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財政制度等審議会 財政制度分科会 歳出改革部会
〔議事要旨〕

  • 1.日時令和5年4月24日(月)9:00~11:00

  • 2.場所財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 3.出席者

    (委員)

    土居丈朗、秋池玲子、河村小百合、熊谷亮丸、佐藤主光、武田洋子、宮島香澄、上村敏之、遠藤典子、小黒一正、木村旬、権丈英子、末澤豪謙、滝澤美帆、田中里沙、中空麻奈、広瀬道明、福田慎一、子田章博、横田響子、吉川洋、大槻奈那、小林慶一郎、藤谷武史、芳野友子、角和夫、平野信行(敬称略)

    (財務省)

    秋野副大臣、宮本大臣政務官、青木大臣官房長、新川主計局長、寺岡次長、中村次長、前田次長、松本調査課

4.

    • 事務局説明

  • 財政各論①:成長

5.議事内容

    • 本日は、「財政各論①:成長」という議題のもと、審議を行った。

    • 各委員からの質疑や意見は以下のとおり。

【財政各論①:成長】

<委員からの御意見>

(全体)

  • 予算編成時においても、テーマ横断的な予算の組み方をしてはどうか。それによって、省庁を超えて新しい価値が生み出せたり、より効率的な予算使用ができたりするのではないか。

  • GX、DX、スタートアップなど個別に分析するのも良いが、各々の相互連関を分析すれば、より成長力を高めて、より効果的な財政支出に結びつけることも可能になるのではないか。

  • 成長分野をより伸ばしていくことも重要だが、その逆に、優先度が低い非成長分野を明確にすることも大事。それによって予算のメリハリ付けが可能となる。

  • 成長のため、民間に委ねる分野と政府が直接に財政投入をする分野をしっかりと分けていく必要がある。

  • 成長の主役は民間であり、政府は側面支援であるべき。民間が成長するための機会と環境整備をするのが政府の仕事。

  • 最近は、MSSEなど従来以上に政府の役割を重視する志向もあるが、成長の源泉は民間主導でのイノベーションであることは揺らがない。その中で政府は、単に補助金を支出するのではなく、制度設計、規制緩和、税制などを組み合わせて最適化を図っていくといった視点が重要。

  • 民間主導の成長を促すため、企業の活躍の機会を拡大させるという観点から見ても、政府は規制改革をやっていく必要がある。

  • 成長するためにどのような政策手段が望ましいのか、補助金だけに頼らない幅広い政策の手段の検討が必要。

  • 生産性は人口密度の高い地域のほうが高い。今後人口減少していく中で、人口密度の維持をどのように誘導していくのかというところも重要。

  • 財政の持続性の確保自体が将来不安を軽減して、成長を促進するための政策にもなっていることを強調すべき。

  • 経済の好循環のためには、消費者が安心してお金を使おうと思える空気感を醸成していくことが大事。

  • 成長のためには、財政資源の配分の全体最適化、財政だけに依存しない構造改革、労働市場改革、産業・企業の新陳代謝などをいかに進められるかがポイント。くわえて、保障的な支出から投資的な支出へシフトすることも重要。

  • 予算執行の状況を点検して、年度途中でも政策を修正する必要があればしていくことが重要ではないか。

  • これまで成長力を十分高めることまでには結びつかなかったのはなぜなのかの検証が重要。

  • これまで低成長に甘んじてきたのは何がボトルネックになっていたのかを整理した上で、いつまでにどれぐらいの成長を目指すのかの数値目標を設定することが必要。

  • アウトカム志向を浸透させ、それをもとに検証し、必ず次の政策決定のプロセスに生かすというところまで仕組み化していくべき。

(労働市場・人への投資)

  • 成長産業への労働移動は重要だが、そのためにはセーフティーネットが大事。

  • 我が国における労働生産性低迷の原因の一つとして、産業企業の新陳代謝の遅れが挙げられる。日本では、低生産性分野に資金や労働資源が張りついている。適切なペースで、産業の新陳代謝を促すとともに、失業なき労働移動を促進することが必要。

  • 非正規雇用の問題が低成長の大きな原因になってしまっている。同一労働同一賃金などにより、非正規と正規の間でできている溝を縮めることが重要。

  • 正規、非正規だけの問題ではなく、フリーランスも含めた幅広い射程の中で、労働市場全体でどう人材育成を行っていくのかを考えるべき。

  • 人材育成で大事なことは、学んだことが横断的な労働の移動につながるか、生産性の向上につながるかという点。リ・スキリングをちゃんと評価するような環境整備が必要。

  • 政府の現在の補助金は、労働を企業内に留め置くことが重視されている。個人向けの支援に制度を再構築していくべき。

  • 非正規雇用や就業を中断することが多い女性労働に関し、継続就業や再就業しやすい環境を整備することは、量だけではなく質の面にとっても重要。

  • 主体的な学びのためにも、長時間労働の是正が重要。

  • 労働流動化が進むと、企業によっては育成マインドが削がれる面もあり、学びなおしの支援は、企業から個人へ移行していくのが良い。

  • メンバーシップ型の雇用システムでは、労働者がどういったスキルを習得すべきかを自律的に検討することが困難。自身に必要と思われるスキルが明確な職務限定型の雇用システムに移行していくことが必要。

  • 学び直しに関し、その時々で変わる学ぶべき内容となっているのか、学びを提供する側の在り方についても目配せをしていくことが重要。

(GX)

  • GXへの取り組みの遅れが気になっており、カーボンプライシング等の制度や数字等を具体的に出して進めていくべきではないか。

  • 規制・支援一体型投資促進策といったポリシーミックスの考えに賛同。GX経済移行債について、調達された資金使途の明確化に加えて、効果の測定、その開示などを通じて、有効性を評価できるような体制を構築すべき。

  • 「公正な移行」に向け、社会対話や合意形成を図り、政策・シナリオの検討などに取り組むべき。

(DX)

  • DXのためにはデータがなにより大事であり、まずはデータ整備を徹底して行うことが必要。

  • DXはいかにデータの利活用ができるかであり、そのためには省庁間や国・地方間でのデータ利活用を進めることが重要。

  • 中央省庁におけるシステム項目の標準化によってデータの流通が良くなるのは良いことであり、早急に進めるべき。

(科学技術・イノベーション)

  • 政府主導でやるべき分野はどこかという見極めが重要であり、その一つは科学技術・イノベーション分野。中でも安全保障に絡む分野は特に支援していくことが必要。

  • 研究支援について、政府において伸びる分野を予見することは困難であり、研究者の自発的な意欲を側面支援することが重要。

  • 研究開発予算の額は随分上がってきているが、研究開発が事業化するには長い時間を要する。こうした分野に十分な投資が行われるためには、長期的な計画が非常に重要。

  • 大学の技術シーズは社会にとって分かりづらい。高等教育機関領域内での更なる連携の上、大学の知恵を社会につなげることが大事。

(スタートアップ)

  • 他国に比べてスタートアップが増えないのは、少子高齢化も起因している。子供が多いと家業を継げない人が多くなり、新しい会社を作る人も多くなる。成長戦略のためにも人口政策を見直す必要。

  • 廃業率の低さは、現在の金融環境の影響が大きい。金利水準が低過ぎる状態が長く続き過ぎている。この分野での政府支出の在り方は難しく、政府の失敗につながりやすい。

  • 経済全体の資金フローとして、スタートアップに資金を供給して、成長を促進していくことが必要。現在余剰資金が政府セクターに流れている。政府セクターが余剰資金を吸収してしまう流れは断つべきで、そのためには財政再建が必要。

  • 現在、JSTを通じて、大学間で連携しつつ、民間も巻き込みながら、研究シーズのベンチャーの立ち上げ支援が積極的になされている。こうした取組とも連携して、効率的に成長力を高めていくということが重要。