財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会
議事録
財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会議事次第
令和3年10月20日(水)10:00~12:10
第3特別会議室(本庁舎4階中-412)
-
1.開会
-
2.議題
社会資本整備について
農林水産について
外交、デジタルについて
-
3.閉会
部会長 |
増田寛也 |
水口政策立案総括審議官 奥次長 坂本次長 阿久澤次長 八幡総務課長 大久保司計課長 藤﨑法規課長 吉田給与共済課長 大沢調査課長 渡邉主計官 三原主計官 福田主計官 坂口主計官 高田主計官 有利主計官 一松主計官 田中主計官 野村主計官 北尾主計官 渡辺主計官 山岸主計企画官 鈴木主計企画官 |
||
部会長代理 |
土居丈朗 |
|||
委員 |
赤井伸郎 遠藤典子 佐藤主光 武田洋子 中空麻奈 宮島香澄 |
|||
臨時委員 |
秋池玲子 上村敏之 河村小百合 木村旬 熊谷亮丸 小林毅 末澤豪謙 田近栄治 田中里沙 冨田俊基 広瀬道明 福田慎一 別所俊一郎 堀真奈美 神子田章博 |
|||
オブザーバー |
神津里季生 十河ひろ美 平野信行 |
午前10時00分開会
〔土居部会長代理〕皆様おそろいですので、時間の前ではありますが、本日の会議を始めさせていただきたいと思います。本日は冒頭からカメラが入りますので、そのままお待ちください。
(報道カメラ入室)
〔土居部会長代理〕ただいまから、財政制度等審議会財政制度分科会における歳出改革部会を開催いたします。
皆様、御多用のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。歳出改革部会においては、より少ない人数で、各歳出分野における予算編成上の各論について集中的に審議を行いたいということで、財政制度分科会における建議につなげたいと考えております。
また、歳出改革部会の議事進行につきましては、増田部会長の代わりに私、部会長代理の土居が務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、社会資本整備、農林水産、外交、デジタルを議題といたします。
それでは、報道関係の方は御退室をお願いいたします。
(報道カメラ退室)
〔土居部会長代理〕それでは、社会資本整備の議論に入りたいと思います。
まず、北尾主計官から、簡潔に御説明をお願いいたします。
〔北尾主計官〕ありがとうございます。公共事業担当主計官の北尾でございます。それでは、資料に沿って御説明させていただきます。
1ページ目ですが、今後の社会資本整備に向けた課題と視点ということで、3点、まとめております。1点目が防災・減災対策、2点目が生産性の向上、その他の効率化、3点目が老朽化対策という3点にまとめております。
おめくりいただきまして、2ページ目です。こちらのグラフ、以前の財審でも御紹介させていただいたことがございますが、青色が全人口の増減率、赤が洪水浸水想定区域内の人口増減率を比較したものです。青に比べまして赤色のほうが、人口が増えている。県によっては、青色、全人口は減っているのに、リスクが高い土地の人口が増えている、そうした土地に人口が集まってきてしまっているということが表われたグラフです。
近年の防災・減災対策、各種の取組が進んでおりますが、それらの取組を、全体的な視点、こうしたリスク土地の人口等を軸に評価していく。それで、取組を改善していく、そうしたPDCAサイクルを確立いたしまして、人口動態等も踏まえた、より中長期的な視点で、総合的な取組としていく必要があるのではないか、こうした視点の提示が今回のテーマの1つです。
それとともに、そのような視点の前提となる地理的条件による災害リスクの高低、面積・人口、行政的な区域指定の関係を把握すること、そして国土政策的な観点を踏まえて取り組むことが重要なのではないかということを提案しております。
3ページ以降になりますが、こちらはそれぞれ防災・減災の取組、進んでいるわけではありますし、良い方向には行っておりますが、もう一歩ずつ、こうした部分に踏み込んではどうかという、個別の取組の御紹介をさせていただきます。
まず、ハザードエリアの指定、ここ10年で大きく進展してはございます。ただ、一方、市町村の監督の下で、介護施設等の要配慮者利用施設に義務づけられております避難確保計画の策定を行われてないものが3割強あったり、それから避難支援者、警察とか消防といった者に対して、名簿の提供をしていない市町村も1割強存在していたりするという状況がございますので、例えば、次の4ページで触れておりますが、そうしたソフトの対策をきちんと行っていない地域に対しては、ハード整備におけるディスインセンティブを設けるといった運用改善等も必要ではないかということでございます。
それから、5ページになります。浸水被害防止区域等の指定促進ということで、こちらはいわゆるイエローゾーン、レッドゾーンを指定する法律が今年の4月に改正されまして、現在は、この法改正に基づきまして、各自治体で条例制定、それからそれに基づいて、実際にイエローゾーン、レッドゾーンの指定を行うという段階に入っております。これは引き続き取り組んでもらう必要があるのですが、このような執行面、指定に向けた自治体の方針を、ハード整備支援に当たって勘案していくべきではないかということでございます。
それから、次の6ページでございます。流域治水プロジェクトにおける指標の設定、こちらは全ての一級水系、それから一部の二級水系において流域治水プロジェクトを策定されている。これは非常に望ましい動きではあるのですが、この各プロジェクトの中でも、ソフト対策、まだまだ整っていないところ、ばらつきがあるところございますので、このようなプロジェクトにおいても、やはりソフト対策に積極的に取り組むプロジェクトに対して、ハード整備支援を重点化すべきであろうという提言です。
おめくりいただきまして、7ページ、そのうちの1つに立地適正化計画がございますが、その中で、防災指針の作成を進めていくべきであるとともに、防災指針の中においては、災害リスクが高い地域の居住人口が相対的に減少するような目標を設定していくべきであろうという提言です。
それから、おめくりいただきまして、8ページです。そのような各種の行政的な措置とともに、それも含めて災害リスクを軽減するための個人・企業等へのインセンティブも併せて考えていく必要があるだろうということ。こちらも以前の財審でお示しした資料ですが、例えば右下の損害保険料は、今のところ、災害リスクが高いところも低いところも同じ保険料率、一律の参考純率となっておりますが、現在、金融庁で有識者会議が開かれておりまして、これもある程度災害リスクに応じた保険料率としていくべきではないかという議論が進展しておりますので、これも御紹介させていただければと思います。
9ページになります。このように各種の取組、それぞれもう少しずつ踏み込んでほしいところはあるのですが、全体として、もちろん良い方向に進んでいることは間違いないです。ただし、全体的な視点から、その取組が十分かどうかといったことを評価して、更に改善していく、こうした視点、全体的なプロセスを確立していくべきなのではないかというのが今回の提案です。
ここで言いますと、「政策目的:より多くの人がより災害リスクの低い土地に居住し生活すること」、これを目標といたしまして、災害リスクの高い土地の人口等によりまして、各種の取組を評価・改善していくということですし、そのような中では、現在の行政的な区域指定が、地理的条件による災害リスクや人口動態等の観点から、今居住している場所にインフラを維持して住み続けることが良いのか、それとも近隣により災害リスクが低い土地があるのであれば、全部でなくとも一部なりとも移転したほうが、より中長期的な観点から見れば合理的なのではないか、そうした比較較量をきちんと行っていくことができるのではないか。
それから、各区域の開発規制等の内容が妥当かどうか、規制を強化すべき部分はないか。ほかの政策誘導手段、保険料率などもそうですが、改善の余地はないか、こうしたことを検討していくべきではないかということ。
次の10ページですが、このような視点で検討を行っていく上で必要となるのが、基礎となる国土政策的な視点は欠かせないのではないかということでありまして、1つには、災害リスクの低い土地の面積が十分かどうか。我が国の国土は4分の3が山地、山ですし、主に人が住むのはそれ以外の平地、台地、4分の1のところです。その中でも、地理的条件による災害リスクの高低、その面積・人口を把握する、行政的な区域指定との関係を把握する、こうしたファクトをまず押さえておく必要がありますし、特に必要なのは、低リスクで未利用・低利用の土地がどこにどれくらいあるかということ、その土地に住むとなったときに、どのくらいのインフラを整備すれば住むことができるような土地になるのか、そうしたものを把握した上で、中長期の視点で生かしていく。例えば、後で出てきますが、事前の復興計画をつくる際に、そうした情報をきちんと把握しておけば、現地で、例えば下水道のポンプや砂防堰堤といったインフラを大量に整備するのではなく、一部でも低リスクの土地に住むことができれば、地形によってはそのほうが合理的、より安全ではないか。こうした検討をするために必要な情報ということであると思います。
それでもやはり低リスクの土地、面積十分でない、足りないという場合もあると思いますので、そうした場合、中リスクの土地に居住する場合の条件ですとか規制の在り方といったものを考えていくべきであろうと。
東日本大震災からの復興のときには、例えば三陸沿岸の災害公営住宅、1階部分はピロティー、人が住むのは2階以上、こうした建て方もしておりますので、いろいろとそうした面で検討していく余地があるのではないかということです。
11ページです。このベースとなる地理的条件による災害リスク評価ですが、まず、国土地理院による測量結果による地形分類がございます。これは全ての平地、台地を現時点でカバーできているわけではありませんので、計画的にこうしたものを進めていく必要があるでしょうということ、それから各種の浸水シミュレーション等の結果、過去の災害履歴、土地の履歴など、こうしたものを勘案して、リスク評価のベース、マップをつくっていく必要があるでしょうということです。
12ページ以降になります。これがどういう場面に生かされていくかを、具体的に想定したものが次です。例えば事前の復興計画、もし災害があった場合に、どの場所で、どういうまちをつくって復興させていくか、この計画段階に、例えば国交省が各市町村にアドバイスをする、それも地理的、国土政策的な観点を踏まえて、近隣にどれくらい土地があるかないか、そうしたものを踏まえて、事前復興計画をつくってくださいというだけではなくて、その計画の中身にアドバイスしていくということが、意味あることなのではないかと思います。
次のページです。こうしたことを行うことによって、従来ですと、例えば左側、青字の災害復旧、元に戻すというだけの対策ですが、例えば真ん中にあるように、一部移転も含めた形での復興まちづくり、これをより円滑にスムーズにできるのではないか。これに併せまして、例えば右側にありますように、そうした取組が行いやすいようにインセンティブを強化していく、こうしたことも考えられるのではないかということです。
次の14ページです。こちらの立地適正化計画の中において、立地適正化計画はある意味、中長期のまちづくり計画と見ていいものであると考えておりますが、この中で、例えば居住誘導区域、人々はここに住みましょうという区域の中にイエローゾーン、レッドゾーンも含まれてしまっている、こうした現実を前回の財審でもお示したことございますが、例えば中長期の観点で考えれば、人口は2割、3割減っていくことが見通せるわけですので、その場合には、まちの居住地面積を縮小してコンパクトにしていくときに、どの部分を縮小していくか、こうしたことを中長期の計画の中でぜひ考えていただきたいと思いますし、それを考える上でベースとなるものとして、やはり国土政策的な視点というか地理的な情報が欠かせないのではないかと考えております。
最後15ページ、もう1回まとめとして同じ紙を示しておりますが、災害リスク、土地の人口、こうした評価の軸に基づいて各種取組を評価していく、このプロセスを確立していく、この前提として、国土政策的な視点を踏まえていく、こうした提言でございます。
これが、1つ目の、最初の防災・減災対策です。
2つ目、生産性の向上、効率化です。
17ページをお開きいただきまして、まず生産性、建設業はなかなか伸びてないところもありますし、恒常的な人手不足ということもありますので、どう生産性を伸ばしていくかは常々課題になっているところですが、これも建設現場等のより需要サイドの視点からの新技術の応用、必要な技術の見極めが重要ではないかという留意事項。それから、引き続き自動化等を通じた生産性の向上、インフラの効率的活用の推進が必要ではないかということ。それから3点目として、ほかの行政分野の政策目的・効率化に資するインフラ整備、インフラによるインセンティブづけ、後押し、こうしたものを進めていくことが必要ではないかということです。
18ページ、生産性向上の取組です。これまでも自動化施工ですとか、ドローンを活用した維持管理など、新技術の応用は行っておりますし、引き続きこれを進めていくべきであるということ。
19ページは、BIM/CIMといいまして、3次元モデルを活用した設計・施工ということです。こうしたものも進展していけば、各工程での時間とか費用も分かってきますので、これを活用して、例えば積算単価に反映していくといった取組も可能であろうということです。
ただ、20ページになりますが、このようなi-Constructionを進めていっても、必ずしも現時点でコストの縮減とか生産性向上に結びついてないところがあります。これも新技術だから絶対正しいから一律全員やることが正しいというわけではなくて、例えば中小の業者さんですとか、そうしたところではフルにBIM/CIMを使うことは難しいようなところもあると思いますので、その辺、特に現場に応じて、どのように適用することが良いのかをよく見て、目的はあくまで生産性の向上、コスト縮減であるということを意識して取り組んでいただきたいという提案です。
それから21ページ、執行の平準化です。これも建設業が持っているキャパシティ、きちんとフルに活用できるかどうかという重要な課題です。こちらも国庫債務負担行為等を活用しまして、可能な限り平準化した円滑な執行が、工事の出来高を上げていくという観点からも必要なことであると考えております。
それから22ページ、こちらからは各個別分野での生産性向上を取り上げております。ここでは港湾の例です。諸外国、自動化が相当進んでいるという状況がございます。この点、日本の港湾は自動化が相当遅れておりまして、右側、真ん中あたりの表であるとバツ印がついているところが大半であると思いますが、港湾の自動化を一層進めて、生産性を向上させていく必要があるだろうということ。
それから23ページ、こちらはまた別の切り口ですが、民間資金、民間活力を導入したインフラの効率的な整備・活用ということで、例えばバスタプロジェクト、バスターミナルです。こちらも、公共部分、バスターミナル部分と、それから収益施設ですとか商業施設、こちらは民間資金で活用していく、民間はそこで営業して収益を上げていく。こうした形で、インフラの効率的な整備が可能ではないか。また、こうしたものを核として、今後将来的には自動運行バス、これも人口減少下での地方での地域公共交通を考えれば、自動運転ということも避けて通れない課題であろうと考えております。
それから、24ページ以降ですが、こちらはほかの行政分野での効率化を後押しするようなインフラの使い方ということでありまして、単に1つの市町村区域の立地適正化にとどまらず、広域的な視点での立地適正化を進めていく上で、インフラによるインセンティブづけを活用できるのではないかということです。
例えば、25ページになりますが、複数の市町村が1か所に、医療施設や学校施設を集約する場合に、インフラの側でも施設整備の補助金、これは補助限度額を少しインセンティブづけして上限額を上げてあげるとか、そうしたことが可能なのではないかということです。
26ページは、実際に病院ですとか小中学校を統合した事例ということで紹介してございます。
それから27ページになりますが、交通安全対策など、他の行政目的を達成していく上で、インフラが後押しできるのではないか。例えば、適切な速度規制ですとかエリア規制をしく場合には、インフラも一緒にガードレール等の整備を行っていく、こうした形での対策が有効なのではないかということ。
それから、28ページですと、今度はそうした規制の中で、どういう部分でどういう規制を行うことが適切かを検討する上で、インフラ側が持っている、例えばETC2.0によるビッグデータなどを活用して、適切、合理的な規制を考えることができるのではないかという事例でございます。
それから、29ページ以降ですが、最後3つ目は老朽化対策ということです。これも継続的な課題ですし、今後、維持管理・更新費が増えていく中で、人口は減っていってしまう、1人当たりの維持管理・更新費が増えていくと、どういう対策ができるかということです。
31ページ、例えば、国交省でインフラ長寿命化計画がございますが、このような中で、単にコスト縮減一般ということだけでなく、施設の集約・撤去等の数値目標ということも記載して取り組んでいくべきではないかということ。
それから、そのような事例の中で、例えば32ページですが、施設の集約・撤去にもB/Cをうまく活用できるのではないか。B/Cは、どちらかというと今まで新たに道路をつくる、橋をつくる、そうした場面で活用してきておりますが、例えば3つも4つも近隣に橋がある場合に、1つ減らしてもよいのではないか。そうしたときにB/Cを活用していく、こうしたことが考えられるのではないかということです。
それから33ページは、河川・海岸・港湾の老朽化対策ということで、これまで一括の交付金の中で、維持管理費を配分して、メンテナンスを行っているところですが、交付金をどこにでも配分できるとなると、どうしても新しいものをつくりたくなるのが人情ですが、そこを交付金の形ではなくて個別の維持管理の目的だけに使える補助金に切り替えていく。それによって、適切に老朽化対策を行ってもらえるようになるのではないか、こうした提案です。
それから最後、34ページになりますが、民間資金を活用したインフラの再整備です。これは一部の公園施設、老朽化した場合に、民間に貸し出す、民間は自分たちのお金で、例えばカフェ等の収益施設を建てて、周りの整地も行う、例えばそうしたことで、カフェを営業して収益を得て、整備費分を回収する。それから、公共の管理者側としても、きちんと良い施設をつくってもらった上で、ウィン・ウィンの関係が成り立つ、こうした事例もございますので、これは公園だけではなくて、ほかのインフラ分野でも、同じような手法を活用できるところは活用していくべきではないか。こうした提案でございます。
以上、主に3点まとめさせていただきました。私からの説明は以上でございます。
〔土居部会長代理〕御説明、どうもありがとうございました。
本日は、赤井委員、安永委員より本テーマに係る意見書を御提出いただいております。お手元にお配りしておりますので、お目通しいただければと思います。
なお、安永委員からは、外交、デジタル、農林水産についても併せて御意見をいただいております。
それでは、ただいまの御説明に関して、委員の皆様から御意見、御質問などを頂戴したいと存じます。会場におられる委員の方は、御意見、御質問がある場合には、ネームプレートを立てていただければ幸いです。また、テレビ会議システムを通じて御参加いただいている皆様には、御意見、御質問がある場合は、挙手するボタンをクリックしていただきたく存じます。
なお、今回は御出席いただいている委員の人数が多く、限られている時間の中でできるだけ多くの方に御発言いただくため、御発言は手短に2分以内でお願いいたします。
それでは、まず、会場から5名ほど、それからテレビ会議システムから5名ほどの順番、そして、また会場に戻って5名ほどというような形で、御指名をさせていただきます。会場にいらっしゃる皆様には会場備付けのマイクをオンにしてから御発言いただき、御発言が終わった後オフにしていただきますよう、よろしくお願いいたします。それから、御発言いただく際には、マイクにできるだけ近づいていただいた上、差し支えなければ、マスクを外して御発言をいただければと思います。
テレビ会議システムを通じて御参加の委員の皆様には、テレビ会議システムのミュートを解除していただいて御発言をいただき、御発言後にはミュートに戻していただくようにお願いいたします。
それでは、まず、こちらから、私の右側からで平野委員から順番に、中空委員までひとまず、会場から御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
〔平野委員〕ありがとうございます。先ほどから御説明いただいたとおりで、人口減少が加速する中でインフラは老朽化する、激甚災害も頻発するという状況を踏まえると、地方における都市政策と、それから社会資本整備を最適化、オプティマイズすることが今後のテーマであると思います。今日御説明いただいた内容からは少しはみ出す部分があるかもしれませんが、今申し上げた観点から2点ほど、意見を申し上げたいと思います。
1点目、コンパクト化の推進です。インフラの維持更新費用の抑制に加えて、自治体サービスの効率化、それから減災・防災、高齢住民の利便性の向上を進める上で鍵となるのは、やはりコンパクト化であると私は思います。しかしながら、現実には立地適正化計画の進捗状況ははかばかしくありません。国も、この計画を推進する自治体に対しては財政支援メニューを用意してきたわけですが、これまでの様々な事例から得た教訓に基づいて、今後の方針を明確化すべきであると思います。
具体的には、官主導でまちの中心部を振興するという発想から箱モノの大規模開発を行ったような失敗事例が相次いでいます。これを回避する一方で、例えば、評価はいろいろありますが、富山市のような公共交通の活性化と沿線地区への居住推進を軸とした、先ほどもお話ありましたが、民間の力を利用し、かつ計画的に面での地域振興を進めるような取組を軸に、自治体に対する支援を強化すべきではないかと思います。
2点目、今日は触れられませんでしたが、無秩序な郊外化という問題があります。先ほどの富山市のように、一部うまくいったところでも、都市部の集約と並行して郊外開発が進んでしまって、それが結局、中心部の商業振興の阻害要因にも今でもなっているというような問題もあるということです。この問題は、補助金などのインセンティブだけでは恐らく限界があるので、規制やディスインセンティブとの組合せが必要になるのではないかと思います。
2つのアプローチがあるのではないかと思います。1つ目、多くの自治体で公共施設等総合管理計画が策定されているわけですが、将来の人口規模に合わせたインフラの再編にまではまだ踏み込めていない。道路、病院、学校、上下水道なども含めて公共インフラの将来計画を、無秩序な郊外化を抑制する力として活用できないか。時間はかかりますが、将来、公共インフラへのアクセスが悪化することが予見可能な地域への人口移動を抑制する効果があるのではないかと思います。
2つ目は、コンパクトシティーの先進地域であるドイツとかフランスに学べないのかということです。ここは全土にわたって厳しい土地の利用制限措置が課されている。一方、日本の場合は自治体が条例によって規制をむしろ緩和して、開発を容認した結果、無秩序な郊外化を招いているということなので、そうした事態を抑制するために、立地適正化計画の誘導手段に、都市計画法にある規制手段をうまく結びつける等の措置ができないか。もちろん私権の制限という問題がありますので、難しいところはあると思いますが、欧州の法制度を参照してはどうかと思います。
いずれにしても、この問題は一筋縄ではいかないし時間もかかる。ただ、課題は先ほどからもおっしゃっているようなポイントも含めてはっきりしているので、今から先を見越して、硬軟取り混ぜた中長期的な計画、施策の立案を講じていくべきであると思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕秋池委員、どうぞ。
〔秋池委員〕2点ございます。1つ目に、防災・減災のことですが、災害リスクが低い土地の面積は十分かという問いを立てていただいておりました。これは、十分であると考えるべきではないかと思っておりまして、日本は、この瞬間、人はまだいても、この先人口が減っていくということや、空き家問題というのも非常に大きな問題になっていまして、今、平野委員のお話にもありましたが、町を広げ過ぎないというか、今いらっしゃる方に動いてもらうのは難しいと思うのですが、新しくつくるところをこれ以上広げないということは非常に重要であると思います。一たび人が住み始めてしまうと、何かがあったときには、そこに手当てをしなければいけなくなるということで、財政に対して負担になってまいります。また、将来傷んだときに、そのインフラをどうするかという課題も生じてきます。これ以上広げないということは非常に重要な、強い手段ではないかと思います。そのために、ディスインセンティブという言葉が今日の御説明の中にもありましたが、そうしたことを見ていくことの重要性を感じます。
2つ目は、老朽化についてですが、これも人口が減っていって過疎になるということは、インフラにとっては非常に維持が難しくなる上に、インフラアセットが老朽化していくということがある中で、まちづくりの長期構想をつくることが非常に重要であると思っていまして、交通のこともそうですし、それから医療・福祉や教育、そして上下水道・道路、災害対応といったことも含めて、例えば2050年くらいまでの人口の、その地域の動態や人流を念頭に踏まえて、身の丈に合った計画をつくることが大事であると思っています。民間資金の活用も大事なことではあるのですが、民間は事業性がなくなると撤退してしまうということがあって、まちの真ん中がぽかんと空いてしまうようなことも起こりかねませんので、やはり長期の目で見たときに、しかも、いろいろなものを併せた形で計画を立てて、お金を無駄に使わない、あるいは産業を超えて両方あれば、一緒にすれば回るようなこともあると思いますので、そうしたことが非常に重要と考えます。
以上です。
〔土居部会長代理〕武田委員、どうぞ。
〔武田委員〕御説明いただきありがとうございました。
前半の1つ目ですか、災害リスクの高いところには原則として住まない、ハード整備におけるディスインセンティブの活用、事前の計画、については、全て賛成の立場です。
くわえて、自然災害だけではなく、本日の議論にもございましたとおり、人口減も踏まえた、総合的な国土政策の推進をお願いしたいと思います。そのためには、私もコンパクト・プラス・ネットワーク、これを改めて推進していく必要があると思います。
具体的には、4点あると考えております。1点目は、本日も御説明いただいた民間資金の活用、PFIをうまく活用していくということ。2点目は、ハードよりもソフトを促すために予算を使う、あるいは規制を緩和していく。そして3点目は、データや技術をうまく活用する。住む場所という意味では、住民の合意形成が鍵になると思いますが、ビジュアルに見せることで合意形成が進むといったメリットも、これまでよりは増えているのではないかと思います。4点目、総合的な国土計画を推進するには、1省だけではなく省庁横断で取り組む必要があると考えています。
今回、コロナで明らかになった医療の機能分化連携の問題、近年の災害の問題、少子高齢化による住まいの在り方、様々な問題が出てきている中で、それらを総合的に、省庁横断での取組にぜひつなげていただきたいと考えます。
以上です。
〔土居部会長代理〕熊谷委員、お願いします。
〔熊谷委員〕御説明ありがとうございました。
何点か申し上げたいのですが、まず、1点目としては、16ページ目以降で、建設業などの生産性向上ということで、ITの活用などが掲げられていますが、これは我が国の産業政策の観点から見ても極めて重要であるということを申し上げたい。今後、日本の産業で、どこに商機があるかといえば、いわゆるハードですとかリアルと、それからソフトですとかバーチャル、このハードとソフトの融合、リアルとバーチャルの融合ということで、製造業、建設業と、IT、AI、ハイテクを融合させることによって、GAFAに対抗することができる。今まさに東京大学の御膝元である本郷バレーなどで、こうしたことが徹底的に行われております。建設業におけるITの活用は、これから日本で、ある意味最も勝機のある分野であるということを踏まえた上で、徹底的にITを活用していただきたいということが1点目です。
2点目としては、インセンティブづけ、それからディスインセンティブづけが重要であるということで、8ページで災害リスクを軽減するためのインセンティブというお話がございますが、これは前回も議論が出たかと思いますけれども、災害リスクが低くて安全な場所に居住地を誘導する形で、例えば固定資産税などを、財政当局の立場から活用することが可能かどうかということなども、検討する必要があるのではないかと考えます。
3点目としては、規制と、それからディスインセンティブ、インセンティブのバランスが重要であって、先ほどまさに平野委員から御説明ございましたが、都市計画法などとうまく結びつけることが、極めて重要であると考えます。
4点目として、これは従来から出ている意見ですので、確認ということで、簡単に申し上げますが、やはりソフトとハードを一体としてPDCAサイクルを回すということが非常に重要です。その際、費用便益分析が甘いことが往々にしてあるわけですから、例えば事後的にペナルティーを科すことを事前に決めておくですとか、もしくは補正予算はどうしてもチェックが甘くなりますので、なるべく必要な予算は当初で組んでいく、そうしたことがポイントになると考えます。
最後、5点目としては、24ページ以降で御説明いただきましたが、やはり複数の自治体が連携して、広域でやっていくことが肝要です。
以上、5点ほど申し上げました。ありがとうございました。
〔土居部会長代理〕中空委員、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。
時間もあまりないので手短にいきたいと思います。2点だけです。
私は、バランスよくいきましょうということよりは、どちらかというと、今までバランスよくやり過ぎたために偏った部分を捉え、規制を厳しくしましょうということを、あえて申し上げたいと思います。
2ページにあるのは衝撃的な絵だと思います。全人口増減率よりも洪水のリスクの高いところに人がより高い比率で流入して住んでいるということはすでに何回か見せていただきました。こうした兆候は全く変わっていないということを考えると、レッドゾーンと言っている意味がどこにあるのだろうか、と思わざるを得ません。たとえば、レッドゾーンだったら人は住んではいけないというような、強制するような規制があってよいのではないか。こうした強制力が時には必要だ、ということを、私たちはコロナで十分学んだのではないかと思っています。必要な措置のため、強制力、行政力をどうやって発揮するか、ここが1点。
それからもう1点は、先ほど来皆様おっしゃっていますが、リニアモーターカーもできるし、リモートワークの進展もあり居住地が広がるという点です。国土・土地利用政策のようなものを、国がこうしたものであると指し示さないといけないときが来ているのではないかと思います。基本的に、どこにでも住んでよいと自由・寛容にしていると、国や地方自治体がそこに住んでもよいと言っている、いわばお墨付きを付けているのと同じようなものである、ということになると思います。居住地の広がる際に、ここはレッドゾーンだったらレッドゾーンなりの厳しさが必要になってくる、ということを明示しなければいけない。グランドデザインが必要だ、ということです。
以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、続きまして、テレビ会議システムで御参加の委員に御発言いただきます。河村委員、福田委員、上村委員、神津委員の順にお願いいたします。
それでは、河村委員、お願いします。
〔河村委員〕御説明ありがとうございます。
3点申し上げます。防災・減災の取組の方針は賛成でございます。ただ、実際に御判断なさるのは市町村であると思うのですが、やはり現場と直面されるとなかなか、思いとどまってしまうというか、住民の方のいろいろな意味での抵抗とかもあるかもしれませんし、しかし、そこで揺るがないような判断ができるような支援を国としてもできるようにということで、ぜひ国土交通省と一緒になって考えていくことが必要なのではないかと思います。
次に、効率化のところで御説明くださった立地適正化、25ページあたりですが、こことの絡みでですが、要配慮者利用施設という話が全体のところでは出ておりましたが、やはり立地適正化を考えるときには、いろいろな災害対策をやっているところもありますので、25ページですと、医療施設とか学校施設が出ていますが、やはり今までのいろいろな災害で、介護施設、病院、学校などが大変な目に遭っているということを、私たちも本当に報道を通じて目の当たりにしたわけですが、こうしたところの施設を特に、ではどうやって、少しでも災害リスクの少ない土地に誘導していくことができるのかということを、やはりきちんと対応を考えていく必要があるのではないかと思っております。
最後3点目、老朽化対策のところも、いろいろ評価の仕方を変えることでやっていくことは賛成でございます。今回は主として土木構造物の件の老朽化対策というお話だったのですが、少し今回の範囲を超えてしまうかもしれませんが、やはり本来は民間が責任を負うべき、民間社会資本ストックの老朽化対策ということも考えていかないと、かなり無責任にいろいろ、例の高層マンションとかタワーマンションとかも含めてですが、壊せるかどうかも分からない、整備もできるか、修繕の計画をどうやってよいか分からないような状態のものが、どんどんこの人口が減っていく国の中で建てられて、なかなか自己責任できちんとやっていただけないような状況になってきつつある。これをそのまま、下手すると、行政のほうが対応を迫られるというようなことにもなりかねないと思いますので、今後また機会がありましたら、そうした方面、民間社会資本ストックのほうにも目を向けて、老朽化対策、国全体として、国民全体でどう取り組んでいくかということを考えていったら良いのではないかと思っております。
以上です。
〔土居部会長代理〕福田委員、お願いいたします。
〔福田委員〕ありがとうございます。
既に皆様おっしゃったことと、かなり重複してしまうのですが、2点を申し上げたいと思います。
まず、2ページ目の図は、私も非常に興味深くて、災害が起こりやすいところに人が住んでしまうということは、必ずしも日本だけではなくて、海外でも頻繫に起こっていて、それをどうするかという問題は、経済学でも昔から指摘されていた問題であると思います。
この図で、もう一つ興味深いのは、地域と関わって、災害地域、洪水が起こりやすい地域で人口が増えている都道府県と、そうでもない都道府県もあることです。その差はどこから来ているのかということを、もう少し踏み込んで調べてみると、どのような対策が良いのかということも分かってくると思います。せっかく興味深い図を提示していただいているので、もう少しこの図を細かく見ていくということも大事なのだろうと思います。
災害が起こりやすい地域に人が住み始めてしまう1つの大きな原因は、当然、地価が安いということが大きなインセンティブになっていますので、そこの誘導をどうするかという問題は大事なのだろうと思います。
例えば、第2点目ですが、富山県はコンパクトシティーで、平野委員も御指摘あったように、かなり成功例として知られてはいるのですが、それでもやはり郊外に若い人は住む傾向がある。やはり、中心部は便利だが地価も高いということで、なかなか若い人が住めない問題はあるわけです。
そうした意味では規制の在り方はもちろん大事で、日本はこれまでは土地の規制を緩和するという方向であった。これは、かつては人口が増えていた時代の名残であるとは思います。しかし、人口が減ってくる中では、規制を強化するということも大事であるとは思うのです。ただ、それによって地価が上がってしまったりすれば、なかなか住みたいところに住めないという人も出てきます。地価もそんなに高くないが安全な場所に人を誘導する工夫もしていく必要があるのではないかと思います。
私からは以上です。
〔土居部会長代理〕上村委員、お願いいたします。
〔上村委員〕御説明ありがとうございました。上村です。
防災・減災対策、PDCAサイクルの御提案、非常に重要であると思いました。今後、人口減少が進みますし、マクロ的には住宅地が増えていくような局面ではなくなってくるはずです。今後の地方自治体の計画などに、いかに落としていくかが重要になってくるかと思います。
今、福田委員も言われましたが、確かに災害リスクの高いところの地価が安くなって、固定資産税も安くなって、人口が増えるということがあると思いますので、規制をどのようにしていくのかが重要であると思いました。
21ページ目に執行の平準化があります。公共事業について、よく3月末の工事が非常に多いと感じるのは、まさにこれであると思いますが、平準化が非常に重要であると思いました。公共事業の時期が集中することによって、人件費が高くなっていると思います。平準化すればコストが圧縮して、行政にとっても民間にとってもメリットは大きいので、国庫債務負担行為などで工夫できるのであれば進めていただきたいです。
25ページですが、立地適正化推進について市町村を越えた広域連携の検討が必要ということで、そのとおりであると思います。立地適正化に限らず、人口減少が進む中で、広域連携は非常に重要であると思っています。例えば、公共施設マネジメントは公共利益に非常に重要ですが、今後、地方行政サービスについて市町村を越えた枠組みでどう考えるかは非常に重要で、場合によっては、都道府県を巻き込んで広域連携を組むことができるような補助金など、政策誘導の在り方を検討していただきたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕神津委員、お願いいたします。
〔神津委員〕ありがとうございます。
老朽化対策に絞って、一言だけ申し述べたいと思います。各種インフラ施設の維持管理・更新、これは地域住民の命と暮らしに直結する問題です。したがって、生活に関わる既存の社会資本の更新、長寿命化対策を進め、持続可能な社会資本整備を進めることは不可欠であると思います。
社会資本整備全体の中のバランスとしては、新規の施設導入については、その必要性自体を十分に吟味する必要があると思います。その一方で、既存施設の更新、長寿命化に最大限重点を置いていくべきであると思います。
そのためにも、ICTなど新技術の活用等による早期検知を図ることが重要であると思います。そのことによって、人口1人当たりの負担も軽減され、維持管理・更新費も、結果的には抑制できる予防保全を積極的に進めるべきであると考えます。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、会場に戻りまして、神子田委員から順番にお願いいたします。時間が押しておりますので、簡潔にお願いいたします。
〔神子田委員〕ありがとうございます。
低地を避けるということですが、そもそも洪水の危険地域に決まっているところに何で人が住んでいるのかということは、国交省などに聞きますと、いや、日本は山が多いですから、平地が少ないのですよという話が返ってくるので、リスクの低い土地がどのぐらいあるのかが、まず疑問で、そうすると山を削って平らにして住むかというと、今年、南三陸とかを見てきましたが、大変なお金もかかるし時間もかかる。
14ページの政策目的で、低い土地に居住する、生活する人を増やすということはそうですが、大目的は、やはり人の命を救うことであると思うのです。
ですから、いろいろな防災施設をつくっていくには、堤防なども、お金が幾らあってもしようがないということで、人の命を救うことをボトムラインとして、まず何をするのかというと、やはりソフトウエアで、避難計画もそうですが、併せて危険を認知してもらう、住民に危険を認知してもらうとか、あと災害が起きたときの伝達手段、防災無線であると雨の日は聞こえないので、個別に家にきちんと聞こえるようにするとか、そうしたこともディスインセンティブの判断の1つとしてあったらよいと思います。
それと、今回は割と長期的な話であったかと思うのですが、大災害は別に来年度も待ってくれないわけで、来年度に向けてどう予算の使い方をするかを考えないといけないと思って、先ほど老朽化したインフラをどうするかという話もあったのですが、これを更新するときに、例えば病院、公民館、体育館、学校とかを集約して、かつ、高度利用です。1階はピロティーで、2階、3階、駐車場、つまり、水に浸かってもそこは大丈夫。さらに自家発を用意して、電気が来なくても、そこで一応完結できるというようなものをつくっていく。とにかく、そうした箱の数を減らして、その分のお金で、自動運転でそこに足の悪い人を運べるとか、そうしたスマートな都市づくりに結びつけていったらと思います。
最後に、熱海の自然災害は人災であると言われていますが、何が言いたいかというと、熱海市は何をやっていたのかということですね。やはり自治体に委ねると、きちんとやるところもあるし、やらないところもあるということで、やはり国が、統一の基準があると、きちんと自治体もそれに従ってやるので、国がいかに網の目をかけて、こうした防災・減災の基準づくりとか制度づくりとかやって、各自治体に周知徹底を図るということも大事かと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕末澤委員、お願いいたします。
〔末澤委員〕ありがとうございました。
先週の15日ですが、ヨーロッパで少し事件がありまして、ドイツで、社会民主党と緑の党と自由民主党の3党連立の大枠合意ができたのですね。これはSPDが主体となる政権交代になると、16年ぶりです。この背景に実は7月にドイツ、ベルギーを襲った大雨があるのです。これは100年ぶりです。アール川が氾濫して百数十人、これはラシェットCDU党首の地元です。今、首相をやっていますが。それだけ、実は大きな災害がもう世界の政治を動かす状況になっている。日本はもっといろいろあります。
ただ、17ページを見て、私は本当に思ったのですが、これまで、私も10年ほどこの会に参加させていただいておりますが、財務省としても公共事業の予算を抑えるということでやってきたと思うのですが、私は17ページを見て、むしろ今後は執行促進にかじを切るべきではないかと思いました。なぜかというと、17ページの一番左側、これは生産性が建設業は全然上がっていない。一方で真ん中、手持ち工事量を見ると、平成21年、つまりリーマンショックのときは、工事量は今の大体半分です。ここで公共投資を景気対策でやるのは有効だったのですが、今は倍ですから、これをやっても執行できない。
一方、右側を御覧いただくと、人口減少の中で建設業の人手不足はどんどん増えていく。なぜかというと、これは農林水産業と一緒で、建設業に携わっている人は60代、高齢者が多いわけです。ということは、このままいくと、幾ら予算をつけても執行できなくて、一方で災害が増える。本当に必要な公共投資もできない状況になりますので、私はやはり、これは文部科学行政、または農林水産業、地域、地方いずれもそうであると思うのですが、やはり人口減少化の中ではICTの活用と統合、ここでは公共投資の選択と集中と言ったほうが良いかもしれませんが、それと民間のアウトソーシング、これを進めないと、本当に必要な公共投資すら今後はできなくなる可能性がある。これを危惧しております。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕木村委員、お願いいたします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。
今回、防災・減災に資するソフト対策の強化など、いろいろな政策を挙げていただきましたが、基本的な方向性については、私も賛成したいと思います。
その上で、ただ一方で、国土強靱化の予算は、これまで結構手厚く配分されてきて、それこそ過去3年で7兆円、予算というか事業規模でしょうが、7兆円で、更に今年度から5年間で15兆円。ソフト対策の強化は以前からずっと打ち出されてきたのですが、こうした国土強靱化計画にどこまで反映されているのか、よく分からないところもあって、果たして今後もこれだけの規模の金額が、規模ありきで進められてよいのかは思うところです。とりわけコロナで歳出の効率化の重要性が一層増している中で、より厳選していかなければならないのではないか。しかも資料にあるように、公共投資の予算の繰越額がかなり増えています。その説明として、補正予算がこれまで、かなり積み増されたということが大きな要因として挙げられているのですが、本来補正は、特に緊要な経費を賄うためということが定められていると思うのですが、その緊要な経費が繰り越されているというのが、どうも理解し難いというか、矛盾している気がします。こうしたことも踏まえて、今後の経済対策や来年度予算で、国土強靱化に関しても今回挙げられたソフト対策の強化で効率化できる事業はないのか、あるいは、先延ばししても大丈夫な事業はないのかとか、そうしたことをきちんと踏まえて見直しを進めていただきたいということも申し上げておきたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕広瀬委員、お願いいたします。
〔広瀬委員〕ありがとうございます。
国民生活とか経済活動の基盤である交通、通信、エネルギーインフラ、これからも着実に進めなければいけないのですが、進めるに当たって、視点を3点ほど申し上げたいと思います。
1つは費用対効果、優先順位づけ、重点化ですが、これは本当に1丁目1番地ですが、1丁目1番地ゆえに非常に難しいわけで、もちろん政策的なバックボーンも大事ですが、最終的には、先ほど武田さんからありましたように、合意形成というのが非常に大事なわけで、合意形成はなかなか政策では難しくて、最終的には、これも完全ではありませんが、そうした費用、あるいは効果、それを議論し、あるいは説得し、説明し、そうしたことを、これからも愚直にやっていただきたいというのが1点目でございます。
それから2つ目は、今、2つのことが並行して進んでいるわけですが、1つは経年化、昭和の高度成長でつくったものが50年、60年たって、相当傷んでいる。それから一方で、この10年ぐらい、頻発化、激甚化、広域化する自然災害、これ事象は違うのですが、最終的にはインフラ整備というところに、1つにつながっていくわけですから、2つ別々に考えるのではなくて、この2つをうまくミックスさせながら、最適な解を求めていくということが効率的にもなるし、実効性のある整備ができていくのではないか。
それから3点目は、進めていく主体ですが、官と民、もちろん協力は非常に大切で、官が中心にやったり、民が中心にやったりするところあると思うのですが、民の中でも、大企業の優れた技術とノウハウ、それと、地場の中小企業の長年培ってきたそれぞれの地域の実情とかニーズ、この2つをうまくミックスしながら、もちろんこれは一定の緊張感がないといけないと思うのですが、大企業と中小企業がうまくミックスしながら進めていく。これも必要なのではないかと思っています。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕小林委員、お願いいたします。
〔小林委員〕まず、1つは、先ほど福田委員からも御指摘があったのですが、2ページのグラフの中で、やはり人口が増えている、洪水想定地域の中に人口が増えているということに着目するだけではなくて、それが減っているところはどのような施策を取って減っていったのか、ここは少し説明をしていただければありがたいと思います。それがほかのところのヒントにもなると思いますし、それを推進していけば、これは改善していくのかと思います。
それからもう一つ、繰越額の話はさらっとお話しされたのですが、やはり参考資料に書いてあるような、補正予算が大きな影響ということ、これはもしかしたら、それは取りも直さず補正予算が過大だったということではないのでしょうか。そう言い切れないのかどうか。やはり今、人出不足の問題もあって、執行のキャパに限界があるわけですから、そのキャパを超えてお金を突っ込んでも、何も肝心なことは進んでいかない。だから、補正を組む場合に、そうした執行のキャパを見極めながら組んでいかないと、結局また繰越しになってしまう。国庫債務負担行為でやればという御提案もありましたが、そもそもそこのところをもう少し見極めながら、適切な規模にいくべきではないかと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
主計官、よろしいですか。
〔北尾主計官〕ありがとうございます。特に、御意見いただいた中で、最後、小林委員からの御意見ですが、洪水地域人口が減っているところの分析等も、今後、そうした視点で、調査分析を進めていきたいと思います。
それから繰越しの件も、これも執行状況を見て、例えば入札がきちんと順調に行われているのかも、執行がどれだけ進むかの1つの指標であると思いますので、そうしたことも含めて注視していきたいと思います。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、続きまして、農林水産の議論に移りたいと思います。
まず、野村主計官から簡潔に御説明をお願いいたします。
〔野村主計官〕ありがとうございます。野村でございます。よろしくお願いいたします。
資料をおめくりいただきまして、本日、3つのことをお話しさせていただければと思っております。1つ目は米政策、2つ目は米に限らず農業全体に関わる話といたしまして、農地の集積・集約、大規模化の話でございます。3つ目は農業に限らず林業、水産業にも絡む話といたしまして、農林水産物の輸出拡大について、以上3つについてお話しさせていただければと思っております。
1枚おめくりいただきまして、2ページの資料でございます。
まず、米でございますが、こちらは足もとの米の需給の状況、それから米価の状況をまとめたものでございます。左側の折れ線グラフを御覧いただきますと明らかなとおり、米の需要は年々減ってきている。そうした米の需要が減る中で、生産量についても足並みをそろえる形で減らしてきている状況でございます。
また、米の需給の状況を反映いたしまして、右側でございますが、米の民間在庫は伸びたり縮んだりしておりますが、この民間在庫の伸び縮みに応じる形で、米価も上がったり下がったりしている状況でございます。
おめくりいただきまして、米の需要が年々下がってきているところでございますが、これまでは米の需要の減少に応じる形で、米の生産を絞っていくという観点から、農家ごとに生産目標数量を配るといった形で、国が主体的に生産調整を行ってまいりました。ただ、現在につきましては、農家自身が経営感覚を発揮して、農業の成長産業化を図っていくという観点から、米につきましても、平成30年からは、国が個々の農家の生産目標を配ることをやめまして、現在は個々の農家が御自身の経営判断によりまして、幾らつくるかを、需要の状況を見ながらつくっていくという仕組みに移行しているところでございます。
他方で、マクロで見ました場合、米の需要量は減っていっているところでございます。こうした中、政府といたしましては、米の需要が減る中で生産を相対的に減らすという観点から転作助成金を設けているところでございます。
この助成金でございますが、仕組みといたしましては、米から単純に米以外の作物、主に米よりも収益性は低いわけでございますが、そうしたものに単純に転作いたしますと、農家さんの所得が大きく縮んでしまうという中で、この助成金につきましては、米からほかの作物、収益性の低い作物に転作したとしても、おおむね米をつくった場合と比べて遜色のない程度に所得を得られる、そうした水準に交付金の単価を設定しているところでございます。
なお、米の需要が減る中で、生産を減らしていく、そのために転作を促していくという政策を進めている結果といたしまして、年々転作面積が増えていっている、それに歯止めがかからない状況が続いているところでございます。
そうした中で、この交付金制度の財政的な持続可能性を確保していくという観点からは、転作をするとしても、やはり収益性の低い作物、言い換えますと交付金単価の高い作物から、収益性がより高い作物、これは交付金単価が安いものでございますが、そうした収益性の高い作物への転作を促していくことが重要であろうと考えているところでございます。
それから、4ページの資料でございます。今、米から収益性の低い作物への転作を要請しているという話を申し上げましたが、そうした中で、1点、日本の水田農業で面白い現象が起きているところでございます。
左側のグラフでございますが、こちらは経営規模別に単位面積当たりの収益と生産費用、収益は青、生産費用は赤でございますが、それを並べたものでございます。生産費用につきましては、経営規模が上がれば上がるほど、単位面積当たりの生産費用は落ちてきている。これは自然なことであると思います。
1つ興味深いのは、実は収益まで落ちてきているということでございます。普通、価格を指標といたしますと、単位面積当たりの収益は、経営規模が大きくなると小さくなる、フラットなはずでございます。それがなぜ落ちてきているのかということでございますが、右側の棒グラフを御覧いただければと思います。こちらは経営規模別に、実際に持っている水田のうちどれぐらい米の生産に使っているか、それが緑でございます。それと、米以外の作物に転作して補助金をもらっているかという面積、それは黄色でございます。こちらを御覧いただきますと、経営規模が大きくなるほど、より多く相対的に転作しているという状況が見て取れるところでございます。
こうしたことが、経営規模が大きくなればなるほど、単位面積当たりの収益が落ちていることの背景にあると考えられます。
ただ、経営規模の大きい農家は、今後、農業の成長産業化を促していく上では、実はその先頭に立っていただく必要があると考えているところでございます。そうした中では、同じ転作をするにしても、やはり、収益性の低い作物から、より収益性の高い作物への作付を促していっていただく、こうした取組を進めていくことが、この補助金制度の財政的な持続可能性を高めるのみならず、水田農業全体の収益性を高めていくという観点からも重要と考えております。
おめくりいただきまして、では、収益性の高い作物は何かということでございますが、その1つが輸出用の米でございます。こちらにつきまして、では、米の輸出は本当にできるのかという点で御疑問を持たれる方もおられるかもしれませんが、実は足もと伸びてきておりまして、左側のグラフでございますが、堅調に米の輸出は伸びてきている。さらに右側の表でございますが、米以外も含めましたお酒ですとかパック御飯といいます加工品につきましても、堅調に伸びてきているところでございます。
ですから、米の輸出を促していく、あるいは輸出用米への転作を促していくということは、必ずしも実現不可能なものではないと考えているところでございます。
おめくりいただきまして、そのような認識に基づきまして、昨年度の補正予算におきまして、輸出用の米、あるいはより高収益な作物、野菜とか果物でございますが、こうした作物の作付への転換を促していくという観点から、新たな事業を開始したところでございます。
こちらの事業におきましては、例えば輸出するということであれば、価格競争力をつけなければいけないということで、生産コストを絞るための追加的な投資をする。あるいは販売におきましても、海外でより好まれる形態へ加工するための追加投資を行う、例えばパック御飯にするということでございますが、そうした追加的な加工のための追加投資をされるという方につきまして、補助させていただくという事業でございます。
では、そうした事業を始めることによって、実際に輸出用米あるいは野菜への転作がどれぐらい進んだのかが次の資料でございます。
こちらにおきましては、昨年度事業開始前と事業開始後本年度の実際の転作面積を比較したものでございます。ピンクで色をつけております新市場開拓用米、これは輸出用の米でございますが、こちらは事業開始前、昨年0.6万ヘクタールの転作だったわけでございますが、本年度につきましては0.7万ヘクタールに増えている。野菜等につきましては、昨年7.1万ヘクタールだったものが、これは最終的な数字は出ておりませんが、おおむね7.5万ヘクタールから、ややこれを下回る程度と見込まれているところでございます。
この数字をどう見るかでございます。初年度ということはあったにせよ、やや寂しいと感じているところでございます。やはり、これから更に輸出用米の対策を促していくという観点からは、米の生産段階あるいは流通段階での更なる工夫の余地があるのではないかと考えられるところでございます。
では、それは何かということが次でございます。おめくりいただきまして、左側の例が北海道の東川町さんの例でございます。これは何をされているかといいますと、個々の農家で売り込みをかけるということではなくて、やはり安定的な供給体制を確立していますということをアピールする観点から、町を挙げて輸出用米の生産地になろうという取組を進めておられるところでございます。さらに、それに加えて海外での販売促進のプロモーション等もされているところでございます。そうした努力をされる中で、足もと2020年では43.4トンの輸出だった米を、4年後には10倍以上、501.2トンまで増やしていこうという取組を進めておられるところでございます。
以上は生産者の工夫でございますが、流通面の工夫でございます。右側でございます。農機メーカーのクボタさんは、現在、お米の輸出の商社機能を果たしております。クボタさんが何をしているかと申しますと、お米は玄米から精米して白米にいたしますと、そこからどんどん劣化していくわけでございます。日本で食べられるおいしさの米を海外でも実現するという観点から、流通段階の工夫といたしまして、クボタさんは、まず輸出は全部玄米で行う。さらに、輸送中、それから現地での保管におきましても、日本と同じクオリティの保冷施設を使って保管をする。そうした取組を進めることによって、日本でのおいしさと同じおいしさが海外でも実現する、そうした取組をされているところでございます。
それから、おめくりいただきまして、もう一つの取組の例といたしまして、やはり輸出するということであれば、価格競争力がないと勝ち残れないということでございます。価格競争力のある米をつくるための努力をされておられるのが、茨城県の百笑市場さんという農業法人さんでございます。
ここで何をされているかと申しますと、単位面積当たりの米の収穫高をより高めていくという努力をされております。ちなみに、百笑市場さんは、現在10アール当たり720キロの収穫を得られるお米をつくっておられます。この数字といいますのは、実は、左下の折れ線グラフで示しておりますが、日本国内の平均で申し上げますと、10アール当たり大体530キロ玄米ベースで取れるということでございます。これを720キロ玄米ベースで取れるようにしている。10アール当たりの生産コストはあまり変わりませんので、取れるお米の量が増えれば増えるほど、1キロ当たりの米の販売単価を安く抑えることができるということでございます。そうした努力をすることによりまして、米の販売価格を国内よりも3割程度安くして、海外マーケットで勝負していこうという努力をされているところでございます。
こうした努力が普及していけば、日本の米の輸出も更に増えて、そして、収益性の低い作物から収益性の高い輸出用の米への転作も進み、それが米の助成金、転作助成金の財政的な持続可能性を高めていくことにも寄与すると考えているところでございます。
続きまして、農地の話でございます。おめくりいただきまして、11ページの資料でございます。こちらの資料におきましては、現在と将来の農地の面積の状況、それから農業人口の推移につきまして示させていただいているところでございます。
左端の農地でございます。農地面積でございますが、こちらは今後20年間で11%ぐらい縮むと見られているところでございます。他方で、農業人口でございますが、こちらは20年間で約69%減ると見込まれているところでございます。これを言い換えますと、1軒当たりの農家が経営する農地の面積を拡大していかないと、日本の現在の農業の生産能力は維持できないということでございます。
ただ、1軒当たりの経営面積を拡大していくということは、やはり農業の効率化を促進していく上でも重要な点でございますので、ある意味これはチャンスと捉えて、今後の農地の大規模化を進めていく必要があると思います。
1ページおめくりいただきまして、ちなみになぜそのように農業人口が急に減っていくのかということでございますが、赤い折れ線グラフは日本の総人口に占めます各年齢階層別の人口シェアを示しております。青はその農業版でございます。御覧いただければ明らかなとおり、日本の平均的な姿と比べまして、農業界におきましては、圧倒的に高齢者の占めるシェアが多いということでございます。こうした方が10年後、20年後に引退されていく中で、農業人口が急激に減るということが見込まれているところでございます。
おめくりいただきまして、先ほど1軒当たりの農地の大規模化を進める必要があるということを申し上げました。大規模化は2つの意味がございます。1つは、実際に1軒当たり経営面積を指すということ。それからもう一つございますが、写真を御覧いただければと思うのですが、こちらの紫色の点々は1軒の農家さんが経営されておられる農地でございます。すごく分散しております。このように分散している状況では、なかなか農作業の効率化を進めていくことにも限界があるということで、やはり農地の大規模化を進めていく際には、1軒当たりの経営面積だけではなくて、やはり1つずつの田んぼあるいは畑の面積自体を大きくしていくということが重要であると考えられるところでございます。
ページをおめくりいただきまして、こちらでございますが、農地を大規模化していくことの重要性、実はこれ昨日今日始まった話ではございませんでして、これまでもある程度進んでいるところでございます。例えば上の表でございますが、10ヘクタール以上の農地が全ての農地に占める面積のシェアでございます。2000年段階は26.1%だったものが、2020年段階では既に55.3%まで進んでいるという状況でございます。
また、実際に農地をお持ちの方の属性でございますが、下の表でございます。青い法人さんあるいは専業農家さんがお持ちの農地のシェアが、2010年が60%だったものが2020年は66.3%と、徐々にではありますが、こちらも進んでいるという状況でございます。
おめくりいただきまして、ここで農地の大規模化という話とスマート農業との関係、農地の大規模化はスマート農業とも関係しているところでございます。
こちら農林省さんで試算された例でございます。最近、自動で動くトラクターですとかコンバインがあるということでございます。こうした自動で動く機械を購入した場合、自動ではない機械よりも高いお金をかけることになります。その初期投資のかかり増し分を減価償却期間で回収しようと思ったら、何ヘクタールぐらいの農地がないといけないかを試算されています。結果でございますが、12ヘクタール以上の農地面積がないと採算はとんとんになりませんという結果でございました。
こうした点からも、スマート農業と言いました新たな技術、こちらの能力を十分に発揮させる上でも、農地の大規模化は必要であるということが言えると思います。
では、それをどう進めていくのかが次でございます。平成26年に農地中間管理機構、通称農地バンクと呼んでおりますが、それを都道府県単位でつくりまして、現在農地の集積を進めているところでございます。現在、8割目標と掲げまして、農地の集積を進めているところでございますが、実はペースが最近落ちてきているという状況が、左の折れ線グラフでございます。設立当初、年間当たり6.3万ヘクタール、あるいは8万ヘクタールというペースでございましたが、足もとは2.3万、あるいは2.7万ヘクタールということで、だんだん鈍化しているという状況でございます。
おめくりいただきまして、このペースをどうやって上げていくかが次の課題でございます。
ちなみに鈍化していることの背景といたしまして、次の資料でございますが、左下の棒グラフでございます。農地の移転の形態、やり取りの形態として、従来は相対でやるという仕組みでございましたが、相対については、実はあまり減っていない。黄色いところは農地の相対取引でございます。他方で、赤いところは農地バンク経由でございますが、農地バンク経由の土地の移行、農地の移行は結構減ってきているという状況でございます。
ただ、農地バンクにつきましては、各地域の農家さんの事情をよく御存じでございますので、農地バンク経由にしたほうが、実は1つ1つの田んぼ、畑の面積をより大きくする形での農地の集約が可能になってくるところでございます。
では、それをどうやって、農地バンクの活動を助けていくのかということでございます。それが、こちらの資料で、「3.人・農地プランの実質化」という話でございます。
画面上1つ戻っていただいてよろしいでしょうか。人・農地プランの実質化という話でございますが、実は今、各農村におきまして、地域の農村の将来につきまして、いろいろと書きました人・農地プランをつくっているのでございますが、この人・農地プランにおきまして、この地域におきまして、各農村において、どういう形態が中心となって農地を大規模化していくかということ、そこまで書いているところは結構少ないわけでございます。まずは、そうした各農村におきまして、誰が中心となって農地を大規模化していくかまできちんと書き込ませる。そうした形での農地プランの実質化を図っていけば、農地バンクが活躍できる余地は広がっていくと思います。
さらに、誰が中心となって大規模化するかを文章で書くだけではなくて、現在目指しておりますのは、それを実際に農村の地図の形で落としていく、目標地図と呼んでおりますが、地図の形に落として、では本当にこの農地とこの農地を将来誰が持って、一緒に大規模化していくのかといったところまできちんと書き込む。そうしたことができれば、農地バンクが活躍できる余地は更に広がっていくと考えられるところでございます。
おめくりいただきまして、もう一つでございます。左下のグラフでございますが、黄色は農地バンク経由でやり取りした、集約化した土地の総面積の各年の変化でございます。それぞれの年、黄色いグラフの横に、また小さい棒グラフがございます。これは何かといいますと、各地域の外から農地バンクが新たな農地の引受手を見つけてきた面積、あるいは、新しく農業に参入しようという方を見つけてきて農地を引き受けさせた面積でございます。御覧のとおり、明らかに地域の中での農地のやり取りが中心となっているところでございます。
ただ、農地バンクといいますのは、都道府県単位でつくっている広域的な組織でございますので、やはり地域の外からも、もっと土地の引受手を引っ張ってくるということは、今後進めていくことが重要ではないかと考えているところでございます。
それからもう一つ、右側の表でございますが、そもそも土地の出し手さん、受け手さんが、農地バンクをどれだけ認識しているかを、去年、農水省さんがアンケート調査を行いました。その結果でございますが、御覧のとおり、そもそも土地の出し手さんも、受け手さんも、大半の方は農地バンクが何をやっているか、あまり御存じないという状況でございます。
さらに、農地バンクに何を期待していますかということにつきましても、これは基本的に農地バンクの使命でございますが、関係機関、特に農業委員会さんでございますが、農業委員会さんとの間のコーディネーションをきちんと図っていただきたい。こうした基本的な農地バンクに期待される機能を、しっかり果たしてもらいたいという声が届いているところでございます。そうした期待に応えていくことが、更に農地バンクの活躍の余地を高め、そして農地の大規模化を進めていく上で重要であると考えているところでございます。
続きまして、輸出の話でございます。20ページでございます。
日本は、人口の減少あるいは高齢化という中で、国内の食品市場マーケットは、今後減少する可能性がございます。他方で、世界に目を向けますと、人口はまだまだ増えていくという中で、食料品マーケットはどんどん大きくなっていくということが見込まれるところでございます。
そうした中で、日本の農林水産業の成長産業化を図っていく上では、やはり成長する海外の需要をうまく取り込んでいくことが大事であろうと考えられるところでございます。
そうした中、政府といたしましても、右側の棒グラフでございますが、足もと2020年で9,217億円と、徐々に右肩上がりに伸びておりますが、日本の農林水産物の輸出額につきまして、2025年には2兆円、そして2030年5兆円まで上げていこうという目標を掲げているところでございます。相当ペースアップしなければいけないという話でございます。
では、それをどうやってやるかでございますが、こうした話が出てきますと、往々にして、できることは何でもやろうではないかというような話が出がちでございますが、そこは財政当局としては一定の歯止めが必要であると思っておりまして、やはり、きちんとほかの国の先進事例等も見た上で、本当に輸出の増に効果のある対策に絞り込んだ上で支援していくことが大事だろうと思っているところでございます。
おめくりいただきまして、それを実現するために、政府として、昨年末でございますが、輸出拡大実行戦略を設けているところでございます。
その中身でございます。徐々に増えてきたとはいえ、そもそもこれまでは、輸出については、国内で余ったものを出していくという姿勢で臨んできたところでございます。それでは輸出のペースアップはなかなか図れない。やはり外に売るのであれば、外で求められる品質や規格、あるいは量、価格といったものを満たすものを国内でつくっていかないと、なかなか輸出は増えていかない。これはマーケットインの発想と呼んでおりますが、そうした形で発想をそもそも転換する必要があるということを、実行戦略では定めているところでございます。
そうした中で、具体的に何をやっていくのかを、幾つか紹介させていただいております。
例えば、日本の農林水産物につきまして、国によっても好みが違ったりします。そうした中で、どういう品物について、どの国にはどういうものをどれぐらい売っていくのかということを、まずはきちんと需要調査した上で定めていくということをやっていくことが書かれているところでございます。
さらに、先ほどパック御飯の例で申し上げましたが、外で特に需要が高いものについて、それに合わせた加工を行うための追加投資をされる方、そうした方を支援していこうということが書かれております。
また、日本の農林水産物を輸出するに当たりまして、現地の中では様々な規制がある中で入っていきにくいという事情があるようであれば、そうした規制の緩和のために、政府としても交渉していきましょうということを書いているところでございます。
ここで1つ、ここには明記しておりませんが、大事な話といたしまして、環境に優しい農業を進めていくことも、最近、重要であると言われております。やはり欧州等におきまして、環境意識の高まりの中で、特に農林水産物の分野に関しましては、残留農薬とか、そうしたものをきちんと規制していないものは、輸出マーケットにはなかなか入っていきにくいという事情が最近出てきているところでございます。
そうした中、農水省さんにおきましても、環境に優しい農業を進めている。それが最終的には日本農林水産物の輸出の増につながっていく。具体的には、例えば有機栽培、有機農業を進めていくとか、あるいは化学肥料の使用を減らしていくとか、そうした取組も定められているところでございます。
おめくりいただきまして、このような取組を進めているわけでございますが、そうした中で、他の先進事例に基づきまして効果が高いと言われたものの対策の1つが、こちらに書かれております品目団体の組織化という話でございます。具体的には、民間の輸出事業者さんが、品目ごとに集まって一つの団体をつくって、団体として、海外のプロモーションをかけていこうという活動でございます。
これがうまくいく背景でございますが、例えば先ほど北海道東川町の例で申し上げましたが、やはり大ロット化することで供給体制を安定化する、そうした形で魅力を高めていくことが1つございますし、あるいは1人1人が売り込みをかけるとなりますと、例えばですが、「昨日来た業者さんは、もっと安い値段だった」というようなことを言われてしまう。そうしたことになってしまうと、どんどん値下げ競争をさせられる。そうしたものを防ぐ上でも品目団体をつくって、みんなで売り込みをするのはメリットがございます。
また、政府の活動と比べましても、例えば国が個別の企業の、これを皆様買ってくださいと海外に言っていく、これはなかなか厳しいものがございます。また、補助金をつくるといいましても、これはWTOのルールがある中で、政府の活動には限界がある。そうした縛りも、民間ベースの品目団体をつくれば克服できるということでございます。
具体的な例を幾つか書かせていただいておりますが、最近、スーパーのチラシでもアメリカンビーフとかアメリカンポークと、あるいはノルウェーサーモンというロゴを載せているところがございますが、そうしたところが何をやっているかということでございます。
ここで1つ、財政当局の視点から重要な点がございまして、それは何かといいますと、こうした品目団体の活動の財源でございます。アメリカ、あるいはノルウェーと言いました、こうした先進事例を見てみますと、やはり品目団体の活動の財源につきましては、これは一定程度、品目団体に参加しておられます輸出事業者さん御自身が負担するという仕組みになっているところでございます。考えてみますと、輸出のプロモーションがうまくいって、もうけられる方は、こうした事業者さんでございますので、ある意味では受益者負担という考え方が導入されているところでございます。
日本の輸出促進、まだ始めたばかりでございますが、そうした中で、まだ政府の支援が必要な部分も当然あるわけでございますが、ある程度軌道に乗ってきたら、こうした自主財源を確保する形で輸出を進めていく、こうした点も参考にしていくことが重要ではないかと考えているところでございます。
駆け足でございましたが、私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見、御質問などを頂きたいと思います。先ほどと同様に、会場におられる方はネームプレートを立てていただき、テレビ会議システムから御参加の方は挙手するボタンをクリックしていただきたいと思います。
それでは、小林委員から順にお願いいたします。
〔小林委員〕ありがとうございました。
これは私の意見というよりも、先ほど安永委員から提出された資料の意見の中で、これはきちんと踏まえたほうが良いかなと思った意見があったので、指摘させていただきます。
1つは、米の輸出市場が、日本はジャポニカ米なので、米の市場の大きさは限定的であるという御指摘があります。これについては、どのように対応していくのかということが1点。
それから、その2つ下に、集約化を進める場合の太陽光パネルの設置、これがひょっとすると集約の制限になってしまうのではないかと、虫食い的に出ているので。とすると、こうしたものとの連携も取りながら、そうした他省庁との連携も取りながら進めていかないと、集約は進まないのではないかという御指摘であると思います。
この2点については、非常に腑に落ちる質問というか意見ですので、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕木村委員、お願いいたします。
〔木村委員〕御説明ありがとうございました。
説明にありましたように、日本の国内マーケットの縮小とか、あるいは海外の新興国の経済成長とか、大きな流れを踏まえると日本の農業の経営効率化とか、農産物の輸出促進は不可欠な課題であると思いますし、それを目指すためにも、補助金頼みの農業を脱して、大規模化、集約化を進めていくことは、日本農業の体質の強化にもつながると考えますので、こうした御提言は非常に大事なものであると思っています。
その点を踏まえると、資料の4ページにありますように、経営規模が大きくなるにつれて補助金頼みが増すという調査結果、これはどういうことなのかと思ってしまいます。水田の転作地の大半が、収益性が低くて補助金交付の多い転作作物に充てられる、こうした仕組みを抜本的に見直していく必要があるのではないか。これまで政府も経済連携、TPPとか、日欧EPAとか、そうしたことを進めてきたというのも、これまでの農政、補助金と関税で幾ら農家を守っても、農家の高齢化が結局は進んで、体質が弱体化する。そうした農政を転換する狙いはあったはずなので、そうした方向性にそぐうように、つまり、国策というのですか、政府の方針と矛盾しないような方向で農政を進めていくためにも、こうした農家に対する国の支援は、経営体制の強化に重点的に充てられるような方向性に持っていっていただきたい、そこを望むということでございます。
以上です。
〔土居部会長代理〕末澤委員、お願いいたします。
〔末澤委員〕ありがとうございました。
2ページを御覧いただくと、先ほど木村委員から御指摘ございましたが、日本の米の、右側の価格も御覧いただくと、最近はコロナ禍で外食、中食が減っている関係で値段が下がっていますと。ただ、世界的に見ると、先ほど気候変動の話をさせていただきましたが、最近の気候変動、温暖化によって大雨と干ばつ、この二極化が著しくなっていて、昨年来、干ばつがアメリカ大陸なんかで相当起きて、穀物価格全体が急騰しています。
ですから、要は日本の価格と国際価格が全くリンクしていないということが、明らかになったと思います。
ただ、その背景には先ほどの4ページにもありますように、日本の小規模の兼業農家は基本的にお米をつくっています。大規模農家は、実は最近は転作が進んでいて、飼料米をつくっている。これはやはり補助金で価格が安定して、経営上成り立つということでしょうが、これはグローバルに考えると全く相入れない話でございます。一方で、将来的には、米中の問題や気候変動で、やはり穀物価格がもっと上がってくる可能性もあるわけです。
ですから、やはり日本の農業はもっと持続可能性のあるものにしなければいけない。特に、先ほどの人口のところです、12ページですか、これはもう本当に、先ほどの建設業と全く同じですが、農林水産業は大体60代以降、特に70-74はちょうど団塊世代です。団塊世代がここになっているわけですから、ここがリタイアすると、誰が担うのかと。これは長期的に考えればICT化、広域化をやるしかないのですが、現状はそれで転作して飼料米をつくっている。これは本当に抜本的に戦略を転換しないと、食料の買い負けをするような状況になったときにどうするのか。これは本当に、ある面不都合な真実がもう如実に表われていると思っております。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕神子田委員、お願いいたします。
〔神子田委員〕全ての問題解決の鍵は集約化にあるということで、非常に得心いたしました。
ただ、13ページに写真とグラフが出て、T県N市A認定業者が、こんなに分散していては経営効率が上がらないと。隣はうまくいった例、うまく集約しています。だから問題は、これをどうやって、左を右にしていくかというところですが、ここは何かまだテーマとして残るかと思います。
1つは、前のページに高齢化のグラフがありましたが、やはり高齢化した人は、新しいことをやろうという話にはならないので、時間がたつのを待って退出してもらうしかないかと。
ただ、若い人をどうやって引き寄せるかということで、やはり農業は物すごく時間がかかる大変な仕事であると思いますので、その辺を、先週の開業医の話ではないのですが、やはり1人でやっていたら、もう全部1人でやらないといけないが、グループでやればローテーションで休んだりできるとか、そうした方向に導いていったら良いのかとは1つ思いました。
それと、米の輸出で、先ほども御指摘あったインディカ米かジャポニカ米かですが、餌米をつくるのだったらインディカ米のほうがまだ受け入れられる、餌米食えとかではアジアの人にどうもあれなので、インディカ米のほうが良いのかと。その辺、どの米をつくるかというところも、国としての戦略が必要で、これもばらばらにやると効率が悪い。
最後に、スマート農業ですが、15ページの12ヘクタール以上ないと非効率であるということが分かりましたということで、やはりスマート農業として予算をつけているわけですから、非効率なものに関しては、予算をつけないようにお願いいたします。
以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、すみません、次、テレビ会議システムのほうで神津委員、宮島委員、福田委員、田中委員、佐藤委員の順番で御発言をいただきたいと思います。時間が押しておりますので、簡潔にお願いいたします。
それでは、まず、神津委員からお願いいたします。
〔神津委員〕ありがとうございます。
一言だけ、担い手の問題について触れさせていただきたいと思います。農地利用の最適化ですとか輸出の振興等の施策、御説明あったところについては、一定の受け止め、あるいは評価をもって認識するわけですが、それらを実際に担っていく働き手の問題、これを抜きに農林水産分野の発展を語ることはできないわけです。特に、外国人技能実習生をはじめとした、外国籍の担い手の労働条件であるとか生活環境、そうしたところの整備確保は喫緊の課題です。それらの点も直視すべきであるということについて、一言申し述べておきたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕宮島委員、お願いいたします。
〔宮島委員〕宮島です。よろしくお願いします。
この秋は米が値下がりするということで、政治からも、国が米を買えというような圧力が相当かかったと承知しておりまして、そんな中で取りあえず国が買うことはせずに、保管料を出すということで落ち着いたということですが、何にしても今はまだ、米をつくっている現場では、気分的には食管制度の名残というか、とにかくつくって、困ったら買ってもらえるというようなところがあるのだなと思います。
例えば今日の資料でも、農地バンクのことを知らない人がこんなにいるということに驚きます。国がいろいろな形で政策を打っても、それが現場での意識とか、認識とか、この先農業がどうなるのかというところにつながらなければ、結局、全然実効性を保てないという思いを強くしておりますので、これは財審だけで何とかなるものではないとは思うのですが、いろいろなインセンティブをつくる上で、インセンティブをつくった、さらにそれが現場でどのぐらい浸透して、それが実効性を伴うかということに相当気を遣いながらやらないと、距離が開くばかりかと思っております。
その中で、補助金に関しても、ここまでとにかく転作を求めて、餌米とかをつくるところに補助金を出してきたのですが、これに関してもこんな高い餌米をつくらせてどうすると思うところに来ております。まずは転作を求めるところまでは来たとは思うので、ここから先は、とにかく高く売れる、ニーズのあるものをつくって、自立していかなければいけないというところに相当な力を入れていただきたいと思います。
特にJA周辺などまだ一部では、特に米ですが、普通の需要と供給の感覚が必ずしも浸透しない部分がありまして、相当補助金に左右されると思っております。結果的には、大規模化もそうですが、大規模化されても、そこで、あまり望ましくない方向に補助金を求めて、せっかく大規模化したのに、必ずしも効率が良くない、あるいは需要に沿ってないものをつくるというような現場の部分もあると思いますので、インセンティブのつけ方について、今後更に実効性を伴うことが必要かと思います。
更に言いますと、会計検査院の調査で、農水省がやっています農地バンクの事業が、必ずしも計画が、そのとおりにいってなくて、未達も2割ぐらいあるというような結果も出ております。結局これも、国の政策が完全に現場にまで浸透していないというところかと思います。こうしたところを、なかなか財審のお金のところだけで左右するのは難しいと思いつつも、実効性のところに明確なプレッシャーをかける形でお金をつけていかないと、何か違うほうに誘導されてしまう、そうした社会主義的なところが残ったまま、一部の人だけが頑張る農業ということに今なっているように感じますので、この辺りは、変えていかなければいけないと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕福田委員、お願いいたします。
〔福田委員〕手短にお話しさせていただきたいと思います。私も農業の大規模化は、ぜひとも必要であると思いますが、その上で申し上げたいのは、農業には、その一方で豊作貧乏という言葉があって、安くつくり過ぎると価格が暴落してしまうという問題もあるわけです。そうした意味では、コストを下げるということだけではなくて、高付加価値化、要するに、豊作貧乏が起こる理由は農産物の価格弾力性が非常に大きい場合に起こるわけですが、やはり価格競争力の高い商品をつくることが、大規模化を推進すると同時に、これは前半部分と後半部分がセットということに、今日のプレゼンではなると思いますが、そうしたことを同時に進めていくというバランスは必要だろうと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕田中委員、お願いいたします。
〔田中委員〕田中です。まず、大規模化の促進は有効で、生産効率の向上を目指すという取組ですので、注力すべきと思います。
防災・減災の取組というのが社会資本のほうでありましたが、これは農地、農業にも不可欠で、持続可能な農業の構築を果たせる体制も確認をしたいと思います。
1点、FaaSと言われる、ファーミング・アズ・ア・サービスが標榜しているように、農業DXの構想で、少人数で超効率的な大規模生産というのも見える事例もありまして、例えば地球観測衛星データを活用して、収穫見込みとか、高品質な作物の収穫ができるような土地を見つける試みのようなものも出ています。
農地バンクの取組を新規軸で動かして、より有効にしてもらって活用してもらうということも目指しながら、農業と食関連以外の事業会社とか分野との連携も好事例が出始めていますので、異分野との協業を後押しするような政策、財政へのシフトも有効かと思います。
もう1点だけ、資料22ページにもお示しいただいた輸出拡大のところですが、有力コンテンツになるような食の加工品などを探して磨き上げるというプロジェクトに数年参加をしているのですが、お茶とかお酒とか発酵食品など、外国の方に支持されるようなものが全国から有力な品目として見え始めているのですが、次の段階で、マーケットインをという話もしていたのですが、やはり今の段階から、22ページにあるような、品目別団体のような、マーケティングセールスプロモーション体制を組んで、海外市場ニーズに合わせた輸出重点品目の策定と生産体制の構築は加速すべきと感じました。
同時に、スマート農業も、課題はあるということでしたが、工夫の上で、このような輸出の体制とともに、技術ノウハウやサービスもセットで輸出できるように模索すべきかと思います。
以上、よろしくお願いします。
〔土居部会長代理〕佐藤委員、お願いいたします。
〔佐藤委員〕よろしくお願いします。17ページの農地バンクについてですが、農地バンクがなかなか実効性が上がっていないのではないかという御指摘があったと思いますが、気になるのが3点あって、1つは、これはもともと貸借だけを扱っていますが、本来、活動の範囲を広げるという観点から見れば所有権の移転、つまり、農地の売買のほうで仲介するのがバンクの役割ではないかというのが1つ。
それから、やはり農地の出し手と農地の受け手、これが出てくるタイミングに乖離があると思います。場合によっては、一種のオプション取引のようなものですが、中間管理機構が農地の出し手に対して、受け手が見つかり次第、いつでもそれを借りる権利を取得して、受け手が実際に見つかったらその権利を行使するとか、何かそうした工夫がないと、同時に受け手と出し手が現れるということはめったにないわけですので、ここの乖離を明確にすることが必要ということが2つ目。
3つ目は、人・農地プランの実質化ですが、これも実際その現場の農業者だけで話し合っても、なかなか知恵も出てきませんし、やはり外部の人材を活用するほうに思いが至らないと思うので、そもそも人・農地プランをつくる段階から、やはり外部人材の登用を積極的に進めていく、あるいは若い人たちの登用を進めていく、参加を促していく、そうした仕組みが必要なのかと思いました。
以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、会場に戻りまして、中空委員、お願いします。
〔中空委員〕ありがとうございます。私はあえて今回はバランスを取れない、空気を読めない発言をしていこうと決めているのですが、やはりこれ、農業だけ特別扱いに見えなくもないと思います。一般論ですが、手伝い過ぎると創意工夫が生まれてこないということがあると思っていて、そうした意味でいきますと、補助金を出すことはいつまでなのかということについて、やはりお尻を切るとか、農地バンク、今、佐藤先生からマッチングをうまく進める仕組みをということがありましたが、それをした上で、短期的にやるとインセンティブがつくとか、少しスピードアップするような方法を考えるべきではないかなと思いました。
以上です。
〔土居部会長代理〕熊谷委員、お願いします。
〔熊谷委員〕どうもありがとうございます。
基本的に正しい方向で政策が実施されていると思いますので、簡単に2点だけ申し上げます。まず、1点目として、私は日本の農業の本質的な課題は2つあると考えております。1つ目は競争力をつけて産業としての持続可能性を高め、成長産業にするということ、もう1つが食料安全保障の観点から自給率を高めるということです。この2つの課題をバランスよく解決する解が輸出というものであると捉えておりますので、その意味でマーケットインの発想で米などの輸出をどんどん推進してほしいということが、まず1点目です。
2点目としては、これは財審ののりを越えることになるかもしれませんが、やはり競争力をつけて集約化を進めるためには、農業の経営形態であるとかガバナンスの問題、ここにやはり踏み込む必要性が最終的にはあるのではないでしょうか。
例えば、大規模化が進まない、マーケットインの発想でブランド力を高めることが苦手であるという、この辺りはやはり根本的には経営形態の自由化が進んでないということに原因があると思います。先ほど佐藤委員がおっしゃった、農地バンクで外部人材を登用するということも、これもある意味で同じ文脈の話であって、そこの部分を、若干財審ののりを越えることになるかもしれませんが、指摘をさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。
〔土居部会長代理〕武田委員、お願いいたします。
〔武田委員〕ありがとうございます。時間が押していると思いますので、1点のみ、意見を述べたいと思います。
転作助成金についてです。毎年、意見として述べさせていただいておりますが、収益性の高い新市場開拓米や輸出米へシフトをさせていくためには、収益性の低い餌米への補助金を削っていく必要があると考えております。そうしなければ、今議論がありました高付加価値化や経営ガバナンスの改革、そうしたところに人が動いていかないと思います。長年議論しておりますが、この点、抜本的な転換に期待したいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕秋池委員、お願いいたします。
〔秋池委員〕2点ありまして、米農家の転作を促すということをしてくださっているわけですが、食料自給率上げるような形で転作が促されると良いと思っています。農業従事者の高齢化が進んでいる中で、新しい方に農業に入ってきていただくためにも、自給率が上がるような方向で、仕事として回るというようなことを考えていただけるといいと思います。
それからもう一つ、輸出についてですが、品質においては日本の農産物は非常に競争力があります。そうした中で、マーケットインの発想でということの中に、21ページですが、量・価格・品質・規格と書いてあるのですが、価格のところがとても気になっていまして、ニーズを聞けば、安いほうが良いと絶対に答えられるに決まっているわけで、それは本当にニーズなのかと。やはり品質にふさわしい価格というのがあるわけで、適正な利潤が上がることが、農業が産業として回っていくということになりますから、そこはぜひ考えていただきたいのと、やはり事業としてやっていくからには、高収益の産物の種苗の知財を守るということは非常に重要で、そこも併せて御検討いただければと思います。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
主計官は、何か、御発言されますか。ごく手短にお願いいたします。
〔野村主計官〕分かりました。
貴重な御意見、本当にありがとうございました。特に、御質問という形かと思ったのですが、ジャポニカ米は限定的ではないかという中で、どうやって進めていくのかというお話があったかと思いますが、こちらにつきましては、これも御指摘されている点は、そのとおりでございまして、そうしたジャポニカ米が受け入れられやすい地域に絞って重点化して、米の輸出をしていこうと考えているところでございます。例えば、具体例で申し上げますと、香港ですとかアメリカ、あるいはシンガポール、中国、こうした地域に米の輸出につきましては重点化する形で、輸出していく。そうした形で目標を立てているところでございます。
以上でございます。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
続きまして、外交、デジタルの議論に移りたいと思います。
まず、福田主計官から簡潔に御説明をお願いいたします。
〔福田主計官〕外交・デジタル担当の主計官の福田でございます。よろしくお願い申し上げます。
先に外交、その後にデジタルの御説明を申し上げます。2ページ御覧ください。
ODAをめぐる事情ということですが、左側の図、ODA当初予算についてでございますが、水色と赤色を合わせた政府全体で5,680億円という規模となっております。その右側に途上国に流れる資金、ODAの事業量を書いてございますが、26,940ということでございますが、2兆6,940億円となっております。
1枚めくっていただきますと、3ページ、左側の図は経済とODAの関係です。G7のODAの水準と、債務残高対GDP比の関係ということですが、トップのドイツは債務残高対GDP比が低くなっております。2位のイギリスは、下にジョンソン首相の答弁をつけておりますが、財政状況の悪化で、ODAの引下げを決定したところです。日本は、一方で非常に突出した債務残高対GDP比にもかかわらず、アメリカやイタリアを上回る水準の支援を行っており、第4位となっております。
こうした状況を踏まえれば、ODAをどんどん増やすという状況にはないと考えております。
1枚めくっていただきまして、4ページ目となります。国際社会の変化とその対応ということですが、3つ丸が並んでおりますが、足もと、コロナ対策にどう効果的に取り組めるのか。その右、自由で開かれたインド太平洋の下で、関係国とどう連携できるのかなどが問われております。一番下にございますが、国際社会は常に変化を続けておりますので、それにどう機敏に対応して、ODAの支援分野、対象地域を重点化していくかどうか、これが課題となっているところでございます。
5ページ目を御覧ください。2国間の支援、無償資金協力と技術協力、この2つが2本柱となっておりますが、財審の建議によりまして、支援分野と対象地域のマトリックスが示されるようになりました。その積み重ねで、前年との増減比較ができるようになりましたが、足もと令和3年度におきましては、2つともコロナを踏まえまして、保健医療に重点化がなされているという状況にございます。
1枚めくっていただきまして、6ページ目となります。2国間の国際協力、先ほど申し上げた無償資金と技術協力が2本柱となっておりますが、もう一つ、支援ツールがございまして、多国間の国際協力、具体的には国際機関などへの任意拠出金というものがございます。
こちら、四角の中の1つ目の丸、これら3つの支援ツールは、総合的に捉えて、状況に応じて重点化していくことが重要と考えております。新型コロナにつきまして、我が国は、COVAXファシリティ、バイの支援ではなくてマルチで支援すると、こちらで8億ドルの追加拠出をすることを決定いたしました。こうしたことは予算にも反映して、3つの支援ツールの中で、重点化を図っていく必要があるものと考えております。
それから2つ目の丸、マルチの支援を検討する上では、外務省が行っている評価が重要となりますが、その評価の妥当性については、改善を続けていくべきではないかということでございます。
7ページ目、御覧いただきますと、2国間の支援、無償資金協力、技術協力ともにJICAを通じて支援を行っているのですが、円グラフ2つ並んでおりますが、いずれも発展途上国の事情などによりまして、事業が計画よりも遅れる場合、事業期間が延長されている場合が多いということでございます。こうした場合には、やはり進捗の管理が重要となってまいります。
8ページ目、御覧いただければと思います。資金の進捗の管理が重要ということですが、無償資金協力におきましては、左上、棒グラフ書いてありますが、無償資金協力は単年度で約1,600億円の事業をしているのですが、その約半分が資材、機材等の調達方式での支援となっております。その下に資金の流れ、外務省からJICA、JICAから事業者に流れるのですが、外務省からJICAには、相手国政府と交換を結んだら、一括してまとめて資金が支払われて、JICAは工事の進捗などに応じて事業者に支払われると。この支払いのタイミングにずれがございまして、その結果、JICAに資金が滞留する構造となっているところでございます。
問題は、右側に棒グラフをつけておりますが、その結果、現在1,960億円、JICAに資金が滞留しているということです。3年超のものに絞っても744億円となります。この資金の利息収入は国庫に納付されているところでございますが、滞留自体が非効率性を呼んでおりますので、これについては改善が必要と考えております。
具体的には四角囲みの2つ目の丸、そこに①②と書いてございますが、①交付方法や交付後資金の管理の在り方、②一定期間経過後の国庫返納の実施、こうした形の適正化を検討すべきではないかということでございます。
9ページ目、御覧いただければと思います。ページの真ん中あたりに赤い丸で高止まりと書いてございますが、その中に緑色の人件費、あるいは青色の管理的経費、この折れ線グラフを入れておりますが、近年、少し高止まりの傾向にある。そうした中では業務の効率化も、重要な課題の1つではないかということでございます。
10ページ目、御覧いただきますと、民間資金による国際協力ですが、国際協力の担い手はもちろん政府だけではなくて、民間も担い手となっております。そうした中で、右側を見ていただきますと、官民連携の取組が関係者の御努力で進められているということでございますが、現在、少し規模が小さくなっておりますので、より積極的展開を図ることが重要ではないかというものでございます。
その次、表紙を飛ばしていただいて12ページ目、御覧いただきますと、在外公館です。これは例年指摘をさせていただいておりますが、左側の下のところ、外務省の定員は増加してきておりますが、日本政府は簡素で効率的な政府となっております。こうしたものと整合的である必要があるのではないかということでございます。
その右側、在外公館についてでございます。10年間、日本は在外公館を増やしてきております。その結果、日本の在外公館の水準は、イギリス、ドイツ並みの水準となるということでございます。
その下に在外公館のシェアを入れておりますが、右側、新設公館のシェアは非常に小さい。また、既存公館を見ましても、下位の公館を見ますと左側の丸でございますが、そちらのシェアも小さい。新設・昇格するに当たりましては、PDCAサイクルを見て、その効果をしっかり見極めてから、あるいはもし新設・昇格するのであれば、既存公館のスリム化なども、しっかり行うべきではないか、こうした指摘となっております。
以上が外交についてです。
続きまして、14ページ、御覧いただければと思います。情報システム関係予算、左側に縦の棒グラフありますが、その真ん中、令和3年度の予算ですが、情報システム関係予算約8,000億円となっております。赤色の部分、そのうち運用等経費が約5,000億、この3割削減を目指すというのが政府の方針となっております。
右側、横の棒グラフ描いておりますが、予算の一括計上につきまして、令和2年度に始めまして、令和3年度、①デジタル庁システムは、整備も運用もデジタル庁が行うもの。②デジタル庁・各府省共同プロジェクト型システムは、整備がデジタル庁、運用は各府省が行うもの、こちらの一括計上を令和3年度に行いました。さらに令和4年度につきましては、整備も運用も各府省が行う③各府省システムにつきましても、原則予算の一括計上を図るということとしております。
続きまして、15ページを御覧いただければと思います。先ほど運用等経費3割削減を目指すということだったのですが、3つ目の丸を御覧いただきますと、そのためには今後どのシステムを、いつクラウド化して、コスト縮減を図るのか。その道筋が必ずしも明らかとなっておりません。何らかの形で示すということはデジタル庁も我々も思っているところでございますが、やはり示す内容は、デジタル庁が司令塔となって、各府省を率先しながら、業務改革の方針や、運用等経費の削減に関する決算額、そうした数字の明示まで含めて踏み込んで、しっかりとしたロードマップを示すべきではないかということでございます。
その次のページ、16ページ目は、財審の11日の資料ですが、地方財政で出てきましたが、マイナンバーカードの交付は効果的にやるべきではないかという話がございました。
1ページめくっていただきまして17ページです。ただ、マイナンバーカードを交付するだけではなくて、それをしっかりと使っていただく必要がございます。左側はその使い道ということですが、身分証明書のほかに健康保険証としても使えるようになりました。将来的には運転免許証とも一体化されます。それから真ん中のところ、矢印書いていますが、上に、コンビニで住民票等が取れることになりました。さらにその下ですが、マイナポータルでオンライン手続などができるようになる。ただ、この使い勝手、まだそこまで利便性が向上しておりませんので、あるいはマイナポータルは使いにくいといった課題もございます。そうした意味ではオンライン手続を普及させて、更にマイナポータルを使いやすくしていくことによって、便利にしていって、マイナンバーカードがないと不便であると思わせるぐらいの利便性向上が必要であると考えております。
その下に二重の囲みで入れておりますが、そうした意味では健康保険証としての利用をきちんとしてもらうための登録、あるいは来年には公金受取口座の登録もできるようになりますので、こうした意味では交付から利用まで一体となった利用促進、運用、普及啓発が必要ではないかと考えております。
最後、18ページになりますが、デジタル庁は発足したばかりでございます。これから、デジタル庁は、ますます期待が大きくなっておりますので、高い目標、いろいろここに記載しておりますが、掲げておりますので、その目標を実現していただく、これを期待したいと思っております。
私からの説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見、御質問などを頂きたいと思います。先ほどと同様に、会場の委員の方はネームプレートを立てていただいて、テレビ会議システムを通じて御参加の方は挙手するボタンを上げていただきたいと思います。10名ほどで、残り時間10分を切っておりまして、単純平均すると1人1分ということになってしまうのですが、12時を回ることをお許しいただくということにして、それでも簡潔に御説明を頂きたいと思います。
それでは、平野委員の側から、御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
〔平野委員〕ありがとうございます。時間もないということなので手短に言いますが、先ほども御説明を頂いたとおりで、デジタル化の問題とは、デジタル庁がいかに一元的にグランドデザインを描いて、その中で、行政上のコスト削減につながるものと、それから付加価値を生み出すものであることを明確にしてもらう必要があると思います。それに時間軸を入れて、その時間軸の中でどういう効果が得られるのかということを共有しながら、ぜひ予算をつけていっていただきたいということです。
もう1点だけ。マイナンバーカードですが、おっしゃるとおりでなかなか普及が進まない原因は、使い勝手が悪いからです。つまり利便性が低い。それをまず、これからいろいろ民間の知恵も借りながら高めていくというのが一番重要ですが、同時に、財審の脈絡で言えば、やはり、資産あるいは所得の把握に使うべきであると思います。これは税には使えることになっていますが、申告にしか使えることになっていないので、そこを変えていく。端的に言うと銀行口座への付番です。これを、何らかの手段で進めていただきたい。預保が今入ってきていますが、あのようなものを活用しながら、ぜひ、税の徴収のほうにも活用していただきたいと思っています。
以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、武田委員、お願いします。
〔武田委員〕まず、外交について、国際情勢の変化を踏まえた外交戦略、経済安全保障の在り方を前提に、重点施策に力点を置いた予算のつけ方をお願いしたいと思います。
2点目、デジタル化です。行政全体の効率化につなげるためには、国から地方自治体、住民までのエンド・ツー・エンドでデジタル化を進める必要がございます。行政手続と業務改革をセットで進めていただくようお願いいたします。
以上です。
〔土居部会長代理〕神子田委員、お願いします。
〔神子田委員〕ODAに関してですが、私は98年ぐらいに、現役の大蔵省記者として、当時、宮澤喜一大臣に記者会見で質問したことがありまして、当時、日本の金融危機の後で、大変な大規模な経済対策を取って、当時の小渕総理が、私は借金王であるというようなことを冗談で言っていて、私は宮澤大臣に、日本の経済がこんなに大変なときに、外国に援助している余裕はあるのですかというのを聞いたのですが、大臣の答えは、やはりこれだけ国の規模が大きくなると、そうしたことも必要なのであるということでありました。
ただ、その後も、ODAは微増の状況が続き、外務省に言わせれば、やはり継続的に行うことが必要であるということで、増えてきたということですが、やはりこれだけの借金を抱えている中で、増やしていくにも限度があるので、かといって急には減らせないということですから、せめて微減のトレンドに変えていくべきではないかと思いました。
それと、JICAに資金が滞留している件ですが、これは公共事業の繰越しにも共通するところあるのですが、予算をつけても執行されない、お金をつけてもしようがないというところがありまして、そこに滞留しているのだったら、滞留している間は、新たな予算をつけずに、別のところに、外務省予算ということではなく、もっと緊急に必要な予算があると思いますので、そちらのほうに振り向けていったら良いと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕末澤委員、お願いいたします。
〔末澤委員〕ありがとうございます。私は1点だけ御質問させていただきます。情報システム関係予算の14ページと15ページの関係ですが、14ページの右下を見ますと令和3年度当初予算8,300億、令和4年度概算要求1兆221億ということで、これは単純計算で23%増、新たな成長推進枠は、たしか4.4兆円ぐらいありますから、別にこれが増えるのは良いと思うのですが、ただ、次のページを見ると、システム改修に係る経費は2020年度から2025年度までに3割削減することを目指すと書かれておりまして、ということは3年度予算と4年度の概算要求のうちのシステム改修に係る経費では、どういう金額が計上されているのか、お伺いしたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、小林委員、お願いいたします。
〔小林委員〕3ページでジョンソン首相の発言を引用されて、こうした話を出してくるということは、議論のきっかけになると思うので大変結構なことであると思います。
ただ、その場合どうしても、ここでは今回、あえて国名を書いてないのかもしれませんが、やはり中国の対外支援戦略が、かなり明確になって、顕著になっている以上は、そこの部分を踏まえながら、その部分にどうしていくのか、どう対応していくのかも考えながら、議論を進めていかなければならないと思いますし、それが、重点化、戦略的な問題に明確にリンクしていくのではないかと思われます。
それから、JICAの執行が進まないほうに関係があるのか、あるいは管理の問題に関係があるのかあれですが、恐らく今回コロナの問題が出てきて、様々な、リモートとか、そうしたことによる現地との打合せとか、かなり効率化が図られたと思います。ただ、せっかくそこで効率化が図られているわけですから、その経験を、コロナが落ち着いたからといって、また元に戻すということには、民間企業はならないわけですから、それと同じような形を取って、ある意味、デジタルの活用を進めての効率化、迅速化を図っていただく、そうしたことも考えていったほうが良いのではないかと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕それでは、テレビ会議システムで御参加の方に、御発言を頂きたいと思います。佐藤委員、冨田委員、河村委員、宮島委員、遠藤委員、神津委員の順番でお願いいたします。
それでは、佐藤委員、お願いいたします。
〔佐藤委員〕よろしくお願いします。私、最後の18ページのデジタル庁への期待についてのコメントです。
デジタル化は、やはりスピード感が必要ですので、そこに記述されているガバメントクラウドの利用であるとか、地方の業務の標準化、基幹業務システムへの移行などは、やはり全体的に工程表を前倒ししてもよいのではないかと思います。
また、マイナンバーの利活用を進めるためには、ふだん使いをしている健康保険証や運転免許証をマイナンバーに切り替えることが肝要です。特に今気になるのは、医療機関でのマイナンバー対応をしている割合、できている割合が非常に少ない、1割ぐらいという報道もあります。なので、医療機関については、特にてこ入れが必要なのではないかと考えます。
それから、総じてデジタル庁は調整機関ではなく、やはりきちんとデジタル化のイニシアチブを取るべきで、その対象は国だけではなく、地方自治体それから医療機関のデジタル化も含まれると思います。恐らく、想像に難くないのは、デジタル化が進まないと思います、自治体でも国でも。そのときに、なぜなのかという、そのボトルネック、例えば、それは個人情報保護法制の問題なのか、自治体が現場でのローカルルールや慣行の問題か、あるいは情報漏えいが起きたときのセキュリティー、セキュリティーに問題があったときの責任問題があるのか、そうしたところを速やかに検証する必要性があるかと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕冨田委員、お願いいたします。
〔冨田委員〕ありがとうございます。2点、1点は無償資金協力ですが、今日もお話があったのですが、当初予算の規模を超えるぐらいに資金が滞留しているということです。8ページの右の図にもありましたように、コロナ以前からJICAに滞留資金が大きく増加しておりまして、どうも一過性ではなくて、構造的な問題の様相を呈していると思います。
そもそも我が国のODAは、被援助国から要請があるということに基づいて実施する。しかもこれ、無償の援助です。無償の援助で、要請に基づいてやるのに、これだけ執行が遅れるということは、なかなか理解できないわけです。JICAで事業が進んでいないのに、それを主務省が執行済みと判断をするということは、やはり、独立行政法人に対するガバナンスに問題はないのかということも指摘できようかと思います。
この放置できないほどの異常な滞留資金を見直しまして、財政資金の効率的な活用の観点から、先ほどお話あったみたいに、支援国として、継続事業の中止を含めて、進捗管理に集中すべきです。
このためにも、当審議会で以前議論いたしました5ページの分野別、地域別の表を、予算額だけではなしに、執行管理にも作成することが必要だろうと思います。
そして、大事なことは、無償資金協力予算ですが、例年どおりの予算投入ということは今後避けるべきであると思います。
2つ目は、ODA予算の全体規模についてでございます。今申しました問題に加えて、テクニカルアシスタンスについても、JICAの管理的経費の高止まりの問題が指摘されておりました。一方、この30年間、我が国の世界経済に占めるウエートは低下が続いております。くわえて、財政状況の悪化を考えますと、ODA予算の規模を再検討せざるを得ないのではないかと思います。
その場合においても、我が国は、これまで有償援助が中心で、その援助からの卒業国もどんどん出ておりまして、高い評価を得ているものと思います。ということで、予算、つまり、バイ・マルチ等の一般会計予算については、今日も主計官からお話がありましたが、イギリスにおいて政府債務残高が100%を超えたことを踏まえまして、ODA予算を削減したということですので、世界で突出して大きな債務残高を抱えます我が国は、ODA予算については少なくとも抑制基調とせざるを得ないのではないかと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕河村委員、お願いいたします。
〔河村委員〕御説明ありがとうございます。外交分野で3点、意見を申し上げさせていただきます。
まず、ODAの部分、財政状況が非常に厳しい中でどうやるか、やはり知恵の出しどころであると思います。さはさりながら、コロナ危機の下で、COVAXのところに拠出していくという方針を出しているとか、それから先ほどもお話出ておりましたが、中国の動きとかもありますので、やはり日本として自由で開かれたインド太平洋を進めていくためには、どうやっていくのが大事かということで、やはり重点化を図っていく必要があるのではないかと思います。
2点目は、JICAの点です。今、冨田先生からもお話ありましたが、この件、実は3年前に財審でも取り上げられていたかと思いますが、技術協力のほうでいろいろなことがあった。何か資金ショートすれすれのような話があったり、本当に見込みが甘かったりということが問題になって、JICAでもいろいろ検討されて、猛反省されたはずであると思います。私、当時の外務省の懇談会とかにも加わっていたのですが、それがあったにもかかわらず、3年たって、どうなのかと。今回、問題にしてくださっている8ページの無償資金協力予算の執行のところ、これだけ滞留が起きている。片や、前の7ページで、例の技術協力のところも、またどんどん上振れしているというか膨れてしまう。この原因を見ると、資料にも書いてくださっていますが、事業の事前評価の視点での見込みが甘いと、一体3年前のことがどれだけ反省できたのか、ここはやはり主務省である外務省に対して、それからJICAに対してもですが、しっかりやっていただくように、もっと強くいろいろ伝えていったほうが良いのではないのかと思います。ですので、限られた財政資金の有効的な活用ということで、8ページで提案されている方向性は賛成でございます。
最後に、在外公館のところです。参考資料の6ページでもお示しくださっていますが、新設とか昇格とかばかりです。降格が平成25年度を最後になされていない。本資料の12ページでもお示しくださっていますが、各種指標に占める公館のシェア、下位5公館、下のほうの5公館の占めるシェアがこれしかないのに、どんどん増やしている。これがどうなのか。確かにビザの業務とか、特にコロナが来る前の、直前の段階では、東南アジア関係のところで本当に仕事が追いつかないという話を聞いたこともありますが、その状況は今変わっているとは思いますが、これだけ下位5公館の業務量が減っている中でどうなのか。在外公館も、自前で建物を日本国政府が保有しているものと、それから賃貸のものと半々ぐらいという話も聞いておりますし、そうしたところも含めながら、やはりどんどん増やすだけではなく、廃止とか縮小といったことも併せて考えていかないと、数ばかり増えて、人手がかえって手薄になるということは、前回の社会保障のときに病院の話で聞いていることと同じことではないかと思いますが、きちんと見直しをしていくように、外務省に対して促していったほうがいいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕宮島委員、お願いいたします。
〔宮島委員〕私からは1点だけ、マイナンバーカードについてです。これはもうこの先の日本にとって、とても重要なインフラのはずですが、個人も病院にもどこにもあまり、思ったほど広がってない。特に個人は5,000ポイントをあげるといっても、なかなか広がらなかったという部分があります。
これはもちろん、マイナポータルを間にかまそうとして、つくるのがすごく複雑になったことや、自治体がついてこられなかったところに要因があると思います。今回、もしかしたら、次の衆院選後に、マイナンバーカードを使って更なるポイントをというようなことが、あるかもしれないのですが、その場合には、本当に今度こそ、そこを起爆剤にして、全部に行くぐらい頑張らないと、すごくお金の無駄になるかと思います。恐らく、例えば公明党が言っているように、3万円、3万ポイントつけるのであるとすれば、これは景気対策ということでつけるのと思うのですが、では、景気対策だから、やはり紙でも配ろうとか、現金でも配ろうとか、いろいろなことになると、マイナンバーカードの普及にはあまり役に立たないまま、お金がばらまかれるという不安もありますので、もう今度こそ最後のつもりで、そこを起爆剤にしてマイナンバーカードを広げる必要がある。そのために何がネックになっているのかを、きちんとやってケアする必要があると思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕遠藤委員、お願いいたします。
〔遠藤委員〕1点だけ、デジタル庁についてです。ほかの委員会に出ていて、予算要求の説明を受けると、情報システム予算がそのままデジ庁に付け替えられているという説明を受けることが重ねてありました。仕事の内容も、これまでどおりの仕事をデジ庁に付け替えているというような、まだそうしたレベルにしかすぎないということも併せて伺っております。
その付け替えだけではなくて、14ページにも示されているように、4年度の概算要求ではむしろ新しい予算の積み上げがあります。本来IT化は、一時的には先行投資が必要であると思うのですが、徐々に効率化、整理統合されて、コストを抑えていくことが、あるべき姿であると思っております。
デジ庁が国・地方の司令塔ということであれば、デジタル庁にしっかりと工程表を示させなければならないと思います。18ページの図を見ても矢印が引かれているだけだったり、5年で一気呵成にやるという意思表明があるだけだったりで、これからどのぐらいの情報システム化によって効率化が図られるのかということが裏づけされておりません。こうしたことであれば、予算が無駄に使われるというか、積み増しされて、拡大していくというようなことになりかねませんので、そこはきっちりと見ていく必要があると思っております。
以上です。
〔土居部会長代理〕最後になりまして、申し訳ございませんでした。神津委員、お願いいたします。
〔神津委員〕ありがとうございます。マイナンバー制度について、一言申し述べたいと思います。
個々の施策による利便性の向上ということも必要なことであるとは思いますが、マイナンバー制度については、そもそも持続可能で包摂的な社会保障基盤の構築に不可欠な、公平・透明な税制実現のために投入されました。その基本を常に認識し、その認識を広げる、そうした対応が必要であるということを申し述べておきたいと思います。
そうしたことに鑑みても、ようやく公金受取口座の任意登録が始まろうとしている、これが現状ですが、全ての預貯金口座のひもづけの義務化が本来必要であるわけでありまして、早期の取組を強く要望しておきたいと思います。
以上です。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
主計官、何か。
〔福田主計官〕簡単に。本当に貴重で、そして重要な御意見たくさん頂きました。どうもありがとうございます。それらを踏まえて今後予算編成に当たっていきたいと思います。
また、1点御質問いただきました。既存システムにつきましては、運用等経費3割縮減をしていくと、こうした形で予算の一元管理という形で財政当局、デジ庁連携しているところでございますが、ただ一方で、新たな行政需要がいろいろ生まれてきますと、そのためにシステムがまた必要になる。例えば、コロナのワクチンの接種のものをどうするかという新たなシステムの予算が必要になる。そうした部分もありまして、そうした部分を併せて、そうした中でどうやってそれを対処していくのか、そうしたことが課題になっておりますので、こちらも予算編成をしっかり対応させていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
〔土居部会長代理〕ありがとうございました。
時間を超過して申し訳ございませんでした。本日の議題はこれにて終了させていただきます。
本日の会議の内容につきましては、会議後の記者会見で御紹介することとさせていただきます。会議の個々の発言につきましては、皆様方から、報道関係者等にお話しならないように御注意お願い申し上げます。
次回は11月1日月曜日13時から、歳出改革部会を開催する予定にしております。よろしくお願い申し上げます。
それでは、本日はこれにて閉会いたします。御多用中、御出席いただきありがとうございました。
午後0時10分閉会