れますが、まず保健分野などでは国内資金動員、いわゆる先進国のお金に頼らずに保険料や国内の税でどうするかといった議論も国際的になされているところです。
6ページのところで、冨田委員から、この研究には円借款、有償が含まれているのかというものがございましたが、結論から言うと、含まれた上で計算されています。また別の研究では、有償に限れば返済が必要なので、きちんと使われて成長にはプラスという研究もありますし、右下の戸堂先生のところにもありますが、一般的に東アジアのODAは成功したと言われている中の一つにやはり円借款、成長の度合いもありますが、というのはあるというようなことも言われております。
最後に横田委員から7ページの個別事業の評価のやり方でございますが、10億円以上の事業については外部評価を行っております。2億円から10億円未満のところはJICAの現地事務所が行っています。一義的には今後事業をやる上での教訓にいかにしていくかということで、まとめている資料もありますが、見やすいかというところはいろいろ課題もあるかと思いますし、御指摘が神子田先生からもあったとおり、そもそもその事業でどういう事前の意思決定だったのかという点は、より今後事業を作る上での緊張感になって、有益ではないかなという問題意識も、改めて本日御指摘いただいてごもっともであると思った次第です。以上です。
〔中村次長〕最後に、フューチャーデザインでございます。多くの委員から御意見を頂きましてありがとうございました。改めて、提起していただいた小林慶一郎委員には感謝をいたします。
また、小林毅委員から、特定の方向に誘導しないようにどういう点に留意しなければいけないのかという御質問を頂きました。まさにフューチャーデザインの特徴の一つは、将来世代を見える化することと、特定の方向へあらかじめ議論を誘導するのではなくて、いろいろな観点から議論をしていただいて、その結果、共通点や相違点を明確化するというのがポイントでございますので、最初から意図的に誘導することは全くあってはいけないと思っています。
では、それをどうチェックするかということでございますが、幾つか申し上げますと、一つはこの分野は相当学術的にも蓄積が出てきております。小林慶一郎先生からも何人か学者の方を紹介していただいていますので、そうした方のアドバイスはぜひ必要であると思っています。
また、どなたかからありましたが、どういう場面設定をして議論していただくかという素材が大事であると思いますが、これをオープンにしていくことが大事だと思います。また、当然財務局もいろいろな形で議論に参画していきたいし、オーガナイズしていきたいと思っていますが、多様な参画がすごく大事であると思っています。多様な参画というのは、参加者だけではなくて、そうしたフューチャーデザインの会議を主催する人が、役所側だけではなくて、国だけではなくて、自治体であるとか、大学であるとか、その他NPOなどにどんどんオーガナイズをしていただいて、そうしたものを集めていくというところが、特定の議論に特化しないという面では非常に大事ではないかと思っております。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、お時間を超過してしまい誠に申し訳ございませんでしたが、以上をもちまして本日の議題は終了とさせていただきます。
本日の会議の内容につきましては、会議後の記者会見で御紹介をすることとさせていただきます。詳細につきましては、後日、委員の皆様に御確認の上、議事録を公開させていただきますので、それまでは個々に、会議の御発言内容につきまして皆様方から報道関係者等に対してお話しすることのないよう御注意をお願いいたします。
今後のことについて御紹介させていただきます。次回は11月17日木曜日15時から財政制度分科会を開催し、建議の素案につきまして審議をする予定にしております。
建議案につきましては、私も含め、起草委員で議論をし、既にお送りする準備が整っているパートは速やかに事務局から委員の皆様にお送りいたします。また、今日の議論もそうですが、それ以外のパートにつきましては、本日の議論も踏まえまして、明日、起草委員会を開催する予定ですので、議論の上、速やかに案文をお届けいたしたいと存じます。
委員の皆様におかれましては、タイトなスケジュールとなりまして誠に恐縮でございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日はこれにて閉会いたします。御多用中ありがとうございました。
午後3時45分閉会